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▶ 竹綱 英信の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186561
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】発電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 16/02 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
H02K16/02
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021115997
(22)【出願日】2021-06-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】509012108
【氏名又は名称】竹綱 英信
(72)【発明者】
【氏名】竹綱 英信
(57)【要約】
【課題】コギングを抑制し、磁束密度の漏れを減らし、磁束密度の向きを規制し、強磁性体のコアを備えた発電コイルを用いることで効率の良い発電機を提供する。
【解決手段】磁性体のコア3aを第一磁性体2で挟むように接して固定する。
第一磁石5を発電コイル3の両側に第一磁性体2と一定の空間を保つように第二磁性体6と第一非磁性体スペーサ7を介して回転軸1に固定する。
一対の第一磁石5を、第二磁性体6の発電コイル3側の一側両端に固定する。
第一実施形態の回転部21を回転させ、対向する第一磁石5と発電コイル3が一直線上に並ぶ時は、対向する第一磁石5を含め、第二磁性体6を通して磁束密度の向きが一方向となるよう第一磁石5を配置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機であって、
基台と、
前記基台に固定された一対の第一磁性体と、
前記第一磁性体に回転自在に固定された回転軸と、
発電コイルのコアが前記回転軸を中心に同一円周上、等間隔に前記第一磁性体に挟まれ、接触して固定された偶数個の発電コイルと、
前記第一磁性体各々の前記発電コイルとは反対側に、
前記回転軸に、前記第一磁性体と一定の空間を保ち、固定された第一非磁性体スペーサと、
前記第一非磁性体スペーサ各々に固定された第二磁性体と、
前記第二磁性体各々の前記発電コイル側の一側両端に、
前記回転軸を中心に前記発電コイルと同一円周上、同一間隔に、前記第一磁性体と一定の空間を保ち、前記発電コイルを挟んで対向する位置に固定された第一磁石と、
から成り、
前記発電コイルと前記第一磁石の間に前記第一磁性体が配置され、
前記第一磁石が、前記第二磁性体の両端に配置され、
対向する前記第一磁石が回転移動により前記発電コイルと一直線上に並ぶ時は、対向する前記第一磁石を含め、前記第二磁性体を通して磁束密度の向きが一方向となるよう前記第一磁石が配置されていることを特徴とする発電機。
【請求項2】
請求項1に記載の発電機において、
前記回転軸に、前記第一磁性体と前記第一磁石の間に固定された第二非磁性体スペーサと、
前記第一磁石と対向し、
前記第一磁性体と一定の空間を保つよう前記第二非磁性体スペーサに固定された第二磁石と、
前記基台に、隣接する前記第一磁石と前記第二磁石の間に、各々一定の空間を保つよう固定された、
前記発電コイルと一対の前記第一磁性体の一組と、
が請求項1に記載の発電機に一回、若しくは複数回追加され、
対向する前記第一磁石と前記第二磁石が、回転移動により前記発電コイルと一直線上に並ぶ時は、対向する全ての前記第一磁石と前記第二磁石が、前記第二磁性体を通して磁束密度の向きが一方向となるよう前記第一磁石、前記第二磁石が配置されたことを特徴とする発電機。
【請求項3】
請求項1、請求項2に記載の発電機において、
前記第一磁石、前記第二磁石に関わらず、前記回転軸の直径方向に最も近接する磁石間の距離に比べ、前記回転軸の長さ方向に最も近接する磁石間の距離が短く構成されていることを特徴とする発電機。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3に記載の発電機において、
前記第一磁石、第二磁石の一部、若しくは全部が電磁石であることを特徴とする発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性体のコアを備えた発電コイルを用いた発電機で、特にコギングを抑制し、磁束密度の漏れを減らし、磁束密度の向きを規制した磁石発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
距離を一定に保ったコギングを抑制するための磁性体、と磁石で、コアレスコイルを挟むように配置された発電機が多く実用化されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-10573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の発電機では磁性体のコアを備えた発電コイルは使えず、また、磁石と、コギングを抑制するための磁性体、との距離をコイルの厚みより近づけることができないという問題が有った。
【0005】
本発明は磁性体のコアを備えた発電コイルを用いた、コイルの厚みに関係なくコギングを抑制するための磁性体と磁石の距離を近づけることができる、効率の良い発電機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る課題を解決するための発電機は、基台と、前記基台に固定された一対の第一磁性体と、前記第一磁性体に回転自在に固定された回転軸と、発電コイルのコアが前記回転軸を中心に同一円周上、等間隔に前記第一磁性体に挟まれ、接触して固定された偶数個の発電コイルと、前記第一磁性体各々の前記発電コイルとは反対側に、前記回転軸に、前記第一磁性体と一定の空間を保ち、固定された第一非磁性体スペーサと、前記第一非磁性体スペーサ各々に固定された第二磁性体と、前記第二磁性体各々の前記発電コイル側の一側両端に、前記回転軸を中心に前記発電コイルと同一円周上、同一間隔に、前記第一磁性体と一定の空間を保ち、前記発電コイルを挟んで対向する位置に固定された第一磁石と、から成り、前記発電コイルと前記第一磁石の間に前記第一磁性体が配置され、前記第一磁石が、前記第二磁性体の両端に配置され、対向する前記第一磁石が回転移動により前記発電コイルと一直線上に並ぶ時は、対向する前記第一磁石を含め、前記第二磁性体を通して磁束密度の向きが一方向となるよう前記第一磁石が配置されていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の他の実施形態に係る発電機は、請求項1に記載の発電機において、 前記回転軸に、前記第一磁性体と前記第一磁石の間に固定された第二非磁性体スペーサと、前記第一磁石と対向し、前記第一磁性体と一定の空間を保つよう前記第二非磁性体スペーサに固定された第二磁石と、 前記基台に、隣接する前記第一磁石と前記第二磁石の間に、各々一定の空間を保つよう固定された、前記発電コイルと一対の前記第一磁性体の一組と、が請求項1に記載の発電機に一回、若しくは複数回追加され、対向する前記第一磁石と前記第二磁石が、回転移動により前記発電コイルと一直線上に並ぶ時は、対向する全ての前記第一磁石と前記第二磁石が、前記第二磁性体を通して磁束密度の向きが一方向となるよう前記第一磁石、前記第二磁石が配置されたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る発電機は、前記第一磁石、前記第二磁石に関わらず、前記回転軸の直径方向に最も近接する磁石間の距離に比べ、前記回転軸の長さ方向に最も近接する磁石間の距離が短く構成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る発電機は、前記第一磁石、前記第二磁石の一部、若しくは全部が電磁石であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のおいては、発電コイルと磁石の間に磁性体を配置してコギングを抑制することで磁性体のコアを備えた発電コイルの使用を簡易にし、発電コイルと反対側の磁石の端を磁性体で繋ぐことで磁束密度の漏れを減らし、磁束密度の向きを一方向とすることで発電効率を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第一実施形態の図7のA-A断面図
図2】第一実施形態の右側面図
図3】第一実施形態の天面図
図4】第一実施形態の正面図
図5】第一実施形態の磁束密度の向きを表す第一概念図
図6】第一実施形態の磁束密度の向きを表す第二概念図
図7】第一実施形態の左側面図
図8】第一実施形態の回転部の左側面図
図9】第一実施形態の回転部の正面図
図10】発電コイル部の正面図
図11】第一実施形態の固定部の左側面図
図12】第一実施形態の固定部の正面図
図13】第二実施形態の回転部の左側面図
図14】第二実施形態の回転部の正面図
図15】第二磁石部の正面図
図16】第二実施形態の右側面図
図17】第二実施形態の磁束密度の向きを表す第一概念図
図18】第二実施形態の正面図
図19】第二実施形態の図20のB-B断面図
図20】第二実施形態の左側面図
図21】第二実施形態の磁束密度の向きを表す第二概念図
図22】第二実施形態の固定部の左側面図
図23】第二実施形態の固定部の正面図
図24】第三実施形態の正側面図
図25】第一実施形態の配置関係を示す斜視図
図26】第二実施形態の配置関係を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するために図を参照しながら説明する。
図25を基準に向きを定義して説明する。
【0013】
(第一実施形態)
図7は本発明の第一実施形態の左側面図で、図1図7のA-A断面図で、図10は発電コイル部25で、図11は本発明の第一実施形態の固定部22の左側面図で、図12は本発明の第一実施形態の固定部22の正面図である。
図1図10図11図12に示すように回転軸が貫通する孔2aを中心に同一円周上、等間隔に磁性体のコア3aの両端を第一磁性体2に接触するよう固定する。
発電コイル3と第一磁性体2からなる発電コイル部25を基台4に固定する。
磁性体のコア3aを第一磁性体2にネジ等で固定する場合は、磁性体のコア3aと同等の磁性特性を示す材料が好ましい。
【0014】
図4は本発明の第一実施形態の正面図で、図8は本発明の第一実施形態の回転部21の左側面図で、図9は本発明の第一実施形態の回転部21の正面図である。
図4図8図9図11に示すように第一磁石5を、第一磁性体2と一定の空間を保つように、回転軸1を中心に発電コイル3と同一円周上、同一間隔に、発電コイル3を挟んで対向する位置に、第一非磁性体スペーサ7と第二磁性体6を介して回転軸1に固定する。
第一磁石5を第二磁性体6にネジ等で固定する場合は、第二磁性体6と同等の磁性特性を示す材料が好ましい。
【0015】
図5図6は本発明の第一実施形態の磁束密度の向きを表す概念図である。
第一実施形態の回転部21の回転移動により第一磁石5と発電コイル3が一直線上に並ぶ時は図5、若しくは図6に示すように磁束密度の向きが一方向となるよう第一磁石5を配置する。
磁束密度の向きが一方向であれば、矢印13の向きが反対になっても構わない。
【0016】
図25は本発明の第一実施形態の配置関係を示す斜視図である。
図1に示すように第一軸受け8、第二軸受け9、止め輪10を用いて第一実施形態の回転部21を第一実施形態の固定部22に回転自在に固定する。
ここまで、第一実施形態の回転部21、第一実施形態の固定部22を個別に説明してきたが、第一実施形態の回転部21が組みあがった状態では第一実施形態の固定部22に組むことはできない。
図25を参照して組み立てる。
【0017】
本発明の第一実施形態において、本発明の技術範囲内で各部品の形状、数量等を変更することは可能である。
【0018】
(第二実施形態)
図20は本発明の第二実施形態の左側面図で、図19図20のB-B断面図で、図22は本発明の第二実施形態の固定部24の左側面図で、図23は本発明の第二実施形態の固定部24の正面図である。
図19図22図23に示すように第一実施形態と全く同じ発電コイル部25を2組、基台4に固定する。
【0019】
図18は本発明の第二実施形態の正面図で、図13は本発明の第二実施形態の回転部23の左側面図で、図14は本発明の第二実施形態の回転部23の正面図で、図15は第二磁石部26の正面図である。
図18図13図14図15に示すように第一実施形態と同じように第一非磁性体スペーサ7、第二磁性体6、第一磁石5を回転軸1に固定する。
第二磁石12を、回転軸1を中心に発電コイル3と同一円周上、同一間隔に第一磁石5と対向するよう第二非磁性体スペーサ11に固定する。
第二非磁性体スペーサ11と第二磁石12からなる第二磁石部26を図14に示すように2枚の第一非磁性体スペーサ7の間で回転軸1に固定する。
【0020】
図17図21は本発明の第二実施形態の磁束密度の向きを表す概念図である。
第二実施形態の回転部23の回転移動により第一磁石5、第二磁石12、発電コイル3が一直線上に並ぶ時は図17図21に示すように磁束密度の向きが一方向となるよう第一磁石5、第二磁石12を配置する。
磁束密度の向きが一方向であれば、矢印13の向きが反対になっても構わない。
【0021】
図26は本発明の第二実施形態の配置関係を示す斜視図である。
図19に示すように第一軸受け8、第二軸受け9、止め輪10、を用いて第二実施形態の回転部23を第二実施形態の固定部24に回転自在に固定する。
ここまで、第二実施形態の回転部23、第二実施形態の固定部24を個別に説明してきたが、第二実施形態の回転部23が組みあがった状態では第二実施形態の固定部24に組むことはできない。
図24を参照して組み立てる。
【0022】
本発明の第二実施形態において、本発明の技術範囲内で各部品の形状、数量を変更することは可能である。
【0023】
(第三実施形態)
図24は、第一実施形態に発電コイル部25と第二磁石部26を三回追加した第三実施形態である。
【0024】
磁性体のコア3aに磁束密度を多く流すために、第一磁石5、第二磁石12に関わらず、回転軸1の直径方向に最も近接する磁石間の距離に比べ、回転軸1の長さ方向に最も近接する磁石間の距離が短く構成されている方が好ましい。
【0025】
多くの磁力を吸収するために第一磁性体2に強磁性体材料の使用が好ましいが、発電コイル3に磁束密度が流れやすくするために、磁性体のコア3aの材料が第一磁性体2に比べてより強い磁性体材料の使用が好ましい。
【0026】
一般にコアレスコイルに比べて磁性体のコアを備えたコイルのほうが発電量は多くなるが、磁性体のコアと磁石の間に磁気的吸引力が働き大きなコギングが発生する。
本発明ではこのコギングを抑制するためにコイルと磁石の間に磁性体と配置することでコギングを抑制し、発電コイルと反対側の磁石の端を磁性体で繋ぐことで磁束密度の漏れを減らし、磁束密度の向きを一方向とすることで、発電効率を上げることができる。
【符号の説明】
【0027】
1 回転軸 21 第一実施形態の回転部
2 第一磁性体 22 第一実施形態の固定部
2a 回転軸が貫通する孔 23 第二実施形態の回転部
3 発電コイル 24 第二実施形態の固定部
3a 磁性体のコア 25 発電コイル部
4 基台 26 第二磁石部
5 第一磁石
6 第二磁性体 31 第一実施形態
7 第一非磁性体スペーサ 32 第二実施形態
7a 回転軸が貫通する孔 33 第三実施形態
8 第一軸受け
9 第二軸受け
10 止め輪
11 第二非磁性体スペーサ
11a 回転軸が貫通する孔
11b 第二磁石が貫通する孔
12 第二磁石
13 磁束密度の向きを表す矢印
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
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図24
図25
図26