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特開2022-186690ステント監視組立体及びその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186690
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】ステント監視組立体及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20221208BHJP
   A61F 2/82 20130101ALI20221208BHJP
   A61F 2/07 20130101ALI20221208BHJP
【FI】
A61B5/00 102A
A61F2/82
A61F2/07
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022149210
(22)【出願日】2022-09-20
(62)【分割の表示】P 2019221806の分割
【原出願日】2014-03-14
(31)【優先権主張番号】61/787,861
(32)【優先日】2013-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522327463
【氏名又は名称】カナリー メディカル スウィッツァーランド アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ハンター ウィリアム エル
(57)【要約】
【課題】ステント及びステント上及び/又は内に配置されたセンサを含む組立体を提供する。
【解決手段】本発明の組立体では、或る特定の観点の範囲内において、センサがワイヤレスセンサであり、このセンサは、例えば、1つ又は2つ以上の流体圧力センサ、接触センサ、位置センサ、加速度計、脈圧センサ、血液量センサ、血流量センサ、血液化学センサ、血液代謝センサ、機械的応力センサ及び/又は温度センサを含む。或る特定の観点の範囲内において、これらステントは、ステント留置を助け、ステント機能を監視し、ステント治療の合併症を鑑別し、生理学的パラメータを監視すると共に/或いは体内通路、例えば血管管腔を医学的に画像化するために利用できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組立体であって、ステントと、前記ステント上又は内部に配置されたセンサとを含む、組立体。
【請求項2】
前記センサは、前記ステントの外壁上に配置されている、請求項1記載の組立体。
【請求項3】
前記センサは、前記ステントの内壁上に配置されている、請求項1記載の組立体。
【請求項4】
前記センサは、前記ステント内部に配置されている、請求項1記載の組立体。
【請求項5】
前記センサは、管腔表面上、傍管腔表面上に配置されると共に/或いは管腔内に植え込まれている、請求項1記載の組立体。
【請求項6】
前記センサは、流体圧力センサである、請求項1~4のうちいずれか一に記載の組立体。
【請求項7】
前記センサは、接触センサである、請求項1~4のうちいずれか一に記載の組立体。
【請求項8】
前記センサは、位置センサである、請求項1~4のうちいずれか一に記載の組立体。
【請求項9】
前記センサは、脈圧センサである、請求項1~4のうちいずれか一に記載の組立体。
【請求項10】
前記センサは、血液量センサである、請求項1~4のうちいずれか一に記載の組立体。
【請求項11】
前記センサは、血流量センサである、請求項1~4のうちいずれか一に記載の組立体。
【請求項12】
前記センサは、血液化学センサである、請求項1~4のうちいずれか一に記載の組立体。
【請求項13】
前記センサは、血液代謝センサである、請求項1~4のうちいずれか一に記載の組立体。
【請求項14】
前記センサは、機械的応力センサ、加速度計又は温度センサである、請求項1~4のうちいずれか一に記載の組立体。
【請求項15】
前記ステントは、血管用ステント、消化器用ステント、肺用ステント、頭および頸部用ステント、又は泌尿生殖器用ステントである、請求項1~14のうちいずれか一に記載の組立体。
【請求項16】
前記血管用ステントは、冠動脈用ステント、頸動脈用ステント、脳用ステント、椎骨用ステント、腸骨用ステント、大腿骨用ステント、膝窩用ステント、又は下肢の動脈用のステントである、請求項15記載の組立体。
【請求項17】
前記消化器用ステントは、食道用ステント、十二指腸用ステント、結腸用ステント、胆嚢用ステント又は膵臓用ステントである、請求項15記載の組立体。
【請求項18】
前記肺用ステントは、気管、気管支、細気管支又は肺胞を開存状態に保持するステントである、請求項15記載の組立体。
【請求項19】
前記泌尿生殖器用ステントは、尿管用ステント、尿道用ステント、尿道前立腺用ステント、又はファロピウス管用ステントである、請求項15記載の組立体。
【請求項20】
前記頭及び頸部用ステントは、洞用ステント、上顎洞用ステント、前頭洞用ステント、涙管用ステント、鼻用ステント、又は中耳腔換気用チューブである、請求項15記載の組立体。
【請求項21】
前記ステントは、生分解性又は部分生分解性ステントである、請求項1~20のうちいずれか一に記載の組立体。
【請求項22】
前記ステントは、非生分解性ステントである、請求項1~20のうちいずれか一に記載の組立体。
【請求項23】
前記センサは、ワイヤレスセンサである、請求項1~22のうちいずれか一に記載の組立体。
【請求項24】
前記センサは、ワイヤレスマイクロプロセッサに接続されている、請求項1~22のうちいずれか一に記載の組立体。
【請求項25】
複数のセンサが前記ステント上又は内部に配置されている、請求項1~24のうちいずれか一に記載の組立体。
【請求項26】
前記ステントは、2つ以上の形式のセンサを有する、請求項1~25のうちいずれか一に記載の組立体。
【請求項27】
前記ステントは、1つ又は2つ以上の流体圧力センサ、接触センサ、加速度計及び位置センサを有する、請求項1~26のうちいずれか一に記載の組立体。
【請求項28】
前記センサは、1平方センチメートル当たり1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上又は20個以上のセンサ密度で前記ステント上又は内部に配置された複数のセンサである、請求項1~27のうちいずれか一に記載の組立体。
【請求項29】
前記センサは、1立法センチメートル当たり1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上又は20個以上のセンサ密度で前記ステント上又は内部に配置された複数のセンサである、請求項1~27のうちいずれか一に記載の組立体。
【請求項30】
前記センサは、固有センサ識別番号を有する、請求項1~29のうちいずれか一に記載の組立体。
【請求項31】
前記センサは、前記ステント上又は内部の指定された位置内に一義的に定められている、請求項1~30のうちいずれか一に記載の組立体。
【請求項32】
前記ステントは、2つ又は3つ以上の区分で構成されている、請求項1~31のうちいずれか一に記載の組立体。
【請求項33】
前記センサは、前記2つ又は3つ以上の区分の各々上に配置されている、請求項32記載の組立体。
【請求項34】
前記センサは、完全なステントの適正な連結又は組立てを検出するために利用できる、請求項32記載の組立体。
【請求項35】
組立体であって、ステントと、センサとを含み、前記センサは、患者の心拍出量を測定する、組立体。
【請求項36】
組立体であって、ステントと、センサとを含み、前記センサは、患者の一回拍出量を測定する、組立体。
【請求項37】
組立体であって、ステントと、センサとを含み、前記センサは、患者の駆出分画を測定する、組立体。
【請求項38】
組立体であって、ステントと、センサとを含み、前記センサは、患者の収縮期血圧を測定する、組立体。
【請求項39】
組立体であって、ステントと、センサとを含み、前記センサは、患者の拡張期血圧を測定する、組立体。
【請求項40】
組立体であって、ステントと、センサとを含み、前記センサは、患者の平均動脈圧を測定する、組立体。
【請求項41】
組立体であって、ステントと、センサとを含み、前記センサは、患者の全身血管抵抗を測定する、組立体。
【請求項42】
組立体であって、ステントと、センサとを含み、前記センサは、患者の全末梢抵抗を測定する、組立体。
【請求項43】
組立体であって、ステントと、センサとを含み、前記センサは、患者の体温を測定する、組立体。
【請求項44】
組立体であって、ステントと、センサとを含み、前記センサは、再狭窄の発生を計測する、組立体。
【請求項45】
組立体であって、ステントと、センサとを含み、前記センサは、心機能を計測する、組立体。
【請求項46】
組立体であって、ステントと、センサとを含み、前記センサは、血栓、粥状硬化症、腫瘍、炎症、膿瘍又は他の占拠性病変部の発生を計測する、組立体。
【請求項47】
組立体であって、ステントと、センサとを含み、前記センサは、前記ステントの管腔表面上における正常な治癒途上の組織の発生を計測する、組立体。
【請求項48】
組立体であって、ステントと、センサとを含み、前記センサは、腎機能の指標を含むメタボリック機能を計測する、組立体。
【請求項49】
組立体であって、ステントと、センサとを含み、前記センサは、伝導及び律動の以上を含む心臓律動を計測する、組立体。
【請求項50】
前記ステントは、薬剤溶出性ステントである、請求項1~49のうちいずれか一に記載の組立体。
【請求項51】
前記ステントは、1種類又は2種類以上のポリマーで少なくとも部分的に被覆されている、請求項1~50のうちいずれか一に記載の組立体。
【請求項52】
請求項1~51のうちいずれか一に記載のステント又は組立体の使用であって、心機能の計測値を得るための使用。
【請求項53】
心機能の前記測定値は、心拍出量、一回拍出量、駆出分画、収縮期及び/又は拡張期血圧、平均動脈圧、全身血管抵抗、及び全末梢抵抗から成る群から選択される、請求項52記載の使用。
【請求項54】
前記測定は、2回以上の時点で行われる、請求項52又は53に記載の使用。
【請求項55】
前記測定は、1日以上、2日以上、3日以上、4日以上、5日以上、10日以上、15日以上又は30日以上にわたって行われる、請求項52~54のうちいずれか一に記載の使用。
【請求項56】
前記測定は、1ヶ月以上、2ヶ月以上、3ヶ月以上、4ヶ月以上、5ヶ月以上、6ヶ月以上、又は12ヶ月以上にわたって行われる、請求項52~55のうちいずれか一に記載の使用。
【請求項57】
ステントを監視する方法であって、
人体の外部の場所からワイヤレス電気信号を人体の内部の場所に送信するステップと、 人体の内部に設けられたステント上に配置されているセンサのところで前記信号を受信するステップと、
前記受信した信号を用いて前記センサに電力供給するステップと、
前記センサのところでデータを検出するステップと、
検出した前記データを前記センサから人体の外部に設けられた受信ユニットに出力するステップとを含む、方法。
【請求項58】
前記ステントは、請求項1~51のうちいずれか一に記載の組立体である、請求項57記載の方法。
【請求項59】
前記受信ユニットは、腕時計、リストバンド、携帯電話又は眼鏡である、請求項57又は58記載の方法。
【請求項60】
前記受信ユニットは、患者の住居又は診療所内に設けられている、請求項57~59のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項61】
前記検出されたデータは、保健医療提供者に提供される、請求項57~60のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項62】
前記検出されたデータは、1つ又は2つ以上のウェブサイトに書き込まれる、請求項57~61のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項63】
記憶コンテンツが方法を実行するようコンピュータ計算システムを環境設定する非一過性コンピュータ可読記憶媒体であって、前記方法は、
患者を識別するステップを含み、前記識別された患者は、少なくとも1つのワイヤレスステントを有し、各ワイヤレスステントは、1つ又は2つ以上のワイヤレスセンサを有し、
ワイヤレス問い合わせユニットに指図して前記それぞれの1つ又は2つ以上のワイヤレスセンサのうちの少なくとも1つからセンサデータを収集するステップを含み、
前記収集したセンサデータを受け取るステップを含む、非一過性コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項64】
記憶コンテンツが方法を実行するようコンピュータ計算システムを環境設定する非一過性コンピュータ可読記憶媒体であって、前記方法は、
複数の患者を識別するステップを更に含み、識別された各患者は、少なくとも1つのワイヤレスステントを有し、各ワイヤレスステントは、1つ又は2つ以上のワイヤレスセンサを有し、
各識別患者と関連したワイヤレス問い合わせユニットに指図して前記それぞれの1つ又は2つ以上のワイヤレスセンサのうちの少なくとも1つからセンサデータを収集するステップを含み、
前記収集したセンサデータを受け取るステップを含み、
前記収集したセンサデータを集成するステップを含む、請求項63記載の非一過性コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項65】
前記方法は、
前記収集したセンサデータからデリケートな患者データを除去するステップと、
センサの形式に従って前記集めたデータをパーズするステップと、を更に含む、記憶コンテンツが方法を実施するようコンピュータ計算システムを環境設定する請求項63記載の非一過性コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項66】
前記ワイヤレス問い合わせユニットに指図する前記ステップは、前記ワイヤレス問い合わせユニットと関連した制御ユニットに指図するステップを含む、記憶コンテンツが方法を実施するようコンピュータ計算システムを環境設定する請求項63記載の非一過性コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項67】
前記ステントは、請求項1~51のうちいずれか一に記載の組立体である、請求項63~66のうちいずれか一に記載の非一過性コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項68】
前記収集センサデータは、腕時計、リストバンド、携帯電話又は眼鏡上で受け取られる、請求項63~67のうちいずれか一に記載の非一過性コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項69】
前記収集センサデータは、患者の居住地又はオフィス内で受け取られる、請求項63~68のうちいずれか一に記載の非一過性コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項70】
前記収集センサデータは、保健医療提供者に提供される、請求項63~69のうちいずれか一に記載の非一過性コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項71】
前記収集センサデータは、1つ又は2つ以上のウェブサイトに書き込まれる、請求項63~70のうちいずれか一に記載の非一過性コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項72】
前記データが分析される、請求項57~62のうちいずれか一に記載の方法又は請求項63~71のうちいずれか一に記載の記憶媒体。
【請求項73】
前記データは、経時的な変化の視覚化を可能にするようプロットされる、請求項72記載の方法又は記憶媒体。
【請求項74】
前記データは、3次元画像を提供するようプロットされる、請求項72又は73記載の方法又は記憶媒体。
【請求項75】
ステントの劣化を判定する方法であって、a)ステント及び1つ又は2つ以上のセンサを含む組立体を患者の体内通路に提供するステップと、b)センサの変化を検出し、かくして前記ステントの劣化を突き止めるステップとを含む、方法。
【請求項76】
前記センサは、1つ又は2つ以上の生理学的及び/又は場所的パラメータを検出することができる、請求項75記載の方法。
【請求項77】
前記センサは、接触、流体流量、圧力及び/又は温度を検出する、請求項75又は76記載の方法。
【請求項78】
前記センサは、患者の体内の場所を検出する、請求項75~77のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項79】
前記組立体は、請求項1~51のうちいずれか一に記載の組立体である、請求項75~78のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項80】
前記検出ステップは、経時的な一連の検出である、請求項75~79のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項81】
ステントを画像化する方法であって、ステント内、上、及び/又は内部のセンサの経時的変化を検出するステップを含み、前記ステントは、1平方センチメートル当たり1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上又は20個以上のセンサ密度でセンサを有する、方法。
【請求項82】
ステントを画像化する方法であって、ステント内、上、及び/又は内部のセンサの経時的変化を検出するステップを含み、前記ステントは、1立法センチメートル当たり1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上又は20個以上のセンサ密度でセンサを有する、方法。
【請求項83】
前記センサは、流体圧力センサ、接触センサ、位置センサ、加速度計、脈圧センサ、血液量センサ、血流量センサ、血液化学センサ、血液代謝センサ、機械的応力センサ、及び温度センサのうちの1つ又は2つ以上である、請求項81又は82記載の方法。
【請求項84】
前記ステントは、請求項1~51のうちいずれか一に記載の組立体である、請求項81~83のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項85】
患者が体内にステントを配置する方法であって、a)請求項1~51のうちいずれか一に記載の組立体を植え込むステップと、b)センサを検出することによって前記ステントの配置を検出するステップとを含む、方法。
【請求項86】
前記ステントは、2つ又は3つ以上の区分を有し、前記2つ又は3つ以上の区分の検出は、1つ又は2つ以上のセンサの分析によって判定できる、請求項85記載の方法。
【請求項87】
前記ステントの配置は、2次元若しくは3次元表示又は前記ステント上の前記1つ又は2つ以上のセンサの画像によって視覚化できる、請求項85又は86記載の方法。
【請求項88】
前記ステントは、互いにオーバーラップするよう植え込まれる2つのステントから成る、請求項85~87のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項89】
前記ステントの配置の前記検出により、前記ステントがよじれているか又は不正確に配置されているかどうかの判定が可能である、請求項85~88のうちいずれか一に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、血管用及び非血管用ステントの分野に関し、特に、例えば再狭窄の発生、ステント閉塞、及び/又は他の疾患を含む種々の医学的条件を監視する際に用いられるステントに関する。
【0002】
〔関連出願の説明〕
本願は、2013年3月15日に出願された米国特許仮出願第61/787,861号の35U.S.C.§119(e)に基づく権益主張出願であり、この米国特許仮出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
ステントは、一般に、閉鎖状態又は部分的に閉塞状態になり、それにより物質の通過を減少させ又は阻止している構造及び/又は通路(典型的には、管状器官構造、例えば血管、消化管、尿路、気道、又は男性及び女性生殖管)を物理的に開存状態に保つために体内管腔中に挿入できる全体として円筒形の柔軟性且つ中空の足場(scaffold)状の医療器具である。ステントは、通常、経皮的に(例えば、血管用ステント)又は生まれつき備わった開口(例えば、口、鼻、肛門)を介する挿入により圧縮形態で罹患した器官中に配置され、次に、定位置に拡張され(多くの場合、バルーンをインフレートさせることにより又は「自己拡張」型ステントの使用により)それにより器官管腔を開いてその原寸法及び形状に戻す。ステントは、血管壁の外傷又は外部からの圧迫(良性又は悪性腫瘍、膿瘍、嚢包)に起因するにせよ、血管壁内に起こる疾患過程(例えば、癌、アテローム硬化症、炎症、瘢痕化又は狭窄)に起因するにせよ且つ/或いは血管壁の表面上で(又は管腔内で)生じる疾患過程(血栓、粥状硬化症、再狭窄、腫瘍成長、炎症及び瘢痕化、胆「石」、尿結「石」、粘膜嵌頓等)に起因するにせよいずれにせよ、管腔狭窄又は閉塞に起因して生じる多種多様な疾患及び/又は病態を治療すると共に/或いは阻止するために利用できる。ステントは、管腔内物質(血液、消化内容物、消化酵素及び胆汁、空気、尿、生殖物質)の正常な通過を保つよう多種多様な管状体内通路内で用いられ、かかる通路としては、例えば、血管構造(例えば、冠動脈、頸動脈、脳動脈、椎骨動脈、腸骨動脈、大腿動脈、膝窩動脈、脛骨動脈、腸管膜動脈、肺動脈、及びこれら動脈の他の枝、太い静脈、例えば、上大静脈、下大静脈、頸部、上肢及び下肢の静脈)、消化器構造(例えば、食道、十二指腸、小腸、結腸、胆道及び膵管)、肺構造(例えば、気管、気管支、細気管支又は肺胞を開存状態に保つため)、泌尿系構造(集尿系、尿管、尿道)、女性及び男性生殖系構造(例えば、ファロピウス管、尿道前立腺部の開存性を維持するため)、頭及び頭蓋内の洞構造(上顎洞、前頭洞、涙管)、及び内耳構造(中耳腔換気用チューブ管)、及び内耳構造(中耳腔換気用チューブ)が挙げられる。
【0004】
典型的には、ステントは、金属コンポーネント(ステンレス鋼、チタン、白金、ニチノール、コバルトクロム等)及び/又はポリマーコンポーネント(分解性及び非分解性ポリマー)で構成され、これらステントは、多くの場合、一体構造を有するよう構成されるか多数のコンポーネント(例えば、二叉ステントシステム)で構成されるかのいずれかである。ステントは、非分解性であり、部分的に分解性であり、或いは完全に分解性である場合がある。加うるに、ステントは、1種類叉は2種類以上の互いに異なる組成物で被覆される場合があり、かかる組成物としては、ポリマーと薬剤の両方が挙げられる(これについては、例えば米国特許第8,003,157号明細書、同第7,294,145号明細書、同第8,277,867号明細書、同第8,277,833号明細書並びに米国特許出願公開第2005/0181011号明細書及び米国特許第5,716,981号明細書を参照されたい)。ステントの代表的な例としては、米国特許第6,852,153号明細書、同第7,942,923号明細書、同第7,753,947号明細書、同第7,879,082号明細書、及び同第8,287,588号明細書に開示されているステントが挙げられる。
【0005】
ステントの主要な使用のうちの1つは、冠血管疾患、末梢血管疾患、及び脳血管疾患の治療である。簡単に言えば、冠血管疾患は、典型的には、狭窄又は冠血管系(右冠動脈、左冠動脈、左前下行動脈、左回旋動脈、冠静脈洞及びこれらの枝)内の閉塞の発生で始まり、末梢血管疾患は、ほとんどの場合、脚の動脈(総腸骨動脈、腸骨動脈、大腿動脈、浅大腿動脈、膝窩動脈及びこれらの枝)、腎臓の動脈(腎動脈)、又は上肢の動脈の狭窄又は閉塞に起因しており、脳血管疾患は、頭及び頸部の動脈(総頸動脈、内頸動脈及びこれらの枝、大脳動脈、椎骨動脈)に関与しているが、体内の任意の血管も又罹患する場合がある。1本又は2本以上の冠動脈の部分閉塞は、多くの場合、動脈硬化性プラーク形成の発生及び進行に起因しており、その結果、狭心症(労作による胸部の疼痛及び息切れ)が生じ、他方、冠動脈の完全な閉塞は、通常、プラーク断裂及び血栓生成に起因しており、その結果、急性冠動脈症候群(ACS)及び/又は心筋梗塞(心臓発作)が生じる。末梢動脈疾患では、脚中の血管の部分閉塞の結果として、跛行(歩行又は労作による疼痛又は「重感」)が生じ、完全な血管閉塞の結果として、急性虚血及び壊疽が生じ、他方、脳血管疾患では、脳に血液を供給している血管の狭窄の結果として、失神(気絶)、めまい及び一過性のしびれ(麻痺)、脱力感及び会話異常(症状をほんの幾つか挙げてみただけでも)が生じ、他方、完全な閉塞の結果として、脳内の脳血管偶発症状(CVA又は「発作」)及び永続的な神経学的欠陥が生じる。狭窄又は閉塞のいずれによっても引き起こされる問題に取り組むため、ステントが典型的にはステントを送り出して配備するよう設計されたデリバリ器具に取り付けて閉塞部位まで送り届けるのが良く、そして病変部を横断して開き、それにより下流側への血流を回復させる。ステントを配備する一般的な方法は次の通りであり、即ち、カテーテルを血液流中に挿入し(多くの場合、鼡径部の大腿動脈を経て)、そして血流を通って前進させ、ついには、カテーテルが狭窄又は閉塞部位に到達するようにし、次に病変部を横断してカテーテルを前進させ、次に、バルーンだけを用いて(血管形成術)又は拡張可能なバルーンカテーテル上に圧着されたステントを用いて(直接ステント留置)を用いて病変部を開き、配備して動脈を開いた後、次に、拡張状態のステントを定位置に残してかつて閉塞状態であった血管の管腔を開存状態に保持する。「自己拡張」型ステントでは、バルーンは、ステントを開く必要がなく、これとは異なりステントは、配備後にデリバリカテーテルから定位置で拡張する。かかる手技の例が米国特許第5,749,824号明細書及び国際公開第98/36709号パンフレットに記載されている。非血管用ステント留置では、ほぼ同じ手技を辿るが、ステントは、生まれつき備わった開口(口、鼻、肛門)を経て身体に接近し、通常、ステントを直視下(内視検査下)で定位置に配置し、その後拡張させて配備する。
【0006】
近年、ステントの構成、薬剤装填及び送り出しに関して多くの技術的進歩があったが、まだ取り組まれていない多くの欠点が依然として存在する。
【0007】
ステントの正確な配置、配備、及び十分な拡張は、特に血管系において難題であり続けており、血管系では、主として、間接的な視覚化技術、例えば血管造影法がステント留置のために用いられ、血管造影法(放射線不透過性色素が血流を通って流れる)は、血管管腔解剖学的構造しか示さず、血管壁の異常(これは、治療中の重大な疾患のあるセグメントである場合が多い)に関する情報を与えるわけではない。ステントの十分且つ完全な配備(十分な開き)は、血管造影法だけで確認するのが困難な場合が多い。長い病変部及び枝分かれした病変部(動脈中の分岐箇所のところで起こる疾患)は、多数のステント、オーバーラップ状態にあるステント又は二叉ステントの使用を必要とする場合が多く、正確な配置及び隣り合うステント相互間のオーバーラップ量の正確な決定(連続し又は互いに連結されたステント相互間のオーバーラップが多いと、最終的な破損の恐れが高くなる)も又、確認するのが困難である。医師に血管壁異常、バルーン及び血管壁圧力、血管壁内におけるステント存在場所、ステントの十分な拡張及び配備、ステント内の開存性/ルーメンサイズ、隣り合う/互いに連結されたステント相互間の接触及びオーバーラップ、器具を通る血液流量、及び配備後における留置状態の確認に関するリアルタイム情報を提供することができるセンサを有するステントは、担当医にとって非常に有益であり、しかも長期間合併症発生率を著しく低減させる。
【0008】
配備後、潜在的な合併症(よじれ、ステント破損、再狭窄、血栓症、不完全密着)の発生を監視することは、患者を術後に良好に管理するのを助けると共に患者と医師の両方に潜在的に重篤な副作用の発生について警告する。また、動脈内の器具の治癒の状態を判定するためにステントの表面特性を監視することは、患者を抗血小板(又は抗凝固)療法から解除することができる時期及び理由を判定するのを助けることができる。生理学的パラメータ、例えば脈拍数、脈圧、血圧及び血液流量の持続的な監視は、全身性及び局所性心血管機能全体に関する有用な情報を提供することができる。加うるに、生分解性及び生侵食性ステントの場合、ポリマー(代表的にはポリマー)ステント内の様々な表面(管腔表面及び傍管腔表面)上に植え付けられたセンサ及びポリマー(典型的にはポリマー)ステント内の様々な深さのところに植え込まれたセンサは、ステントの溶解速度及び最終的な完全な生体吸収に関する有用な情報を提供することができる。薬剤溶出性ステントでは、センサは、器具からの治療薬の放出を監視するために使用できる。
【0009】
ステント留置術を受けた患者の術後院内監視が病院内スタッフ及び医療チームによる個人的訪問により、医学的監視(バイタルサイン、テレメトリ等)並びに必要に応じて診断画像化研究及び血液研究により行われている。患者がいったん退院すると、ステント性能及び患者予後は、定期的な医師の診療所への訪問の際にチェックされ、かかる訪問では、全病歴、身体所見及び補完的画像化及び診断研究が患者の経過を監視すると共に何らかの潜在的な合併症の発生を識別するために用いられる。かかる訪問の際、医師は、典型的には、身体的徴候及び症状を評価し、適応となる研究(ECG、心臓超音波検査法、血管造影法)を実施し、そして患者に質問して活動レベル、日々の機能発揮具合、疼痛、及びリハビリテーションの経過を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第8,003,157号明細書
【特許文献2】米国特許第7,294,145号明細書
【特許文献3】米国特許第8,277,867号明細書
【特許文献4】米国特許第8,277,833号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/0181011号明細書
【特許文献6】米国特許第5,716,981号明細書
【特許文献7】米国特許第6,852,153号明細書
【特許文献8】米国特許第7,942,923号明細書
【特許文献9】米国特許第7,753,947号明細書
【特許文献10】米国特許第7,879,082号明細書
【特許文献11】米国特許第8,287,588号明細書
【特許文献12】米国特許第5,749,824号明細書
【特許文献13】国際公開第98/36709号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
残念ながら、患者の回復期間の大部分は、病院訪問の合間又は診療所訪問の合間で起こる。したがって、症状の進展又は悪化を正確に計測してフォローし、そして「実生活」におけるステント性能を患者活動レベル、運動耐性、リハビリテーションプログラム及び投薬と相関させることは極めて困難であると言える。この情報の大部分につき、医師は、術後治療有効性並びに回復及びリハビリテーション経過に対する洞察を得るために患者の自己申告に依存しており、多くの場合、これは、患者が求めるべきものが何であるかについてはっきりとは分かっておらず、「正常の/予想される」術後回復がどのようなものであるかについて知識がなく、ノンコンプライアンスであり、或いはこれらの症状を効果的に伝えることができないということによって一層複雑になる。さらに、これらが症候性になり、医師訪問の合間に生じる前に合併症(院内外)を鑑別して追跡すること又は存在の検出が困難な(又は不可能な)合併症を鑑別して追跡することも又、ステント患者の管理に対して有益且つ追加の情報を提供する。現在、医師も患者もこれらの人がもしそうでない場合に有する可能性のある「リアルタイム」の連続した客観性のあるステント性能測定のタイプにアクセスできないでいる。ステント機能を原位置で監視することができることにより、診療所の訪問の際に有用な客観的情報を医師に提供することができ、更に、患者は、重要な補完的臨床情報を医師に提供するために(かかる情報は、遠隔場所からであっても保健医療提供者に電子的に送ることができる)自宅で種々の時点で(例えば、疼痛を感じたとき、運動中、薬剤の服用後等)追加の読みを得ることができると共に介助を求め又は保証を提供するための早期の警告指標を患者に提供することができる。
【0012】
本発明は、従来型ステントの問題のうちの多くを解決する新規なステント、これら新規なステントを構成して利用する方法を提供し、更に他の関連した利点をもたらす。
【0013】
簡単に言えば、ステントと、とりわけステントの周りの組織の解剖学的構造(及び組織の一般的な健常性)、ステントの健全性又は有効性、ステントの完全な開き及び正確な配備、ステントと他のステント又はステントセグメントとの関係、疾患過程、ステントを通る体液の運動、体内におけるステントの治癒、疾患又は他の過程(例えば、再狭窄、炎症、良性又は悪性腫瘍成長、凝血塊形成)に起因したステントの破損又は差し迫った破損、外傷、又はインターベンション手技(例えば、手術)を監視するためのセンサとを含む組立体が提供される。本発明に用いるのに適した代表的なステントとしては、例えば、血管(例えば、冠動脈、頸動脈、脳動脈、椎骨動脈、腎動脈、腸骨動脈、腸管膜動脈、上肢及び下肢の動脈並びに上述した動脈血管全ての枝、静脈)用ステント、消化器(例えば、食道、胆道、十二指腸、結腸及び膵臓)用ステント、肺(例えば、気管、気管支、細気管支又は肺胞を開存状態に保つため)、頭及び頸部(洞、涙管、鼓室)用ステント、及び泌尿生殖器(例えば、尿管、尿道、ファロピウス管、前立腺)用ステントが挙げられる。
【0014】
本発明の一観点では、ステントと、ステント上又はステント内部に配置されたセンサとを含む組立体が提供される。かかるステントは、多種多様な管腔内に配置可能であり、かかる管腔としては、例えば、生まれつき備わっている体内通路(例えば、血管系、例えば、冠血管、頸血管、脳血管及び椎骨血管並びに腎血管、腸骨血管、下肢の種々の動脈、肺気道(例えば、気管、気管支及び細気管支又は肺胞を含む肺の中の他の気道)、消化器構造(例えば、食道、十二指腸、小腸、結腸、胆道及び膵管)、頭部及び頸部(洞、涙管、中耳腔換気用チューブ)、及び泌尿生殖器(尿管、尿道、ファロピウス管、前立腺))、外科的に作られた体内通路(脳内シャント、脊髄シャント、肺シャント、肝シャント、回腸瘻、結腸瘻、外科用ドレーン、中耳腔換気用チューブ)、及び外傷又は疾患過程によって作られ又は引き起こされた通路が挙げられる。
【0015】
種々の実施形態によれば、組立体は、ステントと、ステント上又はステント内部に配置された1つ又は2つ以上のセンサとを含み、かかるセンサとしては、例えば、ステントの外壁上、ステントの内壁上及び/又はステント材料それ自体の内部に配置された1つ又は2つ以上のステントが挙げられる。関連実施形態では、1つ又は2つ以上のセンサは、管腔表面上、傍管腔表面上に配置されると共に/或いはステント内に植え込まれ又はステントそれ自体の中に植え込まれ又はステントそれ自体の中に納められるのが良い。
【0016】
本発明では多種多様なセンサを利用することができ、かかるセンサとしては、例えば、流体圧力センサ、接触センサ、位置センサ、加速度計、振動センサ、脈圧センサ、血液量センサ、血流量センサ、血液化学センサ、血液代謝センサ、機械的応力センサ、及び温度センサが挙げられる。一実施形態では、センサは、1種類又は2種類以上の薬剤を送り出すために利用できる他の医療器具に連結されるのが良い。他の実施形態では、1つ又は2つ以上のセンサは、ワイヤレスセンサであると共に/或いはワイヤレスマイクロプロセッサに接続されるセンサであっても良い。
【0017】
特に好ましい実施形態では、複数のセンサがステント上に配置され、更に他の実施形態では、2つ以上の形式のセンサがステント上に配置される。他の関連実施形態では、複数のセンサは、1平方センチメートル当たり1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上又は20個以上のセンサ密度でステント上又は内部に配置される。他の実施形態では、複数個のセンサは、1立法センチメートル当たり1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上又は20個以上のセンサ密度でステント上又は内部に配置される。これらの実施形態のいずれの場合においても、1平方センチメートル又は1立方センチメートル当たり50個未満、75個未満、100個未満、又は200個未満のセンサが設けられるのが良い。
【0018】
本発明の他の実施形態では、各組立体は、固有のセンサ又はデバイス識別番号を有する。別の実施形態では、センサのうちの1つ又は2つ以上(又は各々)は、固有のセンサ識別番号を有する。さらに別の実施形態では、センサのうちの1つ又は2つ以上(又は各々)は、ステント上又はステント内部の特定の位置内に一義的に定められる。
【0019】
本発明の更に別の観点では、ステントと、本明細書において提供されるセンサのうちの1つ又は2つ以上とを含む組立体が提供され、センサは、心機能の1つ又は2つ以上の測定値を測定し又は検出し、これには、例えば、心拍出量、一回拍出量、駆出分画、収縮期血圧、拡張期血圧、平均動脈圧、全身血管抵抗、全末梢抵抗、温度及び/又は患者の体内の再狭窄、血液凝固又は管腔流体流れの部分若しくは完全閉塞が含まれる。本発明の他の観点では、ステントと、本明細書において提供するセンサのうちの1つ又は2つ以上とを含む組立体が提供され、センサは、表面(管腔)接触を計測し又は検出し、このセンサは、治癒(血管用ステントでは、これは、代表的には、内皮化である)及び生物学的組織によるステントのルーメン表面の被覆の程度/広がりを計測することができ、かかる情報は、患者が血栓症の恐れがある状態のままであるかどうか及び抗凝固治療を続行する必要があるかどうかを判定するために医師によって利用できる。
【0020】
本発明の或る特定の実施形態では、ステントは、薬剤溶出性ステントであり、このステントは、オプションとして、1種類又は2種類以上のポリマーで被覆されるのが良く又は1種類又は2種類以上のポリマーを含むのが良い。
【0021】
本発明の他の観点では、本明細書において説明する組立体の使用が心機能(本明細書において説明する)の測定のために且つ/或いは心機能の1つ又は2つ以上の観点、疾患、ステント健全性及び/又はステント有効性を医学的画像化すると共に/或いは自己診断するために提供される。
【0022】
本発明の別の観点では、ステントを監視する方法が提供され、この方法は、a)人体の外部の場所からワイヤレス電気信号を人体の内部の場所に送信するステップと、b)人体の内部に設けられたステント上に配置されているセンサのところで信号を受信するステップと、c)受信した信号を用いてセンサに電力供給するステップと、d)センサのところでデータを検出するステップと、e)検出したデータをセンサから人体の外部に設けられた受信ユニットに出力するステップとを含む。種々の実施形態では、ステントは、本明細書において提供される組立体のうちの任意のものを構成することができる。
【0023】
他の観点では、記憶コンテンツが方法を実行するようコンピュータ計算システムを環境設定する非一過性コンピュータ可読記憶媒体であって、この方法は、a)患者を識別するステップを含み、識別された患者は、少なくとも1つのワイヤレスステントを有し、各ワイヤレスステントは、1つ又は2つ以上のワイヤレスセンサを有し、b)ワイヤレス問い合わせユニットに指図してそれぞれの1つ又は2つ以上のワイヤレスセンサのうちの少なくとも1つからセンサデータを収集するステップを含み、c)収集したセンサデータを受け取るステップを含む。或る特定の実施形態では、かかる方法は、オプションとして、a)複数の患者を識別するステップを更に含み、識別された各患者は、少なくとも1つのワイヤレスステントを有し、各ワイヤレスステントは、1つ又は2つ以上のワイヤレスセンサを有し、b)各識別患者と関連したワイヤレス問い合わせユニットに指図してそれぞれの1つ又は2つ以上のワイヤレスセンサのうちの少なくとも1つからセンサデータを収集するステップを含み、c)収集したセンサデータを受け取るステップを含み、d)収集したセンサデータを集成するステップを更に含むのが良い。さらに別の実施形態では、かかる方法は、オプションとして、a)収集したセンサデータからデリケートな患者データを除去するステップと、b)センサの形式に従って集めたデータをパーズするステップとを更に含むのが良い。関連実施形態では、記憶されるコンテンツは、方法を実施するようコンピュータ計算システムを環境設定し、ワイヤレス問い合わせユニットに指図するステップは、ワイヤレス問い合わせユニットと関連した制御ユニットに指図するステップを含む。本明細書において説明する組立体、ステント、及び/又はセンサのうちのどれもかかる方法に利用することができる。
【0024】
本発明の別の観点では、ステントの劣化を判定する方法が提供され、この方法は、a)ステントと、ステント表面上に且つ/或いは生分解性/生侵食性ステント内の様々な深さのところに配置された1つ又は2つ以上のセンサとを含む組立体を患者の体内通路に提供するステップと、b)センサの変化を検出し、かくしてステントの劣化速度及び/又は完全な劣化を判定するステップとを含む。種々の実施形態では、センサは、1つ又は2つ以上の生理学的(例えば、接触、流体流量、圧力及び/又は温度)及び/又は場所的(例えば、患者の体内の場所)パラメータを検出することができる。別の実施形態では、検出ステップは、経時的な一連の検出であり、オプションとして、本方法は、ステントの劣化速度を求めると共に/或いはステントの完全な劣化に関する時間を推定するステップを更に含むのが良い。
【0025】
本発明の更に別の観点では、ステント又はセンサ付きのステントを含む組立体を画像化する方法が提供され、この方法は、ステント内、上、及び/又は内部のセンサの経時的変化を検出するステップを含み、ステントは、1平方センチメートル当たり1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上又は20個以上のセンサ密度でセンサを有する。他の観点では、ステントは、1立法センチメートル当たり1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上又は20個以上のセンサ密度でセンサを有する。これらの実施形態のいずれにおいても、1平方センチメートル又は1立方センチメートル当たり50個未満、75個未満、100個未満、又は200個未満のセンサが設けられるのが良い。
【0026】
上述したように、多種多様なセンサを本発明に利用することができ、かかるセンサとしては、例えば、流体圧力センサ、接触センサ、位置センサ、加速度計、振動センサ、脈圧センサ、血液量センサ、血流量センサ、血液化学センサ、血液代謝センサ、機械的応力センサ、及び温度センサが挙げられる。種々の実施形態では、ステントは、血管用ステント、消化器用ステント、肺用ステント、洞用ステント又は泌尿生殖器用ステントであるのが良く、オプションとして、生分解性、部分生分解性又は非分解性であって良い。さらに別の実施形態では、センサは、ワイヤレスセンサである共に/或いはワイヤレスマイクロプロセッサに接続されたセンサである。センサをこのように画像化することによって、ステントの健全性をワイヤレスで問い合わすことができ、結果を定期的に報告することができる。これにより、患者の健康を定期的に又は患者及び/又は医師により望まれる任意の時点でチェックすることができる。
【0027】
1つ又は2つ以上の実施形態の細部が以下の詳細な説明に記載される。他の特徴、他の目的及び他の利点は、明細書の記載、図面の記載及び特許請求の範囲の記載から明らかであろう。加うるに、本明細書において引用する特許及び特許出願公開の全てを参照により引用し、これらの開示内容全体を本明細書の一部とする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】センサ(センサとしては、血流量センサ、脈圧センサ、位置センサ又は場所マーカ及び/又はpHセンサが挙げられる)が設けられた例示の一ステントの図である。
図2】センサが収納された例示の一ステントの図であり、ステントを通る血液の動きを示す図である。
図3A】種々の開口部がステントストラット内に設けられた例示の一ステントの図である。
図3B】ストラットの開口部の1つの中への1つ又は2つ以上のセンサの配置状態を示す図である。
図4A】狭窄が血管内の多数の箇所で起こっている状態の分岐部位を示す図である。
図4B】PTCAを備えたステントを示す図である。
図4C】ステント・プラス・ステント配備状態(「逆‐T」とも呼ばれる)を示す図である。
図4D】ステント・プラス・ステント配備状態(「Tステント留置」と呼ばれる)を示す図である。
図4E】「クラッシュ」と呼ばれるステント・プラス・ステント配備状態を示す図である。
図4F】「Y」又は「V」と呼ばれるステント・プラス・ステント配備状態を示す図である。
図4G】「口づけ」と呼ばれるステント・プラス・ステント配備状態を示す図である。
図4H】「キュロット」と呼ばれるステント・プラス・ステント配備状態を示す図である。
図5】オーバーラップ状態のステントの配置を容易にすると共に/或いは助けるために利用できる接触センサの略図である。
図6】位置的運動を検出することができるセンサによる血管解剖学的構造の医学的画像化を示す図である。
図7】血管病理学的特徴に起因した位置的運動を検出することができるセンサによる血管系の医学的画像化を示す図である。
図8】センサデータを処理するために構成された情報・通信技術システム実施形態を示す図である。
図9】本発明の一実施形態によるセンサ、問い合わせモジュール、及び制御ユニットのブロック図である。
図10】本発明に従ってデータを得るために探査されると共にデータを出力している患者の体内のステント上に配置された1つ又は2つ以上のセンサの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
上述したように、ステントは、体内のステントの正確な配置及び配備、ステントの周りの組織の解剖学的構造及び病理学的状態、ステントの健全性及び有効性、ステントと接触状態にある組織の正常及び異常な治癒状態、ステントと接触状態にある組織及び臓器系の機能、ステントの劣化及び溶解(分解性のステントの場合)を監視すると共に疾患又は他の過程(例えば、再狭窄、血栓症、炎症、良性又は悪性腫瘍成長)に起因したステントの破損又は差し迫った破損を監視するための多くのセンサを備えている。しかしながら、本発明を説明する前に、最初に、以下において用いられる或る特定の用語の定義を説明することは、本発明の理解にとって有用であると言える。
【0030】
「ステント」は、人体構造及び/又は体内通路を開いた状態に保持するために利用できる医療器具を意味しており、ステントは、血管壁の外傷又は外部からの圧迫(良性又は悪性腫瘍、膿瘍、嚢包)に起因するにせよ、血管壁内に起こる疾患過程(例えば、癌、粥状硬化症、炎症、瘢痕化又は狭窄)に起因するにせよ且つ/或いは血管壁の表面上で(又は管腔内で)生じる疾患過程(血栓、粥状硬化症、再狭窄、腫瘍成長、炎症及び瘢痕化、胆「石」、尿結「石」、粘膜嵌頓等)に起因するにせよ且つ/或いは手術又は他の医学的インターベンションに起因するにせよいずれにせよ、管腔狭窄又は閉塞に起因して生じる多種多様な疾患及び/又は病態を治療すると共に/或いは阻止するために利用できる。
【0031】
ステントは、管腔内物質(血液、消化内容物、消化酵素及び胆汁、空気、尿、生殖物質)の正常な通過を保つよう多種多様な管状体内通路内で用いられ、かかる通路としては、例えば、血管構造(例えば、冠動脈、頸動脈、脳動脈、椎骨動脈、腸骨動脈、大腿動脈、膝窩動脈、脛骨動脈、腸管膜動脈、肺動脈、及びこれら動脈の他の枝、太い静脈、例えば、上大静脈、下大静脈、頸部、上肢及び下肢の静脈)、消化器構造(例えば、食道、十二指腸、小腸、結腸、胆道及び膵管)、肺構造(例えば、気管、気管支、細気管支又は肺胞を開存状態に保つため)、泌尿系構造(集尿系、尿管、尿道)、女性及び男性生殖系構造(例えば、ファロピウス管、尿道前立腺部の開存性を維持するため)、頭及び頭蓋内の洞構造(上顎洞、前頭洞、涙管)、及び内耳構造(中耳腔換気用チューブ管)、及び内耳構造(中耳腔換気用チューブ)が挙げられる。
【0032】
典型的には、ステントは、金属又はポリマーコンポーネントで構成され、これらステントは、単一構造又は多数のコンポーネント(例えば、二叉ステントシステム)を有する。ステントは、非分解性であり、部分的分解性であり、或いは完全分解性である場合がある。加うるに、ステントは、1種類叉は2種類以上の互いに異なる組成物で被覆される場合があり、かかる組成物としては、ポリマーと薬剤(生物学的製剤及び幹細胞を含む)の両方が挙げられる。ステントの代表的な例としては、米国特許第6,852,153号明細書、同第7,942,923号明細書、同第7,753,947号明細書、同第7,879,082号明細書、及び同第8,287,588号明細書並びに種々の刊行物(これについては、例えば、クライグ・エス・ボンシグノア(Craig S. Bonsignore),「オープン・ステント・デザイン:デザイン・アンド・アナリシス・オブ・セルフ・エクスパンディング・カーディオバスキュラー・ステンツ(Open Stent Design: Design and analysis of self expanding cardiovascular stents)」クリエイトスペース・インディペンデント・パブリッシング・プラットフォーム(CreateSpace Independent Pbulishing Platform),2012年11月、及びシグワート(Sigwart ),フランク(Frank)編,「コロナリーステンツ(Coronary Stents )」,スプリンガー(Springer),2012年を参照されたい)に開示されているステントが挙げられる。
【0033】
好ましい実施形態によれば、本発明のステントは、固有のデバイス識別番号(“UDI”)を有し、ステント上のセンサの各々は、固有のセンサ識別番号(“USI”)を有する。
【0034】
「センサ」は、人体、人体内に挿入されたステントの1つ又は2つ以上の互いに異なる観点及び/又は人体内に挿入されたステントの健全性、衝撃、有効性又は作用効果を計測するために利用できる器具を意味している。本発明に用いられるのに適したセンサの代表的な例としては、例えば、流体圧力センサ、接触センサ、位置センサ、脈圧センサ、血液量センサ、血流量センサ、化学センサ(例えば、血液及び/又は他の体液用)、代謝センサ(例えば、血液及び/又は他の体液用)、加速度計、機械的応力センサ及び温度センサが挙げられる。或る特定の実施形態では、センサは、ワイヤレスセンサであっても良く、或いは、他の実施形態では、センサは、ワイヤレスマイクロプロセッサに接続されても良い。別の実施形態では、センサのうちの1つ又は2つ以上(全てを含む)は、センサを具体的に識別する固有センサ識別番号(“USI”)を有する場合がある。
【0035】
多種多様なセンサ(マイクロ(微小)電子機械システム(Microelectromechanical System)、即ち“MEMS”又はナノ電子機械システム(Nanoelectromechanical System)、即ち“NEMS”、及びBioMEMS又はBioNEMS、とも呼ばれており、これらについては、一般に、https://en.wikipedia.org/wiki/MEMSを参照されたい)を本発明に用いることができる。代表的な特許明細書及び特許出願明細書としては、米国特許第7,383,071号明細書及び米国特許出願公開第2010/0285082号明細書が挙げられる。代表的な刊行物としては、アルベルト・フォッシュ(Albert Foch),「イントロダクション・トゥ・バイオエムイーエムエス(Introduction to BioMEMS)」,シーアールシー・プレス(CRC Press),2013年、マーク・ジェイ・マドウ(Marc J. Madow ),「フロム・エムイーエムエス・トゥ・バイオ‐エムイーエムエス・アンド・バイオ‐エヌイーエムエス:マニュファクチャリング・テクニクス・アンド・アプリケーションズ(From MEMS to Bio-MEMS and Bio-NEMS: Manufacturing Techniques and Applications)」,シーアールシー・プレス(CRC Press),2011年、シモナ・バドゥレスク(Simona Badilescu),「バイオ‐エムイーエムエス:サイエンス・アンド・エンジニアリング・パースペクティブス(Bio-MEMS: Science and Engineering Perspectives)」,シーアールシー・プレス(CRC Press ),2011年、スティーブン・エス・サリターマン(Sreven S. Saliterman),「ファンダメンタルズ・オブ・バイオエムイーエムエス・アンド・メディカル・マイクロデバイシズ(Fundamentals of BioMEMS and Medical Microdevices)」,エスピーアイイー‐ジ・インターナショナル・ソサエティ・オブ・オプティカル・エンジニアリング(SPIE-The International Society of Optical Engineering),2006年,ワンジュン・ワン(Wanjunn Wang),スティーブン・エー・ソパー(Steven A.Soper)編,「バイオ‐エムイーエムエス:テクノロジーズ・アンド・アプリケーションズ(Bio-MEMS: Technologies and Applications )」,シーアールシー・プレス(CRC Press),2012年、フォルカー・ケンペ(Volker Kempe),「イナーシャル・エムイーエムエス:ピルンシプルズ・アンド・プラクテイス(Inertial MEMS: Principles and Practice)」,ケンブリッジ・ユニバーシティ・プレス(Cambridge University Press),2011年、ポーラ・ディー・エル他(Polla, D. L. et al.),「マイクロデバイシズ・イン・メディスン(Microdevices in Medicine)」,アニュアル・レビュー・オブ・バイオメディカル・エンジニアリング(Ann. Rev. Biomed. Eng.),2000年,第2巻,p.551~576、ユン・ケー・エス他(Yun, K. S. et al.),「ア・サーフェス‐テンション・ドリブン・マイクロポンプ・フォア・ローボルテージ・アンド・ローパワー・オペレイションズ(A Surface-Tnesion Driven Micropunp for Low-voltage and Low Power Operations)」,ジャーナル・オブ・マイクロエレクトロメカニカル・システムズ(J. Microelectromechanical Sys.),2002年10月,11:5、イェ・アール他(Yeh, R. et al.),「シングル・マスク,ラージ・フォース,アンド・ラージ・ディスプレイスメント・エレクトロスタティック・リニア・インチウォーム・モーターズ(Single Mask, Large Force, and Large Displacement Electrostatic Linear Inchworm Motors)」,ジャーナル・オブ・マイクロエレクトロメカニカル・システムズ(J. Microelectromechanical Sys.),2002年8月,11:4,p.330~336、ロー・エヌ・シー他(Loh, N. C. et al),「サブ10cm3インターフェロメトリック・アクセレロメータ・ウィズ・ナノ‐ジー・レソリューション(Sub-10cm3 Interferometric Accelerometer with Nano-g Rsolution)」,ジャーナル・オブ・マイクロエレクトロメカニカル・システムズ(J. Microelectromechanical Sys.),2002年6月,11:3,p.182~187、これらの刊行物の全てを参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0036】
本明細書において提供される本発明の種々の観点を一層理解するため、次の項が以下において提供されており、即ち、A.ステント及びステント使用、B.センサを収納したステント、C.ステント配置、配備及び連結、D.部分的又は全体的に生分解性のステント、E.ステント被膜、F.薬剤溶出性ステント、G.ステント内の感染を監視する方法、H.健康管理におけるセンサ収納ステントの別途使用、I.ステントからの電力の発生、J.ステントを含む組立体の医学的画像化及び自己診断、予測的分析及び予測的維持、K.ステントを含む組立体を監視する方法、及びL.ステントを含む組立体からのデータの収集、伝送、分析、及び配信が以下に提供される。
【0037】
A.ステント及びステントの使用
上述したように、ステントは、疾患のある体内通路(例えば、動脈、消化管、尿路)の管腔を開いて維持するために用いられるが、血管系において最も利用度が高いことが判明した。簡単に言えば、ステントは、閉鎖状態又は部分的に閉塞状態になり、それにより通過(典型的には、液体、固体又は空気の通過)を減少させ又は阻止している構造及び/又は通路(典型的には、管状器官構造、例えば血管、消化管、尿路、頭蓋内の洞、気道、又は男性及び女性生殖管)を物理的に開存状態に保つために体内管腔中に挿入されるのが良い。ステントは、通常、経皮的に(例えば、血管用ステントが鼠径部中の大腿動脈を通って血管系中に挿入され、次にX線誘導下で血流中で操作され、ついにはステントが疾患のある血管に到達する)又は生まれつき備わった開口(例えば、口、鼻、肛門)を介する挿入により配置され、次に、直視下(内視鏡検査法)で罹患状態の器官中に配置される。ほとんどの場合、ステントは、圧縮形態で配備部位に送達され、次に定位置中で拡張され(多くの場合、バルーンをインフレートさせることによって又は「自己拡張」型ステントの使用により)、それにより器官管腔を開いてその原寸法及び形状に戻す。閉鎖又は閉塞の症状(例えば、胸部疼痛、跛行、神経学的欠陥、嚥下困難、腸閉塞、黄疸、呼吸困難、不妊症、尿路閉塞、洞疼痛)は、疾患のある器官で決まり、正常な解剖学的構造及びルーメン機能の回復は、ステント治療の目的である。ステント破損は、多数の原因による場合があるが、かかる不適切な配置、不適切な寸法決め、不完全な開き又は配備、ステントルーメン中への組織内方成長(再狭窄、腫瘍細胞成長、炎症)、管腔閉塞(凝血塊、胆石、腎結石)、ステント破損、ステントもつれ及びステント移動のような事態を含む。医師が適正な配置を行うのを助けることができるステント収納センサ及び部分及び/又は完全な閉塞のエビデンスを検出するために持続的に監視することができるステントは、既存の器具と比較して顕著な利点を有する。
【0038】
図1は、センサが収納された代表的な一ステントの図である。図2は、センサのうちの幾つかがステントを通って流れる血液にさらされる場所に配置されている状態を示す図である。多種多様なセンサがステントの内壁(管腔壁)上、ステント内部及び/又はステントの外壁(傍管腔壁)上に配置できる。ステント内部で利用できる代表的なセンサとしては、流体圧力センサ、接触センサ、位置センサ、脈圧センサ、血液量センサ、血流量センサ、血液化学センサ、血液(及び組織)代謝センサ、加速度計、機械的応力センサ、振動センサ及び温度センサが挙げられる。
【0039】
種々の実施形態によれば、本発明の血管用ステント(冠血管、末梢血管及び脳血管)は、狭窄、再狭窄、及び/又は血栓症に対して正常な血管治癒の形式を検出すると共に区別することができる種々のセンサを有するのが良い。管腔表面上に設けられた血液流量センサ、流体圧力センサ及び血液量センサは、狭窄部位のところでの血液流速の増大及び血圧(及び脈圧)の増大(正常圧力に対する)に起因して狭窄の存在及び存在場所を検出することができる。新生内膜過形成又は凝結塊形成に起因した狭窄は、血液流量センサ、血液代謝センサ及び/又は血液化学センサが血管組織又は凝血塊によって覆われた状態になると血管表面上の「デッドスポット(dead spot )」及び/又は読みの変更として検出される場合があり、他方、傍管腔圧力センサ及び加速度計は、傍管腔圧力の変化又はステント壁変形を示すことはない。代謝センサ又は化学センサは、狭窄(正常pH及び生理学的読み)と凝結塊(pH低下及び生理学的読みの変更)の差を突き止めることができる。最後に、圧力の変更、血流量の変更、ステント変形及び代謝的/化学的性質の読みの変更がない場合におけるステントの管腔表面の完全な被覆は、正常な治癒を示唆しており、ステントは、内皮化状態になっている(人体の血管を内張りする細胞で覆われている)。血管壁内へのステントの健常で且つ完全な組み込みのこの指標(即ち、ステントは、もはや血流の要素にはさらされていない)は、重要な臨床上の結果を有し、―このことは、患者の(費用がかかり且つ危険な)抗凝固療法を中断することができるという注意を医師に喚起する。というのは、亜急性且つ遅延された血栓症のリスクが今や著しく低下しているからである。生分解性ステントの場合、ステントの管腔表面の完全な被覆及び血管壁中へのステントの組み込みは、ステントの溶解が今や安全である(即ち、ステント破片は、血流中に放出されることがない)ことを意味している。
【0040】
加うるに、ステントを必要とする患者は、結果的に心機能不全及び体循環機能不全を招く広汎心血管疾患を患っている場合が多い。例えば、ステントを受け入れている患者は、心筋梗塞(心臓発作)、脳血管事故(発作)、鬱血性心不全、腎不全及び不整脈のリスクが高い状態にある。冠動脈は、心臓の機能にとって重大であり、それ故、これら動脈内の或る特定の血行力学及び代謝性パラメータを監視することにより、患者の心機能、腎機能及び循環機能に関する極めて重要な情報を医師に提供することができる。本発明の冠血管用ステントは、かかる目的に適した流体圧力センサ、接触センサ、位置センサ、脈圧センサ、血液量センサ、血流量センサ、血液化学センサ、血液代謝センサ、加速度計、機械的応力センサ、温度センサ等を有するのが良い。本発明の代表的なステントは、重要な生理学的パラメータ、例えば心拍出量(CO)、一回拍出量(SV)、駆出分画(EV)、収縮期血圧(sBP)、拡張期血圧(dBP)、平均動脈圧(mAP)、全身血管抵抗(SVR)、全末梢抵抗(TPV)及び脈圧(PP)を計算して監視するよう当業者によって利用できる。例えば、FloTrac/Vigileo(カリフォルニア州アーヴィン所在のエドワーズ・ライフ・サイエンシズ(Edwards Life Sciences ))は、一回拍出量(SV)及び全身血管抵抗(SVR)を計算するために脈拍輪郭分析を用い、圧力記録分析法(PRAM)は、動脈圧波形の分析から心拍出量(CO)を推定するためにモースト・ケア(Most Care )(イタリア国パドラ・ヴィテック)によって用いられている。心拍出量(CO)、一回拍出量(SV)及び駆出分画(EF)の変化並びに心臓係数(CI)は、合併症、例えば心筋虚血及び心筋梗塞を検出する際に重要であるといえ、これらは又、医師が具体化及び心臓薬物及び投与量の調節を行うのを助けることができる。本発明のステント上及び内部に設けられる脈圧センサ、脈拍輪郭センサ及び心拍数センサは、心臓不整脈及び心拍数異常の検出及び監視を助けることができ、これらセンサは又、心拍数及び律動に影響を及ぼす心臓薬物に対する患者の応答を監視するためにも使用できる。収縮期血圧(sBP)、拡張期血圧(dBP)、平均動脈圧(mAP)、全身血管抵抗(SVR)、及び全末梢抵抗(TPV)の読みは、血圧降下薬及び昇圧薬(血圧を増大させる薬)の投与量及び効果を監視するために医師によって使用できる。明らかなこととして、他の動脈(腎動脈、腸骨動脈、大腿動脈、頸動脈等)内に植え込まれた末梢及び脳血管ステントは、上述のパラメータの事実上全ても又監視することができる。
【0041】
本発明の血管用ステントは、腎機能を監視するのに適した循環器用センサ(本明細書において説明する)並びに血液化学センサ及び血液代謝センサを有するのが良い。この実施形態に有用な血液化学及び代謝センサの例としては、血中尿素窒素(BUN)センサ、クレアチニン(Cr)センサ、及び電解質(カルシウム、カリウム、燐、ナトリウム等)センサが挙げられるがこれらには限定されない。さらに、代謝データと血行力学的データ及び尿検査結果と組み合わせることにより、医師は、腎機能の極めて有用な尺度である糸球体濾過量(GFR)を計算することができる。この情報は、透析療法のタイミング、有効性及び頻度を監視するために透析患者の管理において特に有用である。
【0042】
本発明の一実施形態では、ステントは、1つ又は2つ以上の温度センサを更に有するのが良い。これらセンサは、血液、血管壁及びその周りの環境の別々の温度と温度の経時的変化の両方を追跡するために利用できる。かかる温度変化は、感染の発生の恐れ(又は他の疾患若しくは病態)を診断し、医師又は介護者が完全な発症前に感染(又は他の疾患若しくは病態)を治療することができるようにするために利用できる。
【0043】
B.センサが収納されたステント
上述したように、本発明の種々の観点では、本明細書において説明したセンサは、ステント内に収納されるのが良く、かかるステント内とは、例えば、ステントのストラットに設けられた穴の中又はストラット自体内が挙げられる。本明細書で用いられる「穴」という用語は、ステントを完全に貫通して延びる開口部並びに空所、凹み、ウェル、又はステント内のセンサの挿入を可能にする他の開口部若しくは部分開口部を含むものと理解されるべきである。ステントの代表的な例としては、米国特許第7,208,010号明細書及び同第7,179,289号明細書に記載されているステントが挙げられる。
【0044】
例えば、図3Aに示されているように、代表的な一ステントは、ステントストラットに設けられた種々の穴を備えている。図3Bは、ストラットの開口部のうちの1つの中への納められた1つ又は2つ以上のセンサの配置状態を示している。
【0045】
C.ステント配置、配備及び連結
本発明のステントは、或る特定の実施形態では、種々の重要な臨床上の機能に役立つための検出情報を提供することができる。ステント配置及び配備の際に血管壁の受ける外傷の量が多ければ多いほど、ステントが最終的に閉塞状態になる(例えば、再狭窄に起因して)確率がそれだけ一層高くなることは、広く認められている。配置の際の血管外傷の原因としては、不正確な寸法決め(血管にとって大きすぎるステント)、困難な配置及び配備(ステントを配置するのに大がかりな操作を必要とする)、長い病変部、互いにオーバーラップしたステント、バルーンの過剰インフレーション又はステントの過剰拡張、複雑な病変部(分岐箇所のところのステント留置を含む)及び曲がりくねった血管内へのステントの配置が挙げられる。正確な配置、寸法決め、配備及びステントの十分な拡張は、特に血管系において難題であり続けており、血管系では、主として、間接的な視覚化技術、例えば血管造影法がステント留置のために用いられ、血管造影法(放射線不透過性色素が血流を通って流れる)は、血管管腔解剖学的構造しか示さず、血管壁の異常(これは、治療中の重大な疾患のあるセグメントである場合が多い)に関する情報を与えるわけではない。ステント自体からの「リアルタイム」検出情報は、決定するためのステントの配置の際に医師にとって有用であり、少ないけれども重要な関数をちょっと挙げてみただけでも、ステントが解剖学的に正確に植え込まれているかどうか、ステントが配置される結果にとってステントが適当に寸法決めされているかどうか、ステントがバルーン拡張の際(又は、自己拡張の際)完全に開かれる(配備される)かどうか、ステントが血管壁に大きすぎるほどの(又は小さすぎるほどの)圧力を及ぼすかどうか、ステントセグメントが正しく組み立てられているかどうか、隣り合うステント相互間のオーバーラップ量が最適であるかどうか、ステントのもつれ又は変形が存在しているかどうか、ステントの亀裂発生又は破損が存在しているかどうか、器具を通る一様な流れが存在しているかどうか、を判定するためにステントの配置の際に医師にとって有用である。本発明のステントにより、手術中の医師は、良好且つ外傷性の小さいステント配置及び配備をもたらすことができる多くの有益なパラメータを監視することができる。
【0046】
ステントが収納される血管壁に対するステントの不適切な寸法決めは、破損の恐れ(特に、再狭窄に起因する)を著しく増大させる場合があり、血管壁に対する圧力及び血管壁との接触の量、存在及び/又は不存在を検出することができるセンサを備えたステントは、ステントサイズ及び拡張(配備)度を血管壁のサイズにマッチさせるのを助けることができる。ステントの全ての又は部分的な不完全な開き(不完全密着(incomplete malapposiyion)と呼ばれている―ステントが血管壁に十分に接触しておらず、動脈管腔内に突き出ている領域)は、次の血液凝固(血栓症)及びステント破損の恐れを増大させ、ステントに設けられる位置センサ、接触センサ及び加速度計は、ステント挿入中における不完全な開き(配備)の領域を突き止めてこれを是正するために使用でき、十分に開かれた位置への「ロック」は、器具上及び器具内に設けられたセンサによって確認できる。ステントの不適切な位置決め(位置決め不良)は、配備時点か次の運動/移動に起因してかのいずれかにおいて、ステント療法のありふれた合併症でもある。本発明のセンサ含有ステントは、適正な初期配置及び血管内への結果として起こる移動又は転位を確認するために使用できる。全体としてのステントの運動又は個々のステントセグメントの互いの離脱は、ステント挿入及び現在行われている療法のもう1つの面倒な問題である。本発明のステントは、ステント全体の運動/離脱並びに個々のセグメント(又は破片)の運動及び/又は離脱を検出する能力を備えており、医師及び患者に有用な診断情報を提供する。配備中及び/又は配備後の次の運動の結果としてのステントのもつれも又、これが生じた場合には重要な臨床上の問題である。本発明のステントは、ステント全体にわたって分布して設けられてステントの変形及びもつれを検出することができる位置センサ及び加速度計を有する。ステント亀裂発生及び破損は、あらゆるステントについての問題であるといって良いが、特に、下肢の末梢のステント(下肢の運動又は膝関節全体にわたるステントの曲げに起因する)及びポリマー製の劣化性のステントにおいて問題となる場合がある。器具全体にわたって設けられた振動センサ、位置センサ、場所センサ及び加速度計は、この合併症が生じて緊急事態になる前にこの合併症の発生を医師及び患者に警告することができる。
【0047】
本発明の種々の観点では、ステントが別のステントと組み合わされた一体形コンポーネント又は適正な有用性を保証するために適切な形態に配置されることが必要な多数のコンポーネントで構成される場合のある組立体が提供される。患者に動脈疾患及び血管樹状構造における分岐箇所のところでの血管狭窄がある場合、閉塞したセグメントの解剖学的構造にマッチするよう現場で互いに配置できるステント(又はステントコンポーネント)を用いることが必要である場合が多い。例えば、図4は、種々の形式のステント配置例の略図であり、接触センサは、ステントの適正な配置を保証するよう利用できる。図4Aは、狭窄が血管内の多数の箇所で起こっている状態の分岐部位を示す図である。図4Bは、PTCAを備えたステントを示す図である。図4Cは、ステント・プラス・ステント配備状態(「逆‐T」とも呼ばれる)を示す図である。図4Dは、ステント・プラス・ステント配備状態(「Tステント留置(T stenting)」と呼ばれる)を示す図である。図4Eは、「クラッシュ(Crush)」と呼ばれるステント・プラス・ステント配備状態を示す図である。図4Fは、「Y」又は「V」と呼ばれるステント・プラス・ステント配備状態を示す図である。図4Gは、「口づけ(kissing )」と呼ばれるステント・プラス・ステント配備状態を示す図である。図4Hは、「キュロット(Culotte)」と呼ばれるステント・プラス・ステント配備状態を示す図である。各場合(潜在的に「マッチした」又は相補型の)接触センサを用いると、組立てが正確であるかを確認することができ、加速度計を用いると、解剖学的場所及び構造を確認することができ、位置センサは、運動を監視することができ、流量センサは、血管開存性を確認することができ、圧力/血管壁センサは、完全な配備及び正確な血管サイズを確認することができる。一まとめにして言えば、この検出情報は、血管及びステントの解剖学的構造の3次元画像を作ることができ、従って、血管造影法だけから利用できるデータを大幅に向上させることができる。これは、複雑な血管病変部内の多数のステントの正確で安全であり且つ効果的な配備の見込みを劇的に高める。
【0048】
図5は、オーバーラップ状態のステントの配置を容易にすると共に/或いは助けるために利用できる接触センサの略図である。互いにオーバーラップした状態のステントは、疾患のあるセグメントの長さ全体を跨ぐには単一のステントでは不十分な長い病変部又は曲がりくねった病変部の治療に用いられる。多くの場合効果的であるが、互いにオーバーラップした状態のステントは、より故障しがちであり、故障率は、隣り合うステント相互間のオーバーラップの程度に正比例し、オーバーラップの度合いが大きすぎると、故障の恐れが増大し、少なすぎるオーバーラップは―特に2つのステント相互間の隙間がある場合―同様に問題である。ステント相互間の接触センサを用いると、隣り合うステント相互間のオーバーラップの存在と程度の両方を確認することができる。好ましい実施形態では、ステント相互間の接触センサは、「マッチされ」又は相補型であり、隣り合うステント相互間のオーバーラップの理想的な量に達した時点を確かめることができる。さらに、圧力センサ、位置センサ及び加速度計を用いると、互いにオーバーラップ状態にあるセグメントは、これらが互いにオーバーラップしている2つのセグメントにルーメンサイズの「ミスマッチ」が存在していないことを保証するよう等しく配備されていることを確認することができる。
【0049】
D.部分又は完全生分解性ステント
上述したように、本発明のステント(血管(例えば、冠動脈、頸動脈、脳動脈、椎骨動脈、腸骨動脈、大腿動脈及び下肢の動脈)用、消化器(例えば、食道、十二指腸、結腸、胆道及び膵臓)用、肺(例えば、気管、気管支、細気管支又は肺胞を開存状態に保つため)用、頭及び頸部(洞、涙管、鼓室)用、及び泌尿生殖器(例えば、尿管、尿道、前立腺、ファロピウス管)用)は、1つ又は2つ以上の生分解性ポリマーで構成されるのが良い。かかるステントは、完全に又は部分的に生分解性及び/又は再吸収性であるのが良い。かかるステントの代表的な例は、例えば、米国特許出願公開第2009/0192588号明細書、同第2007/0270940号明細書、及び同第2003/0104030号明細書、並びに米国特許第6,387,124号明細書、同第6,869,443号明細書、及び同第7,044,981号明細書のステントが挙げられる。
【0050】
生分解性又は部分生分解性ステント上又は内部の(ポリマー内の様々な深さのところにおける)本明細書において説明したセンサの配置により、ステントの劣化の判定並びにオプションとしてステントの生分解又は再吸収率の測定が可能である。それ故、本発明の一観点では、ステントの劣化を判定する方法が提供され、この方法は、a)ステントと、ステント表面上に且つ/或いは生分解性/生侵食性ステント内の様々な深さのところに配置された1つ又は2つ以上のセンサとを含む組立体を患者の体内通路に提供するステップと、b)センサの変化を検出し、かくしてステントの劣化速度及び/又は完全な劣化を判定するステップとを含む。種々の実施形態では、センサは、1つ又は2つ以上の生理学的(例えば、接触、流体流量、圧力及び/又は温度)及び/又は場所的(例えば、患者の体内の場所)パラメータを検出することができる。別の実施形態では、検出ステップは、経時的な一連の検出であり、オプションとして、本方法は、ステントの劣化速度を求めると共に/或いはステントの完全な劣化に関する時間を推定するステップを更に含むのが良い。さらに別の実施形態では、ステントは、治癒中の組織による器具のルーメン被覆度を決定することができ、従ってステントが血管壁内に植え込まれていることを確認することができる(ステント破片が管腔内流体中に放出される恐れが減少し又はなくなる)。
【0051】
一実施形態では、生分解性ステントは、食道用ステント、尿管用ステント、尿道用ステント、洞用ステント、血管用ステント、又は前立腺用ステントであり、ステントの劣化は、センサの消失又は運動をある期間にわたって検出することによって監視できる。
【0052】
E.ステント被膜
本発明の或る特定の実施形態では、ステントの1つ又は2つ以上の表面上に施された1つ又は2つ以上の被膜を有するのが良いステントが提供される。被膜は、種々の目的のためにステント上に設けられるのが良い。被膜は、生分解性であっても良く、非生分解性であっても良く、これらの組み合わせであっても良い。被膜の代表的な例は、ポリマー(例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリアミノ酸、ポリテトラフルオロエチレン、テフロン(登録商標)、ゴアテックス(Gortex(登録商標))で構成されたポリマー)を主成分とする被膜であるが、非ポリマー被膜も又利用できる。
【0053】
適当な被膜の代表的な例としては、例えば米国特許第8,123,799号明細書、同第8,080,051号明細書、同第8,001,925号明細書、同第7,553,923号明細書、及び同第5,779,729号明細書に記載されている被膜が挙げられ、これら米国特許の全てを参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0054】
F.薬剤溶出性ステント
本発明の或る特定の実施形態では、本明細書において提供されるステントは、1種類又は2種類以上の薬剤(例えば、生物学的に活性の作用剤)を溶出するよう設計されているのが良い。代表的な例としては、米国特許第5,716,981号明細書、米国特許出願公開第2005/0021126号明細書、及び同第2005/0171594号明細書(発明の名称:Stents with bioactive coatings)及び米国特許出願公開第2005/0181005号明細書、及び同第2005/0181009号明細書(発明の名称:Implantable sensors and implantable pumps and anti-scarring agents)の例が挙げられ、かかる米国特許及び米国特許出願の全てを参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0055】
それ故、本発明の種々の実施形態では、1つ又は2つ以上のセンサを有すると共に所望の作用剤(例えば、薬剤又は治療薬)を体内の所望の場所(例えば、体内管腔及び/又は血管壁)に放出するよう利用できる薬剤溶出性ステント(例えば、薬剤被覆ステント)が提供される。関連実施形態では、薬剤溶出性デリバリ器具が要求時に(例えば、遠隔作動/要求時又はタイミングを取ったスケジュール時に、これについては、一般に、米国特許出願公開第2011/0092948号明細書(発明の名称:Remotely Activated Piezoelectric Pump For Delivery of Biological Agents to the Intervertebral Disc and Spine)を参照されたい。なお、この米国特許出願公開を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする)又は作動イベントの検出(例えば、圧力センサによる漏れの検出)時に所望の薬剤を放出するためにステント内に設けられるのが良い。例えば、本発明の或る特定の実施形態では、疾患を治療するため又は疾患を予防するために生物学的作用剤をステントと一緒に投与し、又はステントから放出するのが良い(例えば、i)癌の場合、化学療法剤と共に又は再狭窄を阻止する場合、ii)再狭窄の防止の場合、再狭窄防止薬、たとえばタキサン又はリムス薬、又はiii)感染の場合、抗菌薬と一緒に)。
【0056】
好ましい実施形態では、1つ又は2つ以上のセンサ(例えば、圧力センサ、接触センサ、及び/又は位置センサ)を利用すると、所望の薬剤の適正な配置並びに所望の部位に放出されるべき薬剤の量及び放出の運動学的特徴を決定することができる。
【0057】
G.感染を監視する方法
他の実施形態では、1つ又は2つ以上の温度センサを有するステントが提供される。かかるステントは、血液の温度、血管又は管腔壁の温度、ステントの温度、局所的組織内の温度及びステントに隣接した周囲環境の温度を測定するために利用できる。感染が間近に迫っている場合のあることを判定すると共に/或いはその注意を出す(例えば、患者及び/又は保健医療提供者に)ために温度の変化を経時的に監視するための方法も又提供される。
【0058】
本発明の或る特定の実施形態では、代謝センサ及び物理的センサも又、稀ではあるが潜在的に生命を脅かす合併症があるかどうかについて監視するためにステント上若しくはステント内又はステントの種々のコンポーネント上若しくは内に配置されるのが良い。何割かの患者では、ステント及びその周りの組織が感染状態になる場合がある。センサ、例えば温度センサ(温度上昇を検出する)、pHセンサ(pH減少を検出する)、及び他の代謝センサは、ステント上又はその周りの感染の存在を示唆するために使用できる。例えば、温度センサが感染の早期の検出を可能にし、そして抗生物質又は外科的インターベンションによる先制的な治療を可能するためにステント上又はステント内に設けられるのが良い。
【0059】
H.健康管理におけるセンサ含有ステントの別途使用
ステントに設けられたセンサ及び任意の関連医療器具は、健康管理状況において且つ非健康管理状況(例えば、家庭又は仕事場において)様々な利点を有する。例えば、術後の経過を監視することができ(読みを毎日、毎週等で比較することができ)、情報をコンパイルして患者と担当医の両方に取り継ぐことができ、それにより、リハビリテーションを順次フォローすることができ、そして予想される(代表的には、年齢層)基準と比較することができる。或る特定の実施形態では、ウェラブル器具が選択され又はランダム化された方式でセンサに問い合わせ、収集したセンサデータを捕捉すると共に/或いは記憶する。次にこのデータを別のシステム又は装置にダウンロードすることができる(以下に詳細に説明するように)。
【0060】
本明細書において説明しているセンサ(例えば、接触センサ、位置センサ、ひずみゲージ及び/又は加速度計)によって収集されたデータを単純で広く利用されている市販の分析技術、例えば歩数計及び全地球測位システム(GPS)機能により統合することにより、更に臨床的に重要なデータ、例えば、患者の歩行の程度(時間、距離、ステップ、速度、歩調)、患者の行動レベル(行動の頻度、持続時間、強度)、運動耐性(作業、カロリ、パワー、トレーニング効果)、可動域(後述する)及び種々の「現実世界」条件下におけるプロテーゼ性能(しかしながら、これらには限定されない)を収集することができる。患者の回復の良好な管理を可能にする際にこの情報の値を誇張することは困難である。担当医(又は理学療法士、リハビリテーション専門家)は、スケジュール設定された訪問の際に患者を挿間的に観察するに過ぎず、正確な正に診察時点での患者の機能の度合いに多くの非対応要因、例えば、ちょっと挙げてみただけでも、疼痛の存否、炎症の存否、硬直、時刻、薬剤使用のコンプライアンス及びタイミング(疼痛用薬物、抗炎症薬)、最近の活動及び運動レベル、患者の耐久力、心的状態、言語上の障壁、医師‐患者関係の特性、又は患者が自分の症状を正確に述べることができる能力によって影響を受ける場合がある。連続監視及びデータ収集により、患者及び医師は、多くの条件及び状況下における患者の機能に関する情報を供給することによって経過を客観的に監視することができ、それにより性能が種々のインターベンション(ペインコントロール、運動、理学療法、抗炎症薬、吸息等)によってどのように影響を受けたかを評価し、そしてリハビリテーション経過と先の機能及び将来の予想機能を比較することができる。良好な治療上の決定及び良好な患者のコンプライアンスは、医師と患者の双方が患者のリハビリテーション、活動、機能及び全体的性能に関する種々の治療様式の影響を観察するという利点を得た場合に期待できる。
【0061】
I.電力の発生
本発明の或る特定の観点では、1つ又は2つ以上の小型電気発生ユニットがステント内、ステント内部及び/又はステント上に配置されるのが良い。簡単に言えば、電力を僅かな機械的運動又は機械的振動から取り出す種々の技術が記載されている。これについては、例えば、ユー・ケイ・シン他(U. K. Singh et al.),「ピエゾエレクトリック・パワー・スキャベンジング・オブ・メカニカル・バイブレーション・エナジー(Piezoelectric Power Scavenging of Mechanical Vibration Energy)」,オーストラリアン・マイニング・テクノロジー・コンファレンス(Australian Mining Technology Conference),2007年10月24日,p.111~118の論文及びチャンドラカサン他(Chandrakasan et al. ),「ネクスト・ジェネレーション・マイクロ‐パワー・システムズ(Next Generation Micro-power Systems)」,シンポジウム・オン・ブイエルエスアイ・サーキュイッツ・ダイジェスト・オブ・テクニカル・ペーパーズ(Symposium on VLSI Circuits Digest of Technical Papers),2008年,p.1~5の論文が挙げられる。なお、これについては、米国特許第8,283,793号明細書(発明の名称:Device for Energy Harvesting within a Vessel)及び米国特許第8,331,632号明細書(発明の名称:Devices, Methods and Systems for Harvesting Energy in the Body)も又参照されたい。これら上述の先行技術文献の全てを参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。これら引用文献は、極めて僅かな動きから電気を発生させて後で使用するために電気を蓄えることができる互いに異なる形式の電力スカベンジャの例を提供している。上述の引用文献は又、運動を必要とせず、これとは異なり、高い圧力を加えた結果として電気を発生させるために、圧力を特定の構造に加えたりこれから除いたりする実施形態を記載している。加うるに、これら引用文献は、電気を体内における脈動性の力から生じさせることができる実施形態を記載している。
【0062】
1つ又は2つ以上の電気発生器によって電気を発生させた後、電気を本明細書において記載している種々のセンサのうちの任意の1つに送る。例えば、電気を図示のセンサに送るのが良い。この電気は又、本明細書において後で説明する他のセンサにも送られるのが良い。電力の送電は、任意の許容可能な技術によって実施できる。例えば、センサがステントに物理的に結合されている場合、電線が電気発生器から特定のセンサまで延びるのが良い。変形例として、ワイヤレススマートカードが適当な送信及び受信アンテナを用いてすぐ隣接して位置する電源から電力を受け取るのと同じ仕方で電気をワイヤレスで送ることができる。電力のかかる送信及び受信技術も又、上述の刊行物、特許出願公開明細書及び発行された米国特許に記載されており、これら刊行物、米国特許出願公開及び米国特許の全てを参照により引用し、これらの記載内容を本明細書の一部とする。
【0063】
J.ステントを含む組立体の医用画像化及び自己診断、予知的分析及び予知的保守
本発明は、多種多様な条件にわたってセンサの使用により画像化を行うことができるステントを提供する。例えば、本発明の種々の観点によれば、ステント又はセンサを備えたステントを含む組立体を画像化する方法が提供され、この方法は、ステント内、ステント上及び/又はステント内部のセンサの変化を経時的に検出するステップを含み、ステントは、1平方センチメートル当たり1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上又は20個以上のセンサ密度でセンサを有する。他の観点では、ステントは、1立方センチメートル当たり1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上又は20個以上のセンサ密度でセンサを有する。これら実施形態のいずれの場合でも、1平方センチメートル又は1立方センチメートル当たり50個未満、75個未満、100個未満又は100個のセンサが設けられるのが良い。上述したように、本発明において多様なセンサを利用することができ、かかるセンサとしては、例えば、流体圧力センサ、接触センサ、位置センサ、脈圧センサ、血液量センサ、血流量センサ、血液化学センサ、血液代謝センサ、機械的応力センサ、及び温度センサが挙げられる。
【0064】
例えば、本明細書において説明したセンサを有するステントを利用すると、位置的運動を検出することができるセンサにより血管の解剖学的構造及びステントの構造を画像化することができる。用いられるセンサは、心拍又は他の物理的変化に起因したステントの運動を検出するための加速度計及び動作センサを更に含むのが良い。加速度計及び/又は動作センサの位置の経時的変化をステント壁及び/又は血管壁の位置の経時的変化の測定値として用いることができる。かかる位置的変化を血管の解剖学的構造及びステントの構造の代用マーカとして用いることができ、―即ち、かかる位置的変化は、ステント内の再狭窄の寸法、形状及び存在場所、凝血塊の寸法、形状及び形成場所、腫瘍成長、膿瘍形成、アテロームプラーク形成、ステントのよじれ、ステント破断、セグメント化又は二叉状ステントの離断、オーバーラップ状態のステントのオーバーラップ量、及び/又はステント運動/移動に関する情報を提供するようステント及び/又は血管壁の「画像」を形成することができる。
【0065】
例えば、図7に示されているように、血管の病理学的特徴、例えば再狭窄又は血栓形成に起因する位置的運動を検出することができるセンサによって血管系の医用画像化法を示している。ステントをこのように画像化することによってステントの健全性を定期的にワイヤレスで問い合わせてその結果を報告することができる。これにより、患者の健康を定期的に又は患者及び/又は医師により望まれる任意の時点でチェックすることができ、それ故に、ステントの予知的診断及び/又は予知的保守又は予防が可能である。
【0066】
次に、或る特定の例示の実施形態ついて詳細に説明する。特定の一利点は、ステントが留置された患者の回復に関する生の且つ本来の位置での監視である。本明細書において説明しているセンサは、一定方式で、正常な日常における活動中に、しかも必要ならば夜間であってもデータを収集する。例えば、接触センサは、10秒ごとに1回、1分間に1回、又は1日に1回データを得て報告することができる。他のセンサは、より頻繁に、例えば1秒間に数回データを収集するであろう。例えば、温度、接触、及び/又は位置データを1秒に数回収集して記憶することが期待される。他形式のデータは、分を基準として又は時を基準として収集する必要があるだけである。さらに別のセンサは、患者により知らされた場合にのみデータを収集して「イベント記録」の一部として―即ち、患者が特定のイベント(例えば、疼痛、外傷など)を受けた場合―それを行うことができ(外部信号発生/トリガ装置により)、そして器具に信号を送ってその時点での読みを得ることができ、その目的は、患者の症候の根源的な原因又はトリガを良好に理解しようとして主観的/症候性データと主観的/センサデータの比較を可能にすることにある。
【0067】
或る特定の場合、ステントは、1つ又は2つ以上のプロセッサ回路、CPU、メモリチップ及び他の電気回路並びにデータを送信するアンテナ及びデータを受信するアンテナを収容する目的に十分なサイズのものであり且つかかる目的にとって十分過ぎるほどの空間を有する。他の実施形態では、関連の医療器具は、1つ又は2つ以上のプロセッサ回路、CPU、メモリチップ及び他の電気回路並びにデータを送信するアンテナ及びデータを受信するアンテナを収容することができる。プロセッサは、医療従事者によって設定された任意所望のスケジュールで種々のセンサからデータを収集するようプログラムされているのが良い。全ての行為を術後に連続的に監視し、そしてデータを収集してステント内に設けられたメモリに記憶するのが良い。
【0068】
ステントが留置されている患者は、一般に、定期的な健康診断を受けることになる。患者が健康診断のために医師の診療所に行ったとき、医師は、ステント、この実施例では図示のステントに読み取り装置を密接して配置してステント内の内部回路からデータを医師の診療所内のデータベースに転送する。スマートカード又は他の技術を用いたワイヤレス送信の使用法は、当該技術分野において極めて周知であり、これについて詳細に説明する必要はないであろう。データのかかるワイヤレス送信の実施例は、本明細書において説明した米国特許出願公開明細書及び米国特許明細書に記載されている。収集された(例えば、短期間にわたり、数週間にわたり、或いはそれどころか数ヶ月にわたって収集された)データは、数ヶ月でステント内に配置されているメモリから医師のコンピュータ又はワイヤレス装置に転送される。したがって、コンピュータは、異常があるかないか、経時的に予想しなかった変化があるかどうか、良い又は悪い傾向があるかどうか、及び患者の健康及びステントの動作性を表す他の徴候があるかどうかについてデータを分析する。例えば、患者がスキー又はジョギングをしようと決心した場合、医師は、ステントに対するかかる活動の影響を監視することができ、かかる影響としては、活動中の変化が挙げられる。次に、医師は、このイベント後の数時間及び数日におけるステントの健全性を調べてこれをこのイベントの前のデータと比較し、それにより何らかの特定のイベントが長期間にわたる損傷を生じさせたかどうか又は活動がステントにその特定のステントに関する製造業者の性能仕様を超える力を加えたかどうかを判定することができる。データを収集してかかるデータをひずみゲージ、接触センサ、表面磨耗センサ又は存在している場合のある他のセンサからのステントの目下の且つ長期間にわたる性能と比較することができる。電子データ捕捉、文書化及び臨床決定支援システム(EDDS)の代表的な一例が国際公開第2012/061825号パンフレットに記載されており、この国際公開を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0069】
一変形例では、患者は又、かかる読み取り装置を自宅に有するのが良く、かかる読み取り装置は、定期的に、例えば1日に1回又は1週間に1回ステントからのデータを照合する。上述したように、患者は、「イベント記録」の一部として装置読取りを(外部信号発生/トリガ装置により)「トリガ」することも可能である。患者自身のリハビリテーションを続けるよう患者に権限を与え―そして患者が自分の健康及びリハビリテーションに関する種々のライフスタイルの選択の良い(及び悪い)効果を認識できるようにすることにより、コンプライアンスを向上させると共に患者に関する成果を向上させることが期待できる。さらに、患者の経験をウェブにより他の患者と共有することができ、それにより自分の経過を機能及びリハビリテーションに関して予想される「基準」と比較して患者の医師の注意を引くべき徴候及び症状について患者に対して注意を喚起することができる。互いに異なるステントの性能を互いに異なる患者(異なる性別、体重、活動レベル等)で比較することができ、それにより製造業者がより良い器具を設計するのを助けると共に外科医及び他の保健医療提供者が特定の患者タイプに合った正しいステントの選択をするのを助けることができる。支払人、患者、製造業者及び医師は全て、この比較情報の収集から利益を受けることができる。最後に、自宅で集積されたデータを収集し、そしてインターネットを介して分析のために医師の診療所に送信することができ、―潜在的に場合によっては不必要な訪問がなくなり、又場合によっては迅速な医療フォローアップが促進される。
【0070】
K.ステントを監視する方法
上述したように、本発明は又、本明細書において提供されるステントのうちの1つ又は2つ以上を監視する方法を提供する。例えば、図8は、例えば図1図2図3図4図5図6、又は図7のうちの任意の1つの図に示された形式のステント14と併用できる監視システム20を示している。監視システム20は、使用できるセンサ22、問い合わせモジュール24、及び制御ユニット26を含む。センサ22は、ワイヤレス源から受け取った電力で動作することができる受動ワイヤレス形式のものである。この種のかかるセンサは、当該技術分野において周知であり広く利用されている。この種の圧力センサは、MEMS圧力センサ、例えばエスティーマイクロエレクトロニクス(STMicroelectornics)社により開放市場で市販されている部品番号LPS331APであるのが良い。MEMS圧力センサは、極めて小さい電力で動作することがよく知られており且つ長期間にわたって電力が供給されていない状態のままであって且つアイドル状態のままであるのに適している。これら圧力センサにはRF信号でワイヤレス電力供給することができ、これら圧力センサは、RF信号でワイヤレス信号上でワイヤレスで受け取った電力に基づいて、圧力の検出を行い、次に検出したデータを出力する。
【0071】
一実施形態では、本明細書において説明したセンサ(例えば、流体圧力センサ、接触センサ、位置センサ、脈圧センサ、血液量センサ、血流量センサ、血液化学センサ、血液代謝センサ、加速度計、機械的応力センサ、温度センサ等)に電力供給するために利用できる電気発生(発電)システムが提供される。例えば、発電システムは、血管中の脈動血流を利用するのが良い。1つ又は2つ以上の電気発生器又は発電機によって電気を発生させた後、電気を本明細書において記載している種々のセンサのうちの任意の1つに送る。例えば、電力の送電は、任意の許容可能な技術によって実施できる。例えば、電気発生器を電線によって1つ又は2つ以上のセンサに直結することができる。代替的に(又は追加的に)、ワイヤレススマートカードが適当な送信及び受信アンテナを用いてすぐ隣接して位置する電源から電力を受け取るのと同じ仕方で電気をワイヤレスで送ることができる。
【0072】
動作中、図8に示されているように、問い合わせモジュール24が信号28を出力する。信号28は、ワイヤレス信号(例えば、RF帯のワイヤレス信号)であり、このワイヤレス信号は、センサ22のための電力を含むと共にセンサ22が検出を実行する問い合わせ要求を含む。信号28による問い合わせ時、センサ2は、起動して、検出及びデータ報告中、動作を維持するのに十分な電力を搭載型キャパシタ内に蓄える。かかる電力受け取り回路及び搭載型キャパシタへの電力貯蔵は、当該技術分野において周知であり、従って、詳細には示す必要がないであろう。適切な検出は、センサ22によって実施され、次に、データは、センサから出力されて信号30の状態で問い合わせモジュール24に戻され、この問い合わせモジュールにおいて、信号30は、問い合わせモジュールの入力ポートのところで受け取られる。
【0073】
一実施形態によれば、センサのための電力を供給すると共に検出動作を実施して信号を出力してこれを問い合わせモジュール24に戻すのに十分な信号強度が初期信号28内に提供されている。他の実施形態では、2種類又は3種類以上の信号28が送られ、各信号は、追加の電力をセンサに提供してセンサが検出動作を完了させ、次にデータを信号経路30により伝送してこれを問い合わせモジュール24に戻すのに十分な電力を提供する。例えば、信号28をこの信号の第1の部分のところの検出要求成分と共に連続的に送るのが良く、次に引き続き安定信号として又はパルスとしてのいずれかとして電力を提供してセンサを動作させるのが良い。センサがデータをいつでも出力可能な状態にあるとき、センサは、データが到来しているという内容の警告信号を問い合わせモジュール24に送り、信号28をターンオフして干渉を回避するのが良い。変形例として、問い合わせ信号28は、第1の周波数の状態にあるのが良く、出力信号30は、これらの信号が互いに干渉することがないほど十分離れた第2の周波数の状態にあるのが良い。好ましい実施形態では、これら信号は両方とも、同一の周波数であり、その結果、センサの同一のアンテナが信号28を受信して信号30を送信することができるようになっている。
【0074】
問い合わせ信号28は、ステントに設けられている特定の信号を選択するためのデータを含むのが良い。例えば、信号28は、ステント上の全てのセンサを同時に起動させるのが良く、次に互いに異なる選択された時刻に各々からデータに関する要求を送り、その結果、1つの問い合わせ信号28が設定されている時間の間、例えば、1~2秒間提供されている状態で、その結果、ステント上のセンサの各々がこの期間中、データを収集し、次に、期間の終わりに、データをそれぞれの信号30で次の0.5~2秒にわたり異なる時間に報告して1つの問い合わせ信号28で全てのセンサ22からのデータが収集されるようにする。
【0075】
問い合わせモジュール24は、制御ユニット26の制御下で動作しており、この制御ユニット26は、コントローラのためのマイクロプロセッサ、メモリ、問い合わせモジュールとインターフェースするためのI/O回路及び電源を含む。制御ユニットは、データをコンピュータ又は他の装置に出力し、それにより表示して患者を治療するための医師によって使用できるようにする。
【0076】
図9は、患者の体内の本発明の実施形態による作用を示している。患者は、表皮32を有する。心臓の血管のうちの1本の中に配置されたステントは、患者の体の内部に設けられる。ステント14は、患者の体内の多くの場所のうちの任意の1つのところに配置できる。この実施例では、ステントは、患者の冠動脈(左前下行動脈)内に配置された冠血管用ステントであるが、他の血管内のステントと非血管用ステント(上述した)をほぼ同様な仕方で利用することができる。
【0077】
図9に示されているように、問い合わせモジュール24及び制御ユニット26は、患者の皮膚32の外部に配置される。問い合わせ信号28は、ワイヤレスRF信号で患者の皮膚を通り、データは、センサ22からのワイヤレスRF信号30上で受け取られて問い合わせモジュール24に戻される。ワイヤレス信号は、任意の周波数範囲内にあって良いが、RF範囲が好ましい。3~300kHzのVLF~LF範囲内の周波数が信号を小さい電力で体内の十分な深さまで運ぶことができるようにする上で好ましいが、3kHz未満の周波数及び300kHzを超える周波数も又使用できる。検出は、多量のデータの転送を必要とせず且つ小電力が好ましく、従って、低周波数RF信号が無難である。これは又、他のワイヤレス信号発生器、例えばブルートゥース(登録商標)、携帯電話等との競合を回避すると共にかかる他のワイヤレス信号発生器による偶発的な起動を回避する。
【0078】
L.ステントからのデータの収集、転送、分析、及び配布
図10は、センサデータ(例えば、図1図2図3図4図5図6、又は図7のうちの任意の1つのセンサ22からのデータ)を処理するよう構成された情報・通信技術(ICT)システム800の一実施形態を示している。図10では、ICTシステム800は、ネットワーク804を介して情報のやりとりをするコンピュータ計算数値を含むものとして示されているが、他の実施形態では、コンピュータ計算装置は、互いに直接に又は他の介在する装置を介して情報のやりとりをすることができ、場合によっては、コンピュータ計算装置は、情報のやりとりを全くしない。図10のコンピュータ計算装置は、コンピューティングサーバ802、制御ユニット26、問い合わせユニット24、及び分かりやすくするために図示されていない他の装置を有する。
【0079】
図10では、1つ又は2つ以上のセンサ22が問い合わせモジュール24と通信する。問い合わせモジュール24は、制御ユニット26によって指図されるが、他の場合、問い合わせモジュール24は、自律的に動作して情報をセンサ22に伝えたりこれから受け取ったりする。問い合わせモジュール24及び制御ユニット26のうちの一方又はこれら両方は、コンピューティングサーバ802と通信することができる。
【0080】
或る特定の実施形態では、問い合わせモジュール及び/又は制御ユニットは、患者に取り付けられるウェアラブル装置であるのが良い。ウェアラブル装置(例えば、腕時計状装置、リストバンド、眼鏡又は患者によって持ち運び可能又は装用可能な他の装置)は、設定された(又はランダムな)期間にわたりセンサに問い合わせしてデータを収集し、そしてデータを1つ又は2つ以上のネットワーク(804)に送ることができる。さらに、ウェアラブル装置は、これ又ネットワークに送信できるデータをおのずから収集することができる。収集可能なデータの代表的な例としては、場所(例えば、GPS)、体温又は皮膚温度、及び他の生理学的データ(例えば、脈拍)が挙げられる。さらに別の実施形態では、ウェアラブル装置は、器具の故障の恐れ又は実際の故障を含む(これには限定されない)多くの所定の条件のうちの任意のものを患者に直接通知することができる。
【0081】
問い合わせモジュール24とセンサ22との間で伝えられる情報は、本明細書において説明する多くの目的にとって有用であると言える。幾つかの場合、例えば、センサデータ情報を収集して患者個人の健康について明示的に分析する。他の場合、センサデータを収集し、そしてこれを別のコンピュータ計算装置に伝送して他のデータと集計する(例えば、センサ22からのセンサデータを収集してウェアラブル装置(例えば、或る特定の実施形態ではGPSデータ等を含むのが良い装置)から収集した他のデータと集計するのが良い)。
【0082】
図10は、コンピューティングサーバ802a,802b、及び1つ又は2つ以上の他のサーバ802nを更に含むサーバの協働バンクとしてコンピューティングサーバ802の観点を示している。理解されるように、コンピューティングサーバ802は、コンピューティングサーバのユーザの利益に合わせて個々に又は集合的に動作する任意の数のコンピューティングサーバを含む場合がある。
【0083】
幾つかの実施形態では、コンピューティングサーバ802は、1つ又は2つ以上の地理学的場所、例えば米国及びカナダ国内で作られたクラウドコンピュータ計算装置として構成されている。計算装置は、MICROSOFT AZURE クラウドコンピュータ計算装置として又は他の幾つかの事実上アクセス可能な遠隔コンピュータ計算サービスとして作られるのが良い。
【0084】
問い合わせモジュール24及び制御ユニット26は、オプションとして、コンピューティングサーバ802と通信するものとして示されている。問い合わせモジュール24又は制御ユニット26を介して、センサデータは、ネットワーク804によりコンピューティングサーバ802に転送される(追加的に又は代替的にコンピューティングサーバ802から転送される)。
【0085】
ネットワーク804は、コンピューティングネットワークとして構成されたセルラー通信ネットワーク、従来型ケーブルネットワーク、衛星ネットワーク、光ファイバネットワーク、及び1つ又は2つ以上のローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、パーソナルエリアネットワーク等のうちの幾つか又は全てを含む。好ましい実施形態では、ネットワーク804は、コンピュータ計算装置のユーザが他のコンピュータ計算装置を閲覧してこれと対話することができるよう協働して働く任意の通信ハードウェア及びソフトウェアを含む。
【0086】
コンピューティングサーバ802は、中央処理装置(CPU)ディジタルシグナル処理ユニット(DSP)808、通信モジュール810、入力/出力(I/O)モジュール812、及び記憶モジュール814を含む。コンピューティングサーバ802のコンポーネントは、1つ又は2つ以上のバス816によって互いに協働的に結合され、かかるバス816は、コンピューティングサーバ802内の且つこれを通る情報の転送及び制御を容易にする。通信モジュール810は、情報をコンピュータサーバ802と他のコンピュータ計算装置(例えば、コンピューティングサーバ802a,802b,802n、制御ユニット26、問い合わせユニット24等)との間で伝えるよう構成可能である。I/Oモジュール812は、例えばキーボード、コンピュータマウス、トラックボール等のようなデバイスからの入力を受け取るよう構成可能である。I/Oモジュール812は、例えばディスプレイ、レコーダ、LED、オーディオ装置等のようなデバイスへの出力を提供するよう構成可能である。
【0087】
記憶モジュール814は、1種類又は2種類以上の形式の記憶媒体を含むのが良い。例えば、図10の記憶モジュール814は、読取り書込み記憶装置(RAM)818、読取り専用記憶装置(ROM)820、ディスク式メモリ822、光学式メモリ824及び他形式のメモリ記憶媒体826を含む。幾つかの実施形態では、記憶モジュール814の中の1つ又は2つ以上の記憶装置上には、1つ又は2つ以上のデータベース構造が構築されている。データベース構造を用いると、センサ22から収集したデータを記憶することができる。
【0088】
幾つかの実施形態では、記憶モジュール814は、非一過性コンピュータ可読媒体(CRM)として組織化されたメモリの1つ又は2つ以上の部分を更に含むのが良い。CRMは、CPU808によって実行可能なコンピュータ計算命令を記憶するよう構成されている。コンピュータ計算命令を1つ又は2つ以上のファイルとして記憶するのが良く、各ファイルは、1つ又は2つ以上のコンピュータプログラムを含むのが良い。コンピュータプログラムは、スタンドアローン型プログラムであっても良く大きなコンピュータプログラムの一部であっても良い。代替的に又は追加的に、各ファイルは、センサ(例えば、ステントのセンサ)からのデータの収集、分析、処理、及び/又は配布を命令するアプリケーションのためのデータ又は他のコンピュータ計算サポートマテリアルを含むのが良い。センサデータアプリケーションは、代表的には、コンピュータ可読媒体上に記憶された1組の命令を実行する。
【0089】
理解されるように、図示すると共に本明細書において説明するコンピューティングサーバは、例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。コンピューティングサーバ802は、図示されていない他の装置に接続可能であり、かかる接続は、1つ又は2つ以上のネットワークを介して、例えば、インターネット(Internet)を介し又はネットワーク804中に組み込まれたウェブ(Web)を介する接続を含む。一般的にいって、コンピュータ計算システム又は装置(例えば、「クライアント」又は「サーバ」)又はこれらのうちの任意の部分は、オプションとしてプログラムされ又は違ったやり方でソフトウェアにより構成された場合、互いに対話して記載した形式の機能を実行することができるハードウェアの任意の組み合わせを含むのが良く、かかるハードウェアとしては、デスクトップ型又は他形式のコンピュータ、データベースサーバ、ネットワーク記憶装置及び他のネットワーク装置、PDA(携帯型情報端末)、携帯電話、ワイヤレス電話、ページャ、電子オーガナイザ、インターネットアプライアンス、テレビジョンを利用したシステム(例えば、セットトップボックス及び/又はパーソナル/ディジタルビデオレコーダ)及び適当な構内通信機能を含む種々の他の製品が挙げられるが、これらには限定されない。加うるに、図示のシステムモジュールにより提供される機能は、幾つかの実施形態では、少ないモジュールの状態に組み合わされても良く又は追加のモジュールの状態に分散されても良い。同様に、幾つかの実施形態では、図示のモジュールのうちの幾つかの機能が提供されなくても良く且つ/或いは他の追加の機能が利用可能であっても良い。
【0090】
加うるに、種々のアイテムがメモリ内に記憶されるものとして又は利用されながら記憶されるものとして示されているが、これらアイテム又はこれらアイテムのうちの幾つかの部分をメモリ管理及び/又はデータ完全性の目的でメモリと他の記憶装置との間で転送されるのが良い。少なくとも幾つかの実施形態では、図示のモジュール及び/又はシステムは、CPU/DSP808又は他のプロセッサによって実行されたときに、このプロセッサをプログラムしてモジュール/システムのための記載された操作を自動的に実行するソフトウェア命令を含むソフトウェアモジュール/システムである。変形例として、他の実施形態では、ソフトウェアモジュール及び/又はシステムのうちの幾つか又は全ては、別の装置に設けられているメモリ内で動作してインターコンピュータ通信を介して図示のコンピュータ計算システム/装置と情報と通信することができる。
【0091】
さらに、幾つかの実施形態では、モジュール及び/又はシステムのうちの幾つか又は全ては、他の仕方で、例えば、少なくともファームウェア及び/又はハードウェア手段の状態で部分的に実行され又は提供可能であり、かかる手段としては、1つ又は2つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、標準型集積回路、コントローラ(例えば、適当な命令を実行することにより、そして、マイクロコントローラ及び埋め込み型コントローラを含む)、フィールド書き換え可能ゲートアレイ(FPGA)、複合プログラム可能論理デバイス(CPLD)等が挙げられるが、これらには限定されない。システム、モジュール、又はデータ構造の幾つか又は全ても又、適当な入力又は出力システムによって又は適当な接続方式を介して読み取られるべき一過性又は非一過性コンピュータ可読記憶媒体814、例えばハードディスク822又はフラッシュドライブ又は他の不揮発性記憶装置826、揮発性メモリ818、不揮発性メモリ820、ネットワーク記憶装置又は携帯可能なメディア物品(例えば、DVDディスク、CDディスク、光ディスク、フラッシュメモリ装置等)上に記憶されるのが良い(例えば、ソフトウェア命令又は構造化データとして)。システム、モジュール、及びデータ構造は又、幾つかの実施形態では、種々のコンピュータ可読送信媒体上で生成データ信号として(例えば、搬送波又は他のアナログ若しくはディジタル伝搬信号として)伝送されるのが良く、かかるコンピュータ可読送信媒体としては、ワイヤレス方式及びワイヤード/ケーブル利用媒体が挙げられる。データ信号は、単一若しくは多重化アナログ信号の一部として、多数の別々の信号パケット又はフレームとして、ディジタルビットの別々の又はストリーミング設定として種々の形態を取ることができ又は他の何らかの形態を取ることができる。かかるコンピュータプログラム製品は、他の実施形態では、他の形態を取ることも可能である。したがって、本発明を他のコンピュータシステム構成例で実施できる。
【0092】
図10では、例えばセンサ22からのセンサデータがコンピューティングサーバ802に提供される。一般的に言って、センサデータは、既知の患者及び既知のセンサから取り出されたデータを表す。センサデータは、追加の情報、例えばUSI、UDI、タイムスタンプ、場所(例えばGPS)スタンプ、日付印、及び他の情報を含み又は更に関連しているのが良い。種々のセンサ相互間の差は、幾つかがデータを特定のソース、収集装置、伝送特性等と関連付ける多くの又は少ないデータビットを含む場合があるということにある。
【0093】
幾つかの実施形態では、センサデータは、慎重な取り扱いを要する又はデリケートな情報、例えば特定の患者と関連したプライベートな健康情報を含む場合がある。デリケートな情報、例えばセンサ22からのセンサデータは、関係者が広く又は容易に漏れることのないよう望む任意の情報を含む場合がある。デリケートな情報は、独立している場合があり又は他のデリケートではない情報と組み合わせられる場合がある。例えば、患者の医学情報は、典型的にデリケートな情報である。幾つかの場合、患者の医学情報の保管及び伝送は、政府の命令(例えば、法律、規則等)、例えば米国の医療保険の携行性と責任に関する法律(HIPPA)によって保護されている。
【0094】
本明細書によって説明している「デリケートな」情報と言った場合、これは、完全にデリケートな情報及びデリケートである情報とデリケートではない情報の何らかの組み合わせである情報を含む。デリケートな情報は、データファイルの状態で又は他の何らかのフォーマットで表されるのが良い。本明細書で用いられているように患者の医学情報を含むデータファイルを「デリケートな情報」という場合がある。他の情報、例えば雇用情報、財政状況、識別情報及び他の多くの形式の情報も又、デリケートな情報と考えられる場合がある。
【0095】
コンピュータ計算システムは、コード化アルゴリズム(例えば、ASCII)、良く認識されたファイルフォーマット(例えば、PDF)、又は他の何らかのフォーマットによってデリケートな情報を表すことができる。コンピュータ計算システムでは、デリケートな情報は、暗号化アルゴリズムにより広く又は容易に漏れることから保護できる。
【0096】
一般的に言って、デリケートな情報は、別々の組をなすデータビットとしてコンピュータ計算システムによって格納可能である。1組のデータビットは、「平文(plaintext)」と呼ばれる場合がある。さらに、コンピュータ処理システムは、暗号化プロセスを利用し、暗号化アルゴリズム(即ち、サイファ)を利用して平文を極めて読み取り不能な状態(即ち、サイファテキスト)を有する1組のデータビットに変換することができる。サイファテキストを作るために用いられる暗号化キーの知識を有するコンピュータ計算システムは、この情報を平文の読み取り可能な状態に復元することができる。したがって、幾つかの場合、デリケートなデータ(例えば、センサデータ806a,806b)は、オプションとして、コンピュータ計算装置に伝えられる前に暗号化される。
【0097】
一実施形態では、図10の情報及び通信技術(ICT)システム800の動作は、コンピュータ可読媒体上に記憶された1つ又は2つ以上のセンサデータコンピュータプログラムを含む。コンピュータプログラムは、オプションとして、1人又は2人以上の患者の体内に植え込まれた1つ又は2つ以上のステントセンサからのデータを導くと共に/或いは受け取ることができる。センサデータコンピュータプログラムをコンピューティングサーバ802内で実行するのが良い。代替的に又は追加的に、センサデータコンピュータプログラムは、制御ユニット26、問い合わせユニット24内で実行できる。
【0098】
一実施形態では、ステントセンサデータの収集及び使用を命令するコンピュータプログラムは、記憶モジュール814内の非一過性コンピュータ可読媒体上に記憶される。コンピュータプログラムは、ワイヤレスステントが体内に挿入されている患者を識別するよう構成される。ワイヤレスステントは、1つ又は2つ以上のワイヤレスセンサを有するのが良い。
【0099】
幾つかの場合、コンピュータプログラムは、1人の患者を識別し、他の場合、2人又は3人以上の患者が識別される。患者は各人、1つ又は2つ以上のワイヤレスステントを有し、各ワイヤレスステントは、本明細書において説明した形式の1つ又は2つ以上のワイヤレスセンサを有するのが良い。
【0100】
コンピュータプログラムは、ワイヤレスステント器具からのセンサデータの収集を命令するよう構成されている。センサデータは、一般に、ワイヤレス問い合わせユニット24により集められる。幾つかの場合、プログラムは、ワイヤレス問い合わせユニット24と通信する。他の場合、プログラムは、制御ユニット26と通信し、制御ユニット26は、ワイヤレス問い合わせユニット24に命令を出す。さらに他の場合、センサデータの収集を命令する他の機構が用いられる。
【0101】
センサデータをいったん収集すると、かかるデータを更に処理するのが良い。例えば、幾つかの場合、センサデータは、削除することができ又はかかるデータとの関連を解くことができるデリケートな患者データを含む。センサデータは、個々に記憶されても良く(例えば、一義的なセンサ識別番号、デバイス番号等によって)又はセンサ形式、タイムスタンプ、ロケーションスタンプ、日付印、患者のタイプ、他の患者特性又は他の何らかの手段によって他のセンサデータと集成されても良い。
【0102】
以下の擬似コード記述(pseudo-code description)がコンピューティングサーバ802によって実行され、全体として図10を参照して本明細書において説明した1つの例示のアルゴリズムを全体的に説明するために用いられている。
【0103】
当業者であれば認識されるように、装置及び/又はプロセス及び/又はシステムを具体化し、しかる後、技術及び/又は他の実務を用いてかかる具体化された装置及び/又はプロセス及び/又はシステムをより包括的な装置及び/又はプロセス及び/又はシステムに組み込むことが、当該技術分野では通例である。すなわち、本明細書において説明した装置及び/又はプロセス及び/又はシステムの少なくとも一部分を妥当な量の実験により他の装置及び/又はプロセス及び/又はシステムに組み込むことができる。当業者であれば認識されるように、かかる他の装置及び/又はプロセス及び/又はシステムの例としては、前後関係及び用途に対して適当な場合、(a)空中輸送機関(例えば、飛行機、ロケット、ヘリコプタ)、(b)地上輸送機関(例えば、自動車、トラック、機関車、タンク、装甲人員運搬車)、(c)建物(例えば、住宅、ウェアハウス、オフィス)、(d)電気器具(例えば、コーヒーメーカー、冷蔵庫、洗濯機、乾燥機)、(e)通信システム(例えば、ネットワーク化システム、電話システム、ボイスオーバーアイピーシステム(Voice over IP system:IPシステム上の音声)、(f)企業体(例えば、インターネットサービスプロバイダ(ISP)企業体、例えばコムキャスト・ケーブル(Comcast Cable)、クウェスト(Qwest)、サウスウエスタン・ベル(Southwestern Bell))、又は(g)ワイヤード/ワイヤレスサービス事業体(例えば、エーティーアンドティー(AT&T)、ティー‐モバイル(T-Mobile)、ベリゾン(Verizon))の全て又は一部を含む場合がある。
【0104】
或る特定の場合、システム又は方法の使用が、コンポーネントが管轄区域外に配置されている場合であっても管轄区域内で起こる場合がある。例えば、分散コンピューティングコンテキストでは、分散型コンピューティングシステムの使用が、このシステムの部分(例えば、管轄外に配置されている中継器、サーバ、プロセッサ、信号担持媒体、送信側コンピュータ、受信側コンピュータ等)が管轄区域外に配置されている場合であっても管轄区域内で起こる場合がある。本発明の一実施形態では、ステントが留置されている患者は、或る1つの場所に居る場合があり、他方、データの処理及び分析は、別の場所で行われる。
【0105】
システム又は方法の販売は、同様に、このシステム又は方法のコンポーネントが管轄区域外に配置されると共に/或いは管轄区域外で用いられる場合であっても管轄区域内で起こる場合がある。さらに、一管轄区域内で方法を実行するシステムの少なくとも一部の具体化は、別の管轄区域内でのシステムの使用を排除しない。
【0106】
結論として、種々のセンサを利用したステントは、種々の重要な臨床上の機能、例えばステントの安全で正確であり且つ外傷性の低い配置及び配備、ステント及びその周りの解剖学的構造の手続き的及び術後「リアルタイム」画像化、ステント合併症の発生、及び患者の全体的な健康状態(心臓、腎臓及び他の生理学的パラメータ)に役立つよう利用可能である。現時点において、ステントが置換された患者の術後(入院患者と外来患者の両方の)評価は、患者の病歴、身体計測及び必要に応じて診断的画像化研究で補完された医学的監視(バイタルサイン、血液研究、ECG等)によるものである。しかしながら、患者の回復期間の大部分は、病院訪問と診療所訪問との間で起こり、日常の機能に関するデータの大部分は、非捕捉状態であり、更に、何らかの診断的画像化技術の使用による患者の経過の監視は、費用がかかると共に侵襲性である場合があり、しかもそれ自体の健康上のリスク(例えば、冠動脈造影法)を伴う場合がある。したがって、症候の発生又は悪化を正確に測定してフォローし、そして「実生活」上のステント性能を評価することは極めて困難であると言える。というのは、特に症候が患者の活動レベル、運動耐性、並びにリハビリテーション上の努力及び薬物の有効性に関連しているからである。
【0107】
現在、医師も患者ももしそうでなければ得たいであろうと思う可能性のある「リアルタイム」の連続した客観的なステント性能測定の形式にアクセスできる医師も患者も存在しない。ステントの機能、健全性、解剖学的構造及び生理学的特徴を原位置で監視することができることにより、診療所の訪問の際に有用な客観的情報を医師に提供することができ、更に、患者は、重要な補完的臨床情報を医師に提供するために(かかる情報は、遠隔場所からであっても保健医療提供者に電子的に送ることができる)自宅で種々の時点で(例えば、疼痛を感じたとき、運動中、薬剤の服用後等)追加の読みを得ることができる。患者の将来の見通しから見て、これら同一のパラメータの多くを自宅で監視することができることにより、これらパラメータは、患者の看護及び回復においてより予防的な役割を果たすことができ、そして医療扶助を求めるための早期の警告指標か保証かのいずれかを患者に提供することができる。
【0108】
一変形例では、患者は又、かかる読み取り装置を自宅に有するのが良く、かかる読み取り装置は、定期的に、例えば1日に1回又は1週間に1回ステントからのデータを照合する。患者自身のリハビリテーションを続けるよう患者に権限を与えること―そして患者が自分の健康及びリハビリテーションに関する種々のライフスタイルの選択の良い(及び悪い)効果を認識できるようにすること―に加えて、かかる情報アクセスは、コンプライアンスを向上させると共に患者に関する成果を向上させることが期待できる。例えば、或る特定の実施形態では、本明細書において提供した装置及びシステムは、正常な及び/又は設定されたパラメータからの偏差(例えば、10%超、20%超、25%超、50%超、70%超、及び/又は100%超)について患者又は許可を得ている第三者に教示し又は違ったやり方で通知することができる。さらに、患者の回復経験をウェブにより他の患者と共有することができ、それにより自分の経過を機能及びリハビリテーションに関して予想される「基準」と比較して患者の医師の注意を引くべき徴候及び症状について患者に対して注意を喚起することができる(例えば、フェースブック(登録商標)(Facebook)又は他のソーシャルメディアサイトで)。公衆衛生の観点からは、互いに異なるステントの性能を互いに異なる患者(異なる性別、疾患の重症度、活動レベル、併発症、例えば高血圧症や糖尿病、喫煙状態、肥満症等)で比較することができ、それにより製造業者がより良いステントを設計するのを助けると共に医師が特定の患者タイプに適正なステントの選択をするのを助けることができる。支払人、患者、製造業者及び医師は全て、この比較情報の収集から利益を受けることができる。粗悪品や危険な製品を識別して市場からなくすことができ、そして客観的な長期間にわたる有効データを収集して分析することができる。最後に、自宅で集積されたデータを収集し、そしてインターネットを介して分析のために医師の診療所に送信することができ、―潜在的に場合によっては不必要な訪問がなくなると共に迅速な医療フォローアップが促進される。
【0109】
以下は、本明細書において開示したシステム及び方法の幾つかの特定の番号が付けられた実施態様である。これら実施態様は、例示であるに過ぎない。理解されるように、本発明は、例示のために本明細書において記載した実施形態には限定されず、上記の開示内容範囲に含まれる本発明のかかる全ての形態を含むものである。
〔実施態様項1〕
組立体であって、ステントと、上記ステント上又は内部に配置されたセンサとを含む、組立体。
〔実施態様項2〕
上記センサは、上記ステントの外壁上に配置されている、実施態様項1記載の組立体。
〔実施態様項3〕
上記センサは、上記ステントの内壁上に配置されている、実施態様項1記載の組立体。
〔実施態様項4〕
上記センサは、上記ステント内部に配置されている、実施態様項1記載の組立体。
〔実施態様項5〕
上記センサは、管腔表面上、傍管腔表面上に配置されると共に/或いは管腔内に植え込まれている、実施態様項1記載の組立体。
〔実施態様項6〕
上記センサは、流体圧力センサである、実施態様項1~4のうちいずれか一に記載の組立体。
〔実施態様項7〕
上記センサは、接触センサである、実施態様項1~4のうちいずれか一に記載の組立体。
〔実施態様項8〕
上記センサは、位置センサである、実施態様項1~4のうちいずれか一に記載の組立体。
〔実施態様項9〕
上記センサは、脈圧センサである、実施態様項1~4のうちいずれか一に記載の組立体。
〔実施態様項10〕
上記センサは、血液量センサである、実施態様項1~4のうちいずれか一に記載の組立体。
〔実施態様項11〕
上記センサは、血流量センサである、実施態様項1~4のうちいずれか一に記載の組立体。
〔実施態様項12〕
上記センサは、血液化学センサである、実施態様項1~4のうちいずれか一に記載の組立体。
〔実施態様項13〕
上記センサは、血液代謝センサである、実施態様項1~4のうちいずれか一に記載の組立体。
〔実施態様項14〕
上記センサは、機械的応力センサ、加速度計又は温度センサである、実施態様項1~4のうちいずれか一に記載の組立体。
〔実施態様項15〕
上記ステントは、血管用ステント、消化器用ステント、肺用ステント、頭および頸部用ステント、又は泌尿生殖器用ステントである、実施態様項1~14のうちいずれか一に記載の組立体。
〔実施態様項16〕
上記血管用ステントは、冠動脈用ステント、頸動脈用ステント、脳用ステント、椎骨用ステント、腸骨用ステント、大腿骨用ステント、膝窩用ステント、又は下肢の動脈用のステントである、実施態様項15記載の組立体。
〔実施態様項17〕
上記消化器用ステントは、食道用ステント、十二指腸用ステント、結腸用ステント、胆嚢用ステント又は膵臓用ステントである、実施態様項15記載の組立体。
〔実施態様項18〕
上記肺用ステントは、気管、気管支、細気管支又は肺胞を開存状態に保持するステントである、実施態様項15記載の組立体。
〔実施態様項19〕
上記泌尿生殖器用ステントは、尿管用ステント、尿道用ステント、尿道前立腺用ステント、又はファロピウス管用ステントである、実施態様項15記載の組立体。
〔実施態様項20〕
上記頭及び頸部用ステントは、洞用ステント、上顎洞用ステント、前頭洞用ステント、涙管用ステント、鼻用ステント、又は中耳腔換気用チューブである、実施態様項15記載の組立体。
〔実施態様項21〕
上記ステントは、生分解性又は部分生分解性ステントである、実施態様項1~20のうちいずれか一に記載の組立体。
〔実施態様項22〕
上記ステントは、非生分解性ステントである、実施態様項1~20のうちいずれか一に記載の組立体。
〔実施態様項23〕
上記センサは、ワイヤレスセンサである、実施態様項1~22のうちいずれか一に記載の組立体。
〔実施態様項24〕
上記センサは、ワイヤレスマイクロプロセッサに接続されている、実施態様項1~22のうちいずれか一に記載の組立体。
〔実施態様項25〕
複数のセンサが上記ステント上又は内部に配置されている、実施態様項1~24のうちいずれか一に記載の組立体。
〔実施態様項26〕
上記ステントは、2つ以上の形式のセンサを有する、実施態様項1~25のうちいずれか一に記載の組立体。
〔実施態様項27〕
上記ステントは、1つ又は2つ以上の流体圧力センサ、接触センサ、加速度計及び位置センサを有する、実施態様項1~26のうちいずれか一に記載の組立体。
〔実施態様項28〕
上記センサは、1平方センチメートル当たり1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上又は20個以上のセンサ密度で上記ステント上又は内部に配置された複数のセンサである、実施態様項1~27のうちいずれか一に記載の組立体。
〔実施態様項29〕
上記センサは、1立法センチメートル当たり1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上又は20個以上のセンサ密度で上記ステント上又は内部に配置された複数のセンサである、実施態様項1~27のうちいずれか一に記載の組立体。
〔実施態様項30〕
上記センサは、固有センサ識別番号を有する、実施態様項1~29のうちいずれか一に記載の組立体。
〔実施態様項31〕
上記センサは、上記ステント上又は内部の指定された位置内に一義的に定められている、実施態様項1~30のうちいずれか一に記載の組立体。
〔実施態様項32〕
上記ステントは、2つ又は3つ以上の区分で構成されている、実施態様項1~31のうちいずれか一に記載の組立体。
〔実施態様項33〕
上記センサは、上記2つ又は3つ以上の区分の各々上に配置されている、実施態様項32記載の組立体。
〔実施態様項34〕
上記センサは、完全なステントの適正な連結又は組立てを検出するために利用できる、実施態様項32記載の組立体。
〔実施態様項35〕
組立体であって、ステントと、センサとを含み、上記センサは、患者の心拍出量を測定する、組立体。
〔実施態様項36〕
組立体であって、ステントと、センサとを含み、上記センサは、患者の一回拍出量を測定する、組立体。
〔実施態様項37〕
組立体であって、ステントと、センサとを含み、上記センサは、患者の駆出分画を測定する、組立体。
〔実施態様項38〕
組立体であって、ステントと、センサとを含み、上記センサは、患者の収縮期血圧を測定する、組立体。
〔実施態様項39〕
組立体であって、ステントと、センサとを含み、上記センサは、患者の拡張期血圧を測定する、組立体。
〔実施態様項40〕
組立体であって、ステントと、センサとを含み、上記センサは、患者の平均動脈圧を測定する、組立体。
〔実施態様項41〕
組立体であって、ステントと、センサとを含み、上記センサは、患者の全身血管抵抗を測定する、組立体。
〔実施態様項42〕
組立体であって、ステントと、センサとを含み、上記センサは、患者の全末梢抵抗を測定する、組立体。
〔実施態様項43〕
組立体であって、ステントと、センサとを含み、上記センサは、患者の体温を測定する、組立体。
〔実施態様項44〕
組立体であって、ステントと、センサとを含み、上記センサは、再狭窄の発生を計測する、組立体。
〔実施態様項45〕
組立体であって、ステントと、センサとを含み、上記センサは、心機能を計測する、組立体。
〔実施態様項46〕
組立体であって、ステントと、センサとを含み、上記センサは、血栓、粥状硬化症、腫瘍、炎症、膿瘍又は他の占拠性病変部の発生を計測する、組立体。
〔実施態様項47〕
組立体であって、ステントと、センサとを含み、上記センサは、上記ステントの管腔表面上における正常な治癒途上の組織の発生を計測する、組立体。
【0110】
〔実施態様項48〕
組立体であって、ステントと、センサとを含み、上記センサは、腎機能の指標を含むメタボリック機能を計測する、組立体。
〔実施態様項49〕
組立体であって、ステントと、センサとを含み、上記センサは、伝導及び律動の以上を含む心臓律動を計測する、組立体。
〔実施態様項50〕
上記ステントは、薬剤溶出性ステントである、実施態様項1~49のうちいずれか一に記載の組立体。
〔実施態様項51〕
上記ステントは、1種類又は2種類以上のポリマーで少なくとも部分的に被覆されている、実施態様項1~50のうちいずれか一に記載の組立体。
〔実施態様項52〕
実施態様項1~51のうちいずれか一に記載のステント又は組立体の使用であって、心機能の計測値を得るための使用。
〔実施態様項53〕
心機能の上記測定値は、心拍出量、一回拍出量、駆出分画、収縮期及び/又は拡張期血圧、平均動脈圧、全身血管抵抗、及び全末梢抵抗から成る群から選択される、実施態様項52記載の使用。
〔実施態様項54〕
上記測定は、2回以上の時点で行われる、実施態様項52又は53に記載の使用。
〔実施態様項55〕
上記測定は、1日以上、2日以上、3日以上、4日以上、5日以上、10日以上、15日以上又は30日以上にわたって行われる、実施態様項52~54のうちいずれか一に記載の使用。
〔実施態様項56〕
上記測定は、1ヶ月以上、2ヶ月以上、3ヶ月以上、4ヶ月以上、5ヶ月以上、6ヶ月以上、又は12ヶ月以上にわたって行われる、実施態様項52~55のうちいずれか一に記載の使用。
〔実施態様項57〕
ステントを監視する方法であって、
人体の外部の場所からワイヤレス電気信号を人体の内部の場所に送信するステップと、 人体の内部に設けられたステント上に配置されているセンサのところで上記信号を受信するステップと、
上記受信した信号を用いて上記センサに電力供給するステップと、
上記センサのところでデータを検出するステップと、
検出した上記データを上記センサから人体の外部に設けられた受信ユニットに出力するステップと、を含む、方法。
〔実施態様項58〕
上記ステントは、実施態様項1~51のうちいずれか一に記載の組立体である、実施態様項57記載の方法。
〔実施態様項59〕
上記受信ユニットは、腕時計、リストバンド、携帯電話又は眼鏡である、実施態様項57又は58記載の方法。
〔実施態様項60〕
上記受信ユニットは、患者の住居又は診療所内に設けられている、実施態様項57~59のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項61〕
上記検出されたデータは、保健医療提供者に提供される、実施態様項57~60のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項62〕
上記検出されたデータは、1つ又は2つ以上のウェブサイトに書き込まれる、実施態様項57~61のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項63〕
記憶コンテンツが方法を実行するようコンピュータ計算システムを環境設定する非一過性コンピュータ可読記憶媒体であって、上記方法は、
患者を識別するステップを含み、上記識別された患者は、少なくとも1つのワイヤレスステントを有し、各ワイヤレスステントは、1つ又は2つ以上のワイヤレスセンサを有し、
ワイヤレス問い合わせユニットに指図して上記それぞれの1つ又は2つ以上のワイヤレスセンサのうちの少なくとも1つからセンサデータを収集するステップを含み、
上記収集したセンサデータを受け取るステップを含む、非一過性コンピュータ可読記憶媒体。
〔実施態様項64〕
記憶コンテンツが方法を実行するようコンピュータ計算システムを環境設定する非一過性コンピュータ可読記憶媒体であって、上記方法は、
複数の患者を識別するステップを更に含み、識別された各患者は、少なくとも1つのワイヤレスステントを有し、各ワイヤレスステントは、1つ又は2つ以上のワイヤレスセンサを有し、
各識別患者と関連したワイヤレス問い合わせユニットに指図して上記それぞれの1つ又は2つ以上のワイヤレスセンサのうちの少なくとも1つからセンサデータを収集するステップを含み、
上記収集したセンサデータを受け取るステップを含み、
上記収集したセンサデータを集成するステップを含む、請求項63記載の非一過性コンピュータ可読記憶媒体。
〔実施態様項65〕
上記方法は、
上記収集したセンサデータからデリケートな患者データを除去するステップと、
センサの形式に従って上記集めたデータをパーズするステップと、を更に含む、記憶コンテンツが方法を実施するようコンピュータ計算システムを環境設定する実施態様項63記載の非一過性コンピュータ可読記憶媒体。
〔実施態様項66〕
上記ワイヤレス問い合わせユニットに指図する上記ステップは、上記ワイヤレス問い合わせユニットと関連した制御ユニットに指図するステップを含む、記憶コンテンツが方法を実施するようコンピュータ計算システムを環境設定する実施態様項63記載の非一過性コンピュータ可読記憶媒体。
〔実施態様項67〕
上記ステントは、実施態様項1~51のうちいずれか一に記載の組立体である、実施態様項63~66のうちいずれか一に記載の非一過性コンピュータ可読記憶媒体。
〔実施態様項68〕
上記収集センサデータは、腕時計、リストバンド、携帯電話又は眼鏡上で受け取られる、実施態様項63~67のうちいずれか一に記載の非一過性コンピュータ可読記憶媒体。
〔実施態様項69〕
上記収集センサデータは、患者の居住地又はオフィス内で受け取られる、実施態様項63~68のうちいずれか一に記載の非一過性コンピュータ可読記憶媒体。
〔実施態様項70〕
上記収集センサデータは、保健医療提供者に提供される、実施態様項63~69のうちいずれか一に記載の非一過性コンピュータ可読記憶媒体。
〔実施態様項71〕
上記収集センサデータは、1つ又は2つ以上のウェブサイトに書き込まれる、実施態様項63~70のうちいずれか一に記載の非一過性コンピュータ可読記憶媒体。
〔実施態様項72〕
上記データが分析される、実施態様項57~62のうちいずれか一に記載の方法又は実施態様項63~71のうちいずれか一に記載の記憶媒体。
〔実施態様項73〕
上記データは、経時的な変化の視覚化を可能にするようプロットされる、実施態様項72記載の方法又は記憶媒体。
〔実施態様項74〕
上記データは、3次元画像を提供するようプロットされる、実施態様項72又は73記載の方法又は記憶媒体。
〔実施態様項75〕
ステントの劣化を判定する方法であって、a)ステント及び1つ又は2つ以上のセンサを含む組立体を患者の体内通路に提供するステップと、b)センサの変化を検出し、かくして上記ステントの劣化を突き止めるステップとを含む、方法。
〔実施態様項76〕
上記センサは、1つ又は2つ以上の生理学的及び/又は場所的パラメータを検出することができる、実施態様項75記載の方法。
〔実施態様項77〕
上記センサは、接触、流体流量、圧力及び/又は温度を検出する、実施態様項75又は76記載の方法。
〔実施態様項78〕
上記センサは、患者の体内の場所を検出する、実施態様項75~77のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項79〕
上記組立体は、実施態様項1~51のうちいずれか一に記載の組立体である、実施態様項75~78のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項80〕
上記検出ステップは、経時的な一連の検出である、実施態様項75~79のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項81〕
ステントを画像化する方法であって、ステント内、上、及び/又は内部のセンサの経時的変化を検出するステップを含み、上記ステントは、1平方センチメートル当たり1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上又は20個以上のセンサ密度でセンサを有する、方法。
〔実施態様項82〕
ステントを画像化する方法であって、ステント内、上、及び/又は内部のセンサの経時的変化を検出するステップを含み、上記ステントは、1立法センチメートル当たり1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上又は20個以上のセンサ密度でセンサを有する、方法。
〔実施態様項83〕
上記センサは、流体圧力センサ、接触センサ、位置センサ、加速度計、脈圧センサ、血液量センサ、血流量センサ、血液化学センサ、血液代謝センサ、機械的応力センサ、及び温度センサのうちの1つ又は2つ以上である、実施態様項81又は82記載の方法。
〔実施態様項84〕
上記ステントは、実施態様項1~51のうちいずれか一に記載の組立体である、実施態様項81~83のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項85〕
患者が体内にステントを配置する方法であって、a)実施態様項1~51のうちいずれか一に記載の組立体を植え込むステップと、b)センサを検出することによって上記ステントの配置を検出するステップとを含む、方法。
〔実施態様項86〕
上記ステントは、2つ又は3つ以上の区分を有し、上記2つ又は3つ以上の区分の検出は、1つ又は2つ以上のセンサの分析によって判定できる、実施態様項85記載の方法。
〔実施態様項87〕
上記ステントの配置は、2次元若しくは3次元表示又は上記ステント上の上記1つ又は2つ以上のセンサの画像によって視覚化できる、実施態様項85又は86記載の方法。
〔実施態様項88〕
上記ステントは、互いにオーバーラップするよう植え込まれる2つのステントから成る、実施態様項85~87のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項89〕
上記ステントの配置の上記検出により、上記ステントがよじれているか又は不正確に配置されているかどうかの判定が可能である、実施態様項85~88のうちいずれか一に記載の方法。
【0111】
上述の種々の実施形態のうちの任意のものを組み合わせて別の実施形態を提供することができる。本明細書において言及した米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、PCT出願公開、外国特許、外国特許出願、非特許文献の全てを参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。実施形態の観点を必要ならば改造して種々の特許、特許出願及び特許出願公開の概念を採用して更に別の実施形態を提供することができる。これらの変更及び他の変更を上述の詳細な説明の内容に照らして実施形態に対して行うことができる。一般に、次の特許請求の範囲の記載において、使用されている用語は、特許請求の範囲に記載された本発明を本明細書及び特許請求の範囲に開示した特定の実施形態に限定するものと解されてはならず、考えられるあらゆる実施形態を特許請求の範囲の記載基づく均等例の全範囲と一緒に含むものと解されるべきである。したがって、特許請求の範囲に記載された発明は、明細書の開示内容によって制限されることはない。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2022-10-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組立体であって、ステントと、前記ステント上又は内部に配置されたセンサとを含む、組立体。
【外国語明細書】