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特開2022-186611燃料添加剤を添加してタービンの腐食を抑制するためのシステムおよび方法
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  • 特開-燃料添加剤を添加してタービンの腐食を抑制するためのシステムおよび方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186611
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】燃料添加剤を添加してタービンの腐食を抑制するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   F01D 25/00 20060101AFI20221208BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20221208BHJP
   F02C 7/232 20060101ALI20221208BHJP
   F23R 3/00 20060101ALI20221208BHJP
   F23R 3/34 20060101ALI20221208BHJP
   C10L 10/04 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
F01D25/00 R
F01D25/00 Q
F01D25/00 X
F02C7/00 A
F02C7/232 B
F23R3/00 A
F23R3/34
C10L10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022079410
(22)【出願日】2022-05-13
(31)【優先権主張番号】17/338,020
(32)【優先日】2021-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.SMALLTALK
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】アルストン・イルフォード・シピオ
(72)【発明者】
【氏名】コリン・ノエル・スティーブンス
(72)【発明者】
【氏名】サンジ・エカナヤク
【テーマコード(参考)】
4H015
【Fターム(参考)】
4H015AA06
4H015AA23
4H015AB01
4H015AB07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】燃料添加剤を添加してタービンの腐食を抑制するためのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】ガスタービンエンジンシステムが、圧縮機とガスタービンと二次燃料が内部へと供給される複数の後期希薄燃料インジェクタを含む燃焼器25と、後期希薄燃料インジェクタに連絡した洗浄システム100を含む。洗浄システムは水120源と水ポンプとポリアミン腐食抑制剤を含む防食剤を有する防食剤流体源150と防食剤流体源に流体に関して連絡した防食剤供給配管と混合チャンバ170とを含み、混合チャンバは水および防食剤を受け取り混合チャンバおよび複数の後期希薄燃料インジェクタに流体に関して連絡する防食混合物を生成する。水、防食剤流体源またはこれらの混合物を含む混合チャンバからの流体はガスタービンエンジンがオフラインであるときに複数の後期希薄燃料インジェクタのうちの少なくとも1つにおいて燃焼器内に注入される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(15)と、燃焼器(25)と、ガスタービン(40)とを含んでおり、前記燃焼器(25)は、前記燃焼器(25)の内部への二次燃料(30)が供給される複数の後期希薄燃料インジェクタ(60)を含んでいるガスタービン(40)エンジン、および
前記燃焼器(25)の前記複数の後期希薄燃料インジェクタ(60)に取り付けられ、前記燃焼器(25)の前記複数の後期希薄燃料インジェクタ(60)に流体に関して連絡するように構成された洗浄システム(100)
を備えており、前記洗浄システム(100)は、
水(120)を供給する水源(110)と、
水(120)を送るように構成された水ポンプ(200)と、
ポリアミン腐食抑制剤を含む防食剤の供給を供給する防食剤流体源(150)と、
前記防食剤流体源(150)に流体に関して連絡した防食剤供給配管と、
前記防食剤を混合チャンバ(170)へと送るように構成された第1の流体ポンプと、
前記水源(110)および前記防食剤源に連絡し、前記水(120)供給配管および前記防食剤供給配管に流体に関して連絡し、前記水(120)供給配管からの水(120)および前記防食剤供給配管からの防食剤を受け取り、防食混合物を形成するように構成され、前記防食混合物は、前記ポリアミン腐食抑制剤と水(120)との混合物を含む混合チャンバ(170)と、
前記水(120)、ポリアミン腐食抑制剤、またはポリアミン腐食抑制剤と水(120)との混合物を含む前記混合チャンバ(170)からの流体が、前記複数の後期希薄燃料インジェクタ(60)のうちの少なくとも1つにおいて前記燃焼器(25)へと注入されるように、前記混合チャンバ(170)と前記複数の後期希薄燃料インジェクタ(60)のうちの少なくとも1つとに流体に関して連絡するように構成された流体ライン(190)と
を含み、
前記混合物は、前記ガスタービン(40)エンジンがオフラインであるときに注入される、
ガスタービンエンジンシステム(10)。
【請求項2】
前記ポリアミン腐食抑制剤は、有機化合物を含む、請求項1に記載のガスタービンエンジンシステム(10)。
【請求項3】
前記ポリアミン腐食抑制剤は、2つ以上の第一級アミノ基NHを含む、請求項2に記載のガスタービンエンジンシステム(10)。
【請求項4】
前記ポリアミン腐食抑制剤は、揮発性中和アミンを含み、前記揮発性中和アミンは、酸性汚染物質を中和し、前記混合物のpHをアルカリ性の範囲に高めるように構成され、前記ポリアミン腐食抑制剤と水(120)との混合物は、前記ガスタービン(40)の内部コンポーネント上に保護金属酸化物コーティングをもたらすように構成されている、請求項2に記載のガスタービンエンジンシステム(10)。
【請求項5】
前記ポリアミン腐食抑制剤は、シクロヘキシルアミン、モルホリン、モノエタノールアミン、N-9-オクタデセニル-1,3-プロパンジアミン、9-オクタデセン-1-アミン、(Z)-1-5、ジメチルアミンプロピルアミン(DMPA)、ジエチルアミノエタノール(DEAE)、およびこれらの組み合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載のガスタービンエンジンシステム(10)。
【請求項6】
前記ポリアミン腐食抑制剤は、約50ppm~約800ppmの範囲内の前記混合物中の量を含む、請求項2に記載のガスタービンエンジンシステム(10)。
【請求項7】
前記ポリアミン腐食抑制剤は、約100ppm~約500ppmの範囲内の前記混合物中の量を含む、請求項2に記載のガスタービンエンジンシステム(10)。
【請求項8】
前記混合チャンバ(170)は、1つ以上の斜め対向流ノズル(180)を含み、前記1つ以上の斜め対向流ノズル(180)は、前記混合チャンバ(170)の中心軸線に対して斜めに前記混合チャンバ(170)内へと延びており、前記ポリアミン腐食抑制剤を斜めに前記混合チャンバ(170)内の前記水(120)の流れに逆らう方向に注入するように構成されている、請求項1に記載のガスタービンエンジンシステム(10)。
【請求項9】
コントローラ(80)をさらに含み、前記コントローラ(80)は、前記水ポンプ(200)、前記第1のポンプ、および前記流体ライン(190)と動作可能に通信し、前記コントローラ(80)は、前記複数の後期希薄燃料インジェクタ(60)のうちの少なくとも1つへと前記流体ライン(190)を通る前記水(120)とポリアミン腐食抑制剤との混合物の流れを調節するように構成される、請求項1に記載のガスタービンエンジンシステム(10)。
【請求項10】
前記コントローラ(80)は、流体ライン(190)に配置された少なくとも1つの流量制御バルブ(343)をさらに含み、前記少なくとも1つの流量制御バルブ(343)は、少なくとも開位置と閉位置との間の前記少なくとも1つの流量制御バルブ(343)の動作を可能にするために前記コントローラ(80)と通信し、前記動作は前記コントローラ(80)によって引き起こされる、請求項9に記載のガスタービンエンジンシステム(10)。
【請求項11】
前記コントローラ(80)は、流体ライン(190)に配置された少なくとも1つの流量センサ(342)をさらに含み、前記少なくとも1つの流量センサ(342)は、前記流体ライン(190)における流量を感知するために前記コントローラ(80)と通信する、請求項8に記載のガスタービンエンジンシステム(10)。
【請求項12】
圧縮機(15)と、燃焼器(25)と、ガスタービン(40)とを含んでおり、前記燃焼器(25)は、前記燃焼器(25)の内部への二次燃料(30)が供給される複数の後期希薄燃料インジェクタ(60)を含んでいるオフラインのガスタービン(40)エンジンを洗浄する方法であって、
水源(110)からの水(120)を洗浄システム(100)の混合チャンバ(170)へと供給すること、
防食剤流体源(150)から、前記防食剤流体源(150)に流体に関して連絡した防食剤供給配管を介して、ポリアミン腐食抑制剤を含む防食剤の供給を供給すること、
前記水(120)および防食剤流体を混合チャンバ(170)へと供給することは、前記水源(110)から水(120)を送ることと、前記防食剤流体源(150)から前記防食剤流体を送ることとを含み、前記混合チャンバ(170)は、前記水(120)供給配管からの水(120)と、前記防食剤供給配管からの前記防食剤流体とを受け取り、前記防食剤流体と水(120)との混合物を含む防食混合物を生成するように構成されていること、および
前記ガスタービン(40)エンジンがオフラインであるときに、前記複数の後期希薄燃料インジェクタ(60)のうちの少なくとも1つに前記混合チャンバ(170)からの流体を注入すること
を含む方法。
【請求項13】
前記ポリアミン腐食抑制剤は、有機化合物を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリアミン腐食抑制剤は、2つ以上の第一級アミノ基NHを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリアミン腐食抑制剤は、揮発性中和アミンを含み、前記揮発性中和アミンは、酸性汚染物質を中和し、前記混合物のpHをアルカリ性の範囲に高めるように構成され、前記混合物は、前記ガスタービン(40)の内部コンポーネント上に保護金属酸化物コーティングをもたらすように構成されている、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広くには、ガスタービンエンジンに関し、より詳細には、ガスタービンエンジンの内部コンポーネントを清掃するための洗浄システムおよび関連の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンシステムの稼働時に、吸気ろ過システムによって捕捉されない空気中の汚染物質が、そのまま蓄積し、あるいは燃焼の副生成物と複雑な化合物を形成して、内部コンポーネントのブレードおよびベーンなど、エンジンのさまざまな内部の金属コンポーネントに付着する可能性がある。これらの内部の金属コンポーネントとして、これらに限られるわけではないが、ガスタービンおよび圧縮機を挙げることができる。ガスタービンエンジンシステムは、吸気ろ過システムを含むことができるが、或る程度の汚染物質の蓄積がおそらくは不可避であり、稼働の現場のさまざまな環境条件に依存し得る。一般的な汚染物質として、吸気ろ過システムを通過する少量のダストおよびデブリ、ならびに煙、煤、グリース、油膜、および有機蒸気などのろ過できない炭化水素系物質を挙げることができる。例えば、ブレードおよびベーンに蓄積した汚染物質が、圧縮機を通る気流を制限する可能性があり、翼形部のパターンをシフトさせる可能性がある。このようにして、そのような蓄積が、冷却通路を損ない、圧縮機またはタービン部の性能および効率、したがってガスタービンエンジンシステムの全体的な性能および効率に、悪影響を及ぼす可能性がある。そのような影響は、出力を減少させ、燃料の消費を増加させ、かつ/または運転コストを増加させる可能性がある。
【0003】
汚染物質の蓄積を低減するために、ガスタービンエンジンの運転および保守の体制は、例えば圧縮機のブレードおよびベーンから汚染粒子を除去するための水洗浄処置の利用を含むことができる。オンライン水洗浄プロトコルを使用して、ガスタービンエンジンシステムが最大速度および所定の負荷で動作している間に、脱塩水などの水の流れによって圧縮機のブレードおよびベーンから汚染物質の粒子を除去することができる。オンライン水洗浄プロトコルは、圧縮機のベルマウスの周りに配置されたノズルを含む設置されたマニホールドを介して、圧縮機の上流に水をもたらすことができる。ノズルは、この比較的低速の空気の領域に水滴の噴霧ミストを生成することができ、稼働中の圧縮機が生じさせる負圧によって噴霧ミストを引き込んで圧縮機のブレードおよびベーンに接触させ、汚染物質を除去することができる。
【0004】
オフライン水洗浄プロトコルを、ガスタービンエンジンシステムが停止しており、あるいはターニングギア速度で動作しており、負荷が存在していない間に、水および洗浄剤の順次の流れによって汚染粒子を除去するために、同様やり方で使用することができる。既知のオフライン水洗浄システムは、圧縮機のベルマウスの周りに配置されたノズルを含むオフラインマニホールドを介して、圧縮機の上流に水および洗浄剤の流れを順次にもたらすことができる。特定の用途において、水洗浄システムを、オンラインモードまたはオフラインモードのいずれかで動作するように構成することができる。このようにして、稼働スケジュールがより効果的なオフライン洗浄を実行するための停止時間を許容しない場合に、オンライン洗浄を定期的に実行して、ガスタービンエンジンシステムの性能および効率を高めることができる。オンライン洗浄およびオフライン洗浄の頻度および継続時間は、汚染物質の蓄積の程度および稼働の現場の環境条件に応じてさまざまであってよい。
【0005】
従来からの水洗浄システムおよび方法は、初期の圧縮機段のブレードおよびベーンからの汚染物質の除去において有効であり得るが、そのようなシステムおよび方法は、圧縮機のベルマウスの周りに注入される水および洗浄剤(使用される場合)の流れの到達範囲が限られるため、ガスタービンのより高次の段のブレードおよびベーンからの汚染物質の除去において、多くの場合にあまり有効でない。これらに限られるわけではないが、ガスタービンのブレードおよびノズル、ならびにシュラウドなどのガスタービンの高温ガス経路コンポーネントが、依然として或る程度の汚染を有する可能性がある。さらに、そのようなシステムおよび方法による洗浄の後に、残留の水および洗浄剤が、ブレードおよびベーン上に残る可能性がある。水および/または洗浄剤が残ると、その後のガスタービンエンジンシステムの再始動および稼働に悪影響が及ぶ可能性がある。さらに、洗浄後のアイドル時間に応じて、残留の水および洗浄剤は、圧縮機のブレードおよびベーンならびに/あるいはガスタービンのブレードおよびベーン、および高温ガスの流路におけるコーティングされていない燃焼コンポーネントにおいて、表面の発錆、腐食、または後の汚染物質の蓄積を促進する可能性がある。さらに、従来からの水洗浄システムおよび方法によってもたらされる性能向上は、長持ちしない可能性があり、適切な性能を維持するために水洗浄システムによって実行される頻繁な洗浄を必要とし、結果として、ガスタービンエンジンシステムの総運転コストを増加させる可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
以下で述べられるすべての態様、例、および特徴は、任意の技術的に可能なやり方で組み合わせることが可能である。
【0007】
本開示の一態様は、圧縮機と、燃焼器と、ガスタービンとを含むガスタービンエンジンであって、燃焼器は、燃焼器の内部への二次燃料が供給される複数の後期希薄燃料インジェクタを含んでいるガスタービンエンジンと、燃焼器の複数の後期希薄燃料インジェクタに取り付けられ、燃焼器の複数の後期希薄燃料インジェクタに流体に関して連絡するように構成された洗浄システムとを含むシステムを提供する。洗浄システムは、水を供給する水源と、第1の流体を供給する第1の流体源と、水源および第1の流体源に連絡した混合チャンバと、水を混合チャンバに送るように構成された水ポンプと、第1の流体を混合チャンバに送るように構成された第1の流体ポンプと、水、第1の流体、またはこれらの混合物を含む混合チャンバからの流体が、複数の後期希薄燃料インジェクタのうちの少なくとも1つにおいて燃焼器へと注入されるように、混合チャンバと複数の後期希薄燃料インジェクタのうちの少なくとも1つとに流体に関して連絡するように構成された流体ラインとを含む。洗浄システムは、オフラインモードのガスタービンエンジンにおいて動作する。
【0008】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、第1の流体源は、洗浄剤源を含み、第1の流体は、洗浄剤を含む。
【0009】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、第1の流体源は、帯電防止液源を含み、第1の流体は、帯電防止液を含む。
【0010】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、第1の流体源は、脱塩水/脱イオン水と、マグネシウム(Mg)、イットリウム(Y)、または洗浄剤のうちの少なくとも1つとの混合物を含む。
【0011】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、脱塩水/脱イオン水とマグネシウム(Mg)、イットリウム(Y)、または洗浄剤との混合物が、ガスタービンエンジンの内部コンポーネントからバナジウムを除去する。
【0012】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、脱塩水/脱イオン水とマグネシウム(Mg)、イットリウム(Y)、または洗浄剤との混合物は、溶液として、または泡としてもたらされる。
【0013】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、混合チャンバは、1つ以上の斜め対向流ノズルを含み、1つ以上の斜め対向流ノズルは、混合チャンバの中心軸線に対して斜めに混合チャンバ内へと延びており、第1の流体を斜めに混合チャンバ内の水の流れに逆らう方向に注入するように構成されている。
【0014】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、水源は、水源ラインおよび水ポンプを介して混合チャンバに連絡する。
【0015】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、第1の流体源は、第1の流体源ラインおよび第1の流体ポンプを介して混合チャンバに連絡する。
【0016】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、コントローラをさらに含み、コントローラは、水ポンプおよび第1の流体ポンプと動作可能に通信し、コントローラは、複数の後期希薄燃料インジェクタへと流体ラインを通る水および第1の流体の流れを調節するように構成される。
【0017】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、コントローラは、流体ラインに配置された少なくとも1つの流量制御バルブをさらに含み、少なくとも1つの流量制御バルブは、少なくとも開位置と閉位置との間の少なくとも1つの流量制御バルブの動作を可能にするためにコントローラと通信し、動作はコントローラによって引き起こされる。
【0018】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、コントローラは、流体ラインに配置された少なくとも1つの流量センサをさらに含み、少なくとも1つの流量センサは、流体ラインにおける流量を感知するためにコントローラと通信する。
【0019】
本開示の一態様は、オフラインのガスタービンエンジンを洗浄する方法を提供し、ガスタービンエンジンは、圧縮機と、燃焼器と、ガスタービンとを含み、燃焼器は、燃焼器の内部への二次燃料が供給される複数の後期希薄燃料インジェクタを含む。本方法は、水源からの水を洗浄システムの混合チャンバへと供給すること、第1の流体源からの第1の流体を洗浄システムの混合チャンバへと供給すること、水および第1の流体を混合チャンバへと供給することは、水源から水を送ることと、第1の流体源から第1の流体を送ることとを含むこと、および複数の後期希薄燃料インジェクタのうちの少なくとも1つに混合チャンバからの流体を注入することを含む。
【0020】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、第1の流体源は、洗浄剤源を含み、第1の流体は、洗浄剤を含む。
【0021】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、第1の流体源は、帯電防止液源を含み、第1の流体は、帯電防止液を含む。
【0022】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、第1の流体源は、脱塩水/脱イオン水と、マグネシウム(Mg)、イットリウム(Y)、または洗浄剤のうちの少なくとも1つとの混合物を含む。
【0023】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、本方法は、脱塩水/脱イオン水とマグネシウム(Mg)、イットリウム(Y)、または洗浄剤との混合物によって、ガスタービンエンジンの内部金属コンポーネントからバナジウムを除去することを含む。
【0024】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、本方法は、脱塩水/脱イオン水とマグネシウム(Mg)、イットリウム(Y)、または洗浄剤との混合物を、溶液として、または泡としてもたらすことを含む。
【0025】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、混合チャンバは、1つ以上の斜め対向流ノズルを含み、1つ以上の斜め対向流ノズルは、混合チャンバの中心軸線に対して斜めに混合チャンバ内へと延びており、第1の流体を斜めに混合チャンバ内の水の流れに逆らう方向に注入し、1つ以上の斜め対向流ノズルを使用して水と第1の流体とを混合することをさらに含む。
【0026】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、ガスタービンエンジンは、コントローラをさらに含み、コントローラは、水ポンプ、第1の流体ポンプ、および流体ラインと動作可能に通信し、複数の後期希薄燃料インジェクタへと流体ラインを通る水および第1の流体の流れを調節することをさらに含む。
【0027】
本開示の一態様は、ガスタービンエンジンシステムを提供する。ガスタービンエンジンシステムは、圧縮機と、燃焼器と、ガスタービンとを含むガスタービンエンジンであって、燃焼器は、燃焼器の内部への二次燃料が供給される複数の後期希薄燃料インジェクタを含んでいるガスタービンエンジンと、燃焼器の複数の後期希薄燃料インジェクタに取り付けられ、燃焼器の複数の後期希薄燃料インジェクタに流体に関して連絡するように構成された洗浄システムとを含む。洗浄システムは、水を含んでいる水源と、バナジウム灰およびバナジウム堆積物の軽減およびガスタービンの内部コンポーネントからの除去をもたらす第1の流体を含んでいる第1の流体源と、水源および第1の流体源に連絡した混合チャンバと、水を混合チャンバに送るように構成された水ポンプと、第1の流体を混合チャンバに送るように構成された第1の流体ポンプと、水、第1の流体、またはこれらの混合物を含む混合チャンバからの流体が、複数の後期希薄燃料インジェクタのうちの少なくとも1つにおいて燃焼器へと注入されるように、混合チャンバと複数の後期希薄燃料インジェクタのうちの少なくとも1つとに流体に関して連絡するように構成された流体ラインとを含み、混合物は、ガスタービンエンジンがオフラインであるときに注入される。
【0028】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、第1の流体源は、複数の後期希薄燃料インジェクタのうちの少なくとも1つにおいて燃焼器へと注入される脱塩水/脱イオン水と、マグネシウム(Mg)、イットリウム(Y)、または洗浄剤のうちの少なくとも1つとの混合物を含み、バナジウム灰形成軽減剤としての脱塩水/脱イオン水と、マグネシウム(Mg)、イットリウム(Y)、または洗浄剤のうちの少なくとも1つとの混合物は、後期希薄燃料インジェクタへともたらされ、次いで燃焼器からガスタービンへの燃焼ガスの流れによってガスタービンの内部コンポーネントへと運ばれる。
【0029】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、脱塩水/脱イオン水とマグネシウム(Mg)、イットリウム(Y)、または洗浄剤との混合物が、ガスタービンエンジンの内部金属コンポーネントからバナジウムを除去する。
【0030】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、脱塩水/脱イオン水とマグネシウム(Mg)、イットリウム(Y)、または洗浄剤との混合物は、水性として、または泡としてもたらされる。
【0031】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、混合チャンバは、1つ以上の斜め対向流ノズルを含み、1つ以上の斜め対向流ノズルは、混合チャンバの中心軸線に対して斜めに混合チャンバ内へと延びており、第1の流体を斜めに混合チャンバ内の水の流れに逆らう方向に注入するように構成されている。
【0032】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、水源は、水源ラインおよび水ポンプを介して混合チャンバに連絡する。
【0033】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、第1の流体源は、第1の流体源ラインおよび第1の流体ポンプを介して混合チャンバに連絡する。
【0034】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、独立したマイクロプロセッサベースのコントローラをさらに含み、コントローラは、水ポンプおよび第1の流体ポンプと動作可能に通信し、コントローラは、複数の後期希薄燃料インジェクタへと流体ラインを通る水および第1の流体の流れを調節するように構成される。
【0035】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、コントローラは、流体ラインに配置された少なくとも1つの流量制御バルブをさらに含み、少なくとも1つの流量制御バルブは、少なくとも開位置と閉位置との間の少なくとも1つの流量制御バルブの動作を可能にするためにコントローラと通信し、動作はコントローラによって引き起こされる。
【0036】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、コントローラは、流体ラインに配置された少なくとも1つの流量センサをさらに含み、少なくとも1つの流量センサは、流体ラインにおける流量を感知するためにコントローラと通信する。
【0037】
本開示の一態様は、オンラインのガスタービンエンジンを洗浄する方法を提供し、ガスタービンエンジンは、圧縮機と、燃焼器と、ガスタービンとを含み、燃焼器は、燃焼器の内部への二次燃料が供給される複数の後期希薄燃料インジェクタを含む。本方法は、水源からの水を洗浄システムの混合チャンバへと供給すること、バナジウム灰およびバナジウム堆積物の軽減およびガスタービンの内部コンポーネントからの除去をもたらす第1の流体源からの第1の流体を、洗浄システムの混合チャンバへと供給すること、水および第1の流体を混合チャンバへと供給することは、水源から水を送ることと、第1の流体源から第1の流体を送ることとを含むこと、およびガスタービンエンジンがオンラインであるときに複数の後期希薄燃料インジェクタのうちの少なくとも1つに混合チャンバからの流体を注入することを含む。本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、第1の流体源は、脱塩水/脱イオン水と、マグネシウム(Mg)、イットリウム(Y)、または洗浄剤のうちの少なくとも1つとの混合物を含む。
【0038】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、本方法は、脱塩水/脱イオン水とマグネシウム(Mg)、イットリウム(Y)、または洗浄剤との混合物を使用して、ガスタービンエンジンの内部コンポーネントからバナジウムを除去することを含む。
【0039】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、本方法は、脱塩水/脱イオン水とマグネシウム(Mg)、イットリウム(Y)、または洗浄剤との混合物を、水性として、または泡としてもたらすことを含む。
【0040】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、混合チャンバは、1つ以上の斜め対向流ノズルを含み、1つ以上の斜め対向流ノズルは、混合チャンバの中心軸線に対して斜めに混合チャンバ内へと延びており、第1の流体を斜めに混合チャンバ内の水の流れに逆らう方向に注入する。
【0041】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、ガスタービンエンジンは、コントローラをさらに含み、コントローラは、水ポンプ、第1の流体ポンプ、および流体ラインと動作可能に通信し、コントローラを使用して複数の後期希薄燃料インジェクタへと流体ラインを通る水および第1の流体の流れを調節することをさらに含む。
【0042】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、本方法は、適切なMg/V比で堆積したバナジウムを処理することによってバナジウム系灰成分オルトバナジン酸マグネシウム[3MgO・V]を形成することをさらに含み、オルトバナジン酸マグネシウムは、ガスタービンの動作時に溶融せず、ガスタービンの内部部品上で固体の状態のままである。
【0043】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、本方法は、追加の灰成分を形成することをさらに含み、追加の灰成分は、水溶性硫酸マグネシウム(MgSO)を含み、MgSOは、水洗浄によってガスタービンエンジンシステムから除去される。
【0044】
本開示の一態様は、ガスタービンエンジンを含むガスタービンエンジンシステムを提供する。ガスタービンエンジンは、圧縮機と、燃焼器と、ガスタービンとを含み、燃焼器は、燃焼器の内部への二次燃料が供給される複数の後期希薄燃料インジェクタを含む。ガスタービンエンジンシステムは、燃焼器の複数の後期希薄燃料インジェクタに取り付けられて流体に関して連絡するように構成された洗浄システムをさらに含む。洗浄システムは、水を供給する水源と、水を送るように構成された水ポンプと、ポリアミン腐食抑制剤を含む防食剤の供給を含む防食剤流体源と、防食剤流体源に流体に関して連絡した防食剤供給配管と、水源および防食剤源に連絡し、水供給配管および防食剤供給配管に流体に関して連絡し、水供給配管からの水および防食剤供給配管からの防食剤を受け取って、防食剤と水との混合物を含む防食混合物を生成するように構成された混合チャンバと、水を混合チャンバへと送るように構成された水ポンプと、防食剤を混合チャンバへと送るように構成された第1の流体ポンプと、水、防食剤流体、またはこれらの混合物を含む混合チャンバからの流体が、複数の後期希薄燃料インジェクタのうちの少なくとも1つにおいて燃焼器へと注入されるように、混合チャンバおよび複数の後期希薄燃料インジェクタのうちの少なくとも1つに流体に関して連絡するように構成された流体ラインとを含む。混合物は、ガスタービンエンジンがオフラインであるときに注入される。
【0045】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、ポリアミン腐食抑制剤は、有機化合物を含む。
【0046】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、ポリアミン腐食抑制剤は、2つ以上の第一級アミノ基NHを含む。
【0047】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、ポリアミン腐食抑制剤は、揮発性中和アミンを含み、揮発性中和アミンは、酸性汚染物質を中和し、混合物のpHをアルカリ性の範囲に高めるように構成され、揮発性中和アミンとの混合物は、ガスタービンの内部コンポーネント上に保護金属酸化物コーティングをもたらす。
【0048】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、ポリアミン腐食抑制剤は、シクロヘキシルアミン、モルホリン、モノエタノールアミン、N-9-オクタデセニル-1,3-プロパンジアミン、9-オクタデセン-1-アミン、(Z)-1-5、ジメチルアミンプロピルアミン(DMPA)、ジエチルアミノエタノール(DEAE)、およびこれらの組み合せのうちの少なくとも1つを含む。
【0049】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、ポリアミン腐食抑制剤は、約50ppm~約800ppmの範囲内の防食混合物中の防食剤/抑制剤の量を含む。
【0050】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、ポリアミン腐食抑制剤は、約100ppm~約500ppmの範囲内の防食混合物中の防食剤/抑制剤の量を含む。
【0051】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、混合チャンバは、1つ以上の斜め対向流ノズルを含み、1つ以上の斜め対向流ノズルは、混合チャンバの中心軸線に対して斜めに混合チャンバ内へと延びており、ポリアミン腐食抑制剤を斜めに混合チャンバ内の水の流れに逆らう方向に注入するように構成されている。
【0052】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、水源は、水源ラインおよび水ポンプを介して混合チャンバに連絡する。
【0053】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、ポリアミン腐食抑制剤源は、ポリアミン腐食抑制剤ラインおよびポリアミン腐食抑制剤ポンプを介して混合チャンバに連絡する。
【0054】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、コントローラをさらに含み、コントローラは、水ポンプおよびポリアミン腐食抑制剤ポンプと動作可能に通信し、コントローラは、複数の後期希薄燃料インジェクタへと流体ラインを通る水とポリアミン腐食抑制剤との混合物の流れを調節するように構成される。
【0055】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、コントローラは、流体ラインに配置された少なくとも1つの流量制御バルブをさらに含み、少なくとも1つの流量制御バルブは、少なくとも開位置と閉位置との間の少なくとも1つの流量制御バルブの動作を可能にするためにコントローラと通信し、動作はコントローラによって引き起こされる。
【0056】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、コントローラは、流体ラインに配置された少なくとも1つの流量センサをさらに含み、少なくとも1つの流量センサは、流体ラインにおける流量を感知するためにコントローラと通信する。
【0057】
本開示の一態様は、オフラインのガスタービンエンジンを洗浄する方法を提供する。ガスタービンエンジンは、圧縮機と、燃焼器と、ガスタービンとを含み、燃焼器は、燃焼器の内部への二次燃料が供給される複数の後期希薄燃料インジェクタを含む。本方法は、水源からの水を洗浄システムの混合チャンバへと供給すること、ポリアミン腐食抑制剤を含む防食剤を、防食剤流体源から、防食剤流体源に流体に関して連絡した防食剤供給配管を介して、混合チャンバへと供給すること、水および防食剤流体を混合チャンバへと供給することは、水源から水を送ることと、防食剤流体源から防食剤流体を送ることとを含み、混合チャンバは、水供給配管からの水と、防食剤供給配管からの防食剤流体とを受け取り、防食剤流体と水との混合物を含む防食混合物を生成するように構成されていること、およびガスタービンエンジンがオフラインであるときに、複数の後期希薄燃料インジェクタのうちの少なくとも1つに混合チャンバからの防食混合物を注入することを含む。
【0058】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、ポリアミン腐食抑制剤は、有機化合物を含む。
【0059】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、ポリアミン腐食抑制剤は、2つ以上の第一級アミノ基NHを含む。
【0060】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、ポリアミン腐食抑制剤は、揮発性中和アミンを含み、揮発性中和アミンは、酸性汚染物質を中和し、混合物のpHをアルカリ性の範囲に高めるように構成され、揮発性中和アミンとの混合物は、ガスタービンの内部コンポーネント上に保護金属酸化物コーティングをもたらすことができる。
【0061】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、ポリアミン腐食抑制剤は、シクロヘキシルアミン、モルホリン、モノエタノールアミン、N-9-オクタデセニル-1,3-プロパンジアミン、9-オクタデセン-1-アミン、(Z)-1-5、ジメチルアミンプロピルアミン(DMPA)、ジエチルアミノエタノール(DEAE)、およびこれらの組み合せのうちの少なくとも1つを含む。
【0062】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、混合チャンバは、1つ以上の斜め対向流ノズルを含み、1つ以上の斜め対向流ノズルは、混合チャンバの中心軸線に対して斜めに混合チャンバ内へと延びており、第1の流体を斜めに混合チャンバ内の水の流れに逆らう方向に注入する。
【0063】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、ガスタービンエンジンは、コントローラをさらに含み、コントローラは、水ポンプおよび第1の流体ポンプと動作可能に通信し、本方法は、複数の後期希薄燃料インジェクタへと流体ラインを通る水および防食剤の流れをコントローラによって調節することを含む。
【0064】
この「発明の概要」の項に記載した態様を含む本開示に記載の2つ以上の態様を組み合わせて、本明細書に具体的には記載されない実施態様を形成することが可能である。
【0065】
1つ以上の実施態様の詳細が、添付の図面および以下の説明に示される。他の特徴、目的、および利点は、本明細書および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0066】
本開示のこれらの特徴および他の特徴は、本開示の種々の態様についての以下の詳細な説明を、本開示の種々の実施形態を図示する添付の図面と併せて検討することで、より容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1】本開示の実施形態による圧縮機と、燃焼器と、タービンと、負荷とを含むガスタービンエンジンシステムの概略図である。
図2】本開示の実施形態による圧縮機、燃焼器、およびタービンの一部分を示す図1のガスタービンエンジンシステムの一部分の部分斜視図である。
図3】本開示の実施形態によるガスタービンエンジンと、後期希薄インジェクタと、洗浄システムと、システムコントローラとを含むガスタービンエンジンシステムの概略図である。
図4】本開示の実施形態による燃焼器の後期希薄インジェクタへとつながる洗浄システムの概略図である。
図5】本開示の実施形態による洗浄システムにおいて使用することができる混合チャンバおよび関連の供給ラインの詳しい概略図である。
図6】本開示の実施形態による洗浄システムの詳細を示す概略図である。
図7】本開示の実施形態によるガスタービンエンジンシステム用の洗浄システムによって実行することができる洗浄方法のフローチャート(流れ図)である。
図8】本開示の実施形態によるガスタービンエンジンシステム用の洗浄システムによって実行することができる洗浄方法のフローチャート(流れ図)である。
図9】本開示の実施形態によるガスタービンエンジンシステム用の洗浄システムによって実行することができる洗浄方法のフローチャート(流れ図)である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
本開示の図面が、必ずしも縮尺どおりではないことに留意されたい。図面は、本開示の典型的な態様のみを図示することを意図しており、したがって、本開示の範囲を限定するものと考えられるべきではない。図面において、同様の番号は、図面間で同様の要素を表す。
【0069】
最初の問題として、本開示の主題を明瞭に説明するために、これに限られるわけではないがガスタービンエンジンシステムなどのタービンシステムの関連の機械コンポーネントを参照して説明するときに、特定の専門用語を選択することが必要になる。可能な限り、一般的な工業専門用語が、その一般的に受け入れられている意味に矛盾しないやり方で使用および利用される。別途記載のない限り、このような専門用語に、本出願の文脈および添付の特許請求の範囲の技術的範囲に矛盾しない広義の解釈が与えられるべきである。当業者であれば、多くの場合に、特定のコンポーネントがいくつかの異なる用語または重複する用語を使用して言及される可能性があることを、理解できるであろう。本明細書において単一の部品であるとして説明され得る内容が、複数のコンポーネントを含んでもよく、あるいは別の文脈において複数のコンポーネントで構成されるものとして言及されてもよい。あるいは、本明細書において複数のコンポーネントを含むものとして説明され得る内容が、他の場所では単一の部品として言及されてもよい。
【0070】
また、いくつかの記述的用語が本明細書において繰り返し使用される場合があり、それらの用語を本項の始めにおいて定義することが有用であると分かるはずである。それらの用語およびそれらの定義は、別途記載のない限り、以下のとおりである。本明細書において使用されるとき、「下流」および「上流」は、タービンエンジンを通る作動流体などの流体の流れや、例えば燃焼器を通る空気またはタービンのコンポーネントシステムのうちの1つを通る冷却剤の流れに対する方向を示す用語である。「下流」という用語は、流体の流れの方向に対応し、「上流」という用語は、流れとは反対の方向(すなわち、流れの起源の方向)を指す。「前方」および「後方」という用語は、別途指定のない限り、方向を指し、「前方」はエンジンの前端または圧縮機端を指し、「後方」はターボ機械の後部を指す。
【0071】
多くの場合に、中心軸線に対して異なる半径方向位置に配置された部品を説明することが必要になる。「半径方向」という用語は、軸線に垂直な移動または位置を指す。例えば、第1のコンポーネントが第2のコンポーネントよりも軸線に近接して位置している場合、本明細書において、第1のコンポーネントが第2のコンポーネントの「半径方向内側」または「内側寄り」にあると述べられる。他方で、第1のコンポーネントが第2のコンポーネントよりも軸線から遠くに位置する場合、本明細書において、第1のコンポーネントは第2のコンポーネントの「半径方向外側」または「外側寄り」にあると述べることができる。「軸線方向」という用語は、軸線に平行な移動または位置を指す。最後に、「円周方向」という用語は、軸線周りの移動または位置を指す。このような用語を、タービンの中心軸線に関連して適用できることを、理解できるであろう。
【0072】
加えて、以下に記載されるように、いくつかの記述的用語が本明細書において繰り返し使用され得る。「第1の」、「第2の」、および「第3の」という用語は、或るコンポーネントを別のコンポーネントから区別するために取り替え可能に使用することができ、個々のコンポーネントの場所または重要性を示すことを意図していない。
【0073】
本明細書において使用される専門用語は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書において使用されるとき、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「この(the)」は、文脈からそのようでないことが明らかでない限り、複数形も含むことを意図している。さらに、「・・・を備える(comprise)」および/または「・・・を備えている(comprising)」という用語が、本明細書において使用されるとき、そこで述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/またはコンポーネントが存在することを規定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではないことを、理解できるであろう。「随意の」または「随意による」は、これに続けて述べられる事象または状況が生じても、生じなくてもよいこと、あるいはこれに続けて述べられるコンポーネントまたは要素が存在しても、存在しなくてもよいことを意味し、この記述が、事象が生じ、あるいはコンポーネントが存在する事例、ならびに事象が生じず、あるいはコンポーネントが存在しない事例を含むことを意味する。
【0074】
或る要素または層が別の要素または層に対して「上にある」、「係合している」、「接続されている」、または「結合している」と言及される場合、他の要素または層に対して直接に上にあり、係合し、接続され、あるいは結合しても、介在する要素または層が存在してもよい。対照的に、或る要素が別の要素または層に対して「直接に上にある」、「直接に係合している」、「直接に接続されている」、または「直接に結合している」と言及される場合、介在する要素または層は存在しなくてもよい。要素間の関係を説明するために使用される他の語も、同様のやり方で解釈されるべきである(例えば、「~の間に」と「直接に~の間に」、「~に隣接して」と「直接に~に隣接して」、など)。本明細書において使用されるとき、「および/または」という用語は、関連して列挙された項目のうちの1つ以上からなるありとあらゆる組み合せを含む。
【0075】
ガスタービン燃料は、天然ガスおよび高品質の液体留出燃料から、原油および低グレードの製油所残留物ならびに製鋼などの何らかのプロセスからの可燃性残留ガスにまで及ぶことができる。一部のガスタービン燃料に関して、ガスタービンの効率および効果的な動作に必要な添加剤が存在し得る。添加剤は、燃料の種類ならびにガスタービンに進入するあらゆる起源からの汚染物質の性質および量に基づき、さまざまであり得る。さらに、これらに限られるわけではないが焼成温度および相手先商標製品製造会社(OEM)の仕様など、添加剤の選択のためのさらなる因子も考慮される。
【0076】
多くの燃料添加剤は、ガスタービンの高温ガス経路部分のコンポーネントの高温腐食および灰の付着を抑制するように意図される。いくつかの異なる腐食機構が、燃焼の最中に発生する可能性があり、一般に、低融点の灰堆積物の形成に起因し得る。これらの灰堆積物は、ガスタービン燃料中の微量の金属不純物に由来し得る。例えば、これらに限られるわけではないが原油および残留グレード燃料油などの重油(HFO)は、典型的には、或る量のバナジウム(V)を含有する。バナジウムは、石油の天然に存在する成分である。
【0077】
燃焼中に、バナジウムを含む燃料は、バナジウム系灰堆積物を生成する可能性がある。バナジウム系灰堆積物は、主に五酸化バナジウム(V)で形成され、約675℃(1247°F)の「低い」融点を有する。典型的なガスタービン動作温度において、バナジウム系灰堆積物は溶融する。溶融したバナジウム系灰堆積物は、ガスタービンの高温ガス経路のコンポーネントの表面酸化速度を加速する可能性がある。ガスタービンの高温ガス経路のコンポーネントは、これらに限られるわけではないが、燃焼ライナ、移行ピース、タービンノズル、タービンブレード、およびタービンベーンを含む。鉛および亜鉛などの他の微量の金属不純物も、同様の機構によって高温腐食を開始させる可能性がある。
【0078】
アルカリ金属不純物、すなわちナトリウム(Na)およびカリウム(K)も、硫化腐食として知られる高温腐食を引き起こす可能性がある。硫化腐食は、燃料硫黄との反応による硫酸ナトリウムの形成を伴う。硫化腐食は、冶金学的に望ましくないガスタービンの高温ガス経路のコンポーネントの粒間孔食をもたらす。
【0079】
とりわけ中東などの特定の地域において、バナジウムおよびナトリウム不純物が、燃料において一般的である。したがって、より低い融点の灰堆積物が、この地域においてガスタービンシステムに容易に形成される可能性がある。したがって、これらの地域からの未処理の、または添加剤を含まないガスタービン燃料では、ガスタービンシステムにおける高温腐食のリスクが増加する。
【0080】
ナトリウム塩およびカリウム塩は水溶性であり、現場での処理プロセスによって除去することが可能である(あるいは、少なくとも許容される仕様限界内まで低減可能である)。これらの現場での処理プロセスは、「燃料洗浄」として知られている。
【0081】
蒸留物グレードの燃料は、典型的には、ガスタービン発電プラントにおいて洗浄されることがない。蒸留物グレードの燃料は、多くの場合に、これに限られるわけではないがナトリウム汚染物質などの或る量の汚染を含んでもたらされる。さらに、バナジウムおよび他の油溶性の微量金属は、燃料洗浄によって除去することが不可能である。これに限られるわけではないがバナジウム汚染物質などの一部の汚染物質を除去するための腐食抑制のプロセスおよび処理が、本明細書に記載のように、化学添加剤を使用して達成されなければならない可能性がある。
【0082】
液体燃料は、灰形成不純物または汚染物質の唯一の起源ではない。ナトリウム塩および他の汚染物質が、ガスタービン燃料中に見られ、したがってさまざまなやり方でガスタービンエンジンシステムに進入する可能性がある。汚染物質は、ガスタービン燃料、圧縮機の吸気、チッ素酸化物(NOx)の抑制のために注入され得る水および蒸気、出力増強ステップ、および/または他のそのような起源からガスタービンエンジンシステムに進入する可能性がある。したがって、燃料以外の起源からの汚染物質のリスクも、ガスタービンエンジンシステムの用途において考慮されるべきである。
【0083】
マグネシウム(Mg)を含む燃料添加剤を使用して、バナジウム系灰堆積物およびバナジウム系酸化を抑制することができる。マグネシウムは、バナジウム系灰組成物を改質し、バナジウム系灰の融点を高めることができ、これは、溶融バナジウムが問題を引き起こす可能性を低減する。適切なマグネシウム対バナジウム(Mg/V)処理比でのVとの組み合せによって、オルトバナジン酸マグネシウム[3MgO・V]が新たな灰成分として形成される。3MgO・Vは、約1243℃(2269°F)の高い融点を有する。したがって、3MgO・Vによれば、ガスタービンエンジンシステムのバナジウム系灰腐食が制限および抑制される。燃焼灰としてのバナジウム系灰が溶融せず、ガスタービンのブレードおよびベーン上で固体の状態のままであることを保証することによって、バナジウム系灰腐食を低減することができる。
【0084】
ガスタービン燃料中の硫黄との反応により、3MgO・Vの形成によるマグネシウム抑制機構は、追加の灰成分として硫酸マグネシウム(MgSO)も生じさせる。MgSOは水溶性である。したがって、MgSOは、ガスタービンの高温ガス経路のコンポーネントの定期的な水洗浄による燃焼灰の除去を容易にする。燃焼灰の除去は、ガスタービンの高温ガス経路のコンポーネント上の灰形成に起因して失われた可能性がある出力の回復を可能にすることができる。
【0085】
ガスタービン燃料用のクロム(Cr)添加剤が、これらに限られるわけではないがナトリウムおよびカリウムなどのアルカリ金属汚染物質によって促進される硫化腐食を抑制することができる。クロム添加剤は、灰の付着を低減することも示されている。クロム添加剤の灰付着の低減は、高温ガス経路のコンポーネントに堆積することなくガスタービンを通過する汚染物質との揮発性化合物の形成を含むことができる。さらに、添加剤は、クロムを単独で含むことができ、あるいはマグネシウムおよび他の成分と組み合わせて含むことができる。ケイ素(Si)を含有する添加剤を添加して、ガスタービンシステムの高温ガス経路のコンポーネントからのさらなる腐食保護および灰の砕けやすさの向上をもたらすこともできる。
【0086】
マグネシウム添加剤は、スルホン酸塩タイプの化学的性質である。灰形成におけるスルホン酸塩タイプの化学的性質は、加水分解に抵抗する。水がスルホン酸塩灰形成物と接触することによるスルホン酸塩タイプの添加剤のゲル形成の傾向は、きわめて低い。したがって、スルホン酸塩タイプの化学的性質の添加剤は、これらに限られるわけではないがフィルタ、分流器、ノズル、ブレード、および/または燃料ノズルなどのガスタービンシステムのコンポーネントの詰まりを軽減することができる。
【0087】
スルホン酸塩タイプの添加剤は、燃焼時の高い反応性も可能にする。高い反応性は、バナジウム抑制の最中のマグネシウムのより効率的な消費を可能にすることができる。この高い反応性は、スルホン酸塩タイプの添加剤のきわめて小さい粒径に起因している可能性があり、スルホン酸塩タイプの添加剤の粒径は、カルボン酸マグネシウム(C1012MgN)の粒子よりも約5倍小さい。したがって、スルホン酸マグネシウム添加剤をガスタービン燃料に安全に添加することができ、これにより、過剰な処理を伴わずに保護を保証することができる。
【0088】
本出願において使用されるとき、「オフライン洗浄」は、ガスタービンが外部クランクによって回転し、ガスタービンがクランキング速度を使用して冷却された状態にある場合である。ガスタービンは、オフラインであるとき、燃料を燃焼させておらず、あるいは出力を供給していない。対照的に、本開示によって具現化されるように、オンラインでのプロセスは、ガスタービンが動作温度にあり、燃料を燃焼させ、出力を供給している状態で行われる。
【0089】
ここで図面を参照すると、いくつかの図面を通して類似の番号は類似の要素を示しているが、図1が、本開示によって具現化されるガスタービンエンジンシステムまたはガスタービンエンジンシステム10の概略図を示している。ガスタービンエンジンシステム10は、圧縮機15を含むことができる。圧縮機15は、到来する空気20の流れを、空気20が入口フィルタハウス15’を通って流れた後に圧縮する。圧縮機15は、圧縮された空気20の流れを燃焼器25へともたらす。燃焼器25は、圧縮された空気20の流れを加圧された燃料30の流れと混合し、混合物を燃焼させて燃焼ガス35の流れを生じさせる。燃焼器25が1つだけ示されているが、ガスタービンシステム10は、任意の数の燃焼器25を含んでよい。次いで、燃焼ガス35の流れは、ガスタービン40へともたらされる。燃焼ガス35の流れは、ガスタービン40を駆動して、機械的な仕事を生み出す。ガスタービン40で生み出された機械的な仕事は、シャフト45を介して圧縮機15を駆動し、これに限られるわけではないが発電機などの外部負荷50を駆動する。
【0090】
ガスタービン燃料は、天然ガスおよび高品質の液体留出燃料から、原油および低グレードの製油所残留物にまで及ぶことができる。ガスタービンエンジンシステム10は、ニューヨーク州SchenectadyのGeneral Electric Companyが提供する多数のさまざまなガスタービンエンジンのうちの任意の1つであってよく、例えば、これらに限られるわけではないが、7シリーズまたは9シリーズのヘビーデューティガスタービンエンジン、HAガスタービンエンジンなどのHクラスシリーズのヘビーデューティガスタービンエンジン、などであってよい。ガスタービンエンジン10は、さまざまな構成を有することができ、他の種類のコンポーネントを使用していてもよい。本明細書において、他のガスタービンエンジンを使用することもできる。複数のガスタービンエンジン、他の種類のタービン、および他の種類の発電設備も、本明細書に記載される実施形態の範囲内である。
【0091】
図2が、ガスタービンエンジンシステム10などで使用することができる圧縮機15の一例である。圧縮機15は、いくつかの段55を含むことができる。18個の段55が示されているが、任意の数の段55を使用することができる。各々の段55は、円周方向に並べられたいくつかの回転ブレード60を含む。任意の数のブレード60を使用することができる。ブレード60は、ロータホイール65に取り付けられてよい。ロータホイール65を、シャフト45(図1)と一緒に回転するようにシャフトに結合させることができる。さらに、各々の段55は、円周方向に並べられたいくつかの固定ベーン67を含むことができる。任意の数のベーン67を使用することができる。ベーン67を、外側ケーシング70の内部に取り付けることができる。外側ケーシング70は、ベルマウス75からガスタービン40に向かって延びてよい。したがって、空気20の流れ(図1)は、ベルマウス75の周りで圧縮機15に進入し、段55のブレード60およびベーン67を通って圧縮され、燃焼器25(図1)へと流れる。ベルマウス75に、水および/または洗浄剤を圧縮機の段55のブレード60およびベーン67に適用するための水洗浄注入ノズル(理解を容易にするため、および分かりやすくするために、図示されていない)を設けることができる。しかしながら、水および/または洗浄剤は、圧縮機15の段55のすべてのブレード60およびベーン67に流れなくてもよい。さらに、圧縮機水洗浄システムは、これらに限られるわけではないが第1段ノズル(S1N)および第2段ノズル(S2N)を含む高温ガス経路のコンポーネントなどのガスタービンコンポーネントならびに汚染を被る可能性があるガスタービン40(図1)の関連のホイールスペース空洞への直接の経路を提供しない。したがって、本開示によって具現化されるように、これらに限られるわけではないが第1段ノズル(S1N)および第2段ノズル(S2N)を含む高温ガス経路のコンポーネントなどのガスタービンコンポーネントならびに関連のホイールスペース空洞を洗浄するための注入点の提供を、注入をガスタービン自体のより近くに配置することによって得ることができる。
【0092】
図3を参照すると、燃焼器25は、燃料回路によって供給される第1の燃料を燃焼させることができる第1の内部21と、ガスタービン40への移行ゾーン43とを含む。ガスタービン40は、少なくとも燃焼の生成物を受け取ってタービンブレードを回転させることができる各段の回転するタービンブレードおよびノズルを含む。移行ゾーン43は、燃焼器25をタービン40に流体に関して結合させる。移行ゾーン43は、燃焼を促進するために第2の燃料が供給される第2の内部41を含む。図示のように、燃焼器25および移行ゾーン43は、互いに組み合わさって、おおむねヘッドエンド11の形態を有する。
【0093】
図3に示されるように、ヘッドエンド11は、複数の予混合ノズル12を含むことができる。しかしながら、他のヘッドエンド11の構成も可能である。他のヘッドエンド11の構成のいくつかの変種は、後期希薄注入(LLI)または軸線方向燃料多段化(AFS)燃焼器(燃料インジェクタ60において燃焼器25へと注入される二次燃料に関連して以下で説明される)に互換であってよい。この説明の目的において、LLIおよびAFSは類似しており、等価である。LLI互換の燃焼器は、約2500°Fまたは約1370℃を超える出口温度を有する燃焼器、あるいは10ミリ秒(ms)を超える高温側滞留時間でメタンよりも反応性の高い成分を有する燃料を取り扱う燃焼器である。
【0094】
複数の後期希薄燃料インジェクタ60が、移行ゾーン43の外壁または移行ゾーン43の周りのスリーブ42の外壁によって構造的に支持され、第2の内部41へとさまざまな深さまで延びる。この構成において、燃料インジェクタ60を、後期希薄注入(LLI)燃料多段化能力を提供するように構成することができる。すなわち、燃料インジェクタ60の各々が、例えば支配的な流れの方向をおおむね横断する方向の燃料注入によって、第2の内部41に第2の燃料(すなわち、LLI燃料)を供給するように構成される。燃料インジェクタ60は、このようにして、軸線方向における単一の段、軸線方向における複数の段、軸線方向における単一の周状の段、および/または軸線方向における複数の周状の段のいずれか1つにて、移行ゾーン43を通って燃料を注入することができる。このようにして、燃焼器25および移行ゾーン43の内部の条件が、安定した燃焼の局所的領域を生じるように多段化される。
【0095】
本開示によって具現化されるように、一態様は、単一の燃料インジェクタ60を動作させることを含む軸線方向における単一の段を提供する。あるいは、軸線方向における複数の段を、移行ゾーン43の軸線方向における複数の位置で動作させることができる。さらに、いくつかの実施形態は、軸線方向における単一の周状の段が、移行ゾーン43の軸線方向における単一の位置の円周を巡って配置された燃料インジェクタ60を動作させることを含むことができる。他の実施形態は、軸線方向における複数の周状の段が、軸線方向における複数の位置において移行ゾーン43の円周を巡って配置された燃料インジェクタ60を動作させることを含むことができる。
【0096】
ここで、複数の燃料インジェクタ60が移行ゾーン43の円周を巡って配置される場合、燃料インジェクタ60は、互いに実質的に均一な間隔であっても、不均一な間隔であってもよい。これに限られるわけではない例示として、8つまたは10個の燃料インジェクタ60を特定の周状の段に配置することができ、例えば2つ、3つ、4つ、または5つ以上の燃料インジェクタ60が、移行ゾーン43を巡ってさまざまな互いの隔たりの程度で組み込まれてよい。また、複数の燃料インジェクタ60が移行ゾーン43の軸線方向における複数の段に配置される場合、燃料インジェクタ60は、互いに一列に並べられ、かつ/または互い違いにされてよい。
【0097】
ガスタービンエンジンシステム10の動作中に、各々の燃料インジェクタ60を、軸線方向における単一の段、軸線方向における複数の段、軸線方向における単一の周状の段、および軸線方向における複数の周状の段のうちの1つを形成するために、一緒にまたは別々に作動させ、あるいは停止させることができる。したがって、実施形態の一態様において、燃料インジェクタ60の各々に、対応する燃料インジェクタ60と燃料回路との間に配置された燃料インジェクタ60のポートまたはバルブ61(以下では、「バルブ」61)によってLLI燃料を供給することができる。バルブ61は、バルブ61を開閉することによって対応する燃料インジェクタ60を作動または停止させるバルブ61への信号を送信するコントローラ80と信号を通信する。
【0098】
したがって、各々の燃料インジェクタ60を同時に作動させる場合(すなわち、軸線方向における複数の周状の段)、コントローラ80は、各々のバルブ61を開くべく信号を送ることにより、各々の燃料インジェクタ60を作動させる。反対に、移行ゾーン43の軸線方向における特定の段の各々の燃料インジェクタ60を作動させる場合(すなわち、軸線方向における単一の周状の段)、コントローラ80は、コントローラ80からの電気信号をバルブ60、61への対応する調整に変換するように構成された要素(例えば、これに限られるわけではないが、電気機械トランスデューサ)を含む。各々のバルブ61への信号は、軸線方向における単一の周状の段の燃料インジェクタ60のみに対応して、各々の燃料インジェクタ60を開くことによって作動させることができる。当然ながら、この制御システムは単なる例示であり、燃料インジェクタの構成の複数の組み合せが可能であり、燃料インジェクタ60のうちの少なくとも1つの作動および停止を制御するための他のシステムおよび方法が利用可能と理解される。
【0099】
本開示の別の態様によれば、タービン40が燃焼器25に両者の間に介在する移行ゾーン43によって流体に関して結合したガスタービンエンジンシステム10を動作させる方法が提供される。この方法は、燃焼器25内の第1の内部21に第1の燃料を供給するステップと、燃焼器25内の第1の内部21において第1の燃料を燃焼させるステップと、軸線方向における単一の段、軸線方向における複数の段、軸線方向における単一の周状の段、および軸線方向における複数の周状の段のうちのいずれか1つで、移行ゾーン43内の第2の内部41に第2の燃料を供給するステップと、移行ゾーン内の第2の内部41において、第2の燃料および第1の内部21から受け取った燃焼生成物の流れを燃焼させるステップと、を含む。
【0100】
軸線方向における単一の段での第2の内部41への第2の燃料の供給は、単一の燃料インジェクタ60を作動させることを含むことができる。軸線方向における複数の段での第2の内部41への第2の燃料の供給は、移行ゾーン43の軸線方向における複数の位置にそれぞれ配置された複数の燃料インジェクタ60を作動させることを含むことができる。また、軸線方向における単一の周状の段での第2の内部41への第2の燃料の供給は、移行ゾーン43の軸線方向における単一の位置において移行ゾーン43の円周を巡ってそれぞれ配置された複数の燃料インジェクタ60を作動させることを含む。さらに、軸線方向における複数の周状の段での第2の内部41への第2の燃料の供給は、移行ゾーン43の軸線方向における複数の位置において移行ゾーン43の円周を巡って配置された複数の燃料インジェクタ60を作動させることを含む。
【0101】
図4が、本開示によって具現化される洗浄システム100を示している。洗浄システム100は、水源110を含むことができる。水源110は、任意のサイズ、形状、または構成を有することができる。水源110は、或る量の水120を含むことができる。洗浄システム100は、洗浄剤源130をさらに含むことができる。洗浄剤源130は、任意のサイズ、形状、体積、または他の構成を有することができる。洗浄剤源130は、洗浄剤140の供給を含むことができる。洗浄剤140は、任意の種類の洗浄液であってよい。洗浄剤140を、水120で所定の割合にて希釈することができる。
【0102】
実施形態の別の態様において、洗浄システム100は、化学物質源150をさらに含むことができる。化学物質源150は、任意のサイズ、形状、または構成を有することができる。特定の実施形態において、化学物質源150は、或る量の帯電防止液160を含むことができる。帯電防止液160は、任意の種類の帯電防止流体であってよい。帯電防止液160を、水120で所定の割合にて希釈することができる。水源110、洗浄剤源130、および/または化学物質源150は、全体または一部が洗浄スキッド165上に配置されてよい。洗浄スキッド165は、移動可能であってよく、任意のサイズ、形状、または構成を有することができる。本明細書において、他のコンポーネントおよび他の構成が使用されてもよい。各々の源110、130、および150は、一般に「源」と呼ばれ、これらに限られるわけではないが水源110、洗浄剤源130、および溶液または化学物質源150であるなど、特定の洗浄物質をもたらすことができる。各々の源110、130、および150は、源の内容レベルの表示をもたらすためのレベルセンサ(図3には示されておらず、図6を参照)を含むことができる。さらに、本明細書において使用されるとき、源110、130、および150は、一般に「源」と呼ばれても、あるいは、そこに含まれてよい洗浄物質の詳細に関して呼ばれてもよい。
【0103】
洗浄システム100は、混合チャンバ170をさらに含むことができる。混合チャンバ170を、洗浄剤140を水120と混合し、あるいは帯電防止液160を水120と混合するために使用することができる。流体の他の組み合せも使用することができる。非希釈流体も本明細書において使用することができる。図5が、非限定的な例示の混合チャンバ170を示している。混合チャンバ170は、洗浄剤140および/または帯電防止液160あるいは他の種類の二次流の流れのための斜め対向流ノズル180のうちの1つ以上を含むことができる。洗浄剤140または帯電防止液160の流れを、流入する水または他の種類の一次流の流れへと、斜め対向流ノズル180を介し、正反対ではなく、あるいは逆らう角度で注入して、可動部品を使用することなく良好に混合することができる。水120の流れと比較してより高い圧力で洗浄剤140または帯電防止液160の流れを注入することによって、効果的な混合をもたらすことも可能である。混合チャンバ170は、任意のサイズ、形状、または構成を有することができる。1つ以上の斜め対向流ノズル180は、混合チャンバ170の中心軸線に対して斜めに混合チャンバへと延び、第1の流体を混合チャンバ170内の水の流れに逆らう方向に斜めに注入するように構成されてよい。
【0104】
図4に示されるように、水源110は、水ライン190を介して混合チャンバ170に連通することができる。水ライン190は、水ポンプ200を有することができる。水ポンプ200は、例えば従来からの設計であってよい。水ライン190は、1対の水ライン分離バルブ210を有することができる。洗浄剤源130は、洗浄剤ライン220を介して混合チャンバ170に連通することができる。洗浄剤ライン220は、洗浄剤ポンプ230を有することができる。洗浄剤ポンプ230は、例えば従来からの設計であってよい。洗浄剤ライン200は、1対の洗浄剤ライン分離バルブ240を有することができる。帯電防止液源160は、耐電防止液ライン250を介して混合チャンバ170に連通することができる。耐電防止液ライン250は、耐電防止液ポンプ260を有することができる。耐電防止液ポンプ260は、従来からの設計であってよい。耐電防止液ライン250は、1対の耐電防止液ライン分離バルブ270を有することができる。本明細書において、他のコンポーネントおよび他の構成が使用されてもよい。
【0105】
さらに、洗浄システム100は、導管またはライン340、すなわち混合チャンバ170からの出力ラインを含むことができる。この例において、図3および図4に関して、ライン340は、スキッド165から燃焼器25の後期希薄注入(軸線方向燃料多段化)のためのバルブ61のうちの1つ以上につながる。したがって、水120、洗浄剤140、帯電防止液160、および不動態化液(後述)のうちの少なくとも1つなどの洗浄物質を、燃焼器25に供給することができる。後期希薄注入のためのバルブ61において燃焼器25に供給されるとき、洗浄物質は、ガスタービン40の高温ガス経路コンポーネント、とくにはガスタービン40のS1Nに近接する。したがって、洗浄液、洗浄剤溶液、帯電防止液、および不動態化液の物質のうちの少なくとも1つが、燃焼ガス35(図1)の流れを介してガスタービン40の後期希薄インジェクタバルブ61(図4)に進み、これらに限られるわけではないがガスタービン40のブレードおよびノズルを含むガスタービン40のコンポーネントに作用し、これらを洗浄することができる。
【0106】
図4および図6に関して、洗浄コントローラ380が、洗浄システム100を動作させることができる。洗浄コントローラ380は、水120、洗浄剤140、帯電防止液160、および/または不動態化液(後述)のうちの少なくとも1つを適切な比にて混合チャンバ170に供給し、次いで燃焼器25に供給することができる。洗浄コントローラ380は、(以下で説明されるような)任意の種類のプログラマブル論理デバイスであってよく、ガスタービンエンジンシステム10の全体的な制御システムと通信でき、あるいはその一部であってよい。具体的には、洗浄コントローラ380は、本明細書で説明されるように、バルブの連動、流体のレベル、ポンプの動作、接続信号、流量センサ、温度、圧力、タイミング、などを制御することができる。本明細書において、さまざまな種類のセンサ(例えば、これらに限定されないが、温度計、流量計、圧力センサ、など)を使用して、洗浄コントローラ380にフィードバックをもたらすことができる。本明細書における洗浄コントローラ380および動作パラメータへのアクセスは、適切な洗浄およびカバレッジを保証するために制限されてもよい。
【0107】
使用時に、流体源110、130、150を有する洗浄スキッド165は、ガスタービンエンジンシステム10(図1)に隣接して位置することができる。あるいは、流体源110、130、150は、全体または一部が、ガスタービンエンジンシステム10の近傍により恒久的に配置されてもよい。
【0108】
実施形態の特定の態様において、洗浄コントローラ380は、洗浄剤130に対する水120の比を決定することができる。洗浄コントローラ380は、水ポンプ200および/または洗浄剤ポンプ250を作動させて、対応する量の水120および洗浄剤140を混合チャンバ170へと送ることができる。混合チャンバ170からの洗浄剤/水混合物の一部は、結果的にガスタービン40のS1Nへと流れるように、導管またはライン340を通って燃焼器25のバルブ61のうちの1つ以上との接続部に流れることができる。流れは、オフラインのガスタービン40において、ガスタービン40がクランキング力の下で燃焼器25からガスタービン40への流れを可能にしている状態で生じることができる。また、導管またはライン340を通る混合物の流れは、ガスタービン40がオンラインであるときに、混合物が燃焼ガス35と一緒にガスタービン40へと流れることで生じることができる。次いで、洗浄コントローラ380は、ひとたび所定量の洗浄剤/水混合物390が燃焼器25のバルブ61へと注入されると、ポンプ200、230をオフにすることができる。洗浄コントローラ380は、要求があれば、水ポンプ200を再び作動させて、水によるすすぎをもたらすことができる。すすぎにおける水120の量は、さまざまであってよい。
【0109】
洗浄システム100は、例えば第1段および第2段ノズル(S1N)(S2N)ならびに関連のホイールスペース空洞の洗浄および処理を含むガスタービン40に供給される貫通バルブ61を含む燃焼器25全体にわたる洗浄および帯電防止液160の適用の改善をもたらすことができる。帯電防止液160のカバレッジを高めることにより、ガスタービンブレードならびに固定ノズルへの静電気による物質の引き寄せを抑制する能力を向上させて、灰汚染物質などの付着物の形成の傾向を低減することができる。帯電防止カバレッジは、水洗浄によって回復されたガスタービンの動作ゲインを、より長期間にわたって提供することができる。したがって、ガスタービンエンジンシステム10の持続可能な性能特性を改善することができる。さらに、洗浄システム100は、燃焼器25の既存のLLI(軸線方向燃料多段化)配管を使用し、したがって再構成または後付けが不要である。
【0110】
さらに、洗浄システム100は、第1段および第2段ノズル(S1NおよびS2N)ならびに関連のホイールスペース空洞を含むガスタービン40への適切なカバレッジを保証するために、帯電防止液160の注入の速度および量を制御する能力を提供することができる。洗浄コントローラ380は、燃焼器25へともたらされ得る洗剤/水混合物および/または帯電防止液/水混合物の比および量を変化させることができる。
【0111】
本開示の実施形態は、燃焼器25、ガスタービン40、とりわけガスタービン40の第1段および第2段ノズル(S1NおよびS2N)ならびに関連のホイールスペース空洞のオフライン洗浄を提供することができる。図6を参照すると、同様の参照番号は同様の要素を指しており、それらの要素のさらなる説明は、明瞭さおよび簡潔さのために省略され、ガスタービンエンジンシステム10の概略図が、洗浄システム100と共に示されている。本開示によって具現化されるオフライン洗浄は、ガスタービン40の第1段および第2段ノズル(S1NおよびS2N)ならびに関連のホイールスペース空洞に酸化防止の洗浄を提供する。洗浄システム100は、後期希薄注入(軸線方向燃料多段化)バルブ61を介して燃焼器25に注入される洗浄システム100からの脱塩水/脱イオン水と、本明細書に記載のとおりのバナジウム軽減のためのマグネシウム(Mg)、イットリウム(Y)、または洗浄剤のうちの少なくとも1つとの混合物を提供する。さらに、洗浄システム100からの水ならびにマグネシウム(Mg)、イットリウム(Y)、または洗浄剤のうちの少なくとも1つを、例えば後期希薄インジェクタバルブ61における均一な流れにて、泡または水としてオフラインのガスタービンエンジンシステム10へともたらすことができる。
【0112】
実施形態の態様において、酸化防止洗浄剤、水、およびマグネシウムが、ガスタービン40における目的の第1段および第2段ノズル(S1NおよびS2N)ならびに関連のホイールスペース空洞の現場洗浄のために提供される。洗浄システム100および関連のプロセスは、既存のLLI(軸線方向燃料多段化)バルブ61を使用して、脱塩水およびマグネシウムの所定の混合物を燃焼器25へと送出する。本開示によって具現化されるように、洗浄システム100は、ガスタービンエンジンシステム10に適用されたときに、第1段および第2段ノズル(S1NおよびS2N)ならびに関連のホイールスペース空洞、および/またはガスタービン40の他の内部コンポーネントから、灰形態のバナジウムを含むバナジウムを除去することができ、洗浄後により長い期間にわたってガスタービンエンジンシステム10の回復された性能を保持する能力を高めることができ、ガスタービンエンジンシステム10、とりわけガスタービン40におけるノズルの目詰まりおよび錆の形成/酸化を軽減することができ、灰形成物を清掃および除去することができ、燃焼器表面から酸化および微粒子を洗浄および除去することができ、冷却空気の経路の詰まりの低減によってプラントの信頼性および効率の向上をもたらすことができ、重油で動作するガスタービンエンジンシステムの信頼性を向上させることができる。
【0113】
図4図7を参照すると、洗浄システム100は、ガスタービンエンジンシステム10がオフラインであるときに、ガスタービン40の現場洗浄のために、燃焼器25、次いで第1段および第2段ノズル(S1NおよびS2N)ならびに関連のホイールスペース空洞に、洗浄物質を供給する。圧縮機15(図1)のベルマウス75(図2)に洗浄物質を供給することによる圧縮機洗浄が、本開示によって具現化されるように、本明細書に記載の任意の動作および態様と共に依然として提供されてよいことに留意されたい。しかしながら、圧縮機洗浄に関する正確なシステム、プロセス、および他の詳細は、実施形態の態様に直接の関連がなく、さらなる説明は省略される。
【0114】
導管またはライン190が水供給部120から延び、ライン250が供給部160(例えば、水性の亜硫酸マグネシウムの化学物質供給部など)から延び、ライン190および250は混合チャンバ170において合流する。ライン340が混合チャンバ170から燃焼器25まで延びる。ライン340は、混合物の化学的特性を検出するための化学センサ341、流量センサ342、調節または制御バルブ343、温度センサ344、およびフィルタ345のうちの少なくとも1つを含むことができる。化学センサ341、流量センサ342、調節バルブ343、温度センサ344、ならびにモータ200および化学物質源150のレベルセンサ162のうちの少なくとも1つの各々は、コントローラ380と通信する。したがって、コントローラ380は、本明細書の実施形態に従って、オフライン動作における洗浄システム100の動作を調整および管理することができる。
【0115】
実施形態の別の態様は、ガスタービンエンジンシステム10の動作中に、燃焼器25、ガスタービン40、とりわけガスタービン40の第1段および第2段ノズル(S1NおよびS2N)ならびに関連のホイールスペース空洞の洗浄を提供し、さらに灰形成の軽減を提供する。再び図4図6を参照することができ、洗浄システム100は、ガスタービン40の現場洗浄のために、燃焼器25、次いで第1段および第2段ノズル(S1NおよびS2N)ならびに関連のホイールスペース空洞に、洗浄物質を供給し、ガスタービンエンジンシステム10の動作中にガスタービンエンジンシステム10へと灰形成軽減物質も供給する。
【0116】
本開示によって具現化されるように、洗浄システム100のこの態様は、低温灰形成軽減剤を、洗浄物質と共に、燃焼器25およびその後期希薄注入バルブまたはノズル61から、ガスタービン40の第1段および第2段ノズル(S1NおよびS2N)ならびに関連のホイールスペース空洞を含むガスタービン40の内部コンポーネントへと供給および分配する。洗浄システム100は、実施形態のこの態様により、後期希薄注入(軸線方向燃料多段化)バルブ61を介して燃焼器25へと注入される洗浄システム100からの脱塩水/脱イオン水の混合物を供給する。また、洗浄システム100は、源130および/または150のイットリウム、マグネシウム、あるいは任意の現時点において知られており、もしくは後に開発される低温灰形成軽減剤を、洗浄システム100から燃焼器25の既存の後期希薄注入(軸線方向燃料多段化)バルブまたはノズル61へと供給することもできる。低温灰形成軽減剤の種類として、これらに限られるわけではないが、水性または油性のイットリウムまたはマグネシウムを含むことができる。本明細書において述べられるように、洗浄システム100は、脱塩水/脱イオン水などの洗浄水、ならびに低温灰形成軽減剤を、燃焼器25のLLI(軸線方向燃料多段化)バルブ61へと供給する。本開示によって具現化されるように、後期希薄注入(軸線方向燃料多段化)バルブ61は、ガスタービン40の第1段および第2段のノズル(S1N)および(S2N)ならびに関連のホイールスペース空洞の前方にあり、次いで燃焼ガス35の流れがガスタービン40にもたらされる。LLI(軸線方向燃料多段化)バルブ61へともたらされた低温灰形成軽減剤は、燃焼ガスの流れ35によってガスタービン40の内部コンポーネントへと運ばれる。
【0117】
本開示によって具現化されるように、ガスタービンエンジンシステム10の動作中の灰形成軽減および洗浄のための方法およびシステムは、ガスタービンの第1段および第2段ノズル(S1NおよびS2N)、関連のホイールスペース空洞、および他のガスタービン内部タービンコンポーネントにおける灰形成の速度を下げることができ、洗浄後により長い期間にわたってガスタービンエンジンシステム10の回復された性能を保持する能力を高めることができ、ノズルの目詰まり、高温腐食/酸化、および目詰まりに起因し得る空気力学的形状/プロファイルの変形を軽減することができ、とりわけバナジウムおよび他の灰形成不純物の濃度が高いガス燃料に依存する重質燃料酸化物(HFO)ガスタービンおよびガスタービンユニットで動作するガスタービンエンジンにおいて、劣化保証ボーナス機会を満足または超過する能力を高めることができ、ノズル有効面積の減少およびブレードの空気力学的プロファイルの変化に起因し得るプラントの信頼性、出力、および効率を高めることができ、灰形成物を洗浄および除去することができ、燃焼器表面から酸化および微粒子を洗浄および除去することができ、冷却空気の経路の詰まりの低減に起因するプラントの信頼性および効率の向上をもたらすことができる。
【0118】
本開示によって具現化されるように、ガスタービンエンジンシステム10(図1)の動作中の灰形成軽減のための洗浄システム100を、図6の構成によって例示することができる。ライン190が水源110から延び、ライン250が化学物質源150から延び、例えば、この態様における化学物質源150は、或る量のイットリウム、マグネシウム、または他の低温灰形成軽減剤を含み、ライン190および250は混合チャンバ170において合流する。ライン340が混合チャンバ170から燃焼器25まで延びる。ライン340は、化学センサ341、流量センサ342、調節バルブ343、温度センサ344、およびフィルタ345のうちの少なくとも1つを含むことができる。化学センサ341、流量センサ342、調節バルブ343、温度センサ344、ならびにモータ200および化学物質源150のレベルセンサ162のうちの少なくとも1つの各々は、コントローラ380と通信する。したがって、コントローラ380は、本明細書の実施形態に従って、オフライン動作における洗浄システム100の動作を調整および管理することができる。
【0119】
実施形態のさらなる態様は、燃焼器25、ガスタービン40、とりわけガスタービン40の第1段および第2段ノズル(S1NおよびS2N)ならびに関連のホイールスペース空洞のオフライン洗浄および不動態化を提供することができる。図6および図7を引き続き参照すると、同様の参照番号は同様の要素を指しており、それらの要素のさらなる説明は、明瞭さおよび簡潔さのために省略され、ガスタービンエンジンシステム10の概略図が、洗浄システム100と共に示されている。本開示によって具現化されるオフライン洗浄は、燃焼器25、ガスタービン40、とりわけガスタービン40の第1段ノズルからガスタービン40の第1段ノズルへの酸化防止洗浄および不動態化を提供する。洗浄システム100は、後期希薄注入(軸線方向燃料多段化)バルブ61を介して燃焼器25へと注入される洗浄システム100からの脱塩水/脱イオン水とポリアミンまたはマグネシウム(Mg)の少なくとも一方との混合物を供給する。
【0120】
実施形態のこの態様において、脱塩水/脱イオン水とポリアミンまたはマグネシウムの少なくとも一方との混合物が、ガスタービン40がオフラインであるときに、ガスタービン40の第1段および第2段ノズル(S1NおよびS2N)および関連のホイールスペース空洞を含むガスタービン40における目的の第1段および第2段ノズル(S1NおよびS2N)ならびに関連のホイールスペース空洞の現場洗浄のために供給される。洗浄システム100および関連のプロセスは、既存の後期希薄注入(軸線方向燃料多段化)バルブ61を使用して、脱塩水/脱イオン水とポリアミンまたはマグネシウムの少なくとも一方との所定の混合物を燃焼器25へと送出し、そこから脱塩水とマグネシウムとの所定の混合物がガスタービン40に流入することができる。本開示によって具現化されるように、図6の洗浄システム100は、ガスタービンエンジンシステム10に適用されるとき、内部ガスタービンコンポーネントをコーティングし、不動態化させることができる。コーティングおよび不動態化される内部ガスタービンコンポーネントとして、第1段および第2段ノズル(S1N)および(S2N)ならびに関連のホイールスペース空洞、および/またはガスタービン40の他の内部コンポーネントが挙げられる。本開示によって具現化されるように、不動態化は、洗浄後により長い期間にわたってガスタービンエンジンシステム10の回復された性能を保持する能力を高めることができ、ガスタービンエンジンシステム10、とりわけガスタービン40におけるノズルの目詰まりおよび錆の形成/酸化を軽減することができ、灰形成物を清掃および除去することができ、劣化に基づくメンテナンスの実行の厳しさおよび頻度を低減でき、燃焼器表面から酸化および微粒子を洗浄および除去することができ、冷却空気の経路の詰まりの低減によってプラントの信頼性および効率の向上をもたらすことができ、第1段および第2段ノズル(S1NおよびS2N)ならびに関連のホイールスペース空洞、および/または他のガスタービンコンポーネントの亀裂の伝播および表面劣化の可能性を低減でき、重油で動作するガスタービンエンジンの信頼性を向上させることができる。
【0121】
図4図7を参照すると、洗浄システム100は、ガスタービンエンジンシステム10がオフラインであるときに、脱塩水/脱イオン水とポリアミンまたはマグネシウムの少なくとも一方との混合を、後のガスタービン40におけるS1Nの現場洗浄のために燃焼器25へと供給する。オフラインであるということは、本開示によって具現化されるように、圧縮機15(図1)のベルマウス75(図2)に洗浄物質を供給することによる圧縮機洗浄が、本明細書に記載の任意の動作および態様と共に依然として提供されてよいことに留意されたい。しかしながら、圧縮機洗浄に関する正確なシステム、プロセス、および他の詳細は、実施形態の態様に直接の関連がなく、さらなる説明は省略される。
【0122】
ライン190は水源110から延び、ライン250は、例えば脱塩水/脱イオン水とポリアミンまたはマグネシウムの少なくとも一方との混合物などの化学物質源150から延び、ライン190および250は混合チャンバ170で合流する。ライン340が混合チャンバ170から燃焼器25まで延びる。ライン340は、化学センサ341、流量センサ342、調節バルブ343、温度センサ344、およびフィルタ345のうちの少なくとも1つを含むことができる。化学センサ341、流量センサ342、調節バルブ343、温度センサ344、ならびにモータ200および化学物質源150のレベルセンサ162のうちの少なくとも1つの各々は、コントローラ380と通信する。したがって、コントローラ380は、本明細書の実施形態に従って、オフライン動作における洗浄システム100の動作を調整および管理することができる。
【0123】
本開示によって具体化されるように、例えば、これらに限られるわけではないがポリアミンまたはマグネシウムの少なくとも一方などの不動態化物質を、液体の形態または発泡の形態で提供することができる。本開示の態様は、脱塩水/脱イオン水とポリアミンまたはマグネシウムの少なくとも一方との混合物を、第1段および第2段ノズル(S1NおよびS2N)ならびに関連のホイールスペース空洞、および他の内部ガスタービンコンポーネントの不動態化のために、後期希薄注入バルブまたはノズルからガスタービン40の第1段および第2段ノズル(S1NおよびS2N)ならびに関連のホイールスペース空洞に流すことを可能にする。
【0124】
本開示によって具体化されるように、防食混合物が、防食剤および水を含むことができる。防食混合物を、(例えば、水を液体担体として使用する)水溶液として燃焼器25に、したがってガスタービンエンジンシステム10のガスタービン40の部分に供給することができる。防食混合物は、ガスタービンエンジンのコンポーネントを金属不動態化コーティングでコーティングして、それらのコーティングされた部品の腐食を軽減することができる。
【0125】
実施形態の特定の態様によれば、硫酸マグネシウムを洗浄剤として使用することができる。ガスタービンエンジンシステム10が重油を燃料として使用する用途において、重油をバナジウム系腐食/堆積抑制剤で処理することができる。バナジウム系腐食/堆積抑制剤は、動作中にガスタービンエンジンシステム10においてスラグを形成する可能性がある。硫酸マグネシウムは、原油や重油をガスタービン燃料としての使用することによって促進されるバナジウム系スラグの形成を、防止することができる。バナジウム系腐食/堆積抑制剤としての硫酸マグネシウムを、実施形態の特定の態様において、水系硫酸マグネシウム溶液に接続することができる。
【0126】
本開示によって具現化されるように、防食混合物を(混合チャンバ170において)予め混合し、ガスタービンエンジンシステム10に供給することができる。さらに、防食混合物を、洗浄システム100を介して燃焼器25に供給することができる。
【0127】
防食混合物は、金属不動態化によって、ガスタービンエンジンシステム10ならびに第1段および第2段ノズル(S1N)および(S2N)および関連のホイールスペース空洞を含むガスタービン40に、耐食性および/または腐食抑制を付与する。金属不動態化は、本開示によって具現化される防食混合物が上述のように燃焼器25の後期希薄注入バルブ61における進入によって接触するガスタービンエンジンシステム10内の金属および/または金属合金基材に、防食コーティングを提供する。したがって、得られた防食コーティングは、ガスタービン40、とりわけガスタービン40の第1段ノズル、ならびにガスタービンブレードおよび他のノズルなどのさまざまな金属高温ガス経路コンポーネントを(部分的または完全に)コーティングする。
【0128】
金属不動態化は、金属酸化物層/コーティングを形成することによって、これらに限られるわけではないがガスタービンエンジンにおいて示される高温、燃焼副生成物、デブリ、などの環境要因からの保護シールドを、金属および/または金属合金基材に付与する。金属酸化物層/コーティングは、ガスタービン40の金属または金属合金基材コンポーネントを腐食種から保護する。防食コーティングは、分子層と理解でき、換言すると、マイクロコーティングと理解することができる。さらに、本開示の一態様において、防食コーティングは、ガスタービンエンジンシステム10の金属または金属合金基材における結合も強化する。実施形態の別の態様において、防食コーティングの著しい熱分解は、500℃未満の温度で回避可能である。さらに別の態様において、本明細書に記載の洗浄システム100を使用してガスタービンエンジンシステム10に連続した防食処理サイクルを適用でき、多層の防食コーティングを得ることができる。
【0129】
防食混合物は、水および防食剤をとくに選択された所定の比で含むことができる。防食コーティングの付与に適した任意の防食剤/抑制剤を使用することができる。一実施形態において、防食剤は有機アミンである。腐食剤/抑制剤としてのアミンは、ガスタービンエンジンシステム10のコンポーネントの金属/金属酸化物表面における吸収によって、ガスタービンエンジンシステム10のコンポーネントの金属または金属合金基材表面における潜在的に腐食性の種(例えば、溶存酸素、炭酸、塩化物/硫酸アニオン、など)のアクセスを制限する。別の実施形態において、防食剤/抑制剤は、2つ以上の有機アミンであってよい。さらに別の実施形態において、防食剤/抑制剤は、ポリアミンであってよい。本明細書において使用されるとき、「ポリアミン」という用語は、2つ以上の第一級アミノ基NHを有する有機化合物を指す。さらに別の実施形態において、防食剤/抑制剤は、酸性汚染物質を中和し、pHをアルカリ性の範囲に上昇させることができ、保護金属酸化物コーティングをきわめて安定かつ付着性にする揮発性中和アミンをさらに含む。
【0130】
実施形態の別の態様において、防食剤/抑制剤の例として、これらに限られるわけではないが、シクロヘキシルアミン、モルホリン、モノエタノールアミン、N-9-オクタデセニル-1,3-プロパンジアミン、9-オクタデセン-1-アミン、(Z)-1-5、ジメチルアミンプロピルアミン(DMPA)、ジエチルアミノエタノール(DEAE)など、およびこれらの組み合せが挙げられる。さらなる実施形態において、防食混合物中の防食剤/抑制剤の量は、5パーツ・パー・ミリオン(ppm)~1000ppmである。別の実施形態において、防食混合物中の防食剤/抑制剤の量は、約50ppm~約800ppmの範囲内で提供される。さらに別の実施形態において、防食混合物中の防食剤/抑制剤の量は、約100ppm~約500ppmの範囲内で提供される。
【0131】
実施形態の特定の態様において、燃焼器25の後期希薄注入バルブ61に供給される第1の防食混合物中の防食剤/抑制剤の量は、5ppm~1000ppmである。
【0132】
上述のようにLLIバルブ61を介してガスタービンエンジンシステム10に導入される水および防食剤/抑制剤を含む防食混合物は、水溶液である。本明細書において使用されるとき、「水溶液」は、液相媒体を指す。本開示の一実施形態において、水溶液は、ポリアミンガス、水蒸気(蒸気など)、および/または空気を含まない液相媒体である。水は、やはり液相である防食剤/抑制剤の液体担体として振る舞う。したがって、水は、配管340を通って燃焼器25およびガスタービン40の選択された領域へと防食剤/抑制剤を運び、領域内のコンポーネントを防食コーティングでコーティングする。
【0133】
当業者であれば理解できるとおり、コントローラ80およびコントローラ380は、本開示によって具現化されるように、システム、方法、またはコンピュータプログラム製品として具現化されてよい。したがって、コントローラ80およびコントローラ380は、本開示によって具現化されるように、いずれも本明細書において「回路」、「モジュール」、または「システム」と一般的に呼ぶことができる完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード、などを含む)、またはソフトウェアの態様とハードウェアの態様とを組み合わせた実施形態の形式をとることができる。さらに、コントローラ80およびコントローラ380は、本開示によって具現化されるように、媒体内に具現化されたコンピュータ使用可能プログラムコードを有する表現の任意の有形な媒体に具現化されるコンピュータプログラム製品の形式をとることができる。さらに、コントローラ80およびコントローラ380は、本開示によって具現化されるように、本開示の実施形態によるコンポーネントを表すコードを格納する非一時的コンピュータ可読記憶媒体の形式をとることができる。
【0134】
図7図9が、本開示によって具現化されるプロセスの流れ図またはフローチャートである。各々のフローチャートにおける同様のステップは、同様の参照ステップ番号によって表されている。
【0135】
図7に関して、洗浄プロセス500は、オフラインプロセス500である。ステップ501において、ガスタービンエンジンシステム10はオフラインである。随意によるプロセス502は、圧縮機15の洗浄であり、圧縮機の洗浄は、本開示によって具現化される洗浄システム100とは別個であり、あるいは本開示によって具現化される洗浄システム100と連動する既知のシステムによって達成することができる。オフラインプロセス500において、水および特定の洗浄剤は、燃焼器25の後期希薄インジェクタ60を介してガスタービン40の内部コンポーネントに適用される。プロセス500において、水および酸化防止剤が、ステップ503において適用され、燃焼器25の後期希薄インジェクタ60を介してガスタービン40の内部コンポーネントに適用される。
【0136】
プロセス504は随意であり、必要に応じて、これに限定されるわけではないがスラグ、灰、油、などの汚染物質を除去するために、すすぎおよび洗浄剤を適用することができ、燃焼器25の後期希薄インジェクタ60を介してガスタービン40の内部コンポーネントに適用されてよい。プロセス505も随意であり、必要であればすすぎを適用することができ、燃焼器25の後期希薄インジェクタ60を介してガスタービン40の内部コンポーネントに適用される。プロセス500において、別の随意によるプロセス506は、燃焼器25の後期希薄インジェクタ60を介してガスタービン40の内部コンポーネントに不動態化処理(以下で説明されるプロセス700において適用される処理と同様)を適用することができる。ガスタービンエンジンシステム10のコンポーネントのプロセス507における乾燥を、プロセス500の一実施形態に関して行うことができる。
【0137】
図8に示されるように、プロセス600はオンライン洗浄プロセスである。プロセス601において、ガスタービンエンジンシステム10(図1)はオンラインであり、圧縮機15を洗浄する随意によるステップが、プロセス602において行われてよい。プロセス603において、水および防食剤を、燃焼器25のLLI 60を介してガスタービン40の内部コンポーネントに適用することができる。本開示によって具現化されるように、マグネシウムまたはイットリウムが、バナジウムを除去するための防食剤として含まれてよい。さらに、プロセス603において、水および防食剤は、均質な液体ブレンドまたは泡として適用されてよい。プロセス604において、必要に応じて、これに限定されるわけではないがスラグ、灰、油、などの汚染物質を除去するために、すすぎおよび洗浄剤を随意により適用することができ、燃焼器25の後期希薄インジェクタ60を介してガスタービン40の内部コンポーネントに適用されてよい。プロセス605が、必要な場合の随意によるすすぎの適用であり、燃焼器25の後期希薄インジェクタ60を介してガスタービン40の内部コンポーネントに適用される。さらに、プロセス606が、防食または不動態化処理の随意による適用である。
【0138】
図9を参照すると、オフライン洗浄プロセス700において、水および特定の薬剤が、燃焼器25の後期希薄インジェクタ60を介してガスタービン40の内部コンポーネントに適用される。プロセス701において、ガスタービンエンジンシステム10はオフラインである。随意によるプロセス702は、圧縮機15の洗浄であり、圧縮機の洗浄は、本開示によって具現化される洗浄システム100とは別個であり、あるいは本開示によって具現化される洗浄システム100と連動する既知のシステムによって達成することができる。プロセス700において、水および防食剤/不動態化処理剤が、プロセス703において加えられ、燃焼器25の後期希薄インジェクタ60を介してガスタービン40の内部コンポーネントに適用される。プロセス704は随意であり、必要に応じて、これに限定されるわけではないがスラグ、灰、油、などの汚染物質を除去するために、すすぎおよび洗浄剤を適用することができ、燃焼器25の後期希薄インジェクタ60を介してガスタービン40の内部コンポーネントに適用されてよい。プロセス705は随意であり、必要であれば、燃焼器25のLLI 60を介してガスタービン40の内部コンポーネントに適用されるすすぎを適用することができる。ガスタービンエンジンシステム10のコンポーネントのプロセス706における乾燥を、オフラインプロセス700に関して行うことができる。
【0139】
1つ以上のコンピュータ使用可能媒体またはコンピュータ可読媒体の任意の組み合せを、コントローラ80および380に関して使用することができる。コントローラ80および380に関して利用することができるコンピュータ使用可能媒体またはコンピュータ可読媒体として、例えば、これらに限られるわけではないが、電子、磁気、光学、電磁気、赤外、または半導体のシステム、装置、デバイス、または伝搬媒体を挙げることができる。コントローラ80および180の一方または両方に関して利用することができるコンピュータ可読媒体のより具体的な例(すべてを挙げ尽くすものではない)として、1つ以上の配線を有する電気的接続、可搬のコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、光ファイバ、可搬のコンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、光学記憶デバイス、インターネットまたはイントラネットをサポートする媒体などの伝送媒体、あるいは磁気記憶デバイスが挙げられる。なお、コンピュータ使用可能媒体またはコンピュータ可読媒体は、プログラムが印刷された紙または他の適切な媒体であってもよく、プログラムを、例えば紙または他の媒体の光学スキャンを介して電子的に取り込み、次いで必要に応じて適切なやり方でコンパイルし、解釈し、あるいは他のやり方で処理し、その後にコンピュータメモリに格納することができる。本明細書の文脈において、コンピュータ使用可能媒体またはコンピュータ可読媒体は、命令実行システム、装置、またはデバイスによる使用、あるいは命令実行システム、装置、またはデバイスに関連した使用のためのプログラムを収容し、格納し、通信し、伝搬させ、あるいは運ぶことができる任意の媒体であってよい。コンピュータ使用可能媒体は、コンピュータ使用可能プログラムコードが具現化されたベースバンド内または搬送波の一部としての電波データ信号を含むことができる。コンピュータ使用可能プログラムコードは、これらに限られるわけではないが無線、有線、光ファイバケーブル、RF、などを含む任意の適切な媒体を使用して伝えられてよい。
【0140】
本開示によって具現化されるように、洗浄動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、Java、Smalltalk、C++、などのオブジェクト指向プログラミング言語、ならびに「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語などの従来からの手続き型プログラミング言語を含む1つ以上のプログラミング言語を任意に組み合わせて記述されてよい。プログラムコードは、全体がユーザのコンピュータ上で実行されても、一部がユーザのコンピュータ上で実行されても、スタンドアロンのソフトウェアパッケージとして実行されても、一部がユーザのコンピュータ上で実行され、一部がリモートコンピュータ上で実行されても、全体がリモートコンピュータまたはサーバ上で実行されてもよい。後者の状況において、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)または広域ネットワーク(WAN)を含む任意の種類のネットワークを介してユーザのコンピュータに接続されてよく、あるいは外部コンピュータに(例えば、インターネットサービスプロバイダを用いてインターネットを介して)接続されてもよい。
【0141】
実施形態は、本開示の実施形態による方法、装置(システム)、およびコンピュータプログラム製品のフローチャート図および/またはブロック図を参照して説明されている。フローチャート図および/またはブロック図の各ブロック、ならびにフローチャート図および/またはブロック図のブロックの組み合せを、コンピュータプログラム命令によって実装できることが理解されよう。これらのコンピュータプログラム命令は、マシンを生み出すために汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサに供給されてよく、これにより、これらの命令が、コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサによって実行されて、フローチャートおよび/またはブロック図の1つ以上のブロックで指定された機能/動作を実装するための手段を生む。
【0142】
さらに、これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置に対して特定のやり方で機能するように指示することができるコンピュータ可読媒体に格納されてよく、これによって、コンピュータ可読媒体に格納された命令は、フローチャートおよび/またはブロック図の1つ以上のブロックで指定された機能/動作を実施する命令手段を含む製品を生み出す。
【0143】
さらに、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置上で実行される命令が、フローチャートおよび/またはブロック図の1つ以上のブロックで指定された機能/動作を実施するためのプロセスをもたらすように、コンピュータプログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置で一連の動作ステップを実行させてコンピュータ実施のプロセスを生じさせるために、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置上にロードされてもよい。
【0144】
上記の図面は、本開示のいくつかの実施形態に従って関連する処理のいくつかを示している。これに関連して、図面の流れ図における各々の図またはブロックは、記載した方法の実施形態に関連するプロセスを表している。さらに、いくつかの代替の実装態様において、図面またはブロックで説明した動作は、図で示した順序から外れて行われてもよいし、例えば、関係する動作に応じて、実際には実質的に同時に実行されても、逆の順序で実行されてもよいことに留意されたい。また、当業者であれば、処理を説明する追加のブロックが追加されてもよいことを、理解できるであろう。
【0145】
本明細書および特許請求の範囲の全体を通して、本明細書において使用される近似を表す文言は、関連する基本的機能に変化をもたらすことなく、差し支えない程度に変動し得る任意の量的表現を修飾するために適用することができる。したがって、「およそ(about)」、「約(approximately)」、および「実質的に(substantially)」などの用語によって修飾された値は、明記された厳密な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの例において、近似を表す文言は、値を測定するための機器の精度に対応する場合がある。ここで、本明細書および特許請求の範囲の全体を通して、範囲の限定は、組み合わせおよび/または入れ換えが可能であり、文脈または文言がとくに指示しない限り、このような範囲は識別され、そこに含まれるすべての部分的範囲を含む。範囲の特定の値に適用される「約」は、両端の値に適用され、値を測定する機器の精度にとくに依存しない限り、記載された値の+/-10%を示すことができる。
【0146】
以下の特許請求の範囲におけるミーンズプラスファンクションまたはステッププラスファンクションのすべての要素の対応する構造、材料、動作、および均等物は、具体的に請求項に記載された請求項に記載の他の要素と組み合わせてその機能を実施するための一切の構造、材料、または動作を包含するように意図される。本開示の記述は、例示および説明の目的で提示されており、網羅的であることも、本開示を開示された形態に限定することも意図していない。多数の修正および変種が、本開示の範囲および趣旨から逸脱することなく、当業者にとって明らかであろう。実施形態は、本開示の原理および実際の用途を説明し、想定される特定の用途に適する種々の修正を有する種々の実施形態に関して当業者が本開示を理解できるようにするために、選択および説明されている。
【符号の説明】
【0147】
10 ガスタービンエンジンシステム
11 ヘッドエンド
12 予混合ノズル
15 圧縮機
15’ 入口フィルタハウス
20 空気
21 第1の内部
25 燃焼器
30 燃料
35 燃焼ガス
40 ガスタービン
41 第2の内部
42 スリーブ
43 移行ゾーン
45 シャフト
50 外部負荷
55 段
60 ブレード、燃料インジェクタ、バルブ
61 ポートまたはバルブ、ノズル
65 ロータホイール
67 ベーン
70 外側ケーシング
75 ベルマウス
80 コントローラ
100 洗浄システム
110 水源
120 水、水供給部
130 洗浄剤源、洗浄剤
140 洗浄剤
150 化学物質源
160 帯電防止液、帯電防止液源、供給部
162 レベルセンサ
165 洗浄スキッド
170 混合チャンバ
180 対向流ノズル
190 ライン
200 水ポンプ、モータ
210 水ライン分離バルブ
220 洗浄剤ライン
230 洗浄剤ポンプ
240 洗浄剤ライン分離バルブ
250 耐電防止液ライン、洗浄剤ポンプ
260 耐電防止液ポンプ
270 耐電防止液ライン分離バルブ
340 ライン、配管
341 化学センサ
342 流量センサ
343 調節バルブ、制御バルブ
344 温度センサ
345 フィルタ
380 洗浄コントローラ
390 水混合物
500 プロセス
502 プロセス
504 プロセス
505 プロセス
506 プロセス
507 プロセス
600 プロセス
601 プロセス
602 プロセス
603 プロセス
604 プロセス
605 プロセス
606 プロセス
700 プロセス
701 プロセス
702 プロセス
703 プロセス
704 プロセス
705 プロセス
706 プロセス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】