(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186221
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20120101AFI20221208BHJP
【FI】
G06Q10/06 300
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094333
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】517157927
【氏名又は名称】株式会社SmartHR
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】金岡 亮
(72)【発明者】
【氏名】埜村 勇斗
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】組織の課題を適切に特定すること。
【解決手段】情報処理装置が、第1組織に関する第1組織情報を取得すること、第1組織情報と、他の組織に関する他の組織情報であって、他の組織課題を含む他の組織情報とに基づいて、第1組織の組織課題を特定すること、第1組織の組織課題を出力することを実行する、情報処理方法。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置が、
第1組織に関する第1組織情報を取得すること、
前記第1組織情報と、他の組織に関する他の組織情報であって、他の組織課題を含む他の組織情報とに基づいて、前記第1組織の組織課題を特定すること、
前記第1組織の組織課題を出力することを実行する、情報処理方法。
【請求項2】
前記特定することは、
前記第1組織情報と、前記他の組織情報とに基づいて、前記第1組織に関連する第2組織を特定すること、
前記第2組織に関連付けられる第2組織課題に基づいて、前記第1組織の組織課題を特定すること、を含む、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記情報処理装置が、
前記第1組織の組織課題を改善する期間及び目標を設定することをさらに実行し、
前記出力することは、前記期間及び前記目標をさらに出力することを含む、請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記設定することは、前記他の組織の実績に基づいて前記期間及び前記目標を設定する、請求項3に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記設定することは、前記第1組織における改善手法をさらに設定することを含み、
前記出力することは、前記改善手法をさらに出力することを含む、請求項3又は4に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記第2組織を特定することは、前記第1組織情報に含まれる業種、事業の価値を生み出す源泉、事業ドメインの数、部門数、従業員数、及び従業員の増加率の少なくとも1つに基づいて、前記第2組織を特定することを含む、請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記第1組織の組織課題は、前記他の組織の過去の組織課題を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記第1組織の組織課題は、過去に改善された前記他の組織の組織課題を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項9】
各組織情報は、各組織の従業員に対して実施されるエンゲージメントに関する調査の結果を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記情報処理装置が、
特定された前記組織課題に基づいて、エンゲージメントに関する調査項目を、前記第1組織に属する従業員の情報処理装置に所定のタイミングで送信することをさらに実行する請求項1から9のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記調査項目は、特定された組織課題に関する調査項目を含む、請求項10に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記所定のタイミングは、(1)所定人数以上の退社又は入社の有無、(2)前記第1組織に関する組織数の増減、(3)前記第1組織に関する役職者の設定又は削除、及び(4)前記(1)~(3)のいずれかの発生から所定期間経過後のうち、少なくとも1つに基づいて設定される、請求項10又は11に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記情報処理装置が、
前記第1組織の組織課題の改善進捗状況に応じて、請求処理をさらに実行する請求項1から12のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項14】
前記請求処理は、前記第1組織に関する従業員数、業種、目標の達成度合いの少なくとも1つに基づいて請求額を設定する処理を含む、請求項13に記載の情報処理方法。
【請求項15】
情報処理装置に、
第1組織に関する第1組織情報を取得すること、
前記第1組織情報と、他の組織に関する他の組織情報であって、他の組織課題を含む他の組織情報とに基づいて、前記第1組織の組織課題を特定すること、
前記第1組織の組織課題を出力すること
を実行させる、プログラム。
【請求項16】
1又は複数のプロセッサを含む情報処理装置であって、
前記1又は複数のプロセッサが、
第1組織に関する第1組織情報を取得すること、
前記第1組織情報と、他の組織に関する他の組織情報であって、他の組織課題を含む他の組織情報とに基づいて、前記第1組織の組織課題を特定すること、
前記第1組織の組織課題を出力すること
を実行する、情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の技術は、情報処理方法、情報処理装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、組織に対するエンゲージメントを向上するための対策がなされている。例えば、人事関連データと従業員アンケートに基づいて、個人に対する施策を最適化するシステムが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、組織に対する課題については、その要因が様々あり、適切な課題を特定することが困難である。例えば、同業種であっても、規模が異なれば課題は異なり、同規模であっても、業種が異なれば課題は異なり、同業種同規模であっても、従業員の性質によって課題が異なる場合がある。
【0005】
そこで、開示技術は、組織の課題を適切に特定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の一態様における情報処理方法は、情報処理装置が、第1組織に関する第1組織情報を取得すること、前記第1組織情報と、他の組織に関する他の組織情報であって、他の組織課題を含む他の組織情報とに基づいて、前記第1組織の組織課題を特定すること、前記第1組織の組織課題を出力することを実行する。
【発明の効果】
【0007】
開示技術によれば、組織の課題を適切に特定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】一実施形態に係るサーバの一例を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態に係るユーザ端末の一例を示す図である。
【
図4】一実施形態に係る組織情報(その1)の一例を示す図である。
【
図5】一実施形態に係る組織情報(その2)の一例を示す図である。
【
図6】一実施形態に係る調査項目を説明するための図である。
【
図7】一実施形態に係る調査結果、組織課題、改善アクションの事例を示す図である。
【
図8】一実施形態に係る課題特定に関する処理の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面を参照して、本開示の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0010】
[実施形態]
<システム構成>
図1は、開示の一実施形態に係る情報処理システム1の構成の一例を示す図である。
図1に示すとおり、情報処理システム1は、サーバ10と、組織Aにおける1又は複数のユーザ端末20A-1、20A-2、組織Bにおける1又は複数のユーザ端末20B-1、20B-2を含む。以下、同一組織内のユーザ端末を区別しない場合は、ユーザ端末20A、20Bと表記し、組織に関わらずユーザ端末を区別しない場合は、ユーザ端末20と表記する。
【0011】
サーバ10と、1又は複数のユーザ端末20とは、ネットワークNを介して相互にデータの送受信が可能である。サーバ10は、複数の処理装置により構成されてもよく、ユーザ端末20A、20Bは任意の数でもよい。また、組織数は2つに限らず、任意の数の組織が存在しうる。また、同一組織内においても、一般従業員が使用するユーザ端末と、人事や経営者などの特定の従業員が使用するユーザ端末とが区別されてもよい。なお、従業員の雇用形態によってユーザ端末が区別されてもよい。
【0012】
情報処理システム1は、例えば、組織Aに属する従業員等からの調査結果、人事又は経営者などの特定の従業員からのヒアリング結果、公開情報などの少なくとも1つに基づく組織情報を取得する。また、情報処理システム1は、取得した組織情報に基づいて、その組織の状態に応じて適切な組織課題を特定し、改善した方がよい課題を組織Aに提案する。例えば、情報処理システム1は、取得した組織情報に基づいて、その組織の状態に類似する他の組織を特定し、他の組織において特定された組織課題を基に、組織Aの組織課題を特定し、提案してもよい。
【0013】
ここで、組織は、例えば、会社等の法人、役所、病院、地域コミュニティ等がある。また、組織の単位は、特に制限されず、例えば、上述した会社等でもよいし、会社における部署又はグループ等でもよい。
【0014】
サーバ10は、情報処理システム1において上述した課題特定処理を実行する情報処理装置である。サーバ10は、例えば、1又は複数のプロセッサを備える情報処理装置である。サーバ10は、一例として、組織情報を取得、更新したり、調査の実行、集計等の管理をしたり、組織課題を特定、提案したり、このサービスの提供に係る請求をしたりする。
【0015】
ユーザ端末20は、サーバ10が提供するサービスに対する情報提供、結果取得を実行する情報処理装置(又は処理端末)である。ユーザ端末20として、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等の携帯端末等が用いられてもよい。
【0016】
ユーザ端末20には、サーバ10が提供するサービスを利用するためのアプリケーションプログラム(アプリ)がインストールされてもよい。このアプリは、サーバ10が提供するサービスにおいて、開示の調査処理や課題表示処理をユーザ端末20に実行させる。このアプリを実行することにより、ユーザ端末20はサーバ10にアクセスして、アプリの実行に用いる情報を送受信する。
【0017】
また、ユーザ端末20は、ウェブブラウザを用いて、サーバ10が提供するウェブサイト(又はウェブページ)にアクセスし、このウェブサイトにおいて提供される開示のサービスを受けてもよい。
【0018】
<サービス概要>
ここで、開示のサービスの一例における基本的な概要について説明する。人事、部長、又は社長等の所定のユーザは、ユーザ端末20を用いて、対象組織に関する組織情報の少なくとも一部を入力、更新し、サーバ10に送信する。組織情報は、例えば、組織の業種、規模、従業員の性質等の少なくとも1つである。
【0019】
ユーザは、組織のエンゲージメントに関する調査項目に対して、例えばユーザ端末20を用いて回答する。調査項目は、サーバ10から調査項目データとしてユーザ端末20に送信されてもよいし、調査項目が印刷された紙が配布されてもよい。各ユーザ端末20から送信された調査結果は、サーバ10により取得され、集計される。
【0020】
サーバ10は、調査結果を含む組織情報を用いて、少なくとも一部の組織情報が同一または類似する組織情報を有する他の組織を特定する。サーバ10は、特定された組織に関連付けられる組織課題に基づいて、対象組織の課題を特定する。サーバ10は、特定した組織課題を対象組織に共有する。例えば、サーバ10は、特定した組織課題を組織Aの所定のユーザのユーザ端末20に送信して共有する。以下、上述したサービスを実行可能にする情報処理システム1の各構成等について詳細に説明する。
【0021】
<サーバの構成>
図2は、開示の一実施形態に係るサーバ10の一例を示すブロック図である。サーバ10は、1つ又は複数のプロセッサ(例えばCPU)110、1つ又は複数のネットワーク通信インタフェース120、記憶装置(記憶部)130、及びこれらの構成要素を相互接続するための1つ又は複数の通信バス170を含む。
【0022】
サーバ10は、場合によりユーザインタフェース150を含んでもよく、これとしては、ディスプレイ、及び入力装置(キーボード及び/又はマウス、又は他の何らかのポインティングデバイス等)を挙げることができる。
【0023】
記憶装置130は、例えば、DRAM、SRAM、他のランダムアクセス固体記憶装置などの高速ランダムアクセスメモリ(主記憶装置)である。また、記憶部130は、1つ又は複数の磁気ディスク記憶装置、光ディスク記憶装置、フラッシュメモリデバイス、又は他の不揮発性固体記憶装置などの不揮発性メモリ(補助記憶装置)でもよい。また、記憶装置130は、プログラム等を記憶した、コンピュータにより読み取り可能な非一時的な記録媒体でもよい。また、記憶装置130は、主記憶装置(メモリ)又は補助記憶装置(ストレージ)のいずれかでもよく、あるいは両方を備えてもよい。
【0024】
記憶装置130は、情報処理システム1により用いられるデータ、プログラム等を記憶する。例えば、記憶装置130は、各組織の組織情報、調査項目データなどの課題特定に関するデータを記憶する。なお、各データについては、
図4~6を用いて後述される。
【0025】
また、記憶装置130の他の例として、プロセッサ110から遠隔に設置される1つ又は複数の記憶装置でもよい。ある実施形態において、記憶装置130はプロセッサ110により実行されるプログラム、モジュール及びデータ構造、又はそれらのサブセットを格納する。
【0026】
プロセッサ110は、記憶装置130に記憶されるプログラムを実行することで、例えば、サービス制御部112、取得部113、組織特定部114、課題特定部115、出力部116、設定部117、調査制御部118、請求処理部119を構成する。
【0027】
サービス制御部112は、開示されたサービスを制御する。例えば、サービス制御部112は、組織情報の取得を制御したり、組織情報の登録、更新を制御したり、課題特定を制御したりする。また、サービス制御部112は、開示されたサービスの実行を制御するために、取得部113、組織特定部114、課題特定部115、出力部116、設定部117、調査制御部118、請求処理部119を有する。
【0028】
取得部113は、第1組織に関する第1組織情報を取得する。例えば、取得部113は、第1組織に属する従業員のユーザ端末20から送信された第1組織情報を取得してもよいし、サーバ10のユーザインタフェース150を用いて入力された第1組織情報を取得してもよいし、記憶装置130に記憶された第1組織情報を取得してもよいし、これらの情報を組み合わせて第1組織情報を取得してもよい。
【0029】
例えば、第1組織情報は、第1組織の事業に関する情報、規模に関する情報、特殊事情、調査に関する情報のうち少なくとも1つを含んでもよい(
図4及び5参照)。事業に関する情報は、例えば、製造業、卸売、EC(Electronic Commerce)などの事業分類、事業内容、その事業の価値を生み出す源(価値の源泉)、事業ドメインの数、市場の伸び、部門数などを含んでよい。
【0030】
規模に関する情報は、例えば、従業員数、所定期間(例:3年)の従業員増加率、今後の組織拡大の予想などを含んでよい。特殊事情は、例えば、海外に関する情報、中途や新卒に関する情報、新規事業の有無、離職率などに関する情報を含んでよい。
【0031】
調査に関する情報は、例えば、従業員の全体平均スコア(調査結果をスコア化し、従業員全員のスコアの平均値)、回答率、改善する質問(例:調査項目)、改善アクション(改善手法)などを含む。なお、平均スコアに代えて中央値スコアなどの代表値を用いた代表値スコアを用いてもよい。
【0032】
組織特定部114は、取得部113により取得される第1組織情報と、記憶装置130に記憶される他の組織に関する他の組織情報とに基づいて、第1組織に関連する第2組織を特定する。例えば、組織特定部114は、第1組織情報に含まれる各項目の内容と、他の組織情報に含まれる各項目の内容との類似度を算出し、この類似度の高い組織を特定してもよい。
【0033】
なお、組織特定部114は、第1組織情報に類似する組織情報を有する他の組織を特定する方法はいずれの方法を用いてもよい。例えば、複数の組織の組織情報を入力し、最も類似する組織を出力する学習モデルが構築されると、組織特定部114は、この学習モデルを保持し、第1組織情報を学習モデルに入力して、第1組織情報に類似する組織情報を有する組織を取得してもよい。
【0034】
課題特定部115は、組織特定部114により特定される第2組織に関連付けられる組織課題に基づいて、第1組織の組織課題を特定する。例えば、課題特定部115は、第2組織の組織情報に含まれる組織課題(改善する質問等)を抽出し、改善する質問等に基づいて第1組織の組織課題を特定してもよい。ここでは、第2組織に関連付けられる課題は、第2組織の組織情報に含まれる組織課題と同義であるとしてもよい。
【0035】
組織課題は、例えば、「社員のキャリアが見えない」、「新規事業を推進しづらい」、「上司と部下がコミュニケーション不足」などである。また、組織課題は、従業員等に対して実施される調査の調査項目や、1又は複数の調査項目から特定される課題などでもよい。また、組織課題は、1又は複数の調査項目に関連付けられ、例えばスコアの低い調査項目が抽出されると、抽出された調査項目から組織課題が特定されてもよい。
【0036】
なお、組織特定部114と課題特定部115とは、1つの特定部としてまとめられてもよい。例えば、類似組織の特定と、課題の特定とが1つの処理にまとめられてもよい。具体例としては、組織特定部114及び課題特定部115をまとめた特定部は、組織情報と、組織の課題とを学習データとして学習させておき、この学習モデルを構築しておく。この特定部は、学習済みの学習モデルに組織情報を入力し、出力される組織課題を取得してもよい。
【0037】
出力部116は、課題特定部115又は特定部により特定される第1組織の組織課題を出力する。例えば、出力部116は、サーバ10のユーザインタフェース150において表示されるように出力したり、ユーザ端末20に、ネットワーク通信インタフェース120を介して送信するよう出力したりする。
【0038】
以上の処理により、対象組織の組織情報に基づいて、この組織情報に関連する組織情報を有する組織を特定し、この組織が有する組織課題を基に、対象組織の適切な課題を特定することが可能である。組織が複雑な要因を有する場合であっても、同様の組織情報を有する組織に存在する組織課題を基に、対象会社の組織課題が特定されるので、より適切な組織課題を特定し、提案することが可能になる。
【0039】
設定部117は、第1組織の組織課題を改善する期間及び目標を設定する。例えば、設定部117は、第1組織の組織課題を改善するために必要となる期間や、達成可能な目標を設定する。目標は、例えば、再度の調査の調査項目に対する回答の平均スコアのアップ等である。例えば、課題ごとに、予め期間や目標が対応付けられていてもよいし、課題ごとに、事業情報及び/又は規模情報に基づいて組織をグループ分けし、各グループに期間や目標が対応づけられていてもよい。
【0040】
期間及び目標が設定される場合、出力部116は、設定される期間及び目標をさらに出力してもよい。例えば、出力部116は、改善すべき組織課題とともに、期間や目標を出力する。
【0041】
これにより、課題だけではなく、課題を改善するための期間や目標を設定し、対象組織に提案することが可能になる。その結果、対象会社は課題に対する対策を決定しやすくなり、速やかに対策を実行することが可能である。
【0042】
また、設定部117は、他の組織、又は組織特定部114により特定される第2組織の実績に基づいて、期間及び目標を設定してもよい。例えば、組織特定部114は、第2組織の課題や、所定の目標をどれくらいの期間で達成できたか否か等を第2組織情報から取得し、この課題に対する改善実績に基づいて、第1企業の課題に対する期間や目標を設定する。なお、第2組織情報に含まれる組織課題には、改善期間やスコアアップなどの改善目標を含む改善実績情報が対応付けられるとよい。
【0043】
これにより、設定される期間や目標が、改善実績に基づいて設定されることで、設定する期間や目標に根拠を持たせることが可能になり、実効性のある組織課題、期間、目標を設定することができる。
【0044】
また、設定部117は、組織特定部114により特定される第2組織が複数ある場合、第2組織の改善実績(どのくらいの期間で調査結果のスコアが何ポイント改善したか)の代表値(最大値、最低値、平均値、又は中央値など)に基づいて、改善の期間と目標とを設定してもよい。
【0045】
また、設定部117は、特定される組織課題に対して、第1組織における改善手法(改善アクション)をさらに設定してもよい。例えば、設定部117は、各課題に対応する改善手法を少なくとも1つ対応付けた対応情報を保持しておき、この対応情報を参照することで、特定される課題に対応する改善手法を設定してもよい。
【0046】
改善手法が設定される場合、出力部116は、改善手法をさらに出力することを含んでもよい。例えば、出力部116は、改善すべき組織課題とともに、改善手法を出力し、また、期間や目標を出力してもよい。
【0047】
これにより、課題だけではなく、課題を改善するための改善手法を設定し、対象組織に提案することが可能になる。その結果、対象会社は課題に対する改善手法を容易に決定しやすくなり、迅速に改善手法の実施に取り組むことが可能になる。
【0048】
また、設定部117は、第2組織の改善実績に基づいて、実際に第2組織により改善された改善手法を設定してもよい。また、設定部117は、組織ごとの従業員の属性情報(社歴、業務内容など)に応じて、改善の期間と目標とを調整してもよい。例えば、社歴が浅い従業員が多い組織であれば、設定部117は、期間を所定期間長くし、目標値を達成しやすい目標値(目標スコアを下げるなど)に設定してもよい。
【0049】
また、設定部117は、所定期間蓄積された対象組織の改善実績がある場合、この改善実績に基づいて、統計的手法を利用して、改善の期間や目標を設定してもよい。例えば、設定部117は、自己回帰モデル、移動平均モデルなどの統計的手法を利用し、改善の機関や目標の設定を変更してもよい。具体例として、設定部117は、移動平均モデル等により、季節変動があるような組織課題の場合、改善時期に応じて期間を調整したり、目標(目標スコア)を調整したりしてもよく、例えば、繁忙期には目標スコアを下げるなどの調整を加えてもよい。
【0050】
また、組織特定部114は、第1組織情報に含まれる業種、事業の価値を生み出す源泉(価値の源泉)、事業ドメインの数、部門数、従業員数、及び成長率の少なくとも1つに基づいて、第2組織を特定してもよい。例えば、組織特定部114は、価値の源泉、事業ドメインの数により類似する組織を特定してもよい。これは、組織の類似性を判断する際に、価値の源泉と事業ドメインの数とを用いることで、ある程度類似企業を特定することができるため、この価値の源泉と事業ドメインの数との項目が、優先度が高い場合があるからである。
【0051】
これにより、対象組織に類似する組織を特定する際に、具体的な項目を用いて類似性を判定することが可能になり、類似する組織の特定をより容易にすることができる。また、対象企業に優先度の高い項目を少なくとも設定してもらうことで、効率よく組織特定を行うことが可能になる。
【0052】
また、第1組織の組織課題は、他の組織、又は特定された第2組織の過去の組織課題を含んでもよい。例えば、課題特定部115は、第1組織の組織課題を特定する際に、類似する第2組織に対して過去に実際に提案した組織課題を特定してもよい。具体的には、上述したように、第2組織に対して、過去に提案された実績情報(組織課題、期間、目標、改善手法など)が関連付けられて記憶装置130に登録されてもよい。課題特定部115は、記憶装置130に記憶された過去に提案された実績情報を参照して組織課題を特定すればよい。
【0053】
これにより、対象組織に対して組織課題を提案する際に、類似する組織に対して実際に提案された組織課題を特定することが可能になり、課題に対する改善手法などが提案しやすくなる。
【0054】
また、第1組織の組織課題は、他の組織、又は過去に改善された第2組織の組織課題を含んでもよい。例えば、課題特定部115は、第1組織の組織課題を特定する際に、類似する第2組織に対して過去に実際に提案し、改善された組織課題を特定してもよい。具体的には、第2組織に対して、過去に提案された実績情報(組織課題、期間、目標、改善手法など)が関連付けられ、さらに改善された組織課題を特定する情報(例えばフラグ等)が記憶装置130に登録されるとよい。課題特定部115は、記憶装置130に記憶された過去に提案された実績情報を参照し、改善された実績のある組織課題を特定すればよい。
【0055】
これにより、対象組織に対して組織課題を提案する際に、類似する組織に対して実際に提案され、改善された組織課題を特定することが可能になり、改善可能性のある課題を提案することができる。
【0056】
また、各組織情報は、各組織の従業員に対して実施されるエンゲージメントに関する調査の結果を含んでもよい。例えば、第1組織情報及び他の組織情報は、実施された調査の結果を含んでもよい。調査は、組織のエンゲージメントに関して複数の調査項目(質問)が従業員に対して実施される。この際、従業員の属性(性別、社歴、部門、年齢、役職等)に関連付けて調査結果を記憶装置130に記憶しておくとよい。
【0057】
これにより、実施された調査結果に基づく組織の従業員の性質を用いることで、より適切な組織課題を特定することが可能になる。例えば、課題特定部115は、第1組織に類似する第2組織と比較して、調査結果のスコアが低い調査項目(質問)に関連する課題を組織課題として特定してもよい。これにより、業種、規模、従業員の性質が類似する他の企業との違いを見出し、その点を組織課題とすることも可能になる。
【0058】
また、課題特定部115は、対象組織に属する従業員の属性(例えば、勤続期間など)に応じて、複数の組織課題の中から、提案する組織課題を特定してもよい。例えば、勤続期間の長い従業員が多い組織には、難易度が高めの組織課題が特定されてもよい。このように、組織課題には難易度が設定されてもよい。この場合、課題特定部115は、組織情報から難易度を特定し、この難易度に応じた組織課題を特定してもよい。
【0059】
調査制御部118は、特定された第1組織の組織課題に基づいて、エンゲージメントに関する調査項目を、第1組織に属する従業員の情報処理装置(ユーザ端末20)に所定のタイミングで送信する。例えば、調査制御部118は、特定された組織課題に対して、改善されているか否かを評価するために、再度調査を実施してもよい。調査制御部118は、再度の調査結果を集計、分析して、組織課題に対する改善進捗を評価してもよい。改善進捗の評価は、例えば、調査結果の調査項目に対する平均スコアのアップ率等を用いて行われる。
【0060】
これにより、所定のタイミングで再調査を実施することが可能になり、特定された組織課題に対する改善の進捗具合を評価することが可能になる。
【0061】
また、実施される調査の調査項目は、特定された組織課題に関する調査項目を含んでもよい。例えば、調査制御部118は、再調査を実施する場合、全ての調査項目を再実施するのではく、特定された組織課題に関連する調査項目を選定し、選定された調査項目のみを対象従業員のユーザ端末20に送信すればよい。
【0062】
これにより、再調査を実施する場合、特定された組織課題に関する調査項目のみを従業員に問い合わせることができ、効率よく再調査を実施することができる。また、従業員の回答負担を減らすことができ、回答率のアップが期待できる。
【0063】
また、再調査を実施する所定のタイミングは、以下の(1)~(4)の少なくとも1つに基づいて設定されてもよい。
(1)所定人数以上の退社又は入社があった場合
(2)第1組織に関する組織数の増減があった場合
(3)第1組織に関する役職者の設定又は削除があった場合、及び
(4)上記(1)~(3)のいずれかの発生から所定期間経過後した場合
【0064】
これにより、適切なタイミングで再調査を実施することが可能になる。また、上記のタイミングで、サービス制御部112は、組織情報の入力又は更新を対象組織のユーザ端末20に通知してもよい。また、上記のタイミングは、再調査だけではなく、1回目の調査の実施のタイミングでもよい。
【0065】
また、調査制御部118は、特定された組織課題に関連する調査項目を、組織の所定の従業員(例えば、人事、役職者など)のユーザ端末20に送信するようにしてもよい。これにより、所定の従業員は、事前に調査項目を確認することが可能になる。また、調査制御部118は、所定の従業員のユーザ端末20から、調査項目に対する承認通知を受けた場合、承認された調査項目を用いて組織に属する従業員のユーザ端末20に調査を実施するようにしてもよい。調査制御部118は、実際の調査時には、所定の従業員のユーザ端末20には調査項目を送信しないようにしてもよい。
【0066】
請求処理部119は、特定された第1組織の組織課題の改善進捗状況に応じて、請求処理を実行してもよい。例えば、請求処理部119は、設定された1又は複数の組織課題のうち、改善された課題の数に応じて請求額を設定して請求処理を実行してもよい。また、課題に応じて重みづけが行われて請求額が設定されてもよい。
【0067】
これにより、請求処理を明確化することができ、例えば客観的なデータに基づいて請求額を決定すること等が可能になる。
【0068】
また、請求処理は、第1組織に関する従業員数、業種、目標の達成度合いの少なくとも1つに基づいて請求額を設定する処理を含んでもよい。例えば、請求処理部119は、再調査の平均スコアのアップ率に応じて請求額を決定してもよいし、平均スコアが目標値を超えた時に課金を行ってもよい。また、請求処理部119は、従業員の属性情報、従業員数、業種などから課題改善の難易度を設定し、この難易度に基づいて請求額を決定してもよい。
【0069】
また、請求処理部119は、組織規模が大きいほど高い金額にしてもよく、従業員数に応じて金額を高くしてもよく、業種に応じて金額を変更してもよく、人材が重要な業種(例えば、「価値の源泉」が個人力)ほど金額を高く設定してもよい。
【0070】
これにより、組織の特性に応じて請求処理を行うことができ、また、客観的なデータに基づいて課金などを行うこと等が可能になる。なお、請求処理部119は、サービス期間中の所定期間ごとに所定金額を請求してもよい。
【0071】
また、組織特定部114は、第1組織に関連する第2組織がないと判定した場合(例えば最高の類似度が閾値以下の場合)、課題特定部115は、所定のグループ内の組織における調査結果のスコアよりも低いスコアの調査項目を特定し、この調査項目に基づいて組織課題を特定してもよい。所定のグループは、全組織を含むグループでもよいし、組織情報のうちの少なくとも1つの項目(事業、規模など)が関連する組織を含むグループでもよい。これにより、サービスリリース時の初期の段階などで、組織情報が記憶装置130に十分な量保存されていない場合でも、利用可能なデータを用いて適切な組織課題を特定することが可能になる。
【0072】
また、組織特定部114、課題特定部115、設定部117、調査制御部118は、人工知能(AI:Artificial Intelligence)、例えば機械学習などを利用して実現されてもよい。例えば、各部の入力データ、出力データを学習データとして推論モデル(学習モデル)が構築される。このとき、各部は、各自が保有する学習モデルを利用して、新たなデータを入力データとし、出力データを取得する。なお、学習は、教師あり学習、教師なし学習、強化学習、対照学習などを適用可能である。
【0073】
<ユーザ端末の構成>
図3は、開示の一実施形態に係るユーザ端末20の一例を示す図である。ユーザ端末20は、1つ又は複数のプロセッサ(例、CPU)210、1つ又は複数のネットワーク通信インタフェース220、記憶装置(記憶部)230、ユーザインタフェース250、及びこれらの構成要素を相互接続するための1つ又は複数の通信バス270を含む。
【0074】
ユーザインタフェース250は、ディスプレイ251、及び入力装置(キーボード及び/又はマウス、又は他の何らかのポインティングデバイス等)252を含む。
【0075】
記憶装置230は、例えば、DRAM、SRAM、又は他のランダムアクセス固体記憶装置などの高速ランダムアクセスメモリ(主記憶装置)である。また、記憶装置230は、1つ又は複数の磁気ディスク記憶装置、光ディスク記憶装置、フラッシュメモリデバイス、又は他の不揮発性固体記憶装置などの不揮発性メモリ(補助記憶装置)でもよい。また、記憶装置230は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体でもよい。また、記憶装置230は、主記憶装置(メモリ)又は補助記憶装置(ストレージ)のいずれかでもよく、あるいは両方を備えてもよい。
【0076】
記憶装置230は、情報処理システム1により用いられるデータやプログラムを記憶する。例えば、記憶装置230は、情報処理システム1におけるユーザ端末20用のアプリケーションプログラムなどを記憶する。
【0077】
プロセッサ210は、記憶装置230に記憶されるプログラムを実行することで、クライアントアプリケーション212を構成する。クライアントアプリケーション212は、例えば、ウェブブラウザやメールアプリケーションなどを含む。ウェブブラウザは、サーバ10により提供されるウェブページの閲覧を可能にする。また、インストールされたユーザ端末用のアプリケーションの実行により、上述したサービスが提供されるウェブページの閲覧が可能になる。クライアントアプリケーション212は、サービス提供を受けるため、取得部213、調査処理部214、出力部215を有する。
【0078】
取得部213は、サーバ10から送信された組織情報の入力画面情報や、調査に関する情報(例、調査項目データ)、組織課題情報などを取得する。例えば、人事や経営者などの所定の従業員のユーザ端末20の取得部213は、組織情報の入力画面情報、組織課題情報を取得し、一般従業員のユーザ端末20の取得部213は、調査に関する情報を取得する。
【0079】
調査処理部214は、取得された調査項目をディスプレイ251に表示させ、従業員に回答させ、この回答を受け付ける。
【0080】
出力部215は、調査結果をサーバ10に送信するよう出力する。このとき、出力部215は、回答した従業員の従業員ID又は属性とともに調査結果を出力してもよい。また、出力部215は、回答した従業員が特定されない範囲で従業員の属性を調査結果とともに出力してもよい。
【0081】
また、人事や経営者などの所定の従業員のユーザ端末20の出力部215は、取得された組織情報の入力画面や組織課題をディスプレイ251に表示させるように出力してもよい。
【0082】
<各データの例>
次に、サーバ10の記憶装置230に格納される各データの例について
図4~6を用いて説明する。
図4は、一実施形態に係る組織情報(その1)の一例を示す図である。
図5は、一実施形態に係る組織情報(その2)の一例を示す図である。
図6は、一実施形態に係る調査項目を説明するための図である。
【0083】
図4に示す組織情報には、会社名に関連付けて、主に組織の事業情報、規模情報、特殊事情情報が含まれる。会社名は、会社を識別する会社識別情報などでもよい。事業情報には、分類(業種)、事業内容、価値の源泉、事業ドメインの数、市場の伸び、部門数などが含まれる。
【0084】
「分類」は、組織の業種を示し、例えば、製造、卸売、EC、販売などの少なくとも1つを含む。「事業内容」は、組織の事業内容を示し、例えば、薬品の開発と販売、ビジネス手帳の企画、販売などを含む。「価値の源泉」は、組織の事業の価値を生み出す源泉となるものを示し、例えば、専門家などが多い「個人力」、プロダクトやサービスなどに強みを持つ「サービス・サービス提供の仕組み」などを含む。「事業ドメインの数」は、組織の事業領域の数を示し、例えば、単数か複数かを含む。「市場の伸び」は、組織の事業の市場性を示し、例えば、少し拡大、横ばい、少し縮小などを含む。「部門数」は、組織内の部門数を示す。これらの事業情報は、組織内の所定の従業員に入力、更新されてもよいし、サービス提供者が組織にヒアリングをし、ヒアリング結果に基づいてサービス提供者に入力、更新されてもよい。
【0085】
また、組織情報には、規模情報が含まれる。この規模情報には、従業員数、過去3年の従業員の増加率、今後の組織拡大の予定などが含まれる。
【0086】
「従業員数」は、組織内に属する従業員数を含む。「過去3年の従業員の増加率」は、所定の期間における従業員数の増加率である。また、従業員の増加率だけでなく、「従業員の成長率」を用いてもよい。所定の基準により算出される増加率を含む。例えば、この成長率は、調査結果のスコアの伸び率が利用されてもよいし、組織独自又は公知の評価基準で算出される従業員の成長率が利用されてもよいし、組織内の従業員からのヒアリング結果が反映されてもよい。「今後の組織拡大の予定」は、組織の拡大予定を示す指標であり、例えば、組織内の従業員等からのヒアリング結果を含む。
【0087】
また、組織情報には、特殊事情情報が含まれる。この特殊事情情報には、組織や従業員に関する特殊事情が含まれ、例えば、親会社が海外、中途採用のみ、新規事業を展開、離職が多いなどが含まれる。なお、図示しないが、所定期間における離職率が含まれてもよい。
【0088】
図5に示す情報には、会社名に関連付けて、従業員に実施された調査の結果が含まれる。なお、
図4に示す情報と
図5に示す情報とを含む組織情報は、1つの組織情報として記憶装置230に保存されてもよいし、会社名などを主キーとして関連付けして、別々の情報として保存されてもよい。
【0089】
組織情報に含まれる(又は関連付けられる)調査結果情報は、組織に対して実施された調査の結果を含む情報である。まず、調査は、複数の調査項目(質問)を含み、各調査項目に対して複数の選択肢が存在する。各選択肢に点数が対応付けられている。また、各調査項目には、質問の分類を示す識別情報(例、質問タグ)が付与されている(
図6参照)。これにより、各調査項目の平均スコア、質問の分類ごとの平均スコア、組織全体の平均スコアなどが算出可能となる。
【0090】
調査結果情報には、全体平均スコア、回答率、改善する質問1、質問タグ、改善する質問(調査項目)1のスコア、改善アクション、次回調査取得時の変化などが含まれる。また、改善対象の質問として登録された個数に応じて、改善する質問タグから次回調査取得時の変化までが繰り返し登録されればよい。
【0091】
例えば、A社の場合、回答した従業員の「全体平均スコア」は、6.5であり、「回答率」は、83.1%である。「回答率」は、調査を実施した全従業員に対する回答をした従業員の割合を示す。「改善する質問1」は、例えば、スコアが低い質問が抽出され、「質問タグ」は、「改善する質問1」の質問に対応する質問タグを示し、「改善する質問1のスコア」は、この質問に対するスコアを示す。
【0092】
A社の場合、「質問タグ」が「文化」であり、「人事評価の結果について十分な説明がなされている」という質問に対するスコアが「5.1」と低いため、改善点として特定されている。この質問に対する「改善アクション」としては、「評価のフィードバックの実施値の徹底と、フィードバック実施者への指導」が挙げられる。次回、同調査項目における調査結果のスコアと現スコアとの差分値等が、「次回調査取得時の変化」に登録される。
【0093】
ここで、C社が課題特定の対象組織であるとする場合、例えば、組織特定部114により、C社に類似する組織としてB社が特定されたとする。この場合、課題特定部115は、以下の少なくとも1つを組織課題として特定してもよい。
A:調査結果のうち、全体平均スコアと比較してスコアが低い調査項目
B:B社の「改善する質問」を特定し、この「改善する質問」
C:A又はBに基づいて所定基準により設定される組織課題
Cの所定基準は、調査項目と課題との対応情報などであり、例えば、調査項目が特定されれば、組織課題も特定される対応テーブルなどを含む。
【0094】
図6に示す情報は、質問タグに関連づけて、どのような質問内容の質問が含まれるかを示す。例えば「質問タグ」が「アウトカム」の質問は、組織へのコミットメントや自己効力感、離職意思や心身の健康状態などエンゲージメント向上の結果として得られる内容に関する質問を含む。
【0095】
以下、各質問タグにおける質問の具体例を例示列挙する。
質問タグ:アウトカム
・仕事に満足だ
・私たちの職場では、お互いに理解し深め合っている。
・自分の仕事に誇りを感じる
・・・
質問タグ:上司
・上司とはどのくらい気軽に話ができますか?
・上司は誠実な態度で対応してくれる
・・・
質問タグ:仕事の負担
・時間内に仕事が処理しきれない
・からだを大変よく使う仕事だ
・・・
質問タグ:同僚
・職場の同僚とはどのくらい気軽に話ができますか?
・・・
質問タグ:心身の健康
・複数人の人からお互いに矛盾したことを要求される
・仕事のことを考えているため自分の生活を充実させられない
・・・
質問タグ:承認と報酬
・自分の仕事に見合う給料ボーナスをもらっている
・・・
質問タグ:文化
・人事評価の結果について十分な説明がなされている
・・・
質問タグ:職務
・自分の職務や責任が何であるか分かっている
・・・
質問タグ:離職意思
・1年以内にはこの仕事をやめたいと思いますか?
【0096】
調査制御部118は、上述したような質問(調査項目)を含む調査を実施する。また、2回目以降の調査の場合には、調査制御部118は、特定された組織課題に関連する質問のみを抽出して調査を実施してもよい。
【0097】
また、業種や規模などの組織情報の項目に応じて質問タグに優先順が付与されるとする。この場合、課題特定部115は、対象組織の該当する業種や規模等に応じて、優先度の高い質問タグにおける質問を抽出し、スコアが低い質問に基づいて組織課題を特定してもよい。
【0098】
<調査結果、組織課題、改善アクションの具体例>
次に、具体的な事例を用いて、特定される組織課題や改善アクションについて説明する。
図7は、一実施形態に係る調査結果、組織課題、改善アクションの事例を示す図である。
【0099】
図7に示す調査結果は以下のとおりである。
・全社平均:6.9/10点満点
・文化の質問タグが6.3/10点と低い
・既存の法人営業を行う部門の会社の方向性への共感が低い
・新しく個人向けの事業を推進する部門のスコアは全体的に良好
【0100】
上記調査結果から特定される組織課題は以下のとおりである。
(1)既存事業を支える社員のキャリアが見えないことによる意欲の低下
(2)既存事業を支える社員が会社の方向性に共感していないために、会社として新規事業を推進しづらい状況
【0101】
上記組織課題に対応する改善アクションは以下のとおりである。
(1)既存事業の人材を個人向けの新規事業に異動させていくため個人向けの事業展開への納得感、共感を高める説明を実施
(2)既存事業を支える社員のモチベーションを向上させるためにキャリア形成や教育体系の整備を検討
【0102】
なお、
図7に示す組織課題及び改善アクションは、人手により分析されたものでもよい。
図7に示す組織課題や改善アクションが改善実績として組織情報に登録されることで、この組織は、組織特定部114による検索対象の組織となってもよい。
【0103】
また、
図7に示す組織を、課題特定の対象組織とする場合、例えば、調査制御部118は、調査結果からスコアを集計し、全体平均6.9点(10点満点)を算出する。次に、組織特定部114は、この組織の組織情報(全体平均6.9などの調査結果を含む)に基づいて、類似する組織を特定する。課題特定部115は、特定された類似組織の組織情報に基づいて、対象組織の組織課題を特定する。このとき、特定された類似組織の改善実績に基づいて、
図7に示す2つの組織課題が特定されてもよい。また、設定部117は、特定された類似組織の改善実績に基づいて、
図7に示す2つの改善アクションを設定してもよい。
【0104】
さらに、課題特定部115は、
図7に示す、特定された2つの課題に基づいて、上位概念の課題を抽出してもよい。この場合、上位の組織課題は、「新規事業を推進するための新たな組織風土づくりに着手」などである。この上位概念の組織課題についても、改善実績として組織情報に含まれ、又は関連付けられていれば、課題特定部115は、上位概念の組織課題を特定することが可能である。
【0105】
<動作説明>
次に、情報処理システム1の各動作について説明する。
図8は、一実施形態に係る課題特定に関する処理の一例を示すシーケンス図である。
図8に示す例では、ユーザ端末20とサーバ10とが連携して処理を実行する。なお、
図8に示す例では、組織Aにおいて、所定のユーザ(人事、役職者など)が利用する端末をユーザ端末20A-1と表記し、一般従業員の端末をユーザ端末20A-2と表記する。
【0106】
ステップS102において、所定のユーザが、ユーザ端末20A-1を利用して、組織情報の入力又は更新を行う。この組織情報は、例えば、事業情報や規模情報を含む。このとき、入力/更新された組織情報は、サーバ10に送信される。これをトリガに、1回目の調査処理が開始されてもよい。
【0107】
ステップS104において、サーバ10の調査制御部118は、所定数の調査項目を含む調査を実施する。このとき、調査制御部118は、各調査項目を、組織Aに属する各ユーザのユーザ端末20A-2に送信する。
【0108】
ステップS106において、ユーザ端末20A-2の調査処理部214は、ユーザにより入力された調査結果を、サーバ10に送信する。
【0109】
ステップS108において、サーバ10の取得部113は、事業情報、規模情報及び調査結果情報を取得すると、これらを組織情報として記憶装置230に登録する。
【0110】
ステップS110において、組織特定部114は、組織Aの組織情報と、他の組織の組織情報とに基づいて、組織Aに類似する組織を特定する。次に、課題特定部115は、特定された組織の組織情報に関連付けられる組織課題に基づいて、組織Aの組織課題を特定する。なお、ステップS110において、組織特定部114と課題特定部115とを含む特定部が、対象組織の組織情報と、他の組織の組織情報とに基づいて、対象組織の組織課題を特定するようにしてもよい。
【0111】
ステップS112において、設定部117は、特定された組織Aの組織課題に対し、改善のための期間及び目標を設定する。例えば、設定部117は、類似組織の過去実績に基づいて、期間や目標を設定してもよい。なお、ステップS112における設定は、必ずしも必要な処理ではない。
【0112】
ステップS114において、出力部116は、特定された組織Aの組織課題を、所定のユーザのユーザ端末20A-1に送信する。これにより、人事や役職者などの所定のユーザに対して、特定された組織課題を共有することが可能になる。なお、ステップS104からS114までの処理を、1回目の調査処理とする。
【0113】
ステップS116において、調査制御部118は、所定イベントの発生を監視し、所定イベントの発生を検知したとする。所定イベントの発生とは、例えば以下が挙げられる。
(1)所定人数以上の退社又は入社の有無
(2)第1組織に関する組織数の増減
(3)第1組織に関する役職者の設定又は削除、及び
(4)上記(1)~(3)のいずれかの発生から所定期間経過後
【0114】
ステップS200において、調査制御部118は、所定イベントの発生を判定又は検知すると、2回目以降の調査処理を実施する。調査処理は、基本的に、ステップS104からS114までの処理が行われるが、調査項目としては、特定された課題に関連するものだけが抽出されてもよい。
【0115】
以上、実施形態について詳述したが、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、下記に示すように、上記実施形態以外にも種々の変形及び変更が可能である。
【0116】
[変形例]
実施形態で説明した情報処理システム1は、他の企業の類似組織以外にも、同一企業の他の組織が特定されてもよい。また、対象企業の課題特定の際、調査結果は必ずしも組織情報に含まれていなくてもよい。また、実績情報において、改善できた課題と、改善できなかった課題とが区別されてもよい。また、特定部により、複数の組織が所定のグループに分類され、このグループごとの組織課題が特定されてもよい。
【0117】
以上、実施形態及び変形例は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施形態及び変形例のみに限定する趣旨ではなく、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。また、サーバ側、ユーザ端末側の各処理を適宜統合したり、他方の装置に処理を移行したりしてもよい。
【符号の説明】
【0118】
1…情報処理システム、10…サーバ、20…ユーザ端末、110…プロセッサ、130…記憶装置、112…サービス制御部、113…取得部、114…組織特定部、115…課題特定部、116…出力部、117…設定部、118…調査制御部、119…請求処理部、210…プロセッサ、212…クライアントアプリケーション、213…取得部、214…調査処理部、215…出力部、230…記憶装置