(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186269
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】インフレーター
(51)【国際特許分類】
B60R 21/272 20060101AFI20221208BHJP
B60R 21/262 20110101ALI20221208BHJP
【FI】
B60R21/272
B60R21/262
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094408
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】大野 芳生
(72)【発明者】
【氏名】重田 晃輔
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 晃
(72)【発明者】
【氏名】山本 賢
【テーマコード(参考)】
3D054
【Fターム(参考)】
3D054DD14
3D054DD17
(57)【要約】
【課題】加圧ガスを迅速に吐出させることが可能なインフレーターの提供。
【解決手段】ボトル3と、ボトルの一端側に配置される火薬収納部と、ボトルの他端側に配置されるガス吐出口部20と、を備えるインフレーター1。ガス吐出口部に配置される吐出口側バーストディスク30が、火薬側バーストディスクの開裂時に発生する衝撃波を利用して開裂可能とされる。ガス吐出口部が、吐出口本体21と、ボトルの他端側を塞ぐように吐出口本体の元部21b側に配設される蓋部24と、を有するとともに、吐出口側バーストディスクを、蓋部の元部側端面25における取付座26に取り付けている。蓋部の元部側端面が、ボトルの軸方向に沿った断面において、ボトル側に位置する外縁25a側より、取付座側となる内縁25b側を、ガス吐出口部の先端側に位置させるように、テーパ状に傾斜している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に加圧ガスを充填させた略円筒状のボトルと、
該ボトルの一端側に配置されて、作動時に点火される火薬を収納させて構成されるとともに、火薬側バーストディスクにより前記ボトルと区画される火薬収納部と、
前記加圧ガスを吐出可能に前記ボトルの他端側に配置されるとともに、吐出口側バーストディスクにより前記ボトルと区画されて閉塞されるガス吐出口部と、
を備える構成とされて、
前記吐出口側バーストディスクが、前記火薬の燃焼時における前記火薬側バーストディスクの開裂に伴う前記加圧ガスの昇温による前記ボトル内の内圧上昇と、前記火薬側バーストディスクの開裂時に発生する衝撃波と、を利用して開裂可能に構成されるインフレーターであって、
前記ガス吐出口部が、
前記ボトル側となる元部側を開口させた有底の中空状として、周壁に、前記加圧ガスを吐出可能な吐出用開口を配設させる構成の吐出口本体と、
前記ボトルの他端側を塞ぐように、前記吐出口本体の元部側に配設される蓋部と、
を備える構成とされ、
前記蓋部が、前記吐出口本体に形成されるガス流路に連なるように貫通して形成される流出口を、有して、前記吐出口側バーストディスクを、前記ボトル側となる元部側端面において前記流出口の周縁から構成される取付座に取り付けて、前記流出口における前記ボトル側を閉塞させる構成とされ、
前記蓋部における前記元部側端面が、前記ボトルの軸方向に沿った断面において、前記ボトル側に位置する外縁側より、前記取付座側となる内縁側を、前記ガス吐出口部の先端側に位置させるように、テーパ状に傾斜して構成されていることを特徴とするインフレーター。
【請求項2】
前記ボトルの内周面が、前記ガス吐出口部側の端部を、前記ガス吐出口部側にかけて漸次縮径されるように、構成されていることを特徴とする請求項1に記載のインフレーター。
【請求項3】
前記蓋部が、前記吐出口本体と一体的に形成されるとともに、前記吐出口本体の元部側から外方に突出するように、フランジ状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のインフレーター。
【請求項4】
前記蓋部が、外周面側を、前記ボトルの内周面側に圧入させるようにして、前記ボトルに固定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインフレーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火薬収納部に収納される火薬を燃焼させることにより、ボトル内に充填される加圧ガスを昇温させて、ガス吐出口部から吐出させる構成のハイブリッドタイプのインフレーターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイブリッドタイプのインフレーターとしては、ガス吐出口部側に配置される吐出口側バーストディスクを、火薬の燃焼時において、火薬収納部と加圧ガスとを区画している火薬側バーストディスクの開裂時に発生する衝撃波を利用して、開裂させる構成のものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のインフレーターでは、吐出口側バーストディスクは、単に、ボトルにおいて、火薬収納部と逆側の端面側に、配置される構成であって、効率的に衝撃波を利用する構成ではないことから、吐出口側バーストディスクを迅速に開裂させて加圧ガスを吐出させる点に、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、加圧ガスを迅速に吐出させることが可能なインフレーターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るインフレーターは、内部に加圧ガスを充填させた略円筒状のボトルと、
ボトルの一端側に配置されて、作動時に点火される火薬を収納させて構成されるとともに、火薬側バーストディスクによりボトルと区画される火薬収納部と、
加圧ガスを吐出可能にボトルの他端側に配置されるとともに、吐出口側バーストディスクによりボトルと区画されて閉塞されるガス吐出口部と、
を備える構成とされて、
吐出口側バーストディスクが、火薬の燃焼時における火薬側バーストディスクの開裂に伴う加圧ガスの昇温によるボトル内の内圧上昇と、火薬側バーストディスクの開裂時に発生する衝撃波と、を利用して開裂可能に構成されるインフレーターであって、
ガス吐出口部が、
ボトル側となる元部側を開口させた有底の中空状として、周壁に、加圧ガスを吐出可能な吐出用開口を配設させる構成の吐出口本体と、
ボトルの他端側を塞ぐように、吐出口本体の元部側に配設される蓋部と、
を備える構成とされ、
蓋部が、吐出口本体に形成されるガス流路に連なるように貫通して形成される流出口を、有して、吐出口側バーストディスクを、ボトル側となる元部側端面において流出口の周縁から構成される取付座に取り付けて、流出口におけるボトル側を閉塞させる構成とされ、
蓋部における元部側端面が、ボトルの軸方向に沿った断面において、ボトル側に位置する外縁側より、取付座側となる内縁側を、ガス吐出口部の先端側に位置させるように、テーパ状に傾斜して構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明のインフレーターでは、ガス吐出口部において、ボトルの他端側を塞ぐように配設される蓋部が、ボトル側となる元部側端面を、ボトルの軸方向に沿った断面において、ボトル側に位置する外縁側より、吐出口側バーストディスクを取り付けている取付座側となる内縁側を、ガス吐出口部の先端側に位置させるように、テーパ状に傾斜させる構成とされている。すなわち、本発明のインフレーターでは、ガス吐出口部の蓋部が、ボトル側となる元部側端面を、吐出口側バーストディスクに向かって収束させるように、傾斜させて構成されている。そのため、火薬の燃焼時において火薬側バーストディスクの開裂時に発生する衝撃波がボトル内を伝播してガス吐出口部に到達した際に、この衝撃波を、元部側端面の傾斜により、吐出口側バーストディスクに向かって収束させることができて、収束されつつ反射する衝撃波の圧力により、吐出口側バーストディスクを迅速に開裂させることができる。
【0008】
したがって、本発明のインフレーターでは、加圧ガスを迅速に吐出させることができる。
【0009】
また、本発明のインフレーターでは、火薬側バーストディスクの開裂時に発生する衝撃波を、吐出口側バーストディスクに向かって収束させて作用させることにより、吐出口側バーストディスクを迅速に開裂させることができることから、加圧ガスの昇温によるボトルの内圧上昇前に、ガス吐出口部から加圧ガスを吐出させることができる。また、収束されつつ反射する衝撃波の圧力は、ボトルの端面に配置される吐出口側バーストディスクに大きく作用するものの、ボトルの内圧を大きく上昇させるものではない。そのため、ボトルの強度を必要以上に高める必要がなく、ボトルの肉厚を極力薄くすることができて、インフレーターの軽量化や小型化も図ることができる。
【0010】
さらに、本発明のインフレーターにおいて、ボトルの内周面側を、ガス吐出口部側の端部を、ガス吐出口部側にかけて漸次縮径させるように構成すれば、ボトルの内径寸法を端部側にかけて一定とする場合と比較して、衝撃波を、一層、吐出口側バーストディスクに向かって収束させることができて、好ましい。
【0011】
さらにまた、上記構成のインフレーターにおいて、蓋部を、吐出口本体と一体的に形成されるとともに、吐出口本体の元部側から外方に突出するように、フランジ状に形成すれば、蓋部を吐出口本体と別体とする場合と比較して、構成を簡便にすることができ、また、部品点数の増大も抑制できて、好ましい。
【0012】
さらにまた、上記構成のインフレーターにおいて、蓋部を、外周面側をボトルの内周面側に圧入させるようにして、ボトルに固定させる構成とすれば、ガス吐出口部を、ボトルの端面側や外周面側に当接させて連結させる構成とする場合と比較して、ガス吐出口部の外径寸法を小さくして小型化できることから、インフレーター自体の軽量化を図ることができ、また、構成も、圧入等の結合強度を向上させる仕様にできて、簡便とすることが可能となって好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態であるインフレーターの概略断面図である。
【
図2】
図1のインフレーターにおいて、ガス吐出口部付近を示す部分拡大断面図である。
【
図3】本発明の他の実施形態であるインフレーターにおいて、ガス吐出口部付近を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態のインフレーター1は、ハイブリッドタイプのインフレーターであり、
図1に示すように、内部に加圧ガスGを充填させた略円筒状のボトル3と、ボトル3の一端(端部3a)側に配置される火薬収納部10と、ボトル3の他端(端部3b)側に配置されるガス吐出口部20と、を備える構成とされている。火薬収納部10は、火薬側バーストディスク15によりボトル3と区画され、ガス吐出口部20は、吐出口側バーストディスク30によりボトル3と区画されている。
【0015】
ボトル3は、両端側を開口させるとともに肉厚を略一定とした略円筒状として、内部に加圧ガスGを充填されている。ボトル3の所定箇所には、加圧ガスGを内部に充填させるための充填用開口5が、形成されている。この充填用開口5は、封止ピン6により、封止されている。ボトル3においてガス吐出口部20側となる端部3b側の領域は、ガス吐出口部20側にかけて漸次縮径させて構成される縮径部4とされている。すなわち、ボトル3における端部3b側の領域は、内周面も、同様に、ガス吐出口部20側にかけて漸次縮径されるように構成されている。
【0016】
ボトル3の一端(端部3a)側に配置される火薬収納部10は、両端側を開口させた略円筒状として、内部に燃焼ガスを発生可能な火薬12を収納させ、ボトル3から離れた一方の端部10a側に、火薬12に着火可能なスクイブ13を保持させ、ボトル3側となる他方の端部10b側に、火薬側バーストディスク15を配設させ、この火薬側バーストディスク15により、ボトル3と区画されている。火薬側バーストディスク15は、ボトル3側の端面10cの領域から構成される取付座14に、取り付けられるもので、ボトル3側から閉塞するように、配設されている。この火薬側バーストディスク15は、スクイブ13の作動時における火薬12の燃焼時に、開裂されることとなり、この火薬側バーストディスク15の開裂時に、衝撃波が発生することとなる。実施形態の場合、火薬側バーストディスク15は、ニッケル系合金から形成されている。また、実施形態の場合、火薬収納部19は、外周面側を、ボトル3の端部3aにおける内周面に当接させるようにして(圧入されるようにして)、ボトル3における端部3aに、溶接等により固定されている。
【0017】
ボトル3の他端(端部3b)側に配置されるガス吐出口部20は、吐出口本体21と、ボトル3の他端(端部3b)側を塞ぐように吐出口本体21の元部21a側(ボトル3側)に配置される蓋部としてのフランジ部24と、を備えている。
【0018】
吐出口本体21は、ボトル3側となる元部21a側を開口させた有底の中空状(実施形態の場合、先端21b側を閉塞させた有底の円筒状)とされるもので、周壁22に、加圧ガスGを吐出可能な吐出用開口22aを、多数配設させている。実施形態のインフレーター1では、吐出口本体21における内周面側の領域が、ガス流路23を、構成している。
【0019】
蓋部としてのフランジ部24は、実施形態の場合、吐出口本体21と一体的に形成されて、吐出口本体21の元部21a側から外方に突出するように、フランジ状に形成されている。フランジ部24の中央には、ガス流路23に連なるように、流出口24bが、貫通して形成されている。実施形態では、流出口24bは、内周面を、ガス流路23の内周面と略一致させて、ガス流路23に連なって形成されている。フランジ部24は、外形形状を略円板状として、実施形態の場合、外周面24aを、ボトル3における上述した縮径部4の端末4aにおける内周面4b側に圧入させるようにして、ボトル3における端部3b(縮径部4の端末4a)に、溶接によって固定されている。実施形態の場合、ガス吐出口部20(フランジ部24)は、ボトル3の端部3bに、圧入されてレーザー溶接されることにより、固定されている。
【0020】
吐出口側バーストディスク30は、流出口24bにおけるボトル3側を閉塞させるもので、フランジ部24におけるボトル3側となる元部側端面25において、流出口24bの周縁(元部側端面25における後述する内縁25b側)の部位から構成される取付座26に取り付けられて、流出口24bをボトル3側から閉塞するように、配設されている。実施形態の場合、吐出口側バーストディスク30も、火薬側バーストディスク15と同様に、ニッケル系合金から形成されている。
【0021】
また、フランジ部24は、ボトル3側となる元部側端面25を、ボトル3の軸方向に沿った断面において、ボトル3側に位置する外縁25a側より、取付座26側となる内縁25b側を、ガス吐出口部20(吐出口本体21)の先端21b側に位置させるように、テーパ状に傾斜させて、構成されている。すなわち、フランジ部24における元部側端面25(詳細には、外縁25aと内縁25bとの間の端面本体部25c)は、取付座26側にかけて収束するように傾斜している。具体的には、実施形態の場合、元部側端面25は、
図2に示すように、ボトル3の軸方向に対する傾斜角度θを、45°程度に、設定されている。実施形態のインフレーター1では、フランジ部24の元部側端面25を、中央に配置される吐出口側バーストディスク30に向かって傾斜させることにより、火薬側バーストディスク15の開裂時に発生する衝撃波を、吐出口側バーストディスク30に収束させることができて、この収束される衝撃波により、吐出口側バーストディスク30を開裂させる構成である。衝撃波の円滑な収束と、この収束される衝撃波による吐出口側バーストディスク30の円滑な開裂と、は、フランジ部24の元部側端面25、すなわち、吐出口側バーストディスク30の周縁の領域の傾斜角度と、流出口24bの内径寸法と、に拠るものと推測される。具体的には、元部側端面25(詳細には、端面本体部25c)のボトル3の軸方向に対する傾斜角度θは、10~80°の範囲に設定することが、望ましい。傾斜角度θが10°未満であっても、80°を超えても、衝撃波を、吐出口側バーストディスク30に対して適切に収束させがたいためである。また、傾斜角度θが10°未満では、元部側端面25の幅寸法が大きくなりすぎて、フランジ部24の大型化も招くため、好ましくない。また、実施形態では、吐出口本体21における流出口24bの内径寸法d1(実施形態の場合、ガス流路23の内径寸法と一致)は、ボトル3における縮径部4の端末4aの内周面d2の2/5程度に、設定されている(
図2参照)。
【0022】
実施形態のインフレーター1は、車両側に配置される図示しない制御装置と電気的に接続されて、図示しないエアバッグとともに、車両に搭載される。そして、車両搭載時において、図示しない制御装置から作動信号を入力させると、スクイブ13が作動して、火薬収納部10内の火薬12が燃焼して燃焼ガスが発生し、この燃焼ガスの発生により、火薬側バーストディスク15が開裂される。そして、この火薬側バーストディスク15の開裂時に発生する衝撃波が、ボトル3内を伝播して、ガス吐出口部20側に到達すれば、吐出口側バーストディスク30が開裂され、ボトル3内に充填されている加圧ガスGが、流出口24bとガス流路23とを経て、吐出用開口22aから、外部へ流出することとなり、図示しないエアバッグを膨張させることとなる。
【0023】
そして、実施形態のインフレーター1では、ガス吐出口部20において、ボトル3の他端(端部3b)側を塞ぐように配設される蓋部としてのフランジ部24が、ボトル3側となる元部側端面25を、ボトル3の軸方向に沿った断面において、ボトル3側に位置する外縁25a側より、吐出口側バーストディスク30を取り付けている取付座26側となる内縁25b側を、ガス吐出口部20の先端側(吐出口本体21の先端21b側)に位置させるように、テーパ状に傾斜させる構成とされている。すなわち、実施形態のインフレーター1では、ガス吐出口部20における蓋部としてのフランジ部24が、ボトル3側となる元部側端面25を、吐出口側バーストディスク30に向かって収束させるように、傾斜させて構成されている。そのため、火薬12の燃焼時において火薬側バーストディスク15の開裂時に発生する衝撃波がボトル3内を伝播してガス吐出口部20に到達した際に、この衝撃波を、元部側端面25の傾斜により、吐出口側バーストディスク30に向かって収束させることができて、収束されつつ反射する衝撃波の圧力により、吐出口側バーストディスク30を迅速に開裂させることができる。
【0024】
したがって、実施形態のインフレーター1では、加圧ガスGを迅速に吐出させることができる。
【0025】
また、実施形態のインフレーター1では、火薬側バーストディスク15の開裂時に発生する衝撃波を、吐出口側バーストディスク30に向かって収束させて作用させることにより、吐出口側バーストディスク30を迅速に開裂させることができることから、加圧ガスGの昇温によるボトル3の内圧上昇前に、ガス吐出口部20から加圧ガスGを吐出させることができる。また、収束されつつ反射する衝撃波の圧力は、ボトル3の端面に配置される吐出口側バーストディスク30に大きく作用するものの、ボトル3の内圧を大きく上昇させるものではない。そのため、ボトル3の強度を必要以上に高める必要がなく、ボトル3の肉厚を極力薄くすることができて、インフレーター1の軽量化や小型化も図ることができる。
【0026】
さらに、実施形態のインフレーター1では、ボトル3が、ガス吐出口部20側の端部3bを、ガス吐出口部20側にかけて漸次縮径させるように構成されており、換言すれば、ボトル3の内周面が、ガス吐出口部20側の端部を、ガス吐出口部20側にかけて漸次縮径される構成である。そのため、ボトルの内径寸法を端部にかけて一定とする場合と比較して、衝撃波を、一層、吐出口側バーストディスク30に向かって収束させることができる。勿論、このような点を考慮しなければ、ボトルを、ガス吐出口部側の端部にかけて、内径寸法を略一定とするように、構成してもよい。
【0027】
さらにまた、実施形態のインフレーター1では、ガス吐出口部20が、蓋部として、吐出口本体21と一体的に形成されるとともに、吐出口本体21の元部21a側から外方に突出するように、フランジ状に形成されるフランジ部24を、備える構成とされている。そのため、蓋部を吐出口本体と別体とする場合と比較して、構成を簡便にすることができ、また、部品点数の増大も抑制できる。なお、蓋部は、吐出口本体から外方に突出させなくともよく、また、上記のような点を考慮しなければ、ガス吐出口部35を、
図3に示すインフレーター1Aのように、構成してもよい。
【0028】
さらにまた、実施形態のインフレーター1では、ガス吐出口部20が、フランジ部24の外周面24aをボトル3の内周面側(実施形態の場合、縮径部4における端末4aの内周面4b側)に圧入させるようにして、ボトル3に固定させる構成とされていることから、ガス吐出口部を、ボトルの端面側や外周面側に当接させて連結させる構成とする場合と比較して、ガス吐出口部20の外径寸法を小さくして小型化できて、インフレーター1自体の軽量化を図ることができ、また、構成も、圧入等の結合強度を向上させる仕様にできて、簡便とすることができる。勿論、このような点を考慮しなければ、ガス吐出口部として、フランジ部の元部側端面側に、外周縁側からボトル側に延びる被せ部を、配設させる構成とし、この被せ部を、ボトルの外周面に当接させるようにして、インフレーターを構成してもよい。
【0029】
図3に示すインフレーター1Aにおけるガス吐出口部35は、別体からなる吐出口本体36と蓋部39とを備える構成とされている。吐出口本体36は、前述のインフレーター1における吐出口本体21と比較して相対的に大径として、前述の吐出口本体21と同様に、ボトル3側となる元部36a側を開口させた有底の中空状(先端31b側を閉塞させた有底の円筒状)とされるもので、周壁37に、加圧ガスGを吐出可能な吐出用開口37aを、多数配設させている。この吐出口本体36においても、内周面側の領域が、ガス流路38を、構成している。蓋部39は、吐出口本体36と別体として、吐出口本体36の元部36a側に配設されるもので、外径寸法を、吐出口本体36の内径寸法と略同一として、吐出口本体36の元部36a側の開口を塞ぐように配置されている。この蓋部39も、前述のガス吐出口部20におけるフランジ部24と同様に、中央に、ガス流路38に連なる流出口39bを、貫通させるとともに、ボトル3A側となる元部側端面40において、流出口39bの周縁(元部側端面40における内縁40b側)の部位から構成される取付座41に、吐出口側バーストディスク30Aを取り付けて、流出口39bのボトル3A側を閉塞している。そして、蓋部39においても、ボトル3A側となる元部側端面40は、ボトル3Aの軸方向に沿った断面において、ボトル3A側に位置する外縁40a側より、取付座41側となる内縁40b側を、ガス吐出口部35(吐出口本体36)の先端36b側に位置させるように、外縁40aと内縁40bとの間の端面本体部40cを、テーパ状に傾斜させて、構成されている。また、蓋部39も、外周面39aを、ボトル3Aにおける縮径部4Aの端末4aにおける内周面4b側に圧入させるようにして、ボトル3Aにおける端部3b(縮径部4Aの端末4a)に、溶接によって固定される構成である。
【符号の説明】
【0030】
1,1A…インフレーター、3,3A…ボトル、3a,3b…端部、4,4A…縮径部、10…火薬収納部、12…火薬、15…火薬側バーストディスク、20…ガス吐出口部、21…吐出口本体、22…周壁、22a…吐出用開口、23…ガス流路、24…フランジ部(蓋部)、24a…外周面、24b…流出口、25…元部側端面、25a…外縁、25b…内縁、26…取付座、30,30A…吐出口側バーストディスク、35…ガス吐出口部、36…吐出口本体、37…周壁、37a…吐出用開口、38…ガス流路、39…蓋部、39a…外周面、39b…流出口、40…元部側端面、40a…外縁、40b…内縁、41…取付座。