(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186467
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】ストレージシステム、および転送監視方法
(51)【国際特許分類】
G06F 13/00 20060101AFI20221208BHJP
G06F 3/06 20060101ALI20221208BHJP
G06F 16/182 20190101ALI20221208BHJP
【FI】
G06F13/00 351N
G06F3/06 301X
G06F3/06 304N
G06F16/182 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094702
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】前崎 寿美子
(72)【発明者】
【氏名】加納 昌幸
【テーマコード(参考)】
5B089
【Fターム(参考)】
5B089GA11
5B089GA12
5B089GA21
5B089GB02
5B089HA06
5B089HA10
5B089JA35
5B089JB14
5B089KA02
5B089KA13
(57)【要約】
【課題】NAS間のデータ転送の進捗を容易に監視する。
【解決手段】第一NAS101、第二NAS102と、制御端末装置120と、サーバ装置130と、インターネットに接続される監視端末装置140と、を備え、制御端末装置120は、第一NAS101に第二NAS102へのデータの転送を指示する転送指示を送信する転送指示部121を備え、第一NAS101は、転送指示に基づき第二NAS102へ直接にデータの送受信を実行するデータ送受信部111と、データ転送に関する進捗情報をサーバ装置130に送信する進捗送信部112と、を備え、監視端末装置140は、サーバ装置130から進捗情報を取得する進捗情報取得部141と、進捗状況を提示する進捗状況提示部142と、を備えるストレージシステム100。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続される複数のネットワークストレージ装置と、前記ネットワークストレージ装置の少なくとも一つを制御する制御端末装置と、前記ネットワークに接続されるサーバ装置と、前記ネットワークに接続され前記ネットワークストレージ装置の少なくとも一つを監視する監視端末装置と、を備えるストレージシステムであって、
複数の前記ネットワークストレージ装置の1つに他の前記ネットワークストレージ装置へのデータの転送を指示する転送指示を送信する転送指示部を備え、
前記ネットワークストレージ装置は、
前記転送指示部からの転送指示に基づき他の前記ネットワークストレージ装置との間で前記ネットワークを介して直接にデータの送受信を実行するデータ送受信部と、
データの送受信の進捗状況に関する進捗情報を前記ネットワークを介して前記サーバ装置に送信する進捗送信部と、を備え、
前記監視端末装置は、
前記サーバ装置から進捗情報を取得する進捗情報取得部と、
取得した進捗情報に基づきデータの送受信の進捗状況を提示する進捗状況提示部と、を備える
ストレージシステム。
【請求項2】
前記ネットワークは、
アドレス変換装置を介して接続される第一ネットワークと、第二ネットワークと、を備え、
前記監視端末装置、および前記サーバ装置は、前記第一ネットワークに接続され、
複数の前記ネットワークストレージ装置、および前記制御端末は、前記第二ネットワークに接続される
請求項1に記載のストレージシステム。
【請求項3】
ネットワークに接続される複数のネットワークストレージ装置と、前記ネットワークストレージ装置の少なくとも一つを制御する制御端末装置と、前記ネットワークに接続されるサーバ装置と、前記ネットワークに接続され前記ネットワークストレージ装置の少なくとも一つを監視する監視端末装置と、を備えるストレージシステムにおける転送監視方法であって、
複数の前記ネットワークストレージ装置の1つに他の前記ネットワークストレージ装置へのデータの転送を指示する転送指示を転送指示部により送信し、
前記転送指示部からの転送指示に基づき他の前記ネットワークストレージ装置との間で前記ネットワークを介して直接にデータの送受信を前記ネットワークストレージ装置のデータ送受信部が実行し、
データの送受信の進捗状況に関する進捗情報を前記ネットワークを介して前記サーバ装置に前記ネットワークストレージ装置の進捗送信部が送信し、
前記サーバ装置から進捗情報を前記監視端末装置の進捗情報取得部が取得し、
取得した進捗情報に基づきデータの送受信の進捗状況を前記監視端末装置の進捗状況提示部が提示する
転送監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークに接続される複数のネットワークストレージ装置(NAS(Network Attached Storage))を備えたストレージシステムに関し、二台のネットワークストレージ装置間の直接的なデータ転送の監視が可能なストレージシステム、および転送監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワークに接続される複数のネットワークストレージ装置の間で大量のデータを転送する場合がある。例えば、一のネットワークストレージ装置のバックアップとして他のネットワークストレージ装置にデータを転送する場合や、ネットワークストレージ装置を入れ替える場合に、一時的に二台のネットワークストレージ装置をネットワークに接続し、一のネットワークストレージ装置から他のネットワークストレージ装置にデータを転送させる。
【0003】
特許文献1には、ネットワークストレージ装置を制御する制御端末装置から転送指示を取得すると、当該制御端末装置を経由せずに二台のネットワークストレージ装置間で直接にデータを送受信するネットワークストレージ装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、制御端末装置を介在させることなく二台のネットワークストレージ装置間のみでデータの転送が実行されると、制御端末装置はデータの転送に関与しないため、大量のデータが転送される長時間にわたってデータ転送の進捗状況が分からない状態となる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、転送指示を送信した制御端末装置以外の監視端末装置により二台のネットワークストレージ装置間におけるデータの転送状況を監視することができるストレージシステム、および転送監視方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の1つであるストレージシステムは、ネットワークに接続される複数のネットワークストレージ装置と、前記ネットワークストレージ装置の少なくとも一つを制御する制御端末装置と、前記ネットワークに接続されるサーバ装置と、前記ネットワークに接続され前記ネットワークストレージ装置の少なくとも一つを監視する監視端末装置と、を備えるストレージシステムであって、複数の前記ネットワークストレージ装置の1つに他の前記ネットワークストレージ装置へのデータの転送を指示する転送指示を送信する転送指示部を備え、前記ネットワークストレージ装置は、前記転送指示部からの転送指示に基づき他の前記ネットワークストレージ装置との間で前記ネットワークを介して直接にデータの送受信を実行するデータ送受信部と、データの送受信の進捗状況に関する進捗情報を前記ネットワークを介して前記サーバ装置に送信する進捗送信部と、を備え、前記監視端末装置は、前記サーバ装置から進捗情報を取得する進捗情報取得部と、取得した進捗情報に基づきデータの送受信の進捗状況を提示する進捗状況提示部と、を備える。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の他の1つである転送監視方法は、ネットワークに接続される複数のネットワークストレージ装置と、前記ネットワークストレージ装置の少なくとも一つを制御する制御端末装置と、前記ネットワークに接続されるサーバ装置と、前記ネットワークに接続され前記ネットワークストレージ装置の少なくとも一つを監視する監視端末装置と、を備えるストレージシステムにおける転送監視方法であって、複数の前記ネットワークストレージ装置の1つに他の前記ネットワークストレージ装置へのデータの転送を指示する転送指示を転送指示部により送信し、前記転送指示部からの転送指示に基づき他の前記ネットワークストレージ装置との間で前記ネットワークを介して直接にデータの送受信を前記ネットワークストレージ装置のデータ送受信部が実行し、データの送受信の進捗状況に関する進捗情報を前記ネットワークを介して前記サーバ装置に前記ネットワークストレージ装置の進捗送信部が送信し、前記サーバ装置から進捗情報を前記監視端末装置の進捗情報取得部が取得し、取得した進捗情報に基づきデータの送受信の進捗状況を前記監視端末装置の進捗状況提示部が提示する。
【発明の効果】
【0009】
二台のネットワークストレージ装置間におけるデータの直接転送が実行される場合において、転送指示を送信した制御端末装置とは異なる監視端末装置でデータ転送の進捗状況を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】ストレージシステムの装置構成を示す図である。
【
図2】ストレージシステムの機能構成を示す図である。
【
図3】ストレージシステムの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るストレージシステムの実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するために一例を挙示するものであり、本発明を限定する主旨ではない。例えば、以下の実施の形態において示される形状、構造、材料、構成要素、相対的位置関係、接続状態、数値、数式、方法における各段階の内容、各段階の順序などは、一例であり、以下に記載されていない内容を含む場合がある。また、平行、直交などの幾何学的な表現を用いる場合があるが、これらの表現は、数学的な厳密さを示すものではなく、実質的に許容される誤差、ずれなどが含まれる。また、同時、同一などの表現も、実質的に許容される範囲を含んでいる。
【0012】
また、図面は、本発明を説明するために適宜強調、省略、または比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状、位置関係、および比率とは異なる。
【0013】
また、以下では複数の発明を一つの実施の形態として包括的に説明する場合がある。また、以下に記載する内容の一部は、本発明に関する任意の構成要素として説明している。
【0014】
図1は、ストレージシステムの装置構成を示す図である。ストレージシステム100は、ネットワークストレージ装置の一つである第一ネットワークストレージ装置101と、他のネットワークストレージ装置である第二ネットワークストレージ装置102と、制御端末装置120と、サーバ装置130と、監視端末装置140と、を備えている。第一ネットワークストレージ装置101、第二ネットワークストレージ装置102、制御端末装置120、サーバ装置130、および監視端末装置140は、それぞれネットワークに接続されている。
【0015】
本実施の形態の場合、ネットワークは、アドレス変換装置150を介して接続される第一ネットワーク210と、第二ネットワーク220と、を備えている。
【0016】
第一ネットワーク210の種類は、特に限定されるものではなく、例えばグローバルIPアドレスに基づき通信可能な通信事業者の提供するWAN(Wide Area Network、広域情報通信網)、いわゆるインターネットを例示することができる。
【0017】
第二ネットワーク220の種類は、特に限定されるものではなく、例えばプライベートIPアドレス(ローカルIPアドレス)に基づき通信を行うLAN(Local Area Network、構内情報通信網)を例示することができる。具体的に第二ネットワーク220は、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.3に準拠するネットワークである。この第二ネットワーク220上には、第一ネットワークストレージ装置101、第二ネットワークストレージ装置102、制御端末装置120が接続されている。なお、第二ネットワーク220に接続される装置は、これに限定されるものではない。
【0018】
アドレス変換装置150は、IPアドレスを別のIPアドレスに変換するNAT(Network Address Translation)機能を備えた装置である。本実施の形態の場合、アドレス変換装置150は、いわゆるルーターである。
【0019】
第一ネットワークストレージ装置101は、ネットワークストレージ装置の1つであり、第二ネットワーク220に接続され、第二ネットワーク220を介してデータを送受信し、受信したデータを保持しておくことができる装置である。第一ネットワークストレージ装置101は、制御端末装置120からの要求により、第二ネットワークストレージ装置102との間で第二ネットワーク220を介して制御端末装置120を介在させることなく直接にデータの送受信が可能となっている。
【0020】
第一ネットワークストレージ装置101は、プロセッサを備えており、所定のプログラムをプロセッサに実行させることにより、各種のアプリケーションを実現させる。アプリケーションとしては、ファイル共有アプリケーション、データ転送アプリケーション、ウェブサーバアプリケーション、ウィルススキャンアプリケーションなどを例示することができる。
【0021】
図2は、ストレージシステムの機能構成を示す図である。第一ネットワークストレージ装置101は、プログラムをプロセッサに実行させることにより実現される処理部としてデータ送受信部111と、進捗送信部112と、を備えている。
【0022】
データ送受信部111は、制御端末装置120などからの転送指示に基づき他のネットワークストレージ装置である第二ネットワークストレージ装置102との間で第二ネットワーク220を介して直接にデータの送受信を実行する。具体的にデータ送受信部111は、第二ネットワークストレージ装置102から自身へのデータ転送の設定情報を予め記憶しておき、制御端末装置120から転送指示があった場合に制御端末装置120を経由せずに第二ネットワークストレージ装置102から第一ネットワークストレージ装置101へ直接にデータを送信することができる。データ送受信部111は、転送すべきデータの総量、転送すべきファイルの総数などデータ転送のための情報を予め保持している。第二ネットワークストレージ装置102から第一ネットワークストレージ装置101へのデータ転送が開始された後は、制御端末装置120は以降データ転送に関与しないため第二ネットワーク220から切り離し可能である。
【0023】
進捗送信部112は、データの送受信の進捗状況に関する進捗情報を少なくとも第一ネットワーク210を介してサーバ装置130に送信する。本実施の形態の場合、進捗送信部112は、第二ネットワーク220、および第一ネットワーク210を介して進捗情報をサーバ装置130に送信している。
【0024】
本実施の形態の場合、第一ネットワークストレージ装置101とサーバ装置130とは、ネットワークを介して通信可能な状態となっている。進捗情報は、所定の期間ごとに第一ネットワークストレージ装置101からサーバ装置130に送信されており、第一ネットワークストレージ装置101とサーバ装置130とは常時接続状態ではない。具体的には、進捗送信部112は、転送すべきデータの総量、転送すべきファイルの総数などに対する転送されたデータ量、転送されたファイル数などを取得し、全体に対する所定の割合(例えば10%)のデータが送信される毎に進捗情報をサーバ装置130に送信する。
【0025】
第二ネットワークストレージ装置102は、第一ネットワークストレージ装置101と同様の機能を備えた装置であり、データ送受信部111を備えている。本実施の形態の場合、第二ネットワークストレージ装置102は、第一ネットワークストレージ装置101に置き換え(リプレース)される装置であり、第一ネットワークストレージ装置101に保存しているデータを引き継がせる。また、第二ネットワークストレージ装置102は、サーバ装置130とネットワークを介して通信可能な状態となっておらず、進捗情報などをサーバ装置130に送信することはしない。なお、第二ネットワークストレージ装置102は、サーバ装置130と通信を確立する機能を備えていてもよい。
【0026】
制御端末装置120は、第二ネットワーク220に接続され、第二ネットワーク220を介して第一ネットワークストレージ装置101、および第二ネットワークストレージ装置102などのネットワークストレージ装置の制御を行うコンピュータである。制御端末装置120は、プログラムをプロセッサに実行させることにより転送指示部121を実現する。
【0027】
本実施の形態の場合、第二ネットワーク220に接続される第一ネットワークストレージ装置101、第二ネットワークストレージ装置102、制御端末装置120、アドレス変換装置150は、同一の第一構内301に設置されている。また、第二ネットワークストレージ装置102は、データの転送が完了した後に第二ネットワーク220から切断される場合がある。なお、「データの転送」は、「データの複製」、「データの移動」を含むものとする。
【0028】
転送指示部121は、ネットワークストレージ装置の1つである第一ネットワークストレージ装置101に他のネットワークストレージ装置である第二ネットワークストレージ装置102からのデータの転送を指示する転送指示を送信する。具体的な制御端末装置120の動作は後述する。
【0029】
サーバ装置130は、第二ネットワーク220に接続される複数のネットワークストレージ装置の少なくとも一台と第一ネットワーク210を介して通信可能な装置であり、プログラムをプロセッサに実行させることにより進捗情報更新部131を実現する。本実施の形態の場合、サーバ装置130は、複数のLANなどにそれぞれ接続される複数のネットワークストレージ装置とインターネットを介して通信可能であり、またインターネットを介して複数の監視端末装置140と通信可能である。サーバ装置130は、第一ネットワーク210のクラウド環境に構築された仮想サーバとしても実現できる。
【0030】
進捗情報更新部131は、第二ネットワークストレージ装置102から送信される進捗情報を受信し、先に受信していた進捗情報を新しく受信した進捗情報に進捗情報を更新する。例えば、第一ネットワークストレージ装置101が転送すべきデータの総量の10%毎に進捗情報を送信する場合、進捗情報更新部131は、10%、20%、・・・100%のように順に進捗情報を更新する。本実施の形態の場合、進捗情報更新部131は、進捗情報が100%になると、データ転送の完了を示す完了情報を監視端末装置140に強制的に送信する。
【0031】
監視端末装置140は、第一ネットワーク210に接続され、第一ネットワーク210を介してサーバ装置130から進捗情報を受信するコンピュータである。監視端末装置140は、プログラムをプロセッサに実行させることにより進捗情報取得部141と、進捗状況提示部142と、を実現する。本実施の形態の場合、監視端末装置140は、第一構内301とは異なる第二構内302に設置されている。なお、第二構内302は、特定の場所に限定されるものではなく、第一ネットワーク210に接続できる場所であればいずれの場所でもかまわない。
【0032】
進捗情報取得部141は、サーバ装置130から進捗情報を取得する処理部である。本実施の形態の場合、進捗情報取得部141は、監視端末装置140を操作する監視者からの指示に基づきサーバ装置130の進捗情報更新部131にアクセスし、更新された最新の進捗情報を取得することができる。
【0033】
進捗状況提示部142は、進捗情報取得部141が取得した進捗情報に基づきデータの送受信の進捗状況を提示する。具体的には、監視端末装置140が備えるディスプレイに進捗情報を表示することにより監視者に進捗情報を提示する。
【0034】
次に、ストレージシステム100の動作について説明する。
図3は、ストレージシステムの動作を示すシーケンス図である。以下の説明では、転送するデータとしてファイルを例として説明する。また、制御端末装置120からの転送指示に含まれる設定情報に従い、第二ネットワークストレージ装置102に保存されている全てのファイルを第一ネットワークストレージ装置101にコピーする場合を説明する。
【0035】
管理権限を持つユーザ(Admin)が、制御端末装置120からブラウザを使用して第一ネットワークストレージ装置101にログインする(S1)。ユーザが機器設定画面を第一ネットワークストレージ装置101に要求すると(S2)、機器設定画面の構成ファイルが制御端末装置120に送信される(S3)。制御端末装置120が実現するブラウザは、受信した構成ファイルを描画し、制御端末装置120のディスプレイに表示する。ユーザが制御端末装置120を操作してさらにバックアップ設定画面を要求し、バックアップ設定画面の構成ファイルを受信すると、ブラウザはバックアップ設定画面を表示する。
【0036】
バックアップ設定画面からネットワークダイレクトコピー(以下NDCと略称する)を選択すると、制御端末装置120のブラウザからNDC設定画面の要求を第一ネットワークストレージ装置101に送信する(S4)。第一ネットワークストレージ装置101は、NDC設定画面の構成ファイルを制御端末装置120に送信する(S5)。NDC構成ファイルを受信した制御端末装置120のブラウザは、NDC設定画面を描画してディスプレイに表示する。NDCとは、制御端末装置からある他のネットワークストレージ装置から他のネットワークストレージ装置へのデータの転送を指示し、当該転送が開始された後は、制御端末装置がデータの転送に関与しないデータコピー機能である。
【0037】
ユーザは、NDC設定画面に基づき設定項目を入力する。具体的にユーザは、コピー先である第一ネットワークストレージ装置101、コピー元である第二ネットワークストレージ装置102をプライベートIPアドレス等により特定する。またユーザは、NDC設定画面に基づきコピー対象であるファイルを特定する。本実施の形態の場合、全てのファイルがコピー対象となるように設定される。
【0038】
ユーザがNDC設定画面の実行ボタンを押すと、制御端末装置120から第一ネットワークストレージ装置101にNDC設定情報が送信される(S6)。
【0039】
次に、第一ネットワークストレージ装置101は第二ネットワークストレージ装置102に、ユーザ名とパスワードを含む接続要求を送信する(S7)。第二ネットワークストレージ装置102は、ユーザ名とパスワードで認証処理を行い、認証できた場合には接続応答を第一ネットワークストレージ装置101に送信する(S8)。
【0040】
接続応答を受信した第一ネットワークストレージ装置101は、設定情報に従いファイル送信要求を送信する(S9)。第二ネットワークストレージ装置102は、ファイル送信要求に従いファイルを読み出し、読み出したファイルを送信する(S9a)。以上のファイルの送受信を設定情報に従い全てのファイルの送受信が完了するまで繰り返す。
【0041】
ファイルの転送中において、第二ネットワークストレージ装置102から第一ネットワークストレージ装置101へのデータの転送量が所定量に達すると第一ネットワークストレージ装置101は第一ネットワーク210を介してサーバ装置130に進捗情報を送信する(S10)。
【0042】
監視端末装置140は、任意のタイミングでサーバ装置130に対し第一ネットワーク210を介して進捗情報を要求する(S11)。サーバ装置130は、監視端末装置140からの進捗情報の要求を受け付けると最新の進捗情報を監視端末装置140に送信する。監視端末装置140は、受信した進捗情報を提示する。
【0043】
第一ネットワークストレージ装置101は、すべてのファイルの転送が完了したと判定すると、接続終了要求を第二ネットワークストレージ装置102に送信する(S13)。第二ネットワークストレージ装置102は、接続終了要求を受信すると、接続終了応答を第一ネットワークストレージ装置101に送信する(S14)。第一ネットワークストレージ装置101は、第二ネットワークストレージ装置102から接続終了応答を受信すると、進捗状況が100%であることを示す完了情報をサーバ装置130に送信する(S15)。サーバ装置130は、完了情報を受信すると、監視端末装置140に完了情報を強制的に送信する。監視端末装置140は、最終進捗情報として完了情報をポップアップなどにより強制的に提示する。
【0044】
また、第一ネットワークストレージ装置101は、第二ネットワークストレージ装置102から接続終了応答を受信すると、NDCが正常に完了したことをログに記録する。第一ネットワークストレージ装置101は少なくともデータ転送を指示した制御端末装置120にNDCの完了通知を送信する(S17)。制御端末装置120は、NDC完了通知を受信すると、データの転送が終了した旨を例えばポップアップでディスプレイに表示することも可能である。
【0045】
以上の実施の形態に係るストレージシステム100によれば、制御端末装置120を介さずに第一ネットワークストレージ装置101と第二ネットワークストレージ装置102との間で直接データの転送が行われる。つまり制御端末装置120は、データ転送自体には関与しないため、データ転送をしている間に制御端末装置120は他の処理を円滑に行なうことができる。また、データ転送の間、制御端末装置120の電源をオフにしておくこともできる。
【0046】
また、データ転送の進捗状況を第一ネットワークストレージ装置101からサーバ装置130に送信し、サーバ装置130は進捗情報を更新して保持している。従って、監視端末装置140から任意のタイミングでサーバ装置130にアクセスしてデータ転送の進捗状況を確認することができる。監視者は、第一ネットワーク210に監視端末装置140を接続することでいずれの場所でもデータ転送の進捗を監視することができ、データ転送が終了するまで監視者が第一構内301に滞在する必要がなくなる。
【0047】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本発明の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本発明の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本発明に含まれる。
【0048】
例えば上記実施の形態では、送信先(リプレース先)の第一ネットワークストレージ装置101がデータの受信量に基づき進捗度を計算してサーバ装置130に進捗度を示す進捗情報を送信したが、送信元(リプレース元)の第二ネットワークストレージ装置102がデータの送信量に基づき進捗度を計算してサーバ装置130に進捗情報を送信してもかまわない。
【0049】
また、サーバ装置130、または監視端末装置140が転送すべきデータの総量を把握し、進捗情報としてデータの転送量を取得することで、サーバ装置130、または監視端末装置140が進捗度を計算してもかまわない。
【0050】
また、上記実施の形態では、第二ネットワーク220に接続される第二ネットワークストレージ装置102から第一ネットワークストレージ装置101へのファイルのコピーについて説明した。しかし、ストレージシステム100は、第二ネットワーク220に接続される他の二つのネットワークストレージ装置間のデータ転送について進捗情報をサーバ装置130に送信することができる。例えば、制御端末装置120が送信元(リプレース元)の第二ネットワークストレージ装置102にNDC設定指示をし、第二ネットワークストレージ装置102から第一ネットワークストレージ装置101にファイルコピーを行い、第二ネットワークストレージ装置102がサーバ装置130の進捗情報を送信する構成であってもかまわない。さらに、監視端末装置140は、複数のネットワークストレージ装置を区別して進捗情報を提示してもかまわない。
【0051】
また、ストレージシステム100は、第一構内301以外の構内に設置され、第二ネットワーク220とは異なるネットワークに接続される二台のネットワークストレージ装置間のデータ転送について進捗情報をサーバ装置130に送信してもかまわない。
【0052】
また、第一ネットワークストレージ装置101を新しく第二ネットワーク220に接続し第二ネットワークストレージ装置102の全ファイルを第一ネットワークストレージ装置101にコピーする場合を説明したが、第二ネットワークストレージ装置102の一部のファイルを第一ネットワークストレージ装置101にコピーするなどユーザは制御端末装置120に基づき転送すべきデータを任意に選択してもかまわない。
【0053】
また、第一ネットワークストレージ装置101は、アドレス変換装置150を介してサーバ装置130に進捗情報を送信する場合を説明したが、第一ネットワークストレージ装置101は、アドレス変換装置150を介することなく第一ネットワーク210を介してサーバ装置130に進捗情報を送信してもかまわない。
【符号の説明】
【0054】
100 ストレージシステム
101 第一ネットワークストレージ装置
102 第二ネットワークストレージ装置
111 データ送受信部
112 進捗送信部
120 制御端末装置
121 転送指示部
130 サーバ装置
131 進捗情報更新部
140 監視端末装置
141 進捗情報取得部
142 進捗状況提示部
150 アドレス変換装置
210 第一ネットワーク
220 第二ネットワーク
301 第一構内
302 第二構内