(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186338
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】除菌システム
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20221208BHJP
A61L 2/24 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
A61L2/10
A61L2/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094501
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】西野 優希
(72)【発明者】
【氏名】藤本 卓也
(72)【発明者】
【氏名】久保田 謙三
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA07
4C058AA23
4C058BB06
4C058DD01
4C058DD07
4C058DD11
4C058DD13
4C058DD14
4C058DD16
4C058EE26
4C058KK02
4C058KK26
(57)【要約】
【課題】必要に応じて効率的な除菌を行うことができる除菌システムを提供する。
【解決手段】複数の個室Rを備える所定の空間(公共トイレ1)に配置され、前記個室R内に紫外線Cを照射可能な複数の照射部(照射装置31)と、前記照射部(照射装置31)を制御することにより、複数の除菌から一の除菌を実行可能な制御部33と、を具備し、前記複数の除菌には、複数の前記個室Rのうちの少なくとも1つに、所定の第一の期間の間、第一の数の前記照射部(照射装置31)で紫外線Cを照射する第一の除菌(通常除菌)と、複数の前記個室Rのうちの少なくとも1つに、前記第一の期間よりも短い所定の第二の期間の間、前記第一の数よりも多い第二の数の前記照射部(照射装置31)で、前記第一の除菌(通常除菌)よりも多量の紫外線Cを照射する第二の除菌(急速除菌)と、が含まれる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の個室を備える所定の空間に配置され、前記個室内に紫外線を照射可能な複数の照射部と、
前記照射部を制御することにより、複数の除菌から一の除菌を実行可能な制御部と、
を具備し、
前記複数の除菌には、
複数の前記個室のうちの少なくとも1つに、所定の第一の期間の間、第一の数の前記照射部で紫外線を照射する第一の除菌と、
複数の前記個室のうちの少なくとも1つに、前記第一の期間よりも短い所定の第二の期間の間、前記第一の数よりも多い第二の数の前記照射部で、前記第一の除菌よりも多量の紫外線を照射する第二の除菌と、
が含まれる除菌システム。
【請求項2】
前記制御部は、
利用者により前記個室が利用された後に取得される、当該個室に実行される除菌の期間の要求に関する除菌期間要求情報に基づいて、前記一の除菌を実行する、
請求項1に記載の除菌システム。
【請求項3】
前記除菌期間要求情報には、複数の前記個室のうち空室である個室の割合を示す空室率が含まれ、
前記制御部は、
前記空室率が第一の値未満となった場合に、前記第二の除菌を実行する、
請求項2に記載の除菌システム。
【請求項4】
前記複数の除菌には、
複数の前記個室のうちの少なくとも1つに、前記第一の期間よりも長い所定の第三の期間の間、前記第一の数の前記照射部で紫外線を照射する第三の除菌が含まれ、
前記制御部は、
前記空室率が前記第一の値より大きい第二の値以上となった場合に、前記第三の除菌を実行する、
請求項3に記載の除菌システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第二の除菌とは異なる除菌を実行している状態でも、前記除菌期間要求情報の変化に応じて当該実行中の除菌に代えて前記第二の除菌を実行可能である、
請求項2から請求項4までのいずれか一項に記載の除菌システム。
【請求項6】
前記複数の照射部のうち少なくとも一部は、
前記複数の個室のうち互いに隣接する一方又は他方の個室内に紫外線を照射するように照射対象を切り替え可能である、
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の除菌システム。
【請求項7】
前記制御部は、
前記照射部の照射対象を切り替えることで、前記第二の除菌を実行可能である、
請求項5又は請求項6に記載の除菌システム。
【請求項8】
前記所定の空間は、
複数の前記個室同士を隔てる複数の間仕切り壁を具備し、
前記照射部は、
一組の互いに対向する前記間仕切り壁により区画された少なくとも1つの前記個室に対して、前記第二の数で紫外線を常時照射可能に配置される、
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の除菌システム。
【請求項9】
所定の情報を表示可能な表示部を具備し、
前記制御部は、
前記照射部の動作に基づいて前記個室の除菌に関する情報を取得すると共に、前記除菌に関する情報を前記表示部に表示させる、
請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の除菌システム。
【請求項10】
前記所定の空間は、トイレである、
請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の除菌システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の空間の個室内に紫外線を照射して除菌を行う除菌システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の空間の個室内に紫外線を照射して除菌を行う技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、トイレの個室内のドアノブや内鍵に、紫外線を所定期間照射する除菌装置が記載されている。
【0004】
ここで、除菌装置からの紫外線は波長によっては人体に有害となる場合がある。このため、個室内に人がいる場合は紫外線を照射せず、使用後の個室内に人がいない場合に、紫外線を一定期間照射することが考えられる。
【0005】
この場合、使用後の個室が再び利用可能となるのは、除菌装置による除菌が完了してからとなる。このため、例えばトイレが混雑しており他の個室が空いていない場合には、利用者は個室内の除菌が完了するまで待つことになる。そこで、必要に応じて効率的な除菌を行うことができる除菌システムが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、必要に応じて効率的な除菌を行うことができる除菌システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、複数の個室を備える所定の空間に配置され、前記個室内に紫外線を照射可能な複数の照射部と、前記照射部を制御することにより、複数の除菌から一の除菌を実行可能な制御部と、を具備し、前記複数の除菌には、複数の前記個室のうちの少なくとも1つに、所定の第一の期間の間、第一の数の前記照射部で紫外線を照射する第一の除菌と、複数の前記個室のうちの少なくとも1つに、前記第一の期間よりも短い所定の第二の期間の間、前記第一の数よりも多い第二の数の前記照射部で、前記第一の除菌よりも多量の紫外線を照射する第二の除菌と、が含まれるものである。
【0010】
請求項2においては、前記制御部は、利用者により前記個室が利用された後に取得される、当該個室に実行される除菌の期間の要求に関する除菌期間要求情報に基づいて、前記一の除菌を実行するものである。
【0011】
請求項3においては、前記除菌期間要求情報には、複数の前記個室のうち空室である個室の割合を示す空室率が含まれ、前記制御部は、前記空室率が第一の値未満となった場合に、前記第二の除菌を実行するものである。
【0012】
請求項4においては、前記複数の除菌には、複数の前記個室のうちの少なくとも1つに、前記第一の期間よりも長い所定の第三の期間の間、前記第一の数の前記照射部で紫外線を照射する第三の除菌が含まれ、前記制御部は、前記空室率が前記第一の値より大きい第二の値以上となった場合に、前記第三の除菌を実行するものである。
【0013】
請求項5においては、前記制御部は、前記第二の除菌とは異なる除菌を実行している状態でも、前記除菌期間要求情報の変化に応じて当該実行中の除菌に代えて前記第二の除菌を実行可能であるものである。
【0014】
請求項6においては、前記複数の照射部のうち少なくとも一部は、前記複数の個室のうち互いに隣接する一方又は他方の個室内に紫外線を照射するように照射対象を切り替え可能であるものである。
【0015】
請求項7においては、前記制御部は、前記照射部の照射対象を切り替えることで、前記第二の除菌を実行可能であるものである。
【0016】
請求項8においては、前記所定の空間は、複数の前記個室同士を隔てる複数の間仕切り壁を具備し、前記照射部は、一組の互いに対向する前記間仕切り壁により区画された少なくとも1つの前記個室に対して、前記第二の数で紫外線を常時照射可能に配置されるものである。
【0017】
請求項9においては、所定の情報を表示可能な表示部を具備し、前記制御部は、前記照射部の動作に基づいて前記個室の除菌に関する情報を取得すると共に、前記除菌に関する情報を前記表示部に表示させるものである。
【0018】
請求項10においては、前記所定の空間は、トイレであるものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0020】
請求項1においては、必要に応じて効率的な除菌を行うことができる。
【0021】
請求項2においては、個室の利用状況に基づいた除菌を行うことができる。
【0022】
請求項3においては、所定の空間の混雑を効果的に抑制することができる。
【0023】
請求項4においては、より効果的な除菌を行うことができる。
【0024】
請求項5においては、より効果的な除菌を行うことができる。
【0025】
請求項6においては、照射部の数を比較的少なくできる。
【0026】
請求項7においては、比較的少ない数の照射部により第二の除菌を行うことができる。
【0027】
請求項8においては、少なくとも1つの個室に対して、除菌を行う際には常時第二の除菌を実行することができる。
【0028】
請求項9においては、利用者に対して所定の空間の除菌状況を可視化することができる。
【0029】
請求項10においては、トイレに対して必要に応じて効率的な除菌を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】第一実施形態に係る除菌システムが適用された公共トイレを示す概略平面図。
【
図4】(a)センサ部のON及びOFFと検知結果との関係を示す説明図。(b)表示装置の表示内容を示す正面図。
【
図5】除菌システムが実行する処理を示すブロック図。
【
図7】基本照射パターン処理を示すフローチャート。
【
図8】(a)利用者が個室に入室した様子を示す概略斜視図。(b)利用者が個室から退室した様子を示す概略斜視図。
【
図10】(a)通常除菌の様子を示す概略平面図。(b)急速除菌の様子を示す概略平面図。
【
図12】(a)第一の個室で行われる制御と各個室の条件との関係を示す表。(b)第三の個室で行われる制御と各個室の条件との関係を示す表。
【
図15】第二の個室で通常除菌処理が行われる場合の制御と各個室の条件との関係を示す表。
【
図17】第二の個室で急速除菌処理が行われる場合の制御と各個室の条件との関係を示す表。
【
図18】(a)第二実施形態に係る除菌システムにおいて通常除菌の様子を示す概略平面図。(b)急速除菌の様子を示す概略平面図。
【
図19】除菌システムが実行する処理を示すブロック図。
【
図20】(a)第一通常除菌処理を示すフローチャート。(b)第三通常除菌処理を示すフローチャート。
【
図21】(a)第一の個室で行われる制御と各個室の条件との関係を示す表。(b)第三の個室で行われる制御と各個室の条件との関係を示す表。
【
図24】第二の個室で急速除菌処理が行われる場合の制御と各個室の条件との関係を示す表。
【
図26】第三実施形態に係る除菌システムにおいて除菌の様子を示す概略平面図。
【
図27】除菌システムが実行する処理を示すブロック図。
【
図28】(a)第一、第三通常除菌処理を示すフローチャート。(b)第二急速除菌処理を示すフローチャート。
【
図29】第四実施形態に係る除菌システムの基本除菌処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の説明においては、図中に記した矢印に従って、上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義する。
【0032】
以下では、
図1及び
図2を参照して第一実施形態に係る除菌システム30が設けられる公共トイレ1の構成について簡単に説明する。
【0033】
公共トイレ1は、例えば、建物内に設けられる。公共トイレ1は、後述する隔壁部13等により建物内の他の室と区画される。公共トイレ1は、通路10及び個室群20を具備する。
【0034】
通路10は、床部11、天井部12及び隔壁部13等を具備し、前後方向へ延びるように設けられる。
【0035】
個室群20は、複数の個室Rを備えるものである。本実施形態では、個室群20は、前後方向に並列する3つの個室Rを備えている。以下では、最も後方に位置する個室Rを「第一の個室R1」、第一の個室R1の前方に隣接する個室Rを「第二の個室R2」、第二の個室R2の前方に隣接する個室Rを「第三の個室R3」と称して説明する。なお、
図2では、主として第二の個室R2を示している。個室群20は、通路10の側方(右方)に配置される。個室群20は、床部21、天井部22、ドア壁部23、背面壁部24、端壁部25、間仕切り壁部26及びトイレ装置27を具備する。
【0036】
床部21は、個室群20の床を成すものである。天井部22は、個室群20の天井を成すものである。
【0037】
ドア壁部23は、個室群20の左側の壁を成すものである。ドア壁部23は、通路10と面するように配置される。ドア壁部23には、各個室の出入口となるドア23aが設けられる。ドア23aには、バネ等の付勢手段によって開く方向に付勢された常開式(常時開)のドアが用いられる。ドア23aには、鍵23bが設けられる。鍵23bには、バーをスライドさせることでドア23aの施錠及び開錠を切り替え可能なスライド鍵が用いられる。
【0038】
背面壁部24は、個室群20の右側の壁を成すものである。背面壁部24は、ドア壁部23と対向するように配置される。
【0039】
端壁部25は、個室群20の前側及び後側の壁を成すものである。
【0040】
間仕切り壁部26は、隣接する各個室R同士を隔てる壁である。本実施形態では、2つの間仕切り壁部26が配置されている。具体的には、第一の個室R1及び第二の個室R2を隔てる間仕切り壁部26と、第二の個室R2及び第三の個室R3を隔てる間仕切り壁部26と、が配置されている。
【0041】
図1に示すように、第一の個室R1及び第三の個室R3は、ドア壁部23、背面壁部24、端壁部25及び間仕切り壁部26によって四方が囲まれている(区画されている)。また、第二の個室R2は、ドア壁部23、背面壁部24及び一対の間仕切り壁部26によって四方が囲まれている(区画されている)。各個室Rは、平面視略矩形状に形成される。また、個室Rは、上部(天井部22と間仕切り壁部26との間)が、各個室Rの間で連通する半密閉個室である。
【0042】
トイレ装置27は、各個室Rの内側に設けられる。トイレ装置27は、便器27a、便座27b及び便蓋27cを具備する。便器27aは、床部21に設けられる。便座27b及び便蓋27cは、便器27aの上面に開閉可能に設けられる。
【0043】
以下では、
図1から
図4まで、並びに
図10を参照して第一実施形態に係る除菌システム30について説明する。
【0044】
除菌システム30は、個室R内を除菌するためのものである。除菌システム30は、照射装置31、センサ部32、制御部33及び表示装置34を具備する。
【0045】
図1、
図2及び
図10に示す照射装置31は、紫外線C(可視光線よりも波長が短いもの)を照射するためのものである。照射装置31は、紫外線Cの中で比較的波長が短い(例えば、100~300nm程度の)深紫外線を照射可能に構成される。照射装置31は、下方へ向けて紫外線Cを照射可能なように、少なくとも一部が露出した状態で天井部22に設けられる。こうして、照射装置31は、トイレ装置27や、鍵23b、図示せぬ操作パネル、手すり、トイレットペーパーホルダー等の、個室群20内の種々の設備に対して、上方から紫外線Cを照射することができる。また、照射装置31は、床部21や各壁部等に対しても紫外線Cを照射することができる。
【0046】
本実施形態では、2つの照射装置31を、一対の間仕切り壁部26に対応する位置に配置している。より詳細には、照射装置31は、間仕切り壁部26に跨るように配置されている。換言すれば、照射装置31は、少なくとも一部が平面視において間仕切り壁部26と重複するように配置されている。
【0047】
本実施形態では、2つの照射装置31のうち、後側の(第一の個室R1及び第二の個室R2を隔てる)間仕切り壁部26に対応する照射装置31を、「第一の照射装置31a」と称して説明する。また、前側の(第二の個室R2及び第三の個室R3を隔てる)間仕切り壁部26に対応する照射装置31を、「第二の照射装置31b」と称して説明する。
【0048】
図10に示すように、照射装置31は、間仕切り壁部26を隔てて互いに隣接する一方又は他方の個室R内に紫外線Cを照射するように、照射対象を切り替え可能である。照射装置31は、例えばモータ等の適宜の駆動源による動力を用いて、紫外線Cを照射する部分を移動させることで照射対象を切り替える。本実施形態では、照射装置31は、上下方向に向く回転軸回りの回転動作を行うことで、紫外線Cを照射する部分を移動させる。なお、紫外線Cを照射する部分を移動させるための動作は、回転動作に限られず、直線動作等を採用可能である。
【0049】
センサ部32は、利用者A(個室Rを利用する者、
図8(a)参照)に関する情報を取得するためのものである。利用者Aに関する情報は、利用者Aが個室Rに在室しているか否かを判定可能な情報である。利用者Aに関する情報としては、例えば、ドア23aが施錠されているか否かを示す情報等がある。センサ部32には、人感センサ32a、施錠センサ32b、開閉センサ32c及び近接センサ32dが含まれる。
【0050】
図1から
図3までに示す人感センサ32aは、個室R内における利用者Aの存在を検知するためのものである。人感センサ32aは、個室Rの天井部22に設けられる。人感センサ32aは、例えば、人が移動した際に生じる熱(赤外線)の変化に基づいて、人体を検知することができる。こうして人感センサ32aは、利用者Aの存在を検知することができる。人感センサ32aは、個室R内に利用者Aが在室していない(非検知である)場合にONとなってON信号を出力する。一方、人感センサ32aは、個室R内に利用者Aが在室している(利用者Aの存在を検知した)場合にOFFとなってON信号を出力しない(
図4(a)を参照)。
【0051】
施錠センサ32bは、ドア23aが施錠されているか否かを検知するためのものである。施錠センサ32bは、鍵23bに設けられる。施錠センサ32bは、例えば、鍵23bのバーの位置を検知することで、ドア23aが施錠されているか否かを検知することができる。施錠センサ32bは、ドア23aが開錠されている場合にONとなってON信号を出力する。一方、施錠センサ32bは、ドア23aが施錠されている場合にOFFとなってON信号を出力しない(
図4(a)を参照)。
【0052】
開閉センサ32cは、ドア23aが開いているか否かを検知するためのものである。開閉センサ32cは、ドア壁部23の上端部に設けられる。開閉センサ32cは、例えば、ドア23aに設けられた磁石(不図示)からの磁力を検知することで、ドア23aが開いているか否かを検知することができる。開閉センサ32cは、ドア23aが開いている場合にONとなってON信号を出力する。一方、開閉センサ32cは、ドア23aが閉じている場合にOFFとなってON信号を出力しない(
図4(a)を参照)。
【0053】
近接センサ32dは、利用者Aが個室Rに近づいたか否かを検知するためのものである。近接センサ32dは、通路10の天井部12に設けられ、平面視において各個室Rに対応する位置に(本実施形態ではドア23aの左方)に配置される。近接センサ32dは、例えば、人が移動した際に生じる磁界の変化を検知することで、利用者Aが個室Rに近づいたか否かを検知することができる。近接センサ32dは、利用者Aが個室Rに近づいていない(非検知である)場合にONとなってON信号を出力する。一方、近接センサ32dは、利用者Aが個室Rに近づいた(検知した)場合にOFFとなってON信号を出力しない(
図4(a)を参照)。
【0054】
図3に示す制御部33は、センサ部32からの信号に応じて照射装置31の動作を制御するためのものである。制御部33は、建物内の適宜の箇所に設けられる。制御部33は、演算装置及び記憶装置等を具備し、当該記憶装置に記憶されたプログラムを演算装置で実行することで種々の処理を行うことができる。
【0055】
制御部33は、照射装置31及びセンサ部32(人感センサ32a、施錠センサ32b、開閉センサ32c及び近接センサ32d)と接続される。制御部33は、照射装置31へ信号を送信することで、照射装置31からの紫外線Cの照射の開始及び停止、照射対象の切り替えを制御することができる。また、制御部33は、センサ部32からのON信号をそれぞれ受信することができる。制御部33は、処理の結果を種々のネットワークを介して外部の機器(例えば後述する表示装置34)へ送信可能である。制御部33としては、建物内に配置されたゲートウェイや、一般的なパーソナルコンピュータ等を用いることができる。
【0056】
制御部33は、
図10に示すように、照射装置31の照射対象を切り替えることで、「通常除菌」と「急速除菌」とを切り替える制御を実行可能である。ここで、通常除菌とは、
図10(a)に示すように、1つの個室Rに対して1つの照射装置31で60秒間行われる除菌である。
【0057】
また、急速除菌とは、
図10(b)に示すように、1つの個室Rに対して2つの照射装置31で、通常除菌の略半分の期間(本実施形態では30秒間)行われる除菌である。急速除菌では、2つの照射装置31により紫外線Cを照射することで、通常除菌よりも多量の紫外線Cを照射することができる。従って、通常除菌を行う場合よりも早期に除菌を完了させることができる。なお、通常除菌及び急速除菌において、1つの照射装置31が照射する紫外線Cの照射量(除菌能力)は同じである。
【0058】
図3及び
図4に示す表示装置34は、所定の情報を表示可能なものである。表示装置34は、適宜のネットワークを介して制御部33と接続されている。表示装置34は、制御部33が行った処理の結果を表示する。具体的には、表示装置34は、
図4(b)に示すように、センサ部32からの信号や照射装置31の動作に関する情報に基づいた制御部33の処理(例えば
図6に示す基本除菌処理S10等)の結果として、各個室Rの使用状況や除菌に関する情報を示す表示を行う。ここで、除菌に関する情報には、照射装置31の動作に基づいて判断可能な個室Rの除菌の状況(除菌状況)が含まれる。なお、
図4(b)では、2つの個室群20を備える公共トイレ1の使用状況及び除菌状況を表示した例を示している。
【0059】
具体的には、表示装置34は、各個室Rの使用状況や除菌状況を示す表示として、「使用中」、「未除菌」、「除菌中」、「急速除菌中」及び「除菌済」が表示される。
【0060】
「使用中」は、施錠センサ32b及び開閉センサ32cがOFFである(ドア閉塞、施錠されている)ときに表示される。
【0061】
「未除菌」は、利用者Aが個室Rを退出した後、人感センサ32a又は近接センサ32dがOFF(検知)であるときに表示される。
【0062】
「除菌中」は、通常除菌が実行される場合において照射装置31がONであるときに表示される。
【0063】
「急速除菌中」は、急速除菌が実行される場合において照射装置31がONであるときに表示される。
【0064】
「除菌済」は、除菌が完了したときに表示される。すなわち、通常除菌が実行される場合では除菌時間が60秒以上になったときに表示される。「除菌済」が表示されている場合は、個室Rは除菌が完了し利用者Aが利用可能な状態(空室)である。
【0065】
表示装置34としては、表示内容を利用者Aが視認可能な適宜の機器を採用可能である。例えば、表示装置34としては、建物内に設置されたサイネージ等のディスプレイ装置を採用可能である。また、表示装置34としては、携帯可能な情報端末(タブレットやスマートフォン)等を採用可能である。
【0066】
上述の如く構成される除菌システム30は、照射装置31から紫外線Cを照射させることで、個室R内のウイルスや菌を除去する(除菌する)ことができる。また、除菌システム30は、照射装置31の照射対象を切り替えることで、所望の個室Rの除菌を行うことができる。
【0067】
ここで、照射装置31による紫外線Cは、波長によっては人体に対して有害となる場合がある。そこで、制御部33は、
図5に示す種々の処理を実行して照射装置31(紫外線Cの照射の開始及び停止並びに照射対象の切り替え)を制御し、利用者Aに紫外線Cが当たらない状況で個室R内の除菌を行うようにしている。
【0068】
以下では、除菌システム30が実行する処理について説明する。除菌システム30は、第一の個室R1、第二の個室R2及び第三の個室R3のそれぞれに対応する処理を実行可能である。具体的には、本実施形態に係る除菌システム30は、
図5に示すように、「基本除菌処理S10」、「基本照射パターン処理S20」、「第一通常除菌処理S30」、「第三通常除菌処理S40」、「除菌判断処理S50」、「第二通常除菌処理S60」及び「急速除菌処理S70」を実行可能である。
【0069】
以下では、
図5を用いて除菌システム30が実行する各処理の関係について説明する。基本除菌処理S10は、各個室Rに共通して実行される処理である。基本照射パターン処理S20は、基本除菌処理S10から移行する処理であって、各個室Rに共通して実行可能な処理である。
【0070】
第一通常除菌処理S30、第三通常除菌処理S40及び除菌判断処理S50(以下では「各処理S30、S40、S50」と称する。)は、基本除菌処理S10から移行する処理であって、それぞれ第一の個室R1、第三の個室R3及び第二の個室R2に対応する処理である。各処理S30、S40、S50は、他の個室R(処理の対象となる個室Rとは異なる個室R)の使用状況や除菌状況に応じて照射装置31の照射対象を切り替える制御を実行可能である。
【0071】
各処理S30、S40、S50は、基本照射パターン処理S20に代えて実行される。すなわち、本実施形態に係る除菌システム30では、基本照射パターン処理S20と各処理S30、S40、S50とのいずれか一方が実行される。基本照射パターン処理S20と各処理S30、S40、S50とのいずれかを実行するかの選択は、例えば除菌システム30の管理者による適宜の操作により行われる。上記操作は、制御部33と通信可能な適宜の操作部を介して実行可能である。
【0072】
第二通常除菌処理S60及び急速除菌処理S70は、除菌判断処理S50での判定に伴い移行する(分岐する)処理である。
【0073】
以下では、基本除菌処理S10及び基本照射パターン処理S20に基づいて、除菌システム30による除菌の基本的な動作について説明する。ここで、除菌の基本的な動作とは、他の個室Rの使用状況や除菌状況に応じて照射装置31の照射対象を切り替えるような制御を行わず、除菌の対象となる個室Rのセンサ部32の検知結果に基づいて行う除菌の動作を指す。
【0074】
まず、以下では
図6のフローチャートを用いて、「基本除菌処理S10」について説明する。基本除菌処理S10は、除菌システム30が実行する基本的な処理(基本照射パターン処理S20や各処理S30、S40、S50の前に行われる処理)である。なお、基本除菌処理S10は、各個室Rに共通して実行される処理であるので、
図6のフローチャート及び以下の説明では各個室Rを区別せず、処理の対象となる個室Rを「第nの個室R」と記載している。また、
図6のフローチャート及び以下の説明では、第nの個室Rに紫外線Cを照射する各照射装置31を「第Nの照射装置31」と記載している。また、
図6のフローチャート及び以下の説明のセンサ部32は、第nの個室Rのセンサ部32を指す。
【0075】
基本除菌処理S10は、制御部33により常時実行される。基本除菌処理S10が開始されると、制御部33は、ステップS110の処理へ移行する。ステップS110において制御部33は、人感センサ32aが利用者Aを検知した状態から非検知の状態へ遷移したか否かを判定する。このとき、制御部33は、人感センサ32aからON信号を受信していない状態から、ON信号を受信している状態へ変わったか否かを確認する。制御部33は、ON信号を受信している状態へ変わった場合に人感センサ32aが非検知の状態へ遷移したと判定し(ステップS110:Yes)、ステップS120の処理へ移行する。一方、制御部33は、ON信号を受信している状態へ変わっていない場合に人感センサ32aが非検知の状態へ遷移しなかったと判定し(ステップS110:No)、再びステップS110の処理へ移行する。こうして制御部33は、人感センサ32aが非検知の状態へ遷移するまでステップS110を繰り返し実行し、個室R内の利用者Aが退室した(人感センサ32aが非検知へ遷移した)場合に次のステップS120の処理へ移行する。
【0076】
ステップS120において制御部33は、人感センサ32aが非検知の状態で10秒経過したか否かを判定する。このとき、制御部33は、人感センサ32aからのON信号の受信時間(何秒間受信しているのか)を確認する。制御部33は、ON信号の受信時間が10秒を超えた場合に非検知の状態で10秒経過したと判定し(ステップS120:Yes)、ステップS130の処理へ移行する。一方、制御部33は、個室Rに利用者Aが入室する等して人感センサ32aがOFFとなり、ON信号の受信時間が10秒を超えなかった場合に非検知の状態で10秒経過しなかったと判定し(ステップS120:No)、ステップS210の処理へ移行する。
【0077】
ステップS130において制御部33は、施錠センサ32b及び開閉センサ32cがONであるか否かを判定する。このとき、制御部33は、施錠センサ32b及び開閉センサ32cからそれぞれON信号を受信している場合に施錠センサ32b等がONであると判定し(ステップS130:Yes)、ステップS150の処理へ移行する。一方、制御部33は、施錠センサ32b又は開閉センサ32cの少なくともいずれかからON信号を受信していない場合に施錠センサ32b等がONでないと判定し(ステップS130:No)、ステップS140の処理へ移行する。
【0078】
ステップS140において制御部33は、表示装置34に、第nの個室Rは「使用中」であることを示す表示を行う。ステップS140の処理が終了すると、制御部33は、ステップS210の処理へ移行する。
【0079】
ステップS150において制御部33は、近接センサ32dが非検知であるか否かを判定する。このとき、制御部33は、近接センサ32dからON信号を受信している場合に近接センサ32dが非検知であると判定し(ステップS150:Yes)、ステップS170の処理へ移行する。一方、制御部33は、近接センサ32dからON信号を受信していない場合に近接センサ32dが非検知でないと判定し(ステップS150:No)、ステップS160の処理へ移行する。
【0080】
ステップS160において制御部33は、表示装置34に、第nの個室Rは「未除菌」であることを示す表示を行う。ステップS160の処理が終了すると、制御部33は、ステップS210の処理へ移行する。
【0081】
ステップS170において制御部33は、人感センサ32aが非検知であるか否かを判定する。このとき、制御部33は、人感センサ32aからON信号を受信している場合に人感センサ32aが非検知であると判定し(ステップS170:Yes)、ステップS190の処理へ移行する。一方、制御部33は、人感センサ32aからON信号を受信していない場合に人感センサ32aが非検知でないと判定し(ステップS170:No)、ステップS180の処理へ移行する。
【0082】
ステップS180において制御部33は、表示装置34に、第nの個室Rは「未除菌」であることを示す表示を行う。ステップS180の処理が終了すると、制御部33は、ステップS210の処理へ移行する。
【0083】
ステップS190において制御部33は、除菌時間が60秒未満であるか否かを判定する。ここで、「除菌時間」とは、単一の照射装置31を用いたと仮定した場合の除菌にかかった時間(延べ時間)である。除菌時間は、「除菌中」の表示が「使用中」の表示に切り替わればリセットされる。
【0084】
除菌時間は、以下の式(1)で求められる。
「除菌中」の表示時間+「急速除菌中」の表示時間×2・・・(1)
【0085】
除菌時間の算出において、通常除菌が行われている間は、「除菌中」の表示時間が除菌時間として算出される。また、急速除菌が行われている間は、「急速除菌中」の表示時間を2倍したものが除菌時間として算出される。
【0086】
制御部33は、除菌時間が60秒未満である場合に(ステップS190:Yes)、
図7(a)に示すステップS220の処理等へ移行する。一方、制御部33は、除菌時間が60秒以上である場合に(ステップS190:No)、ステップS200の処理へ移行する。
【0087】
ステップS200において制御部33は、表示装置34に、第nの個室Rは「除菌済」であることを示す表示を行う。ステップS200の処理が終了すると、制御部33は、ステップS210の処理へ移行する。
【0088】
ステップS120、S140、S160、S180、S200から移行するステップS210において制御部33は、第Nの照射装置31に信号を送信し、第Nの照射装置31からの紫外線Cの照射を停止させる。また、制御部33は、除菌時間の計測を終了し、除菌時間を0秒にする(リセットする)。ステップS210の処理が終了すると、制御部33は、ステップS110の処理へ移行する。
【0089】
次に、
図7のフローチャートを用いて、「基本照射パターン処理S20」について説明する。基本照射パターン処理S20は、基本除菌処理S10のステップS190において、除菌時間が60秒未満である場合(ステップS190:Yes)に移行する処理であって、他の個室Rの使用状況や除菌状況に関わらず、第nの個室Rに第Nの照射装置31から紫外線Cを照射させる処理である。
【0090】
基本除菌処理S10のステップS190から移行するステップS220において制御部33は、第Nの照射装置31に信号を送信し、第Nの照射装置31から紫外線Cを照射させる。また、制御部33は、除菌時間の計測を開始する。なお、制御部33は、除菌時間の計測を既に開始している場合には、除菌時間をリセットすることなく除菌時間の計測を継続する。なお、この際に第Nの照射装置31が第nの個室R側を向いていない場合には、制御部33は、第Nの照射装置31を第nの個室R側を向くように回転させる制御を実行可能である。ステップS220の処理が終了すると、制御部33は、ステップS230の処理へ移行する。
【0091】
ステップS230において制御部33は、表示装置34に、第nの個室Rは「除菌中」であることを示す表示を行う。ステップS230の処理が終了すると、制御部33は、基本除菌処理S10のステップS130の処理へ移行する。
【0092】
次に、
図8及び
図9を参照し、除菌システム30による除菌の具体例について説明する。
【0093】
以下では、
図8(a)に示す利用者Aが個室R(第nの個室R)に入室してから退室する場合を例に挙げて除菌処理の具体例を説明する。なお、
図8(a)に示す状態において、照射装置31(第Nの照射装置31)は、紫外線Cの照射が停止されている。
【0094】
図8(a)に示すように、利用者Aは、個室Rに入室すると、ドア23aを閉めて鍵23bをかける。人感センサ32aは、当該利用者Aを検知してOFFとなり(
図4(a)を参照)、ON信号の送信を停止する。こうして、人感センサ32aは、利用者Aを検知しない状態から利用者Aを検知した状態(非検知から検知)へと遷移する。この場合、制御部33は、人感センサ32aが非検知の状態へ遷移していないと判定し(ステップS110:No)、非検知の状態へ遷移するまで待機する。
【0095】
なお、
図4(a)及び
図8(a)に示すように、利用者Aがドア23aを閉めて鍵23bをかけると、施錠センサ32bは、ドア23aの施錠を検知してOFFとなる。また、開閉センサ32cは、ドア23aが開いていることを検知しなくなってOFFとなる。この際は、個室Rは利用者Aにより使用されていると推定される。この場合、制御部33は、表示装置34に個室Rは「使用中」であることを示す表示を実行可能である。
【0096】
また、例えば個室Rを施錠した状態で、個室Rにいる利用者Aが静止していることで、人感センサ32aが非検知の状態へ遷移し、非検知の状態が10秒間継続することも考えられる(ステップS110、S120:Yes、ステップS130:No)。このような場合も、個室Rは利用者Aにより使用されていると推定される。この際、制御部33は、表示装置34に個室Rは「使用中」であることを示す表示を行う(ステップS140)。
【0097】
図8(b)に示すように、利用者Aが個室Rから退室する場合、当該利用者Aは、ドア23a及び鍵23bを開け、個室Rから通路10(
図1を参照)へと移動する。こうして個室Rに利用者Aが在室しなくなると、人感センサ32aは、検知の状態から非検知の状態へ遷移して(
図4(a)を参照)、ON信号を制御部33へ送信する。
【0098】
制御部33は、当該人感センサ32aからのON信号に基づいて人感センサ32aが非検知の状態へ遷移したと判定する(ステップS110:Yes)。制御部33は、個室Rに利用者Aが在室しない状態(人感センサ32aが非検知の状態)が10秒間継続すると(ステップS120:Yes)、開閉センサ32c等のON信号を確認する(ステップS130)。
【0099】
図4(a)及び
図8(b)に示すように、個室Rに利用者Aが在室しない場合、ドア23aは開錠されているため、施錠センサ32bは、ONとなってON信号を制御部33へ送信する。また、常開式のドア23aは個室Rに利用者Aが在室しない場合に開いた状態となるため、開閉センサ32cは、ONとなってON信号を制御部33へ送信する。
【0100】
この際、個室R内又は個室Rの近くに利用者がいる場合には、人感センサ32a及び近接センサ32dが検知状態であると判定する(ステップS150:No、ステップS170:No)。この場合には、個室Rは使用後(ドア23aを開けた後)に未だ除菌がされていないと推定されることから、制御部33は、表示装置34に個室Rは「未除菌」であることを示す表示を行う(ステップS160、S180)。
【0101】
利用者Aが個室Rから離れると、近接センサ32dは、非検知の状態となってON信号を制御部33へ送信する。また、人感センサ32aは、非検知の状態となってON信号を制御部33へ送信する。この際、制御部33は、人感センサ32a及び近接センサ32dが非検知であると判定する(ステップS150:Yes、ステップS170:Yes)。
【0102】
この場合、制御部33は、照射装置31の動作に基づいて除菌時間を確認する(ステップS190)。
図8(b)に示す照射装置31は、紫外線Cを照射していない。この場合、制御部33は、除菌時間が60秒未満(0秒)であると判定し(ステップS190:Yes)、
図9(a)に示すように、個室R側を向く照射装置31から紫外線Cを照射させる(ステップS220)。当該紫外線Cの照射は、人感センサ32a等が非検知の状態(ONの状態)が継続する場合に、60秒間行われる(ステップS130~S180)。これにより、個室R内のウイルスや菌を除去することができる。この際、制御部33は、照射装置31から、紫外線Cを照射していることの信号を受信する。この場合には、個室Rは照射装置31による除菌が行われている最中であることが推定されることから、制御部33は、表示装置34に個室Rは「除菌中」であることを示す表示を行う(ステップS230)。
【0103】
制御部33は、照射装置31による除菌時間が60秒以上であると判定した場合(ステップS190:No)、個室Rの除菌は完了したと推定されることから、表示装置34に個室Rは「除菌済」であることを示す表示を行う(ステップS200)。また、制御部33は、
図9(b)に示すように、照射装置31による紫外線Cの照射を停止させる(ステップS220)。
【0104】
また、仮に紫外線Cの照射中に利用者Aが個室Rを利用する場合、
図4(a)に示すように、近接センサ32dは、当該利用者Aが個室Rに近づいたことを検知してOFFとなり、ON信号の送信を停止する。また、人感センサ32aは、個室R内の利用者Aを検知してOFFとなり、ON信号の送信を停止する。また、開閉センサ32cは、ドア23aが閉じられたことを検知してOFFとなり、ON信号の送信を停止する。また、施錠センサ32bは、ドア23aが施錠されたことを検知してOFFとなり、ON信号の送信を停止する。
【0105】
制御部33は、こうして人感センサ32a、施錠センサ32b、開閉センサ32c又は近接センサ32dからのON信号の少なくともいずれかを受信しなくなった場合に(ステップS130:No、ステップS150:No、ステップS170:No)、紫外線Cの照射を停止させる(ステップS220)。これにより、紫外線Cの照射を適切なタイミングで(利用者Aが個室Rを利用する前に)停止させることができる。この場合、制御部33は、表示装置34に個室Rは、「使用中」又は「未除菌」であることを示す表示を行う(ステップS140、S160、S180)。
【0106】
以上、除菌システム30による基本的な除菌の一例を説明した。除菌システム30によれば、利用者Aに紫外線Cが当たらない状況で紫外線Cを照射することができる。これによって、個室Rを紫外線Cで除菌できると共に、当該紫外線Cが利用者Aに誤って照射されるのを防止することができる。
【0107】
本実施形態に係る除菌システム30は、上述した基本的な動作(基本照射パターン処理S20の動作)に代えて、
図10に示すように、照射装置31の照射対象を切り替えることで、「通常除菌」と「急速除菌」とを切り替えることができる。
【0108】
本実施形態においては、
図10(a)に示すように、第一の照射装置31aの照射対象を第一の個室R1にし、第二の照射装置31bの照射対象を第三の個室R3にすることで、第一の個室R1及び第三の個室R3に対して通常除菌を行うことができる。
【0109】
また、本実施形態においては、
図10(b)に示すように、第一の照射装置31a及び第二の照射装置31bの両方の照射対象を第二の個室R2にすることで、第二の個室R2に対して急速除菌を行うことができる。
【0110】
図10に示す照射装置31の照射対象を切り替える制御は、制御部33が「第一通常除菌処理S30」、「第三通常除菌処理S40」及び「除菌判断処理S50」を実行することで行われる(
図5を参照)。以下では、第一通常除菌処理S30、第三通常除菌処理S40及び除菌判断処理S50について説明する。なお、以下の説明では、基本除菌処理S10及び基本照射パターン処理S20で説明した内容は適宜省略する。
【0111】
まず、
図11のフローチャートを用いて、第一通常除菌処理S30について説明する。第一通常除菌処理S30は、基本除菌処理S10のステップS190から移行すると共に第一の個室R1に対応する処理であって、第一の個室R1に対して通常除菌が行われる場合に実行される処理である。
【0112】
第一通常除菌処理S30が開始された場合において、制御部33は、第二の個室R2が第一の照射装置31aで「除菌中」であると判定した場合、第一の個室R1は「未除菌」であることを示す表示を行う(ステップS240:Yes、ステップS250)。上記処理が終了すると、制御部33は、基本除菌処理S10のステップS110の処理へ移行する。
【0113】
また、制御部33は、第二の個室R2が第一の照射装置31aで「除菌中」でないと判定した場合、第一の照射装置31aを第一の個室R1側に回転させる(ステップS240:No、ステップS260)。すなわち、制御部33は、第一の照射装置31aの照射対象が第一の個室R1内になるように、第一の照射装置31aの動作を制御する。また、制御部33は、第一の照射装置31aをONにする(紫外線Cを照射させる)と共に、表示装置34に第一の個室R1は「除菌中」であることを示す表示を行う(ステップS270、ステップS280)。上記処理が終了すると、制御部33は、基本除菌処理S10のステップS130の処理へ移行する。
【0114】
次に、「第三通常除菌処理S40」について説明する。第三通常除菌処理S40は、基本除菌処理S10(ステップS190)から移行すると共に第三の個室R3に対応する処理であって、第三の個室R3に対して通常除菌が行われる場合に実行される処理である(
図5を参照)。第三通常除菌処理S40は、第一通常除菌処理S30と概ね同じ処理である。具体的には、第三通常除菌処理S40は、第一通常除菌処理S30の「第一の個室R1」及び「第一の照射装置31a」を、「第三の個室R3」及び「第二の照射装置31b」に入れ替えたものである。従って、第三通常除菌処理S40の説明は省略する。
【0115】
図12は、第一通常除菌処理S30及び第三通常除菌処理S40が実行される際の第一の個室R1及び第三の個室R3で行われる制御(判断結果)と第二の個室R2の条件との関係を示す表である。
図12に示すように、第一通常除菌処理S30で、第二の個室R2で第一の照射装置31aが使用されている場合は、第一の個室R1は、「未除菌」となる。また、第三通常除菌処理S40で、第二の個室R2で第二の照射装置31bが使用されている場合は、第三の個室R3は、「未除菌」となる。
【0116】
次に、
図13のフローチャートを用いて、「除菌判断処理S50」について説明する。除菌判断処理S50は、基本除菌処理S10のステップS190から移行する処理であって、第二の個室R2に対して行われる処理である。
【0117】
除菌判断処理S50が開始された場合において、制御部33は、第二の個室R2が急速除菌中でないと判定した場合に、公共トイレ1の空室率が30%未満であるか否かを判定する(ステップS290:No、ステップS300)。ここで、「空室率」とは、公共トイレ1の全ての個室Rのうち「除菌済」である個室Rの割合を示す値である。
【0118】
空室率は、以下の式(2)で求められる。
除菌済の個室Rの数/全ての個室Rの数×100・・・(2)
【0119】
空室率が30%未満である場合、公共トイレ1は比較的混雑していると推定される。一方、空室率が30%以上である場合、公共トイレ1は比較的混雑していないと推定される。制御部33は、公共トイレ1の各個室Rのセンサ部32や各照射装置31からの信号に基づいて空室率を算出する。なお、上記式(1)の「除菌済の個室Rの数」に代えて、「開閉センサ32cがOFFの個室Rの数」を用いてもよい。
【0120】
制御部33は、空室率が30%未満であると判定した場合(ステップS300:Yes)、急速除菌処理S70へ移行する。一方、制御部33は、空室率が30%以上であると判定した場合(ステップS300:No)、第二通常除菌処理S60へ移行する。
【0121】
次に、
図14のフローチャートを用いて、「第二通常除菌処理S60」について説明する。第二通常除菌処理S60は、第二の個室R2に対して通常除菌が行われる場合に実行される処理である。第二通常除菌処理S60は、除菌判断処理S50のステップS300から移行する。
【0122】
第二通常除菌処理S60が開始された場合において、各個室Rがいずれも「除菌中」でなく(ステップS310~ステップS330:No)、第一の個室R1及び第三の個室R3が「除菌済」でない場合(ステップS340、ステップS350:No)、制御部33は、ステップS360の処理に移行する。
【0123】
ステップS360において制御部33は、第一の個室R1の使用時間が、第二の個室R2の使用時間よりも短いか否かを判定する。ここで、「使用時間」とは、表示装置34において「使用中」が表示される時間である。使用時間は、「使用中」の表示が他の表示に切り替わればリセットされる。
【0124】
制御部33は、第一の個室R1の使用時間が、第二の個室R2の使用時間よりも短いと判定した場合、第一の照射装置31aを第二の個室R2側に回転させると共に、第一の照射装置31aをONにし、表示装置34に第二の個室R2は「除菌中」であることを示す表示を行う(ステップS360:Yes、ステップS370~ステップS390)。上記処理が終了すると、制御部33は、基本除菌処理S10のステップS130の処理へ移行する。
【0125】
また、制御部33は、第二の個室R2の使用時間が、第一の個室R1の使用時間以上であると判定した場合、第二の照射装置31bを第二の個室R2側に回転させると共に、第二の照射装置31bをONにし、表示装置34に第二の個室R2は「除菌中」であることを示す表示を行う(ステップS360:No、ステップS400、ステップS410、ステップS390)。上記処理が終了すると、制御部33は、基本除菌処理S10のステップS130の処理へ移行する。
【0126】
上記ステップS360~ステップS410に示すように、第二通常除菌処理S60では、制御部33は、第一の個室R1及び第三の個室R3がどちらも「使用中」である場合は、第一の個室R1及び第二の個室R2のうち、使用時間が短い方の個室Rを照射対象としていた照射装置31を第二の個室R2側に回転させる制御を行う(
図15を参照)。
【0127】
また、第二通常除菌処理S60が開始された場合において、制御部33は、第一の個室R1及び第三の個室R3が「除菌中」である場合(ステップS310:No、ステップS320、ステップS420:Yes)、表示装置34に第二の個室R2は「未除菌」であることを示す表示を行う(ステップS430)。上記処理が終了すると、制御部33は、基本除菌処理S10のステップS130の処理へ移行する。
【0128】
また、第二通常除菌処理S60が開始された場合において、制御部33は、第二の個室R2が「除菌中」であり、第一の個室R1が「未除菌」であり、第一の照射装置31aがON、第二の照射装置31bがOFFである場合、第一の照射装置31aをOFFにする(ステップS310、ステップS440:Yes、ステップS450)。
【0129】
また、制御部33は、第一の照射装置31aをOFFにした後、第二の照射装置31bを第二の個室R2側に回転させると共に、第二の照射装置31bをONにし、表示装置34に第二の個室R2は「除菌中」であることを示す表示を行う(ステップS400、ステップS410、ステップS390)。上記処理が終了すると、制御部33は、基本除菌処理S10のステップS130の処理へ移行する。
【0130】
上記処理のように、第二通常除菌処理S60では、第二の個室R2が第一の照射装置31aで「除菌中」であり、第一の照射装置31a側の個室R(第一の個室R1)が「未除菌」であり、かつ第二の照射装置31b側の個室R(第三の個室R3)が「除菌済み」又は「使用中」(第二の照射装置31bがOFF)である場合、制御部33は、第二の個室R2で使用する照射装置31を、第一の照射装置31aから第二の照射装置31bに変更する制御を行う(
図15を参照)。このように、照射装置31の照射範囲を変更することで、「未除菌」である第一の個室R1側に第一の照射装置31aから紫外線Cを照射することができ、効率的な除菌が可能となる。
【0131】
また、制御部33は、上記ステップS440の判定がNOである場合において、第三の個室R3が「未除菌」であり、第一の照射装置31aがOFF、第二の照射装置31bがONである場合、第二の照射装置31bをOFFにする(ステップS460:Yes、ステップS470)。
【0132】
また、制御部33は、第二の照射装置31bをOFFにした後、第一の照射装置31aを第二の個室R2側に回転させると共に、第一の照射装置31aをONにし、表示装置34に第二の個室R2は「除菌中」であることを示す表示を行う(ステップS370~ステップS390)。上記処理が終了すると、制御部33は、基本除菌処理S10のステップS130の処理へ移行する。
【0133】
上記処理のように、第二通常除菌処理S60では、第二の個室R2が第一の照射装置31aで「除菌中」であり、第二の照射装置31Bb側の個室R(第三の個室R3)が「未除菌」であり、かつ第一の照射装置31a側の個室R(第一の個室R1)が「除菌済み」又は「使用中」(第一の照射装置31aがOFF)である場合、制御部33は、第二の個室R2で使用する照射装置31を、第二の照射装置31bから第一の照射装置31aに変更する制御を行う(
図15を参照)。このように、照射装置31の照射範囲を変更することで、「未除菌」である第三の個室R3側に第二の照射装置31bから紫外線Cを照射することができ、効率的な除菌が可能となる。
【0134】
図15は、第二通常除菌処理S60が実行される際の第二の個室R2で行われる制御(判断結果)と各個室Rの条件との関係を示す表である。
図15に示すように、第二通常除菌処理S60が実行された場合は、第一の個室R1及び第三の個室R3のうち「除菌済」の方の照射装置31を使用して第二の個室R2の除菌を行う。また、第一の個室R1及び第三の個室R3がどちらも「除菌中」である場合は、第二の個室R2は、「未除菌」となる。なお図例では、第一の個室R1及び第三の個室R3がどちらも「除菌済」である場合は、第一の照射装置31aで通常除菌を例を示しているが、第二の照射装置31bを使用してもよい。
【0135】
次に、
図16のフローチャートを用いて、「急速除菌処理S70」について説明する。急速除菌処理S70は、第二の個室R2に対して急速除菌が行われる場合に実行される処理である。急速除菌処理S70は、除菌判断処理S50のステップS300から移行する。
【0136】
急速除菌処理S70が開始された場合において、制御部33は、第一の個室R1及び第三の個室R3が「除菌中」でない場合、第一の照射装置31a及び第二の照射装置31bを第二の個室R2側に回転させる(ステップS480、ステップS490:No、ステップS500)。また、制御部33は、回転させた第一の照射装置31a及び第二の照射装置31bをONにし、表示装置34に第二の個室R2は「急速除菌中」であることを示す表示を行う(ステップS510、ステップS520)。上記処理が終了すると、制御部33は、基本除菌処理S10のステップS130の処理へ移行する。
【0137】
上記処理のように、急速除菌処理S70では、第一の個室R1及び第三の個室R3がどちらも「除菌中」でない場合は、第二の個室R2に対して急速除菌を実行する(
図17を参照)。これにより、個室Rの空室率が比較的少ない(比較的混んでいる)場合に、第二の個室R2の除菌を早期に完了することができ、効率的な除菌を行うことができる。
【0138】
また、上記処理では、例えば急速除菌処理S70が開始された時点で(ステップS480)第二の個室R2が通常除菌中である場合、第一の個室R1及び第三の個室R3がどちらも「除菌中」でない場合は、第二の個室R2の除菌を通常除菌から急速除菌に切り替える。この場合は、第二の個室R2側に向いていない方の照射装置31を、第二の個室R2側に回転させる。これにより、より効率的な除菌を行うことができる。
【0139】
また、制御部33は、第一の個室R1が「除菌中」でなく、第三の個室R3が「除菌中」であると判定した場合、第一の照射装置31aを第二の個室R2側に回転させると共に、第一の照射装置31aをONにし、表示装置34に第二の個室R2は「除菌中」であることを示す表示を行う(ステップS480:No、ステップS490:Yes、ステップS530~ステップS550)。上記処理が終了すると、制御部33は、基本除菌処理S10のステップS130の処理へ移行する。
【0140】
また、制御部33は、第一の個室R1が「除菌中」であり、第三の個室R3が「除菌中」でないと判定した場合、第二の照射装置31bを第二の個室R2側に回転させると共に、第二の照射装置31bをONにし、表示装置34に第二の個室R2は「除菌中」であることを示す表示を行う(ステップS480:Yes、ステップS560:No、ステップS570、ステップS580、ステップS550)。上記処理が終了すると、制御部33は、基本除菌処理S10のステップS130の処理へ移行する。
【0141】
また、制御部33は、第一の個室R1及び第三の個室R3が「除菌中」であると判定した場合、表示装置34に第二の個室R2は「未除菌」であることを示す表示を行う(ステップS480、ステップS560:Yes、ステップS590)。上記処理が終了すると、制御部33は、基本除菌処理S10のステップS130の処理へ移行する。
【0142】
図17は、急速除菌処理S70が実行される際の第二の個室R2で行われる制御(判断結果)と各個室Rの条件との関係を示す表である。
図17に示すように、第二通常除菌処理S60が実行された場合は、第一の個室R1又は第三の個室R3が「除菌中」の場合は、「除菌中」でない方の照射装置31を使用して第二の個室R2の除菌を行う。また、第一の個室R1及び第三の個室R3がどちらも「除菌中」である場合は、第二の個室R2は、「未除菌」となる。
【0143】
上述の如き除菌システム30によれば、照射装置31の照射対象を切り替えることで、比較的少ない数の照射装置31で効率的な除菌を行うことができる。すなわち、照射装置31を間仕切り壁部26に跨るように配置し、隣接する個室Rで照射装置31を共用することで、照射装置31を比較的少なくすることができる。
【0144】
また、本実施形態のように、全ての(2つの)間仕切り壁部26に対応するように照射装置31を配置した場合は、個室Rの数より1つ少ない数の照射装置31が配置されることになる。この場合、
図10に示すように、照射装置31の照射対象を切り替えることで、全ての個室Rに通常除菌を実行可能であると共に、端部に位置する個室R(第一の個室R1、第三の個室R3)を除く中央側の個室R(第二の個室R2)に急速除菌を実行可能である。
【0145】
以上の如く、本実施形態に係る除菌システム30は、
複数の個室Rを備える所定の空間(公共トイレ1)に配置され、前記個室R内に紫外線Cを照射可能な複数の照射部(照射装置31)と、
前記照射部(照射装置31)を制御することにより、複数の除菌から一の除菌を実行可能な制御部33と、
を具備し、
前記複数の除菌には、
複数の前記個室Rのうちの少なくとも1つに、所定の第一の期間の間、第一の数の前記照射部(照射装置31)で紫外線Cを照射する第一の除菌(通常除菌)と、
複数の前記個室Rのうちの少なくとも1つに、前記第一の期間よりも短い所定の第二の期間の間、前記第一の数よりも多い第二の数の前記照射部(照射装置31)で、前記第一の除菌(通常除菌)よりも多量の紫外線Cを照射する第二の除菌(急速除菌)と、
が含まれるものである。
【0146】
このように構成することにより、必要に応じて効率的な除菌を行うことができる。すなわち、第一の除菌(通常除菌)よりも多量の紫外線Cを照射する第二の除菌(急速除菌)を実行することで、少なくとも1つの個室Rに対して効率的な除菌を行うことができる。
【0147】
また、前記制御部33は、
利用者Aにより前記個室Rが利用された後に取得される、当該個室Rに実行される除菌の期間の要求に関する除菌期間要求情報に基づいて、前記一の除菌(通常除菌)を実行する。
【0148】
このように構成することにより、個室Rの利用状況に基づいた除菌を行うことができる。
【0149】
また、前記除菌期間要求情報には、複数の前記個室Rのうち空室である個室Rの割合を示す空室率が含まれ、
前記制御部33は、
前記空室率が第一の値未満となった場合に、前記第二の除菌(急速除菌)を実行するものである。
【0150】
このように構成することにより、所定の空間(公共トイレ1)の混雑を抑制することができる。すなわち、個室Rの空室率が比較的少ない(公共トイレ1が比較的混んでいる)場合には、第二の除菌(急速除菌)を実行することで早期に個室Rを使用可能な状態にすることができる。これにより、所定の空間(公共トイレ1)の混雑を抑制することができる。
【0151】
また、前記制御部33は、
前記第二の除菌(急速除菌)とは異なる除菌を実行している状態でも、前記除菌期間要求情報の変化に応じて当該実行中の除菌に代えて前記第二の除菌(急速除菌)を実行可能であるものである。
【0152】
このように構成することにより、より効果的な除菌を行うことができる。すなわち、すでに通常除菌等が行われている場合でも、除菌期間要求情報の変化に応じて急速除菌に切り替えることで、より効果的な除菌を行うことができる。
【0153】
また、前記複数の照射部(照射装置31)のうち少なくとも一部は、前記複数の個室Rのうち互いに隣接する一方又は他方の個室R内に紫外線Cを照射するように照射対象を切り替え可能であるものである。
【0154】
このように構成することにより、照射部(照射装置31)の照射対象を切り替えることで、照射部(照射装置31)の数を比較的少なくできる。
【0155】
また、前記制御部33は、
前記照射部(照射装置31)の照射対象を切り替えることで、前記第二の除菌(急速除菌)を実行可能であるものである。
【0156】
このように構成することにより、比較的少ない数の照射部(照射装置31)により急速除菌を行うことができる。
【0157】
また、除菌システム30は、
所定の情報を表示可能な表示部(表示装置34)を具備し、
前記制御部33は、
前記照射部(照射装置31)の動作に基づいて前記個室Rの除菌に関する情報を取得すると共に、前記除菌に関する情報を前記表示部(表示装置34)に表示させるものである。
【0158】
このように構成することにより、利用者に対して所定の空間(公共トイレ1)の除菌状況を可視化することができる。
【0159】
また、除菌システム30は、
前記所定の空間は、トイレ(公共トイレ1)であるものである。
【0160】
このように構成することにより、混雑することが想定されると共に除菌が求められるトイレ(公共トイレ1)に対して、必要に応じて効率的な除菌を行うことができる。
【0161】
なお、第一実施形態に係る公共トイレ1は、本発明に係る所定の空間の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る照射装置31は、本発明に係る照射部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る通常除菌は、本発明に係る第一の除菌の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る急速除菌は、本発明に係る第二の除菌の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る間仕切り壁部26は、本発明に係る間仕切り壁の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る表示装置34は、本発明に係る表示部の実施の一形態である。
【0162】
以上、本発明の第一実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0163】
例えば、本実施形態では、
図10に示すように、2つの照射装置31を一対の間仕切り壁部26に対応する位置に配置した例を示したが、このような態様に限られない。例えば、
図18や
図26に示す別実施形態(第二、第三実施形態)のように、照射装置31を設置する位置を適宜変更してもよい。
【0164】
以下では、第二実施形態に係る除菌システム30Aについて説明する。
【0165】
図18に示す本発明の第二実施形態に係る除菌システム30Aは、一対の間仕切り壁部26に加えて、第三の個室R3側の端壁部25に対応する位置に、照射装置31を配置している。すなわち、本実施形態では、3つの照射装置31を配置している。以下では、端壁部25に対応する照射装置31を、「第三の照射装置31c」と称して説明する。
【0166】
第三の照射装置31cは、第一の照射装置31a及び第二の照射装置31bを同様な照射装置31を採用可能である。なお、第三の照射装置31cは、第一の照射装置31a等と異なり、回転不能な構成としてもよい。
【0167】
図18に示すように、除菌システム30Aは、第一の照射装置31a及び第二の照射装置31bの照射範囲を切り替えることで、各個室Rに対して通常除菌や急速除菌を実行することができる。また、除菌システム30Aは、
図18(b)に示すように、第二の個室R2だけでなく、第三の個室R3に対しても急速除菌を実行することができる。
【0168】
以下では、除菌システム30Aが実行する処理について説明する。
図19に示すように、除菌システム30Aは、「基本除菌処理S10」、「第一通常除菌処理S30A」、「第三通常除菌処理S40A」、「除菌判断処理S50」、「第二通常除菌処理S60A」、「第二急速除菌処理S70A」及び「第三急速除菌処理S80」を実行可能である。なお、「基本除菌処理S10」及び「除菌判断処理S50」は、除菌システム30で説明した処理と同様である。また、「基本照射パターン処理S20」の図示は省略している。
【0169】
「第三通常除菌処理S40A」、「第二通常除菌処理S60A」、「第二急速除菌処理S70A」及び「第三急速除菌処理S80」は、「除菌判断処理S50」での判定に伴い移行する(分岐する)処理である。
【0170】
以下では、除菌システム30Aが実行する各処理について説明する。
【0171】
まず、
図20(a)のフローチャートを用いて、第一通常除菌処理S30Aについて説明する。第一通常除菌処理S30Aは、基本除菌処理S10のステップS190から移行する処理であって、第一の個室R1に対して通常除菌を実行可能な処理である。
【0172】
第一通常除菌処理S30Aは、
図11に示す第一通常除菌処理S30のフローチャートのステップS240を、ステップS240Aに変えたものである。第一通常除菌処理S30Aは、ステップS240Aにおいて、第二の個室R2で急速除菌を実行しているか否かを判定している点を除いて、第一通常除菌処理S30と同様である。従って、第一通常除菌処理S30Aの詳細な説明は省略する。
図21(a)に示すように、第一通常除菌処理S30Aでは、第二の個室R2で急速除菌を実行している場合は、第一の個室R1は、「未除菌」となる。
【0173】
次に、
図20(b)のフローチャートを用いて、「第三通常除菌処理S40A」について説明する。第三通常除菌処理S40Aは、除菌判断処理S50のステップS300から移行する処理であって、第三の個室R3に対して通常除菌を実行可能な処理である。
【0174】
第三通常除菌処理S40Aが開始された場合において、制御部33は、第三の照射装置31cをONにし、表示装置34に第三の個室R3は「除菌中」であることを示す表示を行う(ステップS600、S610)。上記処理が終了すると、制御部33は、基本除菌処理S10のステップS130の処理へ移行する。
図21(b)に示すように、第三の個室R3は、除菌を行う際には常時通常除菌が可能である。
【0175】
次に、
図22のフローチャートを用いて、「第二通常除菌処理S60A」について説明する。第二通常除菌処理S60Aは、除菌判断処理S50のステップS300から移行する処理であって、第二の個室R2に対して通常除菌を実行可能な処理である。
【0176】
第二通常除菌処理S60Aが開始された場合において、制御部33は、第二の個室R2が第一の照射装置31aで「除菌中」であると判定した場合、第一の照射装置31aをOFFにすると共に、第一の照射装置31aを第一の個室R1側に回転させる(ステップS620:Yes、ステップS630、ステップS640)。上記処理が終了すると、制御部33は、ステップS620の処理へ移行する。
【0177】
また、制御部33は、第二の個室R2が第一の照射装置31aで「除菌中」でないと判定した場合であって、第三の個室R3が「急速除菌中」でないと判定した場合、第二の照射装置31bを第二の個室R2側に回転させる(ステップS620、ステップS650:No、ステップS660)。また、制御部33は、第二の照射装置31bをONにすると共に、表示装置34に第二の個室R2は「除菌中」であることを示す表示を行う(ステップS670、ステップS680)。上記処理が終了すると、制御部33は、基本除菌処理S10のステップS130の処理へ移行する。
【0178】
また、制御部33は、第二の個室R2が第一の照射装置31aで「除菌中」でないと判定した場合であって、第三の個室R3が「急速除菌中」であると判定した場合、表示装置34に第二の個室R2は「未除菌」であることを示す表示を行う(ステップS620:No、ステップS650:Yes、ステップS690)。上記処理が終了すると、制御部33は、基本除菌処理S10のステップS130の処理へ移行する。
【0179】
図24に示すように、第二通常除菌処理S60Aが実行された場合は、第一の個室R1が「除菌中」かつ第三の個室R3が「急速除菌中」でないときに、第二の照射装置31bで第二の個室R2の除菌を行う。
【0180】
次に、
図23のフローチャートを用いて、「第二急速除菌処理S70A」について説明する。第二急速除菌処理S70Aは、除菌判断処理S50のステップS300から移行する処理であって、第二の個室R2に対して急速除菌を実行可能な処理である。
【0181】
第二急速除菌処理S70Aは、
図16に示す急速除菌処理S70のフローチャートのステップS480、ステップS490及びステップS560を、ステップS480A、ステップS490A及びステップS560Aに変えたものである。具体的には、ステップS480Aは、ステップS480の「第一の個室R1」を「第三の個室R3」に変えたものである。また、ステップS490A及びステップS560Aは、ステップS490及びステップS560の「第三の個室R3」を「第一の個室R1」に変えたものである。第二急速除菌処理S70Aは、上記点を除いて急速除菌処理S70と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0182】
図24に示すように、第二急速除菌処理S70Aが実行された場合は、第一の個室R1が「除菌中」でなく、第三の個室R3が「急速除菌中」でないときに、第二の個室R2に対して急速除菌が可能である。
【0183】
次に、
図25のフローチャートを用いて、「第三急速除菌処理S80」について説明する。第三急速除菌処理S80は、除菌判断処理S50のステップS300から移行する処理であって、第三の個室R3に対して急速除菌を実行可能な処理である。
【0184】
第三急速除菌処理S80が開始された場合において、制御部33は、第二の個室R2が「急速除菌中」又は「除菌中」でないと判定した場合、第二の照射装置31bを第二の個室R2側に回転させる(ステップS700:No、ステップS710)。また、制御部33は、第二の照射装置31b及び第三の照射装置31cをONにすると共に、表示装置34に第三の個室R3は「急速除菌中」であることを示す表示を行う(ステップS720、ステップS730)。上記処理が終了すると、制御部33は、基本除菌処理S10のステップS130の処理へ移行する。
【0185】
また、制御部33は、第二の個室R2が「急速除菌中」又は「除菌中」であると判定した場合、第三の照射装置31cをONにすると共に、表示装置34に第三の個室R3は「除菌中」であることを示す表示を行う(ステップS740、ステップS750)。上記処理が終了すると、制御部33は、基本除菌処理S10のステップS130の処理へ移行する。
【0186】
図21(b)に示すように、第三急速除菌処理S80が実行された場合は、第二の個室R2が「除菌中」又は「急速除菌中」でないときに、急速除菌が可能である。
【0187】
上述の如き除菌システム30Aによれば、3つの照射装置31を用いることで、より効率的な除菌を行うことができる。
【0188】
また、本実施形態のように、全ての(2つの)間仕切り壁部26及び1つの端壁部25に対応するように照射装置31を配置した場合は、個室Rの数と同じ数の照射装置31が配置されることになる。この場合、照射装置31の照射対象を切り替えることで、全ての個室Rに対して同時に通常除菌を実行可能であると共に、第一の個室R1を除いて全ての個室(第二の個室R2、第三の個室R3)に急速除菌を実行可能である。
【0189】
なお、本実施形態では3つの照射装置31を配置したが、このような態様に限られない。例えば、第一の個室R1側の端壁部25に対応する位置にも照射装置31を配置し、合計4つの照射装置31を配置してもよい。この場合は、全ての個室Rに対して急速除菌を実行可能である。
【0190】
以下では、第三実施形態に係る除菌システム30Bについて説明する。
【0191】
図26に示す本発明の第三実施形態に係る除菌システム30Bは、一対の間仕切り壁部26のそれぞれに、間仕切り壁部26が区画する2つの個室Rの両側に同時に紫外線Cを照射可能に照射装置31を配置している。
【0192】
本実施形態では、後側の間仕切り壁部26に配置された照射装置31であって、第一の個室R1側に向くものを「第一の照射装置31a」、第二の個室R2側に向くものを「第二の照射装置31b」と称する。また、前側の間仕切り壁部26に配置された照射装置31であって、第二の個室R2側に向くものを「第三の照射装置31c」、第三の個室R3側に向くものを「第四の照射装置31d」と称する。すなわち、本実施形態では、4つの照射装置31を配置している。
【0193】
上記各照射装置31は、回転不能に形成されている。すなわち、本実施形態では、照射装置31による照射範囲の切り替えを行わない。なお、上記各照射装置31のうち同じ間仕切り壁部26に配置される2つの各照射装置31は、互いに一体に形成してもよい。
【0194】
以下では、除菌システム30Bが実行する処理について説明する。
図27に示すように、除菌システム30Aは、「基本除菌処理S10」、「第一、第三通常除菌処理S30B」及び「第二急速除菌処理S70B」を実行可能である。
【0195】
以下では、除菌システム30Bが実行する各処理について説明する。
【0196】
まず、
図28(a)のフローチャートを用いて、第一、第三通常除菌処理S30Bについて説明する。第一、第三通常除菌処理S30Bは、基本除菌処理S10のステップS190から移行する処理であって、第一の個室R1及び第三の個室R3に対して通常除菌を実行可能な処理である。
【0197】
第一、第三通常除菌処理S30Bが開始された場合において、制御部33は、第一の照射装置31a(又は第四の照射装置31d)をONにし、表示装置34に第一の個室R1(又は第三の個室R3)は「除菌中」であることを示す表示を行う(ステップS760、S770)。上記処理が終了すると、制御部33は、基本除菌処理S10のステップS130の処理へ移行する。
【0198】
上記処理によれば、第一の個室R1又は第三の個室R3に対して、常に通常除菌を実行することができる。
【0199】
次に、
図28(b)のフローチャートを用いて、第二急速除菌処理S70Bについて説明する。第二急速除菌処理S70Bは、基本除菌処理S10のステップS190から移行する処理であって、第二の個室R2に対して急速除菌を実行可能な処理である。
【0200】
第二急速除菌処理S70Bが開始された場合において、制御部33は、第二の照射装置31b及び第三の照射装置31cをONにし、表示装置34に第二の個室R2は「急速除菌中」であることを示す表示を行う(ステップS780、S790)。上記処理が終了すると、制御部33は、基本除菌処理S10のステップS130の処理へ移行する。
【0201】
上記処理によれば、第二の個室R2に対して、常に急速除菌を実行することができる。
【0202】
以上の如く、本実施形態に係る除菌システム30は、
前記所定の空間(公共トイレ1)は、
複数の前記個室R同士を隔てる複数の間仕切り壁(間仕切り壁部26)を具備し、
前記照射部(照射装置31)は、
一組の互いに対向する前記間仕切り壁(間仕切り壁部26)により区画された少なくとも1つの前記個室Rに対して、前記第二の数で紫外線Cを常時照射可能に配置されるものである。
【0203】
このように構成することにより、少なくとも1つの個室Rに対して、除菌を行う際には常時第二の除菌(急速除菌)を実行することができる。
【0204】
また、上記各実施形態では、通常除菌又は急速除菌を実行可能な構成を例を示したが、このような態様に限られない。例えば、
図29及び
図30に示す第四実施形態のように、更なる態様の除菌を実行するようにしてもよい。
【0205】
本実施形態では、公共トイレ1が比較的空いている(空室率が大きい)ときに、通常除菌よりも長時間紫外線Cを照射する「長時間除菌」を実行可能である。本実施形態では、長時間除菌を実行する期間を30分に設定している。
【0206】
制御部33は、長時間除菌が実行されている際に、表示装置34に「長時間除菌」を表示する。
【0207】
本実施形態では、
図29及び
図30に示す「基本除菌処理S10A」及び「長時間除菌処理S90」が実行される。
【0208】
まず、
図29のフローチャートを用いて、基本除菌処理S10Aについて説明する。基本除菌処理S10Aでは、ステップS110において、人感センサ32aが利用者Aを検知した状態から非検知の状態へ遷移していないと制御部33が判定した場合に、長時間除菌処理S90の処理へ移行する。基本除菌処理S10Aは、上記点を除いて基本除菌処理S10と同様である。
【0209】
次に、
図30のフローチャートを用いて、長時間除菌処理S90について説明する。長時間除菌処理S90は、基本除菌処理S10AのステップS110から移行する処理であって、長時間除菌を実行可能な処理である。なお、長時間除菌処理S90は、各個室Rに共通して実行される。従って、以下では制御の対象となる個室Rを「第nの個室R」と記載する。
【0210】
長時間除菌処理S90が開始された場合において、制御部33は、センサ部32の全てのセンサが非検知あり、第nの個室Rの「除菌済」の表示時間が10分を超え、空室率が70%以上であり、長時間除菌時間が30分未満であると判定した場合、第Nの照射装置31が向けられた第nの個室Rに長時間除菌を実行すると共に、第nの個室Rは「長時間除菌中」であることを示す表示を行う(ステップS800~ステップS830:Yes、ステップS840、ステップS850)。ここで、「長時間除菌時間」とは、表示装置34において「長時間除菌中」が表示される時間である。上記処理が終了すると、制御部33は、基本除菌処理S10のステップS130Aの処理へ移行する。
【0211】
また、制御部33は、ステップS830において、長時間除菌時間が30分以上であると制御部33が判定した場合、第nの個室Rは「長時間除菌中」であることを示す表示を行うと共に、第Nの照射装置31をOFFにする(ステップS830:No、ステップS860、ステップS870)。上記処理が終了すると、制御部33は、基本除菌処理S10AのステップS110の処理へ移行する。なお、例えば
図10に示す例のように、一度に全ての個室Rに除菌を行うことができない場合には、照射装置31の照射範囲を適宜変更した後に長時間除菌処理S90の処理を繰り返すことで、長時間除菌を行っていない個室Rに長時間除菌を実行するようにしてもよい。
【0212】
上記長時間除菌処理S90によれば、例えば夜間等、公共トイレ1に人がいない場合に、長時間除菌を行うことで、より効果的な除菌を行うことができる。これにより、通常除菌や急速除菌では除去し難い菌に対しても効果的な除菌を行うことができる。
【0213】
以上の如く、本実施形態に係る除菌システム30は、
前記複数の除菌には、
複数の前記個室Rのうちの少なくとも1つに、前記第一の期間よりも長い所定の第三の期間の間、前記第一の数の前記照射部(照射装置31)で紫外線Cを照射する第三の除菌(長時間除菌)が含まれ、
前記制御部33は、
前記空室率が前記第一の値より大きい第二の値以上となった場合に、前記第三の除菌(長時間除菌)を実行するものである。
【0214】
このように構成することにより、より効果的な除菌を行うことができる。すなわち、個室Rの空室率が比較的大きい(公共トイレ1が比較的空いている)場合には、第三の除菌(長時間除菌)を行うことで、より効果的な除菌を行うことができる。これにより、第一の除菌(通常除菌)や第二の除菌(急速除菌)では除去し難い菌に対しても除菌することができる。
【0215】
なお、本実施形態に係る長時間除菌は、本発明に係る第三の除菌の実施の一形態である。
【0216】
また、上記各実施形態では、照射装置31は、深紫外線を照射したが、照射装置31が照射する紫外線Cの種類は特に限定されるものではない。
【0217】
また、上記各実施形態では、通常除菌の除菌時間を60秒間としたが、このような態様に限られない。通常除菌の除菌時間としては、使用後のトイレの個室Rを効果的に除菌する観点から、種々の期間を設定可能である。
【0218】
また、上記各実施形態では、急速除菌の除菌時間を通常除菌の半分(30秒間)としたが、このような態様に限られない。急速除菌の除菌時間は、通常除菌の除菌時間よりも短い種々の期間を設定可能である。
【0219】
また、上記各実施形態では、急速除菌において、2つの照射装置31を使用する構成としたが、このような態様に限られない。例えば急速除菌において、3つ以上の照射装置31を使用してもよい。
【0220】
また、上記各実施形態では、空室率を基準として通常除菌、急速除菌及び長時間除菌の切り替えを行う構成としたが、このような態様に限られない。除菌の態様の切り替えに用いられる除菌期間要求情報としては、公共トイレ1の混雑の度合いを判定可能な種々の情報を採用可能である。
【0221】
また、上記各実施形態では、個室群20の個室Rの数を3つとしたが、このような態様に限られない。個室群20の個室Rの数は、2つでもよく、4つ以上でもよい。
【0222】
また、上記各実施形態では、センサ部32が備える4つのセンサ(人感センサ32a、施錠センサ32b、開閉センサ32c及び近接センサ32d)の全てを用いて、除菌システム30、30A、30Bの各処理(例えば基本除菌処理S10)を実行する構成としたが、このような態様に限られない。
【0223】
例えば、上記各実施形態では、基本除菌処理S10等で、個室Rに対する「使用中」の表示の判断(ステップS130)に、施錠センサ32b及び開閉センサ32cの両方を用いているが、どちらか一方を用いてもよい。すなわち、施錠センサ32b及び開閉センサ32cの一方と、人感センサ32aと、近接センサ32dと、の3つのセンサを用いて各処理を実行するようにしてもよい。
【0224】
また、例えば、施錠センサ32bや開閉センサ32cに代えて、人感センサ32aを用いて「使用中」の表示の判断を行うようにしてもよい。この場合は、人感センサ32aと、近接センサ32dと、の2つのセンサを用いて各処理を実行するようにしてもよい。
【0225】
また、例えば、上記各実施形態では、基本除菌処理S10等で、人感センサ32a及び近接センサ32dを用いて、利用者の有無を判断しているが(ステップS110、ステップS120、ステップS150及びステップS170)、近接センサ32dを用いずに、人感センサ32aのみで利用者の有無を判断してもよい。この場合は、施錠センサ32b及び開閉センサ32cの一方と、人感センサ32aと、の2つのセンサを用いて各処理を実行するようにしてもよい。
【0226】
また、例えば、人感センサ32aのみで、「使用中」の表示の判断及び利用者の有無を判断を行うようにしてもよい。すなわち、人感センサ32aのみで各処理を実行するようにしてもよい。
【0227】
また、上記各実施形態では、所定の空間を公共トイレ1としたが、このような態様に限られない。所定の空間としては、例えば、上部(欄間)が開放されて各個室同士が連通した会議室や飲食店、自習室等の半密閉個室(ブース)を備える種々の空間を採用可能である。
【符号の説明】
【0228】
30 除菌システム
31 照射装置
32 センサ部
33 制御部
34 表示部