(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186449
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】変速機用粘性流体回路
(51)【国際特許分類】
F16H 57/04 20100101AFI20221208BHJP
F16D 13/74 20060101ALI20221208BHJP
F16D 13/52 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
F16H57/04 J
F16D13/74 A
F16D13/52 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094680
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】000151209
【氏名又は名称】マーレジャパン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】506292974
【氏名又は名称】マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MAHLE International GmbH
【住所又は居所原語表記】Pragstrasse 26-46, D-70376 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】小林 裕貴
【テーマコード(参考)】
3J056
3J063
【Fターム(参考)】
3J056AA60
3J056BB12
3J056CA07
3J056GA02
3J056GA05
3J056GA12
3J063AA01
3J063AC03
3J063BA11
3J063BB29
3J063CD13
3J063CD24
3J063XD03
3J063XD23
3J063XD42
3J063XD75
(57)【要約】
【課題】湿式クラッチ装置を備える変速機において、引きずり損失を低減する。
【解決手段】変速機用粘性流体回路1は、オイルOを貯留するオイルパン11と、オイルパン11からオイルを送出するポンプ12と、ポンプ12から送出されたオイルOを気泡が混入した気泡混入オイル及び気泡が分離された気泡分離オイルに分離する気泡分離器13と、湿式クラッチ装置14と、気泡混入オイルを湿式クラッチ装置14に供給する気泡混入オイル供給路15と、気泡分離オイルを油圧系回路16に供給する気泡分離オイル供給路17と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルを貯留するオイルパンと、
前記オイルパンからオイルを送出するポンプと、
前記ポンプから送出されたオイルを気泡が混入した気泡混入オイル及び気泡が分離された気泡分離オイルに分離する気泡分離器と、
湿式クラッチ装置と、
前記気泡混入オイルを前記湿式クラッチ装置に供給する気泡混入オイル供給路と、
前記気泡分離オイルを油圧系回路に供給する気泡分離オイル供給路と、
を備える、
変速機用粘性流体回路。
【請求項2】
前記気泡分離器は、
円柱形の内部空間を有する旋回流形成部と、
前記旋回流形成部の一端に配置され、前記旋回流形成部の内周面の接線方向に前記オイルを流入させて前記内周面の上に旋回流を形成する流入口と、
前記旋回流形成部において前記オイルから分離された前記気泡混入オイルを前記気泡混入オイル供給路に送出する気泡混入オイル送出口と、
前記旋回流形成部の壁面に設けられ、前記気泡分離オイルを気泡分離オイル供給路に送出する気泡分離オイル送出口と、
を備える、
請求項1に記載の変速機用粘性流体回路。
【請求項3】
前記気泡混入オイル送出口は、
前記旋回流形成部の両端に設けられている、
請求項2に記載の変速機用粘性流体回路。
【請求項4】
前記湿式クラッチ装置は、複数の摩擦板を有し、
前記気泡混入オイル供給路は、前記複数の摩擦板の間に前記気泡混入オイルを供給する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の変速機用粘性流体回路。
【請求項5】
前記オイルは、潤滑油またはトランスミッションフルードである、請求項1から4のいずれか1項に記載の変速機用粘性流体回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速機用粘性流体回路に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両においてエンジン・またはモーターなどの動力源の動力を変速して車軸に伝達する変速機・またはリダクションギアを含むギアボックス全般(以下「変速機」という)において、動力を伝達または遮断するクラッチ装置として摩擦板が潤滑油により潤滑されている湿式クラッチ装置を有しているものがある。
【0003】
湿式クラッチ装置は、摩擦板が潤滑されていることにより、摩擦板が接続していない遮断状態においても潤滑油のせん断損失などによる引きずり損失(ドラグトルク)が発生する。このような湿式クラッチ装置における摩擦板の引きずり損失を低減する技術の一例として、摩擦板から潤滑油を排出する油溝を有している摩擦板が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-132362号公報
【特許文献2】国際公開第2014/122906号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、湿式クラッチ装置は、エンジンの燃費の向上とともに動力性能の向上を目的として変速機の応答性を向上するために、摩擦板とセパレータプレートとの間隔が従来と比較して縮小している。このような湿式クラッチ装置は、空転時における引きずり損失が増加する傾向にある。
【0006】
また、湿式クラッチ装置において、内径側から外径側に貫通する油通路に供給される潤滑油は、摩擦板が回転することにより油通路に引き込まれる。このため、摩擦板とセパレータプレートとの間隔が小さい湿式クラッチ装置においては、摩擦板とセパレータプレートとの間に入った潤滑油が排出されにくく、引きずり損失を低減するためにさらなる改善が求められている。
【0007】
そこで本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、湿式クラッチ装置を備える変速機において、引きずり損失を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る変速機用粘性流体回路は、オイルを貯留するオイルパンと、前記オイルパンからオイルを送出するポンプと、前記ポンプから送出されたオイルを気泡が混入した気泡混入オイル及び気泡が分離された気泡分離オイルに分離する気泡分離器と、湿式クラッチ装置と、前記気泡混入オイルを前記湿式クラッチ装置に供給する気泡混入オイル供給路と、前記気泡分離オイルを油圧系回路に供給する気泡分離オイル供給路と、を備える。
【0009】
本発明の一態様に係る変速機用粘性流体回路において、前記気泡分離器は、円柱形の内部空間を有する旋回流形成部と、前記旋回流形成部の一端に配置され、前記旋回流形成部の内周面の接線方向に前記オイルを流入させて前記内周面上に旋回流を形成する流入口と、前記旋回流形成部において前記オイルから分離された前記気泡混入オイルを前記気泡混入オイル供給路に送出する気泡混入オイル送出口と、前記旋回流形成部の壁面に設けられ、前記気泡分離オイルを気泡分離オイル供給路に送出する気泡分離オイル送出口と、を備える。
【0010】
本発明の一態様に係る変速機用粘性流体回路において、前記気泡混入オイル送出口は、前記旋回流形成部の両端に設けられている。
【0011】
本発明の一態様に係る変速機用粘性流体回路において、前記湿式クラッチ装置は、複数の摩擦板を有し、前記気泡混入オイル供給路は、前記複数の摩擦板の間に前記気泡混入オイルを供給する。
【0012】
本発明の一態様に係る変速機用粘性流体回路において、前記オイルは、潤滑油またはトランスミッションフルードである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、湿式クラッチ装置を備える変速機において、引きずり損失を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態に係る変速機用粘性流体回路の概略図である。
【
図2】
図1に示す変速機用粘性流体回路が備える気泡分離器の模式的な側面図である。
【
図3】
図2に示す気泡分離器の模式的な平面図である。
【
図4】本実施の形態に係る変速機用粘性流体回路における引きずりトルクの低減の効果を模式的に示す図である。
【
図5】本実施の形態の変形例に係る変速機用粘性流体回路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下、本実施の形態では、例えば車両に搭載されている動力源であるエンジンまたはモーターなどの動力を車輪に伝達する変速機またはリダクションギアを含むギアボックス全般(以下「変速機」という)に組み込まれる、潤滑油などの粘性流体を循環するための回路(以下「変速機用粘性流体回路」という)を説明する。本実施の形態において、変速機用粘性流体回路が組み込まれている変速機は、動力を伝達または遮断するクラッチ装置として摩擦板が潤滑油により潤滑されている湿式クラッチ装置を有している。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係る変速機用粘性流体回路1の概略図である。
図1に示すように、変速機用粘性流体回路1は、オイルOを貯留するオイルパン11と、オイルパン11からオイルを送出するポンプ12と、ポンプ12から送出されたオイルOを気泡が混入した気泡混入オイル及び気泡が分離された気泡分離オイルに分離する気泡分離器13と、湿式クラッチ装置14と、気泡混入オイルを湿式クラッチ装置14に供給する気泡混入オイル供給路15と、気泡分離オイルを油圧系回路16に供給する気泡分離オイル供給路17と、を備える。以下、本実施の形態に係る変速機用粘性流体回路1について具体的に説明する。
【0017】
以下、説明の便宜上、
図1に示す変速機用粘性流体回路1において、気泡分離器13の長手方向を上下方向、または垂直方向とし、上下方向に直角な方向である気泡分離器13の短手方向を左右方向、または水平方向とする。以下の説明において、各構成要素の位置関係や方向を右側、左側、前側、後側、上側、下側として説明するときは、あくまで図面における位置関係や方向を示し、実際の変速機用粘性流体回路1における位置関係や方向を限定するものではない。
【0018】
オイルパン11は、図示しないケーシングの底部に配置されており、オイルOを収集、蓄積している。ポンプ12は、オイルパン11内のオイルOを、オイルストレーナ111を介して汲み上げ、経路121を介して気泡分離器13に圧送する。
【0019】
なお、
図1における実線及び破線は、例えば潤滑油またはトランスミッションフルードであるオイルOの流れを表しているが、この流れは概念的なものであり、パイプ等の中を流れるものに限られない。
【0020】
図2は、変速機用粘性流体回路1が備える気泡分離器13の模式的な側面図である。
図3は、気泡分離器13の模式的な平面図である。
【0021】
気泡分離器13は、旋回流形成部131、流入口132、気泡分離オイル送出口133、及び、気泡混入オイル送出口134,135と、を備える。
【0022】
変速機において、回転するギアがオイルを掻き揚げることによって、オイル内に相当量の気泡が混入してしまう。気泡分離器13は、オイルから気泡を効率的に分離するために設けられている。
【0023】
旋回流形成部131は、垂直方向に延びる、円柱形の上部に、漏斗形を組み合わせた形状に形成されている。旋回流形成部131は、漏斗形及び円柱状の内部空間を有する。流入口132は、旋回流形成部131の垂直方向の一端近傍、具体的には漏斗形の垂直方向の一端近傍に配置される。流入口132は、旋回流形成部131に向かって水平方向に延びる管状に形成されている。流入口132は、ポンプ12から圧送されたオイルを受け入れ、旋回流形成部131内へと送出する役割を有している。流入口132は、旋回流形成部131の内周面の接線方向にオイルを流入させるような位置で、
図3に示すように旋回流形成部131の中心軸に対してオフセットした位置で、内周面に開口している。
【0024】
流入口132から流入したオイルは、その速度エネルギーによって、旋回流形成部131の内周面上に旋回流を形成する。この旋回流は、例えば10G以上の遠心力を有しており、
図2に示すように、螺旋状に旋回しながら旋回流形成部131の下方へと流れる。この旋回中に、オイルと気泡とが受ける遠心力の差によって、オイルが外周側へ、気泡が内周側へと移動するため、気泡分離オイルと気泡混入オイルとが分離される。
【0025】
気泡分離オイル送出口133は、旋回流形成部131の壁面に設けられる。気泡分離オイル送出口133は、旋回流形成部131の円柱形における垂直方向の他端近傍の壁面に設けられている。気泡分離オイル送出口133は、水平方向に延びる管状に形成されている。気泡分離オイル送出口133は、旋回流形成部131内を螺旋状に流れてきたオイルが、内周面の接線方向に流出するような位置で、つまり旋回流形成部131の中心軸に対してオフセットした位置で、内周面に開口している。気泡分離オイル送出口133は、気泡分離オイルを気泡分離オイル供給路17に送出する。
【0026】
図3に示すように、気泡分離器13は、流入口132によって旋回流形成部131の内周面の接線方向にオイルOを流入させ、気泡分離オイル送出口133によって旋回流形成部131の内周面の接線方向でオイルOを流出させることによって、ポンプ12によって圧送されたオイルの運動エネルギーの損失を最小限にしている。
【0027】
気泡混入オイル送出口134,135は、旋回流形成部131の垂直方向の両端に設けられている。気泡混入オイル送出口134は、旋回流形成部131の上面の中心部に設けられている。気泡混入オイル送出口135は、旋回流形成部131の下面の中心部に設けられている。気泡混入オイルは、旋回流形成部131の中心軸付近に集まるため、旋回流形成部131の内部と外部との圧力差によって、気泡混入オイル送出口134,135から気泡混入オイル供給路15に送出する。
【0028】
上述のように、旋回流形成部131内で分離された気体は、上下の気泡混入オイル送出口134,135を通して排出される。このとき、分離された気体は、旋回流形成部131の中心に集まって気柱を形成する。しかし、この気柱の下端が、気泡混入オイル送出口135ではなく気泡分離オイル送出口133につながってしまうと、気泡分離オイル送出口133付近において気体がオイルに再び巻き込まれてしまうことがある。
【0029】
そこで、好ましい実施形態では、旋回流形成部131の内部に気柱促進部136が設けられる。気柱促進部136は、旋回流形成部131の中心軸に沿って鉛直方向に延びる円筒形状を有している。そして、気柱促進部136の下端は、旋回流形成部131の下面を貫通し気泡混入オイル送出口135と一体化している。
【0030】
このような気柱促進部136を設けると、旋回流形成部131内に形成された気柱の下端が、気柱促進部136を介して気泡混入オイル送出口135へと導かれるので、気柱が気泡分離オイル送出口133につながるのを防止することができる。したがって、気泡分離オイル送出口133の付近において、オイルに再び気体が混入することが抑制され、ひいては気泡の分離効率を高めることができる。
【0031】
なお、
図2,3では、旋回流形成部131は漏斗形の上部と円筒形の下部とを組み合わせた形状として表されているが、ポンプ12から圧送されてきたオイルをその内周面に沿って旋回させることが可能であれば、他の形状であってもよい。例えば、上端から下端に向けて内径が減少する漏斗形でもよいし、内径が均一である円筒形でも、液体と気体の分離は可能である。
【0032】
さらに、
図2,3では、気泡分離器13は、旋回流形成部131が垂直方向に延びるように配置されているが、これに限られない。ポンプ12からの圧送によって旋回流形成部131内に所定の遠心力を有する旋回流を形成することができる限り、気泡分離器13は旋回流形成部131が水平方向に延びるように配置されてもよいし、旋回流形成部131が傾斜するように配置されてもよい。
【0033】
気泡分離器13は、ポンプ12から送られたオイルOを、気泡分離オイルと気泡混入オイルとに分離する。気泡分離オイルは、気泡分離オイル供給路17を介して油圧部品に送られる。気泡混入オイルは、気泡混入オイル供給路15を介して湿式クラッチ装置14に送られる。
【0034】
気泡分離器13から排出された気泡分離オイルは、気泡分離オイル送出口133から気泡分離オイル供給路17を経由して、油圧系回路16に供給される。油圧系回路16を経由したオイルOは、オイルパン11に回収される。気泡分離器13から排出された気泡混入オイルは、気泡混入オイル送出口134,135から
図1において破線で示す気泡混入オイル供給路15を経由して、クラッチ装置14に供給される。
【0035】
湿式クラッチ装置14は、複数の摩擦板141を有する湿式多板クラッチ装置である。気泡混入オイル供給路15は、湿式クラッチ装置14の内部に気泡混入オイルの出口である気泡混入オイル供給口151を有している。具体的には、気泡混入オイル供給口151は、複数の摩擦板141の間、すなわち、摩擦面に気泡混入オイルを供給する。なお、湿式クラッチ装置14は、複数の摩擦板141を有する湿式クラッチ装置に限定されず、1つの摩擦板141を有する湿式単板クラッチ装置であってもよい。クラッチ装置14を経由したオイルOは、オイルパン11に回収される。
【0036】
次に、以上説明した変速機用粘性流体回路の作用について説明する。
【0037】
図4は、本実施の形態に係る変速機用粘性流体回路1における引きずりトルクの低減の効果を模式的に示す図である。
図4において、実線は、従来の変速機の湿式クラッチ装置における、エンジンの回転数と湿式クラッチ装置の引きずりトルクとの関係を示す曲線である。一方、
図4において、破線は、変速機用粘性流体回路1を備える変速機の湿式クラッチ装置14における、エンジンの回転数と湿式クラッチ装置の引きずりトルクとの関係を示す曲線である。
図4によれば、変速機用粘性流体回路1を備える変速機の湿式クラッチ装置14は、摩擦板141の間の摩擦面に気泡混入オイルを供給する。気泡混入オイルは、油分に気泡を多く含むことにより、摩擦面の間において生じる、油によるせん断抵抗を低減することができる。このため、変速機用粘性流体回路1によれば、湿式クラッチ装置14における摩擦面の引きずりトルクを低減することができる。
【0038】
また、変速機用粘性流体回路1によれば、気泡分離器13を備えることでオイルOを気泡混入オイルと気泡分離オイルとに分離し、気泡を分離して油分の濃度が高い気泡分離オイルを油圧系回路に供給することができる。すなわち、変速機用粘性流体回路1によれば、油圧系回路における油圧の応答性や制御性を向上することができる。
【0039】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における、各構成の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
【0040】
図5は、本実施の形態の変形例に係る変速機用粘性流体回路1Aの概略図である。
図5に示す変速機用粘性流体回路1Aは、ポンプ12と気泡分離器13との間の経路121Aに三方弁122が設けられていて、三方弁122から湿式クラッチ装置14に向かうオイルOの経路123が設けられている点が、先に説明した変速機用粘性流体回路1と相違する。湿式クラッチ装置14の潤滑に用いられるオイルOは、気泡分離器13により分離された気泡混入オイルのみに限定されず、例えば、変速機用粘性流体回路1Aのように、気泡分離器13を経由しない経路から流れるオイルOを併用してもよい。なお、変速機用粘性流体回路1Aにおいて、三方弁122に替えてリリーフバルブを設けてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1…変速機用粘性流体回路、1A…変速機用粘性流体回路、11…オイルパン、12…ポンプ、13…気泡分離器、14…湿式クラッチ装置、15…気泡混入オイル供給路、16…油圧系回路、17…気泡分離オイル供給路、111…オイルストレーナ、121…経路、121A…経路、122…三方弁、123…経路、131…旋回流形成部、132…流入口、133…気泡分離オイル送出口、134…気泡混入オイル送出口、135…気泡混入オイル送出口、136…気柱促進部、141…摩擦板、151…気泡混入オイル供給