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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186446
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】水栓
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/05 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
E03C1/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094671
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】000242378
【氏名又は名称】株式会社KVK
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山田 篤則
(72)【発明者】
【氏名】長江 拓磨
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA03
2D060BA05
2D060BB03
2D060BC00
2D060BE00
2D060BF01
2D060CA04
(57)【要約】
【課題】ケースの開口に装着した開口カバーを外れにくくする。
【解決手段】通水部材と、前記通水部材を収納するとともに開口21を有するケース2と、を備えた水栓であって、前記開口21には開口カバー8が装着されており、前記開口カバー8は弾性変形可能な一対の係止部83を有し、前記各係止部83は前記開口21の開口縁212に係止する係止爪834を有し、前記開口カバー8は前記一対の係止部83の両係止爪834にて前記開口21に係止しており、前記一対の係止部83の内側にはケース2内に収納されたセンサカバー71が位置しており、前記係止爪834の前記開口21に対する解除ストロークαが、前記係止爪834を有する係止部83と前記ケース2内に収納されたセンサカバー71との間隔βよりも長い。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通水部材と、前記通水部材を収納するとともに開口を有するケースと、を備えた水栓であって、
前記開口には開口カバーが装着されており、
前記開口カバーは弾性変形可能な一対の係止部を有し、
前記各係止部は前記開口の開口縁に係止する係止爪を有し、前記開口カバーは前記一対の係止部の両係止爪にて前記開口に係止しており、
前記一対の係止部の内側にはケース内に収納された部材が位置しており、
前記係止爪の前記開口に対する解除ストロークが、前記係止爪を有する係止部と前記ケース内に収納された部材との間隔よりも長い
ことを特徴とする水栓。
【請求項2】
前記水栓は、前記ケースの下方に吐水口を有し、前記吐水口に差し出された手の有無を検知して吐水制御を行うものであり、
前記ケース内に収納された部材は、前記吐水口に差し出された手の有無を検知する検知センサであり、前記開口はセンサ用開口であることを特徴とする請求項1に記載の水栓。
【請求項3】
前記検知センサは発光素子と受光素子とを覆うセンサカバーを備え、前記センサカバーが前記一対の係止部が対向する内側に位置していることを特徴とする請求項2に記載の水栓。
【請求項4】
前記開口は前記ケースの下方に形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の水栓。
【請求項5】
前記開口カバーは熱可塑性樹脂にて一体成形されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケースを備えた水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
自動水栓は一定のエリアを対象とした検知センサを備えている。この検知エリアは例えば吐水口の近傍のエリアであり、吐水口に差し出された手等を検知することができる。そして、検知センサが手等を検知した場合には制御部により通水路が開弁されて吐水口から水が吐水され、検知センサが手等を検知しなくなった場合には通水路が閉弁されて吐水が停止される。
【0003】
ところで、検知センサは精密部品であり水は故障や誤作動等の原因ともなるため、自動水栓にあっては検知センサ等の部材を収納するケースを備えることが多い。そして、ケースにセンサ用開口を設け、ケース内のセンサ用開口に対向する位置に検知センサを配置し、センサ用開口を介して手等の検知を可能としている(特許文献1の図1に図示されたセンサ用孔17)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-11150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
センサ用開口はケースの表面を矩形状等に切断することにより形成されるものである。このため、センサ用開口には切断時に生じたバリが存在していることもあり、センサ用開口を開口カバーで覆うことが考えられる。この開口カバーは互いに離間する方向に突出する一対の係止爪を有するものとすることができる。そして、開口カバーをセンサ用開口に装着すると、開口カバーの一対の係止爪がセンサ用開口の端面に当接して内側に弾性変形する。そして、係止爪が端面を乗り越えた時点で、自身の弾性力により元の状態に復帰し、係止爪がセンサ用開口の開口縁に係止されて、開口カバーがセンサ用開口に装着される。
【0006】
しかし、開口カバーの係止爪は弾性変形が可能であることから、装着後に係止爪に何らかの力が加わって係止解除方向に変形すると、係止爪とセンサ用開口の開口縁との係止が解除されて開口カバーがセンサ用開口から外れるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、ケースの開口に装着した開口カバーを外れにくくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、通水部材と、前記通水部材を収納するとともに開口を有するケースと、を備えた水栓であって、前記開口には開口カバーが装着されており、前記開口カバーは弾性変形可能な一対の係止部を有し、前記各係止部は前記開口の開口縁に係止する係止爪を有し、前記開口カバーは前記一対の係止部の両係止爪にて前記開口に係止しており、前記一対の係止部の内側にはケース内に収納された部材が位置しており、前記係止爪の前記開口に対する解除ストロークが、前記係止爪を有する係止部と前記ケース内に収納された部材との間隔よりも長いことを特徴とする。
【0009】
また、同水栓は、前記ケースの下方に吐水口を有し、前記吐水口に差し出された手の有無を検知して吐水制御を行うものであり、前記ケース内に収納された部材は、前記吐水口に差し出された手の有無を検知する検知センサであり、前記開口はセンサ用開口である。
【0010】
前記検知センサは発光素子と受光素子とを覆うセンサカバーを備え、前記センサカバーが前記一対の係止部が対向する内側に位置している。
前記開口は前記ケースの下方に形成されている。
【0011】
前記開口カバーは熱可塑性樹脂にて一体成形されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ケースの開口に装着した開口カバーが外れにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】自動水栓の斜め下前方からの斜視図。
図2】自動水栓の分解斜視図。
図3図3(a)は開口カバーの斜視図、図3(b)は同平面図、図3(c)は同正面図、図3(d)は係止部の拡大図。
図4】自動水栓(カバー略)の部分側面図。
図5図4のV-V線断面図。
図6図6(a)は係止部が係止位置にある説明図、図6(b)は係止部が係止解除方向に弾性変形した途中状態の説明図、図6(c)は係止部がセンサカバーに当接した状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した自動水栓1の一実施形態を図1図6にしたがって説明する。
図1に壁に取り付けられた自動水栓1を斜め下前方から見た斜視図を示す。自動水栓1は洗面台や流し台の壁に設置された給水管(図示しない)に接続し、給水源からの上水(以下、単に「水」という)を吐水する。また、自動水栓1の下側には吐水された水を受ける洗面台やシンク等(図示しない)が配置されている。図1に示すように、自動水栓1は先端に蓋を有する円筒形状のケース2に覆われている。また、ケース2には略円錐形の化粧スリーブ3が外嵌されてケース2の基端を覆っている。自動水栓1はセンサ検知式であり、手等の有無を検知して水の吐水及びその停止の吐水制御がなされる。
【0015】
自動水栓1及び自動水栓1を構成する各部材において、図1及び図2にそれぞれ先端(側・方)と基端(側・方)、上(側・方)と下(側・方)、幅方向を規定している。具体的には先端(側・方)と基端(側・方)とは円筒状をなすケース2の伸びる方向であり、この方向を軸線方向ともいう。また、軸線方向及び上下方向に直交する方向(図5の左右方向)を幅方向ともいう。
【0016】
図2に自動水栓1の分解斜視図を示す。自動水栓1は、ケース2と、化粧スリーブ3と、弁駆動ユニット4と、通水部材5と、支持部材6と、を主構成とする。ケース2はステンレス等の金属にて形成されており、先端に蓋を有する円筒形状をなす。ケース2はその内部に弁駆動ユニット4、通水部材5及び支持部材6を収納することができる。弁駆動ユニット4は検知センサ7、図示しない開閉弁の制御部、図示しない電源等を備えている。通水部材5は接続した給水管からの水を吐水するものであり、検知センサ7の検知結果によって開閉駆動する図示しない開閉弁を備えている。なお、図1に示すように通水部材5を構成する吐水口51のみはケース2から突出している。支持部材6は通水部材5を下方に、弁駆動ユニット4を上方にそれぞれ支持する部材である。
【0017】
図1及び図2に示すように、ケース2の周面の先端側下方には先端から順に開口としてのセンサ用開口21(図2に示す)、吐水口用開口22(図1に示す)が形成されている。センサ用開口21はケース2内に収納された検知センサ7からの光をケース2外に照射し、また反射光をケース2内に導入するための開口である。センサ用開口21は、ケース2の周面に形成されているため底面視では幅方向に長い長方形状をしているが、実際にはセンサ用開口21の長辺(幅方向に伸びる辺)はケース2の円筒形状に基づく円弧状をなす。吐水口用開口22は通水部材5の吐水口51をケース2外に露出するための開口である。吐水口用開口22も底面視では円形であるが、円筒形状をなすケース2の周面に形成されているため、実際は立体的な楕円形状である。センサ用開口21には開口カバー8が装着されている。この開口カバー8は熱可塑性樹脂にて一体成形されている。
【0018】
図3(a)に開口カバー8の斜視図を、図3(b)に同平面図を、図3(c)に同正面図を示すように、開口カバー8は枠部81と一対の挿入部82と一対の係止部83とを有する。枠部81は、内部に矩形状の開口であるセンサ窓811を有する矩形枠状をなし、センサ用開口21の周囲を外周面側から覆うものである。図3(b)に示すように枠部81は平面視では長方形状をなしているが、図3(c)に示す正面視では枠部81の長辺(幅方向に延びる辺)はケース2の周面に沿う円弧状をなす。一対の挿入部82は、センサ窓811の両長辺の対向する両窓内縁から上方に伸びる一対の平板状の部材からなり、一対の挿入部82の厚み方向における外面821(非対向面)間の間隔はセンサ用開口21の長辺間の間隔と略同一である。また、一対の挿入部82の厚み方向における内面822(対向面)はセンサ窓811の長辺側の窓内縁を構成する。
【0019】
一対の係止部83はセンサ窓811の両短辺の対向する両窓内縁から上方に延びる対の部材であり、それぞれ弾性変形可能である。各係止部83は上に向かう平板状の係止部本体831を有し、一対の係止部本体831の厚み方向における両外面832(非対向面)間の間隔はセンサ用開口21の短辺間の間隔と略同一である。一対の係止部本体831の厚み方向における内面833(対向面)は平坦な面となっておりセンサ窓811の短辺側の窓内縁を構成する。そして、各係止部本体831には、その上側で係止部本体831の外面832(非対向面)に重ねて、外面832に直交する幅方向外側に向けて突出する係止爪834が形成されている。つまり、各係止部83は係止部本体831と係止爪834とからなり、一対の係止爪834は各係止部本体831の外面832から互いに離間する方向に突出している。
【0020】
図3(d)に基づいて係止爪834の構成を下側から順に説明する。係止爪834は、係止部本体831の外面832を基準とし、上方に向かうほど厚みが大きくなる下斜面部834aと、これに続き一定厚みの突出端部834bと、これに続き上方に向かうほど厚みが小さくなる上斜面部834cとを有する。なお、係止部本体831の外面832の上端も上斜面部834cと面一となって上方に向かうほど厚みが小さくなっている。係止爪834は、正面視で係止部本体831の外面832を底辺(図3(d)に係止部83内に破線で示す)とする台形状をなす。したがって、一対の係止部83のうち外側に最も突出する突出端部834b間の間隔は、係止爪834の突出分だけセンサ用開口21の短辺間の間隔よりも長くなっている。
【0021】
図3(d)に示すように、開口カバー8がセンサ用開口21に装着された状態では、係止部本体831の外面832はセンサ用開口21の端面211と対向して位置する。また、係止爪834の下斜面部834aがセンサ用開口21の開口上縁(開口縁)212に当接している。なお、図3(d)、図6(a)では説明の便宜上、下斜面部834aと開口上縁212との間を離間させている。したがって、センサ用開口21が鉛直下方に向けた場合、鉛直下方に対する開口上縁212の傾斜角度(正確には円弧)とセンサ用開口21に装着された開口カバー8の係止爪834の下斜面部834aの傾斜角度はとほぼ同じとなる。この状態では一対の係止爪834の下斜面部834aがそれぞれセンサ用開口21の開口上縁212に当接しているため、開口カバー8は係止部83の係止爪834によりセンサ用開口21に抜け止め状態で係止されている。
【0022】
開口カバー8とセンサ用開口21との係止を解除するには、図3(d)の状態から、係止部83が枠部81との根元を起点として係止爪834の突出方向とは反対方向(図中右側)に弾性変形する。そして、係止爪834の突出端部834bが少なくともセンサ用開口21の端面211と同じ位置(解除位置)になれば係止爪834はセンサ用開口21の端面211を通過して下方向に移動することができる。その際に係止部83が移動する距離はαとなっている。したがって、この距離αが係止爪834のセンサ用開口21に対する解除ストローク、すなわち係止爪834がセンサ用開口21に係止した位置からセンサ用開口21との係止を解除可能な位置までの長さとなる。
【0023】
図4に自動水栓1の側面図を、図5図4のV-V線断面図を示す。なお、図4では開口カバー8の係止部83と検知センサ7のセンサカバー71との位置関係を示すためにケース2の図示を略している。図5に示すように、ケース2に装着された開口カバー8のうちセンサ窓811の上方であって一対の係止部83の内側である対向面間84には、ケース2内に収納された検知センサ7のセンサカバー71が位置している。検知センサ7はセンサカバー71と、センサカバー71内に収納された発光素子72及び受光素子73を備えている。センサカバー71は透光性の樹脂にて形成されており、発光素子72からの光はセンサカバー71及びセンサ窓811を通って下方に照射され、またその反射光はセンサ窓811及びセンサカバー71を通って受光素子73にて受光可能である。なお、センサカバー71は発光素子72の発光方向を下方斜め前方とするため、その下端が前方上向きの傾斜面となっている。このため、図4に示すように一対の係止部83の対向面間84のうち先端側にはセンサカバー71は位置していない。
【0024】
図6(a)に係止位置にある係止部83とセンサカバー71を示す。同図に示すように、一対の係止部83の内側である対向面間84にはセンサカバー71が位置している。ここで、各係止部83とセンサカバー71との最小間隔は一対の係止部83の両内面833とセンサカバー71の側面の間隔βとなっており(図5参照)、この間隔βは距離αより短い長さ(α>β)である。なお、本実施形態では一対の係止部83とセンサカバー71との間に形成される2箇所の隙間ともに間隔βとなっている。
【0025】
開口カバー8の係止部83の作用について説明する。
自動水栓1を組み付けた状態では、図1図2図5に示すようにケース2のセンサ用開口21に開口カバー8が取り付けられて、開口カバー8のセンサ窓811を介してケース2内外が連通している。ケース2内には検知センサ7が配置され、検知センサ7のセンサカバー71がセンサ窓811の上方に位置している。また、センサカバー71は一対の係止部83の内側である対向面間84に位置している。なお、組付け順としては開口カバー8をケース2に取り付けてから、検知センサ7を含む弁駆動ユニット4及び通水部材5を支持部材6に支持させた構造体をケース2の軸線方向に沿ってスライドさせてケース2内に収納する。
【0026】
図6(a)に示す係止位置において、開口カバー8の係止部83に係止解除方向(図中右方)の力が作用した場合を想定する。例えばケース2と開口カバー8との間にマイナスドライバーの先端が差し込まれた場合がある。係止部83とケース2とは、係止爪834の下斜面部834aとセンサ用開口21の開口上縁212が鉛直下方に対して幅方向外側に向かうにつれて上向きとなる傾斜した面で係止している。このため、開口カバー8に下向きの力が作用すると係止爪834の下斜面部834aに対して幅方向内側への力が作用し、係止部83は係止位置(図6(a))から枠部81との根元を起点に係止爪834の突出方向とは反対方向である図中右方に変位する。
【0027】
そして、図6(b)に示すように、係止部83が変位するに伴い係止部83の内面833とセンサカバー71との間隔は順次狭くなっていく。ここで、係止部83とセンサカバー71との最小間隔は間隔βであり、また、係止爪834のセンサ用開口21に対する解除ストロークは距離αであって、距離αは間隔βよりも長い。このため、図6(c)に示すように、係止部83がさらに変位したときでも、係止爪834が間隔βに相当する距離を移動したところで係止部83の内面833がセンサカバー71に当接する。このときは係止爪834が係止解除位置に至る前である。そして、係止爪834はまだセンサ用開口21の端面211には到達していない状態でそれ以上の係止解除方向への変位が規制されるため、係止部83の係止が解除されて開口カバー8がケース2から外れることが抑制される。
【0028】
上記実施形態の自動水栓1によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、係止爪834のセンサ用開口21に対する解除ストロークである距離αが、係止部83とセンサカバー71との間隔βよりも長い。このため、係止爪834の突出端部834bが係止解除方向に間隔βに相当する距離を移動したところで係止部83の内面833がセンサカバー71に当接する。そして、係止爪834はまだセンサ用開口21の端面211には到達していない状態のため、係止爪834はそれ以上の変位が規制され、係止部83の係止が解除されて開口カバー8がケース2から外れることが抑制される。
【0029】
(2)センサ用開口21には検知センサ7が対向して配置される。係止部83は係止解除方向への移動においてこの検知センサ7のセンサカバー71に当接する。このため、係止部83の移動規制に専用の部材を設けなくても既存の部材である検知センサ7を利用すれば足りる。
【0030】
(3)係止部83が係止解除方向に移動した際に当接するのはセンサカバー71である。センサカバー71は発光素子72や受光素子73を覆うカバーであるから係止部83が当接しても検知センサ7の機能に与える影響は少ない。
【0031】
(4)開口カバー8はケース2の下方に位置するセンサ用開口21を覆うカバーである。開口カバー8はセンサ用開口21の下方から取り付けられるため位置的に他の部分に取り付けられたカバーに比して外れて落下しやすいが、これを未然に防止することができる。
【0032】
(5)開口カバー8は熱可塑性樹脂で一体形成されている。このため、弾性変形可能な係止部83を容易に形成することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0033】
・一対の係止部83とセンサカバー71との2箇所の間隔は同じでなくてもよい。
・開口カバー8は樹脂以外の材料で形成してもよく、また樹脂に他の材料をインサート成形して形成してもよい。
【0034】
・開口カバー8はセンサ用開口21に用いるものとしたが、他の開口を覆う開口カバー8を用いてもよい。
・一対の係止部83の内側に位置する部材は検知センサ7でなくとも他の部材でもよい。また、その部材は係止爪834の係止解除を規制するためだけに用いられる専用部材でもよい。
【0035】
・部材を一対の係止部83の内側に位置させるための移動方向は特に限定されない。本実施形態では部材としての検知センサ7をケース2の軸線方向に沿って、すなわち開口21に並行にスライドさせてケース2内に収納させて一対の係止部83の内側に位置させている。これに限らず部材の移動方向は開口21に直交する方向、斜め方向でもよい。結果として部材が一対の係止部83の内側に位置すればよい。
【0036】
・開口カバー8が取り付けられるケース2の箇所、すなわちケース2の開口21の形成箇所は周面下方に限られない。ケース2の周面の側方、上方であってもよく、またケース2の先端面でもよい。
【0037】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(a)係止部とケース内に収納された部材とは、前記係止部の係止爪が係止解除方向に移動した場合に前記係止爪の突出端部が前記ケースの開口端に到達する前に前記係止部とケースとが当接する関係にある水栓。従って、この(a)に記載の発明によれば、係止部の係止爪が係止解除方向に移動しても係止爪の突出端部がケースの開口端に到達する前に係止部とケースとが当接するため、係止爪による係止が外れにくい。
【符号の説明】
【0038】
1…自動水栓(水栓)、2…ケース、5…通水部材、7…検知センサ(部材)、8…開口カバー、21…センサ用開口(開口)、71…センサカバー、83…係止部、84…対向面間(内側)、212…開口上縁(開口縁)、834…係止爪、α…解除ストローク、β…係止部とケース内に収納された部材との間隔。
図1
図2
図3
図4
図5
図6