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特開2022-186529情報処理プログラム、情報処理方法、および情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186529
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】情報処理プログラム、情報処理方法、および情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/06 20120101AFI20221208BHJP
【FI】
G06Q40/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094800
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 宇
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB55
(57)【要約】
【課題】ポートフォリオを最適化する際にかかる作業負担の低減化を図ること。
【解決手段】情報処理装置100は、2次多項式モデル101に基づいて、第1のリスクと、第1のリスクに対する最大リターンとのペアを特定する。情報処理装置100は、特定したペアに基づいて、数式モデル103に含まれるコスト関数102に含まれる、リスクに関する第1の項とリターンに関する第2の項との少なくともいずれかの項にかかる重みパラメータλを算出する。情報処理装置100は、算出した重みパラメータλに基づいて、数式モデル103を生成する。情報処理装置100は、生成した数式モデル103に基づいて、数式モデル103が表す最適化問題を解く。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の取引対象に対する投資に関するリスクと、当該リスクに対する最大リターンとの関係を示す2次多項式モデルに基づいて、第1のリスクと、前記第1のリスクに対する第1の最大リターンとのペアを特定し、
特定した前記ペアに基づいて、前記複数の取引対象に対する投資パターンに関する最適化問題を表す数式モデルに含まれる、リスクに関する第1の項とリターンに関する第2の項とを含むコスト関数における、前記第1の項および前記第2の項の少なくともいずれかの項にかかる重みパラメータを算出し、
算出した前記重みパラメータに基づいて、前記数式モデルを生成する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項2】
生成した前記数式モデルに基づいて、前記投資パターンに関する最適化問題を解く、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項3】
前記投資パターンは、第1の取引対象群に含まれる取引対象に対する買いまたは空売りを示し、
前記数式モデルは、前記第1の取引対象群に含まれる同一の取引対象に対する買いおよび空売りの重複を禁止することを示す制約条件を含む、ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理プログラム。
【請求項4】
前記投資パターンは、第1の取引対象群に含まれる取引対象に対する買いまたは空売りを示し、
前記数式モデルは、前記第1の取引対象群のうち買いの対象となる取引対象の数に関する制約条件を含む、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の情報処理プログラム。
【請求項5】
前記投資パターンは、第1の取引対象群に含まれる取引対象に対する買いまたは空売りを示し、
前記数式モデルは、前記第1の取引対象群のうち空売りの対象となる取引対象の数に関する制約条件を含む、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の情報処理プログラム。
【請求項6】
前記特定する処理は、
前記2次多項式モデルに基づいて、シャープレシオが最大化される、第1のリスクと、前記第1のリスクに対する第1の最大リターンとのペアを特定する、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の情報処理プログラム。
【請求項7】
前記特定する処理は、
前記2次多項式モデルと、指定のリターンとに基づいて、前記指定のリターンに対応する第1のリスクを特定し、特定した前記第1のリスクと、前記指定のリターンとのペアを特定する、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載の情報処理プログラム。
【請求項8】
過去における、複数の取引対象に対する投資に関するリスクと、当該リスクに対する最大リターンとのペアを示す情報に基づいて、前記2次多項式モデルを生成する、
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載の情報処理プログラム。
【請求項9】
複数の取引対象に対する投資に関するリスクと、当該リスクに対する最大リターンとの関係を示す2次多項式モデルに基づいて、第1のリスクと、前記第1のリスクに対する第1の最大リターンとのペアを特定し、
特定した前記ペアに基づいて、前記複数の取引対象に対する投資パターンに関する最適化問題を表す数式モデルに含まれる、リスクに関する第1の項とリターンに関する第2の項とを含むコスト関数における、前記第1の項および前記第2の項の少なくともいずれかの項にかかる重みパラメータを算出し、
算出した前記重みパラメータに基づいて、前記数式モデルを生成する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
複数の取引対象に対する投資に関するリスクと、当該リスクに対する最大リターンとの関係を示す2次多項式モデルに基づいて、第1のリスクと、前記第1のリスクに対する第1の最大リターンとのペアを特定し、
特定した前記ペアに基づいて、前記複数の取引対象に対する投資パターンに関する最適化問題を表す数式モデルに含まれる、リスクに関する第1の項とリターンに関する第2の項とを含むコスト関数における、前記第1の項および前記第2の項の少なくともいずれかの項にかかる重みパラメータを算出し、
算出した前記重みパラメータに基づいて、前記数式モデルを生成する、
制御部を有することを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理プログラム、情報処理方法、および情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金融分野におけるポートフォリオを最適化する技術がある。ポートフォリオは、例えば、複数の銘柄(金融における取引対象)のいずれの銘柄に投資し、複数の銘柄のいずれの銘柄を保有するのかを示す資産配分である。最適化は、具体的には、リスクとリターンとに重みを付与して算出される評価値を最小化または最大化することである。
【0003】
先行技術としては、例えば、問題モデルを用いて、第1問題を量子関連コンピュータに入力可能なデータ形式に変換する変換プログラムを、設計可能にするものがある。また、例えば、各対象物へ施される処理内容および処理時間を、時空間ネットワークモデルを介して、QUBOモデルもしくはイジングモデルとして定式化する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-166802号公報
【特許文献2】特開2020-140615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、ポートフォリオを最適化する際にかかる作業負担の増大化を招くという問題がある。例えば、銘柄の数が膨大であると、リスクとリターンとに付与する適切な重みを決定する際にかかる作業負担が増大し易く、ポートフォリオを最適化する際にかかる作業負担の増大化を招くことになる。
【0006】
1つの側面では、本発明は、ポートフォリオを最適化する際にかかる作業負担の低減化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの実施態様によれば、複数の取引対象に対する投資に関するリスクと、当該リスクに対する最大リターンとの関係を示す2次多項式モデルに基づいて、第1のリスクと、前記第1のリスクに対する第1の最大リターンとのペアを特定し、特定した前記ペアに基づいて、前記複数の取引対象に対する投資パターンに関する最適化問題を表す数式モデルに含まれる、リスクに関する第1の項とリターンに関する第2の項とを含むコスト関数における、前記第1の項および前記第2の項の少なくともいずれかの項にかかる重みパラメータを算出し、算出した前記重みパラメータに基づいて、前記数式モデルを生成する情報処理プログラム、情報処理方法、および情報処理装置が提案される。
【発明の効果】
【0008】
一態様によれば、ポートフォリオを最適化する際にかかる作業負担の低減化を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態にかかる情報処理方法の一実施例を示す説明図である。
図2図2は、最適化処理システム200の一例を示す説明図である。
図3図3は、情報処理装置100のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図4図4は、投資パターンのデータ構造400の一例を示す説明図である。
図5図5は、EF情報管理テーブル500の記憶内容の一例を示す説明図である。
図6図6は、情報処理装置100の機能的構成例を示すブロック図である。
図7図7は、情報処理装置100の動作例を示す説明図(その1)である。
図8図8は、情報処理装置100の動作例を示す説明図(その2)である。
図9図9は、情報処理装置100の動作例を示す説明図(その3)である。
図10図10は、全体処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して、本発明にかかる情報処理プログラム、情報処理方法、および情報処理装置の実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(実施の形態にかかる情報処理方法の一実施例)
図1は、実施の形態にかかる情報処理方法の一実施例を示す説明図である。情報処理装置100は、ポートフォリオを最適化し易くするためのコンピュータである。情報処理装置100は、例えば、サーバ、または、PC(Personal Computer)などである。
【0012】
ポートフォリオは、資産配分である。ポートフォリオは、例えば、複数の銘柄のいずれの銘柄に投資し、複数の銘柄のいずれの銘柄を保有するのかを示す資産配分である。ポートフォリオは、具体的には、複数の銘柄のそれぞれの銘柄に対して投資するか否かを示す。ポートフォリオは、より具体的には、それぞれの銘柄に対して買いを実施するのか否かを示す。ポートフォリオは、より具体的には、それぞれの銘柄に対して空売りを実施するのか否かを示す。ポートフォリオは、具体的には、投資パターンである。
【0013】
最適化は、最適化問題を解くことにより実施される。最適化問題は、ポートフォリオの評価値を算出するコスト関数を含む。評価値は、例えば、ポートフォリオによるリスクとリターンとのバランスの良さを示す。コスト関数は、重みパラメータがかけられた、リスクに関する第1の項と、リターンに関する第2の項とを含む。コスト関数は、例えば、下記式(1)により定義される。
【0014】
min(λΣiΣjijΣij-(1-λ)(Σiiμi)) ・・・(1)
【0015】
λは、重みパラメータである。λ∈[0,1]⊂Rである。wiは、i番目の銘柄に対する投資割合である。wjは、j番目の銘柄に対する投資割合である。μiは、i番目の銘柄によるT期間におけるリターンの予測値である。μiは、例えば、下記式(2)により定義される。Σijは、分散共分散行列である。Σijは、例えば、下記式(3)により定義される。ΣiΣjijΣijは、リスクに関する第1の項である。Σiiμiは、リターンに関する第2の項である。
【0016】
μi=1/T(Σt=1 Ti,t) ・・・(2)
【0017】
Σij=1/T(Σt=1 T(Ri,t-μi)(Rj,t-μj))=1/T(Σt=1 T(Ri,tj,t-μiμj)) ・・・(3)
【0018】
i,tは、i番目の銘柄によるt時点におけるリターンの予測値である。Ri,tは、下記式(4)により定義される。
【0019】
i,t=(Pi,t-Pi,t-1)/Pi,t-1 ・・・(4)
【0020】
最適化は、例えば、許容されるリスク内で、ポートフォリオによるリターンを最大化することである。最適化は、例えば、指定のリターンを得つつ、ポートフォリオによるリスクを最小化することである。最適化は、具体的には、コスト関数により算出される評価値を最小化または最大化することである。最適化は、具体的には、コスト関数により算出される評価値が最小化または最大化される適切なポートフォリオを生成することである。
【0021】
ここで、最適化問題を解き、ポートフォリオを最適化するにあたり、コスト関数に含まれる重みパラメータを適切に設定することが望まれる。従来では、重みパラメータは、例えば、人手により設定される。
【0022】
従来では、最適化問題を解き、ポートフォリオを最適化する際にかかる作業負担の増大化を招くという問題がある。例えば、最適化問題が複雑化するほど、最適化問題を解き、ポートフォリオを最適化する際にかかる作業負担が増大し易くなる。
【0023】
例えば、銘柄の数が膨大であると、最適化問題が複雑化し易くなる。例えば、ポートフォリオが、銘柄に対して買いを実施するのか否か、および、空売りを実施するのか否かを両方示すようにすると、最適化問題が複雑化し易くなる。例えば、局所解の数が膨大になると、最適化問題が複雑化し易くなる。
【0024】
具体的には、最適化問題が複雑化するほど、最適化問題を解いた際に局所解に陥り易いため、膨大な重みパラメータを試行しなければ、重みパラメータを適切に設定することができず、最適解を求めることができなくなる傾向がある。また、最適化問題に、離散制約または空売りなどに関する制約条件が含まれると、λが散乱し易くなる。
【0025】
そこで、本実施の形態では、最適化問題を解き、ポートフォリオを最適化する際にかかる作業負担の低減化を図ることができる情報処理方法について説明する。
【0026】
図1において、情報処理装置100は、第1の銘柄群に対する投資パターンに関する最適化問題を表す数式モデル103の雛型を有する。雛型は、各種パラメータが未定の数式モデル103である。数式モデル103は、リスクに関する第1の項とリターンに関する第2の項とを含むコスト関数102を含む。コスト関数102において、第1の項および第2の項の少なくともいずれかの項に、重みパラメータがかかる。数式モデル103は、例えば、QUBO(Quadratic Unconstrained Binary Optimization)式である。第1の銘柄群は、例えば、現在に対応する銘柄群である。第1の銘柄群は、具体的には、現在に存在する銘柄群である。
【0027】
情報処理装置100は、2次多項式モデル101を取得する。2次多項式モデル101は、第2の銘柄群に対する投資に関するリスクと、当該リスクに対する最大リターンとの関係を示す。第2の銘柄群は、第1の銘柄群と同一の種類である。第2の銘柄群は、例えば、第1の銘柄群と同一の銘柄群である。第2の銘柄群が、第1の銘柄群と一部異なっていてもよい。第2の銘柄群は、例えば、現在に比較的近い過去の時期に対応する。第2の銘柄群は、具体的には、現在に比較的近い過去の時期に存在した銘柄群である。
【0028】
2次多項式モデル101は、具体的には、Efficient Frontierを示す。Efficient Frontierは、投資に関するリスクと、当該リスクに対する最大リターンとの関係を示す、グラフ110内の特性曲線111に対応する。グラフ110は、横軸がリスクであり、縦軸がリターンである。以下の説明では、Efficient Frontierを「EF」と表記する場合がある。情報処理装置100は、例えば、2次多項式モデル101を生成することにより取得する。
【0029】
(1-1)情報処理装置100は、2次多項式モデル101に基づいて、第1のリスクと、第1のリスクに対する最大リターンとのペアを特定する。情報処理装置100は、例えば、2次多項式モデル101に基づいて、シャープレシオSRが最大化される、第1のリスクと、第1のリスクに対する最大リターンとのペアを特定する。シャープレシオSRは、例えば、下記式(5)により定義される。
【0030】
SR=R-Rf/r ・・・(5)
【0031】
fは、リスクフリーリターンである。Rは、投資パターンによるリターンである。Rは、例えば、下記式(6)により定義される。rは、投資パターンによるリスクである。rは、例えば、下記式(7)または下記式(8)により定義される。
【0032】
return:R=Σi=1 Niμi ・・・(6)
【0033】
risk:r=std(R) ・・・(7)
【0034】
risk:r=var(R)=Σi=1 NΣj=1 NiΣijj ・・・(8)
【0035】
(1-2)情報処理装置100は、特定したペアに基づいて、重みパラメータλを算出する。情報処理装置100は、例えば、ラグランジュ方程式を利用して、特定したペアに基づいて、重みパラメータλを算出する。
【0036】
(1-3)情報処理装置100は、算出した重みパラメータλに基づいて、数式モデル103を生成する。情報処理装置100は、例えば、数式モデル103の雛型に、算出した重みパラメータλを設定することにより、数式モデル103を生成する。
【0037】
(1-4)情報処理装置100は、生成した数式モデル103に基づいて、数式モデル103が表す最適化問題を解く。情報処理装置100は、例えば、Isingソルバを利用して、生成した数式モデル103に基づいて、最適化問題を解き、適切な投資パターンを生成する。
【0038】
これにより、情報処理装置100は、適切な重みパラメータを設定することができるため、最適化問題を解き、適切な投資パターンを生成する際にかかる作業負担の低減化を図ることができる。情報処理装置100は、例えば、人手で様々な重みパラメータを試行せずとも、EF上のリスクと最大リターンとのペアに基づいて、有用な重みパラメータを算出し易くすることができる。
【0039】
有用な重みパラメータは、当該重みパラメータを用いた最適化問題を解いた際に、有用な投資パターンを得られ易くする重みパラメータである。有用な投資パターンは、例えば、リスクが相対的に小さく、かつ、最大リターンが相対的に大きくなる投資パターンである。結果として、情報処理装置100は、例えば、適切な重みパラメータを設定する際にかかる作業負担の低減化を図ることにより、最適化問題を解いて適切な投資パターンを生成する際にかかる作業負担の低減化を図ることができる。
【0040】
ここでは、情報処理装置100が、単独で動作する場合について説明したが、これに限らない。例えば、情報処理装置100が、2次多項式モデル101を生成する場合、および、情報処理装置100が、投資パターンに関する最適化問題を解く場合について説明したが、これに限らない。
【0041】
例えば、情報処理装置100が、他のコンピュータと協働する場合があってもよい。具体的には、情報処理装置100が、2次多項式モデル101を生成する他のコンピュータから、2次多項式モデル101を取得する場合があってもよい。具体的には、情報処理装置100が、生成した数式モデル103を、投資パターンに関する最適化問題を解く他のコンピュータに送信する場合があってもよい。より具体的には、情報処理装置100が、他のコンピュータと協働する、図2に後述する最適化処理システム200が考えられる。
【0042】
(最適化処理システム200の一例)
次に、図2を用いて、図1に示した情報処理装置100を適用した、最適化処理システム200の一例について説明する。
【0043】
図2は、最適化処理システム200の一例を示す説明図である。図2において、最適化処理システム200は、情報処理装置100と、生成用装置201と、求解用装置202と、クライアント装置203とを含む。
【0044】
最適化処理システム200において、情報処理装置100と生成用装置201とは、有線または無線のネットワーク210を介して接続される。ネットワーク210は、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネットなどである。また、情報処理装置100と求解用装置202とは、有線または無線のネットワーク210を介して接続される。また、情報処理装置100とクライアント装置203とは、有線または無線のネットワーク210を介して接続される。
【0045】
情報処理装置100は、第1の銘柄群に対する最適な投資パターンを生成することの要求を、クライアント装置203から受信する。情報処理装置100は、EFを示す2次多項式モデルを、生成用装置201から受信する。情報処理装置100は、要求を受信すると、2次多項式モデルに基づいて、QUBO式の重みパラメータλを算出する。情報処理装置100は、算出した重みパラメータλに基づいて、QUBO式を生成する。
【0046】
情報処理装置100は、生成したQUBO式を、求解用装置202に送信する。情報処理装置100は、QUBO式を解いて求められた投資パターンを、求解用装置202から受信する。投資パターンのデータ構造400は、例えば、図4を用いて後述する。情報処理装置100は、受信した投資パターンを、クライアント装置203に送信する。
【0047】
生成用装置201は、EFを示す2次多項式モデルを生成するコンピュータである。生成用装置201は、過去の第2の銘柄群における、リスクと当該リスクに対する最大リターンとのペアを、それぞれ示す複数の情報が記録された、図5に後述するEF情報管理テーブル500を記憶する。生成用装置201は、図5に後述するEF情報管理テーブル500に基づいて、2次多項式モデルを生成する。生成用装置201は、生成した2次多項式モデルを、情報処理装置100に送信する。生成用装置201は、例えば、サーバ、または、PCなどである。
【0048】
求解用装置202は、QUBO式を解き、適切な投資パターンを生成するコンピュータである。求解用装置202は、Isingソルバを有する。求解用装置202は、QUBO式を、情報処理装置100から受信する。求解用装置202は、Isingソルバを利用して、受信したQUBO式を解き、適切な投資パターンを生成する。求解用装置202は、生成した投資パターンを、情報処理装置100に送信する。求解用装置202は、例えば、サーバ、または、PCなどである。
【0049】
クライアント装置203は、クライアントの操作入力に基づき、最適な投資パターンを生成することの要求を、情報処理装置100に送信する。クライアント装置203は、投資パターンを、情報処理装置100から受信する。クライアント装置203は、受信した投資パターンを、クライアントが参照可能に出力する。クライアント装置203は、例えば、PC、タブレット端末、または、スマートフォンなどである。
【0050】
(情報処理装置100のハードウェア構成例)
次に、図3を用いて、情報処理装置100のハードウェア構成例について説明する。
【0051】
図3は、情報処理装置100のハードウェア構成例を示すブロック図である。図3において、情報処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)301と、メモリ302と、ネットワークI/F(Interface)303と、記録媒体I/F304と、記録媒体305とを有する。また、各構成部は、バス300によってそれぞれ接続される。
【0052】
ここで、CPU301は、情報処理装置100の全体の制御を司る。メモリ302は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびフラッシュROMなどを有する。具体的には、例えば、フラッシュROMやROMが各種プログラムを記憶し、RAMがCPU301のワークエリアとして使用される。メモリ302に記憶されるプログラムは、CPU301にロードされることにより、コーディングされている処理をCPU301に実行させる。
【0053】
ネットワークI/F303は、通信回線を通じてネットワーク210に接続され、ネットワーク210を介して他のコンピュータに接続される。そして、ネットワークI/F303は、ネットワーク210と内部のインターフェースを司り、他のコンピュータからのデータの入出力を制御する。ネットワークI/F303は、例えば、モデムやLANアダプタなどである。
【0054】
記録媒体I/F304は、CPU301の制御に従って記録媒体305に対するデータのリード/ライトを制御する。記録媒体I/F304は、例えば、ディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)、USB(Universal Serial Bus)ポートなどである。記録媒体305は、記録媒体I/F304の制御で書き込まれたデータを記憶する不揮発メモリである。記録媒体305は、例えば、ディスク、半導体メモリ、USBメモリなどである。記録媒体305は、情報処理装置100から着脱可能であってもよい。
【0055】
情報処理装置100は、上述した構成部の他、例えば、キーボード、マウス、ディスプレイ、プリンタ、スキャナ、マイク、スピーカーなどを有してもよい。また、情報処理装置100は、記録媒体I/F304や記録媒体305を複数有していてもよい。また、情報処理装置100は、記録媒体I/F304や記録媒体305を有していなくてもよい。
【0056】
(生成用装置201のハードウェア構成例)
生成用装置201のハードウェア構成例は、具体的には、図3に示した情報処理装置100のハードウェア構成例と同様であるため、説明を省略する。
【0057】
(求解用装置202のハードウェア構成例)
求解用装置202のハードウェア構成例は、具体的には、図3に示した情報処理装置100のハードウェア構成例と同様であるため、説明を省略する。
【0058】
(クライアント装置203のハードウェア構成例)
クライアント装置203のハードウェア構成例は、具体的には、図3に示した情報処理装置100のハードウェア構成例と同様であるため、説明を省略する。
【0059】
以下の説明では、主として、情報処理装置100が、他のコンピュータと協働せず、単独で動作する場合について説明する。このため、情報処理装置100が、図5に後述するEF情報管理テーブル500を有し、2次多項式モデルを生成することになる。また、情報処理装置100が、生成したQUBO式を解き、適切な投資パターンを生成することになる。
【0060】
(投資パターンのデータ構造400)
次に、図4を用いて、投資パターンのデータ構造400の一例について説明する。
【0061】
図4は、投資パターンのデータ構造400の一例を示す説明図である。図4に示すように、投資パターンは、株iのフィールドを有する。iは、1~Nである。投資パターンは、株ごとに各フィールドに情報を設定することにより形成される。
【0062】
株iのフィールドには、i番目の株に対して買いを実施するか否か、および、空売りを実施するか否かを示すフラグ情報が設定される。フラグ情報は、例えば、1であれば、買いを実施することを示す。フラグ情報は、例えば、-1であれば、空売りを実施することを示す。フラグ情報は、例えば、0であれば、投資しないことを示し、具体的には、買いおよび空売りのいずれも実施しないことを示す。
【0063】
ここでは、買いは、均等投資であるとする。空売りは、均等投資であるとする。同一の株iに対して買いと空売りとを同時に実施することがないとする。投資パターンは、例えば、グラフ410に示す点に対応する。グラフ410は、横軸がリスクであり、縦軸がリターンである。投資パターンによりリスクとリターンとが生じる。
【0064】
ここでは、フラグ情報が、+1,0,-1のいずれかであり、i番目の株に対して買いを実施するか否か、および、空売りを実施するか否かを示す場合について説明したが、これに限らない。例えば、フラグ情報が、1,0のいずれかであり、i番目の株に対して投資するか否かを示す場合があってもよい。
【0065】
例えば、投資パターンは、買いを実施可能な株に対応するフラグ情報と、空売りを実施可能な株に対応するフラグ情報とを、個別に含んでいてもよい。具体的には、投資パターンが、i=1~2Nの株iのフィールドを有しておくことにする。i=1~Nの株iのフィールドには、買いにより、i番目の株に対して投資するか否かを示すフラグ情報が設定される。i=N+1~2Nの株iのフィールドには、空売りにより、i番目の株に対して投資するか否かを示すフラグ情報が設定される。x番目の株と、N+x番目の株とは、例えば、同一の株である。
【0066】
(EF情報管理テーブル500の記憶内容)
次に、図5を用いて、EF情報管理テーブル500の記憶内容の一例について説明する。EF情報管理テーブル500は、例えば、図3に示した情報処理装置100のメモリ302や記録媒体305などの記憶領域により実現される。
【0067】
図5は、EF情報管理テーブル500の記憶内容の一例を示す説明図である。図5に示すように、EF情報管理テーブル500は、リターンR_xリスクr_xのフィールドを有する。xは、1~Ndである。EF情報管理テーブル500は、リスクとリターンとのペアごとに各フィールドに情報を設定することにより、EF情報が記憶される。リターンR_xリスクr_xのフィールドには、過去の第2の銘柄群に対する投資に関するコストと、当該コストに対する最大リターンとのペアが設定される。
【0068】
(情報処理装置100の機能的構成例)
次に、図6を用いて、情報処理装置100の機能的構成例について説明する。
【0069】
図6は、情報処理装置100の機能的構成例を示すブロック図である。情報処理装置100は、記憶部600と、取得部601と、特定部602と、生成部603と、計算部604と、出力部605とを含む。
【0070】
記憶部600は、例えば、図3に示したメモリ302や記録媒体305などの記憶領域によって実現される。以下では、記憶部600が、情報処理装置100に含まれる場合について説明するが、これに限らない。例えば、記憶部600が、情報処理装置100とは異なる装置に含まれ、記憶部600の記憶内容が情報処理装置100から参照可能である場合があってもよい。
【0071】
取得部601~出力部605は、制御部の一例として機能する。取得部601~出力部605は、具体的には、例えば、図3に示したメモリ302や記録媒体305などの記憶領域に記憶されたプログラムをCPU301に実行させることにより、または、ネットワークI/F303により、その機能を実現する。各機能部の処理結果は、例えば、図3に示したメモリ302や記録媒体305などの記憶領域に記憶される。
【0072】
記憶部600は、各機能部の処理において参照され、または更新される各種情報を記憶する。記憶部600は、金融における取引対象を記憶する。金融における取引対象は、例えば、銘柄である。銘柄は、投資項目である。銘柄は、株である。記憶部600は、現在に対応する第1の銘柄群を記憶する。記憶部600は、過去に対応する第2の銘柄群を記憶する。第2の銘柄群は、第1の銘柄群と同一の種類である。銘柄は、例えば、東証一部の株である。第2の銘柄群は、現在に比較的近い過去の時期に対応することが好ましい。
【0073】
記憶部600は、過去における、複数の銘柄に対する投資に関するリスクと、当該リスクに対する最大リターンとのペアを示す情報を記憶する。投資は、買いまたは空売りなどを含む。リスクに対する最大リターンは、当該リスクで実現可能ないずれかの投資パターンによるリターンである。リスクに対する最大リターンは、例えば、当該リスクで実現可能な投資パターンのうち、リターンが最大化される投資パターンによるリターンである。記憶部600は、具体的には、第2の銘柄群に対する投資に関するリスクと、当該リスクに対する最大リターンとのペアを、それぞれ示す複数の情報が記録されたEF情報管理テーブル500を記憶する。当該情報は、例えば、取得部601によって取得され、記憶部600に記憶される。
【0074】
記憶部600は、2次多項式モデルを記憶する。2次多項式モデルは、複数の銘柄に対する投資に関するリスクと、当該リスクに対する最大リターンとの関係を示す。2次多項式モデルは、例えば、第2の銘柄群に対する投資に関するリスクと、当該リスクに対する最大リターンとの関係を示す。2次多項式モデルは、具体的には、EFを示す。記憶部600は、例えば、2次多項式モデルのパラメータを記憶する。2次多項式モデルは、例えば、取得部601によって取得される。
【0075】
記憶部600は、複数の銘柄に対する投資パターンを記憶する。投資パターンは、銘柄に対する買いまたは空売りを示す。記憶部600は、例えば、第1の銘柄群に対する投資パターンを記憶する。投資パターンは、第1の銘柄群に含まれる銘柄を投資先とするか否かを示す。投資パターンは、第1の銘柄群に含まれる銘柄を投資先とする場合、当該銘柄に対する買いまたは空売りのいずれを実施するのかを示す。記憶部600は、具体的には、図4に示したデータ構造400の投資パターンを記憶する。
【0076】
記憶部600は、投資パターンに関する最適化問題を表す数式モデルを記憶する。数式モデルは、例えば、リスクに関する第1の項とリターンに関する第2の項とを含むコスト関数を含む。また、数式モデルは、例えば、第1の銘柄群に含まれる同一の銘柄に対する買いおよび空売りの重複を禁止することを示す制約条件を含んでいてもよい。また、数式モデルは、例えば、第1の銘柄群のうち買いの対象となる銘柄の数に関する制約条件を含んでいてもよい。また、数式モデルは、例えば、第1の銘柄群のうち空売りの対象となる銘柄の数に関する制約条件を含んでいてもよい。記憶部600は、具体的には、コスト関数における第1の項および第2の項の少なくともいずれかの項にかかる重みパラメータを記憶する。重みパラメータは、例えば、生成部603によって算出され、記憶部600に記憶される。
【0077】
取得部601は、各機能部の処理に用いられる各種情報を取得する。取得部601は、取得した各種情報を、記憶部600に記憶し、または、各機能部に出力する。また、取得部601は、記憶部600に記憶しておいた各種情報を、各機能部に出力してもよい。取得部601は、例えば、利用者の操作入力に基づき、各種情報を取得する。取得部601は、例えば、情報処理装置100とは異なる装置から、各種情報を受信してもよい。
【0078】
取得部601は、2次多項式モデルを取得する。取得部601は、例えば、2次多項式モデルを生成する他のコンピュータから、2次多項式モデルを受信することにより取得する。他のコンピュータは、例えば、生成用装置201である。取得部601は、利用者の操作入力に基づき、2次多項式モデルの入力を受け付けることにより、2次多項式モデルを取得する。
【0079】
取得部601は、例えば、過去における、複数の銘柄に対する投資に関するリスクと、当該リスクに対する最大リターンとのペアを示す情報に基づいて、2次多項式モデルを生成することにより取得する。取得部601は、具体的には、過去における、複数の銘柄に対する投資に関するリスクと、当該リスクに対する最大リターンとのペアを、それぞれ示す複数の情報に基づいて、2次多項式モデルのパラメータを算出する。
【0080】
取得部601は、投資パターンに関する最適化問題を解くことの要求を受け付けてもよい。取得部601は、例えば、利用者の操作入力に基づき、投資パターンに関する最適化問題を解くことの要求を受け付ける。取得部601は、例えば、他のコンピュータから、投資パターンに関する最適化問題を解くことの要求を受信する。他のコンピュータは、例えば、クライアント装置203である。
【0081】
最適化問題は、投資パターンを最適化することである。最適化は、例えば、許容されるリスク内でリターンを最大化することである。最適化は、具体的には、リスクとリターンとに重みを付与して算出される評価値を最小化または最大化することである。最適化は、より具体的には、コスト関数の値を最小化または最大化することである。
【0082】
取得部601は、特定部602で利用するリターンの指定を受け付けてもよい。取得部601は、例えば、利用者の操作入力に基づき、リターンの指定を受け付ける。取得部601は、例えば、他のコンピュータから、リターンの指定を受け付ける。他のコンピュータは、例えば、クライアント装置203である。指定のリターンは、例えば、投資パターンに関する最適化問題を解くことの要求に含まれていてもよい。
【0083】
取得部601は、いずれかの機能部の処理を開始する開始トリガーを受け付けてもよい。開始トリガーは、例えば、利用者による所定の操作入力があったことである。開始トリガーは、例えば、他のコンピュータから、所定の情報を受信したことであってもよい。開始トリガーは、例えば、いずれかの機能部が所定の情報を出力したことであってもよい。
【0084】
取得部601は、具体的には、2次多項式モデルを取得したことを、特定部602と生成部603と計算部604との処理を開始する開始トリガーとして受け付けてもよい。取得部601は、具体的には、投資パターンに関する最適化問題を解くことの要求を取得したことを、特定部602と生成部603と計算部604との処理を開始する開始トリガーとして受け付けてもよい。取得部601は、具体的には、リターンの指定を受け付けたことを、特定部602と生成部603と計算部604との処理を開始する開始トリガーとして受け付けてもよい。
【0085】
特定部602は、2次多項式モデルに基づいて、第1のリスクと、第1のリスクに対する最大リターンとのペアを、1以上特定する。特定部602は、例えば、2次多項式モデルに基づいて、シャープレシオが最大化される、第1のリスクと、第1のリスクに対する最大リターンとのペアを特定する。これにより、特定部602は、重みパラメータを算出する指針となり得る情報を得ることができる。
【0086】
特定部602は、例えば、2次多項式モデルと、指定のリターンとに基づいて、指定のリターンに対応する第1のリスクを特定し、特定した第1のリスクと、指定のリターンとのペアを特定する。特定部602は、具体的には、2次多項式モデルに、指定のリターンを入力することにより、指定のリターンに対応する第1のリスクを特定し、特定した第1のリスクと、指定のリターンとのペアを特定する。これにより、特定部602は、重みパラメータを算出する指針となり得る情報を得ることができる。特定部602は、例えば、2次多項式モデルに基づいて、第1のリスクと、第1のリスクに対する最大リターンとのペアを、ランダムに1以上特定してもよい。
【0087】
生成部603は、特定したペアに基づいて、コスト関数における第1の項および第2の項の少なくともいずれかの項にかかる重みパラメータを算出する。生成部603は、例えば、ラグランジュ関数を利用して、重みパラメータを算出する。これにより、生成部603は、数式モデルを生成可能にすることができる。
【0088】
生成部603は、算出した重みパラメータに基づいて、数式モデルを生成する。生成部603は、例えば、算出した重みパラメータをかけた第1の項および第2の項を含むコスト関数を生成し、生成したコスト関数を含む数式モデルを生成する。これにより、生成部603は、投資パターンに関する最適化問題を求解可能にすることができる。
【0089】
生成部603は、例えば、算出した重みパラメータに乱数を付与してもよい。そして、生成部603は、例えば、乱数を付与した重みパラメータをかけた第1の項および第2の項を含むコスト関数を生成し、生成したコスト関数を含む数式モデルを生成する。これにより、生成部603は、投資パターンに関する最適化問題を求解可能にすることができる。
【0090】
計算部604は、生成した数式モデルに基づいて、投資パターンに関する最適化問題を解く。計算部604は、例えば、DA/FDASを利用して、投資パターンに関する最適化問題を解き、投資パターンを求める。これにより、計算部604は、適切と判断される投資パターンを得ることができる。
【0091】
出力部605は、少なくともいずれかの機能部の処理結果を出力する。出力形式は、例えば、ディスプレイへの表示、プリンタへの印刷出力、ネットワークI/F303による外部装置への送信、または、メモリ302や記録媒体305などの記憶領域への記憶である。これにより、出力部605は、少なくともいずれかの機能部の処理結果を利用者に通知可能にし、情報処理装置100の利便性の向上を図ることができる。
【0092】
(情報処理装置100の動作例)
次に、図7図9を用いて、情報処理装置100の動作例について説明する。
【0093】
図7図9は、情報処理装置100の動作例を示す説明図である。図7において、情報処理装置100は、EF情報管理テーブル500を有する。情報処理装置100は、次データ入力部700と、EF予測部701と、QUBO生成部702と、最適化部703とを有する。
【0094】
次データ入力部700は、現在の株価などの入力を受け付け、QUBO生成部702に出力する。ここで、投資に関するリスクと、当該リスクに対する最大リターンとが、2次関数により表される関係を有すると仮定される。EF予測部701は、投資に関するリスクと、当該リスクに対する最大リターンとの関係を示す2次多項式モデルを生成する。EF予測部701は、生成した2次多項式モデルを、QUBO生成部702に出力する。
【0095】
QUBO生成部702は、2次多項式モデルに基づいて、投資に関するコストと、当該コストに対する最大リターンとのペアを取得する。QUBO生成部702は、2次多項式モデルに基づいて、シャープレシオが最大化されるペアを1以上取得する。QUBO生成部702は、取得した1以上のペアに基づいて、最小二乗法により、下記式(9)に現れるa0とa1とa2との各種パラメータを算出する。
【0096】
r=a0+a1R+a22 ・・・(9)
【0097】
rは、投資パターンによるリスクである。Rは、投資パターンによるリターンである。a0は、パラメータである。a1は、パラメータである。a2は、パラメータである。
【0098】
QUBO生成部702は、QUBO式の雛型を有する。QUBO式の雛型は、例えば、コスト関数の雛型と、制約条件とを含む。コスト関数の雛型は、パラメータが未定のコスト関数である。コスト関数の雛型は、例えば、コストに関する項と、リターンに関する項とを調整するための重みパラメータが未定のコスト関数である。コスト関数の雛型は、例えば、下記式(10)により定義される。
【0099】
1/2ΣiΣjijΣij-θλ’(Σiiμj-R)^2 ・・・(10)
【0100】
iは、i番目の銘柄に対して投資するか否かを示す。wiは、1であれば、i番目の銘柄に対して投資することを示す。wiは、0であれば、i番目の銘柄に対して投資しないことを示す。iは、1~2Nである。Nは、投資可能な銘柄の数である。i=1~Nの銘柄は、買いの対象とする銘柄である。i=N+1~2Nの銘柄は、空売りの対象とする銘柄である。i=xの銘柄と、i=N+xの銘柄とは、同一の銘柄である。
【0101】
jは、j番目の銘柄に対して投資するか否かを示す。wjは、1であれば、j番目の銘柄に対して投資することを示す。wjは、0であれば、j番目の銘柄に対して投資しないことを示す。jは、1~2Nである。μiは、i番目の銘柄によるT期間におけるリターンの予測値である。Σijは、リターンに関する分散共分散行列である。ΣiΣjijΣijは、リスクに関する第1の項である。(Σiiμi-R)^2は、リターンに関する第2の項である。Rは、下記式(11)により定義される。λ’は、下記式(12)により定義される。
【0102】
R=2a0/a1 ・・・(11)
【0103】
λ’=1/2(a1-4a02), θ~U(0.5,1.5) ・・・(12)
【0104】
θは、乱数である。制約条件は、例えば、下記式(13)、下記式(14)、および、下記式(15)により、ペナルティ項として定義される。例えば、ペナルティ項が、コスト関数から減算されるよう、コスト関数に追加される。下記式(13)は、空売りの対象となる銘柄の数を、Nsに近付けるための制約条件を示す。下記式(14)は、買いの対象となる銘柄の数を、Nbに近付けるための制約条件を示す。下記式(15)は、同一の銘柄に対して買いと空売りとを同時に実施することを抑制するための制約条件を示す。
【0105】
(Σi=1 2Nii-Ns)^2, si=1 if N<i≦2N else 0 ・・・(13)
【0106】
(Σi=1 2Nii-Nb)^2, bi=1 if i≦N else 0 ・・・(14)
【0107】
Σi=1 2NΣj=1 2Nijij, cij=1 if i=N+j or j=N+i else 0 ・・・(15)
【0108】
QUBO生成部702は、算出したa0とa1とa2との各種パラメータを、上記式(10)により定義されるコスト関数の雛型に設定することにより、コスト関数を確定し、確定したコスト関数を含むQUBO式を生成する。QUBO生成部702は、現在の株価と、生成したQUBO式とを、最適化部703に出力する。
【0109】
最適化部703は、Isingソルバにより実現される。最適化部703は、現在の株価と、QUBO式とを受信する。最適化部703は、現在の株価に基づいて、QUBO式を解くことにより、適切な投資パターンを生成する。最適化部703は、生成した投資パターンを出力する。次に、図8の説明に移行し、情報処理装置100による効果の一例について説明する。
【0110】
図8において、グラフ800は、投資パターンによるリスクとリターンとのペアを示す。グラフ800は、横軸がリスク、縦軸がリターンである。グラフ800の黒い丸印が、従来手法により生成した投資パターンに対応する。一方で、グラフ800の斜線丸印が、情報処理装置100により生成した投資パターンに対応する。グラフ800の斜線丸印は、具体的には、情報処理装置100により、100点の投資パターンを生成した場合に対応する。
【0111】
また、グラフ800の白い丸印も、同様に、情報処理装置100により生成した投資パターンに対応する。グラフ800の白い丸印は、具体的には、情報処理装置100により、50点の投資パターンを生成した場合に対応する。換言すれば、グラフ800の白い丸印は、情報処理装置100により、100点の投資パターンを生成した場合に比べて、計算時間を短縮した場合に対応する。
【0112】
グラフ800に示すように、同一のコストについて、黒い丸印が示す投資パターンによるリターンよりも、斜線丸印が示す投資パターンによるリターンの方が大きくなる傾向がある。同様に、グラフ800に示すように、同一のコストについて、黒い丸印が示す投資パターンによるリターンよりも、白い丸印が示す投資パターンによるリターンの方が大きくなる傾向がある。次に、図9の説明に移行する。
【0113】
図9において、表900は、従来手法の計算時間およびMaxSRと、情報処理装置100による計算時間およびMaxSRとを示す。traditional 100ptの列は、従来手法の計算時間およびMaxSRを示す。従来手法では、重みパラメータλを決定する際に1日以上かかり、最適化問題を解く際に4.2hかかるため、計算時間は、4.2h+1dayである。また、従来手法では、MaxSRは、140である。
【0114】
current 100ptの列は、情報処理装置100が100点の投資パターンを生成する場合の計算時間およびMaxSRを示す。情報処理装置100によれば、重みパラメータλを設定し、最適化問題を解く際に4.2hかかるため、計算時間は、4.2hである。また、情報処理装置100によれば、MaxSRは、169である。MaxSRが大きいほど、投資パターンが適切であることを示す。情報処理装置100によるMaxSRは、例えば、従来手法によるMaxSRに比べて、1.21倍になる。
【0115】
current 50ptの列は、情報処理装置100が50点の投資パターンを生成する場合の計算時間およびMaxSRを示す。換言すれば、current 50ptの列は、情報処理装置100が、100点の投資パターンを生成する場合よりも計算時間を短縮した場合の計算時間およびMaxSRを示す。情報処理装置100によれば、重みパラメータλを設定し、最適化問題を解く際に2.1hかかるため、計算時間は、2.1hである。50点の投資パターンを生成する場合の計算時間は、例えば、100点の投資パターンを生成する場合の計算時間に比べて、0.5倍になる。また、情報処理装置100によれば、MaxSRは、161である。計算時間を短縮した情報処理装置100によるMaxSRは、例えば、従来手法によるMaxSRに比べて、1.15倍になる。
【0116】
図8および図9に示したように、情報処理装置100は、従来手法よりも、適切な投資パターンを生成し易くすることができる。情報処理装置100は、計算時間を短縮しても、従来手法よりも、適切な投資パターンを生成し易くすることができる。
【0117】
(リスクとリターンとの関係に現れる性質)
ここで、リスクとリターンとの関係に現れる性質について説明する。例えば、リターンを固定し、リスクを最小化するためのコスト関数は、下記式(16)により定義される。
【0118】
【数16】
【0119】
W∈RN×1は、N個の銘柄にかかるウェイトである。Σ∈RN×Nは、N個の銘柄の期間中変動の分散共分散行列である。μ∈RN×1は、N個の銘柄の期間中変動の平均値である。Rは、期待するリターンである。l∈RM×Nは、他のM個のスコア線形制約係数である。c∈RM×1は、他のM個の制約スコアである。ここで、ラグランジュ関数L(・)を適用すると、下記式(17)が成立する。
【0120】
【数17】
【0121】
λは、重みパラメータである。ラグランジュ関数を、WTおよびλTのそれぞれで偏微分して纏めると、下記式(18)が成立する。便宜上、(AΣ-1T-1をTと置き、下記式(18)から下記式(19)が導出される。
【0122】
【数18】
【0123】
【数19】
【0124】
ここで、上記式(19)によれば、制約条件が期待するリターンのみであれば、リターンによる2次関数でリスクを表現可能であると考えられる。また、制約条件が複数あっても、行列bに期待するリターンが含まれるため、リターンによる2次関数でリスクを表現可能であると考えられる。また、上記式(18)によれば、λは、下記式(20)により定義されるため、λが、リスクとリターンとのペアを基に算出可能であると考えられる。
【0125】
【数20】
【0126】
(全体処理手順)
次に、図10を用いて、情報処理装置100が実行する、全体処理手順の一例について説明する。全体処理は、例えば、図3に示したCPU301と、メモリ302や記録媒体305などの記憶領域と、ネットワークI/F303とによって実現される。
【0127】
図10は、全体処理手順の一例を示すフローチャートである。図10において、情報処理装置100は、EF情報管理テーブル500に基づいて、EFを示す2次多項式モデルを生成する(ステップS1001)。
【0128】
次に、情報処理装置100は、2次多項式モデルに基づいて、EF上のリスクとリターンとの組み合わせを特定する(ステップS1002)。そして、情報処理装置100は、ラグランジュ関数を利用して、特定した組み合わせに基づいて、重みパラメータλを算出する(ステップS1003)。
【0129】
次に、情報処理装置100は、算出した重みパラメータλに一定範囲の乱数θを加算した後、乱数θを加算した重みパラメータλを含むQUBO式を生成する(ステップS1004)。そして、情報処理装置100は、Isingソルバを利用して、QUBO式を解き、投資パターンを生成する(ステップS1005)。その後、情報処理装置100は、全体処理を終了する。
【0130】
これにより、情報処理装置100は、適切な投資パターンを比較的容易に生成することができる。情報処理装置100は、例えば、重みパラメータを算出するにあたり、EF上のリスクとリターンとの組み合わせを利用するため、有用な重みパラメータを算出し易くすることができる。情報処理装置100は、例えば、人手で手掛かりなしに重みパラメータを試行せずに済ませることができ、重みパラメータを算出する際にかかる作業負担の低減化を図ることができる。情報処理装置100は、例えば、有用な重みパラメータに基づいて、適切な投資パターンを生成することができる。
【0131】
以上説明したように、情報処理装置100によれば、投資に関するリスクと、当該リスクに対する最大リターンとの関係を示す2次多項式モデルに基づいて、第1のリスクと、第1のリスクに対する最大リターンとのペアを特定することができる。情報処理装置100によれば、特定したペアに基づいて、コスト関数における、第1の項および第2の項の少なくともいずれかの項にかかる重みパラメータを算出することができる。情報処理装置100によれば、算出した重みパラメータに基づいて、コスト関数を含み、投資パターンに関する最適化問題を表す数式モデルを生成することができる。これにより、情報処理装置100は、最適化問題を解く際にかかる作業負担の低減化を図ることができる。
【0132】
情報処理装置100によれば、生成した数式モデルに基づいて、投資パターンに関する最適化問題を解き、投資パターンを生成することができる。これにより、情報処理装置100は、最適化問題を解き、適切な投資パターンを生成することができる。情報処理装置100は、利用者が、適切な投資パターンを利用可能にすることができる。結果として、情報処理装置100は、利用者が、投資による利益を獲得し易くすることができる。
【0133】
情報処理装置100によれば、第1の銘柄群に含まれる同一の銘柄に対する買いおよび空売りの重複を禁止することを示す制約条件を含む数式モデルに基づいて、投資パターンに関する最適化問題を解き、投資パターンを生成することができる。これにより、情報処理装置100は、制約条件を考慮した投資パターンを生成することができる。情報処理装置100は、利用者の利便性の向上を図ることができる。情報処理装置100は、例えば、利用者が、同一の銘柄に対する買いおよび空売りを重複させたくない状況において、当該状況に適応した投資パターンを生成することができる。
【0134】
情報処理装置100によれば、第1の銘柄群のうち買いの対象となる銘柄の数に関する制約条件を含む数式モデルに基づいて、投資パターンに関する最適化問題を解き、投資パターンを生成することができる。これにより、情報処理装置100は、制約条件を考慮した投資パターンを生成することができる。情報処理装置100は、利用者の利便性の向上を図ることができる。情報処理装置100は、例えば、利用者が、買いの対象となる銘柄の数を、一定の数に近付けようとする状況において、当該状況に適応した投資パターンを生成することができる。
【0135】
情報処理装置100によれば、第1の銘柄群のうち空売りの対象となる銘柄の数に関する制約条件を含む数式モデルに基づいて、投資パターンに関する最適化問題を解き、投資パターンを生成することができる。これにより、情報処理装置100は、制約条件を考慮した投資パターンを生成することができる。情報処理装置100は、利用者の利便性の向上を図ることができる。情報処理装置100は、例えば、利用者が、空売りの対象となる銘柄の数を、一定の数に近付けようとする状況において、当該状況に適応した投資パターンを生成することができる。
【0136】
情報処理装置100によれば、ラグランジュ関数を利用して、重みパラメータを算出することができる。これにより、情報処理装置100は、ラグランジュ関数により、算出の根拠が示された、信頼性が比較的高い重みパラメータを算出可能にすることができる。
【0137】
情報処理装置100によれば、2次多項式モデルに基づいて、シャープレシオが最大化される、第1のリスクと、第1のリスクに対する最大リターンとのペアを特定することができる。これにより、情報処理装置100は、適切な投資パターンを生成し易くなるよう、重みパラメータを精度よく算出することができる。情報処理装置100は、例えば、シャープレシオが最大化される、第1のリスクと、第1のリスクに対する最大リターンとのペアを利用するため、有用な重みパラメータを算出し易くすることができる。
【0138】
情報処理装置100によれば、2次多項式モデルと、指定のリターンとに基づいて、指定のリターンに対応する第1のリスクを特定し、特定した第1のリスクと、指定のリターンとのペアを特定することができる。これにより、情報処理装置100は、適切な投資パターンを生成し易くなるよう、重みパラメータを精度よく算出することができる。情報処理装置100は、例えば、指定のリターンを基準に、有用な重みパラメータを算出し易くすることができる。
【0139】
情報処理装置100によれば、過去における、複数の銘柄に対する投資に関するリスクと、当該リスクに対する最大リターンとのペアを示す情報に基づいて、2次多項式モデルを生成することができる。これにより、情報処理装置100は、2次多項式モデルを生成する他のコンピュータが存在しなくても、投資パターンに関する最適化問題を解くことができる。情報処理装置100は、現在に比較的近しい過去における、複数の銘柄に対する投資に関するリスクと、当該リスクに対する最大リターンとのペアを示す情報に基づけば、2次多項式モデルを精度よく生成し易くすることができる。
【0140】
なお、本実施の形態で説明した情報処理方法は、予め用意されたプログラムをPCやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。本実施の形態で説明した情報処理プログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。記録媒体は、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)-ROM、MO(Magneto Optical disc)、DVD(Digital Versatile Disc)などである。また、本実施の形態で説明した情報処理プログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布してもよい。
【0141】
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0142】
(付記1)複数の取引対象に対する投資に関するリスクと、当該リスクに対する最大リターンとの関係を示す2次多項式モデルに基づいて、第1のリスクと、前記第1のリスクに対する第1の最大リターンとのペアを特定し、
特定した前記ペアに基づいて、前記複数の取引対象に対する投資パターンに関する最適化問題を表す数式モデルに含まれる、リスクに関する第1の項とリターンに関する第2の項とを含むコスト関数における、前記第1の項および前記第2の項の少なくともいずれかの項にかかる重みパラメータを算出し、
算出した前記重みパラメータに基づいて、前記数式モデルを生成する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【0143】
(付記2)生成した前記数式モデルに基づいて、前記投資パターンに関する最適化問題を解く、ことを特徴とする付記1に記載の情報処理プログラム。
【0144】
(付記3)前記投資パターンは、第1の取引対象群に含まれる取引対象に対する買いまたは空売りを示し、
前記数式モデルは、前記第1の取引対象群に含まれる同一の取引対象に対する買いおよび空売りの重複を禁止することを示す制約条件を含む、ことを特徴とする付記1または2に記載の情報処理プログラム。
【0145】
(付記4)前記投資パターンは、第1の取引対象群に含まれる取引対象に対する買いまたは空売りを示し、
前記数式モデルは、前記第1の取引対象群のうち買いの対象となる取引対象の数に関する制約条件を含む、ことを特徴とする付記1~3のいずれか一つに記載の情報処理プログラム。
【0146】
(付記5)前記投資パターンは、第1の取引対象群に含まれる取引対象に対する買いまたは空売りを示し、
前記数式モデルは、前記第1の取引対象群のうち空売りの対象となる取引対象の数に関する制約条件を含む、ことを特徴とする付記1~4のいずれか一つに記載の情報処理プログラム。
【0147】
(付記6)前記算出する処理は、
ラグランジュ関数を利用して、前記重みパラメータを算出する、ことを特徴とする付記1~5のいずれか一つに記載の情報処理プログラム。
【0148】
(付記7)前記特定する処理は、
前記2次多項式モデルに基づいて、シャープレシオが最大化される、第1のリスクと、前記第1のリスクに対する第1の最大リターンとのペアを特定する、ことを特徴とする付記1~6のいずれか一つに記載の情報処理プログラム。
【0149】
(付記8)前記特定する処理は、
前記2次多項式モデルと、指定のリターンとに基づいて、前記指定のリターンに対応する第1のリスクを特定し、特定した前記第1のリスクと、前記指定のリターンとのペアを特定する、ことを特徴とする付記1~7のいずれか一つに記載の情報処理プログラム。
【0150】
(付記9)過去における、複数の取引対象に対する投資に関するリスクと、当該リスクに対する最大リターンとのペアを示す情報に基づいて、前記2次多項式モデルを生成する、
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする付記1~8のいずれか一つに記載の情報処理プログラム。
【0151】
(付記10)複数の取引対象に対する投資に関するリスクと、当該リスクに対する最大リターンとの関係を示す2次多項式モデルに基づいて、第1のリスクと、前記第1のリスクに対する第1の最大リターンとのペアを特定し、
特定した前記ペアに基づいて、前記複数の取引対象に対する投資パターンに関する最適化問題を表す数式モデルに含まれる、リスクに関する第1の項とリターンに関する第2の項とを含むコスト関数における、前記第1の項および前記第2の項の少なくともいずれかの項にかかる重みパラメータを算出し、
算出した前記重みパラメータに基づいて、前記数式モデルを生成する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
【0152】
(付記11)複数の取引対象に対する投資に関するリスクと、当該リスクに対する最大リターンとの関係を示す2次多項式モデルに基づいて、第1のリスクと、前記第1のリスクに対する第1の最大リターンとのペアを特定し、
特定した前記ペアに基づいて、前記複数の取引対象に対する投資パターンに関する最適化問題を表す数式モデルに含まれる、リスクに関する第1の項とリターンに関する第2の項とを含むコスト関数における、前記第1の項および前記第2の項の少なくともいずれかの項にかかる重みパラメータを算出し、
算出した前記重みパラメータに基づいて、前記数式モデルを生成する、
制御部を有することを特徴とする情報処理装置。
【符号の説明】
【0153】
100 情報処理装置
101 2次多項式モデル
102 コスト関数
103 数式モデル
110,410,800 グラフ
111 特性曲線
200 最適化処理システム
201 生成用装置
202 求解用装置
203 クライアント装置
210 ネットワーク
300 バス
301 CPU
302 メモリ
303 ネットワークI/F
304 記録媒体I/F
305 記録媒体
400 データ構造
500 EF情報管理テーブル
600 記憶部
601 取得部
602 特定部
603 生成部
604 計算部
605 出力部
700 次データ入力部
701 EF予測部
702 QUBO生成部
703 最適化部
900 表
図1
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