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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186128
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】移動体システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20221208BHJP
   B62D 53/04 20060101ALI20221208BHJP
   G08G 1/123 20060101ALI20221208BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20221208BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20221208BHJP
   G16Y 40/30 20200101ALI20221208BHJP
【FI】
G08G1/00 X
B62D53/04 Z
G08G1/123 A
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094201
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】小林 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 佳洋
(72)【発明者】
【氏名】梅 子洵
(72)【発明者】
【氏名】福留 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】浅井 智子
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA27
5H181BB08
5H181CC02
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF14
5H181FF22
5H181FF27
5H181MA08
5H181MA20
(57)【要約】
【課題】新しい移動体システムを提供する。
【解決手段】ゲートユニット14aは、走行ユニット12に連結可能であり且つユーザが通過できる開口を有する。走行ユニット12は、ゲートユニット14aに連結して、指定された位置まで牽引した後、ゲートユニット14aを切り離す機能を有する。ゲートユニット14aは、走行ユニット12から切り離された状態で、当該ゲートユニット14aの移動を制限する脚部46と、開口を通過するユーザに対して所定のサービスを提供する提供部62を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律走行機能を有する走行ユニットと、前記走行ユニットに連結可能であり且つユーザが通過できる開口を有するゲートユニットとを備える移動体システムであって、
前記走行ユニットは、
前記ゲートユニットに連結して、指定された位置まで牽引した後、前記ゲートユニットを切り離す機能を有し、
前記ゲートユニットは、
前記走行ユニットから切り離された状態で、当該ゲートユニットの移動を制限する移動制限部と、
前記開口を通過するユーザに対して、所定のサービスを提供する提供部と、を有する、
ことを特徴とする移動体システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行ユニットとゲートユニットを備える移動体システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動運転車両を用いて、荷物などの物を搬送するシステムが考案されている。特許文献1は、自律走行を行う車両であって、前輪を有する先頭部と、後輪を有する末尾部と、先頭部と末尾部との間に連結されることで先頭部と末尾部とを一体化させる積載部とを備える車両を開示する。先頭部および末尾部が停止した状態において、積載部は、車両の進行方向と交差する方向に、車両から分離可能に且つ車両と連結可能に構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-131039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたシステムでは、サーバ装置が配車リクエストを外部から受けると、派遣する自律走行車両を決定して、配車リクエストに応じた運行指令を生成する。自律走行機能を有する移動体を備えたシステムは、様々なシーンで有用なサービスを提供できることが期待される。
【0005】
そこで本発明の目的は、新しい移動体システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様の移動体システムは、自律走行機能を有する走行ユニットと、走行ユニットに連結可能であり且つユーザが通過できる開口を有するゲートユニットとを備える移動体システムに関する。走行ユニットは、ゲートユニットに連結して、指定された位置まで牽引した後、ゲートユニットを切り離す機能を有する。ゲートユニットは、走行ユニットから切り離された状態で、当該ゲートユニットの移動を制限する移動制限部と、開口を通過するユーザに対して、所定のサービスを提供する提供部と、を有する。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを読み取り可能に記録した記録媒体、データ構造などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例の移動体システムの概要を示す図である。
図2】実施例の移動体の斜視図である。
図3】走行ユニットと台車ユニットとが分離した状態を示す図である。
図4】移動体の構成を説明するための図である。
図5】台車ユニットをゲートユニットとして利用する例を示す図である。
図6】移動体システムの機能ブロックを示す図である。
図7】サーバ装置における処理のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、実施例の移動体システム1の概要を示す。移動体システム1は、走行ユニット12と、台車ユニット14と、サーバ装置6とを備える。走行ユニット12は自律走行機能を有し、一方、台車ユニット14は自律走行機能を有しない。走行ユニット12および台車ユニット14のそれぞれは無線通信機能を有し、基地局である無線局4経由で、インターネットなどのネットワーク2を介してサーバ装置6に通信可能に接続する。走行ユニット12と台車ユニット14は、ネットワーク2を介して通信できるが、ネットワーク2を介さずに直接通信できてもよい。
【0010】
移動体システム1において、走行ユニット12と台車ユニット14は連結分離可能に構成され、走行ユニット12と台車ユニット14とが連結されることで、移動体10が構成される。なお、自動走行機能を有する走行ユニット12を、単体で移動体と呼んでもよい。
【0011】
走行ユニット12と台車ユニット14とが連結分離可能に構成されることで、走行ユニット12は、台車ユニット14を目的地まで牽引すると、台車ユニット14を切り離して、別のタスクを実行できる。たとえば別のタスクが、別の台車ユニット14を別の目的地まで牽引するタスクである場合、当該走行ユニット12は、当該別の台車ユニット14が配置されている位置まで移動して、当該別の台車ユニット14と連結し、当該別の目的地まで牽引して、当該別の台車ユニット14を切り離す。このように走行ユニット12と台車ユニット14とが連結分離可能に構成されることで、走行ユニット12は、異なる台車ユニット14に関するタスクを次々に実行することが可能となる。
【0012】
実施例において、台車ユニット14は、人が通過できる開口を形成する本体部を備える。走行ユニット12から切り離された台車ユニット14は、その場所で、開口を通過するユーザに対して、所定のサービスを提供するゲートユニットとして機能する。
【0013】
サーバ装置6は、複数の走行ユニット12および複数の台車ユニット14の位置および状態を管理する。走行ユニット12の状態は、タスクを実行中であるか否かを示す状態を含み、台車ユニット14の状態は、サービスを提供中であるか否かを示す状態を含む。サーバ装置6は、複数の走行ユニット12および複数の台車ユニット14の位置および状態にもとづいて、各走行ユニット12に割り当てるタスクを決定する。走行ユニット12は、サーバ装置6から送信されるタスク実行指示にもとづいて動作する。
【0014】
図2は、実施例の移動体10の斜視図を示す。移動体10は、走行ユニット12が台車ユニット14に連結することで構成される。台車ユニット14は、人が通過するための開口8を有する。移動体10の全長は2m(メートル)から3m程度、全幅は0.5mから1.8m程度、全高は1.5mから2.5m程度であってよい。
【0015】
図3は、走行ユニット12と台車ユニット14とが分離した状態を示す。台車ユニット14は、人が通過できる開口8を形成する本体部40を備える。開口8は、前輪42および後輪44が設けられる基部40aと、基部40aに対向して設けられる天井部40bと、前壁部40cおよび後壁部40dによって画成され、車幅方向に貫通した貫通口として形成される。台車ユニット14が走行ユニット12から切り離された状態では、台車ユニット14の脚部46が地面に接地して、移動不能とされ、台車ユニット14の位置が固定される。
【0016】
図4は、移動体10の構成を説明するための図である。走行ユニット12は、車輪20、本体部22、オブジェクト検出センサ24、連結装置26、処理装置30、通信部32、駆動装置34および電源装置36を有する。台車ユニット14は、本体部40、前輪42、後輪44、脚部46、被連結部48、電源装置50、処理装置52、通信部54および人検出センサ56を有する。
【0017】
走行ユニット12において、車輪20は、左右に一対設けられ、本体部22に回転可能に支持される。一対の車輪20には、駆動装置34がそれぞれ設けられる。駆動装置34はモータを含み、処理装置30が生成する駆動指示に応じて、車輪20を回転させる。一対の車輪20が互いに独立に回転することで、一対の車輪20の回転数の差により、走行ユニット12が左右に曲がることができる。なお本体部22には、一対の車輪20に加えて、1つ以上の補助車輪(不図示)が設けられてよい。
【0018】
本体部22は、車体フレームと内部構造を覆うカバーとにより構成される。オブジェクト検出センサ24は本体部22に設けられ、進行方向の物体を検出する。オブジェクト検出センサ24は、カメラ、ミリ波レーダ、赤外線レーザ、音波センサなどであってよく、またはそれらの組合せであってよい。オブジェクト検出センサ24は、本体部22の前部のみならず、本体部22の様々な位置に設けられて、後方または横方向の物体を検出してよい。オブジェクト検出センサ24は、検出結果を処理装置30に供給する。
【0019】
連結装置26は、本体部22の後部に設けられ、台車ユニット14の被連結部48(図3参照)に連結される。処理装置30は、走行ユニット12と台車ユニット14とが接近した状態で、車輪20の駆動を制御して連結装置26と被連結部48とを接続し、ロック機構を作動させることで、連結装置26を被連結部48に連結させる。連結装置26は、被連結部48に連結すると、連結完了を示す信号を処理装置30に送出する。連結装置26と被連結部48とを連結するロック機構は、たとえば鉤状の引っ掛け部を備えて機械的に連結する構造を有してよいが、電磁的に連結する構造を有してもよい。処理装置30は、ロック機構を解除することで、連結装置26と被連結部48とを分離する。
【0020】
電源装置36は、充電可能な電池であり、走行ユニット12に搭載した各構成に電力を供給する。電源装置36は、台車ユニット14の電源装置50と電力の送受が可能であってよい。処理装置30は、電源装置36の残存電力量を監視する。
【0021】
処理装置30は、走行ユニット12の自律走行を制御する。処理装置30は、オブジェクト検出センサ24の検出結果および走行ユニット12の位置情報をもとに、駆動装置34を駆動して、走行ユニット12の自律走行を実現する。通信部32はネットワーク2に接続して、サーバ装置6および/または台車ユニット14と通信する。なお走行ユニット12と台車ユニット14との距離が近い場合、走行ユニット12の通信部32と台車ユニット14の通信部54は、ネットワーク2を介さずに直接通信してよい。
【0022】
台車ユニット14において、一対の前輪42および一対の後輪44が本体部40の基部40aに回転可能に支持される。台車ユニット14は、前輪42および後輪44を駆動する駆動装置を有しない。被連結部48は、本体部40の前部に設けられ、走行ユニット12の連結装置26に連結される。連結装置26と被連結部48とが連結すると、被連結部48は、連結完了を示す信号を処理装置52に送出してよい。
【0023】
一対の脚部46は、本体部40の前部に設けられ、地面に対して進退可能に構成される。脚部46は、地面に対して進行して接地すると、台車ユニット14の移動を制限する移動制限部として機能する。そのため台車ユニット14が走行ユニット12から切り離された状態では、脚部46は地面に対して進行して接地し、ストッパとなる。一方、台車ユニット14が走行ユニット12に連結されると、脚部46は後退して、接地していない状態となる。たとえば処理装置52が、被連結部48から連結完了を示す信号を取得すると、脚部46を後退させて、地面から離してよい。
【0024】
なお脚部46は、台車ユニット14の移動を制限する移動制限部の一つの態様であり、移動制限部は、別の構造を有してもよい。たとえば移動制限部は、前輪42および後輪44の回転をロックするロック機構であってもよい。
【0025】
電源装置50は、水素、ガソリン、電気などの少なくともいずれかを電力源とし、台車ユニット14に搭載した各構成に電力を供給する。図3には、本体部40前方の3つのスロットに挿入された3つの水素タンクが示されている。処理装置52は、電源装置50の残存電力量を監視する。
【0026】
通信部54はネットワーク2に接続して、サーバ装置6および/または走行ユニット12と通信する。なお走行ユニット12と台車ユニット14との距離が近い場合、台車ユニット14の通信部54と走行ユニット12の通信部32は、ネットワーク2を介さずに直接通信してよい。
【0027】
台車ユニット14は、ユーザが通過できる開口8を有する。実施例の移動体システム1において、台車ユニット14は、ユーザが開口8を通過する際に、ユーザに対して所定のサービスを提供するゲートユニットとして利用される。
【0028】
図5は、台車ユニットをゲートユニットとして利用する例を示す。ゲートユニット14aは、たとえばイベント会場の入口に配置され、入場者は、ゲートユニット14aの開口8を通過して、イベント会場に入場する。人検出センサ56は、開口8に人が存在しているか否かを検出する。たとえば人検出センサ56は、画像センサであって、開口8を撮影した画像を取得してよい。また人検出センサ56は、赤外線、超音波、可視光などを用いた人感センサであってもよい。人検出センサ56は、取得したセンサ情報を、処理装置52に供給する。
【0029】
図6は、移動体システム1の機能ブロックを示す図である。実施例の移動体システム1は、走行ユニット12、ゲートユニット14aおよびサーバ装置6を備える。ゲートユニット14aは、台車ユニット14の一つの利用態様であり、図1図4に関して説明した台車ユニット14の機能および構造を備える。図6において走行ユニット12およびゲートユニット14aは、それぞれ1台ずつ示されているが、移動体システム1には、複数の走行ユニット12および複数のゲートユニット14aが存在してよい。
【0030】
走行ユニット12において、位置情報取得部28は、衛星測位システムを用いて走行ユニット12の現在位置を示す現在位置情報を取得し、取得した現在位置情報を処理装置30に供給する。位置情報取得部28は、GPS(Global Positioning System)受信機であってよい。処理装置30は、走行ユニット12の現在位置情報を、走行ユニット12の識別情報(走行ユニットID)とともに、通信部32からサーバ装置6に送信する。現在位置情報の送信は、周期的に行われることが好ましい。
【0031】
マップ保持部38は、道路位置を示すマップ情報を保持する。処理装置30は、サーバ装置6から送信されるタスク実行指示にもとづいて、駆動装置34を制御して、走行ユニット12を走行させる。タスク実行指示には、少なくとも目的地(行き先)を示す情報が含まれており、処理装置30は、マップ保持部38に保持されたマップ情報と、位置情報取得部28から供給される現在位置情報とを用いて、タスク実行指示に含まれる目的地に向かう走行ルートを導出する。処理装置30は、導出した走行ルートに沿って走行するように、駆動装置34を制御する。なお走行ルートは、サーバ装置6により導出されて、タスク実行指示に含まれていてもよい。目的地までの走行中、処理装置30は、オブジェクト検出センサ24による検出データをもとに、走行ユニット12の周囲に存在するオブジェクトに関する情報を取得する。処理装置30は、周囲のオブジェクトとの衝突を回避するように進行方向および走行速度を決定し、駆動装置34を駆動する。
【0032】
ゲートユニット14aにおいて、位置情報取得部58は、衛星測位システムを用いてゲートユニット14aの現在位置を示す現在位置情報を取得し、取得した現在位置情報を処理装置52に供給する。位置情報取得部58は、GPS受信機であってよい。処理装置52は、ゲートユニット14aの現在位置情報を、ゲートユニット14aの識別情報(台車ユニットID)とともに、通信部54からサーバ装置6に送信する。現在位置情報の送信は、周期的に行われることが好ましい。
【0033】
サーバ装置6は、通信部70および処理装置72を備え、処理装置72は、ゲート位置受付部80、タスク決定部82、タスク実行指示生成部84およびユニット管理部86を有する。
【0034】
通信部70は、複数の走行ユニット12および複数のゲートユニット14aから、現在位置情報を受信する。ユニット管理部86は、複数の走行ユニット12および複数のゲートユニット14aから送信される現在位置情報をもとに、複数の走行ユニット12および複数のゲートユニット14aの現在位置を管理する。
【0035】
図6において、さまざまな処理を行う機能ブロックとして記載される各要素は、ハードウェア的には、回路ブロック、メモリ、その他のLSIで構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。
【0036】
実施例においてゲートユニット14aはイベント会場の入口に配置され、来場者は、ゲートユニット14aの開口8を通過して、イベント会場に入場する。複数のゲートユニット14aを一列に並べて配置することで、複数の入場ゲートを備えた会場入口を形成できる。実施例のゲートユニット14aは、任意の位置に配置可能であるため、イベント会場の柔軟な設計に寄与できる。
【0037】
図7は、サーバ装置6における処理のフローチャートを示す。イベント会場の設営業者は、イベント会場におけるゲートの設置位置と、設けるゲートの個数を指定し、ゲート位置受付部80は、ゲートの設置位置を示す設置位置情報と、ゲートの個数を示す個数情報を受け付ける(S10)。タスク決定部82は、走行ユニット12がゲートユニット14aを、設営業者により指定された位置に牽引するタスクを決定する(S12)。このときゲートユニット14aは、イベント会場と無関係な任意の場所に配置されていてよい。
【0038】
ユニット管理部86は、ゲートユニット14aの周辺に存在する走行ユニット12のうち、タスクを割り当てられていない走行ユニット12を特定する(S14)。なお、複数のゲートの設置を指定されている場合には、ユニット管理部86は、タスクを割り当てられていない複数の走行ユニット12を特定する。ユニット管理部86は、特定した走行ユニット12の走行ユニットIDと、ゲートユニット14aの現在位置情報とをタスク実行指示生成部84に通知する。タスク実行指示生成部84は、ゲートユニット14aの位置まで移動して、当該ゲートユニット14aと連結し、ゲートの設置位置まで牽引するタスク実行指示を生成する(S16)。タスク実行指示生成部84は、移動対象であるゲートユニット14aの現在位置情報およびゲートの設置位置情報を含むタスク実行指示を、通知された走行ユニットIDの走行ユニット12に、通信部70から送信する(S18)。
【0039】
当該走行ユニットIDをもつ走行ユニット12において、通信部32がタスク実行指示を受信する。処理装置30は、タスク実行指示にもとづいて、走行ユニット12をゲートユニット14aの位置まで移動させて、ゲートユニット14aに連結させた後、ゲートの設置位置まで走行させる。以下、具体的な動作を説明する。
【0040】
処理装置30は、タスク実行指示にもとづいて、マップ保持部38に保持されたマップ情報と、位置情報取得部28から供給される走行ユニット12の現在位置情報とを用いて、タスク実行指示に含まれる目的地(ゲートユニット14aの現在位置)に向かう走行ルートを導出する。当該目的地までの走行中、処理装置30は、オブジェクト検出センサ24による検出データにもとづいて、周囲のオブジェクトとの衝突を回避するように走行ルートに沿った進行方向および走行速度を決定して、駆動装置34の駆動を制御する。
【0041】
走行ユニット12がゲートユニット14aの位置まで移動すると、処理装置30は、走行ユニット12とゲートユニット14aとが接近した状態で、車輪20の駆動を制御して連結装置26と被連結部48とを接続し、ロック機構を作動させることで、連結装置26を被連結部48に連結させる。連結装置26は、被連結部48に連結すると、連結完了を示す信号を処理装置30に送出する。
【0042】
ゲートユニット14aにおいて、被連結部48が連結装置26に連結されると、被連結部48は、連結完了を示す信号を処理装置52に送出する。処理装置52は、被連結部48から連結完了を示す信号を取得すると、脚部46を後退させて、地面から離す。
【0043】
走行ユニット12の処理装置30は、マップ保持部38に保持されたマップ情報と、位置情報取得部28から供給される走行ユニット12の現在位置情報とを用いて、タスク実行指示に含まれるゲート設置位置に向かう走行ルートを導出する。処理装置30は、走行ルートに沿って走行するように、駆動装置34の駆動を制御する。走行ユニット12が、設営業者により指定されたゲート設置位置までゲートユニット14aを牽引すると、処理装置30は、ゲートユニット14aに、ゲート設置位置に到着したことを通知する。ゲートユニット14aにおいて処理装置52は、この通知を受けて、脚部46を接地させる。
【0044】
その後、処理装置30は、連結装置26と被連結部48とを連結するロック機構を解除して、ゲートユニット14aを切り離す。処理装置30は、サーバ装置6から送信されたタスク実行指示にしたがったタスクを完了すると、タスク完了をサーバ装置6に通知する。サーバ装置6において、ユニット管理部86は、この通知を受けて、当該走行ユニット12を、タスクを割り当てられていない走行ユニットとして管理する。
【0045】
以上のようにして、ゲートユニット14aは、イベント会場の設営業者が指定した位置に配置される。走行ユニット12から切り離された状態で、接地された脚部46は、ゲートユニット14aの移動を制限する。イベント会場においてゲートユニット14aは入場ゲートとして機能し、ユーザは、開口8を通過して、イベント会場に入場する。
【0046】
人検出センサ56は、開口8を通過するユーザの存在を検出する。たとえば人検出センサ56は、画像センサであって、開口8を撮影した画像を取得してよい。また人検出センサ56は、赤外線、超音波、可視光などを用いた人感センサであってもよい。人検出センサ56は、取得したセンサ情報を、処理装置52に供給する。
【0047】
処理装置52は、センサ情報を受け取り、開口8にユーザが存在していることを検出すると、提供部62を起動する。提供部62は、開口8を通過するユーザに対して、所定のサービスを提供する。提供部62は、走行ユニット12が台車ユニット14から切り離されていることを条件として、所定のサービスを提供してよい。
【0048】
提供部62は、開口8を通過するユーザの体温を非接触測定するサービスを提供してよい。測定した体温が設定温度より高い場合、提供部62は、音声アラームを出力して、ユーザの入場を制限してよい。また提供部62は、開口8を通過するユーザに対して、除菌剤を噴霧するサービスを提供してよい。
【0049】
入場するためにユーザの顔認証が必要なイベント会場において、提供部62は、顔認証機能を有して、電子チケット購入者と来場者が同一であるか判定する本人確認サービスを提供してもよい。この本人確認サービスにより電子チケット購入者と来場者が同一であると判定されると、ユーザは、チケットレスでイベント会場に入場できるようになる。提供部62は、金属探知機能を有して、危険物等の持ち込みを禁止する監視サービスを提供してもよい。
【0050】
このように実施例の移動体システム1において、ゲートユニット14aは、イベント会場の入場ゲートとして利用される。なおゲートユニット14aはイベント会場に限らず、ショッピングモールや建物の入口等に配置されて、一時的な入場ゲートとして利用されてもよい。
【0051】
以上、本発明をいくつかの実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。実施例では、サーバ装置6が、処理装置72を備えているが、変形例では、サーバ装置6における処理装置72の機能を、走行ユニット12が備えてもよい。
【0052】
変形例において提供部62は、熱中症対策として、ミストを噴霧するミストシャワーサービスを提供してもよい。また提供部62は、空気清浄機能を有して、空気清浄サービスを提供してもよい。また提供部62はスピーカ機能を有して、ゲートユニット14aが、イベント会場におけるスピーカとして利用されてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1・・・移動体システム、6・・・サーバ装置、8・・・開口、10・・・移動体、12・・・走行ユニット、14・・・台車ユニット、14a・・・ゲートユニット、30・・・処理装置、34・・・駆動装置、52・・・処理装置、56・・・人検出センサ、62・・・提供部、72・・・処理装置、80・・・ゲート位置受付部、82・・・タスク決定部、84・・・タスク実行指示生成部、86・・・ユニット管理部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7