(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186599
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】照明装置および表示装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20221208BHJP
G02F 1/13357 20060101ALN20221208BHJP
F21Y 103/10 20160101ALN20221208BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20221208BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20221208BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20221208BHJP
【FI】
F21S2/00 413
F21S2/00 415
F21S2/00 424
G02F1/13357
F21Y103:10
F21Y115:10 500
F21Y115:15
F21Y115:30
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068600
(22)【出願日】2022-04-19
(31)【優先権主張番号】63/196,492
(32)【優先日】2021-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】八木 秀悟
(72)【発明者】
【氏名】増田 岳志
(72)【発明者】
【氏名】神林 裕一
【テーマコード(参考)】
2H391
3K244
【Fターム(参考)】
2H391AA18
2H391AB04
2H391AB23
2H391AB34
2H391AC05
2H391AC25
2H391AC27
2H391AC32
3K244AA01
3K244BA08
3K244BA27
3K244BA48
3K244CA02
3K244DA01
3K244DA02
3K244DA03
3K244DA19
3K244EA16
3K244EA19
3K244EA22
3K244EB02
3K244EB03
3K244EC02
3K244EC13
3K244EC16
3K244GA02
3K244GA04
3K244GA08
(57)【要約】
【課題】光源の数を削減しつつ、輝度ムラの抑制を図った照明装置の提供。
【解決手段】列をなして並ぶ複数のLED22;第1入光面30Aと、出光面30Bと、LED22の並び方向とは交差する方向に屈折させる拡散作用を備える第1光拡散部35と、を有する第1導光板30;および、第2入光面40Aと、第2出光面40Bと、第2出光面40Bの法線方向から視たときに並び方向に沿う方向に屈折させる拡散作用を備える第2光拡散部45と、を有する第2導光板40;を備え、第2光拡散部45は、並び方向と交差する交差方向に延びる稜線を有し、法線方向に対して35°以上55°以下の角度をなす傾斜部を含む第1レンズを複数備えている照明装置20とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に並ぶ複数の光源;
前記複数の光源から発せられる光を導光する第1導光板であって、
前記複数の光源と対向する第1入光面と、
前記第1入光面とは反対側の第1出光面であって、前記複数の光源を覆うように前記複数の光源の並び方向に沿って配される第1領域を有する第1出光面と、
前記第1領域に備えられ、前記複数の光源から前記第1領域に向けて進む光に対し、前記並び方向とは交差する方向に屈折させる拡散作用を備える第1光拡散部と、
を有する第1導光板;および、
前記第1導光板に重なるように配されるとともに前記第1出光面から発せられる光を導光する第2導光板であって、
前記第1導光板と対向する第2入光面と、
前記第2入光面とは反対側の第2出光面であって、前記第1領域を覆うように前記並び方向に沿って配される第2領域を有する第2出光面と、
前記第2領域に備えられ、前記第2入光面から前記第2領域に向けて前記第2出光面の法線方向に沿って進む光に対し、前記第2出光面の法線方向から視たときに前記並び方向に屈折させる拡散作用を備える第2光拡散部と、
を有する第2導光板;
を備え、
前記第2光拡散部は、前記並び方向と交差する交差方向に延びる稜線を有し、前記法線方向に対して35°以上55°以下の角度をなす傾斜部を含む第1レンズを複数備えている、
照明装置。
【請求項2】
複数の前記第1レンズは、三角柱状をなすプリズム部である、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
複数の前記第1レンズは、前記第2入光面から前記第2領域に向けて前記法線方向に進む光に対し、前記並び方向に沿う方向に交わる方向に屈折させる拡散作用を備えていない、請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記第2出光面における前記第2領域以外の領域である第3領域において、前記並び方向と交差する交差方向に延びる稜線を有し、前記第1レンズと前記並び方向に断面形状が同じである複数の第2レンズと、
前記並び方向に沿って延びる溝状の複数の第3レンズと、
を備え、
前記第3レンズは前記並び方向に交わる方向について離間されており、
隣り合う前記第3レンズの間に、前記複数の第2レンズが前記並び方向に配列されている、請求項1に記載の照明装置。
【請求項5】
前記第3レンズの前記第2出光面からの深さは、前記第1レンズの前記第2出光面からの深さよりも深い、請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記第3レンズは、V字形の溝を備える、請求項4に記載の照明装置。
【請求項7】
前記第2光拡散部は、
前記並び方向に沿って延びる溝状の複数の第4レンズを備え、前記第4レンズは前記並び方向に交わる方向について離間されており、
隣り合う前記第4レンズの間に、前記複数の第1レンズが前記並び方向に配列されている、請求項1に記載の照明装置。
【請求項8】
前記第1光拡散部は、溝状をなし、前記第1出光面に対して鈍角をなす一対の傾斜面を含む、請求項1に記載の照明装置。
【請求項9】
前記第1光拡散部は、一対の前記傾斜面の間にこれらの傾斜面に連続する底部を含む、請求項8に記載の照明装置。
【請求項10】
前記底部は、三角柱状をなすプリズム部であって、その稜線が前記並び方向に配されるプリズム部を一体的に備えている、請求項9に記載の照明装置。
【請求項11】
前記第1出光面における前記第1領域以外の領域である第4領域において、前記第1入光面の側から前記第1出光面に向けて前記第1出光面の法線方向に進む光に対し、
前記複数の光源から離れる向きであって、前記並び方向とは交差する方向に屈折させる拡散作用を備える第5レンズと、
前記第2出光面の法線方向から視たときに前記並び方向に屈折させる拡散作用を備える第6レンズと、
を備えている、請求項1に記載の照明装置。
【請求項12】
前記第5レンズと前記第6レンズとは、それぞれが独立して、溝状をなしている、請求項11に記載の照明装置。
【請求項13】
請求項1に記載の照明装置と、
前記照明装置からの光を利用して表示を行う表示パネルと、を備える表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示される技術は、照明装置および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の液晶表示装置用のバックライトの一例として、下記特許文献1に面光源装置が開示されている。この面光源装置は、出光面の反対側の凹部の内側に設けられる、発光素子の光の少なくとも一部の進行方向を変更する第1の方向変更部と、出光面よりも上に設けられる、発光素子の光の少なくとも一部の進行方向を変更する第2の方向変更部と、を備える導光板を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-106826号公報(米国特許出願公開第2019/0227382号明細書)
【特許文献2】特開2021-051965号公報(米国特許出願公開第2021/0096427号明細書)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この特許文献1の面光源装置によれば、導光板の薄型化が促進されると共に、導光板の輝度ムラが抑制される。しかしながら、バックライトに設置する発光素子の数を削減する場合には、さらなる輝度ムラの抑制が求められる。
【0005】
ここに開示される技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、光源の数を削減しつつ、輝度ムラの抑制を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)ここに開示される技術の一実施形態は、一方向に並ぶ複数の光源;前記複数の光源から発せられる光を導光する第1導光板であって、前記複数の光源と対向する第1入光面と、前記第1入光面とは反対側の第1出光面であって、前記複数の光源を覆うように前記複数の光源の並び方向に沿って配される第1領域を有する第1出光面と、前記第1領域に備えられ、前記複数の光源から前記第1領域に向けて進む光に対し、前記並び方向とは交差する方向に屈折させる拡散作用を備える第1光拡散部と、を有する第1導光板;および、前記第1導光板に重なるように配されるとともに前記第1出光面から発せられる光を導光する第2導光板であって、前記第1導光板と対向する第2入光面と、前記第2入光面とは反対側の第2出光面であって、前記第1領域を覆うように前記並び方向に沿って配される第2領域を有する第2出光面と、前記第2領域に備えられ、前記第2入光面から前記第2領域に向けて前記第2出光面の法線方向に沿って進む光に対し、前記第2出光面の法線方向から視たときに前記並び方向に屈折させる拡散作用を備える第2光拡散部と、を有する第2導光板;を備え、前記第2光拡散部は、前記並び方向と交差する交差方向に延びる稜線を有し、前記法線方向に対して35°以上55°以下の角度をなす傾斜部を含む第1レンズを複数備えている照明装置である。
【0007】
(2)また、ここに開示される技術の一実施形態では、上記(1)の構成に加え、複数の前記第1レンズは、三角柱状をなすプリズム部であってもよい。
(3)ここに開示される技術の一実施形態では、上記(1)または(2)の構成に加え、複数の前記第1レンズは、前記第2入光面から前記第2領域に向けて前記法線方向に進む光に対し、前記並び方向に沿う方向に交わる方向に屈折させる拡散作用を備えていなくてもよい。
【0008】
(4)ここに開示される技術の一実施形態では、上記(1)から上記(3)のいずれか1つの構成に加え、前記第2出光面における前記第2領域以外の領域である第3領域において、前記並び方向と交差する交差方向に延びる稜線を有し、前記第1レンズと前記並び方向に断面形状が同じである複数の第2レンズと、前記並び方向に沿って延びる溝状の複数の第3レンズと、を備え、前記第3レンズは前記並び方向に交わる方向について離間されており、隣り合う前記第3レンズの間に、前記複数の第2レンズが前記並び方向に配列されていてもよい。
【0009】
(5)ここに開示される技術の一実施形態では、上記(4)の構成に加え、前記第3レンズの前記第2出光面からの深さは、前記第1レンズの前記第2出光面からの深さよりも深くてもよい。
【0010】
(6)ここに開示される技術の一実施形態では、上記(4)または上記(5)の構成に加え、前記第3レンズは、V字形の溝を備えていてもよい。
【0011】
(7)ここに開示される技術の一実施形態では、上記(1)から上記(6)のいずれか1つの構成に加え、前記第2光拡散部は、前記並び方向に沿って延びる溝状の複数の第4レンズを備え、前記第4レンズは前記並び方向に交わる方向について離間されており、隣り合う第4レンズの間に、前記複数の第1レンズが前記並び方向に配列されていてもよい。
【0012】
(8)ここに開示される技術の一実施形態では、上記(1)から上記(7)のいずれか1つの構成に加え、前記第1光拡散部は、溝状をなし、前記第1出光面に対して鈍角をなす一対の傾斜面を含んでいてもよい。
【0013】
(9)ここに開示される技術の一実施形態では、上記(8)の構成に加え、前記第1光拡散部は、一対の前記傾斜面の間にこれらの傾斜面に連続する底部を含んでいてもよい。
【0014】
(10)ここに開示される技術の一実施形態では、上記(9)の構成に加え、前記底部は、三角柱状をなすプリズム部であって、その稜線が前記並び方向に配されるプリズム部を一体的に備えていてもよい。
【0015】
(11)ここに開示される技術の一実施形態では、上記(1)から上記(10)のいずれか1つの構成に加え、前記第1出光面における前記第1領域以外の領域である第4領域において、前記第1入光面の側から前記第1出光面に向けて前記第1出光面の法線方向に進む光に対し、前記複数の光源から離れる向きであって、前記並び方向とは交差する方向に屈折させる拡散作用を備える第5レンズと、前記第2出光面の前記法線方向から視たときに前記並び方向に屈折させる拡散作用を備える第6レンズと、を備えていてもよい。
【0016】
(12)ここに開示される技術の一実施形態では、上記(11)の構成に加え、前記第5レンズと前記第6レンズとは、それぞれが独立して、溝状をなしていてもよい。
【0017】
(13)ここに開示される技術に係る表示装置は、上記(1)から上記(12)のいずれか1つの構成の照明装置と、前記照明装置からの光を利用して表示を行う表示パネルと、を備える。
【発明の効果】
【0018】
本技術によれば、光源の数を削減しつつ、輝度ムラの抑制を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】液晶表示装置をX軸方向に沿って切断した断面図
【
図5】液晶表示装置に備えられる第2導光板の斜視図
【
図11】試験例1で作製したバックライト装置の底面図
【
図17】実施形態2に係るバックライト装置の要部分解断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
一実施形態に係るバックライト装置(照明装置)20およびこれを備える液晶表示装置(表示装置)1について、適宜
図1~
図10を参照しつつ説明する。なお、各図面の一部にはX軸、Y軸およびZ軸を示しており、各軸方向が各図面で示した方向となるように描かれている。なお本実施形態におけるX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向は、互いに直交している。また、
図2~
図4および
図6の左側を表側とし、同図右側を裏側とする。なおここに開示されるバックライト装置20およびこれを備える液晶表示装置1に関し、後述する第2導光板以外の他の要素(液晶パネル、光学シート、第1導光板、ラインLED、および反射シート等)の詳細な構成や設計については、例えば、2019年9月26日に出願された日本国特許出願第2019-175212号の明細書および2020年9月11日に出願された米国特許出願第17/018,601号の明細書の開示を参考にすることができ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0021】
液晶表示装置1は、
図1および
図2に示すように、画像を表示可能な液晶パネル(表示パネル)10と、液晶パネル10に対して裏側に配されるバックライト装置20と、を少なくとも備えている。液晶パネル10は、大まかには、所定のギャップを介して対向配置された一対のガラス基板と、両ガラス基板の間に封入された液晶と、により構成される。一方のガラス基板(例えば、アレイ基板、アクティブマトリクス基板)の対向面には、互いに直交するソース配線およびゲート配線、これらの配線によって区画された領域に設けられる複数の画素電極、各画素電極とソース配線およびゲート配線とを接続するスイッチング素子(例えばTFT)、および配向膜等が設けられている。他方のガラス基板(例えば、CF基板)の対向面には、赤色(R),緑色(G),青色(B)等の各色に着色された着色部が所定配列で配置されたカラーフィルタや、カラーフィルタ間を仕切るブラックマトリクス、その他配向膜等が設けられている。なお、両ガラス基板の非対向面には、偏光板がそれぞれ配されている。
【0022】
バックライト装置20は、液晶パネル10に対して裏側に配され、液晶パネル10に表示のための光を照射する光源である。本実施形態のバックライト装置20は、
図1に示すように、全体として横長の方形をなしており、その長辺方向がX軸方向と、短辺方向がY軸方向と、厚さ方向がZ軸方向と、にそれぞれ一致するよう配されている。バックライト装置20は、
図1および
図2に示すように、裏側から順に、反射シート27と、ラインLED21と、第1導光板30と、第2導光板40と、光学シート28と、を備えている。
図1および
図2は分解図となっているが、実際にはこれらの各要素は積層されている。
【0023】
バックライト装置20は、二つの導光板30,40を備えている。導光板30,40は剛性が高く(リジッドであり)、通常は自重で撓むことなくその形状を維持することができる。このような導光板30,40は、典型的には厚み(平均厚み)が0.3mm以上であるが、これに限定されない。第1導光板30および第2導光板40は、ラインLED21に備えられる複数のLED22を表側(出光側)から覆う形で配され、LED22から発せられる光をその板面に沿って導光しながら周囲に出射する。反射シート27は、ラインLED21および導光板30,40の裏側(出光側とは反対側)に配され、第1導光板30から裏側に向けて発せられる光を表側に向けて反射する。
【0024】
光学シート28は、複数のものが導光板30,40に対して表側に配されている。光学シート28は、ラインLED21から、反射シート27、および導光板30,40を通じて送られた光を調整し、液晶パネル10に向けて出射する要素である。本実施形態に係るバックライト装置20は、このように、液晶パネル10の直下位置に光源としてのLED22が配された、いわゆる直下型と呼ばれるものである。直下型のバックライト装置20は、液晶パネル10の周縁位置にLED22が配された、いわゆるエッジ型と呼ばれるものよりも、光のロスが抑制されて、光利用効率が高いという利点がある。なお、バックライト装置20は、ラインLED21や導光板30,40などを収容するシャーシを備えたり、光学シート28、導光板30,40、および光学シート28の外周端部を保持する枠状のフレームを備えたりすることができる。なお、本明細書において、「シート」とは、導光板に比して剛性が相対的に低く、自重によって撓むことができ、換言すれば、フレキシブルであることを意味する。以下、バックライト装置20の各構成部品について詳細に説明する。
【0025】
ラインLED21は、大まかには、
図1に示すように、Y軸方向に沿って配列された複数のLED22と、これら複数のLED22を支持するLED基板23とを含む。LED基板23は、複数のLED22を安定して支持できるものであれば、リジットであってもフレキシブルであってもよい。LED基板23は、複数のLED22が実装される実装面23Aに、銅箔などの金属膜からなる配線パターンを備えており、この配線パターンを通じて各LED22に給電できるようになっている。LED基板23は、実装面23Aが表側となるように、換言すれば、第1導光板30における裏側の第1入光面30Aに対向するように配される。
図1のLED基板23は、長尺の板状をなし、その長手方向がY軸方向と一致し、長手方向に直交する幅方向(短手方向)がX軸方向と一致し、厚み方向(基板の法線方向)がZ軸方向と一致するよう配されている。本実施形態のLED基板23は、長さ寸法がバックライト装置20の短辺寸法と概ね同等であるのに対し、幅寸法がバックライト装置20の長辺寸法に比べて十分に小さい。
【0026】
LED22は、蛍光体含有樹脂で包埋されていないベアチップ光源である。LED22は、外周面のうちのLED基板23に実装される面以外は全て発光面となっている。本実施形態に係るLED22は、外形がブロック状(直方体状)をなしており、表側を向いた1つの発光頂面22Aと、側方を向いた4つの発光側面22Bと、を有している。発光頂面22Aは、X軸方向およびY軸方向に並行な面(換言すれば、法線方向がZ軸方向に一致する面)であり、各発光側面22Bは、少なくともZ軸方向に並行な面である。LED22は、
図1に示すように、LED基板23の実装面23Aに表面実装されており、LED基板23の長さ方向(Y軸方向)に沿って複数が一定の間隔を空けて直線上に一列に並んで配されている。LED基板23上に一列に並ぶ複数のLED22が1つのLED列(光源列)を構成している。したがって、このバックライト装置20において、各LED列に属する複数のLED22の並び方向は、Y軸方向に一致しており、また、3つのLED列は、X軸方向について間隔を空けて配列されている。本実施形態のLED22は、例えば、青色の単色光を発する青色LEDとすることができる。青色LEDは、例えばInGaN等の化合物半導体を発光材料として含んでおり、順方向に電圧が印加されることでバンドギャップに対応したエネルギーの波長領域(例えば、約400nm~500nm)の可視光線である青色光を単色発光することができる。
【0027】
本実施形態に用いたLED22は、具体的には、「ミニLED」と呼ばれるものである。ミニLED22は、Y軸方向についての寸法がX軸方向についての寸法よりも大きい縦長形状をなしており、必ずしもこれに限定されるものではないが、一例として、Y軸方向についての寸法が約0.3~0.6mm(例えば0.6mm)程度であり、X軸方向についての寸法が約0.1~0.3mm(例えば0.3mm)程度である。このようなミニLED(例えば青色LED)の一つの全放射束は、例えば、約6.5mW程度である。これらのLED22は、本技術の構成を採用することにより、LED基板23の実装面23AにてY軸方向についての配列間隔を、例えば従来の2倍のピッチで配列することができる。また、LED22のX軸方向についての配列間隔は、ラインLED21のX軸方向についての配列間隔と同じとされる。例えば、LED22のX軸方向についての配列間隔は、Y軸方向についての配列間隔に対して、凡そ10倍から15倍程度とすることができる。したがって、例えば、15.6インチディスプレイのバックライト装置を例にすると、従来320個のLEDを約24.25mmピッチで配列してLED列を構成していたとすると、本技術によれば、160個のLEDを約2.15mmピッチで配列してLED列を構成することができる。そしてディスプレイ全体では、従来2560個のLEDを使用していたところ、半分の1280個にまでLED数を削減しても、従来と同等の面発光性能を実現できることとなる。
【0028】
以上の構成のラインLED21は、一つのバックライト装置20に、単数または複数のものが備えられる。
図1のバックライト装置20には、3つのラインLED21が備えられている。複数のラインLED21が備えられるとき、各ラインLED21は、バックライト装置20の長辺方向について離間して均等に配列される。具体的には、3つのラインLED21は、バックライト装置20の長辺方向における中央部分と、同長辺方向における両端部分と、にそれぞれ配されている。3つのラインLED21は、それぞれがバックライト装置20の長辺方向(X軸方向)における両側に向けて光を発するため、隣り合うラインLED21間の寸法は、ラインLED21の配列方向において端に配される両端部分のラインLED21からバックライト装置20の端部までの間の寸法よりも大きく、例えば2倍程度に設定することができる。必ずしもこれに限定されるものではないが、中央部分のラインLED21と両端部分の各ラインLED21とは、X軸方向について、例えば、それぞれのLED列のX軸方向における中心間距離が20mm程度であり、両端部分の各ラインLED21におけるLED列の中心からバックライト装置20の端部までの寸法が10mm程度となっている。このように、本実施形態において隣り合うLED22は、凡そ、Y軸方向における中心間距離が従来の2倍の約2mmであり、X軸方向における中心間距離が約20mmとなっている。
【0029】
反射シート27は、LED22が発する光に対して高い反射率(例えば、90%以上)を有し、LED22および第1導光板30から裏側に向けて発せられた光を前面に向けて反射させる要素である。反射シート27は、
図1に示すように、複数のLED基板23および第1導光板30をほぼ全域にわたって裏側から覆う形で配されている。反射シート27の構成は特に制限されず、例えば、ポリプロピレンや、ポリエチレンテレフタレートやその他のポリエステル等の合成樹脂に酸化チタン等のフィラーと気泡を内填してシート状に成形したものや、前記合成樹脂を所定の膜厚の多層膜構造としたものが例示される。ここで、「多層膜構造」とは、例えば可視光の波長の1/4または1/2の厚みで且つ屈折率を変えた合成樹脂層を多数積層した構成のことであり、殆ど拡散を伴わない高効率の反射性能を発揮することができる。このような構成の反射シート27の一例としては、ポリエステル系樹脂を用いたスリーエム・ジャパン株式会社製、商品名「ESR」などを挙げることができる。
【0030】
光学シート28は、
図1に示すように、液晶パネル10や導光板30,40等の板面に並行する板面を有するシート状をなしている。光学シート28は、Z軸方向(光学シート28などの板面の法線方向)について液晶パネル10と第2導光板40との間に介在される。つまり、光学シート28は、バックライト装置20における出光経路の出口に配されており、これにより、LED22から発せられた光に所定の光学作用を付与しつつ液晶パネル10に向けて出射させる機能を有する。光学シート28は、第2導光板40の表側の板面と対向する裏側の板面が、光が入射される入光面となり、液晶パネル10と対向する表側の板面が、光が出射される出光面である。本実施形態の光学シート28は、互いに積層される3枚のシートを含み、これらは裏側(LED22に近い側)から順に、波長変換シート(例えば蛍光体含有シート)28A、第1輝度向上シート(第1プリズムシート)28B、第2輝度向上シート(第2プリズムシート)28Cである。以下、これらの光学シート28の構成等について説明する。
【0031】
波長変換シート28Aは、ラインLED21から発せられる青色光を白色光に波長変換する要素である。
図1に示すように、波長変換シート28Aは、光学シート28の中で最もラインLED21(LED22でありうる)の近くに配置される。波長変換シート28Aは、ラインLED21からの光を波長変換するための蛍光体(波長変換物質)を含有する波長変換層(蛍光体フィルム)と、波長変換層を表裏から挟み込んでこれを保護する一対の保護層(保護フィルム)と、から構成されている。波長変換層には、LED22からの青色光を励起光(一次光)として、二次光を発光する蛍光体が含有されている。蛍光体には、二次光として緑色光を発する緑色蛍光体と、二次光として赤色光を発する赤色蛍光体と、が含まれている。これら緑色蛍光体および赤色蛍光体は、励起波長よりも長い波長の光を放出するダウンコンバージョン型(ダウンシフティング型)である。ここで言う緑色光は、緑色に属する波長領域(約500nm~約570nm)の可視光線であり、赤色光は、赤色に属する波長領域(約600nm~約780nm)の可視光線である。したがって、LED22から発せられた青色光は、その一部が波長変換シート28Aに含まれる緑色蛍光体および赤色蛍光体によって緑色光や赤色光に波長変換され、これら波長変換された緑色光および赤色光(二次光)と、LED22の青色光(一次光)と、の加法混色によって、バックライト装置20は概ね白色の光を発することができるようになっている。
【0032】
波長変換層に含まれる緑色蛍光体および赤色蛍光体としては、一般式:Si6-ZAlZOZN8-Z:Eu(式中、0<Z<6を満たす。);や一般式:(Sr,Ca)AlSiN3:Eu;に代表される窒化アルミニウム系蛍光体、一般式:SrGa2S4:Eu;や一般式:CaS:Eu;に代表される硫化物系蛍光体、一般式:K2SiF6:Mn;に代表されるフッ化物系蛍光体、ZnSeやInP等に代表される量子ドット蛍光体(Quantum Dot Phosphor)が挙げられる。これらの蛍光体としては、なかでも、カドミウムを含まない量子ドット蛍光体が好ましい。量子ドット蛍光体は、ナノサイズ(例えば直径2nm~10nm程度)の半導体結晶中に電子・正孔や励起子を閉じ込めることでエネルギー状態が離散的なものとなっており、その量子サイズ効果によって、光ルミネセンスによる発光波長(発光色)をドットサイズに応じて適宜に設定することが可能となる。量子ドット蛍光体による発光は、その発光スペクトルにおけるピークが急峻となって半値全幅(FWHM:Full Width Half Max)が狭くなることから、色純度が極めて高くなるとともに、液晶表示装置1における色域を拡大することができる。また、波長変換層を挟み込む一対の保護層は、ほぼ透明な合成樹脂製でフィルム状をなしており、防湿性などに優れるものとされる。
【0033】
第1輝度向上シート28Bおよび第2輝度向上シート28Cはいずれも、光源であるLED22、反射シート27、および導光板30,40から送られた光を、液晶表示装置1の表側にいるユーザに向けて集光し、正面から液晶表示装置1を見たときの輝度を向上させる要素である。第1輝度向上シート28Bおよび第2輝度向上シート28Cはそれぞれ、ほぼ透明なポリエステル等の合成樹脂製の基材シートの表面に、より屈折率の高いアクリル樹脂等からなる単位プリズム(例えば、三角プリズム)を配列させたプリズムパターンを備えるものなどであってよい。このようなプリズムパターンによると、屈折と反射を組み合せにより入射光に対して単位プリズムの並び方向における選択的な集光作用を発揮させることができ、裏側からの光を表側に集光させることが可能となる。またこのとき、第1輝度向上シート28Bと第2輝度向上シート28Cとにおける単位プリズムの並び方向を直交させることで、例えばX軸方向およびY軸方向のそれぞれについて集光作用が付与され、裏側からの光をより効率よく表側に集光させることができる。単位プリズムは、頂角が90°程度であると好ましい。これらの第1輝度向上シート28Bおよび第2輝度向上シート28Cは、
図1に示すように、液晶パネル10と波長変換シート28Aとの間に配置される。
【0034】
第1導光板30は、ラインLED21から発せられる光を板面に沿って導光する要素であり、本実施形態の第1導光板はとくに、ラインLED21から発せられる光をX軸方向について効果的に導光する構成を備えている。より具体的には、まず、第1導光板30は、屈折率が空気よりも十分に高く且つほぼ透明な合成樹脂材料(例えばPMMAなどのアクリル樹脂やポリカーボネート等)からなる。そして第1導光板30は、略板状をなしており、その板面が液晶パネル10の板面に並行するように配されている。なお、第1導光板30は、その板面における長辺方向がX軸方向と、短辺方向がY軸方向と、板厚方向がZ軸方向と、それぞれ一致するよう配されている。第1導光板30は、
図1等に示すように、ラインLED21と対向する側(すなわち、裏側)の面である第1入光面30Aと、第1入光面30Aとは反対側(すなわち、表側)の第1出光面30Bと、を有している。第1出光面30Bは、後述する第2導光板40と対向した状態で、第2導光板40と重ね合わせられる。第1導光板30は、LED22から発せられた光を第1入光面30Aから導入するとともに、その大部分を内部で板面に沿う方向に偏向させながら、第1出光面30B(表側)へ向くように立ち上げて第1出光面30Bから出射させる。以下、第1導光板30の詳しい構成について説明する。なお、以下に説明する第1導光板30の各部はみな、射出成形法や圧縮成形法等によって一体的に形成されている。
【0035】
第1導光板30は、
図1および
図2に示すように、ラインLED21を収容する光源収容凹部31を備えている。光源収容凹部31は、第1入光面30Aを部分的に凹ませることで形成されている。本実施形態の光源収容凹部31は、第1導光板30のY軸方向に沿って設けられている。また、本実施形態の光源収容凹部31は、ラインLED21のうち、LED22の部分を収容する第1収容部31Aと、LED基板23の部分を収容する第2収容部31Bとを有している。第2収容部31Bは、第1収容部31Aを第1入光面30AにおいてX軸方向の両側に拡幅した形となっている。LED22を表側に配した状態で第2収容部31BにLED基板23を収容すると、LED列を構成する複数のLED22が一括して第1収容部31Aに収容されて、ラインLED21が光源収容凹部31に納まるようになっている。
【0036】
このような光源収容凹部31は、複数のラインLED21が上記のとおりX軸方向について離間して均等に配列されるように、第1入光面30Aにおいて、X軸方向についてラインLED21および複数のLED22の配置に対応した位置に設けられている。なお、本実施形態において、第1導光板30の第1入光面30Aのうち、光源収容凹部31が形成されていない非形成部分は、平坦な面となっている。
【0037】
光源収容凹部31において、第2収容部31BのX軸方向についての寸法は、
図3等に示すように、LED基板23よりも幅広に形成されている。第2収容部31Bの裏側を向いた面には、両面テープ29が貼着されている。両面テープ29は、基材の両面に粘着層を備えており、一方の面が第2収容部31Bの裏側に固着されるとともに、反対側の面がLED基板23の表側の板面に固着されている。これにより、第1導光板30に対してラインLED21を固定することができる。第1収容部31Aは、X軸方向についての寸法がLED22よりも十分に幅広となるよう形成されており、ラインLED21を第1導光板30に組み付けるときに複数のLED22を容易に収容することができる。第1収容部31Aの表面は、複数のLED22と対向するように配されており、LED22から発せられる光が第1導光板30に直接入光する入光領域となっている。
【0038】
より詳細には、第1収容部31Aは、第1入光面30Aから表側に後退することにより、各LED22の発光頂面22Aに対向する入光頂部31A1と、各LED22の発光側面22Bに対向する入光傾斜面31A2と、を含む。入光傾斜面31A2は、X軸方向について入光頂部31A1の両脇に対となって配され、入光頂部31A1と第1入光面30Aとを連続する面である。入光傾斜面31A2は、間に入光頂部31A1を挟んで一対が略対称をなす形で設けられている。これら入光頂部31A1および入光傾斜面31A2は、いずれもY軸方向に沿って延在されており、光源収容凹部31の全長にわたって入光領域を構成している。入光傾斜面31A2は、X軸方向およびZ軸方向に対して傾斜しており、X軸方向について入光頂部31A1から離れるに連れてZ軸方向において第1出光面30Bから遠ざかるような勾配を有する。入光頂部31A1は、入光傾斜面31A2に対して交差する。第1収容部31Aは、これら一対の入光傾斜面31A2によって、Z軸方向について第1出光面30Bに近づくに連れて、X軸方向の寸法が幅狭になるように構成されている。このような構成の入光傾斜面31A2によれば、第1導光板30に入射した光に対し、Z軸方向について第1出光面30Bに向かうよう屈折させることができる。また、上記のような傾きを有する入光傾斜面31A2を備えていれば、第1導光板30を射出成形や射出圧縮成形によって製造する場合に、成形金型からの離型を容易に行うことができる。なお、入光頂部31A1は、X軸方向についてLED22を覆うように、X軸方向の寸法がLED22よりもやや幅広(例えば、1.1倍~2倍程度)とされているとよい。これにより、入光頂部31A1によって、LED22の発光頂面22Aから発せられる光を直接受けることができる。
【0039】
また、第1収容部31Aの入光頂部31A1には、
図3等に示すように、入光プリズム部32が設けられている。入光プリズム部32は、複数のLED22から入光頂部31A1に入射する光を、LED22の並び方向とは交差する方向に屈折させる拡散作用を備える要素である。入光プリズム部32は、Y軸方向に沿って第1収容部31Aの全長にわたって延在するとともに、X軸方向に沿って配列される複数の入光単位プリズム32Aを含む。入光単位プリズム32Aは、いわゆるプリズム型のレンズであり、本実施形態における入光単位プリズム32Aは、入光頂部31A1において裏側に向けて突出する凸型のプリズムである。この入光単位プリズム32Aは、X軸方向に沿って切断した断面形状が略三角形(略山形)をなすとともに、その稜線がY軸方向に沿って直線的に延在している。入光単位プリズム32Aの断面形状は、二等辺三角形や直角三角形を含む任意の三角形であってよい。入光単位プリズム32Aは、その断面形状が長さ方向(Y軸方向)について全長にわたって一定であることが好ましい。これに限定されるものではないが、本例の入光単位プリズム32Aは、断面形状が略二等辺三角形であり、一対の斜面32A1を有している。一対の斜面32A1はそれぞれが独立して、第1出光面30Bの法線方向に対して、30°以上60°以下の角度をなしているとよい。また、一対の斜面32A1のなす頂角θ2は、例えば、60°以上や75°以上であってよく、また、120°以下や85°以下であってよく、例えば約80°であってよい。
【0040】
入光単位プリズム32Aは、X軸方向に連続して同じ形状のものが配置されているとよい。このような入光プリズム部32は、複数のものが連続して配列されると、その断面形状が、例えば
図3等に示す鋸刃状(ジグザグ形状)となる。このような構成によれば、LED22から発せられて第1収容部31Aの入光頂部31A1に入射された光を、入光プリズム部32を構成する複数の入光単位プリズム32AによってX軸方向に広げつつ、第1出光面30Bに向かわせることができる。これにより、光をX軸方向に沿ってLED列に属する複数のLED22から離れる向きにより多く進行させることができる。とりわけ、第1収容部31Aの入光頂部31A1は、LED列に属する複数のLED22の直上に配置され、各LED22の発光頂面22Aから発せられてZ軸方向に沿って進行する照度の高い光が多く入射する。入光プリズム部32が、このような照度の高い光に対する拡散作用を備えることで、第1出光面30BのうちのLED22と重畳する部分が局所的な明部(いわゆる、ホットスポット)として視認されることを抑制することができる。これにより、輝度ムラをより好適に抑制することができる。また入光プリズム部32は、入光単位プリズム32Aの頂角θ2を75°以上85°以下の範囲となるよう構成することで、光に対する高い拡散作用を備えることができ、輝度ムラの抑制を図る上でさらに好適となりうる。
【0041】
第1導光板30の第1出光面30Bは、
図3等に示すように、複数のLED22を覆う第1領域A1が、複数のLED22の並び方向(Y軸方向)に沿って帯状に配されている。この第1領域A1には、Y軸方向に沿って延在し且つLED列に属する複数のLED22に対して少なくとも一部が重畳するように、第1光拡散部35が設けられている。第1光拡散部35は、詳しくは後述するが、複数のLED22から発せられて第1領域A1に向けて進む光に対して、LED22の並び方向であるY軸方向と交差する方向(ここではX軸方向)に向きを変えて屈折させるような拡散作用を備えるものとなっている。このような構成により、第1出光面30Bのうちの第1領域A1では、過剰になりがちな高い照度での光の出射が抑制される。そして、第1出光面30Bのうちの第1領域A1以外の領域である第4領域A1Xでは、低照度となりがちな光の出射を促進することができる。これにより、第1出光面30Bからの出射光量が第1出光面30Bの面内において均一化され、輝度ムラの抑制を図ることができる。加えて、例えばLED列に属する複数のLED22に含まれる特定のLED22のみを発光させ、残りのLED22を非発光とした場合には、特定のLED22から発せられた光に対してのみ第1光拡散部35による拡散作用が発揮される。これにより、第1出光面30Bのうち、Y軸方向について発光したLED22の近傍において光の出射が促進されるものの、非発光とされるLED22の近傍からは光は出射し難くなっている。これにより、いわゆるローカルディミング制御やHDR(High Dynamic Range)制御を好適に行うことができる。
【0042】
第1光拡散部35の構成について詳しく説明する。第1光拡散部35は、
図3等に示すように、第1出光面30BのうちのLED列に属する複数のLED22と重畳する部分に傾斜面を設けることで形成されている。第1光拡散部35は、第1出光面30Bに対して裏側に後退された底部35Bと、この底部35Bと第1出光面30Bとを連続する一対の出光傾斜面35Aと、を含む。一対の出光傾斜面35Aは、第1出光面30Bに対して鈍角をなすように傾斜している。このような出光傾斜面35Aは、複数のLED22から発せられて第1領域A1に向けて進む光に対して、LED22の並び方向であるY軸方向と交差する方向(ここではX軸方向)に向きを変えて屈折させるような拡散作用を備えるものとなる。なお、第1光拡散部35は、第1出光面30Bを裏側に向けて凹ませて形成されていると、第1出光面30Bを突出させて形成した場合と比較して、より多くの光を拡散してX軸方向に沿ってLED22から離れる向きに進行させることができる。これにより、輝度ムラをより好適に抑制することができる。出光傾斜面35Aは、X軸方向について間に底部35Bを挟んで一対が略対称をなす形で設けられている。第1光拡散部35は、これら一対の出光傾斜面35AによりZ軸方向についてLED22に近づくに連れてX軸方向についての寸法が幅狭となるように構成され、逆にZ軸方向について第1出光面30Bに近づくに連れてX軸方向についての寸法が幅広とされている。出光傾斜面35Aおよび底部35Bは、いずれもY軸方向に沿って延在していて第1光拡散部35の全長にわたって形成されている。
【0043】
第1光拡散部35の底部35Bには、
図3等に示すように、第1光拡散プリズム部36が設けられている。第1光拡散プリズム部36は、複数のLED22から第1領域A1に入射する光を、LED22の並び方向とは交差する方向に屈折させる拡散作用を備える要素である。第1光拡散プリズム部36は、Y軸方向に沿って第1光拡散部35の全長にわたって延在するとともに、X軸方向に沿って配列される複数の第1光拡散単位プリズム36A(プリズム部)を含む。第1光拡散単位プリズム36Aは、いわゆるプリズム型のレンズであり、本実施形態における第1光拡散単位プリズム36Aは、底部35Bにおいて表側に向けて突出する凸型のプリズムである。この第1光拡散単位プリズム36Aは、X軸方向に沿って切断した断面形状が略三角形(略山形)をなすとともに、その稜線がY軸方向に沿って直線的に延在している。第1光拡散単位プリズム36Aの断面形状は、二等辺三角形や直角三角形を含む任意の三角形であってよい。第1光拡散単位プリズム36Aは、その断面形状が長さ方向(Y軸方向)について全長にわたって一定であることが好ましい。これに限定されるものではないが、本例の第1光拡散単位プリズム36Aは、断面形状が略二等辺三角形であり、一対の斜面36A1を有している。一対の斜面36A1はそれぞれが独立して、第1出光面30Bの法線方向に対して、22.5°以上57.5°以下の角度をなしているとよい。また、一対の斜面36A1のなす頂角θ1は、45°以上、例えば55°以上の範囲であることが好ましく、115°以下、例えば70°以下や65°以下の範囲とすることができ、例えば約60°であってよい。第1光拡散単位プリズム36Aは、X軸方向に連続して同じ形状のものが配置されているとよい。このような第1光拡散プリズム部36は、複数のものが連続して配列されると、その断面形状が、例えば鋸刃状(ジグザグ形状)となる。このような構成によれば、LED22から発せられて第1光拡散部35の底部35Bに到達した光の多くを、斜面36A1にて全反射させることができる。すると、全反射された光は、X軸方向に沿ってLED22から離れる向きに指向するよう拡散され、且つZ軸方向について第1出光面30Bとは反対側に向けて進行する。特に、第1光拡散部35の底部35Bは、LED列に属する複数のLED22の直上に位置していて各LED22の発光頂面22Aから発せられてZ軸方向に沿って進行する照度の高い光が多く照射されている。第1光拡散プリズム部36は、このような照度の高い光に対して拡散作用を発揮することができ、第1出光面30BのうちのLED22と重畳する部分が局所的な明部として視認され難くなる。これにより、輝度ムラをより好適に抑制することができる。第1光拡散プリズム部36は、第1光拡散単位プリズム36Aの以上で且つ115°以下の範囲となるよう構成されているので、光に対して高い拡散作用を具備することができる。延いては、輝度ムラの抑制を図る上で好適な構成となっている。
【0044】
以上の第1導光板30において、入光頂部31A1は、X軸方向についてLED22を覆うように、X軸方向の寸法がLED22よりも幅広(例えば、1.4倍~2倍程度)とされているとよい。第1光拡散部35は、X軸方向について入光頂部31A1を覆うように、X軸方向の寸法が入光頂部31A1よりも幅広(例えば、1.5倍~2.5倍程度)とされているとよい。また、底部35Bは、X軸方向について入光頂部31A1と重畳するとよく、複数のLED22とX軸方向について重畳するとよい。底部35Bは、例えば、少なくとも複数のLED22のX軸方向における中心と重畳するとよく、X軸方向の寸法がLED22の幅方向(X軸方向)の寸法の100%を占めるとよい。これにより、LED22の発光頂面22Aから発せられる光を入光頂部31A1によって直接受けるとともに、複数のLED22のX軸方向における中心から発せられる特に強い光を底部35Bにてより短い光路で受取ることができる。このような複数のLED22の配置は、以下のようにして簡便に実現することができる。すなわち、ラインLED21の構築にあたり、複数のLED22は、LED基板23の幅方向の一方の端部(
図3ではLED基板23のX軸方向に沿う右方の端部)から所定の寸法だけ内側に配列させる。そして、第1導光板30については、まず、入光頂部31A1と底部35BとをX軸方向における中心が一致するように形成する。そして、LED22の幅方向(X軸方向)における中心が、入光頂部31A1のX軸方向における中心と一致するようにラインLED21を光源収容凹部31に配したときに、第2収容部31BのX軸方向に沿う一方(
図3では右方)の端部が、LED基板23の一方の端部(右端)と一致するように、第2収容部31Bを形成する。すると、ラインLED21の第1導光板30への組付けに際し、LED基板23の右端を第2収容部31Bの右端に突き当てた状態で、ラインLED21(LED基板23)を第1導光板30(第2収容部31B)に固定することにより、LED22のX軸方向における中心が、入光頂部31A1および底部35BのX軸方向における中心と一致する。これにより、ラインLED21の位置決めを簡便に行うことができるとともに、LED22から発せられる比較的強い光を効果的にX軸方向に沿って拡散することができ、簡単な組付で輝度ムラを高精度に抑制することができる。
【0045】
第1導光板30の第1出光面30Bには、
図3等に示すように、第1出光面30Bの法線方向に沿って複数のLED22とは重ならない領域、換言すれば、第1領域A1以外の領域である第4領域A1Xにおいて、第1出光レンズ部37(第5レンズ)が設けられている。第1出光レンズ部37は、第1入光面30Aの側から第1出光面30Bに向けて第1出光面30Bの法線方向に沿って進む光を、LED22の並び方向とは交差する方向に屈折させる拡散作用を有する要素である。第1出光レンズ部37は、Y軸方向に沿って第4領域A1Xの全長にわたって延在するとともに、X軸方向に沿って離間して配列される複数の第1出光単位プリズム37Aを含む。第1出光単位プリズム37Aは、いわゆるプリズム型のレンズであり、本実施形態における第1出光単位プリズム37Aは、入光頂部31A1において裏側に向けて凹む凹型のプリズムである。この第1出光単位プリズム37Aは、X軸方向に沿って切断した断面形状が略三角形(略山形、V字型等)をなすとともに、その谷線(凸型プリズムの稜線に相当する)がY軸方向に沿って直線的に延在している。第1出光単位プリズム37Aの断面形状は、二等辺三角形や直角三角形を含む任意の三角形であってよい。第1出光単位プリズム37Aは、その断面形状が長さ方向(Y軸方向)について全長にわたって一定であることが好ましい。これに限定されるものではないが、本例の第1出光単位プリズム37Aは、断面形状が略二等辺三角形であり、一対の斜面37A1を有している。一対の斜面37A1はそれぞれが独立して、第1出光面30Bの法線方向に対して、40°以上50°以下(例えば45°)の角度をなしているとよい。また、一対の斜面37A1のなす頂角θ3は、80°以上であって100°以下の範囲であることが好ましく、例えば約90°であってよい。
【0046】
第1出光単位プリズム37Aは、第4領域A1Xにおいて、X軸方向について間隔(例えば、0.1mm程度)を空けて配列されている。複数の第1出光単位プリズム37Aの頂角θ3および配列間隔についてはほぼ同一であってよい。第1出光単位プリズム37Aは、断面形状における略三角形の底面の幅寸法や、底面から頂点までの斜面37A1の長さ(または面積)および深さ寸法が、X軸方向の位置に応じて変化するとよい。詳しくは、第1出光単位プリズム37Aにおける底面の幅寸法、斜面37A1の面積および深さ寸法は、X軸方向についての位置が第1光拡散部35に近づくほど小さくなり、逆に第1光拡散部35から遠ざかるほど大きくなる傾向とされる。したがって、第1導光板30の第1出光面30Bのうち、X軸方向について第1光拡散部35からの距離が最大となる位置(傾斜面25において最も高位となる位置)にて、第1出光単位プリズム37Aの底面の幅寸法、斜面37A1の面積、および深さ寸法がいずれも最大値となるとよい。具体的には、第1出光単位プリズム37Aは、配列間隔が例えば0.1mm程度で一定とされるのに対し、深さ寸法が変化(例えば、0.015mm~0.055mmの範囲で変化)されている。一例として、LED22に最も近い第1出光単位プリズム37Aは、深さ寸法が最小値の0.015mmとすることができ、そこからX軸方向についてLED22から遠ざかるに連れて第1出光単位プリズム37Aの深さ寸法が増加する。そしてLED22に最も近い第1出光単位プリズム37Aから8mm程度離れた位置における第1出光単位プリズム37Aの深さ寸法は、例えば最大値の0.055mmとすることができる。
【0047】
このような構成によれば、第1導光板30内を伝播して複数の第1出光単位プリズム37Aに達した光のうち、第1出光単位プリズム37Aの斜面37A1に対する入射角が臨界角を超えないものは出射されるものの、臨界角を超えるものは斜面37A1にて全反射されて少なくとも第1出光面30Bから遠ざかるよう進行する。第1出光単位プリズム37Aの斜面37A1にて全反射された光は、傾斜面25によって反射されたり、反射シート27により反射されたりすることで、再び第1出光面30Bへ向かう光となり、やがては第1出光単位プリズム37Aの斜面37A1から出射する。この出射光量は、斜面37A1の面積に比例する。そして、上記のように第1出光レンズ部37は、第1光拡散部35およびLED列に属する複数のLED22とは重畳しない第4領域A1Xに配されており、第1導光板30の第1出光面30Bのうち、第1領域A1ではない第3領域A2Xからの光の出射を促すものとなる。しかも、複数の第1出光単位プリズム37Aは、X軸方向について第1光拡散部35から遠ざかるほど斜面37A1の面積が大きくなるよう構成されているので、第1光拡散部35の近くでは光の出射を抑制し、第1光拡散部35から遠い位置における光の出射を促進することができる。以上により、X軸方向についての輝度ムラを好適に抑制することができる。
【0048】
その上で、本実施形態では、第1出光レンズ部37を構成する複数の第1出光単位プリズム37Aは、
図3等に示すように、その配列間隔が、断面形状における略三角形の底面の幅寸法の最大値よりも大きくなる設定とされている。このような構成によれば、仮に第1出光単位プリズムを凸レンズとした場合に比較して、第1出光単位プリズム37Aの斜面37A1にて全反射された光を、X軸方向に沿ってLED列に属する複数のLED22からより遠い位置へと導くことができる。これにより、第1出光面30Bのうち第4領域A1Xからの光の出射をより促すことができ、輝度ムラの抑制をより好適に図ることができる。特に、第1出光単位プリズム37Aの頂角θ3が90°とされていると、斜面37A1にて全反射された光のリサイクル効率が最大化されるため、光の利用効率の観点で好適となる。
【0049】
第1導光板30の第1出光面30Bのうちの第4領域A1Xには、
図3等に示すように、第2出光レンズ部38(第6レンズ)が設けられている。第2出光レンズ部38は、第1入光面30Aの側から第1出光面30Bに向けて第1出光面30Bの法線方向に沿って進む光に対し、複数のLED22から離れる向きであって、LED22の並び方向に沿う方向(ここではY軸方向)に屈折させる拡散作用を備える要素である。第2出光レンズ部38は、第4領域A1Xのうち、上記の第1出光レンズ部37が設けられていない部分において、X軸方向に沿って設けられているとともに、Y軸方向に沿って連続して配列される複数の第2出光単位プリズム38Aを含む。第2出光単位プリズム38Aは、いわゆるプリズム型のレンズであり、本実施形態における第2出光単位プリズム38Aは、第1出光面30Bから裏側に向けて凹む凹型のプリズムである。この第2出光単位プリズム38Aは、Y軸方向に沿って切断した断面形状が略三角形(略山形、V字型等)をなすとともに、その稜線がX軸方向に沿って直線的に延在している。第2出光単位プリズム38Aの断面形状は、二等辺三角形や直角三角形を含む任意の三角形であってよい。これに限定されるものではないが、本例の第2出光単位プリズム38Aは、断面形状が略二等辺三角形であり、一対の斜面38A1を有している。一対の斜面38A1はそれぞれが独立して、第1出光面30Bの法線方向に対して、30°以上70°以下(例えば45°)の角度をなしているとよい。また、一対の斜面38A1のなす頂角θ4は、60°以上や75°以上であってよく、また、140°以下や90°以下であってよく、例えば約90°であってよい。第2出光単位プリズム38Aは、Y軸方向に連続して同じ形状のものが配置されているとよい。このような第2出光レンズ部38は、複数のものが連続して配列されて、その断面形状が、例えば鋸刃状(ジグザグ形状)となっていてもよい。第2出光単位プリズム38Aは、その断面形状が長さ方向(X軸方向)について全長にわたって一定であることが好ましい。第2出光単位プリズム38Aは、具体的には、配列間隔が例えば約0.013mm程度で一定であって、深さ寸法が約0.0065mm程度で一定とすることができる。
【0050】
このような構成によれば、第1導光板30内を伝播して複数の第2出光単位プリズム38Aに達した光の大部分は、第2出光単位プリズム38Aの斜面38A1にて全反射されて第1出光面30Bから遠ざかるようY軸方向に沿う側に進行する。第2出光単位プリズム38Aの斜面38A1にて全反射された光は、傾斜面25により反射されたり、反射シート27により反射されたりすることで、再び第1出光面30Bへ向かう光となり、やがてはその一部が第2出光単位プリズム38Aの斜面38A1や、第1出光単位プリズム37Aの斜面37A1から出射しうる。これにより、第1導光板30内を伝播する光をY軸方向についてミキシングすることができるので、輝度ムラの抑制をより好適に図ることができる。なお、第2出光レンズ部38は、第2出光単位プリズム38Aの深さ寸法が第1出光単位プリズム37Aの深さ寸法よりも小さくされている。このような構成によれば、仮に上記した深さ寸法の大小関係を逆にした場合に比べて、第1出光単位プリズム37Aの斜面37A1の面積をより多く確保することができる。これにより、第1出光単位プリズム37Aの斜面37A1から出射する光量が多くなるので、X軸方向への光の拡散効率を高くすることができる。
【0051】
第2導光板40は、第1導光板30の表側において、第1導光板30に重なるように配されている。第2導光板40は、第1導光板30の第1出光面30Bから発せられる光を板面に沿って導光する要素であり、本実施形態の第2導光板40はとくに、第1導光板30から発せられる光をY軸方向について効果的に導光する構成を備えている。
図1に示すように、LED22は、X軸方向について、Y軸方向におけるよりも十分に広い間隔で配列されており、バックライト装置20をより均一に面発光させるには、LED22から発せられる光をそのLED22に近い位置でX軸方向に拡散させることが効果的となる。しかしながら、LED22から発せられる光をそのLED22に近い位置でX軸方向についてのみ拡散させると、LED22をY軸方向についてさらに離間して配置させたときに、Y軸方向についての輝度ムラが顕著に現れてしまいうる。そこでここに開示されるバックライト装置20においては、第1導光板30に加えて第2導光板40を用い、LED22のY軸方向における設置数を大きく削減した場合であっても、Y軸方向における輝度ムラを好適に低減できる構成を実現している。第2導光板40について、その構成材料や、X軸方向およびY軸方向の寸法、ならびにその姿勢は、第1導光板30と同様であってよい。第2導光板40は、略板状をなしており、第1導光板30と対向する側(すなわち、裏側)の面である第2入光面40Aと、第2入光面40Aとは反対側(すなわち、表側)の面である第2出光面40Bと、を有している。第2入光面40Aは、第1導光板30の第1出光面30Bと対向するとともに、第2入光面40Aにおいて第1導光板30と積層される。本実施形態における第2入光面40Aは、平坦面となっている。以下、第2入光面40Aの詳しい構成について説明する。なお、以下に説明する第2導光板40の各部はみな、射出成形法や射出圧縮成形法等によって一体的に形成されており、接合界面等は存在しない。
【0052】
第2導光板40の第2出光面40Bは、
図3等に示すように、第1導光板30の第1領域A1を覆うようにLED22の並び方向(Y軸方向)に沿って帯状に配される第2領域A2を有している。この第2領域A2には、Y軸方向に沿って延在し且つLED列に属する複数のLED22に対して少なくとも一部が重畳するように、第2光拡散部45が設けられている。第2光拡散部45は、詳しくは後述するが、例えば、第2入光面40Aから第2領域A2に向けて第2出光面40Bの法線方向に沿って進む光に対し、第2出光面40Bの法線方向から視たときにLED22の並び方向に沿う方向に屈折させる拡散作用を備えるものとなっている。このような構成により、第1導光板30によってX軸方向について十分に拡散させた光を、Y軸方向についてさらに拡散させることで、ラインLED21に備えられるLED22の数を削減してLED22のピッチを拡大した場合であっても、第2出光面40BのうちのLED22に重畳する部分において相対的に高い照度となりがちな光の出射量の分布を、第2出光面40Bの面内において均一化することができる。これにより、LED22の設置数を削減しつつ、輝度ムラの抑制を図ることができる。
【0053】
第2光拡散部45の構成について詳しく説明する。第2光拡散部45は、
図3および
図5等に示すように、第2出光面40Bのうち、第1光拡散部35を備える第1領域A1をX軸方向およびY軸方向について覆うように設定される第2領域A2に設けられる。第2領域A2は、Y軸方向については第2導光板40の全長に亘って設けられている。第2領域A2は、X軸方向については、例えば、光源であるLED22の幅方向の寸法(例えば、約0.3mm)の寸法よりも十分に広い幅広の寸法(例えば、5倍から10倍程度。一例として、2.4mm)となるように設けることができる。第2領域A2は、ラインLED21および第1領域A1の配置に対応して、X軸方向について離間して均等に配列されている。本実施形態における第2領域A2は、X軸方向について3つのものが離間して均等に配列されている。第2出光面40Bのうち、第2領域A2以外の領域は、第3領域A2Xとされる。第2領域A2と第3領域A2Xとの間は、後述する第3出光レンズ部47によって区切られている。
【0054】
第2光拡散部45は、X軸方向に沿って第2領域A2の全長にわたって延在するとともに、Y軸方向に沿って配列される複数の第2光拡散単位プリズム45A(本技術の第1レンズに相当)を含む。第2光拡散単位プリズム45Aは、いわゆるプリズム型のレンズであり、本実施形態における第2光拡散単位プリズム45Aは、
図6および
図7等に示すように、Y軸方向に沿って切断した断面形状が略三角形(略山形、V字型等)をなすとともに、その稜線がX軸方向に沿って直線的に延在している。換言すれば、第2光拡散単位プリズム45Aは、三角柱状をなすプリズム部である。第2光拡散単位プリズム45Aの断面形状は、二等辺三角形や直角三角形を含む任意の三角形であってよい。第2光拡散単位プリズム45Aは、その断面形状が長さ方向(X軸方向)について全長にわたって一定であることが好ましい。これに限定されるものではないが、本例の第2光拡散単位プリズム45Aは、断面形状が略二等辺三角形であり、一対の斜面45A1(傾斜部)と、これら一対の斜面45A1が突き合わされることで形成される稜線45A2と、を有している。稜線45A2は、後述する他のレンズの稜線とともに同一平面に配されている。このことから、第2光拡散単位プリズム45Aは、第2出光面40Bにおいて裏側に向けて凹む凹型のプリズムのように見ることができる。一対の斜面45A1はそれぞれが独立して、第2出光面40Bの法線方向に対して、35°以上55°以下(例えば45°)の角度をなしているとよい。また、一対の斜面45A1のなす頂角θ5は、70°以上や80°以上であってよく、また、110°以下、100°以下などであってよい。頂角θ5は、例えば約90°とするとよい。第2光拡散単位プリズム45Aは、Y軸方向に連続して同じ形状のものが配列されているとよい。このような第2光拡散部45の断面形状は、例えば鋸刃状(ジグザグ形状)となっている。
【0055】
このような構成によれば、第2導光板40の内部を伝播して第2光拡散部45に到達した光を、第2光拡散部45を構成する複数の第2光拡散単位プリズム45AによってY軸方向に広げつつ、第2出光面40Bに向かわせることができる。これにより、ラインLED21の各LED22から発せられる光をY軸方向に沿ってより遠くにまで導光することができる。とりわけ、第2領域A2は、LED列に属する複数のLED22の直上に配置され、Y軸方向についてより離間して配置される各LED22の発光頂面22Aから発せられてZ軸方向に沿って進行する照度の高い光が多く入射する。その一方で、各LED22の発光頂面22Aに重なる領域以外では、Y軸方向に沿ってLED22から離れるにつれてLED22からの光が到達しにくく、相対的に照度が低くなりやすい。これに対し、第2光拡散部45は、上記のとおりY軸方向に向けて屈折させる拡散作用を備えることで、第2出光面40BのうちのLED22と重畳する部分が局所的な明部(いわゆる、ホットスポット)として視認されることをより一層抑制することができる。これにより、輝度ムラをより好適に抑制することができる。このような構成とすることで、光に対する高い拡散作用を備えることができ、輝度ムラの抑制を図る上でさらに好適となりうる。第2光拡散単位プリズム45Aは、Y軸方向については等間隔にそれぞれ設けられ、例えば、断面の三角形の頂点間の距離(配列間隔)は、LED22の長手方向(Y軸方向)の寸法より十分に小さい方とよく、1/10から1/50程度(例えば1/20であり、一例として、0.03mm程度)となっている。Y軸方向に沿って並ぶ複数の第2光拡散単位プリズム45Aは、断面形状がいずれも同じであるとよいし。好適な一例として、第2光拡散単位プリズム45Aは、断面形状における略三角形の底面の幅寸法を0.03mm、底面から頂点までの深さ寸法を0.015mmで一定とするとよい。
【0056】
第2導光板40の第2出光面40Bには、
図8および
図9等に示すように、第2領域A2以外の領域である第3領域A2Xにおいて、第3出光レンズ部47が設けられている。第3出光レンズ部47は、例えば、第2入光面40Aの側から第2出光面40Bに向けて第2出光面40Bの法線方向に沿って進む光を、LED22の並び方向とは交差する方向(ここではX軸方向)に屈折させる拡散作用を備える要素である。第3出光レンズ部47は、Y軸方向に沿って第3領域A2Xの全長にわたって延在するとともに、X軸方向については離間して配列される複数の第3出光単位プリズム47A(第3レンズ)を含む。上述のように、第2領域A2と第3領域A2Xとの間は、第2領域A2に隣接して配される第3出光単位プリズム47Aによって区画される。第3出光単位プリズム47Aは、いわゆるプリズム型のレンズであり、本実施形態における第3出光単位プリズム47Aは、第2出光面40Bの第3領域A2Xにおいて裏側に向けて凹む凹型のプリズムである。この第3出光単位プリズム47Aは、
図9に示すように、X軸方向に沿って切断した断面形状が略三角形(略山形、V字型等)をなすとともに、その稜線がY軸方向に沿って直線的に延在している。第3出光単位プリズム47Aは、その断面形状が長さ方向(Y軸方向)について全長にわたって一定であることが好ましい。第3出光単位プリズム47Aは、断面形状が、二等辺三角形や直角三角形を含む任意の三角形である。本例の第3出光単位プリズム47Aは、断面形状が略二等辺三角形であり、一対の斜面47A1を有している。一対の斜面47A1はそれぞれが独立して、第2出光面40Bの法線方向に対して、40°以上50°以下(例えば45°)の角度をなしているとよい。また、一対の斜面47A1のなす頂角θ6は、80°以上であって100°以下の範囲であることが好ましく、例えば約90°であってよい。第3出光単位プリズム47Aは、第3領域A2Xにおいて、第1出光単位プリズム37Aと同様に、X軸方向について間隔(例えば、0.1mm程度)を空けて配列されている。第3出光単位プリズム47Aは、X軸方向については等間隔にそれぞれ設けられ、例えば、断面の三角形の頂点間の距離(配列間隔)が0.153mm程度となっている。X軸方向に沿って並ぶ複数の第3出光単位プリズム47Aは、断面形状がいずれも同じであってもよいし、頂角θ6および配列間隔に関してはほぼ同一である一方で、断面形状における略三角形の底面の幅寸法や、底面から頂点までの斜面47A1の長さ(面積)および深さ寸法を、X軸方向についての位置に応じて変化させてもよい。一例として、第3出光単位プリズム47Aは、断面形状における略三角形の底面の幅寸法を0.05mm、底面から頂点までの深さ寸法を0.025mmで一定としてもよい。また例えば、第3出光単位プリズム47Aは、略三角形の断面形状を、第1導光板30における第3出光単位プリズム47Aに倣って、例えば深さ寸法が0.015mm~0.055mmとなる範囲で変化させてもよい。第3出光単位プリズム47Aは、第2光拡散単位プリズム45Aと比較して、断面における略三角形の底面の幅寸法および深さ寸法が相対的に大きいとよい。
【0057】
このような構成によれば、第2導光板40の内部を伝播して第3出光単位プリズム47Aに到達した光のうち、第3出光単位プリズム47Aの斜面47A1に対する入射角が臨界角を超えないものは出射されるものの、臨界角を超えるものは斜面47A1にて全反射されて少なくとも第2出光面40Bから遠ざかるよう進行する。斜面47A1にて全反射された光は、第2入光面40Aによって反射されたりすることで、再び第2出光面40Bへ向かう光となり、やがては第3出光単位プリズム47Aの斜面47A1から出射される。このような第3出光単位プリズム47Aは、第3領域A2Xに配されており、第2導光板40の第2出光面40Bのうち、第3領域A2Xからの光の出射を促すものとなる。以上により、第2導光板40による導光について、X軸方向についての輝度ムラを好適に抑制することができる。
【0058】
また、第2導光板40の第2出光面40Bのうちの第3領域A2Xには、
図6等に示すように、第4出光レンズ部48が設けられている。第4出光レンズ部48は、第2入光面40Aの側から第2出光面40Bに向けて第2出光面40Bの法線方向に沿って進む光に対し、複数のLED22から離れる向きであって、LED22の並び方向に沿う方向(ここではY軸方向)に屈折させる拡散作用を備える要素である。第4出光レンズ部48は、第3領域A2Xのうち、上記の第3出光レンズ部47が設けられていない部分において、X軸方向に沿って設けられているとともに、Y軸方向に沿って連続して配列される複数の第4出光単位プリズム48A(第2レンズ)を含む。第4出光単位プリズム48Aは、いわゆるプリズム型のレンズであり、本実施形態における第4出光単位プリズム48Aは、第2出光面40Bから裏側に向けて凹む凹型のプリズムである。この第4出光単位プリズム48Aは、Y軸方向に沿って切断した断面形状が略三角形(略山形、V字型等)をなすとともに、その稜線がX軸方向に沿って直線的に延在している。第4出光単位プリズム48Aの断面形状は、二等辺三角形や直角三角形を含む任意の三角形であってよい。第4出光単位プリズム48Aは、その断面形状が長さ方向(X軸方向)について全長にわたって一定であることが好ましい。
【0059】
これに限定されるものではないが、本実施形態において、第4出光単位プリズム48Aは、
図6に示すように、第2領域A2に設けられた第2光拡散部45の第2光拡散単位プリズム45Aと同様に構成することができる。第4出光単位プリズム48Aは、第2光拡散単位プリズム45Aと同じ形状であってもよい。具体的には、第4出光単位プリズム48Aは、Y軸方向における配列間隔が例えば約0.03mm程度で一定であって、底面から頂点までの深さ寸法が約0.015mm程度で一定である。第4出光単位プリズム48Aは、断面形状が略二等辺三角形であり、一対の斜面48A1を有している。一対の斜面48A1はそれぞれが独立して、第2出光面40Bの法線方向に対して、37.5°以上45°以下(例えば45°)の角度をなしているとよい。また、一対の斜面48A1のなす頂角θ7は、75°以上で且つ90°以下の範囲であることが好ましく、例えば本実施形態では約90°である。第4出光レンズ部48は、連続して同じ形状のものが配列されているとよく、このような第4出光レンズ部48の断面形状は、例えば鋸刃状(ジグザグ形状)となっている。そして第4出光単位プリズム48Aは、X軸方向について、第3出光単位プリズム47Aを介して、第2光拡散単位プリズム45Aの延長線上に同一の断面形状で形成されているとよい。
【0060】
このような構成によれば、第3出光レンズ部47によって各LED22からX軸方向に送られた光が、第4出光レンズ部48の第4出光単位プリズム48Aの斜面48A1にて全反射され、第2出光面40Bから遠ざかるようにしてY軸方向に沿う側に進行する。第4出光単位プリズム48Aの斜面48A1にて全反射された光は、第2入光面40Aにより反射されるなどして再び第2出光面40Bへ向かう光となり、やがてはその一部が第4出光単位プリズム48Aの斜面48A1や、第3出光単位プリズム47Aの斜面47A1から出射しうる。これにより、第2導光板40内部を伝播する光をX軸方向およびY軸方向についてミキシングすることができ、輝度ムラの抑制をより好適に図ることができる。なお、第4出光レンズ部48は、第4出光単位プリズム48Aの深さ寸法が第3出光単位プリズム47Aの深さ寸法よりも小さくされている。このような構成によれば、仮に上記した深さ寸法の大小関係を逆にした場合に比べて、
図10に示すように第3出光レンズ部47の斜面47A1の面積をより多く確保することができる。これにより、第3出光レンズ部47の斜面47A1から出射する光量が多くなるので、第2導光板40による光の拡散をX軸方向とY軸方向とで効果的に均質化することができる。
【0061】
以下、ここに開示される技術に関するいくつかの実施例を説明するが、ここに開示される技術を係る実施例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、ここに開示されるバックライト装置および液晶表示装置の特徴を説明する試験例1~3について説明する。
【0062】
<試験例1>
試験例1では、表側から、光学シート、第2導光板、第1導光板、ラインLED、および反射シートを、この順に重ねることで、
図11に示すような構成の、実施例1のバックライト装置120を作成した。この実施例1に係るバックライト装置120は、外形が略正方形状とされるとともに、LED基板23の設置数が1つである。より具体的には、バックライト装置120は、照明領域の1辺の寸法が40mm程度とされ、バックライト装置120はこれよりも一回り大きい構成とされている。ラインLED121としては、長手方向の寸法が約20mmの長方形の基板に、寸法が約0.3mm×約0.6mmの10個のLED(全放射束:約6.5mW)を、中心間距離が2.15mm(約2mmピッチ)となるように直線上に均等設置したものを用いた。このピッチは、同LEDの従来の配列ピッチに比して十分に大きいものである。第1導光板は、第1入光面における傾斜面を設けない構成とした。また、ラインLEDは第1導光板のX軸方向の中央で、かつ、Y軸方向の中央に両面テープで固定した。第1導光板および第2導光板には、このラインLEDを覆う形で第1領域および第2領域を設け、その他の領域をそれぞれ、第4領域および第3領域とした。そして第2領域および第3領域に設けるレンズについて、以下のとおり、傾斜面の角度と稜線の向きとをさまざまに変化させた。
【0063】
実施例1のバックライト装置120は、以上の特記した点以外は、本試験例よりも前に説明したバックライト装置20(例えば、
図1等参照)と同様の構成とした。具体的には、第1導光板は、第1領域に第1光拡散部(プリズム部)を備え、第4領域に第5レンズおよび第6レンズを備えている。また、第2導光板は、第2領域に第2光拡散部を備え、第3領域に第2レンズおよび第3レンズを備えている。第2領域の第2光拡散部は、稜線がX軸方向に沿うプリズム(第1レンズ)を含む。第3領域の第2レンズは稜線がX軸方向に沿うプリズムを含み、第3レンズは稜線がY軸方向に沿うプリズムを含む。本試験例において、各単位プリズムを構成する一対の傾斜面は、第1出光面30Bおよび第2出光面40Bの法線方向に対する傾斜角度の作用をより明瞭に確認するために、法線方向に対してそれぞれ同じ角度をなすようにし、その合計(すなわち2倍)の角度を頂角として示した。このようなバックライト装置120における第1光拡散部の光拡散単位プリズムの頂角θ1は60°であり、第1入光プリズム部の入光単位プリズムの頂角θ2は80°であり、第1出光レンズ部の第1出光単位プリズムの頂角θ3は90°であり、第2出光レンズ部の第2出光単位プリズムの頂角θ4は90°である。そして第2光拡散部における第2光拡散単位プリズムの頂角θ5は90°であり、第3出光レンズ部における第3出光単位プリズムの頂角θ6は90°であり、第4出光レンズ部48における第4出光単位プリズム48Aの頂角θ7は90°である。
【0064】
なお、LEDの幅方向(X軸方向)の寸法は約0.3mmであり、長手方向(Y軸方向)の寸法は約0.6mmである。また、第1導光板30および第2導光板40について、第1入光頂部31A1、第1光拡散部35、底部35B、および第2光拡散部45(第2光拡散単位プリズム45A)のX軸方向に沿う寸法は、それぞれ、0.5mm、1mm、0.2mm、2.4mmである。また、第2光拡散単位プリズム45Aは、断面形状が二等辺三角形であり、その底面の幅寸法は0.03mm、底面から頂点までの深さ寸法は0.015mmであり、Y軸方向に沿って連続して形成されている。第2光拡散部45には、第2光拡散単位プリズム45Aのみが形成されており、稜線が他の方向に沿うプリズム(例えば、第3出光単位プリズム47A)は含まれていない。
【0065】
また、比較例1として、第1導光板は備えたものの、第2導光板を備えなかったこと以外は実施例1と同じ構成のバックライト装置を用意した。比較例2として、次の構成のバックライト装置を用意した。すなわち、第2導光板の第2出光面の全面に第2光拡散部を設けることで、第2領域のみを備え、第3領域を備えていない導光板を用意した。ただし、この導光板は、光拡散単位プリズムの稜線がY軸方向に沿って延び、かつ、光拡散単位プリズムがX軸方向に配列されるように、第1導光板に重ねて用いた。その他は、実施例1と同じ構成とした。
【0066】
そして、これら実施例1および比較例1,2に係る各バックライト装置について、全てのLEDを点灯させた状態における照明領域の照度分布を、JIS Z 8513-1994に準じてデジタル照度計によって計測し、その結果を示す画像を得た。また、各バックライト装置の照明領域におけるX軸方向の中央位置(すなわち、LED列の位置に相当)について、照度分布グラフを作成するとともに、そのコントラスト変調(Cm:Michelson Contrast)値を算出した。その結果を、
図12~
図14に示した。なお、
図12~
図14には、比較例1,2および実施例1についての結果がそれぞれ示されている。なお、
図12~
図14に示されたグラフの横軸は、照明領域のY軸方向についての中央位置を基準(0)とした座標位置を表しており、グラフには、ラインLEDが配されている-10mm~+10mmの照明領域についての照度分布を示している。
【0067】
図12に示すように、比較例1のバックライト装置によると、第2導光板が備えられていないため、LEDから発せられる光をY軸方向へ拡散する効果に乏しい。そのため、ラインLEDが配されたX軸方向の中央付近(第1・第2領域に相当)に、約2mmピッチで配された10個のLEDの位置がホットスポットとして明瞭に認められることが確認された。このことは、
図12のグラフにおいて、10個のLEDの位置に対応したY座標で送度が大きく上昇していることからも確認することができる。また、比較例1のバックライト装置について、照明領域のうち、ラインLEDが配されていない領域(第3・第4領域に相当)についてもY軸方向への拡散効果が十分ではなく、比較的照度の高い領域が各LEDの位置(ホットスポット)からX軸方向のプラス側とマイナス側とに向けて伸びていること(すなわち輝度ムラの発生)が確認できた。以上のことから、比較例1のバックライト装置については、X軸方向の中央部分だけでなく、X軸方向のプラス側とマイナス側の両方の領域についても、照度分布のムラについて大幅な改善の余地があることが分かった。
【0068】
図13に示すように、比較例2のバックライト装置によると、第2導光板の全面に第1光拡散単位プリズム36Aと同じ断面三角形状のプリズムが設けられているものの、すべてのプリズムはその稜線がY軸方向に延びるように第2導光板の向きが調整されている。したがって、比較例2の第2導光板は、LEDから発せられた光をX軸方向に効果的に拡散できる構成となっている。そのため、比較例1の場合と比較すると、照明領域の全域に亘って照度ムラは改善されており、その効果は、照度分布のグラフとCm値の両方によって確認することができる。しかしながら、照度分に示されるように、依然として、約2mmピッチで配されたLEDの位置をホットスポットとして明瞭に認めることができる。したがって、比較例2のバックライト装置については、Y軸方向における照度分布について改善の余地があることが分かった。
【0069】
図14に示すように、実施例1のバックライト装置によると、ラインLEDが配されたX軸方向の中央位置において、各LEDの配置に対応するホットスポットは視認されず、輝度ムラが大幅に改善されていることが確認された。これは、第2導光板がラインLEDを覆うように第2光拡散部を備えていることから、この第2光拡散部によってラインLEDから発せられた光がY軸方向へ効果的に拡散されて、その結果、
図14のグラフに示されるように、照度分布が極めて均一なものに整えられたためであると考えられる。また、照度分布において、照度の高い領域は照明領域の中央部分に形成されているものの、その照度分布は滑らかな変化を含むものであり、局所的に照度の高い部分は見られなかった。これは、第2導光板がY軸方向への光の拡散に有効なだけでなく、X-Y平面に亘って光を均質に拡散できることを示している。このことは、例えば、Cm値が比較例2の4分の1程度にまで低下していることからも確認することができる。
【0070】
<試験例2>
試験例2では、上記試験例1における実施例1のバックライト装置に備えられた第2導光板について、第2光拡散部を構成する光拡散単位プリズムの頂角θ5を90°から変化させたときの、X軸方向の中央部分(すなわち、LED列の位置に相当)における照度分布を測定するとともに、そのCm値を算出した。すなわち、試験例2では、光拡散単位プリズムの頂角θ5を、試験例1における90°に加え、70°,80°,100°,110°,140°の6通りに変化させた第2導光板を用意し、これらの第2導光板をそれぞれ用いることで、サンプル1~6のバックライト装置を作製した。
【0071】
また、比較のために、第2光拡散部を構成する光拡散単位プリズムの断面形状を略半円形として、いわゆるレンチキュラーレンズを構成し、同様にサンプル7のバックライト装置を作製した。なお、サンプル7に係るレンチキュラーレンズの断面形状は、サンプル1~6の断面三角形の光拡散単位プリズムの底辺が直径に一致するようにした。
【0072】
そして上記試験例1と同様にサンプル1~7のバックライト装置の照度分布を測定し、その結果を
図15に示した。また、照度分布測定の結果からCm値を算出し、その結果を
図16に示した。なお、
図15の凡例および
図16の表に示したとおり、サンプル1は、光拡散単位プリズムの頂角θ5を70°とした例であり、サンプル2は、光拡散単位プリズムの頂角θ5を80°とした例であり、サンプル3は、頂角θ5を90°とした例であり、サンプル4は、頂角θ5を100°とした例であり、サンプル5は、頂角θ5を110°とした例である。また、サンプル7は、第2光拡散部をレンチキュラーレンズにより構成した例である。
【0073】
図15に示すように、第2導光板に設けた第2光拡散部を構成する光拡散単位プリズムの頂角θ5を様々に変化させることで、バックライト装置の照度分布特性が大きな影響を受けることが分かった。具体的には、バックライト装置の照度は、大まかには、Y軸方向の位置が-10mmから0mmに近づくにつれて照度が高くなる傾向がみられ、Y軸方向の位置が0mmから+10mmに近づくにつれて照度が低くなる傾向がみられる。そして、光拡散単位プリズムの頂角θ5を70°~90°としたサンプル1~3については、Y軸方向の位置が-10mmから+10mmに変化しても、バックライト装置の照度はLEDが配されている位置で照度が若干大きくなる程度であって、局所的に照度が大きくなったり小さくなったりすることはないことが分かった。サンプル1~3の照度分布についてのCm値は、0.025から0.016の比較的小さい値であり、頂角θ5を90°により近い角度とすることで、第2導光板によるLED光の光拡散作用を高められることが分かった。
【0074】
これに対し、光拡散単位プリズムの頂角θ5を100°としたサンプル4と、110°としたサンプル5については、Y軸方向の位置を-10mmから+10mmに変化させたとき、LEDが配されている位置において照度がやや大きくなったり、隣り合うLEDの中間位置において照度が小さくなったりする様子が観察された。サンプル4および5の照度分布についてのCm値は、それぞれ0.041と0.052であり、頂角θ5を90°からやや大きくすることで、第2導光板によるLED光の光拡散作用が若干低減する可能性があることが分かった。
【0075】
一方の光拡散単位プリズムの頂角θ5を140°としたサンプル6については、Y軸方向の位置を-10mmから+10mmに変化させたとき、LEDが配されている位置において照度が大きく上昇したり、隣り合うLEDの中間位置において照度が小さくなったりする様子が観察された。サンプル6の照度分布は、全サンプルの中で最も照度の増減が激しいものであり、光拡散単位プリズムの頂角θ5を140°にまで広げることは好ましくないように考えられる。
【0076】
また、第2導光板の第2光拡散部を、レンチキュラーレンズによって構成したサンプル7についても、サンプル6よりは小さいものの、Y軸方向の位置を-10mmから+10mmに変化させたとき、LEDが配されている位置において照度が大きく上昇したり、隣り合うLEDの中間位置において照度が小さくなったりする様子が観察された。
【0077】
以上のことから、第2導光板の第2光拡散部に設ける光拡散単位プリズムの頂角θ5は、例えば70°~110°程度の範囲とすることが好ましく、さらには例えば80°~90°程度の範囲とすることがより好ましい。また、第2導光板の第2光拡散部に設ける光拡散単位プリズムの形状は、光拡散作用をより高め得るとの観点から、例えば断面が半円形状のプリズムよりも、断面が三角形等の多角柱状のものであることが好ましい。
【0078】
<実施形態2>
実施形態2に係るバックライト装置について
図17を参照して説明する。実施形態2のバックライト装置において、第2導光板140の第2光拡散部45は、第2光拡散単位プリズム45Aのほかに、第3出光単位プリズム49A(第4レンズ)を含む。第3出光単位プリズム49Aは、第2出光面140Bから凹んだ溝状をなすとともに、並び方向(Y軸方向)に沿って延設されており、複数のものが並び方向に交わる方向(ここではX軸方向)について離間して設けられている。そして第2光拡散単位プリズム45Aは、隣り合う第3出光単位プリズム49Aの間において並び方向に交わる方向(ここではX軸方向)に沿って延設されているとともに、並び方向に沿って配列されている。換言すれば、実施形態2のバックライト装置においては、第2光拡散部45が、並び方向に延びる第3出光単位プリズム49Aを備えることによって、第2領域A2と、第3領域A2Xとの表面形態が同じとされている。なお、かかる点以外の構成については、実施形態1と同様であってよく、同様の構成、作用および効果についての説明は省略する。
【0079】
このような実施形態2のバックライト装置(実施例2)について、上記試験例1と同様に照明領域における照度分布を測定し、その結果からCm値を算出して、
図18に示した。その結果、
図18に示すとおり、実施例2のバックライト装置によると、ラインLEDが配されたX軸方向の中央位置において、各LEDの配置に対応するホットスポットはほぼ視認されず、輝度ムラが大幅に改善されていることが確認された。例えば、実施例2のバックライト装置についてのCm値は0.035と、比較例1と比べて大幅に低くなったことが確認できる。実施形態2のバックライト装置に備えられた第2導光板によっても、Y軸方向の光の拡散作用が十分に発現されていることが分かった。なお、このことは、実施例2の第2導光板の第2領域A2にたとえ第3出光単位プリズム49Aが設けられても、第2領域A2の大部分には第2光拡散単位プリズム45Aが設けられていることによるものと考えられる。このことから、第2領域A2は、必ずしも全面を第2光拡散単位プリズム45Aによって占める必要はないことがわかる。しかしながら、実施例2のバックライト装置によると、実施例1のバックライト装置と比較して、輝度ムラの低減効果が若干低下されていることもわかる。したがって、LEDを従来よりも離間して配置する場合には(換言すれば、LEDの設置数を削減する場合には)、第2光拡散単位プリズム45Aの数や第2光拡散単位プリズム45Aの占める面積を多くすることが望ましい。
【0080】
<他の実施形態>
ここに開示される技術は、上記記述および図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0081】
(1)第2光拡散単位プリズム45Aを構成する斜面45A1は、第2出光面40Bの法線方向とのなす角度が35°以上55°以下である限り、平面に限定されず、円弧状等のような非平面の光反射面を有していてもよい。また第1光拡散部35は、上記した出光傾斜面35Aに代えて、円弧状等のような非平面の光反射面を有していてもよい。
【0082】
(2)第2光拡散単位プリズム45Aの稜線45A2は、第4出光レンズ部48の稜線と同じ高さ(同一平面)を為していてもよいし、いずれか一方が他方に対して高くてもよい。また、第1光拡散部35は、第1導光板30の第1出光面30Bを突出させた形態の凹型のプリズムであってもよい。
【0083】
(3)第2光拡散部45および第4出光レンズ部48はそれぞれ独立して、平板状の第2導光板40の基材に対して、第2光拡散単位プリズム45A、および、第4出光単位プリズム48Aを接合するなどして形成されていてもよい。また、第1光拡散部35は、第1導光板30とは別の材料を第1出光面30Bに接合するなどして形成されていてもよい。第2光拡散部45、第4出光レンズ部48、および第1光拡散部35が、それぞれの拡散作用を発揮することができればよい。
【0084】
(4)上記した第1光拡散プリズム部36に代えて、レンチキュラーレンズ等の光拡散レンズ部を設けることも可能である。その場合、光拡散レンズ部は、Y軸方向に沿って延在する複数の光拡散単位シリンドリカルレンズを含む。
【0085】
(5)上記した第2導光板40の第2入光面40Aには、
図19に示すように、レンチキュラーレンズ等からなる入光レンズ部を設けることも可能である。その場合、入光レンズ部は、Y軸方向に沿って延在する複数の入光単位シリンドリカルレンズを含む。
【0086】
(6)入光プリズム部32は、省略することも可能である。
【0087】
(7)上記した第3出光レンズ部47、第1出光レンズ部37はそれぞれ独立して、レンチキュラーレンズとされる第3出光レンズ部や第1出光レンズ部とすることも可能である。その場合、第3出光レンズ部47、第1出光レンズ部は、Y軸方向に沿って延在する複数の第3出光単位シリンドリカルレンズ、第1出光単位シリンドリカルレンズからなる。
【0088】
(8)第3出光レンズ部47、第1出光レンズ部37はそれぞれ独立して省略することも可能である。
【0089】
(9)第4出光レンズ部48、第2出光レンズ部38はそれぞれ独立して省略することも可能である。
【0090】
(10)第1導光板30に対して第1収容部31Aがオフセットせず、LED22と第1収容部31AとでX軸方向についての中心が一致する位置関係となるよう構成されていていてもよい。
【0091】
(11)ラインLED21の設置数、配列間隔などは適宜に変更可能である。
【0092】
(12)ラインLED21は、1つのLED基板23の実装面23A上にLED列が複数設けられていても構わない。
【0093】
(13)LED基板23に実装されて列をなすLED22の具体的な数や配列間隔などは適宜に変更可能である。
(14)LED22の具体的な形状や外寸などは適宜に変更可能である。
【0094】
(15)LED22は、CSP(Chip Scale Package)と呼ばれるタイプのものであっても構わない。
【0095】
(16)LED22は、頂面が発光し、側面が非発光であっても構わない。逆に、LEDは、側面が発光し、頂面が非発光であっても構わない。
【0096】
(17)反射シート27は、上記したもののほかに、全体が合成樹脂製で表面が光の反射性に優れた白色を呈するものであってもよい。また、反射シート27は、合成樹脂製の基材の表面に銀などの金属を蒸着してなり、表面が光の反射性に優れた銀色を呈していてもよい。
【0097】
(18)光学シート28の具体的な積層枚数、積層順、種類などは適宜に変更可能である。
【0098】
(19)光源は、青色以外の色の光を発するLEDであっても構わない。その場合は、例えばバックライト装置20の白色発光が可能なように、波長変換シート28Aに含有させる蛍光体に発光させる色も、LEDの光の色に応じて適宜変更すればよい。例えば、マゼンタ色の光を発するLEDを用いる場合には、波長変換シート28Aに含有させる蛍光体としてマゼンダ色の補色となる緑色を呈する緑色蛍光体を用いるようにするとよい。これにより、バックライト装置20の照明光(出射光)を白色化することができる。
【0099】
(20)波長変換シート28Aは、蛍光体として黄色蛍光体のみを含む構成であってもよく、黄色蛍光体に加えて赤色蛍光体や緑色蛍光体を含ませた構成であってもよい。
【0100】
(21)光学シート28は、必ずしも波長変換シート28Aを含む必要はない。その場合は、光源であるLEDは、白色光を発する構成とされる。このような白色発光LEDは、例えば、青色光を発する青色LEDチップと、青色光を励起光として緑色光および赤色光を発する緑色蛍光体および赤色蛍光体を含む封止材と、を少なくとも含む構成とされるのが好ましいが、必ずしもその限りではない。なお、波長変換シート28Aを省略するのに伴って、代わりに光を拡散させる拡散シートを追加するのが好ましいが、必ずしもその限りではない。
【0101】
(22)光源は、LED22以外の光源であってよく、例えば、有機EL素子、レーザダイオードなどであっても構わない。
【0102】
(23)表示パネルは、液晶パネル10以外の種類の表示パネル(例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)表示パネルなど)であっても構わない。
【0103】
(24)上記実施例において各単位プリズムを構成する一対の斜面は、第1出光面30Bまたは第2出光面40Bの法線方向に対してそれぞれ同じ角度をなすように形成されていた。しかしながら、各単位プリズムを構成する一対の斜面は、法線方向に対して互いに異なる角度をなしていてもよい。例えば、単位プリズムは、一方の面が法線方向に沿い、他方の面が法線方向に対して傾斜した、断面形状が直角三角形のもの(例えば、フレネルレンズ、リニアフレネルレンズ等)であってもよい。このような構成によると、光源に対して所定の角度をなす斜面を、単位表面積あたりにより多く設けることができ、当該単位プリズムによって光源からの光を所定の向きに拡散する作用を高めることができる。延いては、離間して配置された複数の光源から発せられた光のムラをより一層低減して出光することができる。
【0104】
(25)第1導光板30の第1入光面30Aのうち、光源収容凹部31が形成されていない非形成部分は、平坦面ではなく、傾斜面となっていてもよい。この傾斜面は、光源収容凹部31に接する端部が最も裏側(低位)に位置されており、X軸方向において光源収容凹部31から離れるに連れて、Z軸方向において第1出光面30Bに近づくような(換言すれば、第1導光板30が薄くなるような)勾配を有している。このような傾斜面によると、第1導光板30の内部を第1入光面30Aに向けて伝播する光をよりZ軸方向に近い角度となるよう反射させることができる。これにより、例えば第1入光面30Aに向かう光をより急峻に立ち上げて、第1出光面30Bで反射されることを抑制して第1出光面30Bからの出射を促すことができる。なお、傾斜面は、2つの光源収容凹部31の間においては表側に向けて凹む形で勾配が変化するとよい。傾斜面は2つの光源収容凹部31の中央部において最も第1出光面30Bに近づく(高位となる)とよい。
【符号の説明】
【0105】
1…液晶表示装置(表示装置)、10…液晶パネル(表示パネル)、20,120…バックライト装置(照明装置)、21,121…ラインLED、22…LED(光源)、30…第1導光板、30A…第1入光面、30B…第1出光面、32…入光プリズム部、32A…入光単位プリズム、35…第1光拡散部、36…第1光拡散プリズム部、36A…光拡散単位プリズム、37…第1出光レンズ部、38…第2出光レンズ部、40…第2導光板、40A…第2入光面、40B…第2出光面、45…第2光拡散部、45A…光拡散単位プリズム(第1レンズ)、45A1…斜面(傾斜部)、45A2…稜線、47…第3出光レンズ部、47A…第3出光単位プリズム(第2レンズ)、48…第4出光レンズ部、48A…第4出光単位プリズム(第3レンズ)、A1…第1領域、A1X…第4領域、A2…第2領域、A2X…第3領域、θ1,θ2,θ3,θ4,θ5,θ6…頂角