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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186226
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】組電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20221208BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20221208BHJP
   H01M 50/474 20210101ALI20221208BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20221208BHJP
   H01M 50/477 20210101ALI20221208BHJP
   H01M 50/483 20210101ALI20221208BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M4/66 A
H01M50/474
H01M10/0585
H01M50/477
H01M50/483
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094346
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】519100310
【氏名又は名称】APB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】南 和也
(72)【発明者】
【氏名】川北 健一
(72)【発明者】
【氏名】山口 俊明
(72)【発明者】
【氏名】草野 亮介
(72)【発明者】
【氏名】堀江 英明
【テーマコード(参考)】
5H017
5H021
5H028
5H029
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017EE07
5H021EE02
5H021EE04
5H021EE08
5H021EE09
5H021EE10
5H028AA08
5H028CC08
5H028CC26
5H029AJ11
5H029AK01
5H029AK02
5H029AK03
5H029AK05
5H029AK16
5H029AK18
5H029AL01
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL11
5H029AL12
5H029AL16
5H029AL18
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM05
5H029AM07
(57)【要約】
【課題】上下に隣り合う単電池の樹脂集電体が互いに密着した状態を維持できる組電池を提供する。
【解決手段】順に積層されたひと組の正極樹脂集電体、正極活物質層、セパレータ、負極活物質層及び負極樹脂集電体からなる積層単位を備える単電池を2個以上有し、上記2個以上の単電池の積層体を外装体 に封入した組電池であって、上記積層体の側面のうちの少なくとも1つの面において、上記単電池間の境界を跨いで被覆する、一体化した絶縁体(A1)を備えることを特徴とする組電池。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
順に積層されたひと組の正極樹脂集電体、正極活物質層、セパレータ、負極活物質層及び負極樹脂集電体からなる積層単位を備える単電池を2個以上有し、前記2個以上の単電池の積層体を外装体に封入した組電池であって、
前記積層体の側面のうちの少なくとも1つの面において、前記単電池間の境界を跨いで被覆する、一体化した絶縁体(A1)を備えることを特徴とする組電池。
【請求項2】
前記絶縁体(A1)は、その少なくとも一方の面においてPET板に対する引きはがし粘着力が0.5N/25mm以上である材料であり、前記絶縁体(A1)は、当該粘着力を有する面で単電池間の境界を跨いで被覆する請求項1に記載の組電池。
【請求項3】
前記外装体と前記絶縁体との間に緩衝材を有し、前記緩衝材がガス吸着粒子を含有する請求項1又は2に記載の組電池。
【請求項4】
前記緩衝材と前記外装体との間にさらに絶縁体(A2)を有する請求項3に記載の組電池。
【請求項5】
前記ガス吸着粒子が、活性炭、ゼオライト、シリカ、及びアルミナからなる群より選ばれる1種以上である請求項3又は4に記載の組電池。
【請求項6】
前記ガス吸着粒子の含有量が、前記緩衝材の単位面積あたり40~120mg/cmである請求項3~5のいずれか1項に記載の組電池。
【請求項7】
前記ガス吸着粒子の体積平均粒子径が500μm~2mmである請求項3~6のいずれか1項に記載の組電池。
【請求項8】
前記積層体の側面のうちの対向する2つの面において、それぞれ絶縁体(A1)を備える請求項1~7のいずれかに記載の組電池。
【請求項9】
前記積層体の側面すべての面において、一体化した絶縁体(A1)を備える請求項1~7のいずれかに記載の組電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池は、高エネルギー密度、高出力密度が達成できる二次電池として、近年様々な用途に多用されている。一般的なリチウムイオン電池は、集電体の一面に正極活物質層及び負極活物質層をそれぞれ設けた後に、活物質層間にセパレータを挾んでこれら正極活物質と負極活物質を積層することで略平板状のリチウム二次単電池を製造し、この単電池を複数層積層して構成される。
【0003】
このような、単電池を複数層積層してなるリチウムイオン電池において、集電体に樹脂集電体を用いたものが提案されている(特許文献1参照)。
集電体として樹脂集電体を用いた場合、樹脂集電体は金属集電体に比較して電子流動性が低いために導電率が低い。このため、単電池を複数層積層する際に、上下に隣り合う単電池の上下面に位置する樹脂集電体を互いに密着させることが好ましく、積層電池モジュールを可撓性を有する容器内に収納する際に容器内を脱気する等の工夫がされてきた(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-62081号公報
【特許文献2】特開2017-45530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、これらの工夫をしてもなお、電池の作製、運搬又は使用時に外部から振動が加えられることにより、また高温化での保管、運搬、使用等で電池内部にガスが発生することにより、上下に隣り合う単電池の位置がずれて組電池の内部抵抗値が上昇するという課題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、上下に隣り合う単電池の樹脂集電体が互いに密着した状態を維持できる組電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、順に積層されたひと組の正極樹脂集電体、正極活物質層、セパレータ、負極活物質層及び負極樹脂集電体からなる積層単位を備える単電池を2個以上有し、上記2個以上の単電池の積層体を外装体に封入した組電池であって、上記積層体の側面のうちの少なくとも1つの面において、上記単電池間の境界を跨いで被覆する、一体化した絶縁体(A1)を備えることを特徴とする組電池に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、上下に隣り合う単電池の樹脂集電体が互いに密着した状態を維持できる組電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の組電池の一例を模式的に示す断面図である。
図2図2は、本発明の組電池を構成する積層体の一例を模式的に示す斜視図である。
図3図3は、図2に示す積層体の側面に絶縁体を設けた形態を示す斜視図である。
図4図4は、図3のA-A線断面図である。
図5図5は、積層体の側面に絶縁体を設けた別の形態を模式的に示す斜視図である。
図6図6は、積層体の側面に絶縁体を設けた別の形態を模式的に示す斜視図である。
図7図7は、積層体の側面に絶縁体を設けた別の形態を模式的に示す斜視図である。
図8図8は、積層体の側面に絶縁体を設けた別の形態を模式的に示す斜視図である。
図9図9は、積層体の側面に絶縁体を設けた別の形態を模式的に示す斜視図である。
図10図10は、外装体と絶縁体との間に緩衝材を有する組電池の一例を模式的に示す断面図である。
図11図11は、絶縁体/緩衝材/絶縁体の3層構造の絶縁テープの一例を模式的に示す断面図である。
図12】12は、図11に示した3層構造の絶縁テープを積層体と外装体の間に配置した組電池の一例を模式的に示す断面図である。
図13図13は、単電池の位置ずれを測定する位置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において、リチウムイオン電池と記載する場合、リチウムイオン二次電池も含む概念とする。
【0011】
本発明の組電池は、順に積層されたひと組の正極樹脂集電体、正極活物質層、セパレータ、負極活物質層及び負極樹脂集電体からなる積層単位を備える単電池を2個以上有し、上記2個以上の単電池の積層体を外装体に封入した組電池であって、上記積層体の側面のうちの少なくとも1つの面において、上記単電池間の境界を跨いで被覆する、一体化した絶縁体(A1)を備えることを特徴とする。
【0012】
以下に、本発明の組電池の具体的な実施形態を示す。
以下に示す各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもない。第2実施形態以降では、第1実施形態と共通の事項についての記述は省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態毎には逐次言及しない。
【0013】
(第1実施形態)
第1実施形態の組電池は、組電池を構成する積層体の側面すべての面において、一体化した絶縁体(A1)を備える。
【0014】
図1は、本発明の組電池の一例を模式的に示す断面図である。
図1を参照して、組電池を構成する絶縁体以外の構成について説明する。
【0015】
図1に示す組電池1は、単電池100を5個有しており、単電池100が積層された積層体200が外装体120に封入されてなる。
単電池100は、正極樹脂集電体11、正極活物質層13、セパレータ30、負極活物質層23及び負極樹脂集電体21がこの順に積層されており、正極樹脂集電体11と負極樹脂集電体21とを最外層に有する。
正極樹脂集電体11、正極活物質層13、セパレータ30、負極活物質層23及び負極樹脂集電体21が積層単位(電極対向部)を構成している。
【0016】
単電池100は、正極樹脂集電体11及び負極樹脂集電体21の間で、上記積層単位の周囲に配置された枠部材40を有する。
枠部材40は、正極枠部材40aと負極枠部材40bでセパレータ30を挟むことにより、セパレータ30の周縁部を固定している。
【0017】
最も上に位置する単電池100の負極樹脂集電体21には負極側の強電タブ121が接続され、外装体120の外に強電タブ121が引き出されている。
同様に、最も下に位置する単電池100の正極樹脂集電体11には正極側の強電タブ111が接続され、外装体120の外に強電タブ111が引き出されている。
【0018】
図2は、本発明の組電池を構成する積層体の一例を模式的に示す斜視図である。
【0019】
図2に示す積層体200は、単電池100を5個有しており、単電池100が積層されてなる。
積層体は、その形状が直方体形状であり、単電池が積層される方向(矢印T方向)に垂直な面である上面201、下面202と、単電池が積層される方向に平行な面である4つの側面である第1側面203、第2側面204、第3側面205、第4側面206を有する。
第1側面203と第3側面205は、積層体の側面のうち対向する2つの面である。
第2側面204と第4側面206は、積層体の側面のうち対向する2つの面である。
【0020】
図3は、図2に示す積層体の側面に絶縁体を設けた形態を示す斜視図である。
図3には、図2に示す積層体200の側面に絶縁体70を設けた状態を示している。
絶縁体70は、積層体の側面の全ての面である第1側面203、第2側面204、第3側面205、第4側面206に渡ってひとつながりの絶縁体である。
【0021】
本明細書において、積層体の側面に接しており単電池間の境界を跨いで被覆する絶縁体を、絶縁体(A1)と表記する。
【0022】
図4は、図3のA-A線断面図である。
図4には、積層体200の第2側面204及び第4側面206において、単電池100の境界を絶縁体70が跨いで被覆している様子を示している。
単電池100の境界は、下の単電池100の負極樹脂集電体21と上の単電池100の正極樹脂集電体11の境界である。図4に示す積層体200では単電池100の境界は4箇所存在する。その4箇所の境界の全てを、一体化した絶縁体70が跨いで被覆している。
本発明の組電池は、積層体の側面において、単電池間の境界を跨いで被覆する、一体化した絶縁体(A1)を備えるため、上下に隣り合う単電池の樹脂集電体が互いに密着した状態を維持することができる。
【0023】
なお、本明細書において、「単電池間の境界を跨いで被覆する、一体化した絶縁体」とは、積層体の側面にある単電池間の境界を、分離していない一つの部材である絶縁体で被覆することを意味している。また、絶縁体は、積層体の厚さ方向に単電池間の境界を跨いで被覆しているが、積層体の側面の全てを被覆する必要はない。
後述する各実施形態のように、上下に隣り合う単電池の樹脂集電体が互いに密着した状態を維持するために必要な程度に絶縁体が設けられていればよく、積層体の側面の一部が絶縁体に被覆されていなくてもよい。
【0024】
絶縁体としては、絶縁テープを好ましく使用することができる。
絶縁テープは、その絶縁抵抗が1000MΩ以上であることが好ましい。
また、絶縁テープの厚さが10~200μmであることが好ましい。
絶縁テープの例としては、養生用P-カットテープ(株式会社寺岡製作所製)、カプトン(登録商標)粘着テープ(株式会社寺岡製作所製)、マスキングテープ 243J Plus(スリーエムジャパン株式会社製)、セロテープ(登録商標)(ニチバン株式会社製)等を使用することができる。
【0025】
絶縁体(A1)は、その少なくとも一方の面においてPET板に対する引きはがし粘着力が0.5N/25mm以上である材料であることが好ましい。絶縁体(A1)は、当該粘着力を有する面で単電池間の境界を跨いで被覆することが好ましい。
絶縁体のPET板に対する引きはがし粘着力は、JIS Z 0237に準じて測定することができる。引きはがし粘着力を測定できる絶縁体は、絶縁体の表面がPET板に対して粘着力を有する材料である。
25mm幅のPET板を試験片として、絶縁体の粘着力を測定する面をPET板に接触させてローラーで押し付けてPET板に試験片を貼り付け、JIS Z 0237に準じて180°引きはがし粘着力を測定する。
引きはがし粘着力が0.5N/25mm以上であると、単電池の位置ずれがより生じにくくなる。また、引きはがし粘着力は55N/25mm以下であってもよい。
【0026】
以下に、単電池を構成する各構成要素の好ましい態様について説明する。
まず、単電池の積層単位となる各要素について説明する。
単電池では、正極活物質層及び/又は負極活物質層が、電極活物質粒子表面の少なくとも一部が被覆層で被覆された被覆電極活物質粒子を含み、被覆電極活物質粒子の非結着体であることが好ましい。
正極活物質層及び/又は負極活物質層が被覆電極活物質粒子の非結着体であると、単電池を積層して加圧する際に、正極活物質層及び/又は負極活物質層が柔軟であるので、加圧の圧力に応じて被覆電極活物質粒子が流動することができる。そのため、単電池の表面に凹凸が形成されない。単電池の表面に凹凸が形成されていないと、樹脂集電体の損耗を抑制することができる。
正極活物質層及び負極活物質層の説明の中で、上記の態様について説明する。
【0027】
正極活物質層には正極活物質粒子が含まれる。
正極活物質粒子としては、リチウムと遷移金属との複合酸化物{遷移金属が1種である複合酸化物(LiCoO、LiNiO、LiAlMnO、LiMnO及びLiMn等)、遷移金属元素が2種である複合酸化物(例えばLiFeMnO、LiNi1-xCo、LiMn1-yCo、LiNi1/3Co1/3Al1/3及びLiNi0.8Co0.15Al0.05)及び金属元素が3種以上である複合酸化物[例えばLiMM’M’’(M、M’及びM’’はそれぞれ異なる遷移金属元素であり、a+b+c=1を満たす。例えばLiNi1/3Mn1/3Co1/3)等]等}、リチウム含有遷移金属リン酸塩(例えばLiFePO、LiCoPO、LiMnPO及びLiNiPO)、遷移金属酸化物(例えばMnO及びV)、遷移金属硫化物(例えばMoS及びTiS)及び導電性高分子(例えばポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン及びポリ-p-フェニレン及びポリビニルカルバゾール)等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
なお、リチウム含有遷移金属リン酸塩は、遷移金属サイトの一部を他の遷移金属で置換したものであってもよい。
【0028】
正極活物質粒子は、被覆層で被覆された被覆正極活物質粒子であることが好ましい。
被覆層は、導電助剤及び高分子化合物からなる層である。
正極活物質粒子が被覆層で被覆されていると、電極の体積変化が緩和され、電極の膨張を抑制することができる。
【0029】
導電助剤としては、金属系導電助剤[アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、金、銅及びチタン等]、炭素系導電助剤[グラファイト及びカーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック及びサーマルランプブラック等)等]、及びこれらの混合物等が挙げられる。
これらの導電助剤は1種単独で用いられてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これらの合金又は金属酸化物として用いられてもよい。
なかでも、電気的安定性の観点から、より好ましくはアルミニウム、ステンレス、銀、金、銅、チタン、炭素系導電助剤及びこれらの混合物であり、さらに好ましくは銀、金、アルミニウム、ステンレス及び炭素系導電助剤であり、特に好ましくは炭素系導電助剤である。
またこれらの導電助剤としては、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電性材料[好ましくは、上記した導電助剤のうち金属のもの]をめっき等でコーティングしたものでもよい。
【0030】
導電助剤の形状(形態)は、粒子形態に限られず、粒子形態以外の形態であってもよく、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ等、いわゆるフィラー系導電助剤として実用化されている形態であってもよい。
【0031】
高分子化合物と導電助剤の比率は特に限定されるものではないが、電池の内部抵抗等の観点から、重量比率で高分子化合物(樹脂固形分重量):導電助剤が1:0.01~1:50であることが好ましく、1:0.2~1:3.0であることがより好ましい。
【0032】
高分子化合物としては、特開2017-054703号公報に非水系二次電池活物質被覆用樹脂として記載されたものを好適に用いることができる。
【0033】
また、正極活物質層は、被覆正極活物質に含まれる導電助剤以外にも導電助剤を含んでもよい。
導電助剤としては、上述した被覆正極活物質に含まれる導電助剤と同様のものを好適に用いることができる。
【0034】
被覆層は、更にセラミック粒子を含んでいてもよい。
セラミック粒子としては、金属炭化物粒子、金属酸化物粒子、ガラスセラミック粒子等が挙げられる。
【0035】
金属炭化物粒子としては、例えば、炭化ケイ素(SiC)、炭化タングステン(WC)、炭化モリブデン(MoC)、炭化チタン(TiC)、炭化タンタル(TaC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化バナジウム(VC)、炭化ジルコニウム(ZrC)等が挙げられる。
【0036】
金属酸化物粒子としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化アルミニウム(Al)、二酸化ケイ素(SiO)、酸化スズ(SnO)、チタニア(TiO)、ジルコニア(ZrO)、酸化インジウム(In)、Li、LiTi12、LiTi、LiTaO、LiNbO、LiAlO、LiZrO、LiWO、LiTiO、LiPO、LiMoO、LiBO、LiBO、LiCO、LiSiOや、ABO(但し、Aは、Ca、Sr、Ba、La、Pr及びYからなる群より選択される少なくとも1種であり、Bは、Ni、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Mo、Ru、Rh、Pd及びReからなる群より選択される少なくとも1種)で表されるペロブスカイト型酸化物粒子等が挙げられる。
金属酸化物粒子としては、電解液と被覆正極活物質粒子との間で起こる副反応を好適に抑制する観点から、酸化亜鉛(ZnO)、酸化アルミニウム(Al)、二酸化ケイ素(SiO)、及び、四ほう酸リチウム(Li)が好ましい。
【0037】
セラミック粒子としては、電解液と被覆正極活物質粒子との間で起こる副反応を好適に抑制する観点から、ガラスセラミック粒子であることが好ましい。
これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0038】
ガラスセラミック粒子としては、菱面体晶系を有するリチウム含有リン酸化合物であることが好ましく、その化学式は、LiM”12(X=1~1.7)で表される。
ここでM”はZr、Ti、Fe、Mn、Co、Cr、Ca、Mg、Sr、Y、Sc、Sn、La、Ge、Nb、Alからなる群より選ばれた1種以上の元素である。また、Pの一部をSi又はBに、Oの一部をF、Cl等で置換してもよい。例えば、Li1.15Ti1.85Al0.15Si0.052.9512、Li1.2Ti1.8Al0.1Ge0.1Si0.052.9512等を用いることができる。
また、異なる組成の材料を混合又は複合してもよく、ガラス電解質等で表面をコートしてもよい。又は、熱処理によりNASICON型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の結晶相を析出するガラスセラミック粒子を用いることが好ましい。
ガラス電解質としては、特開2019-96478号公報に記載のガラス電解質が挙げられる。
【0039】
ここで、ガラスセラミック粒子におけるLiOの配合割合は酸化物換算で8質量%以下であることが好ましい。
NASICON型構造でなくとも、Li、La、Mg、Ca、Fe、Co、Cr、Mn、Ti、Zr、Sn、Y、Sc、P、Si、O、In、Nb、Fからなり、LISICON型、ぺロブスカイト型、β-Fe(SO型、LiIn(PO型の結晶構造を、持ち、Liイオンを室温で1×10-5S/cm以上伝導する固体電解質を用いても良い。
【0040】
上述したセラミック粒子は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0041】
セラミック粒子の体積平均粒子径は、エネルギー密度の観点及び電気抵抗値の観点から、1~1000nmであることが好ましく、1~500nmであることがより好ましく、1~150nmであることがさらに好ましい。
【0042】
セラミック粒子の重量割合は、被覆正極活物質粒子の重量を基準として0.5~5.0重量%であることが好ましい。
セラミック粒子を上記範囲で含有することにより、電解液と被覆正極活物質粒子との間で起こる副反応を好適に抑制することができる。
セラミック粒子の重量割合は、被覆正極活物質粒子の重量を基準として2.0~4.0重量%であることがより好ましい。
【0043】
正極活物質層は、正極活物質を含み、正極活物質同士を結着する結着材を含まない非結着体であることが好ましい。
ここで、非結着体とは、正極活物質同士が、互いに結合していないことを意味し、結合とは不可逆的に正極活物質同士が固定されていることを意味する。
【0044】
正極活物質層には、粘着性樹脂が含まれていてもよい。
粘着性樹脂としては、例えば、特開2017-054703号公報に記載された非水系二次電池活物質被覆用樹脂に少量の有機溶剤を混合してそのガラス転移温度を室温以下に調整したもの、及び、特開平10-255805公報に粘着剤として記載されたもの等を好適に用いることができる。
なお、粘着性樹脂は、溶媒成分を揮発させて乾燥させても固体化せずに粘着性(水、溶剤、熱などを使用せずに僅かな圧力を加えることで接着する性質)を有する樹脂を意味する。一方、結着材として用いられる溶液乾燥型の電極バインダーは、溶媒成分を揮発させることで乾燥、固体化して活物質同士を強固に接着固定するものを意味する。
従って、溶液乾燥型の電極バインダー(結着材)と粘着性樹脂とは異なる材料である。
【0045】
正極活物質層の厚みは、特に限定されるものではないが、電池性能の観点から、100~700μmであることが好ましく、300~600μmであることがより好ましい。
【0046】
負極活物質層には負極活物質粒子が含まれる。
負極活物質粒子としては、公知のリチウムイオン電池用負極活物質が使用でき、炭素系材料[黒鉛、難黒鉛化性炭素、アモルファス炭素、樹脂焼成体(例えばフェノール樹脂及びフラン樹脂等を焼成し炭素化したもの等)、コークス類(例えばピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークス等)及び炭素繊維等]、珪素系材料[珪素、酸化珪素(SiOx)、珪素-炭素複合体(炭素粒子の表面を珪素及び/又は炭化珪素で被覆したもの、珪素粒子又は酸化珪素粒子の表面を炭素及び/又は炭化珪素で被覆したもの並びに炭化珪素等)及び珪素合金(珪素-アルミニウム合金、珪素-リチウム合金、珪素-ニッケル合金、珪素-鉄合金、珪素-チタン合金、珪素-マンガン合金、珪素-銅合金及び珪素-スズ合金等)等]、導電性高分子(例えばポリアセチレン及びポリピロール等)、金属(スズ、アルミニウム、ジルコニウム及びチタン等)、金属酸化物(チタン酸化物及びリチウム・チタン酸化物等)及び金属合金(例えばリチウム-スズ合金、リチウム-アルミニウム合金及びリチウム-アルミニウム-マンガン合金等)等及びこれらと炭素系材料との混合物等が挙げられる。
【0047】
また、負極活物質粒子は、上述した被覆正極活物質粒子と同様の被覆層で被覆された被覆負極活物質粒子であってもよい。
被覆層を構成する導電助剤及び高分子化合物並びにセラミック粒子としては、上述した被覆正極活物質粒子と同様の導電助剤及び高分子化合物並びにセラミック粒子を好適に用いることができる。
【0048】
また、負極活物質層は、被覆負極活物質粒子に含まれる導電助剤以外にも導電助剤を含んでもよい。導電助剤としては、上述した被覆正極活物質粒子に含まれる導電助剤と同様のものを好適に用いることができる。
【0049】
負極活物質層は、正極活物質層と同様に、負極活物質同士を結着する結着材を含まない非結着体であることが好ましい。また、正極活物質層と同様に、粘着性樹脂が含まれていてもよい。
【0050】
負極活物質層の厚みは、特に限定されるものではないが、電池性能の観点から、100~900μmであることが好ましく、300~800μmであることも好ましく、500~700μmであることも好ましい。
【0051】
正極活物質層の厚みと負極活物質層の厚みは、同じでもよく異なっていてもよいが、負極活物質層の厚みが正極活物質層の厚みより大きくてもよい。
【0052】
正極樹脂集電体及び負極樹脂集電体は、導電性高分子材料からなる樹脂集電体である。
正極樹脂集電体及び負極樹脂集電体の厚さは、特に限定されないが、正極樹脂集電体及び負極樹脂集電体のそれぞれにつき、50~500μmであることが好ましい。
【0053】
樹脂集電体を構成する導電性高分子材料としては例えば、導電性高分子や、樹脂に必要に応じて導電剤を添加したものを用いることができる。
導電性高分子材料を構成する導電剤としては、上述した被覆正極活物質に含まれる導電助剤と同様のものを好適に用いることができる。
【0054】
導電性高分子材料を構成する樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリシクロオレフィン(PCO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂又はこれらの混合物等が挙げられる。
電気的安定性の観点から、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)及びポリシクロオレフィン(PCO)が好ましく、さらに好ましくはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリメチルペンテン(PMP)である。
【0055】
セパレータとしては、ポリエチレン又はポリプロピレン製の多孔性フィルム、多孔性ポリエチレンフィルムと多孔性ポリプロピレンとの積層フィルム、合成繊維(ポリエステル繊維及びアラミド繊維等)又はガラス繊維等からなる不織布、及びそれらの表面にシリカ、アルミナ、チタニア等のセラミック微粒子を付着させたもの等の公知のリチウムイオン電池用のセパレータが挙げられる。
【0056】
正極活物質層及び負極活物質層には電解液が含まれる。
電解液としては、公知のリチウムイオン電池の製造に用いられる、電解質及び非水溶媒を含有する公知の電解液を使用することができる。
【0057】
電解質としては、公知の電解液に用いられている電解質が使用でき、例えば、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiClO及びLiN(FSO等の無機アニオンのリチウム塩、LiN(CFSO、LiN(CSO及びLiC(CFSO等の有機アニオンのリチウム塩が挙げられる。これらの内、電池出力及び充放電サイクル特性の観点から好ましいのはLiN(FSOである。
【0058】
溶媒としては、公知の電解液に用いられている非水溶媒が使用でき、例えば、ラクトン化合物、環状又は鎖状炭酸エステル、鎖状カルボン酸エステル、環状又は鎖状エーテル、リン酸エステル、ニトリル化合物、アミド化合物、スルホン、スルホラン及びこれらの混合物を用いることができる。
【0059】
次に、枠部材について説明する。
枠部材を構成する材料としては、電解液に対して耐久性のある材料であれば特に限定されないが、高分子材料が好ましい。
高分子材料が熱硬化性高分子材料であってもよい。具体的には、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂及びポリフッ化ビニリデン樹脂等が挙げられ、耐久性が高く取り扱いが容易であることからエポキシ系樹脂が好ましい。
高分子材料が熱可塑性高分子材料であってもよい。具体的には、エチレン-酢酸ビニル共重合体、無水マレイン酸変性ポリエチレン及び酸変性ポリプロピレンからなる群より選ばれる1種以上の材からなることが好ましい。
【0060】
枠部材は、正極枠部材と負極枠部材からなっていてもよい。正極枠部材と負極枠部材をそれぞれ異なる材料としてもよく、同じ材料としてもよい。枠部材が正極枠部材と負極枠部材からなり、正極枠部材と負極枠部材で、セパレータの周縁部を挟んで固定していることが好ましい。
【0061】
本発明の組電池では、2個以上の単電池が外装体に封入される。外装体は、2個以上の単電池を封入できるものであればその材質は特に限定されないが、2個以上の単電池を封入して加圧した際に、単電池の積層体の形状に追従してその形状が変化する、可撓性を有する材料及び形態であることが好ましい。
可撓性を有する外装体としては、好ましくは内面に絶縁処理がされたアルミラミネートフィルムを使用することができる。外装体の厚さは、適度な可撓性と強度を有する観点から、100~300μmであることが好ましい。
また、可撓性を有さない外装体として、内面に絶縁処理がされた金属缶を使用することもできる。
外装体からは、図1に示すように、強電タブ等の引き出し端子を引き出すようにすることが好ましい。
【0062】
(第2実施形態)
第2実施形態の組電池では、組電池を構成する積層体のそれぞれの側面において、一体化した絶縁体(A1)を備える。各側面に設けられた絶縁体(A1)同士は繋がっておらず、各側面に設けられた絶縁体(A1)が別の部材である点が、第1実施形態とは異なる。
図5は、積層体の側面に絶縁体を設けた別の形態を模式的に示す斜視図である。
積層体200は、第1実施形態で説明したものと同じである。
図5には、積層体200の第1側面203、第2側面204、第3側面205、第4側面206のそれぞれに、絶縁体71を設けた形態を示している。
積層体のそれぞれの側面に設けられた絶縁体71は、別の部材である。各絶縁体は、積層体の各側面において、単電池間の境界を跨いで被覆するため、上下に隣り合う単電池の樹脂集電体が互いに密着した状態を維持することができる。
【0063】
(第3実施形態)
第3実施形態の組電池では、組電池を構成する積層体の側面1つあたりに、複数の絶縁体(A1)を備える。
図6は、積層体の側面に絶縁体を設けた別の形態を模式的に示す斜視図である。
積層体200は、第1実施形態で説明したものと同じである。
図6には、積層体200の第1側面203及び第3側面205にそれぞれ3つの絶縁体(絶縁体72a、絶縁体72b、絶縁体72c)を設けた形態を示している。また、積層体200の第2側面204及び第4側面206にそれぞれに2つの絶縁体(絶縁体73a、絶縁体73b)を設けた形態を示している。
図6に示すように、積層体の側面ごとに設ける絶縁体の数が異なっていてもよい。
積層体のそれぞれの側面に設けられた各絶縁体は、積層体の側面において、単電池間の境界を跨いで被覆するため、上下に隣り合う単電池の樹脂集電体が互いに密着した状態を維持することができる。
【0064】
(第4実施形態)
第4実施形態の組電池では、組電池を構成する積層体の側面の1つに絶縁体(A1)を備える。
図7は、積層体の側面に絶縁体を設けた別の形態を模式的に示す斜視図である。
積層体200は、第1実施形態で説明したものと同じである。
図7には、積層体200の第1側面203に絶縁体71を設けた形態を示している。積層体200の他の側面(第2側面204、第3側面205、第4側面206)には絶縁体は設けられていない。
積層体の側面のうち少なくとも1つの側面において、単電池間の境界を跨いで被覆する絶縁体が設けられていると、上下に隣り合う単電池の樹脂集電体が互いに密着した状態を維持することができる。
【0065】
(第5実施形態)
第5実施形態の組電池では、組電池を構成する積層体の側面のうちの対向する2つの面において、それぞれ絶縁体(A1)を備える。
図8は、積層体の側面に絶縁体を設けた別の形態を模式的に示す斜視図である。
積層体200は、第1実施形態で説明したものと同じである。
図8には、積層体200の第1側面203及び第3側面205に絶縁体71を設けた形態を示している。積層体200の他の側面(第2側面204、第4側面206)には絶縁体は設けられていない。
積層体の側面のうち対向する2つの面において、単電池間の境界を跨いで被覆する絶縁体が設けられていると、上下に隣り合う単電池の樹脂集電体が互いに密着した状態を維持することができる。積層体の1つの側面のみに絶縁体が設けられている形態や、積層体の隣り合う2つの側面のみ(例えば積層体200の第1側面203及び第2側面204のみ)に絶縁体が設けられている形態と比べて、その効果は高い。
【0066】
(第6実施形態)
第6実施形態の組電池では、積層体の側面から上面及び下面に延びる絶縁体(A1)を備える。
図9は、積層体の側面に絶縁体を設けた別の形態を模式的に示す斜視図である。
積層体200は、第1実施形態で説明したものと同じである。
図9には、積層体200の第1側面203から延びて上面201の一部及び下面202の一部を被覆する2つの絶縁体(絶縁体74a、絶縁体74b)を設けた形態を示している。
絶縁体が積層体の側面から上面及び下面に延びていると、単電池の位置がずれることをより効果的に防止することができ、上下に隣り合う単電池の樹脂集電体が互いに密着した状態をより効果的に維持することができる。
【0067】
(第7実施形態)
第7実施形態の組電池は、外装体と絶縁体との間に緩衝材を有し、緩衝材がガス吸着粒子を含有する。
図10は、外装体と絶縁体との間に緩衝材を有する組電池の一例を模式的に示す断面図である。
図10に示す組電池2では、外装体120と絶縁体70の間に緩衝材80を有し、緩衝材がガス吸着粒子を含有する。
【0068】
緩衝材がガス吸着粒子を含有していると、リチウムイオン電池の充放電に伴い発生するガスを好適に吸着することができる。
リチウムイオン電池の高温化での保管、運搬、使用等で電池内部にガスが発生することがあるが、ガス吸着粒子がガスを吸着することによって、ガス発生の影響を抑えることができる。
その結果、上下に隣り合う単電池の位置がずれることが防止され、組電池の内部抵抗値が高くなることが防止される。
【0069】
ガス吸着粒子は、活性炭、ゼオライト、シリカ、及びアルミナからなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。また、ガス吸着粒子は、多孔質であることが好ましい。
ガス吸着粒子の体積平均粒子径は、500μm~2mmであることが好ましく、1~2mmであることがより好ましい。
ガス吸着粒子の体積平均粒子径が大きいほど、単位面積当たりのガス吸着粒子の量が増えるためガス吸着能を高くする観点から有利であり、ガス吸着粒子の体積平均粒子径が500μm以上であることが好ましい。
ガス吸着粒子の体積平均粒子径が2mmを超えると、組電池内でガス吸着粒子の占める体積が大きくなり体積当たりのエネルギー密度の低下につながる。
【0070】
本明細書において粒子(ガス吸着粒子等)の体積平均粒子径は、マイクロトラック法(レーザー回折・散乱法)によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径(Dv50)を意味する。マイクロトラック法とは、レーザー光を粒子に照射することによって得られる散乱光を利用して粒度分布を求める方法である。なお、粒子の体積平均粒子径の測定には、日機装(株)製のマイクロトラック等を用いることができる。
【0071】
ガス吸着粒子の比表面積は、1~2000m/gであることが好ましく、1~100m/gであることがより好ましい。
ガス吸着粒子の比表面積が上記範囲であると、リチウムイオン電池の充放電に伴い発生するガスを好適に吸着することができる。
本明細書において、ガス吸着粒子の比表面積は、「JIS Z8830 ガス吸着による粉体(固体)の比表面積測定方法」に準じて、BET比表面積として測定した値である。
【0072】
ガス吸着粒子の含有量が、緩衝材の単位面積あたり40~120mg/cmであることが好ましい。
ガス吸着粒子は、絶縁体と一体化したシートとして積層体の側面に貼り付けて使用することができる。このシートの目付量[mg/cm]を、緩衝材の単位面積あたりのガス吸着粒子の含有量と考えることができる。シートの目付量に含まれる絶縁体の重量の寄与は少ないので、目付量を緩衝材の単位面積あたりのガス吸着粒子の含有量と同視してよい。
緩衝材の単位面積あたりのガス吸着粒子の含有量が大きいほど、単位面積当たりのガス吸着粒子の量が増えるためガス吸着能を高くする観点から有利である。ただし、緩衝材の単位面積あたりのガス吸着粒子の含有量が大きくなりすぎると、組電池内でガス吸着粒子の占める体積が大きくなり体積当たりのエネルギー密度の低下につながる。
【0073】
緩衝材には、ガス吸着粒子の他に樹脂材料やパルプを含んでもよい。
このような緩衝材としては、ガス吸着粒子と樹脂材料やパルプをシート化したものが挙げられ、製品としては、汚染ガス吸着シート(GasQ(登録商標)株式会社資料保存器材製)、ゼオシート(美浜株式会社製)等が挙げられる。
また、緩衝材がガス吸着粒子と他の成分を含む場合に、ガス吸着粒子の重量割合が、緩衝材の重量を基準として50重量%以上であることが好ましい。
ガス吸着粒子の重量割合がこの範囲内であると、緩衝材の強度とガス吸着性能のバランスに優れるため、単電池の位置ずれを抑制するとともに、組電池の内部抵抗値をより低くすることができる。
【0074】
また、本発明の組電池は、緩衝材と外装体との間にさらに絶縁体(A2)を有することが好ましい。
組電池が、積層体と外装体の間に、絶縁体(A1)と、緩衝材と、絶縁体(A2)を備えるようにするために、3層構造の絶縁テープを使用することができる。
図11は、絶縁体/緩衝材/絶縁体の3層構造の絶縁テープの一例を模式的に示す断面図である。
図11には、絶縁体70、緩衝材80、絶縁体75の3層からなる絶縁テープを示している。
絶縁体70と絶縁体75の材質や厚みは同じでもよく、異なっていてもよい。絶縁体70は積層体の側面に接して配置される絶縁体(A1)であり、絶縁体75は外装体に接して配置される絶縁体(A2)である。
緩衝材80は、ガス吸着粒子を含有することが好ましい。
絶縁体(A1)が積層体の側面に接して配置される面は、接着力を有する面とする。
【0075】
図12は、図11に示した3層構造の絶縁テープを積層体と外装体の間に配置した組電池の一例を模式的に示す断面図である。
図12に示す組電池3では、積層体200の側面(第2側面204及び第4側面206)に、絶縁体70が接しており、絶縁体70と外装体120の間に緩衝材80及び絶縁体75が配置されている。絶縁体75は緩衝材80と外装体120の間に配置される絶縁体(A2)である。
このような構成であると、積層体200の側面に3層構造の絶縁テープを貼り付けることにより、ガス吸着粒子を含有する緩衝材を積層体200の側面に簡便な手順で設けることができる。
【0076】
本発明の組電池の製造方法は特に限定されないが、単電池を作製して積層体を作製したのち、積層体の側面に絶縁体となる絶縁テープを貼り付ける等の手順により、単電池間の境界を跨いで被覆する一体化した絶縁体(A1)を設けて、絶縁体を設けた積層体を外装体に封入することによって、本発明の組電池を得ることができる。
【0077】
また、粘着性を有する絶縁テープでガス吸着粒子を挟むことにより、図11に示したような3層構造の絶縁テープを得て、当該3層構造の絶縁テープを積層体の側面に貼り付けることにより、外装体と絶縁体の間にガス吸着粒子を有する緩衝材を設けた組電池を得ることができる。
【実施例0078】
次に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明は実施例に限定されるものではない。なお、特記しない限り部は重量部、%は重量%を意味する。
【0079】
[被覆用高分子化合物の作製]
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素ガス導入管を付した4つ口フラスコにDMF150部を仕込み、75℃に昇温した。次いで、アクリル酸91部、メタクリル酸メチル9部及びDMF50部を配合した単量体組成物と、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.3部及び2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.8部をDMF30部に溶解した開始剤溶液とを4つ口フラスコ内に窒素を吹き込みながら、撹拌下、滴下ロートで2時間かけて連続的に滴下してラジカル重合を行った。滴下終了後、75℃で反応を3時間継続した。次いで、80℃に昇温して反応を3時間継続し、樹脂濃度30%の共重合体溶液を得た。得られた共重合体溶液はテフロン(登録商標)製のバットに移して150℃、0.01MPaで3時間の減圧乾燥を行い、DMFを留去して共重合体を得た。この共重合体をハンマーで粗粉砕した後、乳鉢にて追加粉砕して、粉末状の被覆用高分子化合物を得た。
【0080】
[電解液の作製]
エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)の混合溶媒(EC:PCの体積比率3:7)にLiFSI(LiN(FSO)を2.0mol/Lの割合で溶解させて電解液を作製した。
【0081】
[樹脂集電体の作製]
2軸押出機にて、ポリプロピレン[商品名「サンアロマーPL500A」、サンアロマー(株)製]70部、カーボンナノチューブ[商品名「FloTube9000」、CNano社製]25部及び分散剤[商品名「ユーメックス1001」、三洋化成工業(株)製]5部を200℃、200rpmの条件で溶融混練して樹脂混合物を得た。
得られた樹脂混合物を、Tダイ押出しフィルム成形機に通して、それを延伸圧延することで、膜厚50μmの樹脂集電体用導電性フィルムを得た。次いで、得られた樹脂集電体用導電性フィルムを400mm×500mmとなるように切断し、片面にニッケル蒸着を施し、樹脂集電体を得た。
【0082】
[被覆負極活物質粒子の作製]
被覆用高分子化合物1部をDMF3部に溶解し、被覆用高分子化合物溶液を得た。
負極活物質粒子(ハードカーボン粉末、体積平均粒子径25μm)76部を万能混合機ハイスピードミキサーFS25[(株)アーステクニカ製]に入れ、室温、720rpmで撹拌した状態で、被覆用高分子化合物溶液9部を2分間かけて滴下し、さらに5分間撹拌した。
次いで、撹拌した状態で導電剤であるアセチレンブラック[デンカ(株)製デンカブラック(登録商標)]9部、カーボンナノファイバー[帝人(株)製]2部及びガラスセラミック粒子(商品名「リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスLICGCTMPW-01(1μm)」[株式会社オハラ製]、体積平均粒子径1000nm)4部を分割しながら2分間で投入し、30分間撹拌を継続した。
その後、撹拌を維持したまま0.01MPaまで減圧し、次いで撹拌と減圧度を維持したまま温度を140℃まで昇温し、撹拌、減圧度及び温度を8時間維持して揮発分を留去した。
得られた粉体を目開き200μmの篩いで分級し、被覆負極活物質粒子を得た。
【0083】
[被覆正極活物質粒子の作製]
被覆用高分子化合物1部をDMF3部に溶解し、被覆用高分子化合物溶液を得た。
正極活物質粒子(LiNi0.8Co0.15Al0.05粉末、体積平均粒子径4μm)84部を万能混合機ハイスピードミキサーFS25[(株)アーステクニカ製]に入れ、室温、720rpmで撹拌した状態で、被覆用高分子化合物溶液9部を2分間かけて滴下し、さらに5分間撹拌した。
次いで、撹拌した状態で導電剤であるアセチレンブラック[デンカ(株)製デンカブラック(登録商標)]3部及びガラスセラミック粒子[商品名:リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスLICGCTMPW-01(1μm)、株式会社オハラ製]4部を分割しながら2分間で投入し、30分間撹拌を継続した。
その後、撹拌を維持したまま0.01MPaまで減圧し、次いで撹拌と減圧度を維持したまま温度を140℃まで昇温し、撹拌、減圧度及び温度を8時間維持して揮発分を留去した。
得られた粉体を目開き200μmの篩いで分級し、被覆正極活物質粒子を得た。
【0084】
[負極の作製]
ポリオレフィン樹脂を四角環状に成形した負極枠部材(内寸37cm×40cm、外寸38.6cm×41.4cm)を準備した。
電解液42部と炭素繊維[大阪ガスケミカル(株)製ドナカーボ・ミルドS-243:平均繊維長500μm、平均繊維径13μm:電気伝導度200mS/cm]4.2部とを遊星撹拌型混合混練装置{あわとり練太郎[(株)シンキー製]}を用いて2000rpmで5分間混合し、続いて上記電解液30部と上記の被覆負極活物質粒子206部を追加した後、更にあわとり練太郎で2000rpmで2分間混合し、上記電解液20部を更に追加した後、あわとり練太郎による撹拌を2000rpmで1分間行い、更に上記電解液を2.3部追加した後あわとり練太郎による撹拌を2000rpmで2分間行い、負極活物質組成物を作製した。
樹脂集電体に上記負極枠部材を配置し、負極枠部材の枠内に負極活物質組成物を塗布して負極を作製した。また、負極活物質層には電解液を注液した。
【0085】
[正極の作製]
ポリオレフィン樹脂を四角環状に成形した正極枠部材(内寸37cm×40cm、外寸38.6cm×41.4cm)を準備した。
電解液42部と炭素繊維[大阪ガスケミカル(株)製ドナカーボ・ミルドS-243:平均繊維長500μm、平均繊維径13μm:電気伝導度200mS/cm]4.2部とを遊星撹拌型混合混練装置{あわとり練太郎[(株)シンキー製]}を用いて2000rpmで5分間混合し、続いて上記電解液30部と上記の被覆正極活物質粒子206部を追加した後、更にあわとり練太郎で2000rpmで2分間混合し、上記電解液20部を更に追加した後、あわとり練太郎による撹拌を2000rpmで1分間行い、更に上記電解液を2.3部追加した後あわとり練太郎による撹拌を2000rpmで2分間行い、正極活物質組成物を作製した。
樹脂集電体に上記正極枠部材を配置し、正極枠部材の枠内に正極活物質組成物を塗布して正極を作製した。また、正極活物質層には電解液を注液した。
【0086】
[単電池の作製]
製造した負極と正極を、セパレータを組み合わせて重ねて、正極枠部材と負極枠部材が重なる部分を加熱加圧してヒートシールし、単電池を作製した。セパレータとしては、セルガード製#3501を用いた。
【0087】
[絶縁体の準備]
絶縁体として以下のものを準備した。
絶縁体1-1:カプトンテープ650S(株式会社寺岡製作所製)
絶縁体1-2:ポリエステルフィルムテープ25BN(オカモト)
絶縁体1-3:エレップマスキングテープN-380R(日東電工)
絶縁体1-4:養生用PカットテープNo.4140(株式会社寺岡製作所製)
絶縁体2:緩衝材(ガス吸着粒子と樹脂材料やパルプをシート化したガス吸着シート)の側面に両面テープ ナイスタック NW-50(ニチバン株式会社製)を貼り付けて粘着可能としたもの。ガス吸着粒子としてはゼオライトを使用しており、目付量は25mg/cm、ゼオライトの体積平均粒子径は500μmである。
ガス吸着粒子の仕様は以下の通りである。
活性炭:製品名「粉末活性炭 KD-CAB」、体積平均粒子径:100μm、製造元:株式会社ユー・イー・エス
シリカ:製品名「シリカパウダー」、体積平均粒子径:50μm、製造元:株式会社丸東
アルミナ1:製品名「活性アルミナ AA-101」、体積平均粒子径:12μm、製造元:日本軽金属株式会社
アルミナ2:製品名「活性アルミナ D-201」、体積平均粒子径:5000μm、製造元:ユニオン昭和株式会社
ゼオライト1:製品名「モレキュラーシーブ 4A ペレット」、体積平均粒子径:500μm、製造元:巴工業株式会社
ゼオライト2:製品名「モレキュラーシーブ 4A ペレット」、体積平均粒子径:700μm、製造元:ユニオン昭和株式会社
ゼオライト3:製品名「モレキュラーシーブ 4A ペレット」、体積平均粒子径:1600μmφ×5000μm(円筒)、製造元:ユニオン昭和株式会社
ゼオライト4:製品名「13Xビーズ」、体積平均粒子径:2500μm、製造元:ユニオン昭和株式会社
ゼオライト5:製品名「5Aビーズ」、体積平均粒子径:3000μm、製造元:ユニオン昭和株式会社
なお、ゼオライト1、ゼオライト2は、ゼオライト3を乳鉢で粉砕し、篩で平均粒子径を整えて調製した。
ゼオライト3は円筒状であるので、表1に示す体積平均粒子径としては円の直径を示した。
【0088】
(実施例1~16、比較例1)
[組電池の作製]
単電池を40個積層して積層体を得た。積層体の上下面に強電タブを接合した。
実施例1~16では、積層体の側面に絶縁体(A1)の接着力を有する面を貼り付けた。
絶縁体を設けた態様を表1にまとめて示した。
【0089】
比較例1では絶縁体の貼り付けを行わなかった。
積層体の4つの側面を被覆する場合の被覆の態様は図5に示す態様であり、組電池を構成する積層体のそれぞれの側面に絶縁体を設ける態様である。
積層体の2つの側面を被覆する場合の被覆の態様は図8に示す態様であり、組電池を構成する積層体の側面のうち対向する2つの面に絶縁体を設ける態様である。
積層体の1つの側面を被覆する場合の被覆の態様は図7に示す態様である。
実施例3は絶縁体(A2)を設けない態様であり、図10に示す態様である。
実施例4~13は絶縁体(A2)を設ける態様であり、図12に示す態様である。
実施例14~16は絶縁体(A1)の種類を実施例2から変更した態様であり、絶縁体(A1)のPET板に対する180°引きはがし粘着力が実施例2と異なる。
【0090】
各実施例で使用した絶縁体(A1)につき、JIS Z 0237に準じて、絶縁体のPET板に対する180°引きはがし粘着力を測定した。
被着体として幅25mm、厚さ3mmのPET板を準備し、絶縁体(A1)の粘着力を有する面をPET板に接触させてローラーで押し付けてPET板に試験片を貼り付け、JIS Z 0237に準じて180°引きはがし粘着力を測定した。
引きはがし粘着力は、フォースゲージ(AD-4932A-50N:株式会社エー・アンド・デイ製)を使用して測定した。
測定結果を表1にまとめて示した。
【0091】
各実施例及び比較例で製造した組電池につき、加熱・振動試験を行い、試験前後での組電池の特性の評価を行った。評価結果を表1にまとめて示した。
[加熱・振動試験]
組電池を72℃の恒温槽内で60hr保持し、加熱試験を行った。
加熱試験を経た組電池を、振動試験装置(V8-440 metric SHAKER)に固定し、7Hz-200Hz-7Hzの振動を15分×12回、X、Y、Z方向それぞれに与えた。試験時間は各方向につき3時間、合計9時間とした。
この加熱・振動試験はリチウムイオン電池国連勧告輸送試験UN38.3のT2(熱試験)及びT3(振動試験)に準拠した試験である。
【0092】
[加熱・振動試験前後の内部抵抗値の評価]
試験後の組電池の強電タブに、バッテリーハイテスター(Hioki社製、BT3563A)の端子を接続し、25℃に温調した状態で1000Hzでの内部抵抗値(Ω/MD:組電池1つあたりの抵抗値)を測定した。
なお、加熱、振動試験前の組電池についても内部抵抗値を測定しておいた。
【0093】
[加熱・振動試験後の位置ずれの評価]
外装体から単電池の積層体を取り出し、積層体の上面から見たときの単電池の位置ずれを測定した。
図13は、単電池の位置ずれを測定する位置を示す模式図である。
図13に示すように、複数の単電池100の位置ずれを、両矢印Xで示す長さ[mm]として計測した。
【0094】
[加熱・振動試験後の樹脂集電体の破れの評価]
積層体を解体して単電池を1つずつ取り出し、樹脂集電体に破れが生じているかを観察した。
【0095】
[組電池のエネルギー密度]
組電池の体積と、組電池に占める積層単位部分の体積の割合から、組電池の体積(L:リットル)あたりのエネルギー密度(Wh/L)を求めた。
【0096】
【表1】
【0097】
各実施例の組電池は、比較例1の組電池と比較して、加熱・振動試験後の内部抵抗値が大幅に低くなっていた。比較例1の組電池では加熱・振動試験により、樹脂集電体同士の密着状態が悪くなり、内部抵抗値が上昇したと考えられるが、各実施例の組電池では上下に隣り合う単電池の位置がずれることが防止されるので、組電池の内部抵抗値の上昇が防止されていた。
【0098】
実施例1の組電池は、絶縁体で被覆する積層体の側面の数が1つだけであるために、単電池の位置ずれを防止する効果がやや弱く、試験後の位置ずれが生じ、樹脂集電体の破れも生じていた。
実施例2~13、15、16の組電池では、単電池の位置ずれは1mm以下であり、樹脂集電体の破れも生じていなかった。実施例10のように積層体の側面のうち対向する2つの面だけを絶縁体で被覆した場合であっても、充分な効果が得られていた。
絶縁体のPETとの引きはがし粘着力が0.5N/25mm未満である実施例14の組電池では、単電池の位置ずれを防止する効果がやや弱くなっていた。
【0099】
緩衝材としてガス吸着粒子を含む実施例3~13では、ガス吸着粒子を含まない実施例1、2、14-16に対して内部抵抗値がより低くなっていた。
特に、ガス吸着粒子の含有量が緩衝材の単位面積当たり40mg/cm以上である実施例8~13では内部抵抗値が特に低くなっていた。
また、ガス吸着粒子の体積粒子径が2000μm(2mm)を超える実施例11~13では、組電池のエネルギー密度がやや低くなっていた。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明の組電池は、電池の作製、運搬又は使用時に外部から振動が加えられても内部抵抗値の上昇が生じることを防止することができるので、振動が加わる環境下で使用可能な組電池とすることができる。
【符号の説明】
【0101】
1、2、3 組電池
11 正極樹脂集電体
13 正極活物質層
21 負極樹脂集電体
23 負極活物質層
30 セパレータ
40 枠部材
40a 正極枠部材
40b 負極枠部材
70 絶縁体(A1)
71 絶縁体
72a、72b、72c 絶縁体
73a、73b 絶縁体
74a、74b 絶縁体
75 絶縁体(A2)
80 緩衝材(ガス吸着粒子)
100 単電池
111、121 強電タブ
120 外装体
200 積層体
201 積層体の上面
202 積層体の下面
203 積層体の第1側面
204 積層体の第2側面
205 積層体の第3側面
206 積層体の第4側面

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13