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特開2022-186477自動搬送車両制御システム及び自動搬送車両制御方法
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  • 特開-自動搬送車両制御システム及び自動搬送車両制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186477
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】自動搬送車両制御システム及び自動搬送車両制御方法
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20221208BHJP
   G06F 11/14 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
B66F9/24 A
G06F11/14 641Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094721
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉村 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 夏美
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 誠也
(72)【発明者】
【氏名】小野 達矢
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AE02
3F333DB10
3F333FA01
3F333FE01
(57)【要約】
【課題】自動搬送車両において作業中の電源遮断および再起動が実施された場合にも、その場で作業を再開できるようにする。
【解決手段】自動搬送車両に搭載されて自動搬送車両を制御する車両制御装置と、自動搬送車両の作業割当を行う管理サーバとを備える自動搬送車両制御システムとして、車両制御装置は、電源遮断時にデータを保存可能な記憶部と、自動搬送車両の再起動時に再開作業の有無を判断する再開判断部とを備える。再開判断部は、管理サーバから受信した作業指示情報及び稼動許可情報を記憶部に保存すると共に、自動搬送車両の再起動時に、記憶部を確認し、作業指示情報及び稼動許可情報が保存されている場合に、保存されている作業指示及び稼動許可に基づいて作業を実施する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動搬送車両に搭載されて自動搬送車両を制御する車両制御装置と、前記自動搬送車両の作業割当を行う管理サーバとを備える自動搬送車両制御システムであって、
前記車両制御装置は、電源遮断時にデータを保存可能な記憶部と、
前記自動搬送車両の再起動時に再開作業の有無を判断する判断部と、を備え、
前記判断部は、前記管理サーバから受信した作業指示情報及び稼動許可情報を前記記憶部に保存すると共に、前記自動搬送車両の再起動時に、前記記憶部を確認し、作業指示情報及び稼動許可情報が保存されている場合に、保存されている作業指示及び稼動許可に基づいて、作業を実施する
自動搬送車両制御システム。
【請求項2】
前記記憶部は、前記自動搬送車両の停止が禁止される領域を示す停止禁止情報を記憶し、
前記判断部は、再起動時の前記自動搬送車両の位置と前記停止禁止情報とを比較して、前記自動搬送車両が停止を禁止されている位置にいる場合には、停止禁止位置から移動したのちに、作業指示情報及び稼動許可情報を確認する
請求項1に記載の自動搬送車両制御システム。
【請求項3】
前記車両制御装置は、前記自動搬送車両を停止させるための非常停止信号を生成し、生成した非常停止信号に基づいて前記自動搬送車両の電源を遮断する電源遮断装置を備える
請求項1に記載の自動搬送車両制御システム。
【請求項4】
前記自動搬送車両は、電源として第1電源と第2電源とを備え、
前記車両制御装置は、前記電源遮断装置を有する前記第1電源に接続された第1車両制御装置と、前記第2電源に接続された第2車両制御装置とで構成され、
前記第1車両制御装置は、非常停止信号を検出した際に、前記第1電源を遮断すると共に、前記第2車両制御装置は、前記第1電源の遮断による前記第1車両制御装置の停止時に、前記管理サーバから受信した作業指示情報及び稼動許可情報を保存する
請求項3に記載の自動搬送車両制御システム。
【請求項5】
自動搬送車両に搭載されて自動搬送車両を制御する車両制御装置と、前記自動搬送車両の作業割当を行う管理サーバとで行われる自動搬送車両制御方法であって、
前記車両制御装置が、前記管理サーバから受信した作業指示情報及び稼動許可情報を記憶すると共に、記憶した作業指示情報及び稼動許可情報を電源遮断時にデータの記憶を継続して行う記憶処理と、
前記自動搬送車両の再起動時に、前記車両制御装置で、前記記憶処理で記憶された作業指示情報及び稼動許可情報を確認し、保存されている作業指示及び稼動許可に基づいて、作業を実施する再開判断処理と、を含む
自動搬送車両制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動搬送車両制御システム及び自動搬送車両制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無人で走行及び荷役作業を行う無人フォークリフトなどの自動搬送車両に関する技術が各種開発されている。例えば特許文献1には、緊急の搬送作業の必要性が生じた場合に、無人フォークリフトが進行中の搬送作業を中断し、有人運転により緊急作業を実施した後、再び無人運転モードで記憶している中断作業内容に基づく搬送作業を再開する処理が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6066241号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるように搬送作業を再開するためには、無人フォークリフトの制御装置は、その作業内容を記憶しておく必要がある。ところが、状況によっては作業内容の記憶ができない場合がある。例えば、何らかの緊急的な対処で電源断として作業を中断した場合には、制御装置内で作業内容が保存されない状態で電源が切られてしまう。このため、自動運転ができる状態に電源が復帰したとしても、電源断になる直前に実行していた作業を再開できない状態になることがある。
【0005】
無人フォークリフトの制御装置に作業状態が保存されていない場合、無人フォークリフトは、車両に作業を指示する管理サーバから作業内容を再受信する必要がある。ただし、無人フォークリフトが稼働する倉庫内では、場所によって電波環境が劣悪なことが多々あり、作業内容の再受信ができない場合がある。
このように、倉庫内などで通信ができない状況のときには、確実に管理サーバとの無線通信が可能な位置まで自動、あるいは有人で無人フォークリフトを移動させた上で、作業指示の再送信を要求する必要があり、作業中断時の再開に手間と時間を要してしまうという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、自動搬送車両において作業中の電源遮断および再起動が実施された場合にも、その場で作業を再開することが可能な自動搬送車両制御システム及び自動搬送車両制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、自動搬送車両に搭載されて自動搬送車両を制御する車両制御装置と、自動搬送車両の作業割当を行う管理サーバとを備える自動搬送車両制御システムであって、車両制御装置は、電源遮断時にデータを保存可能な記憶部と、自動搬送車両の再起動時に再開作業の有無を判断する再開判断部と、を備え、再開判断部は、管理サーバから受信した作業指示情報及び稼動許可情報を記憶部に保存すると共に、自動搬送車両の再起動時に、記憶部を確認し、作業指示情報及び稼動許可情報が保存されている場合に、保存されている作業指示及び稼動許可に基づいて、作業を実施するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、自動搬送車両において作業中の電源遮断および再起動が実施された場合にも、その場で作業を再開することが可能になるので、自動搬送車両の運用の効率を向上させることができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施の形態例による自動搬送車両の例を示す平面図である。
図2】本発明の第1の実施の形態例による自動搬送車両の制御系の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の第1の実施の形態例による自動搬送車両制御システムの再起動時の手順を示すフローチャートである。
図4】本発明の第2の実施の形態例による車両制御装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施の形態例>
以下、本発明の第1の実施の形態例の自動搬送車両制御システムを、図1図3を参照して説明する。
【0011】
[自動搬送車両の構成]
まず、本実施の形態例の自動搬送車両制御システムにより制御される自動搬送車両について説明する。
図1は、本実施の形態例の自動搬送車両制御システムにより制御される自動搬送車両である自動フォークリフト1の概略構成を示す。
自動フォークリフト1は、車体に設置された車両制御装置11と、電源19と、非常停止ボタン17とを備えている。
自動フォークリフト1は、フォークツメ1aを備えて自動で荷役作業を行うことができる。この自動フォークリフト1の走行及び荷役作業は、車両制御装置11の制御により行われる。
【0012】
車両制御装置11は、作業管理サーバ2と無線通信を行って、作業管理サーバ2から配信された自動フォークリフト1の制御指示を受信する。配信される制御指示には、作業指示と稼働許可が含まれる。
【0013】
作業管理サーバ2から配信される作業指示は、ある荷物をある地点から別の地点へと搬送することを示す指示である。また、作業管理サーバ2から配信される稼働許可は、あるエリアでの作業(走行、荷役作業)の実施を許可する指示である。
作業管理サーバ2は、例えば、不図示の倉庫管理システムからの出荷指示に基づいて作業指示を生成する。一方、作業管理サーバ2は、他の自動フォークリフトや有人フォークリフト、作業員の位置など、作業現場での状況に基づいて、自動フォークリストに対して稼働許可を生成する。
この稼働許可は、例えば、自動フォークリフトが配備された倉庫内を複数のエリアに分割し、1つのエリアで1台の自動フォークリフトだけに稼働許可を発行するようにして、自動フォークリフトの走行に支障がないようにしている。
【0014】
[制御系の構成]
図2は、本実施の形態例の自動フォークリフト1に設置された車両制御装置11と、車両制御装置11に接続される制御系の構成を示す。
自動フォークリフト1は、車両制御装置11と、周辺の環境を計測するLIDARセンサ12と、フォークツメ1aの制御を行う荷役制御装置13と、フォークツメ1aを動作させる荷役装置14とを備える。周辺の環境を計測するセンサとして、LIDARセンサ12を使用するのは一例であり、その他のセンサを使用してもよい。
また、自動フォークリフト1は、自動フォークリフト1の走行を制御する走行制御装置15と、自動フォークリフト1を走行させる走行装置16と、非常停止ボタン17と、非常停止ボタン17が押下された際に電源遮断を行う電源遮断装置18と、電源19とを備える。
【0015】
車両制御装置11は、作業管理サーバ2からの作業指示及び稼働許可と、周辺環境に基づいて、荷役制御装置13及び走行制御装置15に対して荷役作業及び走行の指示を行う。
車両制御装置11は、いわゆるコンピュータとして構成される。すなわち、車両制御装置11は、計算処理を実施する演算処理部111と、センサやアクチュエータの入出力処理を行う入出力部112と、他の制御装置との通信処理を行う通信部113と、演算データを記憶する記憶部114と、電源遮断時に記憶を保持する記憶保持部115とを備える。
【0016】
演算処理部111は、記憶部114または記憶保持部115に記憶されたプログラムを読み出して、そのプログラムを実行することで、車両制御装置11が車両の走行や荷役作業を制御する処理部として機能する。
例えば、後述する再起動時に再開作業の有無を判断する再開判断処理は、演算処理部111でのプログラムの実行で行われる。言い換えると、再起動時に再開作業の有無を判断する判断部が、演算処理部111のプログラムにより構成されるということもできる。
【0017】
記憶部114は、例えばRAMで構成され、演算処理部111での演算に使用するデータや、演算処理部111が実行中のプログラムのデータが記憶される。
記憶保持部115は、フラッシュメモリやEEPROMなど、電源断時にもデータを保持することが可能なデバイスで構成される。したがって、記憶保持部115は、電源断時にもデータを保持する記憶処理を行うことができる。なお、記憶部114と記憶保持部115とは、いずれもデータの記憶処理を行うものであり、記憶部114と記憶保持部115とを総称して「記憶部」と呼ぶことができる。
また、記憶保持部115として、電源断時にもデータを保持される記憶部で構成する他に、バックアップ用の電池を備えて、常に電源が供給されるメモリで構成してもよい。
【0018】
なお、作業管理サーバ2から配信される作業指示や稼働許可は、車両制御装置11の記憶保持部115に記憶される。また、記憶保持部115には、自動フォークリフト1が作業を行う作業現場の地図情報などの、自動走行や自動荷役に必要な情報が記憶される。作業現場の地図情報には、フォークリフトの停止が禁止されるエリアである停止禁止場所に関する情報が含まれる。
【0019】
作業管理サーバ2は、自動フォークリフト1が配置された倉庫などの作業現場に設置されて、自動フォークリフト1による作業全体を管理する。作業管理サーバ2は、作業指示及び稼動許可情報を自動フォークリフト1に配信する。
車両制御装置11は、作業指示及び稼動許可情報を作業管理サーバ2から受信すると、記憶保持部115に保存する。
【0020】
電源19は、二次電池と、二次電池の出力電圧を各部が必要な電圧に整圧する電源回路とを有し、電源19の出力は、電源遮断装置18を経由して、図2に示す各部に供給される。そして、非常停止ボタン17が押下された際には、非常停止信号が生成され、その非常停止信号を受信した電源遮断装置18により、自動フォークリフト1の各部への電源の供給が遮断される。したがって、非常停止ボタン17が押下された際には、上述した車両制御装置11も、電源オフの状態になって停止する。また、荷役装置14や走行装置16も、非常停止ボタン17が押下された際には、電源の供給が遮断されるので、仮に荷役作業や走行を実施中であっても停止することになる。
【0021】
[再起動時の処理の流れ]
図3は、車両制御装置11が電源オフとなった後に、再起動する際の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、車両制御装置11が電源オフ後の再起動を開始すると(ステップS1)、車両制御装置11は、自動フォークリフト1の現在位置を確認する(ステップS2)。例えば、車両制御装置11は、LIDARセンサ12から得られる周辺情報に基づいて、現在位置を推定する。
【0022】
次に、車両制御装置11は、ステップS2で確認した現在位置が、停止禁止場所か否かを判断する(ステップS3)。このステップS3で、自動フォークリフト1の現在位置が停止禁止場所であった場合(ステップS3のYES)には、自動フォークリフト1を停止禁止場所から退避させる(ステップS4)。
例えば、防火シャッターの真下など、倉庫内には車両を停車させることが禁止されている場所が設定されている。このような場所に自動フォークリフト1が停止していた場合には、優先的に退避させることが必要なため、ステップS4での退避が実行される。
【0023】
また、ステップS3で、自動フォークリフト1の現在位置が停止禁止場所でない場合(ステップS3のNO)と、ステップS4の退避が実行された後に、車両制御装置11は、記憶保持部115に作業指示が保存されているか否かを確認する(ステップS5)。
【0024】
ステップS5で作業指示が保存されている場合(ステップS5のYES)には、車両制御装置11は、記憶保持部115に稼働許可が保存されているか否かを確認する(ステップS8)。
また、ステップS5で作業指示が保存されていない場合(ステップS5のNO)には、車両制御装置11は、作業管理サーバ2に対して作業指示の送信を要求する(ステップS6)。
【0025】
その後、車両制御装置11は、作業指示を受信したか否かを確認する(ステップS7)。ステップS7で作業指示が受信されていない場合(ステップS7のNO)、受信されるまで待機する。そして、ステップS7で作業指示が受信された場合(ステップS7のYES)、ステップS8に進む。
【0026】
ステップS8で稼働許可が保存されている場合(ステップS8のYES)、には、車両制御装置11は、搬送作業の実施に移る(ステップS11)。このステップS11での搬送作業の実施時には、車両制御装置11は、作業管理サーバ2に対して、自動フォークリフト1が再起動して作業を再開したことを通知する。
ステップS8で稼働許可が保存されていない場合(ステップS8のNO)には、車両制御装置11は、作業管理サーバ2に対して稼働許可の送信を要求する(ステップS9)。その後、車両制御装置11は、稼働許可を受信したか否かを確認する(ステップS10)。
ステップS10で稼働許可が受信されていない場合(ステップS10のNO)、受信されるまで待機する。そして、ステップS10で稼働許可が受信された場合(ステップS10のYES)、車両制御装置11は、ステップS11の搬送作業の実施並びに作業管理サーバ2への再起動の通知に移る。
【0027】
以上説明したように、本実施の形態例の自動搬送車両制御システムによると、自動フォークリフト1が、非常停止ボタン17の操作で緊急停止した場合、停止後の電源復旧時に、記憶保持部115の記憶情報に基づいて迅速に搬送作業を再開できるので、運用効率が向上する。
すなわち、車両制御装置11は、緊急停止時の電源遮断があっても、記憶保持部115が記憶した作業指示や稼働許可の情報を保持している。このため、停止後の電源復旧時に、作業管理サーバ2と通信を行って再度作業指示や稼働許可を取得する必要がなく、迅速に搬送作業を再開することができる。
【0028】
また、停止後の電源復旧時に作業管理サーバ2と通信を行う必要がないため、自動フォークリフト1が緊急停止した位置が、無線通信を行う上で通信状況がよくない場合でも、通信状況がよい場所まで移動して作業管理サーバ2から情報を受信する必要がない。この点からも、迅速に搬送作業を再開することができる。
さらに、本実施の形態例の場合、停止後の電源復旧時に、停止位置が停止禁止場所のとき、直ちに別の場所に退避するようにしたので、自動フォークリフト1が作業現場内の禁止位置に停止し続ける状況を極力少なくすることができ、適切な運用ができるようになる。
【0029】
<第2の実施の形態例>
次に、本発明の第2の実施の形態例の自動搬送車両制御システムを、図4を参照して説明する。
本実施の形態例においては、自動フォークリフト1の全体構成は、第1の実施の形態例で説明した自動フォークリフト1と同じである。そして、本実施の形態例では、車両制御装置として、複数の制御装置を備える点が、第1の実施の形態例と相違する。車両制御装置以外の構成は、第1の実施の形態例で説明した構成と同じである。
【0030】
図4は、車両制御装置の構成を示す。
ここでは、図4に示すように、第1車両制御装置31と、第2車両制御装置32とを備える。第1車両制御装置31は、演算処理部311と記憶部312とを有する。第2車両制御装置32は、演算処理部321と記憶部322とを有する。記憶部312,322は電源オフ時に記憶情報を保持するデバイスと、保持しないデバイスのいずれでもよい。
【0031】
第1車両制御装置31と、第2車両制御装置32とは、相互にデータ転送が可能に接続される。
また、本実施の形態例においては、第1車両制御装置31と、第2車両制御装置32とは、それぞれ個別の電源41,42が供給される。すなわち、第1車両制御装置31には第1電源41が接続され、第1電源41で作動する。また、第2車両制御装置32には第2電源42が接続され、第2電源42で作動する。第1車両制御装置31に供給される第1電源41は、荷役装置14や走行装置16(いずれも図2)などへも供給される。
【0032】
第1車両制御装置31は、自動フォークリフト1の走行動作や荷役作業の実施を制御する制御装置である。但し、走行動作や荷役作業を実施する上での作業指示や稼働許可は、第2車両制御装置32から取得して、記憶部312に記憶される。
また、非常停止ボタン17が押下された際には、第1電源41から第1車両制御装置31への電源供給が停止する。これにより、非常停止ボタン17の操作で、第1車両制御装置31が作動を停止し、自動フォークリフト1が非常停止する。なお、図4では、非常停止ボタン17のみを示すが、実際には、第1電源41が電源遮断装置を内蔵し、非常停止ボタン17が押下された際には、図2に示す構成と同様に電源遮断装置が第1電源41を遮断する構成になっている。
【0033】
一方、第2車両制御装置32は、作業管理サーバ2(図2)との通信を実行し、作業管理サーバ2から受信した作業指示及び稼動許可の情報は、記憶部322に保存される。
なお、非常停止ボタン17が押下された場合であっても、第2電源42は、第2車両制御装置32への供給を続ける。
【0034】
したがって、非常停止ボタン17が押下された場合、第1電源41からの第1車両制御装置31への電源供給が遮断されるが、第2電源42から第2車両制御装置32への電源供給は継続し、第2車両制御装置32は記憶を保持した状態が継続される。電源供給が再開された時点で、第1車両制御装置31は、第2車両制御装置32が保持した作業指示や稼働許可を取得する。
【0035】
これにより、非常停止による電源遮断が発生した場合であっても、第2車両制御装置32は、作業指示及び稼動許可情報を保存し、第1車両制御装置31が、その場で搬送作業の制御を再開することができる。
したがって、第2の実施の形態例においても、第1の実施の形態例と同様に、停止後の電源復旧時に迅速に搬送作業を再開でき、運用効率が向上する。
【0036】
[変形例]
なお、本発明は、上述した実施の形態例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
例えば、上述した実施の形態例においては、自動フォークリフトに適用した例を説明したが、フォークリフトとは異なる機構で荷役作業を行う自動搬送車両に適用してもよい。
また、上述した実施の形態例で説明した自動搬送車両の一例としての自動フォークリフトは、自動的に走行や荷役作業を行うものとしたが、ここでの自動とは、走行や荷役作業の少なくとも一部が自動で行われるものであればよく、完全な自動走行が行われるものに限定されない。
【0037】
また、図2図4のブロック図では、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものだけを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0038】
また、上述した実施の形態例では、車両制御装置は、演算処理部や記憶部を備えて、プログラム(ソフトウェア)の実行で制御として機能するコンピュータとして構成した例とした。これに対して、車両制御装置の一部又は全てを、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェアで構成してもよい。
ハードウェアで構成した場合であっても、第1の実施の形態例の場合には、作業指示や稼働許可を保持する記憶部として、電源オフ時にも記憶情報の保持を継続するように構成する必要がある。
【符号の説明】
【0039】
1…自動フォークリフト、1a…フォークツメ、2…作業管理サーバ、11…車両制御装置、12…LIDARセンサ、13…荷役制御装置、14…荷役装置、15…走行制御装置、16…走行装置、17…非常停止ボタン、18…電源遮断装置、19…電源、31…第1車両制御装置、32…第2車両制御装置、41…第1電源、42…第2電源、111…演算処理部、112…入出力部、113…通信部、114…記憶部、115…記憶保持部、311…演算処理部、312…記憶部、321…演算処理部、322…記憶部
図1
図2
図3
図4