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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186627
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】真空バルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 3/18 20060101AFI20221208BHJP
   F16K 51/02 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
F16K3/18 B
F16K51/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085078
(22)【出願日】2022-05-25
(31)【優先権主張番号】10 2021 114 422.1
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】593030945
【氏名又は名称】バット ホールディング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス シャルテッガー
(72)【発明者】
【氏名】クレメンス クーネ
【テーマコード(参考)】
3H053
3H066
【Fターム(参考)】
3H053AA02
3H053AA25
3H053BD03
3H053DA09
3H066AA01
3H066BA17
3H066BA19
(57)【要約】      (修正有)
【課題】第1バルブプレートおよび第2バルブプレートのそれぞれによって第1バルブ開口部および第2バルブ開口部のそれぞれを交互に密封することができる真空バルブを提供する。
【解決手段】ブロック状態においては、中間位置にある閉塞ユニット(8)が縦変位方向(10)の反対方向について開位置に向かって変位することが禁止される。リリース状態においては、閉塞ユニット(8)が開位置に向かって変位することが許容される。ブロック状態において、アクチュエータによって、伝動ユニット(16)が基体(15)に対して中途位置から第2作動位置まで縦変位方向(10)の反対方向に変位する場合、伝動ユニット(16)がばね(21)の変形を伴って支持部材に対して傾斜変位方向(12)に変位する。これに伴って、閉塞ユニット(8)が中間位置から第2閉位置まで横変位方向(12)の反対方向に変位する。
【選択図】図42
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空バルブであって、
軸線を有し、かつ、第1バルブシート(9a)により囲まれた第1バルブ開口部(2a)を備えているバルブハウジング(1)と、
前記バルブハウジング(1)から突出したバルブロッド(5)と、前記バルブハウジング(1)の外側において前記バルブロッド(5)に対して堅固に連結された支持部材(7)と、前記バルブロッド(5)によって運搬され、前記バルブハウジング(1)の内側に配置された第1バルブプレート(3a)と、を有し、前記第1バルブプレート(3a)が前記第1バルブ開口部(2a)を開放している開位置から、前記第1バルブプレート(3a)が前記第1バルブ開口部(2a)を覆う一方で前記第1バルブシート(9a)から離間している中間位置まで縦変位方向(10)に変位され、当該中間位置から前記第1バルブプレート(3a)が前記第1バルブシート(9a)に対して当接する第1閉位置まで、前記縦変位方向(10)に対して垂直な横変位方向(12)に変位可能である閉塞ユニット(8)と、
伝動ユニット(16)と、
前記バルブハウジング(1)に対して堅固に連結されている基体(15)と、少なくとも1つのアクチュエータ(14)とを有する駆動ユニット(13)と、
前記伝動ユニット(16)を前記駆動ユニット(13)の前記基体(15)に対して前記縦変位方向(10)に平行に変位可能に案内し、前記少なくとも1つのアクチュエータ(14)により、前記伝動ユニット(16)を前記基体(15)に対して初期位置から中途位置を経て第1作動位置に、前記縦変位方向(10)に変位させる少なくとも1つの縦リニアガイド(17)と、
前記縦変位方向(10)および前記横変位方向(12)により定義される平面において、前記縦変位方向(10)および前記横変位方向(12)のそれぞれに対して傾斜している傾斜変位方向(19)に平行に、前記支持部材(7)を前記伝動ユニット(16)に対して変位可能に案内する少なくとも1つの傾斜リニアガイド(18)と、
前記伝動ユニット(16)と前記支持部材(7)との間で作用し、前記伝動ユニット(16)が前記初期位置から前記中途位置まで前記基体(15)に対して変位した場合、前記支持部材(7)を引っ張り、前記閉塞ユニット(8)を前記縦変位方向(10)に前記開位置から前記中間位置まで変位させる少なくとも1つのばね(21)と、
前記閉塞ユニット(8)の前記中間位置において前記閉塞ユニット(8)の前記縦変位方向(10)への変位を停止させ、前記伝動ユニット(16)が前記基体(15)に対して前記中途位置から前記第1作動位置に変位する際、前記支持部材(7)が前記縦変位方向(10)にさらに引っ張られることを停止させ、前記伝動ユニット(16)が前記支持部材(7)に対して前記傾斜変位方向(12)に前記ばね(21)の変形を伴いながら、前記閉塞ユニット(8)を前記横変位方向(12)に前記中央位置から前記第1閉位置に変位させる傾斜ユニットと、を備え、
前記バルブハウジング(1)が、第2バルブシート(9b)により囲まれ、前記第1バルブ開口部(2a)に対向している第2バルブ開口部(2b)を有し、
前記閉塞ユニット(8)が、前記バルブロッド(5)により運搬され、前記バルブハウジング(1)の内側に配置された第2バルブプレート(3b)を有し、前記第2バルブプレート(3b)が、前記閉塞ユニット(8)の中間位置において前記第2バルブ開口部(2b)を覆う一方で前記第2バルブシート(9b)から離間し、前記閉塞ユニット(8)が、前記中間位置から前記横変位方向(12)の反対方向に、前記第2バルブプレート(3b)が前記第2バルブシート(9b)に当接する第2閉位置まで変位可能であり、
ブロック状態およびリリース状態を切り替えることができるブロックユニット(33)が設けられ、前記ブロック状態においては、前記中間位置にある前記閉塞ユニット(8)が前記縦変位方向(10)の反対方向について前記開位置に向かって変位することが禁止され、前記リリース状態においては、前記中間位置にある前記閉塞ユニット(8)が前記縦変位方向(10)の反対方向について前記開位置に向かって変位することが許容され、
前記ブロックユニット(33)の前記ブロック状態において、前記少なくとも1つのアクチュエータ(14)によって、前記伝動ユニット(16)が前記基体(15)に対して前記中途位置から第2作動位置まで前記縦変位方向(10)の反対方向に変位する場合、前記伝動ユニット(16)が前記ばね(21)の変形を伴って前記支持部材(7)に対して前記傾斜変位方向(12)に変位し、これに伴って前記閉塞ユニット(8)が前記中間位置から前記第2閉位置に前記横変位方向(12)の反対方向に変位する
真空バルブ。
【請求項2】
請求項1に記載の真空バルブにおいて、
前記縦リニアガイド(17)および前記傾斜リニアガイド(18)のそれぞれが、ガイドレール(17a、18a)および前記ガイドレール(17a、18a)に沿って変位可能に取り付けられるスライダ(17b、18b)を有している
真空バルブ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の真空バルブにおいて、
前記少なくとも1つのアクチュエータ(14)が、気圧式ピストンシリンダユニットである
真空バルブ。
【請求項4】
請求項1~3のうちいずれか1項に記載の真空バルブにおいて、
前記ブロックユニット(33)が、少なくとも1つの位置調節部材(34)によって位置調節されるブロック部材(35)を有している
真空バルブ。
【請求項5】
請求項4に記載の真空バルブにおいて、
前記ブロック部材(35)が、前記ブロックユニット(33)のリリース位置とブロック位置との間で、前記縦変位方向(10)に対して垂直に変位可能である
真空バルブ。
【請求項6】
請求項4または5に記載の真空バルブにおいて、
前記ブロック部材(35)が、前記バルブロッド(5)から突出し、前記第1バルブプレート(3a)および前記第2バルブプレート(3b)に対して遠位にある、前記バルブロッド(5)の端部エリアに配置されている少なくとも1つの突出部(5a)と相互作用する
真空バルブ。
【請求項7】
請求項6に記載の真空バルブにおいて、
前記バルブロッド(5)から突出する前記少なくとも1つの突出部(5a)が、前記基体(15)に対して固定された停止面(32a)を有する停止装置の停止部品を構成し、前記伝動ユニット(16)が前記初期位置から前記第1作動位置に変位し、前記閉塞ユニット(8)が前記中間位置に到達した際、前記突出部(5a)が前記停止面(32a)に当接する
真空バルブ。
【請求項8】
請求項1~7のうちいずれか1項に記載の真空バルブにおいて、
前記支持部材(7)が、前記バルブロッド(5)の長手延在範囲の中央エリアにおいて前記バルブロッド(5)に対して固定されている
真空バルブ。
【請求項9】
請求項1~8のうちいずれか1項に記載の真空バルブにおいて、
前記ばね(21)がボルト(22)に配置され、前記ボルト(22)がその両端部において停止部品(26、27)に当接し、前記停止部品(26、27)が、前記ボルト(22)に対して変位可能であり、かつ、前記ばね(21)により前記ボルト(22)またはそれに連結されている部品の停止部(23、24)に対して押し付けられている
真空バルブ。
【請求項10】
請求項9に記載の真空バルブにおいて、
前記傾斜変位方向(19)について前記ボルト(22)の後端部が、前記伝動ユニット(16)に連結され、前記傾斜変位方向(19)について後側の前記停止部品(26)が後側停止面(28)に当接し、前記傾斜変位方向(19)について前側の前記停止部品(27)が前側停止面(29)に当接し、前記後側停止面(28)および前記前側停止面(29)が前記支持部材(7)またはそれに連結されている部品に配置されている
真空バルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空バルブに関する。真空バルブは、
軸線を有し、かつ、第1バルブシートにより囲まれた第1バルブ開口部を備えているバルブハウジングと、
前記バルブハウジングから突出したバルブロッドと、前記バルブハウジングの外側において前記バルブロッドに対して堅固に連結された支持部材と、前記バルブロッドによって運搬され、前記バルブハウジングの内側に配置された第1バルブプレートと、を有し、前記第1バルブプレートが前記第1バルブ開口部を開放している開位置から、前記第1バルブプレートが前記第1バルブ開口部を覆う一方で前記第1バルブシートから離間している中間位置まで縦変位方向に変位され、当該中間位置から前記第1バルブプレートが前記第1バルブシートに対して当接する第1閉位置まで、前記縦変位方向に対して垂直な横変位方向に変位可能である閉塞ユニットと、
伝動ユニットと、
前記バルブハウジングに対して堅固に連結されている基体と、少なくとも1つのアクチュエータとを有する駆動ユニットと、
前記伝動ユニットを前記駆動ユニットの前記基体に対して前記縦変位方向に平行に変位可能に案内し、前記少なくとも1つのアクチュエータにより、前記伝動ユニットを前記基体に対して初期位置から中途位置を経て第1作動位置に、前記縦変位方向に変位させる少なくとも1つの縦リニアガイドと、
前記縦変位方向および前記横変位方向により定義される平面において、前記縦変位方向および前記横変位方向のそれぞれに対して傾斜している傾斜変位方向に平行に、前記支持部材を前記伝動ユニットに対して変位可能に案内する少なくとも1つの傾斜リニアガイドと、
前記伝動ユニットと前記支持部材との間で作用し、前記伝動ユニットが前記初期位置から前記中途位置まで前記基体に対して変位した場合、前記支持部材を引っ張り、前記閉塞ユニットを前記縦変位方向に前記開位置から前記中間位置まで変位させる少なくとも1つのばねと、
前記閉塞ユニットの前記中間位置において前記閉塞ユニットの前記縦変位方向への変位を停止させ、前記伝動ユニットが前記基体に対して前記中途位置から前記第1作動位置に変位する際、前記支持部材が前記縦変位方向にさらに引っ張られることを停止させ、前記伝動ユニットが前記支持部材に対して前記傾斜変位方向に前記ばねの変形を伴いながら、前記閉塞ユニットを前記横変位方向に前記中央位置から前記第1閉位置に変位させる傾斜ユニットと、を備えている。
【背景技術】
【0002】
従来技術としてこのような真空バルブが提案されている(例えば、特許文献1参照)。真空バルブを開閉するために、伝動ユニットを縦変位方向に平行に駆動する単一のアクチュエータが必要とされている。真空バルブの閉塞に際して、まず、閉塞ユニットが、伝動ユニットおよび当該閉塞ユニットの間に配置されたばねによって動かされる。閉塞ユニットが中間位置に到達した場合、閉塞ユニットの停止部品が停止面に当接し、これにより閉塞ユニットが縦変位方向にさらに変位することがブロックされる。伝動ユニットが縦変位方向にさらに駆動されることにより、伝動ユニットがバルブロッドに支持されている閉塞ユニットの支持部材に対して傾斜リニアガイドに沿って傾斜変位方向に駆動される。その結果、閉塞ユニットが中途位置から閉位置に駆動され、バルブ開口部がバルブプレートによって密閉される。
【0003】
この真空バルブの利点は、簡単な駆動および操作、ならびに、信頼性が高い堅牢な構成である。これにより、機械工学分野において標準構成要素として使用されるような従来の多くのリニアガイドが、縦リニアガイドおよび傾斜リニアガイドとして使用可能である。このようなリニアガイドは安価であり、円滑に動作し、かつ、(予荷重が印加されているため)遊びがほぼまたはまったくない。
【0004】
バルブプレートのシール部品が摩耗し、真空バルブを修理する必要がある場合、真空バルブを介して相互に連結されている2つの真空チャンバを閉じる必要がある。
【0005】
閉塞ユニットが第1バルブプレートおよび第2バルブプレートを有し、第1バルブプレートおよび第2バルブプレートのそれぞれが第1バルブ開口部および第2バルブ開口部のそれぞれを交互に閉塞することが可能である真空バルブが提案されている(例えば、特許文献2参照)。真空エリアの外側でバルブロッドに取り付けられた支持部材が、縦リニアガイドおよび傾斜リニアガイドを介して、真空バルブの駆動ユニットの基体に連結されている。支持部材は、バルブプレートが2つのバルブ開口部の中間エリアに位置するまで、縦ストローク駆動装置により縦リニアガイドに沿って変位可能である。横ストローク駆動装置により傾斜リニアガイドのガイドレールに対して、中間位置から第1押圧位置または第2押圧位置まで駆動される傾斜リニアガイドのスライダによって、各バルブプレートが当該位置から対応するバルブ開口部に押し付けられる。
【0006】
第1バルブプレートにより第1バルブ開口部が閉塞される際、第1バルブプレートによりチャンバを閉じる必要なしに第2バルブプレートが整備可能であり、逆もまた同様である。例えば、半導体産業用の真空システムのプロセスチャンバでは、腐食性のプロセスガスが定常的に使用され、その結果、当該真空チャンバへのアクセスをブロックするバルブプレートのシール部品の摩耗が大きくなり、バルブプレートが頻繁に整備される必要がある。このような整備作業では、真空バルブを介してプロセスチャンバに連結された運搬チャンバは、当該チャンバへのアクセスが他のバルブプレートによってブロックされている場合、閉じられる必要がないため、運搬チャンバおよび他のプロセスチャンバを介して生産を継続できる。
【0007】
この真空バルブの欠点は、縦方向のストロークと横方向のストロークのドライブが別々に存在する必要があることである。
【0008】
相互に傾斜して延在している縦リニアガイドおよび傾斜リニアガイドと、単一のバルブプレートと、縦変位方向および横変位方向に駆動するための別個の駆動装置と、を有する真空バルブが提案されている(例えば、特許文献3および4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許公開公報 US2017/0204647A1
【特許文献2】米国特許公開公報 US2018/0051825A1
【特許文献3】国際公開公報 WO2013/142150A1
【特許文献4】国際公開公報 WO2021/083669A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、第1バルブプレートおよび第2バルブプレートのそれぞれによって第1バルブ開口部および第2バルブ開口部のそれぞれを交互に密封することができる、前述のタイプの有利な真空バルブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、この目的は、請求項1に記載の特徴を備えた真空バルブによって達成される。
【0012】
本発明に係る真空バルブは、第1バルブ開口部に加えて、第1バルブ開口部に対向し、第2バルブシートにより囲まれている第2バルブ開口部と、第1バルブプレートに加えてバルブロッドによって支持されている第2バルブプレートと、を備えている。閉塞ユニットは、開位置から2つのバルブプレートがバルブ開口部対向している一方でバルブシートから離間している中途位置に変位可能であり、かつ、中途位置から第1バルブプレートが第1バルブシートに当接する第1閉位置および第2バルブプレートが第2バルブシートに当接する第2閉位置のそれぞれに横変位方向およびその反対方向のそれぞれに変位可能である。
【0013】
この目的のために、真空バルブは、ブロック状態およびリリース状態を切り替えることができるブロックユニットを備えている。ブロックユニットのブロック状態では、中途位置にある閉塞ユニットは、縦変位方向の反対方向、ひいては開位置に向かう方向に変位することがブロックされ、リリース状態では、閉塞ユニットのそのような変位が許容される。伝動ユニットが中途位置にあり、閉塞ユニットが中間位置にあり、かつ、ブロックユニットがブロック状態にある状態から、伝動ユニットは、駆動ユニットの少なくとも1つのアクチュエータにより、駆動ユニットの基体に対して中途位置から第2作動位置まで縦変位方向に駆動され、伝動ユニットおよび支持部材の間に作用する少なくとも1つのばねの変形により、伝動ユニットが、支持部材に対して傾斜変位方向の反対方向に駆動され、ひいては支持部材が基体に対して横変位方向の反対方向に駆動される。すなわち、閉塞ユニットが中間位置から第2閉位置に駆動される。
【0014】
本発明に係る真空バルブは、縦変位方向に平行に作用する単一の駆動ユニットのみを必要とする。駆動ユニットの少なくとも1つのアクチュエータによって、伝動ユニットが縦変位方向に平行に駆動され、これに応じてブロックユニットを作動させることにより、閉塞ユニットが開位置から中途位置、第1閉位置および第2閉位置に変位させることができる。
【0015】
少なくとも1つの縦リニアガイドおよび少なくとも1つの横リニアガイドにレールガイドが使用されること、すなわち、それに沿ってスライダを変位させることができるガイドレールの形態で構成されたガイド部品が設けられていることが好ましい。特に、スライダは、例えば、転動体ガイドを再循環させることによって、またはローラケージに取り付けられた転動体によって、ガイドレールに対して転動体を介して取り付けられる。原則的に、スライダがガイドレールに対して摺動またはスライドしてもよい。好ましくは、機械工学分野で標準的な構成要素として使用される多くの従来のリニアガイドが使用可能である。このようなリニアガイドは安価で、円滑に動作し、かつ、(予荷重が印加されているため)ほぼまたはまったく遊びがない。
【0016】
例えば、ガイド部品が特に断面が丸いロッドによって構成されているシャフトガイドなど、異なる形態で構成されているリニアガイドが用いられてもよい。少なくとも1つのガイド延長部(ピンまたはローラ)が係合する少なくとも1つのガイドトラックによりリニアガイドが構成されていてもよく、リニアガイドがリンクガイドのように構成されていてもよい。ガイドトラックは、例えば、スロット、溝またはビードによって構成されていてもよい。
【0017】
傾斜変位方向は、縦変位方向と5°~20°の範囲に含まれる角度をなし、例えば約10°であることが好ましい。
【0018】
本発明の有利な実施形態では、バルブロッドは、停止装置の停止部品を形成する少なくとも1つの横方向に突出した突出部を有する。
【0019】
伝動ユニットが初期位置から縦変位方向に駆動される場合、まず、閉塞ユニットは、伝動ユニットが中途位置に到達するまで、少なくとも1つのばねによって縦変位方向に駆動される。その結果、閉塞ユニットが開位置から中間位置に駆動される。中間位置において、閉塞ユニットに対して固定され、バルブロッドから突出する少なくとも1つの突出部によって構成される停止装置の少なくとも1つの停止部品が、特に駆動ユニットの基体またはそれに連結された部品に配置された停止面に当接し、これにより閉塞ユニットの縦変位方向へのさらなる変位がブロックされる。
【0020】
ブロックユニットは、バルブロッドの少なくとも1つの突出部と相互作用することが好ましい。ブロックユニットのブロック部材は、ブロックユニットの基礎部品に対して変位可能である。ブロックユニットのブロック状態では、ブロック部材は、縦変位方向についてバルブロッドの少なくとも1つの突出部の後方に位置し、バルブロッドの縦変位方向の反対方向への変位がブロックされる。ブロックユニットのリリース状態において、ブロック部材は、縦変位方向に対して垂直な、例えば横変位方向に平行な変位によって、バルブロッドの縦変位方向の反対方向への変位を許容される。ブロック部材の直線底な変位に代えて、旋回軸まわりの旋回も可能である。
【0021】
ブロックユニットの基体に対するブロック部材の駆動は、例えば、少なくとも1つの気圧式ピストンシリンダユニットにより実行される。電磁的な駆動も可能である。
【0022】
伝動ユニットが初期位置から中途位置に駆動される際、伝動ユニットおよび支持部材の間に作用する少なくとも1つのばねを変形させずに、閉塞ユニットが開位置から中間位置に連動する。この目的のために、少なくとも1つのばねに予荷重が印加されている。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、各ばねがボルトに配置され、ばねは、一方側では傾斜変位方向について後側停止部品に当接し、他方側では傾斜変位方向について前側の停止部品に当接し、停止部がボルトに対して変位可能に配置され、後側停止部品がボルトの後端部に向かう方向に変位することが後側停止部により制限され、かつ、前側停止部品がボルトの前端部に向かう方向に変位することが前側停止部により制限され、後側停止部および前側停止部はボルトに対して固定されている。ボルトの後端部は伝動ユニットに固定され、後側停止部品および前側停止部品は、支持部材に対して固定されている前側停止面および後側停止面に当接している。
【0024】
伝動ユニットが中途位置から第1作動位置に駆動された場合、伝動ユニットは支持部材に対して傾斜変位方向に変位し、各ボルトが支持部材に対して当該方向に変位し、ボルトの後側停止部により後側停止部品が動かされ、前側停止部品が前側停止面により支持部材に対して固定され、これによりばねが後端部から圧縮される。
【0025】
ブロックユニットのブロック状態において、伝動ユニットが中途位置から第2作動位置まで駆動され、伝動ユニットが支持部材に対して傾斜変位方向の反対方向に駆動される。これにより、ボルトが伝動ユニットに連動し、ボルトの後側停止部によりボルトの後側停止部品が動かされる一方、前側停止部品が、支持部材の前側停止面によって支持部材に対して固定され、ひいては傾斜変位方向の反対方向への変位に対して維持される。したがって、ばねは前端部から圧縮される。
【0026】
本発明のさらなる利点および詳細は、添付図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】閉塞ユニットが開位置にある状態での本発明に係る真空バルブの斜視図。
図2】閉塞ユニットが中間位置にある状態での本発明に係る真空バルブの斜視図。
図3】閉塞ユニットが第1閉位置にある状態での本発明に係る真空バルブの斜視図。
図4】ブロックユニットのブロック状態において、伝動ユニットが第1作動位置から第2作動位置に変位されている際の、閉塞ユニットが中間位置にありかつ伝動ユニットが中途位置にある状態での本発明に係る真空バルブの斜視図。
図5】閉塞ユニットが第2閉位置にある状態での本発明に係る真空バルブの斜視図。
図6】バルブハウジング、支持部材を有するバルブプレート、および、駆動ユニットの基体が省略された、図1に対応する真空バルブの斜視図。
図7】バルブハウジング、支持部材を有するバルブプレート、および、駆動ユニットの基体が省略された、図2に対応する真空バルブの斜視図。
図8】バルブハウジング、支持部材を有するバルブプレート、および、駆動ユニットの基体が省略された、図3に対応する真空バルブの斜視図。
図9】バルブハウジング、支持部材を有するバルブプレート、および、駆動ユニットの基体が省略された、図4に対応する真空バルブの斜視図。
図10】バルブハウジング、支持部材を有するバルブプレート、および、駆動ユニットの基体が省略された、図5に対応する真空バルブの斜視図。
図11】視線方向が異なる図6に対応する真空バルブの斜視図。
図12】視線方向が異なる図7に対応する真空バルブの斜視図。
図13】視線方向が異なる図8に対応する真空バルブの斜視図。
図14】視線方向が異なる図9に対応する真空バルブの斜視図。
図15】視線方向が異なる図10に対応する真空バルブの斜視図。
図16】視線方向がさらに異なる図6に対応する真空バルブの斜視図。
図17】視線方向がさらに異なる図7に対応する真空バルブの斜視図。
図18】視線方向がさらに異なる図8に対応する真空バルブの斜視図。
図19】視線方向がさらに異なる図9に対応する真空バルブの斜視図。
図20】視線方向がさらに異なる図10に対応する真空バルブの斜視図。
図21】閉塞ユニットが開位置にある状態での真空バルブの側面図。
図22図21の線A-Aに沿った真空バルブの断面図。
図23】閉塞ユニットが中間位置にある状態での図22に対応する真空バルブの断面図。
図24】閉塞ユニットが第1閉位置にある状態での図22に対応する真空バルブの断面図。
図25】ブロックユニットのブロック状態において、伝動ユニットが第1作動位置から第2作動位置に変位する際、閉塞ユニットが中間位置にありかつ伝動ユニットが中途位置にある状態での図22に対応する真空バルブの断面図。
図26】閉塞ユニットが第2閉位置にある状態での図22に対応する真空バルブの断面図。
図27図21の線B-Bに沿った真空バルブの断面図。
図28図23の状態での図27に対応する真空バルブの断面図。
図29図24の状態での図27に対応する真空バルブの断面図。
図30図25の状態での図27に対応する真空バルブの断面図。
図31図26の状態での図27に対応する真空バルブの断面図。
図32図21の線C-Cに沿った真空バルブの断面図。
図33図23の状態での図32に対応する真空バルブの断面図。
図34図24の状態での図32に対応する真空バルブの断面図。
図35図25の状態での図32に対応する真空バルブの断面図。
図36図26の状態での図32に対応する真空バルブの断面図。
図37図21の線D-Dに沿った断面図である。
図38図23の状態での図37に対応する真空バルブの断面図。
図39図24の状態での図37に対応する真空バルブの断面図。
図40図25の状態での図37に対応する真空バルブの断面図。
図41図26の状態での図37に対応する真空バルブの断面図。
図42】部分的に分解された真空バルブの斜視図。
図43】リリース状態でのブロックユニットの斜視図。
図44】ブロック状態でのブロックユニットの斜視図。
図45】駆動ユニットの基体に取り付けられた停止プレートの斜視図。
図46】一のばねユニットの分解図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係る真空バルブの実施形態が図面にしたがって説明される。
【0029】
真空バルブは、相互に対向する第1バルブ開口部2aおよび第2バルブ開口部2bを有するバルブハウジング1を備えている。真空バルブの真空エリア(=真空が存在できるエリア)を形成するバルブハウジング1の内部空間において、第1バルブプレート3aおよび第2バルブプレート3bが相互に平行に配置され、支持部材4を介してバルブロッド5に対して固定されている。バルブロッド5は、真空気密にバルブハウジング1の内部から導出され、本実施形態ではメンブレンベローズ6が封止機能を担う。バルブハウジング1の外部空間、すなわち真空バルブの真空エリアの外側において、支持部材7がバルブロッド5に対して、好ましくはバルブロッド5の長手延在範囲の中央エリアにおいて堅固に取り付けられている。本実施形態では、バルブロッド5は、支持部材7を貫通する貫通開口部を通過している。
【0030】
真空バルブの閉塞ユニット8は、支持部材7と、支持部材7により支持されているバルブロッド5と、支持部材4を介してバルブロッド5により支持されているバルブプレート3a、3bと、を備え、当該部品または構成要素は、真空バルブの開閉に際して一緒に変位する。
【0031】
真空バルブの開状態において、閉塞ユニット8は開位置にある(図1図6図11図16図21図22図27図32および図37参照)。閉塞ユニット8の開位置において、第1バルブプレート3aおよび第2バルブプレート3bのそれぞれが、第1バルブ開口部2aおよび第2バルブ開口部2bのそれぞれを開放し、第1バルブ開口部2aおよび第2バルブ開口部2bの中間にあるエリアから外れており、ひいては真空バルブを通る直線状の通路が開放されている。
【0032】
閉塞ユニットの中間位置では、第1バルブプレート3aおよび第2バルブプレート3bのそれぞれが、第1バルブ開口部2aおよび第2バルブ開口部2bのそれぞれを覆っている一方で、第1バルブ開口部2aおよび第2バルブ開口部2bのそれぞれを取り囲む第1バルブシート9aおよび第2バルブシート9bのそれぞれから離間している(図2図7図12図17図23図28図33および図38参照)。
【0033】
開位置から中途位置への変位は、縦変位方向10にしたがって実行される。縦変位方向10は、バルブロッド5に平行である。
【0034】
閉塞ユニット8の第1閉位置において、第1バルブプレート3aが第1バルブシート9aに当接し、第1バルブ開口部2aを封止または密封する。閉塞ユニット8の第2閉位置において、第2バルブプレート3bが、第2バルブシート9bに当接し、第2バルブ開口部2bを封止または密封する。第1バルブ開口部2aおよび第2バルブ開口部2bのそれぞれを第1バルブプレート3aおよび第2バルブプレート3bのそれぞれにより封止するために、第1バルブプレート3aおよび第2バルブプレート3bのそれぞれは、エラストマー材料、例えばFKMまたはFFKMで作られたシールリング11を有し、バルブハウジング1の内側において第1バルブ開口部2aおよび第2バルブ開口部2bのそれぞれを取り囲むシール面により構成されている第1バルブシート9aおよび第2バルブシート9bのそれぞれに各シールリング11が当接する。
【0035】
閉塞ユニット8は、縦変位方向10に対して垂直であり、ひいては第1バルブプレート3aおよび第2バルブプレート3bのそれぞれの平面に対して垂直な横変位方向12に中間位置から第1閉位置まで駆動される。閉塞ユニット8は、横変位方向12の反対方向に中途位置から第2閉位置まで駆動される。
【0036】
アクチュエータ14を有する駆動ユニット13が、真空バルブを開閉するために使用される。本実施形態では、アクチュエータ14が気圧式ピストンシリンダユニットにより構成されている。これに代えて、例えば、電動式アクチュエータが設けられていてもよい。本実施形態では、2つのアクチュエータ14が設けられている。これに代えて、単一のアクチュエータまたは3つ以上のアクチュエータが設けられていてもよい。複数のアクチュエータが設けられている場合、すべてのアクチュエータが縦変位方向10に平行な同じ方向に作用する。
【0037】
駆動ユニット13は、バルブハウジング1に堅固に連結されている基体15を有している。基体15がバルブハウジング1と一体的に構成されていてもよい。本実施形態では、アクチュエータ14のシリンダが基体15の一部によって構成されている。基体15に堅固に連結された別個のシリンダが設けられていてもよい。伝動ユニット16は、駆動ユニット13の少なくとも1つのアクチュエータ14によって、縦変位方向10に平行に駆動される。本実施形態では、この目的のために、アクチュエータ14のピストンロッド14aが伝動ユニット16に連結されている。ピストン14bは、伝動ユニット16を縦変位方向10およびその反対方向に駆動するために複動式である。
【0038】
伝動ユニット16は、縦リニアガイド17により縦変位方向10に平行に、直線的に変位可能に案内される。本実施形態では、縦リニアガイド17はそれぞれ、駆動ユニット13の基体15に連結され、当該基体15に取り付けられたガイドレール17aの形態の縦変位方向10に整列された細長いガイド部品と、ガイドレール17aに沿って変位可能に当該ガイドレール17aに設けられ、伝動ユニット16に取り付けられたスライダ17bと、を備えている。
【0039】
スライダ17bがガイドレール17aのヘッドエリアであって、これに隣接するエリアよりも幅広のヘッドエリアを取り囲むことにより、スライダ17bがガイドレール17aの長手延在範囲に対して垂直な方向に当該ガイドレール17aから離れることが防止されている。
【0040】
少なくとも1つの縦リニアガイド17が逆に配置されていてもよい。すなわち、伝動ユニット16にガイドレール17aが配置され、基体15にスライダ17bが配置されていてもよい。
【0041】
他の実施形態では、単一の縦リニアガイドが設けられていてもよく、2を超える個数の縦リニアガイドが設けられていてもよい。縦リニアガイド17が、前述のように、シャフトガイドまたはリンクガイドなどの他の形態で構成されていてもよい。
【0042】
伝動ユニット16および支持部材7は、傾斜リニアガイド18により、傾斜変位方向19に平行に、相互に直線的に変位できるように取り付けられている。傾斜変位方向19は、縦変位方向10および横変位方向12により定義されているまたは張られている平面において、縦変位方向10および横変位方向12のそれぞれに対してある角度で傾斜している。例えば、縦変位方向10と傾斜変位方向19とがなす角度20は、約10°(±5°)の範囲に含まれている。
【0043】
本実施形態では、傾斜リニアガイド18はそれぞれ、ガイドレール18aの形態の傾斜変位方向19に平行に整列された細長いガイド部品を有し、そこにスライダ18bがガイドレール18aに沿って変位可能に取り付けられている。
【0044】
スライダ18bがガイドレール18aのヘッドエリアであって、これに隣接するエリアよりも幅広のヘッドエリアを取り囲むことによって、スライダ18bがガイドレール18aの長手延在範囲に垂直な方向に当該ガイドレール18aから離間または離脱することが防止されている。
【0045】
ガイドレール18aが伝動ユニット16に取り付けられ、スライダ18bが支持部材7に取り付けられ、逆の配置も可能である。
【0046】
2つの傾斜リニアガイド18の代わりに、単一の傾斜リニアガイド18が設けられていてもよく、または、2つを超える複数の傾斜リニアガイド18が設けられていてもよい。
【0047】
少なくとも1つの傾斜リニアガイド18は、前述のように、シャフトガイドまたはリンクガイドなどの他の形態で構成されていてもよい。
【0048】
本実施形態では、伝動ユニット16は、バルブロッド5の各側方に配置された第1伝動部材16aおよび第2伝動部材16bを有し、第1伝動部材16aおよび第2伝動部材16bはバルブロッド5が通過する貫通開口部を有するプレート状の連結部品16cによって連結されている。傾斜リニアガイド18は、第1伝動部材16aおよび第2伝動部材16bのそれぞれと、バルブロッド5の各側方に配置された支持部材7の一部のそれぞれとの間に配置されている。他の実施形態では、バルブロッド5の上方または下方に全体的に延在している一体的な伝動ユニットが設けられていてもよい。
【0049】
閉塞ユニット8が開位置にある真空バルブの開状態では、伝動ユニット16は初期位置にある。伝動ユニット16と支持部材7との間には、ばね21が傾斜変位方向19に平行に配置されている。伝動ユニット16が、アクチュエータ14により、駆動ユニット13の基体15に対して縦リニアガイド17に沿って初期位置から縦変位方向10に駆動される際、この動きがばね21を介して支持部材7、ひいては閉塞ユニット8に伝えられる。この結果、支持部材7、ひいては閉塞ユニット8が、開位置から伝動ユニット16が中途位置にある中間位置まで縦変位方向10に直線的に変位する。
【0050】
伝動ユニット16および支持部材7の相対位置は、伝動ユニット16が初期位置から中途位置に駆動された際、実質的に変化せずに維持される。伝動ユニット16に対する支持部材7の相対位置を完全に一定に維持するため、ばね21に予荷重がかけられていることが好ましい。本実施形態では、ばねユニットが設けられ(図46参照)、各ばね21は、傾斜変位方向19に平行に整列されたボルト22のそれぞれに配置されている。各ボルト22は、傾斜変位方向19についてその径の勾配変化によって形成された、後側停止部23と、本実施形態ではワッシャによって形成される前側停止部24と、を有している。ワッシャは、ボルト22のねじ山25の一端部における頭部と、ボルト22の先端部との中間にある。ばね21と後側停止部23および前側停止部24のそれぞれとの間に、ばね21がそれぞれの端部で当接している各停止部品26、27がボルト22に対して変位可能に配置されている。停止部品26、27が停止部23、24に当接した場合、ばね21はその弛緩状態に反して圧縮され、予荷重が印加される。
【0051】
停止部品26、27を有する各ばね21は、支持部材7に固定された停止面28、29の中間に配置されている(図37図41参照)。傾斜変位方向19について前側にあり、前側停止部品27が当接する前側停止面29は、本実施形態では、支持部材7の貫通孔7aの勾配によって構成されている。傾斜変位方向19について後側にあり、閉塞ユニット8が開位置にある際に後側停止部品26が当接する後側停止面28は、貫通孔7aの後部開口部を部分的に覆い、かつ、支持部材7に螺合されているプレート30によって構成されている。ボルト22は、プレート30の開口部を通過し、かつ、傾斜変位方向19について後端部において伝動ユニット16に対して固定されている。本実施形態では、当該固定は、連結部品16cのねじ31によって実現されている。
【0052】
支持部材7が所定位置に保持され、かつ、伝動ユニット16がばね21の予荷重を超える程度に十分に大きな力で支持部材7に対して押し付けられた場合、傾斜変位方向19について後方に配置されている後側停止部品26が、この力がばね21の圧縮を伴って後側停止部23を介して伝達されることにより、後側停止面28から離間する(図39参照)。これにより、ボルト22が支持部材7に対して傾斜変位方向19に変位する。伝動ユニット16が、ばね21の圧縮を伴って、支持部材7に対して傾斜リニアガイド18に沿って移動することができる(図38図39参照)。
【0053】
伝動ユニット16が所定位置に保持され、支持部材7がばね21の予荷重を超える程度に十分に大きな力で伝動ユニット16に対して押し付けられた場合、傾斜変位方向19について前方に配置されている前側停止部品27が、この力がばね21の圧縮を伴って前側停止部24を介して伝達されることにより、前側停止面29から離間される(図41参照)。これにより、ボルト22が支持部材7に対して傾斜変位方向19の反対方向に変位する。結果として、支持部材7は、伝動ユニット16に対して傾斜リニアガイド18に沿って傾斜変位方向19の反対方向に変位することができる(図40図41参照)。
【0054】
さらなる停止装置が設けられている。これにより、閉塞ユニット8の縦変位方向10への変位が制限される。停止装置により、閉塞ユニット8が中間位置に到達した際、閉塞ユニット8が縦変位方向10にそれ以上変位するのが防止される。
【0055】
本実施形態では、バルブロッド5は、その端部エリアにおいて両側に(好ましくは、縦変位方向10に対して垂直であり、かつ、横変位方向12に対して垂直である方向に)突出し、停止装置の停止部を構成する突出部5aを有している。停止するバルブプレート3a、3bから離れた場所にあります。当該突出部5aは、基体15に螺合された停止プレート32に配置された停止面32aと相互作用する。停止プレート32は、高品質の鋼または十分に高硬度のプラスチック材料など、停止面32aに適当な材料により構成されていてもよく、滑り材コーティングが施されていてもよい。停止面32aが基体15に直接的に配置されていてもよい。
【0056】
突出部5aは、例えば、バルブロッド5の穴に配置されたボルトによって構成されていてもよい。
【0057】
真空バルブを開状態から第1バルブプレート3aにより第1バルブ開口部が閉塞されている第1閉状態に遷移させるため、伝動ユニット16が、駆動ユニット13の少なくとも1つのアクチュエータ14によって、閉塞ユニット8が開位置にある初期位置から縦変位方向10に駆動される。伝動ユニット16が中途位置に到達した際、閉塞ユニット8が、停止装置の停止部を構成するバルブロッド5の突出部5aが、基体15に固定されている停止面32aに当接する中間位置に到達する。伝動ユニット16が縦変位方向10にさらに変位すると、伝動ユニット16が支持部材7に対して押し付けられ、かつ、ばね21の圧縮を伴って支持部材7に対して傾斜リニアガイド18に沿って変位する。これにより、第1バルブプレート3aが第1バルブシート9aに押し付けられるまで、支持部材7、ひいては閉塞ユニット8が横変位方向12に駆動される。支持部材7の横変位方向12への当該変位により、バルブロッド5の突出部5aが停止面32aに沿って横変位方向12に変位する。
【0058】
第1バルブプレート3aが第1バルブシート9aに対して押し付けられた際、バルブプレート3a、3bに対して遠位にある、バルブロッド5の端部エリアに配置された当接突出部5bは、基体15に固定されている停止面に当接し(図24参照)、これにより、伝動ユニット16から閉塞ユニット8に対する閉塞力の伝達効率の向上が図られていることが好ましい。
【0059】
したがって、閉塞ユニット8が第1閉位置に到達した際、伝動ユニット16がその第1作動位置にある。
【0060】
第1バルブ開口部2aが第1バルブプレート3aによって封止または密封されている第1閉状態から真空バルブを開状態に遷移させるため、伝動ユニット16が少なくとも1つのアクチュエータ14によって第1作動位置から中途位置を経て開位置に駆動される。
【0061】
真空バルブを第1閉状態から、第2バルブプレート3bが第2バルブ開口部2bを封止または密封している第2閉状態に遷移させるため、ブロックユニット33が設けられている。ブロック状態(図44参照)では、ブロックユニット33が、中途位置にある閉塞ユニット8が縦変位方向10の反対方向に変位することをブロックする。その一方、ブロックユニット33のリリース状態(図43参照)では、閉塞ユニット8のそのような変位が許容される。
【0062】
ブロックユニット33は、少なくとも1つの位置調節部材34によって駆動されるブロック部材35を有している(図43および図44参照)。本実施形態では、バルブロッド5の両側において駆動ユニット13の基体15に取り付けられた2つの位置調節部材34が設けられ、当該2つの位置調節部材34の間にブロック部材35が延在している。ブロック部材35は、バルブロッド5が延在する開口部を有している。当該開口部には側方に延長部35aが設けられている。ブロックユニット33のリリース位置および閉塞ユニット8の開位置において、当該延長部35aは、バルブロッド5の側方の突出部5aと(縦変位方向10について)同じ位置にある。閉塞ユニット8が開位置から中間位置に駆動された際、バルブロッド5の側方の突出部5aが、中間位置に到達する直前に延長部35aを通過することができる。ブロックユニット33がリリース状態からブロック状態に遷移されることにより、ブロック部材35が位置調節部材34によって横変位方向12に平行に駆動される。側方の延長部35aが、バルブロッド5の側方の突出部5aに対して動かされる。ブロック部材35は、閉塞ユニット8の中間位置において、縦変位方向10についてバルブロッド5の側方の突出部5aの後方にある。ブロックユニット33のブロック状態では、中間位置にある閉塞ユニット8が縦変位方向10に変位することがブロックされる。当該ブロックが発生する前に、閉塞ユニット8の縦変位方向10へのわずかな遊びが許容されうる。
【0063】
ブロック部材35は、縦変位方向10の反対方向に、基体15に対して固定的に取り付けられた当接ブロック37に当接している。
【0064】
真空バルブを第1閉状態から、第2バルブ開口部2bが第2バルブプレート3bによって封止または密封されている第2閉状態に遷移させるために、ブロックユニット33がブロック状態に遷移され、伝動ユニット16は、閉塞ユニット8が第1閉位置にある第1作動位置から、駆動ユニット13の少なくとも1つのアクチュエータ14によって、縦変位方向10の反対方向に駆動される。これにより、伝動ユニット16が傾斜リニアガイド18に沿って支持部材7に対して傾斜変位方向19の反対方向に駆動される。その結果、閉塞ユニット8が、第1閉位置から横変位方向12の反対方向に駆動される。伝動ユニット16が中途位置に到達した際、閉塞ユニット8が中間位置に到達する。
【0065】
伝動ユニット16が縦変位方向10の反対方向にさらに変位することにより、ばね21の圧縮により閉塞ユニット8が縦変位方向10の反対方向に変位することがブロックされる。そして、閉塞ユニット8が、傾斜リニアガイド18に沿って支持部材7に対して傾斜変位方向19の反対方向に変位し、かつ、第2バルブプレート3bが第2バルブシート9bに対して押し付けられるまで、横変位方向12の反対方向にさらに変位する。閉塞ユニット8の横変位方向12の反対方向への当該変位により、突出部5aは当該突出部5aが当接するブロック部材35の表面に沿って横変位方向12の反対方向に変位する。
【0066】
第2バルブプレート3bが第2バルブシート9bに押し付けられた際、第1バルブプレート3aおよび第2バルブプレート3bに対して遠位にある、バルブロッド5の端部エリアに配置されている。前述のように、バルブロッド5から突出したビードにより構成されているバルブロッド5の停止突出部5cが、基体15に対して固定されている停止面に対して当接する(図26参照)。その結果、伝動ユニット16から閉塞ユニット8に対する閉塞力の伝達効率の向上が図られている。本実施形態では、停止面は、停止プレート32の曲がったタブ32bにより構成されている。
【0067】
閉塞ユニット8が第2閉位置に到達した。伝動ユニット16は第2作動位置にある。第2作動位置は、中途位置と比較して初期位置の方向に適当な距離だけオフセットしている。
【0068】
真空バルブを第2閉状態から開状態に遷移させるため、まず、伝動ユニット16が少なくとも1つのアクチュエータ14により第1作動位置まで縦変位方向10に駆動され、これにより閉塞ユニット8が第1閉位置に駆動される。ブロックユニット33がリリース状態に調節され、伝動ユニット16が少なくとも1つのアクチュエータ14により縦変位方向10の反対方向に初期位置まで駆動される。
【0069】
真空バルブを第2閉状態から開状態に遷移させるため、伝動ユニット16が第2作動位置から中途位置まで縦変位方向10に駆動され、ブロックユニット33がリリース状態に調節され、かつ、伝動ユニット16が中途位置から初期位置に駆動される。このために、適当に制御可能なアクチュエータ14を準備する必要がある。
【0070】
適当に制御可能なアクチュエータが用いられることにより、伝動ユニット16が初期位置から中途位置まで駆動され、続いてブロックユニット33をブロック状態に遷移させた後、中途位置から直接的に第2作動位置に駆動されうる。したがって、閉塞ユニット8は、開位置から中途位置を経て直接的に第2閉位置に変位可能である。
【0071】
特許請求の範囲で定義される本発明の技術的思想の範囲から逸脱することなく、前記実施形態がさまざまに異なる形態で変更されてもよい。例えば、停止装置が、異なる方法で設計されていてもよく、バルブロッド5とは異なる閉塞ユニット8の構成部品が、駆動ユニットの基体15に固定されている停止面と相互作用する停止部品を有していてもよい。当該停止面は、バルブハウジング1またはそれに連結された部品に配置されていてもよい。停止装置の少なくとも1つの停止部品およびそれが相互作用する停止面が、真空バルブの真空エリアの外側に配置されていることが好ましい。
【0072】
本実施形態では、伝動ユニット16が初期位置から中途位置に駆動される際、閉塞ユニット8が少なくとも1つのばね21によって当該伝動ユニット16によって駆動される。これに代えて、閉塞ユニット8が、伝動ユニット16によって少なくとも1つのばねによって引っ張られてもよい。
【0073】
本実施形態では、伝動ユニット16が中途位置から第1作動位置に駆動される場合および中途位置から第2作動位置に駆動される場合、少なくとも1つのばね21が収縮される。これに代えて、他の実施形態では、伝動ユニット16が中途位置から第1作動位置に駆動される場合および/または中途位置から第2作動位置に駆動される場合、ばねが伸長するように構成されていてもよい。例えば、当該伸長は伝動ユニット16が中途位置から第2作動位置に調整される場合、強い圧縮状態から弱い圧縮状態に遷移する際に生じうる。
【0074】
少なくとも1つのばね21は、基本的に、傾斜変位方向19に平行な方向から外れて配置されていてもよく、この場合、ばね21は、伝動ユニット16および/または支持部材7に対して横変位方向12に変位可能である必要がある。
【符号の説明】
【0075】
1‥バルブハウジング
2a‥第1バルブ開口部
2b‥第2バルブ開口部
3a‥第1バルブプレート
3b‥第2バルブプレート
4‥支持部材
5‥バルブロッド
5a‥突出部
5b‥副突出部
5c‥副突出部
6‥メンブレンベローズ
7‥支持部材
7a‥貫通孔
8‥閉塞ユニット
9a‥第1バルブシート
9b‥第2バルブシート
10‥縦変位方向
11‥シールリング
12‥横変位方向
13‥駆動ユニット
14‥アクチュエータ
14a‥ピストンロッド
14b‥ピストン
15‥基体
16‥伝動ユニット
16a‥第1伝動部材
16b‥第2伝動部材
16c‥連結部品
17‥縦リニアガイド
17a‥縦ガイドレール
17b‥縦スライダ
18‥傾斜リニアガイド
18a‥傾斜ガイドレール
18b‥傾斜スライダ
19‥傾斜変位方向
20‥角度
21‥ばね
22‥ボルト
23‥後側停止部
24‥前側停止部
25‥ねじ山
26‥後側停止部品
27‥前側停止部品
28‥後側停止面
29‥前側停止面
30‥プレート
31‥ねじ山
32‥停止プレート
32a‥停止面
33‥ブロックユニット
34‥位置調節部材
35‥ブロック部材
35a‥延長部
37‥当接ブロック。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
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