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特開2022-186655ビークルのキャビン用の休憩所システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186655
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】ビークルのキャビン用の休憩所システム
(51)【国際特許分類】
   B64D 11/00 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
B64D11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022089917
(22)【出願日】2022-06-01
(31)【優先権主張番号】63/196,722
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(74)【代理人】
【識別番号】100217467
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴崎 一磨
(72)【発明者】
【氏名】ローランド マイアー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】民間航空機などのビークルのキャビン用の休憩所システムおよびこれに関連する方法を提供する。
【解決手段】ビークルのキャビン用の休憩所システム100およびこれに関連する方法は、格納構造体102と、格納構造体102に連結されたベッドモジュール104とを含む。ベッドモジュール104は、1つ又は複数のベッド132を含む。ベッドモジュール104は、格納構造体102に対して格納位置と展開位置との間で可動である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビークルのキャビン用の休憩所システムであって、
前記キャビン内の格納構造体と、
1つ又は複数のベッドを含む前記格納構造体に連結されたベッドモジュールとを含み、
前記ベッドモジュールは、前記格納構造体に対して格納位置と展開位置との間で可動である、休憩所システム。
【請求項2】
前記格納構造体は、内部チャンバを含み、前記ベッドモジュールが前記格納位置にある際は、前記ベッドモジュールの少なくとも一部が前記内部チャンバの中に格納され、前記ベッドモジュールが前記展開位置にある際は、前記ベッドモジュールの前記少なくとも一部が前記内部チャンバから延出する、請求項1に記載の休憩所システム。
【請求項3】
前記ベッドモジュールは、端壁を含む、請求項1又は2に記載の休憩所システム。
【請求項4】
前記端壁は、ハンドルを備える、請求項3に記載の休憩所システム。
【請求項5】
前記ハンドルは、前記端壁に形成された開放空所の中に延びる把持部材を含み、前記開放空所は、端部開口および側方開口を含む、請求項4に記載の休憩所システム。
【請求項6】
前記端壁は、1つ又は複数の錠を備える、請求項3に記載の休憩所システム。
【請求項7】
前記ベッドモジュールは、1つ又は複数のローラーをさらに含む、請求項1又は2に記載の休憩所システム。
【請求項8】
前記1つ又は複数のベッドは、前記ベッドモジュールが前記格納位置にある際のベッド格納位置と、前記ベッドモジュールが前記展開位置にある際のベッド展開位置との間で移動するように構成されている、請求項1又は2に記載の休憩所システム。
【請求項9】
前記1つ又は複数のベッドは、
下段ベッドと、
上段ベッドとを含む、請求項1又は2に記載の休憩所システム。
【請求項10】
前記上段ベッドに上ることを可能にするように構成された踏み段をさらに含む、請求項9に記載の休憩所システム。
【請求項11】
前記1つ又は複数のベッドは、複数のベッドセグメントを含み、前記複数のベッドセグメントは、前記ベッドモジュールが前記格納位置と前記展開位置との間で移動する際に、互いに相対移動するように構成されている、請求項1又は2に記載の休憩所システム。
【請求項12】
前記複数のベッドセグメントは、折り畳み可能である、請求項11に記載の休憩所システム。
【請求項13】
前記ベッドモジュールは、前記ベッドモジュールを前記展開位置にロックするように構成された可動式のピンをさらに含む、請求項1又は2に記載の休憩所システム。
【請求項14】
1つ又は複数の可動式プライバシースクリーンをさらに含む、請求項1又は2に記載の休憩所システム。
【請求項15】
前記1つ又は複数のベッドは、前記格納構造体と前記ベッドモジュールとの間に画定された1つ又は複数のベッドコンパートメントの中にあり、前記1つ又は複数のベッドコンパートメントは、スピーカ、ハンドセット、エリアライト、煙感知器、サービスユニット、および落下式酸素アセンブリのうちの1つ又は複数を含む、請求項1又は2に記載の休憩所システム。
【請求項16】
前記ベッドモジュールは、前記ベッドモジュールの下面に可動式に取り付けられた1つ又は複数の可動式の脚をさらに含む、請求項1又は2に記載の休憩所システム。
【請求項17】
前記ベッドモジュールは、前記キャビンの出口ドア近傍のギャレー内に配置される、請求項1又は2に記載の休憩所システム。
【請求項18】
前記ベッドモジュールは、前記展開位置において、前記出口ドアの近傍の脱出用通路内に延出する、請求項17に記載の休憩所システム。
【請求項19】
ビークルのキャビン用の休憩所方法であって、
前記ビークルの前記キャビン内の格納構造体に、1つ又は複数のベッドを含むベッドモジュールを連結すること、および、
前記格納構造体に対して格納位置と展開位置との間で前記ベッドモジュールを移動させることを含む方法。
【請求項20】
前記移動させることは、
前記ベッドモジュールが前記格納位置にある際に、前記ベッドモジュールの少なくとも一部を前記格納構造体の内部チャンバの中に格納すること、および、
前記ベッドモジュールが前記展開位置にある際に、前記ベッドモジュールの前記少なくとも一部を前記内部チャンバから延出させることを含む、請求項19に記載の休憩所方法。
【請求項21】
前記ベッドモジュールが前記格納位置にある際のベッド格納位置と、前記ベッドモジュールが前記展開位置にある際のベッド展開位置との間で、前記1つ又は複数のベッドを移動させることをさらに含む、請求項19又は20に記載の休憩所方法。
【請求項22】
キャビンと、
前記キャビン内の休憩所システムとを含む航空機であって、前記休憩所システムは、
内部チャンバを含む格納構造体と、
1つ又は複数のベッドを含む前記格納構造体に連結されたベッドモジュールと、
前記格納構造体および前記ベッドモジュールの一方または両方に連結された1つ又は複数の可動式プライバシースクリーンとを含み、
前記ベッドモジュールは、前記格納構造体に対して格納位置と展開位置との間で可動であり、
前記1つ又は複数のベッドは、前記ベッドモジュールが前記格納位置にある際のベッド格納位置と、前記ベッドモジュールが前記展開位置にある際のベッド展開位置との間で移動するように構成されており、
前記ベッドモジュールが前記格納位置にある際は、前記ベッドモジュールの少なくとも一部が前記内部チャンバに格納され、前記ベッドモジュールが前記展開位置にある際は、前記ベッドモジュールの前記少なくとも一部が前記内部チャンバから延出し、
前記1つ又は複数のベッドは、複数のベッドセグメントを含み、前記複数のベッドセグメントは、前記ベッドモジュールが前記格納位置と前記展開位置との間で移動する際に、互いに相対移動するように構成されている、航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施例は、概して、民間航空機などのビークルのキャビン用の休憩所システムおよびこれに関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
民間航空機などのビークルは、様々な場所に乗客を輸送するために使用されている。民間航空機は、一般的に、多くのセクションに分割されたキャビンを有している。フライトデッキまたはコックピットは、通常、客室から分離されており、客室には、例えば、ファーストクラスのセクション、ビジネスクラスのセクション、エコノミークラスのセクションなどが含まれている。
【0003】
民間航空機の飛行中は、様々な人が、横になって休憩を取ることを望み、長距離フライトでは特にそうである。例えば、操縦士、副操縦士、客室係などのフライトクルーは、所定の時間を超えるフライト中に、休憩を取ることを望むことがある。(これに加え、あるいはこれに代えて、休憩を取ることが規則により求められている場合がある。)
【0004】
キャビン内の一部のエリアに、フライトクルーが休憩するための場所を設けている場合がある。例えば、航空機のキャビン内のギャレーに、個々人が休憩ができるような1つ又は複数の伸縮式のシートや、他の同様の休憩所が含まれている場合がある。しかしながら、このような休憩所は、個々人が完全に横になれるほどの余裕はない。また、このような休憩所は、開放された場所であることがあり、その場合、十分に休めるほど騒音を軽減することができない。
【0005】
また、民間航空機内のスペースは、限られている。乗客の座席エリアにクルー用の休憩所を設ければ、乗客のために使えたはずのスペースを占領してしまうことになる。
【発明の概要】
【0006】
航空機のキャビン内の効果的な休憩所が必要とされている。さらに、乗客の座席エリアのような収益を生むエリアに侵入しない航空機内の休憩所が必要とされている。
【0007】
これらを念頭に置き、本開示の特定の実施例は、ビークルのキャビン用の休憩所システムを提供する。当該休憩所システムは、キャビン内の格納構造体を含む。前記格納構造体には、ベッドモジュールが連結されている。前記ベッドモジュールは、1つ又は複数のベッドを含み、ベッドは、フラットな寝姿勢を支持するように構成されている。ベッドモジュールは、格納構造体に対して格納位置と展開位置との間で可動である。
【0008】
少なくとも1つの実施例において、前記格納構造体は、内部チャンバを含む。前記ベッドモジュールが格納位置にある際は、前記ベッドモジュールの少なくとも一部が、前記内部チャンバの中に格納される。前記ベッドモジュールが前記展開位置にある際は、前記ベッドモジュールの前記少なくとも一部が前記内部チャンバから延出する。
【0009】
一例として、前記ベッドモジュールは、端壁を含む。さらなる例として、前記端壁は、ハンドルを備える。少なくとも1つの例において、前記ハンドルは、前記端壁に形成された開放空所の中に延びる把持部材を含む。前記開放空所は、端部開口および側方開口を含む。
【0010】
一例として、前記端壁は、1つ又は複数の掛け金または錠を備える。一例として、前記ベッドモジュールは、1つ又は複数のローラーなどをさらに含み、これにより、スムーズな展開を実現する。
【0011】
少なくとも1つの例において、前記1つ又は複数のベッドは、前記ベッドモジュールが前記格納位置にある際のベッド格納位置と、前記ベッドモジュールが前記展開位置にある際のベッド展開位置との間で移動するように構成されている。
【0012】
少なくとも1つの実施例において、前記1つ又は複数のベッドは、下段ベッドと、上段ベッドとを含む。前記休憩所システムは、上段ベッドに上ることを可能にするように構成された踏み段も含み得る。
【0013】
少なくとも1つの実施例において、前記1つ又は複数のベッドは、複数のベッドセグメントを含む。前記複数のベッドセグメントは、前記ベッドモジュールが前記格納位置と前記展開位置との間で移動する際に、互いに相対移動するように構成されている。例えば、前記複数のベッドセグメントは、折り畳み可能である。
【0014】
少なくとも1つの実施例において、前記ベッドモジュールは、前記ベッドモジュールを前記展開位置にロックするように構成された可動式のピンをさらに含む。
【0015】
前記休憩所システムは、1つ又は複数の可動式プライバシースクリーンも含み得る。
【0016】
少なくとも1つの実施例において、前記1つ又は複数のベッドは、前記格納構造体と前記ベッドモジュールとの間に画定された1つ又は複数のベッドコンパートメントの中にある。前記1つ又は複数のベッドコンパートメントは、スピーカ、ハンドセット、エリアライト、煙感知器、サービスユニット、および落下式酸素アセンブリのうちの1つ又は複数を含み得る。
【0017】
少なくとも1つの実施例において、前記ベッドモジュールは、所定の態様に配置可能なように、前記ベッドモジュールの下面に取り付けられた1つ又は複数の可動式の脚をさらに含み、この脚は、例えば、展開位置において前記ベッドモジュールを垂直方向に支持するように構成されている。任意の構成として、脚を使用しない場合もあり、この場合、ベッドモジュールを、キャビン内の隣接する構造体によって支持することが可能である。
【0018】
一例として、前記ベッドモジュールは、前記キャビンの出口ドア近傍のギャレー内に配置される。少なくとも1つの例において、前記ベッドモジュールは、前記展開位置において、前記出口ドアの近傍の脱出用通路内に延出する。
【0019】
本開示の特定の実施例は、ビークルのキャビン用の休憩所方法を提供する。当該休憩所方法は、前記ビークルの前記キャビン内の格納構造体にベッドモジュールを連結することを含む。前記ベッドモジュールは、1つ又は複数のベッドを含む。当該方法は、前記格納構造体に対して格納位置と展開位置との間で前記ベッドモジュールを移動させることも含む。
【0020】
本開示の特定の実施例は、本明細書に記載のようなキャビンと前記キャビン内の休憩所システムとを含む航空機などのビークルを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】航空機の前方斜視図である。
図2A】航空機のキャビンの平面図である。
図2B】航空機のキャビンの平面図である。
図3】格納状態の休憩所システムの正面側斜視図である。
図4】展開状態の休憩所システムの正面側斜視図である。
図5】中間状態の休憩所システムの正面側斜視図である。
図6】プライバシースクリーンが伸長された、展開状態の休憩所システムの正面側斜視図である。
図7】キャビンのギャレーまたはギャレーエリア内にある休憩所システムの側方斜視図である。
図8】休憩所システムのベッドコンパートメントの内部斜視図である。
図9】休憩所システムのベッドコンパートメントの内部斜視図である。
図10】展開状態の休憩所システムの内部斜視図である。
図11】展開状態の休憩所システムの内部斜視図である。
図12】ビークルのキャビンのギャレーまたはギャレーエリア内にある格納状態の休憩所システムの上方斜視図である。
図13】ビークルのキャビンのギャレー内にある展開状態の休憩所システムの上方斜視図である。
図14】キャビンのギャレーエリア内の休憩所システム用の場所の簡略平面図である。
図15】キャビン内の休憩所システム用の場所の簡略平面図である。
図16】キャビンのフライトデッキ近傍の休憩所システム用の場所の簡略平面図である。
図17】休憩所に関する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
上述の概要、ならびに以下の特定の実施例の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むことで、より理解が深まるであろう。本明細書において、単数形で記載されている要素や工程は、このような要素や工程が複数ある場合を必ずしも排除するものではない。また、「一実施例」という際に、その実施例に記載の特徴を組み込んだ別の実施例の存在を排除することは意図していない。さらに、別段の断りが無い限り、特定の特性を有する1つの要素あるいは複数の要素を「備える」あるいは「有する」実施例は、その特性を有しない追加の要素を含んでいてもよい。
【0023】
本開示の特定の実施例は、民間航空機などのビークル内に設けられたキャビン(internal cabin)用の休憩所システムを提供する。本休憩所は、格納構造体(monument)と、格納構造体に連結されたベッドモジュールとを含む。ベッドモジュールは、格納構造体に対して格納位置と展開位置との間で移動させることができる構成である。展開位置では、ベッドモジュールは、横たわって休憩できるような1つ又は複数の伸長されたベッドを提供する。少なくとも1つの実施例において、当該ベッドは、格納位置と展開位置との間で移動するように構成された1つ又は複数のセグメントを含む。ベッドまたはセグメントは、マットレスなどのクッション面を含み得る。
【0024】
ビークルが民間航空機である少なくとも1つの実施例において、ベッドモジュールは、航空機の運航の際の特定のフェーズ中は、格納位置にある。例えば、航空機の運航の際のタキシングフェーズ中、離陸フェーズ中、および着陸フェーズ中は、ベッドモジュールは、格納位置にある。
【0025】
少なくとも1つの実施例において、格納構造体は、サービス部品を含む。例えば、このようなサービス部品には、ライト、スピーカ、電源及び/又はデータ用のレセプタクルなどが含まれる。
【0026】
少なくとも1つの実施例において、ベッドモジュールは、例えば下段ベッドと上段ベッドのような2つのベッドを含み、これにより二段ベッド構造を実現する。別の実施例として、ベッドモジュールは、下段ベッドあるいは上段ベッドなど、ベッドを1つだけ含む。
【0027】
図1は、航空機10の上方斜視図を示している。航空機10は、例えば2つのエンジン14を含む推進系12を含んでいる。任意の構成として、推進系12は、図示より多くのエンジン14を含む場合がある。エンジン14は、航空機10の翼16に搭載されている。他の例では、エンジン14が、胴体18及び/又は尾部20に搭載される場合もある。尾部20は、例えば、水平安定板22および垂直安定板24も支持する。
【0028】
航空機10の胴体18は、内部にキャビンを画定しており、当該キャビンは、例えば、天井および床に繋がる内部側壁パネルによって画定されている。キャビンは、フライトデッキまたはコックピット、1つ又は複数の作業セクション(例えば、ギャレー、従業員持ち込み手荷物エリアなど)、1つ又は複数の乗客セクション(例えば、ファーストクラスのセクション、ビジネスクラスのセクション、エコノミークラスのセクションなど)、1つ又は複数の化粧室などを含んでいる。
【0029】
あるいは、本開示の実施例は、航空機に代えて、他の様々なビークルに採用することができ、その例としては、自動車、バス、機関車や列車の車両、船舶、宇宙船などがある。
【0030】
図2Aは、航空機のキャビン30の平面図を示している。当該キャビン30は、例えば、航空機の胴体32の内部にある。例えば、1つ又は複数の胴体壁が、キャビン30の内部を画定している。このキャビン30の内部は、天井および床に繋がる側壁パネルによって画定されている。側壁パネルは、天井セグメントにつながる側方セグメントを含んでいる。この側方セグメントは、側壁部分を形成しており、天井セグメントは、キャビン30内の天井の少なくとも一部を形成している。
【0031】
キャビン30は、複数のセクションを含んでおり、例えば、前方セクション33、ファーストクラスのセクション34、ビジネスクラスのセクション36、前方のギャレーステーション38、拡張タイプの(expanded)エコノミークラスのセクション40、標準的なエコノミークラスのセクション42、および後方セクション44があり、これらのセクションに複数の化粧室およびギャレーステーションが含まれている。なお、キャビン30に含まれるセクションは、図示より多い場合も、少ない場合もある。例えば、キャビン30は、ファーストクラスのセクションを含まない場合があり、また、図示より多いあるいは少ないギャレーステーションを含む場合もある。各セクションは、キャビン区分け用のエリア46によって区切られている。少なくとも1つの実施例において、1つ又は複数の休憩所システムが、キャビン30の内部に配置される。
【0032】
図2Aに示すように、キャビン30は、後方セクション44に繋がる2つの通路50および52を含む。任意の構成として、キャビン30の通路の数は、図示より多い場合も、少ない場合もある。例えば、キャビン30は、キャビン30の中央を通って後方セクション44に繋がる1つの通路だけを含む場合がある。
【0033】
キャビン30内の至る所に座席アセンブリ90が配置されている。座席アセンブリ90は、例えば、列91に並べられている。座席アセンブリ90は、キャビン30の内部に設置されている。
【0034】
図2Bは、航空機のキャビン80の平面図を示している。当該キャビン80は、例えば航空機の胴体81の内部にある。例えば、1つ又は複数の胴体壁が、キャビン30の内部を画定している。キャビン80は、複数のセクションを含んでおり、例えば、座席アセンブリ90を有するメインキャビン82と、メインキャビン82の後方の後方セクション85とがある。少なくとも1つの実施例において、1つ又は複数の休憩所システムが、キャビン30の内部に配置される。なお、キャビン30に含まれるセクションは、図示より多い場合も、少ない場合もある。
【0035】
キャビン30は、例えば、後方セクション85に繋がる単一の(メイン)通路84だけを含む。この単一の通路84は、例えばキャビン30の中央を通って後方セクション85に繋がっている。例えば、この単一の通路84は、キャビン80の中央長手平面87と同軸状に配置されている。
【0036】
図3は、本開示の一実施例による格納状態の休憩所システム100の正面側斜視図である。休憩所システム100は、民間航空機などのビークルのキャビンの内部に配置されるように構成されている。例えば、休憩所システム100は、図2Aのキャビン30または図2Bのキャビン80の内部に配置されるように構成されている。
【0037】
少なくとも1つの実施例において、休憩所システム100は、民間航空機などのビークルのキャビンの内部に配置されるように、サイズおよび形状が設定されている。休憩所システム100は、キャビン内の例えば乗客の座席エリアの外に配置される。少なくとも1つの実施例において、休憩所システム100は、民間航空機などのビークル内の限られたスペースに収まり、(乗客の座席エリアのような)ビークルの収益形成エリアには侵入せず、尚且つ、キャビンの(例えば航空機の胴体によって画定される)特別な形状のエンベロープの中に収まるように、特別な構成とされている。
【0038】
休憩所システム100は、格納構造体102と、格納構造体102に連結されたベッドモジュール104とを含む。ベッドモジュール104は、格納構造体102に対して格納位置(図3に示す)と展開位置との間で移動するように構成されている。格納構造体102は、端壁108に連結された内側(inboard)壁106と、天井110とを含む。端壁108および天井110は、外側(outboard)壁112に連結されている。内側壁106、天井110、および外側壁112は、例えば、端壁108の反対側にある端部フレーム114に連結される。端部フレーム114は、ベッドモジュール104が入る通路116を画定している。少なくとも1つの実施例において、内側壁106、端壁108、外側壁112、および端部フレーム114は、下部ベース117に連結されている。任意の構成として、壁106が外側壁、壁112が内側壁であってもよい。
【0039】
本明細書において、「外側」という用語は、他のコンポーネントと比べて、キャビンの中央の長手平面(例えば図2Aに示す中央長手平面55または図2Bに示す中央長手平面87)から遠い位置を意味する。また、「内側」という用語は、他のコンポーネントと比べて、キャビンの中央の長手平面に近い位置を意味する。
【0040】
図示のように、格納構造体102は、内側壁106、端壁108、天井110、外側壁112、端部フレーム114、および下部ベース117を含み得る。任意の構成として、格納構造体102の一部を、キャビンの一部で形成してもよい。例えば、端壁108は、キャビン内の前方壁または端壁であってもよい。別の例として、外側壁112は、キャビンの側壁の一部であってもよい。別の例として、下部ベース117は、キャビン内の床の一部であってもよい。別の例として、天井110は、キャビン内の天井の一部であってもよい。
【0041】
内側壁106、端壁108、天井、外側壁、端部フレーム114、および下部ベース117によって、内部チャンバ118が形成されている。通路116は、内部チャンバ118に繋がっている。ベッドモジュール104が格納位置にある際は、ベッドモジュール104の少なくとも一部が、内部チャンバ118の中に格納されている。少なくとも1つの実施例において、格納位置では、ベッドモジュールのどの部分も、内部チャンバ118から外に出ていない。展開位置では、格納されていたベッドモジュールの所定部分が、内部チャンバ118から延出する。
【0042】
ベッドモジュール104は、端壁120を含み、この端壁は、ベッドモジュール104が格納位置にある際は通路116内に嵌まる構成、且つ/あるいは、内部チャンバ118の内部に後退する構成とされている。端壁120は、例えば平らなパネルである。
【0043】
少なくとも1つの実施例において、端壁120は、人が握るように構成されたハンドル122を備える。図示のように、ハンドル122は、内側壁106の近傍に設けることができる。さらに、端壁120の表面及び/又は内部には、1つ又は複数の錠または掛け金(locks or latches)124が配置されている。錠または掛け金124は、(航空機のタキシング中、離陸中、及び/又は着陸中などにベッドモジュール104が偶発的に展開しないよう)内側壁106の対応する構造体と協働して、ベッドモジュール104を格納位置に維持するように構成されている。錠または掛け金124は、固定位置と解除位置との間で選択的に移動させることができる。固定位置では、錠または掛け金124は、ベッドモジュール104を格納位置に維持する。錠または掛け金124が解除されると、ベッドモジュール104を内部チャンバ118から出して展開位置に移動させることができる。端壁120が、図示より多いあるいは少ない錠または掛け金124を含むこともあり得る。例えば、端壁120の錠124が1つの場合もある。あるいは、端壁120が、錠または掛け金を備えていない場合もある。
【0044】
図示のように、ベッドモジュール104は、1つ又は複数のローラー、スキッド、または車輪やキャスターなどの他の同様の機構126も含み得る。ローラー126は、端壁120の下縁に可動式に取り付けることができる。ローラー126は、格納位置と展開位置との間でのベッドモジュール104のスムーズな移動を実現するように構成されている。任意の構成として、ベッドモジュール104がローラー126を含まない場合もある。
【0045】
図4は、本開示の一実施例による展開状態の休憩所システム100の正面側斜視図である。展開状態では、ベッドモジュール104は展開位置にある。ベッドモジュール104は、端壁120に連結された1つ又は複数の伸長梁(extension beam)128を含む。伸長梁128は、例えば1つ又は複数のトラック130を備えており、当該トラックは、格納構造体102の対応する部材(例えばトラック、ガイド、レッジ(ledge)、リッジ(ridge)など)と協働するように構成されている。少なくとも1つの実施例において、伸長梁128は、格納構造体102の対応する部材に対して、たとえば、折り畳み(fold)が可能なように、あるいは、折り重なり(collapse)が可能なように、又は、入れ子式伸縮(telescope)が可能なように構成されている。少なくとも1つの他の実施例において、伸長梁128は、格納構造体102に対して、より具体的には、上述した格納構造体の対応する部材に対して、スライド式に出し入れされる固定梁である。
【0046】
ベッドモジュール104は、ベッド格納位置(図3に示すようにベッドモジュール104が格納位置にある際)と、ベッド展開位置(図4に示すようにベッドモジュール104が展開位置にある際)との間で移動するように構成された1つ又は複数のベッド132を含む。図4に示すように、ベッドモジュール104は、下段ベッド132aと、下段ベッド132aの上にある上段ベッド132bとを含む。よって、下段ベッド132aと上段ベッド132bとで、二段ベッド(bunk)構造を実現している。任意の構成として、ベッドモジュール104は、下段ベッド132aのみを含み得る。少なくとも1つの他の実施例において、ベッドモジュール104は、上段ベッド132bのみを含み得る。
【0047】
各ベッド132は、複数のベッドセグメントを含む。例えば、ベッド132は、第1端ベッドセグメント134a、中間ベッドセグメント134b、および第1端ベッドセグメント134aの反対側にある第2端ベッドセグメント134cを含み得る。ベッドセグメント134a、134b、及び/又は134cの1つ又は複数は、他のベッドセグメント134a、134b、及び/又は134cに対して移動するように構成されている。例えば、ベッドセグメント134a、134b、および134cは、折り畳み可能である。(例えば、互いに折り畳んだり折り重なったりする構成である。)別の例として、ベッドセグメント134a、134b、および134cは、互いに対して上及び/又は下にスライドするように構成されている。別の例として、ベッドセグメント134a、134b、および134cは、互いに対して入れ子式に伸縮するように構成されている。
【0048】
一例として、第1端ベッドセグメント134aは、内部チャンバ118内の格納構造体102に取り付けられている。例えば、第1端ベッドセグメント134aは、格納構造体102の内面に固定することができる。中間ベッドセグメント134bは、第1端ベッドセグメント134aに対して折り畳み可能である。例えば、中間ベッドセグメント134bは、第1ヒンジ136で第1端ベッドセグメント134aに連結されている。中間ベッドセグメント134bは、第2端ベッドセグメント134cに対しても折り畳み可能である。例えば、中間ベッドセグメント134bは、第2ヒンジ138で第2端ベッドセグメント134cに連結されている。第2端ベッドセグメント134cの反対側の端部は、端壁120の内面に取り付けられている。第1端ベッドセグメント134a、中間ベッドセグメント134b、および第2端ベッドセグメント134cの其々の一部は、例えば、格納構造体102及び/又は伸長梁128のトラック、レールなどに連結されており、これにより、ベッド格納位置とベッド展開位置との間でのスムーズで安定した動きが実現される。
【0049】
図4では、ベッド132は、ベッド展開位置にあり、この際、第1端ベッドセグメント134a、中間ベッドセグメント134b、および第2端ベッドセグメント134cは完全に伸張されて、フラットな状態になる。従って、ベッド展開位置にあるベッド132では、快適に休むことができる。
【0050】
図3および図4を参照すると、格納位置から展開位置にベッドモジュール104を移動させるには、錠または掛け金124を解除し、ハンドル122を握って、格納構造体102の内部チャンバ118から矢印Aの方向にベッドモジュール104を引き出す。展開位置から格納位置にベッドモジュール104を戻すには、ハンドル122を握って矢印Bの方向に引っ張る(あるいは端壁120を押す)ことにより、ベッドモジュール104を内部チャンバ118に再び格納する。ベッドモジュール104が格納位置から展開位置に移動する際には、これに応じてベッド132が動き、例えばベッドセグメント134a、134b、および134cが広がって伸張状態になる。ベッドモジュール104が展開位置から格納位置に移動する際も、これに応じてベッド132が動き、例えばベッドセグメント134a、134b、および134cが折り重なるか、折り畳まれて格納状態になる。
【0051】
記載のように、ベッド132は、ベッド格納位置とベッド展開位置との間で相対移動するように構成された複数のベッドセグメントを含む。図4に示すように、ベッド132は、3つのセグメントを含む。具体的には、ベッド132は、上記の第1端ベッドセグメント134a、中間ベッドセグメント134b、および第2端ベッドセグメント134cを含む。任意の構成として、ベッド132が、図示より多いあるいは少ないベッドセグメントを含むこともあり得る。例えば、ベッド132は、ベッド格納位置とベッド展開位置との間で相対移動するように構成された2つのベッドセグメントを含み得る。別の例として、ベッド132は、ベッド格納位置とベッド展開位置との間で相対移動するように構成された4個以上のベッドセグメントを含み得る。
【0052】
各ベッド132は、マットレスやその一部などのクッション面140も含み得る。例えば、ベッドセグメント134a、134b、および134cは、クッション面140を含み得る。
【0053】
少なくとも1つの実施例において、所定の態様に配置可能な(deployable)可動式のピン141を用いて、ベッドモジュール104を展開位置にロックすることができる。例えば、この可動式のピン141を、キャビンの床に設けた対応する凹部に挿入して保持することができる。別の例として、ベッドモジュール104は、キャビン内の別の構造物につなげたチェーンや掛け金などによって、展開位置にロックすることもできる。また、別の例として、ベッドモジュール104は、伸長梁128またはトラック130の内部構造によって、展開位置にロックすることができる。
【0054】
図5は、本開示の一実施例による中間状態の休憩所システム100の正面側斜視図である。この中間状態とは、格納状態と展開状態との間の状態である。図示のように、少なくとも1つの実施例において、ベッドセグメント134a、134b、および134cは、例えば第1ヒンジ136および第2ヒンジ138を中心に折り曲げることによって、ベッド格納位置とベッド展開位置との間で相対移動するように構成されている。少なくとも1つの他の実施例において、ベッドセグメント134a、134b、および134cは、互いに対して上または下にスライドすること、互いに対して入れ子式に伸縮すること、上方または下方に枢動することなどによって、相対移動するように構成される。
【0055】
図6は、本開示の一実施例による、プライバシースクリーン150が伸長された状態の展開状態の休憩所システム100の正面側斜視図である。休憩所システム100は、格納構造体102及び/又はベッドモジュール104の一方または両方のトラックに可動式に取り付けられた1つ又は複数のプライバシースクリーン150を含み得る。例えば、上部プライバシースクリーン150aが、端壁120に繋がる上壁153のトラック151に可動式に連結されている。上部プライバシースクリーン150aは、上方の開放部分を覆うように移動させることにより、この開放部分からの光や騒音の侵入を阻止するように構成されている。別の例として、側方プライバシースクリーン150bが、格納構造体102のトラックに可動式に連結されている。側方プライバシースクリーン150bは、側方の開放部分を覆うように移動させることにより、この開放部分からの光や騒音の侵入を阻止するように構成されている。
【0056】
少なくとも1つの実施例において、プライバシースクリーン150は、中実のパネルであり、消音手段を含んでいてもよいし、含まなくてもよい。このようなパネルは、透明、遮光性、不透明のいずれであってもよい。別の例として、プライバシースクリーン150がメッシュパネルの可能性もある。別の例として、プライバシースクリーン150は、ドレープやカーテンの可能性もある。任意の構成として、休憩所システム100に含まれるプライバシースクリーン150が、図示より多い場合も少ない場合もある。別の例として、休憩所システム100がプライバシースクリーンを1つも含まない場合もある。
【0057】
図7は、本開示の一実施例による、キャビン172のギャレー170内にある休憩所システム100の側方斜視図である。図7に示すように、休憩所システム100は、展開状態にある。図3図4、および図7を参照すると、ハンドル122は、ポストや支柱などの把持できる部材176を含む。この把持部材176は、端壁120に形成された開放空所178の中を延びている。開放空所178は、端部開口180および側方開口182を含む。従って、ベッドモジュール104が格納位置(図3に示す)にある際に、開放空所178の側方開口182が格納構造体102の内側壁106で覆われていても、端部開口180を介して容易に把持部材176をつかむことができる。同様に、ベッドモジュール104が(図4および図7に示すように)展開位置にあり、端壁120がキャビン172内の壁190やその他の付近の構造物に当接あるいは隣接している場合に、開放空所178の端部開口180が壁190に隣接していても、側方開口182を介して容易に把持部材176をつかむことができる。
【0058】
上段ベッドのコンパートメントに上るには、踏み段195を用いることができる。踏み段195は、例えば、ギャレーのカートコンパートメントなど、休憩所システム100の付近の構造体に取り付けられる。別の例として、踏み段195を格納構造体102に取り付けることもできる。別の例として、踏み段195をベッドモジュール104に取り付けることもできる。踏み段195は、所定位置に固定することができる。別の例として、踏み段195は、退避または格納位置と、伸長または踏み段位置との間で、可動(例えば枢動可能)とすることもできる。
【0059】
図8は、本開示の一実施例による、休憩所システム100のベッドコンパートメント200の内部斜視図である。ベッドコンパートメント200は、例えば、人を支持する面としての上段ベッド132bを有する、二段ベッドの上側のコンパートメントである。ベッドコンパートメント200は、格納構造体102の外側壁112の内面に取り付けられたスピーカ202を含み得る。ベッドコンパートメント200は、外側壁112の内面に固定された電話などのハンドセット203も含み得る。別の例として、格納構造体102の内面に、エリアライト204を取り付けることもできる。別の例として、格納構造体102の天井110の内面に、煙感知器206を取り付けることもできる。また、別の例として、天井110にサービスユニット208を取り付けることもできる。サービスユニット208は、1つ又は複数のライトや、換気装置などを含み得る。落下式の酸素アセンブリ(oxygen drop assembly)210も、天井110に取り付けることができる。さらに、図示のように、プライバシースクリーン150が、退避位置において、例えばトラックに取り付けられて、格納構造体102の内部に収まっている。ベッドコンパートメント200が、図示より多いあるいは少ないコンポーネントを含む可能性もある。例えば、ベッドコンパートメント200は、スピーカ202、ハンドセット203、エリアライト204、煙感知器206、サービスユニット208、落下式酸素アセンブリ210などのすべてを含むとは限らない。
【0060】
図9は、本開示の一実施例による、休憩所システム100のベッドコンパートメント200の内部斜視図である。ベッドコンパートメント200は、例えば、人を支持する面としての下段ベッド132aを有する、二段ベッドの下側のコンパートメントである。ベッドコンパートメント200は、格納構造体102の端壁108の内面に取り付けられたスピーカ202を含み得る。ベッドコンパートメント200は、外側壁112の内面に取り付けられた電話などのハンドセット203も含み得る。別の例として、格納構造体102の内面に、エリアライト204を取り付けることもできる。別の例として、格納構造体102の端壁108の内面に、煙感知器206を取り付けることもできる。また、別の例として、端壁108にサービスユニット208を取り付けることもできる。落下式酸素アセンブリ210も、外側壁112に取り付けることができる。さらに、図示のように、プライバシースクリーン150が、退避位置において、例えばトラックに取り付けられて、格納構造体102の内部に収まっている。ベッドコンパートメント200が、図示より多いあるいは少ないコンポーネントを含む可能性もある。例えば、ベッドコンパートメント200は、スピーカ202、ハンドセット203、エリアライト204、煙感知器206、サービスユニット208、落下式酸素アセンブリ210などのすべてを含むとは限らない。
【0061】
図10は、本開示の一実施例による展開状態の休憩所システム100の内部斜視図である。図示のように、一人目の人220aが、下側のベッドコンパートメント200a内の下段ベッド132aの上で休んでおり、二人目の人220bが、上側のベッドコンパートメント200b内の上段ベッド132bの上で休んでいる。
【0062】
図11は、本開示の一実施例による展開状態の休憩所システム100の内部斜視図である。本実施例では、ベッドモジュール104は、上段ベッド134などの1つのベッド132だけを含んでおり、これがベッドコンパートメント200を構成している。ベッドモジュール104は、例えばギャレーカートの1つ又は複数のギャレーコンパートメント240などの別の構造体の上に配置されている。このように、ベッドモジュール104は、例えばギャレーカート用などの他の目的に用いることができるスペースを占有せずに、キャビン内の他の構造体と組み合わせて使用することができる。
【0063】
ベッドモジュール104の下部には、例えば、1つ又は複数の可動式の脚250が、所定の態様に配置可能なように取り付けられている。脚250は、ベッド132と略平行となる格納位置と、(図11に示すように延びた)ベッド132に対して略垂直となる展開位置との間で、枢動させることができる。脚250が展開位置にある際は、この脚が、ベッドモジュール104とキャビンの床との間の支柱(bracing support)となる。任意の構成として、脚を使用しない場合もある。この場合、ベッドモジュール104を、キャビン内の隣接する構造体に取り付けるか、あるいは隣接する構造体によって支持することが可能である。
【0064】
図12は、本開示の一実施例による、ビークル304(例えば民間航空機)のキャビン302のギャレー300内にある格納状態の休憩所システム100の上方斜視図である。図13は、ビークル304のキャビン302のギャレー300内にある展開状態の休憩所システム100の上方斜視図である。図12および図13を参照すると、休憩所システム100は、例えばキャビン302の後方セクションにあるギャレーなどのギャレー300の内部またはこれに隣接して配置することができる。格納状態では、ベッドモジュール104は、出口ドア306のそばの脱出用通路305の後ろにある。格納状態では、ベッドモジュール104は、脱出用通路305内に延出していない。展開状態では、ベッドモジュール104は、脱出用通路305内に延出する。
【0065】
休憩所システム100は、航空機のフライトの特定のフェーズ中は、格納位置に固定される。例えば、タキシングフェーズ中、離陸フェーズ中、および着陸フェーズ中は、ベッドモジュールは格納位置にある。
【0066】
図示のように、休憩所システム100は、ギャレーカート310などのギャレーのコンポーネントとキャビン302の外側壁312との間に配置することができる。任意の構成として、休憩所システム100は、例えば反対側など、ギャレー300の別のエリアに配置することができる。また、休憩所システム100は、ギャレー300以外のキャビン302内のエリアに配置することもできる。例えば、休憩所システム100は、フライトデッキや化粧室などの近傍に配置することができる。
【0067】
図14は、本開示の一実施例の説明図であり、キャビン404のギャレー402内において休憩所システム100を配置しうる1つの場所400を示す簡略平面図である。前述のように、休憩所システム100は、ギャレーの1つ又は複数のコンポーネント406の横に配置することができる。
【0068】
図15は、本開示の一実施例の説明図であり、キャビン404内において休憩所システム100を配置しうる複数の場所400を示す簡略平面図である。休憩所システム100は、ギャレーのそばや内部、化粧室のそばなど、様々な場所に配置することができる。キャビン404は、複数の休憩所システム100を含む可能性も、1つの休憩所システム100だけを含む可能性もある。休憩所システム100は、出口ドア410の近傍に配置することができる。
【0069】
図16は、本開示の一実施例の説明図であり、キャビン404のフライトデッキ420の近傍において休憩所システム100を配置しうる場所400を示す簡略平面図である。休憩所システム100は、フライトデッキ420のすぐ後ろに配置することができ、フライトクルーがすぐに簡単に休憩所システムにアクセスすることができる。休憩所システム100は、フライトデッキ420と化粧室422またはその他の構造体との間に配置することができる。休憩所システム100は、前方ギャレー424の横に配置することができる。
【0070】
図14図16からわかるように、休憩所システム100は、キャビン404の様々な場所に配置することができる。図14図16は、そうした場所400の例を示している。
【0071】
図17は、本開示の一実施例による、ビークルのキャビン用の休憩所に関する方法のフローチャートを示している。図1図17を参照すると、当該休憩所方法は、500において、格納構造体102にベッドモジュール104を連結することを含む。ベッドモジュール104は、1つ又は複数のベッド132を含む。当該休憩所方法は、502において、格納構造体102に対して格納位置と展開位置との間でベッドモジュール104を移動させることも含む。
【0072】
少なくとも1つの実施例において、上記移動させること502は、ベッドモジュール104を格納位置に配置する際に、ベッドモジュール104の少なくとも一部を格納構造体102の内部チャンバ118の中に格納すること、および、ベッドモジュール104を展開位置に配置する際に、ベッドモジュール104の少なくとも一部を内部チャンバ118から延出させることを含む。
【0073】
少なくとも1つの実施例において、当該休憩所方法は、ベッドモジュール104が格納位置にある際のベッド格納位置と、ベッドモジュール104が展開位置にある際のベッド展開位置との間で、1つまたは複数のベッド132を移動させることも含む。
【0074】
本明細書に記載のように、本開示の実施例は、民間航空機などのビークルのキャビン内に休憩所システムを提供する。本開示のベッドモジュールは、展開位置において、フラットな睡眠姿勢を可能にする1つ又は複数のベッドを提供する休憩施設を実現し、これは、例えば、フライトデッキおよび乗客の座席エリアから分離されている。本ベッドモジュールによれば、フライトクルー(例えば操縦士、副操縦士、客室係)が光を調節することができ、また、雑音や外部の喧騒からの遮断が実現される。フライトクルーは、例えば(8時間を超えるフライトなどの)長距離フライト中に、本休憩所システム内で休憩することを選択するであろう。十分に休息を取ることができたフライトクルーにより、最適な乗客サービスが提供され、航空機の運航の安全性および運航スケジュールの効率が向上する。
【0075】
本休憩所システムは、例えば、乗客の座席エリアの中には設けられず、よって、民間航空機内の座席の密集度には影響を与えない。従って、本休憩所システムが、航空機内の収益形成エリアに悪影響は及ぼすことはない。
【0076】
さらに、本開示は、以下の付記による実施形態を含む。
【0077】
付記1. ビークルのキャビン用の休憩所システムであって、
前記キャビン内の格納構造体と、
1つ又は複数のベッドを含む、前記格納構造体に連結されたベッドモジュールとを含み、
前記ベッドモジュールは、前記格納構造体に対して格納位置と展開位置との間で可動である、休憩所システム。
【0078】
付記2. 前記格納構造体は、内部チャンバを含み、前記ベッドモジュールが前記格納位置にある際は、前記ベッドモジュールの少なくとも一部が前記内部チャンバの中に格納され、前記ベッドモジュールが前記展開位置にある際は、前記ベッドモジュールの前記少なくとも一部が前記内部チャンバから延出する、付記1に記載の休憩所システム。
【0079】
付記3. 前記ベッドモジュールは、端壁を含む、付記1又は2に記載の休憩所システム。
【0080】
付記4. 前記端壁は、ハンドルを備える、付記3に記載の休憩所システム。
【0081】
付記5. 前記ハンドルは、前記端壁に形成された開放空所の中に延びる把持部材を含み、前記開放空所は、端部開口および側方開口を含む、付記4に記載の休憩所システム。
【0082】
付記6. 前記端壁は、1つ又は複数の錠を備える、付記3~5のいずれかに記載の休憩所システム。
【0083】
付記7. 前記ベッドモジュールは、1つ又は複数のローラーをさらに含む、付記1~6のいずれかに記載の休憩所システム。
【0084】
付記8. 前記1つ又は複数のベッドは、前記ベッドモジュールが前記格納位置にある際のベッド格納位置と、前記ベッドモジュールが前記展開位置にある際のベッド展開位置との間で移動するように構成されている、付記1~7のいずれかに記載の休憩所システム。
【0085】
付記9. 前記1つ又は複数のベッドは、
下段ベッドと、
上段ベッドとを含む、付記1~8のいずれかに記載の休憩所システム。
【0086】
付記10. 前記上段ベッドに上ることを可能にするように構成された踏み段をさらに含む、付記9に記載の休憩所システム。
【0087】
付記11. 前記1つ又は複数のベッドは、複数のベッドセグメントを含み、前記複数のベッドセグメントは、前記ベッドモジュールが前記格納位置と前記展開位置との間で移動する際に、互いに相対移動するように構成されている、付記1~10のいずれかに記載の休憩所システム。
【0088】
付記12. 前記複数のベッドセグメントは、折り畳み可能である、付記11に記載の休憩所システム。
【0089】
付記13. 前記ベッドモジュールは、前記ベッドモジュールを前記展開位置にロックするように構成された可動式のピンをさらに含む、付記1~12のいずれかに記載の休憩所システム。
【0090】
付記14. 1つ又は複数の可動式プライバシースクリーンをさらに含む、付記1~13のいずれかに記載の休憩所システム。
【0091】
付記15. 前記1つ又は複数のベッドは、前記格納構造体と前記ベッドモジュールとの間に画定された1つ又は複数のベッドコンパートメントの中にあり、前記1つ又は複数のベッドコンパートメントは、スピーカ、ハンドセット、エリアライト、煙感知器、サービスユニット、および落下式酸素アセンブリのうちの1つ又は複数を含む、付記1~14のいずれかに記載の休憩所システム。
【0092】
付記16. 前記ベッドモジュールは、前記ベッドモジュールの下面に可動式に取り付けられた1つ又は複数の可動式の脚をさらに含む、付記1~15のいずれかに記載の休憩所システム。
【0093】
付記17. 前記ベッドモジュールは、前記キャビンの出口ドア近傍のギャレー内に配置される、付記1~16のいずれかに記載の休憩所システム。
【0094】
付記18. ビークルのキャビン用の休憩所方法であって、
前記ビークルの前記キャビン内の格納構造体に、1つ又は複数のベッドを含むベッドモジュールを連結すること、および、
前記格納構造体に対して格納位置と展開位置との間で前記ベッドモジュールを移動させることを含む方法。
【0095】
付記19. 前記移動させることは、
前記ベッドモジュールが前記格納位置にある際に、前記ベッドモジュールの少なくとも一部を前記格納構造体の内部チャンバの中に格納すること、および、
前記ベッドモジュールが前記展開位置にある際に、前記ベッドモジュールの前記少なくとも一部を前記内部チャンバから延出させることを含む、付記18に記載の休憩所方法。
【0096】
付記20. 前記ベッドモジュールが前記格納位置にある際のベッド格納位置と、前記ベッドモジュールが前記展開位置にある際のベッド展開位置との間で、前記1つ又は複数のベッドを移動させることをさらに含む、付記18又は19に記載の休憩所方法。
【0097】
付記21. キャビンと、
前記キャビン内の休憩所システムとを含む航空機であって、前記休憩所システムは、
内部チャンバを含む格納構造体と、
1つ又は複数のベッドを含む前記格納構造体に連結されたベッドモジュールと、
前記格納構造体および前記ベッドモジュールの一方または両方に連結された1つ又は複数の可動式プライバシースクリーンとを含み、
前記ベッドモジュールは、前記格納構造体に対して格納位置と展開位置との間で可動であり、
前記1つ又は複数のベッドは、前記ベッドモジュールが前記格納位置にある際のベッド格納位置と、前記ベッドモジュールが前記展開位置にある際のベッド展開位置との間で移動するように構成されており、
前記ベッドモジュールが前記格納位置にある際は、前記ベッドモジュールの少なくとも一部が前記内部チャンバに格納され、前記ベッドモジュールが前記展開位置にある際は、前記ベッドモジュールの前記少なくとも一部が前記内部チャンバから延出し、
前記1つ又は複数のベッドは、複数のベッドセグメントを含み、前記複数のベッドセグメントは、前記ベッドモジュールが前記格納位置と前記展開位置との間で移動する際に、互いに相対移動するように構成されている、航空機。
【0098】
本明細書に記載のように、本開示の実施例は、航空機のキャビン内に効果的な休憩所を提供する。さらに、本開示の実施例は、乗客の座席エリアのような収益形成エリアに侵入しない休憩所を航空機内に提供する。
【0099】
上部、底部、下、中央、側方、水平、垂直、前などの空間や方向に関する様々な用語を用いて、本開示の実施例を説明している場合があるが、これらの用語は、図面に示した向きに関して用いているに過ぎない。このような向きが、反転、回転などによって変化して、上側部分が下側部分になったり、またはその逆となったり、水平方向が垂直方向になったりする場合がある。
【0100】
本明細書における、ある処理や動作を行うように「構成された」構造、限定事項、または要素は、具体的に当該処理や動作に適した態様に構造形成、構築、あるいは適合化されたものである。明瞭化のため、また疑義を避けるために付言すると、単に当該処理や動作を行うように改変されうるに過ぎないものは、本明細書でいうところの当該処理や動作を行うように「構成された」ものには該当しない。
【0101】
なお、上述の説明は、例示を意図したものであり、限定的に解釈されるべきではない。例えば、上述した実施形態(及び/又はその態様)は、互いに組み合わせて使用することが可能である。加えて、本開示の様々な実施例の範囲を逸脱することなく、これらの教示に特定の状況や材料を適合させる多くの改変が可能である。本明細書に記載した材料の寸法や種類は、本開示の様々な実施例のパラメータを規定するためのものであり、これらの実施例は、限定を課すものではなく、例示的な実施例に過ぎない。また、上述の説明を検討すれば、当業者には他の多くの実施例が明らかであろう。従って、本開示の様々な実施形態の範囲は、添付の請求の範囲を、これら請求の範囲に認められる均等物の範囲と併せて参照して決定されるべきである。添付の請求の範囲において、「含む」という用語および「であって」という用語は、其々、「備える」および「において」等と意味を同じくする表現として用いられている。また、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、単に標識として用いられており、これらにより言及される対象に対して数的な要件を課すものではない。本明細書の記載は、ベストモードを含む本開示の様々な実施例を、例を用いて開示するものであり、また、任意の装置またはシステムの作製および使用、並びに、組み入れられた方法の実行を含む本開示の様々な実施例を、当業者にとって実施可能にするものである。本開示の様々な実施例についての特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって規定されるものであり、当業者が想定しうる他の例を含みうる。そのような他の例は、それらが、特許請求の範囲の文言と相違のない構成要素を有する場合、または、特許請求の範囲の文言に対して非本質的な相違を有するだけの均等の構成要素を含む場合、特許請求の範囲に包含されると考えられるべきである。
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【外国語明細書】