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特開2022-186667流体を再液化し消費ユニットへ供給する回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186667
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】流体を再液化し消費ユニットへ供給する回路
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/00 20060101AFI20221208BHJP
   F17C 7/04 20060101ALI20221208BHJP
   B63B 25/16 20060101ALI20221208BHJP
   B63H 21/38 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
F17C13/00 302A
F17C7/04
B63B25/16 D
B63B25/16 A
B63H21/38 C
B63B25/16 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022090716
(22)【出願日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】2105885
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】パーベル、ボリシェビキ
(72)【発明者】
【氏名】ベルナール、アウン
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB04
3E172AB05
3E172BA06
3E172BD01
3E172EA12
3E172EA22
3E172EA48
3E172HA04
3E172HA08
3E172HA14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】液化天然ガス、および/または液化石油ガスを使用、貯蔵、および/または輸送する船舶の分野に関連し、タンクの最上部における圧力が、タンクを損傷させないように制御する。
【解決手段】第1タンク(2)に収容される第1流体(4)、第2タンク(6)に収容される第2流体(8)が流れる回路(1)に関連し、回路(1)は第2タンク(6)から液体状態で取り込まれた第2流体(8)が通って流れるように意図された第2流体(8)の状態を管理するための少なくとも1つの管理配管(20)を含み、回路(1)は第1流体(4)を燃料として用いる消費装置(17)へ供給するための第2配管(16)から消費装置(17)まで延びる供給管(15)を含み、供給管(15)は液体状態の第1流体(4)が通って流れるよう構成され、供給管(15)は供給管(15)内の第1流体(4)の圧力を上昇させる少なくとも1つのポンプ要素(19)を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1タンク(2)に収容される第1流体(4)および第2タンク(6)に収容される第2流体(8)が流れることができる回路(1)であって、前記第1流体(4)は前記第2流体(8)の沸点より低い沸点を有し、前記回路(1)は前記第1タンク(2)から熱交換要素(38、40、42)まで延びる第1配管(12)を少なくとも含み、気体状態で前記第1タンク(2)から取り込まれた前記第1流体(4)は前記第1配管(12)を通って流れるように意図され、前記熱交換要素(38、40、42)は前記第1流体(4)を凝縮するよう構成され、前記回路(1)は前記熱交換要素(38、40、42)から前記第1タンク(2)まで延びる第2配管(16)を含み、液体状態および/または二相状態の前記第1流体(4)は前記第2配管(16)を通って流れるように意図され、前記回路(1)は前記第2タンク(6)から液体状態で取り込まれた前記第2流体(8)が通って流れるように意図された、前記第2流体(8)の状態を管理するための少なくとも1つの管理配管(20)を含み、前記回路(1)は少なくとも前記第1流体(4)を燃料として用いる消費装置(17)へ供給するための、前記第2配管(16)から前記消費装置(17)まで延びる供給管(15)を含み、前記供給管(15)は少なくとも液体状態の前記第1流体(4)が通って流れるよう構成され、前記供給管(15)は少なくとも前記供給管(15)内の前記第1流体(4)の圧力を上昇させる少なくとも1つのポンプ要素(19)を含むことを特徴とする、回路(1)。
【請求項2】
前記第2配管(16)から前記第1配管(12)まで延びる、前記第1流体(4)が流れるように意図された少なくとも1つの冷却管(18)を含み、前記第1配管(12)は第1圧縮要素(14、14a)と第2圧縮要素(14、14b、14c)とを少なくとも含み、前記冷却管(18)は前記第1圧縮要素(14、14a)と前記第2圧縮要素(14、14b、14c)の間で前記第1配管(12)に接続される、請求項1に記載の回路(1)。
【請求項3】
前記第2流体(8)の状態を管理するための前記管理配管(20)を流れる液体状態の前記第2流体(8)を冷却する少なくとも1つの冷却ユニット(24)を含み、前記冷却ユニット(24)により生成される冷気は、前記第2配管(16)から前記第1配管(12)まで延び前記第1流体(4)が流れるように意図された前記少なくとも1つの冷却管(18)を流れる前記第1流体(4)の蒸発により生じる、請求項1または2に記載の回路(1)。
【請求項4】
前記冷却ユニット(24)は、熱交換器(84)と膨張要素(86)を少なくとも含み、前記熱交換器(84)は前記冷却管(18)を流れる前記第1流体(4)と前記管理配管(20)を流れる前記第2流体(8)の間で熱エネルギーを交換する、請求項3に記載の回路(1)。
【請求項5】
前記熱交換器(84)は、前記冷却管(18)を構成する第1通路(88)と、前記管理配管(20)を構成する第2通路(90)とを少なくとも含み、前記膨張要素(86)は前記第1通路(88)と前記第2配管(16)の間に配置される、請求項4に記載の回路(1)。
【請求項6】
前記第2配管(16)から前記第1配管(12)まで延びて前記第1流体(4)が通って流れる少なくとも1つのパイプ(48)を含み、前記回路(1)は前記第2配管(16)を流れる前記第1流体(4)を冷却する少なくとも1つの冷却装置(50)を含み、前記冷却装置(50)により生成される冷気は前記パイプ(48)を流れる前記第1流体(4)の蒸発により生じる、請求項1~5のいずれか一項に記載の回路(1)。
【請求項7】
前記供給管(15)は、前記熱交換要素(38、40、42)と前記冷却装置(50)の間の前記第2配管(16)上に配置される分流点(21)で前記第2配管(16)に接続される、請求項6に記載の回路(1)。
【請求項8】
前記供給管(15)は、分離要素(44)と前記冷却装置(50)の間の前記第2配管(16)上に配置される前記分流点(21)で前記第2配管(16)に接続される、請求項7に記載の回路(1)。
【請求項9】
前記第2配管(16)上に配置される、前記第1流体(4)用の少なくとも1つの前記相分離要素(44)を含み、前記第1流体(4)は前記相分離要素(44)から前記第2配管を通って前記第1タンク(2)へ流れ、前記回路(1)は、前記分離要素(44)から前記第2配管(16)まで延びるガス管(46)を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の回路(1)。
【請求項10】
前記供給管(15)は前記冷却管(18)から前記消費装置(17)まで延び、前記供給管(15)と前記冷却管(18)との間の分岐点(29)は、前記冷却装置(50)と前記冷却ユニット(24)の間に配置される、請求項6に従属する請求項3~5のいずれか一項に記載の回路(1)。
【請求項11】
前記供給管(15)は前記冷却管(18)から前記消費装置(17)まで延び、前記供給管(15)と前記冷却管(18)との間の前記分岐点(29)は、前記冷却ユニット(24)の前記膨張要素(86)と前記冷却装置(50)の間に配置される、請求項4に従属する請求項10に記載の回路(1)。
【請求項12】
前記供給管(15)を流れる前記第1流体(4)の流量を制御するための制御弁(27)を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の回路(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化天然ガス、および/または液化石油ガスを使用、貯蔵、および/または輸送する船舶の分野に関連し、より詳細には、そのような船舶で輸送される液化天然ガス、および/または液化石油ガスの状態を管理するためのシステムの分野に属する。
【背景技術】
【0002】
そのような船舶は、慣例的に液体状態の天然ガス、および/または液体状態の石油ガスを収容するタンクを含む。そのような船舶は、例えば、液状の天然ガスを貯蔵するための第1タンクと、液状の石油ガスを貯蔵するための第2タンクを含むことがある。一方で、そのような船舶は、第1タンクに収容される第1石油ガスと、第2タンクに収容される第2石油ガスを輸送することがあり、第1石油ガスは例えばその組成が第2石油ガスとは異なる。つまり、そのような船舶は、液化天然ガスまたは液化石油ガスでありうる第1流体と、第1流体とは異なり、かつ液化天然ガスまたは液化石油ガスでありうる第2流体を輸送することがある。
【0003】
天然ガスは、例えば大気圧で-160℃より下の温度では液体である。こうしたタンクは決して完全には熱的に絶縁されておらず、これは、天然ガスの少なくとも一部はタンク内で蒸発することを意味する。それゆえ、こうしたタンクは液状の天然ガスとガス状の天然ガスの両方を収容しており、ガス状の天然ガスは「BOG」または「ボイルオフガス」とも呼ばれて、タンクの最上部に蓄積する。このタンクの最上部における圧力は、タンクを損傷させないように制御する必要がある。
【0004】
石油ガスは、大気圧ではその組成に応じて概して0℃~50℃の沸点を有する。また、石油ガスは、タンクに貯蔵された場合に少なくとも部分的に蒸発する傾向があり、蒸発した石油ガスにより生じたタンクの最上部における圧力も、タンクを損傷させないように制御されなければならない。
【0005】
一般的に、そのような船舶は、このような流体のそれぞれがタンクの最上部で蒸発するのを制限するために、第1流体および第2流体の状態を管理するための複数のシステムを備える。それゆえこうした管理システムは、一方では第1流体を液化するよう構成され、他方では第1流体の液化とは関係なしに第2流体を液化するよう構成される。さらに、複数の流体のどちらか一方を管理するためのシステムは概して、蒸発した第1流体および/または第2流体を圧縮する圧縮要素を含み、これらの圧縮要素により前記流体の圧力を上昇させることができる。その結果、この種類の管理システムは概してかなりの大きさであり、船舶上で、または波止場周辺のいずれでもかなりの空間を占める。また、それらの管理システムは、複数の流体のどちらか一方を燃料として用いる消費装置への供給には適していない。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、第1流体および/または第2流体を燃料として用いる消費装置へ第1流体および/または第2流体を供給しながら、管理システムが占める体積を少なくするため、および、これら2つの流体の状態を管理するために、これらの圧縮要素が占める空間を減らすことを目標としている。より詳細には、本発明は蒸発した第1流体の状態を管理するためのシステムを提案し、このシステムにより液体状態の第2流体を冷却することも可能となり、これにより蒸発する第2流体の量を減少させながら、液体状態の第1流体の一部を燃料として消費装置へ送ることも可能となる。
【0007】
本発明は、主に第1タンクに収容される第1流体、および第2タンクに収容される第2流体が流れることができる回路に関連し、第1流体は第2流体の沸点より低い沸点を有し、回路は第1タンクから熱交換要素まで延びる第1配管を少なくとも含み、気体状態で第1タンクから取り込まれた第1流体は第1配管を通って流れるように意図され、熱交換要素は第1流体を凝縮するよう構成され、回路は熱交換要素から第1タンクまで延びる第2配管を含み、液体状態および/または二相状態の第1流体は第2配管を通って流れるように意図され、回路は第2タンクから液体状態で取り込まれた第2流体が通って流れるように意図された、第2流体の状態を管理するための少なくとも1つの管理配管を含み、回路は少なくとも第1流体を燃料として用いる消費装置へ供給するための、第2配管から消費装置まで延びる供給管を含むことを含み、供給管は少なくとも液体状態の第1流体が通って流れるよう構成され、供給管は少なくとも供給管内の第1流体の圧力を上昇させる少なくとも1つのポンプ要素を含むことを特徴とする。
【0008】
回路は、一方で第1タンクに収容される第1流体および第2タンクに収容される第2流体の、少なくとも圧力および温度、より一般的には状態を制御し、他方では、消費ユニットに少なくとも第1流体を燃料として供給するということに留意されたい。消費ユニットは、例えば、本発明に係る回路ならびに第1タンクおよび第2タンクが設置される船舶に搭載される、推進エンジンまたは補助エンジンとすることができる。
【0009】
ポンプ要素は、具体的には、液体状態で供給管を消費ユニットへ流れる、少なくとも第1流体の圧力を上昇させることを可能とする。本発明は、第1流体が第1配管を通過する際の第1流体の圧力が高いという事実を利用し、この高い圧力は、一方では第1流体を液化して第1タンク内の圧力、またそれに応じて第2タンク内の圧力を管理するのに用いられ、他方では消費装置へ供給するのに用いられる。したがって、消費装置へ供給するのに必要な圧力は、第1配管内で広がっている圧力とポンプ要素により供給される圧力の組み合わせである。この巧妙な組み合わせにより、あまり複雑ではなく、より安価で、より信頼性の高いポンプ要素を用いることが可能となる。
【0010】
さらに、第1流体を燃料として用いることには、第1タンクに収容される第1流体の熱管理に必要なエネルギーの消費を削減する利点がある。この削減は、消費装置へ供給するそのような配管を含まない回路と比べて、最大で30%のエネルギーの節約を意味しうる。
【0011】
第1流体および第2流体は、例えば、タンクに液体状態で貯蔵された石油ガスであり、第1流体は、例えば92%のプロパンと8%のブタンから成る大気圧で-47℃の沸点を有する混合物であり、つまり、第1流体はその温度が大気圧で-47℃より低い場合には液状であり、第2流体は例えば約100%のブタンから成り、大気圧で0℃の沸点を有する、つまり、第2流体はその温度が大気圧で0℃より低い場合には液状である。
【0012】
本発明の別の実施形態によれば、第1流体は例えば大部分がメタンなどの天然ガスであり、大気圧で約-160℃の沸点を有する。
【0013】
本発明の別の実施形態によれば、第1流体は例えば100%のエタンから成り、-89℃の蒸発温度を有し、第2流体は92%のプロパンと8%のブタンの混合物を含む液化石油ガスから成り、-47℃の蒸発温度を有する。
【0014】
本発明の別の実施形態によれば、第1流体は例えば100%のエタンから成り、-89℃の蒸発温度を有し、第2流体は-33℃の蒸発温度を有する100%のアンモニアから成る。
【0015】
本発明の別の実施形態によれば、第1流体は例えば100%のプロパンから成り、-42℃の蒸発温度を有し、第2流体は-33℃の蒸発温度を有する100%のアンモニアから成る。
【0016】
上記の温度は大気圧で測定される。
【0017】
さらに、「供給管は少なくとも液体状態の第1流体が通って流れるよう構成される」というのは、本発明の第1実施形態において、供給管には第1流体だけが流れるということを意味する、あるいは、本発明の第2実施形態において、供給管には第1流体および少なくとも1つの別の流体、例えば第2流体が流れるということを意味する。
【0018】
本発明の別の任意選択の特徴によれば、回路は、第2配管から第1配管まで延びて第1流体が流れるように意図された少なくとも1つの冷却管を含み、第1配管は第1圧縮要素と第2圧縮要素とを少なくとも含み、冷却管は第1圧縮要素と第2圧縮要素の間で第1配管に接続される。
【0019】
本発明の別の任意選択の特徴によれば、回路は、第2流体の状態を管理するための管理配管を流れる液体状態の第2流体を冷却する少なくとも1つの冷却ユニットを含み、冷却ユニットにより生成される冷気は、第2配管から第1配管まで延びて第1流体が流れるように意図された少なくとも1つの冷却管を流れる第1流体の蒸発(ボイルオフ)により生じる。
【0020】
管理配管を流れる第2流体は冷却ユニットにより冷却され、冷却ユニットの下流の管理配管を流れる第2流体の温度は冷却ユニットの下流の冷却管を流れる第1流体の温度よりも低い。これには、第2タンクに収容される第2流体の温度を下げる効果があり、その結果、第2タンク内に存在する第2流体の蒸発が制限される。
【0021】
管理配管を流れる第2流体の温度を下げるために用いられる冷気は、冷却管を流れる第1流体の一部の蒸発によりもたらされる。より詳細には、この第1流体の一部は膨張させられる、つまり、この第1流体の一部の圧力は下げられて、その結果、第1流体と第2流体の間の熱交換によって第2流体の温度が下げられる。
【0022】
本発明の別の任意選択の特徴によれば、冷却ユニットは、熱交換器と膨張要素を少なくとも含み、熱交換器は冷却管を流れる第1流体と管理配管を流れる第2流体の間で熱エネルギーを交換する。
【0023】
より詳細には、冷却管を流れる第1流体は、熱交換器内を流れる前に膨張要素により膨張させられる。管理配管を流れる第2流体は、熱交換器を通過する際に、冷却管を流れてやはり熱交換器を通過する膨張した第1流体へ熱エネルギーを渡す。したがって、管理配管を流れる第2流体は、冷却ユニットの下流で、冷却管を流れる第1流体の温度に近い温度まで冷却される。
【0024】
換言すれば、冷却管を流れて熱交換器を通過する第1流体は、管理配管を流れる第2流体から熱エネルギーを獲得することにより、熱交換器内で温められて蒸発する。そして、温められ蒸発した第1流体は、第1配管に取り付けられた複数の圧縮要素のうちの一つにより吸入される。
【0025】
さらに、管理配管を流れる第2流体の温度が低下するのは熱交換器の内部であり、具体的には管理配管を流れる第2流体から冷却管を流れる第1流体への熱エネルギーの伝送により、冷却管を流れる第1流体の温度に近づく。管理配管を流れる第2流体の温度は、熱交換器内で行われる熱エネルギーの交換の間に低下することに留意されたい。
【0026】
本発明の別の任意選択の特徴によれば、熱交換器は、冷却管を構成する第1通路と、管理配管を構成する第2通路とを少なくとも含み、膨張要素が第1通路と第2配管の間に配置される。
【0027】
この構成では、冷却管を流れる第1流体は、第1流体が熱交換器の第1通路を流れる前に膨張要素により膨張させられることに留意されたい
【0028】
本発明の別の任意選択の特徴によれば、回路は、第2配管から第1配管まで延びて第1流体が通って流れる少なくとも1つのパイプを含み、回路は、第2配管を流れる第1流体を冷却する少なくとも1つの冷却装置を含み、冷却装置により生成される冷気はパイプを流れる第1流体の蒸発により生じる。
【0029】
第2配管を流れる第1流体は冷却装置により冷却され、冷却装置の下流の第2配管を流れる第1流体の温度は冷却装置の下流のパイプを流れる第1流体の温度よりも低い。
【0030】
第2配管を流れる第1流体の温度を下げるために用いられる冷気は、パイプを流れる第1流体の一部の蒸発によりもたらされる。より詳細には、この第1流体の一部は膨張させられる、つまり、この第1流体の一部の圧力は下げられて、その結果、この第1流体により第2配管を流れる第1流体の温度が下げられる。
【0031】
本発明の別の任意選択の特徴によれば、供給管は、熱交換要素と冷却装置の間の第2配管上に配置される分流点で第2配管に接続される。つまり、第2配管と供給管の間の分流点は、冷却装置の上流、かつ熱交換要素の下流に配置される。
【0032】
本発明の別の任意選択の特徴によれば、回路は、第2配管上に配置される第1流体用の少なくとも1つの相分離要素を含み、第1流体はこの相分離要素から第2配管を通って第1タンクまで流れ、回路は、この相分離要素から第2配管まで延びるガス管を含む。分流点は、相分離要素の下流の第2配管の一部に配置されることに留意されたい。
【0033】
本発明の別の任意選択の特徴によれば、供給管は、相分離要素と冷却装置の間の第2配管上に配置される分流点で第2配管に接続される。したがって、供給管を通って流れる第1流体は、相分離要素において液体状態の第1流体が蓄積することで生じることになる。
【0034】
本発明の別の任意選択の特徴によれば、供給管は冷却管から消費装置まで延び、供給管と冷却管の分岐点は、冷却装置と冷却ユニットの間に配置される。第1流体は、供給管を流れる前に冷却装置により冷却されることに留意されたい。
【0035】
本発明の別の任意選択の特徴によれば、供給管は冷却管から消費装置まで延び、供給管と冷却管の分岐点は、冷却ユニットの膨張要素と冷却装置の間に配置される。
【0036】
本発明の別の任意選択の特徴によれば、回路は、供給管を流れる第1流体の流量を制御するための制御弁を含む。つまり、制御弁はポンプ要素の上流の供給管に取り付けられる。
【0037】
本発明の別の任意選択の特徴によれば、回路は、管理配管と供給管の間に延びる搬送管を含む。したがって、搬送管は管理配管を供給管に流体連結させることになる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本発明の更なる特徴、詳細、および利点は、一方では以下の説明を読むことで、他方では添付の図面を参照しながら非限定的な実例として提供されるいくつかの実施形態を読むことでより明確となるであろう。図面において、
【0039】
図1】第1実施形態に係る回路を模式的に表す。
図2】第2実施形態に係る回路を模式的に表す。
図3】第3実施形態に係る回路を模式的に表す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の特徴、変形、および異なる実施形態は、矛盾する、または相互排他的でない限り、様々な組み合わせで互いに関連しうる。具体的には、記載された他の特徴とは別に、以下に記載される複数の特徴から選択した一つのみを含む本発明の変形を、この選択された特徴が技術的利点を提供する、および/または本発明を先行技術と差別化するのに充分であれば、想定することもできる。
【0041】
さらに、以下で説明において用いられる「上流」、および「下流」という用語は、第1流体および第2流体が流れることができる回路における第1流体、および/または第2流体の循環の方向を指す。
【0042】
図1は、少なくとも第1流体4および第2流体8を含む回路1と、第1流体4を収容する第1タンク2と、第2流体8を収容する第2タンク6を示す。第1タンク2、第2タンク6、および/または回路1は、例えば第1流体4および第2流体8を輸送する船舶に設置することができる。
【0043】
第1流体4は第2流体8の沸点より低い沸点を有し、これら2つの温度は同じ圧力で測定される。第1流体4は例えばメタンなどの天然ガスで約-160℃の沸点を有する、つまり、第1流体4は大気圧で-160℃より下の温度である場合には液状である。第2流体8は、例えばプロパン、ブタン、またはプロパンとブタンの混合物などの石油ガスであり、大気圧で0℃~-51℃の沸点を有する。ただし、第1流体4は、第1流体4が第2流体8の沸点より低い沸点を有する限りはプロパン、ブタン、またはプロパンとブタンの混合物などの石油ガスとすることもできる。
【0044】
本明細書で示される例によれば、第1流体4および第2流体8は石油ガスであり、第1流体4は例えば約92%のプロパンと約8%のブタンから成り、大気圧で-47℃の沸点を有する混合物であり、第2流体8は例えば約100%のブタンから成り、大気圧で0℃の沸点を有する。
【0045】
本発明の第1の代替例によれば、第1流体4はエタンであって-89℃の沸点を有し、第2流体8はプロパンとブタンの混合物を含む液化石油ガスであって-47℃の沸点を有する。
【0046】
本発明の第2の代替例によれば、第1流体4はエタンであって-89℃の蒸発温度を有し、第2流体8はアンモニアであって-33℃の沸点を有する。
【0047】
本発明の第3の代替例によれば、第1流体4はプロパンであって-42℃の沸点を有し、第2流体8はアンモニアであって-33℃の沸点を有する。
【0048】
第1タンク2および第2タンク6は、第1流体4および第2流体8を、大気圧でのそれぞれの沸点より下の温度で液状で貯蔵するよう設計されている。この目的に向けて、タンク2および6はそれぞれ、少なくとも、これら流体のどちらか一方と接触する封止膜と、封止膜を取り囲んでこれら流体のどちらか一方をその沸点より下の温度に保つのを助ける断熱バリアから構成される。
【0049】
有利には、タンク2、6のそれぞれは、これら流体のどちらか一方と接触する一次封止膜と一次封止膜を取り囲む一次断熱バリアとから構成されている一次層と、一次層を取り囲み、一次断熱バリアと接触する二次封止膜と二次封止膜を取り囲む二次断熱バリアとから構成されている二次層を有する。
【0050】
第1流体4は、大気圧下では主に液状で第1タンク2に貯蔵される。ただし、第1流体4の一部は蒸発して第1タンク2の最上部10において覆いを形成し、したがって、最上部10において第1流体4はガス状で存在する。
【0051】
同様に、第2流体8は大気圧下では主に液状で第2タンク6に貯蔵される。ただし、第2流体8の一部は蒸発して第2タンク6の最上部11において覆いを形成し、したがって、最上部11において第2流体8はガス状で存在する。
【0052】
回路1は、第1タンク2の最上部10に存在するガス状の第1流体4の少なくとも一部を再液化するよう構成され、かつ、第1流体4を燃料として用いる消費装置に第1流体4を供給するよう構成される。この目的に向けて、回路1は、第1流体4が第1タンク2から複数の圧縮要素14へ流れる際に通る第1配管12と、第1流体4が液体状態、および/または二相状態でその中を第1配管12から第1タンク2へ流れる、第1配管12から第1タンク2まで延びる第2配管16とを少なくとも含む。さらに、回路1は、第1流体4が第2配管16から第1配管12へ流れる際に通る、第2配管16から第1配管12まで延びる冷却管18を含む。
【0053】
本発明によれば、回路1は、第1流体を燃料として用いる消費装置17へ供給するための供給管15を含み、この供給管15は第2配管16から消費装置17まで延び、液体状態の第1流体4がこの供給管15を通って流れ、供給管15は、供給管15内の第1流体4の圧力を上昇させる少なくとも1つのポンプ要素19を含む。第2配管16を流れる第1流体4の一部は、消費装置17用の燃料として使用するために、供給管15を通って流れるように意図されていることに留意されたい。さらに、供給管を通って流れる第1流体4は液体状態であり、ポンプ要素19は消費装置17まで供給管15を流れる第1流体4の圧力を上昇させる。
【0054】
供給管15のより詳細な説明がさらに後で、より詳細には第1配管12、第2配管16、冷却ユニット24、冷却管18、および管理配管20の後で提供される。
【0055】
さらに、回路1は第2流体の状態を管理するための少なくとも1つの管理配管20をさらに含み、この管理配管20を通って、第2流体8の少なくとも一部は第2タンク6から第2タンク6の第2流体8用の液体排出口22へ流れる。具体的には、液体排出口22は、具体的には第2タンク6の最上部11に存在する第2流体8を冷却するために、冷却された第2流体8を第2タンク6に噴霧することを可能とする。第2タンク6の最上部11に存在する第2流体8の温度を下げることで、第2タンク6の前記最上部11に存在する蒸発した第2流体8により加えられる圧力を下げることができる。本明細書で図1に示される実施形態によれば、液体排出口22は、第2タンク6の最上部11に噴霧された第2流体8の分配を促進するスプレー棒の形を取っている。
【0056】
管理システム1は管理配管20を流れる液体状態の第2流体8を冷却する冷却ユニット24を含み、冷却ユニット24により生成される冷気は、冷却管18を流れる第1流体4の蒸発の結果である。ここで、第1流体4が冷却管18および冷却ユニット24を通って流れて管理配管20を流れる第2流体8を冷却する場合、第1流体4は充分に低い温度であることに留意されたい。この場合、第2流体8は熱エネルギーを第1流体4へ渡す。
【0057】
回路1の第2配管16、冷却ユニット24、冷却管18、管理配管20、および供給管15のより詳細な説明が、特に図1を参照する以下の第1配管12の説明の後に提供される。
【0058】
第1配管12は第1タンク2の内部から延びて、より詳細には、第1タンク2の最上部10にある、気相の第1流体4が存在する第1タンク2の最上部10へ開口するガス注入口26を含む。したがって、第1タンク2の最上部10に存在する気体状態の第1流体4は、第1配管12のガス注入口26と直接接触し、その結果、気体状態の第1流体4を複数の圧縮要素14により吸入することができる。
【0059】
気体状態の第1流体4は、複数の圧縮要素14により生じた吸引の影響下で第1タンク2の最上部10から第1配管12を通って複数の圧縮要素14へと移動する。より詳細には、複数の圧縮要素14は、気体状態の第1流体4が消費装置へ送られる前に気体状態の第1流体4の圧力を上昇させるよう構成される。
【0060】
図1に示されるように、複数の圧縮要素14は第1圧縮要素14a、第2圧縮要素14b、および第3圧縮要素14cを含み、第1配管12上に、前記第1配管内での第1流体4の循環の方向にこの順番で配置されている。複数の圧縮要素14は、ガス注入口26と第1圧縮要素14aの間に延びる第1配管12の第1部分28と、第1圧縮要素14aと第2圧縮要素14bの間に延びる第1配管12の第2部分30と、第2圧縮要素14bと第3圧縮要素14cの間に延びる第1配管12の第3部分32と、第3圧縮要素14cと第2配管16の間に延びる第1配管12の第4部分34を規定するのに役立つ。
【0061】
気体状態の第1流体4の圧力は、複数の圧縮要素14を通って第1配管12を流れるにつれて上昇し、第1流体4は第1部分28では大気圧であり、第4部分34では約24バールの圧力に達する。
【0062】
図1に示されるように、冷却液循環システム36は、循環システム36を流れる冷却液と第1配管12を流れる気体状態の第1流体4の間の熱交換のために少なくとも1つの熱交換要素38を含む。この熱交換要素38は第1配管12を第2配管16から分離する。より詳細には、熱交換要素38は第1配管12の第4部分34の下流に配置される。
【0063】
熱交換要素38は、冷却液と第1流体4の間で熱エネルギーを交換する。冷却液は熱伝導流体、および/または水とすることができて、循環システム36は、例えば船舶に設置することができて、船舶が航行している水域に直接接続される。
【0064】
有利には、循環システム36は、第1配管12の第2部分30に取り付けられる第1熱交換要素40と、第1配管12の第3部分32に取り付けられる第2熱交換要素42と、第1配管12の第4部分34に取り付けられる第3熱交換要素38とを含み、熱交換要素38、40、42のそれぞれは、第1配管12を流れる気体状態の第1流体4と冷却液の間で熱エネルギーを交換する。第1配管12に沿って配置される圧縮要素14と熱交換要素38、40、42を交互にすることで、圧縮要素により行われる圧縮の各段階の後に第1流体4の温度を下げることができることに留意されたい。
【0065】
本明細書で図1で示される例では、第1流体4が複数の圧縮要素14を通過する場合、流体の圧力および温度は上昇する。この温度が高くなり過ぎるのを防ぐため、第1流体4は、第1、第2、および第3の熱交換要素40、42、38を用いて冷却液と熱エネルギーを交換する。例えば、第1熱交換要素40の下流の第2部分30を流れる第1流体4の温度は約7℃であり、第2熱交換要素42の下流の第3部分32を流れる第1流体4の温度は約40℃であり、第3熱交換要素38の下流の第4部分34を流れる第1流体4の温度は43℃より上である。
【0066】
さらに、流体の沸点も流体が受ける圧力に応じて変化する。例えば約92%のプロパンと約8%のブタンから成る混合物とすることができる第1流体4は、約24バールの圧力を受けた場合に約43℃の沸点を有する。したがって、第1流体4は第3熱交換要素38の上流の第4部分34では気体状態であり、冷却液と熱エネルギーを交換することで第3熱交換要素38を通過しながら液相状態または二相状態へ移行し、液体状態または二相状態で第3熱交換要素38の下流の第2配管16を流れることになる。したがって、第1流体4は、第2配管16において第3熱交換要素38の下流を液体状態または二相状態で流れる。
【0067】
さらに、「二相状態」は、第1流体4の一部が液体状態であり、第1流体4の別の部分が気体状態である状態を意味する。
【0068】
冷却ユニット24、冷却管18、管理配管20、および供給管15についてより詳細に説明する前に、これより、回路1の第2配管16について、特に図1を参照してより詳細に説明する。
【0069】
第1流体4は、第1配管12から第2配管16を、より詳細には第3熱交換要素38から、第1タンク2へと流れる。
【0070】
図1に示されるように、管理システム1は、第2配管16上に配置される第1流体4用の相分離装置44を含む。相分離装置44は、第2配管16を流れる第1流体4に存在する複数の相を分離するよう構成される。つまり、相分離装置44は、液体状態の第1流体4が気体状態の第1流体4から分離されるように構成される。そして、相分離装置44内で分離された液体状態の第1流体4は第2配管16へ流れる。
【0071】
回路1は、第1流体4が相分離装置44から第2配管16へ流れる際に通るガス管46を含む。
【0072】
図1に示されるように、管理システム1は第1配管12を第2配管16と接続し、第1流体4が第2配管16から第1配管12へ流れる際に通る少なくとも1つのパイプ48を含む。管理システム1は第2配管16を流れる第1流体4を冷却する少なくとも1つの冷却装置50を含み、冷却装置50により生成される冷気はパイプ48を流れる第1流体4の蒸発により生じる。
【0073】
パイプ48と第2配管16の間に交差部52が形成され、第1流体4はこの交差部において、第2配管16を通って第1タンク2、またはパイプ48を通って第1配管12のいずれかへ流れることができて、冷却装置50は、パイプ48を流れる第1流体4の蒸発によって第2配管16を流れる第1流体4の温度が低下するように構成される。
【0074】
さらに、図1に示されるように、ガス管46が第2配管16とパイプ48の交差部52の下流の第2配管16に接続される。ガス管46を流れる気体状態の第1流体4が交差部52の下流の第2配管16を流れる液体状態の第1流体4と混合するので、第1流体4は、第2配管16において交差部52と冷却装置50の間で二相状態である。
【0075】
より詳細には、冷却装置50は熱交換器54と膨張装置56を少なくとも含み、熱交換器54は第2配管16を構成する第1通路58とパイプ48を構成する第2通路60を含み、膨張装置56は第2通路60の上流のパイプ48上に配置される。熱交換器54は、第2配管16を流れる第1流体4とパイプ48を流れる第1流体4の間で熱を交換するよう構成される。
【0076】
このように構成されて、熱交換器54は第2配管16を流れる第1流体4とパイプ48を流れる第1流体4の間で熱エネルギーを交換し、第2配管16を流れる第1流体4とパイプ48を流れる第1流体4の間の熱エネルギーの交換は、具体的には熱交換器54の第1通路58および第2通路60において行われる。第2配管16を流れる第1流体4とパイプ48を流れる第1流体4の間で交換された熱エネルギーにより、第2配管16を流れる第1流体4の温度が低下し、第2配管16を流れる第1流体4はパイプ48を流れる第1流体4へ熱エネルギーを渡す。
【0077】
この熱エネルギーの移動は、パイプ48を流れる第1流体4の圧力を下げてその状態の変化を促進する膨張装置56が存在するおかげで達成される。
【0078】
第2配管16の第1通路58の上流を流れる第1流体4と第2配管16の第1通路58の下流を流れる第1流体4の間の温度の低下は、少なくとも20℃である。有利には、この温度差は25℃~35℃である。
【0079】
第2配管16を流れる第1流体4の温度の低下により、第1流体4は二相状態から液体状態へと変わる。したがって、第2配管16において熱交換器54の第1通路58の下流を流れる第1流体4は液体状態であり、例えば、約14℃の温度と約24バールの圧力を有することになる。
【0080】
図1に示されるように、冷却装置50の膨張要素56は第2通路60の上流のパイプ48に取り付けられる。換言すれば、第2通路60へ供給される液体状態の第1流体4は第2通路60に到達する前に膨張する、つまり、圧力が低下して第1流体4の状態が変化し、その結果、第2通路60内で二相状態から気体状態へ移行することに留意されたい。例えば、第1流体4は約3バールの圧力へ膨張させられて、第1流体4が膨張要素56の上流での約24バールの圧力から膨張要素56と第1配管12の間での3バールの圧力へと変化しうる。
【0081】
第2通路60を流れる気体状態の第1流体4と第1通路58を流れる液体状態または二相状態の第1流体4の間の圧力差、およびそれによる温度差により、第1通路58を流れる液体状態または二相状態の第1流体4が冷却されて、第2通路60へ入る二相状態の第1流体4が蒸発する。
【0082】
図1に示されるように、第2通路60の下流を流れる、膨張した気体状態の第1流体4は、その後第1配管12に到達する。有利には、パイプ48は第1配管12にその第2部分30で、より詳細には、第1熱交換要素40と第2圧縮要素14bの間で接続される。したがって、膨張した気体状態の第1流体4は第1熱交換要素40からの第1流体4と混合されて、この混合物は第2圧縮要素14bにより第1配管12の第3部分32へ吸入される。
【0083】
図1に示されるように、管理システム1は冷却装置50の下流の第2配管16に取り付けられた第1流体4用の相分離装置62を含み、管理システム1は相分離装置62と第1配管12の間に延びる返送管64を含み、気体状態の第1流体4がこの返送管を通って流れる。
【0084】
分離装置62は、相分離装置主部66と、相分離装置主部66の上流の第2配管16上に配置される膨張要素68とを含む。膨張要素68により、相分離装置主部66へ流れる第1流体4を第1タンク2に収容される第1流体4の圧力とほぼ同じ圧力、すなわち大気圧とすることが可能となる。
【0085】
より詳細には、第2配管16を第1タンク2まで流れる液体状態の第1流体4は、第2配管に存在する第1流体4の圧力を第1タンク2に収容される第1流体4の圧力と合わせるために第1タンク2に到達する前に膨張する、つまり、その圧力が低下することに留意されたい。膨張要素68による第1流体4の膨張によって第1流体4の状態が変化し、その結果、液体状態から、第1流体4の一部が液体状態で別の部分が気体状態である二相状態へ移行する。また、この圧力の低下により、第1流体4の温度も低下する。例えば、第1流体4はほぼ1.2バールの圧力へ膨張させられて、第1流体4が膨張要素68の上流での約24バールの圧力から膨張要素68の下流での約1.2バールの圧力へと変化することがあり、第1流体4は約-50℃の温度を有する。
【0086】
そして、第1流体4は相分離装置主部66へと流れ、第1流体4はその正確な温度に応じて液体状態、および/または二相状態となっている。相分離装置主部66は、膨張要素68から第1タンク2へと流れる第1流体4に存在する複数の相を分離するよう構成される。つまり、相分離装置主部66は、液体状態の第1流体4が気体状態の第1流体4から分離されるように構成される。そして、相分離装置主部66で分離された液体状態の第1流体4は第1タンク2へと流れ、気体状態の第1流体4は返送管64を通って第1配管12の第1部分28へ移動する。
【0087】
有利には、第2配管16は第1タンク2内、具体的には第1タンク2の底部にある流体排出口65へ開口し、その結果、液体状態の第1流体4は相分離装置主部66から第2配管16を通って第1タンク2の底部へと流れる。代替案によれば、第2配管16は第1タンク2の最上部10で開口し、液体状態の第1流体4は例えば第1タンク2の最上部10で噴霧されて、その結果、第1タンク2の最上部10に存在する気体状態の第1流体4を冷却する。
【0088】
本明細書で図1に示される例では、管理システム1は、返送管64上に配置されて、例えば気体状態の第1流体4を返送管64を通って流れさせて1.2バールの圧力から大気圧へ変化させるよう構成されている、第1流体4を膨張させるための膨張ブロック70を含む。
【0089】
管理システム1は、膨張ブロック70の下流の返送管64に接続され、管理システム1の外部環境へと開口する、排出管72をさらに含む。
【0090】
管理システム1は、管理システム1の外部環境へ排出される第1流体4の流量を制御するために、排出管72上に配置される、気体状態の第1流体4の流量を制御するための制御弁74を含む。
【0091】
供給管15について説明する前に、これより、冷却管18、管理配管20、および冷却ユニット24について、特に図1を参照してより詳細に説明する。
【0092】
図1に示されるように、冷却管18は、第2配管16と第1配管12の間に延びる。したがって、第1流体4は、冷却管18を通って第2配管16から第1配管12へ流れることになる。
【0093】
本発明の一つの特徴によれば、冷却管18は冷却装置50の下流の第2配管16に接続される。冷却管18を通って第2配管16から第1配管12へ流れる第1流体4は、パイプ48の少なくとも一部を通過して、冷却装置50の下流のパイプ48を流れる第1流体4と混合される。したがって、冷却管18からの第1流体4は、第1熱交換要素40と第2圧縮要素14bの間へ注入されることで、第1配管12の第2部分30を流れる第1流体4と混合されることになる。
【0094】
本発明によれば、図1に示されるように、管理システム1は第2流体8の状態、具体的にはその圧力、および/または温度を管理するための管理配管20を含み、液体状態で第2タンク6から取り込まれた第2流体8はこの管理配管20を通って流れることが意図されている。この目的に向けて、管理配管20は、例えば第2タンク6に収容される液体状態の第2流体8と接触している、第2タンク6の底部に位置する液体注入口76を含む。
【0095】
本発明の一実施形態によれば、管理システム1は、冷却ユニット24の上流の管理配管20上に配置される少なくとも1つのポンプ要素78を含む。ポンプ要素78は、液体状態の第2流体8に管理配管20を通って流れさせるよう構成される。この目的に向けて、ポンプ要素78は液体注入口76に取り付けられる。換言すれば、ポンプ要素78は、第2タンク6に収容される液体状態の第2流体8に浸漬される。ただし、ポンプ要素78は、液体状態の第2流体8を管理配管20を通して送り出している限り、管理配管20上のどこにでも取り付けることができる。
【0096】
ポンプ要素78は、管理配管20を流れる液体状態の第2流体8の圧力を上昇させる。例えば、ポンプ要素78の下流を流れる液体状態の第2流体8は約4バールの圧力を有し、この結果、ポンプ要素78は液体状態の第2流体8の圧力をポンプ要素78の上流の大気圧からポンプ要素78の下流の約4バールの圧力へ変化させる。
【0097】
図1に示されるように、管理配管20は液体排出口22を含み、液体状態の第2流体8は管理配管20を通ってこの液体排出口22へ流れる。一実施形態によれば、液体排出口22は、液体状態の第2流体8を第2タンク6の最上部11にある管理配管20から噴霧することができるスプレー要素を含みうる。
【0098】
本発明によれば、管理システム1は管理配管20を流れる第2流体8を冷却する冷却ユニット24を含み、冷却ユニット24により生成される冷気は、冷却管18を流れる第1流体4の蒸発により生じる。したがって、管理配管20は、冷却ユニット24の上流にある第1部分80と、冷却ユニット24の下流にある第2部分82とを含む。したがって、管理配管20の第2部分82を通って流れる液体状態の第2流体8は、管理配管20の第1部分80を流れる液体状態の第2流体8の温度より下の温度を有する。
【0099】
より詳細には、図1に示されるように、冷却ユニット24は、熱交換器84と、熱交換器84の上流の冷却管18に取り付けられた膨張要素86とを少なくとも含み、熱交換器84は冷却管18を流れる第1流体4と管理配管20を流れる第2流体8の間で熱を交換するよう構成される。熱交換器84は、第1流体4および第2流体8が熱交換器84を通過するように、冷却管18と管理配管20のいずれにも取り付けられることに留意されたい。
【0100】
この目的に向けて、熱交換器84は、冷却管18を構成する第1通路88と、管理配管20を構成する第2通路90とを少なくとも含み、膨張要素86が第1通路88の上流に配置される。冷却管18を流れる第1流体4は第1通路88を通って熱交換器84を通過し、管理配管20を流れる第2流体8は第2通路90を通って熱交換器84を通過する。このように構成されて、熱交換器84は冷却管18を流れる第1流体4と管理配管20を流れる第2流体8の間で熱エネルギーを交換し、冷却管18を流れる第1流体4と管理配管20を流れる第2流体8の間の熱エネルギーの交換は、具体的には熱交換器84の第1通路88および第2通路90において行われる。第1流体4と第2流体8の間で交換された熱エネルギーにより、第2流体8の温度が低下し、第2流体8は第1流体4へ熱エネルギーを渡す。
【0101】
さらに、この熱エネルギーの移動は、冷却管18を流れる第1流体4の圧力を下げてその状態の変化を促進する膨張要素86が存在するおかげで達成される。
【0102】
図1に示されるように、冷却ユニット24の膨張要素86は第1通路88の上流の冷却管18に取り付けられる。換言すれば、第1通路88へ供給される液体状態の第1流体4は第1通路88に到達する前に膨張する、つまり、圧力が低下して第1通路88で蒸発することに留意されたい。この膨張によって第1流体4の状態が変化し、第2通路90において二相状態から気体状態へ移行する。それゆえ、第1流体4は約3バールの圧力へ膨張させられて、第1流体4が膨張要素86の上流での約24バールの圧力から膨張要素86の下流での3バールの圧力へと変化しうることに留意されたい。
【0103】
膨張要素86を通る第1流体4の圧力の低下により第1流体4の状態が変化し、並行してその温度が低下する。例えば、第1流体4は膨張要素86の上流で約14℃の温度を有し、膨張要素86と熱交換器84の第1通路88の間で約-30℃の温度を有する。
【0104】
有利には、第1通路88を流れる第1流体4と第2通路90を流れる液体状態の第2流体8との間の温度差により、第2通路90を流れる液体状態の第2流体8が冷却されて、第1通路88へ入る二相状態の第1流体4が蒸発する。ここで、第2通路90を流れる第2流体8は第1通路88を流れる第1流体4へ熱エネルギーを渡し、第1流体4が第1通路88を通過する際に第1流体4の温度が上昇し、その結果、その状態が二相状態から気体状態へと変わる。
【0105】
例えば、液体状態の第2流体8の温度は管理配管20の第1部分80、すなわち熱交換器84の第2通路90の上流で約0℃であり、管理配管20の第2部分82、すなわち第2通路90の下流で約-10℃である。
【0106】
さらに、膨張要素86の上流の冷却管18を流れる第1流体4は液体状態であり、膨張要素86と熱交換器84の間の冷却管18を流れる第1流体4は二相状態であり、冷却管18を流れる第1流体4は熱交換器84内およびその下流で気体状態である。例えば、膨張要素86の上流の冷却管18を流れる第1流体4の温度は約14℃であり、膨張要素86と熱交換器84の間の冷却管18を流れる第1流体4の温度は約-30℃であり、熱交換器84の下流を流れる第1流体4の温度は約-3℃である。
【0107】
有利には、膨張要素86、膨張装置56、および第1圧縮要素14aは、第1流体4を同じ圧力とするよう構成される。したがって、第1圧縮要素14aは第1配管12を流れる第1流体4の圧力を例えば3バールの圧力へ上昇させることになる。膨張要素86および膨張装置56は、冷却管18を流れる第1流体4およびパイプ48を流れる第1流体4の圧力を第1配管12の第2部分30を流れる第1流体4の圧力と同じような圧力、すなわち、例えば3バールの圧力へ下げる。したがって、冷却装置50の下流のパイプ48を流れる気体状態の第1流体4は例えば3バールの圧力であり、熱交換器84の下流の冷却管18を流れる気体状態の第1流体4も3バールの圧力である。
【0108】
これより、供給管15について、特に図1を参照してより詳細に説明する。
【0109】
念のため注意喚起すると、供給管15は第2配管16と第1流体4を燃料として用いる消費装置17の間を延び、したがって、第1流体は供給管15を通って第2配管16から消費装置17まで流れる。供給管15に取り付けられたポンプ要素19は、例えば、第1流体4に供給管15を通って消費装置17まで流れさせるよう構成される。
【0110】
本発明によれば、図1に示されるように、供給管15は、第3熱交換要素38と冷却装置50の間の第2配管16上に配置される分流点21で第2配管16に接続される。つまり、供給管15は、第3熱交換要素38と冷却装置50の間で第2配管16に接続される。この構成では、消費装置17に向けて供給管を流れる第1流体4は液状であることに留意されたい。
【0111】
さらに、第1流体4は、第3熱交換要素38と冷却装置50の間の第2配管16を、例えば約43℃の温度で約24バールの圧力で流れる。また、供給管15を通って少なくとも分流点21とポンプ要素19の間を流れる第1流体4も、第3熱交換要素38と冷却装置50の間の第2配管16を流れる第1流体と同じような温度および圧力、すなわち、約43℃の温度と約24バールの圧力を有する。
【0112】
したがって、上記から、ポンプ要素19が供給管15の2つの部分、すなわち、ポンプ要素19の前にある前方部23とポンプ要素19の後ろにある後方部25を規定することになる。より詳細には、供給管15の前方部23は分流点21からポンプ要素19まで延び、一方で供給管15の後方部25はポンプ要素19から消費装置17まで延びる。
【0113】
本発明によれば、ポンプ要素19は、供給管15を流れる第1流体4の圧力を少なくとも5バール上昇させる。有利には、ポンプ要素19は供給管15を流れる第1流体4の圧力を、35バールを超えないように約10~20バール上昇させる。例えば、前方部23を通って流れる第1流体4の圧力は約24バールであるが、後方部25を通って流れる第1流体4の圧力は約45バールである。有利には、後方部25を通って流れる第1流体4の圧力は、約35~55バールである。したがって、この場合に消費装置17へ届けられる圧力は、1つまたは複数の圧縮要素14により生じた力とポンプ要素19により生じた力の組み合わせであり、その結果、より小さく、より安価で、より信頼性の高いポンプ要素を用いて第1流体の液化、第2流体の圧力の管理、および消費ユニットへの燃料の供給が可能となることに留意されたい。
【0114】
さらに、供給管15を通って流れる第1流体4の温度は、例えば20℃~40℃である。この温度では、具体的には、第1流体4の圧力が35~55バールの場合は、第1流体4は液状である。
【0115】
本発明の代替案によれば、ポンプ要素19は、第2配管16へ開口する相分離装置44の流体排出口に直接配置される。この構成では、ポンプ要素19は、第2配管16を通る第1流体4を第1タンク2へ直接送り、供給管15を通して消費機械17へと送る。
【0116】
さらに、回路1は、供給管15を流れる第1流体4の流量を制御するための制御弁27を含む。制御弁27が消費装置17へ流れる第1流体4の量を調整することができるように、制御弁27は第1流体4を通過させることができる。例えば、制御弁27は、第1流体4が消費ユニットの要求に適合する流量となるように、供給管15を流れる第1流体4の流量を調整する。したがって、制御弁27は、供給管15を流れる第1流体4の流量を燃料に関する消費装置17の要求に適合させる。
【0117】
有利には、制御弁27は供給管15の前方部23に取り付けられる。つまり、制御弁27は、分流点21とポンプ要素19の間の供給管15上に配置される。したがって、制御弁27がポンプ要素19の上流の供給管15を流れる第1流体4の流量を調整することになる。ただし、制御弁27がポンプ要素19と消費装置17の間、つまり供給管15の後方部25に取り付けられた回路は、本発明の範囲から逸脱しないであろう。
【0118】
図3に示される別の実施形態によれば、回路1は、管理配管20と供給管15の間に延びる搬送管31を含む。したがって、搬送管31は管理配管20を供給管15に流体連結させることになる。
【0119】
この目的に向けて、管理配管20は、搬送管31と管理配管20の交差区間33を含み、その結果、管理配管20を流れる第2流体8の少なくとも一部が交差区間33において搬送管31を通って供給管15へ流れる。交差区間33は、この場合は管理配管20の第1部分80に配置されるが、管理配管20の第2部分82に配置することが可能であり、それにより本発明の範囲から逸脱することはない。
【0120】
一方で、供給管15は搬送管31との分岐区間35を含み、その結果、搬送管31を流れる第2流体8が分岐区間35を通って供給管15を流れる。この構成では、消費装置17に第2流体8を供給することができて、消費装置17は第2流体8を燃料として用いることができる。分岐区間35は、この場合は供給管15の前方部23に配置されるが、供給管15の後方部25に配置することが可能であり、それにより本発明の範囲から逸脱することはない。
【0121】
さらに、分岐区間35において、搬送管31を通って流れる管理配管20からの第2流体8は供給管15を流れる第1流体4と混合される。分岐区間35の下流には、第1流体4と第2流体8の混合物が消費機械17まで流れることに留意されたい。
【0122】
さらに、搬送管31は、搬送管31を通って流れる第2流体8の流量を調整するための調整弁37を含む。調整弁37により、第2流体8が搬送管31を通って供給管15へ、また消費機械17へ流れることができることに留意されたい。搬送管31内の第2流体8の流量は調整弁37により制御されて、その結果、供給管15を流れる第2流体8の量は、この調整弁37により調整されることに留意されたい。
【0123】
消費機械17は第1流体4を燃料として使用できるが、第2流体8、および/または第1流体4と第2流体8の混合物も燃料として使用できることに留意されたい。
【0124】
これより、本発明の第2実施形態について、特に図2を参照して説明する。第2実施形態を第1実施形態と差別化する要素について以下で説明する。同一の要素については第1実施形態の詳細な説明を参照すること。
【0125】
図2に示されるように、回路1は第1パイプ92および第2パイプ94を含み、それぞれが独立して第2配管16と第1配管12の間に延びる。
【0126】
第1パイプ92は、一方では第2配管16に接続され、他方では第2熱交換要素42と第3圧縮要素14cの間で第1配管12の第3部分32に接続される。第1パイプ92を流れる第1流体4は、第2熱交換要素42と第3圧縮要素14cの間にある位置で第1配管12の第3部分32を流れる第1流体4と混合することに留意されたい。
【0127】
回路1は、第2配管16および第1パイプ92に取り付けられた第1冷却装置96を含み、第1冷却装置96は、第1熱交換器98と第1熱交換器98の上流の第1パイプ92上に配置される第1膨張装置100とを含む。第1熱交換器98は、第1パイプ92を流れる第1流体4と第2配管16を流れる第1流体4の間で熱エネルギーの交換を行うよう構成される。この目的に向けて、第1熱交換器98は、第2配管16を構成する第1導管102と、第1パイプ92を構成する第2導管104とを含む。第2配管16を流れる第1流体4は第1導管102を通って第1熱交換器98を通過し、第1パイプ92を流れる第1流体4は第2導管104を通って第1熱交換器98を通過することに留意されたい。
【0128】
さらに、第1パイプ92と第2配管16の第1交差部521は、相分離装置44と第1冷却装置96の間に配置されることに留意されたい。したがって、第1交差部521を流れる第1流体4は、第1冷却装置96まで第2配管16を流れ続ける、および/または第1配管12まで第1パイプ92を流れ続けることができる。
【0129】
第1膨張装置100は、この場合、第1パイプ92を流れる液体状態の第1流体4の圧力を第1配管12の第3部分32を流れる気体状態の第1流体4の圧力とほぼ同じ圧力へ下げるよう構成される。例えば、第1冷却装置96の下流を流れる第1流体4の圧力は約10.5バールであり、第1膨張装置100が第1パイプ92を流れる第1流体4の圧力を第1膨張装置100の上流での約24バールの圧力から第1膨張装置100の下流での約10.5バールの圧力へ変化させる。
【0130】
第2配管16を流れる第1流体4と第1パイプ92を流れる第1流体4の間の熱交換は、具体的には第1熱交換器98において、より詳細には第1導管102および第2導管104において行われる。第1導管102を流れる第1流体4は、第2導管104を流れる膨張した第1流体4へ熱エネルギーを渡す。換言すれば、第2導管104を流れる第1流体4は第1導管102を流れる第1流体4を冷却し、第1導管102を流れる第1流体4の温度は低下する一方、第2導管104を流れる第1流体4の温度は上昇する。第2導管104を流れる第1流体4の温度の上昇により、前記第1流体4は二相状態から気体状態へ移行する。
【0131】
図2に示されるように、第2パイプ94は、一方では第2配管16に接続され、他方では第1熱交換要素40と第2圧縮要素14bの間で第1配管12の第2部分30に接続される。第2パイプ94を流れる第1流体4は、第1熱交換要素40と第2圧縮要素14bの間にある位置で第1配管12の第2部分30を流れる第1流体4と混合することに留意されたい。
【0132】
さらに、第2パイプ94は第1冷却装置96の下流の第2配管16に接続される。第2パイプ94と第2配管16の第2交差部522は、第1冷却装置96と相分離装置62の間に配置されることに留意されたい。第2パイプ94を流れる第1流体4は、第1冷却装置96により冷却されて第2配管16を流れる第1流体4に由来する。
【0133】
回路1は第2配管16および第2パイプ94に取り付けられた第2冷却装置106を含み、第2冷却装置106は第2熱交換器108と、第2熱交換器108の上流の第2パイプ94上に配置される第2膨張装置110とを含む。第2熱交換器108は、第2パイプ94を流れる第1流体4と第1冷却装置96の下流の第2配管16を流れる第1流体4の間で熱エネルギーの交換を行うよう構成される。この目的に向けて、第2熱交換器108は、第2配管16を構成する第1導管112と、第2パイプ94を構成する第2導管114とを含む。第2配管16を流れる第1流体4は第1導管112を通って第2熱交換器108を通過し、第2パイプ94を流れる第1流体4は第2導管114を通って第2熱交換器108を通過することに留意されたい。
【0134】
第2膨張装置110は、この場合、第2パイプ94を流れる液体状態の第1流体4の圧力を第1配管12の第2部分30を流れる気体状態の第1流体4の圧力とほぼ同じ圧力へ下げるよう構成される。例えば、第2冷却装置106の下流を流れる第1流体4の圧力は約3バールであり、第2膨張装置110が第2パイプ94を流れる第1流体4の圧力を第1膨張装置100の上流での約24バールの圧力から第2膨張装置110の下流での約3バールの圧力へ変化させる。
【0135】
第2パイプ94を流れる第1流体4の約24バールの圧力から約3バールの圧力への膨張により、第2導管114を流れる第1流体4の温度が低下する。第2膨張装置110と第2導管114の間を流れる第1流体4は二相状態であり、第1流体4は第2導管114を通過する際に蒸発する。
【0136】
第2配管16を流れる第1流体4と第2パイプ94を流れる第1流体4の間の熱交換は、具体的には第2熱交換器108において、より詳細には第1導管112および第2導管114において行われる。第1導管112を流れる第1流体4は、第2導管114を流れる膨張した第1流体4へ熱エネルギーを渡す。換言すれば、第2導管114を流れる第1流体4は第1導管112を流れる第1流体4を冷却し、第1導管112を流れる第1流体4の温度は低下する一方、第2導管114を流れる第1流体4の温度は上昇する。第2導管114を流れる第1流体4の温度の上昇により、前記第1流体4は二相状態から気体状態へ移行する。
【0137】
冷却管18と第2配管16の分岐116は、第1冷却装置96と第2冷却装置106の間に配置される。第1冷却装置96の下流の第2配管16を流れる第1流体4は、冷却管18を通って冷却ユニット24へ、もしくは第2パイプ94を通って第1配管12へ、または第2配管16を通って第1タンク2まで流れることができることに留意されたい。有利には、冷却管18と第2配管16の分岐116は、第2配管16と第2パイプ94の第2交差部522と第1冷却装置96との間に取り付けられる。
【0138】
この構成では、冷却管18は第2配管16と第2パイプ94の間に延びて、冷却管18は第2冷却装置106の下流の第2パイプ94に接続される。ここで、冷却ユニット24の下流の冷却管18を流れる気体状態の第1流体4は、第1配管12の第2部分30を流れる気体状態の第1流体4に取り込まれる前に、第2冷却装置106の下流の第2パイプ94を流れる気体状態の第1流体4と混合することに留意されたい。
【0139】
したがって、上記のことから、第1流体4の一部は管理システム1により再循環されて、この第1流体4の一部は、主に第1流体4、および/または第2流体8を冷却するのを助けることになる。
【0140】
本発明の一つの特徴によれば、供給管15は冷却管18から消費装置17まで延び、供給管15と冷却管18の分岐116は、冷却装置96と冷却ユニット24の間に配置される。供給管15を流れる第1流体4は、供給管15を通って消費装置17へ流れる前に、まず第1冷却装置96を通過する間に冷却されていることに留意されたい。
【0141】
さらに、供給管15は冷却管18から消費装置17まで延び、供給管15と冷却管18の分岐点29は、冷却ユニット24の膨張要素86の上流に配置される。冷却管18を冷却ユニット24の膨張要素86へと流れる第1流体4は、分岐点29において、供給管15を通って消費装置17へ流れることができることに留意されたい。
【0142】
この実施形態では、供給管15を消費装置17まで流れる第1流体4は、第1実施形態と比べて、第1冷却装置96により冷却される。この実施形態の利点は、第1流体4は供給管15を通って消費装置17まで流れる場合はより好ましくは液状で、消費装置17による第1流体4の燃料としての使用が最適化されることにある。さらに、第1流体4の温度を下げることで、ポンプ要素19で発生するキャビテーションの危険性が低下する。
【0143】
ただし、本発明は、本明細書で記載され示された手段および構成には限定されず、また、すべての同等の手段および構成、ならびにそのような手段の技術的に機能する任意の組み合わせにまで及ぶ。具体的には、第1流体4の圧力、温度、および/もしくは状態、ならびに/または第2流体8の圧力、温度、および/もしくは状態を変化させる要素のすべては、それらの要素が本明細書に記載される機能を提供するのであれば、本発明に不利益をもたらすことなく変更することが可能である。
図1
図2
図3
【外国語明細書】