(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186208
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】映像表示システム
(51)【国際特許分類】
G09B 27/00 20060101AFI20221208BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20221208BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20221208BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
G09B27/00 B
H04N5/74 Z
G09G5/00 510B
G09G5/36 510C
G09G5/36 510M
G09G5/00 550X
G09G5/36 520F
G09G5/36 520P
G09G5/00 550B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094318
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】599064214
【氏名又は名称】株式会社セガトイズ
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(72)【発明者】
【氏名】早川 徹哉
【テーマコード(参考)】
2C032
5C058
5C182
【Fターム(参考)】
2C032EB02
5C058BA23
5C058BA35
5C058EA02
5C058EA03
5C058EA26
5C058EA27
5C058EA31
5C182AA03
5C182AA04
5C182AA13
5C182AC03
5C182AC43
5C182BA03
5C182BA04
5C182BA75
5C182BC03
5C182BC25
5C182BC26
5C182CB13
5C182CB14
5C182CB44
5C182CB54
5C182CC24
5C182DA62
5C182DA64
(57)【要約】
【課題】、星空を投影する投影機及びデジタル画像を投影するプロジェクタを有する映像表示装置を、デジタル画像に係る静止画又は動画の内容に応じて、星空画像及びデジタル画像の両方を対象面に投影するダブルモードと、デジタル画像のみを対象面に投影するプロジェクタ投影モードとの何れか一方に手間なく切り替えることが可能な映像表示システムを提供することを課題とする。
【解決手段】映像表示装置と通信可能な情報端末及び記憶部をさらに備え、記憶部には星空関連コンテンツデータが少なくとも1つ記憶され、映像表示装置は、情報端末に設けられた選択操作手段によって星空関連コンテンツデータが選択されたことを少なくとも1つの条件としてダブル投影モードに切り替えられる一方で、星空関連コンテンツデータ以外のコンテンツデータが選択された場合、プロジェクタ投影モードに切り替えられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を対象面に投影して表示する映像表示システムであって、
光源から出て原板又はフィルムを透過した光を前記対象面に照射することによって該原板に対応した複数の天体を含む映像である星空画像を前記対象面に投影する投影機と、動画又は静止画を含む映像であるデジタル画像を前記対象面に投影するプロジェクタとを有する映像表示装置と、
前記映像表示装置と通信可能な情報端末と、
前記デジタル画像に係る動画又は静止画のデータであるコンテンツデータが複数記憶された記憶部と、を備え、
前記記憶部には、前記対象面に前記デジタル画像を投影する全時間帯の少なくとも一部の時間帯である星空投影時間帯において前記デジタル画像を前記星空画像と共に前記対象面にまとめて投影させて一の映像とすることが可能なコンテンツデータである星空関連コンテンツデータが少なくとも1つ記憶され、
前記映像表示装置は、前記対象面に前記星空画像のみを投影する投影機投影モードと、前記対象面に前記デジタル画像のみを投影するプロジェクタ投影モードと、前記対象面に前記星空画像及び前記デジタル画像の両方を投影するダブル投影モードと、を有し、
前記情報端末は前記記憶部から前記コンテンツデータを選択する選択操作手段を有し、
前記選択操作手段によって選択された前記コンテンツデータが前記星空関連コンテンツデータであって且つ該星空関連コンテンツデータに係る前記デジタル画像を前記対象面に投影しているタイミングが前記星空投影時間帯の最中である場合、前記映像表示装置を前記ダブル投影モードに自動的に切り替える一方で、前記選択操作手段によって選択された前記コンテンツデータが前記星空関連コンテンツデータでない場合、前記映像表示装置を前記プロジェクタ投影モードに切り替える投影モード切替手段を、前記情報端末又は前記映像表示装置に設けた
ことを特徴とする映像表示システム。
【請求項2】
前記プロジェクタは、前記映像表示装置の前記プロジェクタ投影モード又は前記ダブル投影モードへの切替時、前記対象面の一部の範囲である通常範囲に前記デジタル画像を投影する通常モードと、前記対象面の一部又は全部であって且つ前記通常モードよりも広い範囲である拡大範囲に前記デジタル画像を投影する拡大モードとを有する
請求項1に記載の映像表示システム。
【請求項3】
前記通常範囲のみが投影範囲となる前記デジタル画像と前記拡大範囲の全体が投影範囲となる前記デジタル画像とを含む動画又は複数の静止画に係るコンテンツデータであり、且つ、該動画の再生又は該複数の静止画を順次投影する再生によって前記通常モードと前記拡大モードとが自動的に切り替える表示モード切替機能付きコンテンツデータが、前記コンテンツデータとして前記記憶部に記憶された
請求項2に記載の映像表示システム。
【請求項4】
前記プロジェクタには、該プロジェクタから前記対象面に投影する範囲を変更して制御する投影範囲変更部が設けられ、
前記プロジェクタ又は前記情報端末には、前記コンテンツデータに応じて、前記通常範囲及び前記拡大範囲の一方から他方又は他方から一方への切替を前記投影範囲変更部により行う表示モード切替手段を設けた
請求項2又は3の何れかに記載の映像表示システム。
【請求項5】
前記記憶部は、前記情報端末又は前記映像表示装置に設けられるか、或いは前記情報端末又は前記映像表示装置と通信可能なサーバに設けられた
請求項1乃至4の何れかに記載の映像表示システム。
【請求項6】
前記対象面にデジタル画像を投影する全時間帯を前記星空投影時間帯とし、
前記投影モード切替手段は、前記選択操作手段によって選択された前記コンテンツデータが前記星空関連コンテンツデータである場合、前記映像表示装置を前記ダブル投影モードに自動的に切り替える一方で、前記選択操作手段によって選択された前記コンテンツデータが前記星空関連コンテンツデータでない場合、前記映像表示装置を前記プロジェクタ投影モードに切り替える
請求項1乃至5の何れかに記載の映像表示システム。
【請求項7】
前記対象面にデジタル画像を投影する一部の時間帯を前記星空投影時間帯とし、
前記投影モード切替手段は、前記選択操作手段によって選択された前記コンテンツデータが前記星空関連コンテンツデータであって且つ該星空関連コンテンツデータに係る前記デジタル画像を前記対象面に投影しているタイミングが前記星空投影時間帯以外の時間帯である場合にも、前記映像表示装置を前記プロジェクタ投影モードに切り替える
請求項1乃至5の何れかに記載の映像表示システム。
【請求項8】
前記ダブル投影モード時、前記投影機によって投影される前記星空画像と、前記プロジェクタによって投影される前記デジタル画像とを同期させて前記対象面に表示する同期表示手段を、前記映像表示装置に設けた
請求項1乃至7の何れかに記載の映像表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像を対象面に投影して表示する映像表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
光源から出て原板又はフィルムを透過した光を対象面に照射することによって該原板に対応した複数の天体を含む映像である星空画像を該対象面に投影する投影機と、動画又は静止画を含む映像であるデジタル画像を前記対象面に投影するプロジェクタとを備えた映像表示装置が公知になっている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
上記文献の映像表示装置によれば、原板又はフィルムのみでは再現ができない動画や静止画を含むデジタル画像を対象面に投影できるため、表現の幅が広がる。
【0004】
ところで、プロジェクタは、その汎用性から、通常の用途でも使用できる方が好ましい。この場合、プロジェクタから投影されるデジタル画像のみを対象面に投影する状態(プロジェクタ投影モード)になるが、このデジタル画像に係る静止画や動画の内容によっては、該デジタル画像と共に星空画像を同一の対象面に重複して投影する状態(ダブル投影モード)に切り替えた方がよい場合がある。
【0005】
しかし、映像表示装置を、デジタル画像に係る静止画又は動画の内容に応じて、プロジェクタ投影モード又はダブル投影モードに手動で切り替える作業は手間である。例えば、対象面に投影されている映像が目視可能な位置である目視位置以外の位置に設置された映像表示装置を、プロジェクタ投影モード又はダブル投影モードに手動で切り替えるためには、目視位置と映像表示装置との間を往復する必要があり、手間である。
【0006】
このような事態を回避するためには、映像表示装置を目視位置に設置することや、映像表示装置に切り替え作業を専門的に行う人員を配置することも考えられるが、前者によれば映像表示装置の設置範囲が大幅に制限され、場合によっては対象面に投影する映像の質にも影響が及ぶことが懸念される一方で、後者によれば余分な人手が必要になり、現実的ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、星空を投影する投影機及びデジタル画像を投影するプロジェクタを有する映像表示装置を、デジタル画像に係る静止画又は動画の内容に応じて、星空画像及びデジタル画像の両方を対象面に投影するダブルモードと、デジタル画像のみを対象面に投影するプロジェクタ投影モードとの何れか一方に手間なく切り替えることが可能な映像表示システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、映像を対象面に投影して表示する映像表示システムであって、光源から出て原板又はフィルムを透過した光を前記対象面に照射することによって該原板に対応した複数の天体を含む映像である星空画像を前記対象面に投影する投影機と、動画又は静止画を含む映像であるデジタル画像を前記対象面に投影するプロジェクタとを有する映像表示装置と、前記映像表示装置と通信可能な情報端末と、前記デジタル画像に係る動画又は静止画のデータであるコンテンツデータが複数記憶された記憶部と、を備え、前記記憶部には、前記対象面に前記デジタル画像を投影する全時間帯の少なくとも一部の時間帯である星空投影時間帯において前記デジタル画像を前記星空画像と共に前記対象面にまとめて投影させて一の映像とすることが可能なコンテンツデータである星空関連コンテンツデータが少なくとも1つ記憶され、前記映像表示装置は、前記対象面に前記星空画像のみを投影する投影機投影モードと、前記対象面に前記デジタル画像のみを投影するプロジェクタ投影モードと、前記対象面に前記星空画像及び前記デジタル画像の両方を投影するダブル投影モードと、を有し、前記情報端末は前記記憶部から前記コンテンツデータを選択する選択操作手段を有し、前記選択操作手段によって選択された前記コンテンツデータが前記星空関連コンテンツデータであって且つ該星空関連コンテンツデータに係る前記デジタル画像を前記対象面に投影しているタイミングが前記星空投影時間帯の最中である場合、前記映像表示装置を前記ダブル投影モードに自動的に切り替える一方で、前記選択操作手段によって選択された前記コンテンツデータが前記星空関連コンテンツデータでない場合、前記映像表示装置を前記プロジェクタ投影モードに切り替える投影モード切替手段を、前記情報端末又は前記映像表示装置に設けたことを特徴とする。
【0010】
前記プロジェクタは、前記映像表示装置の前記プロジェクタ投影モード又は前記ダブル投影モードへの切替時、前記対象面の一部の範囲である通常範囲に前記デジタル画像を投影する通常モードと、前記対象面の一部又は全部であって且つ前記通常モードよりも広い範囲である拡大範囲に前記デジタル画像を投影する拡大モードとを有するものとしてもよい。
【0011】
前記通常範囲のみが投影範囲となる前記デジタル画像と前記拡大範囲の全体が投影範囲となる前記デジタル画像とを含む動画又は複数の静止画に係るコンテンツデータであり、且つ、該動画の再生又は該複数の静止画を順次投影する再生によって前記通常モードと前記拡大モードとが自動的に切り替える表示モード切替機能付きコンテンツデータが、前記コンテンツデータとして前記記憶部に記憶されたものとしてもよい。
【0012】
前記プロジェクタには、該プロジェクタから前記対象面に投影する範囲を変更して制御する投影範囲変更部が設けられ、前記プロジェクタ又は前記情報端末には、前記コンテンツデータに応じて、前記通常範囲及び前記拡大範囲の一方から他方又は他方から一方への切替を前記投影範囲変更部により行う表示モード切替手段を設けたものとしてもよい。
【0013】
前記記憶部は、前記情報端末又は前記映像表示装置に設けられるか、或いは前記情報端末又は前記映像表示装置と通信可能なサーバに設けられたものとしてもよい。
【0014】
前記対象面にデジタル画像を投影する全時間帯を前記星空投影時間帯とし、前記投影モード切替手段は、前記選択操作手段によって選択された前記コンテンツデータが前記星空関連コンテンツデータである場合、前記映像表示装置を前記ダブル投影モードに自動的に切り替える一方で、前記選択操作手段によって選択された前記コンテンツデータが前記星空関連コンテンツデータでない場合、前記映像表示装置を前記プロジェクタ投影モードに切り替える
【0015】
前記対象面にデジタル画像を投影する一部の時間帯を前記星空投影時間帯とし、前記投影モード切替手段は、前記選択操作手段によって選択された前記コンテンツデータが前記星空関連コンテンツデータであって且つ該星空関連コンテンツデータに係る前記デジタル画像を前記対象面に投影しているタイミングが前記星空投影時間帯以外の時間帯である場合にも、前記映像表示装置を前記プロジェクタ投影モードに切り替えるものとしてもよい。
【0016】
前記ダブル投影モード時、前記投影機によって投影される前記星空画像と、前記プロジェクタによって投影される前記デジタル画像とを同期させて前記対象面に表示する同期表示手段を、前記映像表示装置に設けたものとしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
映像表示装置と通信可能な情報端末によって選択したコンテンツデータの内容に対応して、該映像表示装置が自動的にダブルモード又はプロジェクタ投影モードに切り替えられるため、切り替える手間がかからない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明を適用した映像表示システムの概略を示す概略図である。
【
図2】映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】映像表示装置から対象面への投影状態を説明する説明図である。
【
図7】カバー蓋を取り外した状態の映像表示装置の後側斜視図である。
【
図8】カバー蓋を取り外した状態の映像表示装置の平面図である。
【
図10】画像描写体の一種である恒星原板の平面図である。
【
図13】コンテンツ再生処理の手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は本発明を適用した映像表示システムの概略を示す概略図であり、
図2は映像表示装置の構成を示すブロック図であり、
図3は映像表示装置から対象面への投影状態を説明する説明図である。映像表示システムは、スクリーンや白い壁面若しくは天井面等に形成されたフラットな対象面M(
図2,3参照)に映像を投影する映像表示装置1と、該映像表示装置1と通信可能な情報端末70と、各種のデータを保持し且つインターネット等のグローバルなネットワーク80を介して映像表示装置1及び情報端末70と通信可能なサーバ90とを備え、家庭用のプラネタリウムとして用いることが可能である。
【0020】
映像表示装置1は、静止画又は動画を含む映像であるデジタル画像を対象面Mに投影するプロジェクタ2と、複数の天体(星)を含む星空画像を対象面Mに投影する投影機3と、CPU、RAM及びROMその他の記憶媒体等がユニット化され且つプロジェクタ2及び投影機3等を制御する制御部4と、を備えている。
【0021】
前記プロジェクタ2は、制御部4の出力側に接続される映像信号処理部6と、制御部4の出力側に接続される光源7と、映像信号処理部6からの映像信号に基づいて光源7からの光により光学的にデジタル画像を生成する映像生成部8と、映像生成部8によって生成されたデジタル画像を対象面Mに拡大して投影するレンズであるプロジェクタ側レンズ9とを有している。
【0022】
映像信号処理部6は、対象面Mに表示する対象になったデジタル画像に係る動画又は静止画に対応した映像信号が生成されるように、該制御部4によって制御される。この制御部4による処理は、対象面Mに動画又は静止画に係るデジタル画像を表示させるためのデジタル画像表示処理となる。このデジタル画像表示処理の対象になる動画又は静止画のデータであるコンテンツデータは、自己の記憶部11から取得されるか、或いは情報端末70又はサーバ90から取得される。
【0023】
ちなみに、コンテンツデータの一種である静止画のデータには、連続した複数の異なる静止画を予め定められた順番に予め定められたタイミングで対象面Mに順次投影(表示)して再生するスライドデータも含むものとする。このスライドデータには、その表示の順番やタイミング等の再生のための情報も当然含まれている。
【0024】
光源7は、広域の波長成分を含む光を発するように構成され、制御部4によって入切も含めて明るさが制御される。映像生成部8は、光源7からの光を、光学的にデジタル画像に変換するものであり、プロジェクタ2の方式が、透過型液晶方式(LCD)と反射型液晶方式(LCOS)とDLP方式等との何れであるかによって、その光学的な構造が異なるが、その構成は従来公知であるため、説明は割愛する。
【0025】
本例のプロジェクタ2には、さらに、モニタ画面に対応した映像信号が情報端末その他のコンピュータから有線にて入力される映像信号入力部12と、対象面Mに表示するデジタル画像に係る映像信号を他のモニタに有線にて出力するための映像信号出力部13と、対象面Mにデジタル画像を投影する範囲である投影範囲を変更する投影範囲変更部(投影範囲変更手段)14と、が設けられている。
【0026】
映像信号入力部12を介して入力された映像信号は、映像信号処理部6によってノイズ除去等の所定の処理がされた後に映像生成部8に送られるか、或いは、そのまま映像生成部8に送られる。ちなみに、映像信号入力部12を介して入力された映像信号に基づいて生成されるデジタル画像である前記モニタ画面は、情報端末70を構成するスマホ等のタッチパネルに表示される画面か、コンピュータのモニタに表示される画面である。
【0027】
映像信号出力部13は、映像信号処理部6からの映像信号を受け取り、該映像信号を外部のモニタに有線にて出力する。
【0028】
また、情報端末70は、自身に表示されている画面を、モニタ画面を構成する静止画又は動画に係るコンテンツデータとして映像表示装置1に送信してもよい。このコンテンツデータを情報端末70から受信した制御部4は、該コンテンツデータに係る静止画又は動画を対象として前記デジタル画像表示処理を実行し、前記モニタ画面を対象面Mに投影する。すなわち、情報端末70は、自身の画面に表示された画面を、静止画又は動画から構成されたモニタ画面に係るコンテンツデータとして、映像表示装置1に提供するモニタ画面提供処理を実行可能に構成されている。言い換えると、デジタル画像には、静止画又は動画に関するものの他に、モニタ画面に関するものも含まれる。
【0029】
投影範囲変更部14は、投影範囲を少なくとも2段階で切り替えるように構成されている。具体的には、最大範囲である拡大範囲R1と、最大範囲よりも左右両方を縮小させた通常範囲R2との2段階で、前記投影範囲の切替を行う。
【0030】
すなわち、プロジェクタ2は、表示モードとして、通常サイズのデジタル画像である通常デジタル画像を対象面Mの通常範囲R2にのみ投影する通常モードと、通常サイズよりも大きなデジタル画像である拡大デジタル画像を対象面Mの拡大範囲R1の全体に投影する拡大モードとの少なくとも2つを有している。
【0031】
なお、この投影範囲変更部14は、本例では、映像生成部8とは別に設けられ、制御部4の出力側に接続されているが、映像生成部8自体に投影範囲変更手段の機能を備えさせてもよい。また、不要であれば、映像信号入力部12及び映像信号出力部13の一方又は両方を省略してもよい。
【0032】
前記投影機3は、制御部4の出力側に接続される光源16と、対象面Mに投影する星空画像が固定的に描写された原板又はフィルムである板状の画像描写体17と、光源16から出て画像描写体17を透過した光を対象面Mの通常範囲R2に拡大して投影するレンズである投影機側レンズ18と、対象面Mの通常範囲R2に投影させた星空画像に変化を生じさせるために画像描写体17を回転駆動させるアクチュエータであるモータ19とを備えている。
【0033】
なお、投影機3による星空画像の投影範囲を通常範囲R2に設定したが、これを拡大範囲R1に設定してもよい。
【0034】
光源16は制御部4によって入切を含めて明るさを制御可能である。画像描写体17は、本例では円形に成形された恒星原板である。恒星原板17は、遮光性を有する円板に恒星に対応する無数の孔を、その恒星の明るさに応じた大きさで、穿設することによって構成されている。対象面Mに投影する星空画像(投影星空画像)は、恒星原板17に描かれた全ての星空画像(全投影星空画像)の一部であり、投影星空画像は、季節、方位及び時間帯等の要素によって適宜変更される。
【0035】
なお、図示する例では、光源7と光源16は、別々に設けられているが、互いを兼用化させて単一の光源によって対応してもよい。この場合には、光源から映像生成部8への光路を開閉する機構と、光源から画像描写体17への光路を開閉する機構とを設ける必要がある。
【0036】
前記制御部4は、その入力側に、各種の操作を行う操作部21と、画像描写体17の回転位置を検出する回転位置検出手段である回転センサ22とが接続される一方で、その出力側に、上述した映像信号処理部6、2つの光源7,16及びモータ19の他、スピーカ23が接続されている。
【0037】
操作部21には、プロジェクタ2による対象面Mへのデジタル画像の投影の有無を切り替えるデジタル画像入切手段21aと、投影機3による対象面Mへの星空画像の投影の有無を切り替える星空画像入切手段21bと、モータ19によって星空の日周運動を表現するか否かを切り替える日周運動入切手段21cと、が設けられている。
【0038】
この他、制御部4には、前記記憶部11と、映像表示装置1が情報端末70との間で直接的に無線通信することを可能にするとともにネットワーク80を介してサーバ90との通信も可能とする通信手段である無線通信インターフェース24とが入出力可能に接続されている。
【0039】
制御部4は、前記デジタル画像表示処理を実行するデジタル画像表示手段4cの他、映像表示装置1の初期設定処理を含む各種の設定処理を実行する設定手段4aと、後述する投影モード切替処理を実行する投影モード切替手段4bと、後述する星空画像表示処理を実行する星空画像表示手段4dと、後述する同期表示処理を実行する同期表示手段4eと、後述する表示モード切替処理を実行する表示モード切替手段4fと、を有している。
【0040】
前記初期設定処理では、記憶部11に確保され且つ複数の前記コンテンツデータを記憶するコンテンツデータ記憶領域11aから、デジタル画像の一種である初期設定画面に係る静止画のコンテンツデータを読み出し、該コンテンツデータに係る初期設定画面をデジタル画像表示手段4cによって対象面Mに投影する。
【0041】
対象面Mに投影された初期設定画面には、情報端末70を映像表示装置1に無線LAN等によって接続するための情報である接続情報(例えば、情報端末70を映像表示装置1と無線LAN接続するためのSSID及び暗号キー)が含まれている。映像表示装置1と情報端末70とが通信可能に接続された後は、該情報端末70は、映像表示装置1がネットワーク80を介してサーバ90と通信可能になるための設定を該映像表示装置1に対して行うとともに、その他の各種の設定も行う。
【0042】
前記投影モード切替処理では、デジタル画像入切手段21a及び星空画像入切手段21bの操作や、情報端末70からの設定操作に応じて、映像表示装置1の投影モードを、プロジェクタ2によってデジタル画像のみを対象面Mに投影するプロジェクタ投影モードと、投影機3によって星空画像のみを対象面Mに投影する投影機投影モードと、プロジェクタ2及び投影機3によってデジタル画像及び星空画像が重複した映像を対象面Mに投影するダブル投影モードとの何れかに切り替える。
【0043】
また、投影モード切替処理では、場合によっては、デジタル画像及び星空画像の両方とも対象面Mに投影しない非投影モードへの切替を行ってもよい。具体的には、デジタル画像入切手段21aによる切状態と、星空画像入切手段21bによる切状態とが同時に行われている場合に、非投影モードへの切替を実行することが考えられる。
【0044】
前記星空画像表示処理では、光源7の入切制御や明るさ制御を行うとともに、日周運動入切手段21cの操作や情報端末70の操作によって日周運動を表現することが選択されている場合やその他の必要な場合に、回転センサ22の検出結果を確認しながら対象面Mに投影される星空画像(画像描写体17)を所定の回転速度で所定の量だけモータ19により回転させる。
【0045】
前記同期表示処理では、デジタル画像及び星空画像を重複して対象面Mに投影することにより意図した所定の映像を対象面Mに表示させることを目的として、プロジェクタ2から対象面Mに投影されたデジタル画像と、投影機3から対象面Mに投影され且つモータ19及び回転センサ22によって各天体の位置が制御された星空画像とが同期するように、デジタル画像表示手段4c及び星空画像表示手段4dを介した制御を行う。
【0046】
前記表示モード切替処理では、動画又は静止画に係るコンテンツデータの内容に対応して、プロジェクタ2の表示モードを、デジタル画像の投影範囲を拡大範囲又は通常範囲の何れかに切り替える。この表示モードの切替は、一のコンテンツデータに係るデジタル画像の全てを所定時間で対象面Mに表示する処理を一再生とし、その再生毎に実行してもよいし、或いは一再生中の複数のタイミングで切替を実行してもよい。
【0047】
このように構成される映像表示装置1は、プロジェクタ2、投影機3及び制御部4の大部分と、その他の上述の各種の部材の少なくとも一部とを、筐体(筐体)26,27(
図4乃至
図8を参照)の内部に位置決め収容されて設けることにより、その全体が一体的に形成されている。
【0048】
図4乃至
図6は映像表示装置の正面図、背面図及び前側斜視図であり、
図7及び
図8はカバー蓋を取り外した状態の映像表示装置の後側斜視図及び平面図である。映像表示装置1は、筐体26,27として、第1筐体26と、該第1筐体26を下側から上下揺動可能に支持する第2筐体27とを備えている。
【0049】
前記第1筐体26は、円筒状に形成された周壁部28と、周壁部28の下方を塞いで覆う底蓋部29と、周壁部28の上側を塞いで覆う天井カバー部31と、を一体的に有している。ちなみに、上下及び前後は、以後、特に断らない限り、第1筐体26を、その天井カバー部31が真上を向いた姿勢を基準として定義するものとする。
【0050】
底蓋部29の外周面は、その径が下方に向かって次第に減少する湾曲したR面29aが、その全周に亘り形成されている。
【0051】
周壁部28の上端は、天井カバー部31よりも高い位置に形成されているため、該周壁部28の上端寄り部分によって、天井カバー部31の四方が囲繞される。さらに、周壁部28の外周面の上端寄り部分は、その径が上方に向かって次第に減少するように湾曲したR面28aが、その全周に亘り形成されている。
【0052】
天井カバー部31の上面は、対象面Mに向けられる照射面32となる。この照射面32は、平面視で円形をなす平坦な面である単一のフラット面32aと、平面視でフラット面32aを囲繞するように該フラット面32aと同一の位置に中心を有する円形環状に形成された外縁寄り面32bとから構成されている。
【0053】
外縁寄り面32bは、フラット面32aから径方向外側に向かって下方に湾曲するR面又は上方に膨出する湾曲面から構成してもよいし、或いは、フラット面32aからその径方向外側に向かって下方に傾斜する傾斜面によって構成してもよい。
【0054】
天井カバー部31におけるフラット面32aが形成された部分(第1筐体26の外面)には、第1筐体26の内部に取り付け固定された2つのレンズ9,18を外部に露出させる露出孔31a,31bが開口形成されている。すなわち、第1筐体26の照射面32のフラット面32aから照射された光がデジタル画像又は星空画像として対象面Mに投影される。
【0055】
さらに詳しく説明すると、平面視で、照射面32(フラット面32a)の後側の端寄り位置には、プロジェクタ側レンズ9を外部に露出させる露出孔31aが該プロジェクタ側レンズ9と共に配置される一方で、平面視で、その中心部を挟んで該露出孔31aの反対側の位置である前側の端寄り位置には、投影機側レンズ18を露出させる露出孔31bが該投影機側レンズ18と共に配置されている。
【0056】
また、外縁寄り面32bにおいて対称な2つの円弧状の領域を、第1筐体26の内部の熱を外部に排出する放熱領域R3,R3とする。各放熱領域R3には、天井カバー部31の径方向に沿って伸びる長孔状に穿設された放熱孔31cが、外縁寄り面32bの周方向に並列して複数穿設されている。平面視において、プロジェクタ側レンズ9の中心と投影機側レンズ18の中心とを結んだ仮想的な直線Xと、一対の放熱領域R3,R3の中心同士を結んだ仮想的な直線Yとは、天井カバー部31の中心部において直交する状態になる。
【0057】
この第1筐体26の上端側には、透光性を有する材料(さらに具体的には、透明又は半透明な材料)から構成され且つ下方が開放された凹状に形成されたカバー蓋36が着脱自在に装着される。このカバー蓋36は、平面視で周壁部28と同一の円形に成形され、その周囲は径が上方に向かって次第に減少するように湾曲するR面36aが形成されている。
【0058】
カバー蓋36が第1筐体26に装着された状態では、該第1筐体26の上端側に形成された凹状のスペースの上方側が閉塞される閉状態となり、2つのレンズ9,18も上方がカバーされて保護される。この状態では、カバー蓋36のR面36aと、周壁部28のR面28aとが一連となって一体的にR面を形成する。
【0059】
第1筐体26の周囲には、その正面側(さらに具体的には真正面側)に配置され且つ画像描写体17を取り出し可能に収納する収納トレー(収納部)37と、収納トレー37の上方に配置され且つ投影機側レンズ18のピントを調節する投影機側ピント調節ダイヤル(ピント調節部)38と、その背面寄り箇所に配置され且つプロジェクタ側レンズ9のピントを調節するプロジェクタ側ピント調整ダイヤル(ピント調整部)39と、が設けられている。また、第1筐体26の下面側には、上述した操作部21が設けられている。
【0060】
前記第2筐体27は、円盤状に形成された本体部41と、該本体部41の上面の左右の各端部から上方に突出形成された支持ステー部42と、を一体的に有している。本体部41及び支持ステー部42は、中空状に形成され、その内部は各種の部品を設置する設置スペースになるとともに、配線スペースにもなる。
【0061】
本体部41には、電力供給回路43の少なくとも一部と、左右一対の前記スピーカ23,23とが内装されている。本体部41の上面には、左右のスピーカ23,23毎に設けられて該スピーカ23,23からの音を本体部41の外部に出力する出力部44,44が設けられている。各出力部44は円形状に範囲に穿設された複数の出力孔から構成されている。ちなみに、図示する第2筐体27の正面側には、制御部4からの音声信号をイヤホン等に出力するための外部出力端子46が設けられている。
【0062】
電力供給回路43は、本体部41の背面側に配置され且つACアダプタから延出されたコードの先端側のプラグが差し込まれる差込口(接続部)43aと、本体部41の背面側に配置され且つ電力供給回路43による映像表示装置1全体への電力の供給の有無を切り替える電源入切操作具である電源スイッチ43bと、を有している。
【0063】
左右方向に延びる中空の筒状に形成された支持軸47によって、左右の支持ステー部42,42の間に上下揺動可能に第1筐体26が支持されている。すなわち、支持軸47は、第1筐体26の揺動軸として機能する。この上下揺動によって、第1筐体26は、その照射面32を真上に向けた基本姿勢から、前後両側に1/4周分以上回動させることが可能である。すなわち、照射面32が対象面Mを向くように、第1筐体26の上下揺動角度を設定すればよい。
【0064】
第1筐体26の内部に配置された電子部品と、第2筐体27の内部に配置された電子部品とは、支持ステー部42の内部の空間及び支持軸47の内部の空間とを介して、電気的に有線接続されている。
【0065】
第1筐体26の内部に配置された電子部品としては、例えば、制御部4、映像信号処理部6、光源7,16、映像生成部8、記憶部11、投影範囲変更部14、モータ19、操作部21、回転センサ22、無線通信インターフェース24等が挙げられる。第2筐体27の内部に配置された電子部品としては、例えば、電力供給回路43、スピーカ23等が挙げられる。
【0066】
図9は収納トレーの平面図であり、
図10は画像描写体の一種である恒星原板の平面図である。第1筐体26の外周面の正面側には、収納トレー37を挿脱可能に挿入される被挿入部(図示しない)が形成されている。一方、収納トレー37は、被挿入部に挿入され且つ恒星原板17が上面側に位置決めしてセットされる挿入部48と、被挿入部を閉塞し且つ第1筐体26の外周面の一部を構成するように円弧面状に成形された蓋部49とを一体的に有している。
【0067】
蓋部49の外面側には、挿入部を被挿入部から引き出し易くする摘み部49aが凹凸形成されている。第1筐体26の被挿入部から引き出された状態の挿入部48に対しては、恒星原板17をセットすることが可能であるとともに、セットされた恒星原板17を挿入部48から取り外すことが可能になる。ちなみに、上述した構成により、引き出し方向は後方向に設定されるとともに挿入方向は前方向に設定され、以下、引き出し側を「手前側」とし、挿入側を「奥側」とする。
【0068】
この挿入部48には、恒星原板17の手前側部分を下支えする左右一対の支持部51,51と、恒星原板17の奥側部分を下支えする左右一対の支持部51,51と、その手前側部分において恒星原板17の周縁に沿う円弧状に成形され且つ前記引き出し方向への移動を規制する単一の手前側規制部52と、その奥側部分において恒星原板17の周縁に沿って平面視で円弧面状に窪んだ形状に成形され且つ該恒星原板17の前記挿入方向への移動を規制する左右一対の奥側規制部53,53と、これらの3つの規制部52,53,53によって四方への移動が規制されて予め定めた所定の位置に配置された状態の恒星原板17における奥側部分の上面に近接又は接触して上方への移動を規制する左右一対の上側規制部54,54と、が一体的に設けられている。
【0069】
左右の奥側規制部53,53は、互いに対称な形状に成形され、恒星原板17の左右の移動も規制している。上側規制部54は、爪状に成形され、奥側規制部53の上部から一体的に手前側に突出形成されている。
【0070】
4つの支持部51,51,51,51と、3種類の規制部52,53,54によって、恒星原板17は挿入部48の上面側に回転可能に位置決め支持される。
【0071】
手前側規制部52の上面には、目盛52aが印刷等で表示される一方で、恒星原板17の上面にも目盛17aが印刷等で表示されている。これらの目盛17a,52aを目視することによって、恒星原板17の回転位置を日時等に応じて適宜変更する。
【0072】
さらに、挿入部48には、その直下に配置され且つ照射方向が第1筐体26の軸方向上側(真上)に向けられた光源7からの光が恒星原板17の下面に達し、さらに該恒星原板17を透過するように、該恒星原板17を挿入部48の直下の空間に対して露出させる露出孔48aが穿設されている。
【0073】
図11は情報端末の構成を示すブロック図である。情報端末70は、CPU及びRAM等から構成されてプログラムの実行により各種の機能を実装可能な制御部71と、SSD又はHDD等から構成されて各種の情報が記憶される記憶部72と、広域な範囲をカバーするように複数設置された基地局と無線通信することによりネットワーク80に直接的に接続されるグローバル無線通信インターフェース(通信手段)73と、映像表示装置1等の無線による端末間通信を行うとともにローカルな無線ネットワークを形成するアクセスポイントと無線接続可能なローカル無線通信インターフェース(通信手段)74と、液晶画面等の表示装置を含み且つ情報の出力手段及び情報の入力手段でもあるタッチパネル式液晶画面75と、を備えている。
【0074】
情報端末70は、グローバル無線通信インターフェース73によって、ネットワーク80経由で、サーバ90と通信することが可能であるとともに、ローカル無線通信インターフェース74によって、ローカルな無線ネットワークとネットワーク80とを経由して、サーバ90と通信することも可能である他、該ローカル無線通信インターフェース74によって映像表示装置1との直接的な無線通信が可能である。
【0075】
情報端末70には、本映像表示システム用の専用アプリをインストールすることにより、制御部71には各種の機能が実装されている。
【0076】
この制御部71には、情報端末70が映像表示装置1に対して行う前記初期設定を含む各種の設定を可能にする設定手段71aと、上述したデジタル画像入切手段21aと同一の機能を有するデジタル画像入切手段71bと、上述した星空画像入切手段21bと同一の機能を有する星空画像入切手段71cと、上述した日周運動入切手段21cと同一の機能を有する日周運動入切手段71dと、対象面Mに投影する動画又は静止画であるコンテンツを選択する選択操作手段71eと、情報端末70の画面に表示されている画面を、モニタ画面を構成する静止画又は動画に係るコンテンツデータとして映像表示装置1に送信する上述のモニタ画面提供処理を実行するモニタ画面提供手段71fと、が実装されている。
【0077】
選択操作手段71eは、サーバ90の後述する記憶部92に記憶されている静止画又は動画のデータである複数のコンテンツデータから、対象面Mにデジタル画像として投影するコンテンツデータ(選択コンテンツデータ)を選択するように構成されている。ちなみに、選択対象となるコンテンツデータは、情報端末70の画面に一括で又は個別に表示される。
【0078】
図12はサーバの構成を示すブロック図である。サーバ90は、CPU及びRAM等から構成されてプログラムの実行により各種の機能を実装可能な制御部91と、SSD又はHDD等から構成されて各種の情報が記憶される記憶部92と、ネットワーク80に直接的に接続される通信インターフェース(通信手段)93と、表示装置を含み且つ各種の情報を出力する情報出力手段である出力インターフェース94と、キーボードやマウス等の情報入力手段である入力インターフェース95と、を備えている。
【0079】
記憶部92には、デジタル画像に係る静止画又は動画のデータである前記コンテンツデータを複数記憶するための記憶領域であるコンテンツデータ記憶領域92aが確保されている。
【0080】
このコンテンツデータ記憶領域92aには、所定の映像を対象面Mに表示(再生)する時間帯(再生時間)の全ての時間帯である全時間帯(全再生時間)の一部又は全部に、デジタル画像及び星空画像を互いに同期させて対象面Mに投影する時間帯である星空投影時間帯(同期再生時間)が含まれたコンテンツデータである一又は複数の星空関連コンテンツデータと、同期再生時間が全再生時間中に一切含まれていないコンテンツデータである一又は複数の非星空関連コンテンツデータとの2種類のコンテンツデータが記憶されている。
【0081】
制御部91には、コンテンツデータ記憶領域92aに記憶された複数のコンテンツデータの中から、情報端末70が選択操作手段71eによって選択された選択コンテンツデータをネットワーク80経由で映像表示装置1に提供するコンテンツデータ提供手段91aが実装されている。
【0082】
そして、情報端末70の選択操作手段71eによって対象面Mに投影するデジタル画像に係る動画又は静止画のコンテンツデータが選択コンテンツデータとして選択された場合、該動画又は静止画を対象面Mに表示する処理であるコンテンツ再生処理が本映像表示システムによって実行される。
【0083】
図13はコンテンツ再生処理の手順を示すフロー図である。コンテンツ再生処理が開始されると、ステップS101に処理が進められる。ステップS101では、投影モード切替手段4bによって、選択コンテンツデータが星空関連コンテンツデータ又は非星空関連コンテンツデータの何れかであるかを確認し、選択コンテンツデータが星空関連コンテンツデータである場合にはステップS102に処理を進める。
【0084】
ステップS102では、投影モード切替手段4bが、その時の選択コンテンツデータの再生時間が同期再生時間の最中であるか否かを確認し、同期再生時間の最中であればステップS103に処理を進める。ちなみに、この全再生時間及びその中で同期再生時間がどの時間帯になるかに関する情報はコンテンツデータの中に当然含まれている。
【0085】
ステップS103では、投影モード切替手段4bによって映像表示装置1の投影モードがダブル投影モードに切り替えられ、同期表示手段4eによって、デジタル画像表示手段4cによって実行されるデジタル画像表示処理と、星空画像表示手段4dによって実行される星空画像表示処理とが同期される同期表示処理が行われ、選択コンテンツデータに係る動画又は静止画のデジタル画像と、該デジタル画像に対応した星空画像とが重複した所望の映像が対象面Mに投影され、その後、処理をステップS104に進める。
【0086】
すなわち、ステップS101→ステップS102→ステップS103と進む処理によれば、選択コンテンツデータが星空関連コンテンツデータであって且つ該星空関連コンテンツデータのその時の再生時間が同期再生時間の最中である場合、投影モード切替手段4bによって映像表示装置1がダブル投影モードに自動的に切り替えられる。
【0087】
ちなみに、選択コンテンツデータに係る動画又は静止画のデジタル画像を対象面Mに投影している最中、その動画又は静止画の内容によっては、表示モード切替手段4fによる表示モード切替処理を適宜実行し、映像表示装置1の表示モードを、通常モードと、拡大モードとの何れかに切り替える。
【0088】
ステップS104では、選択コンテンツデータの再生(選択コンテンツデータに係る動画又は静止画の対象面Mに投影して表示する処理)を終了すべき時間であるか否かを確認し、まだ終了すべき時間でなければステップS101に処理を戻す一方で、既に終了すべき時間であればコンテンツ再生処理に係る一連の処理を終了させ映像表示装置1から対象面Mへの映像の投影を終了させる。このステップ104の処理は、映像表示装置1の制御部4が行ってもよいし、或いは、情報端末70又はサーバ90が実行してもよい。
【0089】
ステップS101において、選択コンテンツデータが非星空関連コンテンツデータである場合にはステップS105に処理を進める。また、ステップS102において、その時の選択コンテンツデータの再生時間が同期再生時間以外であることが確認された場合にもステップS105に処理を進める。ステップS105では、選択コンテンツデータに係る動画又は静止画のみをデジタル画像表示手段4cによって対象面Mに投影するデジタル画像表示処理を実行し、ステップS104に処理を進める。
【0090】
すなわち、ステップS101→ステップS105と進む処理によれば、選択コンテンツデータが非星空関連コンテンツデータである場合、投影モード切替手段4bによって映像表示装置1がプロジェクタ投影モードに自動的に切り替えられる。また、ステップS101→ステップS102→ステップS105と進む処理によれば、選択コンテンツデータが星空関連コンテンツデータであっても、その時が同期再生以外の再生時間であれば、投影モード切替手段4bによって映像表示装置1がプロジェクタ投影モードに自動的に切り替えられる。
【0091】
以上のように構成される映像表示システムによれば、選択コンテンツデータとして星空関連コンテンツデータを選択した場合には、必要なタイミングで、同期表示処理により、必要な状態の星空画像がデジタル画像と共に対象面Mに投影されるため、星空画像及びデジタル画像を組み合わせて意図した映像を対象面Mに投影することが容易になる。また、コンテンツデータの選択によって一連の処理が自動的に行われるため、迅速性や手間の軽減の観点でもメリットが大きい。
【0092】
また、映像表示装置1は、2つの筐体26,27に必要な部品が略全て内装されて全体が一体化しているため、取り扱いが容易である。
【0093】
なお、星空関連コンテンツデータの全再生時間の全てを同期再生時間としてもよく、この場合には、ステップS102の処理が不要になり、ステップS101において選択コンテンツデータが星空関連コンテンツデータである場合にはステップS103に進む一方で、そうでない場合にはステップS105に処理を進める。
【0094】
また、
図11に仮想線で示す通り、情報端末70の記憶部72にコンテンツデータ記憶領域72aを確保してもよい。このコンテンツデータ記憶領域72aには、サーバ90と同様に、一又は複数の星空関連コンテンツデータ及び一又は複数の非星空関連コンテンツデータが記憶されている。
【0095】
これに対応して、情報端末70には、
図11に仮想線で示す通り、コンテンツデータ記憶領域72aに記憶されたコンテンツデータをネットワーク80経由で映像表示装置1に提供するコンテンツデータ提供手段71gを設けている。
【0096】
その他、
図11に仮想線で示す通り、情報端末70には、映像表示装置1の投影モード切替手段4bと同一の機能を有する投影モード切替手段71hと、表示モード切替手段4fと同一の機能を有する表示モード切替手段71iとの一方又は両方を設け、映像表示装置1の負荷を軽減させてもよい。
【0097】
また、映像表示装置1の記憶部11のコンテンツデータ記憶領域11aに、初期設定画面に係るコンテンツデータの他、サーバ90に記憶させた上述のコンテンツデータである一又は複数の星空関連コンテンツデータ及び一又は複数の非星空関連コンテンツデータを記憶させてよい。この場合には、情報端末70やサーバ90からコンテンツデータ提供手段71g,91aを省略させることが可能になる。
【0098】
さらに、
図12に仮想線で示す通り、サーバ90の制御部91にも、映像表示装置1の投影モード切替手段4bと同一の機能を有する投影モード切替手段91bと、表示モード切替手段4fと同一の機能を有する表示モード切替手段91cとの一方又は両方を設け、映像表示装置1の負荷を軽減させてもよい。
【0099】
また、コンテンツデータ記憶領域11a,72a,92aに記憶するコンテンツデータとして、通常デジタル画像及び拡大デジタル画像を含む動画データ又はスライドデータであって、且つ、該動画データの再生又は該スライドデータの再生によって通常モードと拡大モードとが自動的に切り替えられる表示モード切替機能付きコンテンツデータを含めてもよい。
【0100】
ちなみに、上述した通常デジタル画像には、拡大デジタル画像と同一のサイズを有し、通常範囲R2には動画に係る映像を投影され、拡大範囲R1における通常範囲R2と重複しない範囲には対象面Mと同一の単一色又は黒若しくは白等の単一の背景色が投影される疑似的な通常デジタル画像が含まれる。
【0101】
このような表示モード切替機能付きコンテンツデータを用いれば、表示モード切替手段4f,71i,91cを省略することも可能になる。さらに、疑似的な通常デジタル画像を用いれば、投影範囲変更部14も省略が可能になり、さらに構成が簡略化される。
【符号の説明】
【0102】
2 プロジェクタ
3 投影機
4b 投影モード切替手段
4e 同期表示手段
4f 表示モード切替手段
11 記憶部
14 投影範囲変更部
16 光源
17 画像描写体(原板,恒星原板,フィルム)
70 情報端末(スマホ)
71h 投影モード切替手段
71i 表示モード切替手段
72 記憶部
90 サーバ
91b 投影モード切替手段
91c 表示モード切替手段
92 記憶部
M 対象面
R1 拡大範囲
R2 通常範囲