(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186141
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】充電制御装置、充電制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/35 20060101AFI20221208BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20221208BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20221208BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20221208BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
H02J7/35 G
H02J13/00 301A
H02J13/00 301J
H02J3/00 170
H02J3/32
H02J3/38 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094219
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和浩
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G064AC08
5G064BA02
5G064CB08
5G064DA11
5G066AA03
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA07
5G066JB03
5G503AA01
5G503AA06
5G503BB01
5G503EA01
5G503FA06
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で再生可能エネルギーを用いて発電された電力を効率良く有効活用することが可能な充電制御装置、充電制御方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】充電制御装置は、気象予報情報を取得する気象予報情報取得部と、前記気象予報情報に基づき、再生可能エネルギーを用いて発電された電力において余剰電力が発生する可能性の高い日を判定する充電推奨日判定部と、前記判定した日を、充電を推奨する充電推奨日としてユーザに通知する通知部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気象予報情報を取得する気象予報情報取得部と、
前記気象予報情報に基づき、再生可能エネルギーを用いて発電された電力において余剰電力が発生する可能性の高い日を判定する充電推奨日判定部と、
前記判定した日を、充電を推奨する充電推奨日としてユーザに通知する通知部と、
を備える充電制御装置。
【請求項2】
前記充電推奨日判定部は、平日よりも休日に余剰電力が発生する可能性が高いと判定する、
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項3】
消費電力量を取得する消費電力量取得部、
をさらに備え、
前記充電推奨日判定部は、前記消費電力量から各日付における充電できる量を予測し、予測した充電できる量に基づき充電推奨日を判定する、
請求項1又は請求項2に記載の充電制御装置。
【請求項4】
前記充電推奨日判定部は、充電量及び余剰電力の予測発生量に応じて付与されるインセンティブが高い日を充電推奨日とする、
請求項3に記載の充電制御装置。
【請求項5】
前記充電推奨日に蓄電池の充電を行うよう制御する充電制御部、
をさらに備える、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の充電制御装置。
【請求項6】
前記再生可能エネルギーは、太陽光であって、
前記充電制御部は、前記太陽光から得られるエネルギー量が大きい時間帯に充電する、
請求項5に記載の充電制御装置。
【請求項7】
気象予報情報取得部が、気象予報情報を取得する気象予報情報取得過程と、
充電推奨日判定部が、前記気象予報情報に基づき、再生可能エネルギーを用いて発電された電力において余剰電力が発生する可能性の高い日を判定する充電推奨日判定過程と、
通知部が、前記判定した日を、充電を推奨する充電推奨日としてユーザに通知する通知過程と、
を含む充電制御方法。
【請求項8】
コンピュータを、
気象予報情報を取得する気象予報情報取得手段と、
前記気象予報情報に基づき、再生可能エネルギーを用いて発電された電力において余剰電力が発生する可能性の高い日を判定する充電推奨日判定手段と、
前記判定した日を、充電を推奨する充電推奨日としてユーザに通知する通知手段と、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電制御装置、充電制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力負荷を平準化するように、複数台の電気自動車への充電タイミングを最適化して制御する充電管理システムなどが既に知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
太陽光発電等の再生可能エネルギーの大量導入に伴い、再生可能エネルギーの供給比率が高くなるにつれ、電力需要が低い休日において再生可能エネルギーが供給過多となってしまう場合がある。電力の需給バランスを保つために、再生可能エネルギーの出力制御(抑制)を実施する回数が増えている。例えば、電力会社が「でんき予報」のような供給力(発電量)と精度の良い需要予測に基づき、発電事業者を対象に一部オンラインによる再生可能エネルギーの出力抑制を実施している。近年、出力抑制によって生じる余剰電力を有効利用せずに無駄にしていることが課題として認識されている。
当該課題に対応するために、電力供給側又はアグリゲータから多数の需要家側へ、余剰電力となり得る電力を積極的に消費するようバッテリへの充電要請を送り、需給調整するVPP(Virtual Power Plant:バーチャルパワープラント)の実証なども進められており、より多くの一般需要家を巻き込み、電力需要を上手くコントロールすることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、VPPでは、複数の電力供給側と複数の需要家側との間の電力需給を制御するため、システムの規模が大きく処理が煩雑になる。また、需要家側は、電力供給側やアグリゲータと事前に契約しておかなければならない。
【0006】
上述の課題を鑑み、本発明の目的は、簡易な構成で再生可能エネルギーを用いて発電された電力を効率良く有効活用することが可能な充電制御装置、充電制御方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、本発明の一態様に係る充電制御装置は、気象予報情報を取得する気象予報情報取得部と、前記気象予報情報に基づき、再生可能エネルギーを用いて発電された電力において余剰電力が発生する可能性の高い日を判定する充電推奨日判定部と、前記判定した日を、充電を推奨する充電推奨日としてユーザに通知する通知部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係る充電制御方法は、気象予報情報取得部が、気象予報情報を取得する気象予報情報取得過程と、充電推奨日判定部が、前記気象予報情報に基づき、再生可能エネルギーを用いて発電された電力において余剰電力が発生する可能性の高い日を判定する充電推奨日判定過程と、通知部が、前記判定した日を、充電を推奨する充電推奨日としてユーザに通知する通知過程と、を含む。
【0009】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータを、気象予報情報を取得する気象予報情報取得手段と、前記気象予報情報に基づき、再生可能エネルギーを用いて発電された電力において余剰電力が発生する可能性の高い日を判定する充電推奨日判定手段と、前記判定した日を、充電を推奨する充電推奨日としてユーザに通知する通知手段と、として機能させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡易な構成で再生可能エネルギーを用いて発電された電力を効率良く有効活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る充電管理システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る充電制御装置が実行する充電制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係るユーザ端末に表示される充電ガイダンス画面の一例を示すイメージ図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態に係る充電制御装置が実行する充電制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係るユーザ端末に表示される充電ガイダンス画面の一例を示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0013】
<1.第1の実施形態>
まず、
図1から
図3を参照して、第1の実施形態について説明する。
【0014】
<1-1.充電管理システムの構成>
図1を参照して、第1の実施形態に係る充電管理システム1の概略構成について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る充電管理システム1の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0015】
充電管理システム1は、需要家が使用する蓄電池の充電を制御するシステムである。
図1に示すように、充電管理システム1は、充電制御装置10と、ユーザ端末20と、電力メータ30と、分電盤40と、充電装置50と、EV車両60(Electric Vehicle:電気自動車)とを備えている。
【0016】
充電制御装置10は、需要家が使用する蓄電池の充電を制御する装置である。充電制御装置10は、電力メータ30及び分電盤40と接続している。また、充電制御装置10は、無線通信によってユーザ端末20と接続されている。
ユーザ端末20は、充電管理システム1のユーザである需要家が使用する端末である。第1の実施形態に係るユーザ端末20は、例えば、スマートフォンである。なお、ユーザ端末20はスマートフォンに限定されず、タブレット端末又はPC(Personal Computer)等であってもよい。
電力メータ30は、需要家が使用した電力の使用量を計測する装置である。
分電盤40は、需要家へ供給される電力を分電する装置である。
図1に示すように、充電管理システム1には、複数の分電盤40が備えられてよい。複数の分電盤40は、各々が電力を供給する充電装置50とそれぞれ接続されている。また、全ての分電盤40は、充電制御装置10とも接続されている。
充電装置50は、EV車両を充電する装置である。
図1に示すように、充電管理システム1には、複数の充電装置50が備えられてよい。複数の充電装置50は、各々が電力を供給するEV車両60とそれぞれ接続されている。
EV車両60(蓄電池)は、充電管理システム1における充電対象物である。
図1に示すように、充電管理システム1には、複数のEV車両60が備えられてよい。複数のEV車両60は、充電ケーブルを介して、各々が電力を供給される充電装置50とそれぞれ接続されている。
【0017】
ここで、第1の実施形態に係る充電制御装置10の機能構成について説明する。
図1に示すように、充電制御装置10は、カレンダー情報取得部101と、気象予報情報取得部102と、消費電力量取得部103と、充電推奨日判定部104と、通知部105と、充電制御部106と、計時部107と、操作入力部108とを備えている。
【0018】
カレンダー情報取得部101は、カレンダー情報を取得する機能を有する。例えば、カレンダー情報取得部101は、インターネット等を介してカレンダー情報を提供するサービス等から、カレンダー情報を取得する。カレンダー情報には、日付、各日付の曜日、及び、各日付が休日であるか平日であるかを示すデータ等が含まれる。
【0019】
気象予報情報取得部102は、気象予報情報を取得する機能を有する。例えば、気象予報情報取得部102は、インターネット等を介して気象予報を提供するサービス等から、気象予報情報を取得する。気象予報情報には、例えば1週間分の気象予報が含まれる。なお、気象予報情報取得部102が取得する気象予報情報の対象となる日数は1週間に限定されず、任意の日数の気象予報情報を取得してもよい。
【0020】
消費電力量取得部103は、消費電力量を取得する機能を有する。例えば、消費電力量取得部103は、EV車両60から1日の平均走行距離を取得し、取得した平均走行距離から1日の平均消費電力量を算出する。
【0021】
充電推奨日判定部104は、充電推奨日を判定する機能を有する。例えば、充電推奨日判定部104は、カレンダー情報取得部101によって取得されたカレンダー情報と気象予報情報取得部102によって取得された気象予報情報とに基づき、充電推奨日を判定する。具体的に、充電推奨日判定部104は、カレンダー情報と気象予報情報から、再生可能エネルギー(例えば、第1の実施形態では太陽光)を用いて発電された電力において余剰電力が発生する可能性の高い日を判定する。そして、充電推奨日判定部104は、判定した日を、充電を推奨する充電推奨日とする。一例として、充電推奨日判定部104は、気象予報が「晴れ」の日に、余剰電力が発生する可能性が高いと判定する。また、充電推奨日判定部104は、平日よりも休日に電力余剰が発生する可能性が高いと判定する。
【0022】
通知部105は、充電推奨日をユーザに通知する機能を有する。例えば、通知部105は、充電推奨日判定部104によって判定された充電推奨日を示すデータをユーザ端末20に送信する。通知部105は、電子メールやSNS(Social Networking Service)を用いて充電推奨日を通知してもよいし、充電推奨日を示す充電ガイダンス画面をユーザ端末20に表示させることで充電推奨日を通知してもよい。
【0023】
充電制御部106は、EV車両60の充電を制御する機能を有する。例えば、充電制御部106は、後述する計時部107が計時する日付が充電推奨日になった場合に、充電装置50にEV車両60を充電させる。このとき、充電制御部106は、太陽光から得られるエネルギー量が大きい時間帯(例えば、8時から16時)に、充電装置50がEV車両を充電するよう制御する。例えば、充電制御部106は、分電盤40内の電磁リレーを制御(分岐回路のON/OFF)することにより、充電装置50にEV車両60を充電させる。
【0024】
計時部107は、日時を計時する機能を有する。
【0025】
操作入力部108は、操作入力を受け付ける機能を有する。
【0026】
<1-2.処理の流れ>
図2を参照して、第1の実施形態に係る充電制御装置10が実行する充電制御処理の流れについて説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る充電制御装置10が実行する充電制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。充電制御装置10は、ユーザから要求があった際や、予め設定された時刻(例えば、毎日決まった時刻)等に、
図2に示す処理を実行する。
【0027】
図2に示すように、まず、カレンダー情報取得部101は、カレンダー情報を取得する(ステップS101)。
次いで、気象予報情報取得部102は、気象予報情報を取得する(ステップS102)。
次いで、充電推奨日判定部104は、カレンダー情報取得部101によって取得されたカレンダー情報及び気象予報情報取得部102によって取得された気象予報情報に基づいて、充電推奨日を判定する(ステップS103)。
通知部105は、充電ガイダンス画面をユーザ端末20に表示させる等して、判定した充電推奨日をユーザに通知する(ステップS104)。
次いで、充電制御部106は、充電推奨日において太陽光から得られるエネルギー量が大きい時間帯(例えば、8時から16時)にEV車両60を自動的に充電するよう充電予約を設定する(ステップS105)。充電予約後、充電制御装置10は、充電制御処理を終了する。
なお、充電制御部106は、充電予約が設定された日時になると、自動的にEV車両60の充電(以下、「自動充電」とする。)を開始する。
【0028】
なお、
図2に示す処理では、充電制御部106によって自動充電の充電予約が設定される例について説明しているが、かかる例に限定されない。例えば、充電制御部106が充電予約を設定しないことで自動充電を実行せず、充電推奨日を通知されたユーザが手動でEV車両60の充電を行うようにしてもよい。また、充電制御部106が充電予約を設定した場合であっても、ユーザの都合により即時に満充電が必要な場合等には、強制充電モードにて強制的にEV車両60の充電を開始できるようにしてもよい。
【0029】
<1-3.画面表示>
図3を参照して、第1の実施形態に係る画面表示について説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態に係るユーザ端末20に表示される充電ガイダンス画面の一例を示すイメージ図である。
図3に示すように、充電ガイダンス画面には、現在の日付から所定期間(例えば、1週間)分の各日付における、気象予報と、需給状態と、充電推奨度合いとが表示されている。充電推奨度合いは、例えば、〇や△等の記号によって示される。具体的に、充電推奨度合いが「〇」であることは、充電を強く推奨していることを示している。充電推奨度合いが「△」であることは、充電を中程度推奨していることを示している。充電推奨度合いに何も表示されていない場合は、充電が推奨されていないことを示している。第1の実施形態では、充電推奨度合いが「〇」である日付が充電推奨日である。
【0030】
充電推奨日判定部104は、気象予報情報とカレンダー情報とに基づいて、電力の需給状態が「安定」、「不安定」、又は「供給過多」のいずれであるかを判定し、「供給過多」である日を充電推奨日とする。例えば、充電推奨日判定部104は、各日付における気象予報情報の点数とカレンダー情報の点数とを加算して、電力の需給状態を判定する。
図3に示す例では、気象予報情報の点数は、気象予報情報が「晴れ」である場合は2点、「曇り」である場合は1点、その他の天候である場合は0点である。また、カレンダー情報の点数は、カレンダー情報が「休日」である場合は1点、「平日」である場合は0点である。需給状態は、気象予報情報の点数とカレンダー情報の点数を加算した点数が1点以下である場合が「安定」、2点である場合が「不安定」、3点である場合が「供給過多」である。そして、充電推奨日判定部104は、電力の需給状態が「供給過多」である日を充電推奨日とする。
【0031】
図3に示す例では、4月1日の気象予報は「雨」であり、需給状態は「安定」であり、充電は推奨されていない。
4月2日の気象予報は「晴れ」であり、需給状態は「不安定」であり、充電推奨度合いは「△」である。
4月3日の気象予報は「曇り」であり、需給状態は「安定」であり、充電は推奨されていない。
4月4日の気象予報は「曇り」であり、需給状態は「安定」であり、充電は推奨されていない。
4月5日の気象予報は「晴れ」であり、需給状態は「供給過多」であり、充電推奨度合いは「〇」である。
4月6日の気象予報は「晴れ」であり、需給状態は「供給過多」であり、充電推奨度合いは「〇」である。なお、4月5日及び4月6日は休日である。
4月7日の気象予報は「曇り」であり、需給状態は「安定」であり、充電は推奨されていない。
よって、本例では、4月5日及び4月6日が供給過多となり充電推奨日である。
【0032】
このように、充電推奨日をユーザに通知することにより、ユーザは、手動操作によりEV車両60を充電推奨日に充電することができる。また、ユーザは、充電推奨日に自動充電するよう、操作入力部108から充電予約を充電制御装置10に設定入力してもよい。ユーザが充電予約を設定入力することにより、充電制御装置10は、充電予約された充電推奨日において太陽光から得られるエネルギー量が大きい時間帯に自動的に充電を開始する。
【0033】
このように、第1の実施形態における充電制御装置10は、気象予報情報を取得する気象予報情報取得部102と、気象予報情報に基づき、再生可能エネルギーを用いて発電された電力において余剰電力が発生する可能性の高い日を判定する充電推奨日判定部104と、判定した日を、充電を推奨する充電推奨日としてユーザに通知する通知部105と、を有する。このような構成により、充電制御装置10は、気象予報情報から充電推奨日を判定する簡易なロジックで、余剰電力が発生する可能性が高い日に充電することをユーザに推奨することができる。これにより、充電制御装置10は、電力系統側の余剰電力をEV車両60(蓄電池)に充電して、需給バランスの維持に貢献することができる。つまり、再生可能エネルギーの余剰を上手く吸収することにより、再生可能エネルギーの出力制御の頻度と量に対する低減効果が期待できる。よって、充電制御装置10は、簡易な構成で再生可能エネルギーを用いて発電された電力を効率良く有効活用することを可能とする。
【0034】
また、余剰電力が生じる頻度が高い電力会社管内に限らず、他の電力会社管内においても本方式を展開することにより、他の電力会社への電力の融通許容量の増加も期待できる。また、電力供給側又はアグリゲータと需要家側との間の契約が不要で手続きや通信手段を簡素化でき、より多数の需要家の参加を見込める。
【0035】
また、充電推奨日判定部104は、平日よりも休日に余剰電力が発生する可能性が高いと判定する。これにより、休日等に使用予定のないEV車両60のバッテリを用いて余剰電力を吸収することができる。
【0036】
また、充電制御装置10は、充電推奨日に、蓄電池へ自動的に充電する充電制御部106を有する。これにより、ユーザが手動操作で充電せずとも、充電ケーブルをEV車両60に接続した状態にしておけば、充電推奨日に自動充電することができる。
【0037】
再生可能エネルギーは太陽光であって、充電制御部106は、太陽光から得られるエネルギー量が大きい時間帯に充電する。これにより、太陽光発電の出力ピーク、すなわち、余剰電力が最も発生するタイミングに合わせて自動充電することができる。
【0038】
<2.第2の実施形態>
続いて、
図4及び
図5を参照して、第2の実施形態について説明する。
【0039】
<2-1.充電管理システムの構成>
第2の実施形態に係る充電管理システム1の構成は、第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0040】
第2の実施形態に係る充電制御装置10の機能構成では、充電推奨日判定部104が、気象予報情報及びカレンダー情報に加えて、1日の平均消費電力量に基づいて、充電推奨日を判定する点が第1の実施形態と異なる。具体的には、充電推奨日判定部104は、平均消費電力量から各日付における充電できる量を予測し、予測した充電できる量に基づき充電推奨日を判定する。例えば、充電推奨日判定部104は、充電できる量の多い日を充電推奨日とする。第2の実施形態では、余剰電力が発生している際の充電による電力系統貢献(需給調整)に対してインセンティブが付与される場合について説明する。
インセンティブは、充電量及び余剰電力の予測発生量に応じて付与される。充電制御装置10は、定期的に充電履歴を電力供給側(例えば、電力会社)やアグリゲータへ送信してインセンティブの付与を受ける。充電推奨日判定部104は、インセンティブが最大になる日を充電推奨日とする。例えば、充電推奨日判定部104は、晴れの日はインセンティブの付与ありとする。また、充電推奨日判定部104は、休日はインセンティブの付与ありとする。インセンティブをポイントとした場合、充電推奨日判定部104は、獲得するポイントの見込みであるポイント見込Pを、例えば以下の条件で算出し、算出したポイント見込Pが大きい日を充電推奨日とする。
【0041】
天候に応じたポイントWpは、例えば、天候が「晴れ」である場合は1point/kWh(充電量1kWh(キロワットアワー)ごとに1ポイント)であり、晴れ以外の天候である場合は0point/kWhである。また、平日又は休日であるかに応じたポイントHpは、例えば「平日」である場合は0point/kWhであり、「休日」である場合は2point/kWhである。1日の平均消費電力量(単位はkWh)をDuとすると、充電推奨日判定部104は、ポイント見込Pを、以下の式(1)により算出する。
【0042】
P=(Du×k)×(Wp+Hp)…(1)
【0043】
kは、経過日数に応じて大きくなる数字であり、「Du×k」は、充電できる量の予測値である。ただし、kは、以下の式(2)を満たす範囲とする。電池容量は、EV車両60に搭載されているバッテリの電池容量である。なお、式(2)内の0.8の単位はkWhである。
【0044】
Qlim(電池容量×0.8)-(Du×k)≦0…(2)
【0045】
<2-2.処理の流れ>
図4を参照して、第2の実施形態に係る充電制御装置10が実行する充電制御処理の流れについて説明する。
図4は、本発明の第2の実施形態に係る充電制御装置10が実行する充電制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。充電制御装置10は、ユーザから要求があった際や、予め設定された時刻等に、
図4に示す処理を実行する。
【0046】
図4に示すように、まず、カレンダー情報取得部101は、カレンダー情報を取得する(ステップS201)。
次いで、気象予報情報取得部102は、気象予報情報を取得する(ステップS202)。
次いで、消費電力量取得部103は、EV車両60から1日の平均走行距離を取得し、取得した平均走行距離から1日の平均消費電力量を算出する(ステップS203)。
次いで、充電推奨日判定部104は、カレンダー情報取得部101によって取得されたカレンダー情報、気象予報情報取得部102によって取得された気象予報情報、及び消費電力量取得部103によって取得された1日の平均消費電力量に基づいて、充電推奨日を判定する(ステップS204)。
次いで、通知部105は、充電ガイダンス画面をユーザ端末20に表示させる等して、判定した充電推奨日をユーザに通知する(ステップS205)。
次いで、充電制御部106は、充電推奨日において太陽光から得られるエネルギー量が大きい時間帯にEV車両60を自動的に充電するよう充電予約を設定する(ステップS206)。充電予約後、充電制御装置10は、充電制御処理を終了する。
【0047】
<2-3.画面表示>
図5を参照して、第2の実施形態に係る画面表示について説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態に係るユーザ端末20に表示される充電ガイダンス画面の一例を示すイメージ図である。
図5に示すように、充電ガイダンス画面には、現在の日付から所定期間(例えば、1週間)分の各日付における、気象予報と、天候に応じたポイントWpと、平日/休日の区分と、平日/休日に応じたポイントHpと、充電できる量(単位は、kWh)と、ポイント見込Pとが表示されている。ここで表示する充電できる量は、充電できる量の予測値である。
【0048】
図5において、ポイントWpは、天候が「晴れ」である場合はWp=2、「曇り」である場合はWp=1、「雨」である場合はWp=0である例が示されている。また、
図5において、ポイントHpは、「平日」である場合はHp=0、「休日」である場合はHp=1である例が示されている。また、
図5では、1日の平均消費電力量Du=5kWhであり、Qlim=50kWhである例が示されている。
4月1日の気象予報は「雨」であり、ポイントWpは「0」であり、平日/休日の区分は「平日」であり、ポイントHpは「0」であり、充電できる量は「5」であり、ポイント見込Pは「0」である。
4月2日の気象予報は「晴れ」であり、ポイントWpは「2」であり、平日/休日の区分は「平日」であり、ポイントHpは「0」であり、充電できる量は「10」であり、ポイント見込Pは「20」である。
4月3日の気象予報は「曇り」であり、ポイントWpは「1」であり、平日/休日の区分は「平日」であり、ポイントHpは「0」であり、充電できる量は「15」であり、ポイント見込Pは「15」である。
4月4日の気象予報は「曇り」であり、ポイントWpは「1」であり、平日/休日の区分は「平日」であり、ポイントHpは「0」であり、充電できる量は「20」であり、ポイント見込Pは「20」である。
4月5日の気象予報は「晴れ」であり、ポイントWpは「2」であり、平日/休日の区分は「休日」であり、ポイントHpは「1」であり、充電できる量は「25」であり、ポイント見込Pは「75」である。
4月6日の気象予報は「晴れ」であり、ポイントWpは「2」であり、平日/休日の区分は「休日」であり、ポイントHpは「1」であり、充電できる量は「30」であり、ポイント見込Pは「90」である。
4月7日の気象予報は「曇り」であり、ポイントWpは「1」であり、平日/休日の区分は「平日」であり、ポイントHpは「0」であり、充電できる量は「35」であり、ポイント見込Pは「35」である。
4月8日の気象予報は「曇り」であり、ポイントWpは「1」であり、平日/休日の区分は「平日」であり、ポイントHpは「0」であり、充電できる量は「40」であり、ポイント見込Pは「40」である。
よって、本例では、4月6日にまとめて充電するとポイント見込Pが最大となるため、4月6日が充電推奨日である。
【0049】
このように、各日付のポイント見込Pとともに、ポイント見込Pが最大となる日を充電推奨日としてユーザに通知することにより、ユーザは充電推奨日に充電すればより多くのポイントが獲得できることを知ることができる。よって、インセンティブの付与が動機付けとなり、ユーザが充電推奨日に充電する可能性を高めることができる。
【0050】
なお、第2の実施形態では、インセンティブの付与がある場合について説明しているが、インセンティブの付与がない場合であっても、第1の実施形態と同様に充電の推奨度合いを〇や△等の記号で示すことにより、充電推奨日をユーザに通知することができる。
【0051】
このように、第2の実施形態における充電制御装置10は、第1の実施形態における構成に加えて、消費電力量を取得する消費電力量取得部103を有し、充電推奨日判定部104は、消費電力量から各日付における充電できる量を予測し、予測した充電できる量に基づき充電推奨日を判定する。このような構成により、第1の実施形態における効果に加えて、EV車両60(蓄電池)の電力使用量と気象予報情報とから最適な充電タイミングを判定することができる。よって、第2の実施形態に係る充電制御装置10は、より効率的に再生可能エネルギーの電力を有効活用することを可能とする。
【0052】
また、充電推奨日判定部104は、充電量及び余剰電力の予測発生量に応じて付与されるインセンティブが高い日を充電推奨日とする。これにより、第2の実施形態に係る充電制御装置10は、インセンティブの付与が動機付けとなり、ユーザが充電推奨日に充電する可能性を高めることができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、上述した各実施形態における充電制御装置10が備える構成の全部又は一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0054】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0055】
1…充電管理システム、10…充電制御装置、101…カレンダー情報取得部、102…気象予報情報取得部、103…消費電力量取得部、104…充電推奨日判定部、105…通知部、106…充電制御部、107…計時部、108…操作入力部、20…ユーザ端末、30…電力メータ、40…分電盤、50…充電装置、60…EV車両