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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186721
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】拡張可能な組織係合装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20221208BHJP
   A61B 17/34 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
A61B17/00
A61B17/34
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022155511
(22)【出願日】2022-09-28
(62)【分割の表示】P 2020554059の分割
【原出願日】2018-12-21
(31)【優先権主張番号】62/610,184
(32)【優先日】2017-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520118876
【氏名又は名称】テレフレックス ライフ サイエンシズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ラムソン セオドア
(72)【発明者】
【氏名】ベンダー セオドア
(72)【発明者】
【氏名】カッツ ジョリーン
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ ロバート
(72)【発明者】
【氏名】キョイ ジェニファー
(72)【発明者】
【氏名】メリック ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ファム エイリー
(72)【発明者】
【氏名】ラオ マヘシュワラ
(72)【発明者】
【氏名】ザラー クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ヤラ カーティス
(72)【発明者】
【氏名】レッサード ケヴィン アレクサンダー
(57)【要約】
【課題】前立腺の中葉に係合し、前立腺の中葉を操作するための治療装置を提供する。
【解決手段】疾患、若しくは障害を治療する目的、或いは他の目的のための医療適用において組織および解剖学的若しくは他の構造を操作するためのシステムおよび関連方法。1つの観点では、システムは、中葉前立腺組織との係合を高めるための拡張可能な構造体(200、954)を含む。
【選択図】図22
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前立腺の中葉に係合し、前立腺の中葉を操作するための治療装置であって、該治療装置は、
ハンドル組立体に結合され、導入器シース内に挿入されるように構成されている細長い組織接近組立体と、
前記細長い組織接近組立体の遠位端部分に取り付けられた組織係合構造体と、を含み、前記組織係合構造体は、前記細長い組織接近組立体の遠位端から出るときに、収縮状態から拡張状態に移行することができる、治療装置。
【請求項2】
前記組織係合構造体は、非対称横断面を有する第1の拡張可能な部分を含む、請求項1に記載の治療装置。
【請求項3】
前記第1の拡張可能な部分の近位部分は、前記細長い組織接近組立体に取り付けられている、請求項2に記載の治療装置。
【請求項4】
前記組織係合構造体は、前記細長い組織接近組立体の前記遠位端部分を受け入れるためのチャンネルを含む、請求項1に記載の治療装置。
【請求項5】
前記細長い組織接近組立体に対する前記組織係合構造体の移動は、前記細長い組織接近構造体の長手方向軸線に沿うように束縛されている、請求項1に記載の治療装置。
【請求項6】
前記細長い組織接近組立体に対する前記組織係合構造体の移動は、前記組織係合構造体を前記収縮状態から前記拡張状態に移行させる、請求項5に記載の治療装置。
【請求項7】
前記細長い組織接近組立体は、孔と、前記孔を通して延びることができるニードル組立体と、をさらに含む、請求項1に記載の治療装置。
【請求項8】
前記組織係合構造体は、前記ニードル組立体のための組織進入位置を表示する第1の視覚マーカーをさらに含む、請求項7に記載の治療装置。
【請求項9】
前記組織係合構造体は、非対称横断面を有する第2拡張可能な部分をさらに含む、請求項2に記載の治療装置。
【請求項10】
前記細長い組織接近組立体は、孔と、前記孔を通して延びることができるニードル組立体と、をさらに含む、請求項9に記載の治療装置。
【請求項11】
前立腺の中葉に係合し、前立腺の中葉を操作するためのシステムであって、該システムは、
細長い組織接近組立体であって、該細長い組織接近組立体は、導入器シース内に挿入されるように構成されている細長い組織接近組立体を含むアンカー送達装置と、
前記アンカー送達装置内に収容された組織アンカーと、
前記細長い組織接近組立体の遠位端部分に取り付けられた組織係合構造体と、を含み、前記組織係合構造体は、前記細長い組織接近組立体の遠位端から出るときに、収縮状態から拡張状態に移行することができる、システム。
【請求項12】
前記組織係合構造体は、非対称横断面を有する第1の拡張可能な部分を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の拡張可能な部分の近位部分は、前記細長い組織接近組立体に固定的に取り付けられている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記組織係合構造体は、前記細長い組織接近組立体に結合された摺動可能な部分を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記細長い組織接近組立体に対する前記組織係合構造体の移動は、前記組織係合構造体を前記収縮状態から前記拡張状態に移行させる、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記アンカー送達装置は、ニードル組立体をさらに含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記ニードル組立体は、前記組織アンカーを送達するように構成されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記組織係合組立体は、第1の拡張可能な部分を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記組織係合構造体は、前記ニードル組立体のための組織進入位置を表示する第1の視覚マーカーをさらに含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記組織係合構造体は、第2の拡張可能な部分をさらに含む、請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、医療装置および方法に関し、さらに詳しくは、疾患または障害を治療する目的で人間被験者または動物被験者の体内の組織、および、解剖学的若しくは他の構造を操作し、または、組織および構造に係合するためのシステムおよび関連方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病理学的に拡大した組織を持ち上げ、圧縮し、或いは違ったやり方で取り除くことが望ましい病態のうちの1つの例は、良性前立腺肥大症(BPH)である。BPHは、男性、特に高齢者を罹患させる最もありふれた医学的病態のうちの1つである。米国では、全男性の半分以上が60歳までにBPHの組織病理学的エビデンスを有し、85歳までに10人のうちのほぼ9人がこの病態を患うことが報告されている。さらに、BPHの発生率及び有病率は、先進国の人口の平均年齢が上がるにつれて増大することが見込まれている。
【0003】
前立腺は、男性の寿命全体を通じて肥大していく。何割かの男性では、前立腺周りの前立腺被膜は、前立腺がそれ以上肥大するのを阻止する場合がある。これにより、前立腺の内端部が尿道を狭窄する。尿道に加わるこの圧力は、前立腺によって包囲された尿道の端を通る尿の流れに対する抵抗を増大させる。かくして、膀胱は、抵抗が増大した尿道中に尿を流すために高い圧力を及ぼさなければならない。慢性過伸展により、膀胱の筋肉壁が作り直されて硬くなる。尿の流れに対する尿道抵抗の増大および硬直度と膀胱壁の肥大のこの組み合わせにより、患者のクオリティオブライフ(QOL)を著しく損ねる場合のある種々の下部尿路症状(LUTS)が現れる。この症状としては、放尿の際の弱いまたは間欠的な尿の流れ、放尿時の力み、尿の流れが開始する前のもじもじ感、放尿後であっても膀胱が完全には空になっていないという感覚(残尿感)、放尿の終わりにおける尿だれ(滴下)又は排尿後滴下(尿漏れ)、特に夜間の頻尿、尿意切迫感等が挙げられる。
【0004】
BPHのある患者に加えて、LUTSもまた、前立腺癌、前立腺感染症、及び特に前立腺肥大のある男性に尿閉を引き起こす或る特定の薬剤(例えば、エフェドリン、シュードエフェドリン、フェニルプロパノールアミン、抗ヒスタミン薬、例えばジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン等)の持続的使用のある患者に見られる場合がある。
【0005】
BPHが生命を脅かすことは稀であるが、これにより、多くの臨床上の病態が生じる場合があり、かかる病態としては、尿閉、腎不全、再発性尿路感染、失禁、血尿、および、膀胱結石が挙げられる。
【0006】
先進国では、患者人口の大きな割合がBPH症状のための治療を受けている。80歳までに、米国の男性人口の約25%が何らかの形のBPH治療を受けるということが推定されている。現時点では、BPHに有効な治療オプションとしては、待機療法、投薬法(植物療法及び処方箋による投薬法)、手術及び低侵襲手技が挙げられる。
【0007】
待機療法オプションを選択した患者の場合、患者には直ちに治療が施されず、患者がこの疾患の経過を観察するための定期的な検査を受ける。これは、通常、特に厄介であるということはない最小限の症状を備えた患者について行われる。
【0008】
BPH症状を治療する医療処置としては、経尿道的前立腺切除術(TURP)、経尿道的前立腺電気蒸散術(TVP)、経尿道的前立腺切開術(TUIP)、レーザ前立腺切除術、開放式前立腺切除術、経尿道的マイクロ波温熱療法(TUMT)、経尿道針アブレーション(TUNA)、組織内レーザ凝固術(ILC)、および、前立腺ステント留置術が挙げられる。
【0009】
BPHを治療する最も効果的な現行の方法には、副作用の高いリスクがある。これら方法及び装置は、全身麻酔か脊髄麻酔かのいずれかを必要とし、或いは、手技が外科手術室で実施され、次に患者にとっての入院が行われることを指示する潜在的な副作用を有する。副作用のリスクの低いBPHの治療方法は又、症状スコアの減少度が小さいことと関連している。これら手技のうちの幾つかは、診療所施設では局所麻酔を施した状態で実施される場合があるが、患者は、即時の免荷を経験することがなく、事実、体が治癒し始めるまで手技後数週間にわたって悪症状を経験する場合が多い。加うるに、器具を用いる全ての方式では、場合によっては数週間、膀胱内に尿道カテーテルを留置する必要がある。幾つかの場合、カテーテル挿入法が適応となる。というのは、この治療は、実際には、術後の期間に閉塞を生じさせるからであり、他の場合では、術後出血及び潜在的に閉鎖性の凝血塊生成のためにカテーテル挿入法が適応とされる。薬物療法を行うのが容易であるが、その結果は、最適以下であり、効果が出るのに相当長い時間を要し、しかも望ましくない副作用を伴う場合が多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
尿道上の圧力を受け取り、尿道を通してより閉塞の少ない経路を提供するために前立腺の葉を押しのけ、および/または、圧縮するための低侵襲装置および方法を開発する技術進歩があった。これらの方法は、前立腺の側葉を治療することに焦点を当てた。しかしながら、個々の処置において、または、BPHの治療と組み合わせて、前立腺の中葉を持ち上げ、圧縮し、支持し、または、再位置決めすることが望まれる種々の処置のために使用されることができる新しい装置および方法を開発する必要がなおある。特に、前立腺の中葉を操作するための代替装置および治療アプローチに対する必要がある。
【0011】
なおさらに、解剖学的構造の他の部分において組織を操作するための装置および方法のための低侵襲医療装置に対する引き続く必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示は、これらのおよび他の必要に対処する。
【0013】
本発明の実施形態は、前立腺の中葉に係合し、前立腺の中葉を操作するための治療装置であって、該治療装置は、ハンドル組立体に結合され、導入器シース内に挿入されるように構成されている細長い組織接近組立体と、前記細長い組織接近組立体の遠位端部分に取り付けられた組織係合構造体と、を含み、前記組織係合構造体は、前記細長い組織接近組立体の遠位端から出るときに、収縮状態から拡張状態に移行することができる、治療装置を含む。
【0014】
本発明のもう1つの実施形態では、前記組織係合構造体は、非対称横断面を有する第1の拡張可能な部分を含む。本発明のもう1つの実施形態では、前記第1の拡張可能な部分の近位部分は、前記細長い組織接近組立体に取り付けられている。本発明のもう1つの実施形態では、前記組織係合構造体は、前記細長い組織接近組立体の前記遠位端部分を受け入れるためのチャンネルを含む。本発明のもう1つの実施形態では、前記細長い組織接近組立体に対する前記組織係合構造体の移動は、前記細長い組織接近構造体の長手方向軸線に沿うように束縛されている。本発明のもう1つの実施形態では、前記細長い組織接近組立体に対する前記組織係合構造体の移動は、前記組織係合構造体を前記収縮状態から前記拡張状態に移行させる。本発明のもう1つの実施形態では、前記細長い組織接近組立体は、孔と、前記孔を通して延びることができるニードル組立体と、をさらに含む。本発明のもう1つの実施形態では、前記組織係合構造体は、前記ニードル組立体のための組織進入位置を表示する第1の視覚マーカーをさらに含む。本発明のもう1つの実施形態では、前記組織係合構造体は、非対称横断面を有する第2拡張可能な部分をさらに含む。本発明のもう1つの実施形態では、前記細長い組織接近組立体は、孔と、前記孔を通して延びることができるニードル組立体と、をさらに含む。
【0015】
本発明の実施形態は、前立腺の中葉に係合し、前立腺の中葉を操作するためのシステムであって、該システムは、細長い組織接近組立体であって、該細長い組織接近組立体は、導入器シース内に挿入されるように構成されている細長い組織接近組立体を含むアンカー送達装置と、前記アンカー送達装置内に収容された組織アンカーと、前記細長い組織接近組立体の遠位端部分に取り付けられた組織係合構造体と、を含み、前記組織係合構造体は、前記細長い組織接近組立体の遠位端から出るときに、収縮状態から拡張状態に移行することができる、システムを含む。本発明のもう1つの実施形態では、前記組織係合構造体は、非対称横断面を有する第1の拡張可能な部分を含む。本発明のもう1つの実施形態では、前記第1の拡張可能な部分の近位部分は、前記細長い組織接近組立体に固定的に取り付けられている。本発明のもう1つの実施形態では、前記組織係合構造体は、前記細長い組織接近組立体に結合された摺動可能な部分を含む。本発明のもう1つの実施形態では、前記細長い組織接近組立体に対する前記組織係合構造体の移動は、前記組織係合構造体を前記収縮状態から前記拡張状態に移行させる。本発明のもう1つの実施形態では、前記アンカー送達装置は、ニードル組立体をさらに含む。本発明のもう1つの実施形態では、前記ニードル組立体は、前記組織アンカーを送達するように構成されている。本発明のもう1つの実施形態では、前記組織係合組立体は、第1の拡張可能な部分を含む。本発明のもう1つの実施形態では、前記組織係合構造体は、前記ニードル組立体のための組織進入位置を表示する第1の視覚マーカーをさらに含む。本発明のもう1つの実施形態では、前記組織係合構造体は、第2の拡張可能な部分をさらに含む。
【0016】
本開示の他の特徴および利点は、本開示の原理を例として示す添付図面と関連させた以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】人間被験者の前立腺を取り囲む領域の解剖学的構造を示す横断面図である。
図2】前立腺を直ぐに取り囲み、前立腺に隣接する解剖学的構造を示す、図1の領域の拡大横断面図である。
図3】前立腺の解剖学的構造帯域を示す概略図である。
図4図3に示されている解剖学的構造帯域の更なる詳細を示す概略横断面図である。
図5】正常な前立腺を示す横断面図である。
図6】拡大化された側葉を備える前立腺を示す横断面図である。
図7】拡大化された側葉および拡大化された中葉を備える前立腺を示す横断面図である。
図8A】送達装置の実施形態を示す側面図である。
図8B】送達装置の実施形態の遠位端を示す拡大斜視図である。
図9A】組織に係合し、組織を操作するために使用されることができる拡張可能な構造体の実施形態を示す頂面図である。
図9B】組織に係合し、組織を操作するために使用されることができる拡張可能な構造体の実施形態を示す斜視図である。
図9C】組織に係合し、組織を操作するために使用されることができる拡張可能な構造体の実施形態を示す拡大図である。
図10】組織に係合し、組織を操作するために使用されることができる拡張可能な構造体のもう1つの実施形態を示す斜視図である。
図11】組織に係合し、組織を操作するために使用されることができる拡張可能な構造体のもう1つの実施形態を示す斜視図である。
図12A】拡張可能な係合および操作装置の実施形態を示す頂面斜視図である。
図12B】拡張可能な係合および操作装置の遠位端部分を示す拡大頂面斜視図である。
図12C】組織に係合し、組織を操作するために使用されることができる拡張可能な構造体のもう1つの実施形態を示す斜視図である。
図12D】拡張可能な係合および操作装置の遠位端部分を示す拡大底面斜視図である。
図12E】拡張可能な係合および操作装置の遠位端部分を示す拡大底面図である。
図12F】拡張可能な係合および操作装置の遠位端部分を示す拡大側面図である。
図12G】拡張可能な係合および操作装置の遠位端部分を示す横断面図である。
図13A】組織に係合し、組織を操作するために使用されることができる入れ子式アームを備えた拡張可能な構造体の実施形態を示す平面図である。
図13B】組織に係合し、組織を操作するために使用されることができる入れ子式アームを示す種々の部分斜視図である。
図13C】組織に係合し、組織を操作するために使用されることができる入れ子式アームを示す種々の部分斜視図である。
図13D】組織に係合し、組織を操作するために使用されることができる入れ子式アームを示す種々の部分斜視図である。
図14A】入れ子式アームのための代替構成を示す横断面図である。
図14B】入れ子式アームのための代替構成を示す横断面図である。
図15A】前立腺の中葉に係合し、前立腺の中葉を圧縮し、操作するアプローチの詳細を示す種々の横断面図である。
図15B】前立腺の中葉に係合し、前立腺の中葉を圧縮し、操作するアプローチの詳細を示す種々の横断面図である。
図15C】前立腺の中葉に係合し、前立腺の中葉を圧縮し、操作するアプローチの詳細を示す種々の横断面図である。
図15D】前立腺の中葉に係合し、前立腺の中葉を圧縮し、操作するアプローチの詳細を示す種々の横断面図である。
図16A】シースに収容された組織に係合し、組織を操作するために使用されることができる拡張可能な構造体の遠位端部分を示す斜視図である。
図16B】シースを出た後の拡張状態の図16Aの拡張可能な構造体の遠位端部分を示す斜視図である。
図17A】シースの遠位端を示す斜視図である。
図17B】シースに取り付けられた組織に係合し、組織を操作するために使用されることができる拡張された構造体を示す斜視図である。
図18A】収縮状態で組織に係合し、組織を操作するために使用されることができる拡張可能な構造体の実施形態を示す斜視図である。
図18B】拡張状態で組織に係合し、組織を操作するために使用されることができる拡張可能な構造体の実施形態を示す斜視図である。
図19A】収縮状態で組織に係合し、組織を操作するために使用されることができる拡張可能なワイヤ構造体のもう1つの実施形態を示す斜視図である。
図19B】拡張状態で組織に係合し、組織を操作するために使用されることができる拡張可能なワイヤ構造体のもう1つの実施形態を示す斜視図である。
図20A】種々の補足的な組織係合構造体を組み込む拡張可能な係合および操作装置の遠位端部分を示す拡大斜視図である。
図20B】種々の補足的な組織係合構造体を組み込む拡張可能な係合および操作装置の遠位端部分を示す拡大斜視図である。
図20C】種々の補足的な組織係合構造体を組み込む拡張可能な係合および操作装置の遠位端部分を示す拡大斜視図である。
図20D】組織接近部および種々の補足的な組織係合構造体を組み込む装置の遠位端部分を示す拡大斜視図である。
図20E】組織接近部および種々の補足的な組織係合構造体を組み込む装置の遠位端部分を示す拡大斜視図である。
図20F】組織接近部および種々の補足的な組織係合構造体を組み込む装置の遠位端部分を示す拡大斜視図である。
図20G】組織係合および操作装置の遠位端部分に組み込まれることができる構造体を示す拡大図である。
図20H】組織係合および操作装置の遠位端部分に組み込まれることができる構造体を示す拡大図である。
図21】目標組織に係合し、目標装置を操作するさらにもう1つのアプローチを示す部分横断面図である。
図22】係合および操作装置に組み込まれているさらに別の構造体を示す拡大図である。
図23】係合および操作装置の一部を形成する捕捉的な構造体を示す拡大図である。
図24A】組織係合および操作装置の遠位端部分に組み込まれることができる構造体、および、組織に係合し、組織を操作するための方法を示す拡大図である。
図24B】組織係合および操作装置の遠位端部分に組み込まれることができる構造体、および、組織に係合し、組織を操作するための方法を示す拡大図である。
図25A】組織係合および操作装置の遠位端部分に組み込まれることができる構造体を示す拡大図である。
図25B】組織係合および操作装置の遠位端部分に組み込まれることができる構造体を示す拡大図である。
図26A】組織係合および操作装置のハンドル部分に組み込まれることができる構造体を示す拡大図である。
図26B】組織係合および操作装置のハンドル部分に組み込まれることができる構造体を示す拡大図である。
図27A】組織係合および操作装置の遠位端部分に組み込まれることができる他の構造体を示す拡大図である。
図27B】組織係合および操作装置の遠位端部分に組み込まれることができる他の構造体を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
今、限定ではなく、例として提供される図面を参照すると、本開示は、治療目的で患者の体内の組織に係合し、組織を操作するように構成されている装置に向けられている。この開示されている装置は、患者の体内に見出される組織、器官、解剖学的構造、グラフト、或いは他の材料を後退させ、持ち上げ、圧縮し、支持し、および/または、再位置決めする等の種々の医療目的のために使用されることができる。かかる組織操作は、前立腺の中葉の押しのけ、圧縮、および/または、後退等の、疾患または障害の治療を容易にすることを意図している。
【0019】
本開示の1つの観点では、組織係合または操作は、主な介入処置を形成する。他の観点では、組織係合または操作は、BPHの治療のような、或いは、解剖学的構造の第2の部分に対して解剖学的構造の第1の部分を後退させ、持ち上げ、圧縮し、近接させ、支持し、または、再位置決めするための介入処置の一部を形成する。
【0020】
図1図4を参照すると、人間男性被験者の泌尿器解剖学的構造の種々の特徴が提供されている。前立腺PGは、膀胱UBに隣接して位置するクルミサイズの腺である。尿道UTは、前立腺PGおよび陰茎Pを通して延びている。前立腺PGは、精子を保護し、精子に栄養を与える流体を分泌する。前立腺PGはまた、射精中に収縮して精子を追い出し、また、精液に尿が入らないようにするための弁を提供する。皮膜が、前立腺を包囲している。
【0021】
膀胱UBは、尿を保持する。輸精管VDは、精液が運ばれる輸送管を構成し、精嚢SVは、精液を分泌する。直腸Rは、排泄物を排出する大腸の端部分である。尿道は、身体から尿と精子の両方を運び出す。かくして、尿道は、膀胱UBに連結され、また、輸精管VDおよび精嚢SVに繋がる通路を提供する。精丘VMは、輸精管が入る尿道の壁のとさか部である。尿道前立腺部は、前立腺を通して延びる尿道の部分である。膀胱三角部T(図3参照)は、膀胱の滑らかな三角形領域である。膀胱三角部Tは、膨張に敏感であり、膀胱UBが一杯になったときに脳に信号を送る。
【0022】
前立腺は、帯域によって分類されることができ、或いは、その葉(図4参照)に言及することによって記載されることができる。帯域分類は、代表的には病理学で使用され、葉分類は、解剖学的構造でよりしばしば使用される。前立腺の中央帯域(a)は、正常な前立腺の約25%であり、この帯域は、射精管を取り囲む。移行領域には良性前立腺肥大症のいくつかの伝播がある。繊維筋帯域(b)は、通常腺成分を欠き、その名が示唆するように、筋組織および繊維組織で構成されている。移行帯域(c)は、近位尿道の上に延び、寿命に亘って成長する前立腺の領域である。この帯域は、良性前立腺肥大の状態としばしば関連している。最後に、周辺帯域(d)は、遠位尿道を取り囲む前立腺の後部の皮膜下部分である。
【0023】
葉特徴化は、帯域特徴化とは異なるが、いくつかの重なりがある。後葉は、腺組織を欠き、繊維筋組織で形成されている。前葉は、大雑把に移行帯域(c)の前部に対応している。後葉は、大雑把に周辺帯域(d)に対応しており、直腸指診中に直腸を通して触診されることができる。後葉は、前立腺癌の70-80%の部位である。側葉は、前立腺の主な質量であり、尿道によって分離されている。すべての病理学的帯域は、側葉に存在し得る。最後に、中葉は、大雑把に中央帯域の一部に対応している。中要は、被験者毎にサイズが大きく変化し、いくつかのケースでは、腺組織を欠く。
【0024】
大きな、または拡大化された中葉は、ボール弁として作用することができ、膀胱頚を閉鎖し、或いは尿道に開口する。かかる状態に対処するために、種々のアプローチが考えられる。膀胱頚開口の閉塞をなくし、或いは減少させるために、中葉を圧縮し、押しのけ、および/または、後退させることが考えられる。
【0025】
次に、図5図7を参照すると、種々の前立腺が断面で示されている。図5は、健康な被験者の膀胱UBおよび前立腺PGを示している。図6は、拡大化された側葉LLを有する前立腺を備える個人を示しており、図7は、拡大化された側葉LLおよび拡大化された中葉MLの両方を患う被験者を示している。かかる拡大化された解剖学的構造は、尿道UTにぶつかり、正常な膀胱の機能に悪影響を及ぼすことを理解すべきである。介入または診断処置中に前立腺組織に接近し、前立腺組織を操作するために、以下の装置を使用することができる。
【0026】
今、図8Aおよび図8Bを参照すると、治療装置100が示されている。治療装置100は、ハンドル組立体102および細長い接近組立体104を含む。細長い接近組立体104は、介入部位に接近し、また、目標組織に係合し、目標組織を操作するように構成されているのがよい。治療装置100は、患者の身体内に1つまたはそれ以上の組立体または移植片を組み付け、移植するように構成されているのがよい。装置はさらに、患者が、全身麻酔下ではなく、起きている、或いは、軽い鎮静下にある間、処置に耐えることができるように、(膀胱鏡検査のような)低侵襲技術と共に使用されるために両立可能であるように考えられている。装置はさらに、介入部位で行われているステップが医師によって観察されるように在来の遠隔視認装置(例えば、内視鏡)を受け入れるように構成されている構造体を含む。
【0027】
細長い組立体104は、ニードル組立体106等の、目標組織を操作するための要素を収容するのがよい。細長い装置104はまた、目標組織を操作し、および/または、介入部位で装置を安定化させるための特徴を備えるのがよい。細長い組立体104は、図19Fまたは図21Fのようなサイズを含む、在来の膀胱鏡検査と両立可能なサイズのシースを通して挿入されることができる。細長い組立体104は、剛性または可撓性であってよい。いくつかの好ましい実施形態では、細長い組立体104は、ハンドル組立体102にてこ作用を及ぼし、或いはハンドル組立体102を押圧することによって介入部位で組織の手動圧縮を可能にするのに十分に剛性であるのがよい(或いは、介入位置にあるときに十分に剛性であるようにされているのがよい)。治療装置100の種々の実施形態は、前立腺葉を切り裂き、切除し、或いはその他の仕方で変更するための副組立体および構成要素を含むのがよい。
【0028】
前立腺を治療するに際しての1つの特定の制限的でない使用において、送達装置の細長い接近組立体は、患者の膀胱に至る尿道内に配置される。1つのアプローチでは、送達装置は、尿道に予め位置決めされている導入器シース内に配置されるのがよく、或いは、代替的には、送達装置は、尿道内に直接配置されてもよい。導入器シースを使用するときには、シースは、シースマウント組立体に取り付けられるのがよい。シースは、その先導端が前立腺に到達するまで患者内で前進される。特定のアプローチでは、治療されるべき前立腺の第1の側(すなわち、側葉)が、装置が膀胱を通して延びる間に選択され、それにしたがって、装置が調整される。細長い組織接近組立体の遠位端を使用して、内側前立腺組織を圧縮することによって尿道を前立腺内に押し下げるのがよい。前立腺の内側(すなわち、腺瘍)は、スポンジ様であり、かつ、両立的であり、前立腺の外側面は、硬い。患者の正中線に対して恥骨結合部PSを中心にして横方向に細長い組織接近組立体を回動させることによって、医師は、前立腺内に尿道を押し下げて腺瘍を圧縮し、尿道を通る所望の開口を創出することができる。関連した補完的介入処置に関する更なる詳細および背景は、出典を明示することによってその内容全体が本願の一部とされる米国特許第8,491,606号および第8,758,366号を含む種々の米国特許に記載されている。
【0029】
移植片を配備する前に、或いは、前立腺を変更する前に、前立腺の中葉のような介入部位で治療装置を使用するときに、中葉は、しばしば、移植片を受け入れるのに通じる位置内への押し入れを必要とする。前立腺の中葉を含む目標組織によりよく係合し、目標組織をよりよく操作するために、治療装置を位置決めし、安定化させることができる装置および使用方法の実施形態が、以下に説明されている。好ましい実施形態では、かかる装置は、組織に係合し、組織を操作するための装置の遠位面領域を増大させるウイング付きの拡張可能な/折り畳み可能な構造体を含むのがよい。
【0030】
図9A図9Cは、細長い部材の遠位端に取り付けられるように構成されているのがよい拡張可能な部材200を示している。拡張可能な部材200は、平行に(或いは、実質的に平行に)位置し、部材200の遠位端で遠位連結部材206に連結されているアーム202aおよび202bを含むのがよい。各アームは、アーム202aおよび202bの長手方向軸線を越えて外方に拡張する部分を含む。かかる拡張可能な部分は、ウイング208aおよび208bであるのがよい。いくつかの実施形態では、ウイング208aおよび208bは、遠位連結部材206に代えて、閉鎖ループ(図示せず)を形成するように連結していてもよい。遠位連結部材206は、遠位連結部材206に形成された開口部210を創出するように溝付け、チャンネル付け、或いはその他の仕方でへこみ付けされているのがよい。
【0031】
ウイング208aおよび208bは、拡張位置に付勢されるように構成されているのがよい。この実施形態では、ウイング208aおよび208bは、遠位連結部材206、および/または、アーム202aおよび202bを、ウイング208aおよび208bから遠ざかる長手方向に移動させることによって、引っ込め位置に移動される。もう1つの実施形態では、ウイング208aおよび208bは、引っ込め位置に構成されており、遠位連結部材206、および/または、アーム202aおよび202bを、ウイング208aおよび208bに近づくように長手方向に移動させることによって、拡張位置に移動される。いくつかの実施形態では、各ウイングは、そのウイングと同じ側のアームを、構成が必要とするようにそのウイングから遠ざかるように、或いは、そのウイングに近づくように長手方向に移動させることによって、独立的に拡張され、或いは、引っ込められることができる。
【0032】
拡張可能な部材200の近位端は、アーム202aおよび202bを細長い組織接近組立体204のシャフトに連結することによって、細長い組織接近組立体204に取り付けられることができる。いくつかの実施形態では、細長い組立体204は、アーム202aの内方に向いた側212aおよびアーム202bの内方に向いた側212bが、細長い組立体204の外方に向いた側214aおよび外方に向いた側214bの一部と面一であるように拡張可能な部材200を通して挿入され、溶接或いは他の在来の取り付け手段により取り付けられる。拡張可能な部材200の遠位端は、細長い組立体204の一部と相互作用することができる。例えば、開口部210は、細長い組立体204にスナップインし、或いは他の仕方で細長い組立体204によって取り付けられるように構成されているのがよい。図9Cに示されているように、細長い組立体204は、遠位連結部材206上に取り外し可能に留められたタブ216aおよび216bを含むのがよく、それによって、拡張可能な部材200の遠位端を所定位置に保持する。いくつかの実施形態では、例えば、細長い組立体104が孔220を含むときに、ウイング208aおよび208bは、孔220に対して任意の平面上に位置決めされることができる。さらに、ウイング208aおよび208bは、各々に対して同じ平面上に位置決めされてもよく、或いは、各々に対して角度をなして位置決めされてもよい。いくつかの実施形態では、ウイングの平面の間の角度は、調節可能である。いくつかの実施形態では、細長い組立体は、ニードル組立体のような治療組立体が孔を通して延びることができるように構成されている。
【0033】
いくつかの実施形態では、拡張可能な部材200は、シースを使用して送達されることができる。シースは、装置が患者の介入部位に送達されるときに、拡張可能な部材200を収容し、ウイング208aおよび208bを押し潰し、或いは、圧縮するように機能する。一旦目標部位に達すると、シースの遠位開口部を通して拡張可能な部材200を延ばすことは、治療装置のハンドル組立体によって作動されることができる。拡張可能な部材200がシースを出るときに、ウイング208aおよび208bは、拡張或いはばね開放し、中央線から遠ざかる方に移動して、目標組織に接触し、目標組織を操作する。この送達は、ウイング縁による組織の外傷を防止しながら、ウイング整合を維持する。1つの実施形態によれば、アーム202aおよび202bは、細長い組立体204に固定的に取り付けられ、遠位連結部材206は、ウイング208aおよび208bに対して長手ほうこうに自由に移動し、ウイング208aおよび208bがシースを出たときに、ウイング208aおよび208bの拡張および引っ込めを可能にする。もう1つの実施形態によれば、アーム202aおよび202bは、ウイング208aおよび208bに対して長手方向に自由に移動し、遠位連結部材206は、細長い組立体204に固定的に取り付けられており、ウイング208aおよび208bがシースを出たときに、ウイング208aおよび208bの拡張および引っ込めを可能にする。
【0034】
図10は、治療装置の遠位端に取り付けられることができる拡張可能な部材のもう1つの実施形態を示している。拡張可能な部材300は、平行に、或いは、実質的に平行に位置するアーム302aおよび302bを含むのがよい。各アームは、アーム302aおよび302bの長手方向軸線を越えて外方に拡張することができる部分を含むのがよい。ウイング308aおよび308bが、拡張可能な部材300の遠位端で遠位取り付け部品306に連結されているのがよい。1つの実施形態では、遠位取り付け部品306は、馬蹄形である。遠位取り付け部品306は、ウイング308aおよび308bに対して実質的に垂直構成に位置しているのがよい。遠位取り付け部品306は、タブ310aおよび310bを含むのがよい。取り付け部品306は、治療装置の遠位端の一部との確実連結部を受け入れ、形成するように構成されているのがよい。
【0035】
図11は、拡張可能な部材のもう1つの実施形態を示している。拡張可能な部材400は、平行に、或いは、実質的に平行に位置するアーム402aおよび402bを含むのがよい。各アームは、アーム402aおよび402bの長手方向軸線を越えて外方に拡張することができる部分を含むのがよい。ウイング408aおよび408bが、それぞれ、湾曲端410aおよび410bに終端しているのがよく、湾曲端410aおよび410bは、連結して、チャンネル406を創出する。チャンネル406は、治療装置の遠位端の一部を受け入れ、取り付けるように構成されているのがよい。
【0036】
図10および図11は、治療装置への拡張可能な部材の取り付けを容易にする拡張部材の遠位端の構成を示している。治療装置への拡張可能な部材の取り付けを容易にする他の構成が考えられ、本願の開示は、図10および図11に示されている取り付け構成に制限されない。
【0037】
再び、図8Aおよび図8Bに示されている治療装置の実施形態を参照すると、装置は、ニードルアクチュエータ108およびニードル引っ込めレバー110が、組織アンカーの送達のような治療を提供することができる待機位置にあるように構成されている。ニードルアクチュエータ108を押し下げると、ニードル組立体106が、細長い組織接近組立体104内から前進される(図8B参照)。ニードル組立体は、ニードル組立体が排出されるときに、ニードル組立体が、湾曲して、ハンドルに向かって戻るように構成されているのがよい。前立腺介入における使用に際して、ニードル組立体は、前立腺を通り越して前進される。ばね展開が、ニードルが前立腺の被膜中に留まり、被膜を穿刺し損なうことなく、前立腺のかたい外側被膜を素早く通過することを確保することを助ける。
【0038】
ニードルアクチュエータ108を押し下げ、ニードル引っ込めレバー110を開錠した後、ニードルレバー110は、作動されることができる。かかる動作により、ニードル組立体106は、後退される。いくつかの実施形態では、ニードル組立体106は、装置前配備内でその元の位置よりもさらに後退される。前立腺介入処置において、この動作は、前立腺組織の改変を容易にするために、インプラント、或いは組織アンカーのような種々の作動可能な部材を送達するために使用されることができる。
【0039】
拡張可能な部材は、細長い組織接近組立体104が、該細長い組織接近組立体104の遠位端の表面領域を増大させることによって、インプラントの配備および/または前立腺組織の改変前および中に中葉に係合するように、細長い組織接近組立体104を位置決めするのに使用されることができる。拡張可能な部材はまた、尿道壁を押しのけ、広げるのに使用されることができる。
【0040】
図12A図12Gに示されているように、細長い組立体450は、拡張可能な部材460を備える遠位端452を含むのがよい。拡張可能な部材460は、平行に位置し、遠位端452のシャフトに取り付けられているアーム462aおよび462bを含むのがよい。各アームは、アーム462aおよび462bの長手方向軸線を越えて外方に拡張する拡張可能な部分、ウイング464aおよび464bを含む。拡張可能な部材460の遠位端は、細長い組立体450の遠位端の一部を受け入れ、取り付けるためのチャンネル466を含むのがよい。図12Fおよび図12Gは、細長い組立体450の遠位端452の一部上に留められるタブ468aおよび468bを備えたチャンネル466の断面図を示している。細長い組立体450をチャンネル466内に挿入することによって、拡張可能な部材460の遠位端は、組立体のシャフトに沿って摺動することが可能になり、ウイング位置の「閉鎖」(中央線に近づく圧縮)構成から「開放」(中央線から遠ざかる変位)構成への移動が容易にされる。加えて、治療装置に対する拡張可能な部材460の移動は、治療装置の長手方向軸線に束縛される。さらに、かかる整合は、膀胱鏡または内視鏡が処置中に使用されるときに、膀胱鏡または内視鏡に追加の障害物を提供しない。
【0041】
細長い組立体450がシース(図示せず)内に挿入されるときに、例えば、装置が患者の介入部位に送達されるときに、ウイング464aおよび464bは、治療装置の遠位端の長手方向軸線の中央線に向かって潰れることによって、輪郭が低くなる。一旦目標部位に達すると、ウイング464aおよび464bは、細長い組立体450がシースの遠位開口部を通して延ばされるときに、治療装置の中央線から遠ざかるように拡張することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、拡張可能な部材460は、0.006インチ(0.015cm)の厚さを有するステンレス鋼から作られている。拡張可能な部材のアームおよび/またはウイングの断面は、非対称であるのが有利であり得る。例えば、断面は、1つの軸線がその直交軸線よりも実質的に長いような矩形または楕円形であるのがよい。堅さは、組織の捕獲および操作を容易にし、他方、可撓性は、拡張可能な部材の拡張および引っ込めを容易にする。いくつかの、または、同じ実施形態では、アームおよび/またはウイングは、使用中外傷を最小にするために、丸い縁を備えて構成されている。いくつかの実施形態では、ウイング464aおよび464bの内側面は、細長い組立体450の側部から出るニードル組立体(図示せず)のための入口位置を示す視覚ラインマーカー470を含むのがよい。
【0043】
前立腺の中葉を含む目標組織によりよく係合し、目標組織をよりよく操作するために使用されることができる構造体の他の実施形態が、以下で考えられる。いくつかの実施形態では、ウイング508aおよび508bは、1対の入れ子式アームを使用して、拡張可能な部材500から展開されることができる。図13A図13Dに示されているように、ウイング508aは、アーム502bに取り付けられているか、或いは、アーム502bと連続的である。アーム502aおよび502bは、アーム502bが、(図13Cに破線矢印で示されている)静止アーム502aに沿って滑走し、収縮状態から拡張状態に移行し、同時に、ウイング508aを収縮(「閉鎖」)状態から拡張(「開放」)状態に部材500の長手方向軸線から外方に移行させるように、スリーブ522a内で結合されているのがよい。拡張可能な部材500は、介入部位で配置するためのシース内に挿入されるのがよい。一旦装置が目標部位に位置決めされると、送達装置が作動されて、それぞれ、アーム502cおよび502dを、スリーブ502cおよび502dから展開して、目標組織に係合させる。
【0044】
入れ子式アームの代替実施形態が、図14Aおよび図14Bに示されている。図14Aには、相互係止アーム550aおよび550bが示されている。アーム550aは、アーム550bを収容し、アーム550bの頂縁および底縁を覆う丸められた縁552を含むのがよい。図14Bでは、相互係止アーム560aおよび560bの各々が、丸められた端および平らな端を有する。相互係止されたときに、各アームの丸められた端は、反対側のアームの平らな端を覆う。
【0045】
図13A図13D並びに図14Aおよび図14Bの入れ子式アーム設計では、静止アームは、治療装置の細長い組立体のシャフトに取り付けられているのがよい。かかる設計は、ウイングまたは同様にループされた遠位端の、案内され、安定化された整合、および、介入部位への送達を提供する。
【0046】
今、図15A図15Dを参照すると、拡大化された中葉MLに係合し、拡大化された中葉MLを操作するためのアプローチが、提供されている。かかるアプローチは、側葉のための治療と相補的な療法として使用されることができ、或いは、専ら中葉MLを治療するために使用されることができる。拡大化された中葉MLは、膀胱UBに延入することがあり、正常な機能を妨げるボール弁として作用することがある(図15Aおよび図15B参照。図15Aは、尿道を通り、膀胱に入る断面図である。)ので、組織をボール弁の位置から遠ざかるように(すなわち、膀胱頚から遠ざかるように)移動させることが、望ましい。(TURPのような)そのような侵襲アプローチを回避することによって、膀胱頚の神経組織および/または平滑筋を崩壊させる危険を著しく減少させる。これらの組織の崩壊を減少させることで、射精機能および排泄抑制能力合併症がより低くなる見込みがある。
【0047】
したがって、中葉MLを圧縮し、および/または、押しのけるために経尿道的に尿道前立腺部UT内に装置を挿入することを伴うアプローチが、考えられる。一旦葉が圧縮され、或いは、押しのけられた後には、中葉の圧縮または押しのけを維持するために特定の方向に組織アンカーまたはインプラントを移植するような他の処置が、考えられる。
【0048】
初期ステップとして、経腹的超音波または横断超音波検査法を使用して、患者の膀胱および前立腺の矢状断面図を取るのがよい。このようにして、患者の解剖学的構造を評価することができる。これに関して、膀胱内前立腺測定を取って、中葉突起の先端から膀胱の基部までの鉛直方向距離を決定する。図15C図15Dに示されているように、解剖学的構造を評価した後に、アンカー送達装置の細長い組織接近組立体104(図8Aおよび図8B参照)を、尿道UT内で、および、中葉MLとの並置部内に前進させる。図15D図は、中葉MLの圧縮および押しのけを示す尿道UTの断面図である。
【0049】
1つの特定の一連の動作は、組織接近組立体104を、その終端112が中葉MLの前にあるように位置決めし、次いで、表面を後ろ方向に変位させて、中葉を尿道の中央線から遠ざかるように移動させる。その結果、中葉は、送達器具のまわりに組織折り畳み部(図15D参照)を形成する。拡張可能な部材が、中葉に係合、中葉を操作するために使用される実施形態では、拡張可能な部材は、中葉が押しのけられるように中葉の一時的な捕獲を容易にする図15Dの組織接近組立体104に比べて、増大された表面領域を提供する。いくつかの実施形態では、中葉の組織は、拡張可能な部材のウイングと細長い組織治療装置の遠位端の間の空間に捕獲されることができる。かくして、拡張可能な部材のウイングは、ウイングが展開および引っ込め中に受ける拡張の量を変えることによるものを含めて、かかる捕獲を促進するように構成されることができる。
【0050】
図16Aおよび図16Bは、ループされた、または、拡張可能な部材のもう1つの実施形態を示している。この実施形態では、ループされた部材608は、ループされた部材608の拡張可能なウイング部分が圧縮されるようにシース610の遠位端に収容されるのがよい。細長い組立体がシースを通して移動されるときに、細長い組立体は、ループされた部材608の近位端(図示せず)に接触して、ウイング部分をシース610から押し出し、ウイング部分を拡張させ、組織を操作させる。
【0051】
いくつかの実施形態では、図17Aおよび図17Bに示されているように、ループされた部材708が、シース710の遠位端に取り付けられているのがよい。これらの実施形態では、ループされた部材708は、細長い組立体を配備前に、介入部位で拡張し、および/または、組織を操作することができる。いくつかの実施形態では、ループされた部材708は、レベルリボン、すなわち、直線的な横断面を有するリボンで作られることができる。他の実施形態では、ループされた部材708は、装置の縁が送達中に患者の組織に接触しないようにするために、c形横断面を有する半円形リボンで作られることができる。
【0052】
拡張可能な部材の代替実施形態が、図18Aおよび図18B、並びに、図19Aおよび図19Bに示されている。拡張可能な部材800は、送達装置の細長い組立体のシャフト(図示せず)の両側に取り付けられた1対の管802および812を含むのがよい。かかる管は、細長い組立体の遠位端の方に付勢されているのがよい。管802および812は、それぞれ、管のルーメンの中を通され、次いで、各管の遠位端から出るワイヤ804および806を収容するのがよい。管に存在するワイヤは、各管の外側長さと実質的に平行に位置決めされており、また、ベント状に曲げられ、弓状に曲げられ、アーチ状に曲げられ、或いはその他の仕方で曲げられている。図18Aおよび図18Bに示されているように、ワイヤ804は、間に締め付けられたウエスト808を備えた1対の拡張可能な部分804aおよび804bを含み、ワイヤ806は、間に締め付けられたウエスト810を備えた1対の拡張可能な部分806aおよび806bを含む。いくつかの実施形態では、各ワイヤの締め付けられたウエストは、拡張可能な部分が、細長い組立体の中央線に近づくように潰れ、或いは、細長い組立体の中央線から遠ざかるように拡張することを可能にする圧縮ばねコイルであることができる。図18Aは、細長い組立体がシース(図示せず)内に収容されているときのような、圧縮または潰れ状態にある拡張可能な部材800を示しており、図18Bは、細長い組立体が、シース(図示せず)の遠位端から出て、ばねが自由になって伸び、次いで、各ワイヤの拡張可能な部分を治療装置の中央線から遠ざかるように移動させるときのような、拡張状態の拡張可能な部分800を示している。図19Aおよび図19Bは、拡張可能な部材800と同様に機能するが、拡張可能な部材900が3つの拡張可能な部分を含む拡張可能なワイヤ構造体のもう1つの実施形態である。
【0053】
中葉、或いは他の組織によりよく係合するために、種々のアプローチが考えられる。追加の構造特徴が、目的組織と治療装置100の遠位部分の間の摩擦力を増大させるために、或いは、治療装置の表面領域を増大させるために、治療装置100の拡張可能な部材の遠位端に組み込まれることができる。ローレット面または粗面952が、治療装置100のウイング付きまたは拡張可能な部分950の面構成要素または全体を形成することができる。いくつかの実施形態では、図20Bに示されているように、スパイク、牙(fangs)、フック、とげ(barbs)、或いは他の突起954の1つまたはそれ以上、または、それらの組み合わせが、拡張可能な部材950から種々の角度および長さで延びるように構成されることができる。かかる突起は、鋭くても、或いは、鈍くてもよい。かかる構造体は、引っ込み可能、可撓性、或いは、固定的の1つまたはそれ以上であってよい。かくして、1つまたはそれ以上のアプローチでは、これらの構造体は、プラー(puller)(図示せず)に取り付けられたポップアップ特徴(pop-up feature)と関連させることができる。1つの観点では、ポップアップ特徴の制御は、シースに沿って摺動されるときに拡張可能な組織係合および操作特徴を展開し、引っ込めるための側方アクチュエータ、および、この側方アクチュエータの展開を制御するためにシースとシャフトの間の関係を変化させるためのスペーサによって達成されることができる。1つの特定のアプローチでは、スパイク、牙(fangs)、とげ(barbs)、または、突起は、送達装置が後退されるときには、向上された組織係合が提供され、送達装置が前進されるときには、向上された組織係合が解放されるように近位方向に角度付けされるのがよい。
【0054】
治療装置100を使用する前に、非外傷性テープが、スパイク、牙(fangs)、フック、とげ(barbs)、または、突起上に配置されるのがよい。テープは、中葉処置を行う前に除去されるのがよい。したがって、治療システムは、2つの構成で設けられることができることが考えられる。第1の構成は、治療システムが、鋭い、或いは他の組織係合特徴を覆い、鋭い、或いは他の組織係合特徴が組織と相互作用することを防止する非外傷性テープを含むような通常の使用のためであることができる。第2の構成は、治療システムが、鋭い、或いは他の係合特徴を覆う非外傷性テープなしに組み立てられ、輸送される、中葉係合および操作使用のためのものであることができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、組織接着材料956が、拡張可能な部分950に沿った種々の位置で外側面に付加されているのがよい(図20C参照)。いくつかの考えられるアプローチでは、かかる組織接着材料956は、接着テープから、所望のときにその接着特性を変化させるように流体が膨潤性である材料までの範囲にあることができる。圧力時接着に対するもう1つの考えられるアプローチは、拡張可能な部分950上に組み込まれたうろこ状突起(図20Fおよび図20G)を伴う。高い摩擦が、うろこに抗する方向に目標組織を引くときに創出されるが、展開後、或いは、うろこの方向で治療装置を使用するときには、摩擦が創出されないか、或いは、ほとんど創出されないか、或いは、より少ない摩擦が創出される。ここでも、かかる構造体は、引っ込み可能、可撓性、或いは、固定的の1つまたはそれ以上であってよい。
【0056】
高められた摩擦、或いは他の係合力は、圧力に応答する接着材に基づいてもよい。例えば、治療装置100の拡張可能な遠位部分ベルクロ(登録商標)(Velcro)技術と同様なマイクロフックを追加的にまたは代替的に含んでもよく、確実な係合部を創出するために、組織は、マイクロフックに押し付けられる必要がある。
【0057】
上述したように、かかる係合構造体は、治療装置100の拡張可能な部分に沿った種々の位置に配置されることができる。きめ(textures)または突起は、組織が、装置の遠位端が回転されるときに装置の遠位端と共に、例えば、配備位置に巻かれるように組織に係合するように構成されているのがよい。いくつかの実施形態では、構造体は、より多くの空間がある治療装置の側方領域に位置しているのがよい。すなわち、これらの構造体は、治療装置から延びるのがよい治療要素のために、出口箇所から離れて位置しているのがよい。構造体は、「組織接触フェンス」に沿って位置するのがよいことが特に考えられる。すなわち、突起は、「組織接触フェンス」中に組織接触から隠されているのがよく、ユーザによって操作されるアクチュエータを介してこの保護フェンスを越えて延びるように構成されているのがよい。
【0058】
今、図20D図20Fを参照すると、細長い組織接近組立体104、特に、細長い組織接近組立体104の遠位端は、ローレット面または粗面952、スパイク、牙(fangs)、とげ(barbs)、または、突起、(および、随意には。非外傷性テープ)、および/または、組織接着材料956を含むのがよい。いくつかの実施形態では、細長い組織接近組立体および拡張可能な部材の一方または両方は、これらの特徴の1つまたはそれ以上を含むのがよい。すなわち、図20A図20Hに示されている上記の実施形態は、細長い組織接近組立体、または両方の遠位端の、装置の拡張可能なまたはウイング付き部分の組織係合および操作能力を補足し、または、向上させるために、治療装置100に組み込まれているのがよい。
【0059】
真空力がまた、組織係合および操作を容易にするために使用されてもよい。これに関して、吸引または真空源(図示せず)が、拡張可能な部分に組み込まれているか、或いは、取り付けられているのがよく、チャンネルが、治療装置100の遠位端と連通するために設けられているのがよい。
【0060】
図21に示されているように、もう1つのアプローチでは、ニードル230の部分的な制御された展開が、目標組織に係合し、目標組織を操作するために使用されるのがよい。
ニードル230は、例えば、アンカー装置の移植と関連させた後の十分な展開のために引っ込められるのがよい。追加的に、或いは代替的に、1つまたはそれ以上の補足的な、側方に突出するニードル609(図21に示されている)が、係合および操作目的のために設けられるのがよい。ニードル230を補強するための種々のアプローチがまた、より頑強な構造体が組織操作のために提供されるように考えられる。例えば、補足的なニードルチップ610が、ニードル230の終端部分に取り付けられることができる。1つの考えられているアプローチでは、ニードルチップ610は、送達装置ハンドルから作動されるように構成されている構造体に取り付けられることができる。ニードル610は、固い部材を構成し、それによって、組織を操作するために十分な機械的強度を提供することができ、送達装置内で延びる細長い部材に連結されることができ、この細長い部材は、送達装置に沿って、また、送達装置の外側に、しかし、導入器シース内で、或いは、導入器シースに設けられた穴を通して延びる。ニードルチップ610の使用または除去を制御するための手動または自動アプローチの両方が、考えられる。
【0061】
図22を参照すると、送達装置100の遠位端部分はまた、追加的に、或いは代替的に、中葉、或いは他の目標組織の輪郭に合い、或いは全体的に受け入れる曲率半径を有するディボットまたは凹部を含む。この凹部は、組織に係合し、組織を受け入れるための記載されている構造体も任意のものと共に構成されることができる。例えば、図22は、複数のスパイク954を含むような凹部616を示している。今、図23を参照すると、第2のまたは補足的なシース620が、送達装置100の遠位部分104のまわりに設けられ、構成されることができる。シース620はそれ自身、本願に記載されている組織係合および操作特徴の1つまたはそれ以上を含むことができる。かかる特徴は、シース620の1つまたはそれ以上の側部のために保存されることができ、或いは、シース620のまわり全体に位置決めされることができる。追加的に、シース620はそれ自身、組織の解剖学的構造に合うように構成された凹部616を含むことができる。かくして、凹部616は、凹部616を備える遠位端104を製造することによって、或いは、凹部616を備えて製造されたシース620を使用することによって、送達装置100の遠位端104に含められることができる。
【0062】
目標組織または中葉は、特に、治療装置100との係合を容易にするために前処置されることができる。これに関して、目標組織に、その機械的輪郭を変えるために、電気焼灼、ボトックス、或いは他の治療法を施すことができることが考えられる。目標組織は、代替的に、或いは追加的に、完全に、或いは部分的に、目標組織に切開部を作ることによって前処置されることができる。最後に、目標組織は、組織を支持し、或いは所望の操作を達成するためにラッソー付けされることができる。
【0063】
種々の材料が、開示されている装置を製造するために、本開示の範囲に入ることを認識すべきである。さらに、本願に開示されている1つまたはそれ以上の構成要素が、完全に、或いは部分的に生分解性、或いは生体内粉砕性であることができる。
【0064】
さらに、述べてきたように、本願に開示されている装置および方法は、腔または壁を含む種々の管腔または器官で種々の病理を治療するために使用されることができる。かかる管腔または器官の例には、腸、胃、食道、気管、気管支、気管支通路、静脈(例えば、静脈瘤または弁閉鎖不全を治療するための)、動脈、リンパ管、尿道、膀胱、心房若しくは寝室、子宮、輸卵管等が含まれる。
【0065】
最後に、本開示は、本開示のいくつかの例または実施形態に関連して上述してきたが、本開示の意図する精神および範囲から逸脱することなく、種々の付加、削除、変更、および、変形が、それらの例および実施形態に対してなされることを理解すべきである。例えば、1つの実施形態の任意の要素または属性は、そうすることがその実施形態を特許できないようにし、或いはその意図する使用に不適切にしない限り、別の実施形態または例に組み込まれ、或いは、別の実施形態または例と共に使用されることができることを理解すべきである。さらに、例えば、1つの方法のステップが、特定の順序で記載され、或いは列挙されている場合には、かかるステップの順序は、そうすることがその方法を特許できないようにし、或いはその意図する使用に不適切にしない限り、変更されることができる。すべての合理的な付加、削除、変形、および、変更は、記載されている例および実施形態の均等物であると考えられるべきであり、以下の特許請求の範囲内に含まれるべきである。
【0066】
簡潔にかつ一般的に、本開示は、内部身体構造に係合し、内部身体構造を操作するための装置および方法に向けられている。かかる係合および操作は、主として、或いは代替的に、多ステップ介入的処置の補足的な、または、一体的部分を形成することができる。1つの観点では、本装置は、組織を操作または再位置決めするために組織に係合するように構成されている細長い部材を含む。いくつかの実施形態では、組織は、前立腺の中葉である。
【0067】
種々のアプローチでは、装置は、装置と操作すべき組織との間の摩擦力を増大させる構造体を備える部分を含む。装置は、目標組織に係合し、目標組織を操作するように部分的に展開されることができる延長可能なニードルを追加的に、或いは代替的に含むのがよい。組織の係合および操作を容易にするための引っ込め可能なシースがまた、追加的に、或いは代替的に設けられているのがよい。さらに、装置の遠位端部分の表面領域は、表面領域を増大させ、かくして、組織に効果的に係合し、或いは組織を効果的に操作するように特に構成されている構造体を提供することを意図した構造体を含むのがよい。さらに、装置は、組織に、機械的輪郭を変更するエネルギーまたは物質を当てることによって、或いは、組織に切開部を創成することによって、目標組織を前処置するように構成され、使用されるのがよい。
【0068】
かくして、本開示の送達装置は、アクチュエータ、或いは他の手動接近構造を介して動員される種々の副組立体を追加的に含むのがよい。副組立体の操作は、組織係合または操作構造体の正確な航行および配置を確保するように調整され、同期されている。
【0069】
今、図24A図24Bを参照すると、いくつかの実施形態では、拡張可能な部材200は、調節可能である。図24Aおよび図24Bは、細長い組織接近組立体104、および、細長い組織接近組立体104の一方の側上に存在する拡張可能な部材200の遠位端を示している。すなわち、この特定の実施形態では、1組のアームまたはウイングだけがある。図24Aは、拡張状態の拡張可能な部材200を示しており、これに対して、図24Bは、収縮状態の拡張可能な部材200を示している。中葉MLは、拡張可能な部材200と細長い組織接近組立体104の間の空間内に捕獲されるのがよい。次いで、拡張可能な部材200は、中葉MLが、拡張可能な部材200と細長い組織接近組立体104の間の空間内に取り付けられるように収縮され、または、締め付けられるのがよい。この位置で、中葉MLは、操作され、および/または、押しのけられることができる。
【0070】
今、図25A図25Bを参照すると、拡張可能な部材200は、拡張可能な部材200が2つまたはそれ以上の組のアームおよびウイングを含む実施形態で、より大きな寸法(図25A)からより小さい寸法(図25B)に調節されることができる。これらの実施形態では、拡張可能な部材200を使用して、組織を、拡張可能な部材200と細長い組織接近組立体104の間の空間に捕獲することができ、或いは、本願に開示されている他の実施形態により、拡張可能な部材200を使用して、組織を操作し、および/または、押しのけることができる。拡張可能な部材200の個々のアームは、個々的に、或いは、一緒に調節されることができる。
【0071】
拡張可能な部材200が調節されることができる実施形態では、調節は、装置を患者に配置する前に(或いは、シースが使用される実施形態ではシース内に装置を配置する前に)生じるのがよく、或いは、調節は、患者内の組織操作部位またはその近くで生じるのがよいことが考えられる。医師は、例えば、患者の解剖学的構造に基づいて拡張可能な部材200の寸法を設定するのがよい。医師は、処置前または処置中に患者の解剖学的構造の測定および/または観察に基づいて拡張可能な部材200のための所望の寸法を決定することができるのがよい。
【0072】
今、図26A図26Bおよび図27Aおよび図27Bを参照すると、装置100のハンドルは、ホイール1000またはスライダ1100を含むのがよく、ホイール1000またはスライダ1100の各々は、拡張可能な部材200に結合され拡、拡張可能な部材200を拡張または収縮させるように構成されている。いくつかの実施形態では、ホイール1000およびスライダ1100は、拡張範囲が触覚表示器により表示される「小」拡張寸法から「中」拡張寸法まで「大」拡張寸法までの連続調節能力を提供する。随意には、錠が、拡張可能な部材の寸法を固定することができるように、ホイール1000またはスライダ1100上に設けられている。いくつかの他の実施形態では、ホイール1000およびスライダ1100は、「小」拡張寸法から「中」拡張寸法まで「大」拡張寸法までの離散的な調節能力を提供する。すなわち、拡張可能な部材200のための2つまたはそれ以上の予設定寸法があり、ホイール1000またはスライダ1100は、医師がそれらの寸法の間または中だけで選択を可能にする。
【0073】
種々の代替使用方法が、考えられる。開示されている装置は、身体管腔を通る身体流体の流れを改善することを容易にし、身体管腔または腔の寸法および形状を変更し、前立腺拡大を治療し、尿失禁を治療し、組織の位置決めを支持または維持し、組織創傷、器官またはグラフトを閉じ、美容持ち上げまたは再位置決め処置を行い、解剖学的連結部を形成し、および/または、天然若しくは病理組織若しくは器官が隣接した解剖学的構造を押圧し、或いは隣接した解剖学的構造に干渉する種々の他の障害を治療するために使用されることができる。
【0074】
本発明の1つの観点は、前立腺の中葉に係合し、前立腺の中葉を操作するためのシステムであって、該システムは、シース、および、前記シース内に収容される組織係合または操作装置を含み、前記組織係合または操作装置は、患者の尿道内に挿入され、前立腺組織内で延びるように寸法および形状決めされており、前記組織係合または操作装置は中葉との接触を高めるために圧縮状態から拡張状態に移行することができる移動可能な係合構造体を含む、システムにおいて、前記係合構造体は、前記組織係合または操作装置の遠位端に付勢される、システムである。
【0075】
本発明のもう1つの観点では、前記係合構造体は、組織係合または操作構造体のシャフトの両側に固定された第1のアームおよび第2のアームを含む。
【0076】
本発明のもう1つの観点では、前記第1のアームは、第1の拡張可能な部分を含み、前記第2のアームは、第2の拡張可能な部分を含み、前記第1の拡張可能な部分および前記第2の拡張可能な部分は、前記組織係合または操作装置が前記シースに収容されるときに前記シャフトに近づくように圧縮する。
【0077】
本発明のもう1つの観点では、前記第1の拡張可能な部分および前記第2の拡張可能な部分は、前記組織係合または操作装置が前記シースを出るときに前記シャフトから遠ざかるように拡張する。
【0078】
本発明のもう1つの観点では、前記係合構造体は、前記組織係合または操作装置の一部を受け入れ、取り付けるためのチャンネルをさらに含む。
【0079】
本発明のもう1つの観点では、前記組織係合または操作装置は、前記チャンネルに取り付けられているときに、前記係合構造体の運動は、前記前記組織係合または操作装置の長手方向軸線に束縛される。
【0080】
本発明のもう1つの観点では、前記組織係合または操作装置の長手方向軸線に沿う運動は、圧縮状態から拡張状態への前記係合構造体の移行を与える。
【0081】
本発明のもう1つの観点では、前記係合構造体は、組織に対する外傷を減少させるための複数の丸い縁を備えるリボンであって、該リボンは横断面が非対称であるリボンから作られている。
【0082】
本発明のもう1つの観点では、前記係合構造体は、組織に対する外傷を減少させるc形横断面を備えるリボンから作られている。
【0083】
本発明のもう1つの観点では、前記組織係合または操作装置の前記シャフトは、側方孔、および、前記側方孔から出るニードル組立体を含み、前記側方孔は、前記係合構造体の前記第1の拡張可能な部分および前記第2の拡張可能な部分の間で整合している。
【0084】
本発明のもう1つの観点では、前記第1の拡張可能な部分は、第1の視覚ラインマーカーを含み、前記第2の拡張可能な部分は、第2の視覚ラインマーカーを含む。
【0085】
本発明のもう1つの観点では、前記係合構造体の前記第1の拡張可能な部分および前記第2の拡張可能な部分は、前記側方孔を出た後に前記ニードル組立体のために前記入口位置を指示する。
【0086】
本発明のもう1つの観点では、前記係合構造体の前記第1のアームおよび前記第2のアームは、入れ子式であるように構成されている。
【0087】
本発明のもう1つの観点では、前記係合構造体は、前記組織係合または操作装置のシャフトの終端部分に取り付けられたループである。
【0088】
本発明のもう1つの観点では、前記係合構造体は、処置前または処置中に調節可能であり、前記調節は、システムのハンドル上の制御装置を介して連続的であるか、或いは、離散的であるのがよい。
【0089】
本発明のもう1つの観点では、前記係合構造体は、中葉との摩擦接触を高めるように構成されている。
【0090】
本発明のもう1つの観点では、前記係合構造体は、種々の角度をなして配置され、種々の長さを有するスパイク、牙(fangs)、フック、とげ(barbs)、或いはその他の突起の1つまたはそれ以上を含む。
【0091】
本発明のもう1つの観点では、前記係合構造体は、ローレット面によって構成されている。
【0092】
本発明のもう1つの観点では、前記係合構造体は、随意に膨張可能である接着面によって構成されている。
【0093】
本発明のもう1つの観点では、前記係合構造体は、うろこによって構成されている。
【0094】
本発明のもう1つの観点では、システムは、第1の突出可能なニードルおよび第2の突出可能なニードルを含む。
【0095】
本発明のもう1つの観点では、補強用構造が、前記第1の突出可能なニードルおよび第2の突出可能なニードルの1つまたはそれ以上の終端に取り付けられている。
【0096】
本発明のもう1つの観点では、前記係合構造体は、該係合構造体を覆うように構成されている非外傷性テープを含む。
【0097】
本発明のもう1つの観点では、前記係合構造体は、システムの遠位端上に形成されているディボットによって構成されており、前記ディボットは、目的組織の輪郭に実質的に合うように寸法および形状決めされている。
【0098】
本発明のもう1つの観点では、組織は、係合構造体によって操作される前に前処置され、その前処置は、電気焼灼、ボットクス、または、切開の1つまたはそれ以上を含む。
【0099】
かくして、本開示の特定の形態が示され、記載されてきたけれども、本開示の精神および範囲から逸脱することなく種々の変更を行うことができることが上記から明らかになるであろう、
【符号の説明】
【0100】
100 治療装置
102 ハンドル組立体
104 細長い組織接近組立体
106 ニードル組立体
200 拡張可能な部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図12F
図12G
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図15D
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図20A
図20B
図20C
図20D
図20E
図20F
図20G
図20H
図21
図22
図23
図24A
図24B
図25A
図25B
図26A
図26B
図27A
図27B
【手続補正書】
【提出日】2022-10-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル組立体に結合され、導入器シース内に挿入されるように構成されている細長い組織接近組立体と、
前立腺の中葉に係合し、前立腺の中葉を操作するように構成された組織係合構造体と、を含み、前記組織係合構造体は、前記細長い組織接近組立体の遠位端部分または前記導入器シースに取り付けられており、前記組織係合構造体は、拡張可能な部材を備えた遠位端部分を含み、前記拡張可能な部材は、湾曲部分であって、前記組織係合構造体が、前記湾曲部分が、該湾曲部分の間の長手方向軸線によって規定される中央線に向かって圧縮されている収縮状態から、前記湾曲部分が、前記長手方向軸線によって規定される前記中央線を越えて外方に拡張する拡張状態に移行することができるような湾曲部分を含む、治療装置。
【請求項2】
前記湾曲部分は、前記拡張状態に向かって付勢されている、請求項1に記載の治療装置。
【請求項3】
前記細長い組織接近組立体は、前記湾曲部分の1つまたはそれ以上の内方に向く面が前記細長い組織接近組立体の外方に向く面の一部と面一であるように、前記拡張可能な部材を通して挿入される、請求項1に記載の治療装置。
【請求項4】
前記細長い組織接近組立体は、前記拡張可能な部材の遠位部分上に取り外し可能に締結されている、請求項3に記載の治療装置。
【請求項5】
前記係合構造体は、前記湾曲部分と実質的に垂直に位置する遠位取り付け部品をさらに含む、請求項1に記載の治療装置。
【請求項6】
前記湾曲部分は、治療装置の遠位端を受け入れるように構成された遠位チャンネルを共に創出する湾曲端に終端する2つのアームを含む、請求項1に記載の治療装置。
【請求項7】
前記細長い組織接近組立体は、孔、および、該孔を通して延びることができるニードル組立体をさらに含む、請求項1に記載の治療装置。
【請求項8】
前記ニードル組立体は、該ニードル組立体が前記孔を通して排出されるときに、前記ハンドル組立体に向かって湾曲するように構成されている、請求項7に記載の装置
【請求項9】
前記組織係合構造体は、スリーブ内に結合され、前記湾曲部分を展開するように構成されている入れ子式アームをさらに含む、請求項1に記載の治療装置。
【請求項10】
前記組織係合組立体は、相互係止入れ子式アームをさらに含む、請求項1に記載の治療装置。
【請求項11】
前記湾曲部分は、前記細長い組織接近組立体の前記遠位端部分に取り付けられており、前記導入器シースを通して摺動可能であるループされた拡張可能な部材を形成するように連結する、請求項1に記載の治療装置。
【請求項12】
前記湾曲部分は、前記導入器シースの遠位端に取り付けられたループされた拡張可能な部材を形成するように連結する、請求項1に記載の治療装置。
【請求項13】
導入器シース内に挿入されるように構成されている細長い組織接近組立体を含むアンカー送達装置と、
前記アンカー送達装置内に収容された組織アンカーと、
前立腺に係合し、前立腺を操作するように構成された組織係合構造体と、を含み、前記組織係合構造体は、前記細長い組織接近組立体の遠位端部分または前記導入器シースに取り付けられており、前記組織係合構造体は、拡張可能な部材を備えた遠位端部分を含み、前記拡張可能な部材は、湾曲部分であって、前記組織係合構造体が、前記湾曲部分が、該湾曲部分の間の長手方向軸線によって規定される中央線に向かって圧縮されている収縮状態から、前記湾曲部分が、前記長手方向軸線によって規定される前記中央線を越えて外方に拡張する拡張状態に移行することができるような湾曲部分を含む、システム。
【請求項14】
前記細長い組織接近組立体は、前記湾曲部分の1つまたはそれ以上の内方に向く面が前記細長い組織接近組立体の外方に向く面の一部と面一であるように、前記拡張可能な部材を通して挿入される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記係合構造体は、前記湾曲部分と実質的に垂直に位置する遠位取り付け部品をさらに含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記湾曲部分は、治療装置の遠位端を受け入れるように構成された遠位チャンネルを共に創出する湾曲端に終端する2つのアームを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記アンカー送達装置は、ニードル組立体をさらに含み、前記ニードル組立体は、該ニードル組立体が、前記細長い組織接近組立体の遠位端部分によって構成される孔を通して排出されるときに、湾曲するように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記組織係合構造体は、スリーブ内に結合され、前記湾曲部分を展開するように構成されている入れ子式アームをさらに含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
前記湾曲部分は、前記細長い組織接近組立体の前記遠位端部分に取り付けられており、前記導入器シースを通して摺動可能であるループされた拡張可能な部材を形成するように連結する、請求項13に記載のシステム。
【請求項20】
前記湾曲部分は、前記導入器シースの遠位端に取り付けられたループされた構造体を形成するように連結する、請求項13に記載のシステム。
【外国語明細書】