(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186754
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】報知装置、報知方法及び報知用プログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20221208BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20221208BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20221208BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20221208BHJP
G16Y 40/60 20200101ALI20221208BHJP
【FI】
G01C21/34
G09B29/10 A
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/60
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162351
(22)【出願日】2022-10-07
(62)【分割の表示】P 2021004072の分割
【原出願日】2014-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】天野 啓
(72)【発明者】
【氏名】中村 幸史
(57)【要約】
【課題】複数の出口を有する駐車場を経由して移動する場合であっても、案内経路全体として最適な経路を決定してユーザに報知することが可能な報知装置を提供する。
【解決手段】複数の出口Oを少なくとも有する駐車場P1及び駐車場P2までの出発地からの経路である出発地-駐車場経路の移動コストと、複数の出口Oまでの駐車場P1及び駐車場P2内の各経路の移動コストと、いずれかの出口Oを出た後の経路の移動コストと、を取得し、これら各移動コストに基づいて最適な案内経路を決定し、その案内経路のうち、少なくとも出発地から駐車場までの経路と駐車場内内の経路をディスプレイ3に表示する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地を示す出発地情報と、第1の地点を示す第1地点情報と、少なくとも一つの入口と複数の出口とを有する駐車場を示す駐車場情報であって前記入口の位置を示す入口位置情報及び各前記出口それぞれの位置を示す出口位置情報を含む駐車場情報と、を取得する取得手段と、
前記第1の地点を目的地とした場合、前記取得した出発地情報により示される前記出発地の位置と、前記取得した第1地点情報により示される前記第1の地点の位置と、前記入口位置情報により示される前記入口の位置と、前記出口位置情報により示される前記複数の出口それぞれの位置と、に基づき、前記出発地から前記駐車場内を経由して前記第1の地点に至る経路を決定し、当該決定された経路の一部として前記複数の出口から一の出口を決定する決定手段と、
前記決定された一の出口を報知する報知手段と、
を備え、
前記第1の地点とは異なる第2の地点を目的地とした場合、前記決定手段は、前記決定された一の出口とは異なる他の出口を、前記第2の地点を目的地とする経路の一部として決定することを特徴とする報知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、報知装置、報知方法及び報知用プログラムの技術分野に属する。より詳細には、駐車場内を経て目的地までの移動を案内する経路を決定し、その案内経路に関する情報を報知する報知装置及び報知方法、並びに当該報知装置用のプログラムの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、出発地から目的地まで車両を案内するナビゲーション装置が広く一般化している。このようなナビゲーション装置としては、それ自体が車両に搭載されている場合と、例えば車両のユーザ(即ち運転者又は同乗者)が携帯する端末装置が、ナビゲーション用のプログラムを実行することによりナビゲーション装置として機能する場合と、がある。また、出発地から目的地の間に立ち寄るべき例えば施設がある場合は、その施設に付随した駐車場を経る案内経路が決定される。
【0003】
このような従来技術の一例として、下記特許文献1に記載された技術がある。この特許文献1に記載されている技術では、移動の目的地又は経由地が駐車場である場合に、現在地から駐車場までの間で最短の案内経路となるように駐車場の入口を決定することとされている。また、駐車場自体が出発地である場合に、目的地までの最短ルートとなる当該駐車場の出口を決定することとされている。即ち、下記特許文献1に記載されている技術では、駐車場を経由地として決定した場合に、現在地から最短の案内経路となるその駐車場の入口が先ず決定され、現在地からその入口までの経路が案内され、その入口を有する駐車場に車両を駐車することとなる。その後、その駐車場から目的地までのルートを探索すると、当然ながらその駐車場の出口のみが選択され、その出口から目的地までの案内経路が改めて案内されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されている技術の場合、例えば案内される出口に接続している道路に、その駐車場に車両が入る前の時点から長い渋滞等が発生していたとしても、その駐車場の入口から入ってしまうために、結果的にその駐車場の出口から道路に出ざるを得なくなり、よってその後の行程に時間がかかってしまうという問題点がある。即ち上記特許文献1に記載されている技術では、駐車場が経由地である場合でも、最終的な目的地までの案内経路の全体が考慮されることはなく、現在地からその駐車場の入口までの経路が最短となる入口が単に選択されるのみである。よってこの場合には、通過するのに時間がかかる道路に接する出口しかない駐車場の入口を選択してしまい、結果的に目的地に到達するまでの時間が長くなってしまうという問題点があるのである。
【0006】
そこで本願は、上記の各問題点に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、経由地としての駐車場内を経由して移動する場合であっても、出発地から目的地に至る案内経路全体として最適な案内経路を決定し、その案内経路に関する情報をユーザに報知することが可能な報知装置及び報知方法、並びに当該報知装置用のプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、出発地を示す出発地情報と、第1の地点を示す第1地点情報と、少なくとも一つの入口と複数の出口とを有する駐車場を示す駐車場情報であって前記入口の位置を示す入口位置情報及び各前記出口それぞれの位置を示す出口位置情報を含む駐車場情報と、を取得する取得手段と、前記第1の地点を目的地とした場合、前記取得した出発地情報により示される前記出発地の位置と、前記取得した第1地点情報により示される前記第1の地点の位置と、前記入口位置情報により示される前記入口の位置と、前記出口位置情報により示される前記複数の出口それぞれの位置と、に基づき、前記出発地から前記駐車場内を経由して前記第1の地点に至る経路を決定し、当該決定された経路の一部として前記複数の出口から一の出口を決定する決定手段と、前記決定された一の出口を報知する報知手段と、を備え、前記第1の地点とは異なる第2の地点を目的地とした場合、前記決定手段は、前記決定された一の出口とは異なる他の出口を、前記第2の地点を目的地とする経路の一部として決定するように構成される。
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項10に記載の発明は、報知手段を備える報知装置において実行される報知方法において、出発地を示す出発地情報と、第1の地点を示す第1地点情報と、少なくとも一つの入口と複数の出口とを有する駐車場を示す駐車場情報であって前記入口の位置を示す入口位置情報及び各前記出口それぞれの位置を示す出口位置情報を含む駐車場情報と、を取得する取得工程と、前記第1の地点を目的地とした場合、前記取得した出発地情報により示される前記出発地の位置と、前記取得した第1地点情報により示される前記第1の地点の位置と、前記入口位置情報により示される前記入口の位置と、前記出口位置情報により示される前記複数の出口それぞれの位置と、に基づき、前記出発地から前記駐車場内を経由して前記第1の地点に至る経路を決定し、当該決定された経路の一部として前記複数の出口から一の出口を決定する決定工程と、前記決定された一の出口を、前記報知手段を用いて報知する報知工程と、を含み、前記第1の地点とは異なる第2の地点を目的地とした場合、前記決定工程においては、前記決定された一の出口とは異なる他の出口を、前記第2の地点を目的地とする経路の一部として決定するように構成される。
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項11に記載の発明は、コンピュータを、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の報知装置の各手段として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る報知装置の概要構成を示すブロック図である。
【
図2】実施例に係るナビゲーション装置の概要構成を示すブロック図等であり、(a)は当該ブロック図であり、(b)は実施例に係る駐車場等の配置を例示する概念図であり、(c)は実施形態に係る出入口テーブルの内容を例示する図である。
【
図3】実施例に係る経路決定動作を示すフローチャート等であり、(a)は当該フローチャートであり、(b)は実施例に係る移動コストの計算を例示する図である。
【
図4】実施例に係る経路決定を例示する概念図である。
【
図5】第1変形例に係る経路の再決定動作を例示する概念図等であり、(a)は当該概念図であり、(b)は当該再決定動作を示すフローチャートである。
【
図6】第2変形例に係る経路決定を例示する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本願を実施するための形態について、
図1を用いて説明する。なお
図1は、実施形態に係る報知装置の概要構成を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、実施形態に係る報知装置Sは、取得手段1と、決定手段2と、報知手段3と、を備えて構成されている。
【0013】
この構成において取得手段1は、出発地を示す出発地情報と、第1の地点を示す第1地点情報と、少なくとも一つの入口と複数の出口とを有する駐車場を示す駐車場情報であって前記入口の位置を示す入口位置情報及び各前記出口それぞれの位置を示す出口位置情報を含む駐車場情報と、を取得する。
【0014】
そして、第1の地点を目的地とした場合に決定手段2は、取得手段1により取得した出発地情報により示される出発地の位置と、取得手段1により取得した第1地点情報により示される第1の地点の位置と、入口位置情報により示される入口の位置と、出口位置情報により示される複数の出口それぞれの位置と、に基づき、出発地から駐車場内を経由して第1の地点に至る経路を決定し、当該決定された経路の一部として複数の出口から一の出口を決定する。
【0015】
そして報知手段3は、決定手段2により決定された一の出口を報知する。
【0016】
このとき、第1の地点とは異なる第2の地点を目的地とした場合に決定手段2は、先に決定された一の出口とは異なる他の出口を、第2の地点を目的地とする経路の一部として決定する。
【0017】
以上説明したように、実施形態に係る報知装置Sの動作によれば、出発地情報と、第1地点情報と、入口位置情報及び出口位置情報を含む駐車場情報と、をそれぞれ取得し、それらに基づいて、第1の地点を目的地とする出発地-駐車場内-目的地の経路と、当該経路を構成する一の出口と、決定し、当該決定された一の出口を報知する。更に第1の地点とは異なる第2の地点が目的地とされ場合、第2の地点を目的地とする経路の一部として他の出口を決定する。よって、複数の出口を有する駐車場における入口の位置と出口の位置も考慮して目的地に至る経路が決定されるので、当該目的地に至る経路全体として最適な経路を決定し、それに関連する情報をユーザに報知することができる。
【実施例0018】
次に、上述した実施形態に対応する具体的な実施例について、
図2乃至
図4を用いて説明する。なお以下に説明する実施例は、本願を、目的地までの案内経路に沿った車両の移動を案内するナビゲーション装置における経路決定動作及び報知動作に適用した場合の実施例である。
【0019】
また、
図2は実施例に係るナビゲーション装置の概要構成を示すブロック図等であり、
図3は実施例に係る経路決定動作を示すフローチャート等であり、
図4は実施例に係る経路決定を例示する概念図である。このとき
図2では、
図1に示した実施形態に係る報知装置Sにおける各構成部材に対応する実施例の構成部材それぞれについて、当該報知装置Sにおける各構成部材と同一の部材番号を用いている。
【0020】
図2(a)に示すように、実施形態に係る報知装置Sの一例としての構成を含む実施例に係るナビゲーション装置NVは、CPU、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)等からなる処理部10と、ナビゲーション装置NVが搭載されている車両の現在位置(換言すれば、ナビゲーション装置NV自体の現在位置)を自立的に又はGPS(Global Positioning System)等を用いて検出するセンサ部12と、液晶ディスプレイ等からなり且つ実施形態に係る報知手段3の一例であるディスプレイ3と、当該ディスプレイ3の表面に備えられたタッチパネル、操作ボタン又はリモコン等からなる操作部13と、ハードディスク及びRAM等からなる記録部14と、により構成されている。
【0021】
また処理部10は、移動コスト算出部11と、実施形態に係る取得手段1の一例としてのインターフェース1と、実施形態に係る決定手段2の一例としての経路決定部2と、を含む。このとき移動コスト算出部11、インターフェース1及び経路決定部2はそれぞれ、処理部10を構成するCPU等のハードウェアロジック回路により実現されていてもよいし、後述する経路決定動作を示すフローチャートに相当するプログラムを当該CPU等が読み出して実行することにより、ソフトウェア的に実現されるものであってもよい。そして
図2(a)において破線で示すように、インターフェース1、経路決定部2及びディスプレイ3が、実施形態に係る報知装置Sに相当している。
【0022】
以上の構成において記録部14には、実施例に係る地図データベース(
図2(a)において「地
図DB」と略記する)15が不揮発性に予め記録されている。この地図データベース15は、実施例に係るナビゲーション装置NVにおける案内動作に用いられる地図データベースであり、道路データ、交差点データ、駐車場データ及び施設データ等を含んでいる。また地図データベース15には、上記案内動作に用いられる駐車場について、それぞれの入口と出口との対応関係を示す、実施例に係る出入口テーブルTBが記録されている。
【0023】
ここで、実施例に係る上記出入口テーブルTBについて、具体的に
図2(b)及び
図2(c)を用いて説明する。今、
図2(b)に例示するように、ナビゲーション装置NVが搭載されている車両のユーザが利用する施設Uに付随する二つの駐車場P1及び駐車場P2があるとする。そして、施設U並びに駐車場P1及び駐車場P2は道路R1乃至道路R4に囲まれており、駐車場P1には、二つの入口I1及び入口I2と、二つの出口O1及び出口O2があるとする。また駐車場P2には、入口I3及び出口O3があるとする。この場合、駐車場P1及び駐車場P2に対応する出入口テーブルTBとしては、
図2(c)に例示する出入口テーブルTBが地図データベース15に記録されている。
図2(c)に例示する出入口テーブルTBでは、入口I1については駐車場P1から出るに当たって出口O1及び出口O2が利用可能であり、また入口I2についても同様に出口O1及び出口O2が利用可能であることが記述されている。一方入口I3については、駐車場P2から出るに当たって出口O3のみが利用可能であることが記述されている。なお以下の説明において、上記入口I1乃至入口I3について共通する事項を説明する場合、これらを纏めて単に「入口I」と称する。また同様に、上記出口O1乃至出口O3について共通する事項を説明する場合、これらを纏めて単に「出口O」と称する。
【0024】
他方センサ部12は、上記現在位置を検出し、当該検出した現在位置を示す現在位置データを生成して処理部10に出力する。一方操作部13においては、実施例に係る経路案内動作をナビゲーション装置NVに行わせるために必要な操作等が実行され、操作部13は、当該操作等に対応する操作信号を生成して処理部10に出力する。これらにより処理部10は、上記操作信号に基づき、上記現在位置データ並びに地図データベース15に記録されている道路データ及び上記出入口テーブルTB等を用いて、実施例に係る経路案内動作を統括制御する。この際、処理部10が当該経路案内動作を行うに当たって必要な一時データ等は記録部14に一時的に記録されると共に、必要な地図又は案内経路等はディスプレイ5を介して上記ユーザに提示される。また、上記経路案内動作に当たって処理部10の移動コスト算出部11は、上記ユーザに提示すべき案内経路を決定する際に必要な移動コストを算出し、当該算出された移動コストを、インターフェース1を介して経路決定部2に出力する。
【0025】
ここで、上記「移動コスト」とは、地図データベース15に記録されている上記道路データ、交差点データ又は駐車場データ等を構成するいわゆる「リンク」又は「ノード」が、最終的にユーザに提示される案内経路(即ち、そのユーザについての出発地から目的地に至る案内経路)として選択され易いか否かを示す、当該リンク又はノードごとのデータである。当該移動コストは、例えば距離や所要時間、或いはその時点で発生している渋滞の状況等により変化する値である。そして、移動コストが高いほど当該案内経路として選択され難いのであり、上記最終的な案内経路としては、移動コストがなるべく低いリンク又はノードが連続する経路が選択される。移動コスト算出部11は、このような移動コストを上記リンク又はノードごとに算出し、インターフェース1を介して経路決定部2に出力する。
【0026】
そして経路決定部2は、移動コスト算出部11により算出された各移動コストを積算し、その合計が最も低い道路又は交差点(即ち、リンク又はノード)を含むように案内経路を決定し、当該決定された案内経路を、ディスプレイ3等を介してユーザに提示する。
【0027】
次に、上記処理部10を中心として実行される、実施例に係る経路決定動作について、具体的に
図3及び
図4を用いて説明する。なお以下の実施例では、
図2(b)において図示しない出発地を出発後、
図2(b)に例示した施設Uを利用し、更に
図2(b)において図示しない最終的な目的地(出発地とは異なる目的地)まで移動するユーザに対して提示される案内経路の経路決定動作について説明する。
【0028】
例えば操作部13において予め設定された案内経路の決定操作が実行されると、処理部10の移動コスト算出部11は、
図3(a)に示すように、駐車場P1及び駐車場P2それぞれの入口Iの数を合計した入口数(
図2(b)に例示する場合は「3」)を最大値として各入口Iを示す自然数である入口パラメータmの値を初期化する(ステップS1)。次に処理部10は、上記出発地から入口Imまでの経路を例えば従来と同様の手法により一又は複数探索し(ステップS2)、その後移動コスト算出部11は当該探索された各経路における移動コストCImをそれぞれ算出して記録部14に一時的に記録する(ステップS3)。ここで「入口Im」とは、駐車場P1及び駐車場P2におけるm番目の入口をいい、また「移動コストCIm」とは、出発地から入口Imまでの経路の移動コストをいう。
【0029】
次に移動コスト算出部11は、現時点での入口パラメータmの値が駐車場P1及び駐車場P2それぞれの入口Iの数の合計となっているか否かを判定する(ステップS4)。ステップS4の判定において現時点での入口パラメータmの値が上記入口Iの数の合計(実施例の場合は「3」)より小さい場合(ステップS4;NO)、移動コスト算出部11は入口パラメータmの値を「1」だけインクリメントし(ステップS5)、上記ステップS2の動作に戻る。
【0030】
一方ステップS4の判定において現時点での入口パラメータmの値が上記入口Iの数の合計となっている場合(ステップS4;YES)、移動コスト算出部11は次に、駐車場P1及び駐車場P2それぞれの出口Oの数を合計した出口数(
図2(b)に例示する場合は「3」)を最大値として各出口Oを示す自然数である出口パラメータnの値を初期化する(ステップS6)。次に処理部10は、出口Onから上記目的地までの経路を例えば従来と同様の手法により一又は複数探索し(ステップS7)、その後移動コスト算出部11は当該探索された各経路における移動コストCOnをそれぞれ算出して記録部14に一時的に記録する(ステップS8)。ここで「出口On」とは、駐車場P1及び駐車場P2におけるn番目の出口Oをいい、また「移動コストCOn」とは、出口Onから目的地までの経路の移動コストをいう。
【0031】
次に移動コスト算出部11は、現時点での出口パラメータnの値が駐車場P1及び駐車場P2それぞれの出口Oの数の合計となっているか否かを判定する(ステップS9)。ステップS9の判定において現時点での出口パラメータnの値が上記出口Oの数の合計(実施例の場合は「3」)より小さい場合(ステップS9;NO)、移動コスト算出部11は出口パラメータnの値を「1」だけインクリメントし(ステップS10)、上記ステップS7の動作に戻る。
【0032】
一方ステップS9の判定において現時点での出口パラメータnの値が上記出口Oの数の合計となっている場合(ステップS9;YES)、移動コスト算出部11は次に、駐車場P1及び駐車場P2それぞれの入口I及び出口Oについて、入口Imから出口Onに移動する際の各経路における移動コストCmnをそれぞれ算出し、記録部14に一時的に記録する(ステップS11)。ここで「移動コストCmn」とは、入口Imから出口Onまでの各経路の移動コストをいう。
【0033】
その後経路決定部2は、上記算出された移動コストCIm、移動コストCOn及び各移動コストCmnそれぞれの組み合わせについて、それぞれの合計を算出する(ステップS12)。ここで、上記ステップ12の動作により算出された移動コストの合計が
図3(b)に例示する値となったとする。
図3(b)に例示する場合、例えば、上記出発地から入口I1までの移動コストCI1が「1200」であり、入口I1から利用可能な出口O1から上記目的地までの移動コストCO1が「3300」であり、更に入口I1から出口O1までの移動コストC11が「50」であり、よって、上記出発地から入口I1及び出口O1を経由して目的地に到達するまで移動コストの合計が「4550」であることになる。
【0034】
次に経路決定部2は、ステップS12の動作により算出された移動コストの合計が最も小さい経路を、ユーザに実際に提示する案内経路として決定し(ステップS13)、それを例えばディスプレイ3を用いて表示する。
図3に例示する場合、出発地から入口I1を利用して駐車場P1に駐車し、その後出口O1を利用して目的地まで移動する場合の移動コストが最も小さいため、経路決定部2は、この経路を案内経路として決定してユーザに提示することになる。これによりディスプレイ3には、例えば
図4に例示するような、入口I1→出口O1を利用する案内経路が表示されることになる。このとき、ある第1の地点を目的地とした場合と、当該第1の地点とは異なる第2の地点を目的地とした場合と、において、それぞれにおける案内経路全体としての移動コスト(CIm+Cmn+COn)が相互に異なれば、ユーザに提示される案内経路も当該二つの場合で異なる。そしてこれらの場合には、上記第1の地点を目的地とした場合と、上記第2の地点を目的地とした場合とで、決定された案内経路に含まれる出口Oが変わる場合もあることになる。
【0035】
その後処理部10は、例えば操作部13において予め決定された終了操作が実行されるか、又は車両自体が目的地に到着する等の理由により、実施例に係る経路案内動作を終了するか否かを判定する(ステップS14)。ステップS14の判定において当該経路案内動作を終了しない場合(ステップS14;NO)、処理部10は上記ステップS1の動作に移行する。一方ステップS14の動作において、当該経路案内動作を終了する場合(ステップS14;YES)、処理部10はそのまま当該経路案内動作を終了する。
【0036】
以上説明したように、実施例に係る経路案内動作によれば、出発地-駐車場の移動コストCImと、各駐車場内の移動コストCmnと、駐車場-目的地の移動コストCOnと、をそれぞれ算出し、それらに基づいて出発地-駐車場の経路、駐車場内の経路及び駐車場-目的地の経路を含む案内経路を決定してユーザに提示する。よって、複数の出口を有する駐車場における駐車場内の経路と駐車場-目的地の経路をも考慮して案内経路を決定するので、案内経路全体として最適な経路を決定し、それに関連する情報をユーザに提示することができる。
【0037】
より具体的には、例えば
図2(b)に示す駐車場P1及び駐車場P2の場合において、出発地に対して距離的に最も近いのが駐車場P2であり、目的地に対して距離的に最も近いのが駐車場P1の出口O1であるとする。一方、駐車場P2の出口O3を出た道路R2と駐車場P1の出口O2を出た道路R4にそれぞれ渋滞が発生していて通過に時間がかかる状態であるとする。この場合に上記特許文献1に記載されている技術の場合には出発地から最も近い駐車場P2の入口I3が単純に選択されてしまうため、その後出口O3を出たところで渋滞に巻き込まれてしまうこととなる。これに対し、実施例に係る経路決定動作の場合、駐車場-目的地の経路と駐車場内の経路まで考慮されて案内経路が決定されることから、上記の場合でも、駐車場を出た後の渋滞がない駐車場P1の入口I1と出口O1を含む案内経路が提示されるため、より短時間で目的地まで移動できることになる。
【0038】
また、入口Iと出口Oとの間の関係を示す出入口テーブルTBに基づいて、各駐車場内の移動コストCmnをそれぞれ算出するので、より的確に移動コストCmnを算出して案内経路を決定することができる。
【0039】
なおこのとき、異なる目的地に至る案内経路の全体における移動コストが相互に異なる場合であって、結果的に各案内経路に含まれる出口Oが異なったとしても、入口Iの位置と出口Oの位置も考慮して目的地に至る案内経路が決定されるので、上記と同様に、案内経路全体として最適な経路を決定し、それに関連する情報をユーザに報知することができる。
【0040】
[変形例]
次に、実施形態に対応する変形例について、
図5及び
図6等を用いて説明する。なお、
図5は第1変形例に係る経路の再決定動作を例示する概念図等であり、
図6は第2変形例に係る経路決定を例示する概念図である。また以下の説明において、実施例において用いた部材番号等を引用できる場合は、そのまま引用して説明することとする。
【0041】
[第1変形例]
先ず第1変形例として、
図2(b)に例示する場合と同様の場合において、例えば
図4に例示される案内経路が提示されているときに、何らかの理由により、
図5(a)に例示するように入口I3から駐車場P2に入場して駐車してしまった場合、その後の目的地までの案内経路としては、出入口テーブルTBを参照して、
図5に例示するように自動的に出口O3からの経路を含む案内経路が再決定される。この第1の変形例では、最初に提示された実施例に係る案内経路に対して、出口Oが異なる経路が提示されることになる。
【0042】
ここで、第1変形例に係る経路の再決定動作について、より具体的に
図5(b)を用いて説明する。
図5(b)に示すように、第1変形例に係る経路の再決定動作は、
図4に例示される案内経路が提示されている場合において、車両の位置が、利用対象の施設Uに付随する駐車場P1又は駐車場P2のいずれかの入口Iで
図4に例示される案内経路から外れたか否かが判定されることにより開始される(ステップS20)。なお以下に示す第1変形例の説明及び
図5(b)においては、
図4に例示される案内経路を単に「元の案内経路」と称する。
【0043】
ステップS20の判定において元の案内経路から外れた位置が上記入口Iのいずれかでない場合(ステップS20;NO。具体的に例えば、施設Uに至る途中の別の店舗に立ち寄った場合等)、第1変形例に係る経路の再決定動作は不要であるとして(ステップS30)、処理部10はそのまま当該再決定動作を終了し、元の案内経路を用いた案内を継続する。
【0044】
一方ステップS20の判定において元の案内経路から外れた位置が上記入口Iのいずれかである場合(ステップS20;YES)、処理部10は次に、元の案内経路から外れた入口Iが元の案内経路上の入口I(
図5(a)に例示する場合は入口I1)と異なるか否かを判定する(ステップS21)。ステップS21の判定において、当該入口I同士が同一である場合(ステップS21;NO)、処理部10は上記ステップS30の動作に移行する。
【0045】
他方ステップS21の判定において、元の案内経路から外れた入口Iが元の案内経路上の入口Iと異なる場合(ステップS21;YES。
図5(a)に例示する場合は、入口I1と入口I3で異なっている)、次に経路決定部2は、出入口テーブルTBを参照して、案内経路から外れた入口Iに対応付けられている出口Oを示す出口データを地図データベース15から取得する(ステップS22)。そして経路決定部2は、ステップS22の動作により取得した出口データにより示される出口Oの中に元の案内経路上の出口Oが含まれているか否かを判定する(ステップS23)。ステップS23の判定において、当該出口データにより示される出口Oの中に元の案内経路上の出口Oが含まれている場合(ステップS23;YES)、処理部10は上記ステップS30の動作に移行する。
【0046】
他方ステップS23の判定において、当該出口データにより示される出口Oの中に元の案内経路上の出口Oが含まれていない場合(ステップS23;NO。
図5(a)に例示する場合の出口O3は元の案内経路上には含まれていない)、移動コスト算出部11は次に、出入口テーブルTBにおいて元の案内経路から外れた入口Iに対応付けられている出口Oについての上記出口パラメータnの値を初期化する(ステップS24)。次に処理部10は、出口Onから上記目的地までの経路を実施例と同様に一又は複数探索し(ステップS25)、その後移動コスト算出部11は当該探索された各経路における移動コストCOnをそれぞれ算出して記録部14に一時的に記録する(ステップS26)。
【0047】
次に移動コスト算出部11は、現時点での出口パラメータnの値が、出入口テーブルTBにおいて元の案内経路から外れた入口Iに対応付けられている出口Oの数の合計となっているか否かを判定する(ステップS27)。ステップS27の判定において現時点での出口パラメータnの値が上記出口Oの数の合計より小さい場合(ステップS27;NO)、移動コスト算出部11は出口パラメータnの値を「1」だけインクリメントし(ステップS28)、上記ステップS25の動作に戻る。
【0048】
一方ステップS27の判定において現時点での出口パラメータnの値が上記出口Oの数の合計となっている場合(ステップS27;YES)、移動コスト算出部11及び経路決定部2は、算出された移動コストCOnが最小となる目的地までの経路を含むように案内経路を再決定し(ステップS29)、その後処理部10は、再決定された案内経路を用いた案内を継続する。
【0049】
なお、
図5(a)に示す場合を例とした第1変形例に係る経路の再決定動作では、新たな出口Oの候補が出口O3一つしかないため、実施例に係る移動コストCmnの算出は不要であった。しかしながら仮に、出入口テーブルTBにおいて元の案内経路から外れた入口Iに対応付けられている出口Oの候補が複数ある場合には、当該入口Iと当該候補たる出口Oとの間の移動コストCmnをも考慮して、新たな案内経路が再決定されるのが好ましい。
【0050】
[第2変形例]
また第2変形例として、
図2(b)に例示する場合と同様の場合において、例えば
図4に例示される案内経路が提示されているときに、何らかの理由により、
図6に例示するように入口I1を通り過ぎてしまった場合、その後の目的地までの案内経路としては、出入口テーブルTBを参照して、
図6に例示するように、駐車場P1の他の入口I2→出口O1を経由する経路を含むように決定し直される。この第2の変形例では、最初に提示された実施例に係る案内経路に対して、入口Iは異なるが出口Oは変わらない経路が提示されることになる。
【0051】
[第3変形例]
更に第3変形例として、経路上にある駐車場が複数の入口Iを有している場合、移動コストCmnを複数の入口Iと複数の出口Oとの間の距離のそれぞれに基づいて決定してもよい。具体的には、各入口Iに対応する出発地-駐車場の経路それぞれについての移動コストCImと、各出口Oに対応する駐車場-目的地の経路それぞれについての移動コストCOnとの和(CIm+COn)が相互に同一である場合、相互間の距離が最も近い入口Iと出口Oとを含む駐車場内の経路を含ませて案内経路を設定するのが好適である。この場合には、相互間の距離が最も近い入口Iと出口Oとを含む駐車場内の経路を含ませて案内経路を設定するので、例えば駐車場内の移動距離を最短にして最適な案内経路を設定することができる。
【0052】
[第4変形例]
更にまた第4変形例として、駐車場P1及び駐車場P2が施設Uに付随する駐車場であって当該駐車場P1等が複数の入口Iを有する場合(
図2(b)参照)において、複数の入口Iから施設Uまでの距離と、施設Uから複数の出口Oまでの距離と、の和に基づいて移動コストCmnを決定してもよい。具体的には、各入口Iに対応する出発地-駐車場の経路それぞれについての移動コストCImと、各出口Oに対応する複数の駐車場-目的地の経路それぞれについての移動コストCOnと、の和(CIm+COn)が相互に同一である場合、例えば地図データベース15内の駐車場データを参照することにより、入口Iと施設Uとの間の距離と施設Uと出口との間の距離との和が最も短い入口Iと出口Oとを含む駐車場内の経路を含ませて、案内経路を設定するのが好適である。この場合には、入口Iと施設Uとの間の距離と施設Uと出口Oとの間の距離との和が最も短い入口Iと出口Oとを含む駐車場内の経路を含ませて案内経路を設定するので、利用する施設Uに最も近い入口I又は出口Oを含ませて最適な案内経路を設定することができる。
【0053】
[第5変形例]
また第5変形例として、駐車場P1又は駐車場P2の少なくともいずれか一方が複数の階を有する立体駐車場である場合に、移動コストCmnを、階数が増えるほど案内経路の一部として選択され難くなるように重み付けした上で、他の移動コストと加算してもよい。この場合には、例えば移動距離が長くなる駐車場の階を回避する等して、最適な案内経路を決定することができる。
【0054】
[第6変形例]
更に第6変形例として、例えば駐車場データとして、駐車位置(駐車スポット又は駐車スペース)の位置を示す駐車位置データ及びその空き状況を示す空き状況データが含まれている場合、移動コストCmnについて、当該駐車位置データ等に基づいて、駐車場P1又は駐車場P2における車両の移動距離が短い駐車場内の経路ほど案内経路の一部として選択され易い値を有するように構成してもよい。この場合には、例えば移動距離が長くなる駐車位置を回避する等して、最適な案内経路を決定することができる。
【0055】
[第7変形例]
更にまた第7変形例として、上記第6の変形例の場合において、上記駐車位置データ等に基づいて、入口I又は出口Oと駐車位置との間の移動距離、及び当該駐車位置から施設Uまでの距離が短い駐車場内の経路ほど案内経路の一部として選択され易い値を有するように構成してもよい。この場合には、例えば車両及びユーザ双方の移動距離が最も短い経路を最適な案内経路として決定することができる。
【0056】
[第8変形例]
また第8変形例として、移動コストCIm、移動コストCmn又は移動コストCOnの少なくともいずれかが、駐車場P1又は駐車場P2自体又はそれらの周辺の混雑状況を示す混雑情報に基づき、混雑している駐車場P1又は駐車場P2ほど案内経路の一部として選択され難い値を有するように構成してもよい。この場合には、混雑している駐車場を回避して最適な案内経路を決定することができる。
【0057】
[他の変形例]
更に他の変形例として、例えば自宅から施設Uに移動してその後帰宅するような場合であれば、ディスプレイ3を介してユーザに提示される案内経路としては、少なくとも自宅(出発地)-駐車場の経路及び駐車場内の経路が提示されれば足りる。この場合でも、(対応する経路がディスプレイ3に表示されることはないが)帰りの移動コストCOnが算出されており、これに基づいて最適な出口Oがユーザに提示される。またこの場合、上記自宅が実施例に係る「目的地」に相当することになる。更に、出発地が自宅である場合に限らず、案内経路全体の目的地と初めの出発地とが同一である場合に、本実施例及び各変形例を広く適用することができる。
【0058】
また例えば、上記地図データベース15内に駐車場P1又は駐車場P2内の地図データ(以下、単に「駐車場地図データ」と称する)が記録されている場合は、駐車場地図データに対応する地図をディスプレイ3に表示しつつ案内するのが好ましい。
【0059】
これに対して、上記駐車場地図データが記録されていない場合、例えば、「出口Oの名称」、「○○方面の出口」又は出口Oに接続する「道路の名称」等をディスプレイ3に表示して案内するのが好ましい。このとき、利用すべき出口Oまでの距離を並行して表示してもよい。
【0060】
更に、同様に上記駐車場地図データが記録されていない場合、センサ部12により検出された現在位置から出口Oまで経路を示す直線マーク及び矢印マークを表示すると共に、直線マーク上の距離を並行して表示してもよい。
【0061】
更にまた、駐車場内の経路を表示する場合において、利用すべき入口Iと出口Oとが同一の画面内に収まる(換言すれば、それらが同時に表示される)縮尺により、上記駐車場内の地図を表示するのが好ましい。
【0062】
また、決定された案内経路のユーザへの提示に当たっては、ディスプレイ3を用いた表示だけではなく、図示しないスピーカによる音声出力を併用してもよい。
【0063】
更に、実施例に係るナビゲーション装置NVでは、地図データベース15及び移動コスト計算部11を内蔵する場合について説明したが、これらを外部の図示しないサーバ装置に備えさせ、必要な地図データや各移動コストの算出結果を例えばインターネット等のネットワークを介して取得するように構成してもよい。この場合は、例えば処理能力が低い又は記録容量が少ない携帯型の端末装置やいわゆるスマートフォン等であっても、実施例に係るナビゲーション装置NVと同様の機能を実現することができる。
【0064】
更にまた、
図3(a)又は
図5(b)に示したフローチャートに相当するプログラムを、光ディスク又はハードディスク等の記録媒体に記録しておき、或いはインターネット等のネットワークを介して取得しておき、これを汎用のマイクロコンピュータ等に読み出して実行することにより、当該マイクロコンピュータ等を実施例に係る処理部10として機能させることも可能である。