IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-移動体回収システム 図1
  • 特開-移動体回収システム 図2
  • 特開-移動体回収システム 図3
  • 特開-移動体回収システム 図4
  • 特開-移動体回収システム 図5
  • 特開-移動体回収システム 図6
  • 特開-移動体回収システム 図7
  • 特開-移動体回収システム 図8
  • 特開-移動体回収システム 図9
  • 特開-移動体回収システム 図10
  • 特開-移動体回収システム 図11
  • 特開-移動体回収システム 図12
  • 特開-移動体回収システム 図13
  • 特開-移動体回収システム 図14
  • 特開-移動体回収システム 図15
  • 特開-移動体回収システム 図16
  • 特開-移動体回収システム 図17
  • 特開-移動体回収システム 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186126
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】移動体回収システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20120101AFI20221208BHJP
   B60P 3/07 20060101ALI20221208BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
G06Q10/08 300
B60P3/07 Z
G08G1/00 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094199
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】福留 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】茂木 俊介
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 佳洋
(72)【発明者】
【氏名】梅 子洵
(72)【発明者】
【氏名】小林 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】浅井 智子
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA27
5H181BB04
5H181BB08
5H181CC02
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF14
5H181FF22
5H181FF27
5H181LL09
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】移動体を回収するシステムを提供する。
【解決手段】検出部74は、台車ユニット14の収容部における小型移動体の積載状態を検出する。制御部80は、検出部74により検出された積載状態にもとづいて、走行ユニット12の動作を決定する。制御部80は、検出部74により検出された積載状態が所定の状態にある場合に、走行ユニット12が目的地に移動する動作を決定する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律走行機能を有する走行ユニットと、人が乗ることのできる移動体を載せるための収容部を有する台車ユニットを備える移動体回収システムであって、
前記収容部における移動体の積載状態を検出する検出部と、
前記検出部により検出された積載状態にもとづいて、前記走行ユニットの動作を決定する制御部と、
を備えることを特徴とする移動体回収システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記検出部により検出された積載状態が所定の状態にある場合に、前記走行ユニットが目的地に移動する動作を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の移動体回収システム。
【請求項3】
前記走行ユニットは、前記台車ユニットと連結可能に構成されており、
前記制御部は、前記走行ユニットが前記台車ユニットの位置まで移動して、前記台車ユニットと連結する動作を決定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の移動体回収システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記走行ユニットが、移動体を載せることのできる別の台車ユニットを前記台車ユニットの位置まで牽引する動作を決定する、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の移動体回収システム。
【請求項5】
前記台車ユニットは、移動体の駐車場として利用される、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の移動体回収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行ユニットと台車ユニットを備えて、人が乗ることのできる移動体を回収するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動運転車両を用いて、荷物などの物を搬送するシステムが考案されている。特許文献1は、自律走行を行う車両であって、前輪を有する先頭部と、後輪を有する末尾部と、先頭部と末尾部との間に連結されることで先頭部と末尾部とを一体化させる積載部とを備える車両を開示する。先頭部および末尾部が停止した状態において、積載部は、車両の進行方向と交差する方向に、車両から分離可能に且つ車両と連結可能に構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-131039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたシステムでは、サーバ装置が配車リクエストを外部から受けると、派遣する自律走行車両を決定して、配車リクエストに応じた運行指令を生成する。自律走行機能を有する走行体を備えたモビリティシステムは、様々なシーンで有用なサービスを提供できることが期待される。近年、パーソナルモビリティを代表とする小型移動体の利用サービスが普及しはじめており、ユーザが利用を終えた小型移動体を効率的に回収する仕組みを構築することが望まれている。
【0005】
そこで本発明の目的は、移動体を回収するシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の移動体回収システムは、自律走行機能を有する走行ユニットと、人が乗ることのできる移動体を載せるための収容部を有する台車ユニットを備える移動体回収システムであって、収容部における移動体の積載状態を検出する検出部と、検出部により検出された積載状態にもとづいて、走行ユニットの動作を決定する制御部と、を備える。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを読み取り可能に記録した記録媒体、データ構造などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例のモビリティシステムの概要を示す図である。
図2】実施例の走行体の斜視図を示す図である。
図3】走行ユニットと台車ユニットとが分離した状態を示す図である。
図4】本体部に設けられたドアの例を示す図である。
図5】走行体の構成を説明するための図である。
図6】モビリティシステムの機能ブロックを示す図である。
図7】人が乗ることのできる小型移動体の例を示す図である。
図8】最寄り駅と会社とを結ぶ経路の例を示す図である。
図9】貸出用の台車ユニットの例を示す図である。
図10】回収用の台車ユニットの例を示す図である。
図11】ユーザが小型移動体に乗って移動している様子を示す図である。
図12】台車ユニットに小型移動体が返却された状態を示す図である。
図13】サーバ装置における処理のフローチャートを示す図である。
図14】走行ユニットが台車ユニットを最寄り駅に向けて牽引する様子を示す図である。
図15】台車ユニットが最寄り駅に配置された様子を示す図である。
図16】走行ユニットが台車ユニットを会社に向けて牽引する様子を示す図である。
図17】走行ユニットが台車ユニットを最寄り駅に向けて牽引する様子を示す図である。
図18】台車ユニットが最寄り駅に配置された様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、実施例のモビリティシステム1の概要を示す。モビリティシステム1は、走行ユニット12と、台車ユニット14と、サーバ装置6とを備える。走行ユニット12は自律走行機能を有し、一方、台車ユニット14は自律走行機能を有しない。走行ユニット12および台車ユニット14のそれぞれは無線通信機能を有し、基地局である無線局4経由で、インターネットなどのネットワーク2を介してサーバ装置6に通信可能に接続する。走行ユニット12と台車ユニット14は、ネットワーク2を介して通信できるが、ネットワーク2を介さずに直接通信できてもよい。
【0010】
モビリティシステム1において、走行ユニット12と台車ユニット14は連結分離可能に構成され、走行ユニット12と台車ユニット14とが連結されることで、走行体10が構成される。なお、自動走行機能を有する走行ユニット12を、単体で走行体と呼んでもよい。
【0011】
走行ユニット12と台車ユニット14とが連結分離可能に構成されることで、走行ユニット12は、台車ユニット14を目的地まで牽引すると、台車ユニット14を切り離して、別のタスクを実行できる。たとえば別のタスクが、別の台車ユニット14を別の目的地まで牽引するタスクである場合、当該走行ユニット12は、当該別の台車ユニット14が配置されている位置まで移動して、当該別の台車ユニット14と連結し、当該別の目的地まで牽引して、当該別の台車ユニット14を切り離す。このように走行ユニット12と台車ユニット14とが連結分離可能に構成されることで、走行ユニット12は、異なる台車ユニット14に関するタスクを次々に実行することが可能となる。
【0012】
切り離された台車ユニット14は、その場所でサービスを提供できる。実施例において、台車ユニット14は、人が乗ることのできる小型移動体の利用サービスを提供する。
【0013】
サーバ装置6は、複数の走行ユニット12および複数の台車ユニット14の位置および状態を管理する。走行ユニット12の状態は、タスクを実行中であるか否かを示す状態を含み、台車ユニット14の状態は、小型移動体の利用サービスを提供中であるか否かを示す状態を含む。サーバ装置6は、複数の走行ユニット12および複数の台車ユニット14の位置および状態にもとづいて、各走行ユニット12の動作(タスク)を決定する。走行ユニット12は、サーバ装置6から送信される動作指示にもとづいて動作する。
【0014】
図2は、実施例の走行体10の斜視図を示す。走行体10は、走行ユニット12が台車ユニット14に連結することで構成される。台車ユニット14は、物を載せるための収容部8を有する。走行体10の全長は2m(メートル)から3m程度、全幅は0.5mから1.8m程度、全高は1.5mから2.5m程度であってよい。
【0015】
図3は、走行ユニット12と台車ユニット14とが分離した状態を示す。台車ユニット14は、収容部8を形成する本体部40を備える。収容部8は、前輪42および後輪44が設けられる基部40aと、基部40aに対向して設けられる天井部40bと、前壁部40cおよび後壁部40dによって画成され、車幅方向に貫通した空間として構成される。台車ユニット14が走行ユニット12から切り離された状態では、台車ユニット14の脚部46が地面に接地して、移動不能とされ、台車ユニット14の位置が固定される。
【0016】
収容部8の両側面には、空間を仕切るための開閉ドアが設けられてもよい。
図4は、本体部40に設けられたドア60の例を示す。ドア60は、ヒンジを天井部40bの両側部に設けた跳ね上げ式ドアであってよい。ドア60を閉じることで、収容部8と外部空間とを仕切ることができるため、たとえば移動中に収容部8に載せた小型移動体が、外に落ちることを防止できる。また台車ユニット14の停止時には、ドア60を開けることで日陰を作ることができる。ドア60は、その全部または一部を透明素材または半透明素材で形成されて、閉めた状態で、外側から内側の様子を確認できるようにしてもよい。
【0017】
図5は、走行体10の構成を説明するための図である。走行ユニット12は、車輪20、本体部22、オブジェクト検出センサ24、連結装置26、処理装置30、通信部32、駆動装置34および電源装置36を有する。台車ユニット14は、本体部40、前輪42、後輪44、脚部46、被連結部48、電源装置50、処理装置52、通信部54および移動体検出センサ56を有する。
【0018】
走行ユニット12において、車輪20は、左右に一対設けられ、本体部22に回転可能に支持される。一対の車輪20には、駆動装置34がそれぞれ設けられる。駆動装置34はモータを含み、処理装置30が生成する駆動指示に応じて、車輪20を回転させる。一対の車輪20が互いに独立に回転することで、一対の車輪20の回転数の差により、走行ユニット12が左右に曲がることができる。なお本体部22には、一対の車輪20に加えて、1つ以上の補助車輪(不図示)が設けられてよい。
【0019】
本体部22は、車体フレームと内部構造を覆うカバーとにより構成される。オブジェクト検出センサ24は本体部22に設けられ、進行方向の物体を検出する。オブジェクト検出センサ24は、カメラ、ミリ波レーダ、赤外線レーザ、音波センサなどであってよく、またはそれらの組合せであってよい。オブジェクト検出センサ24は、本体部22の前部のみならず、本体部22の様々な位置に設けられて、後方または横方向の物体を検出してよい。オブジェクト検出センサ24は、検出結果を処理装置30に供給する。
【0020】
連結装置26は、本体部22の後部に設けられ、台車ユニット14の被連結部48(図3参照)に連結される。処理装置30は、走行ユニット12と台車ユニット14とが接近した状態で、車輪20の駆動を制御して連結装置26と被連結部48とを接続し、ロック機構を作動させることで、連結装置26を被連結部48に連結させる。連結装置26は、被連結部48に連結すると、連結完了を示す信号を処理装置30に送出する。連結装置26と被連結部48とを連結するロック機構は、たとえば鉤状の引っ掛け部を備えて機械的に連結する構造を有してよいが、電磁的に連結する構造を有してもよい。処理装置30は、ロック機構を解除することで、連結装置26と被連結部48とを分離する。
【0021】
電源装置36は、充電可能な電池であり、走行ユニット12に搭載した各構成に電力を供給する。電源装置36は、台車ユニット14の電源装置50と電力の送受が可能であってよい。処理装置30は、電源装置36の残存電力量を監視する。
【0022】
処理装置30は、走行ユニット12の自律走行を制御する。処理装置30は、オブジェクト検出センサ24の検出結果および走行ユニット12の位置情報をもとに、駆動装置34を駆動して、走行ユニット12の自律走行を実現する。通信部32はネットワーク2に接続して、サーバ装置6および/または台車ユニット14と通信する。なお走行ユニット12と台車ユニット14との距離が近い場合、走行ユニット12の通信部32と台車ユニット14の通信部54は、ネットワーク2を介さずに直接通信してよい。
【0023】
台車ユニット14において、一対の前輪42および一対の後輪44が本体部40の基部40aに回転可能に支持される。台車ユニット14は、前輪42および後輪44を駆動する駆動装置を有しない。被連結部48は、本体部40の前部に設けられ、走行ユニット12の連結装置26に連結される。連結装置26と被連結部48とが連結すると、被連結部48は、連結完了を示す信号を処理装置52に送出してよい。
【0024】
一対の脚部46は、本体部40の前部に設けられ、地面に対して進退可能に構成される。脚部46は、地面に対して進行して接地すると、台車ユニット14の移動を制限するストッパとして機能する。そのため台車ユニット14が走行ユニット12から切り離された状態では、脚部46は地面に対して進行して接地し、ストッパとなる。一方、台車ユニット14が走行ユニット12に連結されると、脚部46は後退して、接地していない状態となる。たとえば処理装置52が、被連結部48から連結完了を示す信号を取得すると、脚部46を後退させて、地面から離してよい。
【0025】
電源装置50は、水素、ガソリン、電気などの少なくともいずれかを電力源とし、台車ユニット14に搭載した各構成に電力を供給する。図3には、本体部40前方の3つのスロットに挿入された3つの水素タンクが示されている。処理装置52は、電源装置50の残存電力量を監視する。
【0026】
実施例の台車ユニット14は、収容部8に、人が乗ることのできる小型移動体を積載される。移動体検出センサ56は、本体部40に設けられて、収容部8に載せられた小型移動体の積載状態を検出するための情報を取得する。たとえば移動体検出センサ56は、画像センサであって、収容部8に載せられた小型移動体を撮影した画像を取得してよい。また移動体検出センサ56は、重さセンサであって、収容部8に載せられた小型移動体の重さを計測してよい。このように移動体検出センサ56は、収容部8に存在する小型移動体の積載状態を検出するための情報を取得し、処理装置52に供給する。
【0027】
通信部54はネットワーク2に接続して、サーバ装置6および/または走行ユニット12と通信する。なお走行ユニット12と台車ユニット14との距離が近い場合、台車ユニット14の通信部54と走行ユニット12の通信部32は、ネットワーク2を介さずに直接通信してよい。
【0028】
図6は、モビリティシステム1の機能ブロックを示す図である。実施例のモビリティシステム1は、走行ユニット12、台車ユニット14およびサーバ装置6を備える。図6において走行ユニット12および台車ユニット14は、それぞれ1台ずつ示されているが、モビリティシステム1には、複数の走行ユニット12および複数の台車ユニット14が存在してよい。
【0029】
走行ユニット12において、位置情報取得部28は、衛星測位システムを用いて走行ユニット12の現在位置情報を取得し、取得した現在位置情報を処理装置30に供給する。位置情報取得部28は、GPS(Global Positioning System)受信機であってよい。処理装置30は、走行ユニット12の現在位置情報を、走行ユニット12の識別情報(走行ユニットID)とともに、通信部32からサーバ装置6に送信する。現在位置情報の送信は、周期的に行われることが好ましい。
【0030】
マップ保持部38は、道路位置を示すマップ情報を保持する。処理装置30は、サーバ装置6から送信される動作指示にもとづいて、走行ユニット12における各構成を制御する。動作指示には、少なくとも目的地(行き先)を示す情報が含まれており、処理装置30は、マップ保持部38に保持されたマップ情報と、位置情報取得部28から供給される現在位置情報とを用いて、動作指示に含まれる目的地に向かう走行ルートを導出する。処理装置30は、導出した走行ルートに沿って走行するように、駆動装置34の駆動を制御する。なお走行ルートは、サーバ装置6により導出されて、動作指示に含まれていてもよい。目的地までの走行中、処理装置30は、オブジェクト検出センサ24による検出データをもとに、走行ユニット12の周囲に存在するオブジェクトに関する情報を取得する。処理装置30は、周囲のオブジェクトとの衝突を回避するように進行方向および走行速度を決定し、駆動装置34を駆動する。
【0031】
台車ユニット14において、位置情報取得部58は、衛星測位システムを用いて台車ユニット14の現在位置情報を取得し、取得した現在位置情報を処理装置52に供給する。位置情報取得部58は、GPS受信機であってよい。処理装置52は、台車ユニット14の現在位置情報を、台車ユニット14の識別情報(台車ユニットID)とともに、通信部54からサーバ装置6に送信する。現在位置情報の送信は、周期的に行われることが好ましい。
【0032】
サーバ装置6は、通信部70および処理装置72を備え、処理装置72は、検出部74および制御部80を有する。制御部80は、判定部82、動作決定部84、動作指示生成部86およびユニット管理部88を含む。
【0033】
通信部70は、複数の走行ユニット12および複数の台車ユニット14から、現在位置情報を受信する。ユニット管理部88は、複数の走行ユニット12および複数の台車ユニット14から送信される現在位置情報をもとに、複数の走行ユニット12および複数の台車ユニット14の現在位置を管理する。
【0034】
図6において、さまざまな処理を行う機能ブロックとして記載される各要素は、ハードウェア的には、回路ブロック、メモリ、その他のLSIで構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。
【0035】
近年、パーソナルモビリティを代表とする小型移動体の利用サービスが普及しはじめている。
図7は、人が乗ることのできる小型移動体100の例を示す。図7に示す小型移動体100は、ユーザが立った状態で操縦する電動立ち乗り二輪車を示す。なお、電動立ち乗り二輪車以外に、ユーザが座った状態で操縦するタイプの移動体なども実用化されており、実施例の小型移動体100は、収容部8に載せることのできる、いかなるタイプの移動体であってもよい。
【0036】
小型移動体100の利用サービスには、ユーザが、小型移動体100を借りたステーション(駐車場)に小型移動体100を返却する「ラウンドトリップ方式」と、ユーザが小型移動体100を借りたステーションとは異なるステーションに小型移動体100を返却する「ワンウェイ(トリップ)方式」がある。ワンウェイ方式は「乗り捨て方式」とも呼ばれ、小型移動体100の利用サービスの利便性を向上させる。実施例のモビリティシステム1は、台車ユニット14を、ワンウェイ方式における小型移動体100の駐車場として利用する。ユーザは、利用する小型移動体100を台車ユニット14から降ろして利用し、利用を終えた小型移動体100を、別の台車ユニット14に返却する。
【0037】
以下、ユーザが出勤時に小型移動体100に乗って、会社の最寄り駅から会社まで移動する利用態様について説明する。
図8は、最寄り駅と会社とを結ぶ経路の例を示す。最寄り駅には、小型移動体100の貸し出しを行うための台車ユニット14a、14bが配置されており、会社には、ユーザが利用を終えた小型移動体100を回収するための台車ユニット14c、14dが配置されている。
【0038】
図9は、最寄り駅に配置された貸出用の台車ユニット14a、14bの例を示す。台車ユニット14a、14bの収容部8には、複数の小型移動体100が積載されている。本体部40に設けられた移動体検出センサ56は、収容部8における小型移動体100の積載状態を検出するための情報を取得する。図9に示す例で、移動体検出センサ56は、収容部8内を撮影した画像情報を取得する画像センサであるが、収容部8に積載された小型移動体100の重さ情報を取得する重さセンサであってもよい。
【0039】
図10は、会社に配置された回収用の台車ユニット14c、14dの例を示す。台車ユニット14c、14dの収容部8は、初期状態において、小型移動体100を積載していないことが好ましい。
【0040】
出勤時、ユーザは電車で会社の最寄り駅に到着すると、台車ユニット14aまたは台車ユニット14bから小型移動体100を降ろし、小型移動体100に乗って会社に移動する。
【0041】
図11は、ユーザが小型移動体100に乗って移動している様子を示す。ユーザは、会社に到着すると、小型移動体100を、台車ユニット14cまたは台車ユニット14dの収容部8に返却する。
【0042】
図12は、台車ユニット14cに小型移動体100が返却された状態を示す。この例では、2台の小型移動体100が、台車ユニット14cの収容部8に返却されている。このように実施例では、複数のユーザが、最寄り駅から会社までの間の経路を、小型移動体100に乗って移動し、モビリティシステム1は、ユーザが利用した小型移動体100を回収する移動体回収システムとして利用される。
【0043】
各台車ユニット14において、移動体検出センサ56は、収容部8における小型移動体100の積載状態を検出するためのセンサ情報を取得する。移動体検出センサ56が取得したセンサ情報は処理装置52に供給され、処理装置52は、移動体検出センサ56が取得したセンサ情報を、台車ユニットIDとともに、周期的に通信部54からサーバ装置6に送信する。なお処理装置52が、小型移動体100の積載台数が変化したことを検出する機能を有していれば、そのタイミングで、移動体検出センサ56が取得したセンサ情報を通信部54からサーバ装置6に送信してもよい。
【0044】
小型移動体100を回収する台車ユニット14c、14dにおいて、収容部8が小型移動体100を満載した状態になると、当該台車ユニット14c、14dは、さらに小型移動体100を載せるスペースがないため、回収場所である会社に存在する意味がない。そのため小型移動体100の積載台数が所定台数に達すると、台車ユニット14c、14dは、最寄り駅まで移動されて、今度は、小型移動体100を貸し出すための台車ユニット14c、14dとして利用されることが好ましい。
【0045】
また小型移動体100を貸し出す台車ユニット14a、14bにおいて、全ての小型移動体100が貸し出されると、台車ユニット14c、14bは、最寄り駅に存在する意味がない。そのため小型移動体100の積載台数がゼロになると、台車ユニット14a、14bは、会社まで移動されて、今度は、小型移動体100を回収するための台車ユニット14a、14bとして利用されることが好ましい。
【0046】
以下、移動体回収システムの動作について、回収用の台車ユニット14cに関する処理を中心に説明する。
図13は、サーバ装置6における処理のフローチャートを示す。サーバ装置6において、通信部70は、回収用の台車ユニット14cにおいて移動体検出センサ56が取得したセンサ情報を受信する(S10)。検出部74は、移動体検出センサ56が取得したセンサ情報から、小型移動体100の積載状態を検出する(S12)。具体的に検出部74は小型移動体100の積載量を検出し、検出する積載量は、小型移動体100の台数であってもよいし、小型移動体100の総重量であってもよい。
【0047】
移動体検出センサ56が取得したセンサ情報が、収容部8を撮影した画像情報である場合について説明する。検出部74は、画像認識機能を有し、画像情報から、小型移動体100の積載台数を検出する。たとえば図12に示す収容部8を撮影した画像情報から、検出部74は、小型移動体100の積載台数が2台であることを検出する。
【0048】
判定部82は、検出部74により検出された積載状態が所定の状態にあるか否かを判定する(S14)。具体的に判定部82は、検出部74により検出された積載台数が所定台数以上であるか否かを判定する。たとえば収容部8に、最大4台まで載せることができる場合、閾値となる所定台数は最大積載台数である4台であってよいが、4台より少ない台数(たとえば3台)であってもよい。図12に示す状態、つまり積載台数が2台であるとき、判定部82は、積載台数が所定台数未満であることを判定する(S14のN)。
【0049】
一方、判定部82が、積載台数が所定台数以上であることを判定すると(S14のY)、動作決定部84は、走行ユニット12の動作を決定する(S16)。ここで動作決定部84は、所定の積載状態となった台車ユニット14cを、目的地(ここでは、会社の最寄り駅)に移動する動作を決定する。
【0050】
ユニット管理部88は、台車ユニット14cの周辺に存在する走行ユニット12のうち、動作(タスク)を割り当てられていない走行ユニット12を特定する(S18)。ユニット管理部88は、特定した走行ユニット12の走行ユニットIDと、移動対象である台車ユニット14cの現在位置情報とを動作指示生成部86に通知する。動作指示生成部86は、台車ユニット14cの位置まで移動して、当該台車ユニット14cと連結し、会社の最寄り駅まで牽引する動作指示を生成する。動作指示生成部86は、移動対象である台車ユニット14cの現在位置情報を含む動作指示を、通知された走行ユニットIDの走行ユニット12に、通信部70から送信する(S20)。
【0051】
当該走行ユニットIDをもつ走行ユニット12において、通信部32が動作指示を受信する。処理装置30は、動作指示にもとづいて、マップ保持部38に保持されたマップ情報と、位置情報取得部28から供給される走行ユニット12の現在位置情報とを用いて、動作指示に含まれる目的地(台車ユニット14cの現在位置)に向かう走行ルートを導出する。目的地までの走行中、処理装置30は、オブジェクト検出センサ24による検出データにもとづいて、周囲のオブジェクトとの衝突を回避するように走行ルートに沿った進行方向および走行速度を決定して、駆動装置34の駆動を制御する。
【0052】
走行ユニット12が、移動対象である台車ユニット14cの位置まで移動すると、処理装置30は、走行ユニット12と台車ユニット14cとが接近した状態で、車輪20の駆動を制御して連結装置26と被連結部48とを接続し、ロック機構を作動させることで、連結装置26を被連結部48に連結させる。連結装置26は、被連結部48に連結すると、連結完了を示す信号を処理装置30に送出する。
【0053】
台車ユニット14cにおいて、被連結部48が連結装置26に連結されると、被連結部48は、連結完了を示す信号を処理装置52に送出する。処理装置52は、被連結部48から連結完了を示す信号を取得すると、脚部46を後退させて、地面から離す。
【0054】
その後、走行ユニット12の処理装置30は、マップ保持部38に保持されたマップ情報と、位置情報取得部28から供給される走行ユニット12の現在位置情報とを用いて、動作指示に含まれる目的地(最寄り駅)に向かう走行ルートを導出する。処理装置30は、走行ルートに沿って走行するように、駆動装置34の駆動を制御する。
図14は、走行ユニット12が台車ユニット14cを最寄り駅に向けて牽引する様子を示す。
【0055】
走行ユニット12が、最寄り駅まで移動すると、処理装置30は、台車ユニット14cに、目的地に到着したことを通知する。台車ユニット14cにおいて処理装置52は、この通知を受けて、脚部46を接地させる。
【0056】
その後、処理装置30は、連結装置26と被連結部48とを連結するロック機構を解除する。処理装置30は、サーバ装置6から送信された動作指示にしたがった動作(タスク)を完了すると、タスク完了をサーバ装置6に通知する。サーバ装置6において、ユニット管理部88は、この通知を受けて、当該走行ユニット12を、動作(タスク)を割り当てられていない走行ユニットとして管理する。
【0057】
図15は、台車ユニット14cが最寄り駅に配置された様子を示す。台車ユニット14cは、小型移動体100を積載しているため、電車で最寄り駅に到着したユーザは、台車ユニット14cに載せられた小型移動体100を利用できる。
【0058】
上記した例では、S16において、動作決定部84が、走行ユニット12が台車ユニット14cの位置まで移動して、当該台車ユニット14cと連結し、目的地である最寄り駅まで牽引する移動動作を決定した。別の例では、走行ユニット12が、全ての小型移動体100を貸し出した状態にある台車ユニット14aを、台車ユニット14cの位置まで牽引して、その位置で台車ユニットを交換する動作を追加してもよい。
【0059】
つまり別の例では、S18において、ユニット管理部88が、移動対象である台車ユニット14aの周辺に存在する走行ユニット12のうち、動作(タスク)を割り当てられていない走行ユニット12を特定する。ユニット管理部88は、特定した走行ユニット12の走行ユニットIDと、移動対象である台車ユニット14a、14cの現在位置情報とを動作指示生成部86に通知する。S20において、動作指示生成部86は、空の状態となった台車ユニット14aに連結して、小型移動体100を満載した台車ユニット14cの位置まで牽引して、台車ユニット14aを切り離し、その後、台車ユニット14cと連結して、台車ユニット14aが存在していた場所、つまり最寄り駅まで牽引する動作指示を生成する。動作指示生成部86は、台車ユニット14a、14cの現在位置情報を含む動作指示を、通知された走行ユニットIDの走行ユニット12に、通信部70から送信してよい。
【0060】
当該走行ユニットIDをもつ走行ユニット12において、通信部32が動作指示を受信する。処理装置30は、動作指示にもとづいて、マップ保持部38に保持されたマップ情報と、位置情報取得部28から供給される走行ユニット12の現在位置情報とを用いて、動作指示に含まれる目的地(小型移動体100を積載していない台車ユニット14aの現在位置)に向かう走行ルートを導出する。処理装置30は、走行ルートに沿って走行するように、駆動装置34の駆動を制御する。
【0061】
走行ユニット12が、台車ユニット14aの位置まで移動すると、処理装置30は、連結装置26を台車ユニット14aの被連結部48に連結させる。連結装置26は、被連結部48に連結すると、連結完了を示す信号を処理装置30に送出する。
【0062】
台車ユニット14aにおいて、被連結部48が連結装置26に連結されると、被連結部48は、連結完了を示す信号を処理装置52に送出する。処理装置52は、被連結部48から連結完了を示す信号を取得すると、脚部46を後退させて、地面から離す。
【0063】
その後、走行ユニット12の処理装置30は、マップ保持部38に保持されたマップ情報と、位置情報取得部28から供給される走行ユニット12の現在位置情報とを用いて、動作指示に含まれる目的地(小型移動体100を満載した台車ユニット14cの現在位置)に向かう走行ルートを導出する。処理装置30は、走行ルートに沿って走行するように、駆動装置34の駆動を制御する。
図16は、走行ユニット12が台車ユニット14aを会社に向けて牽引する様子を示す。
【0064】
走行ユニット12が、台車ユニット14cの位置まで移動すると、処理装置30は、台車ユニット14aに、目的地に到着したことを通知する。台車ユニット14aにおいて処理装置52は、この通知を受けて、脚部46を接地させる。
【0065】
その後、処理装置30は、連結装置26と、台車ユニット14aの被連結部48とを連結するロック機構を解除する。それから処理装置30は、走行ユニット12を、小型移動体100を満載した台車ユニット14cに接近させ、連結装置26を台車ユニット14cの被連結部48に連結させる。連結装置26は、被連結部48に連結すると、連結完了を示す信号を処理装置30に送出する。
【0066】
台車ユニット14cにおいて、被連結部48が連結装置26に連結されると、被連結部48は、連結完了を示す信号を処理装置52に送出する。処理装置52は、被連結部48から連結完了を示す信号を取得すると、脚部46を後退させて、地面から離す。
【0067】
その後、走行ユニット12の処理装置30は、マップ保持部38に保持されたマップ情報と、位置情報取得部28から供給される走行ユニット12の現在位置情報とを用いて、動作指示に含まれる目的地(最寄り駅)に向かう走行ルートを導出する。処理装置30は、走行ルートに沿って走行するように、駆動装置34の駆動を制御する。
図17は、走行ユニット12が台車ユニット14cを最寄り駅に向けて牽引する様子を示す。
【0068】
走行ユニット12が、最寄り駅まで移動すると、処理装置30は、台車ユニット14cに、目的地に到着したことを通知する。台車ユニット14cにおいて処理装置52は、この通知を受けて、脚部46を接地させる。
【0069】
その後、処理装置30は、連結装置26と被連結部48とを連結するロック機構を解除する。処理装置30は、サーバ装置6から送信された動作指示にしたがった動作(タスク)を完了すると、タスク完了をサーバ装置6に通知する。サーバ装置6において、ユニット管理部88は、この通知を受けて、当該走行ユニット12を、動作(タスク)を割り当てられていない走行ユニットとして管理する。
【0070】
図18は、台車ユニット14cが最寄り駅に配置された様子を示す。台車ユニット14cは、小型移動体100を積載しているため、電車で最寄り駅に到着したユーザは、台車ユニット14cに載せられた小型移動体100を利用できる。
【0071】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。実施例では、走行ユニット12と台車ユニット14とが連結分離可能に構成されていることを前提としたが、走行ユニット12と台車ユニット14とは分離不能に構成されていてもよい。また実施例では、サーバ装置6が、処理装置72を備えているが、変形例では、サーバ装置6における処理装置72の機能を、走行ユニット12が備えてもよい。
【0072】
台車ユニット14は、小型移動体100を充電する機能を有してよい。台車ユニット14が充電機能を有することで、小型移動体100が収容部8に載せられている時間を有効に利用できる。
【0073】
実施例では、台車ユニット14が、2つの場所のいずれかに配置される例を示したが、台車ユニット14は、サーバ装置6からの動作指示により、任意の場所に配置されてもよい。たとえばサーバ装置6は、小型移動体100を積載した台車ユニット14を、人の多い場所に配置することを決定してもよい。
【0074】
ユーザが、サーバ装置6に小型移動体100の利用要求を送信すると、サーバ装置6は、小型移動体100を積載した台車ユニット14を、当該ユーザの位置まで牽引する動作指示を生成して、走行ユニット12に送信してもよい。またユーザが、サーバ装置6に小型移動体100の回収要求を送信すると、サーバ装置6は、小型移動体100を積載可能な台車ユニット14を、当該ユーザが回収要求を送信した位置まで牽引する動作指示を生成して、走行ユニット12に送信してもよい。
【符号の説明】
【0075】
1・・・モビリティシステム、6・・・サーバ装置、8・・・収容部、10・・・走行体、12・・・走行ユニット、14・・・台車ユニット、26・・・連結装置、30・・・処理装置、34・・・駆動装置、46・・・脚部、48・・・被連結部、52・・・処理装置、56・・・移動体検出センサ、72・・・処理装置、74・・・検出部、80・・・制御部、82・・・判定部、84・・・動作決定部、86・・・動作指示生成部、88・・・ユニット管理部、100・・・小型移動体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18