(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186242
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】照明制御装置、照明システム、照明器具および照明器具の制御方法
(51)【国際特許分類】
H05B 47/16 20200101AFI20221208BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20221208BHJP
H05B 47/155 20200101ALI20221208BHJP
【FI】
H05B47/16
H05B47/105
H05B47/155
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094366
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 健吾
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA03
3K273QA13
3K273QA16
3K273RA02
3K273RA03
3K273RA05
3K273RA06
3K273SA19
3K273SA38
3K273SA57
3K273SA60
3K273TA03
3K273TA04
3K273TA05
3K273TA22
3K273TA27
3K273TA46
3K273TA49
3K273TA52
3K273TA54
3K273UA22
(57)【要約】
【課題】個人に適した照明環境を提供できる照明制御装置、照明システム、照明器具および照明器具の制御方法を得ることを目的とする。
【解決手段】本開示に係る照明制御装置は、個人の就業開始からの経過時間が長くなるほど、複数の発光部のうち前記個人の席に対応する発光部が発する光束または色温度の少なくとも一方を低下させる制御部を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人の就業開始からの経過時間が長くなるほど、複数の発光部のうち前記個人の席に対応する発光部が発する光束または色温度の少なくとも一方を低下させる制御部を備えることを特徴とする照明制御装置。
【請求項2】
複数の席と前記複数の発光部との対応関係を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記対応関係に基づき、前記複数の席の各々について前記席を使用する前記個人の就業開始からの経過時間が長くなるほど、前記席に対応する発光部が発する光束または色温度の少なくとも一方を低下させることを特徴とする請求項1に記載の照明制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数の席の各々について、現在、前記席を使用している個人を特定する個人情報を取得し、前記個人情報が特定する前記個人の就業開始からの経過時間が長くなるほど、前記席に対応する発光部が発する光束または色温度の少なくとも一方を低下させることを特徴とする請求項2に記載の照明制御装置。
【請求項4】
前記個人を特定する個人情報と前記複数の発光部との対応関係を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記対応関係に基づき、外部から受信した前記個人情報が特定する前記個人の就業開始からの経過時間が長くなるほど、前記個人情報に対応する発光部が発する光束または色温度の少なくとも一方を低下させることを特徴とする請求項1に記載の照明制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、タイムテーブルに従って前記個人の就業開始からの経過時間が長くなるほど、前記個人の席に対応する発光部が発する光束または色温度の少なくとも一方を低下させ、前記個人が不在のとき、前記個人の席に対応する発光部を前記個人の就業開始時間に関わらず基本タイムテーブルに従って制御することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の照明制御装置。
【請求項6】
基本タイムテーブルは、前記個人が定時出勤した場合のタイムテーブルであることを特徴とする請求項5に記載の照明制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、タイムテーブルに従って前記個人の就業開始からの経過時間が長くなるほど、前記個人の席に対応する発光部が発する光束または色温度の少なくとも一方を低下させ、予め定められた時刻以降は、前記タイムテーブルに関わらず前記発光部を予め定められた光束に設定することを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の照明制御装置。
【請求項8】
複数の席に対応するように設けられた複数の発光部と、
個人の就業開始からの経過時間が長くなるほど、前記複数の発光部のうち前記個人の席に対応する発光部が発する光束または色温度の少なくとも一方を低下させる照明制御装置と、
を備えることを特徴とする照明システム。
【請求項9】
前記複数の席に対応するように設けられた複数の検出装置を備え、
前記複数の検出装置の各々は、対応する席を使用する個人を特定する個人情報を取得し、
前記照明制御装置は、前記個人情報が特定する前記個人の就業開始からの経過時間が長くなるほど、前記対応する席に対応する発光部が発する光束または色温度の少なくとも一方を低下させることを特徴とする請求項8に記載の照明システム。
【請求項10】
発光部と、
前記発光部を点灯させる点灯回路と、
前記発光部に対応する席を使用する個人の就業開始からの経過時間が長くなるほど、前記発光部が発する光束または色温度の少なくとも一方を低下させるように前記点灯回路を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする照明器具。
【請求項11】
個人の就業開始時間を検出することと、
前記個人の席に対応する発光部を特定することと、
前記就業開始時間からの経過時間が長くなるほど、前記特定された発光部が発する光束または色温度の少なくとも一方を低下させることと、
を備えることを特徴とする照明器具の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明制御装置、照明システム、照明器具および照明器具の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、所定空間に設けられた照明負荷の相関色温度を調節する調色、および照明負荷の光出力を可変として、所定空間の照度を調整する調光を行う照明制御装置が開示されている。照明制御装置の制御部は、午前中の所定時刻から正午付近までの第1の時間帯において、照明負荷の相関色温度を第1の相関色温度に調節し、所定空間の照度を第1の照度に調節する。制御部は第1の時間帯以降に設定した午後の第2の時間帯において、照明負荷の相関色温度を、第1の相関色温度から第2の相関色温度まで時間の経過に伴って低下させ、所定空間の照度を、第1の照度から第2の照度まで時間の経過に伴って低下させる。この照明制御装置によれば、仕事場所の就業時間において、生体リズムに好ましい光環境と省エネルギー化とを両立させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に人が朝起きて日を浴びてから14時間ほど経つと、メラトニンの分泌が始まり、人の体は休息の準備を始める。この概日リズムを正常に機能させるために、例えば特許文献1のような工夫がなされることがある。しかし特許文献1では、フロア全体の在籍者が同じリズムで就業することが想定されている。これに対し実際には、時差出勤、フレックスタイム、採用労働制、勤務間インターバル、フリーアドレス、サテライトオフィス、在宅勤務など、様々な働き方が想定される。
【0005】
例えばフレックスタイムでは、就業開始時間が人によって異なる。このため、朝早く起きて就業開始した人と、朝遅く起きて就業開始した人とでは、概日リズムを正常に機能させるための適切な光環境が異なることが考えられる。
【0006】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、個人に適した照明環境を提供できる照明制御装置、照明システム、照明器具および照明器具の制御方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る照明制御装置は、個人の就業開始からの経過時間が長くなるほど、複数の発光部のうち前記個人の席に対応する発光部が発する光束または色温度の少なくとも一方を低下させる制御部を備える。
【0008】
本開示に係る照明システムは、複数の席に対応するように設けられた複数の発光部と、個人の就業開始からの経過時間が長くなるほど、前記複数の発光部のうち前記個人の席に対応する発光部が発する光束または色温度の少なくとも一方を低下させる照明制御装置と、を備える。
【0009】
本開示に係る照明器具は、発光部と、前記発光部を点灯させる点灯回路と、前記発光部に対応する席を使用する個人の就業開始からの経過時間が長くなるほど、前記発光部が発する光束または色温度の少なくとも一方を低下させるように前記点灯回路を制御する制御部と、を備える。
【0010】
本開示に係る照明器具の制御方法は、個人の就業開始時間を検出することと、前記個人の席に対応する発光部を特定することと、前記就業開始時間からの経過時間が長くなるほど、前記特定された発光部が発する光束または色温度の少なくとも一方を低下させることと、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係る照明制御装置、照明システム、照明器具および照明器具の制御方法では、個人の就業開始からの経過時間が長くなるほど、個人の席に対応する発光部が発する光束または色温度の少なくとも一方が低下する。このため、個人に適した照明環境を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態1に係る照明システムのブロック図である。
【
図2】実施の形態1に係る照明器具のブロック図である。
【
図3】実施の形態1に係る席および発光部の配置を説明する平面図である。
【
図4】実施の形態1に係る照明器具の斜視図である。
【
図5】実施の形態1に係る照度と色温度の変化を説明する図である。
【
図6】実施の形態2に係る照明システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
各実施の形態に係る照明制御装置、照明システム、照明器具および照明器具の制御方法について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0014】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明システム100のブロック図である。照明システム100は、コントローラ30を介して照明器具40を制御する照明制御装置10を備える。照明制御装置10は例えば、ビル管理サーバ、PC(Personal Computer)、タブレットである。照明制御装置10は、各フロアにあるコントローラ30と無線または有線で接続されている
【0015】
コントローラ30は、照明器具40と無線または有線で接続される。コントローラ30は、照明制御装置10からの制御指令に応じて、照明器具40に対して後述する点灯回路42の出力を制御する制御信号を送信する。
【0016】
図2は、実施の形態1に係る照明器具40のブロック図である。照明器具40は、複数の発光部45と点灯装置41を備える。点灯装置41は、発光部45を点灯させる点灯回路42と、点灯回路42を制御する制御部43と、外部と通信する通信部44とを備える。通信部44はコントローラ30からの制御信号を受信する。制御部43は、通信部44が受信した制御信号に応じて点灯回路42を制御する。点灯回路42は、発光部45を点灯させる電力を供給する電源回路である。
【0017】
照明器具40は例えば4つの発光部45を備える。各々の発光部45は互いに異なる色の光を発する複数の光源45a、45bを有する。複数の光源45a、45bは、例えばLEDである。複数の光源45a、45bとして例えば5000Kと2700Kの2種類の光源が設けられる。発光部45が有する光源は3種類以上でも良い。
【0018】
制御部43は、点灯回路42を介して複数の発光部45の発光状態を独立に制御できる。発光状態は、例えば色温度と光束である。制御部43は、各発光部45について、複数の光源45a、45bの出力バランスを制御して発光部45が発する光の色を制御できる。
【0019】
図3は、実施の形態1に係る席80および発光部45の配置を説明する平面図である。
図4は、実施の形態1に係る照明器具40の斜視図である。照明器具40は例えば、2.4m×2.4mに一台の等間隔で、天井に設置される。複数の発光部45は、複数の席80に対応するように設けられる。つまり、1つの席80を1つの発光部45が照らす。各発光部45は、例えば対応する席80の直上に設けられる。
【0020】
また、
図1に示されるように、各席80には検出装置20が設けられる。検出装置20は、例えば社員証またはスマートフォンに内蔵されたFelica(登録商標)等を読み取るカードリーダーである。複数の検出装置20は、複数の席80に対応するように設けられれば良く、席80から離れて設けられても良い。複数の検出装置20の各々は、対応する席80を使用する個人を特定する個人情報を取得する。個人情報は例えば社員ナンバーである。複数の検出装置20の各々は、対応する席80を使用する個人の就業開始時間を検出しても良い。各々の検出装置20が検出した個人情報または就業開始時間の情報は、照明制御装置10に送信される。検出装置20は、個人情報とともに自身に対応する席80を特定する情報を照明制御装置10に送信しても良い。
【0021】
次に、照明システム100の動作を説明する。まず、何れかの席80に就業者が着席したとする。この際、就業者は席80に設けられた検出装置20に例えば社員証をかざす。これにより、検出装置20は対応する席80を使用する就業者の個人情報を検出する。
【0022】
照明制御装置10の通信部11は、検出装置20から個人情報を受信する。照明制御装置10の就業開始時間検出部13は、検出装置20から受信した個人情報が特定する個人の就業開始時間を、外部の就業管理システム等から取得する。
【0023】
記憶部15には、複数の席80と複数の発光部45との対応関係が記憶されている。特定部12は、記憶部15に記憶された対応関係に基づき、複数の発光部45のうち、席80を特定する情報により特定された席80に対応する発光部45を特定する。照明制御部14は、就業開始時間検出部13が検出した就業開始時間に基づき、特定部12が特定した発光部45を制御する。照明制御部14は、複数の席80の各々について、席80を使用する個人の就業開始からの経過時間が長くなるほど、席80に対応する発光部45が発する光束および色温度を低下させる。
【0024】
照明制御装置10の記憶部15には、個人情報と複数の発光部45との対応関係が記憶されていても良い。この場合、特定部12は、記憶部15に記憶された対応関係に基づき、複数の発光部45のうち、外部から受信した個人情報が特定する個人の席80に対応する発光部45を特定する。照明制御部14は、就業開始時間検出部13が検出した就業開始時間に基づき、特定部12が特定した発光部45を制御する。照明制御部14は、個人情報が特定する個人の就業開始からの経過時間が長くなるほど、個人情報に対応する発光部45が発する光束および色温度を低下させる。
【0025】
照明制御部14は、特定部12が特定した発光部45を制御するように通信部11を介してコントローラ30に制御指令を送信する。コントローラ30は、制御指令に応じて照明器具40に制御信号を送信する。照明器具40では、通信部44を介して制御部43が制御信号を受信する。制御部43は、制御信号が特定する発光部45に対応する席80を使用する個人の就業開始からの経過時間が長くなるほど、発光部45が発する光束または色温度の少なくとも一方を低下させるように点灯回路42を制御する。
【0026】
図5は、実施の形態1に係る照度と色温度の変化を説明する図である。就業開始時の色温度と光束は、活性を促すように高色温度および高光束が好ましい。例えば就業開始時の色温度は6500~5000Kであり、照度は1000~750lxである。また、就業終了時の色温度と光束は、メラトニンの分泌を妨げないように低色温度および低光束が好ましい。この際、労働安全衛生規則第604条(照度)の規程に基づき、精密な作業に必要な300ルクス以上の照度が確保されることが好ましい。
【0027】
照明制御部14は、タイムテーブルに従って個人の就業開始からの経過時間が長くなるほど、個人の席80に対応する発光部45が発する光束および色温度を低下させても良い。タイムテーブルは、例えば記憶部15に記憶される。
図5における基本タイムテーブルは、個人が定時出勤した場合のタイムテーブルである。定時出社した就業者Aを照らす発光部45による色温度および照度は、基本タイムテーブルに従って就業開始から段階的に低下する。
【0028】
第1タイムテーブルは、定時より二時間遅く出社した就業者Bを照らす発光部45用のタイムテーブルである。第1タイムテーブルは、基本タイムテーブルよりも2時間後ろにシフトしている。第2タイムテーブルは、定時より一時間半早く出社した就業者Cを照らす発光部45用のタイムテーブルである。第2タイムテーブルは、基本タイムテーブルよりも一時間半前にシフトしている。
【0029】
照明制御部14は、個人が不在のとき、個人の席に対応する発光部45を個人の就業開始時間に関わらず基本タイムテーブルに従って制御しても良い。ここで不在には、個人の退勤後、出勤前、一時的に離席している場合等が含まれる。
図5において、就業者Bが20時に退勤したため、就業者Bを照らしていた発光部45は20時からは基本タイムテーブルに従って制御される。このため、20時から色温度および照度が基本タイムテーブルと同じ値となる。同様に、就業者Cが19時半に退勤したため、就業者Cを照らしていた発光部45は19時半からは基本タイムテーブルに従って制御される。
【0030】
このように本実施の形態では、個人の就業開始からの経過時間が長くなるほど、複数の発光部45のうち個人の席80に対応する発光部45が発する光束および色温度を低下させる。つまり、個々の就業者の就業開始時間に合わせて、就業者を照らす光の量と色を制御できる。従って、個人に適した照明環境を提供できる。具体的には、就業開始時間から一定時間が経過した後に、概日リズムの妨げとなり易い高色温度、高照度の光を浴びる事を抑制できる。このように、生活の周期に適した光を浴びる事で、健康状態を適切に保つ事ができる。
【0031】
また就業者は、発光部45の状態から、就業開始からの経過時間を容易に把握できる。従って、業務効率化を図ることができ、残業を抑制できる。また、周囲の人が過重労働を気づくことができ、業務のシェアを促進できる。また、一般に利用者の生体リズムに好ましい光環境を提供することは、一部のオフィス、病院、介護老人保健施設などに限られている。これに対し本実施の形態によれば、上記のような勤怠、労務効果を得られるため、生体リズムに適した照明システム100の導入促進が期待できる。
【0032】
また本実施の形態では一例として、複数の席80に対応するように複数の検出装置20が設けられ、検出装置20は自身に対応する席80を特定する情報を照明制御装置10に送信する。これにより照明制御装置10は、受信した情報が特定する席80に対応する発光部45を制御する。このため、オフィスにフリーアドレスが導入されている場合または席替えがあった場合にも、就業開始からの経過時間に応じた発光部45の制御を容易に実施できる。
【0033】
また、本実施の形態に係る照明システム100は、各就業者が仕事内容等に応じて、一日の中で席80を移動するような環境に適用されても良い。就業者は、席80を移動した場合に、新たに着席する席80の検出装置20に社員証をかざす。これにより就業開始時間検出部13は、複数の席80の各々について、現在、席80を使用している個人を特定する個人情報を取得できる。照明制御部14は、個人情報が特定する個人の就業開始からの経過時間が長くなるほど、現在、個人が使用している席80に対応する発光部45が発する光束および色温度を低下させる。これにより、就業者がどこに座っていても、その就業者に適した照明環境を提供できる。
【0034】
なお、照明器具40において複数の発光部45が別個に制御されるため、複数の発光部45のカバーの色温度が互いに異なることが想定される。しかし机上面では、複数の発光部45からの光が混色されるため、就業者への違和感は少ない。
【0035】
本実施の形態の照明制御装置10は、就業開始からの経過時間に応じて発光部45が発する光束および色温度を低下させた。この変形例として、照明制御装置10は個人の就業開始からの経過時間が長くなるほど、個人の席に対応する発光部45が発する光束または色温度の少なくとも一方を低下させるものとしても良い。例えば就業開始からの経過時間に応じて光束または色温度の一方を低下させることで生体リズムを整える効果が得られるという場合には、このような制御を採用しても良い。
【0036】
図5の例では発光部45の色温度および光束が階段状に低下する。これに限らず、色温度および光束は、予め定められた時間をかけて連続的に変化しても良い。予め定められた時間は、例えば数秒~数分である。また、色温度および光束の時間変化は、滑らかな曲線または直線となっても良い。また、照明空間に外光が入る場合は、適切な照度が得られるように、発光部45が発する光束を低下させても良い。
【0037】
また、照明制御部14は、予め定められた時刻以降は、タイムテーブルに関わらず発光部45を予め定められた光束に設定しても良い。例えば就業開始時間が遅いフレックス出勤者についても、夜8時以降は発光部45による照度が適切なメラノピック照度に設定されても良い。また照明制御部14は、個人の就業時間が就業規則違反となる場合に、発光部45の点滅等で警告を行っても良い。就業規則違反となる場合には、例えばインターバル出勤における休息時間が確保されていない場合または徹夜就業からの連続勤務などが含まれる。
【0038】
また、上述したように照明制御装置10は就業管理システムと連携しても良い。照明制御装置10が取り扱う就業開始時間、個人情報等のデータは、就業管理システムの出退勤データを流用しても良い。就業開始時間として、例えば入門時に就業者が就業管理システムの端末に社員証をかざした時間を使用できる。また、就業開始時間として、就業者がPCを立ち上げた時間が使用されても良い。
【0039】
また、就業開始時間の情報は検出装置20が取得しても良い。この場合、一人の就業者が複数の検出装置20に対して一日に複数回、社員証をかざすことが想定される。このとき、その日初めて社員証をかざした時間が、就業開始時間として取得されても良い。
【0040】
また照明器具40の構成は、
図1~4に示されるものに限定されない。例えば照明器具40は、デスク毎に発光部45を確保できれば、2.4mピッチで無くても良い。また、照明器具40が有する発光部45は1つ以上であれば良い。つまり、複数の席80に対応するように複数の照明器具40が設けられても良い。また、照明制御装置10は複数の照明器具40を制御しても良い。発光部45の配光は、拡散配光であっても良く、集光またはスポット光であっても良い。集光またはスポット光によれば、各発光部45が発する光の個人への寄与度が高くなる。
【0041】
また検出装置20はカードリーダーに限らず、ビーコン、網膜認証装置、顔認証装置または指紋認証装置であっても良い。網膜認証装置または顔認証装置には、例えばPCカメラを用いることができる。
【0042】
照明制御装置10について、
図1に示される通信部11、特定部12、就業開始時間検出部13、照明制御部14の機能は、プロセッサ、CPU(Central Processing Unit)、マイコン等の制御装置により実現できる。記憶部15の機能は不揮発性メモリ等のメモリで実現できる。制御装置は例えば記憶部15に格納されるプログラムを実行する。すなわち記憶部15には、個人の就業開始からの経過時間が長くなるほど、個人の席80に対応する発光部45が発する光束または色温度の少なくとも一方を低下させるプログラムが格納される。
【0043】
また、照明制御装置10の機能はコントローラ30で実現されても良い。つまり、通信部11、特定部12、就業開始時間検出部13、照明制御部14、記憶部15はコントローラ30に設けられても良い。また、照明制御装置10とコントローラ30が1つの装置であっても良い。また、コントローラ30はフロアに一台とは限らない。
【0044】
これらの変形は、以下の実施の形態に係る照明制御装置、照明システム、照明器具および照明器具の制御方法について適宜応用することができる。なお、以下の実施の形態に係る照明制御装置、照明システム、照明器具および照明器具の制御方法については実施の形態1との共通点が多いので、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0045】
実施の形態2.
図6は、実施の形態2に係る照明システム200のブロック図である。本実施の形態では、検出装置20の配置が実施の形態1と異なる。検出装置20は複数の席80に対応するように設けられていなくても良い。例えば複数の個人に共用の検出装置20が一台設けられても良い。
【0046】
本実施の形態の検出装置20は、個人情報を取得する。また、照明制御装置10の記憶部15には、個人情報と複数の発光部45との対応関係が記憶されている。特定部12は、記憶部15に記憶された対応関係に基づき、検出装置20が取得した個人情報に対応する発光部45を特定する。照明制御部14は、個人情報が特定する個人の就業開始からの経過時間が長くなるほど、個人情報に対応する発光部45が発する光束および色温度を低下させる。
【0047】
なお、各実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いても良い。
【符号の説明】
【0048】
10 照明制御装置、11 通信部、12 特定部、13 就業開始時間検出部、14 照明制御部、15 記憶部、20 検出装置、30 コントローラ、40 照明器具、41 点灯装置、42 点灯回路、43 制御部、44 通信部、45 発光部、45a 光源、80 席、100 照明システム、200 照明システム