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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186520
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】濾紙ベルト処理装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 33/04 20060101AFI20221208BHJP
   B03C 1/00 20060101ALI20221208BHJP
   B03C 1/14 20060101ALI20221208BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALN20221208BHJP
【FI】
B01D33/04 D
B03C1/00 B
B03C1/14 101
B23Q11/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094788
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】株式会社ノリタケカンパニーリミテド
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 仁史
【テーマコード(参考)】
3C011
4D116
【Fターム(参考)】
3C011BB31
4D116AA20
4D116AA24
4D116BB11
4D116BC63
4D116BC66
4D116BC67
4D116DD01
4D116FF15B
4D116FF16B
4D116KK01
4D116QA05B
4D116QA05D
4D116QA05F
4D116QA28B
4D116QA28D
4D116QA28F
4D116QA55B
4D116QA55D
4D116QA55F
4D116SS01
4D116SS06
4D116UU01
4D116UU20
4D116VV12
4D116VV30
(57)【要約】
【課題】スラッジが付着した濾紙ベルトから、濾紙ベルトに含まれる研削液を回収し、且つ、濾紙ベルトを損傷させることなくスラッジを分離できる濾紙ベルト処理装置を提供する。
【解決手段】押圧ローラ14と回転ドラム12との間で濾紙ベルト22およびスラッジSgが押圧されると、濾紙ベルト22及びその上のスラッジSgに含まれていた研削液Fdが絞り出される。次いで、回転ドラム12よりも小径の引離しローラ16に到達すると、濾紙ベルト22は引離しローラ16によって引離しローラ16と同様の回転ドラム12よりも小さな曲率半径で外周面12a上のスラッジSgから引き離され、外周面12a上のスラッジSgは、重力にしたがって落下する。これにより、濾紙ベルト22に含まれる研削液Fdが効率よく回収され、且つ、濾紙ベルト22を損傷させることなくスラッジSgを分離できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性金属粉を含むスラッジが付着した濾紙ベルトから、前記濾紙ベルトおよび前記スラッジに含まれる加工液を回収し、且つ、前記濾紙ベルトを損傷させることなく前記スラッジを分離できる濾紙ベルト処理装置であって、
所定の回転中心線まわりに一方向に回転駆動される回転ドラムと、
前記濾紙ベルトが巻き掛けられた状態で前記回転ドラムの最上位置よりも前記回転ドラムの回転方向上流側位置に前記濾紙ベルトを押圧しつつ回転可能に設けられた絞りローラと、
前記回転ドラムの最上位置よりも前記回転ドラムの回転方向下流側位置に設けられ、前記絞りローラから前記回転ドラムと共に移動した前記濾紙ベルトを前記回転ドラムの外周面から離す、前記回転ドラムよりも小径の引離しローラと、を含む
ことを特徴とする濾紙ベルト処理装置。
【請求項2】
前記回転ドラムの内側に位置固定に設けられ、前記絞りローラによる押圧部位、および前記引離しローラによる引離し部位において、前記磁性金属粉を前記回転ドラムの外周面に吸着させる磁力を発生する磁石を、含む
ことを特徴とする請求項1の濾紙ベルト処理装置。
【請求項3】
前記回転ドラムの外周面の前記絞りローラによる押圧部位よりも前記回転ドラムの回転方向上流側位置に摺接し、前記絞りローラによる押圧部位から前記回転ドラムの外周面に沿って流れ落ちる加工液を、前記回転ドラムの外周面から離して案内する加工液シュート板と、
前記加工液シュート板から落ちる加工液を受ける加工液回収箱と、を含む
ことを特徴とする請求項1又は請求項2の濾紙ベルト処理装置。
【請求項4】
前記濾紙ベルトを巻き取って前記濾紙ベルトに張力を付与する巻取ローラと、
前記引離しローラにより前記回転ドラムの外周面から引き離された前記濾紙ベルトを前記巻取ローラへ案内する案内ローラと、を含む
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1の濾紙ベルト処理装置。
【請求項5】
前記回転ドラムの外周面の前記引離しローラによる引離し部位よりも前記回転ドラムの回転方向下流側位置に摺接し、前記回転ドラムの外周面と供に運ばれる前記スラッジを、前記回転ドラムの外周面から離して案内するスラッジシュート板と、
前記スラッジシュート板から落ちる前記スラッジを受けるスラッジ回収箱と、を含む
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1の濾紙ベルト処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
研削盤、切削盤の加工液の浄化に用いた濾紙ベルトに含まれる加工液、及び濾紙ベルトに付着したスラッジを、それぞれ濾紙ベルトから分離する濾紙ベルト処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
加工液を再利用するために、使用済の加工液に含まれるスラッジを帯状の濾紙ベルトを用いて除去する装置が提案されている。例えば、特許文献1に記載された液体の濾過再生装置がそれである。
【0003】
濾紙ベルトはロール巻きした帯状の長尺フィルタである。特許文献1に記載の濾過再生装置では、ロールから巻き出された帯状の濾紙ベルトのうちの凹状に湾曲した部分の両側部が一対の円板と目付きエンドレスベルトとの間に挟持された状態で送られ、そのように挟持された濾紙ベルトを通して使用済の加工液が透過させられることで、加工液に含まれるスラッジが濾紙ベルトによって捕捉されるようになっている。そして、使用済の濾紙ベルトは、その先端から回収ボックス内へ送られ、その回収ボックスにより回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-314703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の濾過再生装置では、使用済の濾紙ベルトによる加工液の機外への持ち出し量が多く、加工液の再生率が低くなるとともに、濾紙ベルトがスラッジ等と共に排出されてそのままでは資源ゴミとして処理できないので、廃棄する前に切粉等の金属粉を含むスラッジを掻き落とすという作業が必要となるという、問題があった。また、濾紙ベルトの厚み或いは材料によって強度が低くなると、濾紙ベルトが破れる場合があり、その場合にはスラッジを掻き落とすという作業がさらに困難となっていた。
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、スラッジが付着した濾紙ベルトから、濾紙ベルトおよびスラッジに含まれる加工液を回収し、且つ、濾紙ベルトを損傷させることなくスラッジを分離できる濾紙ベルト処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の要旨とするところは、(a)磁性金属粉を含むスラッジが付着した濾紙ベルトから、前記濾紙ベルトおよび前記スラッジに含まれる加工液を回収し、且つ、濾紙ベルトを損傷させることなく前記スラッジを分離できる濾紙ベルト処理装置であって、(b)所定の回転中心線まわりに一方向に回転駆動される回転ドラムと、(c)前記濾紙ベルトが巻き掛けられた状態で前記回転ドラムの最上位置よりも前記回転ドラムの回転方向上流側位置に前記濾紙ベルトを押圧しつつ回転可能に設けられた絞りローラと、(d)前記回転ドラムの最上位置よりも前記回転ドラムの回転方向下流側位置に設けられ、前記絞りローラから前記回転ドラムと共に移動した前記濾紙ベルトを前記回転ドラムの外周面から離す、前記回転ドラムよりも小径の引離しローラと、を含むことにある。
【0008】
第2発明の要旨とするところは、第1発明において、前記回転ドラムの内側に位置固定に設けられ、前記絞りローラによる押圧部位、および前記引離しローラによる引離し部位において、前記磁性金属粉を前記回転ドラムの外周面に吸着させる磁力を発生する磁石を、含むことにある。
【0009】
第3発明の要旨とするところは、第1発明又は第2発明において、前記回転ドラムの外周面の前記絞りローラによる押圧部位よりも前記回転ドラムの回転方向上流側位置に摺接し、前記絞りローラによる押圧部位から前記回転ドラムの外周面に沿って流れ落ちる加工液を、前記回転ドラムの外周面から離して案内する加工液シュート板と、前記加工液シュート板から落ちる加工液を受ける加工液回収箱と、を含むことにある。
【0010】
第4発明の要旨とするところは、第1発明から第3発明のいずれか1の発明において、前記濾紙ベルトを巻き取って前記濾紙ベルトに張力を付与する巻取ローラと、前記引離しローラにより前記回転ドラムの外周面から引き離された前記濾紙ベルトを前記巻取ローラへ案内する案内ローラと、を含むことにある。
【0011】
第5発明の要旨とするところは、第1発明から第4発明のいずれか1の発明において、前記回転ドラムの外周面の前記引離しローラによる引離し部位よりも前記回転ドラムの回転方向下流側位置に摺接し、前記回転ドラムの外周面と供に運ばれる前記スラッジを、前記回転ドラムの外周面から離して案内するスラッジシュート板と、前記スラッジシュート板から落ちる前記スラッジを受けるスラッジ回収箱と、を含むことにある。
【発明の効果】
【0012】
第1発明の濾紙ベルト処理装置によれば、濾紙ベルトが、絞りローラと回転ドラムとの間で押圧された後、回転ドラムの外周面とともに移動して、回転ドラムの最上位置を経由して前記回転ドラムの回転方向下流側に位置する引離しローラにより回転ドラムの外周面から離される過程で、濾紙ベルトが、絞りローラと回転ドラムとの間で押圧されると、濾紙ベルトおよびその上のスラッジに含まれていた加工液が絞り出される。押圧後、濾紙ベルトが回転ドラムの外周面とともに移動して、引離しローラにより回転ドラムの外周面から離される過程で、濾紙ベルトは回転ドラムよりも小径の引離しローラによって外周面上のスラッジから引き離されると、外周面上のスラッジは、重力にしたがって落下する。これにより、濾紙ベルトに含まれる加工液が効率よく回収され、且つ、濾紙ベルトを損傷させることなくスラッジを分離できる。
【0013】
第2発明の濾紙ベルト処理装置によれば、前記回転ドラムの内側に位置固定に設けられ、前記絞りローラによる押圧部位、および前記引離しローラによる引離し部位において、前記磁性金属粉を前記回転ドラムの外周面に吸着させる磁力を発生する磁石を、含む。これにより、絞りローラによる押圧部位では、磁石の磁力によりスラッジの流れ落ちが抑制されるとともに、引離しローラによる引離し部位では、磁石の磁力により濾紙ベルトからスラッジが回転ドラムの外周面へ引き離されて回転ドラムの外周面に保持されるので、濾紙ベルトに含まれる加工液が効率よく回収され、且つ、濾紙ベルトを損傷させることなくスラッジを好適に分離することができる。
【0014】
第3発明の濾紙ベルト処理装置によれば、前記回転ドラムの外周面の前記絞りローラによる押圧部位よりも前記回転ドラムの回転方向上流側位置に摺接し、前記絞りローラによる押圧部位から前記回転ドラムの外周面に沿って流れ落ちる加工液を、前記回転ドラムの外周面から離して案内する加工液シュート板と、前記加工液シュート板から落ちる加工液を受ける加工液回収箱と、を含む。これにより、回転ドラムの外周面に沿って流れ落ちようとする加工液が効率よく加工液回収箱内に回収される。
【0015】
第4発明の濾紙ベルト処理装置によれば、前記濾紙ベルトを巻き取って前記濾紙ベルトに張力を付与する巻取ローラと、前記引離しローラにより前記回転ドラムの外周面から引き離された前記濾紙ベルトを前記巻取ローラへ案内する案内ローラと、を含む。これにより、スラッジが効率的に分離された濾紙ベルトが巻取ローラに巻き取られ、回収される。
【0016】
第5発明の濾紙ベルト処理装置によれば、前記回転ドラムの外周面の前記引離しローラによる引離し部位よりも前記回転ドラムの回転方向下流側位置に摺接し、前記回転ドラムの外周面と供に運ばれる前記スラッジを、前記回転ドラムの外周面から離して案内するスラッジシュート板と、前記スラッジシュート板から落ちる前記スラッジを受けるスラッジ回収箱と、を含む。これにより、スラッジが回転ドラムの外周面に付着したまま回転ドラムの回転方向へ運ばれて加工液回収箱内に落下することがなく、回転ドラムの外周面と供に運ばれるスラッジが効率よくスラッジ回収箱内に回収される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施例の濾紙ベルト処理装置の構成を説明する概略図である。
図2】本発明の他の実施例の濾紙ベルト処理装置の構成を説明する概略図であって、図1に相当する図である。
図3】本発明のさらに他の実施例の濾紙ベルト処理装置の構成を説明する概略図であって、図1に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例0019】
図1は、濾紙ベルト処理装置10の構成を、機枠、駆動装置等を省略して説明する概略図である。図1において、回転ドラム12は、水平な回転中心線C1まわりに図示しない機枠によって回転可能に支持されており、図示しない駆動装置によって一回転方向A1に回転駆動されるようになっている。回転ドラム12の図1に示されている部分は、例えばステンレス鋼板、銅合金板等の非磁性金属製の円筒体から形成されている部分の断面を示している。
【0020】
濾紙ベルト処理装置10には、回転ドラム12の回転中心線C1と平行な回転中心線まわりに回転可能に図示しない機枠により支持された絞りローラ14、引離しローラ16、案内ローラ18、及び巻取ローラ20が、備えられている。引離しローラ16は、引離しローラ16に巻かれて小径となる濾紙ベルト22からスラッジSgが好適に引き離されるように回転ドラム12の径よりも充分に小径に設定されている。
【0021】
絞りローラ14は、濾紙ベルト22が巻き掛けられた状態で回転ドラム12の外周面12aの最上位置P1よりも回転ドラム12の回転方向A1の上流側位置において、スラッジSgが上面に堆積した濾紙ベルト22を回転ドラム12の外周面12aに押圧した状態となるように、絞りローラ14を回転可能に支持する図示しない一対の軸受が回転ドラム12側へ、例えばスプリング或いは空圧シリンダによって付勢されている。回転ドラム12の回転中心線C1を通る鉛直線L1と、回転ドラム12の回転中心線C1と絞りローラ14の回転中心とを通る直線L2との間の角度θaは、45度よりも小さく15度よりも大きい。絞りローラ14による押圧部位は、直線L2と回転ドラム12の外周面12aとの交点に位置している。
【0022】
引離しローラ16は、回転ドラム12の外周面12aの最上位置よりも回転ドラム12の回転方向A1の下流側位置に設けられ、絞りローラ14から回転ドラム12の外周面12aと共に移動した濾紙ベルト22を回転ドラム12の外周面12aから離れる方向、本実施例では斜め上方へ方向変換するように案内する。回転ドラム12の回転中心線C1を通る鉛直線L1と、回転ドラム12の回転中心線C1と引離しローラ16の回転中心とを通る直線L3との間の角度θbは、45度よりも大きく90度よりも小さい。引離しローラ16による引離し部位は、直線L3と回転ドラム12の外周面12aとの交点に位置している。
【0023】
案内ローラ18は、引離しローラ16により方向変換された濾紙ベルト22を、回転ドラム12の回転中心線C1及び引離しローラ16よりも低く配置された巻取ローラ20へ案内する。巻取ローラ20は、図示しない駆動装置によって回転駆動され、スラッジSgが取り除かれた後の濾紙ベルト22を巻き取る。
【0024】
回転ドラム12の内側には、永久磁石或いは電磁石から構成された複数個の磁石24が、図示しない機枠に位置固定に配置されている。複数個の磁石24は、少なくとも、絞りローラ14による押圧部位、及び引離しローラ16による濾紙ベルト22の引離し部位において、スラッジSgを回転ドラム12の外周面12aに吸着させる磁力を発生する。
【0025】
濾紙ベルト22は、天然繊維や合成繊維、例えばレーヨン繊維或いはポリエステル繊維を原料とする不織布であって、所定厚みで帯状に成形された長尺の濾過材料である。スラッジSgは、例えば研削盤から排出される汚れた研削液(ダーティ液)Fdをペーパーフィルタ装置において濾過することで濾紙ベルト22上に堆積したものであって、研削砥石によって削られることで、鋼材等の磁性の被削材から発生した磁性金属粉、研削砥石から発生した砥粒や結合材の破砕粉の混合物を含むものである。
【0026】
回転ドラム12の外周面12aのうち、絞りローラ14の押圧部位よりもさらに回転方向A1の上流側には、研削液シュート板(加工液シュート板)26が設けられている。研削液シュート板26は、外周面12aに摺接し、絞りローラ14の押圧部位から外周面12aに沿って流れ落ちる研削液(加工液)Fdを、回転ドラム12の外周面12aから離れるように斜め下方へ案内し、研削液Fdを研削液シュート板26の下端直下に配置された研削液回収箱(加工液回収箱)28内に落下させる。
【0027】
回転ドラム12の下には、回転ドラム12の外周面12aのうちの引離しローラ16による濾紙ベルト22の引離し部位よりも回転方向A1の下流側から落下するスラッジSgを受けるスラッジ回収箱30が配置されている。本実施例のスラッジ回収箱30は、引離しローラ16と回転ドラム12の外周面12aとを含む水平方向の寸法を有する開口を備えている。
【0028】
以上のように構成された濾紙ベルト処理装置10において、濾紙ベルト22は、図1に示すように、絞りローラ14、回転ドラム12、引離しローラ16、案内ローラ18を経て、巻取ローラ20に巻き取られる。この過程において、濾紙ベルト22が絞りローラ14と回転ドラム12との間で押圧されると、濾紙ベルト22及びその上のスラッジSgに含まれていた研削液Fdが絞り出される。絞り出された研削液Fdは、回転ドラム12の外周面12a及び研削液シュート板26を流れ落ち、研削液回収箱28内に受けられる。研削液Fdが絞り出されたスラッジSg及び濾紙ベルト22は回転ドラム12の外周面12aと共に回転し、引離しローラ16に到達すると、濾紙ベルト22は引離しローラ16によって外周面12a上のスラッジSgから引き離される。濾紙ベルト22は、案内ローラ18を介して巻取ローラ20に巻き取られる一方で、外周面12a上のスラッジSgは、重力にしたがって落下し、スラッジ回収箱30により受けられる。
【0029】
上述のように、本実施例の濾紙ベルト処理装置10は、磁性金属粉を含むスラッジSgが付着した濾紙ベルト22から、濾紙ベルト22及びスラッジSgに含まれる研削液Fdを回収し、且つ、濾紙ベルト22を損傷させることなくスラッジSgを分離でき、所定の回転中心線C1まわりに一方向に回転駆動される回転ドラム12と、濾紙ベルト22が巻き掛けられた状態で最上位置P1よりも回転ドラム12の回転方向A1の上流側位置に濾紙ベルト22を押圧しつつ回転可能に設けられた絞りローラ14と、最上位置P1よりも回転ドラム12の回転方向A1の下流側位置に設けられ、絞りローラ14から回転ドラム12と共に移動した濾紙ベルト22を回転ドラム12の外周面12aから引き離す、回転ドラム12よりも小径の引離しローラ16と、を含む。
【0030】
上記の濾紙ベルト処理装置10によれば、濾紙ベルト22が、絞りローラ14と回転ドラム12との間で押圧された後、回転ドラム12の外周面12aとともに移動して、回転ドラム12の最上位置を経由して回転ドラム12の回転方向A1の下流側に位置する引離しローラ16により回転ドラム12の外周面12aから離される。この過程で、濾紙ベルト22が絞りローラ14と回転ドラム12との間で押圧されると、濾紙ベルト22及びその上のスラッジSgに含まれていた研削液Fdが絞り出される。次いで、回転ドラム12よりも小径の引離しローラ16に到達すると、濾紙ベルト22は引離しローラ16によって引離しローラ16と同様の回転ドラム12よりも小さな曲率半径で外周面12a上のスラッジSgから引き離され、外周面12a上のスラッジSgは、重力にしたがって落下する。これにより、濾紙ベルト22に含まれる研削液Fdが効率よく回収され、且つ、濾紙ベルト22を損傷させることなくスラッジSgを分離できる。
【0031】
また、本実施例の濾紙ベルト処理装置10によれば、回転ドラム12の内側に位置固定に設けられ、絞りローラ14による押圧部位、及び引離しローラ16により濾紙ベルト22の引離し部位において、スラッジSgに含まれる磁性金属粉を回転ドラム12の外周面12aに吸着させる磁力を発生する磁石24を、含む。これにより、絞りローラ14による押圧部位では、磁石24の磁力によりスラッジSgの流れ落ちが抑制されるとともに、引離しローラ16による濾紙ベルト22の引離し部位では、磁石24の磁力により濾紙ベルト22からスラッジSgが回転ドラム12の外周面12aへ引き離されて回転ドラム12の外周面12aに保持されるので、濾紙ベルト22に含まれる研削液Fdが効率よく回収され、且つ、濾紙ベルト22を損傷させることなくスラッジSgを好適に分離することができる。
【0032】
また、本実施例の濾紙ベルト処理装置10によれば、回転ドラム12の外周面12aの絞りローラ14の押圧部位よりも回転ドラム12の回転方向A1の上流側位置に摺接し、絞りローラ14の押圧部位から回転ドラム12の外周面12aに沿って流れ落ちる研削液Fdを、回転ドラム12の外周面12aから離して案内する研削液シュート板26と、研削液シュート板26から落ちる研削液Fdを受ける研削液回収箱28とを含む。このことから、研削液Fdが回転ドラム12の外周面12aに沿って下方へ流れ落ちることがなく、回転ドラム12の外周面12aに沿って流れ落ちようとする研削液Fdが効率よく研削液回収箱28内に回収される。
【0033】
また、本実施例の濾紙ベルト処理装置10によれば、濾紙ベルト22を巻き取って濾紙ベルト22に張力を付与する巻取ローラ20と、引離しローラ16により回転ドラム12の外周面12aから引き離された濾紙ベルト22を巻取ローラ20へ案内する案内ローラ18と、を含む。このことから、スラッジSgが効率的に分離された濾紙ベルト22が巻取ローラ20に巻き取られ、回収される。
【実施例0034】
次に、本発明の他の実施例の濾紙ベルト処理装置50を、図2を用いて説明する。なお、以下において、前述の実施例1と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0035】
本実施例の濾紙ベルト処理装置50は、前述の実施例1の濾紙ベルト処理装置10に対して、スラッジシュート板52と、スラッジシュート板52から落ちるスラッジSgを受けるスラッジ回収箱54とを含む点で相違し、他は同様である。本実施例の濾紙ベルト処理装置50は、研削液シュート板26及び研削液回収箱28を、前述の実施例1の濾紙ベルト処理装置10と同様に備えている。
【0036】
本実施例の濾紙ベルト処理装置50には、回転ドラム12の外周面12aの引離しローラ16の位置よりも回転ドラム12の回転方向A1の下流側位置に摺接し、回転ドラム12の外周面12aと供に運ばれるスラッジSgを、回転ドラム12の外周面12aから離して案内するスラッジシュート板52と、スラッジシュート板52から落ちるスラッジSgを受けるスラッジ回収箱54とが、設けられている。
【0037】
本実施例の濾紙ベルト処理装置50によれば、スラッジSgが回転ドラム12の外周面12aに付着したまま回転ドラム12の回転方向へ運ばれて研削液回収箱28内に落下することがなく、回転ドラム12の外周面12aと供に運ばれるスラッジSgが効率よくスラッジ回収箱54内に回収される。
【実施例0038】
次に、本発明の他の実施例の濾紙ベルト処理装置80を、図3を用いて説明する。なお、以下において、前述の実施例2と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0039】
本実施例の濾紙ベルト処理装置80は、前述の実施例2の濾紙ベルト処理装置50に対して、研削液シュート板26が除去されている点で、相違する。本実施例の研削液回収箱28は、回転ドラム12の外周面12aの最下位置(最下点)P2直下から回転ドラム12の半径を充分にカバーする開口寸法を備えている。
【0040】
本実施例の濾紙ベルト処理装置80においても、前述の実施例1の濾紙ベルト処理装置10及び実施例2の濾紙ベルト処理装置50と同様の効果が得られる。
【0041】
以上、本発明を表及び図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
【0042】
例えば、前述の実施例の濾紙ベルト処理装置10、50、80では、磁石24が、絞りローラ14の回転ドラム12に対する押圧部位の回転ドラム12の内側位置、及び、引離しローラ16による濾紙ベルト22の回転ドラム12の外周面12aからの引き離し部位の回転ドラム12の内側位置に、それぞれ設けられていたが、それらの部位において設けられた磁石24のうちの少なくとも一方は必ずしも設けられていなくてもよい。
【0043】
また、研削液シュート板26及びスラッジシュート板52が設けられた位置は、必ずしも図2に示すものでなくてもよいし、研削液シュート板26及びスラッジシュート板52の両方を兼ねた1つの部材が、回転ドラム12の外周面12aの最下位置P2から下方へ伸びるように設けられていてもよい。
【0044】
また、前述の実施例の濾紙ベルト処理装置10、50、80では、研削盤から排出される研削液Fdを濾過した濾紙ベルト22を処理するものであったが、ボール盤、フライス盤、マシニングセンタ等から排出される切削液を濾過するものであってもよい。要するに、切削盤や研削盤に用いられる加工液を処理するものであればよい。
【0045】
なお、上述したのはあくまでも本発明の一実施例であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が加えられ得るものである。
【符号の説明】
【0046】
10、50、80:濾紙ベルト処理装置
12:回転ドラム
12a:外周面
14:絞りローラ
16:引離しローラ
18:案内ローラ
20:巻取ローラ
22:濾紙ベルト
24:磁石
26:研削液シュート板(加工液シュート板)
28:研削液回収箱(加工液回収箱)
30、54:スラッジ回収箱
52:スラッジシュート板
C1:回転中心線
Sg:スラッジ
Fd:研削液(加工液)
図1
図2
図3