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特開2022-186793VEGF拮抗薬を収容したプレフィルドプラスチックシリンジ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186793
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】VEGF拮抗薬を収容したプレフィルドプラスチックシリンジ
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/28 20060101AFI20221208BHJP
   A61M 5/31 20060101ALI20221208BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221208BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20221208BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20221208BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20221208BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20221208BHJP
   A61P 27/10 20060101ALI20221208BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20221208BHJP
   A61K 38/02 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
A61M5/28
A61M5/31 530
A61P43/00 111
A61P27/02
A61P9/10
A61K45/00
A61K39/395 N
A61P27/10
A61K9/08
A61K38/02
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164411
(22)【出願日】2022-10-13
(62)【分割の表示】P 2020195895の分割
【原出願日】2015-05-12
(31)【優先権主張番号】14167889.6
(32)【優先日】2014-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】516338305
【氏名又は名称】フォーマイコン アーゲー
【氏名又は名称原語表記】FORMYCON AG
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】フィードラー、ベルント
(57)【要約】
【課題】VEGF拮抗薬を投与するためのシリンジを提供する。
【解決手段】プレフィルドシリンジ、このシリンジを含むキット、及び眼疾患の治療においてVEGF拮抗薬を投与するための該シリンジの使用に関する。プレフィルドシリンジはVEGF拮抗薬を収容し、かつシリコーン不使用のプラスチックバレルを備えている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
VEGF拮抗薬の液体製剤を収容し、かつシリンジバレルを備えたプレフィルドシリンジにおいて、前記シリンジバレルはプラスチックから製造されており、かつシリコーン不使用である、プレフィルドシリンジ。
【請求項2】
前記VEGF拮抗薬は、抗VEGF抗体、又はそのような抗体の抗原結合フラグメント、又はVEGF受容体融合タンパク質である、請求項1に記載のプレフィルドシリンジ。
【請求項3】
前記抗VEGF抗体はラニビズマブ又はアフリベルセプトである、請求項2に記載のプレフィルドシリンジ。
【請求項4】
前記拮抗薬の濃度は1~100mg/mLである、請求項1~3のいずれか1項に記載のプレフィルドシリンジ。
【請求項5】
10μm以上の直径を有する粒子を前記液体製剤1mL当たり50個未満含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のプレフィルドシリンジ。
【請求項6】
25μm以上の直径を有する粒子を前記液体製剤1mL当たり5個未満含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のプレフィルドシリンジ。
【請求項7】
10N以下の滑動力を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載のプレフィルドシリンジ。
【請求項8】
シリコーン不使用のストッパーを備える、請求項1~7のいずれか1項に記載のプレフィルドシリンジ。
【請求項9】
前記シリンジバレルは、シクロオレフィンポリマー又はシクロオレフィンコポリマーから製造されている、請求項1~8のいずれか1項に記載のプレフィルドシリンジ。
【請求項10】
前記シリンジバレルは、シリコーンコーティング以外の内側コーティングを備える、請求項1~9のいずれか1項に記載のプレフィルドシリンジ。
【請求項11】
ステーキドニードルを備えた、請求項1~10のいずれか1項に記載のプレフィルドシリンジ。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の1つ以上のプレフィルドシリンジを含むキット。
【請求項13】
眼疾患を有する患者に対するVEGF拮抗薬の液体製剤の投与に使用するための請求項1~11のいずれか1項に記載のプレフィルドシリンジ。
【請求項14】
前記眼疾患は、加齢黄斑変性症(AMD)、糖尿病性黄斑浮腫(DME)による視力障害、網膜静脈閉塞(網膜分枝静脈閉塞又は網膜中心静脈閉塞)に付随して起こる黄斑浮腫による視力障害、糖尿病性黄斑浮腫を有する患者における糖尿病網膜症、又は病的近視に付随して起こる脈絡膜血管新生(CNV)による視力障害のうちから選択される、請求項13に記載の使用のためのプレフィルドシリンジ。
【請求項15】
30~100μLの量の液体製剤が患者に投与される、請求項13又は14に記載の使用のためのプレフィルドシリンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、VEGF拮抗薬を収容し、かつシリコーン不使用(シリコーンフリー)のプラスチックバレルを備えたプレフィルドシリンジ(薬剤充填済み注射器)、このシリンジを含むキット、及び眼疾患の治療においてVEGF拮抗薬を投与するための該シリンジの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
加齢黄斑変性症及び糖尿病性黄斑浮腫のような眼疾患は、眼内の血管の無制限な成長によって引き起こされる。従って、これら及び同様の疾患を治療する1つの選択肢は、眼内における血管新生を抑制することである。VEGFは、血管新生を刺激する大きな因子であるので、VEGFは血管新生を下方制御するための興味を引く標的である。
【0003】
アイリーア(Eylea)(登録商標)の名称で販売されているアフリベルセプトは、ヒトIgGl免疫グロブリンのFc部に融合されたヒトVEGF受容体1及び2の細胞外ドメインからのVEGF結合部からなる組換え融合タンパク質である。アフリベルセプトは滲出型黄斑変性の治療に承認されている。ルセンティス(Lucentis)(登録商標)の名称で販売されているラニビズマブは、VEGFに対するヒト化マウスモノクローナル抗体のFabフラグメントであり、加齢黄斑変性症及び糖尿病性黄斑浮腫のような眼疾患の治療に承認された。加えて、眼疾患の治療について、VEGFに対する完全長抗体ベバシズマブ(アバスチン(登録商標))の適応外使用は一般的である。ラニビズマブ及びベバシズマブは、血管新生性加齢黄斑変性症の治療において同様の有効性プロファイルを有すると思われるが、稀な有害事象はベバシズマブにおいてより頻繁に生じるように思われる(非特許文献1)。
【0004】
ベバシズマブ及びラニビズマブの双方はガラスバイアルで提供され、それらの薬剤は、通常、眼に注射する直前にシリンジ(注射器)によって前記ガラスバイアルから取り出される。これらの抗体の市販のバイアルの全量を使用するために、いくつかの企業は、前記バイアルを無菌条件下で、すぐに使用できるプラスチックシリンジに詰め直すことにより、1本のガラスバイアルから2本以上のシリンジをとることを可能にしている。しかしながら、詰め直されたシリンジ内において、シリコーンオイルの微小滴及びタンパク質凝集物が観察された(非特許文献2)。そのようなシリコーンオイル汚染物質及びタンパク質凝集物は、ベバシズマブ又はラニビズマブによって治療された患者に見られる眼内圧の上昇の原因となることがある(非特許文献3及び4)。
【0005】
特許文献1は、シリンジのシリコーン含有量が低い、VEGF拮抗薬を収容したプレフィルドシリンジを開示している。この文書の開示全体はガラスシリンジの使用に焦点を当てており、従って、そのシリンジ内には低量のシリコーンが存在するはずであることを教示している。
【0006】
さらに、最近、プレフィルドラニビズマブシリンジが欧州医薬品庁(European Medicines Agency:EMA)によって承認された。そのシリンジバレルは、シリコーンオイルの水中エマルジョンによって噴霧被覆され、続いて熱固定された(いわゆる「焼き付けシリコーン」)ホウケイ酸ガラスからなる(非特許文献5及び6)
プレフィルドシリンジは、バイアル及び別々に提供されるシリンジと比較して、利便性、値ごろ感、精度、無菌状態及び安全性の向上のような多くの利点を有する。プレフィルドシリンジの使用により、より高い投与量精度、バイアルから薬剤を吸い出す間に起こり得る針刺し事故の可能性の低減、薬剤を再構成したり、かつ/又は薬剤をシリンジに吸い込んだりする必要があることによる投薬過誤を低減する予め計量された投与量、及び薬剤の無駄を最小限にすることによりコストの削減を助けるシリンジの過剰充填の低減がもたらされる。
【0007】
しかしながら、承認されたラニビズマブプレフィルドシリンジのようなガラスシリンジは破損し易く、プラスチックシリンジに比べて比較的大きな重量を有する。
さらに、ガラスシリンジは、ガラスバレル内におけるストッパーの正しい動作を可能し、それにより効率的で正確な薬物送達を可能にするために、シリコーンによって処理される必要がある。VEGF拮抗薬の硝子体内投与後に硝子体腔内においてシリコーンオイル滴が生じることが分かっており、該シリコーンオイルは注射に用いられたニードル(注射針)及びシリンジから由来するという仮説が提示された(非特許文献7)
加えて、ステーキド-イン ニードル(staked-in needle)をガラスシリンジに取り付けるのに必要な接着剤は、不純物又はタンパク質の酸化の増大につながり得る(非特許文献8及び9)。
【0008】
最後に、ガラスプレフィラブルシリンジの製造中に、通常、タングステンピンが用いられる。プレフィルドシリンジ内に見られる可溶性タングステンは、タンパク質の凝集及びタンパク質の酸化を招くことが示されている(非特許文献10及び11)。
【0009】
ガラスプレフィルドシリンジに関する問題は、過去にいくつかの製品回収に至ったことがある。
いくつかの非ガラスプレフィルドシリンジが記載されている。特許文献2はポリカーボネートシリンジを開示しているが、シリンジバレルがシリコーンによって被覆されているかどうか、及びシリンジが眼内投与に適しているかどうかは明らかではない。特許文献3は、シリコーンで被覆されたガラスシリンジにおいてよりも、潤滑剤を有さない環状オレフィンポリマーシリンジにおける方が、可視粒子の形成が少ないことを開示している。しかしながら、このシリンジを眼科用途に用いることができるかどうかは明らかではない。
【0010】
従って、薬剤を眼に安全に送達することができ、ガラスシリンジの使用における上記の不都合を回避することができるが、その内部で薬剤が保管期間中に安定している非ガラスシリンジが依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】ジョンソン(Johnson)及びシャルマー(Sharma)、2013年、Curr.Opin.Ophthalmol、第24巻、第3号、第205~12頁)
【非特許文献2】リウ(Liu)ら、2011年、Invest. Ophthalmol. Vis. Sci.、第52巻、第2号、第1023~1034頁
【非特許文献3】カフーク(Kahook)ら、2009年、Ophthalmic Surg. Lasers Imaging、第40巻、第293~295頁
【非特許文献4】グッド(Good)ら、2011年、Br. J. Ophthalmol.、第95巻、第8号、第1111~1114頁
【非特許文献5】2014年3月20~23日に開催された5th World Congress on Controversies in Ophthalmologyにおけるクルナス(Clunas)らによるポスター発表
【非特許文献6】the ARVO Annual Meeting 2014におけるミショー(Michaud)らのポスター発表
【非特許文献7】バクリ(Bakri)及びエクダヴィ(Ekdawi)、2008年、Retina、第28巻、第 996~1001頁
【非特許文献8】2011年11月7~11日にバゼル(Basel)で開催されたthe 2011 PDA Europe The Universe of Pre-Filled Syringes and Injection Devicesにおけるアドラー(Adler)の発表
【非特許文献9】2011年6月22~23日にベテスダ(Bethesda)で開催されたthe PDA Single Use Systems Workshopにおけるマルコビッチ(Markovic)の発表
【非特許文献10】リウ(Liu)ら(2010年)、PDA J.Pharm.Sci. Technol.、第64巻、第1号、第11~19頁
【非特許文献11】ザイドル(Seidl)ら(2012年)、Pharm.Res.、第29巻、第1454~1467頁)
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】オーストラリア特許第AU2012101677A4号
【特許文献2】国際公開第WO2011/117878A1号
【特許文献3】国際公開第WO2009/099641A2号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
プラスチックシリンジは、タンパク質の修飾をもたらし得る酸素のような気体に対してガラスシリンジよりも透過性が高いことを想定していたが(例えば、ディーリック(Dierick)及びヨシノ、2015年、OnDrugDelivery、第55号、第10~16頁を参照されたい)、本発明者らは、驚いたことに、抗VEGF抗体溶液が、シリコーン不使用のプラスチックシリンジバレルを備えたプレフィルドシリンジに充填された場合、保管中に安定している、すなわち抗体が有意に改質されず、かつ有意に凝集しないことを見出した。従って、前記シリンジを酸素吸収材と共に梱包する必要がない。さらに、本発明のプレフィルドシリンジは相当量の粒子を含有しない。最後に、本発明のプレフィルドシリンジからの溶液の注射に必要とされる力は、ガラスシリンジからの注射に必要とされる力と同等である。
【0014】
よって、本発明のプレフィルドシリンジは、上記で検討したガラスシリンジの不都合を克服し、VEGF拮抗薬の眼への投与に用いられ得る。
【課題を解決するための手段】
【0015】
従って、本発明は、VEGF拮抗薬の液体製剤を収容し、かつシリンジバレルを備えたプレフィルドシリンジを提供し、前記シリンジバレルはプラスチックから製造されており、かつシリコーン不使用である。
【0016】
好適な実施形態において、前記VEGF拮抗薬は、抗VEGF抗体、又はそのような抗体の抗原結合フラグメント、又は可溶性VEGF受容体融合タンパク質であり、より好適には、前記抗VEGF拮抗薬は、ラニビズマブ又はアフリベルセプトである。
【0017】
好適には、拮抗薬濃度は1~100mg/mLである。
本発明の一態様において、前記プレフィルドシリンジは、10μm以上の直径を有する粒子を液体製剤1mL当たり50個未満含有する。
【0018】
本発明の別の態様において、前記プレフィルドシリンジは、25μm以上の直径を有する粒子を液体製剤1mL当たり5個未満含有する。
本発明のさらに別の態様において、前記プレフィルドシリンジは10N以下の滑動力を有する。
【0019】
好適な実施形態において、前記プレフィルドシリンジは、シリコーン不使用のストッパーをさらに備える。
好適には、前記シリンジバレルは、シクロオレフィンポリマー又はシクロオレフィンコポリマーから製造されている。
【0020】
好適な実施形態において、前記シリンジバレルは、シリコーンコーティング以外の内側コーティングを備える。
また好適には、前記プレフィルドシリンジはステーキドニードル(staked needle)を備える。
【0021】
本発明はまた、本発明に従った1つ以上のプレフィルドシリンジを含むキットを提供する。好適には、前記キットはブリスターパックである。
前記プレフィルドシリンジは、眼疾患を有する患者、好適には、加齢黄斑変性症(AMD)、糖尿病性黄斑浮腫(DME)による視力障害、網膜静脈閉塞(網膜分枝静脈閉塞又は網膜中心静脈閉塞)に付随して起こる黄斑浮腫による視力障害、糖尿病性黄斑浮腫を有する患者における糖尿病網膜症、又は病的近視に付随して起こる脈絡膜血管新生(CNV)による視力障害のうちから選択される眼疾患を有する患者に対するVEGF拮抗薬の投与に用いられ得る。
【0022】
好適には、30~100μLの量の液体製剤が患者に投与される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】表1に列記したシリンジにおいて5分間(a)、2週間(b)、4週間(c)にわたるニードルからストッパーまでの回転後、並びに5回の凍結/解凍サイクル後(d)の10μm以上の直径を有する粒子の数を示す図であって、シリンジ10は5分後及び2週間後の分析では測定されなかったことを示す図。
図2】表1に列記したシリンジにおいて5分間(a)、2週間(b)、4週間(c)にわたるニードルからストッパーまでの回転後、並びに5回の凍結/解凍サイクル後(d)の25μm以上の直径を有する粒子の数を示す図であって、シリンジ10は5分後及び2週間後の分析では測定されなかったことを示す図。
図3】5分間(a)、2週間(b)、及び4週間(c)にわたるニードルからストッパーまでの回転後、並びに5回の凍結/解凍サイクル後(d)の表1に列記したシリンジの内容物のRP-HPLC分析によって測定された親水性種のパーセンテージを示す図であって、シリンジ10は5分後及び2週間後の分析では測定されなかったことを示す図。
図4】5分間(a)、2週間(b)、及び4週間(c)にわたるニードルからストッパーまでの回転後、並びに5回の凍結/解凍サイクル後(d)の表1に列記したシリンジの内容物のRP-HPLC分析によって測定された疎水性種のパーセンテージを示す図であって、シリンジ10は5分後及び2週間後の分析では測定されなかったことを示す図。
図5】5分間(a)、2週間(b)、及び4週間(c)にわたるニードルからストッパーまでの回転後、並びに5回の凍結/解凍サイクル後(d)の表1に列記したシリンジの内容物の陽イオン交換クロマトグラフィによって測定された酸性バリアントのパーセンテージを示す図であって、シリンジ10は5分後及び2週間後の分析では測定されなかったことを示す図。
図6】5分間(a)、2週間(b)、及び4週間(c)にわたるニードルからストッパーまでの回転後、並びに5回の凍結/解凍サイクル後(d)の表1に列記したシリンジの内容物の陽イオン交換クロマトグラフィによって測定された塩基性バリアントのパーセンテージを示す図であって、シリンジ10は5分後及び2週間後の分析では測定されなかったことを示す図。
図7】表1に列記したシリンジの内容物の5分間(a)、2週間(b)、4週間(c)にわたるニードルからストッパーまでの回転後、並びに5回の凍結/解凍サイクル後(d)のサイズ排除クロマトグラフィによるタンパク質の凝集の分析を示す図であって、シリンジ10は5分後及び2週間後の分析では測定されなかったことを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下において例示的に記載される本発明は、本願に具体的には開示されていない任意の1つ以上の要素又は1つ以上の限定事項を有さない状態で適切に実施されてもよい。
本発明は特定の実施形態に関して記載するが、本発明はそれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ限定されるものとする。
【0025】
本説明及び特許請求の範囲において「備える(comprising)」という用語が用いられる場合、該用語は他の要素を排除しない。本発明において、「からなる(consisting of)」という用語は「備える」という用語の好適な実施形態であると見なされる。以下において、ある群が少なくとも特定数の実施形態を備えると定義される場合には、これはまた、好適には、これらの実施形態のみからなる群を開示すると理解されるべきである。
【0026】
本発明において、「得られた(obtained)」という用語は、「得られる(obtainable)」という用語の好適な実施形態であると見なされる。
単数名詞に言及するときに不定冠詞又は定冠詞、例えば「a」、「an」、又は「the」が用いられる場合、特段の断りがない限り、これはその名詞の複数形を含む。
【0027】
「プレフィルドシリンジ」は、充填された状態で製造業者によって供給されるシリンジである。すなわち、計量された投与量の投与すべき薬剤が購入時に既にシリンジ内に存在しており、投与の準備ができている。具体的には、薬剤を含有する医薬組成物を、該組成物を収容するバイアルから、空のシリンジを用いることによって取り出す必要がない。本発明の意味におけるプレフィルドシリンジという用語は、その内容物が詰め直し過程においてバイアルから取り出されたものであるシリンジを意味しない。
【0028】
本発明のプレフィルドシリンジに収容された薬剤、すなわちVEGF拮抗薬、好適には、抗VEGF抗体は、2~8℃の温度で、少なくとも6か月間、好適には少なくとも9か月間、より好適には少なくとも1年間、特に好適には少なくとも18か月間、最適には約2年間にわたって安定している。本発明のプレフィルドシリンジに収容された薬剤、すなわち、VEGF拮抗薬、好適には抗VEGF抗体又はVEGF受容体融合タンパク質、より好適にはラニビズマブ又はアフリベルセプトは、室温、すなわち20℃~25℃の温度で、少なくとも24時間、好適には少なくとも3日間又は1週間、より好適には少なくとも2週間又は3週間、最適には約4週間にわたって安定している。本発明のプレフィルドシリンジに収容された薬剤、すなわち、VEGF拮抗薬、好適には抗VEGF抗体又はVEGF受容体融合タンパク質、より好適にはラニビズマブ又はアフリベルセプトは、約40℃の温度で、少なくとも1時間又は2時間、好適には少なくとも4時間又は6時間、より好適には少なくとも10時間又は12時間、最適には少なくとも18時間又は24時間にわたって安定している。
【0029】
前記シリンジ内における薬剤の安定性は、酸化種及び脱アミド種などの薬剤の修飾物を検出することができるイオン交換クロマトグラフィ、又は薬剤の凝集物を検出することができるサイズ排除クロマトグラフィによって測定することができる。そのような分析の説明は実施例の節に示す。
【0030】
前記薬剤、すなわちVEGF拮抗薬、好適には、抗VEGF抗体は、凝集物及び化学的に修飾された種を含むすべての不純物の合計が、未修飾の凝集していない薬剤の量に対して、2%未満、好適には1.5%未満、より好適には1.2%、最適には1%未満である場合に安定していると考えられる。
【0031】
本発明のプレフィルドシリンジに収容された薬剤、すなわちVEGF拮抗薬、好適には抗VEGF抗体又はVEGF受容体融合タンパク質、より好適にはラニビズマブ又はアフリベルセプトは、2~8℃の温度で、少なくとも6か月間、好適には少なくとも9か月間、より好適には少なくとも1年間、特に好適には少なくとも18か月間、最適には約2年間にわたって保管された場合に、その生物学的活性を維持する。本発明のプレフィルドシリンジに収容された薬剤、すなわち、VEGF拮抗薬、好適には抗VEGF抗体又はVEGF受容体融合タンパク質、より好適にはラニビズマブ又はアフリベルセプトは、室温、すなわち20℃~25℃の温度及び60%の相対湿度で、少なくとも1日間、好適には3日間又は1週間、より好適には2週間又は3週間、最適には1か月間にわたって保管された場合に、その生物学的活性を維持する。本発明のプレフィルドシリンジに収容された薬剤、すなわち、VEGF拮抗薬、好適には抗VEGF抗体又はVEGF受容体融合タンパク質、より好適にはラニビズマブ又はアフリベルセプトは、約40℃の温度及び75%の相対湿度で、少なくとも1時間又は2時間、好適には少なくとも4時間又は6時間、より好適には少なくとも10時間又は12時間、最適には少なくとも18時間又は24時間にわたって保管された場合に、その生物学的活性を維持する。
【0032】
前記VEGF拮抗薬、好適には抗VEGF抗体又はVEGF受容体融合タンパク質、より好適にはラニビズマブ又はアフリベルセプトの生物学的活性は、ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)及びVEGFと共に上述した条件下で保管された拮抗薬の異なる稀釈液をインキュベートし、前記拮抗薬の存在下における細胞のVEGFによって誘導された増殖を前記拮抗薬と共にインキュベートされていない細胞と比較して測定することによって、すなわち、プロメガ(Promega)から入手可能なセルタイター-ブルー(CellTiter-Blue)(登録商標)細胞生存性試験によって、測定することができる。VEGF拮抗薬はVEGFによって誘導される情報伝達を抑制するので、試料中に生物学的に活性なVEGF拮抗薬が存在するならば、VEGFによって誘導される増殖は低減されるであろう。
【0033】
前記VEGF拮抗薬、好適には抗VEGF抗体、又はVEGF受容体融合タンパク質、より好適にはラニビズマブ又はアフリベルセプトは、前記プレフィルドシリンジ内での保管後にその生物学的活性を維持し、そのため、VEGFによって誘発される増殖はHUVEC中で抑制される。
【0034】
プレフィルドシリンジの構成要素は当業者に知られており、基本的にシリンジバレルと、プランジャーとを備える。
前記シリンジバレルは既定量の液体組成物を収容しており、該液体組成物は、プランジャーがバレル内に押し込まれ、バレルに沿って移動すると、前記バレルの一端に配置された放出口を介してバレルから放出され得る。前記シリンジバレルは、典型的にはほぼ筒状形状を有する。前記放出口は、シリンジバレルの残部より小さな直径を有する通路が内部に延びる突出部を放出口端から備えてもよい。前記放出口は、例えば、ルアーロックタイプ接続によって、ニードル、又は密封装置のような他の付属品との接続に適合し得る。前記密封装置は、バレルを密封することができ、ニードルがシリンジに取り付けられるようにするために除去され得る。この密封は、フェッター ファーマ インターナショナル ゲーエムベーハー(Vetter Pharma International GmbH)のOVS(商標)システムのような既知の密封装置の使用によって行うことができる。
【0035】
本発明のプレフィルドシリンジでは、前記プレフィルドシリンジがステーキドニードルを備えて供給され、使用前に組み立てられる必要がないように、前記シリンジ放出口はニードルと堅固に接続されている。この場合、注射の前のシリンジの組み立て中におけるニードルによる怪我の危険性が低減される。ステーキドニードルは、ステーキドニードルをシリンジ内に成形することができるので、接着剤を使用することなく、本発明のプレフィルドプラスチックシリンジに取り付けることができる。対照的に、ガラスシリンジにニードルを取り付けるためには接着剤が必要とされ、不純物又はタンパク質の酸化の増大につながり得る(2011年11月7~11日にバーゼル(Basel)で開催された2011 PDA Europe The Universe of Pre-Filled Syringes and Injection Devicesにおけるアドラー(Adler)らの発表;2011年6月22~23日にベテスダ(Bethesda)で開催されたPDA Single Use Systems Workshopにおけるマルコビッチの発表)。
【0036】
硝子体内投与のためには、ニードルサイズは典型的には30ゲージであるが、31ゲージ、32ゲージ、33ゲージ、及び34ゲージのニードルも用いられてもよい。前記プレフィルドシリンジは、注入後の針刺しの危険性をさらに回避するために、受動的なニードル安全ガードを装備していてもよい。
【0037】
本発明のプレフィルドシリンジは、プラスチック材料から製造されるシリンジバレルを備える。好適には、前記プラスチック材料はシクロオレフィンポリマー及びシクロオレフィンコポリマーから選択される。
【0038】
シクロオレフィンコポリマーは、8,9,10-トリノルノルン-2-エン又は1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロ-1,4:5,8-ジメタノナフタレンのような環式モノマーのエタンとの連鎖共重合によって生成され得る。適当なコポリマーは、様々な等級で入手可能なトパス(Topas)(商標)タイプのものである。
【0039】
シクロオレフィンポリマーは、例えば、様々な環式モノマーの開環メタセシス重合、及びそれに続く水素化によって生成され得る。シクロオレフィンポリマー材料で形成された適当な市販の容器としては、CZ(商標)樹脂、ゼオノア(Zeonor)(商標)及びゼオネックス(Zeonex)(商標)から製造された容器が挙げられる。
【0040】
本発明によれば、前記シリンジバレルはシリコーン不使用である。シリコーン不使用とは、前記シリンジバレルの内面がシリコーンオイルで処理されていないことを意味する。従って、本発明のプレフィルドシリンジ内ではシリコーンオイルを検出することはできない。
【0041】
シリコーン層の存在及び厚さは、シリンジバレル内のシリコーンオイルの量を測定するためにも用いることができるラップ アイディ レイヤー エクスプローラ(rap.ID Layer Explorer)(登録商標)アプリケーションのような既知の方法によって測定することができる。前記シリンジバレル内のシリコーンオイルの量はまた、差分秤量法、及び適当な溶媒中に希釈した前記オイルの赤外分光法による定量化によって測定することもできる。
【0042】
好適には、前記プレフィルドシリンジは未被覆である、すなわち、前記シクロオレフィンポリマー又はコポリマー材料は、その内部に収容された液体組成物と直接接触し、前記シリンジバレルは、そのシリンジを形成するプラスチック材料以外のいかなる材料も含有しない。
【0043】
これに代わって、前記プレフィルドシリンジはシリコーンコーティング以外の内側コーティングを備えていてもよい。「内側コーティング」という用語は、薬液に接触するシリンジバレルの内側に対するコーティングを意味するものとする。そのような内側コーティングの例としては、変性エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマーから製造されたフルオロカーボンフィルム(ウェスト ファーマシューティカル サービシーズ(West Pharmaceutical Services)から入手可能なフルロテック(Flurotec)(登録商標)フィルムとも称される)、及びアトモスフェリック プラズマ イモビリゼーション(Atmospheric Plasma Immobilization)(商標)プロセスによって架橋されたパーフルオロポリエーテルフィルム(トリボフィルム リサーチ(TriboFilm Research)から入手可能であり、国際公開第WO2005/094214A2号に記載されているトリボグライド(TriboGlide)(登録商標)とも称される)が挙げられる。内側コーティングの別の例は、プラスチック表面に施された酸化ケイ素バリアコーティングである。前記シリコーン酸化物層に対して、さらなるコーティング層を施して、多層コーティングを生じさせてもよい。酸化ケイ素バリアコーティング及び任意でさらなるコーティング層によって被覆されたそのようなプラスチックシリンジは、SiOから得ることができ、ONdrug Delivery Magazine、第45号、2013年10月、及び同第47号、2014年2月、並びに国際公開第WO2014/059012A1号に記載されている。
【0044】
前記プレフィルドシリンジはまた、前記シリンジが外側から内側にかけて3つの層、すなわち、周囲に接する外側プラスチック層と、外側プラスチック層及び内側プラスチック層以外の材料から形成された中間層と、外側層と同一又は別のプラスチック材料から形成され、かつ薬液に接する内側プラスチック層とを含むように、前記シリンジのプラスチック本体内に層を備えてもよい。前記シリンジが外側から内側にかけて以下の3つの層、すなわち、シクロオレフィンコポリマー-酸素吸収樹脂-シクロオレフィンコポリマーを備え得るように、前記中間層は酸素吸収樹脂を含有してもよい。そのようなシリンジは、オキシ-キャプト(Oxy-Capt)(商標)という名称で三菱ガス化学社によって販売されており、例えば国際公開第WO2014/136914A1号に記載されている。
【0045】
これに代わって、前記シリンジはまた、周囲に接するシリンジの外面上に、酸素バリアコーティングのようなコーティングを備えてもよい。
前記シリンジバレルはまた、タングステン不使用でもある。すなわち、前記シリンジバレルは、シリンジ製造工程においてタングステンを用いる必要がないので、いかなる微量のタングステンも含有しない。従って、タングステンによって誘発されるタンパク質の凝集の危険性がない。
【0046】
一実施形態において、前記シリンジバレルは、前記シリンジバレル上に印刷された線のようなマークを備える。そのような線は、液体組成物を注射する人がストッパー又はプランジャーの(前面の先端のような)所定部分を前記マークと整合させることを可能にする。それにより、過剰な液体組成物及び潜在的な気泡がシリンジバレルから除去され、患者に対して正確な所定投与量を安全に投与することができる。
【0047】
前記プランジャーを前記シリンジバレルの内側に沿って引いたり、押したりすることにより、前記シリンジが放出口を介して液体製剤を放出することが可能となる。
液体製剤に接する前記プランジャーの端部には、ストッパーが配置されている。前記ストッパー部分は、典型的には、天然ゴム又は合成ゴムのようなエラストマー材料から形成されており、前記エラストマー材料は前記シリンジバレルの内面に係合して、前記プランジャーに圧力がかけられたときに、前記シリンジからの液体製剤の放出を促進するシールを生じる。
【0048】
前記ストッパーは、フルロテック(FluroTec)(登録商標)バリアフィルムなどのフルオロポリマーフィルム、又はオムニフレックス(Omniflex)ストッパーなどのポリテトラフルオロエチレンのようなフィルムによって被覆されていてもよい。この種のコーティングは、薬剤と前記エラストマーとの間の有効なバリアとして機能し、すべての材料に伴う抽出物又は浸出物の可能性を低減する。加えて、前記コーティングは、製剤がプランジャーに吸着するか、又は吸収され得る逆過程の発生を低減する。前記ストッパーは好適にはシリコーン不使用である、すなわち、少なくとも薬液と接触する前記ストッパーの表面、より好適には、前記ストッパー全体は、シリコーンオイルによって被覆されていない。
【0049】
前記シリンジは、0.3mL~1.5mL、好適には0.5mL~1.0mL、最適には0.5mL又は1.0mLの公称最大充填量、すなわち前記シリンジによって最大限に吸い上げることができる量を有する。前記シリンジに充填される液体組成物の量は、約0.05mL~約1mL、好適には約0.1mL~約0.5mL、より好適には0.14mL~0.3mL、最適には0.15mL~0.2mLである。
【0050】
当業者は、シリンジ及びニードル内の任意の死空間及びシリンジの注射の準備による損失を考慮するために、シリンジは、通常、患者に実際に投与される量よりも多い量で充填されることを分かっている。従って、患者に実際に投与される量は、0.01mL~1mL、好適には0.02~0.5mL、より好適には0.025~0.5mL、さらにより好適には0.03mL~0.05mL、及び最適には、患者に実際に投与される量は0.05mLである。
【0051】
ラニビズマブは、典型的には6mg/mL又は10mg/mLのラニビズマブ濃度で0.05mLの量、又は10mg/mLのラニビズマブ濃度で0.03mL又は0.05mLの量で投与されて、0.3mg又は0.5mgの送達量をもたらす。アフリベルセプトについては、前記投与量は、典型的には40mg/mLのアフリベルセプト濃度で0.05mLであり、2mgの送達量をもたらす。上記で検討したように、ベバシズマブは眼疾患の治療に適応外使用で用いられる。この場合、ベバシズマブの投与量は、25mg/mLのベバシズマブ濃度で0.05mLであり、1.25mgの送達量をもたらす。
【0052】
従って、一実施形態において、前記シリンジは、0.15mL~0.2mLの量の液体組成物によって充填され、0.03mL~0.05mLの液体組成物が患者に投与される。
【0053】
「VEGF拮抗薬」という用語は、VEGFと特異的に相互作用し、その生物学的活性、例えばその細胞分裂活性、血管形成活性及び/又は血管透過活性のうちの1つ以上を抑制する分子を指す。該用語は、抗VEGF抗体及びその抗原結合フラグメント、並びに非抗体VEGF拮抗薬の双方を含むものとする。
【0054】
非抗体VEGF拮抗薬としては、アフリベルセプト、ペガプタニブ及び抗体ミメティックが挙げられる。好適には、前記非抗体VEGF拮抗薬はアフリベルセプトである。現在アイリーア(Eylea)(登録商標)という名称で販売されており、またVEGFトラップとしても知られているアフリベルセプトは、ヒトVEGF受容体1及び2の細胞外ドメインの一部がヒトIgGlのFc部に融合されている組換えヒト可溶性VEGF受容体融合タンパク質である(ホラッシュ(Holash)ら、2002年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 、第99巻、第17号、第11393~11398頁;国際公開第WO00/75319A1)。前記アフリベルセプトは、滲出型加齢黄斑変性症、糖尿病性黄斑浮腫(DME)による視力障害、及び糖尿病性黄斑浮腫を有する患者における糖尿病網膜症の治療について販売認可を受けている。現在市販のアフリベルセプト調合物は、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ポリソルベート20、ショ糖及び注射用蒸留水を含有しており、40mg/mLの濃度で供給されている。
【0055】
現在マクジェン(Macugen)(登録商標)という名称で販売されているペガプタニブは、ペグ化された(pegylated)抗-血管内皮細胞増殖因子(VEGF)アプタマーである(ベル(Bell)ら、1999年、In Vitro Cell Dev Biol Anim.、第35巻、第9号、第533~42頁)。VEGF拮抗薬である抗体ミメティックは、VEGFに結合して、受容体へのその結合を阻害するアンキリン反復ドメインを含む、DARPin(登録商標)MP0112のような結合タンパク質を含む(国際公開第WO2010/060748号及び同第WO2011/135067号も参照されたい)。
【0056】
「抗VEGF抗体」という用語は、VEGFに特異的に結合し、その生物学的活性、例えば、その細胞分裂活性、血管形成活性、及び/又は血管透過活性のうちの1つ以上を阻害する抗体、又はFabもしくはscFVフラグメントのような抗体フラグメントを指す。抗VEGF抗体は、例えば、VEGFの細胞レセプターへの結合を妨げることにより、VEGFの細胞レセプターへの結合後に血管内皮細胞の活性化を妨げることにより、又はVEGFによって活性化された細胞を殺すことによって作用する。抗VEGF抗体は、例えば、抗体A4.6.1、ベバシズマブ、ラニビズマブ、G6、B20、2C3、並びに、例えば国際公開第WO98/45331号、米国特許出願公開第US2003/0190317号、米国特許第US6,582,959号、米国特許第US6,703,020号、国際公開第WO98/45332号、国際公開第WO96/30046号、国際公開第WO94/10202号、国際公開第WO2005/044853号、欧州特許第EP0666868B1号、国際公開第WO2009/155724号、及びポプコフ(Popkov)ら、2004年、J. Immunol. Meth.、第288巻、第149~64頁に記載されているような他のものを含む。本発明の医薬組成物中に存在する抗VEGF抗体又はその抗原結合フラグメントは、好適には、ラニビズマブ又はベバシズマブであり、最適には、ラニビズマブ又はその抗原結合フラグメントである。
【0057】
「ラニビズマブ」は、国際公開第WO98/45331号及びチェン(Chen)ら、1999年、J. Mol. Biol.、第293巻、第865~81頁のSEQ ID番号115及び116に記載されているような、Y0317の軽鎖及び重鎖可変ドメイン配列を有するVEGF-Aに対するヒト化モノクローナルFabフラグメントである。ラニビズマブのCAS番号は347396-82-1である。ラニビズマブは内皮細胞増殖及び血管新生を阻害し、血管新生性(滲出型)加齢黄斑変性症(AMD)の治療、糖尿病性黄斑浮腫(DME)による視力障害の治療、網膜静脈閉塞(網膜分枝静脈閉塞(branch RVO)又は網膜中心静脈閉塞(central RVO))に付随して起こる黄斑浮腫による視力障害の治療、又は病的近視に付随して起こる脈絡膜血管新生(CNV)による視力障害の治療に対して承認されている。ラニビズマブは、ベバシズマブに関連し、ベバシズマブと同一の親マウス抗体に由来するが、親分子よりはるかに小さく、また親和性成熟されており、VEGF-Aに対するより強力な結合を提供する。ラニビズマブは、例えば、国際公開第WO98/45331A2号に記載されているように、大腸菌(Escherichia coli)において組換えにより生成される。現在市販のラニビズマブ調合物は、α,α-トレハロース二水和物、ヒスチジン塩酸塩一水和物、ヒスチジン、ポリソルベート20及び注射用蒸留水を含有し、10mg/mLの濃度で供給されている。
【0058】
「ベバシズマブ」は、VEGFのすべてのイソ型を認識する完全長のヒト化マウスモノクローナル抗体であり、該抗体はラニビズマブの親抗体である。ベバシズマブのCAS番号は216974-75-3である。ベバシズマブは血管新生を阻害し、現在、様々な癌型の治療に対して承認されている。しかしながら、ベバシズマブも加齢黄斑変性症のような眼疾患においては適応外使用で用いられている。現在市販のベバシズマブ調合物は、α,α-トレハロース二水和物、リン酸ナトリウム、ポリソルベート20及び注射用蒸留水を含有し、25mg/mLの濃度を有する濃縮物として供給されている。
【0059】
本発明のプレフィルドシリンジ内の抗体濃度は、典型的には、1~100mg/mLであり、好適には2~75mg/mL、より好適には3~50mg/mL、さらに好適には5~30mg/mL、最適には6mg/mL又は10mg/mLである。本発明のプレフィルドシリンジ内にラニビズマブが収容されている場合、そのラニビズマブ濃度は10mg/mLである。
【0060】
本発明のプレフィルドシリンジ内の液体組成物は低粒子含有量を有する。具体的には、前記液体組成物は、前記シリンジを40℃で5分間、2週間、又は4週間にわたって回転させた後、又は毎分1℃で+5℃から-20℃の凍結解凍サイクルを3回行った後、又は5℃又は25℃及び60%の相対湿度において3か月間にわたってシリンジを保管した後に、10μmを超える大きさを有する粒子を50個未満含有する。これに代わって、又はこれに加えて、前記液体組成物は、前記シリンジを40℃で5分間、2週間、又は4週間にわたって回転させた後、又は毎分1℃で+5℃から-20℃の凍結解凍サイクルを3回行った後、又は5℃又は25℃/60%の相対湿度で3か月間にわたってシリンジを保管した後に、25μmを超える大きさを有する粒子を5個未満含有する。従って、前記プレフィルドシリンジは、これらの粒子サイズに関して、点眼剤に対する米国薬局方<789>の要件を満たしている。
【0061】
本発明のプレフィルドシリンジは優れた滑動挙動をさらに有する。具体的には、ブレークルース力、すなわち、プランジャーの移動を開始するのに必要とされる力は、10N未満又は9N未満であり、好適には8N未満又は7N未満であり、より好適には6N未満であり、最適には5N未満である。前記ブレークルース力は、シリンジが8週間のような長期間にわたって保管された場合に、著しく、すなわち10%を超えて、変化しない。対照的に、シリコーンを含んでいるシリンジでは、前記ブレークルース力は保管によって少なくとも2倍に増大する。
【0062】
さらに、滑動力、すなわち液体組成物を放出するためにシリンジバレルに沿ってプランジャーの移動を維持するのに必要とされる力は、10N未満であり、好適には9N未満、より好適には8N未満、最適には7N未満である。特に好適な実施形態においては、前記ブレークルース力と滑動力との間に有意差がない。
【0063】
本発明はまた、本発明の1つ以上のプレフィルドシリンジを含むキットを提供する。好適には、前記キットはブリスターパックを含む。「ブリスターパック」は、通常は熱成形プラスチックから製造された空洞部又はポケットと、厚紙の裏材又はアルミニウム箔又はプラスチックの蓋封止材とを有する。前記ブリスターパックは、その中に滅菌したシリンジを無菌状態下で包装する前に、無菌に滅菌され得る。従って、包装後の滅菌は必要とされない。前記キットは、前記プレフィルドシリンジがステーキド-イン ニードルを備えていない場合には、さらにニードルを含んでもよい。前記キットはさらに使用説明書を含んでもよい。
【0064】
好適には、前記キットは、典型的にはブリスターパックのようなパッケージ内の酸素濃度を低下させるために用いられる酸素吸収材を含まない。酸素吸収材は、通常、高い親和性によってパッケージ内の酸素と反応することにより、そのパッケージの酸素含有量を低減する炭酸鉄又はアスコビル酸塩のような物質を含有する。
【0065】
「眼内血管新生性疾患」は眼の血管新生を特徴とする疾患である。眼内血管新生性疾患の例としては、例えば、増殖性網膜症、脈絡膜血管新生(CNV)、加齢黄斑変性症(AMD)、糖尿病その他の虚血関連網膜症、糖尿病性黄斑浮腫、糖尿病性黄斑浮腫を有する患者における糖尿病網膜症、病的近視、フォンヒッペル-リンダウ病、眼のヒストプラスマ症、網膜中心静脈閉塞症(CRVO)、網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)、角膜血管新生及び網膜血管新生が挙げられる。「加齢黄斑変性症」という用語は、通常は高齢者が罹患するものであり、網膜の損傷により視野の中心(黄斑)において視力低下を生じる医学的状態を指す。
【0066】
好適には、前記プレフィルドシリンジは、本願で定義されるようなVEGF拮抗薬の硝子体内注射に使用するためのものである。
「硝子体内注射」という用語は、薬物を眼に直接注射する医薬組成物の投与を指す。より具体的には、前記薬物は、ヒト及び他の脊椎動物の眼球の水晶体と網膜との間の空間を充填する透明ゲルである硝子体液(硝子体又は単に硝子体とも称される)に注射される。
【0067】
本発明を図面及び前述の記載において詳細に図示して説明してきたが、そのような図及び記載は、例証又は例示するものであり、限定するものではないと見なされるべきである。本発明は、開示した実施形態に限定されない。当業者は、図面、開示及び従属請求項の検討から、権利請求された発明を実施する際に、開示した実施形態に対する他の変更を理解し、実施することができる。
【0068】
詳細な説明は、本質的に例示に過ぎず、用途及び使用法を限定するようには意図されない。以下の実施例は、本発明の範囲をそれらの実施例に限定することなく、本発明をさらに示す。当業者は本発明の記載に基づいて様々な変更及び修正をなすことができ、そのような変更及び修正も本発明に含まれる。
【実施例0069】
1.ラニビズマブを収容し、かつ異なる条件に供された様々なプラスチックシリンジ及びガラスシリンジにおける様々な大きさの粒度測定
1mg/mLの抗体及びヒスチジン緩衝液、トレハロース二水和物、ポリソルベート20を含有したpH5.5の抗VEGF抗体ラニビズマブの溶液400μLを下記のシリンジに充填した。
【0070】
【表1】
【0071】
表1からのシリンジを、40°Cにおいて1サイクル/10秒の速度で5分間、2週間、4週間にわたってニードルからストッパーまで回転させるか、又は5回の凍結/解凍サイクル(1℃/分で+5から-20℃まで)に供した。その後、光遮蔽(light obscuration)を、フローカム(FlowCam)(登録商標) PV ベンチトップシステム(米国メーン州所在のフルーイド イメージング インコーポレテッド)によって、システムソフトウェア(ビジュアルスプレッドシート(VisualSpreadsheet)ソフトウェア、 バージョン3.4.8)及び下記のパラメータを用いて測定した。
【0072】
モード: オートイメージ
プライミング方法: マシン プライム
流量: 0.040mL/分
再校正: 0
停止理由: 試料体積が処理されたこと
吸引される試料体積: 0.2900mL
処理される試料体積: 0.2893mL
撮像される液量: 0.1822mL
効率: 63.0%
フレームレート: 22.00fps
倍率: 10×
校正係数: 0.6979
シリンジサイズ: 1.00mL
分析の結果を図1及び図2に示す。プレフィルドシリコーン不使用シクロオレフィンポリマーシリンジ1及び8は試験したすべての条件下で低い粒子レベルを有する。
【0073】
さらに、表2に記載するシリンジを試験した。
【0074】
【表2】
【0075】
シリンジ番号11は、表1のシリンジ1と同一のバレルを有するが、ステーキドニードルの代わりにルアーコーンを装備している。
表2からのシリンジを、回転なしで、5°Cで3か月間、6か月間、及び12か月間にわたってインキュベートし、25℃/60%の相対湿度で2週間、1か月間及び3か月にわたってインキュベートし、40℃/75%の相対湿度でインキュベートし、次いで表1からのシリンジについて上述したように分析した。
【0076】
プレフィルドシリコーン不使用シクロオレフィンポリマーシリンジ11は、試験したすべての条件下で、低い粒子レベルを有する。
【実施例0077】
2.ストレス条件に供した様々なプラスチックシリンジ及びガラスシリンジにおけるラニビズマブの安定性の測定
上記で表1に列記したシリンジを、表1のシリンジについて実施例1で記載したストレス条件に供した。さらに、上記で表2に列記したシリンジを、表2のシリンジについて実施例1に記載した条件に供した。
【0078】
その後、試料を、親水性種及び疎水性種の存在についてはRP-HPLCによって、抗体の酸性バリアント(acidic variants)及び塩基性バリアント(basic variants)の存在については陽イオン交換クロマトグラフィによって、凝集物の存在についてはサイズ排除クロマトグラフィによって、分析した。
【0079】
a)Rp-HPLC分析
前記シリンジからのタンパク質試料をゾーバックス(ZORBAX)(登録商標) 300SB-C18、4.6×100mm、3.5μmのカラムに導入して、親水性不純物及び疎水性不純物を検出した。
【0080】
前記タンパク質は、以下の表3に従って溶離液A(水中に0.1%のトリフルオロ酢酸)及び溶離液B(70%のアセトニトリル、20%の1-プロパノール及び10%の水中に0.1%のトリフルオロ酢酸)の勾配によって溶離した。
【0081】
【表3】
【0082】
溶出した種(以下「溶出種」と記載)を検出し、溶出種の濃度対時間を示すグラフに表示した。溶出プロフィルは、未修飾タンパク質によるメインピークと、そのメインピークの前後に溶出するいくつかのさらなるピークを示し、それらのピークはそれぞれ前記タンパク質の親水性バリアント及び疎水性バリアントを表わす。すべてのピークの合計面積及び単一ピークの面積を求めた。図3及び図4は、表1のシリンジについて溶出種のピーク面積の合計に対する親水性種及び疎水性種のピーク面積のパーセンテージをそれぞれ示す。
【0083】
b)陽イオン交換分析
シリンジからのタンパク質試料をダイオネクス(Dionex)のBioLCProPac(登録商標)WCX-10、4.0×250mm、10μmカラムに導入して、タンパク質の酸性バリアント及び塩基性バリアントを検出した。
【0084】
前記タンパク質を、以下の表4に従って、移動相A(20mMのリン酸カリウム緩衝液、pH6.0)及び移動相B(250mMのKCl、20mMのリン酸カリウム緩衝液、pH6.0)の勾配で溶離した。
【0085】
【表4】
【0086】
溶出種を検出し、溶出種の濃度対時間を示すグラフに表示した。溶出プロフィルは、未修飾タンパク質によるメインピークと、そのメインピークの前後に溶出するいくつかのさらなるピークを示し、それらのピークは前記タンパク質の酸性バリアント及び塩基性バリアントをそれぞれ表わす。すべてのピークの合計面積及び単一ピークの面積を求めた。図5及び図6は、表1のシリンジについて溶出種のピーク面積の合計に対する酸性バリアント及び塩基性バリアントのピーク面積のパーセンテージをそれぞれ示す。
【0087】
c)サイズ排除クロマトグラフィ
前記シリンジからのタンパク質試料をワイエムシー-パック ジオール-200(YMC-Pack Diol-200)、5μm、20nm(8.0×300mm)カラムに導入して、該タンパク質の凝集物を検出した。
【0088】
前記タンパク質は、0.1Mのリン酸カリウム及び0.2Mの塩化ナトリウムを用いて、定組成溶離によって溶離した。溶出種を検出して、溶出種の濃度対時間を示すグラフに表示した。溶出プロフィルは、凝集していないタンパク質によるメインピークと、タンパク質の凝集型を表すいくつかのさらなるタンパク質のピークとを示した。すべてのピークの面積を求めた。図7は、表1のシリンジについて溶出種のピーク面積の合計に対する凝集物のピーク面積のパーセンテージを示す。
【0089】
図3図7に示した結果から、ラニビズマブの安定性は、試験した条件下において、本発明のプレフィルドプラスチックシリンジ(シリンジ1及び8)及びガラスシリンジにおいて同等であることは明らかである。
【実施例0090】
3.ラニビズマブを収容した様々なプラスチックシリンジ及びガラスシリンジにおける滑動力の測定
上記で表1に列記したシリンジ1、2、7、8及び9を、それらのストッパー移動力、すなわちブレークルース力、及び滑動力について試験した。この目的で、10mg/mLの濃度の抗VEGF抗体ラニビズマブ、並びに10mMのヒスチジン緩衝液、10%(w/v)のトレハロース二水和物、0.01%(w/v)のポリソルベート20を含有したpH5.5の溶液0.165mLを上記シリンジに充填した。試験前に、30G×0.5”のニードルをルアーコーンシリンジに取り付けた。該試験は、引張試験機(TH2730、トゥムラー(Thuemler))において、10.9mmの移動長に対して190mm/分のストッパー速度で実施した。
【0091】
試験結果を下記の表5に示す。
【0092】
【表5】
【0093】
プレフィルドシリコーン不使用シクロオレフィンポリマーシリンジ1及び8、すなわち本発明のシリンジは、シリコーンオイルで被覆されたシリンジ2及び10の滑動挙動と同等であるか、又はそれよりも優れた滑動挙動を有する。
【0094】
さらに、上記で表2に列記したシリンジを、それらのストッパー移動力、すなわちブレークルース力、及び滑動力について試験した。この目的で、pH5.5の10mMのヒスチジン緩衝液、10%(w/v)のトレハロース二水和物、0.01%のポリソルベート20を含有する溶液0.165mLを上記のシリンジに充填した。試験前に、30G×0.5”のニードルをルアーコーンシリンジに取り付けた。該試験は、引張試験機(TH2730、トゥムラー)において、10.9mmの移動長に対して190mm/分のストッパー速度で実施した。
【0095】
プレフィルドシリコーン不使用シクロオレフィンポリマーシリンジ11、すなわち本発明のシリンジは、シリコーンオイルで被覆されたシリンジの滑動挙動と同等であるか、又はそれよりも優れた滑動挙動を有する。
【実施例0096】
4.ラニビズマブを収容し、かつ異なる条件に供された様々なプラスチックシリンジ及びガラスシリンジにおける様々なサイズの粒度測定
1mg/mLの抗体及び10mMのリン酸ナトリウム緩衝液、40mMの塩化ナトリウム、5%(w/v)のショ糖、0.03%(w/v)のポリソルベート20を含有した、pH6.2のVEGF受容体融合タンパク質アフリベルセプトの溶液400μLを以下のシリンジに充填した。
【0097】
【表6】
【0098】
表6からのシリンジを、40°Cにおいて1サイクル/10秒の速度で5分間、2週間、4週間にわたってニードルからストッパーまで回転させるか、又は5回の凍結/解凍サイクル(1℃/分で+5から-20℃)に供した。また前記シリンジを、5°Cで3か月間、6か月間、及び12か月間にわたって、25℃/60%の相対湿度で2週間、1か月間、及び3か月間にわたって、40℃/75%の相対湿度で回転なしでインキュベートし、次に、表1からのシリンジについて上述したように分析した。
【実施例0099】
5.アフリベルセプトを収容した様々なプラスチックシリンジ及びガラスシリンジにおける滑動力の測定
上記で表6に列記したシリンジを、それらのストッパー移動力、すなわちブレークルース力、及び滑動力について試験した。この目的で、40mg/mLの濃度のVEGF受容体融合タンパク質アフリベルセプトと、10mMのリン酸ナトリウム緩衝液、40mMの塩化ナトリウム、5%(w/v)のショ糖、0.03%(w/v)のポリソルベート20を含有したpH6.2の溶液0.165μLを上記のシリンジに充填した。試験前に、30G×0.5”のニードルをルアーコーンシリンジに取り付けた。該試験は、引張試験機(TH2730、トゥムラー)において、10.9mmの移動長に対して190mm/分のストッパー速度で実施した。
図1a
図1b
図1c
図1d
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図3c
図3d
図4a
図4b
図4c
図4d
図5a
図5b
図5c
図5d
図6a
図6b
図6c
図6d
図7a
図7b
図7c
図7d