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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186688
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】結合塩素の生成方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 233/82 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
C07D233/82
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147749
(22)【出願日】2022-09-16
(62)【分割の表示】P 2018088017の分割
【原出願日】2018-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】594109705
【氏名又は名称】アムテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174816
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 貴久
(74)【代理人】
【識別番号】100116056
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 信夫
(72)【発明者】
【氏名】藤田 友則
(57)【要約】
【課題】 冷却水系、循環式浴槽、紙パルプの製造工程用水などの水系では、細菌類、真菌類、藻類などから構成されるスライムが系内に発生し、伝熱効率の低下や配管の閉塞、金属材料の腐食など微生物障害を引き起こすことが多い。このような、スライムの発生を抑制し、また発生したものを軽減するために、遊離塩素や結合塩素剤が用いられていた。しかし、従来のものはどちらも問題があった。
【解決手段】 a 亜塩素酸塩、b 5,5-ジメチルヒダントイン、スルファミン酸、塩化アンモニウムから選択される1種以上の含窒素化合物、上記a及びbを含有する液体混合物に、紫外線を照射することを特徴とする結合塩素の生成方法。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a 亜塩素酸塩、
b 5,5-ジメチルヒダントイン、スルファミン酸、塩化アンモニウムから選択される1種以上の含窒素化合物、
上記a及びbを含有する液体混合物に、紫外線を照射することを特徴とする結合塩素の生成方法。
【請求項2】
前記紫外線の強度が、前記液体混合物の表面において、1mW/cm以上である請求項1に記載の結合塩素の生成方法。
【請求項3】
前記紫外線波長が100nm~365nmである請求項1又は2に記載の結合塩素の生成方法。
【請求項4】
前記液体混合物のpHが6~13である請求項1~3のいずれか1項に記載の結合塩素の生成方法。
【請求項5】
前記紫外線の照射中に前記液体混合物のエアレーションを行い、生成した二酸化塩素を連続的に外部に取り出す工程を加えた請求項1~4のいずれか1項に記載の結合塩素の生成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結合塩素化合物の生成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷却水系、循環式浴槽、紙パルプの製造工程用水などの水系では、細菌類、真菌類、藻類などから構成されるスライムが系内に発生し、伝熱効率の低下や配管の閉塞、金属材料の腐食など微生物障害を引き起こすことが多い。このような、スライムの発生を抑制し、また発生したものを軽減するために、遊離塩素や結合塩素剤が用いられていた。
遊離塩素を用いるものとしては、次亜塩素酸塩等を用いて遊離塩素を発生させる方法が多いが、次亜塩素酸塩は紫外線や配管材料等から溶出した銅や鉄イオンにより分解が促進されるため有効成分の低下が早く、効き目が一定しない。
【0003】
また、結合塩素剤を用いるタイプとしては、クロラミンや塩素化ヒダントインなどを利用する方法が提案されているが(特許文献1、2)、これらの結合塩素は、保存安定性が低いため、使用直前に結合塩素を生成しなければならない。このため、被処理水へ添加する前に溶解・混合させておくか、次亜塩素酸塩等を添加した水に含窒素化合物を添加し結合塩素を生成させる必要があり、使用方法が煩雑であるという問題がある。
【0004】
また、特許文献3には、塩素系酸化剤とスルファミン酸又はその塩から生成するN-クロロスルファミン酸若しくはN,N-ジクロロスルファミン酸又はこの塩を含有する安定な液体製剤が示されているが、該液体製剤の安定化には、pH13以上の強アルカリ性にする必要があるため、金属腐食の問題や取り扱い上の危険性がある。
【0005】
特許文献4には、塩素系酸化剤とスルファモイル安息香酸およびその誘導体を含有する液体製剤について、pH9.5以上で安定化できることが示されているが、該液体製剤はクロロスルファミン酸に比べスライム除去効果が低い、TOC(全有機炭素)が増大するなどの問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10-28981号公報
【特許文献2】特許第5551120号公報
【特許文献3】特許第3832399号公報
【特許文献4】特許第4966936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、上記の問題を克服することにあり、具体的には、種々の結合塩素化合物を簡便に生成する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上のような現状に鑑み、本発明者は鋭意研究の結果、本発明結合塩素化合物の生成方法を完成したものであり、その特徴とするところは、a 亜塩素酸塩、b 第一級及び第二級アミン、アンモニア及びアンモニウム塩から選択される1種以上の含窒素化合物、上記a及びbを含有する液体混合物に、紫外線を照射する点にある。
【0009】
本発明でいう結合塩素化合物は、1種でも複数種でもよい。また、ここでいう液体混合物は、上記a、bを混合した水溶液である。a及びbのすべての組成物が原則として水溶性である。全体としての濃度は特に限定しないが、溶ければ問題はない。ただし、濃度が高い場合には、後述する紫外線の強度に影響がある。
【0010】
本発明のポイントは、紫外線の照射にある。これによって、反応を開始、促進させるのである。まず、亜塩素酸塩と含窒素化合物を含む混合物に、紫外線を照射した際の結合塩素の生成機序について説明する。亜塩素酸塩(例えば、NaClO)は、紫外線を照射すると以下の光分解反応が起こり、次亜塩素酸イオン(ClO)、次亜塩素酸ラジカル(ClO)、原子状酸素(O)、原子状酸素アニオンラジカル(O)、及び二酸化塩素(ClO)を生じる。
ClO +hν→ClO+O
ClO +hν→ClO+O
ClO +hν→(ClOは励起状態)
(ClO +ClO →ClO+ClO+O
【0011】
光分解によって生じた次亜塩素酸イオンは、アミンやアンモニアと直ちに反応し結合塩素を生成する。
ClO+R-NH(第1級アミン)→R-NHCl
2ClO+R-NHCl→R-NCl
※次亜塩素酸ラジカル、原子状酸素、原子状酸素アニオンラジカル(O)等の分解生成物は、種々の反応経路を経て、亜塩素酸イオンや二酸化塩素、その他の副生成物を生成する。
【0012】
また、特許文献3にも、塩素系酸化剤とスルファミン酸又はその塩から結合塩素が生成することが示されており、この塩素系酸化剤の1 つとして亜塩素酸またはその塩が挙げられている。しかし、結合塩素の生成は一般に塩素化反応で進行することが知られており、亜塩素酸またはその塩とスルファミン酸又はその塩を共存させるだけでは、通常、結合塩素が生成することはない。このことは、本発明者の実験結果からも明らかである。さらに、該殺菌殺藻組成物の構成要件として、紫外線の照射処理については何ら記載されていない。
【0013】
さらに、亜塩素酸又はその塩は、酸性条件下において不均化反応を起こすことが知られており、これにより僅かに遊離塩素を生成する場合があるが、該殺菌殺藻組成物は、結合塩素を安定化するためpH13以上が必要となるため、実質的に遊離塩素は生成しないものと考えられる。
【0014】
また、特公平06-49562号公報には、亜塩素酸塩に緩衝剤を添加してpHを酸性にした溶液に、紫外線を照射して二酸化塩素を発生させる方法が示されているが、結合塩素の生成法については何ら触れられていない。
【0015】
本発明の亜塩素酸塩としては、例えば亜塩素酸アルカリ金属塩や亜塩素酸アルカリ土類金属塩が挙げられる。亜塩素酸アルカリ金属塩としては、例えば亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、亜塩素酸リチウムが挙げられ、亜塩素酸アルカリ土類金属塩としては、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸バリウムが挙げられる。該亜塩素酸塩としては、水溶性、経済性などの観点からナトリウム塩やカリウム塩などのアルカリ金属塩が好適である。これらの亜塩素酸塩は 1 種を単独で用いても、2 種以上を併用しても構わない。
【0016】
本発明では、第一級及び第二級アミンとしては、限定はしないが、以下のものが好適である。スルファミン酸、N-メチルスルファミン酸、N,N―ジメチルスルファミン酸、N-メチルスルファミン酸、N-メチルスルファミド、有機スルホンアミド、タウリン、N-メチルタウリン、ジメチルタウリン、N,N-ジヒドロキシエチルタウリン、グリシン、N-メチルグリシン、尿素、アルカノールアミン、エチレンジアミン、スクシンイミド、シアヌル酸、アルキルヒダントイン、サッカリン、ベンゼンスルホンアミド、パラトルエンスルホンアミド、メラミンである。
【0017】
アンモニアとしては、特に制限はなく、市販されているものであれば、試薬・医薬品・工業・食添グレード何れも使用することができる。
【0018】
アンモニウム塩としては、特に制限はないが、例えば無機酸のアンモニウム塩として、リン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウムが、有機酸のアンモニウム塩として、クエン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、乳酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウムが挙げられる。これらの中で、副生成物が少ない点で無機酸のアンモニウム塩が好ましい。
【0019】
亜塩素酸塩と含窒素化合物の配合比率は、亜塩素酸イオン(ClO )/Nモル比で7~0.5が好ましく5~1がより好ましい。(ClO )/Nモル比がこの範囲を外れた場合、結合塩素生成量が不足したり、結合塩素生成量に対する含窒素化合物の配合量が過剰となる場合がある。
【0020】
本発明の液体混合物は、pH6~13の範囲にあることが好ましい。この範囲以外では、液体製剤の安定性が低下したり、取り扱い上の危険性が増すためである。
【0021】
本発明で使用する紫外線発光源は、紫外線を単独に、あるいは紫外線を含めて放つものであれば従来公知の光源を使用することができる。従って、光源の波長は紫外線波長(200~380nmの近紫外線、10~200nmの遠紫外線、1~10nmの極紫外線)に限定されず、波長380~720nmの可視光線を含んだ紫外線であっても構わない。紫外線発光体としては、安価で取り扱いしやすい、水銀ランプ、LEDランプが好ましいが、キセノンランプ、重水素ランプなどが挙げられる。なお、紫外線の波長は、結合塩素の生成効率の観点から100~365nmが好ましい。
【0022】
上記紫外線の照射強度は、結合塩素生成速度の点から、前記液体混合物の表面において、1mW/cm以上が好ましく、10mW/cm以上がより好ましい。しかし、高すぎると無駄であるし、他に影響がある可能性があるため、1000mW/cm以下が好ましい。
【0023】
液体組成物への紫外線の照射時間は、紫外線波長や強度などによって変動するため、一概に設定することは出来ないが、光分解反応が進行し、亜塩素酸イオンの濃度が低下すると、生成した結合塩素が紫外線により分解する場合があるため、長時間の照射は好ましくない。よって、紫外線の照射時間は、亜塩素酸イオン残存率が初期濃度に対して5~50%、好ましくは、10~40%となるよう設定するのが好ましい。
【0024】
本発明の混合物(紫外線照射前)は、組成物の安定性や結合塩素等の生成を阻害することのない範囲で、亜塩素酸塩と含窒素化合物以外の成分を加えてもよい。他の成分としては、臭素化合物、pH調整剤、緩衝剤、界面活性剤、分散剤、キレート剤、腐食防止剤、香料などが挙げられる。
【0025】
本発明の混合物は、予め高濃度の水溶液を調製し使用時に適宜希釈しても良いし、亜塩素酸塩と含窒素化合物を含む粉体をそのまま若しくは錠剤等に成型し、使用時に水に溶解させても良い。
【0026】
本発明では、亜塩素酸塩の光分解反応によって生じる二酸化塩素が、最終的に得られる組成物に含まれる場合がある。この二酸化塩素は、殺菌効果・スライム除去効果に優れ、また低毒性である。よって、本発明方法で生成された結合塩素化合物が、被処理水系に使用される場合には、この二酸化塩素も除去せず、混合物のまま使用することができる。よって、非常に便利である。
【0027】
また、二酸化塩素は上記のようにそのまま放置せず、順次系外に取り出してもよい。なぜならば、照射している紫外線によって二酸化塩素が分解されるため、それを防止又は軽減するためである。また二酸化塩素の生成量増加のため、即ち反応促進のために、生成する二酸化塩素を系外に取り出してもよい。系外への取り出しは、連続的でも間歇的でもよい。
二酸化塩素を系外に取り出す方法としては、エアレーション、加熱、超音波、減圧脱気、気体分離膜法などが挙げられ、これらの中で、操作性・経済性の観点からエアレーションが好ましい。エアレーションの気体は、特に制限されないが、空気や窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなどの不活性ガスが利用できる。
即ち、溶液中に発生した二酸化塩素を添加した気体と共に液体の中から取り出すのである。エアレーションは、紫外線照射中、全期間行ってもよいが、一部期間でも、間歇的でもよい。
【0028】
結合塩素単体での適用が好ましい、即ち二酸化塩素ガスが不要な環境においては、上記同様に二酸化塩素を予め系外に除去し、又は波長365nm付近の紫外線を連続照射して、二酸化塩素を分解除去してもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明で得られる結合塩素化合物は、冷却塔、循環式浴槽、ボイラ、製紙プロセル、分離膜、バラスト水、スイミングプールなど、微生物汚染やスライム障害が問題となる各種水系の殺菌洗浄用途において、好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において、亜塩素酸イオン濃度、遊離塩素濃度、結合塩素濃度、二酸化塩素濃度の分析は、以下の方法に従って実施した。
【0031】
〔亜塩素酸イオン濃度の分析〕
イオンクロマトグラフ(サプレッサ方式)による分析を実施した。分析条件は下記の通り。
カラム:Shim-pack IC-SA3
検出器:電気伝導度
溶離液:3.6mM 炭酸ナトリウム水溶液
流量:0.8mL/min
カラム温度:40℃
【0032】
〔遊離塩素、結合塩素、二酸化塩素濃度の分析〕
AQUALYTIC社の簡易型水質計AL-100を用い、DPD(N,N-ジエチルーp-フェニレンジアミン)吸光光度法による濃度測定を実施した。各測定手順は、下記の方法に従った。
【0033】
〔遊離塩素、結合塩素及び二酸化塩素濃度の測定〕
適宜希釈した試料を10mL採取し、DPD試薬を添加し、溶解後、残留塩素測定モードにて直ちに濃度を測定(A:遊離塩素+二酸化塩素)。次いで、KI試薬を加え、2分間反応させた後、再度濃度を測定(B:遊離塩素+結合塩素+二酸化塩素)。
・二酸化塩素濃度の測定
適宜希釈した試料を10mL採取し、10%グリシン水溶液を10マイクロL添加。DPD試薬を添加し、溶解後、二酸化塩素測定モードにて直ちに濃度を測定(C:二酸化塩素)。
上記の測定結果から、下記式により各成分濃度を算出した。
・結合塩素濃度=(B-A)×希釈倍率
・遊離塩素濃度=(A-C×0.53)×希釈倍率
・二酸化塩素濃度=C×希釈倍率
*AL-100測定モード間における二酸化塩素濃度測定値の比
残留塩素測定モード/二酸化塩素測定モード=0.53
【0034】
<試験1:亜塩素酸/含窒素化合物の光反応特性>
純水に亜塩素酸ナトリウム及び含窒素化合物として、5,5-ジメチルヒダントイン又は塩化アンモニウムを配合し、リン酸緩衝剤、水酸化ナトリウムを加え、所定のpHに調整した水溶液を得た(実施例1~7)。同様に亜塩素酸ナトリウムのみを配合した水溶液を調整した(比較例1~4)。各試料は、遮光条件下、室温で1日間保管した後、各成分濃度を測定した。また、角型石英セル(10mm×10mm×40mm)に試料2.5gを採取し、セル側面の距離から紫外線を照射し、所定時間経過後の濃度測定を行った。紫外線光源はUV-LEDを用い、照射光波長および強度(液面)は、λ265nm(15mW/cm)、λ300nm(25mW/cm)、λ365nm(140mW/cm)とした。
【0035】
実施例と比較例の成分を表1及び表2に、結果を表3及び表4に示す。
【表1】
【表2】
【0036】
【表3】
【表4】
【0037】
実施例1~7の亜塩素酸ナトリウムと含窒素化合物を含有する組成物では、いずれも紫外線照射前において結合塩素、遊離塩素、二酸化塩素は検出されなかったが、紫外線照射後、結合塩素及び二酸化塩素濃度の顕著な増加が認められた、また実施例1及び実施例2では、若干ではあるが遊離塩素の生成も認められた。一方、比較例1~4では、紫外線照射後の生成物は、二酸化塩素と遊離塩素のみであった。上記結果から、本発明では、液体組成物中の含窒素化合物を変えることで、種々の結合塩素を生成することが確認された。
【0038】
試験2
<エアレーションの併用効果>
実施例1の組成物20gを、エアレーション用ガラスフィルターを取り付けた石英瓶にとり、テフロン(登録商標)チューブを用いて純水100mL入りのガラス瓶を3ヶ(二酸化塩素回収用)と直列に接続した。0.3L/分で空気を送りながら組成物に紫外線を照射し、所定時間経過後、各成分濃度の測定及び二酸化塩素生成量を算出した。その結果を表5に示す。これにより、エアレーションを行うと、二酸化塩素生成量が増加することが分かる。
【表5】
【0039】
実施例3のエアレーションを加えた場合、エアレーションなしの場合と比べ、二酸化塩素生成量が10倍程度増加することが確認された。
【0040】
試験3
<液体組成物の保存安定性>
純水に25%亜塩素酸ナトリウム、5,5-ジメチルヒダントイン、水酸化ナトリウムを配合し、pH9.5の組成物を得た(実施例9)。また、純水に12%次亜塩素酸ナトリウム、5,5-ジメチルヒダントイン、水酸化ナトリウムを配合し、結合塩素を含む組成物を得た(比較例5)。各水溶液を50℃で7日間経時させた後、有効成分濃度を測定した。
なお、亜塩素酸イオン及び有効塩素濃度はヨウ素滴定法により、また5,5-ジメチルヒダントイン濃度(DMH)は、紫外可視吸光光度計による吸光度(λ212nm)により測定した。
【0041】
結果を表6に示す。
【表6】
【0042】
実施例9の亜塩素酸ナトリウムと5,5-ジメチルヒダントインを含有する組成物では、50℃×7日間経時後において、亜塩素酸イオン及びジメチルヒダントイン濃度の低下は僅少であった。一方、比較例5の結合塩素を含む組成物では、経時後において有効塩素は検出されなかった。