(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186344
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】電気コネクタ・ユニット
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6582 20110101AFI20221208BHJP
【FI】
H01R13/6582
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094510
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 健
(72)【発明者】
【氏名】沈 中桓
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FB10
5E021FB30
5E021FC21
5E021LA09
5E021LA15
5E021LA21
(57)【要約】
【課題】ケーブルおよびケーブルに接続された端子を電気的に遮蔽するための、より好適な電磁シールドの構成を備えた電気コネクタ・ユニットを提供すること。
【解決手段】コネクタおよび該コネクタに接続されるケーブルを有して成る電気コネクタ・ユニットであって、前記ケーブルが、複数の内部ケーブルから構成される内部ケーブル束、ケーブル・シールド、ならびに、該内部ケーブル束および該ケーブル・シールドを包囲する絶縁性の被覆部材を備え、前記コネクタが、筐体ハウジング、および該筐体ハウジング内に設けられるコネクタ・シールドを備えており、前記ケーブル・シールドの一部であって該ケーブル・シールドから延出する線状シールドが、前記コネクタ・シールドに取り付けられる、電気コネクタ・ユニットが提供される。
【選択図】
図7A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタおよび該コネクタに接続されるケーブルを有して成る電気コネクタ・ユニットであって、
前記ケーブルが、複数の内部ケーブルから構成される内部ケーブル束、ケーブル・シールド、ならびに、該内部ケーブル束および該ケーブル・シールドを包囲する絶縁性の被覆部材を備え、
前記コネクタが、筐体ハウジング、および該筐体ハウジング内に設けられるコネクタ・シールドを備えており、
前記ケーブル・シールドの一部であって該ケーブル・シールドから延出する線状シールドが、前記コネクタ・シールドに取り付けられる、電気コネクタ・ユニット。
【請求項2】
前記ケーブル・シールドは編組であって、前記線状シールドが、該編組を成す導電性のストランドまたはファイバーの端部を束ねることで構成される、請求項1に記載の電気コネクタ・ユニット。
【請求項3】
前記線状シールドが、前記被覆部材の表面上に位置付けられず、前記ケーブル・シールドの端部と前記コネクタ・シールドとの間をブリッジする、請求項1または2に記載の電気コネクタ・ユニット。
【請求項4】
前記コネクタ・シールドから突出するシールド・アームに対して前記線状シールドが取り付けられる、請求項1~3のいずれかに記載の電気コネクタ・ユニット。
【請求項5】
前記コネクタ・シールドがバレル部を有し、該バレル部に前記線状シールドが圧着される、請求項1~4のいずれかに記載の電気コネクタ・ユニット。
【請求項6】
デバイスに設けられるデバイス・コネクタを更に有し、
前記コネクタと前記デバイス・コネクタとが互いに組み合わされると、前記コネクタ・シールドが前記デバイス・コネクタの導電性ハウジングに電気的に接続される、請求項1~5のいずれかに記載の電気コネクタ・ユニット。
【請求項7】
前記組み合わされた状態では、前記線状シールドを介して前記ケーブル・シールドと前記コネクタ・シールドと前記導電性ハウジングとが互いに電気的に接続されている、請求項6に記載の電気コネクタ・ユニット。
【請求項8】
前記コネクタ・シールドが板バネ部を備え、前記組み合わされた状態において該板バネ部が前記導電性ハウジングと接する、請求項6または7に記載の電気コネクタ・ユニット。
【請求項9】
前記デバイス・コネクタが、モータ・デバイスに設けられるモータ側コネクタである、請求項6~8のいずれかに記載の電気コネクタ・ユニット。
【請求項10】
前記コネクタが、前記筐体ハウジング内に設けられ、前記ケーブルと電気的に接続する端子を備えた内部ハウジングを更に有し、
前記コネクタ・シールドが、前記内部ハウジングに対して取り付けられている、請求項1~9のいずれかに記載の電気コネクタ・ユニット。
【請求項11】
前記デバイス・コネクタが、前記導電性ハウジング内に絶縁性ハウジングをさらに有し、
前記内部ハウジングおよび前記絶縁性ハウジングが、前記導電性ハウジングおよび前記コネクタ・シールドによって包囲される、請求項6~9のいずれかに記載の電気コネクタ・ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電気コネクタ・ユニットに関する。特に、本開示は、電気的に接続されるケーブルを有する電気コネクタ・ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、多芯ケーブルを電気装置へ接続するための、多極のL型コネクタが開示されている。
【0003】
かかるコネクタでは、電気装置へ送達される信号による電磁波の外部への放射、または外部からの電磁波の侵入を抑制するため、コネクタに取り付けられたケーブルと、コネクタに設けられた端子とを電気的に遮蔽する電磁シールド構造が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、従来のコネクタの電磁シールドの構造に克服すべき課題があることに気づき、そのための対策をとる必要性を見出した。具体的には、以下の課題があることを見出した。
【0006】
例えば、特許文献1に記載のコネクタでは、内部ケーブルの外周側を包囲する外部導体と、内部に端子を備えるコネクタ・ハウジングに設けられたシールド部材とが電気的に接続される。接続に際して、外部導体の外周を覆う絶縁皮膜の端部を除去して外部導体の端部を全体的に外側へ折り返し、折り返された部分に銅テープを巻き付けることで、ケーブルの端末処理が為される。つまり、かかる端末処理では、折り返された外部導体が絶縁皮膜上に直接的に位置付けられている。このような端末処理部分に対してシールド部材を圧着または押圧することによって、外部導体とシールド部材とが電気的に接続される。
【0007】
しかしながら、かかるコネクタに用いられるケーブルの絶縁皮膜は、一般的に、温度上昇に伴って収縮する熱収縮性の材料から形成されるため、ケーブルの外径は電気装置の作動・運転に伴う発熱によって減じられる場合がある。したがって、上述のようにケーブルの外周を圧着または押圧することによって為される接続では、電気装置からの発熱によるケーブルの外径の減寸によって接触不良が発生し得、電磁シールドの機能が損なわれる懸念がある。
【0008】
本開示は、かかる課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本開示の主たる目的は、ケーブルおよびケーブルに接続された端子を電気的に遮蔽するための、より好適な電磁シールドの構成を備えた電気コネクタ・ユニットを供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本開示では、コネクタおよび該コネクタに接続されるケーブルを有して成る電気コネクタ・ユニットであって、前記ケーブルが、複数の内部ケーブルから構成される内部ケーブル束、ケーブル・シールド、ならびに、該内部ケーブル束および該ケーブル・シールドを包囲する絶縁性の被覆部材を備え、前記コネクタが、筐体ハウジング、および該筐体ハウジング内に設けられるコネクタ・シールドを備えており、前記ケーブル・シールドの一部であって該ケーブル・シールドから引き出された線状シールドが、前記コネクタ・シールドに取り付けられる、電気コネクタ・ユニットが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る電気コネクタ・ユニットは、ケーブルおよびケーブルに接続された端子を電気的に遮蔽するための、より好適な電磁シールドの構成を実現する。
【0011】
より具体的には、本開示の電気コネクタ・ユニットでは、ケーブルに設けられたケーブル・シールドから引き出された線状シールドを、コネクタの筐体ハウジング内に備えられたコネクタ・シールドに取り付けることで、電磁シールドを構成し得る。したがって、ケーブル・シールドとコネクタ・シールドとの接続はケーブルの外径に直接的に関与せず実施されており、ケーブルの外径寸法の変化に起因する接続不良の発生がより好適に防止され得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る電気コネクタ・ユニットを模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本開示の一実施形態に係るケーブルを模式的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、本開示の一実施形態に係る電気コネクタ・ユニットを模式的に示す分解斜視図である。
【
図4】
図4は、本開示の一実施形態に係る電気コネクタ・ユニットのコネクタ・シールドと線状ケーブルとが接続された状態を模式的に示す斜視図である。
【
図5A】
図5Aは、本開示の一実施形態に係る電気コネクタ・ユニットのコネクタ・シールドおよび線状ケーブルの接続前の状態を模式的に示す斜視図である。
【
図5B】
図5Bは、本開示の一実施形態に係る電気コネクタ・ユニットのコネクタ・シールドと線状ケーブルとが接続された状態を模式的に示す斜視図である。
【
図6】
図6は、本開示の一実施形態に係る電気コネクタ・ユニットのコネクタ・シールドと線状ケーブルとが接続された状態を模式的に示す斜視図である。
【
図7A】
図7Aは、本開示の一実施形態に係るコネクタとデバイス・コネクタとの嵌合前における電磁シールドの構成を模式的に示す斜視図である。
【
図7B】
図7Bは、本開示の一実施形態に係るコネクタとデバイス・コネクタとの嵌合後における電磁シールドの構成を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、図面を参照して本開示の一実施形態に係る電気コネクタ・ユニットをより詳細に説明する。図面における各種の要素は、本開示の説明のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観や寸法比などは実物と異なり得る。
【0014】
さらに、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語を用いる。しかしながら、これらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、これらの用語の意味によって本開示の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面の同一符号の部分は、同一または同等の部分を指す。
【0015】
また、本開示の例示態様の説明は、添付の図面(記載された説明全体の一部とみなされる図面)に関連して読まれることを意図している。本願明細書で開示される本開示の態様に関する説明において、方向または向きに関する言及は、単に説明の便宜上であり、本開示の範囲を限定することは意図されていない。「下方」、「上方」、「水平」、「垂直」、「上」、「下」、「頂」、「底」などの相対的な用語、ならびに、その派生用語、「水平に」、「下方に」、「上方に」などは、記載された如くまたは図示される如くの方向に言及すると解されるべきである。かかる相対的な用語は説明の便宜のためのみであり、特に明示的な説明がされない限り、特定の方向に装置が構成または操作されていることを要するものではない。また、「取り付けられた」、「付加された」、「接続された」、「結合された」および「相互接続された」などの用語、ならびに、同様の用語は、別途で明示的に説明されない限り、介在物によって構造物同士が互いに直接的または間接的に固定または取り付けられている関係や、双方が可動もしくは剛性の取り付けまたはその関係であることを述べている。さらに、本開示の特徴または利益は、好ましい態様を参照することによって例示されている。このような態様は十分に詳細に説明されており、当業者が本開示を実施できるようになっている。また、他の態様も利用することができ、プロセス、電気的もしくは機械的な変更が本開示の範囲を逸脱せずに可能であることを理解されたい。したがって、本開示は、考えられる特徴の非制限的な組合せを例示する好ましい態様(単独または他の特徴と組み合わされた態様)に明示的に限定されない。
【0016】
本開示の特徴は、電気コネクタ・ユニットにおける電磁シールドの構造に関係する。ただし、ここでは、電気コネクタ・ユニットの全体の把握のため、図面を参照して、以下に電気コネクタ・ユニットの概要を説明する。
【0017】
図1は、本開示の一実施形態に係る電気コネクタ・ユニット1000を模式的に示す斜視図である。電気コネクタ・ユニット1000は、主たる構成要素として、コネクタ100と、コネクタ100に接続されるケーブル200とを備える。また、電気コネクタ・ユニット1000は、デバイスに設けられるデバイス・コネクタ300をさらに有して成る。デバイス・コネクタ300は、デバイス(図示せず)上に設置され、コネクタ100と互いに組み合わされるように構成される。
【0018】
以下の説明においては、コネクタ100とデバイス・コネクタ300との組み合わせ方向を「上下方向」とし、その上下方向における下方位置に配置されたデバイス・コネクタ300の上方位置にコネクタ100が配置される。
【0019】
なお、本開示における「ユニット」は、複数の構成要素を有して成る複合品または組合せ品などに相当する。したがって、本開示の電気コネクタ・ユニット1000は、ケーブル200と、ケーブル200の端部に取り付けられたコネクタ100と、コネクタ100と互いに組み合わされるデバイス・コネクタ300とを少なくとも有して成る電気コネクタ複合品または電気コネクタ組合せ品に相当し得る。
【0020】
図2に、本開示の一実施形態に係るケーブル200の断面図を模式的に示す。ケーブル200は、複数の内部ケーブル230から構成される内部ケーブル束240、ケーブル・シールド220、ならびに内部ケーブル束240およびケーブル・シールド220を包囲する絶縁性の被覆部材210(または被覆材)を備える。図示されるように、複数の内部ケーブル230の各々は、純銅線または錫めっき銅線などの導線231の外周を絶縁性の内部ケーブル皮膜232によって被覆されることで形成され得る。複数の内部ケーブル230は内部ケーブル束240を構成し、内部ケーブル束240の外周は導電性のケーブル・シールド220によって包囲される。被覆部材210はケーブル・シールド220の外周を覆い、ケーブル200の外周を規定する。かかる被覆部材210は、ケーブル・ジャケットとも称され得る。
【0021】
被覆部材210は絶縁性の材料によって形成され、ケーブルの配策における優位性を重視すると、可撓性の絶縁性材料であることが好ましい。例えば、被覆部材210は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン、フルオロポリマー、ポリエチレンおよび/またはそれらと同種のものといったポリマーなどから形成されてよい。
【0022】
また、
図3において、本開示の一実施形態に係る電気コネクタ・ユニット1000の分解斜視図を模式的に示す。コネクタは、主として筐体ハウジング110、ならびに筐体ハウジング110内に設けられるコネクタ・シールド120を備える。また、本開示のコネクタは、内部ケーブルと電気的に接続する端子を収容する内部ハウジング130をさらに備えてよい。本開示のコネクタにおいて、筐体ハウジング110はコネクタの外側を規定するハウジングであり、内部ハウジング130は筐体ハウジング110内に配置される。したがって、筐体ハウジング110および内部ハウジング130は、相対的な配置関係から、それぞれアウタ・ハウジングおよびインナ・ハウジングとも称され得る。
【0023】
筐体ハウジング110は略箱状の形状を有する絶縁性の部材であり、デバイス・コネクタ300側に開口領域112を有し得る。また、筐体ハウジング110の少なくとも1つの側面には、ケーブル200が貫通可能な挿通口111が形成されていてよい。本開示の電気コネクタ・ユニット1000において、コネクタ100と組み合わされたケーブル200は、挿通口111を通って筐体ハウジング110から外部に延出する(
図1参照)。挿通口111は、筐体ハウジング110の外側に向かって筒状に突出した形状を有していてよい。また、挿通口111の外周には、スクリュー・キャップ170と螺合させるための螺子が切られ、スクリュー・キャップ170を締めることで挿通口111とケーブル200との隙間が封止されてよい。さらに、挿通口111とケーブル200との間をより確実に止水するため、スクリュー・キャップ170と筒状突出部312との間には、シール材150および/またはクランプ160が用いられてよい。筐体ハウジング110に挿通されたケーブル200の一方の端部は、筐体ハウジング110内に収容される。このケーブル200の端部から所定長さの内部ケーブル束が筐体ハウジング110の開口領域112に向かって延びており、内部ケーブル束の先端は端子(図示せず)と電気的に接続される。すなわち、筐体ハウジング110の側面から挿通されたケーブル200は、ケーブル200の端部から下方向に向かって延びる所定長さの内部ケーブル束を有する。
【0024】
図示されていないものの、筐体ハウジング110内に挿通された内部ケーブル束に接続された端子は、内部ハウジング130に収容されてよい。内部ハウジング130は、絶縁性の材料(例えば、樹脂など)から形成され得、後述するデバイス・コネクタ300の導電性ハウジング310と組み合わされるように構成される。さらに、内部ハウジング130は、内部ケーブルに接続された端子を支持するように構成されている。デバイス・コネクタ300がコネクタと組み合わされた状態において、内部ハウジング130内の端子の各々は、デバイス・コネクタ300に備えられた端子の各々と電気的に接続される。
【0025】
本開示の一実施形態において、デバイス・コネクタ300は、デバイスに設けられるコネクタである。本開示のデバイス・コネクタは、各種電子デバイス、例えば産業機械または産業用ロボットに用いられるモータなどのデバイスに適用され得る。
図3に示すように、デバイス・コネクタ300は、主たる構成要素として、導電性ハウジング310と、導電性ハウジング310内に設置される絶縁性ハウジング320とを備える。導電性ハウジング310は、デバイスの筐体(図示せず)の表面に設置される基部311と、筐体ハウジング110の開口領域112と組み合わされるように構成された筒状突出部312とを有する。また、本開示のデバイス・コネクタ300は、導電性ハウジング310が接地するように構成されている。例えば、導電性ハウジング310の基部311がデバイスの筐体の表面と電気的に接続するように配置されることで接地が図れる。また、筒状突出部312は、基部311から上方向に向かって突出するように形成される。筐体ハウジング110の開口領域112と筒状突出部312とを組み合わせることで、内部ケーブルの先端の端子と、絶縁性ハウジング320に収容された端子とが互いに電気的に接続される。より詳細には、筐体ハウジング110の開口領域112が筒状突出部312を包囲するように筐体ハウジング110と導電性ハウジング310とを組み合わせることによって、コネクタ100がデバイス・コネクタ300に装着される。
【0026】
本開示において、導電性ハウジングは導電性材料から形成される。特に限定されないものの、導電性ハウジングは、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属、もしくは導電性のめっきを表面に施された樹脂などによって形成されてよい。特に、生産性および寸法精度に優れることを重視すると、本開示の導電性ハウジングは、アルミニウム・ダイキャストなどのダイキャストで形成されることが好ましい。
【0027】
また、本開示の一実施形態において、デバイス・コネクタ300は、止水のためのパッキンを有してよい。パッキンは、例えば、コネクタ100と組み合わされる筒状突出部312の外周、および/または基部311とデバイスとの接合箇所に設けられ得る。これにより、コネクタ100、デバイス・コネクタ300、およびデバイスの組合せ箇所に生じ得る隙間が埋められ、内部ケーブルおよび端子などの電気的要素が適切に防水され得る。
【0028】
また、本開示の一実施形態において、コネクタとデバイス・コネクタ300との組付け状態を維持するため、ロック・レバー140が用いられてよい。
図3に示されるように、ロック・レバー140は略U字形状を有し、筐体ハウジング110において挿通口111と対向する方向から側面に組み合わされるように構成されてよい。ロック・レバー140は、両端にアーム部141を有し、各アーム部141の端部には係止部142を有する。筐体ハウジング110は、ロック・レバー140の両端と接合する側面の各々において、ロック・レバー140の係止部142を受けるように構成された被係止部を有する。また、デバイス・コネクタ300の導電性ハウジング310は、基部311から上方向に向かって突出し、ロック・レバー140のアーム部141と係合するように形成された一対の突出部313を有してよい。各突出部313の先端には、筒状突出部312に向かって突出した引っ掛け部313aが設けられてよい。コネクタとデバイス・コネクタ300とが組付けられた状態において、ロック・レバー140のアーム部141は、導電性ハウジング310の突出部313と筒状突出部312との間を通るように挿入され、引っ掛け部313aがアーム部141に引っ掛けられる。さらに、アーム部141の係止部142が筐体ハウジング110の被係止部と係合されることで、コネクタ100およびデバイス・コネクタ300が嵌合した状態でロックされる。
【0029】
本開示において、筐体ハウジング110、内部ハウジング130、絶縁性ハウジング320、ロック・レバー140などの絶縁性の部材は、絶縁性の非導電性材料から形成されてよい。これらの絶縁性の部材は、絶縁性を有する樹脂材を含み得る。特に限定されないものの、かかる絶縁性の部材は、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、および不飽和ポリエステル樹脂から成る群から選択される少なくとも1種の熱硬化性樹脂を含み得る。また、互いに異なる部材は、それぞれ異なる樹脂材を含んで成ってもよい。
【0030】
本開示の電気コネクタ・ユニットは、ケーブルと、ケーブルに接続された端子とを電気的に遮蔽するためのシールド構造に特徴を有する。特に、本開示の電気コネクタ・ユニットは、ケーブルの被覆部材に直接的に関与しないシールドの構成において特徴を有する。以下に、本開示の電気コネクタ・ユニットにおけるシールド構造について説明する。
【0031】
本開示の一実施形態の電気コネクタ・ユニット1000において、コネクタ・シールド120は、内部ケーブルの先端に接続される端子のためのシールド要素として機能するように設置される。さらに、コネクタ・シールド120は、ケーブル200の端部から延びる内部ケーブル、およびその先端に接続される端子に対してシールド性を確保するためにも用いられ得る。一実施形態では、コネクタ・シールド120は、ケーブル200の端部から延びる内部ケーブルおよび端子を上から覆うように形成され得る。
【0032】
また、本開示の一実施形態において、コネクタ・シールド120は、内部ケーブルの先端に接続される端子が収容された内部ハウジング130に対して取り付けられ得る。より具体的には、コネクタ・シールド120は、内部ハウジング130内の端子に接続される内部ケーブルを覆うように、内部ハウジング130の上面に配置され得る(
図7A参照)。また、内部ハウジング130の外側側面には、コネクタ・シールド120を固定するための突起131が形成されてよい。さらに、コネクタ・シールドは、かかる突起131に引っ掛けられるように構成されてよい。図示されるように、コネクタ・シールドは内部コネクタの側面に沿うように下方に折れ曲がって延び、その先端に突起131と係合される係合部124を有する。この構造によってコネクタ・シールド120が内部ハウジング130の突起131に保持されることで、コネクタ・シールド120と内部ハウジング130の上面との間に内部ケーブルが挿通するための空間が形成され得る。
【0033】
図4は、本開示の電気コネクタ・ユニットにおけるコネクタ・シールド120と線状ケーブル221とが互いに接続された状態を模式的に示す斜視図である。図示されるように、本開示のケーブル200において、ケーブル・シールド220は、ケーブル・シールド220からコネクタ100に向かって延出する線状シールド221を有して成る。線状シールド221はケーブル200の一方の端部から外側に延びていてよく、線状シールド221の少なくとも一部が絶縁性の被覆部材210の外部に露出していてよい。一実施形態においては、ケーブル・シールド220の一部であって、ケーブル・シールドから延出する線状シールドが、コネクタ・シールドに取り付けられてよい。つまり、ケーブル200の端部から延びる線状シールド221は、筐体ハウジング110内のコネクタ・シールド120に取り付けられる。すなわち、本開示の電気コネクタ・ユニット1000において、ケーブル・シールド220は、コネクタ・ユニットに向かって被覆部材210の外部に延出する線状シールド221によって、コネクタ・シールド120と接続される。上述の構造によって、ケーブル200の外径に直接的に関与することなく、ケーブル・シールド220とコネクタ・シールド120との接続を実施することが可能となり得る。そのため、ケーブルの外径寸法の変化に起因する接続不良の発生がより好適に防止され得る。さらに、上述の構造では、ケーブル・コネクタとコネクタ・シールド120との間に介在する、銅箔または圧着端子などの別の部材を用いることなく、ケーブル・コネクタとコネクタ・シールド120とを導通させることが可能となる。したがって、本開示の電気コネクタ・ユニットでは、ケーブルおよびコネクタにおけるシールド要素同士の接続に際してさらなる接続用部材を必要としない、より好適な電磁シールドの構成が達成され得る。
【0034】
さらに、本開示の一実施形態に係る電気コネクタ・ユニットにおいて、線状シールド221は、ケーブル・シールド220とコネクタ・シールド120とを架橋するように形成され得る。換言すれば、線状シールド221は、被覆部材210の表面上に位置付けられず、ケーブル・シールド220の端部とコネクタ・シールド120との間をブリッジし得る。より具体的には、線状シールド221は、被覆部材210の外表面上に位置付けられることなく、ケーブル・シールド220とコネクタ・シールド120とを電気的に導通させる。これは、本開示の電気コネクタ・ユニットでは、線状シールド221を用いることによって、ケーブルの外径に直接的に関与しないケーブル・シールド220とコネクタ・シールド120との接続を達成し得ることを意味する。したがって、本開示の電気コネクタ・ユニットでは、ケーブルの外径寸法の変化に影響されることのない、より好適な電磁シールドの構成が実現される。
【0035】
上述の説明からわかるように、本開示における「線状シールド」とは、ケーブル・シールド220の端部から延びる細長い形状のシールド部材であることを意味する。したがって、本開示の線状シールドは、例えば長尺状シールド部材、またはストリップ線状シールド部材に相当し得る。また、本開示における「線状」とは、平面視において、直線状に限らず曲線状の形態を有するものであってよく、その太さは必ずしも一定でなくてよい。さらに、線状シールドは単線に限らず、複数のシールド要素から成る束、撚り線、編み線、または捻じり線などによって構成されてもよい。また、本開示において、線状シールドは、絶縁性材料(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンなどの樹脂部材)による被覆を必ずしも必要としない。
【0036】
本開示の電気コネクタ・ユニットにおいて、ケーブル・シールド220は、内部ケーブル束を電気的に遮蔽するため、導電性材料から形成される。ケーブル・シールド220に用いられる導電性材料は、狭い空間に配置された機器などへの配索における優位性から、柔軟性を有する導電性材料であることが好ましい。特に、本開示の一実施形態に係るケーブル・シールド220は、耐久性および可撓性に優れた複数の導電性ストランドまたはファイバーなどの導電性素線から形成された編組であることが好ましい。特に限定されないものの、本開示のケーブル・シールドに用いられる編組は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などの導電性に優れた材料によって形成されてよい。また、材料表面には、酸化や錆の発生を防止するため、スズめっき、ニッケルめっきまたは銀めっきなどの導電性めっき層が形成されていてよい。
【0037】
ケーブル・シールド220が編組である場合、線状シールド221は、編組を成す導電性のストランドまたはファイバーの端部を束ねることで構成され得る。換言すれば、線状シールド221は、ケーブル・シールド220の端部において、編組を成す導電性素線の少なくとも一部を撚り合わせることによって形成された撚り線であってよい。すなわち、編組を構成する導電性素線をほぐし、一部を取り出して纏めることで線状シールドが形成され得る。代替的には、ケーブル・シールド220は、編組を構成する導電性素線の一部が延出するように構成されてよく、かかる一部の導電性素線をケーブル200の端部から引き出すことによって、線状シールド221が設けられてよい。さらには、線状シールド221は、編組を成す導電性素線の少なくとも一部から成る非撚り線で構成されてよい。上述のように、ケーブル・シールド220として編組を用いることで、より容易に線状シールドを形成することが可能となり得る。さらに、線状シールド221は、被覆部材210内のケーブル・シールド220である編組からより外側へと延出される形態を有するため、コネクタ・シールド120との接続は、ケーブルの外周に直接的に位置付けられず、ケーブルの外径寸法に関与しない。したがって、本開示の電気コネクタ・ユニットは、ケーブルの外径寸法の変化に影響されることのない、より好適な電磁シールドを構成することが可能であり得る。
【0038】
上述の説明から分かるように、本開示の線状シールド221は、ケーブル・シールド220の少なくとも一部がケーブル200の端部から延出し、コネクタ・シールド120と互いに接続されるように構成され得る。したがって、本開示において、ケーブル・シールド220と線状シールド221とは一体的に構成されてよい。これは、線状シールド221がケーブル・シールド220とは別個に構成されるのではなく、ケーブル・シールド220の少なくとも一部から構成され得る、ということを意味する。このような観点でいえば、本開示に用いられるケーブルは、ケーブル・シールドとは別個のドレイン部材が設けられていない、ドレイン部材非設置型のケーブルであると捉えることも可能である。以上のことから、本開示の電気コネクタ・ユニットでは、ケーブル・シールドとコネクタ・シールドとの接続に際してさらなる部材を必ずしも必要としない、より好適な電磁シールドの構成が達成され得る。
【0039】
また、本開示の電気コネクタ・ユニットにおいて用いられるコネクタ・シールド120は、金属または軟磁性体の導電性材料、またはめっき加工などによって表面に導電性を有する材料によって形成されてよい。限定されないものの、コネクタ・シールド120は導電性の板状部材から形成され得、例えば金属薄板を打ち抜き加工および/または曲げ加工することによって形成されてよい。
【0040】
図5Aに、本開示の一実施形態に係る電気コネクタ・ユニットのコネクタ・シールド120および線状ケーブルの接続前の状態を模式的に示す。また、
図5Bは、電気コネクタ・ユニットのコネクタ・シールド120と線状ケーブル221とが互いに接続された状態を模式的に示す斜視図である。さらに、
図6には、ケーブル・シールド220として編組を用いた場合における電磁シールドの構成が模式的に示されている。
図5Aに示すように、コネクタ・シールド120は、ケーブル200の挿通方向に向かって突出するように設けられたシールド・アーム121を有してよい。さらに、
図5Bおよび
図6に示すように、本開示の一実施形態において、線状シールド221は、コネクタ・シールド120から突出するシールド・アーム121に対して取り付けられてよい。すなわち、シールド・アーム121は、筐体ハウジング110に挿入されたケーブル200の端部に向かって延び、線状シールド221と接続される。これは、シールド・アーム121および線状シールド221が、ケーブル・シールド220とコネクタ・シールド120との間をブリッジし得ることを意味する。シールド・アーム121が形成されることによって、線状シールド221をより短縮することが可能となる。したがって、この構造によって線状シールドの耐久性がより向上し、より好適な電磁シールドを構成することが可能となり得る。
【0041】
また、
図5Aおよび
図6に示すように、本開示の一実施形態に係る電気コネクタ・ユニットに用いられるコネクタ・シールド120は、バレル部122を有し得る。この実施形態において、線状シールド221は、バレル部122において圧着されてよい。より具体的には、コネクタ・シールド120の線状シールド221との接続部分に形成される導電性のバレル部122は、板部122aと、板部122aを挟むように形成された一対の圧着片122bとを一体的に有する。線状シールド221は、一対の圧着片122bの間に収容されるように、板部122aと重ね合わせられる。次いで、バレル部122の外周に圧力を加えることで、圧着片122bは線状シールド221を包み込むように屈曲され、加締められる。これにより、線状シールド221は板部122aに押し付けられるように圧着接続され、コネクタ・シールド120とケーブル・シールド220との間の導通性が確保される。上述の構造は、圧着という簡易な操作によって線状シールド221とコネクタ・シールド120との接続を可能とするため、電気コネクタ・ユニットを製造する際の作業効率が向上され得る。さらに、バレル部122を用いることで、線状シールド221は導電性部材で外周を覆われるように圧着され、ケーブル・シールド220とコネクタ・シールド120とをより確実に接続し得る、より好適な電磁シールドが構成され得る。
【0042】
さらに、本開示の一実施形態において、バレル部122はシールド・アーム121の端部に設けられてよい。より具体的には、
図5Aに示すように、シールド・アーム121は、端部において、シールド・アーム121の幅方向の両外側にそれぞれ延出するように設けられた一対の圧着片122bを有し得る。この構造において、線状シールド221はシールド・アーム121に重ね合わされ、シールド・アーム121の端部に設けられた圧着片122bを加締めることで圧着接合される。なお、線状シールド221とシールド・アーム121との接続は、シールド・アーム121の上面または下面のいずれにおいても為され得る。ただし、コネクタの省スペース化の観点から、シールド・アーム121の下面において接続されることがより好ましい。このような構造において、バレル部122は、圧着片122bが斜め下方を向くように設けられたオープン・バレル型のものであり得る。しかしながら、バレル部は必ずしもオープン・バレル型の形態である必要はなく、クローズ・バレル型のバレル部が設けられてもよい。
【0043】
さらに、本開示の電気コネクタ・ユニットにおいて、コネクタ・シールド120、シールド・アーム121またはバレル部122と線状シールド221との接続態様は、圧着に限定されない。接続に際しては、例えばはんだ付け、溶着、または複数の固定態様の組合せなど、導通性が確保される他の固定態様が用いられてよい。
【0044】
図7Aおよび
図7Bは、本開示の一実施形態に係るコネクタとデバイス・コネクタ300との嵌合前(
図7A)および嵌合後(
図7B)における電磁シールドの構成を模式的に示す斜視図である。本開示の一実施形態において、コネクタがデバイス・コネクタ300と互いに組み合わされると、コネクタ・シールド120は、デバイス・コネクタ300の導電性ハウジング310に電気的に接続される。すなわち、コネクタとデバイス・コネクタ300とが組み合わされた状態において、コネクタ・シールド120は、導電性ハウジング310と接触するように形成されることによって導通される。さらに、既述のとおり、導電性ハウジング310はデバイスと電気的に接続し、接地するように構成されている。そのため、コネクタ・シールド120と導電性ハウジング310とが電気的に接続されることで、コネクタ・シールド120の接地が為される。したがって、コネクタとデバイス・コネクタとを組み合わせる操作によって、コネクタ・シールド120と導電性ハウジング310とが電気的に導通され、コネクタ内の端子のシールド性が確保され得る。例えば、コネクタ・シールド120は、嵌合状態において、導電性ハウジング310の筒状突出部312と接触するように形成されてよい。この構造により、電気コネクタ・ユニットとデバイス・コネクタとの嵌合操作でより容易にシールドを構成できる、より好適な電磁シールドの構成が実現され得る。
【0045】
さらに、
図7Aに示されるように、コネクタ・シールド120は、板バネ部123をさらに備えてよい。板バネ部123は、コネクタとデバイス・コネクタ300とが組み合わされた状態において、導電性ハウジング310と接するように構成されてよい。より具体的には、コネクタ・シールド120は、図示されるように、下方に折れ曲がって延びる板バネを有し得る。板バネ部123は、コネクタとデバイス・コネクタとを組み合わせるに際して、導電性ハウジング310の筒状突出部312と絶縁性ハウジング320との間に挿入されるように構成されてよい。板バネ部123が筒状突出部312の内側と弾性接触することによって、コネクタ・シールド120と導電性ハウジング310とが互いに電気的に接続される。上述のように、弾性を有する板バネ部123が導電性ハウジング310および絶縁性ハウジング320によって挟み込まれることで、板バネ部123と導電性ハウジング310とのより確実な接続が可能となり、より好適な電磁シールドの構成が供され得る。
【0046】
また、本開示の一実施形態に係る電気コネクタ・ユニットでは、コネクタとデバイス・コネクタ300との組合せに際して、コネクタの端子とデバイス・コネクタ300の端子とが電気的に接続されるより前に、コネクタ・シールド120と導電性ハウジング310とが接触するように形成されてよい。例えば、導電性ハウジング310の筒状突出部312には、端子の接続より前にコネクタ・シールド120と導通するように、隆起部312aが設けられていてよい。代替的には、コネクタ・ユニットの板バネ部123は、端子の接続より前に導電性ハウジング310と導通するように構成されていてよい。この構造により、端子が導通する前にシールド要素が接地され、静電気放電の発生をより好適に抑制することが可能となり得る。
【0047】
また、本開示の一実施形態において、コネクタ・シールド120および導電性ハウジング310は、コネクタとデバイス・コネクタ300との嵌合状態において、コネクタの内部ハウジング130を実質的に包囲するように形成されてよい。換言すれば、コネクタとデバイス・コネクタ300とを組み合わせることによって、内部ハウジング130および絶縁性ハウジング320内の端子が、コネクタ・シールド120および導電性ハウジング310によってシールドされるように構成されてよい。これは、コネクタおよびデバイス・コネクタ300の端子は、コネクタ・シールド120および導電性ハウジング310によって形成されたシールド空間内に収容され得ることを意味する。上述の構造によって、本開示の電気コネクタ・ユニットは、コネクタとデバイス・コネクタとの嵌合状態におけるより好適な電磁シールドの構成を実現し得る。
【0048】
上述の構成により、
図7Bに示すように、本開示のコネクタとデバイス・コネクタ300とが組み合わされた状態において、本開示のケーブル・シールド220は線状シールド221およびコネクタ・シールド120を介して導電性ハウジング310に電気的に接続される。すなわち、コネクタおよびデバイス・コネクタ300の嵌合状態において、ケーブル・シールド220、コネクタ・シールド120、および導電性ハウジング310が互いに導通される。これは、本開示のコネクタ、ケーブルおよびデバイス・コネクタに備えられるシールド要素が、嵌合状態において、導電性ハウジングを介して適切に接地され得ることを意味する。したがって、本開示の電気コネクタ・ユニットは、上述の構造によって、ケーブルおよびコネクタ内の端子を適切にシールドし得る、より好適な電磁シールドの構成を供し得る。
【0049】
また、本開示の一実施形態において、デバイス・コネクタは、モータ・デバイスに設けられるモータ側コネクタであってよい。例えば、本開示の電気コネクタ・ユニットは、産業用機械または産業用ロボットなどのモータ・デバイスに適用されてよい。本開示の一実施形態において、かかるモータ・デバイスに適用される電気コネクタ・ユニットは、デバイスを駆動または制動する電源電圧を供給するための内部ケーブル、およびデバイスに搭載されたセンサなどの装置からの信号を送達するための内部ケーブルを備えた、電源・信号の複合電気コネクタ・ユニットであってよい。
【0050】
このような電源・信号の複合電気コネクタ・ユニットにおいては、信号の送達のための端子および電源電圧の供給のための端子が隣り合って配置され得、デバイスの作動に際して端子間の相互干渉が存在し得る。そのため、本開示の電気コネクタ・ユニットにおける上述の電磁シールドの構成を用いて、端子間および各端子に接続される内部ケーブル束を適切に仕切ることにより、相互干渉が低減または除去され得る。すなわち、本開示の電磁シールドの構成は、例えば電源用の内部ケーブル束および端子と、信号用の内部ケーブル束および端子のそれぞれを電気的に遮蔽するように設けられてよい(
図7B参照)。また、電磁シールドの構成は、電源用または信号用のいずれか一方の内部ケーブル束および端子を電気的に遮蔽するように設けられてもよく、例えば信号送達に関する端子および内部ケーブル束のみに電磁シールドが適用されてよい。なお、本開示の一実施形態に係る電気コネクタ・ユニットでは、電源用内部ケーブル束および信号用内部ケーブル束の各々がケーブル・シールド220および被覆部材210を備えたケーブル200を構成し、筐体ハウジング110に設けられた2つの挿通口111から別個に挿入されてよい(
図1参照)。また、さらなる実施形態においては、電源用ケーブルと信号用ケーブルとを束ねた複合ケーブルを構成し、かかる複合ケーブルが筐体ハウジング110に挿通されてもよい。
【0051】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、上記構成を組み合わせるなど、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本開示の電磁シールド構成を備えた電気コネクタ・ユニットは、電気的接続を要する各種技術分野で好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1000 電気コネクタ・ユニット
100 コネクタ
110 筐体ハウジング
111 挿通口
112 開口領域
120 コネクタ・シールド
121 シールド・アーム
122 バレル部
122a 板部
122b 圧着片
123 板バネ部
124 係合部
130 内部ハウジング
131 突起
140 ロック・レバー
141 アーム部
142 係止部
150 シール材
160 クランプ
170 スクリュー・キャップ
200 ケーブル
210 被覆部材
220 ケーブル・シールド
221 線状シールド
230 内部ケーブル
231 導線
232 内部ケーブル皮膜
240 内部ケーブル束
300 デバイス・コネクタ
310 導電性ハウジング
311 基部
312 筒状突出部
312a 隆起部
313 突出部
313a 引っ掛け部
400 絶縁性ハウジング