(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186268
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】外部電源接続装置、及び外部給電システム
(51)【国際特許分類】
G01R 31/52 20200101AFI20221208BHJP
G01R 31/56 20200101ALI20221208BHJP
H02H 3/16 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
G01R31/52
G01R31/56
H02H3/16 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094407
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000119830
【氏名又は名称】因幡電機産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000109598
【氏名又は名称】テンパール工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】堀 勝
(72)【発明者】
【氏名】山崎 淳
(72)【発明者】
【氏名】井原 崇夫
(72)【発明者】
【氏名】野井 祐介
(72)【発明者】
【氏名】中田 健司
(72)【発明者】
【氏名】吉川 良
(72)【発明者】
【氏名】岡本 良
【テーマコード(参考)】
2G014
5G004
【Fターム(参考)】
2G014AA16
2G014AB24
2G014AB29
2G014AB61
5G004AA01
5G004AB02
5G004BA01
5G004CA01
(57)【要約】
【課題】外部電源を含む外部回路で起きた漏電と、屋内回路で起きた漏電を検出できる外部電源接続装置及び外部給電システムの提供。
【解決手段】
外部電源90を含む外部回路9と屋内に設置される屋内回路8とを接続する接続装置であって、前記外部回路9に電気的に接続される一次側端子30、及び前記屋内回路8に電気的に接続される二次側端子31を有する絶縁トランス3と、前記絶縁トランス3の前記一次側端子30に電気的に接続される外部漏電検出手段6であって、前記外部回路9で起きた漏電を検出する外部漏電検出手段6と、前記絶縁トランス3の前記二次側端子31に電気的に接続される内部漏電検出手段7であって、前記屋内回路8で起きた漏電を検出する内部漏電検出手段7とを備える外部電源接続装置1、及び該外部電源接続装置を備える外部給電システムS。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源を含む外部回路と屋内に設置される屋内回路とを接続する外部電源接続装置であって、
前記外部回路に電気的に接続される一次側端子、及び前記屋内回路に電気的に接続される二次側端子を有する絶縁トランスと、
前記絶縁トランスの前記一次側端子に電気的に接続される外部漏電検出手段であって、前記外部回路で起きた漏電を検出する外部漏電検出手段と、
前記絶縁トランスの前記二次側端子に電気的に接続される内部漏電検出手段であって、
前記屋内回路で起きた漏電を検出する内部漏電検出手段と、を備える、
外部電源接続装置。
【請求項2】
前記外部漏電検出手段は、大地に電気的に接続される一次側接地部を有し、
前記内部漏電検出手段は、大地に電気的に接続される二次側接地部を有する、
請求項1に記載の外部電源接続装置。
【請求項3】
前記二次側接地部は、前記一次側接地部に接続される、
請求項2に記載の外部電源接続装置。
【請求項4】
前記外部電源の電力が入力される入力部を有し、
該入力部は交流電力を受けるように構成される、
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の外部電源接続装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の外部電源接続装置と、
前記屋内回路に含まれる分電盤と、
前記外部接続装置と前記分電盤とを電気的に接続している状態と、前記外部接続装置と前記分電盤との電気的な接続を切り離している状態とに切替可能な切替装置と、
を備える外部給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内に設置されている屋内回路と外部の電源とを電気的に接続する外部電源接続装置、及び該外部電源接続装置を備える外部給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商用電源から需要家の屋内回路への電力供給が途絶えたときに、商用電源とは別の外部電源から屋内の回路(屋内回路)に電力を供給できるようにするための外部給電システムが提供されており、かかる外部給電システムには、外部電源と屋内回路とを電気的に接続する外部電源接続装置が組み込まれている。
【0003】
この種の外部電源接続装置として、例えば、特許文献1に開示されているような、電気車両等に搭載されている蓄電池(外部電源)と、屋内回路に含まれる分電盤であって、負荷が接続されている分電盤とを電気的に接続する充放電装置が知られている。
【0004】
充放電装置は、蓄電池が接続されるコネクタと、コネクタと分電盤とに接続され、且つコネクタを介して蓄電池から受けた電力を変換したうえで分電盤に送る電力変換部と、を備えており、蓄電池に繋いだケーブル等をコネクタに接続すれば蓄電池の電力を負荷に供給できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開WO2013/051484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来の充放電装置では、電力変換部の一次側に漏電遮断装置と地絡検出部とが設けられているため、電力変換部の一次側に接続されている回路(蓄電池を含む回路)で漏電が起きたことを知ることができる一方で、電力変換部の二次側に接続されている屋内回路で漏電が起きたことを知ることはできなかった。
【0007】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、外部電源を含む外部回路で起きた漏電と、屋内回路で起きた漏電を検出できる外部電源接続装置、及び外部給電システムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の外部電源接続装置は、
外部電源を含む外部回路と屋内に設置される屋内回路とを接続する外部電源接続装置であって、
前記外部回路に電気的に接続される一次側端子、及び前記屋内回路に電気的に接続される二次側端子を有する絶縁トランスと、
前記絶縁トランスの前記一次側端子に電気的に接続される外部漏電検出手段であって、前記外部回路で起きた漏電を検出する外部漏電検出手段と、
前記絶縁トランスの前記二次側端子に電気的に接続される内部漏電検出手段であって、
前記屋内回路で起きた漏電を検出する内部漏電検出手段と、を備える。
【0009】
上記構成の外部電源接続装置は、絶縁トランスによって一次側端子に電気的に接続される外部回路と二次側端子に電気的に接続される屋内回路との間を絶縁したうえで、外部回路で起きた漏電は絶縁トランスの一次側端子に接続されている外部漏電検出手段で検出し、屋内回路で起きた漏電は絶縁トランスの二次側端子に接続されている内部漏電検出手段で検出するように構成されている。
【0010】
このように、上記構成の外部電源接続装置は、外部回路で起きる漏電と屋内回路で起きる漏電の両方を検出できるようになっている。
【0011】
本発明の外部電源接続装置において、
前記外部漏電検出手段は、大地に電気的に接続される一次側接地部を有し、
前記内部漏電検出手段は、大地に電気的に接続される二次側接地部を有する、ようにしてもよい。
【0012】
上記構成の外部電源接続装置によれば、外部漏電検出手段が一次側接地部によって接地されているため、外部回路で起こる重大な漏電を検出することができる。内部漏電検出手段も同様に、二次側接地部によって接地されているため、内部回路で起こる重大な漏電を検出することもできる。
【0013】
本発明の外部電源接続装置において、
前記二次側接地部は、前記一次側接地部に接続される、ようにしてもよい。
【0014】
上記構成の外部電源接続装置によれば、内部漏電検出手段が外部漏電検出手段と共に一次側接地部を共用できるようにすることによって、内部漏電検出手段の二次側接地部の構造を簡素化することができるようになる。
【0015】
本発明の外部電源接続装置は、
前記外部電源の電力が入力される入力部を有し、
該入力部は交流電力を受けるように構成される、ようにしてもよい。
【0016】
上記構成の外部電源接続装置によれば、交流電力を屋内回路に供給することができる。
【0017】
本発明の外部給電システムにおいて、
上記何れかの外部電源接続装置と、
前記屋内回路に含まれる分電盤と、
前記外部接続装置と前記分電盤とを電気的に接続している状態と、前記外部接続装置と前記分電盤との電気的な接続を切り離している状態とに切替可能な切替装置と、
を備える。
【0018】
上記構成の外部給電システムにおいても、絶縁トランスによって一次側端子に電気的に接続される外部回路と二次側端子に電気的に接続される屋内回路との間を絶縁したうえで、外部回路で起きる漏電と屋内回路で起きる漏電の両方を検出できるようになっている。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明の外部電源接続装置、及び外部給電システムは、外部電源を含む外部回路で起きた漏電と、屋内回路で起きた漏電を検出できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る外部給電システムの概要図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係る外部電源接続装置の外部漏電検出手段によって外部回路で起きた漏電を検出する仕組みを説明するための図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係る外部電源接続装置の外部漏電検出手段によって屋内回路で起きた漏電を検出する仕組みを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態にかかる外部電源接続装置、及び外部電源接続装置を備える外部給電システムについて、添付図面を参照しつつ説明する。
【0022】
外部電源接続装置1は、
図1に示すように、屋内に設置される屋内回路8と、屋内回路8に電力を供給するための外部回路9とを電気的に接続した状態と、屋内回路8と外部回路9との電気的な接続を切り離した状態とに切替可能に構成されている。
【0023】
外部電源接続装置1は、例えば、屋内回路8に商用電力系統Pが接続されている環境において、商用電力系統Pから屋内回路8への電力供給が停電等の影響で途絶えた際に、商用電力系統Pとは別の電力系統である外部回路9を屋内回路8に接続できるようにするために用いられる。
【0024】
外部電源接続装置1の説明に先立ち、屋内回路8と外部回路9の説明をする。
【0025】
屋内回路8は、負荷が接続される分電盤80と、商用電力系統Pと分電盤80とが電気的に接続される切替装置81と、切替装置81と外部電源接続装置1とを電気的に接続する屋内電路82と、を備えている。
【0026】
分電盤80には、屋内の全ての負荷のうちの一部の負荷が接続されている。
【0027】
切替装置81は、分電盤80と外部回路9とを電気的に切り離している外部回路切離状態と、分電盤80と外部回路9とを電気的に接続している外部回路接続状態と、に切替可能である。
【0028】
また、本実施形態の切替装置81は、前記外部回路切離状態に切り替えられると分電盤80と商用電力系統Pとを電気的に接続し、前記外部回路接続状態に切り替えられると分電盤80と商用電力系統Pとを電気的に切り離すように構成されている。
【0029】
屋内回路8は、2つの屋内電路82を有している。本実施形態では、2つの屋内電路82のうちの一方の屋内電路82を第1の屋内電路820、他方の屋内電路82を第2の屋内電路821と称する。
【0030】
また、第1の屋内電路820は非接地の電路であり、第2の屋内電路821は接地の電路である。すなわち、屋内回路8の接地方式は、いわゆる、片側接地である。
【0031】
外部回路9は、電力源となる外部電源90と、外部電源90と外部電源接続装置1を電気的に接続する外部電路91とを有する。
【0032】
外部電源90は、いわゆる、分散電源によって構成されていればよい。また、外部電源90は、例えば、電気自動車に搭載されている蓄電池のような移動型の電源であってもよいし、自家発電設備(例えば、太陽光発電システム)のような据置型の電源であってもよい。本実施形態に係る分散電源は、電気自動車に搭載された蓄電池であり、蓄電池の電力は、交流電力に変換されたうえで外部電路91に供給されるようになっている。
【0033】
外部回路9は、2つの外部電路91を有している。本実施形態では、2つの外部電路91のうちの一方の外部電路91を第1の外部電路910、他方の外部電路91を第2の外部電路911と称する。
【0034】
外部電源接続装置1は、
図2に示すように、外部回路9から電力が入力される入力部2と、外部回路9に電気的に接続される一次側端子30、及び屋内回路8に電気的に接続される二次側端子31を有する絶縁トランス3と、入力部2と絶縁トランス3の一次側端子30とに接続される一次側接続電路4と、絶縁トランス3の二次側端子31に接続される二次側接続電路5と、外部回路9で起きた漏電を検出する外部漏電検出手段6と、屋内回路8で起きた漏電を検出する内部漏電検出手段7と、を備えている。
【0035】
本実施形態では、回路(屋内回路8や外部回路9)以外に電流が流れる現象を漏電と称し、特に回路から大地に流れた電流が小さい場合の漏電を軽地絡と称し、回路から大地に流れた電流が大きい場合の漏電を重地絡と称する。さらに、異相の回路が接触してショートした場合に電流が流れる現象は短絡と称する。
【0036】
入力部2には、第1の外部電路910と第2の外部電路911とを接続可能である。入力部2に第1の外部電路910と第2の外部電路911とを接続するには、例えば、第1の外部電路910と第2の外部電路911にプラグを取り付け、入力部2をソケットで構成し、このソケットにプラグを抜き差しできるようにすればよい。
【0037】
絶縁トランス3の一次側端子30は一次側のコアにつながっており、二次側端子31は二次側のコアにつながっている。また、絶縁トランス3では、一次側のコアと二次側のコアの間が絶縁されているため、一次側端子30に電気的に接続される外部回路9と、二次側端子31に電気的に接続される屋内回路8も互いに絶縁された状態になる。
【0038】
本実施形態の絶縁トランス3は、一次側端子30と二次側端子31を2つずつ有している。2つの一次側端子30のうちの一方の一次側端子30(以下、第1の一次側端子300と称する)は第1の外部電路910に電気的に接続され、2つの一次側端子30のうちの他方の一次側端子30(以下、第2の一次側端子301と称する)は第2の外部電路911に電気的に接続される。
【0039】
また、2つの二次側端子31のうちの一方の二次側端子31(以下、第1の二次側端子310と称する)は屋内回路8の第1の屋内電路820に電気的に接続され、2つの二次側端子31のうちの他方の二次側端子31(以下、第2の二次側端子311と称する)は屋内回路8の第2の屋内電路821に電気的に接続される。
【0040】
一次側接続電路4は、入力部2を介して第1の外部電路910に接続され且つ第1の一次側端子300に接続される第1の一次側接続電路40と、入力部2を介して第2の外部電路911に接続され且つ第2の一次側端子301に接続される第2の一次側接続電路41と、を有する。
【0041】
二次側接続電路5は、第1の二次側端子310に接続される第1の二次側接続電路50と、第2の二次側端子311に接続される第2の二次側接続電路51と、を有する。
【0042】
外部漏電検出手段6は、一次側接続電路4に電気的に接続され且つ一次側接続電路4に流れる電流が流入する分岐接続部60と、一次側接続電路4から分岐接続部60に流入した電流の状態に基づいて外部回路9で漏電が起きたことを検出する一次側検出部61と、一次側検出部61と大地とを電気的に接続する一次側接地部62と、を有する。
【0043】
上述のように、分岐接続部60は一次側接続電路4に電気的に接続されているため、外部漏電検出手段6は、一次側接続電路4を介して絶縁トランス3の一次側端子30に電気的に接続され、また、一次側接続電路4と入力部2を介して外部回路9に電気的に接続された状態になっている。つまり、分岐接続部60は、外部回路9と絶縁トランス3の間に接続されている。
【0044】
分岐接続部60は、第1の一次側接続電路40に電気的に接続される第1の分岐部600と、第2の一次側接続電路41に電気的に接続される第2の分岐部601と、を有している。
【0045】
第1の分岐部600と第2の分岐部601は、抵抗器によって構成されており、互いに直列に接続されている。また、第1の分岐部600と第2の分岐部601を構成する抵抗器はそれぞれの抵抗値を同じ大きさで構成されている。
【0046】
そのため、電路が正常な時は、第1の一次側接続電路40を流れる電流と第2の一次側接続電路41を流れる電流が同じ大きさであるため、それぞれの抵抗器にかかる電圧が同電圧となって平衡状態となり一次側検出器61には電流が流れない。
【0047】
一方,電路に漏電が生じた場合には,第1の一次側接続電路40を流れる電流と第2の一次側接続電路41を流れる電流の大きさに違いが生じる。そのため、第1の分岐部600と第2の分岐部601を構成するそれぞれの抵抗器にかかる電圧の大きさが異なって平衡状態がくずれ、第1の分岐部600又は第2の分岐部601を通して一次側検出部61に電流が流れる。これにより、次側検出部61によって外部回路9で漏電が発生したことを検出する。
【0048】
一次側検出部61は、第1の分岐部600と第2の分岐部601から電流を受けるように構成されており、第1の分岐部600と第2の分岐部601から受けた電流に基づいて外部回路9で漏電が生じたことを検知できるようになっている。なお、一次側検出部61は、例えば、電流検出器によって構成されていればよい。
【0049】
一次側接地部62は、一次側検出部61と大地とに電気的に接続されている。そのため、本実施形態の外部漏電検出手段6では、第1の一次側接続電路40と第2の一次側接続電路41の中性点を第1の分岐部600と第2の分岐部601とで構成し、この中性点を一次側検出部61と一次側接地部62を介して接地している。このように、一次側接地部62は、一次側接続電路4における各相間に亘って設けられた抵抗の中点部分を接地した状態になっている。
【0050】
これにより、外部漏電検出手段6は、外部回路9で起きた軽度の漏電だけでなく地絡も検出できるように構成されている。なお、外部漏電検出手段6は、接地用の抵抗器(例えば接地棒等)を介して一次側検出部61と大地とを接続するように構成されていればよい。
【0051】
ここで、外部漏電検出手段6によって外部回路9で起きた漏電を検出する仕組みについて説明する。
【0052】
外部回路9で漏電が起きていない場合、第1の外部電路910と第2の外部電路911からは大地に電流が流れないため、
図2に示すように、第1の外部電路910の大地に対する抵抗R1と、第2の外部電路911の大地に対する抵抗R2は無限大となる。なお、
図2に図示している抵抗R1,R2は、説明のために図示したものであり、第1の外部電路910と大地を接続する抵抗器や、第2の外部電路911と大地を接続する抵抗器を示すものではない。
【0053】
この場合、第1の外部電路910を流れる電流は、第2の外部電路911を流れる電流と同じ大きさであるため、第1の一次側接続電路40と第2の一次側接続電路41にかかる電圧は等しくなり平衡状態となり,電流が流れない。第1の分岐部600を通じて一次側検出部61に流れ、第2の外部電路911を流れる電流は第2の一次側接続電路41と第2の分岐部601を通じて一次側検出部61に流れる。そして、一次側検出部61は、第1の分岐部600と第2の分岐部601の両方から電流が流れ込まない間は、外部回路9で漏電が起きていないと判断する。
【0054】
一方、第1の外部電路910で漏電が起きている場合は、第1の外部電路910の大地に対する抵抗R1が下がっており、第1の外部電路910を流れる電流が第1の一次側接続電路40に到達する前に大地に流れる。このとき、一次側検出部61は、第1の外部電路910を流れる電流と第2の外部電路911を流れる電流の大きさが異なり平衡状態がくずれ、第1の分岐部600を介して一次側検出部61に電流が流れるため、第1の外部電路910で漏電が起きていると判断する。
【0055】
また、第2の外部電路911で漏電が起きている場合は、第2の外部電路911の大地に対する抵抗R2が下がっており、第2の外部電路911を流れる電流が第2の一次側接続電路41に到達する前に大地に流れる。このとき、一次側検出部61は、第2の分岐部601から電流を受けることができないため、第2の外部電路911で漏電が起きていると判断する。
【0056】
このように、外部漏電検出手段6は、第1の分岐部600と第2の分岐部601で構成した中性点(第1の一次側接続電路40と第2の一次側接続電路41の中性点)を接地した状態で、第1の一次側接続電路40に流れる電流と第2の一次側接続電路41を流れる電流を取り込めるようになっており、第1の外部電路910を流れる電流と第2の外部電路911を流れる電流のバランスが崩れたときに、第1の外部電路910や、第2の外部電路911で起きている漏電を検出するようになっている。
【0057】
内部漏電検出手段7は、二次側接続電路5と屋内電路82とを電気的に接続する導電接続部70と、二次側接続電路5を流れる電流に基づいて屋内回路8で起きた漏電を検出する二次側検出部71と、導電接続部70を接地する二次側接地部72と、を有する。
【0058】
上述のように、導電接続部70は二次側接続電路5と屋内電路82とを電気的に接続されているため、内部漏電検出手段7は二次側接続電路5を介して絶縁トランス3の二次側端子31に電気的に接続され、また、屋内電路82にも電気的に接続された状態になっている。
【0059】
導電接続部70は、第1の二次側接続電路50を介して第1の二次側端子310に電気的に接続され且つ第1の屋内電路820にも電気的に接続される第1の導電接続部700と、第2の二次側接続電路51を介して第2の二次側端子311に電気的に接続され且つ第2の屋内電路821にも電気的に接続する第2の導電接続部701と、を有する。
【0060】
二次側検出部71は、屋内回路8での漏電を検出する検出機能に加えて、屋内回路8での漏電を検出した場合に屋内回路8を切り離す(遮断する)遮断機能や、屋内回路8で起きた短絡を検出する機能を有するように構成されていてもよい。すなわち、本実施形態の二次側検出部71は、いわゆる、漏電遮断器によって構成されていてもよい。
【0061】
二次側接地部72は、二次側接続電路5に接続されている。本実施形態の二次側接地部72は、絶縁トランス3と外部漏電検出手段6との間の中性線部分である第2の二次側接続電路51に接続されており、この中性線部分を接地している。
【0062】
また、本実施形態の二次側接地部72は、一次側接地部62に接続されている。そのため、二次側接地部72は、一次側接地部62を介して接地手段に接続されている。従って、本実施形態の外部電源接続装置1では、外部漏電検出手段6の一次側接地部62を、外部漏電検出手段6と内部漏電検出手段7とで共用するように構成されている。
【0063】
ここで、内部漏電検出手段7によって屋内回路8で起きた漏電を検出する仕組みについて説明する。本実施形態の屋内回路8は、上述のように、第2の屋内電路821のみが接地された片側接地となっているため、内部漏電検出手段7は第1の屋内電路820で起きた漏電のみを検出するように構成されている。
【0064】
屋内回路8で漏電が起きていない場合、第1の屋内電路820からは大地に電流が流れないため、
図3に示すように、第1の屋内電路820の大地に対する抵抗R3は、無限大となる。なお、
図3に図示している抵抗R3も、説明のために図示したものであり、第1の屋内電路820と大地を接続する抵抗器を示すものではない。
【0065】
そして、第1の屋内電路820で漏電が起きている場合は、第1の屋内電路820の大地に対する抵抗R3が下がっており、第1の屋内電路820から電流が大地に分流する。大地に流れた電流が一次側接地部62に到達し、さらに、二次側接地部72と第2の第二次側接続電路5を通じて内部漏電検出手段7に到達する。そして、内部漏電検出手段7は、第2の第二次側接続電路5からの電流を受けたときに、第1の屋内電路820と第2の屋内電路821との往復電路に流れる電流の大きさが異なるため、内部漏電検出手段7が電流の差により漏電を検出する。屋内回路8の第1の屋内電路820で漏電が起きていると判断する。
【0066】
外部電源接続装置1の構成の説明は以上の通りである。本実施形態では、外部電源接続装置1と、分電盤80と、切替装置81とによって、外部給電システムSが構成されており、該外部給電システムSは、切替装置81を前記外部回路切離状態又は前記外部回路接続状態に切り替えることによって、負荷に供給する電力を商用電力系統P又は外部回路9から受けることができるようになっている。
【0067】
続いて、外部電源接続装置1及び外部給電システムSの動作を説明する。なお、本実施形態では、切替装置81に商用電力系統Pが接続されている環境を一例に挙げて外部電源接続装置1及び外部給電システムSの動作を説明する。
【0068】
切替装置81が前記外部回路切離状態に切り替えられている場合において、第1の屋内電路820で漏電が起きると、第1の屋内電路820から大地に電流が分流し、一次側接地部62、二次側接地部72、第2の二次側接続電路51を通じて二次側検出部71が漏電を検出する。
【0069】
そして、二次側検出部71は、第1の屋内電路820から大地に分流した電流を検出すると、第1の屋内電路820で漏電が起きていることを検出するようになっている。
【0070】
次に、切替装置81が前記外部回路接続状態に切り替えられている場合においては、第1の外部電路910で漏電が起きて一次側検出部61が第2の分岐部601のみから電流を受けている状態になると、一次側検出部61が第1の外部電路910で漏電が起きていることを検出し、第2の外部電路911で漏電が起きて一次側検出部61が第1の分岐部600のみから電流を受けている状態になると、一次側検出部61が第2の外部電路911で漏電が起きていることを検出する。
【0071】
以上のように、本実施形態に係る外部電源接続装置1、及び外部給電システムSによれば、絶縁トランス3によって一次側端子30に接続される外部回路9と、二次側端子31に接続される屋内回路8とが互いに絶縁されるため、外部回路9と屋内回路8の一方で生じた電気的な異常が外部回路9と屋内回路8の他方に波及することが防止される。
【0072】
なお、内部漏電検出手段7は、屋内回路8で起きた漏電を検出した際に、外部電源接続装置1と屋内回路8との電気的な接続を切り離すことができるため、屋内回路8で起きた電気的な異常が外部電源接続装置1や外部回路9に波及することが防止され易くなっている。
【0073】
また、外部電源接続装置1は、絶縁トランス3によって一次側端子30に電気的に接続される外部回路9と二次側端子31に電気的に接続される屋内回路8との間を絶縁したうえで、外部回路9で起きた漏電は絶縁トランス3の一次側端子30に接続されている外部漏電検出手段6で検出し、屋内回路8で起きた漏電は内部漏電検出手段7で検出するように構成されているため、外部電源接続装置1、及び外部給電システムSは、外部回路9で起きる漏電と屋内回路8で起きる漏電の両方を検出できるという優れた効果を奏し得る。
【0074】
さらに、外部漏電検出手段6が一次側接地部62によって接地されているため、外部回路9で起こる重大な漏電(軽地絡)を検出することができ、内部漏電検出手段7も同様に、二次側接地部72によって接地されているため、屋内回路で起こる重大な漏電(重地絡)を検出することもできるため、安全性が高まる。
【0075】
そして、内部漏電検出手段7は、外部漏電検出手段6と共に一次側接地部62を共用するように構成されているため、内部漏電検出手段7の二次側接地部72の構造を簡素化することができる。これに伴い、内部漏電検出手段7の二次側接地部72を設置する工事も簡素化することができるため、外部電源接続装置1や外部給電システムSが導入し易くなる。
【0076】
なお、本発明に係る外部電源接続装置、及び外部給電システムは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0077】
上記実施形態において、外部給電システムSは、外部回路9の電力を複数の負荷のうちの一部の負荷に供給するように構成されたもの(いわゆる、特定負荷型のシステム)であったが、この構成に限定されない。例えば、外部給電システムSは、外部回路9の電力を屋内の負荷の全てに供給するように構成されたもの(いわゆる、全負荷型のシステム)であってもよい。このようにする場合、例えば、分電盤80には、屋内の全ての負荷を接続すればよい。
【0078】
上記実施形態において、外部漏電検出手段6は、外部回路9で起きた軽地絡と重地絡を検出できるように構成されていたが、この構成に限定されない。外部漏電検出手段6は、例えば、外部回路9で起きた軽地絡のみを検出するように構成したり、外部回路9で起きた重地絡のみを検出するように構成してもよい。
【0079】
また、外部漏電検出手段6は、外部回路9で起きた軽地絡や重地絡を検出した際に、外部電源接続装置1と外部回路9との電気的な接続を切り離す機能(遮断機能)を有するようにしてもよい。このようにすれば、外部回路9で起きた軽地絡や重地絡への対策を講じることができるため、安全性が高まる。
【0080】
上記実施形態において特に言及しなかったが、外部漏電検出手段6は、一次側検出部61が外部回路9で起きた軽地絡や重地絡を検出したときに、外部回路9で軽地絡や重地絡が起きたことを知らせる一次側漏電報知部を有するように構成されていてもよい。一次側漏電報知部は、例えば、警報や、警告灯等で構成し得る。このようにする場合においても、外部回路9で起きた軽地絡や重地絡への対策を講じることができるため、安全性が高まる。なお、一次側漏電報知部は、一次側検出部61と一体であってもよいし、一次側検出部61とは別体であってもよい。
【0081】
上記実施形態において特に言及しなかったが、外部漏電検出手段6は、例えば、外部回路9で起きた短絡を検出する短絡検出手段を有していてもよい。この場合、短絡検出手段が外部回路9で起きた短絡を検出した際においても、外部回路9で軽地絡や重地絡が起きたことを前記一次側漏電報知部で報知するように構成したり、外部漏電検出手段6で外部電源接続装置1と外部回路9との電気的な接続を切り離すように構成したりしてもよい。
【0082】
上記実施形態において、内部漏電検出手段7は、屋内回路8で起きた軽地絡と重地絡を検出できるように構成されていたがこの構成に限定されない。内部漏電検出手段7は、例えば、屋内回路8で起きた軽地絡のみを検出するように構成したり、屋内回路8で起きた重地絡のみを検出するように構成したりしてもよい。
【0083】
上記実施形態の内部漏電検出手段7は、屋内回路8で起きた漏電や短絡を検出した際に、外部電源接続装置1と屋内回路8との電気的な接続を切り離す機能(遮断機能)を有していたが、屋内回路8で起きた漏電や短絡を検出するに留まるものであってもよい。
【0084】
上記実施形態において特に言及しなかったが、内部漏電検出手段7は、二次側検出部71が屋内回路8で起きた漏電や短絡を検出したときに、外部回路9で軽地絡や重地絡が起きたことを知らせる二次側漏電報知部を有するように構成されていてもよい。二次側漏電報知部は、例えば、警報や、警告灯等で構成し得る。このようにすれば、屋内回路8で起きた軽地絡や重地絡への対策を講じることができるため、安全性が高まる。なお、二次側漏電報知部は、二次側検出部71と一体であってもよいし、二次側検出部71とは別体であってもよい。
【0085】
上記実施形態では、内部漏電検出手段7が屋内回路8で起きた短絡を検出できるようにしてもよいと説明したが、内部漏電検出手段7は、屋内回路8で起きた短絡を検出する機能がなくてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1…外部電源接続装置、2…入力部、3…絶縁トランス、4…一次側接続電路、5…二次側接続電路、5…第2の第二次側接続電路、6…外部漏電検出手段、7…内部漏電検出手段、8…屋内回路、9…外部回路、30…一次側端子、31…二次側端子、40…第1の一次側接続電路、41…第2の一次側接続電路、50…第1の二次側接続電路、51…第2の二次側接続電路、60…分岐接続部、61…一次側検出部、62…一次側接地部、63…変流器、64…変流器、70…導電接続部、71…二次側検出部、72…二次側接地部、80…分電盤、81…切替装置、82…屋内電路、90…外部電源、91…外部電路、300…第1の一次側端子、301…第2の一次側端子、310…第1の二次側端子、311…第2の二次側端子、600…第1の分岐部、601…第2の分岐部、700…第1の導電接続部、701…第2の導電接続部、820…第1の屋内電路、821…第2の屋内電路、910…第1の外部電路、911…第2の外部電路、P…商用電力系統、R1,R2,R3…抵抗、S…外部給電システム