(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186519
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】点検口、及び断熱材の施工方法
(51)【国際特許分類】
E04F 19/08 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
E04F19/08 101A
E04F19/08 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094786
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】596006536
【氏名又は名称】カネカフォームプラスチックス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】蜂須 和則
(72)【発明者】
【氏名】中道 幹芳
(57)【要約】
【課題】固定枠のサイズに極力依存しないで断熱材の施工を行うことにより、断熱材の施工性を向上させる。
【解決手段】本発明の点検口(10)は、天井板(12)の天井裏又は床板(12)の床下に設けられ、天井板(12)又は床板(12)に形成された開口部(14)に沿って配置された矩形状の固定枠(22)と、固定枠(22)に矩形枠状に配設され、複数のセグメント(S)により構成された断熱材(26)と、を備え、固定枠(22)の各辺部(22m)に少なくとも3つ以上のセグメント(S)が配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井板の天井裏又は床板の床下に設けられ、前記天井板又は前記床板に形成された開口部に沿って配置された矩形状の固定枠と、
前記固定枠に矩形枠状に配設され、複数のセグメントにより構成された断熱材と、を備える点検口において、
前記固定枠の各辺部に少なくとも3つ以上の前記セグメントが配置されている、点検口。
【請求項2】
前記固定枠の各角部にて直角に隣接する2つの前記セグメントの突合せ面は、それぞれ、前記固定枠の各辺部の長手方向に対して45度傾斜している、請求項1に記載の点検口。
【請求項3】
前記断熱材を構成する複数の前記セグメントは、前記固定枠の各辺部の一端側に位置する第1端末セグメントと、前記固定枠の各辺部の他端側に位置する第2端末セグメントと、前記固定枠の各辺部における前記第1端末セグメントと前記第2端末セグメントとの間に配置される中間セグメントとに分類されている、請求項1又は2に記載の点検口。
【請求項4】
各隣接する前記第1端末セグメント及び前記中間セグメントの突合せ面は、それぞれ、前記固定枠の各辺部の長手方向に対して45度傾斜し、各隣接する前記第2端末セグメントと前記中間セグメントの突合せ面は、それぞれ、前記固定枠の各辺部の長手方向に対して45度傾斜している、請求項3に記載の点検口。
【請求項5】
前記第1端末セグメントと前記第2端末セグメントと前記中間セグメントは、前記固定枠の重心と中心として点対称に配置されている、請求項3又は4に記載の点検口。
【請求項6】
各セグメントは、両端が前記固定枠の前記角部にそれぞれ位置する長尺セグメントである、請求項2に記載の点検口。
【請求項7】
前記固定枠の各角部にて直角に隣接する2つの前記セグメントの突合せ面のうち、一方の前記セグメントの突合せ面に係合突起が形成され、他方の前記セグメントの突合せ面に一方の前記セグメントの前記係合突起を係合させるための係合穴が形成されている、請求項2~6の何れか1項に記載の点検口。
【請求項8】
前記断熱材を構成する複数の前記セグメントは、前記固定枠の各角部に配置されたかつL字状のL型セグメントと、前記固定枠の各辺部における2つの前記L型セグメントの間に配置される中間セグメントとに分類されている、請求項1に記載の点検口。
【請求項9】
各隣接する前記L型セグメントと前記中間セグメントの突合せ面は、それぞれ、前記固定枠の各辺部の長手方向に対して45度傾斜している、請求項8に記載の点検口。
【請求項10】
前記固定枠に矩形枠状の凹部が形成され、各セグメントが前記固定枠の前記凹部に嵌入又は係合していることを特徴とする請求項1~9の何れか1項に記載の点検口。
【請求項11】
前記断熱材は、発泡倍率10倍以上でかつ100倍未満のポリスエチレン系樹脂発泡体又はポリオレフィン系樹脂発泡体により構成されていることを特徴とする請求項1~10の何れか1項に記載の点検口。
【請求項12】
請求項3に記載の点検口に用いられる矩形状の固定枠に断熱材を矩形枠状に配設するための断熱材の施工方法において、
前記固定枠の第1辺部に、第1端末セグメント、中間セグメント、及び第2端末セグメントを順次取付け、
次に、前記固定枠の前記第1辺部にて直角に隣接する第2辺部に、前記第1端末セグメント、前記中間セグメント、及び前記第2端末セグメントを順次取付け、
更に、前記固定枠の前記第2辺部にて直角に隣接する第3辺部に、前記第1端末セグメント、前記中間セグメント、及び前記第2端末セグメントを順次取付け、
その後、前記固定枠の前記第3辺部及び前記第1辺部にて直角に隣接する第4辺部の一端側に、前記第1端末セグメントを取付けると共に、前記固定枠の前記第4辺部の他端側に、前記第2端末セグメントを取付け、前記固定枠の前記第4辺部における前記第1端末セグメントと前記第2端末セグメントの間に、前記中間セグメントを押し込んで取付けることを特徴とする断熱材の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井板の天井裏又は床板の床下を点検するための点検口、及び点検口に用いられる矩形状の固定枠に断熱材を矩形枠状に配設するための断熱材の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の天井板の天井裏又は床板の床下に配設された例えば配線又は配管等の点検等を行うために、天井板又は床板には、例えば、次のような構成からなる点検口が設置されることがある(特許文献1及び2参照)。
【0003】
即ち、天井板又は床板には、矩形状の開口部が形成されており、天井板又は床板の開口部の周縁には、外枠が設けられている。天井板又は床板には、天井板又は床板の開口部を開閉する蓋部材が設けられている。天井板の天井裏又は床板の床下には、天井板又は床板の開口部から室内への外気の浸入を抑える矩形状の外側断熱ユニットが設けられている。外側断熱ユニットは、天井板又は床板の開口部に沿って配置された固定枠と、固定枠に矩形枠状に配設された断熱材とを備えている。外側断熱ユニットの内側には、天井板又は床板の開口部から室内への外気の浸入を抑える矩形状の内側断熱ユニットが着脱可能に設けられている。
【0004】
なお、本発明に関連する先行技術として特許文献1及び2の他に、特許文献3及び4に示すものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-245973号公報
【特許文献2】特開平11-131782号公報
【特許文献3】特開2000-73556号公報
【特許文献4】特開2007-198059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、先行技術に係る点検口における外側断熱ユニットにおいて、断熱材の施工は固定枠のサイズに依存することが多い。そのため、固定枠のサイズに応じた断熱材を準備する必要があり、断熱材の施工性、換言すれば、点検口の施工性を向上させることが困難であるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明の一態様は、固定枠のサイズに極力依存しないで断熱材の施工を行うことにより、断熱材の施工性、換言すれば、点検口の施工性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の一態様に係る点検口は、天井板の天井裏又は床板の床下に設けられ、前記天井板又は前記床板に形成された開口部に沿って配置された矩形状の固定枠と、前記固定枠に矩形枠状に配設され、複数のセグメントにより構成された断熱材と、を備える点検口において、前記固定枠の各辺部に少なくとも3つ以上の前記セグメントが配置されている。
【0009】
前記点検口において、前記固定枠の各角部にて直角に隣接する2つの前記セグメントの突合せ面(隣接面)は、それぞれ、前記固定枠の各辺部の長手方向に対して45度傾斜してもよい。
【0010】
前記点検口において、前記断熱材を構成する複数の前記セグメントは、前記固定枠の各辺部の一端側に位置する第1端末セグメントと、前記固定枠の各辺部の他端側に位置する第2端末セグメントと、前記固定枠の各辺部における前記第1端末セグメントと前記第2端末セグメントとの間に配置される中間セグメントとに分類されてもよい。
【0011】
前記点検口において、各隣接する前記第1端末セグメント及び前記中間セグメントの突合せ面(隣接面)は、それぞれ、前記固定枠の各辺部の長手方向に対して45度傾斜し、各隣接する前記第2端末セグメントと前記中間セグメントの突合せ面は、それぞれ、前記固定枠の各辺部の長手方向に対して45度傾斜してもよい。
【0012】
前記点検口において、前記第1端末セグメントと前記第2端末セグメントと前記中間セグメントは、前記固定枠の重心と中心として点対称に配置されてもよい。
【0013】
前記点検口において、各セグメントは、両端が前記固定枠の前記角部にそれぞれ位置する長尺セグメントであってもよい。
【0014】
前記点検口において、前記固定枠の各角部にて直角に隣接する2つの前記セグメントの突合せ面のうち、一方の前記セグメントの突合せ面に係合突起が形成され、他方の前記セグメントの突合せ面に一方の前記セグメントの前記係合突起を係合させるための係合穴が形成されてもよい。
【0015】
前記点検口において、前記断熱材を構成する複数の前記セグメントは、前記固定枠の各角部に配置されたかつL字状のL型セグメントと、前記固定枠の各辺部における2つの前記L型セグメントの間に配置される中間セグメントとに分類されてもよい。
【0016】
前記点検口において、各隣接する前記L型セグメントと前記中間セグメントの突合せ面は、それぞれ、前記固定枠の各辺部の長手方向に対して45度傾斜してもよい。
【0017】
前記点検口において、前記固定枠に矩形枠状の凹部が形成され、各セグメントが前記固定枠の前記凹部に嵌入又は係合してもよい。
【0018】
前記点検口において、前記断熱材は、発泡倍率10倍以上でかつ100倍未満のポリスエチレン系樹脂発泡体又はポリオレフィン系樹脂発泡体により構成されてもよい。
【0019】
また、前記課題を解決するため、本発明の一態様に係る断熱材の施工方法は、前記点検口に用いられる矩形状の固定枠に断熱材を矩形枠状に配設するための断熱材の施工方法において、前記固定枠の第1辺部に、第1端末セグメント、中間セグメント、及び第2端末セグメントを順次取付け、次に、前記固定枠の前記第1辺部にて直角に隣接する第2辺部に、前記第1端末セグメント、前記中間セグメント、及び前記第2端末セグメントを順次取付け、更に、前記固定枠の前記第2辺部にて直角に隣接する第3辺部に、前記第1端末セグメント、前記中間セグメント、及び前記第2端末セグメントを順次取付け、その後、前記固定枠の前記第3辺部及び前記第1辺部にて直角に隣接する第4辺部の一端側に、前記第1端末セグメントを取付けると共に、前記固定枠の前記第4辺部の他端側に、前記第2端末セグメントを取付け、前記固定枠の前記第4辺部における前記第1端末セグメントと前記第2端末セグメントの間に、前記中間セグメントを押し込んで取付ける。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様によれば、固定枠のサイズに極力依存しないで断熱材の施工を行うことにより、断熱材の施工性、換言すれば、点検口の施工性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態1に係る大型の点検口の模式的な平面図又は下面図である。
【
図2】実施形態1に係る大型の外側断熱ユニットの模式的な下面図又は平面図である。
【
図3】実施形態1に係る小型の点検口の模式的な下面図又は平面図である。
【
図4】実施形態1に係る小型の外側断熱ユニットの模式的な下面図又は平面図である。
【
図5】実施形態1に係る大型の外側断熱ユニットの模式的な下図又は平面図である。
【
図6】実施形態1に係る小型の外側断熱ユニットの模式的な下面図又は平面図である。
【
図7】実施形態1の変形例1に係る小型の外側断熱ユニットの模式的な下面図又は平面図である。
【
図8】実施形態1の変形例2に係る大型の外側断熱ユニットの模式的な平面図又は下面図である。
【
図9】実施形態2の態様に係る外側断熱ユニットの模式的な下面図又は平面図である。
【
図10】実施形態2の変形例1に係る外側断熱ユニットの模式的な下面図又は平面図である。
【
図11】実施形態3の態様に係る外側断熱ユニットの模式的な下面図又は平面図である。
【
図12】実施形態3の変形例1に係る外側断熱ユニットの模式的な下面図又は平面図である。
【
図13】実施形態4に係る断熱材の施工方法を説明する模式的な図である。
【
図14】実施形態4に係る断熱材の施工方法を説明する模式的な図である。
【
図15】実施形態4に係る断熱材の施工方法を説明する模式的な図である。
【
図16】実施形態4に係る断熱材の施工方法を説明する模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、天井板の天井裏に設置される点検口、及び床板の床下に設置される点検口について、共通の図面を用いて説明している。天井板の天井裏に設置される点検口における外側断熱ユニット、及び床板の床下に設置される点検口における外側断熱ユニットについて、共通の図面を用いて説明している。また、点検口における各構成部材の形状は、第三角法による各面を投影視したとき状態を基準として説明している。
【0023】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1について
図1~
図6を参照して説明する。
図1は、実施形態1に係る大型の点検口の模式的な平面図又は下面図である。
図2は、実施形態1に係る大型の外側断熱ユニットの模式的な下面図又は平面図である。
図3は、実施形態1に係る小型の点検口の模式的な平面図又は下面図である。
図4は、実施形態1に係る小型の外側断熱ユニットの模式的な下面図又は平面図である。
図5は、実施形態1に係る大型の外側断熱ユニットの模式的な下面図又は平面図である。
図6は、実施形態1に係る小型の外側断熱ユニットの模式的な下面図又は平面図である。
【0024】
(点検口10の概要)
図1~
図4に示すように、実施形態1に係る点検口10は、建築物の天井板12の天井裏又は床板12の床下を点検するための構造体であり、点検口10の概要は、次の通りである。
【0025】
天井板12又は床板12には、矩形状の開口部14が形成されており、開口部14の周縁部には、平面視矩形状の外枠(不図示)が設けられている。天井板12又は床板12の開口部14には、その開口部14を開閉する矩形状の蓋体16が設けられている。また、天井板12の天井裏又は床板12の床下には、天井板12又は床板12の開口部14から室内への外気の浸入を抑える矩形枠状の外側断熱ユニット18が設けられている。外側断熱ユニット18は、天井板12又は床板12の開口部14に沿って配置されている。外側断熱ユニット18の内側には、天井板12又は床板12の開口部14から室内への外気の浸入を抑える視矩形状の内側断熱ユニット20が着脱可能に設けられている。図示は省略するが、内側断熱ユニット20は、矩形状のユニットベースと、ユニットベースに設けられた矩形状の断熱材とを備えている。
【0026】
前記の構成により、天井板12の天井裏又は床板12の床下の点検作業を行う場合には、作業者は、蓋体16によって天井板12又は床板12の開口部14を開く。次に、作業者は、内側断熱ユニット20を外側断熱ユニット18から離脱させて、天井板12又は床板12の開口部14から室内側に取出す。そして、作業者は、天井板12又は床板12の開口部14から天井板12の天井裏又は床板12の床下に入って点検作業を行う。
【0027】
天井板12の天井裏又は床板12の床下の点検作業の終了後、作業者は、内側断熱ユニット20を天井板12又は床板12の開口部14から天井裏又は床下に送出して、外側断熱ユニット18の内側に装着する。最後に、作業者は、蓋体16によって天井板12又は床板12の開口部14を閉じる。
【0028】
続いて、実施形態1に係る外側断熱ユニット18の具体的な構成について説明する。
【0029】
(固定枠22)
図1~
図4に示すように、外側断熱ユニット18は、天井板12の天井裏又は床12の床板の床下に設けられた矩形状の固定枠22を備えている。固定枠22は、天井板12又は床板12の開口部14に沿って配置されている。固定枠22は、例えば、アルミニウム、ステンレス、銅合金等の金属により構成されている。固定枠22の軽量性及び取扱容易性を考慮すると、固定枠22がアルミニウムにより構成されることが好ましい。固定枠22がアルミニウム等の金属により構成される場合には、例えば4本の金属部材の各端部が溶接によって連結される。なお、固定枠22がアルミニウム等の金属により構成される代わりに、木材により構成されてもよい。固定枠22の一部がアルミニウム等の金属により構成され、かつ固定枠22の残りの部分が木材により構成されてもよい。
【0030】
固定枠22は、4つの辺部22mと、4つの角部22cとを有している。4つの辺部22mは、第1辺部22maと、第1辺部22maにて直角に隣接する第2辺部22mbと、第2辺部22mbにて直角に隣接する第3辺部22mcと、第3辺部22mc及び第1辺部22maにて直角に隣接する第4辺部22mdとからなる。また、固定枠22には、矩形枠状の凹部24が形成されている。固定枠22の凹部24とは、矩形枠状の溝部、及び矩形枠状の段部を含む意味である。
【0031】
なお、
図1及び
図3に示すように、固定枠22の凹部24は、天井板12側又は床板12側に向かって開口しているが、天井板12側の反対側又は床板12側の反対側に向かって開口してもよい。
【0032】
(断熱材26)
図1~
図4に示すように、固定枠22の凹部24には、断熱材26が矩形枠状に配設されており、例えば、断熱材26は、固定枠22の凹部24に嵌入することによって取付けられる。断熱材26は、適度に変形可能な柔軟性、遮水性、及び耐熱性を有している。断熱材26が適度に変形可能な柔軟性を有することで、断熱材26を固定枠22の凹部24に隙間なく密着した状態で取付けることができる。取付方法としては、特に嵌入に限定されることなく、接着剤等を固定枠22と断熱材26間に配し、接着する方法を採ることで断熱材26の強固な配置が可能となる。断熱材26が遮水性を有することで、固定枠22に浸入した結露水等の水分が断熱材26を超えて天井板12又は床板12に付着することを防止でききる。断熱材26が断熱性を有することで、断熱材26の施工箇所における断熱性を向上させ、固定枠22の表面における結露の発生を防止することができる。
【0033】
断熱材26は、樹脂発泡体により構成されている。断熱材26を構成する樹脂発泡体の基材樹脂は、特に限定されないが、好ましくは、発泡性の熱可塑性樹脂である。当該熱可塑性樹脂は、好ましくは、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、およびポリカーボネート系樹脂からなる群から選択される少なくとも1つの樹脂である。断熱材26を構成する樹脂発泡体の基材樹脂として、国際公開2020/170694号、国際公開2009/75208号、特許第6612764号等が例示される。
【0034】
断熱材26を構成する樹脂発泡体は、ビーズ成形体又は押出成形体のいずれであってもよく、遮水性に優れた独立気泡構造を有している。断熱材26を構成する樹脂発泡体の気泡倍率は、80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上に設定されている。
【0035】
断熱材26を構成する樹脂発泡体の発泡倍率は、特に限定されないが、10倍以上でかつ100倍以下であり、好ましくは25倍以上でかつ75倍以下であり、より好ましくは30倍以上でかつ50倍以下に設定されている。樹脂発泡体の発泡倍率が10倍未満の場合、断熱材26の重量が大きくなると共に、断熱材26の変形性が低下する傾向にある。樹脂発泡体の発泡倍率が100倍を超える場合には、断熱材26の形状維持性が低下する傾向にある。
【0036】
固定枠22の凹部24から分離した樹脂発泡体は、再利用することができる。
【0037】
図2、
図4~
図6に示すように、断熱材26は、複数のセグメントSにより構成されている。断熱材26を構成する複数のセグメントSは、固定枠22の各辺部22mの一端側に位置する台形状の第1端末セグメント28と、固定枠22の各辺部22mの他端側に位置する台形状の第2端末セグメント30と、矩形状の中間セグメント32とに分類されている。中間セグメント32は、固定枠22の各辺部22mにおける第1端末セグメント28と第2端末セグメント30との間に配置される。各第1端末セグメント28、第2端末セグメント30、及び中間セグメント32は、固定枠22の凹部24に嵌入又は係合しており、固定枠22からの各第1端末セグメント28、第2端末セグメント30、及び中間セグメント32の脱落を防止することができる。なお、凹部24におけるセグメントSが嵌入又は係合する嵌入又は係合部は、固定枠22からセグメントSが脱落しない構造であれば特に限定されず、従来公知の構造を採用することができる。
【0038】
各第1端末セグメント28の長さ寸法(固定枠22の各辺部22mに沿った長さ寸法)と各第2端末セグメント30の長さ寸法が異なってもよく(
図2及び4参照)、各第1端末セグメント28の長さと各第2端末セグメント30の長さ寸法が同じであってもよい(
図5及び6参照)。各第1端末セグメント28の長さと各第2端末セグメント30の長さ寸法が異なるようにした場合には、固定枠22の各辺部22mに第1端末セグメント28と第2端末セグメント30が逆に取付けられることを防止できる。
【0039】
固定枠22の各角部22cにて直角に隣接する2つの第1端末セグメント28の突合せ面28fと第2端末セグメント30の突合せ面30fとは、それぞれ、固定枠22の各辺部22mの長手方向に対して45度傾斜している。また、各隣接する第1端末セグメント28の突合せ面28vと中間セグメント32の突合せ面32fとは、それぞれ、固定枠22の各辺部22mの長手方向に対して直交している。各隣接する第2端末セグメント30の突合せ面30vと中間セグメント32の突合せ面32vとは、それぞれ、固定枠22の各辺部22mの長手方向に対して直交している。
【0040】
第1端末セグメント28と第2端末セグメント30と1つ又は複数の中間セグメント32は、固定枠22の重心22bと中心として点対称に配置されている。このように構成されると、第1端末セグメント28、第2端末セグメント30、及び中間セグメント32の配置位置を明確にして、固定枠22の各辺部22mにセグメントSが誤った配置位置に問取付けられることを防止できる。
【0041】
固定枠22の各辺部22mの凹部24には、少なくとも3つ以上のセグメントSが配置されている。ここで、固定枠22の各辺部22mの凹部24にセグメントSが配置されるとは、セグメントS全体が固定枠22の各辺部22mの凹部24に配置されることの他に、セグメントSの一部が固定枠22の各辺部22mの凹部24に配置されることを含むことを意味する。
【0042】
具体的には、
図2及び
図5に示す大型の外側断熱ユニット18においては、固定枠22の各辺部22mの凹部24には、その一端側から他端側にかけて、第2端末セグメント30の一部、第1端末セグメント28、3つの中間セグメント32、第2端末セグメント30、第1端末セグメント28の一部が配置されている(
図2の一点鎖線で囲む部位参照)。換言すれば、
図2及び
図5に示す大型の外側断熱ユニット18においては、固定枠22の各辺部22mの凹部24には、例えば、7つのセグメントSが配置されている。
【0043】
図4及び
図6に示す小型の外側断熱ユニット18においては、固定枠22の各辺部22mの凹部24には、その一端側から他端側にかけて、第2端末セグメント30の一部、第1端末セグメント28、1つの中間セグメント32、第2端末セグメント30、第1端末セグメント28の一部が配置されている(
図4の一点鎖線で囲む部位参照)。換言すれば、
図4及び
図6に示す小型の外側断熱ユニット18においては、固定枠22の各辺部22mの凹部24には、例えば、5つのセグメントSが配置されている。
【0044】
なお、固定枠22の各辺部22mの凹部24に少なくとも3つ以上のセグメントSが配置されていれば、固定枠22の直角に隣接する2つ辺部22mの凹部24にそれぞれ配置されるセグメントSの個数は、同数でなくもよい。
【0045】
(実施形態1の作用効果)
続いて、実施形態1の作用効果について説明する。
【0046】
前述のように、断熱材26を構成する複数のセグメントSは、第1端末セグメント28と、第2端末セグメント30と、中間セグメント32とに分類されている。また、固定枠22の各辺部22mの凹部24には、少なくとも3つ以上のセグメントSが配置されている。そのため、例えば、第1端末セグメント28及び第2端末セグメント30のサイズ(長さ寸法)が固定されている場合でも、中間セグメント32の個数又はサイズを調整することで、作業者は、任意のサイズの固定枠22の凹部24に断熱材26を矩形枠状に容易に配設(施工)することができる。つまり、実施形態1によれば、固定枠22のサイズに依存することなく、断熱材26の施工を行うことにより、断熱材26の施工性、換言すれば、点検口10の施工性を向上させることができる。
【0047】
前述のように、固定枠22の各角部22cにて直角に隣接する2つの第1端末セグメント28の突合せ面28fと第2端末セグメント30の突合せ面30fは、それぞれ、固定枠22の各辺部22mの長手方向に対して45度傾斜している。そのため、実施形態1によれば、第1端末セグメント28の突合せ面28fと第2端末セグメント30の突合せ面30fとの密着性を高めて、断熱材26断熱性を向上させることができる。
【0048】
以上のように、本発明の一実施形態によれば、断熱性能を向上させた住宅等を、安全かつ安価に提供し得る。それゆえ、住みやすい街づくりに貢献でき、例えば、持続可能な都市作りといった持続可能な開発目標(SDGs)の目標11等に貢献し得る。
【0049】
〔実施形態1の変形例1〕
本発明の実施形態1の変形例1について
図7を参照して説明する。
図7は、実施形態1の変形例1に係る小型の外側断熱ユニットの模式的な下面図又は平面図である。
【0050】
図7に示すように、実施形態1の変形例1に係る小型の外側断熱ユニット18Aは、次の点を除き、実施形態1に係る小型の外側断熱ユニット18(
図6参照)と同様の構成を有している。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0051】
(特有の構成)
即ち、各中間セグメント32は、台形状に形成されている。各隣接する第1端末セグメント28及び中間セグメント32の突合せ面28v,32fは、それぞれ、固定枠22の各辺部22mの長手方向に対して45度傾斜している。各隣接する第2端末セグメント30と中間セグメント32の突合せ面30v,32vは、それぞれ、固定枠22の各辺部22mの長手方向に対して45度傾斜している。
【0052】
小型の外側断熱ユニット18Aにおいては、固定枠22の各辺部22mの凹部24には、その一端側から他端側にかけて、第2端末セグメント30の一部、第1端末セグメント28、1つの中間セグメント32、第2端末セグメント30、第1端末セグメント28の一部が配置されている(
図7の一点鎖線で囲む部位参照)。換言すれば、小型の外側断熱ユニット18Aにおいては、固定枠22の各辺部22mの凹部24には、例えば、5つのセグメントSが配置されている。
【0053】
(実施形態1の変形例1の作用効果)
そして、実施形態1の変形例1によれば、前述の実施形態1と同様の作用効果を奏する他に、次のような作用効果を奏する。
【0054】
前述のように、各隣接する第1端末セグメント28及び中間セグメント32の突合せ面28v,32fは、それぞれ、固定枠22の各辺部22mの長手方向に対して45度傾斜している。各隣接する第2端末セグメント30と中間セグメント32の突合せ面30v,32vは、それぞれ、固定枠22の各辺部22mの長手方向に対して45度傾斜している。そのため、実施形態1の変形例1によれば、第1端末セグメント28の突合せ面28vと中間セグメント32の突合せ面32fとの密着性、及び第2端末セグメント30の突合せ面30vと中間セグメント32の突合せ面32vとの密着性を高めて、固定枠22の各角部22cにおける断熱材26の断熱性をより向上させることができる。
【0055】
〔実施形態1の変形例2〕
本発明の実施形態1の変形例2について
図8を参照して説明する。
図8は、実施形態1の変形例2に係る大型の外側断熱ユニットの模式的な下面図又は平面図である。
【0056】
図8に示すように、実施形態1の変形例2に係る大型の外側断熱ユニット18Bは、次の点を除き、実施形態1に係る大型の外側断熱ユニット18(
図5参照)と同様の構成を有している。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0057】
(特有の構成)
即ち、固定枠22の各角部22cにて直角に隣接する第1端末セグメント28の突合せ面28fと第2端末セグメント30の突合せ面30fのうち、一方の端末セグメント28又は30の突合せ面28f又は30fには、係合突起34が形成されている。他方の端末セグメント30又は28の突合せ面30f又は28fには、一方の端末セグメント28又は30の係合突起34を係合させるための係合穴36が形成されている。
【0058】
固定枠22の直角に隣接する2つ辺部22mの凹部24にそれぞれ配置されるセグメントSの個数は、同数でない。
【0059】
具体的には、固定枠22の直角に隣接する2つ辺部22mのうち一方の辺部22mの凹部24には、その一端側から他端側にかけて、第2端末セグメント30の一部、第1端末セグメント28、2つの中間セグメント32、第2端末セグメント30、第1端末セグメント28の一部が配置されている(
図8の一点鎖線で囲む部位参照)。固定枠22の直角に隣接する2つ辺部22mのうち他方の辺部22mの凹部24には、その一端側から他端側にかけて、第2端末セグメント30の一部、第1端末セグメント28、1つの中間セグメント32、第2端末セグメント30、第1端末セグメント28の一部が配置されている(
図8の二点鎖線で囲む部位参照)。換言すれば、大型の外側断熱ユニット18Aにおいては、固定枠22の直角に隣接する2つ辺部22mのうち一方の辺部22mの凹部24には、例えば、6つのセグメントSが配置されており、他方の辺部22mの凹部24には、例えば、5つのセグメントSが配置されている。
【0060】
(実施形態1の変形例2の作用効果)
そして、実施形態1の変形例2によれば、前述の実施形態1と同様の作用効果を奏する他に、次のような作用効果を奏する。
【0061】
前述のように、固定枠22の各角部22cにて、一方の端末セグメント28又は30の係合突起34を他方の端末セグメント30又は28の係合穴36に係合させることにより、第1端末セグメント28の突合せ面28fと第2端末セグメント30の突合せ面30fが接続する。そのため、実施形態1の変形例2によれば、固定枠22の凹部24に第1端末セグメント28及び第2端末セグメント30を容易に配設(施工)することができ、断熱材26の施工性、換言すれば、点検口10の施工性をより向上させることができる。また、第1端末セグメント28の突合せ面28fと第2端末セグメント30の突合せ面30fとの密着状態を安定させて、断熱材26の断熱性をより向上させることができる。
【0062】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について
図9を参照して説明する。
図9は、実施形態2に係る小型の外側断熱ユニットの模式的な下面図又は平面図である。
【0063】
図9に示すように、実施形態2に係る小型の外側断熱ユニット38は、次の点を除き、実施形態1に係る小型の外側断熱ユニット18(
図4参照)と同様の構成を有している。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0064】
(特有の構成)
即ち、断熱材26は、複数のセグメントSにより構成されており、各セグメントSは、両端が固定枠22の角部22cにそれぞれ位置する台形状の長尺セグメント40である。固定枠22の各角部22cにて直角に隣接する2つの長尺セグメント40の突合せ面40fは、それぞれ、固定枠22の各辺部22mの長手方向に対して45度傾斜している。各長尺セグメント40は、固定枠22の凹部24に嵌入又は係合しており、固定枠22からの各長尺セグメント40の脱落を防止することができる。
【0065】
小型の外側断熱ユニット38においては、固定枠22の各辺部22mの凹部24には、
その一端側から、長尺セグメント40の一部、長尺セグメント40、及び長尺セグメント40が配置されている(
図9の一点鎖線で囲む部位参照)。換言すれば、小型の外側断熱ユニット18においては、固定枠22の各辺部22mの凹部24には、3つのセグメントSが配置されている。
【0066】
(実施形態2の作用効果)
続いて、実施形態2の作用効果について説明する。
【0067】
前述のように、固定枠22の各辺部22mの凹部24には、3つのセグメントSである3つの長尺セグメント40が配置されている。固定枠22の各角部22cにて直角に隣接する2つの長尺セグメント40の突合せ面40fは、それぞれ、固定枠22の各辺部22mの長手方向に対して45度傾斜している。そのため、実施形態2によれば、固定枠22の各角部22cにて直角に隣接する2つの長尺セグメント40の突合せ面40fの密着性を高めて、断熱材26断熱性を向上させることができる。
【0068】
また、固定枠22の各角部22cにて直角に隣接する2つの長尺セグメント40の突合せ面40fが密着した状態で、各長尺セグメント40が長手方向に僅かに変位することで、作業者は、異なるサイズの固定枠22の凹部24に断熱材26を矩形枠状に配設(施工)することができる。つまり、実施形態2によれば、固定枠22のサイズに極力依存することなく、断熱材26の施工を行うことにより、断熱材26の施工性、換言すれば、点検口10の施工性を向上させることができる。
【0069】
〔実施形態2の変形例1〕
本発明の実施形態2の変形例1について
図10を参照して説明する。
図10は、実施形態2に係る小型の外側断熱ユニットの模式的な下面図又は平面図である。
【0070】
図10に示すように、実施形態2の変形例1に係る小型の外側断熱ユニット38Aは、次の点を除き、実施形態2に係る小型の外側断熱ユニット38(
図9参照)と同様の構成を有している。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0071】
(特有の構成)
即ち、固定枠22の各角部22cにて直角に隣接する2つの長尺セグメント40の突合せ面40fのうち、一方の長尺セグメント40の突合せ面40fには、係合突起42が形成されている。他方の長尺セグメント40の突合せ面40fには、一方の長尺セグメント40の係合突起42を係合させるための係合穴44が形成されている。
【0072】
小型の外側断熱ユニット38Aにおいては、小型の外側断熱ユニット38と同様に、固定枠22の各辺部22mの凹部24には、3つの長尺セグメント40が配置されている(
図10の一点鎖線で囲む部位参照)。換言すれば、小型の外側断熱ユニット38Aにおいては、3つのセグメントSが配置されている。
【0073】
(実施形態2の変形例1の作用効果)
そして、実施形態2の変形例1によれば、前述の実施形態2と同様の作用効果を奏する他に、次のような作用効果を奏する。
【0074】
前述のように、固定枠22の各角部22cにて、一方の長尺セグメント40の係合突起42を他方の長尺セグメント40の係合穴44に係合させることにより、2つの長尺セグメント40の突合せ面40fが接続する。そのため、実施形態2の変形例1によれば、作業者は、固定枠22の凹部24に長尺セグメント40を容易に配設(施工)することができ、断熱材26の施工性、換言すれば、点検口10の施工性をより向上させることができる。また、固定枠22の各角部22cにて、2つの長尺セグメント40の突合せ面40fの密着状態を安定させて、断熱材26の断熱性をより向上させることができる。
【0075】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3について
図11を参照して説明する。
図11は、実施形態3に係る小型の外側断熱ユニットの模式的な下面図又は平面図である。
【0076】
図11に示すように、実施形態3に係る小型の外側断熱ユニット46は、次の点を除き、実施形態1に係る小型の外側断熱ユニット18(
図4参照)と同様の構成を有している。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0077】
(特有の構成)
断熱材26は、複数のセグメントSにより構成されている。断熱材26を構成する複数のセグメントSは、固定枠22の各角部22cに配置されたかつL字状のL型セグメント48と、固定枠22の各辺部22mにおける2つのL型セグメント48の間に配置される矩形状の中間セグメント50とに分類されている。各L型セグメント48及び各中間セグメント50は、固定枠22の凹部24に嵌入又は係合しており、固定枠22からの各L型セグメント48及び各中間セグメント50の脱落を防止することができる。なお、固定枠22の各辺部22mに配置される中間セグメント50の個数を複数にしてもよい。
【0078】
各隣接するL型セグメント48の突合せ面48fと中間セグメント50の突合せ面50fは、それぞれ、固定枠22の各辺部22mの長手方向に対して直交している。L型セグメント48と中間セグメント50は、固定枠22の重心22bと中心として点対称に配置されている。
【0079】
小型の外側断熱ユニット46においては、固定枠22の各辺部22mの凹部24には、その一端側から他端側にかけて、L型セグメント48の一部、中間セグメント50、及びL型セグメント48の一部が配置されている(
図11の一点鎖線で囲む部位参照)。換言すれば、小型の外側断熱ユニット46においては、固定枠22の各辺部22mの凹部24には、例えば、3つのセグメントSが配置されている。
【0080】
(実施形態3の作用効果)
続いて、実施形態3によれば、次のような作用効果を奏する。
【0081】
前述のように、断熱材26を構成する複数のセグメントSは、L型セグメント48と、中間セグメント50とに分類されている。固定枠22の各辺部22mには、3つ以上のセグメントSが配置されている。そのため、中間セグメント50の個数又はサイズを調整することで、作業者は、任意のサイズの固定枠22の凹部24に断熱材26を矩形枠状に容易に配設(施工)することができる。つまり、実施形態3によれば、固定枠22のサイズに依存することなく、断熱材26の施工を行うことにより、断熱材26の施工性、換言すれば、点検口10の施工性を向上させることができる。
【0082】
〔実施形態3の変形例1〕
本発明の実施形態3の変形例1について
図12を参照して説明する。
図12は、実施形態3の変形例1に係る小型の外側断熱ユニットの模式的な下面図又は平面図である。
【0083】
(特有の構成)
図12に示すように、実施形態3の変形例1に係る小型の外側断熱ユニット46Aは、次の点を除き、実施形態3に係る小型の外側断熱ユニット46(
図11参照)と同様の構成を有している。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0084】
(特有の構成)
各中間セグメント50は、台形状に形成されている。各隣接するL型セグメント48の突合せ面48fと中間セグメント50の突合せ面50fは、それぞれ、固定枠22の各辺部22mの長手方向に対して45度傾斜している。
【0085】
小型の外側断熱ユニット46Aにおいては、小型の外側断熱ユニット46と同様に、固定枠22の各辺部22mの凹部24には、その一端側から他端側にかけて、L型セグメント48の一部、中間セグメント50、及びL型セグメント48の一部が配置されている(
図12の一点鎖線で囲む部位参照)。換言すれば、小型の外側断熱ユニット46Aにおいては、固定枠22の各辺部22mの凹部24には、例えば、3つのセグメントSが配置されている。
【0086】
(実施形態3の変形例1の作用効果)
そして、実施形態3の変形例1によれば、前述の実施形態3と同様の作用効果を奏する他に、次のような作用効果を奏する。
【0087】
前述のように、各隣接するL型セグメント48の突合せ面48fと中間セグメント50の突合せ面50fは、それぞれ、固定枠22の各辺部22mの長手方向に対して45度傾斜している。そのため、実施形態3の変形例1によれば、L型セグメント48の突合せ面48fと中間セグメント50の突合せ面50fとの密着性を高めて、固定枠22の各角部22cにおける断熱材26断熱性を向上させることができる。
【0088】
〔実施形態4〕
本発明の実施形態4について
図13~
図16を参照して説明する。
図13~
図16は、実施形態4に係る断熱材の施工方法を説明する模式的な図である。
【0089】
図13~
図16に示すように、実施形態4に係る断熱材の施工方法は、実施形態1に係る点検口10(
図1及び2参照)に用いられる矩形状の固定枠22に断熱材26を矩形枠状に配設するための方法である。実施形態4に係る断熱材の施工方法の具体的な構成は、次の通りである。
【0090】
(特有の構成)
図13に示すように、固定枠22の第1辺部22maの凹部24に、その一端側から他端側にかけて、第1端末セグメント28、複数の中間セグメント32、及び第2端末セグメント30を嵌入によって順次取付ける。次に、
図14に示すように、固定枠22の第2辺部22mbの凹部24に、その一端側から他端側にかけて、第1端末セグメント28、複数の中間セグメント32、及び第2端末セグメント30を嵌入によって順次取付ける。更に、
図15に示すように、固定枠22の第3辺部22mcの凹部24に、その一端側から他端側にかけて、第1端末セグメント28、複数の中間セグメント32、及び第2端末セグメント30を嵌入によって順次取付ける。
【0091】
その後、
図16に示すように、固定枠22の第4辺部22mdの凹部24の一端側に、第1端末セグメント28を、固定枠22の第4辺部22mdの凹部24の他端側に、第2端末セグメント30を嵌入によって取付ける。そして、固定枠22の第4辺部22mdの凹部24における第1端末セグメント28と第2端末セグメント30の間に、所定の中間セグメント32以外の2つの中間セグメント32を嵌入によって取付ける。最後に、固定枠22の第4辺部22mdの凹部24における2つの中間セグメント32の間(第1端末セグメント28と第2端末セグメント30の間)に、所定の中間セグメント32を押し込んで取付ける。なお、所定の中間セグメント32を押し込む前に、所定の中間セグメント32の長さを調整しておくことが望ましい。
【0092】
続いて、実施形態4の作用効果について説明する。
【0093】
固定枠22の第1辺部22maから第2辺部22mbの凹部24に第1端末セグメント28、複数の中間セグメント32、及び第2端末セグメント30をそれぞれ取付けている。そのため、例えば、第1端末セグメント28及び第2端末セグメント30のサイズ(長さ寸法)が固定されている場合でも、作業者は、中間セグメント32の個数又はサイズを調整することで、任意のサイズの固定枠22の凹部24に断熱材26を矩形枠状に容易に配設(施工)することができる。つまり、実施形態4によれば、固定枠22のサイズに依存することなく、断熱材26の施工を行うことにより、断熱材26の施工性、換言すれば、点検口10の施工性を向上させることができる。
【0094】
前述のように、固定枠22の第4辺部22mdの凹部24における第1端末セグメント28と第2端末セグメント30の間に、所定の中間セグメント32を押し込んで取付ける。そのため、実施形態4によれば、各隣接するセグメントS間の密着性を高めて、断熱材26の断熱性を向上させることができる。
【実施例0095】
本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0096】
(実施例1)
図2、
図13~
図16に示すように、作業者は、矩形状の固定枠22に各辺部22mに配設する複数のセグメントSとして、1つの第1端末セグメント28、1つの第2端末セグメント30、及び3つの中間セグメント32を準備した。第1端末セグメント28の長辺寸法は、403.0mm、第1端末セグメント28の短辺寸法は、296.5mm、第1端末セグメント28の幅寸法は、122.0mmである。第2端末セグメント30の長辺寸法は、253.0mm、第2端末セグメント30の短辺寸法は、146.5mm、第2端末セグメント30の幅寸法は、122.0mmである。中間セグメント32の長さ寸法は、150.0mm、中間セグメント32の幅寸法は、122.0mmである。そして、作業者は、実施形態4に係る断熱材の施工方法によって矩形状の固定枠22に断熱材26を矩形枠状に配設した。断熱材26の縦寸法は、1137.0mm、断熱材26の横寸法は、1137.0mmになった。また、断熱材26を構成する材料として、カネパールVF((株)カネカ製)を使用した。そして、固定枠22に配置された断熱材26は、固定枠22の凹部24に隙間なく配置され、セグメントS同士の密着状態(突合せ状態)も良好で、固定枠22の凹部24からのセグメントSの脱落は観察されなかった。
【0097】
(実施例2)
図4、
図13~
図16に示すように、作業者は、矩形状の固定枠22に各辺部22mに配設する複数のセグメントSとして、1つの第1端末セグメント28、1つの第2端末セグメント30、及び1つの中間セグメント32を準備した。第1端末セグメント28の各寸法、第2端末セグメント30の各寸法、中間セグメント32の各寸法は、実施例1の場合と同じである。そして、作業者は、実施形態4に係る断熱材の施工方法によって矩形状の固定枠22に断熱材26を矩形枠状に配設した。断熱材26の縦寸法は、837.0mm、断熱材26の横寸法は、837.0mmになった。また、断熱材26を構成する材料として、実施例1と同様の材料を使用した。そして、固定枠22に配置された断熱材26は、固定枠22の凹部24に隙間なく配置され、セグメントS同士の密着状態(突合せ状態)も良好で、固定枠22の凹部24からのセグメントSの脱落は観察されなかった。