(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186628
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】紫外線照射装置
(51)【国際特許分類】
B01J 19/12 20060101AFI20221208BHJP
A61L 9/20 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
B01J19/12 C
A61L9/20
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085151
(22)【出願日】2022-05-25
(31)【優先権主張番号】P 2021093634
(32)【優先日】2021-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 智己
(72)【発明者】
【氏名】黒井 聖史
(72)【発明者】
【氏名】田中 利夫
(72)【発明者】
【氏名】小山 千佳
(72)【発明者】
【氏名】奥本 衛
【テーマコード(参考)】
4C180
4G075
【Fターム(参考)】
4C180AA07
4C180DD03
4C180HH05
4C180HH19
4C180LL04
4C180MM08
4G075AA03
4G075AA23
4G075AA61
4G075BB10
4G075CA33
4G075DA02
4G075EB31
4G075FA01
4G075FB02
4G075FB12
(57)【要約】
【課題】紫外光を発する発光部の制御を安定して行える紫外線照射装置を提供する。
【解決手段】紫外線照射装置(100)は、紫外光を発する発光部(101)と、受光量に応じた信号を出力する受光部(102)とを備える。紫外線照射装置(100)は、受光部(102)を紫外光から保護する保護部(104A,104B)をさらに備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外光を発する発光部(101)と、
受光量に応じた信号を出力する受光部(102)と、
前記受光部(102)を紫外光から保護する保護部(104A,104B,104C)と
を備える紫外線照射装置。
【請求項2】
請求項1の紫外線照射装置において、
前記保護部(104A,104B,104C)は、前記受光部(102)に入射される紫外光の光量を減衰させる紫外線照射装置。
【請求項3】
請求項1又は2の紫外線照射装置において、
前記保護部(104A,104B,104C)は、前記発光部(101)から前記受光部(102)に紫外光が入射されるまでに当該紫外光を少なくとも1回以上反射させる反射部(104B)を含む紫外線照射装置。
【請求項4】
請求項1又は2の紫外線照射装置において、
前記保護部(104A,104B,104C)は、前記発光部(101)が発する紫外光のピーク波長よりも短い波長の光を遮光する遮光部(104C)を含む紫外線照射装置。
【請求項5】
請求項1又は2の紫外線照射装置において、
前記保護部(104A,104B,104C)は、280nm以下の波長の光を遮光する遮光部(104C)を含む紫外線照射装置。
【請求項6】
請求項1又は2の紫外線照射装置において、
前記発光部(101)は、LED(101)である紫外線照射装置。
【請求項7】
請求項6の紫外線照射装置において、
前記受光部(102)の信号に基づいて前記LED(101)の駆動電流を調整して前記LED(101)の発光量を制御する制御部(103)をさらに備える紫外線照射装置。
【請求項8】
請求項1又は2の紫外線照射装置において、
300nm以上の波長の光を遮光する光学フィルタ(105)が前記受光部(102)の前段に設けられる紫外線照射装置。
【請求項9】
請求項1又は2の紫外線照射装置において、
前記発光部(101)及び前記受光部(102)は、一体に設けられる紫外線照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、紫外線照射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ウイルス、細菌、カビ等を除去するために、紫外線照射装置が利用されている。紫外線照射装置の光源としては、ランプやLEDなどが用いられる。これらの光源は、周囲温度の影響や使用に伴って、発光量(強度)が低下するなどの光量変化を生じる。
【0003】
特許文献1には、LEDから照射された光の強度を検知してLEDを制御することによって、発光量を一定に保つことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された装置では、紫外光のエネルギー強度が高いことに起因して光検出器が劣化する。光検出器が劣化すると、LEDを安定して制御することが難しくなる。
【0006】
本開示の目的は、紫外光を発する発光部の制御を安定して行うことができる紫外線照射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様は、紫外光を発する発光部(101)と、受光量に応じた信号を出力する受光部(102)と、前記受光部(102)を紫外光から保護する保護部(104A,104B,104C)とを備える紫外線照射装置である。
【0008】
第1の態様では、受光量に応じた信号を出力する受光部(102)を保護部(104A,104B,104C)によって紫外光から保護する。このため、使用に伴う受光部(102)の劣化を抑制できるので、受光部(102)の信号に基づいて、紫外光を発する発光部(101)の発光量制御を安定して行うことができる。
【0009】
本開示の第2の態様は、第1の態様において、保護部(104A,104B,104C)は、前記受光部(102)に入射される紫外光の光量を減衰させる。
【0010】
第2の態様では、発光部(101)を発した紫外光を保護部(104A,104B,104C)を経由して受光部(102)に入射させることにより、エネルギー強度が高く損傷力の強い紫外光の受光部(102)への照射量を低減することができる。
【0011】
本開示の第3の態様は、前記第1又は第2の態様において、前記保護部(104A,104B,104C)は、前記発光部(101)から前記受光部(102)に紫外光が入射されるまでに当該紫外光を少なくとも1回以上反射させる反射部(104B)を含む。
【0012】
第3の態様では、紫外光のように波長の短い光は、反射させることによって、波長の長い光と比べて減衰させやすい。従って、発光部(101)を発した紫外光を反射部(104B)によって1回以上反射させてから受光部(102)に入射させることにより、受光部(102)の劣化を抑制することができる。
【0013】
本開示の第4の態様は、前記第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、前記保護部(104A,104B,104C)は、前記発光部(101)が発する紫外光のピーク波長よりも短い波長の光を遮光する遮光部(104C)を含む。
【0014】
第4の態様では、発光部(101)が発する紫外光のうち特に損傷力の強い短波長側の紫外光を遮光するため、受光部(102)の劣化を抑制することができる。
【0015】
本開示の第5の態様は、前記第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、前記保護部(104A,104B,104C)は、280nm以下の波長の光を遮光する遮光部(104C)を含む。
【0016】
第5の態様では、発光部(101)が発する紫外光のうち特に損傷力の強い波長280nm以下の紫外光を遮光するため、受光部(102)の劣化を抑制することができる。
【0017】
本開示の第6の態様は、前記第1~第5の態様のいずれか1つにおいて、前記発光部(101)は、LED(101)である。
【0018】
第6の態様では、発光部(101)の小型化、軽量化、低消費電力化等が可能となる。
【0019】
本開示の第7の態様は、前記第6の態様において、前記受光部(102)の信号に基づいて前記LED(101)の駆動電流を調整して前記LED(101)の発光量を制御する制御部(103)をさらに備える。
【0020】
第7の態様では、受光部(102)の信号(つまり受光量)が一定となるように、LED(101)の駆動電流を調整することによって、LED(101)の発光量を一定に制御することができる。
【0021】
本開示の第8の態様は、前記第1~第7の態様のいずれか1つにおいて、300nm以上の波長の光を遮光する光学フィルタ(105)が前記受光部(102)の前段に設けられる。
【0022】
第8の態様では、発光部(101)が発した紫外線のうち太陽光や一般照明の光に含まれる波長域成分(外乱成分)を光学フィルタ(105)によって遮光できる。このため、受光部(102)の信号に基づいて、発光部(101)の発光量を正確に制御することができる。
【0023】
本開示の第9の態様は、前記第1~第8の態様のいずれか1つにおいて、前記発光部(101)及び前記受光部(102)は、一体に設けられる。
【0024】
第9の態様では、紫外線照射装置(100)を小型化することができる。また、発光部(101)及び受光部(102)の位置関係や、周辺部材の仕様などが確定しやすくなるので、所望の機能をより確実に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、実施形態に係る紫外線照射装置が設けられる空気調和機の室内ユニットの縦断面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る紫外線照射装置の構成例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る紫外線照射装置の構成例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る紫外線照射装置の構成例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る紫外線照射装置の制御部の構成例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る紫外線照射装置の構成例を示す模式図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る紫外線照射装置の構成例を示す模式図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る紫外線照射装置が設けられる空気清浄機の透視斜視図である。
【
図9】
図9は、
図8に示す空気清浄機の要部の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(実施形態)
実施形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態の紫外線照射装置(100)は、例えば
図1に示す空気調和機の室内ユニットに設けられる。当該室内ユニットは、断面略矩形状のケーシング(1)を備え、ケーシング(1)は、室内壁面に沿って固定される背面側(
図1の右側)の底フレーム(2)と、底フレーム(2)の前面側に取り付けられた前面グリル(3)とによって構成される。前面グリル(3)には、その前面開口を覆う前面パネル(4)が取り付けられ、前面パネル(4)には前面吸込口(5)が形成される。ケーシング(1)の天板面には上面吸込口(6)が形成される。ケーシング(1)内には、冷媒回路における凝縮器(暖房運転時)や蒸発器(冷房運転時)として機能する熱交換器(7)と、クロスフローファンからなる送風ファン(8)とが配置される。熱交換器(7)は、前面側熱交換器(7a)と背面側熱交換器(7b)とを逆V字状に組み合わせて構成され、前面側熱交換器(7a)と背面側熱交換器(7b)との各下端部間に送風ファン(8)が配置される。前面グリル(3)における下部前面側には、水平フラップ(9)や垂直フラップ(図示省略)が設けられた吹出口(10)が形成される。ケーシング(1)内における前面吸込口(5)及び上面吸込口(6)の内側に沿って、防塵用フィルタ(11)が装着される。
【0027】
図1に示す室内ユニットにおいて、紫外線照射装置(100)は、防塵用フィルタ(11)と前面側熱交換器(7a)との間の下部側空間に設置される。紫外線照射装置(100)は、ホルダ(図示省略)に支持されてもよい。紫外線照射装置(100)は、防塵用フィルタ(11)のほぼ全面にわたって紫外光を照射できるように構成される。紫外光の照射によって、防塵用フィルタ(11)の殺菌が可能となる。
【0028】
図2に示すように、紫外線照射装置(100)は、主として、紫外光を発する発光部(101)と、受光量に応じた信号を出力する受光部(102)と、受光部(102)を紫外光から保護する保護部(104A,104B)とを備える。紫外線照射装置(100)は、受光部(102)の信号に基づいて発光部(101)を制御する制御部(103)をさらに備えてもよい。或いは、制御部(103)は、空気調和機又は室内ユニットの制御部の一部として構成されてもよい。尚、
図2において、紫外線照射装置(100)による紫外光(所定の強度以上)の照射領域を「R」、発光部(101)を発した紫外光が受光部(102)に入射されるまでの経路を「L」で示す。
【0029】
発光部(101)の発光波長は、例えば380nm程度以下であってもよいし、強い殺菌効果等を得るために、例えば300nm程度以下であってもよい。発光部(101)として、例えば窒化物半導体を発光層に用いた半導体発光素子等のLEDを用いてもよいし、或いは、例えば水銀ランプやエキシマランプ等を用いてもよい。LEDを用いる場合、紫外光の照射対象に応じて、LEDの寸法、設置個数、設置間隔等を適宜設定することができる。複数個のLEDを用いる場合、同種のLEDのみで構成してもよいし、或いは、LEDごとに発光波長や光出力を変えてもよい。LEDは、パッケージ内に発光素子を実装させたものであってもよいし、或いは、ベアチップの発光素子であってもよい。
【0030】
受光部(102)は、光の波長に依存して決まる感度で、受光量(入射光のエネルギー強度)に応じた信号(電流値又は電圧値)を出力する。受光部(102)は、発光部(101)が発した紫外光に対して感度を有するものであれば、特に限定されないが、半導体材料などで構成された受光素子、例えばフォトダイオード、フォトトランジスタ、フォトコンダクタ等を用いてもよいし、或いは、フォトマル(光電子増倍管)を用いてもよい。受光部(102)は、パッケージ内に受光素子等を実装させたものであってもよいし、或いは、ベアチップの受光素子等であってもよい。
【0031】
制御部(103)は、受光部(102)から出力された信号に基づいて、発光部(101)の発光量、具体的には、発光強度又は発光時間を制御する。尚、発光量(照射量(J/cm
2 )は、発光強度(照射強度(W/cm
2 ))と、発光時間(照射時間(秒))との積に等しい。発光部(101)がLEDであれば、制御部(103)は、LEDの駆動電流によってLEDの発光量を制御する。発光部(101)がランプであれば、制御部(103)は、ランプの点灯本数やON/OFFによってランプの発光量を制御する。制御部(103)は、例えば、マイクロコンピュータ(図示省略)と、マイクロコンピュータを動作させるプログラムとによって構成することが可能である。制御部(103)は、
図1に示す室内ユニットの制御部の一部として構成されてもよい。
【0032】
図2に示す構成では、保護部(104A,104B)は、発光部(101)から受光部(102)に紫外光が直接入射されることを防止する遮光部(104A)と、発光部(101)が発した紫外光を受光部(102)に向けて反射させる反射部(104B)とを含む。遮光部(104A)及び反射部(104B)は、受光部(102)に入射される紫外光の光量を減衰させてもよい。遮光部(104A)及び反射部(104B)の材質は、紫外光を吸収又は反射するものであれば、特に限定されないが、例えば、繊維強化プラスチック、酸化亜鉛、酸化チタン等を用いてもよい。遮光部(104A)は、発光部(101)と受光部(102)との間に、受光部(102)から見て発光部(101)が隠蔽されるように配置されてもよい。反射部(104B)は、発光部(101)や受光部(102)から離隔して配置されてもよい。反射部(104B)は、発光部(101)が発した紫外光のうち比較的強度が低い光(例えば照射領域Rの外側の光)を受光部(102)に向けて反射するように配置されてもよい。反射部(104B)は、発光部(101)から受光部(102)に紫外光が入射されるまでに当該紫外光を2回以上反射させるように複数配置されてもよい。
【0033】
紫外線照射装置(100)による紫外光の照射対象が紫外光を反射させる材質で構成される場合、
図3に示すように、紫外線照射装置(100)において、反射部(104B)を設置せずに、紫外光の照射対象(例えば防塵用フィルタ(11))で反射した紫外光を受光部(102)に入射させてもよい。尚、
図3において、
図2に示す紫外線照射装置(100)と同じ構成要素には同じ符号を付している。
【0034】
反射部(104B)による紫外光の光量の減衰が十分ではない場合、
図4に示すように、紫外線照射装置(100)において、反射部(104B)から受光部(102)までの紫外光の経路L上に、受光部(102)の保護部として、遮光部(104C)をさらに配置してもよい。尚、
図4において、
図2に示す紫外線照射装置(100)と同じ構成要素には同じ符号を付している。遮光部(104C)は、例えば、発光部(101)が発する紫外光のピーク波長よりも短い波長の光を選択的に遮光してもよい。遮光部(104C)は、例えば280nm以下の波長の光を選択的に遮光してもよい。遮光部(104C)は、光学フィルタ等の光学素子で構成してもよいし、或いは、光減衰材等で構成してもよい。光減衰材としては、例えば、孔を開けた金属や樹脂の薄板、金属メッシュなどを用いることができる。
【0035】
以下、発光部(101)をLED(以下、LED(101)と表記することもある)で構成する場合の制御部(103)の詳細構成例について説明する。制御部(103)は、
図5に示すように、電源部(150)と電気的に接続され、電源部(150)からの電流は、制御部(103)を介してLED(101)に供給される。制御部(103)は、LED(101)の定電圧駆動時における電流量の増減、又は、LED(101)のパルス駆動時における発光時間若しくは発光間隔の増減などによって、LED(101)の発光量を制御する。具体的には、制御部(103)は、受光部(102)から出力された信号(例えば電流)を増幅する増幅部(111)と、増幅された信号の値を所定値と比較する比較部(112)と、比較部(112)の出力に基づいて電源部(150)の目標電流値を調整する電流値調整部(113)とを備える。制御部(103)は、LED(101)の発光を駆動制御する駆動回路(114)をさらに備える。電流値調整部(113)により調整された電源部(150)からの電流は、駆動回路(114)を介してLED(101)に供給される。比較部(112)で用いる所定値は、制御部(103)に内蔵された記憶部に記憶させてもよい。所定値は、紫外光の照射対象の構造、LED(101)の構成、紫外光の照射目的(殺菌等)などに応じて適宜設定される。
【0036】
尚、LED(101)は、使用に伴って同じ駆動電流での発光量が減少する。言い換えると、同じ発光量を保つためには、使用に伴ってLED(101)の駆動電流を増大させる必要がある。しかしながら、LED(101)の駆動電流値には上限が存在する。そこで、制御部(103)は、電流値調整部(113)により調整された目標電流値が、LED(101)の駆動電流値の上限に達したら、LED(101)が寿命であることをユーザ等に音や光で報知してもよい。
【0037】
ところで、地上に届く太陽光や室内の照明の光には、波長300nm以上の紫外光が含まれている。この紫外光成分が外乱として受光部(102)に入射されると、発光部(101)が発する紫外光の受光量を正確に検出することができなくなる。そこで、
図6に示すように、紫外線照射装置(100)において、受光部(102)の前段に、300nm以上の波長の光を遮光する光学フィルタ(105)を設けてもよい。尚、
図6において、
図2に示す紫外線照射装置(100)と同じ構成要素には同じ符号を付している。光学フィルタ(105)を設けることにより、受光部(102)に入射される紫外光を、日常空間に存在しない波長域に絞ることができるので、外乱の影響を受けることなく、発光部(101)が発した紫外光の発光量だけを正確に検出することができる。光学フィルタ(105)と共に、
図4に示す遮光部(104C)を受光部(102)の前段に配置してもよい。或いは、遮光部(104C)及び光学フィルタ(105)の両方の機能を併せ持つ遮光部材を受光部(102)の前段に配置してもよい。
【0038】
また、
図1に示す室内ユニットの内部のように、紫外線照射装置(100)を配置するためのスペースが小さい場合、発光部(101)及び受光部(102)を一体に設けてもよい。例えば
図7に示すように、発光部(101)及び受光部(102)を同じパッケージ(120)に設けてもよい。この場合、受光部(102)の保護部として、前述の遮光部(104A,104C)も同じパッケージ(120)に設けてもよい。尚、パッケージ(120)は、発光部(101)が発した紫外光が照射対象(図外)に到達可能で、且つ反射部(図外)等により反射された紫外光が受光部(102)に到達可能であるように構成される。また、発光部(101)及び受光部(102)を同じパッケージ(120)に設ける代わりに、発光部(101)及び受光部(102)を同じ基板上に実装してもよい。
【0039】
-実施形態の特徴-
以上に説明したように、本実施形態の紫外線照射装置(100)は、紫外光を発する発光部(101)と、受光量に応じた信号を出力する受光部(102)と、受光部(102)を紫外光から保護する保護部(104A,104B,104C)とを備える。
【0040】
本実施形態の紫外線照射装置(100)によると、受光量に応じた信号を出力する受光部(102)を保護部(104A,104B,104C)によって紫外光から保護するため、使用に伴う受光部(102)の劣化を抑制できる。従って、受光部(102)の信号に基づいて、紫外光を発する発光部(101)の発光量制御を安定して行うことができる。また、紫外線照射装置(100)の性能が担保されるのみならず、過剰設計を要することなく、紫外線照射装置(100)の実質寿命を延ばすことができる。
【0041】
本実施形態の紫外線照射装置(100)において、保護部(104A,104B,104C)は、受光部(102)に入射される紫外光の光量を減衰させてもよい。このようにすると、発光部(101)を発した紫外光を保護部(104A,104B,104C)を経由して受光部(102)に入射させることにより、エネルギー強度が高く損傷力の強い紫外光の受光部(102)への照射量を低減することができる。
【0042】
本実施形態の紫外線照射装置(100)において、保護部(104A,104B,104C)は、発光部(101)から受光部(102)に紫外光が入射されるまでに当該紫外光を少なくとも1回以上反射させる反射部(104B)を含んでもよい。紫外光のように波長の短い光は、反射させることによって、波長の長い光と比べて減衰させやすい。従って、発光部(101)を発した紫外光を反射部(104B)によって1回以上反射させてから受光部(102)に入射させることにより、受光部(102)の劣化を抑制することができる。
【0043】
本実施形態の紫外線照射装置(100)において、保護部(104A,104B,104C)は、発光部(101)が発する紫外光のピーク波長よりも短い波長の光、又は280nm以下の波長の光を遮光する遮光部(104C)を含んでもよい。このようにすると、発光部(101)が発する紫外光のうち特に損傷力の強い短波長側又は波長280nm以下の紫外光を遮光するため、受光部(102)の劣化を抑制することができる。
【0044】
本実施形態の紫外線照射装置(100)において、発光部(101)は、小型化、軽量化、低消費電力化等が可能なLED(101)であってもよい。この場合、受光部(102)の信号に基づいてLED(101)の駆動電流を調整してLED(101)の発光量を制御する制御部(103)をさらに備えてもよい。このようにすると、受光部(102)の信号(つまり受光量)が一定となるように、LED(101)の駆動電流を調整することによって、LED(101)の発光量を一定に制御することができる。
【0045】
本実施形態の紫外線照射装置(100)において、300nm以上の波長の光を遮光する光学フィルタ(105)が受光部(102)の前段に設けられてもよい。このようにすると、発光部(101)が発した紫外線のうち太陽光や照明の光などに含まれる波長域成分(外乱成分)を光学フィルタ(105)によって遮光できる。このため、受光部(102)の信号に基づいて、発光部(101)の発光量を正確に制御することができる。
【0046】
本実施形態の紫外線照射装置(100)において、発光部(101)及び受光部(102)は、一体に設けられてもよい。このようにすると、紫外線照射装置(100)を小型化することができる。また、発光部(101)及び受光部(102)の位置関係や、周辺部材の仕様などが確定しやすくなるので、所望の機能をより確実に実現することができる。
【0047】
《その他の実施形態》
前記実施形態(各変形例を含む。以下同じ。)では、紫外線照射装置(100)を空気調和機の室内ユニット(
図1参照)に設ける場合を例示したが、紫外線照射装置(100)の適用対象は、特に制限されるものではなく、例えば、空気清浄機、手術室等の空間の殺菌装置、UV硬化インクを用いる印刷装置などのUV光源等、様々な用途に利用できる。
【0048】
例えば
図8及び
図9に示すように、紫外線照射装置(100)を空気清浄機(20)に設けてもよい。尚、
図8及び
図9において、
図2に示す紫外線照射装置(100)と同じ構成要素には同じ符号を付している。また、
図8では、空気清浄機(20)の内部構成が分かるように、ケーシング(21)の一部を切り欠いて示している。
【0049】
空気清浄機(20)では、略直方体状のケーシング(21)の側面(21b)の下部に設けられた吸込口(22)から、ケーシング(21)の天板面(21a)に設けられた吹出口(26)までの通風経路上に、送風ファン(23)、フィルタ(24)及び集塵ユニット(25)が順次配置される。ケーシング(21)の側面(21b)の上端に、空気清浄機(20)の操作部(27)が配置される。空気清浄機(20)において送風ファン(23)が運転されると、室内空気が吸込口(22)を通じてケーシング(21)内に吸込まれ、フィルタ(24)及び集塵ユニット(25)を室内空気が通過する際に塵埃等が除去され、清浄な空気が吹出口(26)を通じてケーシング(21)外に吹き出される。
【0050】
ケーシング(21b)の互いに対向する側面(21b)のそれぞれに、発光部(101)を保持するホルダー(28)と、受光部(102)を保持するホルダー(29)とが設けられる。発光部(101)は、フィルタ(24)のほぼ全面にわたって紫外光を照射できるように配置される。紫外光の照射によって、フィルタ(24)の殺菌や消毒が可能となる。受光部(102)は、フィルタ(24)で反射された紫外光が受光部(102)に入射されるように配置される。受光部(102)を保持するホルダー(29)には、発光部(101)から受光部(102)に紫外光が直接入射されることを防止する遮光部(104A)が保護部として設けられる。紫外線照射装置(100)の制御部(103)は、空気清浄機(20)の制御部の一部として構成されてもよい。
【0051】
また、前記実施形態では、受光部(102)を紫外光から保護する保護部(104A,104B,104C)を設けたが、保護部(104A,104B,104C)を設けることなく、所定の強度以下の紫外光が照射される領域に受光部(102)を配置することによって、受光部(102)の劣化を抑制してもよい。
【0052】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上説明したように、本開示は、紫外線照射装置について有用である。
【符号の説明】
【0054】
100 紫外線照射装置
101 発光部(LED)
102 受光部
103 制御部
104A 保護部(遮光部)
104B 保護部(反射部)
104C 保護部(遮光部)
105 光学フィルタ
【手続補正書】
【提出日】2022-11-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外光を発する発光部(101)と、
受光量に応じた信号を出力する受光部(102)と、
前記受光部(102)を紫外光から保護する保護部(104A,104B,104C)と
を備え、
前記保護部(104A,104B,104C)は、前記受光部(102)に入射される紫外光の光量を減衰させる紫外線照射装置。
【請求項2】
請求項1の紫外線照射装置において、
前記保護部(104A,104B,104C)は、前記発光部(101)から前記受光部(102)に紫外光が入射されるまでに当該紫外光を少なくとも1回以上反射させる反射部(104B)を含む紫外線照射装置。
【請求項3】
請求項2の紫外線照射装置において、
前記反射部(104B)は、紫外光を吸収することにより、前記受光部(102)に入射される紫外光の光量を減衰させる紫外線照射装置。
【請求項4】
請求項2又は3の紫外線照射装置において、
前記反射部(104B)は、前記発光部(101)が発した紫外光を前記受光部(102)に向けて反射させ、
前記反射部(104B)から前記受光部(102)までの紫外光の経路上に、前記受光部(102)に入射される紫外光の光量を減衰させる遮光部(104C)を備える紫外線照射装置。
【請求項5】
請求項1の紫外線照射装置において、
前記保護部(104A,104B,104C)は、前記発光部(101)が発する紫外光のピーク波長よりも短い波長の光を遮光する遮光部(104C)を含む紫外線照射装置。
【請求項6】
請求項1の紫外線照射装置において、
前記保護部(104A,104B,104C)は、280nm以下の波長の光を遮光する遮光部(104C)を含む紫外線照射装置。
【請求項7】
請求項1の紫外線照射装置において、
前記発光部(101)は、LED(101)である紫外線照射装置。
【請求項8】
請求項7の紫外線照射装置において、
前記受光部(102)の信号に基づいて前記LED(101)の駆動電流を調整して前記LED(101)の発光量を制御する制御部(103)をさらに備える紫外線照射装置。
【請求項9】
請求項1の紫外線照射装置において、
300nm以上の波長の光を遮光する光学フィルタ(105)が前記受光部(102)の前段に設けられる紫外線照射装置。
【請求項10】
請求項1の紫外線照射装置において、
前記発光部(101)及び前記受光部(102)は、一体に設けられる紫外線照射装置。