(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186470
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】二液硬化型樹脂組成物および形状記憶樹脂
(51)【国際特許分類】
C08G 18/32 20060101AFI20221208BHJP
C08G 18/65 20060101ALI20221208BHJP
C08G 18/79 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
C08G18/32 037
C08G18/65 023
C08G18/79
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094705
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003506
【氏名又は名称】第一工業製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100203091
【弁理士】
【氏名又は名称】水鳥 正裕
(72)【発明者】
【氏名】塩路 雄大
(72)【発明者】
【氏名】西浦 聖人
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034BA02
4J034BA08
4J034CA04
4J034CA15
4J034CA17
4J034CB03
4J034CB04
4J034CB07
4J034CC08
4J034CC12
4J034CC61
4J034CC67
4J034CD06
4J034DA01
4J034DB04
4J034DB07
4J034DC50
4J034DF01
4J034DF02
4J034DF12
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG05
4J034DG09
4J034DG14
4J034DP12
4J034DP18
4J034DP19
4J034EA11
4J034EA12
4J034HA01
4J034HA06
4J034HA07
4J034HA08
4J034HB05
4J034HB06
4J034HB07
4J034HB08
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC22
4J034HC35
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC65
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA01
4J034JA32
4J034KA01
4J034KB02
4J034KC17
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4J034QA01
4J034QA03
4J034QB13
4J034QD01
4J034QD03
4J034RA05
4J034RA06
4J034RA14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】記憶更新が可能な形状記憶樹脂を提供する。
【解決手段】活性水素成分とポリイソシアネート成分とを有する二液硬化型樹脂組成物において、活性水素成分とポリイソシアネート成分の少なくとも一方は3官能以上の成分を含み、活性水素成分が式(1)又は(2)で表されるポリアミンのいずれか1つ以上を含む。R
1及びR
2は、独立にC数4~20の炭化水素基を、R
3~R
6は、独立にH又はC数1~20の炭化水素基を、R
7はC数1~6のアルカンジイル基を表す。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性水素成分とポリイソシアネート成分とを有する二液硬化型樹脂組成物であって、
前記活性水素成分と前記ポリイソシアネート成分の少なくとも一方は3官能以上の成分を含み、
前記活性水素成分が下記式(1)または式(2)で表されるポリアミンのいずれか1つ以上を含み、
【化1】
式(1)において、R
1およびR
2は、それぞれ独立に炭素数4~20の一価の炭化水素基を表し、R
3、R
4、R
5およびR
6は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1~20の一価の炭化水素基を表し、式(2)において、R
7は炭素数1~6のアルカンジイル基を表し、nは1~20の数を表す、
二液硬化型樹脂組成物。
【請求項2】
前記ポリイソシアネート成分が、イソシアヌレート変性体、アロファネート変性体、ビュレット変性体、アダクト変性体、およびカルボジイミド変性体からなる群から選択された1種または2種以上を含む、請求項1に記載の二液硬化型樹脂組成物。
【請求項3】
前記活性水素成分がさらにポリオールを含む、請求項1または2に記載の二液硬化型樹脂組成物。
【請求項4】
前記ポリアミンの含有量が、前記ポリアミンと前記ポリオールの合計量100質量部に対して20質量部以上である、請求項3に記載の二液硬化型樹脂組成物。
【請求項5】
活性水素成分とポリイソシアネート成分とを反応させて得られる形状記憶樹脂であって、
前記活性水素成分と前記ポリイソシアネート成分の少なくとも一方は3官能以上の成分を含み、
前記活性水素成分が下記式(1)または式(2)で表されるポリアミンのいずれか1つ以上を含み、
【化2】
式(1)において、R
1およびR
2は、それぞれ独立に炭素数4~20の一価の炭化水素基を表し、R
3、R
4、R
5およびR
6は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1~20の一価の炭化水素基を表し、式(2)において、R
7は炭素数1~6のアルカンジイル基を表し、nは1~20の数を表す、
形状記憶樹脂。
【請求項6】
前記ポリイソシアネート成分が、イソシアヌレート変性体、アロファネート変性体、ビュレット変性体、アダクト変性体、およびカルボジイミド変性体からなる群から選択された1種または2種以上を含む、請求項5に記載の形状記憶樹脂。
【請求項7】
前記活性水素成分がさらにポリオールを含む、請求項5または6に記載の形状記憶樹脂。
【請求項8】
前記ポリアミンの含有量が、前記ポリアミンと前記ポリオールの合計量100質量部に対して20質量部以上である、請求項7に記載の形状記憶樹脂。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二液硬化型樹脂組成物および形状記憶樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
形状記憶樹脂は、成形加工後に力を加え変形しても、ある温度以上に加熱すると元の形状に回復する樹脂である。形状記憶樹脂は、物理的あるいは化学的結合部位(架橋点)からなる固定相と、ある温度以上で流動的になる非架橋部分からなる可逆相とで構成されている。固定相が共有結合による架橋構造からなる形状記憶樹脂は、熱硬化性樹脂としての性能を示す。そのため、再成形が不可能であるとの短所がある。
【0003】
これに対し、架橋部位に動的共有結合を導入することにより、熱可塑性樹脂としての加工性を付与した形状記憶樹脂が、例えば特許文献1に提案されている。動的共有結合とは、熱可逆的に結合-解離可能な共有結合であり、所定の温度以上で共有結合が解離し、冷却により再結合することから、熱硬化性樹脂としての性能を示しながら、熱可塑性樹脂の加工性を発現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
動的共有結合を導入した形状記憶樹脂は、動的共有結合が解離する温度(以下、解離温度Thという。)以上に加熱すると、当該動的共有結合が解離し再結合するので、解離温度Th以上の加熱条件下に変形を加え、そのまま冷却することにより、その変形した形状を新たに記憶することができる。すなわち、記憶更新が可能となる。
【0006】
本発明の実施形態は、記憶更新が可能な新たな形状記憶樹脂、およびそのための二液硬化型樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の実施形態に係る二液硬化型樹脂組成物は、活性水素成分とポリイソシアネート成分とを有する二液硬化型樹脂組成物であって、前記活性水素成分と前記ポリイソシアネート成分の少なくとも一方は3官能以上の成分を含み、前記活性水素成分が下記式(1)または式(2)で表されるポリアミンのいずれか1つ以上を含み、
【化1】
式(1)において、R
1およびR
2は、それぞれ独立に炭素数4~20の一価の炭化水素基を表し、R
3、R
4、R
5およびR
6は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1~20の一価の炭化水素基を表し、式(2)において、R
7は炭素数1~6のアルカンジイル基を表し、nは1~20の数を表す、二液硬化型樹脂組成物である。
【0008】
本発明の第2の実施形態に係る形状記憶樹脂は、活性水素成分とポリイソシアネート成分とを反応させて得られる形状記憶樹脂であって、前記活性水素成分と前記ポリイソシアネート成分の少なくとも一方は3官能以上の成分を含み、前記活性水素成分が上記式(1)または式(2)で表されるポリアミンのいずれか1つ以上を含む、形状記憶樹脂である。
【0009】
上記二液硬化型樹脂組成物および形状記憶樹脂において、前記ポリイソシアネート成分は、イソシアヌレート変性体、アロファネート変性体、ビュレット変性体、アダクト変性体、およびカルボジイミド変性体からなる群から選択された1種または2種以上を含んでもよい。
【0010】
上記二液硬化型樹脂組成物および形状記憶樹脂において、前記活性水素成分はさらにポリオールを含んでもよい。
【0011】
上記二液硬化型樹脂組成物および形状記憶樹脂において、前記ポリアミンの含有量は、前記ポリアミンと前記ポリオールの合計量100質量部に対して20質量部以上でもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施形態によれば、記憶更新が可能な新たな形状記憶樹脂を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係る形状記憶樹脂の形状記憶と記憶更新を説明するための概念図
【
図2】形状記憶および記憶更新性の評価試験における試験片の曲げ状態を示す側面模式図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態に係る二液硬化型樹脂組成物は、活性水素成分(A)とポリイソシアネート成分(B)とを有するものであり、通常は、活性水素成分(A)を含む第1液と、ポリイソシアネート成分(B)を含む第2液とで構成される。
【0015】
<第1液>
[活性水素成分(A)]
第1液に含まれる活性水素成分(A)は、アミノ基や水酸基などの活性水素基を含有する成分であり、活性水素基含有化合物とも称される。本実施形態では、活性水素成分(A)が下記式(1)または式(2)で表されるポリアミン(A1)のいずれか1つ以上を含む。
【化2】
【0016】
式(1)で表されるポリアミンは嵩高い置換基を持つ第二級のジアミンである。このような嵩高い置換基を持つアミノ基とイソシアネート基とが反応してなるウレア結合は、熱可逆的に結合-解離可能であり、すなわち動的共有結合となる。式(2)で表されるポリアミンは嵩高い置換基を持つ第二級アミンではないが、ベンゼン環に結合したエステル結合が電子を吸引することによりアミノ基とイソシアネート基とが反応してなるウレア結合が熱可逆的に結合-解離可能、すなわち動的共有結合になると考えられる。
【0017】
式(1)において、R1およびR2は、それぞれ独立に炭素数4~20の一価の炭化水素基を表す。該炭化水素基としては、飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基でもよく、飽和または不飽和の脂環式炭化水素基でもよく、芳香族炭化水素基でもよい。該炭化水素基の炭素数は4~12であることが好ましく、4~8でもよい。一実施形態において、R1およびR2が脂肪族炭化水素基である場合、分岐鎖を持つことが好ましく、例えば、R1およびR2は、それぞれ独立に炭素数4~12の分岐の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、より好ましくは、それぞれ独立に炭素数4~8の分岐の飽和炭化水素基である。
【0018】
式(1)において、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1~20の一価の炭化水素基を表す。該炭化水素基としては、飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基でもよく、飽和または不飽和の脂環式炭化水素基でもよく、芳香族炭化水素基でもよい。該炭化水素基の炭素数は1~12でもよく、1~8でもよい。一実施形態において、R3、R4、R5およびR6は、水素原子であることが好ましい。
【0019】
式(2)において、R7は炭素数1~6のアルカンジイル基を表す。R7は、より好ましくは炭素数3~5のアルカンジイル基を表し、さらに好ましくは炭素数4のブタンジイル基を表す。式(2)中のオキシアルキレン基OR7が複数(即ちn≧2)の場合、複数のオキシアルキレン基OR7は同一種でもよく、2種以上組み合わせてもよい。
【0020】
式(2)において、nは1~20の数を表す。nは2~15でもよく、5~12でもよい。式(2)において、両末端のベンゼン環に結合するアミノ基の位置は、特に限定されないが、エステル結合に対してパラ位であることが好ましい。
【0021】
式(2)で表されるポリアミンの具体例としては、クミアイ化学工業株式会社製の「エラスマー250P」(R7=テトラメチレン、n=3)、「エラスマー650P」(R7=テトラメチレン、n=9)、「エラスマー1000P」(R7=テトラメチレン、n=14)、「ポレアSL-100A」(R7=テトラメチレンと3-メチルテトラメチレン、分子量1238)、「CUA-4」(R7=トリメチレン、n=1)等が市販されており、それらを用いることができる。
【0022】
活性水素成分(A)は、上記ポリアミン(A1)のみからなるものでもよいが、ポリアミン(A1)とともにポリオール(A2)を含んでもよい。ポリオール(A2)を併用することにより、解離温度Th以上に加熱したときの脆化を抑えて柔軟性を付与することができる。ここで、活性水素成分(A)がポリアミン(A1)のみからなる場合、ポリイソシアネート成分(B)との反応により得られる樹脂はポリウレア樹脂であり、活性水素成分(A)がポリアミン(A1)とともにポリオール(A2)を含む場合、得られる樹脂はポリウレタンウレア樹脂である。以下、これらポリウレア樹脂とポリウレタンウレア樹脂を総称してポリウレタン系樹脂ということがある。
【0023】
ポリオール(A2)は、分子内に複数の水酸基を持つ化合物であり、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ヒマシ油系ポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、ダイマー酸ポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、アクリルポリオールなどが挙げられる。ポリオール(A2)としては、また、一般に架橋剤として用いられている低分子量ポリオールでもよく、例えば分子量300以下のポリオール化合物、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、ノナンジオール、オクタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ジプロピレングリコール、ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。これらのポリオール(A2)はいずれか一種または二種以上組み合わせて用いることができる。
【0024】
ポリオール(A2)としては、特に限定するものではないが、水酸基価(OHV)が10~400mgKOH/gであるものが好ましく用いられ、より好ましくは50~350mgKOH/gであり、更に好ましくは100~320mgKOH/gであり、200~300mgKOH/gでもよい。本明細書において、水酸基価はJIS K1557-1:2007のA法に準じて測定される。
【0025】
一実施形態において、ポリオール(A2)はポリエーテルポリオールを含むことが好ましい。ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ビスフェノールA、グリセリン等のポリオール化合物またはエチレンジアミン等のポリアミン化合物に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドの単独又は混合物をランダムあるいはブロック付加して得られるものが挙げられる。ポリエーテルポリオールの水酸基価は、特に限定されず、10~400mgKOH/gでもよく、50~350mgKOH/gでもよく、100~320mgKOH/gでもよく、200~300mgKOH/gでもよい。
【0026】
活性水素成分(A)がポリアミン(A1)とともにポリオール(A2)を含む場合、ポリアミン(A1)の含有量は、ポリアミン(A1)とポリオール(A2)の合計量100質量部に対して20質量部以上であることが好ましい。該含有量が20質量部以上であることにより、動的共有結合となるウレア結合の含有量を高めて記憶更新性を向上することができる。ポリアミン(A1)の含有量は、ポリアミン(A1)とポリオール(A2)の合計量100質量部に対して、30質量部以上であることが好ましく、より好ましくは40質量部以上であり、また、90質量部以下でもよく、80質量部以下でもよい。
【0027】
ポリオール(A2)の含有量は、ポリアミン(A1)とポリオール(A2)の合計量100質量部に対して80質量部以下であることが好ましく、より好ましくは70質量部以下であり、さらに好ましくは60質量部以下であり、また、10質量部以上でもよく、20質量部以上でもよい。
【0028】
活性水素成分(A)は、上記ポリアミン(A1)およびポリオール(A2)以外の活性水素基含有化合物(例えば、ポリアミン(A1)以外のポリアミン)を含んでもよいが、好ましくは、活性水素成分(A)は上記ポリアミン(A1)単独、または上記ポリアミン(A1)およびポリオール(A2)のみからなることである。そのため、活性水素成分(A)100質量%中における、ポリアミン(A1)の比率は20質量%以上であることが好ましく、より好ましくは30質量%以上であり、さらに好ましくは40質量%以上であり、また、90質量%以下でもよく、80質量%以下でもよい。活性水素成分(A)100質量%中における、ポリオール(A2)の比率は80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは70質量%以下であり、さらに好ましくは60質量%以下であり、また、10質量%以上でもよく、20質量%以上でもよい。活性水素成分(A)100質量%中における、ポリアミン(A1)およびポリオール(A2)の合計での比率は80質量%以上であることが好ましく、より好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは100質量%である。
【0029】
[その他の成分]
第1液は、活性水素成分(A)のみで構成されてもよいが、必要に応じて、例えば、触媒、消泡剤、酸化防止剤、希釈剤、難燃剤、紫外線吸収剤、着色剤、充填剤、可塑剤などの各種添加剤を、本実施形態の目的を損なわない範囲で加えることができる。
【0030】
<第2液>
[ポリイソシアネート成分(B)]
第2液に含まれるポリイソシアネート成分(B)としては、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する種々のポリイソシアネート化合物を用いることができる。ポリイソシアネート成分(B)としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート(B1)、脂環式ポリイソシアネート(B2)、および芳香族ポリイソシアネート(B3)、ならびにこれらの変性体および多核体が挙げられ、いずれか1種用いても2種以上併用してもよい。
【0031】
脂肪族ポリイソシアネート(B1)としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、3-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネートなどが挙げられ、これらをいずれか1種または2種以上併用してもよい。
【0032】
脂環式ポリイソシアネート(B2)としては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添キシリレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどが挙げられ、これらをいずれか1種または2種以上併用してもよい。
【0033】
芳香族ポリイソシアネート(B3)としては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI、例えば2,4-TDI、2,6-TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI、例えば2,2’-MDI、2,4’-MDI、4,4’-MDI)、4,4’-ジベンジルジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートなどが挙げられ、これらをいずれか1種または2種以上併用してもよい。
【0034】
これらのポリイソシアネート(B1)~(B3)の変性体としては、例えば、イソシアヌレート変性体、アロファネート変性体、ビュレット変性体、アダクト変性体、カルボジイミド変性体などが挙げられ、これらをいずれか1種または2種以上併用してもよい。
【0035】
一実施形態において、ポリイソシアネート成分(B)としては、イソシアヌレート変性体、アロファネート変性体、ビュレット変性体、アダクト変性体およびカルボジイミド変性体からなる群から選択される少なくとも1種の変性体を用いることが好ましく、より好ましくは脂肪族ポリイソシアネート(B1)の上記変性体、さらに好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の上記変性体を用いることである。
【0036】
[その他の成分]
第2液は、ポリイソシアネート成分(B)のみで構成してもよく、また、ポリイソシアネート成分(B)の他に、必要に応じて、例えば、触媒、消泡剤、酸化防止剤、希釈剤、難燃剤、紫外線吸収剤、着色剤、充填剤、可塑剤などの各種添加剤を、本実施形態の目的を損なわない範囲で加えることができる。
【0037】
<二液硬化型樹脂組成物>
本実施形態に係る二液硬化型樹脂組成物は、上記のように活性水素成分(A)とポリイソシアネート成分(B)との反応によりポリウレタン系樹脂が得られるものであるため二液硬化型ポリウレタン系樹脂組成物とも称される。
【0038】
該二液硬化型樹脂組成物において、活性水素成分(A)とポリイソシアネート成分(B)の少なくとも一方は3官能以上の成分(モノマー)を含む。これにより、硬化後のポリウレタン系樹脂に架橋構造が形成されて、形状記憶性を持つ熱硬化性樹脂としての性能を持たせることができる。また、活性水素成分(A)が上記ポリアミン(A1)を含み、該ポリアミン(A1)のアミノ基がポリイソシアネート成分(B)のイソシアネート基と反応して動的共有結合としてのウレア結合を形成するため、記憶更新性を持たせることができる。
【0039】
ここで、3官能以上の成分とは、活性水素成分(A)の場合、1分子中にアミノ基または水酸基を3つ以上有するポリアミンまたはポリオールであり、ポリイソシアネート成分(B)の場合、1分子中にイソシアネート基を3つ以上有するポリイソシアネート化合物である。
【0040】
該二液硬化型樹脂組成物は、活性水素成分(A)のみが3官能以上の成分を含んでもよく、ポリイソシアネート成分(B)のみが3官能以上の成分を含んでもよく、活性水素成分(A)とポリイソシアネート成分(B)の双方が3官能以上の成分を含んでもよい。上記ポリアミン(A1)が2官能であることから、好ましくはポリイソシアネート成分(B)が3官能以上の成分を含むことであり、これによりポリアミン(A1)を架橋部位として当該架橋部位に動的共有結合を導入することができる。
【0041】
3官能以上のポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメリックMDI、イソシアヌレート変性体、アロファネート変性体、ビュレット変性体、カルボジイミド変性体、3価以上のアルコールにイソシアネートを反応させてなるアダクト変性体などが挙げられ、これらをいずれか1種または2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0042】
該二液硬化型樹脂組成物において、活性水素成分(A)とポリイソシアネート成分(B)との比率は、特に限定されず、例えば、活性水素成分(A)100質量部に対して、ポリイソシアネート成分(B)が30~150質量部でもよく、40~120質量部でもよい。また、活性水素成分(A)の水酸基価(OHV)(mgKOH/g)に対するポリイソシアネート成分(B)のイソシアネート価(NCOV)(mgKOH/g)の比であるNCOV/OHV(インデックス)は、例えば0.7~1.5でもよく、0.9~1.2でもよく、1.0~1.1でもよい。
【0043】
本明細書において、イソシアネート価(mgKOH/g)は、イソシアネート含有率をJIS K1603-1:2007のA法に準拠して測定し、求めたイソシアネート含有率(NCO%)から下記式により算出される。
イソシアネート価=(NCO%×56110)/(42.02×100)
【0044】
本実施形態に係る二液硬化型樹脂組成物は、通常は、活性水素成分(A)を含む第1液と、ポリイソシアネート成分(B)を含む第2液とで構成されるが、任意成分としての上記その他の成分を含むものを第3液として備えてもよい。
【0045】
該二液硬化型樹脂組成物は、第1液と第2液をそれぞれ調製することにより製造することができ、すなわち、第1液と第2液はそれぞれ別の容器に充填されたものでもよい。別々の容器に充填された第1液と第2液は、使用時に混合されることにより活性水素成分(A)とポリイソシアネート成分(B)とが反応してポリウレタン系樹脂が形成され、硬化してもよい。その際、加熱により硬化させてもよい。実施形態に係る二液硬化型樹脂組成物は、第1液と第2液を混合して得られたものであってもよく、硬化前の液状でもよく、硬化していてもよい。
【0046】
<形状記憶樹脂>
本実施形態に係る形状記憶樹脂は、上記の活性水素成分(A)とポリイソシアネート成分(B)とを反応させて得られるポリウレタン系樹脂であり、上記二液硬化型樹脂組成物を硬化させて得られるものでもよい。該形状記憶樹脂は、活性水素成分(A)とポリイソシアネート成分(B)の少なくとも一方が3官能以上の成分を含むことにより、形状記憶性が付与されており、また、活性水素成分(A)に含まれる上記ポリアミン(A1)とポリイソシアネート成分(B)との反応により形成されるウレア結合が、熱可逆的に結合-解離可能な動的共有結合であるため、記憶更新が可能である。
【0047】
詳細には、該形状記憶樹脂は、架橋部位からなる固定相と、ガラス転移温度Tg以上で流動的になる非架橋部分からなる可逆相とで構成されており、ガラス転移温度Tg以上に加熱することにより固定相を維持したまま可逆相が軟化して変形が可能となる。また、動的共有結合であるウレア結合が解離する解離温度Th以上に加熱することにより、ウレア結合が解離し、冷却時に再結合するので、解離温度Th以上の加熱条件下に変形を加え、そのまま冷却することにより、その変形した形状を新たに記憶することができる。
【0048】
図1は、実施形態に係る形状記憶樹脂の形状記憶と記憶更新を説明するための概念図である。
図1中の(1)の状態を出発点として説明する。(1)の状態において、形状記憶樹脂の成形体は、記憶形状が形状Aであり、かつ雰囲気温度Tがガラス転移温度Tg未満(T<Tg)で形状Aの状態にある。この状態からガラス転移温度Tg以上(Tg≦T<Th)に加熱し((2)の状態)、さらに成形体に変形を加えて、(3)のように形状Bにする。この変形状態でT<Tgに冷却すると、そのまま固定化されて(4)のように形状Bを持つ成形体となる。但し、形状Aが記憶されているため、Tg≦T<Thに加熱すると、(2)のように形状Aに復元する。そのため、このまま冷却すれば、(1)の初期状態の成形体に戻る。
【0049】
一方、形状Bに変形させた(3)の状態から解離温度Th以上(T≧Th)に加熱すると、(5)のように動的共有結合であるウレア結合が解離してアミノ基とイソシアネート基になる。その後、形状Bの状態のまま解離温度Th未満(Tg≦T<Th)に冷却すると、(6)のようにアミノ基とイソシアネート基が再結合してウレア結合となり、形状Bが新たに記憶され、すなわち記憶更新が起こる。そのため、そのままT<Tgに冷却すると、(7)のように形状Bを持つ成形体となる。この成形体は形状Bを記憶しているため、そのままTg≦T<Thに加熱しても、(6)のように形状Bのままであり、(2)に示す形状Aには復元しない。(6)の状態から、(8)のように成形体に変形を加えて形状Cにし、この変形状態でT<Tgに冷却すると(9)のように形状Cを持つ成形体となる。この形状Cの成形体は、記憶形状が形状Bであるため、Tg≦T<Thに加熱すると(6)のように形状Bに復元する。
【0050】
本実施形態に係る形状記憶樹脂のガラス転移温度Tgは、解離温度Thよりも低い温度であれば特に限定されず、例えば10℃以上でもよく、20℃以上でもよく、30℃以上でもよく、40℃以上でもよく、50℃以上でもよい。また、ガラス転移温度Tgは150℃以下でもよく、130℃以下でもよく、120℃以下でもよく、100℃以下でもよく、80℃以下でもよい。本明細書において、ガラス転移温度Tgは、動的粘弾性測定により求められる値である。
【0051】
本実施形態に係る形状記憶樹脂の解離温度Thは、ガラス転移温度Tgよりも高い温度であれば特に限定されず、例えば100℃以上200℃以下でもよく、120℃以上180℃以下でもよい。本明細書において、解離温度Thは次のようにして測定される。すなわち、後述する実施例における記憶更新の可能性評価試験(平ら→曲げ)において、(2)での加熱温度をガラス転移温度Tgよりも高温側に10℃刻みで変更し、その他は記憶更新の可能性評価試験(平ら→曲げ)と同様の試験を行って変形率を算出し、算出した変形率が30%以上となる最低温度を解離温度Thとする。
【0052】
本実施形態に係る二液硬化型樹脂組成物および形状記憶樹脂は、射出成形法、フィルム成形法、ブロー成形法などの一般的な樹脂の成形法により様々な樹脂成形体を作製することができる。また、その用途も特に限定されず、例えば、電気電子部品などの様々な用途に用いることができる。
【実施例0053】
以下、実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されない。
【0054】
実施例及び比較例において使用した原料を以下に示す。
[ポリアミン(A1)]
・ポリアミン1:三井化学ファイン株式会社製「エタキュア420」、下記式で表されるポリアミン
【化3】
【0055】
・ポリアミン2:クミアイ化学工業株式会社製「エラスマー650P」、下記式で表されるポリアミン(n=9)
【化4】
【0056】
[ポリオール(A2)]
・ポリオール1:ポリオキシプロピレンビスフェノールAエーテル、水酸基価211mgKOH/g、官能基数2、三洋化成工業株式会社製「ニューポールBP-5P」
・ポリオール2:ポリプロピレングリコール、水酸基価281mgKOH/g、官能基数2、AGC株式会社製「エクセノール420」
【0057】
[ポリイソシアネート成分(B)]
・ポリイソシアネート1:ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)変性体、イソシアネート価259mgKOH/g、東ソー株式会社製「コロネート2770」
・ポリイソシアネート2:HDI系イソシアヌレート変性体、イソシアネート価309mgKOH/g、官能基数3、万華化学社製「HT-600」
【0058】
[その他の成分]
・消泡剤:楠本化成株式会社製「ディスパロンP-450」
・触媒:日東化成株式会社「ネオスタンU-810」
【0059】
形状記憶樹脂についてのガラス転移温度Tgの測定方法は以下のとおりである。
[ガラス転移温度Tg]
所定の試験片(長さ20mm×幅5mm×厚さ2mm)を用い、ユービーエム社製のRheogel E-4000にてチャック間20mm、基本周波数は10Hz、歪みは自動制御モードでガラス転移温度Tgを測定した。
【0060】
[実施例1~12および比較例1]
下記表1に示す配合(質量部)に従い、第1液と第2液をそれぞれ調製し、両者を表1に示す質量配合比(第1液100質量部に対する第2液の質量部)にて混合し、得られた混合液を用いて、長さ20mm×幅5mm×厚さ2mmの試験片を成形した。表1には、活性水素成分(A)の水酸基価(OHV)に対するポリイソシアネート成分(B)のイソシアネート価(NCOV)の比であるインデックスNCOV/OHVも示す。試験片を120℃×3時間で養生して硬化を完了させた。なお、ポリアミンを配合してない比較例1では80℃で16時間養生して硬化を完了させた。
【0061】
得られた試験片について、ガラス転移温度Tgを測定するとともに、形状記憶性、および形状記憶の更新性を評価した。形状記憶の更新性評価は、記憶更新の可能性と、記憶更新の繰返し性について行った。評価方法は以下のとおりである。
【0062】
[形状記憶性]
(1)平らな試験片をT=100℃(Tg≦T<Th)に加熱し、
図2に示すように治具に取り付けて曲げ変形(曲げ角度θ=60°)を加えて1時間保持した。
(2)曲げ変形を加えたまま、試験片をT<Tg(比較例1ではT=5℃、それ以外はT=15℃)まで冷却した。治具から取り外してフリーな状態とし、試験片が曲げ変形を維持しているか否かを確認した。
(3)その後、曲がった試験片をT=100℃(Tg≦T<Th)に加熱することにより、試験片が元の平らな形状に復元するか否かを確認した。
(4)上記(2)において曲げ変形を維持していた試験片が上記(3)で平らな形状に復元したものを形状記憶性ありとして「○」と評価した。その以外のものは形状記憶性なしとして「×」と評価した。
【0063】
[記憶更新の可能性]
(平ら→曲げ)
(1)平らな試験片をT=100℃(Tg≦T<Th)に加熱し、
図2に示すように治具に取り付けて曲げ変形(曲げ角度θ=60°)を加えた。
(2)曲げ変形を加えたままT=150℃(T≧Th)に加熱し、3時間保持した。
(3)3時間経過後、T=100℃にし、試験片を治具から取り外してフリーな状態に1時間保持した。
(4)その後、試験片をT<Tg(比較例1ではT=5℃、それ以外はT=15℃)まで冷却し、試験片の曲げ角度を測定した。測定した曲げ角度A1(°)を用いて、初期の曲げ角度θ=60°に対する比(A1/60)×100%を変形率として算出し、変形率が70%以上のものを「○」(記憶更新性に優れる)、30%以上70%未満のものを「△」(記憶更新性あり)、30%未満のものを「×」(記憶更新性なし)と評価した。
【0064】
(曲げ→平ら)
(5)上記で得られた曲がった試験片をT=100℃(Tg≦T<Th)に加熱し、平板状の金型間に挟み込んで、平らになるように変形を加えた。その際、試験片が展性変形しないように、金型間にスペーサーをはさみ、金型間が試験片と等しい厚み2mmになるようにした。
(6)変形を加えたままT=150℃(T≧Th)に加熱し、3時間保持した。
(7)3時間経過後、T=100℃にし、試験片を金型から取り外してフリーな状態に1時間保持した。
(8)その後、試験片をT<Tg(比較例1ではT=5℃、それ以外はT=15℃)まで冷却し、試験片の曲げ角度を測定した。測定した曲げ角度A2(°)と上記A1(°)を用いて、{(A1-A2)/A1}×100%を変形率として算出し、変形率が70%以上のものを「○」(記憶更新性に優れる)、30%以上70%未満のものを「△」(記憶更新性あり)、30%未満のものを「×」(記憶更新性なし)と評価した。
【0065】
[記憶更新の繰返し性]
上記の「記憶更新の可能性評価」の(1)~(8)を更に1回繰り返し、2回目の(4)および(8)での評価がともに「○」であったものを「○」(記憶更新の繰返し性に優れる)、(4)および(8)のいずれか一方での評価が「×」であったものを「×」(記憶更新の繰返し性に劣る)、それ以外を「△」と評価した。
【0066】
【0067】
結果は表1に示すとおりである。比較例1では、活性水素成分(A)に式(1)または式(2)で表されるポリアミン(A1)を用いていないため、動的共有結合が形成されていない。そのため、形状記憶性は示したものの、記憶更新の可能性評価において上記(3)でフリーな状態にしたときに、初期形状に近い平らな状態に戻ってしまい、曲げ形状への記憶更新がなされなかった。
【0068】
これに対し、実施例1~12であると、形状記憶性を示すとともに、活性水素成分(A)に式(1)または式(2)で表されるポリアミン(A1)を含ませたため、記憶更新の可能性評価において上記(3)の段階でフリーな状態にしたときに曲げ形状が維持されており、平らな形状から曲げ形状への記憶の更新がなされていた。また、上記(7)の段階でフリーな状態にしたときに平らな形状が維持されており、曲げ形状から平らな形状への記憶の更新がなされていた。また、活性水素成分(A)中に含まれるポリアミン(A1)との量を多くすることにより、記憶更新の繰返し性に優れていた。
【0069】
実施例3および実施例7について、記憶更新が起こる温度を調べるために、上記(2)での加熱温度を110℃~150℃の範囲にて10℃刻みで変更し、その他は記憶更新の可能性評価試験(平ら→曲げ)と同様の試験を行い、上記(4)において測定した試験片の曲げ角度A1(°)を用いて初期の曲げ角度θ=60°に対する比(A1/60)×100%を変形率として算出した。結果を下記表2に示す。
【0070】
【0071】
表2に示すように、実施例7よりも実施例3の方がより低温で記憶更新が可能であることが分かる。また、実施例3および実施例7ともに150℃以上で完全な記憶更新が可能であった。表2に示す結果から、実施例3の形状記憶樹脂の解離温度Thは120℃であり、実施例7の形状記憶樹脂の解離温度Thは130℃であった。
【0072】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその省略、置き換え、変更などは、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。