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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186389
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】情報処理システム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/045 20060101AFI20221208BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20221208BHJP
   A61B 6/14 20060101ALI20221208BHJP
   A61B 1/24 20060101ALI20221208BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20221208BHJP
   G16H 30/20 20180101ALI20221208BHJP
   A61C 19/04 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
A61B1/045 620
A61B6/00 370
A61B6/14 300
A61B6/00 360Z
A61B1/24
A61B1/045 614
A61B1/045 622
G06T7/00 612
G16H30/20
A61C19/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094576
(22)【出願日】2021-06-04
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細田 翔平
【テーマコード(参考)】
4C052
4C093
4C161
5L096
5L099
【Fターム(参考)】
4C052NN02
4C052NN03
4C052NN04
4C052NN15
4C052NN16
4C093AA01
4C093AA26
4C093CA15
4C093DA05
4C093EE01
4C093FA42
4C093FF21
4C093FF32
4C093FF35
4C093FG13
4C093FH03
4C093FH08
4C161AA08
4C161BB02
4C161BB08
4C161WW04
5L096BA06
5L096BA13
5L096CA04
5L096CA27
5L096DA02
5L096FA67
5L096FA69
5L096HA11
5L099AA26
(57)【要約】
【課題】 異なる方法で撮影された可視光画像とX線画像とを関連付けて管理すること。
【解決手段】 データの送受信が可能な情報処理手段と、前記情報処理手段を介して入力される口腔内の可視光画像およびX線画像それぞれに写る歯の歯式番号および撮影方向を推定する推定手段と、を有し、前記情報処理手段は、前記可視光画像および前記X線画像それぞれに対して、前記歯式番号および前記撮影方向をメタデータとして付与し、前記メタデータを用いて、前記可視光画像および前記X線画像を関連付けて管理する。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データの送受信が可能な情報処理手段と、
前記情報処理手段を介して入力される口腔内の可視光画像およびX線画像それぞれに写る歯の歯式番号および撮影方向を推定する推定手段と、を有し、
前記情報処理手段は、前記可視光画像および前記X線画像それぞれに対して、前記歯式番号および前記撮影方向をメタデータとして付与し、前記メタデータを用いて、前記可視光画像および前記X線画像を関連付けて管理することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記情報処理手段は、前記歯式番号が一致する前記可視光画像および前記X線画像を関連付けることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記情報処理手段は、前記撮影方向が一致する前記可視光画像および前記X線画像を関連付けることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
患者の情報を入力する入力手段を更に有し、
前記情報処理手段は、前記可視光画像および前記X線画像に、更に前記患者の情報および撮影日を前記メタデータとして付与し、患者ごとに前記可視光画像および前記X線画像を管理することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記情報処理手段は、更に、前記可視光画像および前記X線画像に、前記可視光画像および前記X線画像の撮影日および前記入力手段により入力された歯の状態に関する情報をメタデータとして付与し、管理することを特徴とする請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記関連付けて管理された前記可視光画像、前記X線画像および前記メタデータを表示する表示手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記表示手段に表示された前記可視光画像に、関連付けられた前記X線画像に対応する領域を示す枠を重畳表示することを特徴とする請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記情報処理手段と前記推定手段とが、それぞれ別の装置により構成されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記情報処理手段と前記推定手段とが、同じ装置に構成されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項10】
口腔内の可視光画像を撮影する第1の撮影手段と、
口腔内のX線画像を撮影する第2の撮影手段と、を更に含み、
前記情報処理手段は、前記第1の撮影手段及び前記第2の撮影手段から、可視光画像およびX線画像を取得することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項11】
入力手段が、口腔内の可視光画像およびX線画像を入力する入力工程と、
推定手段が、前記可視光画像および前記X線画像それぞれに写る歯の歯式番号および撮影方向を推定する推定工程と、
情報処理手段が、前記可視光画像および前記X線画像それぞれに対して、前記歯式番号および前記撮影方向をメタデータとして付与し、前記メタデータを用いて、前記可視光画像および前記X線画像を関連付けて管理する管理工程と
を有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項12】
コンピュータに、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の情報処理システムの各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のプログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム及び情報処理方法に関し、特に歯科診察における可視光画像とX線画像を関連付ける技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
歯科診察においては、複数の異なる撮影機器(デジタルカメラ、X線撮影装置等)で様々な角度から口腔内の写真(画像)を撮影し、撮影した画像を利用して、治療方針の決定や経過観察が行われる。特許文献1には、複数の画像から特徴量を抽出し、画像合成により高画質な画像を生成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-84982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された従来技術では、画像が1対1で関連付けられることを前提としている。
しかし、歯科診察において、デジタルカメラにより撮影される可視光画像は、5枚法と呼ばれる「上・下・左・右・正面」の5方向から撮影する方法が一般的である。また、X線撮影装置により撮影されるX線画像は、10枚法と呼ばれる10方向から撮影する方法が主流となっている。このように、可視光画像とX線画像では分割数が異なるケースが多く、特許文献1に開示された従来技術では画像同士の紐付けが困難である。
【0005】
本発明は上記問題点を鑑みてなされたものであり、異なる方法で撮影された可視光画像とX線画像とを関連付けて管理できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のデータの情報処理システムは、送受信が可能な情報処理手段と、前記情報処理手段を介して入力される口腔内の可視光画像およびX線画像それぞれに写る歯の歯式番号および撮影方向を推定する推定手段と、を有し、前記情報処理手段は、前記可視光画像および前記X線画像それぞれに対して、前記歯式番号および前記撮影方向をメタデータとして付与し、前記メタデータを用いて、前記可視光画像および前記X線画像を関連付けて管理する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、異なる方法で撮影された可視光画像とX線画像とを関連付けて管理することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るシステム構成図。
図2】実施形態に係る各装置のハードウェア構成を示すブロック図。
図3】実施形態に係る各装置の機能構成を示すブロック図。
図4】実施形態に係る推定モデルの概念図。
図5】実施形態に係るシステムにおけるデータの流れを示す図。
図6】第1の実施形態に係る情報処理を示すフローチャート。
図7】第1の実施形態に係る画像の関連付けの説明図。
図8】第1の実施形態に係るユーザーインターフェースの一例を示す図。
図9】第2の実施形態に係る情報処理を示すフローチャート。
図10】第2の実施形態に係る経過情報付与の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
図1を用いて、本発明を適用可能な情報処理システム100について説明する。
情報処理システム100は、看護師や医師等のユーザーが使用するデジタルカメラ101、ユーザーが使用するX線撮影装置107、デジタルカメラ101及びX線撮影装置107と接続してデータを送受信可能なクライアント端末102を含む。
【0011】
デジタルカメラ101とクライアント端末102との間は、USB等の第1の通信部103により通信可能となる。また、X線撮影装置107とクライアント端末102との間は、USB等の第2の通信部108により通信可能となる。なお、第1の通信部103及び第2の通信部108は、USBのような有線の通信手段でもよいし、WiFiやBlueToothのような無線の通信手段でも構わない。
【0012】
更に、情報処理システム100は、画像解析を行い、画像に写っている歯の歯式番号、歯の状態(齲蝕の状態等)、撮影方向(どの方向から撮影された画像か)を推定することが可能な推定サーバー104、及び、画像管理を行うデータサーバー105を含む。
【0013】
ローカルネットワーク106は、クライアント端末102、推定サーバー104とデータサーバー105を接続して、相互通信を可能にしている。
【0014】
次に、図2を用いて、図1のシステムを構成する各装置のハードウェア構成について説明する。
まず、デジタルカメラ101の構成について説明する。
CPU201は、デジタルカメラ101全体の制御を行うと共に、電源の制御も行う。ROM202は、CPU201が動作するためのプログラムやデータを保持する。RAM203は、CPU201がROM202から読み出したプログラムを一時的に展開し、そこからプログラムを実行したり、動作上のデータを一時的に保持するために用いられる。
【0015】
撮影部205は、撮影を行うために用いられ、デジタルカメラ101が画像(可視光画像)を撮影するための画像センサからなる。ユーザーからの撮影操作をCPU201が検出し、それをトリガに撮影部205により撮影動作が実行される。I/F部206は、デジタルカメラ101とクライアント端末102との間で第1の通信部103を介してデータのやり取りを行うために用いられる。入力部207は、デジタルカメラ101にカメラの動作モードの指定等をするスイッチ、手ブレ補正及びフォーカス制御や露出補正を行うための動きを検知するモーションセンサ等で構成される。
【0016】
表示部208は、撮影部205の画像センサが撮影中の画像及び撮影済みの画像や、デジタルカメラ101の動作状態等を表示する。
カメラエンジン209は、入力部207の画像センサで撮影した画像の処理や、後述する記憶部210に保存された画像を表示部208に表示するための画像処理等を行う。
記憶部210は、デジタルカメラ101が撮影した静止画や動画の画像データを保存する。
システムバス211は、上述したデジタルカメラ101の各構成201~210を接続する。
【0017】
次に、X線撮影装置107の構成について説明する。
CPU235は、X線撮影装置107全体の制御を行うと共に、電源の制御も行う。ROM236は、CPU235が動作するためのプログラムやデータを保持する。RAM237は、CPU235がROM236から読み出したプログラムを一時的に展開し、そこからプログラムを実行したり、動作上のデータを一時的に保持するために用いられる。
【0018】
撮影部238は、撮影を行うために用いられ、画像(X線画像)を撮影するための画像センサからなる。ユーザーからの撮影操作をCPU235が検出し、それをトリガに撮影部238によって撮影動作が実行される。I/F部243は、X線撮影装置107とクライアント端末102との間で第2の通信部108を介してデータのやり取りを行うために用いられる。入力部239は、X線撮影装置107にカメラの動作モードの指定等をするスイッチ等で構成される。
カメラエンジン241は、撮影部238の画像センサで撮影した画像の処理や、後述する記憶部242に保存された画像を表示部240に表示するための画像処理等を行う。
記憶部242は、X線撮影装置107が撮影したX線画像の画像データを保存する。
システムバス244は、上述したX線撮影装置107の各構成235~243を接続する。
【0019】
次に、クライアント端末102の構成について説明する。
CPU212は、クライアント端末102の全体の制御を行う。HDD213は、CPU212が動作するためのプログラムや電子カルテのデータを保持する。RAM214は、CPU212がHDD213から読み出したプログラムを一時的に展開し、そこからプログラムを実行したり、動作上のデータを一時的に保持するために用いられる。
【0020】
NIC215は、ローカルネットワーク106を介して推定サーバー104やデータサーバー105と通信するために用いられる。I/F部216は、クライアント端末102とデジタルカメラ101及びX線撮影装置107との間で、第1の通信部103及び第2の通信部108を介してデータのやり取りを行うために用いられる。入力部217は、クライアント端末102を操作するためのキーボードやマウス等で構成される。
【0021】
表示部218は、クライアント端末102の入力状態等を表示する。
システムバス219は、上述したクライアント端末102の各構成212~218を接続する。
【0022】
次に、推定サーバー104の構成について説明する。
CPU220は、推定サーバー104全体の制御を行う。HDD221は、CPU220が動作するためのプログラムやデータを保持する。RAM222は、CPU220がHDD221から読み出したプログラムを一時的に展開し、そこからプログラムを実行したり、動作上のデータを一時的に保持するために用いられる。
【0023】
GPU223は、画像処理用の演算や行列演算等を高速に、より多くのデータを処理できるようにデータ演算処理に特化されている。GPU223は、データをより多く並列処理することで効率的な演算を行うことができるので、推定モデルを用いて推定を行う場合にはGPU223で処理を行うことが有効である。そのため、本実施形態では、推定サーバー104における推定処理には、CPU220に加えてGPU223を用いる。具体的には、推定モデルを含む推定プログラムを実行する場合に、CPU220とGPU223が協働して演算を行うことで推定を行う。なお、推定処理の演算は、CPU220またはGPU223のみにより行っても良い。また、GPU223は学習処理にも利用される。
【0024】
NIC224は、ローカルネットワーク106を介してクライアント端末102やデータサーバー105と通信するために用いられる。入力部225は、推定サーバー104を操作するためのキーボードやマウス等で構成される。
【0025】
表示部226は、推定サーバー104の入力状態等を表示する。
システムバス227は、上述した推定サーバー104の各構成220~226を接続する。
【0026】
次に、データサーバー105の構成について説明する。
CPU228は、データサーバー105全体の制御を行う。HDD229は、CPU228が動作するためのプログラムや画像データを保持する。RAM230は、CPU228がHDD229から読み出したプログラムを一時的に展開し、そこからプログラムを実行したり、動作上のデータを一時的に保持するために用いられる。
【0027】
NIC231は、ローカルネットワーク106によってクライアント端末102や推定サーバー104と通信するために用いられる。入力部232は、データサーバー105を操作するためのキーボードやマウス等で構成される。
【0028】
表示部233は、データサーバー105の入力状態等を表示する。
システムバス234は、上述したデータサーバー105の各構成228~233を接続する。
【0029】
次に、図3を用いて、図2で示したハードウェア構成とプログラムを利用することで実現される各装置の機能構成について説明する。
【0030】
デジタルカメラ101のカメラ制御部301は、CPU201がROM202からデジタルカメラ101を制御するためのプログラムを読み出し、プログラムの一部をRAM203に展開することによって、デジタルカメラ101全体を制御する。例えば、カメラ制御部301は、データサーバー105や入力部207からのユーザーの操作に従って、画像センサから入力された画像をカメラエンジン209で処理させたり、記憶部210に記憶された画像を表示部208に表示させる、といった制御を行う。
【0031】
データ送受信部302は、クライアント端末102とI/F部206を経由してデータを送受信する。
【0032】
X線撮影装置107のカメラ制御部318は、CPU235がROM236からX線撮影装置107を制御するためのプログラムを読み出し、プログラムの一部をRAM237に展開することによって、X線撮影装置107全体を制御する。例えば、カメラ制御部318は、データサーバー105や入力部239からのユーザーの操作に従って、画像センサから入力された画像をカメラエンジン241で処理させたり、記憶部242に記憶された画像を表示部240に表示させる、といった制御を行う。
【0033】
データ送受信部317は、クライアント端末102とI/F部243を経由してデータを送受信する。
【0034】
クライアント端末102のクライアント端末制御部305は、CPU212がHDD213からクライアント端末102を制御するためのプログラムを読み出し、プログラムの一部をRAM214に展開することによって、クライアント端末102全体を制御する。
【0035】
データ送受信部306は、デジタルカメラ101及びX線撮影装置107から送信される画像データをI/F部216で受信して、NIC215を通して、推定サーバー104及びデータサーバー105に送信する。
【0036】
推定サーバー104の推定サーバー制御部310は、CPU220がHDD221から推定サーバー104を制御するためのプログラムを読み出し、プログラムの一部をRAM222に展開することによって、推定サーバー104全体を制御する。
【0037】
データ送受信部311は、NIC224を介してクライアント端末102及び推定サーバー104と画像データや学習データ等を送受信する。
【0038】
学習部312は、RAM222またはHDD221に保持されているデータを用いて、GPU223及び/またはCPU220を使用して学習処理を行う。ここでは、あらかじめ歯を含む口腔内を撮影した画像と、その画像に写っている歯の歯式番号、歯の状態(齲蝕の状態等)、撮影方向(どの方向から撮影された画像か)を示す情報をセットでRAM222またはHDD221に学習データとして保持しておく。そして、歯を含む口腔内を撮影した画像を入力データとし、その画像とセットの、その画像に写っている歯の歯式番号、歯の状態(齲蝕の状態等)、撮影方向(どの方向から撮影された画像か)を示す情報を教師データとして学習する。ここで、歯を含む口腔内を撮影した画像は、可視光の撮像画像および、X線画像を含む。データ記憶部313は、学習部312で学習を行って生成した推定モデルをHDD221に記憶する。推定部314は、HDD221に記憶された推定モデルを用いて、歯を含む口腔内を撮影した画像が入力された場合、その画像に写っている歯の歯式番号、歯の状態(齲蝕の状態等)、撮影方向(どの方向から撮影された画像か)を推定する。ここで、上述したように、歯を含む口腔内を撮影した画像は、可視光画像および、X線画像を含む。すなわち、本実施形態で述べる推定モデルは、可視光画像とX線画像のどちらを入力されても、画像に写っている歯の歯式番号、歯の状態(齲蝕の状態等)、撮影方向(どの方向から撮影された画像か)を推定する。
【0039】
データサーバー105のデータサーバー制御部307は、CPU228がHDD229からデータサーバー105を制御するためのプログラムを読み出し、プログラムの一部をRAM230に展開することによって、データサーバー105全体を制御する。
【0040】
データ送受信部308は、NIC231を介して、クライアント端末102及び推定サーバー104と画像データや学習データ等を送受信する。データ記憶部309は、学習データをHDD229に保存する。
【0041】
次に、図4を用いて、学習部312において推定モデルで推定する内容について説明する。
推定モデル401は、ニューラルネットワーク等を用いた推定モデル、画像データ402は、推定モデル401に入力するデジタルカメラ101もしくはX線撮影装置107で撮影した画像の画像データである。推定結果403は、画像データ402を推定モデル401に入力し、画像に写っている歯の歯式番号、歯の状態(齲蝕の状態等)、撮影方向(どの方向から撮影された画像か)を推定した推定結果である。
【0042】
次に、図5を用いて、図4で示した推定モデルを利用した、本実施形態のシステムにおけるデータの流れについて説明する。
まず、ユーザーは、クライアント端末102で患者IDを選択する(501)。デジタルカメラ101を用いて可視光画像を撮影する場合、デジタルカメラ101は、クライアント端末102から患者IDを読み込む(502)。そして、ユーザーの撮影指示に基づいて、デジタルカメラ101は可視光画像の撮影を実行し(503)、クライアント端末102に撮影した可視光画像を転送する(504)。
【0043】
X線撮影装置107を用いてX線画像を撮影する場合、X線撮影装置107は、クライアント端末102から患者IDを読み込む(505)。そして、ユーザーの撮影指示に基づいて、X線撮影装置107はX線画像の撮影を実行し(506)、クライアント端末102に撮影したX線画像を転送する(507)。
【0044】
クライアント端末102は、推定サーバー104に可視光画像及び/またはX線画像を転送する(508)。推定サーバー104は、推定モデル401を用いて画像解析を行い、得られた推定結果403をメタデータとして可視光画像及びX線画像に付与し(509)、データサーバー105にメタデータを付与した可視光画像及び/またはX線画像を転送する(510)。
【0045】
データサーバー105は、メタデータ情報を元に、関連する画像同士を紐付けてHDD229に保存する(511)。例えば、患者IDと撮影方向が共通の画像同士を紐付ける。そして、データサーバー105は、クライアント端末102にメタデータを付与した可視光画像及び/またはX線画像を転送する(512)。
【0046】
クライアント端末102は、受信した可視光画像及び/またはX線画像を用いて、HDD213内にある電子カルテの情報を更新する(513)。
【0047】
<第1の実施形態>
以下、図6図8を参照して、上記構成を有する情報処理システムにおける、本発明の第1の実施形態に係る処理について説明する。
図6は、第1の実施形態に係る情報処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートにおける各処理は、クライアント端末102、データサーバー105、推定サーバー104、デジタルカメラ101、X線撮影装置107が実行することにより実現される。
【0048】
S601において、クライアント端末102は入力部217へのユーザー入力に基づいて、患者IDを選択する。S602において、クライアント端末102は可視光画像とX線画像のどちらを撮影するかを選択するようユーザーに促す。可視光画像の撮影が選択された場合はS603に進み、X線画像の撮影が選択された場合はS608に進む。
【0049】
S603において、デジタルカメラ101は、S601で選択された患者IDを読み込み、S604において、ユーザーの撮影指示に基づいて可視光画像の撮影を実行する。S605において、デジタルカメラ101は、全ての可視光画像撮影が完了したかを判断し、撮影が完了した場合はS606に進み、撮影が完了していない場合は、S604に戻り、続けて可視光画像の撮影を行う。
【0050】
S606において、デジタルカメラ101は、撮影した可視光画像の画像データのメタデータ領域に患者IDと撮影日を書き込み、S607において、クライアント端末102に可視光画像の画像データを転送する。
【0051】
S608~S612の各処理は、X線撮影装置107が実行し、X線画像を撮影することを除いて、デジタルカメラ101におけるS603~S607の処理と同様であるため、説明を割愛する。
【0052】
S613において、クライアント端末102は、デジタルカメラ101もしくはX線撮影装置107から画像データを受信し、S614において、推定サーバー104に画像データを転送する。
【0053】
S615において、推定サーバー104は、受信した画像データを取り込み、S616において、推定モデル401を元に画像解析を行い、画像に写っている歯の歯式番号、歯の状態(齲蝕の状態等)、撮影方向(どの方向から撮影された画像か)を推定する。S617において、推定サーバー104は、推定結果403を画像データのメタデータ領域に書き込み、S618において、データサーバー105にメタデータを付与した画像データを転送する。
【0054】
S619において、データサーバー105は受信した画像データを取り込み、S620において、関連する画像同士を紐付けてHDD229に保存する。例えば、患者IDと撮影方向が共通の画像同士を紐付ける。S621において、データサーバー105は、各画像の画像データのメタデータ領域に、関連する画像番号を書き込み、S622において、クライアント端末102に画像データを転送する。
【0055】
S623において、クライアント端末102は画像データを取り込み、電子カルテの画像データを更新する。
【0056】
図7は、第1の実施形態に係る画像の関連付けの説明図である。
図7(a)において、701は、デジタルカメラ101を用いて撮影された口腔内の可視光画像である。702~705は、X線撮影装置107を用いて撮影された口腔内のX線画像である。706~710はそれぞれ、可視光画像701及びX線画像702~705のメタデータ領域に書き込まれた情報の一部を表している。
【0057】
メタデータ領域には、写っている歯の歯式番号、歯の状態(齲蝕の状態等)、撮影方向(どの方向から撮影された画像か)の情報が書き込まれており、この情報が一致する画像同士が関連付けられる。例えば、可視光画像701とX線画像702のメタデータ領域706、707には、共通の歯式番号「左上1~左上4」が含まれているため、画像が関連付けられる。データサーバー105は、各画像のメタデータ領域に、関連付けられた画像番号を付与する。
【0058】
なお、本実施形態では、歯式番号の一致に基づいて画像の関連付けを行う例を挙げたが、撮影方向が一致する画像同士を関連付ける構成であってもよい。
【0059】
図7(b)において、720~723は、可視光画像701上に重畳表示される枠の一例を示す図であり、X線画像702~705と対応する領域をそれぞれ示す。枠720~723の表示・非表示はユーザーが任意に切り替えられるものであってもよい。
【0060】
図8は、第1の実施形態に係るクライアント端末102に表示されるユーザーインターフェースの一例を示す図である。
図8において、801は、デジタルカメラ101を用いて撮影された口腔内の可視光画像表示領域である。可視光画像表示領域801中、802は患者の歯を右側から撮影した可視光画像、803は患者の上の歯を撮影した可視光画像、804は患者の歯を正面から撮影した可視光画像、805は患者の歯を左側から撮影した可視光画像、806は患者の下の歯を撮影した可視光画像である。810は、入力部217で操作が可能なカーソルである。図8では、ユーザーが可視光画像802を選択している状態を示している。
【0061】
820は、X線撮影装置107を用いて撮影されたX線画像表示領域である。X線画像表示領域820には、ユーザーがカーソル810を用いて選択した可視光画像に関連付けられたX線画像が表示される。本実施形態では、ユーザーが可視光画像802を選択しているため、可視光画像802に関連付けられたX線画像4枚がX線画像表示領域820に表示されている。
【0062】
上記の通り本第1の実施形態によれば、画像に付与したメタデータに基づいて、可視光画像とX線画像とを関連付けて管理することができる。
【0063】
<第2の実施形態>
次に、図9及び図10を参照して、図1乃至図5を参照して説明した情報処理システムにおける、本発明の第2の実施形態に係る処理について説明する。
図9は、第2の実施形態に係る情報処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートにおける各処理は、クライアント端末102、データサーバー105、推定サーバー104、デジタルカメラ101、X線撮影装置107が実行することにより実現される。
【0064】
なお、図9において、第1の実施形態の図6で説明したS601~S621の処理と同じ処理には同じ参照番号を付し、説明を割愛する。
【0065】
S621において、データサーバー105が、各画像の画像データのメタデータ領域に、関連する画像番号を付与すると、S922において、クライアント端末102はユーザー(歯科医)が患者に対して実施した治療内容の入力を受け付ける。ユーザーは表示部218を見ながら、入力部217を使用して治療内容の入力を行うことができる。
【0066】
S923において、データサーバー105は、過去の画像のメタデータから、今回治療した歯の過去の状態を抽出する。S924において、データサーバー105はS922で入力された治療内容と、S923で抽出した過去の状態を、最新画像の画像データのメタデータ領域に書き込む。
【0067】
S925において、データサーバー105は、クライアント端末102にメタデータを付与した画像データを転送する。S926において、クライアント端末102は画像データを取り込み、電子カルテの画像データを更新する。
【0068】
図10は、第2の実施形態に係る経過情報付与の説明図である。
図10(a)~図10(d)は、それぞれ3か月前、2か月前、1か月前、今回撮影した口腔内の可視光画像1001~1004と、可視光画像1001~1004のメタデータ領域に書き込まれた情報の一部1005~1008とを示す図である。1010はある特定の歯を示す。本実施形態では、1010を歯式番号「左上7」と定義し、「左上7」についての経過情報に着目して説明を行う。
【0069】
図10(a)に示すように、可視光画像1001を撮影した段階では、歯1010に齲蝕がないため、メタデータ領域の「状態」には「/(異常なし)」が記録されている。
【0070】
図10(b)に示す可視光画像1002において、1020は歯1010の齲蝕部を表す。このとき、齲蝕部1020の進行度は「C1(軽度の齲蝕)」であり、歯科医の診察結果は「経過観察」であったため、メタデータ領域に以下の情報が書き込まれる。
・メタデータ1005に書かれていた「左上7」に関わる情報
・可視光画像1002の撮影日における「左上7」の状態(C1)と治療内容(経過観察)
【0071】
図10(c)に示す可視光画像1003において、1030は歯1010の齲蝕部を表す。このとき、齲蝕部1030の進行度は「C2(軽度だが治療が必要な齲蝕)」であり、歯科医が実施した治療内容は「齲蝕部を削って詰め物をする」であったため、メタデータ領域に以下の情報が書き込まれる。
・メタデータ1006に書かれていた「左上7」に関わる情報
・可視光画像1003の撮影日における「左上7」の状態(C2)と治療内容(詰め物)
【0072】
図10(d)に示す可視光画像1004において、1040は歯1010の治療痕を表す。このとき、歯1010の状態は「〇(治療済)」であり、歯科医の診察結果は「経過良好」であったため、メタデータ領域に以下の情報が書き込まれる。
・メタデータ1007に書かれていた「左上7」に関わる情報
・可視光画像1004の撮影日における「左上7」の状態(〇)と診察結果(経過良好)
【0073】
このように、「過去の情報」と「最新の診察結果」を付与していくことにより、最新の画像のメタデータ領域を見れば、過去に遡って経過情報を取得することが可能となる。
【0074】
上記の通り第2の実施形態によれば、画像に付与したメタデータに基づいて、可視光画像とX線画像を関連付けて管理することができると共に、最新の画像に付与されたメタデータから経過情報を取得するができる。
【0075】
<他の実施形態>
なお、上述した実施形態では、クライアント端末102と、推定サーバー104と、データサーバー105とがそれぞれ別の装置である場合について説明したが、これらの内少なくとも2つを単体の装置により構成してもよい。
また、本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0076】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0077】
100:情報処理システム、101:デジタルカメラ、102:クライアント端末、104:推定サーバー、105:データサーバー、107:X線撮影装置、301:カメラ制御部、302:データ送受信部、305:クライアント端末制御部、306,308,311:データ送受信部、307:データサーバー制御部、309,313:データ記憶部、310:推定サーバー制御部、312:学習部、314:推定部、401:推定モデル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10