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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186343
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】ワイパ制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/08 20060101AFI20221208BHJP
   H02P 7/06 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
B60S1/08 D
H02P7/06 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094509
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】古越 洋行
【テーマコード(参考)】
3D225
5H571
【Fターム(参考)】
3D225AA01
3D225AC01
3D225AD02
3D225AD09
3D225AG21
5H571AA03
5H571CC04
5H571EE01
5H571FF06
5H571HA09
5H571LL50
(57)【要約】
【課題】電源から電力が供給されなかった際に、ワイパモータの回転を静止状態に制御できるようになったワイパ制御装置を提供する。
【解決手段】車両のイグニッションスイッチ130がオン状態の時に、バッテリ150に電気的に接続された複数の半導体スイッチ111、112、121、122を制御することで、ワイパ50に連結されるワイパモータ30の回転を制御する制御部91と、イグニッションスイッチのオン状態とオフ状態を検知する検知部92と、検知部がイグニッションスイッチのオフ状態を検知した際に、複数の半導体スイッチを制御してワイパモータの回転を静止させるワイパモータブレーキ部93と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のイグニッションスイッチ(130)がオン状態の時に、バッテリ(150)に電気的に接続された複数の半導体スイッチ(111、112、121、122)を制御することで、ワイパ(50)に連結されるワイパモータ(30)の回転を制御する制御部(91)と、
前記イグニッションスイッチのオン状態とオフ状態を検知する検知部(92)と、
前記検知部が前記イグニッションスイッチのオフ状態を検知した際に、複数の前記半導体スイッチを制御して前記ワイパモータの回転を静止させるワイパモータブレーキ部(93)と、を有するワイパ制御装置。
【請求項2】
前記イグニッションスイッチがオフ状態の間、前記ワイパモータブレーキ部が継続的に作動する請求項1に記載のワイパ制御装置。
【請求項3】
前記イグニッションスイッチがオン状態からオフ状態になってから所定時間が経過するまでの間、前記ワイパモータブレーキ部が継続的に作動する請求項1に記載のワイパ制御装置。
【請求項4】
前記検知部は前記イグニッションスイッチのオン状態とオフ状態を検知する機能の他に、前記車両に設けられた物理量センサ(140)から出力されるセンサ信号を検知する機能を有し、
前記検知部が前記センサ信号を検知した際に、前記ワイパモータブレーキ部が作動する請求項3に記載のワイパ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の開示は、ワイパに回転力を作用させるワイパモータを制御するワイパ制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ワイパモータに回転力を作用させる駆動回路を制御するワイパECUが記載されている。駆動回路は複数のスイッチング素子を有している。電源から電力が供給されている間、ワイパECUはスイッチング素子のオン状態とオフ状態を切り替えてワイパモータの回転を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6528398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワイパECUに電力が供給されなくなると、スイッチング素子が常時オフ状態になり、ワイパモータの回転を制御できなくなる。ワイパモータの回転を静止状態に制御できなくなる。
【0005】
そこで本開示の目的は、電源から電力が供給されなかった際に、ワイパモータの回転を静止状態に制御できるようになったワイパ制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によるワイパ制御装置は、
車両のイグニッションスイッチ(130)がオン状態の時に、バッテリ(150)に電気的に接続された複数の半導体スイッチ(111、112、121、122)を制御することで、ワイパ(50)に連結されるワイパモータ(30)の回転を制御する制御部(91)と、
イグニッションスイッチのオン状態とオフ状態を検知する検知部(92)と、
検知部がイグニッションスイッチのオフ状態を検知した際に、複数の半導体スイッチを制御してワイパモータの回転を静止させるワイパモータブレーキ部(93)と、を有する。
【0007】
これによれば、バッテリ(150)から電力が供給されなかった際に、ワイパモータ(30)の回転を静止状態に制御できるようになっている。
【0008】
なお、上記の括弧内の参照番号は、後述の実施形態に記載の構成との対応関係を示すものに過ぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ワイパ装置の構成を説明する模式図である、
図2】ワイパ装置の電気的構成を説明する模式図である。
図3】演算部の演算処理を説明するフローチャートである。
図4】ワイパ装置の電気的構成の変形例を説明する模式図である。
図5】演算部の演算処理の変形例を説明するフローチャートである。
図6】演算部の演算処理の変形例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。
【0011】
また、各実施形態で組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士、実施形態と変形例、および、変形例同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、本実施の形態に係るワイパ装置20の構成を示す模式図である。ワイパ装置20は、一例として車両10のウインドシールド11の助手席側と運転席側それぞれに設けられている。以下においては、助手席側と運転席側それぞれに設けられたワイパ装置を区別せずワイパ装置20として説明する。
【0013】
図1に示すようにワイパ装置20は、ワイパモータ30、減速機構40、ワイパアーム51、ワイパブレード52を有する。以下、説明を簡便とするために、適宜、ワイパアーム51とワイパブレード52を併せてワイパ50と示す。
【0014】
ワイパモータ30は、ワイパ50を正逆回転方向に往復動作させるためのブラシ付きのDCモータである。バッテリ150から電力が供給されることでワイパモータ30は正転もしくは逆転可能になっている。なお、図面においてはバッテリ150を「BATT」と略記して示している。
【0015】
なお、正転方向とは車室側から見た時の時計周り方向に相当する。逆転方向とは車室側から見た時の半時計周り方向に相当する。またワイパモータ30はブラシ付きのDCモータに限定されない。ワイパモータ30はブラシレスのDCモータであってもよい。その場合、後述するドライブ回路100に含まれるスイッチング素子の数が増大する。
【0016】
図1に示すようにワイパモータ30と減速機構40がウインドシールド11の重力方向の下方に設けられている。減速機構40の出力軸41にワイパアーム51の一端が正逆回転方向に回動可能に連結されている。ワイパアーム51の他端にワイパブレード52の中央が連結されている。
【0017】
減速機構40は例えばウォームギアで構成されている。減速機構40によってワイパモータ30の正逆回転が減速される。上記したように減速機構40の出力軸41にワイパアーム51の一端が回動可能に連結されている。そのためにワイパアーム51が出力軸41の回転速度に合わせて、第1ポジションP1と第2ポジションP2との間を往復動作するようになっている。
【0018】
またワイパ装置20は図1に示した構成要素の他に、図2に示す、回転検出装置60、ワイパ制御装置70、および、ワイパコントロールスイッチ80を有する。なお、図2では減速機構40の記載は省略している。なお、図面においては、回転検出装置60を「RDD」と略記して示している。ワイパコントロールスイッチ80を「WCS」と略記して示している。
【0019】
ワイパモータ30には、ワイパモータ30の回転速度や回転角度などを制御するためのワイパ制御装置70が電気的に接続されている。ワイパ制御装置70はワイパモータ30を駆動させるドライブ回路100とドライブ回路100を制御する制御回路90を有する。
【0020】
制御回路90にはイグニッションスイッチ130を介してバッテリ150から電力が供給されている。さらに制御回路90には、ワイパ50の払拭モードを選択するワイパコントロールスイッチ80と、ワイパモータ30の回転角度を検知する回転検出装置60が電気的に接続されている。図面においてはイグニッションスイッチ130を「IG」と略記して示している。
【0021】
なお、イグニッションスイッチ130には図示しないがアクセサリスイッチが含まれている。またこれまでに説明した回転検出装置60、ワイパコントロールスイッチ80、および、イグニッションスイッチ130は制御回路90に配線で接続されていなくてもよい。これらは制御回路90にLIN(Local Interconnect Network)通信やCAN(Controller Area Network)通信によって接続されていてもよい。
【0022】
制御回路90は回転検出装置60からの信号に基づいて、ウインドシールド11上のワイパブレード52の位置を算出する。そして、算出した位置に応じて出力軸41の回転角度と回転速度を変化させるように、制御回路90がドライブ回路100を制御する。
【0023】
ドライブ回路100はスイッチング素子としてNチャネル型の4つのMOSFETを有する。ドライブ回路100はワイパモータ30を駆動させるための電圧を、制御回路90の信号に基づいてPWM(Pulse Width Modulation)制御している。
【0024】
なおドライブ回路100に備えられるスイッチング素子はMOSFETに限定されない。ドライブ回路100に備えられるスイッチング素子はトランジスタやインテリジェントパワーデバイスなどであってもよい。
【0025】
<ドライブ回路の構成>
図2に示すようにドライブ回路100はバッテリ150の正極に第1配線21を介して接続されている。ドライブ回路100はバッテリ150の負極に第2配線22を介して接続されている。バッテリ150の負極は図2に示すようにグランドに設置されている。
【0026】
ドライブ回路100は第1配線21と第2配線22に並列接続された第1レグ110と第2レグ120を有している。
【0027】
第1レグ110に上記した4つのMOSFETのうちの2つが含まれている。以下説明を簡便とするために第1レグ110に含まれる2つのMOSFETを第1スイッチ111と第2スイッチ112と示す。第1スイッチ111と第2スイッチ112が第3配線23を介して第1配線21から第2配線22に向かって直列接続されている。
【0028】
また第1スイッチ111のドレイン電極に第1ダイオード111aのカソード電極が接続されている。第1スイッチ111のソース電極に第1ダイオード111aのアノード電極が接続されている。これにより第1スイッチ111に第1ダイオード111aが逆並列接続されている。
【0029】
第2スイッチ112のドレイン電極に第2ダイオード112aのカソード電極が接続されている。第2スイッチ112のソース電極に第2ダイオード112aのアノード電極が接続されている。これにより第2スイッチ112に第2ダイオード112aが逆並列接続されている。
【0030】
同様にして第2レグ120に上記した4つのMOSFETのうちの残りの2つが含まれている。以下説明を簡便とするために第2レグ120に含まれる2つのMOSFETを第3スイッチ121と第4スイッチ122と示す。第3スイッチ121と第4スイッチ122が第4配線24を介して第1配線21から第2配線22に向かって直列接続されている。
【0031】
また第3スイッチ121のドレイン電極に第3ダイオード121aのカソード電極が接続されている。第3スイッチ121のソース電極に第3ダイオード121aのアノード電極が接続されている。これにより第3スイッチ121に第3ダイオード121aが逆並列接続されている。
【0032】
第4スイッチ122のドレイン電極に第4ダイオード122aのカソード電極が接続されている。第4スイッチ122のソース電極に第4ダイオード122aのアノード電極が接続されている。これにより第4スイッチ122に第4ダイオード122aが逆並列接続されている。
【0033】
第1ダイオード111a~第4ダイオード122aそれぞれは、第1スイッチ111~第4スイッチ122それぞれの寄生ダイオード(ボディダイオード)であってもよく、寄生ダイオードとは別に設けたものであってもよい。
【0034】
上記したようにワイパモータ30はワイパ50を正逆回転方向に往復動作させるためのDCモータである。ワイパモータ30の備える2つの端子のうちの1つが第1スイッチ111のソース電極と第2スイッチ112のドレイン電極に第5配線25を介して電気的に接続されている。ワイパモータ30の備える2つの端子のうちの残りの1つが第3スイッチ121のソース電極と第4スイッチ122のドレイン電極に第6配線26を介して電気的に接続されている。なお、第1スイッチ111~第4スイッチ122は半導体スイッチに相当する。
【0035】
<制御回路の構成>
図2に示すように制御回路90は演算部90aと記憶部90bを有する。演算部90aは機能として制御部91と検知部92とモータブレーキ部93とタイマ94を有する。以下、説明を簡便とするために適宜、制御部91と検知部92とモータブレーキ部93とタイマ94を区別せず機能部と示す。各機能部の詳細については後で説明する。
【0036】
なお、図面においては制御部91を「CTR」と示す。検知部92を「DTC」と示す。モータブレーキ部93を「MB」と示す。タイマ94を「TM」と示す。記憶部90bを「MM」と示す。なお、モータブレーキ部93はワイパモータブレーキ部に相当する。
【0037】
記憶部90bはコンピュータやプロセッサによって読み取り可能なプログラムを非一時的に記憶する非遷移的実体的記憶媒体である。記憶部90bに演算部90aの処理結果が記憶される。演算部90aは適宜記憶部90bに記憶された情報に基づいて各種演算処理を行っている。
【0038】
制御部91はワイパコントロールスイッチ80や回転検出装置60の信号に基づいて、ドライブ回路100の駆動を制御する機能を有している。
【0039】
検知部92はイグニッションスイッチ130がオンかオフかを検知する機能を有している。
【0040】
モータブレーキ部93はワイパモータ30の回転を静止させる機能を有している。
【0041】
タイマ94は予め設定された所定時間までカウントを行う機能を有している。
【0042】
所定時間とは例えば、ワイパ50を調整するのにかかる時間以上、かつ、バッテリ150上がりの生じない時間未満に設定されている。ワイパ50の調整とは、例えばワイパブレード52の交換や、ウインドシールド11を拭く際や降雪時のためのワイパアーム51の持ち上げ動作などに相当する。なお、所定時間はワイパ50を調整するのにかかる時間未満に設定されていてもよい。
【0043】
<制御部とドライブ回路>
次に、上記した構成において、イグニッションスイッチ130がオンとなっている状態において、ワイパコントロールスイッチ80から制御部91にワイパ作動信号が入力された時の、ドライブ回路100に流れる電流とワイパ50の作動状況について説明する。
【0044】
制御部91にワイパ作動信号が入力されると、制御部91から第1スイッチ111と第4スイッチ122それぞれのゲート電極に電圧が印加される。第1スイッチ111と第4スイッチ122それぞれがオンとなる。
【0045】
それに伴い、ワイパモータ30に第5配線25から第6配線26に向かって流れる第1電流が流れる。第1電流とは車室側から見てワイパ50を時計周りに動作させる電流である。言い換えれば、第1電流とは第1ポジションP1から第2ポジションP2に向かって正方向に回転移動させる電流である。
【0046】
ワイパ50が第2ポジションP2に到達したこと、すなわち、回転角度が最大かつ回転速度が0になったことを回転検出装置60が検知すると、制御部91から第1スイッチ111と第4スイッチ122それぞれのゲート電極への電圧の印加が停止される。そして、制御部91から第2スイッチ112と第3スイッチ121それぞれのゲート電極へ電圧が印加される。第2スイッチ112と第3スイッチ121それぞれがオンとなる。
【0047】
それに伴い、ワイパモータ30に第6配線26から第5配線25に向かって流れる第2電流が流れる。第2電流とは車室側から見てワイパ50を半時計周りに動作させる電流である。言い換えれば、第2電流とは第2ポジションP2から第1ポジションP1に向かって逆方向に回転移動させる電流である。
【0048】
これを繰り返すことでワイパ50が第1ポジションP1と第2ポジションP2間を連続して往復動作できるようになっている。
【0049】
次に、イグニッションスイッチ130がオンとなっている状態において、ワイパコントロールスイッチ80から制御部91にワイパ作動信号が入力されていない時の、ドライブ回路100に流れる電流とワイパ50の作動状況について説明する。
【0050】
その場合、制御部91から第2スイッチ112と第4スイッチ122それぞれのゲート電極に電圧が印加される。第2スイッチ112と第4スイッチ122それぞれがオンとなる。
【0051】
それに伴い、第2スイッチ112、第4スイッチ122、ワイパモータ30、第3配線23の一部、第4配線24の一部、第5配線25、および、第6配線26によって閉ループが形成される。
【0052】
また上記したように第3配線23と第4配線24はバッテリ150の負極に接続されている。バッテリ150の負極はグランドに設置されている。そのためにワイパモータ30の備える2つの端子が短絡するようになる。これに伴い、ワイパモータ30の回転が静止されるようになっている。
【0053】
次に、イグニッションスイッチ130がオンからオフになった状態において、ワイパコントロールスイッチ80から制御部91にワイパ作動信号が入力されていない時の、ドライブ回路100に流れる電流とワイパ50の作動状況について説明する。
【0054】
図3に演算部90aの演算処理のフローチャートを示す。演算部90aは図3に示す演算処理を例えば1ms毎に繰り返し行っている。以下にフローチャートをステップ毎に説明する。その際、演算部90aの備える各機能部の機能を明確にするために適宜、具体的の機能部の名称を使って演算部90aの演算処理のフローチャートを説明する。なお、各機能部の名称を演算部90aと置き換えることも可能である。
【0055】
まずステップS210に示す検知処理が開始される。ステップS210でイグニッションスイッチ130がオンからオフになったか否かを検知部92が検知する。
【0056】
ステップS210で、イグニッションスイッチ130がオンからオフになったことを検知部92が検知すると、ステップS220でタイマ94がカウントし始めると同時にステップS230でモータブレーキ部93が作動するようになる。
【0057】
ステップS230では、モータブレーキ部93から第2スイッチ112と第4スイッチ122それぞれのゲート電極に電圧が印加される。第2スイッチ112と第4スイッチ122それぞれがオンとなる。
【0058】
それに伴い、第2スイッチ112、第4スイッチ122、ワイパモータ30、第3配線23の一部、第4配線24の一部、第5配線25、および、第6配線26によって閉ループが形成される。そのために上記したようにワイパモータ30の備える2つの端子が短絡するようになり、ワイパモータ30の回転が静止するようになっている。
【0059】
次にステップS240で、カウント開始から所定時間経過したかどうかをタイマ94が判定する。
【0060】
ステップS240でカウントを開始してから所定時間経過していないとタイマ94が判定した場合、モータブレーキ部93の作動状態を保ったまま再度スタートへ戻り、ステップS210へ進む。
【0061】
なお、カウント開始時間は記憶部90bに記憶されており、タイマ94は記憶部90bの記憶情報に基づいて所定時間経過しているか否かを判定している。カウント開始時間はタイマ94自身に記憶されていてもよい。
【0062】
ステップS240からステップS210に戻った場合、ステップS210でイグニッションスイッチ130のオンからオフへの変遷を検知部92は検知しない。そのためにステップS210からステップS260へ進む。
【0063】
ステップS260では、イグニッションスイッチ130がオフ状態になっているか否かを検知部92が検知する。
【0064】
ステップS260でイグニッションスイッチ130がオフ状態になっていることを検知部92が検知した場合、ステップS260からステップS240へ進む。
【0065】
ステップS240でカウントを開始してから所定時間経過していないとタイマ94が判定した場合には、上記したフローを繰り返し行うようになっている。すなわちイグニッションスイッチ130がオフ状態でタイマ94に設定された所定時間の間、モータブレーキ部93が継続的に作動するようになっている。
【0066】
一方、ステップS240でカウント開始してから所定時間経過しているとタイマ94が判定した場合には、ステップS250へ進む。
【0067】
ステップS250ではモータブレーキ部93が停止する。それに伴ってモータブレーキ部93から第2スイッチ112と第4スイッチ122それぞれのゲート電極に電圧が印加されなくなる。第2スイッチ112と第4スイッチ122それぞれがオフとなり、ワイパモータ30の回転が静止されなくなる。ワイパモータ30にブレーキが利かなくなる。
【0068】
なお、モータブレーキ部93が作動しなくなると、演算部90aが低消費電流モードに切り替わる。低消費電流モードとは、モータブレーキ部93が作動していた時に演算部90aで消費する電流よりも少ない電流を演算部90aで消費するモードのことである。
【0069】
また、ステップS260でイグニッションスイッチ130がオン状態になっていることを検知部92検知した場合には、ステップS260からステップS270へ進む。
【0070】
その場合ステップS270で、モータブレーキ部93が停止すると同時に制御部91が作動するようになる。ワイパ作動信号の有無に応じてワイパモータ30の回転が制御部91によって制御されるようになる。
【0071】
なお、本実施形態ではワイパ制御装置70をワイパ50に限定して適用している。ワイパ制御装置70を例えばパワーウィンドウに適用した場合、ワイパ50に適用した場合とはモータブレーキの目的が異なるために以下に示すような不都合が生じる。
【0072】
パワーウィンドウはイグニッションスイッチ130のオフ時においては、外力の有無に関わらずモータブレーキ部93によって常にパワーウィンドウを確実に静止させておく必要がある。そのために上記したように所定時間の間パワーウィンドウにモータブレーキ部93を適用した場合においては、パワーウィンドウを常に確実に静止させておくことができなくなっている。そのためにワイパ制御装置70は特にワイパ50に限定して使用される。
【0073】
<作用効果>
これまでに説明したように、イグニッションスイッチ130がオフ状態でタイマ94に設定された所定時間の間、モータブレーキ部93が継続的に作動するようになっている。これによって所定時間の間、ワイパモータ30の回転が静止される。
【0074】
そのために、所定時間の間、ワイパアーム51が外力によって正逆方向に動くことが抑制される。例えば所定時間の間にワイパブレード52を交換するためにワイパアーム51に触れたとしても、ワイパアーム51が正逆方向に動かなくなっている。そのためにワイパブレード52交換時にワイパアーム51の位置ずれが抑制されるようになっている。
【0075】
これまでに説明したように所定時間が経過した後、モータブレーキ部93が作動停止し、演算部90aが低消費電流モードに切り替わる。そのために長時間車両を使用しない場合でもバッテリ150が上がりにくくなっている。
【0076】
(第1の変形例)
本実施形態では検知部92がイグニッションスイッチ130のオン状態とオフ状態を検知する機能を有する例を説明した。しかしながら検知部92がイグニッションスイッチ130のオン状態とオフ状態を検知する機能の他に、物理量センサ140からの出力されるセンサ信号を検知する機能を有していてもよい。
【0077】
その場合、図4に示すように制御回路90に物理量センサ140が電気的に接続されていてもよい。物理量センサ140として例えば、人が近付いたことを認識する人感センサや、車両10の周囲を撮影する車載カメラやドライブレコーダーなどがある。
【0078】
さらに物理量センサ140にワイパサービスポジションモードがオン状態になっているかオフ状態になっているかを判別する判別センサが含まれていてもよい。ワイパサービスポジションモードとは、降雪時に雪の重みでワイパ50が変形しないようにワイパ50を第2ポジションP2で停止させるモードのことである。なお、図面においては物理量センサ140を「CS」と略記して示している。
【0079】
本変形例においては、図3に示す演算部90aの演算処理に加えに、図5に示すステップS241~ステップS245の演算処理が行われる。以下、ステップS241~ステップS245の演算処理を具体的に説明する。なお、ステップS241~ステップS245を除く他のステップについては本実施形態と同様であるために説明を省略する。
【0080】
本変形例において、ステップS240ではカウントを開始してから第1所定時間経過したか否かをタイマ94が判定する。カウントを開始してから第1所定時間経過したことをタイマ94が判定した場合に、ステップS241へ進む。
【0081】
ステップS241では、物理量センサ140からセンサ信号が出力されているか否かを検知部92が検知する。ステップS241で物理量センサ140からセンサ信号が出力されていることを検知部92が検知すると、ステップS242に進む。
【0082】
ステップS242では、記憶部90bに記憶されたカウント情報がクリアされる。
【0083】
ステップS242でカウント情報がクリアされると、ステップS243でタイマ94が再びカウントし始めると同時に、ステップS244でモータブレーキ部93の作動を継続させる。
【0084】
ステップS245では再びカウントを開始してから第2所定時間経過したか否かをタイマ94が判定する。
【0085】
ステップS245で再びカウントを開始してから第2所定時間経過していないとタイマ94が判定した場合に、第2所定時間が経過するまでモータブレーキ部93が継続的に作動するようになっている。
【0086】
ステップS245で再びカウントを開始してから第2所定時間経過しているとタイマ94が判定した場合には、ステップS250へ進む。
【0087】
またステップS241で物理量センサ140からセンサ信号が出力されていないことを検知部92が検知すると、ステップS241からステップS250へ進む。
【0088】
なお、第1所定時間の長さと第2所定時間の長さは同じであっても、異なっていてもどちらでもよい。
【0089】
このように本変形例では上記の演算処理を行うために、イグニッションスイッチ130がオフになってから第1所定時間以上経過しても、検知部92がセンサ信号を検知した場合にモータブレーキ部93を第2所定時間作動し続けることが可能になっている。
【0090】
これによれば、イグニッションスイッチ130がオフになっている間、効率的にモータブレーキ部93を作動させることが可能になっている。バッテリ150上がりを抑制しつつ、ワイパアーム51の位置ずれを抑制することができるようになっている。
【0091】
(第2の変形例)
これまでに演算部90aにタイマ94もしくは物理量センサ140のどちらかが含まれる構成について説明したが、演算部90aにタイマ94と物理量センサ140の両方が含まれていない構成であってもよい。
【0092】
その場合、図6に示すようにステップS210でイグニッションスイッチ130がオンからオフになったことを検知部92が検知すると、ステップS230でモータブレーキ部93が作動するようになる。
【0093】
そしてモータブレーキ部93の作動状態を保ったまま再度スタートへ戻り、ステップS210へ進む。
【0094】
その場合、ステップS210でイグニッションスイッチ130のオンからオフへの変遷を検知部92は検知しない。そのためにステップS210からステップS260へ進む。
【0095】
ステップS260でイグニッションスイッチ130がオフ状態になっていることを検知部92が検知した場合、図6のようにモータブレーキ部93の作動を継続させる。本変形例においてはこの演算処理をステップS260でイグニッションスイッチ130がオン状態になっていることを検知部92が検知しない限り繰り返し行う。
【0096】
そのためにモータブレーキ部93はイグニッションスイッチ130がオフの間継続的に作動し続ける。イグニッションスイッチ130がオフになっている間、継続的にワイパアーム51の位置ずれの抑制ができるようになっている。
【0097】
(その他の変形例)
本実施例ではモータブレーキ部93から第2スイッチ112と第4スイッチ122のゲート電極に電圧が印加される例を説明したが、モータブレーキ部93から第1スイッチ111と第3スイッチ121それぞれのゲート電極に電圧が印加されていてもよい。その場合についてもワイパモータ30の備える2つの端子が短絡し、ワイパモータ30の回転が静止するようになっている。
【0098】
本実施形態では第1電流を車室側から見てワイパ50を時計周りに動作させる電流とし、第2電流を車室側から見てワイパ50を半時計周りに動作させる電流とした。しかしながら第1電流が車室側から見てワイパ50を半時計周りに動作させる電流であって、第2電流が車室側から見てワイパ50を時計周りに動作させる電流であってもよい。
【0099】
本実施形態では、制御部91、検知部92、モータブレーキ部93、および、タイマ94がそれぞれ異なる機能を有する形態について説明した。しかしながら1つの機能部が自身とは異なる他の機能部の機能を有していてもよい。例えば、制御部91が制御部91とモータブレーキ部93の機能の両方を有していてもよい。またこれらの機能が各機能部に備えられていなくてもよい。各機能が演算部90aに備えられていればよい。
【0100】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態が本開示に示されているが、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範ちゅうや思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0101】
30…ワイパモータ、50…ワイパ、91…制御部、92…検知部、93…モータブレーキ部、111…第1スイッチ、112…第2スイッチ、121…第3スイッチ、122…第4スイッチ、130…イグニッションスイッチ、140…物理量センサ、150…バッテリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6