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  • 特開-殺菌機能付き給水タンク 図1
  • 特開-殺菌機能付き給水タンク 図2
  • 特開-殺菌機能付き給水タンク 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186558
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】殺菌機能付き給水タンク
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/32 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
C02F1/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021115994
(22)【出願日】2021-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】596150541
【氏名又は名称】タニカ電器販売株式会社
(72)【発明者】
【氏名】谷口 雄史
【テーマコード(参考)】
4D037
【Fターム(参考)】
4D037AA02
4D037AB03
4D037BA18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】野外活動、及び災害時等に飲料水を汲み置きするための殺菌機能付き給水タンクを提供する。
【解決手段】給水用ポリタンクの蓋部分に紫外線発生装置を取り付け、紫外線発生装置から照射される紫外線(UV-C)により内部の飲料水を安全に殺菌することができる殺菌機能付き給水タンク10であって、ポリタンク本体20と、ポリタンク本体20に蓋をするための蓋部材30と、蓋部材30と一体化した紫外線発生装置を備えており、紫外線発生装置は、蓋部材30の略中央に取り付けた円盤形状部50と、円盤形状部50の略中央に取り付けた延深部60からなり、円盤形状部50に設置した傾斜スイッチ70と、延深部60の先端部に取り付けた紫外線発光ダイオード80を備えていることを特徴とする殺菌機能付き給水タンク10とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水用タンクの蓋部分に紫外線発生装置を取り付け、該紫外線発生装置から照射される紫外線(UV-C)によりタンク内の飲料水を安全に殺菌することができる殺菌機能付き給水タンクであって、
タンク本体と、
前記タンク本体に蓋をするための蓋部材と、
前記蓋部材と一体化した紫外線発生装置を備えており、
前記紫外線発生装置は、前記蓋部材の内側に設置した円盤形状部と、前記円盤形状部の略中央に取り付けた延深部からなり、
前記円盤形状部に設置した傾斜スイッチと、
前記延深部の先端部に取り付けた紫外線発光ダイオードを備えていることを特徴とする殺菌機能付き給水タンク。
【請求項2】
前記傾斜スイッチの設置角度は、前記タンク本体の上面に対して、30°~90°の傾斜であることを特徴とする請求項1に記載の殺菌機能付き給水タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャンプやイベント等の野外活動、及び災害時等に飲料水を汲み置きするための殺菌機能付き給水タンクに関する。さらに言えば、飲料水の運搬、保存にも適しており、塩素除去水の殺菌、ウィルス対策にも使用することができる殺菌機能付き給水タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線とは、波長10~400nmの電磁波のことである。紫外線は波長の長さにより、UV-A~UV-Cに分類されており、殺菌用に使用されている波長領域はUV-C(100~280nm)である。UV-Cは太陽光に含まれるが、オゾン層で吸収されるため、通常地上には到達しない。UV-Cは、照射することで菌の細胞の中にあるデオキシリボ核酸(DNA)が光化学反応を起こし、遺伝子情報が分解されることで、不活性化(死滅)すると考えられている。殺菌方法の中では、装置が簡単で、比較的短時間で殺菌ができるという特徴がある。塩素を利用した除菌では、使用後の薬剤を排水で流すことになるため環境への負荷がかかるが、紫外線を利用した殺菌であれば、塩素のような残留物が残らないという利点があるので近年大きく注目されている。
【0003】
特許文献1には、「湧水および地下水の微生物汚染の問題解決等のため、従来からある流水式紫外線殺菌装置と受水タンクを組み合わせた簡易飲用水殺菌装置を提供する(特許文献1:要約:課題そのまま)。」ことを課題として、「採取した水を投入する受水タンクと、この受水タンクの下端部に接続された、流水式紫外線殺菌装置と、水の出口に設置されたコックを備えた簡易飲用水殺菌装置(特許文献1:要約:解決手段から抜粋)。」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3119869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に係る発明は、従来からある流水式紫外線殺菌装置と、受水タンクとを組み合わせて簡易飲用水殺菌装置(特許文献1:考案の名称)を考案したものである。簡易飲用水殺菌装置により、受水タンクに投入した水を(一旦、受水タンク内に貯蔵し)飲用の際、コックを開放することにより、(殺菌すること無く)受水タンク内に貯蔵していた水を流水式紫外線殺菌装置を通過させることで、飲用水を殺菌することができるものである。
【0006】
投入した水が、一旦、受水タンクに貯蔵されるのであるが、受水タンクに貯蔵された状態では殺菌されることは無い。従って、10日以上の長期に亘り、貯蔵された状態が継続すれば、受水タンク内に貯蔵された水に大腸菌等が繁殖してしまう。実際に飲む時になって数秒程度の短時間、流水式紫外線殺菌装置を通過させたとしても、殺菌の効果が期待できず、殺菌が不十分で完璧に行われることは無いので、非常に不衛生であると言わざるを得ない。
【0007】
本発明の目的は、キャンプやイベント等の野外活動、及び災害時等に飲料水を汲み置きするための殺菌機能を備えた給水タンク、さらに言えば、飲料水の運搬、保存にも適しており、塩素除去水の殺菌、ウィルス対策にも使用することができる殺菌機能付き給水タンクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、給水用タンクの蓋部分に紫外線発生装置を取り付け、該紫外線発生装置から照射される紫外線(UV-C)によりタンク内の飲料水を安全に殺菌することができる殺菌機能付き給水タンクであって、タンク本体と、前記タンク本体に蓋をするための蓋部材と、前記蓋部材と一体化した紫外線発生装置を備えており、前記紫外線発生装置は、前記蓋部材の内側に設置した円盤形状部と、前記円盤形状部の略中央に取り付けた延深部からなり、前記円盤形状部に設置した傾斜スイッチと、前記延深部の先端部に取り付けた紫外線発光ダイオードを備えている殺菌機能付き給水タンクであることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明において、前記傾斜スイッチの設置角度は、前記ポリタンク本体の上面に対して、30°~90°の傾斜である殺菌機能付き給水タンクであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、給水用ポリタンクの蓋部分に紫外線発生装置を取り付け、紫外線発生装置から照射される紫外線(UV-C)によりポリタンク内の飲料水を安全に殺菌することができる殺菌機能付き給水タンクである。
【0011】
殺菌機能付き給水タンクは、タンク本体と、タンク本体に蓋をするための蓋部材と、蓋部材と一体化した紫外線発生装置を備えている。殺菌機能付き給水タンクの重要な構成要素である紫外線発生装置は、蓋部材の内側に設置した円盤形状部と、円盤形状部の略中央に取り付けた延深部から構成されている。円盤形状部には、傾斜スイッチ(棒状のパイプ電極の中に鋼球を入れたもの。傾斜すると鋼球が転がることを利用したスイッチ)が設置されており、延深部の先端部には、紫外線発光ダイオード(UV-LED)が取り付けられている。
【0012】
殺菌機能付き給水タンクは、紫外線発生装置の先端に取り付けた紫外線発光ダイオード(UV-LED)による紫外線(UV-C)照射により、タンク内の飲料水を殺菌するように構成されている。従って、キャンプやイベント等の野外活動、及び災害時等に飲料水を汲み置きするための給水タンク内の水を安全に殺菌することができる。
【0013】
傾斜スイッチの設置角度は、タンク本体の上面に対して、30°~90°と比較的広く設置することにした。紫外線(特にUV-C)は、ヒトの皮膚や目に有害である。即ち、照射される紫外線を直視すると目に悪いことが知られており、傾斜スイッチの設置角度を(殺菌機能付き給水タンクを)使用する人が照射された紫外線を浴びないように最適な角度に設定する様、工夫されている。
【0014】
傾斜スイッチは、設定角度以上にタンク本体を傾けると作動し、紫外線発生装置から不用意に紫外線が照射されることがないようにするものである。本発明に係る殺菌機能付き給水タンクは、タンク本体に入れる水量や、タンク本体の形状、使用目的等によって、紫外線発光ダイオードから照射された紫外線を直視しないように、電源がオフになるタンク本体の傾斜角度を適宜設定できるようにした。要するに、本発明に係る殺菌機能付き給水タンクは、傾斜スイッチが照射された紫外線を浴びないための安全装置として機能するので、使用する人の安全を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る殺菌機能付き給水タンクの断面図である。
図2】殺菌機能付き給水タンクに設置する紫外線発生装置の全体図である。
図3】殺菌機能付き給水タンクの給水方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<殺菌機能付き給水タンクの構造>
以下、本発明に係る殺菌機能付き給水タンク10について、図1図3を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明に係る殺菌機能付き給水タンク10の断面図である。図2は、殺菌機能付き給水タンク10に設置する紫外線発生装置40の全体図である。
【0017】
本発明に係る殺菌機能付き給水タンク10は、図1に記載したように、タンク本体20と、タンク本体20に蓋をするための蓋部材30と、蓋部材30と一体化した紫外線発生装置40(図2参照)を備えている。紫外線発生装置40は、蓋部材30の内側に設置した円盤形状部50と、円盤形状部50の略中央に取り付けた延深部60から構成されている。円盤形状部50には、傾斜スイッチ70が設置されており、延深部60の先端部には、紫外線発光ダイオード80が取り付けられている。尚、タンク本体20としては、いわゆるポリタンクを使用することができる。
【0018】
紫外線発生装置40は、殺菌機能付き給水タンク10において、最も重要な部材であると言える。紫外線発生装置40は、蓋部材30と一体化されている(図1参照)。紫外線発生装置40の構成は、図2に記載したように、蓋部材30の内側に設置した円盤形状部50には、電子回路(プリント基板)、円盤形状部50の略中央に取り付けた延深部60には、紫外線(UV-C)を発生する紫外線発光ダイオード80(UV-LED)が取り付けられている。
【0019】
図3は、殺菌機能付き給水タンク10の給水方法を説明するための図である。殺菌機能付き給水タンク10は、図1の状態から90°傾けた(回転させた)状態になっている。殺菌機能付き給水タンク10の給水時には、図3に記載したような状態にして、台上等に設置し、レバーコックを捻って飲料水を給水することができる。図3に記載したように、円盤形状部50の表側(蓋部材30の表側)には、電源を確保するためのUSBポート(TYPE-C:防水カバー付き)が設置されており、スマートフォン用充電器、モバイルバッテリー等から紫外線を照射するための電源を供給することができるようになっている。さらに、電源スイッチ、電源ランプ(緑色)、ブーストランプ(赤色)等が設置されている。
【0020】
<殺菌機能付き給水タンクの使用方法、及び給水方法>
殺菌機能付き給水タンク10の使用時には、USBポートにモバイルバッテリー等を取り付けることで電源を確保する。殺菌機能付き給水タンク10は、通常殺菌モードと、ブーストモードの二種類のモードを場面に応じて使い分けることができる。通常殺菌モードであれば、電源スイッチを押すと、電源ランプ(緑色)は、作動中(紫外線が照射されている際)、点灯する。電源の消費量を抑えるために、1分毎にON-OFFを繰り返すように設定することもできる。さらに、通常殺菌モードよりも強力な紫外線照射を行うブーストモードにすることもできる。ブーストモードにするには、通常殺菌モードの状態のまま、更に、電源スイッチを押すことで、ブーストモードにすることができる。ブーストモードでは、通常モードの2倍の殺菌効果を得ることができる。
【0021】
殺菌機能付き給水タンク10のタンク本体20内に貯蔵された飲料水を給水する際、(給水時には、紫外線発生装置40と一体化した蓋ではなくて、(別途設置した)排水用の蓋から飲料水を排出するのであるが(図3参照))、タンク本体20を角度90°傾けて使用することになる。要するに、殺菌処理を行った飲料水を給水(そのまま飲料したり、食事を作るのに使用)する際は、タンク本体20を90°回転させた状態にする。タンク本体20を傾けると、傾斜スイッチ70の設定角度を超えた時点で、傾斜スイッチ70の鋼球が移動することで電源がOFFになる。そうすると、紫外線が照射されることが無く、即ち、人体に悪い影響を与えることなく、殺菌機能付き給水タンク10内の飲料水を給水して使用することができる。
【0022】
<殺菌機能付き給水タンクの効果>
本発明によれば、紫外線発生装置40の先端に取り付けた紫外線発光ダイオード80(UV-LED)による紫外線(UV-C)照射により、タンク本体20内の飲料水を殺菌するように構成されている。従って、キャンプやイベント等の野外活動、及び災害時等に飲料水を汲み置きするためのタンク本体20内の水を安全に殺菌することができる。
【0023】
UV-Cとは、紫外線のうち200~280nm(ナノメートル)の波長をもつものを指し、微生物や薬剤耐性菌の破壊に効果的とされる。通常254nmのUV-Cが用いられるこの殺菌方法は、費用も高くなく、環境も破壊しないという利点を持っているが、ヒトの皮膚や目に有害であるため使用できる場所が限られてきた。
【0024】
殺菌機能付き給水タンク10に設置した傾斜スイッチ70の設置角度は、タンク本体20の上面に対して、30°~90°というような比較的広い角度設定ができるようになっている。最大で、タンク本体20を90°まで傾けないと電源オフにすることができない設定をも考慮しているのは、殺菌機能付き給水タンク10は、非常時に使用することを想定しているので、言い換えれば、(想定外も含めて)起こりうるあらゆる事態を想定しているためで、何が起こっても対応することができる様に工夫されているということである。
【0025】
タンク本体20内に貯蔵された飲料水を使用する際、(排水時には、紫外線発生装置40と一体化した蓋ではなくて、(別途設置した)排水用の蓋から飲料水を排出する(図3参照))。即ち、タンク本体20を角度90°傾けて使用することになる。紫外線(特にUV-C)は、ヒトの皮膚や目に有害である。照射される紫外線を直視すると目に悪いことが知られており、使用する人が照射された紫外線を浴びないように工夫されている。即ち、傾斜スイッチ70の設定角度以上傾けると傾斜スイッチが作動し、紫外線発生装置40から紫外線が照射されることがない。要するに、傾斜スイッチ70が安全装置として機能するので、安全に使用することができる。
【0026】
<殺菌機能付き給水タンクの変更例>
本発明に係る殺菌機能付き給水タンクは、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、タンク本体、蓋部材、紫外線発生装置、円盤形状部、延深部、傾斜スイッチ、紫外線発光ダイオード(UV-LED)等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0027】
例えば、紫外線発生装置の円盤形状部の略中央に取り付けた延深部は伸縮自在、曲げ自在にすることができる。更に、撹拌子とマグネットスターラーを追加することで、攪拌効果により、タンク内の殺菌状態を均一化することができる。即ち、攪拌子の中には磁石が入っており、容器に入れるとマグネチックスターラーの中の磁石とその磁石が反応し、マグネチックスターラーのスイッチを入れるとマグネチックスターラーの中の磁石が回りはじめ、それによって攪拌子も回って液体が攪拌されるという仕組みにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明に係る殺菌機能付き給水タンクは、上記の如く優れた効果を奏するものであるので、災害時に必要な飲料用の水を供給する給水タンクに関する分野等で好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0029】
10・・殺菌機能付き給水タンク
20・・タンク本体
30・・蓋部材
40・・紫外線発生装置
50・・円盤形状部
60・・延深部
70・・傾斜スイッチ
80・・紫外線発光ダイオード(UV-LED)
図1
図2
図3