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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186424
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】車載用スピーカユニット
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/02 20060101AFI20221208BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
H04R1/02 102B
H04R1/02 101B
B60R11/02 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094635
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】田島 直樹
(72)【発明者】
【氏名】牛谷 善哉
(72)【発明者】
【氏名】三井 康年
(72)【発明者】
【氏名】加藤 利文
(72)【発明者】
【氏名】藤本 健太
(72)【発明者】
【氏名】安達 政伸
【テーマコード(参考)】
3D020
5D017
【Fターム(参考)】
3D020BA10
3D020BB01
3D020BC06
3D020BD05
5D017AD11
5D017AE14
(57)【要約】
【課題】コストアップを抑制しつつ、音質の向上を図ること。
【解決手段】車載用スピーカユニットは、車体に組み込まれる箱体と、車室内側を向くように箱体に設けられた単一のスピーカと、箱体に接続され、箱体から下方に向かって延びる筒状部とを備え、筒状部は、下端部に車室内側を向くように構成された開口部を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に組み込まれる箱体と、
車室内側を向くように前記箱体に設けられた単一のスピーカと、
前記箱体に接続され、前記箱体から下方に向かって延びる筒状部と
を備え、
前記筒状部は、
下端部に前記車室内側を向くように構成された開口部を有する
ことを特徴とする車載用スピーカユニット。
【請求項2】
前記スピーカは、
低音域および中高音域の音を出力し、
前記開口部は、
前記スピーカが発生する低音域の音が共振することにより前記箱体の内部および前記筒状部の内部で発生した低音域の音を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の車載用スピーカユニット。
【請求項3】
前記開口部は、
前記箱体の内部形状および前記筒状部の内部形状に応じて生成される目標の周波数域を有する前記低音域の音を出力する
ことを特徴とする請求項2に記載の車載用スピーカユニット。
【請求項4】
前記車体が有する内装パネルに組み込まれ、
前記スピーカは、
前記内装パネルの上部に前記車室内側を向くよう配置され、
前記開口部は、
前記内装パネルの下部に前記車室内側を向くよう配置される
ことを特徴とする請求項2または3に記載の車載用スピーカユニット。
【請求項5】
前記内装パネルは、インナードアパネルである
ことを特徴とする請求項4に記載の車載用スピーカユニット。
【請求項6】
前記箱体は、
前記内装パネルの裏側の余剰空間に収まる外形状を有する
ことを特徴とする請求項4または5に記載の車載用スピーカユニット。
【請求項7】
前記スピーカと前記内装パネルとの間に設けられた第1の緩衝部材と、
前記開口部と前記内装パネルとの間に設けられた第2の緩衝部材とを備える
ことを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載の車載用スピーカユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用スピーカユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、高性能の音質を確保するために複数のスピーカを車両のドア部のインナーパネルに取り付ける技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-330964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の技術は、複数のスピーカをドア部のインナーパネルに取り付ける必要があるため、コストが増加する虞がある。また、特許文献1に開示の技術は、ドア部のインナーパネルに2つのスピーカを互いに近接して設置するため、車室内で座席に着座している視聴者に対して、良好な音質の音を提供できない虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、一実施形態に係る車載用スピーカユニットは、車体に組み込まれる箱体と、車室内側を向くように箱体に設けられた単一のスピーカと、箱体に接続され、箱体から下方に向かって延びる筒状部とを備え、筒状部は、下端部に車室内側を向くように構成された開口部を有する。
【発明の効果】
【0006】
一実施形態に係る車載用スピーカユニットによれば、コストアップを抑制しつつ、音質の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る車載用スピーカユニットの外観斜視図
図2】一実施形態に係る車載用スピーカユニットの平面図
図3】一実施形態に係る車載用スピーカユニットのA-A断面線による断面図
図4】一実施形態に係る車載用スピーカユニットのインナードアパネルへの設置例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
【0009】
(車載用スピーカユニット100の構成)
図1は、一実施形態に係る車載用スピーカユニット100の外観斜視図である。図2は、一実施形態に係る車載用スピーカユニット100の平面図である。図3は、一実施形態に係る車載用スピーカユニット100のA-A断面線(図2参照)による断面図である。
【0010】
図1図3に示す車載用スピーカユニット100は、各種車両(例えば、ガソリンエンジン自動車、ディーゼルエンジン自動車、ハイブリッド自動車、電気自動車等)に搭載される。
【0011】
車載用スピーカユニット100は、車両の車体に組み込まれる。特に、車載用スピーカユニット100は、車両の車体が有する右リアドアのインナードアパネル10に組み込まれる。車載用スピーカユニット100は、車両に搭載されたオーディオ機器に接続され、オーディオ機器から供給される音信号に応じて、音を出力する。
【0012】
なお、本実施形態では、便宜上、車両の前後方向に対応する方向を前後方向(X軸方向)とし、車両の左右方向に対応する方向を左右方向(Y軸方向)とし、車両の上下方向に対応する方向を上下方向(Z軸方向)とする。
【0013】
図1図3に示すように、車載用スピーカユニット100は、箱体110、スピーカ120、および筒状部130を備える。
【0014】
<箱体110>
箱体110は、閉塞した内部空間111(図3参照)を有する、樹脂製(例えば、PP(polypropylene)製)且つ箱状の部材である。箱体110は、車室内側ケース部110Aと車室外側ケース部110Bとに2分割可能に構成されている。箱体110は、車室内側(Y軸負側)となる車室内側ケース部110Aと、車室外側(Y軸正側)となる車室外側ケース部110Bとが互いに嵌め合わされた状態で、両者が複数のネジによってネジ止め固定されることにより、図1図3に示すように箱状となる。
【0015】
箱体110は、当該箱体110の設置場所に応じた外形状を有する。例えば、本実施形態では、箱体110は、車両の右リアドアのインナードアパネル10の内部(上部)に設置されるため、インナードアパネル10の内部(上部)の余剰空間に収まる外形状を有するものとなっている。
【0016】
例えば、箱体110の上部は、平面視において概ね横長の長方形状を有するが、インナードアパネル10の内部(上部)の設置物を回避できるように、上側(Z軸正側)且つ後側(X軸負側)の角部が切り欠かれた形状を有するものとなっている。
【0017】
また、例えば、箱体110の下部は、インナードアパネル10の内部(上部)の余剰空間に沿って、前方(X軸正方向)且つ下方(Z軸負方向)に向かって湾曲した湾曲形状を有するものとなっている。
【0018】
また、例えば、箱体110は、インナードアパネル10の内部(上部)の余剰空間に収まるように、全体的に車両の横幅方向に対応する方向(Y軸方向)の厚さが薄くなっている。
【0019】
これにより、箱体110は、インナードアパネル10の内部(上部)の余剰空間を有効利用でき、すなわち、インナードアパネル10を設計変更することなく、右リアドアのインナードアパネル10の内部(上部)に設置可能である。
【0020】
<スピーカ120>
スピーカ120は、箱体110に車室内側(Y軸負側)を向くように設けられる。具体的には、箱体110の車室内側ケース部110Aの表面には、車室内側(Y軸負側)に向かって突出したスピーカ保持部112が形成されている。スピーカ保持部112は、概ね円筒形状を有する。スピーカ120は、箱体110の内部空間111側から、車室内側を向くように、スピーカ保持部112の内部に設置される。この際、スピーカ120は、その円形の外周縁部が、スピーカ保持部112が有する円形のスピーカ開口部112Aの内周縁部に対して密着するように、スピーカ保持部112に固定される。
【0021】
スピーカ120は、箱体110の背部に設けられた図示されないコネクタを介して、ケーブル(図示省略)に接続され、さらに当該ケーブルを介して、車両に搭載されたオーディオ機器に接続される。これにより、スピーカ120は、オーディオ機器から供給される音信号によって駆動される。
【0022】
スピーカ120は、例えば、振動板、マグネット、ボイスコイル等を備えて構成されており、音信号に応じて振動板が振動することによって、音信号に応じた音を出力する。本実施形態では、スピーカ120として、低音域および中高音域の音を出力することが可能な中高音域スピーカを用いている。これに応じて、スピーカ120は、中高音域の音の出力に好適な直径(一例として、5.5cm)を有するものとなっている。
【0023】
なお、スピーカ保持部112におけるスピーカ開口部112Aの周縁部には、当該周縁部に沿った円環状の第1の緩衝部材113が設けられている。第1の緩衝部材113は、スピーカ開口部112Aの周縁部と、インナードアパネル10との間に挟み込まれることにより、スピーカ開口部112Aの周縁部をインナードアパネル10に密着させて、スピーカ開口部112Aの周縁部からインナードアパネル10に伝わる振動を抑制する、スピーカ開口部112Aからドアの内部への音漏れを抑制する、等の効果を奏する。
【0024】
<筒状部130>
筒状部130は、上下方向(Z軸方向)に略直線状に延在する、樹脂製(例えば、PP製)且つ筒状の部材である。筒状部130は、その上端部が、箱体110の下端部に接続されている。具体的には、筒状部130は、図3に示すように、その上端部が、箱体110の下端部に形成されている開口部114に挿し込まれた状態で、箱体110の内部で箱体110の車室内側ケース部110Aにネジ止め固定される。これにより、筒状部130は、箱体110の下端部から下方に向かって延びるように設けられる。筒状部130は、筒内空間130A(図3参照)を有しており、当該筒内空間130Aは、箱体110の内部空間111と繋がっている。
【0025】
筒状部130は、その下端部に、車室内側(Y軸負側)を向くように構成された開口部131を有する。開口部131は、筒内空間130Aと繋がっている。これにより、車載用スピーカユニット100は、箱体110の内部空間111から筒内空間130Aを伝搬する音(すなわち、スピーカ120が発生する低音域の音が共振することにより箱体110の内部および筒状部130の内部で発生した低音域の音)を、開口部131から車室内側(Y軸負側)に向けて出力できるようになっている。
【0026】
特に、本実施形態の車載用スピーカユニット100は、箱体110の内部空間111および筒状部130の筒内空間130Aにおいて、ヘルムホルツ共振を発生させて、特定の低音域の音を、開口部131から出力できるように構成されている。具体的には、本実施形態の車載用スピーカユニット100は、70Hzを中心周波数とする低音域(特定の低音域の一例)の音を開口部131から出力できるように、箱体110および筒状部130の形状(特に、内容積、筒状部130の長さ、筒状部130の内径)とが、シミュレーションおよび聴感評価によって求められている。
【0027】
すなわち、本実施形態の車載用スピーカユニット100は、箱体110および筒状部130の形状を変更することにより、開口部131から出力される低音域の音の周波数域を、狙いの周波数域に調整できる。例えば、筒状部130の長さをより長くすることによって、開口部131から出力される音を、より低音域化することができ、筒状部130の内径をより小さくすることによって、開口部131から出力される音を、より低音域化することができる。
【0028】
本実施形態では、筒状部130は、箱体110とは別部品であるが、これに限らず、筒状部130は、箱体110と一体的に形成されてもよい。また、本実施形態では、筒状部130は、楕円筒状を有しているが、これに限らず、筒状部130は、その他の筒状(例えば、円筒状、四角筒状等)を有するものであってもよい。
【0029】
なお、筒状部130における開口部131の周縁部には、当該周縁部に沿った楕円環状の第2の緩衝部材132が設けられている。第2の緩衝部材132は、開口部131の周縁部と、インナードアパネル10との間に挟み込まれることにより、開口部131の周縁部をインナードアパネル10に密着させて、開口部131の周縁部からインナードアパネル10に伝わる振動を抑制する、開口部131からドアの内部への音漏れを抑制する、等の効果を奏する。
【0030】
(車載用スピーカユニット100の設置例)
図4は、一実施形態に係る車載用スピーカユニット100のインナードアパネル10への設置例を示す図である。
【0031】
図4に示すインナードアパネル10は、車両の右リアドア用のインナードアパネル10である。図4に示すように、インナードアパネル10は、前部且つ上部に上側開口部11を有する。また、図4に示すように、インナードアパネル10は、前部且つ下部に下側開口部12を有する。
【0032】
一実施形態に係る車載用スピーカユニット100は、インナードアパネル10の裏側(すなわち、車室外側(Y軸正側))の所定の位置に設置される。これにより、図4に示すように、車載用スピーカユニット100のスピーカ120は、インナードアパネル10の上側開口部11に配置される。また、図4に示すように、車載用スピーカユニット100の開口部131は、インナードアパネル10の下側開口部12に配置される。
【0033】
なお、図4に示すように、車載用スピーカユニット100は、箱体110の外縁部と、筒状部130の外縁部とに、複数の取り付け部140が設けられている。各取り付け部140には、取り付け孔141が形成されている。車載用スピーカユニット100は、インナードアパネル10の裏側の所定の位置に配置された状態で、複数の取り付け孔141の各々を貫通する複数のネジ(図示省略)の各々によって、インナードアパネル10の裏側に対してネジ止め固定される。
【0034】
(車載用スピーカユニット100の動作)
一実施形態に係る車載用スピーカユニット100は、図4に示すようにインナードアパネル10に設置されることにより、オーディオ機器から音信号が供給されたとき、箱体110の上部に設けられているスピーカ120から、インナードアパネル10の上側開口部11を通じて、当該音信号に応じた主に中高音域の音を、車室内側(Y軸負側)に向けて出力できる。
【0035】
このとき、一実施形態に係る車載用スピーカユニット100は、スピーカ120の振動によって、箱体110の内部空間111および筒状部130の筒内空間130Aにおいて、ヘルムホルツ共振を発生させて、上記音信号に応じた特定の低音域(一例として、70Hzを中心周波数とする低音域)の音を発生させることができる。そして、一実施形態に係る車載用スピーカユニット100は、当該特定の低音域の音を、筒内空間130Aを下方(Z軸負方向)に向けて伝搬させて、筒状部130の下部に設けられている開口部131から、インナードアパネル10の下側開口部12を通じて、車室内側(Y軸負側)に向けて出力できる。
【0036】
これにより、一実施形態に係る車載用スピーカユニット100は、単一のスピーカ120を有する比較的簡易な構成により、車室内で後部座席に着座している視聴者の頭部の近傍に向けて、主に中高音域の音を出力できるとともに、車室内で後部座席に着座している視聴者の足元の近傍に向けて、特定の低音域の音を出力できる。したがって、一実施形態に係る車載用スピーカユニット100によれば、コストアップを抑制しつつ、音質の向上を図ることができる。
【0037】
また、図4に示すように、インナードアパネル10の裏側且つ前部には、余剰空間13が生じており、一実施形態に係る車載用スピーカユニット100は、当該余剰空間13に収まる外形状を有する。これにより、一実施形態に係る車載用スピーカユニット100は、インナードアパネル10を設計変更することなく、インナードアパネル10に設置可能である。なお、余剰空間13とは、車載用スピーカユニット100の設置の阻害要因となる部品および構造物等を有しない空間である。
【0038】
なお、車両には、右リアドアのインナードアパネル10(図4参照)と、左リアドアのインナードアパネル(図示省略)との各々に対し、左右一対の車載用スピーカユニット100の各々が設置され得る。この場合、右リアドアのインナードアパネル10と、左リアドアのインナードアパネルとには、互いに左右対称構造を有する一対の車載用スピーカユニット100が設置され得る。この場合、左右一対の車載用スピーカユニット100は、車室内で後部座席に着座している視聴者の頭部の近傍に向けて、左右両方向から主に中高音域の音を出力できるとともに、車室内で後部座席に着座している視聴者の足元の近傍に向けて、左右両方向から特定の低音域の音を出力できる。
【0039】
以上説明したように、一実施形態に係る車載用スピーカユニット100は、車体に組み込まれる箱体110と、車室内側を向くように箱体110に設けられた単一のスピーカ120と、箱体110に接続され、箱体110から下方に向かって延びる筒状部130とを備え、筒状部130は、下端部に車室内側を向くように構成された開口部131を有する。
【0040】
これにより、一実施形態に係る車載用スピーカユニット100は、単一のスピーカ120を有する比較的簡易な構成により、スピーカ120から車室内の比較的高い位置に向けて、第1の音域の音を出力できるとともに、開口部131から車室内の比較的低い位置に向けて、第1の音域とは異なる第2の音域の音を出力できる。したがって、一実施形態に係る車載用スピーカユニット100によれば、コストアップを抑制しつつ、音質の向上を図ることができる。
【0041】
特に、一実施形態に係る車載用スピーカユニット100において、スピーカ120は、低音域および中高音域の音を出力し、開口部131は、スピーカ120が発生する低音域の音が共振することにより箱体110の内部および筒状部130の内部で発生した低音域の音を出力する。
【0042】
これにより、一実施形態に係る車載用スピーカユニット100は、単一のスピーカ120を有する比較的簡易な構成により、スピーカ120から車室内の比較的高い位置に向けて、中高音域の音を出力できるとともに、開口部131から車室内の比較的低い位置に向けて、低音域の音の音を出力できる。したがって、一実施形態に係る車載用スピーカユニット100によれば、コストアップを抑制しつつ、音質の向上を図ることができる。
【0043】
また、一実施形態に係る車載用スピーカユニット100において、開口部131は、箱体110の内部形状および筒状部130の内部形状に応じて生成される目標の周波数域を有する低音域の音を出力する。
【0044】
これにより、一実施形態に係る車載用スピーカユニット100は、箱体110および筒状部130の内部形状を変更することにより、開口部131から出力される低音域の音の周波数域を、目標の周波数域に調整できる。
【0045】
また、一実施形態に係る車載用スピーカユニット100は、車体が有するドアのインナードアパネル10に組み込まれ、スピーカ120は、インナードアパネル10の上部に車室内側を向くよう配置され、開口部131は、インナードアパネル10の下部に車室内側を向くよう配置される。
【0046】
これにより、一実施形態に係る車載用スピーカユニット100は、単一のスピーカ120を有する比較的簡易な構成により、スピーカ120から車室内で座席に着座している視聴者の頭部の近傍に向けて、中高音域の音を出力できるとともに、開口部131から車室内で座席に着座している視聴者の足元の近傍に向けて、低音域の音を出力できる。したがって、一実施形態に係る車載用スピーカユニット100によれば、コストアップを抑制しつつ、音質の向上を図ることができる。
【0047】
加えて、一実施形態に係る車載用スピーカユニット100は、スピーカ120を箱体110に設けているため、スピーカ120の発生する音のドアの内部への音漏れを抑制することができる。
【0048】
また、一実施形態に係る車載用スピーカユニット100において、箱体110は、インナードアパネル10の裏側の余剰空間13に収まる外形状を有する。
【0049】
これにより、一実施形態に係る車載用スピーカユニット100は、インナードアパネル10を設計変更することなく、インナードアパネル10の裏側に設置することができる。したがって、一実施形態に係る車載用スピーカユニット100によれば、コストアップを抑制しつつ、音質の向上を図ることができる。
【0050】
また、一実施形態に係る車載用スピーカユニット100は、スピーカ120とインナードアパネル10との間に設けられた第1の緩衝部材113と、開口部131とインナードアパネル10との間に設けられた第2の緩衝部材132とを備える。
【0051】
これにより、一実施形態に係る車載用スピーカユニット100は、スピーカ120および開口部131からインナードアパネル10に伝わる振動を抑制する、スピーカ120および開口部131からドアの内部への音漏れを抑制する、等の効果を奏する。
【0052】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【0053】
例えば、一実施形態に係る車載用スピーカユニット100は、車体のリアドアのインナードアパネルに限らず、車体のその他の部分(例えば、フロントドアのインナードアパネル、インナードアパネル以外の内装パネル等)に設置されてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10 インナードアパネル(内装パネル)
100 車載用スピーカユニット
110 箱体
110A 車室内側ケース部
110B 車室外側ケース部
111 内部空間
112 スピーカ保持部
112A スピーカ開口部
113 第1の緩衝部材
114 開口部
120 スピーカ
130 筒状部
130A 筒内空間
131 開口部
132 第2の緩衝部材
140 取り付け部
141 取り付け孔
図1
図2
図3
図4