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特開2022-186687超音波駆動装置、カメラモジュール、及びカメラ搭載装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186687
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】超音波駆動装置、カメラモジュール、及びカメラ搭載装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20210101AFI20221208BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20221208BHJP
   H02N 2/04 20060101ALI20221208BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20221208BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G03B30/00
H02N2/04
H04N5/232 480
H04N5/225 700
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146428
(22)【出願日】2022-09-14
(62)【分割の表示】P 2022103943の分割
【原出願日】2021-03-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-12-07
(31)【優先権主張番号】63/002,305
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/051,917
(32)【優先日】2020-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/078,357
(32)【優先日】2020-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅原 正吉
【テーマコード(参考)】
2H044
5C122
5H681
【Fターム(参考)】
2H044BE04
2H044BE06
2H044BE10
2H044BE18
5C122DA09
5C122DA14
5C122EA54
5C122FB03
5C122FC01
5C122FC02
5C122GE04
5C122GE06
5C122GE11
5C122GE17
5C122HA82
5H681AA19
5H681BB02
5H681BB13
5H681BC01
5H681DD23
5H681DD73
5H681EE10
(57)【要約】
【課題】小型化及び低背化を図ることができるとともに、駆動性能を向上できる超音波駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置を提供する。
【解決手段】超音波駆動装置は、可動部と、圧電素子に供給される電力により振動する一対のアームを有する共振部を有する超音波モーターと、付勢された状態で前記共振部に当接し、前記共振部の振動を直線運動に変換して可動部に伝達する動力伝達部と、を有し、前記動力伝達部は、夫々が硬質材料からなり、前記一対のアームに夫々外側から当接する内面を有する一対のプレートと、前記可動部に設けられ、前記一対のプレートの前記内面とは反対側の外面を押圧することにより前記一対のプレートを付勢して前記一対のアームに押し付ける一対の支持部材と、を有し、前記共振部の振動を前記プレートを介して伝達する。
【選択図】図22
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動部と、
圧電素子に供給される電力により振動する一対のアームを有する共振部を有する超音波モーターと、
付勢された状態で前記共振部に当接し、前記共振部の振動を直線運動に変換して前記可動部に伝達する動力伝達部と、を有し、
前記動力伝達部は、夫々が硬質材料からなり、前記一対のアームに夫々外側から当接する内面を有する一対のプレートと、前記可動部に設けられ、前記一対のプレートの前記内面とは反対側の外面を押圧することにより前記一対のプレートを付勢して前記一対のアームに押し付ける一対の支持部材と、を有し、前記共振部の振動を前記プレートを介して伝達する、
超音波駆動装置。
【請求項2】
前記一対のプレートは、移動対称である前記可動部に固定されたプレート収容部に配置される、
請求項1に記載の超音波駆動装置。
【請求項3】
前記一対のプレートは、移動対称である前記可動部の移動方向に沿って形成されたガイド溝に配置される、
請求項1に記載の超音波駆動装置。
【請求項4】
前記支持部材は、折り返して傾斜した状態で前記一対のプレートに当接する板バネを有する、
請求項1に記載の超音波駆動装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の超音波駆動装置と、
前記可動部に装着される光学素子と、
前記光学素子により結像された被写体像を撮像する撮像部と、を備える、
カメラモジュール。
【請求項6】
情報機器又は輸送機器であるカメラ搭載装置であって、
請求項5に記載のカメラモジュールと、
前記カメラモジュールで得られた画像情報を処理する画像処理部と、を備える、
カメラ搭載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波駆動装置、カメラモジュール、及びカメラ搭載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スマートフォン等の携帯端末には、小型のカメラモジュールが搭載されている。このようなカメラモジュールには、被写体を撮影するときのピント合わせを自動的に行うオートフォーカス機能(以下「AF機能」と称する、AF:Auto Focus)及び撮影時に生じる振れ(振動)を光学的に補正して画像の乱れを軽減する振れ補正機能(以下「OIS機能」と称する、OIS:Optical Image Stabilization)を有する光学素子駆動装置が適用される(例えば特許文献1)。
【0003】
AF機能及びOIS機能を有する光学素子駆動装置は、レンズ部を光軸方向に移動させるためのオートフォーカス駆動ユニット(以下「AF駆動ユニット」と称する)と、レンズ部を光軸方向に直交する平面内で揺動させるための振れ補正駆動ユニット(以下「OIS駆動ユニット」と称する)と、を備える。特許文献1では、AF駆動ユニット及びOIS駆動ユニットに、ボイスコイルモーター(VCM)が適用されている。
【0004】
また、近年では、複数(典型的には2つ)の光学素子駆動装置を有するカメラモジュールの実用化が進められている(いわゆるデュアルカメラ)。デュアルカメラは、焦点距離の異なる2枚の画像を同時に撮像できたり、静止画像と動画像を同時に撮像できたりするなど、利用シーンに応じて様々な可能性を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-210550号公報
【特許文献2】国際公開第2015/123787号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように、VCMを利用した光学素子駆動装置は、外部磁気の影響を受けるため、高精度の動作が損なわれる虞がある。特に、光学素子駆動装置が並置されるデュアルカメラにおいては、光学素子駆動装置間で磁気干渉が生じる可能性が高い。
【0007】
一方、特許文献2には、AF駆動ユニット及びOIS駆動ユニットに超音波モーターを適用した光学素子駆動装置が開示されている。特許文献2に開示の光学素子駆動装置は、マグネットレスであるため外部磁気の影響を低減できるが、構造が複雑であり、小型化及び低背化を図るのが困難である。
【0008】
本発明の目的は、小型化及び低背化を図ることができるとともに、駆動性能を向上できる超音波駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る超音波駆動装置は、
可動部と、
圧電素子に供給される電力により振動する一対のアームを有する共振部を有する超音波モーターと、
付勢された状態で前記共振部に当接し、前記共振部の振動を直線運動に変換して可動部に伝達する動力伝達部と、を有し、
前記動力伝達部は、夫々が硬質材料からなり、前記一対のアームに夫々外側から当接する内面を有する一対のプレートと、前記可動部に設けられ、前記一対のプレートの前記内面とは反対側の外面を押圧することにより前記一対のプレートを付勢して前記一対のアームに押し付ける一対の支持部材と、を有し、前記共振部の振動を前記プレートを介して伝達する、
超音波駆動装置。
【0010】
本発明に係るカメラモジュールは、
上記の超音波駆動装置と、
前記可動部に装着されるレンズ部と、
前記レンズ部により結像された被写体像を撮像する撮像部と、を備える。
【0011】
本発明に係るカメラ搭載装置は、
情報機器又は輸送機器であるカメラ搭載装置であって、
上記のカメラモジュールと、
前記カメラモジュールで得られた画像情報を処理する画像処理部と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、超音波駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置の小型化及び低背化を図ることができるとともに、駆動性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1A図1Bは、本発明の一実施の形態に係るカメラモジュールを搭載するスマートフォンを示す図である。
図2図2は、カメラモジュールの外観斜視図である。
図3図3A図3Bは、実施の形態に係る光学素子駆動装置の外観斜視図である。
図4図4は、実施の形態に係る光学素子駆動装置の分解斜視図である。
図5図5は、実施の形態に係る光学素子駆動装置の分解斜視図である。
図6図6は、ベースの配線構造を示す平面図である。
図7図7A図7Bは、OIS駆動ユニットの斜視図である。
図8図8は、OIS可動部の分解斜視図である。
図9図9は、OIS可動部の分解斜視図である。
図10図10は、OIS可動部の分解斜視図である。
図11図11A図11Bは、AF駆動ユニットの斜視図である。
図12図12は、AF可動部及びOIS可動部が移動するときの基準軸を示す図である。
図13図13A図13Bは、第1のZ方向基準軸を示す図である。
図14図14A図14Bは、第2のZ方向基準軸を示す図である。
図15図15A図15Cは、第1及び第2のX方向基準軸を示す図である。
図16図16A図16Cは、第1及び第2のY方向基準軸を示す図である。
図17図17は、OIS動力伝達部の一例を示す図である。
図18図18A図18Bは、ボール収容部の閉塞態様の一例を示す図である。
図19図19A図19Bは、AF動力伝達部の一例を示す図である。
図20図20は、第2のZ方向基準ボールの一例を示す図である。
図21図21は、変形例1に係るAF駆動ユニットの斜視図である。
図22図22は、変形例1に係るAF駆動ユニットの分解斜視図である。
図23図23Aは変形例1に係るAF駆動ユニットの上面図、図23Bは側面図、図23C図23AのA-A矢視断面図である。
図24図24A図24Bは、変形例1に係るOIS駆動ユニットの斜視図である。
図25図25は、変形例2に係るOIS可動部を光軸方向受光側から見た平面図である。
図26図26は、変形例2に係るOIS可動部の分解斜視図である。
図27図27A図27Bは、変形例2に係るAF可動部及び第1ステージの平面図である。
図28図28A図28Bは、変形例2に係るOIS可動部の横断面及び縦断面の拡大図である。
図29図29A図29Bは、AF可動部の第1ステージに対する付勢態様を示す図である。
図30図30A図30Bは、車載用カメラモジュールを搭載するカメラ搭載装置としての自動車を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1A図1Bは、本発明の一実施の形態に係るカメラモジュールAを搭載するスマートフォンM(カメラ搭載装置の一例)を示す図である。図1AはスマートフォンMの正面図であり、図1BはスマートフォンMの背面図である。
【0016】
スマートフォンMは、2つの背面カメラOC1、OC2からなるデュアルカメラを有する。本実施の形態では、背面カメラOC1、OC2に、カメラモジュールAが適用されている。
カメラモジュールAは、AF機能及びOIS機能を備え、被写体を撮影するときのピント合わせを自動的に行うとともに、撮影時に生じる振れ(振動)を光学的に補正して像ぶれのない画像を撮影することができる。
【0017】
図2は、カメラモジュールAの外観斜視図である。図3A図3Bは、実施の形態に係る光学素子駆動装置1の外観斜視図である。図3Bは、図3AをZ軸周りに180°回転した状態を示す。図2図3A及び図3Bに示すように、実施の形態では、直交座標系(X,Y,Z)を使用して説明する。後述する図においても共通の直交座標系(X,Y,Z)で示している。
【0018】
カメラモジュールAは、例えば、スマートフォンMで実際に撮影が行われる場合に、X方向が上下方向(又は左右方向)、Y方向が左右方向(又は上下方向)、Z方向が前後方向となるように搭載される。すなわち、Z方向が光軸方向であり、図中上側(+Z側)が光軸方向受光側、下側(-Z側)が光軸方向結像側である。また、Z軸に直交するX方向及びY方向を「光軸直交方向」と称し、XY面を「光軸直交面」と称する。
【0019】
図2図3A及び図3Bに示すように、カメラモジュールAは、AF機能及びOIS機能を実現する光学素子駆動装置1、円筒形状のレンズバレルにレンズが収容されてなるレンズ部2、及びレンズ部2により結像された被写体像を撮像する撮像部3等を備える。すなわち、光学素子駆動装置1は、光学素子としてレンズ部2を駆動する、いわゆるレンズ駆動装置である。
【0020】
撮像部3は、光学素子駆動装置1の光軸方向結像側に配置される。撮像部3は、例えば、イメージセンサー基板301、イメージセンサー基板301に実装される撮像素子302及び制御部303を有する。撮像素子302は、例えば、CCD(charge-coupled device)型イメージセンサー、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型イメージセンサー等により構成され、レンズ部2により結像された被写体像を撮像する。制御部303は、例えば、制御ICで構成され、光学素子駆動装置1の駆動制御を行う。光学素子駆動装置1は、イメージセンサー基板301に搭載され、機械的かつ電気的に接続される。なお、制御部33は、イメージセンサー基板301に設けられてもよいし、カメラモジュールAが搭載されるカメラ搭載機器(実施の形態では、スマートフォンM)に設けられてもよい。
【0021】
光学素子駆動装置1は、外側をカバー24で覆われている。カバー24は、光軸方向から見た平面視で矩形状の有蓋四角筒体である。実施の形態では、カバー24は、平面視で正方形状を有している。カバー24は、上面に略円形の開口241を有する。レンズ部2は、カバー24の開口241から外部に臨み、例えば、光軸方向における移動に伴い、カバー24の開口面よりも受光側に突出するように構成される。カバー24は、光学素子駆動装置1のOIS固定部20のベース21(図4参照)に、例えば、接着により固定される。
【0022】
図4図5は、実施の形態に係る光学素子駆動装置1の分解斜視図である。図5は、図4をZ軸周りに180°回転した状態を示す。図4は、OIS駆動ユニット30及びセンサー基板22を取り付けた状態を示し、図5は、OIS駆動ユニット30及びセンサー基板22を取り外した状態を示している。
【0023】
図4図5に示すように、本実施の形態において、光学素子駆動装置1は、OIS可動部10(第2可動部)、OIS固定部20(第2固定部)、OIS駆動ユニット30(XY方向駆動部)及びOIS支持部40(第2支持部)を備える。OIS駆動ユニット30は、第1のOIS駆動ユニット30X(X方向駆動ユニット)及び第2のOIS駆動ユニット30Y(Y方向駆動ユニット)を有する。
【0024】
OIS可動部10は、振れ補正時に光軸直交面内で揺動する部分である。OIS可動部10は、AFユニット、第2ステージ13及びX方向基準ボール42A~42C(図8等参照)を含む。AFユニットは、AF可動部11(第1可動部)、第1ステージ12(第1固定部)、AF駆動ユニット14(Z方向駆動部)及びAF支持部15(第1支持部)を有する(図8図10参照)。
OIS固定部20は、OIS支持部40を介してOIS可動部10が接続される部分である。OIS固定部20は、ベース21を含む。
OIS可動部10は、OIS固定部20に対して光軸方向に離間して配置され、OIS支持部40を介してOIS固定部20と連結される。また、OIS可動部10とOIS固定部20は、OIS用付勢部材50によって、互いに近づく方向に付勢されている。本実施の形態では、OIS用付勢部材50は、光学素子駆動装置1の平面視における四隅に配置されている。
【0025】
本実施の形態では、Y方向の移動に関しては、AFユニットを含むOIS可動部10の全体が可動体として移動する。一方、X方向の移動に関しては、AFユニットだけが可動体として移動する。つまり、X方向の移動に関しては、第2ステージ13は、ベース21とともにOIS固定部20を構成し、X方向基準ボール42A~42CはOIS支持部40として機能する。
【0026】
ベース21は、例えば、ポリアリレート(PAR)、PARを含む複数の樹脂材料を混合したPARアロイ(例えば、PAR/PC)、又は液晶ポリマーからなる成形材料で形成される。ベース21は、平面視で矩形状の部材であり、中央に円形の開口211を有する。
【0027】
ベース21は、ベース21の主面を形成する第1ベース部212及び第2ベース部213を有する。第2ベース部213は、OIS可動部10の光軸方向結像側に突出する部分、すなわち、AF可動部11の突出部112A~112D及び第1ステージ12のAFモーター固定部125(図8図9参照)に対応して設けられている。第2ベース部213は、振れ補正時に干渉が生じないように、突出部112A~112D及びAFモーター固定部125よりも、平面視において一回り大きく形成されている。第2ベース部213のうち、端子金具23Bが配置される領域には、一部(突出部112B、112Cに対応する部分)が露出するようにセンサー基板22が配置される。第2ベース部213は、第1ベース部212に対して凹んで形成され、これにより、AF可動部11の移動ストロークの確保と光学素子駆動装置1の低背化が図られている。
【0028】
本実施の形態では、センサー基板22は、AF駆動ユニット14及びOIS駆動ユニット30が配置されていない領域、すなわち、ベース21の平面形状である矩形の一辺(第4の辺)に対応する領域に設けられている。これにより、磁気センサー25X、25Y、25Z用の給電ライン及び信号ラインを集約することができ、ベース21における配線構造を簡略化することができる(図6参照)。
【0029】
ベース21は、第2のOIS駆動ユニット30Yが配置されるOISモーター固定部215を有する。OISモーター固定部215は、例えば、ベース21の角部に設けられ、第1ベース部212から光軸方向受光側に向けて突出して形成され、第2のOIS駆動ユニット30Yを保持可能な形状を有している。
【0030】
ベース21には、例えば、インサート成形により、端子金具23A~23Cが配置される。端子金具23Aは、AF駆動ユニット14及び第1のOIS駆動ユニット30Xへの給電ラインを含む。端子金具23Aは、例えば、ベース21の四隅に形成された開口216から露出し、OIS用付勢部材50と電気的に接続される。AF駆動ユニット14及び第1のOIS駆動ユニット30Xへの給電は、OIS用付勢部材50を介して行われる。端子金具23Bは、磁気センサー25X、25Y、25Zへの給電ライン(例えば、4本)及び信号ライン(例えば、6本)を含む。端子金具23Bは、センサー基板22に形成された配線(図示略)と電気的に接続される。端子金具23Cは、第2のOIS駆動ユニット30Yへの給電ラインを含む。
【0031】
また、ベース21は、OIS支持部40を構成するY方向基準ボール41A~41Cが配置されるY方向基準ボール保持部217A~217Cを有する(図16A図16C参照)。Y方向基準ボール保持部217A~217Cは、Y方向に延びる矩形状に凹んで形成されている。Y方向基準ボール保持部217A~217Cは、底面側に向けて溝幅が狭くなるように断面形状が略V字状(テーパー形状)に形成される。
【0032】
本実施の形態では、Y方向基準ボール保持部217A、217Bは、ベース21の第2のOIS駆動ユニット30Yが配置される辺(第3の辺)に設けられ、Y方向基準ボール保持部217Cは、センサー基板22が配置される辺(第4の辺)に設けられており、Y方向基準ボール41A~41CによってOIS可動部10(第2ステージ13)が3点で支持されるようになっている。
【0033】
センサー基板22は、磁気センサー25X、25Y、25Z用の給電ライン及び信号ラインを含む配線(図示略)を有する。センサー基板22には、磁気センサー25X、25Y、25Zが実装される。磁気センサー25X、25Y、25Zは、例えば、ホール素子又はTMR(Tunnel Magneto Resistance)センサー等で構成され、センサー基板22に形成された配線(図示略)を介して、端子金具23Bと電気的に接続される。また、センサー基板22において、Y方向基準ボール保持部217Cに対応する部分には、開口221が設けられている。
【0034】
OIS可動部10の第1ステージ12において、磁気センサー25X、25Yに対向する位置にはマグネット16X、16Yが配置される(図10参照)。磁気センサー25X、25Y及びマグネット16X、16Yからなる位置検出部により、OIS可動部10のX方向及びY方向の位置が検出される。
また、OIS可動部10のAF可動部11において、磁気センサー25Zに対向する位置にはマグネット16Zが配置される(図10参照)。磁気センサー25Z及びマグネット16Zからなる位置検出部により、AF可動部11のZ方向の位置が検出される。なお、マグネット16X、16Y、16Zと磁気センサー25X、25Y、25Zに代えて、フォトリフレクター等の光センサーによりOIS可動部10のX方向及びY方向の位置並びにAF可動部11のZ方向の位置を検出するようにしてもよい。
【0035】
OIS用付勢部材50は、例えば、引張コイルばねで構成され、OIS可動部10とOIS固定部20を連結する。本実施の形態では、OIS用付勢部材50の一端は、ベース21の端子金具23Aに接続され、他端は、第1ステージ12の配線17A、17Bに接続されている。OIS用付勢部材50は、OIS可動部10とOIS固定部20を連結したときの引張荷重を受けて、OIS可動部10とOIS固定部20が互いに近づくように作用する。すなわち、OIS可動部10は、OIS用付勢部材50によって、光軸方向に付勢された状態(ベース21に押し付けられた状態)で、XY面内で揺動可能に保持されている。これにより、OIS可動部10をがたつきのない安定した状態で保持することができる。
また、本実施の形態では、OIS用付勢部材50は、AF駆動ユニット14及び第1のOIS駆動ユニット30Xへの給電ラインとして機能する。
【0036】
OIS支持部40は、OIS固定部20に対して、OIS可動部10を光軸方向に離間した状態で支持する。本実施の形態では、OIS支持部40は、OIS可動部10(第2ステージ13)とベース21の間に介在する3個のY方向基準ボール41A~41Cを含む。
また、OIS支持部40は、OIS可動部10において、第1ステージ12と第2ステージ13の間に介在する3個のX方向基準ボール42A~42Cを含む(図8等参照)。
本実施の形態では、Y方向基準ボール41A~41C及びX方向基準ボール42A~42C(計6個)の転動可能な方向を規制することにより、OIS可動部10をXY面内で精度よく揺動できるようになっている。なお、OIS支持部40を構成するY方向基準ボール及びX方向基準ボールの数は、適宜変更することができる。
【0037】
OIS駆動ユニット30は、OIS可動部10をX方向及びY方向に移動させるアクチュエーターである。具体的には、OIS駆動ユニット30は、OIS可動部10(AFユニットのみ)をX方向に移動させる第1のOIS駆動ユニット30X(第1のXY方向駆動ユニット)と、OIS可動部10全体をY方向に移動させる第2のOIS駆動ユニット30Y(第2のXY方向駆動ユニット)とで構成される。
第1のOIS駆動ユニット30X及び第2のOIS駆動ユニット30Yは、超音波モーターで構成される。第1のOIS駆動ユニット30Xは、第1ステージ12のX方向に沿うOISモーター固定部124に固定される(図9参照)。第2のOIS駆動ユニット30Yは、Y方向に沿って延在するように、ベース21のOISモーター固定部215に固定される。すなわち、第1のOIS駆動ユニット30X及び第2のOIS駆動ユニット30Yは、互いに直交する辺に沿って配置されている。
【0038】
OIS駆動ユニット30の構成を図7A図7Bに示す。図7Aは、OIS駆動ユニット30の各部材を組み付けた状態を示し、図7Bは、OIS駆動ユニット30の各部材を分解した状態を示す。なお、図7A図7Bは、第2のOIS駆動ユニット30Yを示しているが、第1のOIS駆動ユニット30Xの主要構成、具体的にはOIS電極33の形状を除く構成は同様であるので、OIS駆動ユニット30を示す図として扱う。
【0039】
図7A図7Bに示すように、OIS駆動ユニット30は、OIS共振部31、OIS圧電素子32、OIS電極33及びOIS動力伝達部34を有する。OIS駆動ユニット30の駆動力は、OIS動力伝達部34を介して第2ステージ13に伝達される。具体的には、第1のOIS駆動ユニット30Xは第1のOIS動力伝達部34Xを介して第2ステージ13に接続され、第2のOIS駆動ユニット30Yは第2のOIS動力伝達部34Yを介して第2ステージ13に接続されている。すなわち、OIS駆動ユニット30において、OIS共振部31が能動要素を構成し、OIS動力伝達部34が受動要素を構成する。
【0040】
OIS圧電素子32は、例えば、セラミック材料で形成された板状素子であり、高周波電圧を印加することにより振動を発生する。OIS共振部31の胴部311を挟み込むように、2枚のOIS圧電素子32が配置される。
OIS電極33は、OIS共振部31及びOIS圧電素子32を挟持し、OIS圧電素子32に電圧を印加する。第1のOIS駆動ユニット30XのOIS電極33は、第1ステージ12の配線17Aと電気的に接続され、第2のOIS駆動ユニット30YのOIS電極33は、ベース21の端子金具23Cと電気的に接続される。
【0041】
OIS共振部31は、導電性材料で形成され、OIS圧電素子32の振動に共振して、振動運動を直線運動に変換する。OIS共振部31は、例えば、金属板のレーザー加工、エッチング加工又はプレス加工等により形成される。本実施の形態では、OIS共振部31は、OIS圧電素子32に挟持される略矩形状の胴部311、胴部311の上部及び下部からX方向又はY方向に延在する2つのアーム部312、胴部311の中央部からX方向又はY方向に延在する突出部313、及び、胴部311の中央部から突出部313とは反対側に延在する通電部314を有している。2つのアーム部312は対称的な形状を有し、それぞれの自由端部がOIS動力伝達部34に当接し、OIS圧電素子32の振動に共振して対称的に変形する。第1のOIS駆動ユニット30Xの通電部314は、第1ステージ12の配線17Aと電気的に接続され、第2のOIS駆動ユニット30Yの通電部314は、ベース21の端子金具23Cと電気的に接続される。
【0042】
OIS共振部31の胴部311に、厚さ方向からOIS圧電素子32が貼り合わされ、OIS電極33により挟持されることにより、これらは互いに電気的に接続される。例えば、給電経路の一方がOIS電極33に接続され、他方がOIS共振部31の通電部314に接続されることで、OIS圧電素子32に電圧が印加され、振動が発生する。
【0043】
OIS共振部31は、少なくとも2つの共振周波数を有し、それぞれの共振周波数に対して、異なる挙動で変形する。言い換えると、OIS共振部31は、2つの共振周波数に対して異なる挙動で変形するように、全体の形状が設定されている。異なる挙動とは、OIS動力伝達部34をX方向又はY方向に前進させる挙動と、後退させる挙動である。
【0044】
OIS動力伝達部34は、一方向に延在するチャッキングガイドであり、一端がOIS共振部31のアーム部312に接続され、他端が第2ステージ13に接続される。OIS動力伝達部34は、OISモーター当接部341、ステージ固定部343、及び連結部342を有する。OISモーター当接部341は、OIS共振部31のアーム部312の自由端部と当接する。ステージ固定部343は、OIS動力伝達部34の端部に配置され、第2ステージ13のOISチャッキングガイド固定部135(図8等参照)に固定される。連結部342は、OISモーター当接部341とステージ固定部343を連結する部分であり、ステージ固定部343から2つに分岐して互いに略平行に形成されている。
【0045】
OISモーター当接部341間の幅は、OIS共振部31のアーム部312の自由端部間の幅よりも広く設定される。例えば、連結部342とステージ固定部343との接続部分において、2つの連結部342の間に、接続端部の幅よりも大きい離隔部344を介在させることで、OISモーター当接部341間の幅を拡げることができる。これにより、OIS共振部31のアーム部312の間にOIS動力伝達部34を取り付けたときに、連結部342が板バネとして機能し、アーム部312を押し広げる方向に付勢力が作用する。この付勢力により、アーム部312の自由端部間にOIS動力伝達部34が保持され、OIS共振部31からの駆動力がOIS動力伝達部34に効率よく伝達される。離隔部344は、例えば、ステージ固定部343と一体的に形成される。
【0046】
なお、図7A図7Bに示す例では、ステージ固定部343において、連結部342の取付部分の片側が開放しているが、図17に示すように、ステージ固定部343は、連結部342の根元(ステージ固定部343側の端部)を挟み込む構造を有してもよい。この場合、経時的に連結部342がずれて脱落するのを防止でき、信頼性が向上する。
【0047】
OIS共振部31とOIS動力伝達部34は、付勢された状態で当接しているだけなので、当接部分をX方向又はY方向に大きくするだけで、光学素子駆動装置1の外形を大きくすることなく、OIS可動部10の移動ストロークを長くすることができる。
【0048】
第1のOIS駆動ユニット30Xは、OIS可動部10(第1ステージ12)に固定され、OIS動力伝達部34Xを介して第2ステージ13と接続されており、第2のOIS駆動ユニット30YによるY方向の振れ補正時は、OIS可動部10とともに移動する。一方、第2のOIS駆動ユニット30Yは、OIS固定部20(ベース21)に固定され、OIS動力伝達部34Yを介して第2ステージ13と接続されており、第1のOIS駆動ユニット30XによるX方向の振れ補正に影響を受けない。すなわち、一方のOIS駆動ユニット30によるOIS可動部10の移動は、他方のOIS駆動ユニット30の構造によって妨げられない。したがって、OIS可動部10のZ軸周りの回転を防止することができ、OIS可動部10をXY平面内で精度よく揺動させることができる。
【0049】
図8図10は、OIS可動部10の分解斜視図である。図9は、図8をZ軸周りに180°回転させた状態を示す。図10は、図8をZ軸周りに180°回転させた状態を示す下方斜視図である。なお、図9では、AF駆動ユニット14及び第1のOIS駆動ユニット30Xが第1ステージ12から取り外した状態となっている。
以下において、光学素子駆動装置1の平面形状である矩形において、AF駆動ユニット14が配置される辺を「第1の辺」、第1のOIS駆動ユニット30Xが配置される辺を「第2の辺」、第2のOIS駆動ユニット30Yが配置される辺を「第3の辺」、残りの一辺を「第4の辺」と称する。
【0050】
図8図10に示すように、本実施の形態において、OIS可動部10は、AF可動部11、第1ステージ12、第2ステージ13、AF駆動ユニット14及びAF支持部15等を有する。Y方向の移動に関しては、第1ステージ12及び第2ステージ13を含むOIS可動部10全体が可動体となるのに対して、X方向の移動に関しては、第2ステージ13はOIS固定部20として機能し、AFユニット(AF可動部11及び第1ステージ12)だけがOIS可動部10として機能する。また、第1ステージ12は、AF可動部11を支持するAF固定部として機能する。
【0051】
AF可動部11は、レンズ部2(図2参照)を保持するレンズホルダーであり、ピント合わせ時に光軸方向に移動する。AF可動部11は、第1ステージ12(AF固定部)に対して径方向内側に離間して配置され、AF支持部15を介して第1ステージ12に付勢された状態で支持される。
【0052】
AF可動部11は、例えば、ポリアリレート(PAR)、PARを含む複数の樹脂材料を混合したPARアロイ、液晶ポリマー等で形成される。AF可動部11は、筒状のレンズ収容部111を有する。レンズ収容部111の内周面には、レンズ部2が、例えば、接着により固定される。
【0053】
AF可動部11は、レンズ収容部111の外周面に、径方向外側に突出し光軸方向に延在する突出部112A~112Dを有する。突出部112A~112Dは、好ましくは、光軸を基準として対称的に配置される。本実施の形態では、光軸周りに略90°間隔で、突出部112A~112Dが設けられている。突出部112A~112Dは、レンズ収容部111の下面よりも光軸方向結像側に突出し、ベース21の第2ベース部213と当接することにより、AF可動部11の光軸方向結像側(下側)への移動を規制する。本実施の形態では、突出部112A~112Dは、AF駆動ユニット14が駆動されていない基準状態において、ベース21の第2ベース部213に当接する。
【0054】
AF駆動ユニット14側の突出部112A、112Bは、第1ステージ12とともに、AF支持部15を保持する(図13A図13C図14A図14C参照)。一方の突出部112Aには、AF支持部15を構成する第1のZ方向基準ボール15Aを収容する第1のZ方向基準ボール保持部112aが形成されている。他方の突出部112Bには、AF支持部15を構成する第2のZ方向基準ボール15Bを収容する第2のZ方向基準ボール保持部112bが形成されている。また、突出部112A、112Bには、それぞれ、第1のZ方向基準ボール保持部112a、第2のZ方向基準ボール保持部112bとは反対側の面に、AF支持部15を構成する第1予圧ボール15C、第2予圧ボール15Dを収容する第1予圧ボール保持部112c、第2予圧ボール保持部112dが形成されている。
【0055】
第1のZ方向基準ボール保持部112a、第2のZ方向基準ボール保持部112b及び第1予圧ボール保持部112c、第2予圧ボール保持部112dは、ボールの押し付け方向に向けて溝幅が狭くなるように断面形状が略V字状(テーパー形状)に形成される。また、突出部112A、112Bの光軸方向における受光側端部及び結像側端部には、それぞれ、AF支持部15の脱落を防止するための受光側ストッパー112e及び結像側ストッパー112fが設けられている。
【0056】
また、レンズ収容部111の外周面には、Z位置検出用のマグネット16Zを収容するマグネット収容部114が設けられている。マグネット収容部114にマグネット16Zが配置される。センサー基板22において、マグネット16Zと光軸方向に対向する位置に、Z位置検出用の磁気センサー25Zが配置される(図4参照)。
【0057】
また、AF可動部11において、突出部112A、112Bの間には、駆動ユニット収容部115が設けられている。駆動ユニット収容部115に、AF駆動ユニット14の受動要素であるAF動力伝達部144が配置されている。AF動力伝達部144は、Z方向に所定の長さを有するチャッキングガイドであり、X方向に対向し、Y方向(-側)に突出する側壁を有する。AF動力伝達部144の側壁を押し拡げるように、AF駆動ユニット14の共振部141のアーム部141bが当接し、AF駆動ユニット14の動力がAF可動部11に伝達される。2つのアーム部141bがAF動力伝達部144の側壁に当接したときに、AF動力伝達部144の側壁が板バネとして機能することで、共振部141の変形によって生じる駆動力が効率よく伝達される。
【0058】
なお、AF動力伝達部144の構造は適宜任意に変更可能である。例えば、図19A図19Bに示すように、Z方向に延在する側壁144aをヘアピン状に折り返してZ方向に対して内側に傾斜させて板バネ144bを形成し、AF駆動ユニット14のアーム部141bを押し返す方向に付勢力が発現するようにしてもよい。これにより、AF共振部141の変形によって生じる駆動力が、AF動力伝達部144に、より効率よく伝達される。
【0059】
本実施の形態では、AF動力伝達部144は、AF可動部11と別部材で構成されている。AF動力伝達部144は、例えば、平面視でU字形状を有し、側面部がX方向に対向した状態で、底面部がレンズ収容部111の外周面に固定される。AF動力伝達部144は、例えば、チタン銅、ニッケル銅、ステンレス等の金属材料で形成される。これにより、AF駆動ユニット14のアーム部141bが、樹脂成形品であるAF可動部11に当接する場合に比較して、AF駆動ユニット14の駆動力が効率よく伝達される。なお、AF動力伝達部144は、AF可動部11と一体的に成形されてもよい。
【0060】
第1ステージ12は、AF支持部15を介してAF可動部11を支持する。第1ステージ12の光軸方向結像側には、X方向基準ボール42A~42Cを介して第2ステージ13が配置される。第1ステージ12は、振れ補正時にX方向及びY方向に移動し、第2ステージ13は、振れ補正時にY方向のみに移動する。
【0061】
第1ステージ12は、光軸方向から見た平面視において略矩形状を有する部材であり、例えば、液晶ポリマーで形成される。第1ステージ12は、AF可動部11に対応する部分に略円形状の開口121を有する。開口121には、AF可動部11の突出部112A~112D及びマグネット収容部114に対応する切欠部122が形成されている。第1ステージ12において、第1のOIS駆動ユニット30Xに対応する部分(第2の辺に沿う側壁の外側面)は、径方向外側にはみ出すことなく第1のOIS駆動ユニット30Xを配置できるように、径方向内側に凹んで形成されている(OISモーター固定部124)。また、第1ステージ12において、第2のOIS駆動ユニット30Yに対応する部分(第3の辺に沿う側壁の外側面)も同様に、径方向内側に凹んで形成されている。
【0062】
第1ステージ12は、下面に、X方向基準ボール42A~42Cを保持するX方向基準ボール保持部123A~123Cを有する(図15B図15C参照)。X方向基準ボール保持部123A~123Cは、X方向に延びる矩形状に凹んで形成されている。X方向基準ボール保持部123A~123Cは、第2ステージ13のX方向基準ボール保持部133A~133CとZ方向において対向する。X方向基準ボール保持部123A、123Bは、底面側に向けて溝幅狭くなるように断面形状が略V字状(テーパー形状)に形成されており、X方向基準ボール保持部123Cは、略U字状に形成されている。
【0063】
第1ステージ12において、AF可動部11の突出部112Aに対応する切欠部122の内面には、第1のZ方向基準ボール保持部122a、第1予圧ボール保持部122cが設けられている(図13A図13B参照)。第1のZ方向基準ボール保持部122aは、AF可動部11の第1のZ方向基準ボール保持部112aとの間に、第1のZ方向基準ボール15Aを保持する。第1予圧ボール保持部122cは、AF可動部11の第1予圧ボール保持部112cとの間に、第1予圧ボール15Cを保持する。
【0064】
また、第1ステージ12において、AF可動部11の突出部112Bに対応する切欠部122の内面には、第2のZ方向基準ボール保持部122b、第2予圧ボール保持部122dが設けられている(図14A図14B参照)。第2のZ方向基準ボール保持部122bは、AF可動部11の第2のZ方向基準ボール保持部112bとの間に、第2のZ方向基準ボール15Bを保持する。第2予圧ボール保持部122dは、AF可動部11の第2予圧ボール保持部112dとの間に、第2予圧ボール15Dを保持する。
【0065】
第1のZ方向基準ボール保持部122aは、底面側に向けて溝幅狭くなるように断面形状が略V字状(テーパー形状)に形成されている。第2のZ方向基準ボール保持部122b、第1予圧ボール保持部122c及び第2予圧ボール保持部122dは、断面形状が略U字状に形成されている。また、第1のZ方向基準ボール保持部122a及び第1予圧ボール保持部122cの光軸方向における受光側端部及び結像側端部、並びに、第2のZ方向基準ボール保持部122b及び第2予圧ボール保持部122dの光軸方向における受光側端部及び結像側端部には、それぞれ、AF支持部15の脱落を防止するための受光側ストッパー112e及び結像側ストッパー112fが設けられている。
【0066】
第1ステージ12において、X方向に沿う一方の側壁(第1の辺に沿う側壁)には、AF駆動ユニット14の能動要素であるAF共振部141等が配置されるAFモーター固定部125が形成されている。AFモーター固定部125は、上部固定板(符号略)及び下部固定板125aを有し、これらの間にAF共振部141が挟持される。AF共振部141は、例えば、上部固定板及び下部固定板125aに設けられた挿入穴(符号略)に挿入され、接着により固定される。上部固定板は、配線17Bの一部によって構成されており、AF共振部141は、配線17Bと電気的に接続される。
【0067】
第1ステージ12において、Y方向に沿う一方の側壁(第4の辺に沿う側壁)には、XY位置検出用のマグネット16X、16Yが配置される。例えば、マグネット16XはX方向に着磁され、マグネット16YはY方向に着磁される。センサー基板22において、マグネット16X,16Yと光軸方向に対向する位置に、XY位置検出用の磁気センサー25X、25Yが配置される(図4参照)。
【0068】
また、第1ステージ12には、例えば、インサート成形により、配線17A、17Bが埋設されている。配線17A、17Bは、例えば、第1の辺及び第2の辺に沿って配置される。配線17A、17Bは、第1ステージ12の四隅から露出しており、この部分に、OIS用付勢部材50の一端が接続される。配線17Aを介して第1のOIS駆動ユニット30Xへの給電が行われる、配線17Bを介してAF駆動ユニット14への給電が行われる。
【0069】
第2ステージ13は、光軸方向から見た平面視において略矩形状を有する部材であり、例えば、液晶ポリマーで形成される。第2ステージ13の内周面131は、AF可動部11の外形に対応して形成されている。第2ステージ13において、第1のOIS駆動ユニット30X及び第2のOIS駆動ユニット30Yに対応する部分(第2の辺及び第3の辺に沿う側壁の外側面)は、第1ステージ12と同様に、径方向内側に凹んで形成されている。
【0070】
第2ステージ13は、下面に、Y方向基準ボール41A~41Cを収容するY方向基準ボール保持部134A~134Cを有する(図16A図16B参照)。Y方向基準ボール保持部134A~134Cは、Y方向に延びる矩形状に凹んで形成されている。Y方向基準ボール保持部134A~134Cは、ベース21のY方向基準ボール保持部217A~217CとZ方向において対向する。Y方向基準ボール保持部134A、134Bは、底面側に向けて溝幅狭くなるように断面形状が略V字状(テーパー形状)に形成されており、Y方向基準ボール保持部134Cは、略U字状に形成されている。
【0071】
また、第2ステージ13は、上面に、X方向基準ボール42A~42Cを収容するX方向基準ボール保持部133A~133Cを有する(図15A図15C参照)。X方向基準ボール保持部133A~133Cは、X方向に延びる矩形状に凹んで形成されている。X方向基準ボール保持部133A~133Cは、第1ステージ12のX方向基準ボール保持部123A~123CとZ方向において対向する。X方向基準ボール保持部133A~133Cは、底面側に向けて溝幅が狭くなるように断面形状が略V字状(テーパー形状)に形成されている。本実施の形態では、X方向基準ボール保持部133A、133Bは、第2ステージ13の第1のOIS駆動ユニット30Xが配置される辺(第2の辺)に設けられ、X方向基準ボール保持部133Cは、AF駆動ユニット14が配置される辺(第1の辺)に設けられており、X方向基準ボール42A~42Cによって第1ステージ12が3点で支持されるようになっている。
【0072】
OIS支持部40を構成するY方向基準ボール41A~41Cは、ベース21のY方向基準ボール保持部217A~217Cと第2ステージ13のY方向基準ボール保持部134A~134Cにより、多点接触で挟持される。したがって、Y方向基準ボール41A~41Cは、安定してY方向に転動する。
また、X方向基準ボール42A~42Cは、第2ステージ13のX方向基準ボール保持部133A~133Cと第1ステージ12のX方向基準ボール保持部123A~123Cにより、多点接触で挟持される。したがって、X方向基準ボール42A~42Cは、安定してX方向に転動する。
【0073】
AF支持部15は、第1ステージ12(AF固定部)に対してAF可動部11を支持する部分である。図13A図13C及び図14A図14Cに示すように、AF支持部15は、第1のZ方向基準ボール15A、第2のZ方向基準ボール15B、第1予圧ボール15C及び第2予圧ボール15Dで構成される。本実施の形態では、第1のZ方向基準ボール15A、第2のZ方向基準ボール15B、第1予圧ボール15C、第2予圧ボール15Dは、それぞれ、Z方向に並んで配置された複数のボール(ここでは、3個)で構成されている。
【0074】
第1のZ方向基準ボール15Aは、AF可動部11及び第1ステージ12の第1のZ方向基準ボール保持部112a、122aの間に、転動可能な状態で介在する。第2のZ方向基準ボール15Bは、AF可動部11及び第1ステージ12の第2のZ方向基準ボール保持部112b、122bの間に、転動可能な状態で介在する。第1予圧ボール15Cは、AF可動部11及び第1ステージ12の第1予圧ボール保持部112c、122cの間に、転動可能な状態で介在する。第2予圧ボール15Dは、AF可動部11及び第1ステージ12の第2予圧ボール保持部112d、122dの間に、転動可能な状態で介在する。
【0075】
第1のZ方向基準ボール15A、第2のZ方向基準ボール15B、第1予圧ボール15C、第2予圧ボール15Dにおいては、少なくとも、上下2つのボールがAF可動部11と第1ステージ12とによって挟持されていればよい。すなわち、中間のボールは上下2つのボールの離間距離を確保するために設けられるものであり、上下2つのボールよりも小径であってもよい。
【0076】
また、図20に示すように、第2のZ方向基準ボール15Bにおいて、中間のボールは、上下2つのボールよりも大径であってもよい。この場合、第1のZ方向基準ボール15Aのうちの2つの大径のボール及び第2のZ方向基準ボール15Bのうちの1つの大径のボールがAF可動部10と当接し、AF支持部15として機能する。したがって、これらの3つのボールによってAF可動部11が3点支持されるので、AF可動部11がより安定した姿勢で保持される。
【0077】
また、図13Aに示すように、第1予圧ボール15Cと第1ステージ12の第1予圧ボール保持部122cとの間には、AF可動部11を付勢する付勢部18が配置される。同様に、図14Aに示すように、第2予圧ボール15Dと第1ステージ12の第2予圧ボール保持部122dとの間には、AF可動部11を付勢する付勢部18が配置される。AF可動部11は、第1のZ方向基準ボール15A、第2のZ方向基準ボール15B、第1予圧ボール15C及び第2予圧ボール15Dを介して、付勢された状態で第1ステージ12に支持され、安定した姿勢で保持される。
【0078】
付勢部18は、例えば、金属材料で形成される板バネ181(付勢部材)と、摩擦係数が小さいセラミック材料で形成されるスペーサー182(干渉部材)と、を有する。第1ステージ12側に板バネ181が配置され、AF可動部11側にスペーサー182が配置される。板バネ181と第1予圧ボール15C、第2予圧ボール15Dとの間にセラミック製のスペーサー182を介在させることにより、ボールを滑らかに転動させることができ、耐久性も向上する。なお、スペーサー182の材質は、ボールを滑らかに転動させることができるものであればよく、摩擦係数が小さいセラミック材料に限らず、例えば、銅合金やステンレスなど適度な摩擦係数を有する材料でもよい。
【0079】
AF駆動ユニット14は、AF可動部11をZ方向に移動させるアクチュエーターである。AF駆動ユニット14は、OIS駆動ユニット30と同様に、超音波モーターで構成されている。AF駆動ユニット14は、アーム部141bがZ方向に延在するように、第1ステージ12のAFモーター固定部125に固定される。
【0080】
AF駆動ユニット14の構成を図11A図11Bに示す。図11Aは、AF駆動ユニット14の各部材を組み付けた状態を示し、図11Bは、AF駆動ユニット14の各部材を分解した状態を示す。AF駆動ユニット14の構成は、OIS駆動ユニット30とほぼ同様である。
【0081】
図11A図11Bに示すように、AF駆動ユニット14は、AF共振部141、AF圧電素子142、AF電極143及びAF動力伝達部144を有する。AF駆動ユニット14の駆動力は、AF動力伝達部144を介してAF可動部11に伝達される。すなわち、AF駆動ユニット14において、AF共振部141が能動要素を構成し、AF動力伝達部144が受動要素を構成する。
【0082】
AF圧電素子142は、例えば、セラミック材料で形成された板状素子であり、高周波電圧を印加することにより振動を発生する。AF共振部141の胴部141aを挟み込むように、2枚のAF圧電素子142が配置される。
AF電極143は、AF共振部141及びAF圧電素子142を挟持し、AF圧電素子142に電圧を印加する。
【0083】
AF共振部141は、導電性材料で形成され、AF圧電素子142の振動に共振して、振動運動を直線運動に変換する。AF共振部141は、例えば、金属板のレーザー加工、エッチング加工又はプレス加工等により形成される。本実施の形態では、AF共振部141は、AF圧電素子142に挟持される略矩形状の胴部141a、胴部141aからZ方向に延在する2つのアーム部141b、胴部141aの中央部からZ方向に延在し給電経路(第1ステージ12の配線17B(上部固定板))と電気的に接続される通電部141c、及び、胴部141aの中央部から通電部141cとは反対側に延在するステージ固定部141dを有している。2つのアーム部141bは対称的な形状を有し、AF圧電素子142の振動に共振して対称的に変形する。AF駆動ユニット14は、2つのアーム部141bがZ方向に延在して、自由端部がAF動力伝達部144で挟持されるように配置される。
【0084】
AF共振部141の胴部141aに、厚さ方向からAF圧電素子142が貼り合わされ、AF電極143により挟持されることにより、これらは互いに電気的に接続される。AF共振部141の通電部141c及びAF電極143が第1ステージ12の配線17Bに接続されることで、AF圧電素子142に電圧が印加され、振動が発生する。
【0085】
AF共振部141は、OIS共振部31と同様に、少なくとも2つの共振周波数を有し、それぞれの共振周波数に対して、異なる挙動で変形する。言い換えると、AF共振部141は、2つの共振周波数に対して異なる挙動で変形するように、全体の形状が設定されている。
【0086】
光学素子駆動装置1において、AF駆動ユニット14に電圧を印加すると、AF圧電素子142が振動し、AF共振部141が周波数に応じた挙動で変形する。AF駆動ユニット14の駆動力により、AF動力伝達部144がZ方向に摺動される。これに伴い、AF可動部11がZ方向に移動し、ピント合わせが行われる。AF支持部15がボールで構成されているので、AF可動部11はZ方向にスムーズに移動することができる。また、AF駆動ユニット14とAF動力伝達部144は、付勢された状態で当接しているだけなので、当接部分をZ方向に大きくするだけで、光学素子駆動装置1の低背化を損なうことなく、AF可動部11の移動ストロークを容易に長くすることができる。
【0087】
光学素子駆動装置1において、OIS駆動ユニット30に電圧を印加すると、OIS圧電素子32が振動し、OIS共振部31が周波数に応じた挙動で変形する。OIS駆動ユニット30の駆動力により、OIS動力伝達部34がX方向又はY方向に摺動される。これに伴い、OIS可動部10がX方向又はY方向に移動し、振れ補正が行われる。OIS支持部40がボールで構成されているので、OIS可動部10はX方向又はY方向にスムーズに移動することができる。
【0088】
具体的には、第1のOIS駆動ユニット30Xが駆動され、OIS動力伝達部34がX方向に移動する場合、第1のOIS駆動ユニット30Xが配置されている第1ステージ12から第2ステージ13に動力が伝達される。このとき、第2ステージ13とベース21とで挟持されているボール41は、X方向に転動できないので、ベース21に対する第2ステージ13のX方向の位置は維持される。一方、第1ステージ12と第2ステージ13とで挟持されているボール42は、X方向に転動できるので、第2ステージ13に対して第1ステージ12がX方向に移動する。つまり、第2ステージ13がOIS固定部20を構成し、第1ステージ12がOIS可動部10を構成する。
【0089】
また、第2のOIS駆動ユニット30Yが駆動され、OIS動力伝達部34がY方向に移動する場合、第2のOIS駆動ユニット30Yが配置されているベース21から第2ステージ13に動力が伝達される。このとき、第1ステージ12と第2ステージ13とで挟持されているボール42は、Y方向に転動できないので、第2ステージに対する第1ステージ12のY方向の位置は維持される。一方、第2ステージ13とベース21とで挟持されているボール41は、Y方向に転動できるので、ベース21に対して第2ステージ13がY方向に移動する。第1ステージ12も第2ステージ13に追従してY方向に移動することになる。つまり、ベース21がOIS固定部20を構成し、第1ステージ12及び第2ステージ13を含むAFユニットがOIS可動部10を構成する。
【0090】
このようにして、OIS可動部10がXY平面内で揺動し、振れ補正が行われる。具体的には、カメラモジュールAの角度振れが相殺されるように、振れ検出部(例えばジャイロセンサー、図示略)からの角度振れを示す検出信号に基づいて、OIS駆動ユニット30X、30Yへの通電電圧が制御される。このとき、マグネット16X、16Y及び磁気センサー25X、25Yで構成されるXY位置検出部の検出結果をフィードバックすることで、OIS可動部10の並進移動を正確に制御することができる。
【0091】
図12は、AF可動部及びOIS可動部が移動するときの基準軸を示す図である。図12は、カバー24を取り外した光学素子駆動装置1を光軸方向受光側から見た平面図である。
【0092】
図12に示すように、光学素子駆動装置1において、AF可動部11は、第1のZ方向基準軸Z1及び第2のZ方向基準軸Z2に沿って移動する。第1のZ方向基準軸Z1は、第1のZ方向基準ボール15Aの転動軸であり、第2のZ方向基準軸Z2は、第2のZ方向基準ボール15Bの転動軸である。
【0093】
第1のZ方向基準軸Z1を図13A図13Bに、第2のZ方向基準軸Z2を図14A図14Bに示す。図13A図13Bは、第1のZ方向基準ボール15Aが配置されるAF可動部11の突出部112A周辺の縦断面図及び横断面図であり、図14A図14Bは、第2のZ方向基準ボール15Bが配置されるAF可動部11の突出部112B周辺の縦断面図及び横断面図である。なお、図13B図14Bでは、構造を簡略化して示している。
【0094】
第1のZ方向基準ボール15Aは、図13A図13Bに示すように、AF可動部11及び第1ステージ12の第1のZ方向基準ボール保持部112a、122aによって挟持され、光軸直交方向における移動(AF可動部11の回転)が規制されている。これにより、AF可動部11を、光軸方向に安定した挙動で移動させることができる。
一方、第2のZ方向基準ボール15Bは、図14A図14Bに示すように、AF可動部11及び第1ステージ12の第2のZ方向基準ボール保持部112b、122bによって挟持され、光軸直交方向における移動が許容されている。これにより、AF可動部11及び第1ステージ12の寸法公差を吸収できるとともに、AF可動部11が移動する際の安定性を向上できる。
【0095】
本実施の形態では、第1のZ方向基準軸Z1及び第2のZ方向基準軸Z2は、AF可動部11の円形の開口118の中心Oを基準として、駆動力発生源であるAF駆動ユニット14側に設けられており、AF駆動ユニット14は、周方向において第1のZ方向基準軸Z1(第1のZ方向基準ボール15A)及び第2のZ方向基準軸Z2(第2のZ方向基準ボール15B)の間に位置している。つまり、AF支持部15及びAF駆動ユニット14は、光軸方向から見た平面視において、光学素子駆動装置1の片側半分の同じ側に配置されている。「片側半分の同じ側」とは、AF可動部11の開口118の中心Oを通る基準線RLを境界として同じ側であることを意味する。
AF駆動ユニット14と第1のZ方向基準軸Z1及び第2のZ方向基準軸Z2、すなわちAF駆動ユニット14とAF支持部15の位置を近づけることで、支持位置に対する回転モーメントが抑制されるので、AF可動部11の移動動作が安定する。例えば、何らかの摩擦抵抗が生じた場合であっても、AF可動部11に傾きは生じにくく、光軸方向に真っ直ぐに移動させることができる。
【0096】
第1のZ方向基準軸Z1及び第2のZ方向基準軸Z2のそれぞれとAF可動部11の開口118の中心Oとのなす角θは、45~180°であることが好ましい。さらに、第1のZ方向基準軸Z1及び第2のZ方向基準軸Z2は、AF駆動ユニット14を基準として、対称的に配置されることが好ましい。これにより、AF可動部11の移動動作の安定性をさらに向上することができる。
【0097】
また、本実施の形態では、第1のZ方向基準ボール15A及び第2のZ方向基準ボール15B(以下、「Z方向基準ボール15A、15B」と称する)は、AF可動部11の移動に伴い、滑りを生じることなく転動する。
すなわち、AF可動部11の結像側ストッパー112fは、第1ステージ12の結像側ストッパー122fよりも、基準状態において光軸方向結像側に位置し、Z方向基準ボール15A、15Bの下端(以下、「ボール下端」と称する)から離間している。AF可動部11の結像側ストッパー112fとボール下端との離間距離は、AF可動部11の移動ストロークの最大値よりも大きく設定される。
また、第1ステージ12の受光側ストッパー122eは、Z方向基準ボール15A、15Bの上端(以下、「ボール上端」と称する)から離間している。第1ステージ12の受光側ストッパー122eとボール上端との離間距離は、AF可動部11の移動に伴うZ方向基準ボール15A、15Bの移動変位の最大値(AF可動部11の最大移動ストロークよりも小さい)よりも大きく設定される。
Z方向基準ボール15A、15Bは、基準状態において、例えば、AF可動部11の受光側ストッパー112eと第1ステージ12の結像側ストッパー122fとによって挟持される。
これにより、AF可動部11が移動する際、AF可動部11の結像側ストッパー112fはボール下端に到達しないので、第1のZ方向基準ボール15A及び第2のZ方向基準ボール15Bは、滑りを生じることなく転動する。AF可動部11及び第1ステージ12とZ方向基準ボール15A、15Bとの間の摩擦は、滑り摩擦ではなく転がり摩擦となり、AF可動部11は滑らかに移動するので、AF可動部11の移動動作の安定性をさらに向上することができる。また、受光側ストッパー112e、122e及び結像側ストッパー112f、122fを設けることで、粉塵等の異物の侵入を抑制でき、Z方向基準ボール15A、15Bの転動が異物によって阻害されるのを防止できる。
【0098】
第1ステージ12の受光側ストッパー122eは、例えば、スライドカバー19によって形成される(図18A図18B参照)。図18Aは、スライドカバー19を取り付けた状態を示し、図18Bは、スライドカバー19を取り外した状態を示す。
【0099】
図18Bに示すように、スライドカバー19は、スライド方向の両側に突出長の異なる突出片19a、19bを有する。一方、第1ステージ12において、第1のZ方向基準ボール15A及び第1予圧ボール15C、第2のZ方向基準ボール15B及び第2予圧ボール15Dを収容するボール収容部(符号略)の光軸方向受光側は開放されており、開放端部に凹部126が設けられている。
【0100】
凹部123のスライド方向における一端に設けられた挿入孔126aに、突出長の長い突出片19aが挿入されるようにスライドカバー19を配置した後、凹部123の他端に設けられた挿入孔126bに、突出長の短い突出片19bが挿入されるようにスライドカバー19をスライドさせる。スライドカバー19の突出片19a、19bは、凹部126の挿入孔126a、126bと係合し、スライドカバー19はボール収容部の光軸方向受光側を閉塞する。なお、図示を省略するが、例えば、凹部126及びスライドカバー19のそれぞれの当接面に凹凸構造を設け、所定の位置でスライド不能にロックされるようにしてもよい。
【0101】
このように、スライドカバー19を用いて第1ステージ12の受光側ストッパー122eを形成することにより、AF可動部11の突出部112A、112Bに、第1及び第2のZ方向基準ボール15A、15B並びに第1及び第2予圧ボール15C、15Dを配置した状態で、第1ステージ12の光軸方向受光側からAF可動部11を挿入することができるので、組立時の作業性が向上する。
【0102】
図12に示すように、光学素子駆動装置1において、OIS可動部10(AFユニットのみ)は、第1のX方向基準軸X1及び第2のX方向基準軸X2に沿って移動する。第1のX方向基準軸X1は、X方向基準ボール42A、42Bの転動軸であり、第2のX方向基準軸X2は、X方向基準ボール42Cの転動軸である。なお、第1のX方向基準軸X1は、本実施の形態のように複数であってもよいし(第1のX方向基準軸X11、X12)、1つであってもよい。第2のX方向基準軸X2についても同様である。
【0103】
X方向基準軸X1、X2を図15A図15Cに示す。図15Aは、AF可動部11及び第1ステージ12を取り外した光学素子駆動装置1を光軸方向受光側から見た平面図である。図15Bは、X方向基準ボール保持部133A、133BのY方向に沿う縦断面であり、図15Cは、X方向基準ボール保持部133CのY方向に沿う縦断面である。なお、図15B図15Cでは、構造を簡略化して示している。
【0104】
X方向基準ボール42A、42Bは、図15Bに示すように、第2ステージ13のX方向基準ボール保持部133A、133B及び第1ステージ12のX方向基準ボール保持部123A、123Bによって挟持され、Y方向における移動が規制されている。これにより、OIA可動部10(AF可動部11及び第1ステージ12)を、X方向に安定した挙動で移動させることができる。
一方、X方向基準ボール42Cは、図15Cに示すように、第2ステージ13及び第1ステージ12のX方向基準ボール保持部133C、123Cによって、Y方向における移動が許容されている。これにより、第2ステージ13及び第1ステージ12の寸法公差を吸収できるとともに、OIS可動部10がX方向に移動する際の安定性を向上できる。
なお、X方向基準ボール42A~42Cには、OIS用付勢部材50によってZ方向に予圧が加えられている。
【0105】
本実施の形態では、第1のX方向基準軸X1(X11、X12)は、AF可動部11の円形の開口118の中心Oを基準として、駆動力発生源である第1のOIS駆動ユニット30X側に設けられている。これにより、光軸方向周りに回転させようとするモーメントが抑制されるので、OIS可動部10のX方向における移動動作が安定する。
【0106】
また、本実施の形態では、OIS可動部10(第1ステージ12)は、OIS固定部20(第2ステージ13)に対して、AF可動部11の円形の開口118の中心Oを取り囲むように配置されたX方向基準ボール42A~42Cによって、3点で支持されている。これにより、部品に反り等が生じていても、第1ステージ12はX方向基準ボール42A~42Cに確実に接触するので、第1ステージ12の姿勢が安定する。
【0107】
図12に示すように、光学素子駆動装置1において、OIS可動部10(AFユニット及び第2ステージ13)は、第1のY方向基準軸Y1及び第2のY方向基準軸Y2に沿って移動する。第1のY方向基準軸Y1は、Y方向基準ボール41A、41Bの転動軸であり、第2のY方向基準軸Y2は、Y方向基準ボール41Cの転動軸である。なお、第1のY方向基準軸Y1は、本実施の形態のように1つであってもよいし、複数であってもよい。第2のY方向基準軸Y2についても同様である。
【0108】
Y方向基準軸Y1、Y2を図16A図16Cに示す。図16Aは、AF可動部11、第1ステージ12及び第2ステージ13を取り外した光学素子駆動装置1(主にベース21)を光軸方向受光側から見た平面図である。図16Bは、Y方向基準ボール保持部217A、217BのX方向に沿う縦断面であり、図16Cは、Y方向基準ボール保持部217CのX方向に沿う縦断面である。なお、図16B図16Cでは、構造を簡略化して示している。
【0109】
Y方向基準ボール41A、41Bは、図16Bに示すように、ベース21のY方向基準ボール保持部217A、217B及び第2ステージ13のY方向基準ボール保持部134A、134Bによって挟持され、X方向における移動が規制されている。これにより、OIA可動部10(AF可動部11、第1ステージ12及び第2ステージ13)を、Y方向に安定した挙動で移動させることができる。
一方、Y方向基準ボール41Cは、図16Cに示すように、ベース21及び第2ステージ13のY方向基準ボール保持部217C、134Cによって、X方向における移動が許容されている。これにより、ベース21及び第2ステージ13の寸法公差を吸収できるとともに、OIS可動部10がY方向に移動する際の安定性を向上できる。
なお、X方向基準ボール42A~42Cには、OIS用付勢部材50によってZ方向に予圧が加えられている。
【0110】
本実施の形態では、第1のY方向基準軸Y1は、AF可動部11の円形の開口118の中心Oを基準として、駆動力発生源である第2のOIS駆動ユニット30Y側に設けられている。これにより、光軸方向周りに回転させようとするモーメントが抑制されるので、OIS可動部10のY方向における移動動作が安定する。
【0111】
また、本実施の形態では、OIS可動部10(第2ステージ13)は、OIS固定部20(ベース21)に対して、AF可動部11の円形の開口118の中心Oを取り囲むように配置されたY方向基準ボール41A~42Cによって、3点で支持されている。これにより、部品に反り等が生じていても、第2ステージ13はY方向基準ボール41A~41Cに確実に接触するので、第2ステージ13の姿勢が安定する。
【0112】
このように、実施の形態に係る光学素子駆動装置1は、第1ステージ12(第1固定部)と、第1ステージ12の径方向内側に配置されるAF可動部11(第1可動部)と、第1ステージ12に対してAF可動部11を支持するAF支持部15(第1支持部)と、第1ステージ12に配置され、第1ステージ12に対してAF可動部11を光軸方向に移動させるAF駆動ユニット14(Z方向駆動部)と、を備え、光軸方向から見た平面視形状が矩形形状である。
AF駆動ユニット14は、振動運動を直線運動に変換する超音波モーターで構成され、AF可動部11に直線運動を伝達するように矩形の第1の辺に配置される。
AF支持部15は、第1のZ方向基準ボール15A(第1基準ボール)及び第2のZ方向基準ボール15B(第2基準ボール)と、第1のZ方向基準ボール15A及び第2のZ方向基準ボール15Bを介してAF可動部11を第1ステージ12に付勢する板バネ181(第1付勢部材及び第2付勢部材)と、を有する。
AF可動部11及び第1ステージ12は、AF可動部11の円形の開口118の中心Oよりも第1の辺側に、光軸方向に沿って形成され第1のZ方向基準ボール15A及び第2のZ方向基準ボール15Bをそれぞれ収容する第1のZ方向基準ボール保持部112a、122a(第1基準ボール保持部)及び第2のZ方向基準ボール保持部112b、122b(第2基準ボール保持部)を有し、AF駆動ユニット14は、周方向において第1のZ方向基準ボール15A及び第2のZ方向基準ボール15Bの間に位置する。
【0113】
また、光学素子駆動装置1において、付勢部18は、AF支持部15を付勢する板バネ181(弾性部材)と、板バネ181とAF支持部15との間に配置されるスペーサー182と、を有する。
【0114】
また、光学素子駆動装置1において、AF駆動ユニット14(Z方向駆動部)は、光軸方向に直交する平面上に、直線状に延在し、AF支持部15(第1支持部)及びAF駆動ユニット14は、光軸方向から見た平面視において、光学素子駆動装置1の片側半分の同じ側に配置されている。
【0115】
また、光学素子駆動装置1は、OIS固定部20(第2固定部)と、第1ステージ12(第1固定部)、AF可動部11(第1可動部)及びAF支持部15(第1支持部)を有し、OIS固定部20に対して光軸方向に離間して配置されるOIS可動部10(第2可動部)と、振動を直線運動に変換する超音波モーターを有し、直線運動によりOIS可動部10を前記光軸方向に直交する方向に移動させるOIS駆動ユニット30(XY方向駆動部)と、を備える。AF駆動ユニット14(Z方向駆動部)は、光軸方向に直交する平面上の第1の辺沿う領域(第1直線領域)に配置され、OIS駆動ユニット30(XY方向駆動部)は、第1の辺に直交する第2の辺に沿う領域(第2直線領域)及び第1の辺と平行な第3の辺に沿う領域(第3直線領域)に配置されている。
【0116】
また、光学素子駆動装置1は、AF可動部11(第1可動部)の光軸方向における位置、及びOIS可動部10(第2可動部)の光軸に直交する方向における位置を検出するための磁気センサー25X、25Y、25Z(検出センサー)が実装されたセンサー基板22を備える。センサー基板22は、第1~第3直線領域以外の領域に配置されている。
【0117】
光学素子駆動装置1によれば、AF駆動ユニット14が超音波モーターで構成されているので、外部磁気の影響を低減できるとともに、小型化及び低背化を図ることができる。
また、AF駆動ユニット14のアーム部141bが光軸方向に延在してAF動力伝達部144により挟持されており、AF駆動ユニット14の駆動力がAF可動部11に最大限に伝達されるので、AF可動部11を移動させる駆動力を効率よく得ることができる。その上、AF駆動ユニット14とAF支持部15の位置を近づけることで、支持位置に対する回転モーメントが抑制されるので、AF可動部11の移動動作が安定する。したがって、光学素子駆動装置1の駆動性能が格段に向上する。
スマートフォンMのように、光学素子駆動装置1を有するカメラモジュールAを近接して配置しても磁気的な影響はないので、デュアルカメラ用として極めて好適である。
【0118】
[変形例1]
実施の形態でも述べたように、AF駆動ユニット14のAF動力伝達部144(受動要素)の構造は適宜任意に変更可能である。実施の形態では、図19A図19Bに示すように、AF動力伝達部144が板バネ144bを有しており、自身の付勢機能により、AF共振部141とAF動力伝達部144の当接状態が保持されている。この場合、光軸方向におけるAF可動部11の移動に伴い、板バネ144bによる付勢荷重が変化する。例えば、AF可動部11が光軸方向結像側に変位すると、板バネ144bによる付勢荷重が大きくなり、逆にAF可動部11が光軸方向受光側に変位すると、板バネ144bによる付勢荷重が小さくなる。そのため、AF共振部141からAF動力伝達部144に所定の動力を伝達するためには、板バネ144bの剛性を高くする等の工夫が必要となる。変形例1では、AF可動部11の変位にかかわらず、AF共振部141に対するAF動力伝達部の付勢荷重が一定となるように改善されている。
【0119】
変形例1に係るAF駆動ユニット14の構成を図21図22及び図23A図23Cに示す。図21は、変形例1に係るAF駆動ユニット14の斜視図である。図22は、変形例1に係るAF駆動ユニット14の分解斜視図である。図23Aは変形例1に係るAF駆動ユニット14の上面図、図23Bは側面図、図23C図23AのA-A矢視断面図である。
【0120】
図21等に示すように、変形例1に係るAF駆動ユニット14は、実施の形態と同様に、AF可動部11の駆動ユニット収容部115に配置される。AF可動部11には、駆動ユニット収容部115を挟んで、径方向外側に膨出するプレート収容部116が設けられている。
【0121】
AF駆動ユニット14の能動側の構成(AF共振部141等)は実施の形態と同様である。変形例1では、AF共振部141と付勢部材62との間に、プレート61が介在しており、AF共振部141からの動力がプレート61を介してAF可動部11に伝達される点が異なる。すなわち、変形例1では、2つのプレート61が、AF駆動ユニット14の受動要素であるAF動力伝達部144として機能する。
【0122】
プレート61は、例えば、チタン銅、ニッケル銅、ステンレス等の金属材料からなる硬質の板状部材である。プレート61は、主面がAF共振部141のアーム部141bと当接するように、移動方向に沿ってAF可動部11に配置され、AF可動部11と一体的に移動可能となっている。変形例1では、プレート61は、AF可動部11のプレート収容部116に配置され、物理的に係止されている。具体的には、プレート61は、ガイド挿入部611がAF可動部11に設けられたガイド溝116aに遊嵌されるとともに、固定片612が凹部116cの底面と係止片116bとの間に配置されることにより、AF可動部11に固定されている。
プレート61は、AF共振部141の取付け状態(取付け位置の個体差)に追従できるように、AF可動部11に固定されていればよく、接着されなくてもよいし、弾性変形可能な軟質接着剤(例えば、シリコーンゴム)で接着されていてもよい。
【0123】
付勢部材62は、AF共振部141のアーム部141bに向けてプレート61を付勢するための部材であり、2つのバネ部621を有している。バネ部621は、アーム部141bに対してプレート61を同じ付勢力で押し付けるように構成されている。
変形例1では、付勢部材62は、例えば、板金加工により形成されており、バネ部621は連結部622から延在する板バネで構成されている。具体的には、バネ部621の板バネは、連結部622の下部からZ方向-側に延在し、外側にヘアピン状に折り返すとともにZ方向に対して内側に傾斜させることにより形成されている。
【0124】
付勢部材62は、連結部622が駆動ユニット収容部115に設けられたバネ載置部115aに載置されるとともに、バネ部621がプレート収容部116の凹部116cに配置されることにより、AF可動部11に固定されている。プレート61は、付勢部材62のヘアピン部位に位置し、バネ部621によって内側(アーム部141b側)に向けて付勢されることとなる。変形例1では、付勢部材62は、AF駆動ユニット14の取付位置に追従できるようにAF可動部11に接着されていない。すなわち、付勢部材62は、駆動ユニット収容部115の取付け面に沿って移動可能となっており、AF駆動ユニット14(AF共振部141及びプレート61)を挟持したときに、2つのバネ部621の付勢荷重が均等になる位置に保持される。
なお、付勢部材62の構成は一例であり、適宜変更可能である。例えば、図19A等に示すAF動力伝達部144の構成を適用してもよい。また、コイルばねや硬質ゴムなどの弾性体を適用してもよい。
【0125】
このように、変形例1において、AF駆動ユニット14(Z方向駆動部)は、電圧印加により振動を発生するAF圧電素子142と、AF圧電素子142の振動に共振し、当該振動を直線運動に変換するAF共振部141(能動要素)と、AF可動部11(第1可動部)に配置され、AF共振部141の直線運動を受けてAF共振部141に対して相対的に移動するAF動力伝達部144(受動要素)と、AF可動部11に配置され、AF動力伝達部144をAF共振部141に向けて付勢する付勢部材62(第2付勢部)と、を有し、AF動力伝達部144は、AF共振部141に当接するプレート61で構成されている。具体的には、AF動力伝達部144は、AF共振部141の2つのアーム部141bに接触し、アーム部141bの動力を受けてAF共振部141に対して相対的に移動する。付勢部材62は、アーム部141bに向けてAF動力伝達部144を付勢する。AF動力伝達部144は、移動方向に沿ってAF可動部11に配置され、それぞれのアーム部141bに当接する2つのプレート61で構成され、それぞれのプレート61は、付勢部材62によってアーム部141bに付勢されている。
【0126】
これにより、付勢部材62がアーム部141bに対してプレート61を同じ付勢力で押し付けることで、AF可動部11が光軸方向に移動しても、能動要素であるAF共振部141のアーム部141bと受動要素であるプレート61との付勢状態(付勢荷重)は変動しない。したがって、実施の形態のように、AF動力伝達部144がバネ機能を兼ねている場合に比較して、AF共振部141からの動力をプレート61を介してAF可動部11に安定的に伝達することができる。
また、実施の形態のようにAF動力伝達部144がバネ機能を兼ねている場合、剛性の高い材質を適用することが困難であるが、変形例1では、プレート61の剛性を高めることが容易である。また、実施の形態に比較して、AF共振部141からAF可動部11への動力伝達経路が短い。したがって、AF共振部141からAF可動部11への動力伝達効率を向上することができる。
さらに、プレート61は、表面が平坦であるため、任意の表面処理を適切に行うことができる。例えば、表面に、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)やセラミックなどのコーティング層を形成した場合、耐摩耗性を格段に向上する。
【0127】
また、変形例1のAF駆動ユニット14において、AF動力伝達部144(受動要素)は、2つのプレート61を有し、付勢部材62は、それぞれのプレート61を付勢する2つのバネ部621を有し、AF共振部141(能動要素)及びプレート61(受動要素)は、バネ部621によって挟持されている。
これにより、2つのバネ部621による付勢力が釣り合った状態でAF駆動ユニット14が保持されるので、左右のプレート61に対して均一な付勢力を容易に作用させることができる。
【0128】
また、付勢部材62は、一部材で構成され、AF駆動ユニット14の取付状態に追従可能に、AF可動部11に配置されている。
これにより、AF駆動ユニット14の取付状態に応じて容易に追従して調心が行われるので、動作の安定性がさらに向上する。
【0129】
上述したAF駆動ユニット14の構造は、図24A図24Bに示すように、OIS駆動ユニット30にも適用することができる。図24A図4Bでは、付勢部材62は、単純な断面U字状の部材で構成されている。プレート61は、第2ステージ13に固定される。すなわち、実施の形態のOIS動力伝達部34に代えて、プレート61と付勢部材62の組合せを適用することで、ロングストロークにも容易に対応でき、動作の安定性が向上する。
【0130】
[変形例2]
図25は、変形例2に係るOIS可動部10を光軸方向受光側から見た平面図である。図26は、変形例2に係るOIS可動部10の分解斜視図である。なお、図25、26では、第2ステージ13を省略している。図27A図27Bは、変形例2に係るAF可動部11及び第1ステージ12の平面図である。図28A図28Bは、変形例2に係るOIS可動部10の横断面及び縦断面の拡大図である。図28Aは、図28BのC-C矢視断面図であり、図28Bは、図25のB-B矢視断面図である。図29A図29Bは、AF支持部15の配置を示す拡大図である。
なお、実施の形態及び変形例1に示す光学素子駆動装置1と同一又は対応する構成要素については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0131】
図25等に示すように、変形例2において、AF可動部11は、レンズ収容部111の周面部に、第1ステージ12に向けて突出する突出部112C、112D、117A、117Bを有する。突出部112C、112Dは、実施の形態と同様である。突出部117A、117Bは、X方向に対向するように配置され、レンズ収容部111の接線方向(ここでは、X方向)に延在する一つの空間を形成する。
【0132】
突出部117A、117Bは、第1ステージ12とともに、AF支持部15としてのZ方向基準ボール15A、15Bを保持する。一方の突出部117Aには、第1のZ方向基準ボール15Aを収容する第1のZ方向基準ボール保持部117aが形成されている。他方の突出部117Bには、第2のZ方向基準ボール15Bを収容する第2のZ方向基準ボール保持部117bが形成されている。第1のZ方向基準ボール保持部117a及び第2のZ方向基準ボール保持部117bは、溝底に向かって溝幅が狭くなるように断面形状が略V字状(テーパー形状)に形成される。
【0133】
また、AF可動部11において、突出部117A、117Bによって形成される空間が、AF駆動ユニット14が配置される駆動ユニット収容部115となる。AF駆動ユニット14の保持構造は、例えば、変形例1と同様である。すなわち、AF共振部141と付勢部材62との間に、AF駆動ユニット14の受動要素であるプレート61が介在している。2つのプレート61の間にAF駆動ユニット14が挟持され、AF共振部141からの動力がプレート61を介してAF可動部11に伝達されるようになっている。
変形例2では、突出部117A、117Bは、実施の形態における突出部112A、112BのZ方向基準ボール15A、15Bを収容する機能と、変形例1におけるプレート収容部116のプレート61を収容する機能を兼用している。
【0134】
第1ステージ12には、AF可動部11の突出部117A、117B及びこれらに挟まれた空間に対応する部分が切り欠かれて、AFモーター固定部125が形成されている。また、AFモーター固定部125の両側には、第1のZ方向基準ボール保持部127a及び第2のZ方向基準ボール保持部127bが連設されている。
【0135】
第1のZ方向基準ボール保持部127aは、レンズ収容部111の接線方向D1に沿って形成されている(図29A参照)。また、第1のZ方向基準ボール保持部127aの内面(AFモーター固定部125側の面)は、溝底に向かって溝幅が狭くなるように断面形状が略V字状(テーパー形状)に形成されている。
【0136】
第2のZ方向基準ボール保持部127bは、レンズ収容部111の接線方向D1に対して傾斜して形成されている(図29B参照)。また、第2のZ方向基準ボール保持部127bの内面(AFモーター固定部125側の面)は、断面形状が略U字状に形成されている。第2のZ方向基準ボール保持部127bには、第2のZ方向基準ボール15Bとともに、第2のZ方向基準ボール15Bを介してAF可動部11を付勢するための付勢部18(板バネ181及びスペーサー182)が配置される。なお、図27Bでは、板バネ181を取り外した状態を示している。
【0137】
第2のZ方向基準ボール15Bは、レンズ収容部111の接線方向D1に対して、斜めに付勢される(図29B参照)。これにより、AF可動部11は、第2のZ方向基準ボール15Bを介して直交する2方向であるX方向及びY方向に押し付けられ、光軸直交面内において安定した姿勢で保持される。接線方向D1と付勢方向D2のなす角をθ、板バネ181の予圧をFとした場合、Y方向の押し付け力はF1=F・sinθとなり、X方向の押し付け力はF2=F・cosθとなる。
【0138】
ここで、接線方向D1と付勢方向D2のなす角θは、例えば、0°~45°(0°を除く)である。付勢方向D2は、例えば、予圧Fとの兼ね合いで、AF可動部11の光軸周りの回転が規制されるように設定される。例えば、付勢方向D2と接線方向D1のなす角θを大きくすると、Y方向の押し付け力が大きくなるので板バネ181の予圧Fを小さくできるが、突出部117A、117Bの突出長を大きくする必要があるなど、スペース的に不利になる。逆に、付勢方向D2と接線方向D1のなす角θを小さくするとスペース的に有利であるが、Y方向の押し付け力が小さくなるので板バネ181の予圧を大きくする必要がある。
【0139】
AF可動部11及び第1ステージ12の第1のZ方向基準ボール保持部117a、127aの間に、第1のZ方向基準ボール15Aが転動可能な状態で保持される。また、第1ステージ12の第2のZ方向基準ボール保持部127bに配置されたスペーサー182とAF可動部11の第2のZ方向基準ボール保持部117bとの間に、第2のZ方向基準ボール15Bが転動可能な状態で保持される。AF可動部11は、第1のZ方向基準ボール15A及び第2のZ方向基準ボール15Bを介して、付勢された状態で第1ステージ12に支持され、安定した姿勢で保持される。変形例2では、第2のZ方向基準ボール15Bは、予圧ボールとしても機能している。
【0140】
第1のZ方向基準ボール15Aは、AF可動部11と第1ステージ12によって挟持され、光軸直交方向における移動(AF可動部11の回転)が規制されている。これにより、AF可動部11を、光軸方向に安定した挙動で移動させることができる。
【0141】
一方、第2のZ方向基準ボール15Bは、板バネ181及びスペーサー182を介してAF可動部11と第1ステージ12によって挟持され、光軸直交方向における移動が許容されている。これにより、AF可動部11及び第1ステージ12の寸法公差を吸収できるとともに、AF可動部11が移動する際の安定性が向上する。
【0142】
また、第1のZ方向基準ボール15A及び第2のZ方向基準ボール15Bは、それぞれ、2個のボールで構成されており、実施の形態及び変形例1に比較して直径が大きく設定されている。この場合、実施の形態及び変形例1に比較して、第1のZ方向基準ボール15A及び第2のZ方向基準ボール15Bの転がり抵抗が小さくなる。
【0143】
このように、変形例2において、第1ステージ12(固定部)に対してAF可動部11(可動部)を支持するAF支持部15は、第1のZ方向基準ボール15A(第1基準ボール)、第2のZ方向基準ボール15B(第2基準ボール)、及び第2のZ方向基準ボール15Bを介してAF可動部11を第1ステージ12に付勢する板バネ181(付勢部材)、を有する。AF可動部11は、円筒状のレンズ収容部111(周面部)と、第1ステージ12に向けて突出するようにレンズ収容部111に設けられX方向(レンズ収容部111の接線方向D1)に延在する一つの空間を形成する突出部117A、117B(第1突出部及び第2突出部)を有する。AF駆動ユニット14(駆動ユニット)は、突出部117A、117Bの間に挟持され、第1のZ方向基準ボール15A及び第2のZ方向基準ボール15Bは、突出部117A、117BのAF駆動ユニット14が配置されている側とは反対側に配置されている。
また、AF支持部15(第1支持部)は、AF駆動ユニット14(Z方向駆動部)の延在方向において、AF駆動ユニット14を挟んだ両側2箇所に配置され、付勢部18(第1付勢部)は、一方のAF支持部15側に配置されている。
【0144】
実施の形態及び変形例1では、AF可動部11は、円筒状のレンズ収容部111から突出する突出部112A、112Bを有しており、突出部112A、121Bが、それぞれ第1のZ方向基準ボール15Aと第1予圧ボール15C、第2のZ方向基準ボール15Bと第2予圧ボール15Dで挟持されている。すなわち、第1ステージ12に対してAF可動部11を2箇所で支持する構成となっている。
AF可動部11を光軸方向に移動させる場合、AF駆動ユニット14の駆動力を受ける力点(AF共振部141とAF動力伝達部144との接触点)から回転軸(第1のZ方向基準ボール15Aの中心)までの距離に応じて、AF可動部11にモーメントが生じるため、AF可動部11はモーメントを相殺しうる予圧で第1ステージ12に押し付けられる必要がある。
実施の形態及び変形例1では、第1ステージ12に対してAF可動部11を2箇所で支持する構成となっているため、外部からの力を分散して受けることができるが、力点から回転軸までの距離を小さくしてモーメントを減少させ、予圧を小さくするには限界がある。
【0145】
これに対して、変形例2では、AF可動部11において、AF駆動ユニット14が配置されている部分を、第1のZ方向基準ボール15A及び第2のZ方向基準ボール15Bで挟み込み、第2のZ方向基準ボール15Bに予圧を与える構成、すなわち、第1ステージ12に対してAF可動部11を1箇所で支持する構成となっている。
これにより、実施の形態及び変形例1に比較して、AF駆動ユニット14の駆動力を受ける力点から回転軸までの距離を小さくしやすく、モーメントを減少させて予圧を小さくすることができる。また、第2のZ方向基準ボール15Bが予圧ボールとして機能し、実施の形態における第1及び第2予圧ボール15C、15Dが不要となるので、転がり抵抗を小さくすることができる。したがって、AF駆動ユニット14の駆動効率が向上し、大口径レンズ用の光学素子駆動装置としても好適なものとなる。また、予圧が同じであれば、チルト耐性が向上することになる。
【0146】
また、変形例2において、板バネ181による第2のZ方向基準ボール15Bの付勢方向D2は、接線方向D1と交差する。具体的には、接線方向D1と付勢方向D2のなす角θは、0°~45°である。AF駆動ユニット14の延在方向は、接線方向D1と同じであるので、付勢部18(第1付勢部)は、平面視における付勢方向がAF駆動ユニット14の延在方向と交差し、かつ、AF駆動ユニット14を付勢するように配置されているともいえる。
これにより、第2のZ方向基準ボール15Bを介して、直交する2方向であるX方向及びY方向にAF可動部11が押し付けられるので、光軸直交面内における姿勢を安定させることができる。
【0147】
また、変形例2において、第1のZ方向基準ボール15A及び第2のZ方向基準ボール15Bは、それぞれ2個のボールで構成されている。
これにより、実施の形態及び変形例1に比較して、第1のZ方向基準ボール15A及び第2のZ方向基準ボール15Bの転がり抵抗を小さくすることができ、AF駆動ユニット14の駆動効率がさらに向上する。
【0148】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0149】
例えば、実施の形態では、カメラモジュールAを備えるカメラ搭載装置の一例として、カメラ付き携帯端末であるスマートフォンMを挙げて説明したが、本発明は、カメラモジュールとカメラモジュールで得られた画像情報を処理する画像処理部を有するカメラ搭載装置に適用できる。カメラ搭載装置は、情報機器及び輸送機器を含む。情報機器は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機、webカメラ、カメラ付き車載装置(例えば、バックモニター装置、ドライブレコーダー装置)を含む。また、輸送機器は、例えば自動車を含む。
【0150】
図30A図30Bは、車載用カメラモジュールVC(Vehicle Camera)を搭載するカメラ搭載装置としての自動車Vを示す図である。図30Aは自動車Vの正面図であり、図30Bは自動車Vの後方斜視図である。自動車Vは、車載用カメラモジュールVCとして、実施の形態で説明したカメラモジュールAを搭載する。図30A図30Bに示すように、車載用カメラモジュールVCは、例えば前方に向けてフロントガラスに取り付けられたり、後方に向けてリアゲートに取り付けられたりする。この車載用カメラモジュールVCは、バックモニター用、ドライブレコーダー用、衝突回避制御用、自動運転制御用等として使用される。
【0151】
実施の形態では、AF可動部11及び第1ステージ12の両方に、第1のZ方向基準ボール保持部112a、122a及び第2のZ方向基準ボール保持部112b、122bが設けられているが、第1のZ方向基準ボール保持部及び第2のZ方向基準ボール保持部は、AF可動部11及び第1ステージ12のいずれか一方に設けられてもよい。
【0152】
また、実施の形態では、第1のZ方向基準ボール15A及び第2のZ方向基準ボール15Bは、AF駆動ユニット14を基準として、周方向に対称的に配置されているが、非対称的に配置されてもよい。この場合、AF可動部11の移動動作を安定させるためには、第1のZ方向基準ボール15AがAF駆動ユニット14側となるようにするのが好ましい。
【0153】
また、実施の形態では、AF駆動ユニット14がX方向に沿って配置されているが、AF駆動ユニット14の配置態様はこれに限定されず、例えば、Y方向に沿って配置されてもよいし、X方向及びY方向に対して傾斜して配置されてもよい。
【0154】
また、本発明は、オートフォーカスだけでなく、ズームなど、可動部を光軸方向に移動させる場合に適用することができる。
さらに、AFユニットの支持構造は、AF駆動ユニット14のように駆動源が超音波モーターで構成されている場合に限らず、超音波モーター以外の駆動源(例えば、ボイスコイルモーター(VCM))を備える光学素子駆動装置にも適用することができる。
【0155】
また、実施の形態では、光学素子としてレンズ部2を駆動する光学素子駆動装置1について説明したが、駆動対象となる光学素子は、ミラーやプリズムなどのレンズ以外の光学素子であってもよい。
【0156】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0157】
2020年3月30日出願の米国仮出願63/002,305、2020年7月15日出願の米国仮出願63/051,917、及び2020年9月15日出願の米国仮出願63/078,357に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【符号の説明】
【0158】
1 光学素子駆動装置
10 OIS可動部(第2可動部)
11 AF可動部(第1可動部)
12 第1ステージ(第1固定部)
13 第2ステージ
14 AF駆動ユニット(Z方向駆動部)
141 AF共振部(能動要素)
142 AF圧電素子
143 AF電極
144 AF動力伝達部(受動要素)
15 AF支持部(第1支持部)
15A 第1のZ方向基準ボール(第1基準ボール)
15B 第2のZ方向基準ボール(第2基準ボール)
18 付勢部(第1付勢部)
181 板バネ(弾性部材)
182 スペーサー
20 OIS固定部(第2固定部)
21 ベース
30 OIS駆動ユニット(XY方向駆動部)
31 OIS共振部(能動要素)
32 OIS圧電素子(能動要素)
33 OIS電極
34 OIS動力伝達部(受動要素)
40 OIS支持部(第2支持部)
50 OIS用付勢部材
61 プレート(受動要素)
62 付勢部材
112a、122a 第1のZ方向基準ボール保持部(第1基準ボール保持部)
112b、122b 第2のZ方向基準ボール保持部(第2基準ボール保持部)
A カメラモジュール
M スマートフォン(カメラ搭載装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
【手続補正書】
【提出日】2022-10-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動部と、
固定部に設けられ、圧電素子に供給される電力により振動する一対のアームを有する共振部を有する超音波モーターと、
付勢された状態で前記共振部に当接し、前記共振部の振動を直線運動に変換して前記可動部に伝達する動力伝達部と、を有し、
前記動力伝達部は、前記可動部に設けられ、夫々が硬質材料からなり、前記一対のアームに夫々外側から当接する内面を有する一対のプレートと、前記可動部に設けられ、前記一対のプレートの前記内面とは反対側の外面を押圧することにより前記一対のプレートを付勢して前記一対のアームに押し付ける一対の支持部材と、を有し、前記共振部の振動を前記プレートを介して伝達する、
超音波駆動装置。
【請求項2】
前記一対のプレートは、移動対象である前記可動部に固定されたプレート収容部に配置される、
請求項1に記載の超音波駆動装置。
【請求項3】
前記一対のプレートは、移動対象である前記可動部の移動方向に沿って形成されたガイド溝に配置される、
請求項1に記載の超音波駆動装置。
【請求項4】
前記支持部材は、折り返して傾斜した状態で前記一対のプレートに当接する板バネを有する、
請求項1に記載の超音波駆動装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の超音波駆動装置と、
前記可動部に装着される光学素子と、
前記光学素子により結像された被写体像を撮像する撮像部と、を備える、
カメラモジュール。
【請求項6】
情報機器又は輸送機器であるカメラ搭載装置であって、
請求項5に記載のカメラモジュールと、
前記カメラモジュールで得られた画像情報を処理する画像処理部と、を備える、
カメラ搭載装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明に係る超音波駆動装置は、
可動部と、
固定部に設けられ、圧電素子に供給される電力により振動する一対のアームを有する共振部を有する超音波モーターと、
付勢された状態で前記共振部に当接し、前記共振部の振動を直線運動に変換して可動部に伝達する動力伝達部と、を有し、
前記動力伝達部は、前記可動部に設けられ、夫々が硬質材料からなり、前記一対のアームに夫々外側から当接する内面を有する一対のプレートと、前記可動部に設けられ、前記一対のプレートの前記内面とは反対側の外面を押圧することにより前記一対のプレートを付勢して前記一対のアームに押し付ける一対の支持部材と、を有し、前記共振部の振動を前記プレートを介して伝達する。