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  • 特開-スタッキングコースター 図1
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  • 特開-スタッキングコースター 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186546
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】スタッキングコースター
(51)【国際特許分類】
   A47G 23/03 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
A47G23/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094824
(22)【出願日】2021-06-04
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年2月1日にウェブサイトunimet(https://unimet.jp/)新設 令和3年2月16日から19日に国際ホテルレストランショーで出展
(71)【出願人】
【識別番号】520386420
【氏名又は名称】株式会社石橋鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】100195970
【弁理士】
【氏名又は名称】本夛 伸介
(72)【発明者】
【氏名】石橋 輝喜
【テーマコード(参考)】
3B115
【Fターム(参考)】
3B115AA30
3B115BB11
3B115DA02
3B115DA09
(57)【要約】
【課題】本発明は、特に金属製のコースターでありながら、結露の問題を解決でき、かつ、デザイン性に卓越したものの提供を実現することを目的とするものである。
【解決手段】コースタートップとコースターベースを備える重畳式の金属製コースターであり、当該構成によって、結露防止と高級デザイン性の機能が保持できる。具体的には、結露防止は、コースタートップにおいて、孔穴部を設けることで水滴落下を可能とし、落下した水滴はコースターベースの一体性で実現するものである。同時に、高級デザインの演出は、孔穴部のレーザー加工処理によって施す模様やモチーフの構成で実現するものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重畳式のコースターであって、少なくとも1組の凹状のコースターベースと当該凹状コースターベースの内輪に沿ってスタック可能なステンレス製コースタートップとからなるスタッキングコースター。
【請求項2】
コースタートップには、デザイン加工された孔穴部を備えることを特徴とする請求項1に記載のスタッキングコースター。
【請求項3】
コースタートップにおいて施される加工デザインの柄が、竹編、藤編又は組子紋様のいずれか1種から選択された伝統模様若しくは直線、円弧状又は多角形状のいずれか1種から選択された幾何学模様で構成されたことを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載のスタッキングコースター。
【請求項4】
コースタートップにおいて施される加工デザインの一部分にレーザー刻印スペースを設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載のスタッキングコースター。
【請求項5】
コースターベースがステンレス製またはシリコーン製である請求項1乃至4のいずれか一に記載のスタッキングコースター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重畳式のコースターに関する者であり、詳細には、少なくとも1組の凹状のコースターベースと当該凹状コースターベースの内輪に沿ってスタック可能なステンレス製コースタートップとからなる重厚なデザイン性を兼ね備えたスタッキングコースターを提供するものである。
【背景技術】
【0002】
日常、我々は何気に、飲む・食べる・しゃべるなどの行為を通じて社交的時間を過ごしているが、その楽しみ方は千差万別である。また、仲間内での会話のお供に豊富な喫茶メニューがあり、このような雰囲気下では、カジュアル性が優先され、例えば、お茶やコーヒー容器の質感や機能性は二の次である。
【0003】
一方、ビジネスや会合等のTPO によっては、器の質感・機能性、食器音の静粛性、アメニティ等が重視され、人の所作やマナーに応じて高級・重厚な雰囲気を醸し、全体を演出する素材の条件も様々であるところ、それらの要求水準はかなり高い。
【0004】
例えば、夏場の冷たい飲み物の場合、容器とコースターの間には水が溜まり、器を持った時、水滴がテーブルや衣服に垂れ不愉快な思いをすることがよくある。
結露とコップ底面の界面張力がコースター重量に対して大きいときには、付着したまま 持ち上がり、時には、その直後にコースターが机上に落下、音の発生があり、せっかくの雰囲気が台無しとなる。場合によっては、音がタブーであることから、底面付着の低減を図るべく、紙製やコルク製のコースターが利用されるが、昨今のコロナ禍においては、衛生観念、清潔感の重視により、菌が付着しやすいこれらの材質は敬遠される。
【0005】
一方で、金属製のものは確かに重厚ではあるが、結露が生じやすく、外観も単調であり、意匠デザイン性を著しく欠く。そこで、これらの課題を共に解決できる金属製コースターの提供が待たれていた。
【0006】
従来技術によれば、これらの課題解決ができるコースター開発の試みはされているが未だに十分なものが提供されていない。例えば、特許文献1乃至4が挙げられる。
【0007】
特許文献1には、受け皿の中間に網を入れたコースター等の受け皿が開示されている。当該受け皿コースター等においては、外部結露した水は器の下の網に溜まるが、殆ど網を通過して皿の底に溜まる。よって、器の下には水は溜まらないので、テーブルや衣服に垂れる心配はない。
しかしながら、当該発明は実用性を重視したあまり、デザインを考慮したものではなく、高級感も欠く。
【0008】
特許文献2には、飲料用の立体コースターが開示されている。特に冷たいグラスコップや缶飲料は缶が結露し、その缶を持つと手が濡れてしまう場合があり、コースターの上が濡れてしまい周囲を濡らしてしまうことがある一方、熱い飲み物の場合はグラスコップや缶が熱く、しばらくは素手で持てない場合がある。特許文献2に係る発明は、このような問題点を解決するためになされたものである。
すなわち、当該発明においては、筒状に形成された立体コースターの底面部に水滴を受ける受け底部を設け、内部には、水分が外部へこぼれないように水受けを設け、該立体コースター上部内壁にゴムシートを取り付け、ゴムシートには水滴を内部へ案内する溝を複数カ所設けることで、手や周囲を濡らさない状況を可能にしている。
しかしながら、当該発明においても、日常の生活における利便性のみを追求したものであって、デザイン性を兼ね備えたものではないことに加え、内部メンテナンスが不便であり細菌等の汚染によって不衛生である。
【0009】
特許文献3には、気温の高い時に冷たい飲み物を入れた容器の底に被せ、容器の表面の水滴のしたたれで、テーブルや衣服を濡らさないよう吸水を行なう容器底万能形着脱式吸水コースターが開示されている。当該コースターには、吸水性に富む材質を用いた吸水袋を採用し、その開口部にはゴムバンドを取り付け、容器の底に被せて使用する。したがって、どんな形の容器の底にも対応できるようになり着脱も可能である。又、ゴムバンドの伸縮により容器に密着するため、コースターを取り付けたまま容器の移動が可能である。
しかしながら、吸水されたコースターは、洗い乾燥させる事により、何度でも使用が可能であるものの、短時間での使用上は不便であり、吸水素材の間隙に菌の繁殖が生じやすい。さらに、一見してわかるように、デザイン性にも悖るものである。
【0010】
特許文献4には、デザイン性と水切りの良さと吸水性・耐久性を兼ね備えた家庭用水切り用品が開示されている。当該開示技術は、家庭で用いられている、コースター、食器用ドライングボード、バスマット といった家庭用水切り用品が、いずれも水切りや吸水という機能が共通する点に着目して開発されたものであり、量産材を利用した共通の材料を用いて、いずれの使用シーンにも適合する構造を見出されたものである。
しかしながら、本考案に開示されたコースターは、珪藻土等を用いてデザイン構成しているところ、吸水性が不十分で、デザイン演出やそのバリエーションも極めて乏しい。
【0011】
このように、コースター本来の機能に加えて使用時の問題、特に結露を解消し、厳粛な場での静音が維持でき、TPOに応じたアメニティ演出の高級デザイン性を兼ね備えた金属製コースターの提供はいまだ実現されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】実用新案登録第3105633号公報
【特許文献2】特開2014-54503号公報
【特許文献3】特開2013-220339号公報
【特許文献4】実用新案登録第3204281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記の未達の問題に鑑みてなされたものであり、特に金属製のコースターでありながら、結露の問題が解決され、かつ、デザイン性に卓越したものの提供を実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、上記の課題を解決すべく、結露防止とデザインバリエーション性の双方の機能を併せ持ちつつ、コンパクトな一体デザイン性コースターを検討する中、スタッキング性を保持したコースターを着想するに至り、本発明を構成し完成するに至ったものである。
【0015】
すなわち、本発明によれば、次のスタッキングコースターが提供されるものである。
(1)重畳式のコースターであって、少なくとも1組の凹状のコースターベースと当該凹状コースターベースの内輪に沿ってスタック可能なステンレス製コースタートップとからなるスタッキングコースター。
(2)コースタートップには、デザイン加工された孔穴部を備えることを特徴とする(1)に記載のスタッキングコースター。
(3)コースタートップにおいて施される加工デザインの柄が、竹編、藤編又は組子紋様のいずれか1種から選択された伝統模様若しくは直線、円弧状又は多角形状のいずれか1種から選択された幾何学模様で構成されたことを特徴とする(1)乃至(2)のいずれかに記載のスタッキングコースター。
(4)コースタートップにおいて施される加工デザインの一部分にレーザー刻印スペースを設けたことを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか一に記載のスタッキングコースター。
(5)コースターベースがステンレス製またはシリコーン製である(1)乃至(4)のいずれか一に記載のスタッキングコースター。
【0016】
本発明のスタッキングコースターは、コースターベースとコースタートップの二要素からなる重畳式のコースターであり、コースターベースは凹状の形状を有し、当該凹状の内輪に沿ってコースタートップが合体する構成をとる。凹状のコースターベース内輪の深さは任意であり、重畳するコースタートップは、コースタートップの暑さや凹部の深さに応じて任意の何枚を重ねることも、適宜選択できる(図1)。コースターベースは加工処理の他、設置安定性と品質安定性のため、ステンレスが好ましくコップをおくときの操作柔軟性のためにシリコーン素材を適宜組み合わせることが好ましい。
【0017】
コースタートップには、結露予防とデザイン性演出の双方の機能を担保すべく、孔穴部を備えた加工を施すものである。孔は、水滴が溜まる構造であれば特段の制限はないが、デザイン性との相性によって適宜選択するのが好ましい。当該加工は、レーザー処理をするため、孔を有するもの(つまり、水滴保持機能を有するもの)であれば、デザインモチーフや柄に特に制限されるものではないが、一般的に利用者・需要者が質感等の感得を勘案すれば、好ましくは、竹編、藤編又は組子紋様のいずれか1種から選択された伝統模様(図3)若しくは直線、円弧状又は多角形状のいずれか1種から選択された幾何学模様(図4)で構成されたことを特徴とするデザイン加工等が挙げられる。観念的なモチーフによるデザイン制作も任意である(図5のような四季や天然モチーフ由来)。
【0018】
上記のとおり、本発明のコースターは、レーザー加工処理で制作することから、メッセージやメモリアムワードを刻印することも任意であり、デザインデータそのものを需要者が持ち込むことによって、オリジナルコースター、記念・贈答品としてのコースターにも資する用途の大きい加工品ということができる(図1および図2)。
【発明の効果】
【0019】
本発明の重畳式コースターは、コースタートップとコースターベースを備える金属製コースターであり、当該構成によって、結露防止と高級デザイン性の機能が保持できる。具体的には、結露防止は、コースタートップにおいて、孔穴部を設けることで水滴落下を可能とし、落下した水滴はコースターベースの一体性で実現するものである。と同時に、高級デザインの演出は、孔穴部のレーザー加工処理によって施す模様やモチーフの構成で実現するものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のスタッキングコースター(平面図及び断面図)
図2】本発明のスタッキングコースター裏面図
図3】レーザーデザイン構成 伝統的模様
図4】レーザーデザイン構成 幾何学的模様
図5】レーザーデザイン構成 自然イメージの模様
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づいて本発明に係るスタッキングコースターの実施の形態について具体的に説明するが、本発明の範囲は当該実施形態の例に限定されるものではない。
【0022】
前述のとおり、本発明は、重畳式のコースターに関する者であり、詳細には、少なくとも1組の凹状のコースターベースと当該凹状コースターベースの内輪に沿ってスタック可能なステンレス製コースタートップとからなる重厚なデザイン性を兼ね備えたスタッキングコースターを提供するものである。
【0023】
すなわち、本発明によれば、
(1)重畳式のコースターであって、少なくとも1組の凹状のコースターベースと当該凹状コースターベースの内輪に沿ってスタック可能なステンレス製コースタートップとからなるスタッキングコースターが提供される。
(2)コースタートップには、デザイン加工された孔穴部を備えることを特徴とする(1)に記載のスタッキングコースターが提供される。
(3)コースタートップにおいて施される加工デザインの柄が、竹編、藤編又は組子紋様のいずれか1種から選択された伝統模様若しくは直線、円弧状又は多角形状のいずれか1種から選択された幾何学模様で構成されたことを特徴とする(1)乃至(2)のいずれかに記載のスタッキングコースターが提供される。
(4)コースタートップにおいて施される加工デザインの一部分にレーザー刻印スペースを設けたことを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか一に記載のスタッキングコースター。
(5)コースターベースがステンレス製またはシリコーン製である(1)乃至(4)のいずれか一に記載のスタッキングコースターが提供される。
【0024】
図1には、本発明の基本構成を開示するものである。すなわち、コースターベースとコースタートップとの合体の断面図であるところ、コースターベースはステンレス等の金属でも良いし、シリコーンゴムでも良い。衝撃吸収のため中敷きのウレタン製シートを介在させることは任意である。また、図1に記載はないが、シリコーンゴムを使用したコースターベースを採用した場合に、さらにその内輪に沿ってステンレス等の金属製のコースターベースを備えることも任意である。図2には、裏面にシンボルマークらトレードマークを刻印し、製作者のオリジナル品である点をさりげなく演出する例を開示するものである。
【0025】
コースターベースの内輪に合体させるコースタートップは、水滴処理機能と高級デザイン性演出のために構成するものであり、基本コンセプトとして、「精密加工業の技術で下院族の可能性を広げ、新しい価値を創出する」ことが挙げられる。ベースとトップが独立し無数の組合せによるデザイン性を演出できる一方、水滴がコースタートップからベースに落ち、水が溜まる構造をなすのが特徴である。
【0026】
コースタートップのデザイン演出の具体例は、図3乃至図5に開示した。前述のとおり、レーザーデザイン構成としては、伝統的模様、幾何学的模様および自然イメージの模様
を開示するものであるが、これに限定されるものではない。これら各デザインで構成するコースタートップは、独立したコースターベースと組み合わせて使用するものであり、合体のバリエーション等は適宜TPОによって、使用者が選択し得るものである。
【0027】
本発明のコースターの特徴を纏めると次のとおりである。
(1)ステンレスを素材に選択することにより、熱殺菌が可能で衛生的。
(2)上部プレート(コースタートップ)、下部プレート(コースターベース)で構成し、上部プレートを交換することによって様々なシチュエーションにマッチするアメニティの演出が可能。
(3)下部プレートの使用により、結露で発生した水滴保持が可能。
(4)オリジナル製作が可能。
(5)繰り返し使用が可能であり、SGDsへの適応性が高い。
(6)レーザー刻印が可能であり、贈答品やノベルティに最適。
(7)下部プレート裏面には、店頭ロゴ、QRコード(登録商標)の刻印によって、エコな宣伝効果に資する。
【0028】
上記特徴に鑑みれば、需要・用途は企業のみならず、個人にも広く存在する。個人レベルでは、例えば、誕生日や記念日の贈答に最適である。企業用としては、例えば、飲食店、バー若しくはナイトクラブにおいては、上部プレートを飾る計器を使用することによってインテリアとして使用できる。酒造メーカーや販売会社においては、カップとのセット販売により差別化に資することが可能である。結婚式場においては、招待客の名前を刻印することによって、結婚式の席札等の利便的な機能を保持することが可能である。また、上部プレートに、地域性を活かしたデザイン採択、加工により差別化を図ることが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5