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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186430
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】車両の制御システム
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20221208BHJP
   B60R 16/023 20060101ALI20221208BHJP
   B60W 20/50 20160101ALI20221208BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20221208BHJP
【FI】
B60R16/02 650J
B60R16/023 Z
B60W20/50 ZHV
B60L3/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094651
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】服部 祐典
【テーマコード(参考)】
3D202
5H125
【Fターム(参考)】
3D202BB00
3D202CC00
3D202CC89
3D202DD00
3D202DD10
5H125AA01
5H125AC08
5H125AC12
5H125CC04
5H125CD04
5H125EE47
5H125EE68
(57)【要約】
【課題】スイッチ状態がオン状態である状況下でメインリレーがオフになった要因が、スタートスイッチが操作されたことであるのか否かを第2制御装置で特定できるようにすること。
【解決手段】制御システムの制御装置31は、スタートスイッチの操作回数に関する回数情報及びメインリレーの状態に関するメインリレー情報を通信サイクル毎に第2制御装置としてのDCM40に送信する。DCM40は、受信した回数情報を基に、操作回数を把握する回数把握処理M23と、受信したメインリレー情報を基に、メインリレーの状態を把握するメインリレー状態把握処理M22と、メインリレー状態把握処理M22で把握するメインリレーの状態がオンからオフに移行した場合、回数把握処理M23で把握する操作回数を基に、上記移行の発生要因が、スタートスイッチが操作されたためであるか否かを判定する要因判定処理M25とを実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインリレーと、第1制御装置と、車外のサーバと通信する機能を有する第2制御装置と、を備える車両の制御システムであって、
前記第1制御装置は、
前記メインリレーがオンであるか、又は当該メインリレーがオフであるかを監視するリレー監視処理と、
車両のスタートスイッチが操作された回数である操作回数を数える計数処理と、
前記スタートスイッチが操作されると切り替わる状態であるスイッチ状態を監視するスイッチ監視処理と、
前記計数処理で数えた前記操作回数に関する回数情報、及び、前記リレー監視処理で監視する前記メインリレーの状態に関するメインリレー情報を、所定の通信サイクル毎に前記第2制御装置に送信する送信処理と、を実行し、
前記スイッチ状態がオフ状態であるときに前記スタートスイッチが操作されると前記スイッチ状態がオン状態となり、前記スイッチ状態がオン状態であるときに前記スタートスイッチが操作されると前記スイッチ状態がオフ状態となり、
前記スイッチ状態がオフ状態からオン状態に切り替わると、前記メインリレーがオンとなり、前記スイッチ状態がオン状態からオフ状態に切り替わると、前記制御システムを停止するための停止処理が実行されて前記メインリレーがオフとなるようになっており、
前記第2制御装置は、
前記第1制御装置が送信した前記回数情報を基に、前記操作回数を把握する回数把握処理と、
前記第1制御装置が送信した前記メインリレー情報を基に、前記メインリレーの状態を把握するメインリレー状態把握処理と、
前記メインリレー状態把握処理で把握する前記メインリレーの状態がオンからオフに移行した場合、前記回数把握処理で把握する前記操作回数を基に、前記メインリレーの状態のオンからオフへの移行の発生要因が、前記スタートスイッチが操作されたためであるか否かを判定する要因判定処理と、を実行する
車両の制御システム。
【請求項2】
前記第2制御装置は、前記回数把握処理において、前記メインリレー状態把握処理で把握する前記メインリレーの状態がオフからオンに移行した時点の前記操作回数をオン時把握操作回数として取得し、
前記第2制御装置は、前記要因判定処理において、前記メインリレーがオフになった時点において前記回数把握処理で把握する前記操作回数が前記オン時把握操作回数よりも多くない場合には、前記移行の発生要因が、前記スタートスイッチが操作されたためではないと判定する
請求項1に記載の車両の制御システム。
【請求項3】
前記第1制御装置は、前記送信処理において、前記スイッチ監視処理で監視する前記スイッチ状態に関するスイッチ状態情報も前記通信サイクル毎に前記第2制御装置に送信し、
前記第2制御装置は、
前記第1制御装置が送信した前記スイッチ状態情報を基に、前記スイッチ状態を把握するスイッチ状態把握処理を実行し、
前記スイッチ状態把握処理で把握する前記スイッチ状態がオン状態である場合に前記メインリレー状態把握処理で把握する前記メインリレーの状態がオンからオフに移行すると、前記要因判定処理を実行し、
前記第2制御装置は、前記要因判定処理において、前記メインリレーがオフになった時点において前記回数把握処理で把握する前記操作回数が前記オン時把握操作回数よりも多い場合には、前記移行の発生要因が、前記スタートスイッチが操作されたためであると判定する
請求項2に記載の車両の制御システム。
【請求項4】
前記第2制御装置は、前記要因判定処理において、前記メインリレー状態把握処理で把握する前記メインリレーの状態がオンである間の前記操作回数が偶数である場合には、前記移行の発生要因が、前記スタートスイッチが操作されたためであると判定する
請求項1に記載の車両の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の制御装置を備える車両の制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の制御装置を備える制御システムの一例が記載されている。複数の制御装置のうちの1つは、エンジンの制御を司るエンジン制御装置である。エンジン制御装置は、エンジンの運転を制御している場合にはスリープ否定信号を出力する。一方、エンジン制御装置は、エンジンの運転を停止させている場合にはスリープ否定信号の出力を停止する。その他の制御装置も、エンジン制御装置と同様に、制御対象を制御している場合にはスリープ否定信号を出力する。そのため、エンジン制御装置を含む複数の制御装置の何れにおいてもスリープ否定信号の出力が停止されている場合、制御システムをスリープ状態にすることができる。
【0003】
イグニッションの状態がオン状態であってもエンジンの運転が停止することがある。例えばエンジンのアクチュエータに異常が発生したため、エンジンの運転が停止してしまう可能性がある。そこで、イグニッションの状態がオン状態であるにも拘わらずエンジンの運転が停止している状態の継続時間が所定時間に達した場合、エンジン制御装置は、スリープ否定信号の出力を継続するようにしている。こうしてエンジンの運転が停止しているにも拘わらず、スリープ否定信号の出力が継続していることにより、異常が発生していることが分かるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-318924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年では、DCMを備える車両の開発が進められている。DCMとは、「Data Communication Module」である。DCMは、DCM以外の他の車載の制御装置が送信した各種の情報を受信する。すなわち、他の制御装置は所定の通信サイクル毎に情報を送信し、当該情報をDCMが受信する。また、DCMは、受信した情報を車外のサーバに送信する。これにより、DCM及びサーバが、車両状態を把握できる。
【0006】
ところで、ハイブリッド車両などの電動車両は、当該電動車両を制御する制御システムを備えている。電動車両のスタートスイッチが操作されると、制御システムが起動したり、制御システムが停止したりする。
【0007】
図4には、ユーザがスタートスイッチを操作した際のタイミングチャートが図示されている。図4では、上記の通信サイクルの時間の長さとして、サイクル時間TMsが設定されている。
【0008】
例えば、スタートスイッチは、モーメンタリスイッチである。そのため、スタートスイッチが操作されている場合にはスタートスイッチの出力信号のレベルであるスタート信号レベルが「High」となり、スタートスイッチが操作されていない場合にはスタート信号レベルが「Low」となる。図4(A),(B),(C)に示すように制御システムが停止している状態のタイミングt11でスタートスイッチが操作されると、スタート信号レベルが「High」となる。このようにスイッチ状態がオフ状態のときにスタート信号レベルが「Low」から「High」に変化すると、スイッチ状態がオフ状態からオン状態に切り替わる。スイッチ状態がオン状態に切り替わると、制御システムのメインリレーがオンとなる。
【0009】
メインリレーがオンであって制御システムが起動している場合のタイミングt12でスタートスイッチが操作されると、スタート信号レベルが「Low」から「High」に切り替わる。このときには、スイッチ状態はオン状態になっている。スイッチ状態がオン状態のときにスタート信号レベルが「Low」から「High」に変化すると、スイッチ状態がオン状態からオフ状態に切り替わる。スイッチ状態がオフ状態に切り替わると、制御システムでは停止処理が開始される。その結果、停止処理の実行によって、タイミングt13でメインリレーがオフとなり、制御システムが停止する。
【0010】
その後のタイミングt14でスタートスイッチが操作されると、スイッチ状態がオン状態に切り替わる。すると、メインリレーがオンとなり、制御システムが起動する。このように制御システムが起動している状況下のタイミングt15でスタートスイッチが操作されると、スイッチ状態がオフ状態に切り替わるため、制御システムでは停止処理が開始される。停止処理が実行されている最中のタイミングt16で、スタートスイッチが操作されることがある。この場合、スイッチ状態がオン状態に切り替わるものの、停止処理は継続される。その結果、その後のタイミングt17では、スイッチ状態がオン状態であるにも拘わらず、メインリレーがオフになって制御システムが停止する。
【0011】
一方、制御システムが起動している状況下で制御システム自体に何らかの異常が発生した場合などでは、車両の安全性を確保する目的で、スタートスイッチが操作されていなくてもメインリレーがオフにされることがある。この場合、スタートスイッチが操作されていないため、スイッチ状態がオン状態のままでメインリレーがオフになる。
【0012】
スイッチ状態に関する情報、及び、メインリレーがオンであるか否かに関する情報を、通信サイクル毎にDCMが受信する場合を考える。この場合、DCMが把握できるスイッチ状態及びメインリレーの状態は、通信サイクル毎に更新されることになる。
【0013】
上記のように停止処理の実行中にスタートスイッチが操作された場合、スタート信号レベルが「High」になることによって、スイッチ状態がオン状態に切り替わる。そして、停止処理の実行によって、メインリレーはやがてオフになる。そのため、停止処理の実行中にスタートスイッチが操作された場合、DCMが把握するスイッチ状態がオン状態であるにも拘わらず、メインリレーがオフになることがある。DCMが把握するスイッチ状態がオン状態であるにも拘わらず、メインリレーがオフになることは、上述したように制御システム自体に何らかの異常が発生してメインリレーがオフになった場合にも起こり得る。そのため、スイッチ状態がオン状態である状況下でメインリレーがオフになった要因が、停止処理の実行中にスタートスイッチが操作されたことであるのか否かをDCM及びサーバでは特定できないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するための車両の制御システムは、メインリレーと、第1制御装置と、車外のサーバと通信する機能を有する第2制御装置と、を備えるシステムである。前記第1制御装置は、前記メインリレーがオンであるか、又は当該メインリレーがオフであるかを監視するリレー監視処理と、車両のスタートスイッチが操作された回数である操作回数を数える計数処理と、前記スタートスイッチが操作されると切り替わる状態であるスイッチ状態を監視するスイッチ監視処理と、前記計数処理で数えた前記操作回数に関する回数情報、及び、前記リレー監視処理で監視する前記メインリレーの状態に関するメインリレー情報を、所定の通信サイクル毎に前記第2制御装置に送信する送信処理と、を実行する。前記スイッチ状態がオフ状態であるときに前記スタートスイッチが操作されると前記スイッチ状態がオン状態となり、前記スイッチ状態がオン状態であるときに前記スタートスイッチが操作されると前記スイッチ状態がオフ状態となる。前記スイッチ状態がオフ状態からオン状態に切り替わると、前記メインリレーがオンとなり、前記スイッチ状態がオン状態からオフ状態に切り替わると、前記制御システムを停止するための停止処理が実行されて前記メインリレーがオフとなるようになっている。前記第2制御装置は、前記第1制御装置が送信した前記回数情報を基に、前記操作回数を把握する回数把握処理と、前記第1制御装置が送信した前記メインリレー情報を基に、前記メインリレーの状態を把握するメインリレー状態把握処理と、前記メインリレー状態把握処理で把握する前記メインリレーの状態がオンからオフに移行した場合、前記回数把握処理で把握する前記操作回数を基に、前記メインリレーの状態のオンからオフへの移行の発生要因が、前記スタートスイッチが操作されたためであるか否かを判定する要因判定処理と、を実行する。
【0015】
上記構成では、第1制御装置は、スタートスイッチの操作回数に関する回数情報、及び、メインリレーの状態に関するメインリレー情報を、所定の通信サイクル毎に第2制御装置に送信する。そのため、第2制御装置では、第1制御装置から送信された情報を基に、メインリレーがオンであるか否か、及び、操作回数を把握できる。メインリレーがオンである間にスタートスイッチが操作されると、操作回数が変化する。操作回数が変化せずに、メインリレーがオフになった場合には、スタートスイッチの操作に起因していないメインリレーのオフであることが分かる。反対に、操作回数が変化した状態でメインリレーがオフになった場合には、スタートスイッチの操作に起因するメインリレーのオフであることが分かる。そのため、第2制御装置では、メインリレーの状態がオンからオフに移行した場合、回数把握処理で把握する操作回数を基に、メインリレーがオフになった要因が、スタートスイッチが操作されたためであるか否かを判定できる。
【0016】
したがって、上記構成によれば、スイッチ状態がオン状態である状況下でメインリレーがオフになった要因が、スタートスイッチが操作されたことであるのか否かを第2制御装置で特定できる。
【0017】
なお、このように第2制御装置でメインリレーがオフになった要因を特定できるため、第2制御装置と通信するサーバでも、当該要因を把握できる。
上記車両の制御システムの一態様において、前記第2制御装置は、前記回数把握処理において、前記メインリレー状態把握処理で把握する前記メインリレーの状態がオフからオンに移行した時点の前記操作回数をオン時把握操作回数として取得する。前記第2制御装置は、前記要因判定処理において、前記メインリレーがオフになった時点において前記回数把握処理で把握する前記操作回数が前記オン時把握操作回数よりも多くない場合には、前記移行の発生要因が、前記スタートスイッチが操作されたためではないと判定する。
【0018】
スタートスイッチが操作されない限り、第2制御装置で把握する操作回数は増大しない。そこで、上記構成によれば、メインリレーがオフになった時点において回数把握処理で把握する操作回数がオン時把握操作回数よりも多くない場合には、スイッチ状態がオン状態である状況下でメインリレーがオフになった要因が、スタートスイッチが操作されたためではないと判定できる。
【0019】
上記車両の制御システムの一態様において、前記第1制御装置は、前記送信処理において、前記スイッチ監視処理で監視する前記スイッチ状態に関するスイッチ状態情報も前記通信サイクル毎に前記第2制御装置に送信する。前記第2制御装置は、前記第1制御装置が送信した前記スイッチ状態情報を基に、前記スイッチ状態を把握するスイッチ状態把握処理を実行し、前記スイッチ状態把握処理で把握する前記スイッチ状態がオン状態である場合に前記メインリレー状態把握処理で把握する前記メインリレーの状態がオンからオフに移行すると、前記要因判定処理を実行する。そして、前記第2制御装置は、前記要因判定処理において、前記メインリレーがオフになった時点において前記回数把握処理で把握する前記操作回数が前記オン時把握操作回数よりも多い場合には、前記移行の発生要因が、前記スタートスイッチが操作されたためであると判定する。
【0020】
スイッチ状態がオフ状態である状況下でメインリレーがオフになった場合、スタートスイッチが操作されたために停止処理が実行され、メインリレーがオフになったと分かる。一方、スイッチ状態がオン状態である状況下でメインリレーがオフになった場合、スタートスイッチが操作されたためにメインリレーがオフになった可能性もあれば、スタートスイッチが操作されていないにも拘わらずメインリレーがオフになった可能性もある。そこで、上記構成では、スイッチ状態がオンである状況下でメインリレーがオフになった場合に要因判定処理が実行される。すなわち、スタートスイッチが操作されていないにも拘わらずメインリレーがオフになった可能性がある場合には、要因判定処理の実行によってメインリレーがオフになった要因を特定できる。
【0021】
なお、メインリレーがオンである間にスタートスイッチが操作されると、第2制御装置で把握する操作回数が更新される。すなわち、停止処理の実行中でもスタートスイッチが操作されると、第2制御装置が把握する操作回数が更新される。そのため、メインリレーがオフになった時点において回数把握処理で把握する操作回数がオン時把握操作回数よりも多い場合は、スタートスイッチが操作されたためにメインリレーがオフになったと判定できる。
【0022】
上記構成では、スイッチ状態把握処理で把握するスイッチ状態がオン状態である場合にメインリレー状態把握処理で把握するメインリレーの状態がオンからオフに移行すると、要因判定処理が実行される。そして、要因判定処理では、メインリレーがオフになった時点において回数把握処理で把握する操作回数がオン時把握操作回数よりも多い場合には、上記の移行の発生要因が、スタートスイッチが操作されたためであると判定される。したがって、上記の移行の発生要因を第2制御装置で特定できる。
【0023】
上記車両の制御システムの一態様において、前記第2制御装置は、前記要因判定処理において、前記メインリレーがオンである間の前記操作回数が偶数である場合には、前記移行の発生要因が、前記スタートスイッチが操作されたためであると判定する。
【0024】
メインリレー状態把握処理で把握するメインリレーの状態がオンである間の操作回数が偶数である場合、スタートスイッチが操作されたにも拘わらず、メインリレーがオフになった時点におけるスイッチ状態がオン状態である。一方、メインリレー状態把握処理で把握するメインリレーの状態がオンである間の操作回数が奇数である場合、メインリレーがオフになった時点におけるスイッチ状態がオフ状態である。そのため、第2制御装置では、メインリレー状態把握処理で把握するメインリレーの状態がオンである間の操作回数によって、スイッチ状態がオン状態であるかオフ状態であるかを把握できる。つまり、第2制御装置では、メインリレー状態把握処理で把握するメインリレーの状態がオンである間の操作回数が偶数である場合、スイッチ状態がオン状態である状況下でメインリレーがオフになったと判断できる。
【0025】
上記構成では、メインリレーの状態がオンからオフに移行すると、要因判定処理が実行される。要因判定処理では、スイッチ状態がオン状態である状況下でメインリレーの状態がオンからオフに移行したとしても、メインリレー状態把握処理で把握するメインリレーの状態がオンである間の操作回数が偶数である場合にはその移行の発生要因が、スタートスイッチが操作されたためであると判定される。したがって、上記の移行の発生要因を第2制御装置で特定できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】第1実施形態の制御システムを備える車両と、サーバとを示す模式図。
図2】制御装置の実行する処理と、DCMの実行する処理とを示すブロック図。
図3】(A)~(E)は、スタートスイッチが操作された際におけるタイミングチャート。
図4】(A)~(C)は、従来において、スタートスイッチが操作された際におけるタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1実施形態)
以下、車両の制御システムの第1実施形態を図1図3に従って説明する。
図1には、本実施形態の制御システム20を備える電動車両10と、車外に設置されているサーバ100とが図示されている。サーバ100は、電動車両10から送信された情報を受信する。サーバ100は、受信した情報を基に電動車両10の状態を監視できる。
【0028】
<電動車両10>
電動車両10は、例えば、動力源として電動モータ及びエンジンを備えるハイブリッド車両である。ハイブリッド車両以外の電動車両としては、電動モータ及びエンジンのうちの電動モータのみを動力源として備える車両がある。
【0029】
電動車両10は、スタートスイッチ11を備えている。スタートスイッチ11は、電動車両10のユーザが操作する操作部である。例えば、スタートスイッチ11は、モーメンタリスイッチである。この場合、スタートスイッチ11が操作されているときには、スタートスイッチ11の出力信号のレベルであるスタート信号レベルが「High」になる。スタートスイッチ11が操作されていないときには、スタート信号レベルが「Low」になる。スタートスイッチ11をユーザが操作することにより、制御システム20が起動したり、制御システム20が停止したりする。
【0030】
<制御システム20>
制御システム20は、メインリレー21を備えている。メインリレー21は、車載の高電圧電池と高電圧システムとの間で電流を流したり、電流の流れを遮断したりするスイッチ装置である。
【0031】
制御システム20は、車載のアクチュエータを制御する複数の制御装置31,32,…を備えている。
例えば、各制御装置31,32,…は、CPU及びROMを有している。ROMには、CPUが実行する各種の制御プログラムが記憶されている。
【0032】
各制御装置31,32,…のうち、制御装置31は、メインリレー21の状態を制御する。詳しくは後述するが、メインリレー21がオフであるときにスタートスイッチ11が操作されると、制御装置31は、メインリレー21をオンとし、制御システム20を起動させるための起動処理を開始する。起動処理の終了後においてメインリレー21がオンであるときにスタートスイッチ11が操作されると、制御装置31は、制御システム20を停止させるための停止処理を実行してメインリレー21をオフとする。本実施形態では、制御装置31が、「第1制御装置」に対応する。
【0033】
制御システム20は、DCM40を備えている。DCMとは、「Data Communication Module」である。例えば、DCM40は、CPU及びROMを有している。DCM40のROMには、DCM40のCPUが実行する各種の制御プログラムが記憶されている。
【0034】
DCM40は、CANバス41を介して各制御装置31,32,…が送信した情報を受信する。具体的には、各制御装置31,32,…は、所定の通信サイク毎に情報をCANバス41に送信する。そして、DCM40は、CANバス41を介して各制御装置31,32,…が送信した各種の情報を受信する。
【0035】
DCM40は、サーバ100と通信する機能を有している。例えば、DCM40は、CANバス41を介して受信した各種の情報をサーバ100に送信したり、当該各種の情報の解析結果に関する情報をサーバ100に送信したりする。本実施形態では、DCM40が、「第2制御装置」に対応する。
【0036】
<制御装置31が実行する処理>
図2に示すように、制御装置31は、リレー監視処理M11、計数処理M12及びスイッチ監視処理M13を実行する。
【0037】
制御装置31は、リレー監視処理M11において、メインリレー21の状態を監視する。すなわち、制御装置31は、メインリレー21がオンであるか、又はメインリレー21がオフであるかを監視する。
【0038】
制御装置31は、計数処理M12において、スタートスイッチ11が操作された回数である操作回数Cntを数える。例えば、制御装置31は、スタート信号レベルが「Low」から「High」に切り替わった回数を、操作回数Cntとして数える。なお、メインリレー21がオフになると、制御装置31は、操作回数Cntを0にリセットする。
【0039】
制御装置31は、スイッチ監視処理M13において、スタートスイッチ11が操作されると切り替わる状態であるスイッチ状態を監視する。スイッチ状態がオフ状態であるときにスタートスイッチ11が操作されると、スイッチ状態がオン状態となる。スイッチ状態がオン状態であるときにスタートスイッチ11が操作されると、スイッチ状態がオフ状態となる。制御装置31は、スイッチ監視処理M13において、スイッチ状態がオン状態であるかオフ状態であるかを監視する。
【0040】
制御装置31は、送信処理M14を実行する。制御装置31は、送信処理M14において、回数情報及びメインリレー情報を所定の通信サイクル毎にCANバス41を介してDCM40に送信する。回数情報とは、計数処理M12で数えた操作回数Cntに関する情報である。メインリレー情報は、リレー監視処理M11で監視するメインリレー21の状態に関する情報である。
【0041】
また、制御装置31は、送信処理M14において、回数情報及びメインリレー情報に加え、スイッチ状態情報も所定の通信サイクル毎にCANバス41を介してDCM40に送信する。スイッチ状態情報は、スイッチ監視処理M13で監視するスイッチ状態に関する情報である。
【0042】
<DCM40が実行する処理>
DCM40は、受信処理M21、メインリレー状態把握処理M22及び回数把握処理M23を実行する。
【0043】
DCM40は、受信処理M21において、各制御装置31,32,…がCANバス41に送信した各種の情報を受信する。すなわち、DCM40は、制御装置31が送信した回数情報、メインリレー情報及びスイッチ状態情報を、通信サイクル毎に受信する。
【0044】
DCM40は、メインリレー状態把握処理M22において、受信処理M21で受信したメインリレー情報を基に、メインリレー21の状態を把握する。すなわち、DCM40は、メインリレー情報を基に、メインリレー21がオンであるか、又は、メインリレー21がオフであるかを把握できる。DCM40が把握するメインリレー21の状態は、通信サイクル毎に更新される。なお、DCM40では、メインリレー状態把握処理M22で把握するメインリレーの状態の変化の推移がDCM40の記憶装置に記憶される。
【0045】
DCM40は、回数把握処理M23において、受信処理M21で受信した回数情報を基に、操作回数Cntを把握する。すなわち、DCM40は、メインリレー状態把握処理M22で把握するメインリレー21の状態がオンである間における操作回数を把握できる。DCM40が把握する操作回数Cntは、通信サイクル毎に更新される。DCM40が把握する操作回数Cntを、「把握操作回数CntA」という。なお、DCM40では、把握操作回数CntAの推移がDCM40の記憶装置に記憶される。
【0046】
また、DCM40は、回数把握処理M23において、メインリレー状態把握処理M22で把握するメインリレー21の状態がオフからオンに切り替わった時点の把握操作回数CntAをオン時把握操作回数CntA1として取得する。
【0047】
DCM40は、スイッチ状態把握処理M24を実行する。DCM40は、スイッチ状態把握処理M24において、受信処理M21で受信したスイッチ状態情報を基に、スイッチ状態を把握する。すなわち、DCM40は、スイッチ状態情報を基に、スイッチ状態がオン状態であるか、又はスイッチ状態がオフ状態であるかを把握できる。DCM40が把握するスイッチ状態は、通信サイクル毎に更新される。なお、DCM40では、スイッチ状態把握処理M24で把握するスイッチ状態の変化の推移がDCM40の記憶装置に記憶される。
【0048】
DCM40は、要因判定処理M25を実行する。すなわち、DCM40は、メインリレー状態把握処理M22で把握するメインリレー21の状態がオンからオフに移行すると、要因判定処理M25を実行する。本実施形態では、DCM40は、スイッチ状態把握処理M24で把握するスイッチ状態がオン状態である状況下でメインリレー状態把握処理M22で把握するメインリレー21の状態がオンからオフに移行すると、要因判定処理M25を実行する。
【0049】
DCM40は、要因判定処理M25において、メインリレー21がオンになってからオフになるまでの期間内における把握操作回数CntAの推移を基に、メインリレー21の状態のオンからオフへの移行の発生要因が、スタートスイッチ11が操作されたためであるか否かを判定する。本実施形態では、DCM40は、要因判定処理M25において、メインリレー21がオフになった時点の把握操作回数CntAがオン時把握操作回数CntA1よりも多い場合には、上記移行の発生要因が、スタートスイッチ11が操作されたためであると判定する。一方、DCM40は、要因判定処理M25において、メインリレー21がオフになった時点の把握操作回数CntAがオン時把握操作回数CntA1よりも多くない場合には、上記移行の発生要因が、スタートスイッチ11が操作されたためではないと判定する。
【0050】
なお、スタートスイッチ11が操作されていなくてもメインリレー21の状態がオンからオフに移行する場合もある。こうした場合としては、例えば、制御システム20自体に何らかの異常が発生した場合を挙げることができる。制御システム20自体に異常が発生した場合、安全性を確保する目的で、メインリレー21が自動的にオフにされることがある。この場合、スタートスイッチ11が操作されたわけではないため、スイッチ状態がオン状態であるままでメインリレー21がオフになる。
【0051】
DCM40は、通信処理M26を実行する。DCM40は、通信処理M26において、CANバス41を介して受信した各種の情報をサーバ100に送信する。また、DCM40は、受信した各種の情報の解析結果に関する情報をサーバ100に送信してもよい。例えば、DCM40は、要因判定処理M25の実行結果に関する情報をサーバ100に送信できる。
【0052】
<本実施形態における作用及び効果>
本実施形態の作用及び効果について説明する。図3では、上記の通信サイクルの時間の長さをサイクル時間TMsとしている。なお、制御装置31からDCM40に各種の情報を送信するタイミングを、送信タイミングという。
【0053】
図3(A)には、制御装置31で監視するメインリレー21の状態の推移が示されている。図3(B)には、スタート信号レベルの推移が示されている。図3(C)には、制御装置31で監視するスイッチ状態の推移が示されている。図3(D)には、制御装置31で監視する操作回数Cntの推移が示されている。図3(E)には、DCM40で把握する把握操作回数CntAの推移が示されている。
【0054】
図3に示す例では、制御システム20が停止している場合のタイミングt21でスタートスイッチ11が操作される。すると、スタート信号レベルが「Low」から「Higt」に切り替わる。これにより、スイッチ監視処理M13で監視するスイッチ状態がオフ状態からオン状態に切り替わる。スイッチ状態がオン状態に切り替わると、メインリレー21がオンとなり、制御システム20が起動する。
【0055】
また、スタートスイッチ11が操作されると、計数処理M12によって操作回数Cntが増大する。この場合、操作回数Cntが1になる。
タイミングt22が、タイミングt21でスタートスイッチ11の操作が開始されてから初めての送信タイミングとなる。そのため、タイミングt22が経過すると、DCM40で把握する把握操作回数CntAが0から1に変わる。DCM40で把握するスイッチ状態がオフ状態からオン状態に切り替わる。DCM40で把握するメインリレー21の状態がオフからオンに移行する。
【0056】
タイミングt23で、スタートスイッチ11が再び操作される。すると、計数処理M12によって操作回数Cntが増える。すなわち、操作回数Cntが2となる。スイッチ状態がオン状態である状況下でスタートスイッチ11が操作されたため、スイッチ状態がオフ状態に切り替わる。すると、停止処理が開始される。
【0057】
タイミングt24は、停止処理が開始されてから初めての送信タイミングとなる。タイミングt24では、停止処理が実行されており、メインリレー21が未だオンである。そのため、タイミングt24が経過すると、DCM40で把握する把握操作回数CntAが2になる。DCM40で把握するスイッチ状態がオフ状態に切り替わる。DCM40で把握するメインリレー21の状態がオンで維持される。
【0058】
その後のタイミングt25でメインリレー21がオフとなり、停止処理が終了される。すると、制御装置31では操作回数Cntが0にリセットされる。タイミングt25は、通信タイミングでもある。そのため、タイミングt25が経過すると、DCM40で把握する把握操作回数CntAが0になる。DCM40で把握するスイッチ状態がオフ状態で維持される。DCM40で把握するメインリレー21の状態がオンからオフに移行する。
【0059】
なお、この場合、DCM40で把握するスイッチ状態がオフ状態である状況下でメインリレー21がオフになったため、DCM40では、要因判定処理M25が実行されない。すなわち、この場合、スタートスイッチ11が操作されていないにも拘わらずメインリレー21がオフになったわけではないことは、把握操作回数CntAに基づかなくても分かる。そのため、DCM40では要因判定処理M25が実行されない。
【0060】
タイミングt26でスタートスイッチ11が操作される。スイッチ状態がオフ状態である状況下でスタートスイッチ11が操作されたため、スイッチ状態がオン状態に切り替わる。すると、メインリレー21がオンとなり、制御システム20が起動する。また、計数処理M12の実行によって操作回数Cntが1となる。
【0061】
タイミングt27は、タイミングt26でメインリレー21がオンとなってから初めての通信タイミングである。そのため、タイミングt27が経過すると、DCM40で把握する把握操作回数CntAが1になる。DCM40で把握するスイッチ状態がオン状態に切り替わる。DCM40で把握するメインリレー21の状態がオフからオンに移行する。なお、タイミングt27における把握操作回数CntAが、オン時把握操作回数CntA1である。
【0062】
制御システム20が起動している状況下におけるタイミングt28でスタートスイッチ11が操作されると、スイッチ状態がオフ状態になるため、停止処理が開始される。そして、タイミングt31でメインリレー21がオフになる。
【0063】
図3に示す例では、タイミングt28から開始された停止処理の実行中に、スタートスイッチ11が連続して何度も操作される。具体的には、3回連続してスタートスイッチ11が操作される。
【0064】
停止処理が実行されている最中にスタートスイッチ11が操作されても、停止処理は継続される。その結果、メインリレー21はオフになる。しかし、スタートスイッチ11が操作される毎に、スイッチ状態は切り替わる。上述したように、図3に示す例では3回連続してスタートスイッチ11が操作されるため、メインリレー21がオフになるタイミングt31ではスイッチ状態がオン状態である。すなわち、タイミングt31では、スイッチ状態がオン状態であるにも拘わらず、メインリレー21がオフとなる。
【0065】
タイミングt28とタイミングt31との間のタイミングt29は、通信タイミングである。タイミングt29では、制御装置31で取得している操作回数Cntが4であるため、DCM40で把握する把握操作回数CntAが4になる。DCM40で把握するスイッチ状態がオフ状態になる。DCM40で把握するメインリレー21がオンである。
【0066】
また、タイミングt29とタイミングt31との間のタイミングt30は、通信タイミングである。タイミングt29とタイミングt30との間でもスタートスイッチ11が操作されている。タイミングt30では、制御装置31で取得している操作回数Cntが5であるため、DCM40で把握する把握操作回数CntAが5になる。DCM40で把握するスイッチ状態がオフ状態からオン状態に切り替わる。DCM40で把握するメインリレー21がオンである。
【0067】
なお、タイミングt31でメインリレー21がオフになるため、その直前の通信タイミングであるタイミングt30の把握操作回数CntAが、メインリレー21がオフになった時点の把握操作回数CntAとなる。DCM40では、把握操作回数CntAの推移を記憶しているため、DCM40は、タイミングt30の把握操作回数CntAを把握している。
【0068】
その後のタイミングt32は、メインリレー21がオフになってから初めての通信タイミングである。そのため、タイミングt32が経過すると、DCM40で把握する把握操作回数CntAが0になる。DCM40で把握するスイッチ状態がオン状態である。DCM40で把握するメインリレー21がオフである。
【0069】
すなわち、タイミングt32では、スイッチ状態把握処理M24で把握するスイッチ状態がオン状態である状況下でメインリレー状態把握処理M22で把握するメインリレー21の状態がオンからオフに移行する。そのため、DCM40では、要因判定処理M25が実行される。
【0070】
この場合、メインリレー21がオフになった時点であるタイミングt31の把握操作回数CntAが5である。また、オン時把握操作回数CntA1が1である。すなわち、メインリレー21がオフになった時点の把握操作回数CntAがオン時把握操作回数CntA1よりも多い。そのため、DCM40は、要因判定処理M25において、メインリレー21の状態のオンからオフへの移行の発生要因が、スタートスイッチ11が操作されたためであると判定する。
【0071】
ここで、メインリレー21がオンである状況下で制御システム20自体で何からの異常が発生すると、スタートスイッチ11が操作されなくてもメインリレー21がオフにされることがある。この場合、スタートスイッチ11が操作されていないため、スイッチ状態はオン状態のままである。つまり、スイッチ状態把握処理M24で把握するスイッチ状態がオン状態である状況下でメインリレー状態把握処理M22で把握するメインリレー21の状態がオンからオフに移行する。そのため、DCM40では、要因判定処理M25が実行される。
【0072】
この場合、スタートスイッチ11は操作されていないため、メインリレー21がオフになった時点の把握操作回数CntAは、オン時把握操作回数CntA1よりも多くなっていない。そのため、DCM40は、要因判定処理M25において、メインリレー21の状態のオンからオフへの移行の発生要因が、スタートスイッチ11が操作されたためではないと判定する。
【0073】
したがって、本実施形態では、把握操作回数CntAを基に、メインリレー21の状態がオンからオフに移行した要因が、ユーザがスタートスイッチ11を操作したことであるか否かをDCM40で特定できる。その結果、DCM40から情報を受信できるサーバ100でも、当該要因を把握できる。
【0074】
(第2実施形態)
車両の制動システムの第2実施形態を図3に従って説明する。以下の説明においては、第1実施形態と相違している部分について主に説明するものとし、第1実施形態と同一又は相当する部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0075】
本実施形態では、制御装置31は、送信処理M14において、回数情報及びメインリレー情報を送信する一方で、スイッチ状態情報を送信しない。
DCM40は、受信処理M21において、回数情報、メインリレー情報及びスイッチ状態情報のうち、回数情報及びメインリレー情報のみを受信する。そのため、DCM40では、スイッチ状態を直接的に把握できない。
【0076】
また、DCM40は、メインリレー状態把握処理M22で把握するメインリレー21の状態がオンからオフに移行した場合に、要因判定処理M25を実行する。本実施形態では、DCM40は、要因判定処理M25において、メインリレー21がオフになった時点の把握操作回数CntAとオン時把握操作回数CntA1とを基に、メインリレー21の状態のオンからオフへの移行の発生要因が、スタートスイッチ11が操作されたためであるか否かを判定する。
【0077】
すなわち、スタートスイッチ11が操作されていないにも拘わらずメインリレー21がオフになった場合、メインリレー21の状態がオンであった期間中に把握操作回数CntAは増えないはずである。そのため、DCM40は、要因判定処理M25において、メインリレー21がオフになった時点の把握操作回数CntAがオン時把握操作回数CntA1よりも多くない場合、上記の移行の発生要因が、スタートスイッチ11が操作されたためではないと判定する。
【0078】
一方、スタートスイッチ11が操作されたためにメインリレー21がオフになった場合、メインリレー21の状態がオンであった期間中に把握操作回数CntAは増えたはずである。メインリレー21の状態がオンであった期間中におけるスタートスイッチ11の操作回数が偶数回である場合、スイッチ状態がオン状態である状況下でメインリレー21がオフになる。一方、メインリレー21の状態がオンであった期間中におけるスタートスイッチ11の操作回数が奇数回である場合、スイッチ状態がオフ状態である状況下でメインリレー21がオフになる。
【0079】
すなわち、DCM40では、メインリレー21がオフになった時点の把握操作回数CntAがオン時把握操作回数CntA1よりも多い場合、当該把握操作回数CntAとオン時把握操作回数CntA1との差分を基に、スイッチ状態を予測できる。例えば、当該差分が偶数である場合、DCM40は、スタートスイッチ11が操作されたにも拘わらず、メインリレー21がオフになった時点のスイッチ状態がオン状態であると予測できる。一方、当該差分が奇数である場合、DCM40は、メインリレー21がオフになった時点のスイッチ状態がオフ状態であると予測できる。
【0080】
したがって、DCM40は、要因判定処理M25において、メインリレー21がオフになった時点の把握操作回数CntAとオン時把握操作回数CntA1との差分が偶数である場合、上記の移行の発生要因が、スタートスイッチ11が操作されたためであると判定する。
【0081】
<本実施形態における作用及び効果>
ここでは、本実施形態における作用及び効果のうち、第1実施形態と相違する部分を中心に説明する。
【0082】
図3に示す例では、制御システム20が起動しているタイミングt28でスタートスイッチ11が操作される。そのため、停止処理が開始される。この停止処理の実行中にスタートスイッチ11が連続して操作される。
【0083】
図3に示す例では、停止処理の実行期間中にスタートスイッチ11が3回連続して操作される。すなわち、メインリレー21の状態がオンである期間中におけるスタートスイッチ11の操作回数は、停止処理を開始させるためのトリガーとなったスタートスイッチ11の操作と、停止処理の実行中における操作とを加えて4回となる。そのため、メインリレー21がオフになるタイミングt31では、スイッチ状態がオン状態である。すなわち、スイッチ状態がオン状態である状況下でメインリレー21の状態がオンからオフに移行する。
【0084】
本実施形態では、スイッチ状態情報が制御装置31からDCM40に送信されない。そのため、DCM40では、スイッチ状態を直接的に取得できない。そのため、DCM40では、メインリレー状態把握処理M22で把握するメインリレー21の状態がオンからオフに移行すると、要因判定処理M25が実行される。すなわち、タイミングt32で、要因判定処理M25が実行される。
【0085】
図3に示す例では、オン時把握操作回数CntA1が1である。メインリレー21がオフになるタイミングt31における把握操作回数CntAは5である。すなわち、メインリレー21がオフになった時点の把握操作回数CntAとオン時把握操作回数CntA1との差分が偶数である。そのため、DCM40は、要因判定処理M25において、上記の移行の発生要因が、スタートスイッチ11が操作されたためであると判定する。
【0086】
したがって、本実施形態では、制御装置31がスイッチ状態情報をDCM40に送信しない場合であっても、メインリレー21の状態がオンからオフに移行した要因をDCM40で特定できる。
【0087】
(変更例)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0088】
・要因判定処理M25では、メインリレー21の状態がオンからオフに移行した時点の把握操作回数CntAが1である場合、移行の発生要因が、スタートスイッチ11が操作されたためではないと判定してもよい。
【0089】
・上記第2実施形態において、要因判定処理M25では、メインリレー21の状態がオンからオフに移行した時点の把握操作回数CntAが1よりも大きく、且つ当該把握操作回数CntAが奇数である場合、移行の発生要因が、スタートスイッチ11が操作されたためであると判定してもよい。
【0090】
・上記第1実施形態において、要因判定処理M25では、メインリレー21の状態がオンからオフに移行した時点の把握操作回数CntAが1よりも大きい場合、移行の発生要因が、スタートスイッチ11が操作されたためであると判定してもよい。
【0091】
・上記第2実施形態において、上記の差分が奇数である場合、DCM40は、要因判定処理M25を実行しなくてもよいし、要因判定処理M25を実行してもよい。要因判定処理M25を実行する場合、DCM40は、移行の発生要因が、スタートスイッチ11が操作されたためであると判定することになる。
【0092】
・メインリレー21がオフになっても操作回数Cntを0にリセットしなくてもよい。
・スタートスイッチ11は、モーメンタリスイッチでなくてもよい。すなわち、オルタネイトスイッチをスタートスイッチ11として採用してもよい。この場合、スタート信号レベルが「High」である場合にはスイッチ状態がオン状態となり、スタート信号レベルが「Low」である場合にはスイッチ状態がオフ状態となる。
【0093】
・制御装置31,32,…は、CPUとROMとを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。すなわち、制御装置31,32,…は、以下(a)~(c)の何れかの構成であればよい。
(a)コンピュータプログラムに従って各種処理を実行する一つ以上のプロセッサを備えている。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROMなどのメモリを含んでいる。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリ、すなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含んでいる。
(b)各種処理を実行する一つ以上の専用のハードウェア回路を備えている。専用のハードウェア回路としては、例えば、特定用途向け集積回路、すなわちASIC又はFPGAを挙げることができる。なお、ASICは、「Application Specific Integrated Circuit」の略記であり、FPGAは、「Field Programmable Gate Array」の略記である。
(c)各種処理の一部をコンピュータプログラムに従って実行するプロセッサと、各種処理のうちの残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備えている。
【0094】
・DCM40は、CPUとROMとを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。すなわち、DCM40は、上記の(a)~(c)の何れかの構成であればよい。
・制御システム20が適用される車両は、電動車両10ではなくてもよい。メインリレー21、制御装置31及びDCM40を備える車両であれば、動力源としてエンジンのみを備える車両に、制御システム20を適用してもよい。
【符号の説明】
【0095】
10…電動車両
11…スタートスイッチ
20…制御システム
21…メインリレー
31…制御装置
40…DCM
100…サーバ
M11…リレー監視処理
M12…計数処理
M13…スイッチ監視処理
M14…送信処理
M22…メインリレー状態把握処理
M23…回数把握処理
M24…スイッチ状態把握処理
M25…要因判定処理
図1
図2
図3
図4