(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186666
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】流体の状態を管理するための管理システム
(51)【国際特許分類】
F17C 13/00 20060101AFI20221208BHJP
F17C 9/04 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
F17C13/00 302A
F17C9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022090711
(22)【出願日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】2105884
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】パーベル、ボリシェビキ
(72)【発明者】
【氏名】ベルナール、アウン
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA05
3E172AA06
3E172AB04
3E172AB05
3E172AB20
3E172BA06
3E172BB13
3E172BD02
3E172DA02
3E172EA02
3E172EA03
3E172HA04
3E172HA08
3E172HA13
3E172HA14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】第1タンクと第2タンクとで異種類の液化ガスを貯蔵する場合において、全体で消費されるエネルギーを削減する。
【解決手段】管理システム1は、第1タンク2に収容される第1流体4の状態と第2タンク6に収容される、第1流体4より沸点が高い第2流体8の状態を管理しており、管理システム1は気体状態で第1タンク2から取り込まれた第1流体4が流れる第1配管12と、液体状態、および/または二相状態の第1流体4が流れる第2配管16を含み、第2配管16から第1配管12まで延び第1流体4が流れるように意図された冷却管18を含み、第2流体8が流れる管理配管20を含み、管理システム1は管理配管20を流れる第2流体8を冷却する少なくとも1つの冷却ユニット24を含み、冷却ユニット24により生成される冷気は冷却管18を流れる第1流体4の蒸発により生じることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1タンク(2)に収容される第1流体(4)の状態と第2タンク(6)に収容される第2流体(8)の状態を管理するための管理システム(1)であって、前記第1流体(4)は同じ圧力で前記第2流体(8)の沸点より低い沸点を有し、前記管理システム(1)は気体状態で前記第1タンク(2)から取り込まれた前記第1流体(4)が流れるように意図された第1配管(12)であって前記第1タンク(2)へ開口するよう構成されているガス注入口(26)から前記第1流体(4)を凝縮するよう構成されている熱交換要素(38、40、42)まで延びる第1配管(12)を少なくとも含み、前記第1配管(12)は第1圧縮要素(14a)と第2圧縮要素(14b)とを少なくとも含み、前記管理システム(1)は液体状態、および/または二相状態の前記第1流体(4)が流れるように意図された第2配管(16)であって前記熱交換要素(38、40、42)から前記第1タンク(2)へ開口するよう構成されている第2ポート(65)まで延びる第2配管(16)を含み、前記管理システム(1)は前記第2配管(16)から前記第1配管(12)まで延び前記第1流体(4)が流れるように意図された少なくとも1つの冷却管(18)であって前記第1圧縮要素(14a)と前記第2圧縮要素(14b)の間で前記第1配管(12)に接続される冷却管(18)を含み、前記管理システム(1)は前記第2流体(8)が流れるように意図された、前記第2流体(8)の状態を管理するための少なくとも1つの管理配管(20)を含み、前記管理システム(1)は前記管理配管(20)を流れる前記第2流体(8)を冷却する少なくとも1つの冷却ユニット(24)を含み、冷気は前記冷却ユニット(24)により生成されて前記冷却管(18)を流れる前記第1流体(4)の蒸発により生じることを特徴とする、管理システム(1)。
【請求項2】
前記冷却ユニット(24)は、熱交換器(84)と、前記第2配管(16)と前記熱交換器(84)の間の前記冷却管(18)に取り付けられた膨張要素(86)とを少なくとも含み、前記熱交換器(84)は、前記冷却管(18)を流れる前記第1流体(4)と前記管理配管(20)を流れる前記第2流体(8)の間で熱を交換するよう構成される、請求項1に記載の管理システム(1)。
【請求項3】
前記熱交換器(84)は、前記冷却管(18)を構成する第1通路(88)と、前記管理配管(20)を構成する第2通路(90)とを少なくとも含み、前記膨張要素(86)は前記第2配管(16)と前記第1通路(88)の間に配置される、請求項2に記載の管理システム(1)。
【請求項4】
前記冷却ユニット(24)の上流の前記管理配管(20)上に配置される少なくとも1つのポンプ要素(78)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の管理システム(1)。
【請求項5】
前記第2配管(16)と前記第1配管(12)の間に延びる少なくとも1つのパイプ(48)を含み、前記パイプ(48)は前記第1圧縮要素(14a)と前記第2圧縮要素(14b)の間で前記第1配管(12)に接続され、前記管理システム(1)は、前記第2配管(16)を流れる前記第1流体(4)を冷却する少なくとも1つの冷却装置(50)を含み、前記冷却装置(50)により生成される冷気は前記パイプ(48)を流れる前記第1流体(4)の蒸発により生じる、請求項1~4のいずれか一項に記載の管理システム(1)。
【請求項6】
前記冷却装置(50)は熱交換器(54)および膨張装置(56)を少なくとも含み、前記熱交換器(54)は前記第2配管(16)を構成する第1通路(58)と前記パイプ(48)を構成する第2通路(60)とを含み、前記膨張装置(56)は前記第2配管(16)と前記第2通路(60)の間の前記パイプ(48)上に配置され、前記熱交換器(54)は前記第2配管(16)を流れる前記第1流体(4)と前記パイプ(48)を流れる前記第1流体(4)の間で熱を交換するよう構成される、請求項5に記載の管理システム(1)。
【請求項7】
前記第1流体(4)と冷却液の間の熱交換のための第1熱交換要素(38、40、42)と、前記第1流体(4)と前記冷却液の間の熱交換のための第2熱交換要素(38、40、42)を少なくとも含み、前記第1熱交換要素(38、40、42)は前記第1圧縮要素(14a)と前記第2圧縮要素(14b)の間に取り付けられ、前記パイプ(48)は前記第1熱交換要素(40)と前記第2圧縮要素(14b)の間で前記第1配管(12)に接続される、請求項5または6に記載の管理システム(1)。
【請求項8】
前記冷却管(18)は、前記第1配管(12)と前記冷却装置(50)の間で前記パイプ(48)に接続される、請求項5~7のいずれか一項に記載の管理システム(1)。
【請求項9】
前記第1タンク(2)内に配置される前記第2ポート(65)と前記冷却装置(50)の間に取り付けられた、前記第2配管(16)と前記冷却管(18)との間の分岐(116)を含む、請求項5~8のいずれか一項に記載の管理システム(1)。
【請求項10】
前記第2圧縮要素(14b)と前記冷却装置(50)の間に取り付けられた、前記第2配管(16)と前記冷却管(18)との間の分岐(116)を含む、請求項5~8のいずれか一項に記載の管理システム(1)。
【請求項11】
前記管理システム(1)は、前記第2圧縮要素(14b)と前記パイプ(48)及び前記第2配管(16)の間の交差部(52)との間で前記第2配管(16)に取り付けられた、前記第1流体(4)用の少なくとも1つの相分離装置(44)を含み、前記管理システム(1)は、前記相分離装置(44)と前記第2配管(16)の間に延びるガス管(46)を含み、前記ガス管(46)は前記冷却装置(50)と前記パイプ(48)及び前記第2配管(16)の間の前記交差部(52)との間で前記第2配管(16)に接続され、液体状態の前記第1流体(4)は前記相分離装置(44)から前記第2配管(16)を通って前記パイプ(48)及び前記第2配管(16)の間の前記交差部(52)へ流れることができて、気体状態の前記第1流体(4)は前記相分離装置(44)から前記ガス管(46)を通って前記第2配管(16)へ流れることができる、請求項5~10のいずれか一項に記載の管理システム(1)。
【請求項12】
前記管理システム(1)は、前記冷却装置(50)の下流の前記第2配管(16)に取り付けられた、前記第1流体(4)用の分離装置(62)を含み、前記管理システム(1)は、前記分離装置(62)と前記第1配管(12)の間に延びて気体状態の前記第1流体(4)が通って流れる返送管(64)を含む、請求項5~11のいずれか一項に記載の管理システム(1)。
【請求項13】
前記管理システム(1)は、前記第1配管(12)と前記第2配管(16)の間に延びる第1パイプ(92)と、前記第1配管(12)と前記第2配管(16)の間に延びる第2パイプ(94)とを含み、前記管理システム(1)は前記第1配管(12)に取り付けられた第3圧縮要素(14c)を含み、前記第2圧縮要素(14b)は前記第1圧縮要素(14a)と前記第3圧縮要素(14c)の横に配置され、前記第1パイプ(92)は前記第2圧縮要素(14b)と前記第3圧縮要素(14c)の間で前記第1配管(12)へ開口し、前記第2パイプ(94)は前記第1圧縮要素(14a)と前記第2圧縮要素(14b)の間で前記第1配管(12)へ開口し、前記管理システム(1)は前記第2配管(16)を流れる前記第1流体(4)を冷却するための第1冷却装置(96)と、前記第2配管(16)を流れる前記第1流体(4)を冷却するための第2冷却装置(106)とを含み、前記第1冷却装置(96)により生成される冷気は前記第1パイプ(92)を流れる前記第1流体(4)の蒸発により生じ、前記第2冷却装置(106)により生成される冷気は前記第2パイプ(94)を流れる前記第1流体(4)の蒸発により生じ、前記第1冷却装置(96)は前記第2冷却装置(106)の上流の前記第2配管(16)に取り付けられる、請求項1~12のいずれか一項に記載の管理システム(1)。
【請求項14】
前記冷却管(18)は、前記第1冷却装置(96)と前記第2冷却装置(106)の間で前記第2配管(16)に接続される、請求項13に記載の管理システム(1)。
【請求項15】
前記冷却管(18)は、前記第2冷却装置(106)の下流の前記第2パイプ(94)に接続される、請求項13または14に記載の管理システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化天然ガス、および/または液化石油ガスを使用、貯蔵、および/または輸送する船舶の分野に関連し、より詳細には、そのような船舶で輸送される液化天然ガス、および/または液化石油ガスの状態を管理するためのシステムの分野に属する。
【背景技術】
【0002】
そのような船舶は、慣例的に液体状態の天然ガス、および/または液体状態の石油ガスを収容するタンクを含む。そのような船舶は、例えば、液状の天然ガスを貯蔵するための第1タンクと、液状の石油ガスを貯蔵するための第2タンクを含むことがある。一方で、そのような船舶は、第1タンクに収容される第1石油ガスと、第2タンクに収容される第2石油ガスを輸送することがあり、第1石油ガスは例えばその組成が第2石油ガスとは異なる。つまり、そのような船舶は、液化天然ガスまたは液化石油ガスでありうる第1流体と、第1流体とは異なり、かつ液化天然ガスまたは液化石油ガスでありうる第2流体を輸送することがある。
【0003】
天然ガスは、例えば大気圧で-160℃より下の温度では液体である。こうしたタンクは決して完全には熱的に絶縁されておらず、これは、天然ガスの少なくとも一部はタンク内で蒸発することを意味する。それゆえ、こうしたタンクは液状の天然ガスとガス状の天然ガスの両方を収容しており、ガス状の天然ガスは「BOG」または「ボイルオフガス」とも呼ばれて、タンクの最上部に蓄積する。このタンクの最上部における圧力は、タンクを損傷させないように制御する必要がある。
【0004】
石油ガスは、大気圧ではその組成に応じて概して0℃~50℃の沸点を有する。また、石油ガスは、タンクに貯蔵された場合に少なくとも部分的に蒸発する傾向があり、蒸発した石油ガスにより生じたタンクの最上部における圧力も、タンクを損傷させないように制御されなければならない。
【0005】
一般的に、そのような船舶は、このような流体のそれぞれがタンクの最上部で蒸発するのを制限するために、第1流体および第2流体の状態を管理するための複数のシステムを備える。それゆえ、例えば、こうした管理システムは、一方では第1流体を液化するよう構成され、他方では第1流体の再液化とは関係なしに第2流体を液化するよう構成される。
【0006】
しかし、管理システムのそれぞれは概して、蒸発した第1流体、および/または蒸発した第2流体を圧縮する複数の圧縮要素を含み、これら複数の圧縮要素は前記ガスの圧力を上昇させることができる。こうした圧縮要素は概して大きく、管理システムは船舶上でかなりの量の表面積、および/または体積を占める。
【0007】
さらに、冗長性の理由で、追加の熱調節回路を追加するのが通例であり、この熱調節回路が船舶上で管理システムが占める表面積、および/または体積をさらに増やす。この追加の熱調節回路を追加することで、さらに、管理システムの残りの部分を設置および使用するのにすでに必要なコストに加えて、更なるコストが必要となる。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、このような管理システムが占める体積とこのような管理システムにより消費されるエネルギーを少なくするために、こうした圧縮要素が占める空間を減らすことを目標としており、この目的に向けて、本発明は、蒸発した第1流体の状態を管理するためのシステムを提案し、これにより液体状態の第2流体を冷却することも可能となり、その結果、第2流体の状態を管理するのに用いられる技術的資源、およびそのような状態管理システムを設置することの財務的影響を低減させることができる。
【0009】
本発明は、主に第1タンクに収容される第1流体の状態と第2タンクに収容される第2流体の状態を管理するための管理システムに関連し、第1流体は同じ圧力で第2流体の沸点より低い沸点を有し、管理システムは気体状態で第1タンクから取り込まれた第1流体が流れるように意図された第1配管であって第1タンクへ開口するよう構成されているガス注入口から第1流体を凝縮するよう構成されている熱交換要素まで延びる第1配管を少なくとも含み、第1配管は第1圧縮要素と第2圧縮要素とを少なくとも含み、管理システムは液体状態、および/または二相状態の第1流体が流れるように意図された第2配管であって熱交換要素から第1タンクへ開口するよう構成されている第2ポートまで延びる第2配管を含み、管理システムは第2配管から第1配管まで延びる、第1流体が流れるように意図された少なくとも1つの冷却管であって第1圧縮要素と第2圧縮要素の間で第1配管に接続される冷却管を含み、管理システムは第2流体が流れるように意図された、第2流体の状態を管理するための少なくとも1つの管理配管を含み、管理システムは管理配管を流れる第2流体を冷却する少なくとも1つの冷却ユニットを含み、冷却ユニットにより生成される冷気は冷却管を流れる第1流体の蒸発(ボイルオフ)により生じることを特徴とする。
【0010】
任意選択の一構成によれば、管理システムは第1流体および第2流体を含み、具体的には、これらの流体は管理システムを通って流れる。
【0011】
管理システムは、それぞれ第1タンクおよび第2タンクに収容される第1流体と第2流体の状態、つまり、第1流体または第2流体の少なくとも圧力、および/または温度を制御する。管理配管を流れる第2流体は冷却ユニットにより冷却され、冷却ユニットの下流の管理配管を流れる第2流体の温度は冷却ユニットの下流の冷却管を流れる第1流体の温度よりも低い。これには、第2タンクに収容される第2流体の温度を下げる効果があり、その結果、第2タンク内に存在する第2流体の蒸発が制限される。さらに、第2タンクを流れる蒸発した第2流体も冷却されて、冷却ユニットの下流の管理配管を流れる冷却された第2流体に接触することで、および/またはタンク内に噴霧された第2流体に接触することで、凝縮しうる。
【0012】
管理配管を流れる第2流体の温度を下げるために用いられる冷気は、冷却管を流れる第1流体の一部の蒸発によりもたらされる。より詳細には、この第1流体の一部は膨張させられる、つまり、この第1流体の一部の圧力は下げられて、その結果、この第1流体により第2流体の温度が下げられる。
【0013】
第1流体および第2流体は例えば石油ガスであり、第1流体は例えば92%のプロパンと8%のブタンから成り、大気圧で-47℃の沸点を有する混合物であり、第2流体は例えば100%のブタンから成り、大気圧で0℃の沸点を有する。
【0014】
本発明の別の実施形態によれば、第1流体は例えばメタンなどの天然ガスで約-160℃の沸点を有する、つまり、第1流体は、大気圧で-160℃より下の温度である場合には液状である。
【0015】
本発明の別の実施形態によれば、第1流体は例えば100%のエタンから成り、-89℃の蒸発温度を有し、第2流体は92%のプロパンと8%のブタンの混合物を含む液化石油ガスから成り、-47℃の蒸発温度を有する。
【0016】
本発明の別の実施形態によれば、第1流体は例えば100%のエタンから成り、-89℃の蒸発温度を有し、第2流体は-33℃の蒸発温度を有する100%のアンモニアから成る。
【0017】
本発明の別の実施形態によれば、第1流体は例えば100%のプロパンから成り、-42℃の蒸発温度を有し、第2流体8は-33℃の蒸発温度を有する100%のアンモニアから成る。
【0018】
上記の温度は大気圧で測定される。
【0019】
さらに、第1配管内での第1流体の凝結は、第1流体と熱交換要素内の冷却液の間の熱エネルギーの交換により起こる。
【0020】
本発明の任意選択の特徴によれば、冷却ユニットは、熱交換器と、第2配管と熱交換器の間の冷却管に取り付けられた膨張要素とを少なくとも含み、熱交換器は冷却管を流れる第1流体と管理配管を流れる第2流体の間で熱を交換するよう構成される。
【0021】
より詳細には、冷却管を流れる第1流体は、熱交換器内を流れる前に膨張要素により膨張させられる。管理配管を流れる第2流体は、熱交換器を通過する際に、冷却管を流れてやはり熱交換器を通過する膨張した第1流体へ熱エネルギーを渡す。
【0022】
換言すれば、冷却管を流れて熱交換器を通過する第1流体は、管理配管を流れる第2流体から熱エネルギーを獲得することにより、熱交換器内で温められて蒸発する。そして、温められ蒸発した第1流体は、第1配管に取り付けられた複数の圧縮要素のうちの一つにより吸入される。
【0023】
さらに、管理配管を流れる第2流体の温度が低下するのは熱交換器の内部であり、具体的には管理配管を流れる第2流体から冷却管を流れる第1流体への熱エネルギーの伝送により、冷却管を流れる第1流体の温度に近づく。管理配管を流れる第2流体の温度は、熱交換器内で行われる熱エネルギーの交換の間に低下することに留意されたい。
【0024】
本発明の任意選択の特徴によれば、熱交換器は、冷却管を構成する第1通路と、管理配管を構成する第2通路とを少なくとも含み、膨張要素が第2配管と第1通路の間に配置される。
【0025】
この構成では、冷却管を流れる第1流体の圧力は、第1流体が熱交換器の第1通路を流れる前に膨張要素により下げられることに留意されたい。
【0026】
本発明の任意選択の特徴によれば、管理システムは、冷却ユニットの上流の管理配管上に配置される少なくとも1つのポンプ要素を含む。ポンプ要素は、第2流体に管理配管を通って循環させるよう構成される。
【0027】
本発明の任意選択の特徴によれば、管理システムは第2配管と第1配管の間に延びる少なくとも1つのパイプを含み、このパイプは第1圧縮要素と第2圧縮要素の間で第1配管に接続され、管理システムは第2配管を流れる第1流体を冷却する少なくとも1つの冷却装置を含み、冷却装置により生成される冷気はパイプを流れる第1流体の蒸発により生じる。
【0028】
第2配管を流れる第1流体の温度を下げるために用いられる冷気は、パイプを流れる第1流体の一部の蒸発によりもたらされる。より詳細には、この第1流体の一部は膨張させられる、つまり、この第1流体の一部の圧力は下げられて、その結果、この第1流体により第2配管を流れる第1流体の温度が下げられる。
【0029】
本発明の任意選択の特徴によれば、冷却装置は熱交換器および膨張装置を少なくとも含み、熱交換器は第2配管を構成する第1通路とパイプを構成する第2通路とを含み、膨張装置は第2配管と第2通路の間のパイプ上に配置され、熱交換器は第2配管を流れる第1流体とパイプを流れる第1流体の間で熱を交換するよう構成される。
【0030】
より詳細には、パイプを流れる第1流体は、熱交換器内を流れる前に膨張装置により膨張させられる。第2配管を流れる第1流体は、熱交換器を通過する際に、パイプを流れる膨張した第1流体が熱交換器を通過する際にこの第1流体へ熱エネルギーを渡す。
【0031】
換言すれば、パイプを流れて熱交換器を通過する第1流体は、第2配管を流れる第1流体から熱エネルギーを獲得することにより、熱交換器内で温められて蒸発する。そして、温められ蒸発した第1流体は、第1配管に取り付けられた複数の圧縮要素のうちの一つにより吸入される。
【0032】
さらに、第2配管を流れる第1流体の温度が低下するのは熱交換器の内部であり、具体的には第2配管を流れる第1流体からパイプを流れる第1流体への熱エネルギーの伝送により、パイプを流れる第1流体の温度に近づく。
【0033】
本発明の任意選択の特徴によれば、管理システムは第1流体と冷却液の間の熱交換のための第1熱交換要素と、第1流体と冷却液の間の熱交換のための第2熱交換要素を少なくとも含み、第1熱交換要素は第1圧縮要素と第2圧縮要素の間に取り付けられ、パイプは第1熱交換要素と第2圧縮要素の間で第1配管に接続される。パイプを流れる気体状態の第1流体は、第1熱交換要素と第2圧縮要素の間にある位置で第1配管を流れる気体状態の第1流体と混合される。
【0034】
本発明の任意選択の特徴によれば、冷却管は第1配管と冷却装置の間でパイプに接続される。冷却管を流れる気体状態の第1流体は、冷却装置を通過した後にパイプを流れる気体状態の第1流体と混合されることに留意されたい。
【0035】
本発明の任意選択の特徴によれば、管理システムは、第1タンク内に配置される第2ポートと冷却装置の間に取り付けられた、冷却管と第2配管の分岐を含む。
【0036】
本発明の任意選択の特徴によれば、管理システムは第2配管を流れる第1流体を冷却するための第1冷却装置と、第2配管を流れる第1流体を冷却するための第2冷却装置とを含み、管理システムは第2冷却装置の下流に取り付けられた、第2配管と冷却管の分岐を含む。
【0037】
本発明の任意選択の特徴によれば、管理システムは、第2圧縮要素と冷却装置の間に取り付けられた、冷却管と第2配管の分岐を含む。
【0038】
本発明の任意選択の特徴によれば、管理システムは第2配管を流れる第1流体を冷却するための第1冷却装置と第2配管を流れる第1流体を冷却するための第2冷却装置とを含み、管理システムは第1冷却装置の上流に取り付けられた、冷却管と第2配管の分岐を含む。
【0039】
本発明の任意選択の特徴によれば、管理システムはパイプと第2配管の交差部と第2圧縮要素との間で第2配管に取り付けられた第1流体用の少なくとも1つの相分離装置を含み、管理システムはこの相分離装置と第2配管の間に延びるガス管を含み、このガス管はパイプと第2配管の交差部と冷却装置との間で第2配管に接続され、液体状態の第1流体は相分離装置から第2配管を通ってパイプと第2配管の交差部へ流れることができて、気体状態の第1流体は相分離装置からガス管を通って第2配管へ流れることができる。
【0040】
本発明の任意選択の特徴によれば、管理システムは冷却装置の下流の第2配管に取り付けられた第1流体用の相分離装置を含み、管理システムはこの相分離装置と第1配管の間に延びて気体状態の第1流体が通って流れる返送管を含む。
【0041】
本発明の任意選択の特徴によれば、管理システムは第1配管と第2配管の間に延びる第1パイプと第1配管と第2配管の間に延びる第2パイプとを含み、管理システムは第1配管に取り付けられた第3圧縮要素を含み、第2圧縮要素は第1圧縮要素と第3圧縮要素の間に取り付けられ、第1パイプは第2圧縮要素と第3圧縮要素の間で第1配管へ開口し、第2パイプは第1圧縮要素と第2圧縮要素の間で第1配管へ開口し、管理システムは第2配管を流れる第1流体を冷却するための第1冷却装置と第2配管を流れる第1流体を冷却するための第2冷却装置とを含み、第1冷却装置により生成される冷気は第1パイプを流れる第1流体の蒸発により生じ、第2冷却装置により生成される冷気は第2パイプを流れる第1流体の蒸発により生じ、第1冷却装置は第2冷却装置の上流の第2配管に取り付けられる。この場合、第2配管を第1タンクまで流れる第1流体は、1回目は第1冷却装置内で、2回目は第2冷却装置内で冷却されることに留意されたい。
【0042】
本発明の任意選択の特徴によれば、冷却管は第1冷却装置と第2冷却装置の間で第2配管に接続される。
【0043】
本発明の任意選択の特徴によれば、冷却管は第2冷却装置の下流の第2パイプに接続される。
【0044】
代替案によれば、冷却管は第1冷却装置の上流の第2パイプに接続される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
本発明の更なる特徴、詳細、および利点は、一方では以下の説明を読むことで、他方では添付の図面を参照しながら非限定的な実例として提供されるいくつかの実施形態を読むことでより明確となるであろう。図面において、
【0046】
【
図1】本発明に係る管理システムの第1実施形態を模式的に表す。
【
図2】本発明に係る管理システムの第2実施形態を模式的に表す。
【
図3】本発明に係る管理システムの第3実施形態を模式的に表す。
【
図4】本発明に係る管理システムの第4実施形態を模式的に表す。
【
図5】本発明に係る管理システムの第5実施形態を模式的に表す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明の特徴、変形、および異なる実施形態は、矛盾する、または相互排他的でない限り、様々な組み合わせで互いに関連しうる。具体的には、記載された他の特徴とは別に、以下に記載される複数の特徴から選択した一つのみを含む本発明の変形を、この選択された特徴が技術的利点を提供する、および/または本発明を先行技術と差別化するのに充分であれば、想定することもできる。
【0048】
さらに、以下で説明において用いられる「上流」、および「下流」という用語は、以下で詳細に記載される実施形態のいずれかに係る管理システム内での第1流体、および/または第2流体の循環の方向を指す。
【0049】
図1は、少なくとも第1流体4および第2流体8の状態を管理するための管理システム1と、第1流体4を収容する第1タンク2と、第2流体8を収容する第2タンク6を示す。第1タンク2、第2タンク6、および/または管理システム1は、例えば第1流体4および第2流体8を輸送する船舶に設置することができる。
【0050】
第1流体4は第2流体8の沸点より低い沸点を有し、これら2つの温度は同じ圧力で測定される。第1流体4は例えばメタンなどの天然ガスで約-160℃の沸点を有する、つまり、第1流体4は大気圧で-160℃より下の温度である場合には液状である。第2流体8は例えばプロパン、ブタン、またはプロパンとブタンの混合物などの石油ガスであり、大気圧で0℃~-51℃の沸点を有する。ただし、第1流体4は第1流体4が第2流体8の沸点より低い沸点を有する限りはプロパン、ブタン、またはプロパンとブタンの混合物などの石油ガスとすることもできる。
【0051】
本明細書で示される例によれば、第1流体4および第2流体8は石油ガスであり、第1流体4は例えば約92%のプロパンと約8%のブタンから成り、大気圧で-47℃の沸点を有する混合物であり、第2流体8は例えば約100%のブタンから成り、大気圧で0℃の沸点を有する。
【0052】
本発明の第1の代替例によれば、第1流体4はエタンであって-89℃の沸点を有し、第2流体8はプロパンとブタンの混合物を含む液化石油ガスであって-47℃の沸点を有する。
【0053】
本発明の第2の代替例によれば、第1流体4はエタンであって-89℃の蒸発温度を有し、第2流体8はアンモニアであって-33℃の沸点を有する。
【0054】
本発明の第3の代替例によれば、第1流体4はプロパンであって-42℃の沸点を有し、第2流体8はアンモニアであって-33℃の沸点を有する。
【0055】
第1タンク2および第2タンク6は、第1流体4および第2流体8を、大気圧でのそれぞれの沸点以下の温度で液状で貯蔵するよう設計されている。この目的に向けて、タンク2および6はそれぞれ、少なくとも、これら流体のどちらか一方と接触する封止膜と、封止膜を取り囲んでこれら流体のどちらか一方をその沸点より下の温度に保つのを助ける断熱バリアから構成される。有利には、タンク2、6のそれぞれは、これら流体のどちらか一方と接触する一次封止膜と一次封止膜を取り囲む一次断熱バリアとから構成されている一次層と、一次層を取り囲み、一次断熱バリアと接触する二次封止膜と二次封止膜を取り囲む二次断熱バリアとから構成されている二次層を有する。
【0056】
本発明の代替案によれば、第2タンク6は一次層のみを含み、一次断熱バリアは第2タンク6の外部環境と直接接触する。この代替案では第2タンク6は二次層を持たず、断熱は一次層の一次断熱バリアのみによって提供されることに留意されたい。
【0057】
第1流体4は、大気圧下では主に液状で第1タンク2に貯蔵される。ただし、第1流体4の一部は蒸発して第1タンク2の最上部10において覆いを形成し、したがって、最上部10において第1流体4はガス状で存在する。
【0058】
同様に、第2流体8は大気圧下では主に液状で第2タンク6に貯蔵される。ただし、第2流体8の一部は蒸発して第2タンク6の最上部11において覆いを形成し、したがって、最上部11において第2流体8はガス状で存在する。
【0059】
管理システム1は、一方では第1タンク2の最上部10に存在するガス状の第1流体4の少なくとも一部を再液化するよう構成され、他方では第1流体4を燃料として用いる消費機械に第1流体4を供給するよう構成される。この目的に向けて、管理システム1は、一方では第1流体4が第1タンク2から複数の圧縮要素14へ流れる際に通る第1配管12と、第1流体4が液体状態、および/または二相状態でその中を第1配管12から第1タンク2まで流れる第2配管16とを少なくとも含み、他方では第2配管16と消費機械の間に延びるパイプライン45を含む。さらに、管理システム1は、第1流体4が第2配管16から第1配管12へ流れる際に通る冷却管18を含む。
【0060】
管理システム1は第2流体の状態を管理するための少なくとも1つの管理配管20をさらに含み、この管理配管20を通って、第2流体8の少なくとも一部は第2タンク6から第2タンク6の第2流体8用の液体排出口22へ流れる。具体的には、液体排出口22は、具体的には第2タンク6の最上部11に存在する第2流体8を冷却するために、冷却された第2流体8を第2タンク6に噴霧することを可能とする。第2タンク6の最上部11に存在する第2流体8の温度を下げることで、第2タンク6の前記最上部11に存在する蒸発した第2流体8により加えられる圧力を下げることができる。本明細書で
図1に示される実施形態によれば、液体排出口22は、最上部11に噴霧された第2流体8の分配を促進するスプレー棒の形を取っている。
【0061】
本発明によれば、管理システム1は管理配管20を流れる液体状態の第2流体8を冷却する冷却ユニット24を含み、冷却ユニット24により生成される冷気は冷却管18を流れる第1流体4の蒸発の結果である。ここで、第1流体4が冷却管18および冷却ユニット24を通って流れて管理配管20を流れる第2流体8を冷却する場合、第1流体4は充分に低い温度であることに留意されたい。この場合、第2流体8は熱エネルギーを第1流体4へ渡す。
【0062】
第1配管12は第1タンク2の内部から延びて、より詳細には、第1タンク2の最上部10にある、気相の第1流体4が存在する第1タンク2の最上部10へ開口するガス注入口26を含む。したがって、第1タンク2の最上部10に存在する気体状態の第1流体4は、第1配管12のガス注入口26と直接接触し、その結果、気体状態の第1流体4を複数の圧縮要素14により吸入することができる。
【0063】
気体状態の第1流体4は、複数の圧縮要素14により生じた吸引の影響下で第1タンク2の最上部10から第1配管12を通って複数の圧縮要素14へと移動する。より詳細には、複数の圧縮要素14は、気体状態の第1流体4が消費機械へ送られる前に気体状態の第1流体4の圧力を上昇させるよう構成される。
【0064】
図1に示されるように、複数の圧縮要素14は第1圧縮要素14a、第2圧縮要素14b、および第3圧縮要素14cを含み、第1配管12上に、前記第1配管内での第1流体4の循環の方向にこの順番で配置されている。複数の圧縮要素14は、ガス注入口26と第1圧縮要素14aの間に延びる第1配管12の第1部分28と、第1圧縮要素14aと第2圧縮要素14bの間に延びる第1配管12の第2部分30と、第2圧縮要素14bと第3圧縮要素14cの間に延びる第1配管12の第3部分32と、第3圧縮要素14cと第2配管16の間に延びる第1配管12の第4部分34を規定するのに役立つ。
【0065】
気体状態の第1流体4の圧力は、複数の圧縮要素14を通って第1配管12を流れるにつれて上昇し、第1流体4は第1部分28では大気圧であり、第4部分34では約24バールの圧力に達する。
【0066】
図1に示されるように、冷却液循環システム36は、循環システム36を流れる冷却液と第1配管12を流れる気体状態の第1流体4の間の熱交換のために少なくとも1つの熱交換要素38を含む。この熱交換要素38は第1配管12を第2配管16から分離する。より詳細には、熱交換要素38は第1配管12の第4部分34の下流に配置される。
【0067】
熱交換要素38は、冷却液と第1流体4の間で熱エネルギーを交換する。冷却液は熱伝導流体、および/またはグリコールを含む水とすることができて、循環システム36は、例えば船舶に設置することができて、船舶が航行している水域に直接接続される。
【0068】
有利には、循環システム36は、第1配管12の第2部分30に取り付けられる第1熱交換要素40と、第1配管12の第3部分32に取り付けられる第2熱交換要素42と、第1配管12の第4部分34に取り付けられる第3熱交換要素38とを含み、熱交換要素38、40、42のそれぞれは、第1配管12を流れる気体状態の第1流体4と冷却液の間で熱エネルギーを交換する。第1配管12に沿って配置される圧縮要素14と熱交換要素38、40、42を交互にすることで、圧縮要素により行われる圧縮の各段階の後に第1流体4の温度を下げることができることに留意されたい。
【0069】
本明細書で
図1で示される例では、第1流体4が複数の圧縮要素14を通過する場合、流体の圧力および温度は上昇する。この温度が高くなり過ぎるのを防ぐため、第1流体4は、第1、第2、および第3の熱交換要素40、42、38を用いて冷却液と熱エネルギーを交換する。例えば、第1熱交換要素40の下流の第2部分30を流れる第1流体4の温度は約7℃であり、第2熱交換要素42の下流の第3部分32を流れる第1流体4の温度は約40℃であり、第3熱交換要素38の下流の第4部分34を流れる第1流体4の温度は43℃より上である。
【0070】
さらに、流体の沸点も流体が受ける圧力に応じて変化する。例えば約92%のプロパンと約8%のブタンから成る混合物とすることができる第1流体4は、約24バールの圧力を受けた場合に約43℃の沸点を有する。したがって、第1流体4は第3熱交換要素38の上流の第4部分34では気体状態であり、冷却液と熱エネルギーを交換することで第3熱交換要素38を通過しながら液相状態または二相状態へ移行し、液体状態または二相状態で第3熱交換要素38の下流の第2配管16を流れることになる。したがって、第1流体4は、第2配管16において第3熱交換要素38の下流を液体状態または二相状態で流れる。
【0071】
さらに、「二相状態」は、第1流体4の一部が液体状態であり、第1流体4の別の部分が気体状態である状態を意味する。
【0072】
第1流体4は、第1配管12から第2配管16を、より詳細には第3熱交換要素38から、第1タンク2へと流れる。
【0073】
図1に示されるように、管理システム1は、第2配管16上に配置される第1流体4用の相分離装置44を含む。相分離装置44は、第2配管16を流れる第1流体4に存在する複数の相を分離するよう構成される。つまり、相分離装置44は、液体状態の第1流体4が気体状態の第1流体4から分離されるように構成される。そして、相分離装置44内で分離された液体状態の第1流体4は第2配管16へ、および/またはパイプライン45を通って消費機械へ流れる。管理システム1は、第1流体4が気体状態で相分離装置44から第2配管16へ流れる際に通るガス管46を含む。
【0074】
図1に示されるように、管理システム1は第1配管12を第2配管16と接続し、第1流体4が第2配管16から第1配管12へ流れる際に通る少なくとも1つのパイプ48を含む。管理システム1は第2配管16を流れる第1流体4を冷却する少なくとも1つの冷却装置50を含み、冷却装置50により生成される冷気はパイプ48を流れる第1流体4の蒸発により生じる。
【0075】
パイプ48と第2配管16の間に交差部52が形成され、第1流体4はこの交差部において、第2配管16を通って第1タンク2、またはパイプ48を通って第1配管12のいずれかへ流れることができて、冷却装置50は、パイプ48を流れる第1流体4の蒸発によって第2配管16を流れる第1流体4の温度が低下するように構成される。
【0076】
さらに、
図1に示されるように、ガス管46が第2配管16とパイプ48の交差部52の下流の第2配管16に接続される。ガス管46を流れる気体状態の第1流体4が交差部52の下流の第2配管16を流れる液体状態の第1流体4と混合するので、第1流体4は、第2配管16において交差部52と冷却装置50の間で二相状態である。
【0077】
より詳細には、冷却装置50は熱交換器54と膨張装置56を少なくとも含み、熱交換器54は第2配管16を構成する第1通路58とパイプ48を構成する第2通路60を含み、膨張装置56は第2通路60の上流のパイプ48上に配置される。熱交換器54は、第2配管16を流れる第1流体4とパイプ48を流れる第1流体4の間で熱を交換するよう構成される。
【0078】
このように構成されて、熱交換器54は第2配管16を流れる第1流体4とパイプ48を流れる第1流体4の間で熱エネルギーを交換し、第2配管16を流れる第1流体4とパイプ48を流れる第1流体4の間の熱エネルギーの交換は、具体的には熱交換器54の第1通路58および第2通路60において行われる。第2配管16を流れる第1流体4とパイプ48を流れる第1流体4の間で交換された熱エネルギーにより、第2配管16を流れる第1流体4の温度が低下し、第2配管16を流れる第1流体4はパイプ48を流れる第1流体4へ熱エネルギーを渡す。
【0079】
この熱エネルギーの移動は、パイプ48を流れる第1流体4の圧力を下げてその状態の変化を促進する膨張装置56が存在するおかげで達成される。
【0080】
第2配管16の第1通路58の上流を流れる第1流体4と第2配管16の第1通路58の下流を流れる第1流体4の間の温度の低下は、少なくとも20℃である。有利には、この温度差は25℃~35℃である。
【0081】
第2配管16を流れる第1流体4の温度の低下により、第1流体4は二相状態から液体状態へと変わる。したがって、第2配管16において熱交換器54の第1通路58の下流を流れる第1流体4は液体状態であり、例えば、約14℃の温度と約24バールの圧力を有することになる。
【0082】
図1に示されるように、冷却装置50の膨張要素56は第2通路60の上流のパイプ48に取り付けられる。換言すれば、第2通路60へ供給される液体状態の第1流体4は第2通路60に到達する前に膨張する、つまり、圧力が低下して第1流体4の状態が変化し、その結果、第2通路60内で二相状態から気体状態へ移行することに留意されたい。例えば、第1流体4は約3バールの圧力へ膨張させられて、第1流体4が膨張要素56の上流での約24バールの圧力から膨張要素56と第1配管12の間での3バールの圧力へと変化しうる。
【0083】
第2通路60を流れる気体状態の第1流体4と第1通路58を流れる液体状態または二相状態の第1流体4の間の圧力差、およびそれによる温度差により、第1通路58を流れる液体状態または二相状態の第1流体4が冷却されて、第2通路60へ入る二相状態の第1流体4が蒸発する。
【0084】
図1に示されるように、第2通路60の下流を流れる、膨張した気体状態の第1流体4は、その後第1配管12に到達する。有利には、パイプ48は第1配管12にその第2部分30で、より詳細には、第1熱交換要素40と第2圧縮要素14bの間で接続される。したがって、膨張した気体状態の第1流体4は第1熱交換要素40からの第1流体4と混合されて、この混合物は第2圧縮要素14bにより第1配管12の第3部分32へ吸入される。
【0085】
図1に示されるように、管理システム1は冷却装置50の下流の第2配管16に取り付けられた第1流体4用の相分離装置62を含み、管理システム1は相分離装置62と第1配管12の間に延びる返送管64を含み、気体状態の第1流体4がこの返送管を通って流れる。
【0086】
相分離装置62は、相分離装置主部66と、相分離装置主部66の上流の第2配管16上に配置される膨張要素68とを含む。膨張要素68により、相分離装置主部66へ流れる第1流体4を第1タンク2に収容される第1流体4の圧力とほぼ同じ圧力、すなわち大気圧とすることが可能となる。
【0087】
より詳細には、第2配管16を第1タンク2まで流れる液体状態の第1流体4は、第1流体4の圧力を第1タンク2に収容される第1流体4の圧力と合わせるために第1タンク2に到達する前に膨張する、つまり、その圧力が低下することに留意されたい。膨張要素68による第1流体4の膨張によって第1流体4の状態が変化し、その結果、液体状態から、第1流体4の一部が液体状態で別の部分が気体状態である二相状態へ移行する。また、この圧力の低下により、第1流体4の温度も低下する。例えば、第1流体4はほぼ1.2バールの圧力へ膨張させられて、第1流体4が膨張要素68の上流での約24バールの圧力から膨張要素68の下流での約1.2バールの圧力へと変化することがあり、第1流体4は約-50℃の温度を有する。
【0088】
そして、第1流体4は相分離装置主部66へと流れ、第1流体4はその正確な温度に応じて液体状態、および/または二相状態となっている。相分離装置主部66は、膨張要素68から第1タンク2へと流れる第1流体4に存在する複数の相を分離するよう構成される。つまり、相分離装置主部66は、液体状態の第1流体4が気体状態の第1流体4から分離されるように構成される。そして、相分離装置主部66で分離された液体状態の第1流体4は第1タンク2へと流れ、気体状態の第1流体4は返送管64を通って第1配管12の第1部分28へ移動する。
【0089】
有利には、第2配管16は第1タンク2内、具体的には第1タンク2の底部にある流体排出口65へ開口し、その結果、液体状態の第1流体4は相分離装置主部66から第2配管16を通って第1タンク2の底部へと流れる。代替案によれば、第2配管16は第1タンク2の最上部10で開口し、液体状態の第1流体4は例えば第1タンク2の最上部10で噴霧されて、その結果、第1タンク2の最上部10に存在する気体状態の第1流体4を冷却する。
【0090】
本明細書で
図1に示される例では、管理システム1は、返送管64上に配置されて、例えば気体状態の第1流体4を返送管64を通って流れさせて1.2バールの圧力から大気圧へ変化させるよう構成されている、第1流体4を膨張させるための膨張ブロック70を含む。
【0091】
管理システム1は、膨張ブロック70の下流の返送管64に接続され、管理システム1の外部環境へと開口する、排出管72をさらに含む。
【0092】
管理システム1は、管理システム1の外部環境へ排出される第1流体4の流量を制御するために、排出管72上に配置される、気体状態の第1流体4の流量を制御するための制御弁74を含む。
【0093】
図1に示されるように、冷却管18は、第2配管16と第1配管12の間に延びる。したがって、第1流体4は、冷却管18を通って第2配管16から第1配管12へ流れることになる。
【0094】
本発明の一つの特徴によれば、冷却管18は冷却装置50の下流のパイプ48に接続される。冷却管18を通って第2配管16から第1配管12へ流れる第1流体4は、パイプ48の少なくとも一部を通過して、冷却装置50の下流のパイプ48を流れる第1流体4と混合される。したがって、冷却管18からの第1流体4は、第1熱交換要素40と第2圧縮要素14bの間へ注入されることで、第1配管12の第2部分30を流れる第1流体4と混合されることになる。
【0095】
本発明によれば、
図1に示されるように、管理システム1は第2流体8の状態、具体的にはその圧力、および/または温度を管理するための管理配管20を含み、液体状態で第2タンク6から取り込まれた第2流体8はこの管理配管20を通って流れることが意図されている。この目的に向けて、管理配管20は、例えば第2タンク6に収容される液体状態の第2流体8と接触している、第2タンク6の底部に位置する液体注入口76を含む。
【0096】
本発明の一実施形態によれば、管理システム1は、冷却ユニット24の上流の管理配管20上に配置される少なくとも1つのポンプ要素78を含む。ポンプ要素78は、液体状態の第2流体8に管理配管20を通って流れさせるよう構成される。この目的に向けて、ポンプ要素78は液体注入口76に取り付けられる。換言すれば、ポンプ要素78は、第2タンク6に収容される液体状態の第2流体8に浸漬される。ただし、ポンプ要素78は、液体状態の第2流体8を管理配管20を通して送り出している限り、管理配管20上のどこにでも取り付けることができる。
【0097】
ポンプ要素78は、管理配管20を流れる液体状態の第2流体8の圧力を上昇させる。例えば、ポンプ要素78の下流を流れる液体状態の第2流体8は約4バールの圧力を有し、この結果、ポンプ要素78は液体状態の第2流体8の圧力をポンプ要素78の上流の大気圧からポンプ要素78の下流の約4バールの圧力へ変化させる。
【0098】
図1に示されるように、管理配管20は液体排出口22を含み、液体状態の第2流体8は管理配管20を通ってこの液体排出口22へ流れる。一実施形態によれば、液体排出口22は、液体状態の第2流体8を第2タンク6の最上部11にある管理配管20から噴霧することができるスプレー要素を含みうる。
【0099】
本発明によれば、管理システム1は管理配管20を流れる第2流体8を冷却する冷却ユニット24を含み、冷却装置24により生成される冷気は、冷却管18を流れる第1流体4の蒸発により生じる。したがって、管理配管20は、冷却ユニット24の上流にある第1部分80と、冷却ユニット24の下流にある第2部分82とを含む。したがって、管理配管20の第2部分82を通って流れる液体状態の第2流体8は、管理配管20の第1部分80を流れる液体状態の第2流体8の温度より下の温度を有する。
【0100】
より詳細には、
図1に示されるように、冷却ユニット24は、熱交換器84と、熱交換器84の上流の冷却管18に取り付けられた膨張要素86とを少なくとも含み、熱交換器84は冷却管18を流れる第1流体4と管理配管20を流れる第2流体8の間で熱を交換するよう構成される。熱交換器84は、第1流体4および第2流体8が熱交換器84を通過するように、冷却管18と管理配管20のいずれにも取り付けられることに留意されたい。
【0101】
この目的に向けて、熱交換器84は、冷却管18を構成する第1通路88と、管理配管20を構成する第2通路90とを少なくとも含み、膨張要素86が第1通路88の上流に配置される。冷却管18を流れる第1流体4は第1通路88を通って熱交換器84を通過し、管理配管20を流れる第2流体8は第2通路90を通って熱交換器84を通過する。このように構成されて、熱交換器84は冷却管18を流れる第1流体4と管理配管20を流れる第2流体8の間で熱エネルギーを交換し、冷却管18を流れる第1流体4と管理配管20を流れる第2流体8の間の熱エネルギーの交換は、具体的には熱交換器84の第1通路88および第2通路90において行われる。第1流体4と第2流体8の間で交換された熱エネルギーにより、第2流体8の温度が低下し、第2流体8は第1流体4へ熱エネルギーを渡す。
【0102】
さらに、この熱エネルギーの移動は、冷却管18を流れる第1流体4の圧力を下げてその状態の変化を促進する膨張要素86が存在するおかげで達成される。
【0103】
図1に示されるように、冷却ユニット24の膨張要素86は第1通路88の上流の冷却管18に取り付けられる。換言すれば、第1通路88へ供給される液体状態の第1流体4は第1通路88に到達する前に膨張する、つまり、圧力が低下して第1通路88で蒸発することに留意されたい。この膨張によって第1流体4の状態が変化し、第2通路90において二相状態から気体状態へ移行する。それゆえ、第1流体4は約3バールの圧力へ膨張させられて、第1流体4が膨張要素86の上流での約24バールの圧力から膨張要素86の下流での3バールの圧力へと変化しうることに留意されたい。
【0104】
膨張要素86を通る第1流体4の圧力の低下により第1流体4の状態が変化し、並行してその温度が低下する。例えば、第1流体4は膨張要素86の上流で約14℃の温度を有し、膨張要素86と熱交換器84の第1通路88の間で約-30℃の温度を有する。
【0105】
有利には、第1通路88を流れる第1流体4と第2通路90を流れる液体状態の第2流体8との間の温度差により、第2通路90を流れる液体状態の第2流体8が冷却されて、第1通路88へ入る二相状態の第1流体4が蒸発する。ここで、第2通路90を流れる第2流体8は第1通路88を流れる第1流体4へ熱エネルギーを渡し、第1流体4が第1通路88を通過する際に第1流体4の温度が上昇し、その結果、その状態が二相状態から気体状態へと変わる。
【0106】
例えば、液体状態の第2流体8の温度は管理配管20の第1部分80、すなわち熱交換器84の第2通路90の上流で約0℃であり、管理配管20の第2部分82、すなわち第2通路90の下流で約-10℃である。
【0107】
さらに、膨張要素86の上流の冷却管18を流れる第1流体4は液体状態であり、膨張要素86と熱交換器84の間の冷却管18を流れる第1流体4は二相状態であり、冷却管18を流れる第1流体4は熱交換器84内およびその下流で気体状態である。例えば、膨張要素86の上流の冷却管18を流れる第1流体4の温度は約14℃であり、膨張要素86と熱交換器84の間の冷却管18を流れる第1流体4の温度は約-30℃であり、熱交換器84の下流を流れる第1流体4の温度は約-3℃である。
【0108】
図1に示される第1実施形態によれば、熱交換器84の下流の冷却管18を流れる気体状態の第1流体4は、冷却装置50の下流のパイプ48を流れる気体状態の第1流体4と混合されて、この混合物はその後、第1熱交換要素40と第2圧縮要素14bの間の第1配管12の第2部分30を流れる気体状態の第1流体4に取り込まれる。
【0109】
有利には、膨張要素86、膨張装置56、および第1圧縮要素14aは、第1流体4を同じ圧力とするよう構成される。したがって、第1圧縮要素14aは第1配管12を流れる第1流体4の圧力を例えば3バールの圧力へ上昇させることになる。膨張要素86および膨張装置56は、冷却管18を流れる第1流体4およびパイプ48を流れる第1流体4の圧力を第1配管12の第2部分30を流れる第1流体4の圧力と同じような圧力、すなわち、例えば3バールの圧力へ下げる。したがって、冷却装置50の下流のパイプ48を流れる気体状態の第1流体4は例えば3バールの圧力であり、熱交換器84の下流の冷却管18を流れる気体状態の第1流体4も3バールの圧力である。
【0110】
これより、本発明の第2実施形態について、特に
図2を参照して説明する。第2実施形態を第1実施形態と差別化する要素について以下で説明する。同一の要素については第1実施形態の詳細な説明を参照すること。
【0111】
第2実施形態では、パイプ48は第1配管12に第3部分32で、すなわち、第2熱交換要素42と第3圧縮要素14cの間で接続される。気体状態の第1流体4は、第1配管12の第3部分32まで冷却装置50の下流のパイプ48を流れることに留意されたい。冷却装置50の下流のパイプ48を流れる気体状態の第1流体4は、第2熱交換要素42と第3圧縮要素14cの間にある位置で第1配管12の第3部分32を流れる気体状態の第1流体4と混合される。
【0112】
膨張装置56は、この場合、パイプ48を流れる第1流体4の圧力を第2熱交換要素42と第3圧縮要素14cの間の第1配管12の第3部分32を流れる気体状態の第1流体4の圧力とほぼ同じ圧力へ下げるよう構成される。例えば、冷却装置50の下流を流れる第1流体4の圧力は約10.5バールであり、膨張装置56がパイプ48を流れる第1流体4の圧力を膨張装置56の上流での約24バールの圧力から膨張装置56の下流での約10.5バールの圧力へ変化させる。
【0113】
図2に示されるように、冷却管18は第2配管16と第1配管12の第2部分30の間に延びる。冷却管18は第2部分30で第1配管12に直接接続される。冷却ユニット24の下流の冷却管18を流れる気体状態の第1流体4は、第1熱交換要素40と第2圧縮要素14bの間にある位置で第1配管12の第2部分30を流れる気体状態の第1流体4と混合される。
【0114】
膨張要素86は、この場合、冷却管18を流れる第1流体4の圧力を第1配管12の第2部分30を流れる気体状態の第1流体4の圧力とほぼ同じ圧力へ下げるよう構成される。例えば、冷却ユニット24の下流の冷却管18を流れる第1流体4の圧力は約3バールであり、膨張要素86が冷却管18を流れる第1流体4の圧力を膨張要素86の上流での約24バールの圧力から膨張要素86の下流での約3バールの圧力へ変化させる。
【0115】
これより、本発明の第3実施形態について、特に
図3を参照して説明する。第3実施形態を第1実施形態および第2実施形態と差別化する要素について以下で説明する。同一の要素についてはそれらの実施形態の詳細な説明を参照すること。
【0116】
図3に示されるように、管理システム1は第1パイプ92および第2パイプ94を含み、それぞれが独立して第2配管16と第1配管12の間に延びる。
【0117】
第1パイプ92は、一方では第2配管16に接続され、他方では第2熱交換要素42と第3圧縮要素14cの間で第1配管12の第3部分32に接続される。第1パイプ92を流れる第1流体4は、第2熱交換要素42と第3圧縮要素14cの間にある位置で第1配管12の第3部分32を流れる第1流体4と混合することに留意されたい。
【0118】
管理システム1は第2配管16および第1パイプ92に取り付けられた第1冷却装置96を含み、第1冷却装置96は、第1熱交換器98と第1熱交換器98の上流の第1パイプ92上に配置される第1膨張装置100とを含む。第1熱交換器98は、第1パイプ92を流れる第1流体4と第2配管16を流れる第1流体4の間で熱エネルギーの交換を行うよう構成される。この目的に向けて、第1熱交換器98は、第2配管16を構成する第1導管102と、第1パイプ92を構成する第2導管104とを含む。第2配管16を流れる第1流体4は第1導管102を通って第1熱交換器98を通過し、第1パイプ92を流れる第1流体4は第2導管104を通って第1熱交換器98を通過することに留意されたい。
【0119】
さらに、第1パイプ92と第2配管16の第1交差部521は、相分離装置44と第1冷却装置96の間に配置されることに留意されたい。したがって、第1交差部521を流れる第1流体4は、第1冷却装置96まで第2配管16を流れ続ける、および/または第1配管12まで第1パイプ92を流れ続けることができる。
【0120】
第1膨張装置100は、この場合、第1パイプ92を流れる液体状態の第1流体4の圧力を第1配管12の第3部分32を流れる気体状態の第1流体4の圧力とほぼ同じ圧力へ下げるよう構成される。例えば、第1冷却装置96の下流を流れる第1流体4の圧力は約10.5バールであり、第1膨張装置100が第1パイプ92を流れる第1流体4の圧力を第1膨張装置100の上流での約24バールの圧力から第1膨張装置100の下流での約10.5バールの圧力へ変化させる。
【0121】
第2配管16を流れる第1流体4と第1パイプ92を流れる第1流体4の間の熱交換は、具体的には第1熱交換器98において、より詳細には第1導管102および第2導管104において行われる。第1導管102を流れる第1流体4は、第2導管104を流れる膨張した第1流体4へ熱エネルギーを渡す。換言すれば、第2導管104を流れる第1流体4は第1導管102を流れる第1流体4を冷却し、第1導管102を流れる第1流体4の温度は低下する一方、第2導管104を流れる第1流体4の温度は上昇する。第2導管104を流れる第1流体4の温度の上昇により、前記第1流体4は二相状態から気体状態へ移行する。
【0122】
図3に示されるように、第2パイプ94は、一方では第2配管16に接続され、他方では第1熱交換要素40と第2圧縮要素14bの間で第1配管12の第2部分30に接続される。第2パイプ94を流れる第1流体4は、第1熱交換要素40と第2圧縮要素14bの間にある位置で第1配管12の第2部分30を流れる第1流体4と混合することに留意されたい。
【0123】
さらに、第2パイプ94は第1冷却装置96の下流の第2配管16に接続される。第2パイプ94と第2配管16の第2交差部522は、第1冷却装置96と相分離装置62の間に配置されることに留意されたい。第2パイプ94を流れる第1流体4は、第1冷却装置96により冷却されて第2配管16を流れる第1流体4に由来する。
【0124】
管理システム1は第2配管16および第2パイプ94に取り付けられた第2冷却装置106を含み、第2冷却装置106は第2熱交換器108と、第2熱交換器108の上流の第2パイプ94上に配置される第2膨張装置110とを含む。第2熱交換器108は、第2パイプ94を流れる第1流体4と第1冷却装置96の下流の第2配管16を流れる第1流体4の間で熱エネルギーの交換を行うよう構成される。この目的に向けて、第2熱交換器108は、第2配管16を構成する第1導管112と、第2パイプ94を構成する第2導管114とを含む。第2配管16を流れる第1流体4は第1導管112を通って第2熱交換器108を通過し、第2パイプ94を流れる第1流体4は第2導管114を通って第2熱交換器108を通過することに留意されたい。
【0125】
第2膨張装置110は、この場合、第2パイプ94を流れる液体状態の第1流体4の圧力を第1配管12の第2部分30を流れる気体状態の第1流体4の圧力とほぼ同じ圧力へ下げるよう構成される。例えば、第2冷却装置106の下流を流れる第1流体4の圧力は約3バールであり、第2膨張装置110が第2パイプ94を流れる第1流体4の圧力を第2膨張装置110の上流での約24バールの圧力から第2膨張装置110の下流での約3バールの圧力へ変化させる。
【0126】
第2パイプ94を流れる第1流体4の約24バールの圧力から約3バールの圧力への膨張により、第2導管114を流れる第1流体4の温度が低下する。第2膨張装置110と第2導管114の間を流れる第1流体4は二相状態であり、第1流体4は第2導管114を通過する際に蒸発する。
【0127】
第2配管16を流れる第1流体4と第2パイプ94を流れる第1流体4の間の熱交換は、具体的には第2熱交換器108において、より詳細には第1導管112および第2導管114において行われる。第1導管112を流れる第1流体4は、第2導管114を流れる膨張した第1流体4へ熱エネルギーを渡す。換言すれば、第2導管114を流れる第1流体4は第1導管112を流れる第1流体4を冷却し、第1導管112を流れる第1流体4の温度は低下する一方、第2導管114を流れる第1流体4の温度は上昇する。第2導管114を流れる第1流体4の温度の上昇により、前記第1流体4は二相状態から気体状態へ移行する。
【0128】
本発明によれば、冷却管18と第2配管16の分岐116は、第1冷却装置96と第2冷却装置106の間に配置される。第1冷却装置96の下流の第2配管16を流れる第1流体4は、冷却管18を通って冷却ユニット24へ、もしくは第2パイプ94を通って第1配管12へ、または第2配管16を通って第1タンク2まで流れることができることに留意されたい。有利には、冷却管18と第2配管16の分岐116は、第2配管16と第2パイプ94の第2交差部522と第1冷却装置96との間に取り付けられる。
【0129】
この構成では、冷却管18は第2配管16と第2パイプ94の間に延びて、冷却管18は第2冷却装置106の下流の第2パイプ94に接続される。ここで、冷却ユニット24の下流の冷却管18を流れる気体状態の第1流体4は、第1配管12の第2部分30を流れる気体状態の第1流体4に取り込まれる前に、第2冷却装置106の下流の第2パイプ94を流れる気体状態の第1流体4と混合することに留意されたい。
【0130】
したがって、上記のことから、第1流体4の一部は管理システム1により再循環されて、この第1流体4の一部は、主に第1流体4、および/または第2流体8を冷却するのを助けることになる。
【0131】
図4に示される本発明の第4実施形態によれば、冷却管18と第2配管16の分岐116は、第2冷却装置106と相分離装置62の間に取り付けられる。ここで、第2冷却装置106の下流を流れる液体状態の第1流体4は、第2配管16を通って相分離装置62へ、または冷却管18を通って冷却ユニット24へ流れることに留意されたい。
【0132】
したがって、上記のことから、この構成により、第1流体4が第1実施形態、第2実施形態、および第3実施形態で前述した構成と比べて低い温度で膨張要素86へ到達することが可能となる。膨張要素86を通過した後に、第1流体4は膨張させられて、いっそう温度が低下し、その結果、熱交換器84で行われる第2流体8の冷却が最適化される。換言すれば、ここで示される例では、膨張要素86と熱交換器84の間を流れる第1流体4は、第1実施形態、第2実施形態、および第3実施形態で記載された構成において流れる第1流体4と比べてずっと低い温度を有し、これにより、熱交換器84内での第2流体8の温度をより効率的に下げることが可能となる。
【0133】
図5に示される本発明の第5実施形態によれば、冷却管18と第2配管16の分岐116は相分離装置44と第1冷却装置96の間に取り付けられる。ここで、相分離装置44の下流を流れる液体状態の第1流体4は、第2配管16もしくは第1パイプ92を通って第1冷却装置96へ、または冷却管18を通って冷却ユニット24へ流れることに留意されたい。より詳細には、第2配管16と冷却管18の分岐116は、第2配管16と第1パイプ92の第1交差部521に取り付けられる。ただし、第2配管16と冷却管18の分岐116が、第2配管16と第1パイプ92の交差部521と相分離装置44との間、または第2配管16と第1パイプ92の交差部521と第1冷却装置96との間に取り付けられた管理システム1は、本発明の範囲から逸脱しないであろう。
【0134】
ただし、本発明は、本明細書で記載され示された手段および構成には限定されず、また、すべての同等の手段および構成、ならびにそのような手段の技術的に機能する任意の組み合わせにまで及ぶ。具体的には、第1流体4の圧力、温度、および/もしくは状態、ならびに/または第2流体8の圧力、温度、および/もしくは状態を変化させる要素のすべては、それらの要素が本明細書に記載される機能を提供するのであれば、本発明に不利益をもたらすことなく変更することが可能である。
【外国語明細書】