IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日産自動車株式会社の特許一覧 ▶ ルノー エス.ア.エス.の特許一覧

<>
  • 特開-回転電機 図1
  • 特開-回転電機 図2
  • 特開-回転電機 図3
  • 特開-回転電機 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186419
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/193 20060101AFI20221208BHJP
   H02K 5/20 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
H02K9/193
H02K5/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094630
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関 和明
(72)【発明者】
【氏名】ミカティ カリム
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 大輔
(72)【発明者】
【氏名】井ノ尾 毅
【テーマコード(参考)】
5H605
5H609
【Fターム(参考)】
5H605AA01
5H605BB01
5H605BB05
5H605BB10
5H605CC01
5H605CC02
5H605DD07
5H605DD13
5H605EB10
5H605EB16
5H605GG06
5H609BB03
5H609BB19
5H609PP02
5H609QQ05
5H609RR01
5H609RR37
5H609RR42
5H609RR43
5H609RR48
5H609SS07
(57)【要約】
【課題】ロータにコイルを備えた回転電機において、冷却用のオイルがハウジングから外部へ噴出することを防止できる回転電機を提供する。
【解決手段】回転電機100は、ロータ3に巻装されたロータコイル32と、ハウジング1に設けられ、ロータコイル32に向けてオイルを噴出する噴出孔11f,12cと、ロータ3よりも上方に設けられ、ハウジング1の内外を連通する呼吸孔13aと、ロータ3の径方向におけるロータ3と呼吸孔13aとの間に位置するようにハウジング1に設けられ、ロータ3の回転に伴って飛散したオイルが呼吸孔13aに侵入することを阻止する壁部7と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に収容されたステータと、
前記ステータに巻装されたステータコイルと、
前記ハウジングに回転可能に支持されたシャフトと、
前記シャフトに取り付けられ前記ステータ内に支持されるロータと、
前記ロータに巻装されたロータコイルと、
前記ハウジングに設けられ、前記シャフトの回転軸方向における前記ロータの側面から露出した前記ロータコイルに向けてオイルを噴出する噴出孔と、
前記ロータよりも上方に設けられ、前記ハウジングの内外を連通する呼吸孔と、
前記ロータの径方向における前記ロータと前記呼吸孔との間に位置するように前記ハウジングに設けられ、前記ロータの回転に伴って飛散したオイルが前記呼吸孔に侵入することを阻止する壁部と、を備えた回転電機。
【請求項2】
請求項1に記載された回転電機であって、
前記ロータに取り付けられ、前記回転軸方向における前記ロータの側面から露出した前記ロータコイルを前記径方向から覆う周壁部と、前記周壁部を前記径方向に貫通するように形成された複数の連通孔と、を有するカラー部材をさらに備え、
前記ステータコイルのコイルエンド部分は、前記回転軸方向において前記連通孔に対向する位置に設けられる回転電機。
【請求項3】
請求項1または2に記載された回転電機であって、
前記ハウジングは、
前記ステータと前記ロータを収容する筒状の収容部と、
前記収容部の開口を覆う第1カバー部と、
前記第1カバー部の貫通孔を覆い、前記呼吸孔及び前記壁部が設けられた第2カバー部と、を有する回転電機。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載された回転電機であって、
前記呼吸孔における外部側に取り付けられ、上方に延びるパイプをさらに備える回転電機。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載された回転電機であって、
前記回転軸方向からみて、前記ロータの回転方向が時計回りであるとき、
前記呼吸孔は、前記ロータよりも上方であって、かつ前記シャフトの回転軸よりも右側の領域に設けられる回転電機。
【請求項6】
請求項5に記載された回転電機であって、
前記壁部は、
前記ロータの径方向における前記ロータと前記呼吸孔との間に位置するように設けられた第1壁部と、
前記ロータの径方向において前記呼吸孔を挟んで前記第1壁部と対向するように設けられた第2壁部と、
前記第1壁部と前記第2壁部との前記回転軸側の端部を接続する第3壁部と、を有する回転電機。
【請求項7】
請求項6に記載された回転電機であって、

前記第1壁部は、前記回転軸から離間する方向に向かって下り傾斜となるように形成される回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ハウジングに設けられたステータと、ハウジングに回転可能に取り付けられ、回転中心に形成されたコア部と、コア部から放射状に延びた複数のティースを有するロータと、ロータと半径方向に対向するように、ステータに取り付けられた固定子巻線と、ロータのティースに、半径方向に複数層に分離して巻装された回転子巻線と、を有する電動機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-45956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電動機では、固定子巻線や回転子巻線における発熱に対しての対策について開示されていない。一般的に、オイルをかけることで固定子巻線などを冷却することが行われており、特許文献1に記載の電動機に対しても、このような対策を施すことが考えられる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された電動機において、ロータに設けられた回転子巻線にオイルをかけた場合、回転子巻線はロータとともに回転するため、オイルがハウジング内において勢いよく飛散するおそれがある。これにより、ハウジングに設けられた外部との連通路(呼吸孔)などから、オイルが外部へ噴出してしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、ロータにコイルを備えた回転電機において、冷却用のオイルがハウジングから外部へ噴出することを防止できる回転電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様では、回転電機は、ハウジングと、ハウジング内に収容されたステータと、ステータに巻装されたステータコイルと、ハウジングに回転可能に支持されたシャフトと、シャフトに取り付けられステータ内に支持されるロータと、ロータに巻装されたロータコイルと、ハウジングに設けられ、シャフトの回転軸方向におけるロータの側面から露出したロータコイルに向けてオイルを噴出する噴出孔と、ロータよりも上方に設けられ、ハウジングの内外を連通する呼吸孔と、ロータの径方向におけるロータと呼吸孔との間に位置するようにハウジングに設けられ、ロータの回転に伴って飛散したオイルが呼吸孔に侵入することを阻止する壁部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、ロータの径方向におけるロータと呼吸孔との間に位置するように壁部を設けている。これにより、ロータコイルを冷却するオイルがロータの回転に伴って飛散しても、オイルが壁部にあたることで、呼吸孔に侵入することが阻止される。よって、オイルが外部へ噴出することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、回転電機の概略断面図である。
図2図2は、回転電機の斜視図である。
図3図3は、回転電機の正面図である。
図4図4は、第2カバーの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0011】
図1は、回転電機100の概略断面図である。図2は、回転電機100の斜視図である。図3は、回転電機100の正面図である。回転電機100は、電動機、発電機、または、電動機及び発電機として動作する電動発電機であり、界磁巻線型同期機である。
【0012】
図1に示すように、回転電機100は、ハウジング1と、ハウジング1内に収容されたステータ2と、ハウジング1に回転可能に支持されたシャフト4と、シャフト4に取り付けられステータ2内に支持されるロータ3と、を備える。なお、本実施形態では、図面における上下方向が天地方向であり、以下の説明では、天地方向を上下方向として説明する。また、ロータ3及びシャフト4の回転軸方向を単に回転軸方向または軸方向といい、ロータ3の半径方向を単に径方向という。
【0013】
図1から図3に示すように、ハウジング1は、内部にステータ2とロータ3を収容する空間が形成された筒状の収容部11と、収容部11の一端側の開口11aを覆う第1カバー部としての第1カバー12と、を備える。
【0014】
図1に示すように、収容部11は、有底筒状に形成される。収容部11の底部11bには、シャフト4が貫通する貫通孔11cが設けられる。また、収容部11の下方には、ステータ2及びロータ3を冷却するためのオイルを貯留するタンク部11dが設けられる。
【0015】
図1から図3に示すように、第1カバー12は、収容部11にボルトなどによって、収容部11の開口11aを覆うように固定される。図1に示すように、第1カバー12は、後述するステータコイル22及びロータコイル32に接続される配線が挿通される貫通孔12aと、シャフト4が挿通される貫通孔12bと、を有する。貫通孔12b内には、シャフト4を回転可能に支持する軸受5aが設けられる。
【0016】
ハウジング1は、第1カバー12に設けられた貫通孔12aを覆う第2カバー部としての第2カバー13と、第1カバー12に設けられた貫通孔12bを覆う第3カバー14と、をさらに備える。
【0017】
図2及び図3に示すように、第2カバー13及び第3カバー14は、第1カバー12の外面にボルトによって固定される。第2カバー13には、ハウジング1の内外を連通する呼吸孔13a(図1及び図4参照)と、ステータコイル22及びロータコイル32に接続される配線(ケーブル)が挿通される貫通孔13b(図2図4参照)と、が設けられる。また、第2カバー13には、呼吸孔13aにおける外部側に取り付けられ、上方に延びるパイプ15が取り付けられる。なお、図示はしないが、貫通孔13bとケーブルとの間にはシール部材が設けられ、これらの間はシール部材によってシールされる。
【0018】
ステータ2は、ステータコア21と、ステータコイル22と、を有する。ステータコア21は、円筒状に形成され、ステータコア21の内周面には、径方向内側に突出するように形成されたティース(図示せず)が複数設けられる。ティースの周囲には、3相(U相、V相、W相)のステータコイル22が巻装される。ステータコイル22は、集中巻あるいは分布巻によってティースに巻装される。
【0019】
ロータ3は、ロータコア31と、界磁巻線としてのロータコイル32と、を有する。ロータコア31の外周面には、径方向外側に突出するように形成されたティース(図示せず)が複数設けられる。ロータコア31のティースには単相の巻線が巻装される。ロータ3は、シャフト4に取り付けられ、ステータ2の内周面と所定の隙間を設けるようにしてステータ2内に支持される。
【0020】
シャフト4は、ボールベアリングによって構成された軸受5a,5bによってハウジング1に回転可能に支持される。シャフト4は、一端が収容部11の貫通孔11cを挿通して外部へ突出し、図示しないウォーム減速機構を介して駆動輪(図示せず)に連結される、又は、図示しない増速機構を介してエンジン(図示せず)に連結される。
【0021】
回転電機100は、ロータ3に取り付けられ、回転軸方向におけるロータ3の側面3a,3bから露出したロータコイル32を径方向から覆う周壁部6aを有するカラー部材6と、ステータコイル22及びロータコイル32を冷却する冷却機構Cと、をさらに備える。
【0022】
カラー部材6は、略円筒状に形成され、ロータコア31の外縁部分であって、ロータコア31の軸方向の両端部それぞれに固定される。これにより、カラー部材6は、ロータ3と一体となって回転する。
【0023】
カラー部材6には、筒状の周壁部6aの一端から径方向内側に延びる立壁部6bと、周壁部6aを径方向に貫通するように形成された複数の連通孔6cと、が設けられる。連通孔6cは、ステータコイル22のコイルエンド部分22aに対向する位置に、周方向に所定の間隔をあけて複数設けられる。
【0024】
冷却機構Cは、ポンプPと、収容部11の上部に設けられ、ポンプPから供給されたオイルを噴出する噴出孔11eと、収容部11の底部11bに設けられ、シャフト4の回転軸方向におけるロータ3の一方の側面3aから露出したロータコイル32に向けてオイルを噴出する噴出孔11fと、第1カバー12に設けられ、シャフト4の回転軸方向におけるロータ3の他方の側面3bから露出したロータコイル32に向けてオイルを噴出する噴出孔12cと、備える。ポンプPと、噴出孔11e,11f,12cとは、収容部11及び第1カバー12内に設けられた流路によって接続される。ポンプPは、ステータコイル22及びロータコイル32に通電され、ロータ3が回転しているときに作動する。
【0025】
噴出孔11eは、収容部11の内周面における最上部であって、ステータ2の軸方向における中央付近に対向するように設けられる。図1に示す実施例では、噴出孔11eを1か所を設けた場合を例に説明しているが、噴出孔11eを軸方向あるいは周方向に複数設けるようにしてもよい。噴出孔11eから噴出されたオイルは、ステータ2の外周に沿って流れ落ちる間に、ステータコア21及びステータコイル22を冷却する。ステータ2の外周に沿って流れ落ちたオイルは、タンク部11dに戻される。
【0026】
噴出孔11fは、ロータ3の一方の側面3aから露出したロータコイル32のうち、上方側に位置するロータコイル32に向けてオイルを噴出する。また、噴出孔12cは、ロータ3の他方の側面3bから露出したロータコイル32のうち、上方側に位置するロータコイル32に向けてオイルを噴出する。
【0027】
上述のように、ポンプPは、ロータ3が回転しているときに作動する。ロータ3が回転することにより、ロータコイル32も回転するので、噴出孔11f及び噴出孔12cから噴出されたオイルは、周方向に並ぶロータコイル32に順次掛けられる。これにより、周方向に並ぶ全てのロータコイル32を冷却することができる。
【0028】
噴出孔11f及び噴出孔12cから噴出されたオイルは、その多くが遠心力によって径方向外側に吹き飛ばされる。吹き飛ばされたオイルは、カラー部材6の周壁部6aによって捕捉される。周壁部6aによって捕捉されたオイルは、遠心力によって連通孔6cを通過してカラー部材6の外部に飛ばされる。
【0029】
図1に示すように、本実施形態では、ステータコイル22のコイルエンド部分22aが、回転軸方向において連通孔6cに対向する位置に設けられる。これにより、連通孔6cから噴出したオイルは、ステータコイル22のコイルエンド部分22aに掛けられる。
【0030】
このように、噴出孔11f及び噴出孔12cから噴出されたオイルは、ロータコイル32を冷却した後、カラー部材6によってステータコイル22のコイルエンド部分22aに導かれ、ステータコイル22のコイルエンド部分22aを冷却する。ステータコイル22のコイルエンド部分22aを冷却したオイルは、重力によって落下し、タンク部11dに戻される。
【0031】
このように構成された回転電機100において、ロータ3が高速で回転している場合、ロータコイル32などに掛けられたオイルに強い遠心力が作用する。オイルに強い遠心力が作用すると、オイルがハウジング1内の広範囲にわたって飛散する。このとき、飛散したオイルの一部が、第1カバー12の貫通孔12a及び第2カバー13の呼吸孔13aを通じてパイプ15に侵入し、オイルがハウジング1の外部に放出されてしまうおそれがある。
【0032】
そこで、本実施形態の回転電機100では、図3及び図4に示すように、第2カバー13に、ロータ3の回転に伴って飛散したオイルが呼吸孔13aに侵入することを阻止する壁部7を設けている。以下に、呼吸孔13aと壁部7の具体的な構成について説明する。なお、図4は、第2カバー13を内側から見た図(背面図)である。
【0033】
本実施形態の回転電機100では、図3に示すように、回転軸方向からみてロータ3の常用回転方向が時計回り(矢印参照)であるとき、呼吸孔13aは、ロータ3よりも上方の領域であって回転軸Oよりも右側の領域(領域R)に設けられる。なお、ここでいう常用回転方向とは、回転電機100が通常使用される回転方向(作動時間の多くを占める回転方向)である。具体的には、例えば、回転電機100が車両の駆動用モータとして用いられる場合には、車両を前進させる際にロータ3が回転する方向である。
【0034】
図3に示すように、回転軸Oより右側の領域では、ロータ3の回転方向が下向きになるため、上方へ飛散するオイルの量が回転軸Oより左側の領域に比べて少なくなる。また、オイルには、重力が作用するため、ロータ3より上方の領域は、飛散するオイルの量がロータ3より下方の領域に比べて少なくなる。したがって、ロータ3よりも上方の領域であって回転軸Oよりも右側の領域(領域R)は、他の領域に比べて、ロータ3の回転によって巻き上げて飛散するオイルの量がより少なくなる。そこで、このような領域Rに呼吸孔13aを設けることにより、呼吸孔13aに侵入するオイルの量を少なくすることができる。
【0035】
また、図3及び図4に示すように、本実施形態では、呼吸孔13aを囲むように壁部7を設けている。壁部7について具体的に説明すると、壁部7は、ロータ3の径方向におけるロータ3と呼吸孔13aとの間に位置するように設けられた第1壁部7aと、ロータ3の径方向において呼吸孔13aを挟んで第1壁部7aと対向するように設けられた第2壁部7bと、第1壁部7aと第2壁部7bとの回転軸O側の端部を接続する第3壁部7cと、を有する。つまり、壁部7は、回転軸Oから離間する方向に開口部7dを有する略U字状に形成される。壁部7をこのような形状とすることにより、ロータ3の回転に伴って、図3に点線の矢印で示すような方向からオイルが飛んできても、壁部7にオイルがあたることで、呼吸孔13aにオイルが侵入することを阻止できる。
【0036】
また、本実施形態では、第1壁部7a及び第2壁部7bは、回転軸Oから離間する方向、言い換えると、開口部7dに向かって下り傾斜となるように形成される。これにより、壁部7内にオイルが侵入しても、オイルが重力によって第1壁部7a及び第2壁部7bを伝わり、開口部7dから排出することができる。つまり、このような形状とすることにより、壁部7内にオイルが滞留することを防止できる。
【0037】
以上のように構成された本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0038】
回転電機100は、ハウジング1と、ハウジング1内に収容されたステータ2と、ステータ2に巻装されたステータコイル22と、ハウジング1に回転可能に支持されたシャフト4と、シャフト4に取り付けられステータ2内に支持されるロータ3と、ロータ3に巻装されたロータコイル32と、ハウジング1に設けられ、シャフト4の回転軸方向におけるロータ3の側面3a,3bから露出したロータコイル32に向けてオイルを噴出する噴出孔11f,12cと、ロータ3よりも上方に設けられ、ハウジング1の内外を連通する呼吸孔13aと、ロータ3の径方向におけるロータ3と呼吸孔13aとの間に位置するようにハウジング1に設けられ、ロータ3の回転に伴って飛散したオイルが呼吸孔13aに侵入することを阻止する壁部7と、を備える。
【0039】
この構成では、ロータ3の径方向におけるロータ3と呼吸孔13aとの間に位置するように壁部7を設けている。これにより、ロータコイル32を冷却するオイルがロータ3の回転に伴って飛散しても、オイルが壁部7にあたることで、呼吸孔13aに侵入することが阻止される。よって、オイルが外部へ噴出することを防止できる。
【0040】
回転電機100は、ロータ3に取り付けられ、回転軸方向におけるロータ3の側面3a,3bから露出したロータコイル32を径方向から覆う周壁部6aと、周壁部6aを径方向に貫通するように形成された複数の連通孔6cと、を有するカラー部材6をさらに備える。また、ステータコイル22のコイルエンド部分22aは、径方向において連通孔6cに対向する位置に設けられる。
【0041】
この構成では、ステータコイル22のコイルエンド部分22aが、径方向において連通孔6cに対向する位置に設けられているので、連通孔6cから噴出したオイルが、ステータコイル22のコイルエンド部分22aに掛けられる。これにより、噴出孔11f及び噴出孔12cから噴出されたオイルが、ロータコイル32を冷却した後、ステータコイル22を冷却することができる。さらに、連通孔6cから噴出したオイルが、ステータコイル22のコイルエンド部分22aにあたることで、オイルが呼吸孔13aなどに向かって飛散することを抑制できる。
【0042】
回転電機100では、ハウジング1は、ステータ2とロータ3を収容する筒状の収容部11と、収容部11の開口11aを覆う第1カバー12(第1カバー部)と、第1カバー12(第1カバー部)の貫通孔12aを覆い、呼吸孔13a及び壁部7が設けられた第2カバー13(第2カバー部)と、を有する。
【0043】
この構成では、第2カバー13(第2カバー部)に壁部7が設けられているので、壁部7の成形を簡単にすることができる。また、既存の回転電機に対して、第2カバー13(第2カバー部)を簡単に追加することができる。
【0044】
回転電機100は、呼吸孔13aにおける外部側に取り付けられ、上方に延びるパイプ15をさらに備える。
【0045】
この構成では、上方に延びるパイプ15を備えているので、ハウジング1内から外部へオイルが噴出することを抑制できる。
【0046】
回転電機100では、回転軸方向からみて、ロータ3の回転方向が時計回りであるとき、呼吸孔13aは、ロータ3よりも上方であって、かつシャフト4の回転軸Oよりも右側の領域(領域R)に設けられる。
【0047】
ロータ3よりも上方の領域であって回転軸Oよりも右側の領域(領域R)は、他の領域に比べて、ロータ3の回転によって巻き上げて飛散するオイルの量が比較的少なくなる。そこで、このような領域Rに呼吸孔13aを設けることにより、呼吸孔13aに侵入するオイルの量を少なくすることができる。
【0048】
回転電機100では、壁部7は、ロータ3の径方向におけるロータ3と呼吸孔13aとの間に位置するように設けられた第1壁部7aと、ロータ3の径方向において呼吸孔13aを挟んで第1壁部7aと対向するように設けられた第2壁部7bと、第1壁部7aと第2壁部7bとの回転軸側の端部を接続する第3壁部7cと、を有する。
【0049】
この構成では、ロータ3の回転に伴ってオイルが飛んできても、壁部7にオイルがあたることで、呼吸孔13aにオイルが侵入することを防止できる。
【0050】
回転電機100では、第1壁部7aは、回転軸Oから離間する方向に向かって下り傾斜となるように形成される。
【0051】
この構成では、壁部7内にオイルが侵入しても、オイルが重力によって第1壁部7aから排出される。これにより、壁部7内にオイルが滞留することを防止できる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態及び各変形例で説明した構成は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない。
【0053】
上記実施形態では、壁部7を第2カバー13に設けた場合を例に説明したが、これにかがいらず、壁部7を第1カバー12に設けるようにしてもよい。また、壁部7は、ロータ3の径方向におけるロータ3と呼吸孔13aとの間に位置する箇所に設けられていれば、例えば、第1壁部7aと第3壁部7cだけを設けるなど、必ずしもU字状でなくてもよい。
【0054】
また、第1カバー12、第2カバー13、第3カバー14、及び収容部11は、これらの組み合わせにおいて、適宜一体にしてもよい。
【0055】
上記実施形態では、回転電機100として、カラー部材6を設けた構成を例に説明したが、カラー部材6は必ずしも設ける必要はない。
【0056】
また、上記実施形態では、呼吸孔13aを、回転軸Oよりも上方の領域であって右側の領域(領域R)に設ける場合を例に説明したが、呼吸孔13aは、少なくとも、ロータ3よりも上方に設けられていればよい。
【符号の説明】
【0057】
100・・・回転電機,1・・・ハウジング.2・・・ステータ,3・・・ロータ,3a・・・側面,3b・・・側面,4・・・シャフト,6・・・カラー部材,6a・・・周壁部,6b・・・立壁部,6c・・・連通孔,7・・・壁部,7a・・・第1壁部,7b・・・第2壁部,7c・・・第3壁部,7d・・・開口部,11・・・収容部,11e・・・噴出孔,11f・・・噴出孔,12・・・第1カバー(第1カバー部),12c・・・噴出孔,13・・・第2カバー(第2カバー部),13a・・・呼吸孔,15・・・パイプ,21・・・ステータコア,22・・・ステータコイル,22a・・・コイルエンド部分,31・・・ロータコア,32・・・ロータコイル
図1
図2
図3
図4