IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社PFUの特許一覧

特開2022-186250画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム
<>
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム 図1
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム 図2
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム 図3
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム 図4
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム 図5
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム 図6
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム 図7
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム 図8
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム 図9
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム 図10
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム 図11
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム 図12
  • 特開-画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186250
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06V 30/14 20220101AFI20221208BHJP
   G06T 7/12 20170101ALI20221208BHJP
【FI】
G06K9/20 340J
G06T7/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094378
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100137394
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】横川 祥太
【テーマコード(参考)】
5B029
5L096
【Fターム(参考)】
5B029BB02
5B029EE06
5L096BA07
5L096CA04
5L096FA02
5L096FA06
5L096FA52
5L096GA51
(57)【要約】      (修正有)
【課題】光学的に読み取られた画像データから画像領域を切り出す位置の精度を向上させた画像処理装置、画像処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】画像処理装置において、機能構成(画像処理プログラム3)は、光学的に読み取られた画像データのうち、複数のページの画像データに基づいて、原稿1ページに相当する画像領域を切り出すための切出し位置を決定する切出し位置決定部300と、切出し位置決定部300により決定された切出し位置で、画像データから、原稿1ページに相当する画像領域を切り出す領域切出し部340とを有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的に読み取られた画像データのうち、複数のページの画像データに基づいて、原稿1ページに相当する画像領域を切り出すための切出し位置を決定する切出し位置決定部と、
前記切出し位置決定部により決定された切出し位置で、前記画像データから、原稿1ページに相当する画像領域を切り出す領域切出し部と
を有する画像処理装置。
【請求項2】
前記切出し位置決定部は、
処理対象のページの画像データのみに基づいて、処理対象のページの画像エッジを探索する第1のエッジ探索部と、
前記処理対象以外のページの画像データに基づいて、処理対象のページの画像エッジを探索する第2のエッジ探索部と、
前記第1のエッジ探索部により探索された画像エッジと、前記第2のエッジ探索部により探索された画像エッジとに基づいて、処理対象のページの切出し位置を決定する結果統合部と
を含む
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第2のエッジ探索部は、一束の原稿から連続的なスキャン処理により生成された複数の画像データに基づいて、画像エッジを探索する
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1のエッジ探索部により発見された画像エッジの本数に基づいて、発見された画像エッジの確からしさを評価する評価部
をさらに有し、
前記第2のエッジ探索部は、前記評価部による評価結果に応じて、画像エッジの探索を行う
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第2のエッジ探索部は、前記評価部により確からしさが基準よりも低いページについてのみ、他のページの画像データに基づいて画像エッジを特定する
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第2のエッジ探索部は、前記評価部により確からしさが基準よりも低い画像エッジについて、他のページの情報に基づいて、画像エッジの再探索を行う
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第2のエッジ探索部は、画像データに含まれるコンテンツの位置に基づいて、画像エッジを特定する
請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
光学的に読み取られた画像データから、原稿の端部に相当する画像エッジを探索する第1のエッジ探索部と、
前記第1のエッジ探索部により発見された画像エッジの確からしさを評価する評価部と、
前記評価部による評価結果に応じて、前記原稿の端部に相当する画像エッジを探索する第2のエッジ探索部と
を有する画像処理装置。
【請求項9】
光学的に読み取られた画像データから、原稿の端部に相当する画像エッジを探索するエッジ探索部と、
前記エッジ探索部により発見された画像エッジの確からしさを評価する評価部と、
前記評価部による評価結果に応じて、前記エッジ探索部により発見された画像エッジを補正する補正部と
を有する画像処理装置。
【請求項10】
光学的に読み取られた画像データのうち、複数のページの画像データに基づいて、原稿1ページに相当する画像領域を切り出すための切出し位置を決定する切出し位置決定ステップと、
前記切出し位置決定ステップにより決定された切出し位置で、前記画像データから、原稿1ページに相当する画像領域を切り出す領域切出しステップと
を有する画像処理方法。
【請求項11】
光学的に読み取られた画像データのうち、複数のページの画像データに基づいて、原稿1ページに相当する画像領域を切り出すための切出し位置を決定する切出し位置決定ステップと、
前記切出し位置決定ステップにより決定された切出し位置で、前記画像データから、原稿1ページに相当する画像領域を切り出す領域切出しステップと
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、原稿の3次元情報を取得する3次元情報取得手段と、3次元情報において、色および深度に基づいて原稿領域を判定して、当該原稿領域に対してクロップ処理を行うクロップ処理手段と、を備えることを特徴とするクロッピング装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、画像処理装置の検知手段は、1枚目の原稿のサイズを検知し、確定手段は、2枚目以降の原稿を前記検知手段によって検知されたサイズに確定し、画像処理手段は、2枚目以降の原稿について、前記確定手段によって確定されたサイズにしたがって、画像処理を行う画像処理装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献3には、原稿載置台と、画像読取部と、端辺検出部と、オブジェクト検出部と、画像切出部とを備え、端辺検出部は、画像データにおける原稿の端辺を検出し、オブジェクト検出部は、画像データにおける原稿に含まれるオブジェクトを検出し、画像切出部は、端辺検出部が端辺の検出に失敗した場合に、オブジェクト検出部が検出したオブジェクトが画像データを複数に分割した領域のうち何れの領域に属するかを特定し、当該特定した領域に基づき画像データから切り出す領域を決定するとともに当該決定した領域を切り出す画像読取装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献4には、原稿の画像を光学的に読取る読取手段を、その読取手段を移動させる移動手段により移動させながら前記原稿を読取ることにより得られた画像データに基いて、前記原稿のエッジの長さを取得し、その取得された原稿のエッジの長さとメモリに記憶された複数の定型原稿のサイズとに基いて、前記原稿のサイズとして推定される候補のサイズを複数、抽出し、その抽出された前記原稿の複数の候補のサイズの差より特定される領域に関し、画像データを解析して前記領域に原稿が存在するかどうかを判定し、その抽出された原稿の複数の候補のサイズと前記判定の結果とに基いて、原稿台に載置された定型原稿のサイズを決定する画像読取装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2015/141011
【特許文献2】特開2018-197739
【特許文献3】特開2017-073727
【特許文献4】特開2015-180004
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
光学的に読み取られた画像データから画像領域を切り出す位置の精度を向上させた画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像処理装置は、光学的に読み取られた画像データのうち、複数のページの画像データに基づいて、原稿1ページに相当する画像領域を切り出すための切出し位置を決定する切出し位置決定部と、前記切出し位置決定部により決定された切出し位置で、前記画像データから、原稿1ページに相当する画像領域を切り出す領域切出し部とを有する。
【0009】
好適には、前記切出し位置決定部は、処理対象のページの画像データのみに基づいて、処理対象のページの画像エッジを探索する第1のエッジ探索部と、前記処理対象以外のページの画像データに基づいて、処理対象のページの画像エッジを探索する第2のエッジ探索部と、前記第1のエッジ探索部により探索された画像エッジと、前記第2のエッジ探索部により探索された画像エッジとに基づいて、処理対象のページの切出し位置を決定する結果統合部とを含む。
【0010】
好適には、前記第2のエッジ探索部は、一束の原稿から連続的なスキャン処理により生成された複数の画像データに基づいて、画像エッジを探索する。
【0011】
好適には、前記第1のエッジ探索部により発見された画像エッジの本数に基づいて、発見された画像エッジの確からしさを評価する評価部をさらに有し、前記第2のエッジ探索部は、前記評価部による評価結果に応じて、画像エッジの探索を行う。
【0012】
好適には、前記第2のエッジ探索部は、前記評価部により確からしさが基準よりも低いページについてのみ、他のページの画像データに基づいて画像エッジを特定する。
好適には、前記第2のエッジ探索部は、前記評価部により確からしさが基準よりも低い画像エッジについて、他のページの情報に基づいて、画像エッジの再探索を行う。
好適には、前記第2のエッジ探索部は、画像データに含まれるコンテンツの位置に基づいて、画像エッジを特定する。
【0013】
また、本発明に係る画像処理装置は、光学的に読み取られた画像データから、原稿の端部に相当する画像エッジを探索する第1のエッジ探索部と、前記第1のエッジ探索部により発見された画像エッジの確からしさを評価する評価部と、前記評価部による評価結果に応じて、前記原稿の端部に相当する画像エッジを探索する第2のエッジ探索部とを有する。
また、本発明に係る画像処理装置は、光学的に読み取られた画像データから、原稿の端部に相当する画像エッジを探索するエッジ探索部と、前記エッジ探索部により発見された画像エッジの確からしさを評価する評価部と、前記評価部による評価結果に応じて、前記エッジ探索部により発見された画像エッジを補正する補正部とを有する。
【0014】
また、本発明に係る画像処理方法は、光学的に読み取られた画像データのうち、複数のページの画像データに基づいて、原稿1ページに相当する画像領域を切り出すための切出し位置を決定する切出し位置決定ステップと、前記切出し位置決定ステップにより決定された切出し位置で、前記画像データから、原稿1ページに相当する画像領域を切り出す領域切出しステップとを有する。
【0015】
また、本発明に係るプログラムは、光学的に読み取られた画像データのうち、複数のページの画像データに基づいて、原稿1ページに相当する画像領域を切り出すための切出し位置を決定する切出し位置決定ステップと、前記切出し位置決定ステップにより決定された切出し位置で、前記画像データから、原稿1ページに相当する画像領域を切り出す領域切出しステップとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0016】
光学的に読み取られた画像データから画像領域を切り出す位置の精度を向上させた画像処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】画像処理システム1の全体構成を例示する図である。
図2】原稿エッジ検出の成功例及び失敗例を説明する図である。
図3】画像処理装置2のハードウェア構成を例示する図である。
図4】画像処理装置2の機能構成を例示する図である。
図5】画像処理システム1における全体動作(S10)を説明するフローチャートである。
図6】他ページに基づくエッジ探索処理(S20)をより詳細に説明するフローチャートである。
図7】成功したページの情報を参照して、発見された画像エッジの中から、採用すべき画像エッジを選択する方法を説明する図である。
図8】成功したページの情報と、信頼できる画像エッジとに基づいて原稿エッジを決定する方法を説明する図である。
図9】成功したページの情報と、コンテンツの位置とに基づいて原稿エッジを決定する方法を説明する図である。
図10】全ページで原稿エッジが検出できなかった場合の処理を説明する図である。
図11】評価部320による画像エッジの評価方法の変形例を説明する図である。
図12】第2エッジ探索部304による画像エッジ探索処理の変形例を説明する図である。
図13】結果統合部306による結果統合処理の変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、画像処理システム1の全体構成を例示する図である。
図1に例示するように、画像処理システム1は、画像処理装置2及びスキャナ装置4を含み、ケーブル7を介して互いに接続している。なお、本例では、USBケーブルなどのケーブル7で接続する形態を具体例として説明するが、これに限定されるものではなく、例えば、無線により接続してもよい。また、スキャナ装置4の筐体内に、画像処理装置2の機能が内蔵されていてもよい。
画像処理装置2は、コンピュータ端末であり、スキャナ装置4により読み取られた画像データを処理する。具体的には、画像処理装置2は、スキャナ装置4により連続的に読み取られた複数の画像データに関して、それぞれの画像データから、原稿1ページに相当する画像領域を切り出す。
スキャナ装置4は、光学式の画像読取装置である。本例のスキャナ装置4は、原稿台にセットされた原稿を1枚ずつ送る自動原稿送り装置を含み、原稿台にセットされた複数枚の原稿から、連続的に画像データを生成することができる。
【0019】
上記構成において、スキャナ装置4が原稿をスキャンする際、画像は原稿を一回り大きくしたサイズで読み取られる。この時、可読性を高めるため無駄な部分を除去してデータ容量を減らすために原稿のサイズで切り出す処理が行われる。また、原稿種判別においては、レシートや名刺など画像サイズから分類を行うことがあるため原稿のサイズを正確に読み取り、切り出す必要がある。そのため、従来から自動で原稿のサイズを検出する機能が存在した。
従来の技術では、原稿の背景が裏あてに近い色の時や折り目や破れなどの欠損がある場合などに自動サイズ検出に失敗してしまうケースがあった。また、一度にスキャンされる原稿の束に関しては似た原稿がスキャンされることが推測される。
【0020】
従来では、図2(A)に例示するように、スキャンされた画像から急峻な階調変化を検出し、上下左右4本のもっともらしい原稿エッジを検出することで自動サイズ検出を行ってきた。原稿エッジは、原稿端に相当し、原稿の上端や右端などの直線を表す。この時、図2(B)や図2(C)に例示するように、上下左右の4本が正しく検出されない場合に自動サイズ検出に失敗するケースがあった。例えば、原稿の背景色がスキャナ装置4の裏あての色に近い場合、折り目や破れなどの原稿の破損が存在する場合、スキャナ装置4の裏あてに影が大きく映りこむ場合、原稿の内側の罫線が強く写り込んだ場合などである。
上記のようなケースの時に、自動サイズ検出に失敗し、後の処理である原稿切り出しや連携アプリ先での処理に失敗する問題があった。そのため、間違った原稿エッジの修正や検出できない原稿エッジの補完をする必要がある。
【0021】
そこで、本実施形態の画像処理システム1では、スキャナ装置4が原稿の束を連続的にスキャンした場合に、画像処理装置2は、これら複数の原稿のスキャン画像に基づいて、原稿エッジを特定する。すなわち、1つの束でスキャンされる原稿は類似性や関連性が強いことに着目し、画像処理装置2は、他ページの原稿から抽出した情報を活用して、自動サイズ検出を行う。
活用する他ページの情報は、例えば、それぞれの原稿エッジの長さ、原稿のエッジの位置、原稿のコンテンツ(文字情報、イラストなど)の位置、又は、スキャナ装置4からの情報である。
【0022】
図3は、画像処理装置2のハードウェア構成を例示する図である。
図3に例示するように、画像処理装置2は、CPU200、メモリ202、HDD204、ネットワークインタフェース206(ネットワークIF206)、表示装置208、及び、入力装置210を有し、これらの構成はバス212を介して互いに接続している。
CPU200は、例えば、中央演算装置である。
メモリ202は、例えば、揮発性メモリであり、主記憶装置として機能する。
HDD204は、例えば、ハードディスクドライブ装置であり、不揮発性の記録装置としてコンピュータプログラム(例えば、図4の画像処理プログラム3)やその他のデータファイルを格納する。
ネットワークIF206は、有線又は無線で通信するためのインタフェースであり、例えば、スキャナ装置4との通信を実現する。
表示装置208は、例えば、液晶ディスプレイである。
入力装置210は、例えば、キーボード及びマウスである。
【0023】
図4は、画像処理装置2の機能構成を例示する図である。
図4に例示するように、画像処理装置2には、画像処理プログラム3がインストールされている。
画像処理プログラム3は、切出し位置決定部300、評価部320、及び領域切出し部340を有し、切出し位置決定部300は、第1エッジ探索部302、第2エッジ探索部304、及び結果統合部306を含む。
なお、画像処理プログラム3の一部又は全部は、ASICなどのハードウェアにより実現されてもよく、また、OS(Operating System)の機能を一部借用して実現されてもよい。
【0024】
画像処理プログラム3において、切出し位置決定部300は、光学的に読み取られた画像データのうち、複数のページの画像データに基づいて、原稿1ページに相当する画像領域を切り出すための切出し位置を決定する。より具体的には、切出し位置決定部300において、第1エッジ探索部302は、処理対象のページの画像データのみに基づいて、処理対象のページの画像エッジを探索する。ここで、画像エッジとは、画像において濃度値(階調値)が他の領域と比較してより急峻に変化する領域であり、原稿エッジ(原稿端に相当する領域)になりうるものである。
【0025】
第2エッジ探索部304は、処理対象以外のページの画像データに基づいて、処理対象のページの画像エッジを探索する。例えば、第2エッジ探索部304は、評価部320により確からしさが基準よりも低いと評価された画像エッジについて、他のページの画像データに基づいて、画像エッジを探索する。
結果統合部306は、第1エッジ探索部302により探索された画像エッジと、第2エッジ探索部304により探索された画像エッジとに基づいて、処理対象のページの切出し位置を決定する。
【0026】
評価部320は、第1エッジ探索部302により発見された画像エッジの確からしさを評価する。例えば、評価部320は、第1エッジ探索部302により発見された画像エッジの本数に基づいて、発見された画像エッジの確からしさを評価する。
【0027】
領域切出し部340は、切出し位置決定部300により決定された切出し位置で、スキャナ装置4により生成された画像データから、原稿1ページに相当する画像領域を切り出す。
【0028】
図5は、画像処理システム1における全体動作(S10)を説明するフローチャートである。
図5に例示するように、ステップ100(S100)において、スキャナ装置4は、原稿台にセットされた一束の原稿の中から、1枚の原稿を読取位置までフィードして、原稿から画像を読み取り、読み取られた画像データを画像処理装置2に送信する。
ステップ105(S105)において、画像処理装置2(画像処理プログラム3)の第1エッジ探索部302(図4)は、スキャナ装置4から受信した画像データについて、画像エッジの探索を行う。
ステップ110(S110)において、評価部320は、第1エッジ探索部302により発見された画像エッジの位置及び本数に基づいて、画像エッジの確からしさを評価する。具体的には、評価部320は、図2(A)に例示するように、画像エッジが上下左右に4本発見された場合に、確かであると判定し、図2(B)又は図2(C)に例示するように、発見された画像エッジが5本以上又は3本以下である場合に、不確かであると判定する。
【0029】
ステップ115(S115)において、画像処理プログラム3は、第1エッジ探索部302により発見された画像エッジの情報、及び、評価部320による評価結果を保存する。
ステップ120(S120)において、画像処理プログラム3は、全ての原稿について処理が完了したか否かを判断し、未処理の原稿が存在する場合に、S100の処理に戻って、次の原稿の処理を行い、全ての原稿の処理が完了した場合に、S125の処理に移行する。
【0030】
ステップ125(S125)において、画像処理プログラム3は、評価部320が全ての原稿の画像エッジが確かであると判定した場合に、S130の処理に移行し、評価部320がいずれかの原稿の画像エッジが不確かであると判定した場合に、S20の処理に移行する。
ステップ20(S20)において、切出し位置決定部300は、他のページの情報に基づいて、エッジ探索を行う。詳細は、図6を参照して後述する。
【0031】
ステップ130(S130)において、領域切出し部340は、切出し位置決定部300により決定された画像エッジを原稿エッジとして、原稿に相当する画像領域を切り出す。
【0032】
図6は、他ページに基づくエッジ探索処理(S20)をより詳細に説明するフローチャートである。
図6に例示するように、ステップ200(S200)において、切出し位置決定部300は、全ページに不確かな画像エッジが含まれているか否か(再探索が必要であるか否か)を判断し、全ページに不確かな画像エッジが含まれている場合に、S205の処理に移行し、いずれかのページで不確かな画像エッジが含まれていない場合に、S210の処理に移行する。
【0033】
ステップ205(S205)において、第2エッジ探索部304は、全ページのコンテンツに基づいて、画像エッジを探索する。具体的には、図10に例示するように、第2エッジ探索部304は、それぞれの原稿におけるコンテンツの座標情報を取得し、全ページのコンテンツの座標情報から最も外側に存在するコンテンツの座標を算出し、算出された座標情報から一定間隔外側の位置に直線を引き、原稿エッジとする。さらに、第2エッジ探索部304は、それぞれの原稿に対して算出された原稿エッジを当てはめ、当てはめられた原稿エッジ付近でエッジ検出を行い、エッジが検出された場合には算出された原稿エッジの位置を検出されたエッジに合わせて調整する。このように、第2エッジ探索部304は、原稿エッジの探索に成功したページが存在しない場合、全ページの原稿内のコンテンツが収まるような位置に直線を置くことで仮の原稿エッジを算出し、仮の原稿エッジの近傍で画像エッジの再探索を行う。
【0034】
ステップ210(S210)において、切出し位置決定部300は、1ページ毎に、第1エッジ探索部302により発見された画像エッジの位置及び本数に応じた処理を選択する。切出し位置決定部300は、処理対象のページについて、第1エッジ探索部302により発見された画像エッジの本数が5本以上である場合に、S215の処理に移行し、発見された画像エッジの本数が1~4本である場合に、S220の処理に移行し、発見された画像エッジの本数が0本である場合に、S230の処理に移行する。
【0035】
ステップ215(S215)において、第2エッジ探索部304は、原稿エッジの探索に成功したページ(画像エッジが確かであると判定されたページ)の情報を参照して、第1エッジ探索部302により発見された画像エッジの中から、採用すべき画像エッジを選択する。具体的には、図7に例示するように、第2エッジ探索部304は、処理対象のページと、原稿エッジの探索に成功したページについて、画像エッジ間の座標情報を取得して距離情報を算出し、算出された距離情報の比較より処理対象ページの原稿エッジ間の距離が成功ページのものと等しくなる画像エッジを信頼できる原稿エッジとして選択する。
【0036】
ステップ220(S220)において、第2エッジ探索部304は、原稿エッジの探索に成功したページ(画像エッジが確かであると判定されたページ)の原稿サイズと、第1エッジ探索部302により発見された最も確かな画像エッジとに基づいて、処理対象ページの画像エッジを決定する。具体的には、図8に例示するように、結果統合部306は、例えば、ハフ変換で求めた得票数が最も多い画像エッジを選択し、これを基準とする。また、結果統合部306は、成功したページの原稿エッジと長さや位置が等しい原稿エッジを基準として選択してもよい。次に、第2エッジ探索部304は、基準となる画像エッジと成功ページのサイズに合わせて他の画像エッジの位置を決定する。
【0037】
ステップ225(S225)において、結果統合部306は、第2エッジ探索部304により決定された画像エッジの妥当性を評価する。具体的には、結果統合部306は、第2エッジ探索部304により決定された画像エッジ内に、文字やイラストなどのコンテンツが収まるか否かを判定し、収まる場合に妥当であると判断する。また、結果統合部306は、算出された原稿エッジ付近で第2エッジ探索部304に画像エッジの再探索を行わせ、画像エッジが発見された場合に、算出された原稿エッジが妥当であると判断する。
【0038】
ステップ230(S230)において、第2エッジ探索部304は、原稿エッジの探索に成功したページ(画像エッジが確かであると判定されたページ)の原稿サイズと、処理対象ページに存在するコンテンツの位置及び大きさとに基づいて、処理対象ページの画像エッジを決定する。具体的には、図9に例示するように、第2エッジ探索部304は、処理対象ページで文字やイラストなどのコンテンツが存在する位置をチェックし、成功ページの原稿エッジ内にコンテンツが入るかを判定する。コンテンツが入ると判定された場合、第2エッジ探索部304は、成功ページの原稿エッジの位置を、処理対象ページの画像エッジとする。
【0039】
ステップ235(S235)において、切出し位置決定部300は、全てのページについて第2エッジ探索部304による処理(補正処理)が終了したか否かを判定し、未処理のページが存在する場合に、S210の処理に戻って、次のページに対する処理を行い、未処理のページが存在しない場合に、エッジ探索処理(S20)を終了する。
【0040】
以上説明したように、本実施形態の画像処理システム1によれば、スキャナ装置4により連続的にスキャンされた複数の画像データに基づいて、画像エッジを探索することにより、原稿エッジをより正確に決定することができる。
【0041】
(変形例)
次に、上記実施形態の変形例を説明する。
図11は、評価部320による画像エッジの評価方法の変形例を説明する図である。
図11に例示するように、変形例の評価部320は、第1エッジ探索部302により発見された画像エッジについて、対称となる2本のエッジが平行でない場合、対称となる2本のエッジの長さが極端に違う場合、又は、交わる2本のエッジの交点とエッジの先端が極端に離れている場合、発見された画像エッジを妥当でないと判断してもよい。原稿エッジのうち、対称となる2本は平行になり、かつ、同じ長さであることが予測される。また、交わる2本の原稿エッジにおいても交点で極端に飛び出しすぎないことが予測されるからである。
【0042】
また、評価部320は、スキャナ装置4に内蔵されている物理センサーによって原稿の長さを算出し、算出された値と、第1エッジ探索部302により発見された画像エッジとの差が大きい場合、この画像エッジを妥当でないと判断してもよい。原稿の長さと、原稿エッジの長さは等しくなるはずだからである。
【0043】
図12は、第2エッジ探索部304による画像エッジ探索処理の変形例を説明する図である。
図12に例示するように、第2エッジ探索部304は、1束の原稿で共通している特徴を抜き出して基準とし、成功したページの原稿エッジと基準との相対的な位置関係に基づいて、失敗したページの原稿エッジを決定してもよい。すなわち、第2エッジ探索部304は、成功したページの情報から、原稿エッジとコンテンツ間の距離とコンテンツの座標情報を取得し、失敗したページにおいて取得した座標付近にコンテンツが存在するかを確認し、コンテンツが存在した場合、成功したページにおける原稿エッジとコンテンツ間の距離から、失敗したページの原稿エッジの位置を算出する。基準となる特徴(コンテンツ)は、例えば、ページ番号、ヘッダー、フッター、文章の始まりの位置等である。
【0044】
図13は、結果統合部306による結果統合処理の変形例を説明する図である。
図13に例示するように、結果統合部306は、一束の原稿からすべての辺の画像エッジが1本でも検出された場合に、第1エッジ探索部302により検出された画像エッジの平均から、1組の原稿エッジを決定してもよい。これにより、元の原稿の大きさに近い形で原稿エッジを算出することができる。具体的には、結果統合部306は、それぞれのページで第1エッジ探索部302により算出された画像エッジ情報を取得し、取得した情報から画像エッジを上端、右端、左端、下端に分類する。次に、結果統合部306は、分類された画像エッジ内で始点のx,y座標と終点のx,y座標の平均をとり、もっともらしい一組の原稿エッジを決定する。最後に、結果統合部306は、それぞれの原稿に対して、決定された原稿エッジを当てはめ、当てはめられた原稿エッジ付近で第2エッジ探索部304にエッジ探索を行わせ、画像エッジが検出された場合には、決定された原稿エッジの位置を、検出された画像エッジの位置に合わせて調整する。
全ページのコンテンツが上部に偏っている場合などには、図10の方法では意図した通りに原稿エッジを算出できない可能性があるが、本変形例によれば、元の原稿に近い形で原稿エッジを決定できる。
【0045】
上記実施形態では、「全ページで第2エッジ探索部304による処理が必要か」と「第1エッジ探索部302により発見された画像エッジ数」で場合分けを行っているが、これに限定されるものではなく、例えば、再処理対象となった原稿に対して、すべて図10の方法で対応してもよいし、「全ページで第2エッジ探索部304による処理が必要か」のみで場合分けを行い、再処理が一部原稿のみであった場合は、画像エッジ数で場合分けせず、図9の方法で対応することも可能である。
【符号の説明】
【0046】
1…画像処理システム
2…画像処理装置
3…画像処理プログラム
4…スキャナ装置
300…切出し位置決定部
302…第1エッジ探索部
304…第2エッジ探索部
306…結果統合部
320…評価部
340…領域切出し部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13