(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186652
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】ユーザ役割および検査室構成に基づくカスタマイズされた検査室訓練
(51)【国際特許分類】
G09B 19/00 20060101AFI20221208BHJP
G06Q 50/20 20120101ALI20221208BHJP
【FI】
G09B19/00 G
G06Q50/20
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022089521
(22)【出願日】2022-06-01
(31)【優先権主張番号】21382502
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100119781
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】クロエ・デ・マガリャエス
(72)【発明者】
【氏名】ホセ・カルロス・ペレス・ペレス
(72)【発明者】
【氏名】ヤーセル・モハメド・レダ・アブデルガワド・イブラヒム
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC34
(57)【要約】 (修正有)
【課題】検査室システムでのユーザ訓練を自動的にカスタマイズする方法を提供する。
【解決手段】方法は、検査室システムの構成ファイルを取得することと、検査室ユーザによって検査室システムにログインすることと、検査室システムでの使用および訓練のために検査室ユーザを識別および認証することと、検査室ユーザが検査室システムによって識別および認証された後、検査室ユーザのユーザプロファイルに基づいて及び検査室ユーザの訓練資格情報に基づいて、検査室システムについてその検査室ユーザに必要な訓練資格情報を取得することと、検査室ユーザの訓練資格情報および検査室システムの構成ファイルに基づいて、検査室ユーザが検査室システムを使用するために必要な訓練資料を自動的に割り当て、割り当てられた訓練資料を検査室ユーザによる完了のために検査室システム上にロードすることと、を含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査室システム100でのユーザ訓練を自動的にカスタマイズする方法であって、
前記検査室システム100の構成ファイルを取得することと、
検査室ユーザによって前記検査室システム100にログインすることと、
前記検査室システム100での使用および訓練のために前記検査室ユーザを識別および認証することと、
前記検査室ユーザが前記検査室システム100によって識別および認証された後、前記検査室ユーザのユーザプロファイルに基づいて、前記検査室システム100についてその検査室ユーザに必要な訓練資格情報を取得することと、
前記検査室ユーザの前記訓練資格情報に基づいて、前記検査室ユーザの前記訓練資格情報および前記検査室システム100の前記構成ファイルに基づいて前記検査室ユーザが前記検査室システム100を使用するために必要な訓練資料を自動的に割り当て、割り当てられた前記訓練資料を前記検査室ユーザによる完了のために前記検査室システム100上にロードすることと
を含む、方法。
【請求項2】
前記ユーザ訓練の前記割り当てが、前記検査室のその特定の構成に対する前記検査室ユーザの訓練資格情報に基づいて訓練資料の全ての第1のフィルタリングを行い、前記第1のフィルタリングの後に、前記ユーザプロファイルに見られる前記検査室ユーザの検査室役割に基づいて第2のフィルタリングを実行することによって決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
検査室ユーザが、複数のプロファイルを有し、前記複数のプロファイルが、前記複数のプロファイルの各プロファイル内に少なくとも1つの役割を含む複数のプロファイルを有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記構成ファイルが、前記検査室システムのマスターファイルと、前記検査室システムのプロバイダによって開発され且つ前記マスターファイルに関連付けられたプロバイダの構成ファイルとから構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記構成ファイルが、前記検査室システム100用に構成されたモダリティの全てを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記構成ファイルが、前記ユーザによる使用に利用可能なモダリティの全てを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記検査室ユーザに提示される前記割り当てられた訓練資料が、前記検査室システム100内の同様の検査室ユーザの行動に基づいている、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記検査室ユーザに提示される前記割り当てられた訓練資料が、同じ検査室構成または同様の検査室構成を有する検査室システム100における同様のユーザの行動に基づいている、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記訓練資格情報が、前記検査室システム100における前記検査室ユーザのユーザ役割に関連している、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ユーザ役割が、前記訓練資格情報と関連付けられた複数の訓練資料に関連付けられている、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記訓練資格情報が、前記検査室システム100において前記検査室ユーザによって実行される検査室タスクに関連している、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記検査室システム100における前記ユーザプロファイルおよびユーザ役割に基づいてカスタマイズされた訓練表示を事前規定することをさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記検査室システム100に、前記検査室システム100のプロバイダからの検査室システム構成ファイルを供給することをさらに含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ユーザが割り当てられた全ての訓練資料が前記検査室ユーザによって完成されるまで、前記検査室システム100へのアクセスが制限されることさらに含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
新たな訓練資料が更新されたとき、および前記検査室ユーザが前記新たな更新された訓練資料を完了する必要があることを前記検査室ユーザに通知することをさらに含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、一般に、検査室システムでのユーザ訓練を自動的にカスタマイズすることに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
検査室内のユーザに、新たな検査室製品およびその関連ソフトウェアまたは検査室製品/ソフトウェアの新たなバージョンをどのように使用するかを訓練することは、典型的には、検査室ユーザを検査室製品/ソフトウェアプロバイダの中央訓練施設に動員することを必要とし得るため、高価であり得る。この動員は、典型的には、移動および管理コストを伴い、全ての検査室ユーザを訓練のために同じ中央サイトに訪問させることは、事業計画的に困難であり得る。
【0003】
さらにまた、現在の訓練フォーマットは、通常、検査室ユーザの特定の検査室タスクにしたがって、またはその特定の検査室に対して選択された検査室製品の構成にしたがって、その製品/ソフトウェアのユーザ訓練をカスタマイズするオプションを提供しない。
【0004】
検査室ユーザが検査室で有する可能性がある異なる検査室の役割は多数あるので、全ての異なる検査室の役割に対する訓練のコストは高く、費用がかかる可能性がある。さらに、従来の訓練に参加した検査室ユーザは、検査室ユーザが検査室において有する特定の検査室の役割に適用されない訓練内容にさらされる可能性がある。これは、必要とされる訓練内容が混乱したり、訓練内容が検査室ユーザにとって魅力的でなくなったりすることをもたらす可能性があり、これは、訓練を検査室ユーザにとってあまり価値のないものにする。
【0005】
国際公開第2011/017608号パンフレットは、電子訓練計画を生成し、機器または設備の部品の動作、保守、較正、制御試験、および/またはトラブルシューティングにおける能力を提供するための単一ソースの電子訓練プラットフォームを提供するように適合された方法およびシステムを開示している。この文書では、管理者モジュールが開示され、訓練者への招待を生成するように適合され、訓練者のための電子学習計画の生成を可能にする。
【0006】
欧州特許出願公開第1629451号明細書は、標準化された訓練プログラムおよび作業者固有の訓練情報を提供することを含む、個人を訓練する際に使用するための方法を開示している。この文書では、作業者固有訓練情報は、少なくとも1つの職場条件についての複数の異なる訓練対象のそれぞれに対応する情報を含む。1人以上の管理者は、職場に関連する職場情報を提供することができる。
【0007】
欧州特許出願公開第3545409号明細書は、コンテキスト情報に少なくとも部分的に基づいて、アプリケーションのオンボーディングチュートリアル用の複数のテンプレートグラフィカルユーザインターフェースのうちの少なくとも1つのグラフィカルユーザインターフェースに含めるコンテンツを決定する方法を開示している。
【0008】
米国特許出願公開第2007/0099161号明細書は、電子学習コースを動的に作成および管理するためのシステム、方法、およびソフトウェアを開示している。この文書では、本方法は、一貫した学習提供を提供しながら、教室での訓練に関連する移動および管理コストを削減することによって、学習管理システムが訓練の質を向上させ、コストを削減することを容易にする。本方法は、企業リソース計画(ERP)ソリューションと完全に統合された学習管理システムを提供する。
【0009】
文献米国特許出願公開第2002/0086267号明細書は、全ての訓練モジュールを互いに依存するようにデータバンクに記憶することによって、訓練者の個々の学習ニーズに基づいて個別に適合されたプレハブ式でない訓練ユニットを自動的に決定するための装置を開示しており、既存の訓練モジュールから訓練ユニットを生成するための選択装置は、訓練ユニットの互いの依存性が考慮されるように形作られている。この文書では、訓練参加者は、例えば特定のキーワードに基づいて、自分の学習ニーズを指定する。
【発明の概要】
【0010】
概要
本開示の目的は、費用対効果が高く、効率的であり、使いやすさを可能にする、検査室システムでのユーザ訓練を自動的にカスタマイズする方法を提供することである。
【0011】
この問題を解決するために、独立請求項1に記載の検査室システムでのユーザ訓練を自動的にカスタマイズする方法が提供される。追加の実施形態は、従属請求項において言及されている。
【0012】
本開示の第1の態様によれば、検査室システムでのユーザ訓練を自動的にカスタマイズする方法が提示される。本方法は、検査室システムの構成ファイルを取得することと、検査室ユーザによって検査室システムにログインすることと、検査室システムでの使用および訓練のために検査室ユーザを識別および認証することと、検査室ユーザが検査室システムによって識別および認証された後、検査室ユーザのユーザプロファイルに基づいて、および検査室ユーザの訓練資格情報に基づいて、検査室システムについてその検査室ユーザに必要な訓練資格情報を取得することと、検査室ユーザの訓練資格情報および検査室システムの構成ファイルに基づいて、検査室ユーザが検査室システムを使用するために必要な訓練資料を自動的に割り当て、割り当てられた訓練資料を検査室ユーザによる完了のために検査室システム上にロードすることと、を含む。
【0013】
ユーザ訓練の割り当ては、検査室のその特定の構成に対する検査室ユーザの訓練資格情報に基づいて訓練資料の全ての第1のフィルタリングを行い、第1のフィルタリングの後に、ユーザプロファイルに見られる検査室ユーザの検査室役割に基づいて第2のフィルタリングを実行することによって決定される。
【0014】
検査室ユーザは、複数のプロファイルを有し、複数のプロファイルが、複数のプロファイルの各プロファイル内に少なくとも1つの役割を含む。
【0015】
構成ファイルは、検査室システムのマスターファイルと、マスターファイルに関連付けられた検査室システムのプロバイダによって開発された検査室プロバイダの構成ファイルとから構成される。一実施形態では、プロバイダは、検査室システム内の検査室製品/ソフトウェアの製造業者とすることができる。別の実施形態では、プロバイダは、検査室システム内の検査室製品/ソフトウェアの再販売者とすることができる。さらに別の実施形態では、プロバイダは、検査室システム内の検査室製品/ソフトウェアの製造業者と再販売業者との組み合わせとすることができる。
【0016】
一実施形態では、構成ファイルは、検査室システム用に構成されたモダリティを含むことができる。構成ファイルはまた、検査室ユーザによる使用に利用可能なモダリティを含むことができる。
【0017】
一実施形態では、検査室ユーザに提示される割り当てられた訓練資料はまた、検査室システム内の同様の検査室ユーザの行動に基づくことができる。同様の検査室ユーザは、検査室で同じまたは同様のユーザ役割を有することができる。
【0018】
一実施形態では、検査室ユーザに提示される割り当てられた訓練資料は、同じまたは同様の検査室構成を有する検査室システムにおける同様の検査室ユーザの行動に基づくことができる。
【0019】
一実施形態では、訓練資格情報は、検査室システムにおける検査室ユーザのユーザ役割に関連する。ユーザ役割は、訓練資格情報と関連付けられた複数の訓練資料と相関させることができる。
【0020】
一実施形態では、訓練資格情報は、検査室システムにおいて検査室ユーザによって実行される検査室タスクに関連する。
【0021】
本方法は、検査室システムにおける検査室ユーザプロファイルおよび検査室ユーザ役割に基づいてカスタマイズされた訓練表示を事前規定することをさらに含むことができる。
【0022】
本方法は、検査室システムの検査室製品/ソフトウェアのプロバイダからの検査室システム構成ファイルを検査室システムに供給することをさらに含むことができる。一実施形態では、供給は、検査室製品/ソフトウェアのプロバイダによって検査室システムに接続されたデータベースに検査室システム構成ファイルをインストールすることとすることができる。別の実施形態では、検査室製品/ソフトウェアのプロバイダは、検査室システム構成ファイルを検査室システムに直接インストールすることができる。
【0023】
本方法は、検査室ユーザに割り当てられた訓練資料の全てが検査室ユーザによって完了されるまで、検査室システムへの検査室ユーザへのアクセスが制限または拒否されることをさらに含むことができる。
【0024】
本方法は、新たな訓練資料が更新されたとき、および検査室ユーザが新たな更新された訓練資料を完了する必要があることを検査室ユーザに通知することをさらに含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本開示の特定の実施形態の以下の詳細な説明は、同様の構造が同様の参照符号によって示される以下の図面と併せて読むと最もよく理解されることができる。
【
図1】本開示の実施形態にかかる検査室システムを示している。
【
図2】本開示の実施形態にかかる、関連情報を収集するためにプロバイダサービス担当者によって顧客に提供されるマスターファイルの例を示している。
【
図3】本開示の実施形態にかかる、カスタマイズされた必須訓練資料を決定するためのフィルタリングプロセスを示している。
【
図4】本開示の実施形態にかかる検査室システムでのユーザ訓練を自動的にカスタマイズする方法のフローチャートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
詳細な説明
以下の実施形態の詳細な説明では、本明細書の一部を形成し、限定ではなく例示として開示が実施され得る特定の実施形態が示されている添付の図面を参照する。他の実施形態を利用することができ、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、論理的、機械的および電気的変更を行うことができることを理解されたい。
【0027】
以下において使用される場合、用語「有する」、「備える」もしくは「含む」またはそれらの任意の文法上の変形は、非排他的な方法で使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入される特徴に加えて、この文脈で説明されているエンティティにさらなる特徴が存在しない状況と、1つ以上の追加の特徴が存在する状況との双方を指す場合がある。例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」および「AはBを含む」という表現は、双方とも、B以外に、他の要素がAに存在しない状況(すなわち、Aが単独で且つ排他的にBからなる状況)、および、B以外に、要素C、要素CおよびD、さらにはさらなる要素など、1つ以上のさらなる要素がエンティティAに存在する状況を指す場合がある。
【0028】
さらに、特徴または要素が1回または複数回存在することができることを示す「少なくとも1つ」、「1つ以上」という用語または同様の表現は、通常、それぞれの特徴または要素を導入するときに一度だけ使用されることに留意されたい。以下では、ほとんどの場合、それぞれの特徴または要素を指すとき、それぞれの特徴または要素が1回または複数回存在することができるという事実にもかかわらず、「少なくとも1つ」または「1つ以上」という表現は繰り返されない。
【0029】
「a」または「an」の使用は、本明細書の実施形態の要素および構成要素を説明するために使用されることができる。これは、単に便宜上および本発明の概念の一般的な意味を与えるために行われている。この説明は、1つまたは少なくとも1つを含むように読まれるべきであり、そうでないことを意味することが明らかでない限り、単数形は複数形を含む。
【0030】
本明細書で使用される「検査室機器」または「検査室装置」という用語は、1つ以上の生物学的試料および/または1つ以上の試薬に対して1つ以上の処理ステップ/ワークフローステップを実行および/または実行させるように動作可能な任意の装置または装置構成要素を包含することができる。したがって、「処理ステップ」という表現は、遠心分離、分注、試料分析などの物理的に実行される処理ステップを指すことができる。「機器」という用語は、分析前機器、分析後機器、分析機器、および検査室ミドルウェアをカバーすることができる。
【0031】
本明細書で使用される「検査室ミドルウェア」という用語は、ワークフローおよびワークフローステップが検査室機器/システムによって実行されることができるように、検査室機器または1つ以上の検査室機器を備えるシステムを制御するように構成可能な任意の物理的または仮想的処理装置を指すことができる。検査室ミドルウェアは、例えば、検査室機器/システムに、分析前、分析後、および分析ワークフロー/ワークフローステップを実行するように指示することができる。検査室ミドルウェアは、特定の試料にどのステップが実行される必要があるかに関してデータ管理ユニットから情報を受信することができる。いくつかの実施形態では、検査室ミドルウェアは、データ管理ユニットと一体とすることができ、サーバコンピュータによって構成されることができ、および/または1つの検査室機器の一部とすることができ、または検査室システムの複数の機器にわたって分散されることができる。検査室ミドルウェアは、例えば、操作を実行するための命令を備えたコンピュータ可読プログラムを実行するプログラム可能論理コントローラとして具体化されてもよい。
【0032】
「データ記憶ユニット」または「データベース」は、メモリ、ハードディスクまたはクラウドストレージなどのデータを記憶および管理するためのコンピューティングユニットとすることができる。これは、自動化システムによって処理される生物学的/医学的試料に関連するデータを含むことができる。データ管理ユニットは、LIS(検査室情報システム)および/またはHIS(病院情報システム)に接続されることができる。データ管理ユニットは、検査室機器内のユニット、または検査室機器と同じ場所に配置されたユニットとすることができる。それは、検査室ミドルウェアの一部とすることができる。あるいは、データベースは、遠隔地にあるユニットとすることができる。例えば、それは、通信ネットワークを介して接続されたコンピュータ内で具体化されることができる。
【0033】
本明細書で使用される「通信ネットワーク」という用語は、WiFi(商標)、GSM(商標)、UMTSもしくは他の無線デジタルネットワークなどの任意のタイプの無線ネットワーク、またはイーサネット(商標)などのケーブルベースのネットワークを含むことができる。特に、通信ネットワークは、インターネットプロトコル(IP)を実装することができる。例えば、通信ネットワークは、ケーブルベースのネットワークと無線ネットワークとの組み合わせを含むことができる。
【0034】
本明細書で使用される「遠隔システム」または「サーバ」という用語は、物理プロセッサまたは仮想プロセッサを備え、データの受信、処理および送信が可能な任意の物理マシンまたは仮想マシンを含むことができる。サーバは、しばしば個別に「サーバ」または仮想サーバなどの共有リソースとも呼ばれることができる専用コンピュータを含む、任意のコンピュータ上で実行することができる。多くの場合、コンピュータは、複数のサービスを提供し、複数のサーバ実行を有することができる。したがって、サーバという用語は、1つ以上のクライアントプロセスとリソースを共有する全てのコンピュータ化された装置を含むことができる。さらに、「遠隔システム」または「サーバ」という用語は、データネットワーク(クラウド環境など)を介して分散されたデータ伝送および処理システムを含むことができる。
【0035】
各検査室および使用する特定の検査室ユーザの特定の構成に基づいて、検査室ユーザの訓練内容をカスタマイズする自動化された方法が提示される。例えば、仮想ガイド付きツアーなどの訓練は、具体的には、その特定の検査室のミドルウェアの構成およびその特定の検査室における各検査室ユーザ役割に基づいて構築され、その結果、そのミドルウェア製品のワークフローまたは訓練画面のみが示され、そのワークフローまたは訓練画面は、その検査室ユーザにカスタマイズされておらず且つ検査室ユーザ役割または検査室構成に適用されないユーザ情報を示すのではなく、その検査室ユーザの構成に一致する。
【0036】
したがって、カスタマイズされたユーザ訓練コンテンツは、検査室システムに、各顧客設定について、検査室構成ファイル、すなわち、ミドルウェアのマスターファイル(マスターファイルの例については
図2を参照)および検査室プロバイダのサービス担当者によって提供される完全な構成ファイルを提供することによって自動的に作成されることができる。
【0037】
この方法は、正しい訓練内容が提供されていることを保証するために、顧客サイトに移動しなければならない、または検査室ユーザに検査室プロバイダのサイトに移動させなければならない可能性があるプロバイダの遠隔グローバル顧客サービスグループによって訓練内容が提供される代わりに、検査室設定においてユーザのためにカスタマイズされた訓練を生成する自動方法を提供する。
【0038】
典型的には、
図1に示すように、検査室システム100は、例えば検査室分析器などの複数の検査室機器110を備える。検査室システム100はまた、例えば、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)などのディスプレイ160と、例えば、検査室ユーザ訓練に使用されることができるタッチスクリーン、マウス、および/またはキーボードなどのユーザ入力170とを有する少なくとも1つの訓練機器150を有することができる。検査室ユーザは、検査室システム100と相互作用するために、そのディスプレイ160およびユーザ入力170にアクセスすることができる。一実施形態では、少なくとも1つの訓練機器150は、例えばiPad(登録商標)またはラップトップなどの可搬式であってもよく、または他の実施形態では、検査室システム100の検査室機器110に統合されるように構成されてもよい。検査室システム100の少なくとも1つの訓練機器150は、データベース120と通信可能に接触する。データベース120は、検査室システム100の全ての検査室ユーザのユーザプロファイルならびに検査室顧客構成ファイルを記憶することができる。
【0039】
一実施形態では、例えば、少なくとも1つの訓練機器150のユーザ入力170を介して検査室ユーザが検査室システム100に最初にログインすると、検査室ユーザのプロファイルは、その特定の検査室ユーザのために少なくとも1つの訓練機器150のディスプレイ160上にカスタマイズされたウェルカムメッセージおよび他の情報を作成するために、データベース120から識別、認識、および取得される。次に、マスターファイル(例えば、
図2を参照)および顧客構成ファイルにおいて規定された、検査室における検査室ユーザの特定の役割に基づいて、その検査室ユーザによって完了される必要がある顧客訓練のカテゴリおよび関連する表示画面が自動的に決定され、少なくとも1つの訓練機器150のディスプレイ160を介して検査室ユーザに提供される。
【0040】
例えば、顧客構成ファイルに基づいて、検査室システム100は、特定のユーザ、例えば顧客1について、以下の訓練サブカテゴリ、品質管理(QC)管理者、QCレビュー、および品質管理(QC)モジュールからの手動入力が提供されて表示されるべきであることを認識することができる。これらの訓練サブカテゴリのそれぞれにおいて、検査室システム100は、ディスプレイ上のユーザのプロファイルに基づいて、どの訓練画面をユーザに提供すべきかを決定することができる。
【0041】
一実施形態では、データベース120に記憶された構成ファイルは、以下の情報を含むテキストファイルとすることができる:
- 検査室システムには何人の検査室ユーザが規定されており、各検査室ユーザのプロファイルは何であるか。ユーザプロファイルに基づいて、各ユーザプロファイルにしたがって検査室システム用にカスタマイズされた訓練が生成され、対応する検査室ユーザに割り当てられることができる。したがって、検査室ユーザのアクセス権は、検査室ユーザのプロファイルに基づいて、検査室ユーザがアクセスすることになる検査室システムのディスプレイ上のどの画面であるかに関して事前規定されることができる。検査室システムのための検査室ユーザのカスタマイズされた訓練の基礎を形成するのは、これらの表示画面である。
- その特定の検査室および各検査室に関連する構成に対して有効なモダリティ。例えば、品質管理(QC)モジュールが検査室において使用される場合、検査室ユーザは、QCについて訓練される。別の例では、検査室システムは、作業領域(WA)タイプ(すなわち、チューブによって、または注文によって)および検査室ユーザのプロファイルに基づいて検査室ユーザが知る必要があり得る特定のアッセイに適切な試験群に基づいて、検査室ユーザが訓練されるべきWAを決定する。別の例では、試料ワークフロー(WF)エンジン構成は、検査室ユーザが受ける必要がある適用可能なWF関連訓練を決定する(例えば、試料追跡、アーカイブ照会など)。最後に、顧客構成においてレポートが有効になっている場合、検査室ユーザは、その後、適用可能なレポートおよび印刷オプションについて訓練される。
【0042】
検査室システムに常駐する各ソフトウェア製品について、検査室ユーザのために作成された顧客訓練エンティティまたはモジュールがある。これらの顧客訓練モジュールは、通常、1回、すなわち検査室ソフトウェア製品の各バージョンのリリースごとに作成される。例えば、典型的なミドルウェア製品は、例えば、検証、作業領域(WA)、品質管理(QC)、機器、ホスト通信、ワークフロー(WF)、注文入力、ユーザ管理などの、それに関連する約20の顧客訓練モジュールを有することができる。しかしながら、これらの顧客訓練モジュールの全てが、検査室システム内の各検査室ユーザに関連、さらには関係しているとは限らない。
【0043】
したがって、検査室システムは、各特定の検査室ユーザが必要とする顧客訓練をどのように決定するか?これは、
図3に示すように、2つのレベルのフィルタリング、顧客の検査室構成、および検査室ユーザの検査室役割に基づいている。
図3は、カスタマイズされた必要な顧客訓練資料を決定するためのフィルタリング処理を示している。
【0044】
図3を参照すると、検査室システムは、各検査室ユーザの顧客訓練を決定するとき、まず、顧客検査室構成210に基づいて顧客訓練モジュールをフィルタリングする。顧客構成ファイル(すなわち、検査室プロバイダサービス担当者によって入力されたマスターファイルおよび検査室構成ファイル)から収集された情報に基づいて、検査室システムは、例えば、診断検査室または病院など、その特定の検査室顧客に利用可能なモダリティを決定することができる。例えば、一実施形態では、顧客1には、作業領域(WA)、品質管理(QC)、および検証というモダリティが割り当てられることができ、顧客2には、WA、QC、および注文入力が割り当てられることができ、顧客3には、検証およびホスト通信が割り当てられることができる。
【0045】
次いで、顧客訓練モジュールは、ユーザプロファイル230によってフィルタリングされる。ユーザプロファイルは、顧客構成ファイルにも見られる。各ユーザプロファイルは、それに割り当てられたいくつかの検査室役割を有することができる。どのユーザ役割がいくつ割り当てられるかは、各特定の顧客の検査室構成に依存することができる。例えば、ある検査室では、オペレータプロファイルは、例えば、WA、QC、検証などの多くのユーザ役割を想定することができるが、別の検査室では、オペレータプロファイルは、WAおよびQCユーザ役割のみを有することができる。
【0046】
したがって、例えば、
図3の列230に示すように、ある顧客検査室において、以下の検査室ユーザプロファイルが存在することができる。
【0047】
-オペレータプロファイル:作業領域(WA)役割、品質管理(QC)役割および検証役割、
-医療プロファイル:WA役割、検証役割、およびコメント役割、および
-注文登録プロファイル:注文入力役割
【0048】
検査室ユーザ役割の規定は、各検査室ソフトウェア製品に対して標準とすることができる。例えば、ミドルウェア製品における管理的役割は、表示画面、機能などの観点からアクセス可能なものの標準的な規定を有する。QC役割またはWA役割についても同様である。
【0049】
各個々のユーザ役割は、
図3の列220に示すように、必要であり、場合によっては必須であるいくつかの訓練モジュールに関連付けられる。換言すれば、1つの特定の検査室ユーザ役割に割り当てられた検査室ユーザは、検査室内の検査室製品にアクセスすることができる前に、その特定の検査室ユーザ役割に関連する訓練モジュールを完了しなければならない。
【0050】
図4を参照すると、
図4は、検査室ユーザ訓練を自動的にカスタマイズする方法のフローチャートを示している。第1のステップ310において、顧客構成ファイルは、検査室プロバイダ担当者によってデータベース120にインストールされた後にデータベース120から取得される。顧客構成ファイルは、検査室に配送する前に検査室プロバイダ担当者によってデータベース120にインストールされてもよく、または顧客サイトにインストールされてもよい。ステップ320において、検査室ユーザは、検査室システム100の訓練機器150のディスプレイ160およびユーザ入力170を介して検査室システム100にログインする。次いで、ステップ330において、検査室ユーザは、データベース120に記憶された検査室ユーザの資格情報をチェックすることによって、検査室システム100によって識別および認証されることができる。検査室ユーザが識別および/または認証されない場合、検査室ユーザは、検査室システム100にアクセスできないことがある。
【0051】
検査室ユーザが識別および/または認証された後、検査室システムは、その特定の検査室ユーザの正しいユーザプロファイルを決定する(ユーザプロファイルとともに、どの検査室役割が検査室ユーザに割り当てられているか)。次に、ステップ340において、モダリティ、すなわちその検査室用に構成されたユーザ訓練資格情報がデータベース120から取得される。検査室システム100はまた、それらのモダリティのそれぞれに関連付けられた構成を決定する。これらの入力により、ステップ350において、この特定の検査室ユーザが(ユーザプロファイルおよび検査室顧客構成に基づいて)とる必要がある訓練モジュールが検査室ユーザに割り当てられることができる。最後に、ステップ360において、割り当てられたユーザ訓練資料がロードされ、検査室システム100の訓練機器150上で検査室ユーザに表示される。検査室ユーザは、この時点で、検査室における検査室ユーザ役割およびその検査室の特定の構成に基づいて、その特定の検査室ユーザのために自動的に導出された顧客訓練を開始することができる。
【0052】
顧客が検査室内のユーザ役割に関連するタスクを変更した場合、新たな機能が検査室に実装された場合、または検査室の構成が変更された場合、必要な訓練更新がポップアップしてディスプレイに表示され、その検査室ユーザに新たな訓練が必要であることを検査室ユーザに警告する。検査室システムへのアクセスは、検査室ユーザが新たな訓練資格情報の全てを完了するまで拒否されることができる。
【0053】
顧客訓練が、その検査室におけるその検査室ユーザのユーザプロファイルおよび検査室構成に基づいて必須および/または義務であるとみなされる場合、検査室ユーザには、必須および/または義務の顧客訓練の全てが完了するまで、検査室システムへの完全なおよび/またはいかなるアクセスも与えられない。
【0054】
別の実施形態では、検査室システムはまた、同じまたは同様のユーザ役割を有する他の検査室ユーザが同じ検査室(または同じまたは同様の検査室構成を有する別の検査室)においてどのように実行しているかを追跡および学習して、新たな検査室ユーザがその特定の検査室構成においてどのように実行することができるかを実証および/または予測することができる。この性能の予測は、検査室システムの新たな検査室ユーザに提示される顧客ユーザ材料をカスタマイズするための別の入力とすることができる。
【0055】
プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されるときに、本明細書に含まれる1つ以上の実施形態において、開示された方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラム製品がさらに開示および提案される。具体的には、コンピュータプログラムは、コンピュータ可読データキャリアまたはサーバコンピュータに記憶されることができる。したがって、具体的には、上述したような方法ステップの1つ、2つ以上、または全ては、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用して、好ましくはコンピュータプログラムを使用して実行されることができる。
【0056】
本明細書で使用される場合、コンピュータプログラム製品は、取引可能な製品としてのプログラムを指す。製品は、一般に、紙形式などの任意の形式で、またはオンプレミスのもしくは遠隔地に位置するコンピュータ可読データキャリア上に存在してもよい。具体的には、コンピュータプログラム製品は、データネットワーク(クラウド環境など)を介して配布されてもよい。さらに、コンピュータプログラム製品だけでなく、実行ハードウェアも、オンプレミスまたはクラウド環境に配置されることができる。
【0057】
さらに開示および提案されるのは、コンピュータシステムによって実行されると、検査室システムに本明細書に開示される1つ以上の実施形態にかかる方法を実行させる命令を含むコンピュータ可読媒体である。
【0058】
さらに開示および提案されるのは、コンピュータシステムによって実行されると、検査室システムに本明細書に開示される1つ以上の実施形態にかかる方法を実行させる命令を含む変調されたデータ信号である。
【0059】
開示された方法のコンピュータ実装態様を参照すると、本明細書に開示される実施形態のうちの1つ以上にかかる方法の方法ステップの1つ以上または全ての方法ステップは、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用することによって実行されることができる。したがって、一般に、データの提供および/または操作を含む方法ステップのいずれかは、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用することによって実行されることができる。一般に、これらの方法ステップは、試料の提供および/または実際の測定を実行する特定の態様などの手作業を必要とする方法ステップを通常除いて、任意の方法ステップを含むことができる。
【0060】
「好ましくは」、「一般的に」、および「典型的に」のような用語は、特許請求される実施形態の範囲を限定するため、または特定の特徴が特許請求される実施形態の構造または機能にとって重要、必須、またはさらに重要であることを意味するために本明細書では使用されないことに留意されたい。むしろ、これらの用語は、本開示の特定の実施形態で利用されてもされなくてもよい代替または追加の特徴を強調することを単に意図している。
【0061】
本開示を詳細に説明し、その特定の実施形態を参照することにより、添付の特許請求の範囲で定義される本開示の範囲から逸脱することなく、変更および変形が可能であることは明らかであろう。より具体的には、本開示のいくつかの態様は、本明細書において好ましいまたは特に有利であると識別されるが、本開示は、必ずしも本開示のこれらの好ましい態様に限定されないことが企図される。
【外国語明細書】