(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186323
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】移動体、移動体制御システム及び移動体制御方法
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20221208BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20221208BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
G05D1/02 P
H04M11/00 301
G08G1/00 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094480
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 雄介
(72)【発明者】
【氏名】大築 ともえ
(72)【発明者】
【氏名】岡田 康貴
(72)【発明者】
【氏名】片山 雄喜
(72)【発明者】
【氏名】木戸 豊茂
(72)【発明者】
【氏名】西山 奈津美
【テーマコード(参考)】
5H181
5H301
5K201
【Fターム(参考)】
5H181AA15
5H181AA27
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF05
5H181FF13
5H301AA02
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD06
5H301GG09
5H301KK03
5H301KK08
5H301LL02
5H301LL11
5H301QQ04
5K201AA05
5K201BA01
5K201BA02
5K201BC27
5K201CB12
5K201CC04
5K201CC05
5K201DC04
5K201EC06
5K201ED05
5K201ED08
5K201EF10
(57)【要約】
【課題】先導対象のユーザを見失った場合の対処を実施すること。
【解決手段】実施形態に係る移動体は、ユーザを先導すると共に物品を積載可能な移動体であって、駆動部と、駆動制御部と、認識部と、通知部と、を有する。駆動部は、あらかじめ指定された経路に沿って移動体を移動させる。駆動制御部は、駆動部を制御する。認識部は、移動体からのユーザの離脱を認識する。通知部は、認識部によってユーザの離脱が認識された場合、ユーザ離脱の情報を通知する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザを先導すると共に物品を積載可能な移動体であって、
前記移動体を移動させる駆動部と、
前記駆動部を制御する駆動制御部と、
前記移動体からのユーザの離脱を認識する認識部と、
前記認識部によってユーザの離脱が認識されなかった場合、ユーザ離脱の情報を通知する通知部と、
を有することを特徴とする移動体。
【請求項2】
前記移動体の周囲の障害物を検出する周囲障害物検出部、を有し
前記駆動制御部は、ユーザの施設内店舗利用予定状況に応じて設定される予定経路に沿って移動するように前記移動体を移動させると共に、前記周囲障害物検出部により検出された障害物を回避するように前記駆動部を制御することを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項3】
前記駆動制御部は、施設内の1つ以上の店舗を経由し、ユーザの車両が駐車された駐車場の駐車位置に到着する経路に沿って前記移動体を移動させるように前記駆動部を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の移動体。
【請求項4】
移動体使用開始時に、移動体利用に特化した利用ユーザの特化ユーザ識別情報を登録する登録部と、
移動体管理用のサーバに前記登録部に登録された特化ユーザ識別情報を含むユーザ情報を送信するユーザ識別情報送信部と、
前記特化ユーザ識別情報を識別データとしてユーザ関連情報をサーバと通信する移動体側通信部と、
を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の移動体。
【請求項5】
前記認識部は、前記移動体からの複数のユーザの離脱を認識し、
前記通知部は、前記認識部によって前記複数のユーザのうち少なくとも1人の離脱が認識された場合、所定の情報を通知することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の移動体。
【請求項6】
前記認識部は、前記移動体を基準とした所定の範囲内の画像から、あらかじめ指定された人物の顔を認識することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の移動体。
【請求項7】
庫内の温度を制御可能な容器と、
前記容器の内部の物品を認識する物品認識部と、
前記物品認識部によって認識された物品に応じた適温度と、経路における目的地に前記移動体が到着するまでの時間と、に基づいて、前記容器の内部の温度を前記適温度に維持するのに必要な電力を予測する予測部と、
前記予測部により予測された必要電力量と、前記移動体に蓄積された電力量との比較により電力状態を判断する電力判断部と、
前記電力判断部の判断結果に応じた対応動作を行う対応動作部と、
を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の移動体。
【請求項8】
ユーザを先導すると共に物品を積載可能な移動体と、前記移動体と通信可能な移動体管理サーバと、を有し、施設領域でユーザを先導する移動体制御システムであって、
前記移動体は、
前記移動体を移動させる駆動部と、
前記移動体からのユーザの離脱を認識する認識部と、
前記認識部によってユーザの離脱が認識された場合、ユーザ離脱の情報を通知する通知部と、
移動体使用開始時に、移動体利用に特化した利用ユーザの特化ユーザ識別情報を登録する登録部と、
移動体管理用の移動体管理サーバに前記登録部に登録された特化ユーザ識別情報を含むユーザ関連情報を送信するユーザ識別情報送信部と、
前記移動体管理サーバと前記特化ユーザ識別情報を用いてユーザ関連情報の通信を行う移動体側通信部と、
前記移動体管理サーバから前記駆動部の提供されたユーザ関連情報に基づき移動体の移動制御を行う駆動制御部と、
を有し、
前記移動体管理サーバは、
前記特化ユーザ識別情報とユーザ関連情報を関連付けて記憶するユーザ情報記憶部と、
前記移動体の通信部と、前記特化ユーザ識別情報を用いてユーザ関連情報の通信を行うサーバ側通信部と、
を有することを特徴とする移動体制御システム。
【請求項9】
ユーザを先導すると共に物品を積載可能な移動体をコンピュータが制御する移動制御方法であって、
あらかじめ指定された経路に沿って前記移動体を移動させる駆動工程と、
前記移動体からのユーザの離脱を認識する認識工程と、
前記認識工程によってユーザの離脱が認識された場合、ユーザ離脱の情報を通知する通知工程と、
を含むことを特徴とする移動体制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体、移動体制御システム及び移動体制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗り物に搭乗したユーザ又は歩行しているユーザを先導しつつ移動するロボットが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、先導対象のユーザを見失った場合の対処が難しいという問題がある。
【0005】
例えば、自動運転を行う移動体(例えば、ショッピングカート)が商業施設内においてユーザを先導する場合、ユーザが予定されていた経路から外れることが考えられる。その場合、ショッピングカートはユーザを適切に先導することができない。
【0006】
また、従来の技術では、そのようなユーザが離れてしまった場合におけるフェールセーフ機能を実施することは難しい。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ユーザを見失った場合の対処を実施可能な移動体、移動体制御システム及び移動体制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る移動体は、ユーザを先導すると共に物品を積載可能な移動体であって、駆動部と、駆動制御部と、認識部と、通知部と、を有する。駆動部は、あらかじめ指定された経路に沿って移動体を移動させる。駆動制御部は、駆動部を制御する。認識部は、移動体からのユーザの離脱を認識する。通知部は、認識部によってユーザの離脱が認識された場合、ユーザ離脱の情報を通知する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、先導対象のユーザを見失った場合の対処を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る移動体制御システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、移動体管理サーバの構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、移動体制御装置の構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、ユーザの識別情報の読み取り方法の例を示す図である。
【
図6】
図6は、認識方法及び通知方法を説明する図である。
【
図7】
図7は、消費電力の予測方法を説明する図である。
【
図8】
図8は、移動体制御システムの動作の流れを示すシーケンス図である。
【
図9】
図9は、移動体の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する移動体、移動体制御システム及び移動体制御方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
本実施形態では、移動体制御システムは、自動車の駐車場及び複数の店舗を有するショッピングモールにおいて実施されるものとする。
【0013】
なお、本発明は、ショッピングモールに限られず、複数の立ち寄り可能な目的地を有する施設であれば実施可能である。
【0014】
まず、
図1を用いて、実施形態に係る移動体制御システムについて説明する。
図1は、実施形態に係る移動体制御システムの構成例を示す図である。
【0015】
図1に示すように、移動体制御システム1は、移動体管理サーバ10、移動体20及び端末30を有する。
【0016】
移動体管理サーバ10は、移動体20及び端末30とネットワークNを介してデータを通信可能に接続されている。例えば、ネットワークNはインターネットである。
【0017】
移動体管理サーバ10はサーバの一例である。移動体20は、ユーザを先導すると共に物品を積載可能である。例えば、移動体20はショッピングカートである。
【0018】
なお、移動体20による先導は、ユーザの前を案内移動するという狭義の動作だけでなく、ユーザの側方でユーザを誘導しながら移動するといったような、移動体20の動きによりユーザの移動を誘導案内する各種動作を含むものである。
【0019】
図1に示すように、端末30は、ショッピングモールを訪れるユーザから、目的地の提示を受ける。目的地は例えばショッピングモール内の一店舗である。例えば、端末30は例えばスマートフォンであり、ユーザによって入力された目的の店舗を移動体管理サーバ10に送信する。
【0020】
移動体管理サーバ10は、提示された目的地を基に経路を作成し、作成した経路を移動体20に通知する。
【0021】
移動体20は、通知された経路に沿ってユーザを先導する。また、移動体20は、ユーザを見失った場合は所定の通知動作を行う。
【0022】
例えば、移動体20は、ユーザを見失ったこと又は移動体20の現在位置を移動体管理サーバ10に通知してもよい。
【0023】
以下に、移動体制御システム1に含まれる各装置の構成及び処理を説明する。
【0024】
図2は、移動体管理サーバの構成例を示す図である。
図2に示すように、移動体管理サーバ10は、サーバ側通信部11、カメラ12、記憶部13及び制御部14を有する。
【0025】
サーバ側通信部11は、他の装置とデータの通信を行うためのインタフェースである。移動体管理サーバ10は、サーバ側通信部11を介して移動体20及び端末30との間で通信を行う。
【0026】
カメラ12は、ショッピングモール内に備えられ、画像を撮影する。カメラ12は複数であってもよい。
【0027】
移動体管理サーバ10の制御部14及び記憶部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、入出力ポート等を有するコンピュータや各種の回路により実現される。
【0028】
記憶部13は、RAMやフラッシュメモリに対応する。RAMやフラッシュメモリは、地図情報131、ユーザ情報132及びナンバー情報133を記憶する。
【0029】
地図情報131はショッピングモールの地図である。例えば、地図情報131は、駐車場の各駐車ブロック(駐車枠で区切られた車両1台ごとの駐車領域)の位置及び各店舗の位置情報を含む。
【0030】
ユーザ情報132は、ユーザに関する情報である。例えば、ユーザ情報132は、ユーザの識別情報(例えば、ユーザID)に対応付けられた、当該ユーザが使用している自動車のナンバーを含む。
【0031】
また、ユーザ情報132は、ユーザの氏名、連絡先のメールアドレス等を含んでいてもよい。
【0032】
ユーザ情報132は、ユーザの個人的な情報であるため、個人情報保護の観点から移動体管理サーバ10以外の装置には送信されないものとする。例えば、ユーザ情報132は移動体20には送信されない。
【0033】
ナンバー情報133は、ユーザがショッピングモールを訪れた当日の、ユーザの自動車のナンバーと駐車位置を対応付けた情報である。
【0034】
ユーザ情報132及びナンバー情報133によれば、ユーザの識別情報と駐車位置が対応付けられる。このため、記憶部13は、ユーザの識別情報と駐車位置を対応付けた情報を記憶しているということができる。
【0035】
コンピュータのCPUは、例えばROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部14の検索部141及び通知部142として機能する。
【0036】
なお、移動体管理サーバ10は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0037】
検索部141は、移動体20から受信した識別情報を基に、記憶部13から駐車位置を検索する。
【0038】
例えば、検索部141は、ユーザの識別情報を基に、ユーザ情報132及びナンバー情報133から駐車位置を得る。
【0039】
通知部142は、検索部141による検索によって得られた駐車位置を移動体20に通知する。
【0040】
図3は、移動体の構成例を示す図である。
図2に示すように、移動体20は、移動体制御装置20a、駆動装置20b、電池20c、着脱機構20d及びかご20eを有する。
【0041】
移動体制御装置20aは、移動体20全体の制御を行う装置であり、例えばVCU(Vehicle Control Unit)等を用いて実現されるコンピュータである。
【0042】
駆動装置20bは、モータ201b及びPCU(Power Control Unit)202bを有し、制御に従って移動体20を移動させる。
【0043】
駆動装置20bは、移動体20を移動させる駆動部の一例である。
【0044】
電池20cは、高圧バッテリ201c及びコンバータ202cを有し、移動体20の各部に電力を供給する。
【0045】
また、かごeは、物品を積載可能であり、着脱機構20dにより移動体20への取り付け及び移動体20からの取り外しが可能であるものとする。
【0046】
また、かごeは、電池20cからの電力により動作するヒートポンプ等を用いた冷蔵機能を有する容器である。
【0047】
このため、かごeには、ユーザが店舗で購入した物品のうち、冷蔵又は冷凍が必要な食品等を格納することができる。
【0048】
図4は、移動体制御装置の構成例を示す図である。
図4に示すように、移動体制御装置20aは、移動体側通信部21a、センサ部22a、記憶部23a及び制御部24aを有する。
【0049】
移動体側通信部21aは、他の装置とデータの通信を行うためのインタフェースである。移動体20は、移動体側通信部21aを介して移動体管理サーバ10との間で通信を行う。
【0050】
センサ部22aは、IMU(Inertial Measurement Unit)221a、GNSS(Global Navigation Satellite System)222a、LiDAR(Light Detection and Ranging)223a、カメラ224aを有する。
【0051】
移動体制御装置20aの制御部24a及び記憶部23aは、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、入出力ポート等を有するコンピュータや各種の回路により実現される。
【0052】
記憶部23aは、RAMやフラッシュメモリに対応する。
【0053】
コンピュータのCPUは、例えばROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部24aの駆動制御部241a、登録部242a、ユーザ識別情報送信部243a、推定部244a、監視部245a、探索部246a、認識部247a、予測部248a、通知部249a、電力判断部250a、対応動作部251aとして機能する。
【0054】
なお、移動体管理サーバ10は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0055】
制御部24aに含まれる各部は、センサ部22aに含まれる各センサからの情報を取得することができる。
【0056】
駆動制御部241aは、駆動装置20bを制御する。例えば、駆動制御部241aは、施設内の1つ以上の店舗を経由し、ユーザの車両が駐車された駐車場の駐車位置に到着する経路に沿って移動体20を移動させるように駆動装置20bを制御する。
【0057】
登録部242aは、移動体20の使用開始時に、移動体20の利用に特化した利用ユーザの特化ユーザ識別情報を登録する。
【0058】
ユーザ識別情報送信部243aは、移動体管理サーバ10に登録部242aに登録された特化ユーザ識別情報を含むユーザ情報を送信する。
【0059】
移動体側通信部21aは、特化ユーザ識別情報を識別データとしてユーザ関連情報を移動体管理サーバ10と通信する。
【0060】
推定部244aは、例えばSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)により移動体20の周辺の環境を推定する。
【0061】
監視部245aは移動体20の周辺を監視する。監視部245aは、例えばカメラ224aによって撮影された画像を解析することにより監視を行う。
【0062】
なお、これら推定部244a、監視部245aにより、移動体の移動(経路に沿った)の妨げとなる移動体周辺の障害物の検出も行われる。
【0063】
その際、駆動制御部241aは、ユーザの施設内店舗利用予定状況に応じて設定される予定経路に沿って移動するように移動体20を移動させると共に、周囲障害物検出部として機能する推定部244a及び監視部245aにより検出された障害物を回避するように駆動装置20bを制御する。
【0064】
探索部246aは、推定部244aによる推定結果及び監視部245aによる監視結果を参照して、移動体20の移動経路を探索する。
【0065】
なお、ショッピングモール内のどの店舗に立ち寄るか、どの通路を利用するか、といったおおまかな経路は移動体管理サーバ10によって作成されてもよい。その場合、探索部246aは、障害物を避けるための詳細な経路等を探索する。
【0066】
認識部247aは、移動体20からのユーザの離脱を認識する。
【0067】
例えば、認識部247aは、カメラ224aによって撮影された画像に、あらかじめ指定された人物が写っているか否かを認識する。そして、当該撮影画像に基づき、認識部247aは、移動体20を基準とした所定の範囲内の画像から、あらかじめ指定された人物の顔を認識する。そして、認識部247aは、顔が認識できない場合、ユーザが離脱したと認識する。これにより、画像を使った見失いの検知が可能になる。
【0068】
また、認識部247aは、かご20eの内部にある物品を認識する。例えば、かご20eの内部をカメラで撮影した画像に写った物品を認識する。
【0069】
予測部248aは、移動体20の移動経路と、かご20eの内部にある物品の認識結果と、に基づいて、かご20eの冷蔵機能に必要な電力の予測を行う。
【0070】
通知部249aは、認識部247aによってユーザの離脱が認識された場合、ユーザの離脱の情報を通知する。
【0071】
電力判断部250aは、予測部248aにより予測された必要電力量と、移動体20に蓄積された電力量との比較により電力状態を判断する。
【0072】
対応動作部251aは、電力判断部250aの判断結果に応じた対応動作を行う。
【0073】
例えば、通知部249aは、ユーザが移動体20の近くに存在していない場合、ユーザを見失ったことを移動体管理サーバ10に通知する。
【0074】
また、その際、通知部249aは、さらに移動体20の現在位置を移動体管理サーバ10に通知する。これにより、移動体管理サーバ10からユーザの端末30に移動体20の位置を通知することができる。
【0075】
また、通知部249aは、移動体20に特定の動作をさせることにより通知を行ってもよい。例えば、通知部249aは、移動体20に停止と短い距離(例えば1m以内)の前後移動を繰り返させることによりユーザを見失ったことを通知する。
【0076】
このため、本実施形態の移動体制御システム1によれば、ユーザを見失った場合の対処が可能になる。
【0077】
移動体20による処理の流れの例を説明する。ここでは、ユーザは複数人で自動車を使って1つ以上の店舗を含む施設、すなわちショッピングモールを訪れているものとする。また、ユーザのうち1人は端末30を持っているものとする。
【0078】
ユーザは、端末30を介して、移動体管理サーバ10に対して事前に訪問する店舗を提示しておく。
【0079】
まず、ユーザは、自動車を駐車場に駐車する。その後、
図5に示すように、ユーザは、ショッピングカートである移動体20に、ユーザのIDを読み取らせる。
図5は、ユーザの識別情報の読み取り方法の例を示す図である。
【0080】
図5の例では、移動体20は、付属のスキャナを用いて、端末30に表示されたユーザのIDを示すバーコード等を読み取る。
【0081】
このとき、移動体20が読み取る情報には、自動車のナンバー等のユーザの個人的な情報は含まれない。
【0082】
駆動装置20bは、ショッピングモールの駐車場内の駐車位置を出発し、1つ以上の店舗を経由し、駐車位置に到着する経路に沿って移動体20を移動させる。
【0083】
これにより、移動体20は、自動車を駐車し、目的の店舗を訪れ、駐車位置に戻るという一連の移動を先導することができる。
【0084】
ここで、移動体20は、移動体管理サーバ10から駐車位置情報を受け取る。
【0085】
例えば、移動体20の移動体側通信部21aは、ユーザの識別情報を移動体管理サーバ10に送信する。そして、移動体20の移動体側通信部21aは、移動体管理サーバ10から識別情報に応じた駐車位置を受信する。
【0086】
このとき、移動体20の登録部242aは、ユーザの移動体利用に特化した特化ユーザ識別情報を登録する。特化ユーザ識別情報は、一時的に使用される。
【0087】
登録部242aは、移動体20の使用開始時に、移動体20の利用に特化した利用ユーザの特化ユーザ識別情報を登録する。
【0088】
そして、移動体管理サーバ10は、ユーザ識別情報送信部243aから送信された特化ユーザ識別情報と、ユーザ情報132の識別情報(例えば、ユーザID)とを紐付けて記憶しておく。
【0089】
例えば、移動体20は、ユーザによる入力又は端末30からの読み取りによりユーザIDを取得する。移動体20は、特化ユーザ識別情報を発行し、ユーザIDと共に移動体管理サーバ10に送信する。
【0090】
移動体20は、移動体管理サーバ10においてユーザIDと特化ユーザ識別情報との紐付が完了すると、ユーザIDを消去する。
【0091】
以後、移動体20は、特化ユーザ識別情報を使って、移動体管理サーバ10との間でユーザに関する情報のやり取りを行う。
【0092】
なお、移動体20は、特化ユーザ識別情報としてユーザごとのに新たに文字列を生成してもよいし、移動体20の識別コードを特化ユーザ識別情報として利用してもよい。
【0093】
これにより、移動体20には機密性のあるユーザIDを残さずに、移動体20と移動体管理サーバ10との間でユーザを特定して情報のやり取りを行うことができる。このように、移動体20には、ユーザの個人的な情報を保持させる必要がないため、セキュリティ性を向上させることができる。
【0094】
この場合、駆動装置20bは、移動体側通信部21aによって受信された駐車位置を出発し、1つ以上の店舗を経由し、駐車位置に到着する経路に沿って移動体20を移動させる。
【0095】
また、
図6に示すように、移動体20の認識部247aは、移動体20の周辺の所定の範囲からの複数のユーザの離脱を認識する。
図6は、認識方法及び通知方法を説明する図である。
【0096】
移動体20の通知部249aは、認識部247aによって複数の人物のうち少なくとも1人の離脱が認識された場合、所定の情報を通知する。
【0097】
これにより、子供連れ等の複数人のグループで店舗を訪れるユーザがばらばらになってしまうこと(迷子等)を防止することができる。
【0098】
図6の例では、移動体20は、ユーザを先導しながら移動する先導運転を行いつつ、周辺範囲にユーザが存在していることを認識する。
【0099】
移動体20は、GNSSを利用して位置情報を取得することができる。また、移動体20は、ショッピングモール内のカメラ及び通信機器と、例えばWi-Fi(登録商標)により接続されている。
【0100】
また、移動体20は、ユーザを見失った場合、移動体管理サーバ10に移動体20の現在位置を通知する。
【0101】
さらに、ユーザの端末30は、移動体管理サーバ10と所定の通信方式(Wi-Fi、4G、5G)で接続され、移動体20によって通知された現在位置を取得することができる。
【0102】
移動体20の認識部247aは、容器の内部の物品を認識する。このとき、認識部247aは、物品認識部として機能する。そして、移動体20の予測部248aは、認識部247aによって認識された物品に応じた適温度と、経路における目的地に移動体20が到着するまでの時間と、に基づいて、容器の内部の温度を維持するのに必要な電力を予測し、また認識された物品に応じた適温度に冷蔵機能を制御する。
【0103】
これにより、電力の消費量を最適化し、無駄な電力の消費を抑えることができる。例えば、ユーザが店舗で購入する商品は、冷やす必要がないもの、冷蔵が必要なもの、冷凍が必要なものと様々である。本実施形態によれば、このような商品の性質に合わせた冷蔵機能の制御が可能になる。
【0104】
認識部247aは、画像により物品を認識してもよいし、あらかじめ物品ごとに設けられたRFID(Radio Frequency Identifier)タグのようなマイクロチップにより認識してもよい。このとき、認識部247aは物品認識部として機能する。
【0105】
図7は、消費電力の予測方法を説明する図である。例えば、
図7に示すように、予測部248aは、駐車位置に到着するまでに、かごeの内部の温度が最適なラインまで下がり切ること、及び低電力モードに移行したとしても最適な温度を維持可能であることを予測する。
【0106】
この場合、予測部248aは、最適な温度を維持可能な最低限の電力を予測してもよい。
【0107】
移動体20の移動用の電源とかごeの冷却用の電源が共通の場合と異なる場合とがある。また、電源が共通であって、移動体20の移動用とかごeの冷却用のそれぞれに割り当ての電力量が設定されている場合がある。
【0108】
予測部248aによる予測結果を基に、電力判断部250aがかごeの冷却用の電力が不足すると判断した場合、対応動作部251aは、駆動に使う分の電力をかごeに供給するようにする。ただし、この場合、移動体20の移動用の電源とかごeの冷却用の電源が異なるか、又は電源が共通かつ割り当ての電力量が設定されているものとする。
【0109】
予測部248aによる予測結果を基に、電力判断部250aが移動体20の移動用の電力が不足すると判断した場合、対応動作部251aは、電力の不足を防止するため、移動体管理サーバ10又は端末30を介して、移動体20のための充電装置を備えた場所に立ち寄り、充電をすることを促すような通知を行ってもよい。ただし、この場合、移動体20の移動用の電源とかごeの冷却用の電源が共通であるものとする。
【0110】
また、この場合、移動体20は、移動体管理サーバ10から、充電装置の現在の使用状況及び予約状況等を取得してもよい。移動体管理サーバ10の地図情報131には、充電装置の位置が含まれる。また、移動体20は、移動体管理サーバ10を介して充電装置の使用予約を行うことができる。
【0111】
さらに、移動体20が複数のユーザが搭乗可能なものである場合、駆動に要する消費電力を抑えるため、移動体管理サーバ10又は端末30を介して、一部のユーザが移動体20から降りることを促すような通知を行ってもよい。ただし、この場合、移動体20の移動用の電源とかごeの冷却用の電源が異なるか、又は電源が共通かつ割り当ての電力量が設定されているものとする。
【0112】
図8は、移動体制御システムの動作の流れを示すシーケンス図である。まず、端末30は、来店前に移動体管理サーバ10に対して目的地を提示しておく(ステップS11)。
【0113】
端末30は、ユーザIDを移動体20に提示する(ステップS12)。移動体20は、ユーザIDと特化ユーザ識別情報を移動体管理サーバ10に通知する(ステップS13)。
【0114】
移動体管理サーバ10は、ユーザIDと特化ユーザ識別情報を紐付ける(ステップS14)。ここで、移動体20はユーザIDを消去する(ステップS15)。以降、移動体20と移動体管理サーバ10との間では特化ユーザ識別情報を用いてユーザに関する情報のやり取りが行われる。
【0115】
そして、移動体20は、識別情報を基に、移動体管理サーバ10に経路を問い合わせる(ステップS16)。
【0116】
移動体管理サーバ10は、来店時のユーザの自動車の駐車位置及び事前に提示された目的地に基づく経路を移動体20に通知する(ステップS17)。
【0117】
移動体20は、通知された経路に従ってユーザを先導する(ステップS18)。なお、経路はユーザが手動で設定したものであってもよい。
【0118】
図9を用いて移動体20による先導に関する処理を説明する。
図9は、移動体の処理の流れを示すフローチャートである。
【0119】
図9に示すように、あらかじめ指定された全てのユーザが、移動体20の周囲の所定の範囲内に存在しているか否か、つまり移動体から離脱状態にあるかを判定する(ステップS101)。
【0120】
例えば、移動体20は、移動体20に備えられたカメラ224a又は移動体管理サーバ10のカメラ12によって撮影された画像からユーザの顔が認識できるか否かによってこの判定を行う。なお、ユーザの顔が認識できた場合には、そのユーザと移動体との距離を計測し(画像処理等により)、所定距離以内であればユーザが範囲内に存在していると判定しても良い。
【0121】
移動体20は、ユーザの離脱を認識していない場合(ステップS101、No)、ユーザを目的地へ先導する(ステップS102)。なお、この際、周囲(経路附近)に障害物が存在している場合には、障害物を回避するように移動する(一部経路を修正する)。
【0122】
一方、移動体20は、ユーザの離脱を認識した場合(ステップS101、Yes)、先導を停止し、ユーザの見失いを移動体管理サーバ10に通知する(ステップS103)。尚、その際にユーザ離脱に対する対応処理、例えばユーザが離脱を気付くような、音声出力、移動体の所定動作(小刻みな往復移動等)等や、移動停止動作を行わせるのが好ましい。
【0123】
その後、移動体20はステップS101に戻り、一定時間おきにユーザが範囲内に存在しているか否かを判定する。
【0124】
上述してきたように、実施形態に係る移動体20は、ユーザを先導すると共に物品を積載可能な移動体であって、駆動装置20bと、認識部247aと、通知部249aと、を有する。駆動装置20bは、移動体20を移動させる。認識部247aは、移動体20を基準とした所定の範囲内に、あらかじめ指定された人物が存在していることを認識する。通知部249aは、認識部247aによって人物が範囲内に存在していることが認識されなかった場合(ユーザの移動体からの離脱が検出された場合)、所定の情報を通知する。
【0125】
このように、移動体20はユーザを見失った場合であっても、例えば移動体管理サーバ10等に通知を行うことにより対処ができる。
【0126】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0127】
N ネットワーク
1 移動体制御システム
10 移動体管理サーバ
11 サーバ側通信部
12 カメラ
13 記憶部
14 制御部
20 移動体
20a 移動体制御装置
20b 駆動装置
20c 電池
20d 着脱機構
20e かご
21a 移動体側通信部
22a センサ部
23a 記憶部
24a 制御部
30 端末
131 地図情報
132 ユーザ情報
133 ナンバー情報
141 検索部
142 通知部
201b モータ
201c 高圧バッテリ
202b PCU
202c コンバータ
221a IMU
222a GNSS
223a LiDAR
224a カメラ
241a 駆動制御部
242a 登録部
243a ユーザ識別情報送信部
244a 推定部
245a 監視部
246a 探索部
247a 認識部
248a 予測部
249a 通知部