(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186767
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】危険車両情報収集方法、危険車両情報収集システム、危険車両情報収集プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20221208BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20221208BHJP
G16Y 40/10 20200101ALI20221208BHJP
【FI】
G08G1/00 A
G16Y10/40
G16Y40/10
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163327
(22)【出願日】2022-10-11
(62)【分割の表示】P 2018146888の分割
【原出願日】2018-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100136353
【弁理士】
【氏名又は名称】高尾 建吾
(72)【発明者】
【氏名】庄田 幸恵
(72)【発明者】
【氏名】谷川 徹
(72)【発明者】
【氏名】井本 淳一
(72)【発明者】
【氏名】塚本 裕介
(72)【発明者】
【氏名】渕上 哲司
(72)【発明者】
【氏名】前川 英嗣
(72)【発明者】
【氏名】芋本 征矢
(57)【要約】
【課題】事故が発生したときの情報しか扱われていないという点において更に改善する。
【解決手段】危険車両情報収集システムのコンピュータが、車両の走行状況に関する車両データから、車両と車両の周囲に位置する他車とに関係するイベントを検出し、イベントが検出されると、車両の周囲を検出する周囲検出部を用いて、他車を特定し、特定の結果に基づいて、他車を危険車両と判定し、他車が危険車両と判定されると、周囲検出部の検出結果から得られる他車の情報を、危険車両情報として危険車両データ記憶部に保存し、車両データは、車両が走行中の走行ルートが過去に走行したことがある通常走行ルートであるか否かを表す走行ルート情報を含み、走行ルート情報に基づき、走行ルートが通常走行ルートであるか否かに応じて、判定における判定基準を変更する。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者が危険な運転を行う危険車両に関する危険車両情報を収集する危険車両情報収集システムに用いられる危険車両情報収集方法であって、前記危険車両情報収集システムのコンピュータが、
車両の走行状況に関する車両データから、前記車両と前記車両の周囲に位置する他車とに関係するイベントを検出し、
前記イベントが検出されると、前記車両の周囲を検出する周囲検出部を用いて、前記他車を特定し、
前記特定の結果に基づいて、前記他車を前記危険車両と判定し、
前記他車が前記危険車両と判定されると、前記周囲検出部の検出結果から得られる前記他車の情報を、前記危険車両情報として危険車両データ記憶部に保存し、
前記車両データは、前記車両が走行中の走行ルートが過去に走行したことがある通常走行ルートであるか否かを表す走行ルート情報を含み、
前記走行ルート情報に基づき、前記走行ルートが前記通常走行ルートであるか否かに応じて、前記判定における判定基準を変更する、
危険車両情報収集方法。
【請求項2】
前記判定基準の変更では、前記走行ルートが前記通常走行ルートであるときは、前記走行ルートが前記通常走行ルートでないときに比べて、より早く、前記他車を前記危険車両と判定させる、
請求項1に記載の危険車両情報収集方法。
【請求項3】
前記判定では、前記特定された回数が予め定められた回数閾値に達すると、前記他車を前記危険車両と判定し、
前記判定基準の変更では、前記走行ルートが前記通常走行ルートであるときは、前記走行ルートが前記通常走行ルートでないときに比べて、前記回数閾値に達するまでに特定される回数を減少させる、
請求項1に記載の危険車両情報収集方法。
【請求項4】
前記車両データは、前記車両の加速度を含み、
前記周囲検出部は、前記車両の前方を撮像する前方カメラを含み、
前記検出では、前記車両の加速度から、前記車両が予め定められた加速度閾値以上減速する急減速である前記イベントが検出され、
前記特定では、前記前方カメラを用いて撮像された前記車両の前方で同じ進行方向に走行する前方車両の撮像データから読み取られた前記前方車両の自動車登録番号に基づき、前記前方車両が前記他車として特定され、
前記保存では、前記前方車両の前記自動車登録番号が、前記危険車両情報として、前記危険車両データ記憶部に保存される、
請求項1に記載の危険車両情報収集方法。
【請求項5】
前記車両データは、前記車両の速度と、前記車両の後方を前記車両と同じ進行方向に走行する後方車両及び前記車両の間の後方車間距離と、前記車両の走行する道路が渋滞しているか否かを表す渋滞情報と、を含み、
前記周囲検出部は、前記車両の後方を撮像する後方カメラを含み、
前記検出では、前記車両の走行する道路が渋滞していないことを前記渋滞情報が表し、前記車両の速度が予め定められた速度幅以内の速度に維持され、かつ、前記後方車間距離が予め定められた後方距離閾値以下の状態が予め定められた煽り時間継続されると、前記後方車両の煽り運転である前記イベントが検出され、
前記特定では、前記後方カメラを用いて撮像された前記後方車両の撮像データから読み取られた前記後方車両の自動車登録番号に基づき、前記後方車両が前記他車として特定され、
前記保存では、前記後方車両の前記自動車登録番号が、前記危険車両情報として、前記危険車両データ記憶部に保存される、
請求項1に記載の危険車両情報収集方法。
【請求項6】
運転者が危険な運転を行う危険車両に関する危険車両情報を収集する危険車両情報収集システムであって、
車両の走行状況に関する車両データから、前記車両と前記車両の周囲に位置する他車とに関係するイベントを検出するイベント検出部と、
前記イベントが検出されると、前記車両の周囲を検出する周囲検出部を用いて、前記他車を特定する特定部と、
前記特定の結果に基づいて、前記他車を前記危険車両と判定する判定部と、
前記他車が前記危険車両と判定されると、前記周囲検出部の検出結果から得られる前記他車の情報を、前記危険車両情報として危険車両データ記憶部に保存する制御部と、
を備え、
前記車両データは、前記車両が走行中の走行ルートが過去に走行したことがある通常走行ルートであるか否かを表す走行ルート情報を含み、
前記判定部は、前記走行ルート情報に基づき、前記走行ルートが前記通常走行ルートであるか否かに応じて、前記判定における判定基準を変更する、
危険車両情報収集システム。
【請求項7】
運転者が危険な運転を行う危険車両に関する危険車両情報を収集する危険車両情報収集システムに用いられる危険車両情報収集プログラムであって、前記危険車両情報収集システムのコンピュータに、
車両の走行状況に関する車両データから、前記車両と前記車両の周囲に位置する他車とに関係するイベントを検出する処理と、
前記イベントが検出されると、前記車両の周囲を検出する周囲検出部を用いて、前記他車を特定する処理と、
前記特定の結果に基づいて、前記他車を前記危険車両と判定する処理と、
前記他車が前記危険車両と判定されると、前記周囲検出部の検出結果から得られる前記他車の情報を、前記危険車両情報として危険車両データ記憶部に保存する処理と、
前記車両データは、前記車両が走行中の走行ルートが過去に走行したことがある通常走行ルートであるか否かを表す走行ルート情報を含み、
前記走行ルート情報に基づき、前記走行ルートが前記通常走行ルートであるか否かに応じて、前記判定における判定基準を変更する処理と、
を実行させる、
危険車両情報収集プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運転者が危険な運転を行う危険車両に関する危険車両情報を収集する危険車両情報収集技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、交通事故の原因の客観的な解析を支援する技術が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の技術では、事故発生時刻と事故発生位置とに基づいて、事故車両と事故関連車両とが特定され、特定された事故車両と事故関連車両との操作履歴情報が抽出され、抽出された操作履歴情報に基づき、事故発生前における事故車両と事故関連車両との運転状況が特定される。そして、事故車両と事故関連車両との運転状況を比較することによって、事故原因の客観的な解析を支援するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、事故が発生したときの情報しか扱われていないという点において、更なる改善が必要とされていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る危険車両情報収集方法は、運転者が危険な運転を行う危険車両に関する危険車両情報を収集する危険車両情報収集システムに用いられる危険車両情報収集方法であって、前記危険車両情報収集システムのコンピュータが、車両の走行状況に関する車両データから、前記車両と前記車両の周囲に位置する他車とに関係するイベントを検出し、前記イベントが検出されると、前記車両の周囲を検出する周囲検出部を用いて、前記他車を特定し、前記特定の結果に基づいて、前記他車を前記危険車両と判定し、前記他車が前記危険車両と判定されると、前記周囲検出部の検出結果から得られる前記他車の情報を、前記危険車両情報として危険車両データ記憶部に保存し、前記車両データは、前記車両が走行中の走行ルートが過去に走行したことがある通常走行ルートであるか否かを表す走行ルート情報を含み、前記走行ルート情報に基づき、前記走行ルートが前記通常走行ルートであるか否かに応じて、前記判定における判定基準を変更する。
【発明の効果】
【0006】
本開示の危険車両情報収集技術によれば、事故が発生したときの情報しか扱われていないという点において、更に改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る危険車両情報収集システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【
図2】イベントが検出されたときの車両の走行状況の一例を概略的に示す図である。
【
図3】イベント情報の一例を概略的に示す図である。
【
図4】特定車両情報の一例を概略的に示す図である。
【
図5】危険車両情報の一例を概略的に示す図である。
【
図6】イベントが検出されたときの車両の走行状況の別の例を概略的に示す図である。
【
図7】イベントが検出されたときの車両の走行状況の別の例を概略的に示す図である。
【
図8】イベントが検出されたときの車両の走行状況の別の例を概略的に示す図である。
【
図9】第1実施形態に係る危険車両情報収集システムの動作を概略的に示すフローチャートである。
【
図10】第2実施形態に係る危険車両情報収集システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【
図11】走行ルートに応じて変化する積算値の一例を概略的に示す図である。
【
図12】第2実施形態に係る危険車両情報収集システムの動作を概略的に示すフローチャートである。
【
図13】第3実施形態に係る危険車両情報収集システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【
図14】イベントが検出されたときの車両の走行状況の
図2と同じ例を概略的に示す図である。
【
図15】車間距離に応じて変化する積算値の一例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示に係る一態様を発明するに至った経緯)
まず、本開示に係る一態様の着眼点が説明される。近年、煽り又は幅寄せなどの事故を誘発しかねない危険な運転を行う運転者が問題になっている。しかし、上記特許文献1に記載の技術では、事故が発生したときの情報しか扱われていない。一方、車両に搭載されている車両の周囲の状況を検出する検出機器が増加しており、それらの検出機器による検出精度も向上している。そこで、そのような検出機器を用いて、危険な運転を行う運転者が運転する危険車両を事故が発生する前に特定し、危険車両に関する情報を収集することが望まれる。以上の考察により、本発明者は、以下の本開示の各態様を想到するに至った。
【0009】
本開示の第1態様に係る危険車両情報収集方法は、運転者が危険な運転を行う危険車両に関する危険車両情報を収集する危険車両情報収集システムに用いられる危険車両情報収集方法であって、前記危険車両情報収集システムのコンピュータが、車両の走行状況に関する車両データから、前記車両と前記車両の周囲に位置する他車とに関係するイベントを検出し、前記イベントが検出されると、前記車両の周囲を検出する周囲検出部を用いて、前記他車を特定し、前記特定の結果に基づいて、前記他車を前記危険車両と判定し、前記他車が前記危険車両と判定されると、前記周囲検出部の検出結果から得られる前記他車の情報を、前記危険車両情報として危険車両データ記憶部に保存し、前記車両データは、前記車両が走行中の走行ルートが過去に走行したことがある通常走行ルートであるか否かを表す走行ルート情報を含み、前記走行ルート情報に基づき、前記走行ルートが前記通常走行ルートであるか否かに応じて、前記判定における判定基準を変更する。
【0010】
第1態様では、車両の走行状況に関する車両データから、車両と車両の周囲に位置する他車とに関係するイベントが検出される。このイベントは、車両の周囲に位置する他車の危険運転に起因する可能性がある。このため、このイベントが検出されると、車両の周囲を検出する検出部を用いて、他車が特定される。この特定の結果に基づいて他車を危険車両と判定し、他車が危険車両と判定されると、検出部の検出結果から得られる他車の情報が、危険車両情報として危険車両データ記憶部に保存される。したがって、本態様によれば、運転者が危険な運転を行う危険車両に関する危険車両情報を収集することが可能となる。その結果、危険車両情報を共有することにより、事故の防止を図ることができる。
【0011】
また、車両が走行中の走行ルートが過去に走行したことがある通常走行ルートの場合には、車両の運転者は、道路に起因する危険が発生する可能性のある場所を把握していると考えられる。このため、検出されたイベントは、他車に起因する可能性が高いと言える。そこで、本態様では、走行ルート情報に基づき、走行ルートが通常走行ルートであるか否かに応じて、判定における判定基準を変更する。したがって、本態様によれば、走行ルートが通常走行ルートであるときは、回数閾値に達するまでに特定される回数を減少させることができ、その結果、より早く、他車を危険車両と判定することができる。
【0012】
本開示の第2態様に係る危険車両情報収集方法は、第1態様において、前記判定基準の変更では、前記走行ルートが前記通常走行ルートであるときは、前記走行ルートが前記通常走行ルートでないときに比べて、より早く、前記他車を前記危険車両と判定しても良い。
【0013】
本態様によれば、走行ルートが通常走行ルートであるときは、走行ルートが通常走行ルートでないときに比べて、より早く、他車を危険車両と判定することができる。
【0014】
本開示の第3態様に係る危険車両情報収集方法は、第1又は第2態様において、前記判定では、前記特定された回数が予め定められた回数閾値に達すると、前記他車を前記危険車両と判定し、前記判定基準の変更では、前記走行ルートが前記通常走行ルートであるときは、前記走行ルートが前記通常走行ルートでないときに比べて、前記回数閾値に達するまでに特定される回数を減少させても良い。
【0015】
本態様によれば、走行ルートが通常走行ルートであるときは、走行ルートが通常走行ルートでないときに比べて、回数閾値に達するまでに特定される回数を減少させることにより、より早く、他車を危険車両と判定することができる。
【0016】
本開示の第4態様に係る危険車両情報収集方法は、第1~第3態様のいずれか一つにおいて、前記車両データは、前記車両の加速度を含み、前記周囲検出部は、前記車両の前方を撮像する前方カメラを含み、前記検出では、前記車両の加速度から、前記車両が予め定められた加速度閾値以上減速する急減速である前記イベントが検出され、前記特定では、前記前方カメラを用いて撮像された前記車両の前方で同じ進行方向に走行する前方車両の撮像データから読み取られた前記前方車両の自動車登録番号に基づき、前記前方車両が前記他車として特定され、前記保存では、前記前方車両の前記自動車登録番号が、前記危険車両情報として、前記危険車両データ記憶部に保存されても良い。
【0017】
本態様では、車両の加速度から、車両が予め定められた加速度閾値以上減速する急減速であるイベントが検出される。この場合、車両が急減速したのは、車両の前方で同じ進行方向に走行する前方車両による割込みに起因することが考えられる。そこで、前方カメラを用いて撮像された前方車両の撮像データから読み取られた前方車両の自動車登録番号に基づき、前方車両が他車として特定される。そして、前方車両の自動車登録番号が、危険車両情報として、危険車両データ記憶部に保存される。したがって、本態様によれば、運転者が割込みを行う危険車両に関する危険車両情報を収集することが可能となる。その結果、危険車両情報を共有することにより、割込みを行う他車を避けるなどの対策を講じて、割込みに起因する事故の防止を図ることができる。
【0018】
本開示の第5態様に係る危険車両情報収集方法は、第1~第3態様のいずれか一つにおいて、前記車両データは、前記車両の速度と、前記車両の後方を前記車両と同じ進行方向に走行する後方車両及び前記車両の間の後方車間距離と、前記車両の走行する道路が渋滞しているか否かを表す渋滞情報と、を含み、前記周囲検出部は、前記車両の後方を撮像する後方カメラを含み、前記検出では、前記車両の走行する道路が渋滞していないことを前記渋滞情報が表し、前記車両の速度が予め定められた速度幅以内の速度に維持され、かつ、前記後方車間距離が予め定められた後方距離閾値以下の状態が予め定められた煽り時間継続されると、前記後方車両の煽り運転である前記イベントが検出され、前記特定では、前記後方カメラを用いて撮像された前記後方車両の撮像データから読み取られた前記後方車両の自動車登録番号に基づき、前記後方車両が前記他車として特定され、前記保存では、前記後方車両の前記自動車登録番号が、前記危険車両情報として、前記危険車両データ記憶部に保存されても良い。
【0019】
本態様では、車両の走行する道路が渋滞していないことを渋滞情報が表し、車両の速度が速度幅以内の速度に維持され、かつ、後方車間距離が後方距離閾値以下の状態が煽り時間継続されると、後方車両の煽り運転であるイベントが検出される。後方カメラを用いて撮像された後方車両の撮像データから読み取られた後方車両の自動車登録番号に基づき、後方車両が他車として特定される。後方車両の自動車登録番号が、危険車両情報として、危険車両データ記憶部に保存される。したがって、本態様によれば、運転者が煽り運転を行う危険車両に関する危険車両情報を収集することが可能となる。その結果、危険車両情報を共有することにより、煽り運転を行う他車を避けるなどの対策を講じて、煽り運転に起因する事故の防止を図ることができる。
【0020】
本開示の第6態様に係る危険車両情報収集システムは、運転者が危険な運転を行う危険車両に関する危険車両情報を収集する危険車両情報収集システムであって、車両の走行状況に関する車両データから、前記車両と前記車両の周囲に位置する他車とに関係するイベントを検出するイベント検出部と、前記イベントが検出されると、前記車両の周囲を検出する周囲検出部を用いて、前記他車を特定する特定部と、前記特定の結果に基づいて、前記他車を前記危険車両と判定する判定部と、前記他車が前記危険車両と判定されると、前記周囲検出部の検出結果から得られる前記他車の情報を、前記危険車両情報として危険車両データ記憶部に保存する制御部と、を備え、前記車両データは、前記車両が走行中の走行ルートが過去に走行したことがある通常走行ルートであるか否かを表す走行ルート情報を含み、前記判定部は、前記走行ルート情報に基づき、前記走行ルートが前記通常走行ルートであるか否かに応じて、前記判定における判定基準を変更する。
【0021】
第6態様では、車両の走行状況に関する車両データから、車両と車両の周囲に位置する他車とに関係するイベントが検出される。このイベントは、車両の周囲に位置する他車の危険運転に起因する可能性がある。このため、このイベントが検出されると、車両の周囲を検出する検出部を用いて、他車が特定される。この特定の結果に基づいて他車を危険車両と判定し、他車が危険車両と判定されると、検出部の検出結果から得られる他車の情報が、危険車両情報として危険車両データ記憶部に保存される。したがって、本態様によれば、運転者が危険な運転を行う危険車両に関する危険車両情報を収集することが可能となる。その結果、危険車両情報を共有することにより、事故の防止を図ることができる。
【0022】
また、車両が走行中の走行ルートが過去に走行したことがある通常走行ルートの場合には、車両の運転者は、道路に起因する危険が発生する可能性のある場所を把握していると考えられる。このため、検出されたイベントは、他車に起因する可能性が高いと言える。そこで、本態様では、走行ルート情報に基づき、走行ルートが通常走行ルートであるか否かに応じて、判定における判定基準を変更する。したがって、本態様によれば、走行ルートが通常走行ルートであるときは、回数閾値に達するまでに特定される回数を減少させることができ、その結果、より早く、他車を危険車両と判定することができる。
【0023】
本開示の第7態様に係る危険車両情報収集プログラムは、運転者が危険な運転を行う危険車両に関する危険車両情報を収集する危険車両情報収集システムに用いられる危険車両情報収集プログラムであって、前記危険車両情報収集システムのコンピュータに、車両の走行状況に関する車両データから、前記車両と前記車両の周囲に位置する他車とに関係するイベントを検出する処理と、前記イベントが検出されると、前記車両の周囲を検出する周囲検出部を用いて、前記他車を特定する処理と、前記特定の結果に基づいて、前記他車を前記危険車両と判定する処理と、前記他車が前記危険車両と判定されると、前記周囲検出部の検出結果から得られる前記他車の情報を、前記危険車両情報として危険車両データ記憶部に保存する処理と、前記車両データは、前記車両が走行中の走行ルートが過去に走行したことがある通常走行ルートであるか否かを表す走行ルート情報を含み、前記走行ルート情報に基づき、前記走行ルートが前記通常走行ルートであるか否かに応じて、前記判定における判定基準を変更する処理と、を実行させる。
【0024】
第7態様では、車両の走行状況に関する車両データから、車両と車両の周囲に位置する他車とに関係するイベントが検出される。このイベントは、車両の周囲に位置する他車の危険運転に起因する可能性がある。このため、このイベントが検出されると、車両の周囲を検出する検出部を用いて、他車が特定される。この特定の結果に基づいて他車を危険車両と判定し、他車が危険車両と判定されると、検出部の検出結果から得られる他車の情報が、危険車両情報として危険車両データ記憶部に保存される。したがって、本態様によれば、運転者が危険な運転を行う危険車両に関する危険車両情報を収集することが可能となる。その結果、危険車両情報を共有することにより、事故の防止を図ることができる。
【0025】
また、車両が走行中の走行ルートが過去に走行したことがある通常走行ルートの場合には、車両の運転者は、道路に起因する危険が発生する可能性のある場所を把握していると考えられる。このため、検出されたイベントは、他車に起因する可能性が高いと言える。そこで、本態様では、走行ルート情報に基づき、走行ルートが通常走行ルートであるか否かに応じて、判定における判定基準を変更する。したがって、本態様によれば、走行ルートが通常走行ルートであるときは、回数閾値に達するまでに特定される回数を減少させることができ、その結果、より早く、他車を危険車両と判定することができる。
【0026】
(実施形態)
以下、本開示の実施の形態が、図面を参照しながら説明される。なお、各図面において、同じ構成要素には同じ符号が用いられ、詳細な説明は、適宜省略される。
【0027】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る危険車両情報収集システムの構成を概略的に示すブロック図である。
図1に示される危険車両情報収集システム10は、車両20A,20B,20Cと、サーバ装置30と、を備える。車両20A,20B,20Cと、サーバ装置30とは、例えばインターネット等のネットワーク40を介して、互いに通信可能に構成されている。車両20A,20B,20Cは、本実施形態では例えば、4輪自動車である。車両20A,20B,20Cは、それぞれ異なる運転者によって運転されており、同じ制御構成を有している。なお、
図1では、車両20A,20B,20Cの3個の車両のみが示されているが、更に他の車両がネットワーク40を介してサーバ装置30と通信可能に構成されていてもよい。
【0028】
車両20Aは、通信インターフェース(IF)100、前方カメラ105F、後方カメラ105R、左後側方カメラ110L、右後側方カメラ110R、左方カメラ115L、右方カメラ115R、光検出及び測距(LIDAR)120、車速センサ125、加速度センサ130、ステアリングセンサ135、方向指示灯スイッチ(SW)140、カーナビゲーションシステム145、グローバルポジショニングシステム(GPS)受信機150、ハザードフラッシャーSW155、電子制御ユニット(ECU)170を備える。ECU170は、メモリ175、中央演算処理装置(CPU)180、周辺回路(図示省略)を備える。
【0029】
メモリ175は、例えば半導体メモリ等により構成される。メモリ175は、例えばリードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、電気的に消去書き換え可能なROM(EEPROM)などを含む。メモリ175の例えばROMは、CPU180を動作させる第1実施形態の制御プログラムを記憶する。CPU180は、メモリ175に記憶された第1実施形態の制御プログラムにしたがって動作することによって、検出制御部185、通信制御部190として機能する。
【0030】
通信IF100は、ECU170に接続され、通信制御部190の制御に従って通信を行うための通信回路である。通信IF100は、ECU170から入力された送信すべきデータを収容した通信信号を、ネットワーク40で用いられる通信プロトコルに従って生成し、生成した通信信号を、ネットワーク40を介してサーバ装置30へ送信する。通信IF100は、予め定められた規格に従った通信インターフェース回路を備える。
【0031】
前方カメラ105Fは、車両20Aの前面中央(例えばフロントガラスの上部中央)に、前方カメラ105Fの光軸が車両20Aの前方を向くように取り付けられている。後方カメラ105Rは、車両20Aの後面中央(例えばリアナンバープレートの近傍)に、後方カメラ105Rの光軸が車両20Aの後方を向くように取り付けられている。左後側方カメラ110Lは、車両20Aの後面左(例えばリアバンパの左端)に、左後側方カメラ110Lの光軸が車両20Aの左後側方を向くように取り付けられている。右後側方カメラ110Rは、車両20Aの後面右(例えばリアバンパの右端)に、右後側方カメラ110Rの光軸が車両20Aの右後側方を向くように取り付けられている。左方カメラ115Lは、車両20Aの左側面(例えばセンターピラーの上端)に、左方カメラ115Lの光軸が車両20Aの左方を向くように取り付けられている。右方カメラ115Rは、車両20Aの右側面(例えばセンターピラーの上端)に、右方カメラ115Rの光軸が車両20Aの右方を向くように取り付けられている。
【0032】
カメラ105F,105R,110L,110R,115L,115R(周囲検出部の一例に相当)は、それぞれ、光軸を中心とする扇形の撮像範囲の画像を、所定時間(例えば1/60秒)毎に撮像する。カメラ105F,105R,110L,110R,115L,115Rは、それぞれ、撮像データを、所定時間(例えば1/60秒)毎にECU170に出力する。なお、前方カメラ105F及び後方カメラ105Rは、映像記録型ドライブレコーダに設けられたカメラであってもよい。
【0033】
CPU180の検出制御部185は、カメラ105F,105R,110L,110R,115L,115Rから出力される撮像データに基づき、例えばテンプレートマッチングによって、撮像範囲に存在する物体、例えば、車両20Aの周辺領域を走行する他車、走行車線の近傍を歩行する歩行者、道路に描かれた車線の境界を表す境界線(例えば断続的に描かれた白線)、道路脇に設置された交通標識などを検出する。
【0034】
LIDAR120は、車両20Aの例えば屋根の上に取り付けられている。LIDAR120は、レーザ光のパルスを出射し、その戻ってくる時間を計測して、反射体との距離を検出する。LIDAR120は、レーザ光の出射方向を、水平方向に回転させつつ、同時に上下方向に高速で振らせて、車両20Aの周囲の3次元形状を検出する。
【0035】
車速センサ125は、車両20Aの速度を検出する。なお、車速センサ125が車両20Aの車輪の回転速度を検出し、検出された車輪の回転速度に基づき、検出制御部185が車両20Aの速度を算出する構成であってもよい。加速度センサ130は、車両20Aの加速度を検出する。ステアリングセンサ135は、運転者により操作されるステアリングホイールの操舵角を検出する。方向指示灯SW140は、例えばステアリングコラムから延びるレバーで構成され、運転者によって操作される。検出制御部185は、方向指示灯SW140の操作内容に応じて、左折又は右折を表示するための橙色の方向指示灯を点滅表示させる。
【0036】
カーナビゲーションシステム145は、車両20Aの位置を検出し、検出した車両20Aの位置と内蔵する地図データとに基づき、目的地までの経路を案内する公知のシステムである。GPS受信機150は、GPS衛星からの電波を受信し、測位計算により、GPS受信機150(つまり車両20A)の位置を算出する公知の機器である。なお、GPS受信機150は、カーナビゲーションシステム145に設けられた機器であってもよい。ハザードフラッシャーSW155は、例えば押しボタンスイッチで構成される。ハザードフラッシャーSW155が、運転者または車両20Aに運転者と同乗する同乗者によって操作されると、検出制御部185は、全ての方向指示灯を一斉に点滅させる。
【0037】
CPU180の通信制御部190は、前方カメラ105F、後方カメラ105R、左後側方カメラ110L、右後側方カメラ110R、左方カメラ115L、右方カメラ115R、LIDAR120、車速センサ125、加速度センサ130、ステアリングセンサ135、方向指示灯SW140、カーナビゲーションシステム145、GPS受信機150、ハザードフラッシャーSW155から入力されるデータを、車両データとして、車両20Aを特定する固有の車両識別情報(車両ID)とともに、通信IF100を介して、サーバ装置30へ送信する。
【0038】
サーバ装置30は、通信IF200、制御回路205、記憶装置270を備える。記憶装置270は、例えばハードディスク又は半導体不揮発性メモリ等により構成される。記憶装置270は、イベントデータ記憶部275、危険車両データ記憶部280を含む。
【0039】
制御回路205は、メモリ210、CPU220、周辺回路(図示省略)を備える。メモリ210は、例えば半導体メモリ等により構成される。メモリ210は、例えばROM、RAM、EEPROMなどを含む。メモリ210の例えばROMは、CPU220を動作させる第1実施形態の制御プログラムを記憶する。CPU220は、メモリ210に記憶された第1実施形態の制御プログラムにしたがって動作することによって、イベント検出部230、危険車両判定部240、通信制御部245として機能する。
【0040】
通信IF200は、制御回路205に接続され、通信制御部245の制御に従って通信を行うための通信回路である。通信IF200は、車両20A,20B,20Cの通信IF100から送信された通信信号を、ネットワーク40を介して受信する。通信IF200は、通信IF100と同じ規格に従った通信インターフェース回路を備えてもよい。通信制御部245は、通信IF200により受信された通信信号から、加速度、撮像データ等の車両データを抽出し、抽出した車両データをメモリ210の例えばRAMに一時的に保存する。
【0041】
図2は、CPU220のイベント検出部230によりイベントが検出されたときの車両の走行状況の一例を概略的に示す図である。
図3は、イベントデータ記憶部に保存されるイベント情報の一例を概略的に示す図である。
図4は、イベントデータ記憶部に保存される特定車両情報の一例を概略的に示す図である。
図5は、危険車両データ記憶部に保存される危険車両情報の一例を概略的に示す図である。
【0042】
図2において、イベント検出部230は、車両20Aから送信された加速度センサ130のデータに基づき、車両20Aの負の加速度の絶対値が予め定められた加速度閾値以上となった(つまり車両20Aが急減速した)ことが検出され、かつ、前方カメラ105F又はLIDAR120等のデータに基づき、車両20Aの前方に他車25Xが割り込んできたことが検出されると、他車25Xによる割込みであるイベントを検出する。同様に、イベント検出部230は、車両20Bから送信された車両データに基づき、車両20Bの負の加速度の絶対値が上記加速度閾値以上となり、かつ、車両20Bの前方に他車25Xが割り込んできたことが検出されると、他車25Xによる割込みであるイベントを検出する。同様に、イベント検出部230は、車両20Cから送信された車両データに基づき、車両20Cの負の加速度の絶対値が上記加速度閾値以上となり、かつ、車両20Cの前方に他車25Xが割り込んできたことが検出されると、他車25Xによる割込みであるイベントを検出する。
【0043】
すなわち、例えば車両20Aが急減速したときに、車両20Aの前方に他車25Xが割り込んできたことが検出されると、イベント検出部230は、車両20Aの急減速は、車両20Aの運転者による危険運転が原因ではなく、他車25Xによる割込みに起因すると判断して、割込みであるイベントを検出する。なお、イベント検出部230は、ハザードフラッシャーSW155が更に操作されると、他車25Xによる割込みであるイベントを検出してもよい。
【0044】
イベント検出部230は、イベントを検出するとイベント情報3000を作成する。イベント検出部230は、作成したイベント情報3000と、前方カメラ105Fによって撮像された他車25Xの画像とを、イベントデータ記憶部275に保存する。イベント情報3000では、
図3に示されるように、車両識別情報(車両ID)毎に、イベント検出の日時(年月日時分秒)と、加速度と、他車25Xの画像がイベントデータ記憶部275に保存される際のメモリアドレスとが、互いに対応付けられている。
図3において、例えば車両20Aの日時「AAAA」に対応する加速度の値「Gaa」は、負の値であって、「Gaa」の絶対値は、上記加速度閾値以上である。
【0045】
なお、
図3では、イベント情報3000は、車両ID毎に、イベント検出の日時と、加速度と、他車25Xの画像のメモリアドレスとを含むが、これに限られない。イベント情報3000は、更に、GPS受信機150からのデータに基づき、車両ID毎の位置情報を含むようにしてもよい。
【0046】
危険車両判定部240(特定部、積算部、判定部、制御部の一例に相当)は、イベント検出部230がイベントを検出すると、前方カメラ105Fにより撮像された他車25Xの撮像データから、他車25Xの自動車登録番号標に記載された自動車登録番号を読み取って、他車25Xを特定する。危険車両判定部240は、特定した他車25Xの特定車両情報4000を作成する。危険車両判定部240は、作成した特定車両情報4000をイベントデータ記憶部275に保存する。
【0047】
特定車両情報4000は、
図4に示されるように、自動車登録番号欄4001と、特定回数欄4002と、を含む。自動車登録番号欄4001には、他車25Xの撮像データから読み取られた自動車登録番号が登録される。特定回数欄4002には、危険車両判定部240によって特定された回数が登録される。
【0048】
例えば、
図2の状況では、車両20A,20B,20Cからの各車両データに基づき、危険車両判定部240は、それぞれ、他車25Xを特定する。すると、危険車両判定部240は、特定車両情報4000において、他車25Xの自動車登録番号が既に登録されている場合には、特定回数欄4002に「3」を積算する。
【0049】
危険車両判定部240は、更に、特定車両情報4000における特定回数欄4002の回数が予め定められた回数閾値(例えば5回)に達したか否かを判定する。危険車両判定部240は、特定回数欄4002の回数が上記回数閾値に達すると、上記回数閾値に達した車両を危険車両と判定する。危険車両判定部240は、危険車両と判定した車両に関する危険車両情報5000を作成する。危険車両判定部240は、作成した危険車両情報5000と、危険車両であると判定した車両の画像とを、危険車両データ記憶部280に保存する。なお、回数閾値は、5回に限られず、実験的に又は経験的に、適切な値に定めればよい。
【0050】
危険車両情報5000は、
図5に示されるように、自動車登録番号欄5001と、特定回数欄5002と、画像のメモリアドレス欄5003と、を含む。自動車登録番号欄5001と、特定回数欄5002とは、それぞれ、特定車両情報4000(
図4)の自動車登録番号欄4001と、特定回数欄4002と同じである。画像のメモリアドレス欄5003には、危険車両と判定された車両の画像が危険車両データ記憶部280に保存される際のメモリアドレスが登録される。
【0051】
図6~
図8は、それぞれ、イベント検出部230によりイベントが検出されたときの車両の走行状況の別の例を概略的に示す図である。
図6において、イベント検出部230は、車両20Aから送信された車両データに基づき、後方車両25Yによる煽り運転であるイベントを検出する。すなわち、イベント検出部230は、車両20Aのカーナビゲーションシステム145の渋滞情報により、車両20Aの走行する道路が渋滞していないことが表され、車両20Aの車速センサ125により、車両20Aの速度が予め定められた速度幅閾値(例えば法定速度を中心とする±10km/h)以内の速度に維持されることが表され、かつ、車両20Aの後方を車両20Aと同じ進行方向に走行する後方車両25Yと車両20Aとの間の後方車間距離D1が予め定められた後方距離閾値(例えば20m)以下の状態が予め定められた煽り時間(例えば10秒)継続されると、後方車両25Yによる煽り運転であるイベントを検出する。なお、速度幅閾値は、法定速度を中心とする±10km/hに限られず、後方距離閾値は、20mに限られず、煽り時間は、10秒に限られない。これらの値は、実験的に又は経験的に、適切な値に定めればよい。
【0052】
イベント検出部230は、LIDAR120により得られる距離データに基づき、後方車間距離D1を算出する。代替的に、イベント検出部230は、後方カメラ105Rから出力される撮像データにおける後方車両25Yのサイズに基づき、後方車間距離D1を算出してもよい。
【0053】
イベント検出部230は、イベント情報3000(
図3)と、後方カメラ105Rによって撮像された後方車両25Yの画像とを、イベントデータ記憶部275に保存する。この場合、イベント検出部230は、イベント情報3000(
図3)を、加速度に代えて後方車間距離D1又は煽り運転を表す情報を含むように作成してもよい。
【0054】
危険車両判定部240は、イベント検出部230がイベントを検出すると、後方カメラ105Rにより撮像された後方車両25Yの撮像データから、後方車両25Yの自動車登録番号標に記載された自動車登録番号を読み取って、後方車両25Yを特定する。
【0055】
図7において、イベント検出部230は、車両20Aから送信された車両データに基づき、前方車両25Zによる進行妨害であるイベントを検出する。すなわち、イベント検出部230は、方向指示灯SW140がオンであり、車両20Aの走行する車線が変更され、かつ、前方カメラ105F等によって、車線変更前と車線変更後とで同一の前方車両25Zが検出されると、前方車両25Zによる進行妨害であるイベントを検出する。代替的に、イベント検出部230は、車両20Aが車線変更を所定回数(例えば3回)繰り返したときに、車線変更前と車線変更後とで同一の前方車両25Zが繰り返して検出されると、前方車両25Zによる進行妨害であるイベントを検出するようにしてもよい。
【0056】
イベント検出部230は、車両20Aによる走行車線の変更を、車両20Aから送信される車両データに含まれる、ステアリングセンサ135によって検出されるステアリングホイールの操舵角に基づき検出する。代替的に、イベント検出部230は、車両20Aによる走行車線の変更を、車両20Aから送信される車両データに含まれる、カメラ105F,105R,110L,110R等によって撮像される道路に描かれた車線の境界を表す境界線(例えば断続的に描かれた白線)に基づき検出してもよい。
【0057】
イベント検出部230は、イベント情報3000(
図3)と、前方カメラ105Fによって撮像された前方車両25Zの画像とを、イベントデータ記憶部275に保存する。この場合、イベント検出部230は、イベント情報3000(
図3)を、加速度に代えて進行妨害を表す情報を含むように作成してもよい。
【0058】
危険車両判定部240は、イベント検出部230がイベントを検出すると、前方カメラ105Fにより撮像された前方車両25Zの撮像データから、前方車両25Zの自動車登録番号標に記載された自動車登録番号を読み取って、前方車両25Zを特定する。
【0059】
図8において、イベント検出部230は、車両20Aから送信された車両データに基づき、側方車両25Wによる幅寄せであるイベントを検出する。すなわち、イベント検出部230は、車両20Aの側方を車両20Aと同じ進行方向に走行する側方車両25Wと車両20Aとの間の側方車間距離D2が予め定められた側方距離閾値(例えば2m)以下の状態が予め定められた幅寄せ時間(例えば5秒)継続されると、側方車両25Wによる幅寄せであるイベントを検出する。なお、側方距離閾値は、2mに限られず、幅寄せ時間は、5秒に限られない。これらの値は、実験的に又は経験的に、適切な値に定めればよい。
【0060】
イベント検出部230は、側方車両25Wを、車両20Aから送信される車両データに含まれる、左方カメラ115L又は右方カメラ115Rによって撮像された撮像データに基づき検出する。代替的に、イベント検出部230は、側方車両25Wを、車両20Aから送信される車両データに含まれる、LIDAR120の距離データに基づき検出してもよい。
【0061】
イベント検出部230は、イベント情報3000(
図3)と、左方カメラ115L又は右方カメラ115Rによって撮像された側方車両25Wの画像とを、イベントデータ記憶部275に保存する。この場合、イベント検出部230は、イベント情報3000(
図3)を、加速度に代えて幅寄せを表す情報を含むように作成してもよい。
【0062】
危険車両判定部240は、イベント検出部230がイベントを検出すると、左方カメラ115L又は右方カメラ115Rによって撮像された側方車両25Wの画像から、特徴量を抽出し、抽出した特徴量によって、側方車両25Wを特定する。
【0063】
危険車両判定部240は、前方カメラ105F又は後方カメラ105Rにより撮像された他車(前方車両又は後方車両)の画像から特徴量を抽出する。危険車両判定部240は、他車の特徴量のうち、側方車両25Wの特徴量に一致する一致車両を抽出する。危険車両判定部240は、前方カメラ105F又は後方カメラ105Rにより撮像された撮像データから、上記一致車両の自動車登録番号標に記載された自動車登録番号を読み取って、上記一致車両の特定車両情報4000(
図4)を作成し、作成した特定車両情報4000をイベントデータ記憶部275に保存する。
【0064】
代替的に、危険車両判定部240は、イベント検出部230がイベントを検出すると、車両20Aから送信される車両データに含まれる、LIDAR120の距離データに基づき、側方車両25Wの動きを追跡し、前方カメラ105F又は後方カメラ105Rの撮像範囲に側方車両25Wが進入してきたときに、前方カメラ105F又は後方カメラ105Rにより撮像された撮像データから、側方車両25Wの自動車登録番号標に記載された自動車登録番号を読み取って、側方車両25Wを特定するようにしてもよい。
【0065】
図9は、第1実施形態に係る危険車両情報収集システム10の動作を概略的に示すフローチャートである。
図9の動作は、一定時間(例えば10msec)毎に繰り返して実行される。
【0066】
ステップS1000において、サーバ装置30の通信制御部245は、通信IF100を介して、車両20A,20B,20Cから車両データを受信する。ステップS1005において、通信制御部245は、受信した車両データを、車両IDとともにメモリ210に一時的に保存する。ステップS1010において、危険車両判定部240は、イベント検出部230がイベントを検出したか否かを判定する。イベント検出部230がイベントを検出していれば(ステップS1010でYES)、処理はステップS1015に進む。一方、イベント検出部230がイベントを検出していなければ(ステップS1010でNO)、
図9の動作は終了する。
【0067】
ステップS1015において、危険車両判定部240は、他車を特定する。ステップS1020において、危険車両判定部240は、特定された他車の情報をイベントデータ記憶部275から読み出す。ステップS1025において、危険車両判定部240は、特定車両情報4000(
図4)において、特定された他車の特定回数を積算する。なお、特定された他車の情報がイベントデータ記憶部275に保存されていなければ、特定回数は積算されない。
【0068】
ステップS1030において、危険車両判定部240は、積算された他車の特定回数が回数閾値に達したか否かを判定する。積算された他車の特定回数が回数閾値に達していなければ(ステップS1030でNO)、処理はステップS1035に進む。一方、積算された他車の特定回数が回数閾値に達していれば(ステップS1030でYES)、処理はステップS1040に進む。
【0069】
ステップS1035において、イベント検出部230は、特定された他車の情報に基づきイベント情報3000(
図3)を作成し、作成したイベント情報3000と他車の画像とをイベントデータ記憶部275に保存する。なお、ステップS1020において、特定された他車の情報がイベントデータ記憶部275に保存されていなかった場合にも、ステップS1035において、イベント情報3000と他車の画像とが、イベントデータ記憶部275に保存される。また、ステップS1035において、危険車両判定部240は、特定車両情報4000(
図4)を作成して、イベントデータ記憶部275に保存する。その後、
図9の動作は終了する。
【0070】
ステップS1040において、危険車両判定部240は、特定回数が回数閾値に達した他車の情報から危険車両情報5000(
図5)を作成し、危険車両と判定された車両の画像とともに、危険車両データ記憶部280に保存する。その後、
図9の動作は終了する。
【0071】
以上説明されたように、第1実施形態によれば、割込み、煽り運転、進行妨害、又は幅寄せであるイベントが検出され、イベントの原因となった他車が特定され、特定回数が回数閾値に達した他車が危険車両と判定され、その自動車登録番号を含む危険車両情報5000が危険車両データ記憶部280に保存されている。したがって、運転者が危険な運転を行う危険車両に関する危険車両情報を収集することが可能となる。その結果、危険車両情報を共有することにより、事故の防止を図ることができる。
【0072】
(第2実施形態)
図10は、第2実施形態に係る危険車両情報収集システム10Aの構成を概略的に示すブロック図である。第2実施形態に係る危険車両情報収集システム10Aは、車両20A,20B,20Cと、サーバ装置30Aと、を備える。車両20A,20B,20Cと、サーバ装置30Aとは、ネットワーク40を介して、互いに通信可能に構成されている。
【0073】
サーバ装置30Aは、通信IF200、制御回路205A、記憶装置270Aを備える。記憶装置270Aは、例えばハードディスク又は半導体不揮発性メモリ等により構成される。記憶装置270Aは、イベントデータ記憶部275、危険車両データ記憶部280、走行ルート記憶部285を含む。
【0074】
制御回路205Aは、メモリ210A、CPU220A、周辺回路(図示省略)を備える。メモリ210Aは、例えば半導体メモリ等により構成され、例えばROM、RAM、EEPROMなどを含む。メモリ210Aの例えばROMは、CPU220Aを動作させる第2実施形態の制御プログラムを記憶する。CPU220Aは、メモリ210Aに記憶された第2実施形態の制御プログラムにしたがって動作することによって、イベント検出部230、危険車両判定部240A、通信制御部245、走行ルート確認部250として機能する。
【0075】
走行ルート記憶部285は、車両20Aから送信される車両データに含まれる車両20Aの位置情報を記憶する。すなわち、車両20Aの通信制御部190は、通信IF100を介して、GPS受信機150によって算出される車両20Aの位置情報をサーバ装置30Aに送信する。サーバ装置30Aの通信制御部245は、車両20Aから送信される車両データに含まれる車両20Aの位置情報を、車両IDに対応付けて走行ルート記憶部285に保存する。
【0076】
走行ルート確認部250は、走行中の車両20Aから送信される車両データに含まれる車両20Aの位置情報と、車両20Aの車両IDに対応付けて走行ルート記憶部285に保存されている車両20Aの位置情報とを比較し、現在走行中の車両20Aの走行ルートが過去に走行したことがある通常走行ルートであるか否かを確認する。
【0077】
代替的に、車両20Aの通信制御部190は、通信IF100を介して、カーナビゲーションシステム145から出力される、現在走行中の走行ルートが過去に走行したことがある通常走行ルートであるか否かを表すナビゲーション情報をサーバ装置30Aに送信してもよい。走行ルート確認部250は、車両20Aから送信される車両データに含まれる上記ナビゲーション情報に基づき、現在走行中の車両20Aの走行ルートが過去に走行したことがある通常走行ルートであるか否かを確認してもよい。この場合には、走行ルート記憶部285は不要になる。
【0078】
危険車両判定部240Aは、現在走行中の車両20Aの走行ルートが、過去に走行したことがない初回走行ルートであるときは、危険車両判定部240Aによって特定された他車25Xの特定回数を積算する際の積算値を「1」のままとする。一方、現在走行中の車両20Aの走行ルートが、過去に走行したことがある通常走行ルートであるときは、危険車両判定部240Aは、積算値を例えば「2」に増加させた増大積算値とする。
【0079】
図11は、走行ルートに応じて変化する積算値の一例を概略的に示す図である。
図11の例では、回数閾値が4に設定されている。
図11のセクション(A)に示されるように、初回走行ルートのみを走行したときは、特定回数の積算値が「1」であるので、他車が4回特定されると、危険車両判定部240Aによって、危険車両と判定される。一方、
図11のセクション(B)に示されるように、通常走行ルートのみを走行したときは、特定回数の積算値が「2」に増加された増大積算値であるので、他車が2回特定されるだけで、危険車両判定部240Aによって、危険車両と判定される。また、
図11のセクション(C)に示されるように、初回走行ルートを2回走行し、通常走行ルートを1回走行したときは、特定回数の積算値が、「1」で2回と「2」で1回となるので、他車が3回特定されると、危険車両判定部240Aによって、危険車両と判定される。
【0080】
図12は、第2実施形態に係る危険車両情報収集システム10Aの動作を概略的に示すフローチャートである。
図12の動作は、一定時間(例えば10msec)毎に繰り返して実行される。
【0081】
ステップS1000~S1020は、
図9のステップS1000~S1020と同じである。ステップS1020に続くステップS1100において、走行ルート確認部250は、現在走行中の車両20Aの走行ルートが通常走行ルートであるか否かを確認する。現在走行中の車両20Aの走行ルートが通常走行ルートであれば(ステップS1100でYES)、処理はステップS1105に進む。一方、現在走行中の車両20Aの走行ルートが通常走行ルートでなければ(ステップS1100でNO)、処理はステップS1025に進む。
【0082】
ステップS1105において、危険車両判定部240Aは、特定した他車25Xの特定回数を積算する際の積算値を「2」に増加させた増大積算値とする。ステップS1025~S1040は、
図9のステップS1025~S1040と同じである。
【0083】
以上説明されたように、第2実施形態によれば、車両20Aが走行中の走行ルートが過去に走行したことがある通常走行ルートであるときは、特定された回数を積算する際に、「2」に増加された増大積算値が積算される。したがって、通常走行ルートを走行しているときは、回数閾値に達するまでに特定される回数を減少させることができる。その結果、より早く、他車を危険車両と判定することができる。一般に、車両の運転者は、道路に起因する危険が発生する可能性のある場所を把握していると考えられる。このため、通常走行ルートを走行中にイベントが検出されたときは、他車に起因する可能性が高いと言える。よって、第2実施形態によれば、車両20Aが走行中の走行ルートに応じて、適切なタイミングで、他車を危険車両と判定することができる。なお、増大積算値は、「2」に限られず、1より大きい値であればよい。
【0084】
(第3実施形態)
図13は、第3実施形態に係る危険車両情報収集システム10Bの構成を概略的に示すブロック図である。
図14は、イベント検出部230によりイベントが検出されたときの車両の走行状況の
図2と同じ例を概略的に示す図である。
図15は、車間距離に応じて変化する積算値の一例を概略的に示す図である。
【0085】
図13に示されるように、第3実施形態に係る危険車両情報収集システム10Bは、車両20A,20B,20Cと、サーバ装置30Bと、を備える。車両20A,20B,20Cと、サーバ装置30Bとは、ネットワーク40を介して、互いに通信可能に構成されている。サーバ装置30Bは、通信IF200、制御回路205B、記憶装置270を備える。制御回路205Bは、メモリ210B、CPU220B、周辺回路(図示省略)を備える。
【0086】
メモリ210Bは、例えば半導体メモリ等により構成され、例えばROM、RAM、EEPROMなどを含む。メモリ210Bの例えばROMは、CPU220Bを動作させる第3実施形態の制御プログラムを記憶する。CPU220Bは、メモリ210Bに記憶された第3実施形態の制御プログラムにしたがって動作することによって、イベント検出部230、危険車両判定部240B、通信制御部245、距離計算部255として機能する。
【0087】
距離計算部255は、イベント検出部230によって、他車25Xによる割込み運転であるイベントが検出されたときに、車速センサ125によって検出される車両20Aの速度を用いて、停止距離(=空走距離+制動距離)を算出する。空走距離は、ブレーキペダルを操作してからブレーキが効き始めるまでに車が進む距離である。制動距離は、ブレーキが効き始めてから停止するまでに車が進む距離である。停止距離は、空走距離と制動距離とを合計した距離である。これらの距離の目安は、車両の速度に応じて、算出することが可能である。
【0088】
距離計算部255は、イベント検出部230によって、他車25Xによる割込み運転であるイベントが検出された検出時に、更に、LIDAR120により得られる距離データに基づき、前方の他車25Xとの車間距離を算出する。代替的に、距離計算部255は、前方カメラ105Fから出力される撮像データにおける他車25Xのサイズに基づき、前方の他車25Xとの車間距離を算出してもよい。
【0089】
危険車両判定部240Bは、算出された停止距離と、前方の他車25Xとの車間距離とを比較し、比較結果に基づき、特定した他車25Xの特定回数を積算する際の積算値を調整する。例えば
図14において、車両20Aと他車25Xとの車間距離D3aが、停止距離の2倍以上である遠距離のときは、特定回数を積算する際の積算値は、予め定められた「1」より小さい減少積算値(本実施形態では例えば「0.5」)に調整される。また、車両20Bと他車25Xとの車間距離D3bが、停止距離未満である近距離のときは、特定回数を積算する際の積算値は、予め定められた「1」より大きい増大積算値(本実施形態では例えば「2」)に調整される。また、車両20Cと他車25Xとの車間距離D3cが、停止距離以上、かつ停止距離の2倍未満である中距離のときは、特定回数を積算する際の積算値は、「1」に調整される。
【0090】
図15の例では、回数閾値が4に設定されている。
図15のセクション(A)に示されるように、車間距離が、停止距離以上、かつ停止距離の2倍未満である中距離のときは、特定回数の積算値が「1」であるので、他車が4回特定されると、危険車両判定部240Bによって、危険車両と判定される。一方、
図15のセクション(B)に示されるように、車間距離が停止距離未満である近距離のときは、特定回数の積算値が「2」であるので、他車が2回特定されるだけで、危険車両判定部240Bによって、危険車両と判定される。また、
図15のセクション(C)に示されるように、車間距離が、停止距離の2倍以上である遠距離のときは、特定回数の積算値が「0.5」になるので、他車が8回特定されると、危険車両判定部240Bによって、危険車両と判定される。
【0091】
以上説明されたように、第3実施形態によれば、車両20Aと他車25Xとの車間距離D3aが、停止距離の2倍以上である遠距離のときは、積算値は、減少積算値に調整され、車両20Bと他車25Xとの車間距離D3bが、停止距離未満である近距離のときは、積算値は、増大積算値に調整され、車両20Cと他車25Xとの車間距離D3cが、停止距離以上、かつ停止距離の2倍未満である中距離のときは、積算値は、「1」に調整される。
【0092】
一般に、急減速であるイベントが検出されたときの車間距離が短い場合は、長い場合に比べて、危険度が高いということができる。したがって、第3実施形態によれば、危険度に応じた適切なタイミングで、他車を危険車両と判定することができる。なお、増大積算値は、「2」に限られず、1より大きい値であればよい。また、減少積算値は、「0.5」に限られず、1より小さい値であればよい。
【0093】
(その他)
(1)上記各実施形態では、サーバ装置30のCPU220は、車両20A,20B,20Cから送信される前方カメラ105Fの撮像データ等の全ての車両データを、予め定められた保存時間TS1の間、メモリ210に保存してもよい。この場合、イベント検出部230によりイベントが検出されなければ、CPU220は、順次、古い車両データをメモリ210から消去すればよい。また、CPU220は、車両20A,20B,20Cから送信される全ての車両データを、イベント検出部230によりイベントが検出された時点から、予め定められた保存時間TS2の間、メモリ210に保存してもよい。保存時間TS1,TS2は、それぞれ、イベント検出のための煽り時間又は幅寄せ時間と同じ値でもよく、異なる値でもよい。
【0094】
(2)上記各実施形態では、サーバ装置30のCPU220がイベント検出部230の機能を有しているが、これに限られない。代替的に、車両20AのCPU180が、イベント検出部230の機能を有してもよい。この場合、車両20Aの通信制御部190は、イベントが検出されたときに、イベントに関連する車両データのみを、サーバ装置30へ送信してもよい。例えば、急減速であるイベントが検出されたときは、通信制御部190は、前方カメラ105Fの撮像データ及び加速度センサ130の加速度データのみを、サーバ装置30へ送信してもよい。
【0095】
(3)上記各実施形態では、例えば加速度センサ130の加速度データ等、生の検出データが、車両20Aからサーバ装置30へ送信可能に構成されているが、これに限られない。例えば、車両20AのCPU180は、車両20Aの運転者による運転が、安全運転であるか危険運転であるかを診断する機能を有してもよい。生の検出データは、車両20Aからサーバ装置30へ送信不可能に構成され、運転の診断結果と、前方カメラ105F等の撮像データと、LIDAR120の距離データとのみが、車両20Aからサーバ装置30へ送信可能に構成されてもよい。
【0096】
この場合、サーバ装置30のイベント検出部230は、急減速による危険運転との診断結果が車両20Aから送信されたときに、例えば前方カメラ105Fの撮像データに他車25X(
図2)が含まれているときは、他車25Xの割込みであるイベントを検出してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本開示に係る危険車両情報収集技術は、車両の事故を未然に防止するためのシステムに特に有用である。
【符号の説明】
【0098】
30,30A,30B サーバ装置
230 イベント検出部
240,240A,240B 危険車両判定部
250 走行ルート確認部
255 距離計算部
280 危険車両データ記憶部
5000 危険車両情報