(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186480
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】撮像装置、電子機器、および撮像方法
(51)【国際特許分類】
H04N 5/3745 20110101AFI20221208BHJP
H04N 5/351 20110101ALI20221208BHJP
H04N 5/355 20110101ALI20221208BHJP
【FI】
H04N5/3745
H04N5/351
H04N5/355 900
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094735
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(72)【発明者】
【氏名】大谷 武裕
(72)【発明者】
【氏名】小澤 祐喜
(72)【発明者】
【氏名】松木 武
(72)【発明者】
【氏名】北野 伸
【テーマコード(参考)】
5C024
【Fターム(参考)】
5C024CX03
5C024GX03
5C024GX16
5C024GX18
5C024GY39
5C024GY41
5C024HX13
5C024HX29
5C024HX48
5C024HX50
(57)【要約】
【課題】輝度変化の誤検出を低減することが可能な撮像装置を提供する。
【解決手段】本開示の一実施形態に係る撮像装置は、入射光を光電変換した光電流を生成する光電変換素子と、光電流を電圧信号に変換する電流電圧変換回路と、光電流をモニタリングするしきい値モニタリング回路と、しきい値モニタリング回路のモニタリング結果に基づいて容量値が変化する可変容量素子を含む複数の容量素子と、複数の容量素子の容量比に基づいて電圧信号を増幅した増幅電圧と、しきい値電圧との比較結果に基づいて、入射光の輝度変化を検出するイベント検出回路と、を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を光電変換した光電流を生成する光電変換素子と、
前記光電流を電圧信号に変換する電流電圧変換回路と、
前記光電流をモニタリングするしきい値モニタリング回路と、
前記しきい値モニタリング回路のモニタリング結果に基づいて容量値が変化する可変容量素子を含む複数の容量素子と、
前記複数の容量素子の容量比に基づいて前記電圧信号を増幅した増幅電圧と、しきい値電圧との比較結果に基づいて、前記入射光の輝度変化を検出するイベント検出回路と、
を備える、撮像装置。
【請求項2】
前記しきい値モニタリング回路は、
しきい値電流を設定する電流源と、
前記光電流を複製する第1カレントミラー回路と、
前記しきい値電流を複製する第2カレントミラー回路と、
を有する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記複数の容量素子が、前記可変容量素子である第1容量素子と、容量値が前記第1容量素子よりも小さい第2容量素子と、を有し、
前記光電流が前記しきい値電流よりも小さい場合に、前記第1容量素子の第1容量値が減少し、
前記光電流が前記しきい値電流以上である場合に、前記第1容量値が増加する、請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記複数の容量素子が、容量値が前記第2容量素子よりも大きい第1容量素子と、前記可変容量素子である第2容量素子と、を有し、
前記光電流が前記しきい値電流よりも小さい場合に、前記第2容量素子の第2容量値が増加し、
前記光電流が前記しきい値電流以上である場合に、前記第2容量値が減少する、請求項2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記複数の容量素子が、前記可変容量素子である前記第1容量素子および前記第2容量素子を有し、
前記光電流が前記しきい値電流よりも小さい場合に、前記第1容量素子と前記第2容量素子の容量比が小さくなるように、前記第1容量素子の第1容量値および前記第2容量素子の第2容量値が変化し、
前記光電流が前記しきい値電流以上である場合に、前記容量比が大きくなるように、前記第1容量値および前記第2容量値が変化する、請求項2に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記イベント検出回路が、前記光電流と前記しきい値電流との比較結果に応じて前記しきい値電圧を切り替える切替回路を有する、請求項2に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記光電変換素子、前記電流電圧変換回路、前記複数の容量素子、および前記イベント検出回路が、画素内に配置され、
前記しきい値モニタリング回路のうち、前記第1カレントミラー回路および前記第2カレントミラー回路の一部が前記画素内に設けられ、前記電流源および前記第2カレントミラー回路の残りの部分が前記画素の外に配置されている、請求項2に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記しきい値モニタリング回路全体が、前記光電変換素子、前記電流電圧変換回路、前記複数の容量素子、および前記イベント検出回路と同じ第1基板に配置されている、請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記第2カレントミラー回路の一部が、前記光電変換素子、前記電流電圧変換回路、前記複数の容量素子、および前記イベント検出回路と同じ第1基板に配置され、
前記電流源および前記第2カレントミラー回路の残りの部分が、前記第1基板と積層される第2基板に配置されている、請求項7に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記光電変換素子および前記電流電圧変換回路の一部が第1基板に配置され、
前記電流電圧変換回路の残りの部分、前記複数の容量素子、前記イベント検出回路および前記しきい値モニタリング回路が、前記第1基板と積層される第2基板に配置されている、請求項7に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記光電変換素子が、第1基板に配置され、
前記電流電圧変換回路、前記複数の素子、前記イベント検出回路、および前記しきい値モニタリング回路が、前記第1基板と積層される第2基板に配置されている、請求項7に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記第1カレントミラー回路は、第1Pチャネル型MOSトランジスタと、前記第1Pチャネル型MOSトランジスタと並列に接続されている複数の第2Pチャネル型MOSトランジスタと、を有し、
前記第2カレントミラー回路は、前記複数の第2Pチャネル型MOSトランジスタにそれぞれ直列に接続されている複数の第1Nチャネル型MOSトランジスタと、前記電流源に直列に接続されている第2Nチャネル型MOSトランジスタと、を有し、
前記複数の第1Nチャネル型MOSトランジスタは、ゲートのチャネル幅およびチャネル長の比率が互いに異なっている、請求項2に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記第1カレントミラー回路は、第1Pチャネル型MOSトランジスタと、前記第1Pチャネル型MOSトランジスタと並列に接続されている複数の第2Pチャネル型MOSトランジスタと、を有し、
前記第2カレントミラー回路は、前記複数の第2Pチャネル型MOSトランジスタにそれぞれ直列に接続されている複数の第1Nチャネル型MOSトランジスタと、前記しきい値電流がそれぞれ異なる複数の前記電流源にそれぞれ直列に接続されている複数の第2Nチャネル型MOSトランジスタと、を有する、請求項2に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記可変容量素子が、互いに並列に接続されている複数の容量素子と、前記複数の容量素子のうちの一つの容量素子を除く他の容量素子に直列に接続されている少なくとも1つ以上のスイッチ素子と、を有し、
前記スイッチ素子は、前記しきい値モニタリング回路のモニタリング結果に応じてオンおよびオフする、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記スイッチ素子は、第3Pチャネル型MOSトランジスタと、前記第3Pチャネル型MOSトランジスタに並列に接続されている第3Nチャネル型MOSトランジスタと、前記第3Pチャネル型MOSトランジスタのゲートと、前記第3Nチャネル型MOSトランジスタのゲートとの間に接続されたインバータ素子と、を有する、請求項14に記載の撮像装置。
【請求項16】
複数の画素が行列状に配列されている画素アレイ部をさらに備え、
前記しきい値モニタリング回路が、前記画素アレイ部の全画素に設けられている、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項17】
前記しきい値モニタリング回路が、複数の画素から成る画素群のうちの特定の画素に設けられている、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項18】
入射光を光電変換した光電流を生成する光電変換素子と、前記光電流を電圧信号に変換する電流電圧変換回路と、前記光電流をモニタリングするしきい値モニタリング回路と、前記しきい値モニタリング回路のモニタリング結果に基づいて容量値が変化する可変容量素子を含む複数の容量素子と、前記複数の容量素子の容量比に基づいて前記電圧信号を増幅した増幅電圧と、しきい値電圧との比較結果に基づいて、前記入射光の輝度変化を検出するイベント検出回路と、を有する撮像装置を備える、電子機器。
【請求項19】
入射光を光電変換した光電流を生成し、
前記光電流を電圧信号に変換し、
前記光電流をモニタリングし、
前記光電流のモニタリング結果に基づいて、可変容量素子の容量値を設定し、
前記可変容量素子を含む複数の容量素子の容量比に基づいて前記電圧信号を増幅した増幅電圧と、しきい値電圧との比較し、
前記増幅電圧と前記しきい値電圧との結果に基づいて、前記入射光の輝度変化を検出する、撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置、電子機器、および撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イベントドリブン方式の撮像装置の一つとして、EVS(Event-based Vision Sensor)と呼ばれる非同期型の撮像装置が知られている。非同期型の撮像装置では、シーンの中で何らかのイベント(例えば、動き)が発生したときだけ、当該イベントによって生じる輝度レベルの変化した部分のデータが取得される。従って、非同期型の撮像装置は、固定フレームレートで不必要に画像の全てのデータを取得する一般的な同期型の撮像装置よりも高速に画像データを取得することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2018-148553号公報
【特許文献2】特表2008-523695号公報
【特許文献3】特表2015-501936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような非同期型の撮像装置では、入射光の輝度変化(イベント)は、入射光の光電変換によって生成された電圧信号(画素信号)の電圧値に基づいて検出される。しかし、例えば入射光の輝度が低い撮像環境下では、電圧信号のノイズレベルが高くなる。そのため、電圧信号の電圧値が、本来輝度変化を検出しないレベルであるにも関わらず、誤検出が発生する場合がある。
【0005】
本開示は、輝度変化の誤検出を低減することが可能な撮像装置、電子機器、および光検出方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る撮像装置は、入射光を光電変換した光電流を生成する光電変換素子と、光電流を電圧信号に変換する電流電圧変換回路と、光電流をモニタリングするしきい値モニタリング回路と、しきい値モニタリング回路のモニタリング結果に基づいて容量値が変化する可変容量素子を含む複数の容量素子と、複数の容量素子の容量比に基づいて電圧信号を増幅した増幅電圧と、しきい値電圧との比較結果に基づいて、入射光の輝度変化を検出するイベント検出回路と、を備える。
【0007】
前記しきい値モニタリング回路は、
しきい値電流を設定する電流源と、
前記光電流を複製する第1カレントミラー回路と、
前記しきい値電流を複製する第2カレントミラー回路と、
を有していてもよい。
【0008】
前記複数の容量素子が、前記可変容量素子である第1容量素子と、容量値が前記第1容量素子よりも小さい第2容量素子と、を有し、
前記光電流が前記しきい値電流よりも小さい場合に、前記第1容量素子の第1容量値が減少し、
前記光電流が前記しきい値電流以上である場合に、前記第1容量値が増加してもよい。
【0009】
前記複数の容量素子が、容量値が前記第2容量素子よりも大きい第1容量素子と、前記可変容量素子である第2容量素子と、を有し、
前記光電流が前記しきい値電流よりも小さい場合に、前記第2容量素子の第2容量値が増加し、
前記光電流が前記しきい値電流以上である場合に、前記第2容量値が減少してもよい。
【0010】
前記複数の容量素子が、前記可変容量素子である前記第1容量素子および前記第2容量素子を有し、
前記光電流が前記しきい値電流よりも小さい場合に、前記第1容量素子と前記第2容量素子の容量比が小さくなるように、前記第1容量素子の第1容量値および前記第2容量素子の第2容量値が変化し、
前記光電流が前記しきい値電流以上である場合に、前記容量比が大きくなるように、前記第1容量値および前記第2容量値が変化してもよい。
【0011】
前記イベント検出回路が、前記光電流と前記しきい値電流との比較結果に応じて前記しきい値電圧を切り替える切替回路を有していてもよい。
【0012】
前記光電変換素子、前記電流電圧変換回路、前記複数の容量素子、および前記イベント検出回路が、画素内に配置され、
前記しきい値モニタリング回路のうち、前記第1カレントミラー回路および前記第2カレントミラー回路の一部が前記画素内に設けられ、前記電流源および前記第2カレントミラー回路の残りの部分が前記画素の外に配置されていてもよい。
【0013】
前記しきい値モニタリング回路全体が、前記光電変換素子、前記電流電圧変換回路、前記複数の容量素子、および前記イベント検出回路と同じ第1基板に配置されていてもよい。
【0014】
前記第2カレントミラー回路の一部が、前記光電変換素子、前記電流電圧変換回路、前記複数の容量素子、および前記イベント検出回路と同じ第1基板に配置され、
前記電流源および前記第2カレントミラー回路の残りの部分が、前記第1基板と積層される第2基板に配置されていてもよい。
【0015】
前記光電変換素子および前記電流電圧変換回路の一部が第1基板に配置され、
前記電流電圧変換回路の残りの部分、前記複数の容量素子、前記イベント検出回路および前記しきい値モニタリング回路が、前記第1基板と積層される第2基板に配置されていてもよい。
【0016】
前記光電変換素子が、第1基板に配置され、
前記電流電圧変換回路、前記複数の素子、前記イベント検出回路、および前記しきい値モニタリング回路が、前記第1基板と積層される第2基板に配置されていてもよい。
【0017】
前記第1カレントミラー回路は、第1Pチャネル型MOSトランジスタと、前記第1Pチャネル型MOSトランジスタと並列に接続されている複数の第2Pチャネル型MOSトランジスタと、を有し、
前記第2カレントミラー回路は、前記複数の第2Pチャネル型MOSトランジスタにそれぞれ直列に接続されている複数の第1Nチャネル型MOSトランジスタと、前記電流源に直列に接続されている第2Nチャネル型MOSトランジスタと、を有し、
前記複数の第1Nチャネル型MOSトランジスタは、ゲートのチャネル幅およびチャネル長の比率が互いに異なっていてもよい。
【0018】
前記第1カレントミラー回路は、第1Pチャネル型MOSトランジスタと、前記第1Pチャネル型MOSトランジスタと並列に接続されている複数の第2Pチャネル型MOSトランジスタと、を有し、
前記第2カレントミラー回路は、前記複数の第2Pチャネル型MOSトランジスタにそれぞれ直列に接続されている複数の第1Nチャネル型MOSトランジスタと、前記しきい値電流がそれぞれ異なる複数の前記電流源にそれぞれ直列に接続されている複数の第2Nチャネル型MOSトランジスタと、を有していてもよい。
【0019】
前記可変容量素子が、互いに並列に接続されている複数の容量素子と、前記複数の容量素子のうちの一つの容量素子を除く他の容量素子に直列に接続されている少なくとも1つ以上のスイッチ素子と、を有し、
前記スイッチ素子は、前記しきい値モニタリング回路のモニタリング結果に応じてオンおよびオフしてもよい。
【0020】
前記スイッチ素子は、第3Pチャネル型MOSトランジスタと、前記第3Pチャネル型MOSトランジスタに並列に接続されている第3Nチャネル型MOSトランジスタと、前記第3Pチャネル型MOSトランジスタのゲートと、前記第3Nチャネル型MOSトランジスタのゲートとの間に接続されたインバータ素子と、を有していてもよい。
【0021】
複数の画素が行列状に配列されている画素アレイ部をさらに備え、
前記しきい値モニタリング回路が、前記画素アレイ部の全画素に設けられていてもよい。
【0022】
前記しきい値モニタリング回路が、複数の画素から成る画素群のうちの特定の画素に設けられていてもよい。
【0023】
本開示の一実施形態に係る電子機器は、入射光を光電変換した光電流を生成する光電変換素子と、光電流を電圧信号に変換する電流電圧変換回路と、光電流をモニタリングするしきい値モニタリング回路と、しきい値モニタリング回路のモニタリング結果に基づいて容量値が変化する可変容量素子を含む複数の容量素子と、複数の容量素子の容量比に基づいて電圧信号を増幅した増幅電圧と、しきい値電圧との比較結果に基づいて、入射光の輝度変化を検出するイベント検出回路と、を有する撮像装置を備える。
【0024】
本開示の一実施形態に係る撮像方法は、
入射光を光電変換した光電流を生成し、
前記光電流を電圧信号に変換し、
前記光電流をモニタリングし、
前記光電流のモニタリング結果に基づいて、可変容量素子の容量値を設定し、
前記可変容量素子を含む複数の容量素子の容量比に基づいて前記電圧信号を増幅した増幅電圧と、しきい値電圧との比較し、
前記増幅電圧と前記しきい値電圧との結果に基づいて、前記入射光の輝度変化を検出する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第1実施形態に係る撮像装置が搭載される電子機器の一構成例を示すブロック図である。
【
図2】撮像装置の一構成例を示すブロック図である。
【
図3】画素アレイ部に配列された画素の一構成例を示すブロック図である。
【
図4】受光部および画素信号生成部の回路構成の一例を示す回路図である。
【
図5】撮像装置の別の構成例を示すブロック図である。
【
図6】
図2または
図5に示す撮像装置のチップ構造の概略を示す分解斜視図である。
【
図7】第1実施形態に係るアドレスイベント検出部の回路図である。
【
図8】第1実施形態に係る第1容量素子の一構成例を示す図である。
【
図10】アドレスイベント検出部の処理動作を示すフローチャートである。
【
図11】比較例に係るイベント検出部の電圧Voutの波形図である。
【
図12】第1実施形態に係るアドレスイベント検出部の電圧Voutの波形図である。
【
図13】第2実施形態に係る撮像装置のアドレスイベント検出部の回路図である。
【
図14】第3実施形態に係る撮像装置のアドレスイベント検出部の回路図である。
【
図15】第4実施形態に係る撮像装置のアドレスイベント検出部の回路図である。
【
図16】第4実施形態に係るイベント検出回路の構成を示す回路図である。
【
図17】第1切替回路および第2切替回路の一構成例を示す回路図である。
【
図18】イベント検出回路のしきい値電圧の電圧レベルを示す図である。
【
図19】第5実施形態に係る撮像装置のアドレスイベント検出部の要部の回路図である。
【
図20】チップレイアウトの第1変形例を示す図である。
【
図21】チップレイアウトの第2変形例を示す図である。
【
図22】チップレイアウトの第3変形例を示す図である。
【
図23】第6実施形態に係る撮像装置のアドレスイベント検出部の要部の回路図である。
【
図24】第6実施形態に係る第1容量素子の一構成例を示す図である。
【
図25】第7実施形態に係る撮像装置のアドレスイベント検出部の要部の回路図である。
【
図26】しきい値モニタリング回路としきい値可変回路の配置形態を示す図である。
【
図27】しきい値モニタリング回路としきい値可変回路の別の配置形態を示す図である。
【
図28】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図29】車外情報検出部および撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、撮像装置および撮像方法の実施形態について説明する。以下では、撮像装置の主要な構成部分を中心に説明するが、撮像装置には、図示又は説明されていない構成部分や機能が存在し得る。以下の説明は、図示又は説明されていない構成部分や機能を除外しない。
【0027】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る撮像装置が搭載される電子機器の一構成例を示すブロック図である。
【0028】
図1に示す電子機器10は、撮像レンズ11と、撮像装置20と、記録部12と、制御部13と、を備える。この電子機器10は、例えば、産業用ロボットに搭載されるカメラシステムや、車載カメラシステムなどに適用することができる。
【0029】
撮像レンズ11は、被写体からの入射光を取り込んで撮像装置20の撮像面上に結像する。撮像装置20は、撮像レンズ11によって取り込まれた入射光を画素単位で光電変換して撮像データを取得する。
【0030】
撮像装置20は、撮像した画像データに対して、画像認識処理等の所定の信号処理を実行し、その処理結果と、後述するアドレスイベントの検出信号(以下、単に「検出信号」と記述する場合がある)とを示すデータを記録部12に出力する。アドレスイベントの検出信号の生成方法については後述する。記録部12は、信号線14を介して撮像装置20から供給されるデータを記憶する。制御部13は、例えば、マイクロコンピュータによって構成され、撮像装置20における撮像動作の制御を行う。
【0031】
図2は、撮像装置20の一構成例を示すブロック図である。
図2に示す撮像装置20は、EVS(Event-based Vision Sensor)と呼ばれる非同期型の撮像装置であり、画素アレイ部21と、駆動部22と、アービタ部(調停部)23と、カラム処理部24と、信号処理部25とを備える。
【0032】
画素アレイ部21には、複数の画素30が行列状(アレイ状)に2次元配列されている。この行列状の画素配列に対して、画素列毎に、後述する垂直信号線VSLが配線される。
【0033】
各画素30は、入射光を光電変換した光電流IPDに応じた電圧のアナログ信号を画素信号として生成する。また、各画素30は、光電流IPDの変化量が所定のしきい値を超えたか否かにより、アドレスイベントの有無を検出する。そして、アドレスイベントが生じた際に画素30は、リクエストをアービタ部23に出力する。
【0034】
駆動部22は、各画素30を駆動して、各画素30で生成された画素信号をカラム処理部24に出力させる。
【0035】
アービタ部23は、各画素30からのリクエストを調停し、調停結果に基づく応答を画素30に送信する。アービタ部23からの応答を受け取った画素30は、検出結果を示す検出信号(アドレスイベントの検出信号)を駆動部22および信号処理部25に供給する。画素30からの検出信号の読出しについては、複数行読出しとすることも可能である。
【0036】
カラム処理部24は、例えば、アナログ-デジタル変換器(ADC)を有し、画素アレイ部21の画素列毎に、その列の画素30から出力されるアナログの画素信号をデジタル信号に変換する。続いて、カラム処理部24は、このデジタル信号を信号処理部25に供給する。
【0037】
信号処理部25は、カラム処理部24から供給されるデジタル信号に対して、CDS(Correlated Double Sampling)処理や画像認識処理などの所定の信号処理を実行する。続いて、信号処理部25は、処理結果を示すデータと、アービタ部23から供給される検出信号とを信号線14を介して記録部12(
図1参照)に供給する。
【0038】
図3は、画素アレイ部21に配列された画素30の一構成例を示すブロック図である。
図3に示す各画素30は、受光部31、画素信号生成部32、および、アドレスイベント検出部33を有する。
【0039】
受光部31は、入射光を光電変換して光電流I
PDを生成する。続いて、受光部31は、駆動部22(
図2参照)の制御に基づいて、画素信号生成部32およびアドレスイベント検出部33のいずれかに、光電流I
PDを供給する。
【0040】
画素信号生成部32は、受光部31から供給される光電流I
PDに応じた画素信号SIGを生成し、この画素信号SIGを、垂直信号線VSLを介してカラム処理部24(
図2参照)に供給する。
【0041】
アドレスイベント検出部33は、各受光部31からの光電流IPDの変化量が所定のしきい値を超えたか否かにより、アドレスイベントの有無を検出する。アドレスイベントは、例えば、光電流IPDの変化量が上限のしきい値を超えた旨を示すオンイベント、および、その変化量が下限のしきい値を下回った旨を示すオフイベントを有する。また、アドレスイベントの検出信号は、例えば、オンイベントの検出結果を示す1ビット、および、オフイベントの検出結果を示す1ビットを有する。なお、アドレスイベント検出部33については、オンイベントのみを検出する構成とすることもできる。
【0042】
アドレスイベントが発生した際に、アドレスイベント検出部33は、アドレスイベントの検出信号の送信を要求するリクエストをアービタ部23(
図2参照)に供給する。そして、アドレスイベント検出部33は、リクエストに対する応答をアービタ部23から受け取ると、アドレスイベントの検出信号を駆動部22および信号処理部25に供給する。
【0043】
図4は、受光部31および画素信号生成部32の回路構成の一例を示す回路図である。受光部31は、光電変換素子311と、転送トランジスタ312と、OFG(Over Flow Gate)トランジスタ313と、を有する。転送トランジスタ312およびOFGトランジスタ313には、例えば、Nチャネル型のMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタが用いられる。転送トランジスタ312およびOFGトランジスタ313は、互いに直列に接続されている。
【0044】
光電変換素子311は、転送トランジスタ312とOFGトランジスタ313との共通接続ノードN1とグランドとの間に接続されており、入射光を光電変換して入射光の光量に応じた電荷量の電荷を生成する。光電変換素子311は、例えばフォトダイオードで構成される。
【0045】
転送トランジスタ312のゲート電極には、駆動部22(
図2参照)から転送信号TRGが供給される。転送トランジスタ312は、転送信号TRGに応答して、光電変換素子311で光電変換された電荷を画素信号生成部32に供給する。
【0046】
OFGトランジスタ313のゲート電極には、駆動部22から制御信号OFGが供給される。OFGトランジスタ313は、制御信号OFGに応答して、光電変換素子311で生成された電気信号をアドレスイベント検出部33に供給する。アドレスイベント検出部33に供給される電気信号は、電荷から成る光電流IPDである。
【0047】
画素信号生成部32は、リセットトランジスタ321、増幅トランジスタ322、選択トランジスタ323、および、浮遊拡散層324を有する。リセットトランジスタ321、増幅トランジスタ322、および、選択トランジスタ323には、例えば、Nチャネル型のMOSトランジスタが用いられる。
【0048】
画素信号生成部32には、受光部31から転送トランジスタ312によって、光電変換素子311で光電変換された電荷が供給される。受光部31から供給される電荷は、浮遊拡散層324に蓄積される。浮遊拡散層324は、蓄積した電荷の量に応じた電圧値の電圧信号を生成する。すなわち、浮遊拡散層324は、電荷を電圧に変換する。
【0049】
リセットトランジスタ321は、電源電圧VDDの電源ラインと浮遊拡散層324との間に接続されている。リセットトランジスタ321のゲート電極には、駆動部22からリセット信号RSTが供給される。リセットトランジスタ321は、リセット信号RSTに応答して、浮遊拡散層324の電荷量を初期化(リセット)する。
【0050】
増幅トランジスタ322は、電源電圧VDDの電源ラインと垂直信号線VSLとの間に、選択トランジスタ323と直列に接続されている。増幅トランジスタ322は、浮遊拡散層324で電荷電圧変換された電圧信号を増幅する。
【0051】
選択トランジスタ323のゲート電極には、駆動部22から選択信号SELが供給される。選択トランジスタ323は、選択信号SELに応答して、増幅トランジスタ322によって増幅された電圧信号を画素信号SIGとして垂直信号線VSLを介してカラム処理部24(
図2参照)へ出力する。
【0052】
上記のように構成された撮像装置20において、
図1に示す制御部13が、アドレスイベントの検出開始を駆動部22へ指示すると、駆動部22は、受光部31のOFGトランジスタ313に制御信号OFGを供給する。これにより、OFGトランジスタ313が駆動してアドレスイベント検出部33に光電流I
PDが供給される。
【0053】
その後、ある画素30においてアドレスイベントが検出されると、駆動部22は、その画素30のOFGトランジスタ313をオフ状態にしてアドレスイベント検出部33への光電流IPDの供給を停止させる。次いで、駆動部22は、転送トランジスタ312に転送信号TRGを供給することによって当該転送トランジスタ312を駆動して、光電変換素子311で光電変換された電荷を浮遊拡散層324に転送させる。
【0054】
このようにして、撮像装置20は、アドレスイベントが検出された画素30の画素信号のみをカラム処理部24に出力する。これにより、アドレスイベントの有無に関わらず、全画素の画素信号を出力する場合と比較して、撮像装置20の消費電力や、画像処理の処理量を低減することができる。
【0055】
なお、上述した画素30の構成は一例であって、この構成例に限定されるものではない。例えば、画素信号生成部32を備えない画素構成とすることもできる。この画素構成の場合は、受光部31において、OFGトランジスタ313を省略し、当該OFGトランジスタ313の機能を転送トランジスタ312に持たせるようにすればよい。
【0056】
図5は、撮像装置20の別の構成例を示すブロック図である。
図5に示す撮像装置20は、スキャン方式の撮像装置であり、画素アレイ部21と、駆動部22と、信号処理部25と、読出し領域選択部27と、信号生成部28と、を備える。
【0057】
画素アレイ部21は、行列状に2次元配置された複数の画素30を含む。各画素30は、読出し領域選択部27の選択信号に応答して出力信号を出力する。各画素30については、画素内に量子化回路を持つ構成とすることもできる。各画素30は、光の強度の変化量に対応する出力信号を出力する。
【0058】
駆動部22は、各画素30を駆動して、各画素30で生成された画素信号を信号処理部25に出力させる。なお、駆動部22および信号処理部25については、階調情報を取得するための回路部である。従って、イベント情報のみを取得する場合は、駆動部22および信号処理部25は無くてもよい。
【0059】
読出し領域選択部27は、画素アレイ部21に含まれる複数の画素30のうちの一部を選択する。例えば、読出し領域選択部27は、画素アレイ部21に対応する2次元行列の構造に含まれる行のうちのいずれか1つもしくは複数の行を選択する。読出し領域選択部27は、予め設定された周期に応じて1つもしくは複数の行を順次選択する。また、読出し領域選択部27は、画素アレイ部21の各画素30からのリクエストに応じて選択領域を決定してもよい。
【0060】
信号生成部28は、読出し領域選択部27によって選択された画素の出力信号に基づいて、選択された画素のうちのイベントを検出した活性画素に対応するイベント信号を生成する。イベントは、光の強度が変化するイベントである。活性画素は、出力信号に対応する光の強度の変化量が予め設定されたしきい値を超える、又は、下回る画素である。例えば、信号生成部28は、画素の出力信号を基準信号と比較し、基準信号よりも大きい又は小さい場合に出力信号を出力する活性画素を検出し、当該活性画素に対応するイベント信号を生成する。
【0061】
信号生成部28については、例えば、信号生成部28に入ってくる信号を調停するような列選択回路を含む構成とすることができる。また、信号生成部28については、イベントを検出した活性画素の情報の出力のみならず、イベントを検出しない非活性画素の情報も出力する構成とすることができる。
【0062】
信号生成部28からは、出力線15を通して、イベントを検出した活性画素のアドレス情報およびタイムスタンプ情報(例えば、(X,Y,T))が出力される。但し、信号生成部28から出力されるデータについては、アドレス情報およびタイムスタンプ情報だけでなく、フレーム形式の情報(例えば、(0,0,1,0,・・・))であってもよい。
【0063】
図6は、
図2または
図5に示す撮像装置20のチップ構造の概略を示す分解斜視図である。
図6に示すように、撮像装置20は、第1基板に相当する受光チップ201、および、第2基板に相当する検出チップ202の少なくとも2つのチップが積層された積層構造を有する。例えば、
図4に示す画素30のうち、光電変換素子311が受光チップ201上に配置され、光電変換素子311以外の素子の全てや、画素30の他の回路部分の素子などが検出チップ202上に配置される。受光チップ201と検出チップ202とは、ビア(VIA)、Cu-Cu接合、バンプなどの接続部を介して電気的に接続される。すなわち、受光チップ201と検出チップ202とは、CoC(Chip on Chip)方式、CoW(Chip on Wafer)方式、又はWoW(Wafer on Wafer)方式のいずれかで貼り合わされる。なお、本実施形態では、光電変換素子311を受光チップ201に配置し、光電変換素子311以外の素子や画素30の他の回路部分の素子などを検出チップ202に配置するレイアウトに限られない。
【0064】
例えば、受光部31の各素子を受光チップ201に配置し、受光部31以外の素子や画素30の他の回路部分の素子などを検出チップ202に配置してもよい。また、受光部31の各素子、および、画素信号生成部32のリセットトランジスタ321、浮遊拡散層324を受光チップ201に配置し、それ以外の素子を検出チップ202に配置してもよい。更には、アドレスイベント検出部33を構成する素子の一部を、受光部31の各素子などと共に受光チップ201に配置してもよい。
【0065】
図7は、第1実施形態に係るアドレスイベント検出部33の回路図である。アドレスイベント検出部33は、電流電圧変換回路331と、減算回路332と、イベント検出回路333と、しきい値モニタリング回路334と、を有する。以下、各回路の構成を説明する。
【0066】
電流電圧変換回路331は、Nチャネル型MOSトランジスタQ11、Q12と、Pチャネル型MOSトランジスタQ13と、を有する。Nチャネル型MOSトランジスタQ11では、ソースは光電変換素子311のカソードに接続され、ドレインはしきい値モニタリング回路334のPチャネル型トランジスタQ121を介して電源電圧ノードVDDに接続され、ゲートは、減算回路332の第1容量素子41の一端に接続されている。Nチャネル型MOSトランジスタQ12と、Pチャネル型MOSトランジスタQ13とは、電源電圧ノードVDDと接地ノードの間にカスコード接続されている。Nチャネル型MOSトランジスタQ12のゲートは、光電変換素子311のカソードに接続されている。
【0067】
Nチャネル型MOSトランジスタQ11、Q12はソースフォロワを構成している。また、Nチャネル型MOSトランジスタおよびPチャネル型MOSトランジスタQ13も、ソースフォロワを構成している。これらループ状に接続された2つのソースフォロワにより、光電変換素子311を流れる光電流IPDは、その対数の電圧信号に変換される。なお、この電圧信号を増幅する増幅回路(不図示)が、電流電圧変換回路331と減算回路332との間に設けられていてもよい。
【0068】
減算回路332は、オペアンプ40と、第1容量素子41と、第2容量素子42と、スイッチ素子43と、を有する。第1容量素子41の一端は、電流電圧変換回路331の出力端子、すなわちPチャネル型MOSトランジスタQ13のドレインとNチャネル型MOSトランジスタQ12のドレインとの共通接続ノードに接続される。第1容量素子41の他端は、オペアンプ40の入力端子に接続されている。これにより、オペアンプ40の入力端子には、電流電圧変換回路331から供給される電圧信号が、第1容量素子41を介して入力される。本実施形態では、第1容量素子41は、容量値C1が変化する可変容量素子である。ここで、
図8を参照して、第1容量素子41の構成を説明する。
【0069】
図8は、第1実施形態に係る第1容量素子41の一構成例を示す図である。
図8に示す第1容量素子41は、容量素子41aと、容量素子41bと、スイッチ素子410と、を有する。容量素子41aおよび容量素子41bは並列に接続されている。スイッチ素子410は、容量素子41bと直列に接続されている。
【0070】
スイッチ素子410は、しきい値モニタリング回路334のモニタリング結果を示すselect信号のレベルに応じてオンおよびオフする。select信号がハイレベルのときに、スイッチ素子410がオンする。そのため、第1容量素子41の容量値C1は、容量素子41aの容量値C1_1と容量素子41bの容量値C1_2との加算値になる。一方、select信号がローレベルのときに、スイッチ素子410がオフする。そのため、第1容量素子41の容量値C1は、容量素子41aの容量値C1_1となる。すなわち、select信号がハイレベルに変化すると第1容量素子41の容量値C1が増加し、select信号がローレベルに変化すると、第1容量素子41の容量値C1が減少する。
【0071】
図9は、スイッチ素子410の一構成例を示す図である。
図9に示すスイッチ素子410は、Pチャネル型MOSトランジスタQ41と、Nチャネル型MOSトランジスタQ42と、インバータ素子411と、を有する。Pチャネル型MOSトランジスタQ41およびNチャネル型MOSトランジスタQ42は、互いに並列に接続されているCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)構成となっている。インバータ素子411は、Pチャネル型MOSトランジスタQ41のゲートとNチャネル型MOSトランジスタQ42のゲートとのに間に接続される。
【0072】
スイッチ素子410が、
図9に示すようなCMOS構成である場合、オン抵抗が低減され、信号波形の線形性が向上する。なお、スイッチ素子410は、CMOS構成に限定されず、Pチャネル型MOSトランジスタQ41またはNチャネル型MOSトランジスタQ42のいずれか一方のみで構成されてもよい。
【0073】
図7に戻って、第2容量素子42は、第1容量素子41に対して直列に接続されているとともに、オペアンプ40に対して並列に接続されている。スイッチ素子43は、第2容量素子42の両端間に接続されている。スイッチ素子43には、アービタ部23(
図2参照)からリセット信号が供給される。スイッチ素子43は、リセット信号に応じて、第2容量素子42の両端を接続する経路を開閉する。
【0074】
上記のように構成された減算回路332では、スイッチ素子43がオンすると、第1容量素子41の一端に光電圧Vin1が入力されたとき、第1容量素子41の他端は仮想接地端子となる。この仮想接地端子の電位を、便宜上、ゼロとする。このとき、第1容量素子41に蓄積されている電荷Q1は、光電圧Vin1および第1容量素子41の容量値C1を用いて次式(1)により表される。
Q1=C1×Vin1 (1)
【0075】
また、スイッチ素子43がオンすると、第2容量素子42の両端は短絡されるため、第2容量素子42に蓄積される電荷はゼロとなる。その後、スイッチ素子43がオフしたときの第1容量素子41の一端の光電圧をVin2と表すこととする。スイッチ素子43がオフしたときの第1容量素子41に蓄積される電荷Q2は、次式(2)により表される。
Q2=C1×Vin2 (2)
【0076】
第2容量素子42の容量値をC2と表すとともに、オペアンプ40の出力電圧をVoutと表すと、第2容量素子42に蓄積される電荷Q3は、次式(3)により表される。
Q3=-C2×Vout (3)
【0077】
スイッチ素子43がオフする前後で、第1容量素子41の電荷量と第2容量素子42の電荷量とを合わせた総電荷量は変化しないため、次の式(4)が成立する。
Q1=Q2+Q3 (4)
式(4)に式(1)乃至式(3)を代入すると、次式(5)が得られる。
Vout=-(C1/C2)×(Vin2-Vin1) (5)
【0078】
式(5)によれば、減算回路332では、光電圧Vin1と光電圧Vin2との減算、即ち、光電圧Vin1と光電圧Vin2との差に対応する差信号の算出が行われる。また、式(5)によれば、電圧Voutは、第1容量素子41の第1容量値C1と第2容量素子42の第2容量値C2との容量比C1/C2をゲインとして光電圧の差を増幅した増幅電圧となる。通常、減算回路332の減算のゲインを最大化することが望まれるため、第1容量素子41の容量値C1は、第2容量素子42の第2容量値C2よりも大きい
【0079】
イベント検出回路333は、第1コンパレータ50および第2コンパレータ51を有する。第1コンパレータ50は、減算回路332の出力信号の電圧Voutを、予め設定された下限しきい値電圧Vonと比較する。続いて、第1コンパレータ50は、電圧Voutが下限しきい値電圧Von以下であるか否かを示すイベント信号onを出力する。
【0080】
一方、第2コンパレータ51は、上記電圧Voutを、予め設定された上限しきい値電圧Voffと比較する。続いて、第2コンパレータ51は、電圧Voutが上限しきい値電圧Voff以上であるか否かを示すイベント信号offを出力する。このようにして、イベント検出回路333は、電圧Voutを下限しきい値電圧Vonおよび上限しきい値電圧Voffと比較した結果に基づいて、イベント(入射光の輝度変化)を検出する。
【0081】
しきい値モニタリング回路334は、Pチャネル型MOSトランジスタQ21、Q22と、Nチャネル型MOSトランジスタQ23、Q24と、電流源(基準電流源)60と、を有する。
【0082】
Pチャネル型MOSトランジスタQ21、Q22は、第1カレントミラー回路を構成する。第1カレントミラー回路は、光電変換素子311を流れる光電流IPDを複製した電流をPチャネル型MOSトランジスタQ22のソース-ドレイン間に流す。Pチャネル型MOSトランジスタQ22とNチャネル型MOSトランジスタQ23は、電源電圧ノードVDDと接地ノードとの間にカスコード接続されている。
【0083】
一方、Nチャネル型MOSトランジスタQ23、Q24は、第2カレントミラー回路を構成する。また、Nチャネル型MOSトランジスタQ24のドレインには、電流源60が接続されている。第2カレントミラー回路は、電流源60で設定されたしきい値電流Ithを複製する。これにより、Nチャネル型MOSトランジスタQ23のドレインからは、第1カレントミラー回路で複製された光電流IPDと第2カレントミラー回路で複製されたしきい値電流Ithとの比較結果を示すselect信号が出力される。例えば、IPD≦Ithの場合には、select信号はローレベルになる。反対に、IPD>Ithの場合には、select信号はハイレベルになる。
【0084】
電流源60は、しきい値電流Ithを設定する。本実施形態では、電流源60は、任意のしきい値電流Ithを設定可能な可変電流源である。また、電流源60およびNチャネル型MOSトランジスタQ24は、しきい値電流Ithを制御する電流制御回路を構成する。
【0085】
以下、上記のように構成されたアドレスイベント検出部33の処理動作を説明する。
【0086】
図10は、アドレスイベント検出部33の処理動作を示すフローチャートである。アドレスイベント検出部33は、撮像装置20に電源電圧が供給されている間、
図10に示す処理を繰り返し実施する。
【0087】
まず、しきい値モニタリング回路334が、光電変換素子311を流れる光電流IPDをモニタリングする(ステップS11)。次に、しきい値モニタリング回路334は、光電流IPDとしきい値電流Ithとを比較する(ステップS12)。
【0088】
IPD>Ithであれば、select信号はハイレベルになるので、第1容量素子41のスイッチ素子410がオンする(ステップS13)。その結果、第1容量素子41の容量値C1が増加するので、第1容量素子41と第2容量素子42との容量比(C1/C2)、換言すると電圧Voutのゲインが大きくなる。
【0089】
一方、IPD≦Ithであれば、select信号はローレベルになるので、第1容量素子41のスイッチ素子410がオフする(ステップS14)。その結果、第1容量素子41の容量値C1が減少するので、上記容量比(電圧Voutのゲイン)が小さくなる。
【0090】
ステップS11~S14の処理に並行して、イベント検出回路333は、光電流IPDが変化すると(ステップS15)、光電流IPDに対応する電圧Voutの電圧変化量を検出する(ステップS16)。続いて、イベント検出回路333は、電圧Voutを、下限しきい値電圧Vonおよび上限しきい値電圧Voffと比較する(ステップS17)。
【0091】
電圧Voutが、下限しきい値電圧Von以下であるかまたは上限しきい値Voff以上である場合、イベント検出回路333は、イベント発生を示すイベント信号onまたはイベント信号offを出力する(ステップS18)。一方、電圧Voutが、下限しきい値電圧Vonから上限しきい値Voffまでの範囲内である場合、イベント検出回路333は、イベントなしを示すイベント信号onまたはイベント信号offを出力する(ステップS19)。
【0092】
図11は、比較例に係るイベント検出部の電圧Voutの波形図である。また、
図12は、第1実施形態に係るアドレスイベント検出部33の電圧Voutの波形図である。比較例に係るイベント検出部では、第1容量素子41の容量値C1および第2容量素子42の第2容量値C2が両方固定されている。
【0093】
比較例に係るイベント検出部が、入射光の輝度が低い暗時の環境下で、イベントを検出すると、電圧Voutのノイズが大きくなる。そのため、
図11に示すように、イベントを検出しないレベルの輝度変化にも関わらずイベントが誤検出されてしまう場合がある。
【0094】
一方、本実施形態によれば、第1容量素子41の容量値C1は、入射光の輝度に対応する光電流IPDに応じて可変である。そのため、暗時の環境下の場合、容量値C1が減少する。これにより、電圧Voutのゲイン(C1/C2)が小さくなるので、電圧Voutも小さくなる。その結果、電圧Voutを下限しきい値電圧Vonおよび上限しきい値Voffと比較する際にノイズの影響を受けにくくなるので、イベント検出の誤検出を回避することが可能となる。
【0095】
また、本実施形態では、入射光の輝度が高い明時の環境下の場合、容量値C1が増加する。これにより、電圧Voutのゲインが大きくなるので、イベント検出レベルを向上させることが可能となる。
【0096】
さらに、本実施形態では、画素30毎に、光電流IPDをモニタリングして第1容量素子41の容量値C1を調整している。そのため、撮像環境に対して最適なイベント検出条件を画素単体でリアルタイムに設定することができる。
【0097】
(第2実施形態)
図13は、第2実施形態に係る撮像装置のイベント検出部の回路図である。上述した第1実施形態に係るアドレスイベント検出部33(
図7参照)と同様の構成要素には、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0098】
本実施形態では、第1容量素子41の容量値C1が固定であり、第2容量素子42の第2容量値C2が可変である。第2容量値C2は、しきい値モニタリング回路334のselect信号のレベルに応じて変化する。
【0099】
具体的には、select信号がハイレベルの場合、第2容量値C2が減少する。この場合、電圧Voutのゲイン(C1/C2)は、第1実施形態と同様に大きくなる。反対に、select信号がローレベルの場合には、第2容量値C2が増加する。この場合も、電圧Voutのゲイン(C1/C2)は、第1実施形態と同様に小さくなる。
【0100】
以上説明した本実施形態によれば、第2容量素子42が、select信号に応じて第2容量値C2が変化する可変容量素子である。そのため、暗時の環境下の場合、select信号によって第2容量値C2を増加させると、電圧Voutのゲイン(C1/C2)が小さくなるので、電圧Voutも小さくなる。その結果、第1実施形態と同様に、イベント検出の誤検出を回避することが可能となる。
【0101】
また、明時の環境下の場合には、第2容量値C2を減少させると、電圧Voutのゲインが大きくなるので、イベント検出レベルを向上させることが可能となる。
【0102】
さらに、本実施形態では、画素30毎に、光電流IPDをモニタリングして第2容量素子42の第2容量値C2を調整している。そのため、撮像環境に対して最適なイベント検出条件を画素単体でリアルタイムに設定することができる。
【0103】
(第3実施形態)
図14は、第3実施形態に係る撮像装置のイベント検出部の回路図である。上述した第1実施形態に係るアドレスイベント検出部33(
図7参照)と同様の構成要素には、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0104】
本実施形態では、第1容量素子41および第2容量素子42の両方が可変容量素子である。第1容量素子41の容量値C1および第2容量素子42の第2容量値C2は、いずれもしきい値モニタリング回路334のselect信号のレベルに応じて変化する。
【0105】
具体的には、select信号がハイレベルの場合、電圧Voutのゲイン(C1/C2)が大きくなるように、容量値C1および第2容量値C2は変化する。反対に、select信号がハイレベルの場合には、電圧Voutのゲイン(C1/C2)が小さくなるように、容量値C1および第2容量値C2は変化する。
【0106】
以上説明した本実施形態によれば、第1容量素子41および第2容量素子42の両方が、可変容量素子である。そのため、暗時の環境下の場合、ローレベルのselect信号に応じて、例えば容量値C1を減少させて第2容量値C2を増加させると、電圧Voutのゲインが小さくなるので、電圧Voutも小さくなる。その結果、第1実施形態と同様に、イベント検出の誤検出を回避することが可能となる。
【0107】
また、明時の環境下の場合には、ハイレベルのselect信号に応じて、例えば容量値C1を増加させて第2容量値C2を減少させると、電圧Voutのゲインが大きくなるので、イベント検出レベルを向上させることが可能となる。
【0108】
さらに、本実施形態では、画素30毎に、光電流IPDをモニタリングして第1容量素子41の容量値C1および第2容量素子42の第2容量値C2を調整している。特に本実施形態では、2つの容量値が可変であるため、電圧Voutのゲインの調整幅が大きくなる。そのため、撮像環境に対してより最適なイベント検出条件を画素単体でリアルタイムに設定することができる。
【0109】
(第4実施形態)
図15は、第4実施形態に係る撮像装置のイベント検出部の回路図である。上述した第1実施形態に係るアドレスイベント検出部33(
図7参照)と同様の構成要素には、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0110】
本実施形態では、第1容量素子41および第2容量素子42の両方が可変容量素子であるとともに、イベント検出回路333の下限しきい値電圧Vonおよび上限しきい値Voffが可変である。下限しきい値電圧Vonおよび上限しきい値Voffも、第1容量素子41の容量値C1および第2容量素子42の第2容量値C2と同様に、しきい値モニタリング回路334のselect信号のレベルに応じて変化する。
【0111】
図16は、第4実施形態に係るイベント検出回路333の構成を示す回路図である。このイベント検出回路333は、Pチャネル型MOSトランジスタQ31、Q32と、Nチャネル型MOSトランジスタQ33、Q34、Q35、Q36と、第1切替回路(DEMUX)333aと、第2切替回路(DEMUX)333bと、を有する。
【0112】
Pチャネル型MOSトランジスタQ31、Q32のゲートは、減算回路332のオペアンプ40の出力端子に接続されており、その電圧はVoutである。Pチャネル型MOSトランジスタQ31と、Nチャネル型MOSトランジスタQ33、Q35とは、第1切替回路333aを介して電源電圧ノードVDDと接地ノードとの間にカスコード接続されている。Nチャネル型MOSトランジスタQ33、Q35は、互いに並列に接続されている。
【0113】
Pチャネル型MOSトランジスタQ32と、Nチャネル型MOSトランジスタQ34、Q36とは、第2切替回路333bを介して電源電圧ノードVDDと接地ノードとの間にカスコード接続されている。Nチャネル型MOSトランジスタQ34、Q36は、互いに並列に接続されている。
【0114】
Pチャネル型MOSトランジスタQ31のドレインは、イベント信号onを出力するon出力ノードに接続されている。Pチャネル型MOSトランジスタQ32のドレインは、イベント信号offを出力するoff出力ノードに接続されている。
【0115】
Nチャネル型MOSトランジスタQ33のゲートには、電圧Voh,wが入力される。Nチャネル型MOSトランジスタQ34のゲートには、電圧Vol,wが入力される。Nチャネル型MOSトランジスタQ35のゲートには、電圧Voh,nが入力される。Nチャネル型MOSトランジスタQ36のゲートには、電圧Vol,nが入力される。電圧Voh,w、Vol,w、Voh,n、Vol,nは固定の電圧であり、Nチャネル型MOSトランジスタQ33、Q34、Q35、Q36は、電流源として機能する。
【0116】
第1切替回路333aは、しきい値モニタリング回路334のselect信号がハイレベルの場合には、Pチャネル型MOSトランジスタQ31の出力電流経路にNチャネル型MOSトランジスタQ33を接続する。反対に、select信号がローレベルの場合には、第1切替回路333aは、Pチャネル型MOSトランジスタQ31の出力電流経路にNチャネル型MOSトランジスタQ35を接続する。
【0117】
第2切替回路333bは、しきい値モニタリング回路334のselect信号がハイレベルの場合には、Pチャネル型MOSトランジスタQ32の出力電流経路にNチャネル型MOSトランジスタQ34を接続する。反対に、select信号がローレベルの場合には、第2切替回路333bは、Pチャネル型MOSトランジスタQ31の出力電流経路にNチャネル型MOSトランジスタQ36を接続する。
【0118】
図17は、第1切替回路333aおよび第2切替回路333bの一構成例を示す回路図である。第1切替回路333aと第2切替回路333bの回路構成は同じであるため、第1切替回路333aを例に取って説明する。
【0119】
図17に示す第1切替回路333aは、Nチャネル型MOSトランジスタQ301、Q302、Q303と、Pチャネル型MOSトランジスタQ304と、を有する。Nチャネル型MOSトランジスタQ301は、Pチャネル型MOSトランジスタQ31のドレインと、Nチャネル型MOSトランジスタQ33のドレインとの間に接続されている。Nチャネル型MOSトランジスタQ302は、Pチャネル型MOSトランジスタQ31のドレインと、Nチャネル型MOSトランジスタQ35のドレインとの間に接続されている。Nチャネル型MOSトランジスタQ303およびPチャネル型MOSトランジスタQ304は、電源電圧ノードVDDと接地ノードの間にカスコード接続され、インバータ回路330を構成する。
【0120】
Nチャネル型MOSトランジスタQ301のゲートには、select信号が入力される。select信号は、インバータ回路330で反転された後、Nチャネル型MOSトランジスタQ302のゲートに入力される。
【0121】
図18は、イベント検出回路333のしきい値電圧Voh,w、Vol,w、Voh,n、Vol,nの電圧レベルを示す図である。
図18に示すように、光電変換素子311を流れる光電流I
PDがしきい値電流I
thを超える場合に選択されるしきい値電圧Voh,w、Vol,wの電圧幅(しきい値幅)は、光電流I
PDがしきい値電流I
th以内の場合に選択されるしきい値電圧Voh,n、Vol,nの電圧幅(しきい値幅)よりも大きい。暗時のしきい値幅を明時のしきい値幅よりも狭めることで、暗時のイベント検出を高速に行えるようになる。
【0122】
本実施形態では、IPD>Ithであれば、select信号がハイレベルとなる。このとき、第1切替回路333aおよび第2切替回路333bは、明時用のしきい値電圧Voh,w、Vol,wを選択する。一方、IPD≦Ithであれば、select信号がローレベルとなる。このとき、第1切替回路333aおよび第2切替回路333bは、暗時用のしきい値電圧Voh,n、Vol,nを選択する。
【0123】
以上説明した本実施形態によれば、光電変換素子311を流れる光電流IPDに応じて、第1容量素子41の容量値C1および第2容量素子42の第2容量値C2だけでなく、イベント検出回路333内の第1コンパレータ50および第2コンパレータ51のしきい値電圧も変化する。そのため、暗時の環境下におけるイベント検出の誤検出を回避するとともに、イベント検出を高速に行うことが可能となる。なお、本実施形態では、第1容量素子41および第2容量素子42の両方が可変容量素子であるが、いずれか一方が可変容量素子であってもよい。
【0124】
(第5実施形態)
図19は、第5実施形態に係る撮像装置のイベント検出部の要部の回路図である。上述した第1実施形態に係るアドレスイベント検出部33(
図7参照)と同様の構成要素には、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0125】
上述した第1実施形態~第4実施形態では、しきい値モニタリング回路334の全素子が、光電変換素子311、電流電圧変換回路331、減算回路332、およびイベント検出回路333とともに1つの画素30内に設けられている。一方、本実施形態では、しきい値モニタリング回路334のうち、電流制御回路を構成する電流源60およびNチャネル型MOSトランジスタQ24が、画素30の外に配置される。そのため、電流源60で設定されたしきい値電流Ithが、Nチャネル型MOSトランジスタQ24と共に第2カレントミラー回路を構成する複数のNチャネル型MOSトランジスタQ23によって、各画素30に分配される。
【0126】
各画素30のしきい値モニタリング回路334では、しきい値電流Ithは、上述した他の実施形態と同様に光電流IPDと比較され、比較結果を示すselect信号が、第1容量素子41、第2容量素子42、およびイベント検出回路333の少なくとも一つに入力される。select信号が第1容量素子41または第2容量素子42に入力される場合には、各容量素子の容量値が、select信号のレベルに応じて変化する。select信号がイベント検出回路333に入力される場合には、第1コンパレータ50の下限しきい値電圧Vonおよび第2コンパレータ51の上限しきい値電圧Voffが、select信号のレベルに応じて変化する。
【0127】
また、本実施形態では、しきい値モニタリング回路334の一部(電流源60およびNチャネル型MOSトランジスタQ24)が、画素30の外に配置されるが、しきい値モニタリング回路334全体は、光電変換素子311、電流電圧変換回路331、減算回路332、およびイベント検出回路333と同じ受光チップ201(
図6参照)に配置されている。そのため、例えば検出チップ202の容量比に対する設計の柔軟性が向上する。なお、チップレイアウトは、
図19に示す例に限定されない。
【0128】
図20は、チップレイアウトの第1変形例を示す図である。本変形例では、しきい値モニタリング回路334のうち、Pチャネル型MOSトランジスタQ21、Q22、およびNチャネル型MOSトランジスタQ23が、受光チップ201に配置されている。また、電流源60およびNチャネル型MOSトランジスタQ24が、検出チップ202に配置されている。すなわち、しきい値モニタリング回路334が、受光チップ201および検出チップ202に分散して配置されている。
【0129】
図20に示すチップレイアウトによれば、受光チップ201における電流源60およびNチャネル型MOSトランジスタQ24の配置エリアがスペースとして空く。そのため、光電変換素子311の受光面積を広げることが可能となる。
【0130】
図21は、チップレイアウトの第2変形例を示す図である。本変形例では、電流電圧変換回路331のうち、Nチャネル型MOSトランジスタQ11、Q12が、光電変換素子311と同じ受光チップ201に配置されている。また、電流電圧変換回路331のPチャネル型MOSトランジスタQ13が、しきい値モニタリング回路334と同じ検出チップ202に配置される。
【0131】
図21に示すチップレイアウトによれば、受光チップ201のスペースが、第1変形例に比べて大きくなるため、光電変換素子311の受光面積をさらに広げることが可能となる。加えて、受光チップ201には、導電型が同じNチャネル型MOSトランジスタQ11、Q12のみが配置されるため、トランジスタのゲート-ソース間のしきい値電圧等の電気的特性に関する設計が容易になる。
【0132】
図22は、チップレイアウトの第3変形例を示す図である。本変形例では、光電変換素子311のみが受光チップ201に配置され、アドレスイベント検出部33(電流電圧変換回路331~しきい値モニタリング回路334)が、検出チップ202に配置されている。
【0133】
図22に示すチップレイアウトによれば、受光チップ201のスペースが、第2変形例に比べて大きくなる。そのため、光電変換素子311の受光面積をより一層広げることが可能となる。
【0134】
以上説明した本実施形態によれば、他の実施形態と同様に、画素30毎に、光電流IPDとしきい値電流Ithとの比較が行われる。また、比較結果を示すselect信号に基づいて、イベント発生の有無の判断対象となる電圧Voutのゲインが設定される。よって、暗時の環境下におけるイベント検出の誤検出を回避することが可能となる。
【0135】
(第6実施形態)
図23は、第6実施形態に係る撮像装置のイベント検出部の要部の回路図である。上述した第1実施形態に係るアドレスイベント検出部33(
図7参照)と同様の構成要素には、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0136】
本実施形態に係るしきい値モニタリング回路334では、複数のPチャネル型MOSトランジスタQ22および複数のNチャネル型MOSトランジスタQ23が、1つの画素30内に設けられている。複数のNチャネル型MOSトランジスタQ23は、ゲートのチャネル幅Wとチャネル長Lの比率W/Lが互いに異なっている。そのため、しきい値モニタリング回路334では、複数のしきい値電流Ith1、Ith2が、光電流IPDとそれぞれ比較され、比較結果を示すnビットのselect信号が、減算回路332の第1容量素子41に入力される。
【0137】
図24は、第6実施形態に係る第1容量素子41の一構成例を示す図である。
図24に示す第1容量素子41では、複数の容量素子41a~容量素子41eが並列に接続されている。また、容量素子41b~容量素子41eには、スイッチ素子410が直列に接続されている。各スイッチ素子410は、対応するselect信号のレベルに応じてオンまたはオフする。
【0138】
光電流IPDが大きくなるにつれて、オンするスイッチ素子410の数が増加する。その結果、第1容量素子41の容量値C1も増加する。これにより、減算回路332の電圧Voutのゲインが大きくなる。反対に、光電流IPDが小さくなるにつれて、オンするスイッチ素子410の数が減少する。その結果、第1容量素子41の容量値C1も減少する。これにより、減算回路332の電圧Voutのゲインが小さくなる。
【0139】
以上説明した本実施形態においても、減算回路332の電圧Voutのゲインが、光電変換素子311を流れる光電流IPDの値に応じて調整される。そのため、暗時の環境下におけるイベント検出の誤検出を回避することが可能となる。特に本実施形態では、光電流IPDが複数のしきい値電流と比較され、比較結果毎に第1容量素子41の容量値C1が変化する。そのため、第1容量素子41の容量値C1を微調整できるため、撮像環境に応じてイベント検出の条件をより最適化することが可能となる。
【0140】
(第7実施形態)
図25は、第7実施形態に係る撮像装置のイベント検出部の要部の回路図である。上述した第1実施形態に係るアドレスイベント検出部33(
図7参照)と同様の構成要素には、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0141】
本実施形態しきい値モニタリング回路334には、複数の電流源60、61が設けられている。電流源60、61の各々には、Nチャネル型MOSトランジスタQ24が直列に接続されている。電流源60では、しきい値電流Ith1が設定され、電流源61では、しきい値電流Ith1と異なるしきい値電流Ith2が設定される。
【0142】
また、本実施形態に係るしきい値モニタリング回路334では、複数のPチャネル型MOSトランジスタQ22および複数のNチャネル型MOSトランジスタQ23が、1つの画素30内に設けられている。複数のNチャネル型MOSトランジスタQ23のチャネル幅Wとチャネル長Lの比率W/Lは、互いに等しい。
【0143】
各Nチャネル型MOSトランジスタQ23は、対応するNチャネル型MOSトランジスタQ24と共にしきい値電流Ith1およびしきい値電流Ith2をそれぞれ複製する。そのため、しきい値モニタリング回路334では、複数のしきい値電流Ith1、Ith2が、光電流IPDとそれぞれ比較され、比較結果を示すnビットのselect信号が、減算回路332の第1容量素子41に入力される。
【0144】
第1容量素子41では、上述した第6実施形態(
図24参照)と同様に、複数の容量素子41a~容量素子41eが並列に接続されている。また、容量素子41b~容量素子41eには、スイッチ素子410が直列に接続されている。各スイッチ素子410は、対応するselect信号のレベルに応じてオンまたはオフする。
【0145】
光電流IPDが大きくなるにつれて、オンするスイッチ素子410の数が増加する。その結果、第1容量素子41の容量値C1も増加する。これにより、減算回路332の電圧Voutのゲインが大きくなる。反対に、光電流IPDが小さくなるにつれて、オンするスイッチ素子410の数が減少する。その結果、第1容量素子41の容量値C1も減少する。これにより、減算回路332の電圧Voutのゲインが小さくなる。
【0146】
以上説明した本実施形態においても、第6実施形態と同様に、光電流IPDが複数のしきい値電流と比較され、比較結果毎に第1容量素子41の容量値C1が変化する。そのため、第1容量素子41の容量値C1を微調整できるため、撮像環境に応じてイベント検出の条件をより最適化することが可能となる。特に本実施形態では、しきい値電流Ith1とIth2を可変電流源で設定できるためしきい値設定の自由度が高い。
【0147】
図26は、上述した各実施形態で説明したしきい値モニタリング回路334と、しきい値可変回路の配置形態を示す図である。しきい値可変回路は、しきい値モニタリング回路334からのselect信号に応じて変化する回路素子を有する回路である。第1実施形態~第3実施形態、第5実施形態、および第6実施形態では、減算回路332がしきい値可変回路に相当する。また、第4実施形態では、減算回路332およびイベント検出回路333がしきい値可変回路に相当する。
【0148】
図26に示す各黒四角70は、しきい値モニタリング回路334およびしきい値可変回路が配置された画素30を示している。
図26に示す配置形態では、しきい値モニタリング回路334およびしきい値可変回路は、画素アレイ部21の全画素30に設けられている。
【0149】
図27は、上述した各実施形態で説明したしきい値モニタリング回路334と、しきい値可変回路の別の配置形態を示す図である。
図27に示す各黒四角70aは、しきい値モニタリング回路334が配置された画素30を示している。この配置形態では、しきい値モニタリング回路334は、複数画素30から成る画素群ごとに設けられている。一方、しきい値可変回路は、画素30毎に設けれている。この場合、しきい値モニタリング回路334は、各画素群の中で中央に位置する画素30aの光電変換素子311を流れる光電流I
PDをモニタリングしてもよい。あるいは、しきい値モニタリング回路334は、対応する画素群の中の全画素内の全ての光電変換素子311を流れる光電流I
PDの平均値をモニタリングしてもよい。
【0150】
図27に示すように、しきい値モニタリング回路334を複数の画素で共有することで、撮像装置20の実装面積を削減できる。
【0151】
<移動体への応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0152】
図11は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0153】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図11に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、および統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、および車載ネットワークI/F(Interface)12053が図示されている。
【0154】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、および、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0155】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0156】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0157】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0158】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0159】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0160】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0161】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12030に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0162】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声および画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図11の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062およびインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイおよびヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0163】
図12は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0164】
図12では、撮像部12031として、撮像部12101、12102、12103、12104、12105を有する。
【0165】
撮像部12101、12102、12103、12104、12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドアおよび車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101および車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102、12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0166】
なお、
図12には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲1211212113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0167】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0168】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0169】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0170】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0171】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば撮像部12031に適用され得る。具体的には、第1~第6実施形態に係る撮像装置は、撮像部12031に適用することができる。本開示に係る技術を適用することにより、誤検知を低減した撮影画像を得ることができるため、画像品質を向上することが可能になる。
【0172】
なお、本技術は以下のような構成を取ることができる。
(1) 入射光を光電変換した光電流を生成する光電変換素子と、
前記光電流を電圧信号に変換する電流電圧変換回路と、
前記光電流をモニタリングするしきい値モニタリング回路と、
前記しきい値モニタリング回路のモニタリング結果に基づいて容量値が変化する可変容量素子を含む複数の容量素子と、
前記複数の容量素子の容量比に基づいて前記電圧信号を増幅した増幅電圧と、しきい値電圧との比較結果に基づいて、前記入射光の輝度変化を検出するイベント検出回路と、
を備える、撮像装置。
(2) 前記しきい値モニタリング回路は、
しきい値電流を設定する電流源と、
前記光電流を複製する第1カレントミラー回路と、
前記しきい値電流を複製する第2カレントミラー回路と、
を有する、(1)に記載の撮像装置。
(3) 前記複数の容量素子が、前記可変容量素子である第1容量素子と、容量値が前記第1容量素子よりも小さい第2容量素子と、を有し、
前記光電流が前記しきい値電流よりも小さい場合に、前記第1容量素子の第1容量値が減少し、
前記光電流が前記しきい値電流以上である場合に、前記第1容量値が増加する、(2)に記載の撮像装置。
(4) 前記複数の容量素子が、容量値が前記第2容量素子よりも大きい第1容量素子と、前記可変容量素子である第2容量素子と、を有し、
前記光電流が前記しきい値電流よりも小さい場合に、前記第2容量素子の第2容量値が増加し、
前記光電流が前記しきい値電流以上である場合に、前記第2容量値が減少する、(2)に記載の撮像装置。
(5) 前記複数の容量素子が、前記可変容量素子である前記第1容量素子および前記第2容量素子を有し、
前記光電流が前記しきい値電流よりも小さい場合に、前記第1容量素子と前記第2容量素子の容量比が小さくなるように、前記第1容量素子の第1容量値および前記第2容量素子の第2容量値が変化し、
前記光電流が前記しきい値電流以上である場合に、前記容量比が大きくなるように、前記第1容量値および前記第2容量値が変化する、(2)に記載の撮像装置。
(6) 前記イベント検出回路が、前記光電流と前記しきい値電流との比較結果に応じて前記しきい値電圧を切り替える切替回路を有する、(2)に記載の撮像装置。
(7) 前記光電変換素子、前記電流電圧変換回路、前記複数の容量素子、および前記イベント検出回路が、画素内に配置され、
前記しきい値モニタリング回路のうち、前記第1カレントミラー回路および前記第2カレントミラー回路の一部が前記画素内に設けられ、前記電流源および前記第2カレントミラー回路の残りの部分が前記画素の外に配置されている、(2)に記載の撮像装置。
(8) 前記しきい値モニタリング回路全体が、前記光電変換素子、前記電流電圧変換回路、前記複数の容量素子、および前記イベント検出回路と同じ第1基板に配置されている、(7)に記載の撮像装置。
(9) 前記第2カレントミラー回路の一部が、前記光電変換素子、前記電流電圧変換回路、前記複数の容量素子、および前記イベント検出回路と同じ第1基板に配置され、
前記電流源および前記第2カレントミラー回路の残りの部分が、前記第1基板と積層される第2基板に配置されている、(7)に記載の撮像装置。
(10) 前記光電変換素子および前記電流電圧変換回路の一部が第1基板に配置され、
前記電流電圧変換回路の残りの部分、前記複数の容量素子、前記イベント検出回路および前記しきい値モニタリング回路が、前記第1基板と積層される第2基板に配置されている、(7)に記載の撮像装置。
(11) 前記光電変換素子が、第1基板に配置され、
前記電流電圧変換回路、前記複数の素子、前記イベント検出回路、および前記しきい値モニタリング回路が、前記第1基板と積層される第2基板に配置されている、(7)に記載の撮像装置。
(12) 前記第1カレントミラー回路は、第1Pチャネル型MOSトランジスタと、前記第1Pチャネル型MOSトランジスタと並列に接続されている複数の第2Pチャネル型MOSトランジスタと、を有し、
前記第2カレントミラー回路は、前記複数の第2Pチャネル型MOSトランジスタにそれぞれ直列に接続されている複数の第1Nチャネル型MOSトランジスタと、前記電流源に直列に接続されている第2Nチャネル型MOSトランジスタと、を有し、
前記複数の第1Nチャネル型MOSトランジスタは、ゲートのチャネル幅およびチャネル長の比率が互いに異なっている、(2)から(11)のいずれかに記載の撮像装置。
(13) 前記第1カレントミラー回路は、第1Pチャネル型MOSトランジスタと、前記第1Pチャネル型MOSトランジスタと並列に接続されている複数の第2Pチャネル型MOSトランジスタと、を有し、
前記第2カレントミラー回路は、前記複数の第2Pチャネル型MOSトランジスタにそれぞれ直列に接続されている複数の第1Nチャネル型MOSトランジスタと、前記しきい値電流がそれぞれ異なる複数の前記電流源にそれぞれ直列に接続されている複数の第2Nチャネル型MOSトランジスタと、を有する、(2)から(11)のいずれかに記載の撮像装置。
(14) 前記可変容量素子が、互いに並列に接続されている複数の容量素子と、前記複数の容量素子のうちの一つの容量素子を除く他の容量素子に直列に接続されている少なくとも1つ以上のスイッチ素子と、を有し、
前記スイッチ素子は、前記しきい値モニタリング回路のモニタリング結果に応じてオンおよびオフする、(1)から(13)のいずれかに記載の撮像装置。
(15) 前記スイッチ素子は、第3Pチャネル型MOSトランジスタと、前記第3Pチャネル型MOSトランジスタに並列に接続されている第3Nチャネル型MOSトランジスタと、前記第3Pチャネル型MOSトランジスタのゲートと、前記第3Nチャネル型MOSトランジスタのゲートとの間に接続されたインバータ素子と、を有する、(14)に記載の撮像装置。
(16) 複数の画素が行列状に配列されている画素アレイ部をさらに備え、
前記しきい値モニタリング回路が、前記画素アレイ部の全画素に設けられている、(1)から(15)のいずれかに記載の撮像装置。
(17) 前記しきい値モニタリング回路が、複数の画素から成る画素群のうちの特定の画素に設けられている、(1)から(15)のいずれかに記載の撮像装置。
(18) 入射光を光電変換した光電流を生成する光電変換素子と、前記光電流を電圧信号に変換する電流電圧変換回路と、前記光電流をモニタリングするしきい値モニタリング回路と、前記しきい値モニタリング回路のモニタリング結果に基づいて容量値が変化する可変容量素子を含む複数の容量素子と、前記複数の容量素子の容量比に基づいて前記電圧信号を増幅した増幅電圧と、しきい値電圧との比較結果に基づいて、前記入射光の輝度変化を検出するイベント検出回路と、を有する撮像装置を備える、電子機器。
(19) 入射光を光電変換した光電流を生成し、
前記光電流を電圧信号に変換し、
前記光電流をモニタリングし、
前記光電流のモニタリング結果に基づいて、可変容量素子の容量値を設定し、
前記可変容量素子を含む複数の容量素子の容量比に基づいて前記電圧信号を増幅した増幅電圧と、しきい値電圧との比較し、
前記増幅電圧と前記しきい値電圧との結果に基づいて、前記入射光の輝度変化を検出する、撮像方法。
【符号の説明】
【0173】
20:撮像装置
21:画素アレイ部
30:画素
41:第1容量素子
42:第2容量素子
60、61:電流源
201:受光チップ
202:検出チップ
311:光電変換素子
331:電流電圧変換回路
333:イベント検出回路
333a:第1切替回路
333b:第2切替回路
410:スイッチ素子
411:インバータ素子
Q21:第1Pチャネル型MOSトランジスタ
Q22:第2Pチャネル型MOSトランジスタ
Q23:第1Nチャネル型MOSトランジスタ
Q24:第2Nチャネル型MOSトランジスタ
Q41:第3Pチャネル型MOSトランジスタ
Q42:第3Nチャネル型MOSトランジスタ