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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186854
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】熱源ユニットおよび冷凍装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20221208BHJP
   F25B 1/10 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
F25B1/00 397A
F25B1/00 396D
F25B1/10 S
F25B1/00 101Z
F25B1/00 304L
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169628
(22)【出願日】2022-10-24
(62)【分割の表示】P 2021190691の分割
【原出願日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】P 2021057802
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹上 雅章
(72)【発明者】
【氏名】上野 明敏
(72)【発明者】
【氏名】木村 尚登
(57)【要約】
【課題】冷凍装置を構成する熱源ユニットの冷却能力を増大させる。
【解決手段】利用ユニット(50,60)に接続される熱源ユニット(10)に、圧縮機(22,23)と、第1熱交換器(13)と、第1膨張弁(14)と、レシーバ(15)とを設ける。また、熱源ユニット(10)に、第1冷却器(16)と、第2冷却器(155)とを設ける。第1冷却器(16)は、レシーバ(15)から利用ユニット(50,60)へ向かう一次冷媒を冷却する。第2冷却器(155)は、放熱器として機能する状態の第1熱交換器(13)から第1膨張弁(14)へ向かう一次冷媒を、室外空気以外の冷却媒体によって冷却する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用ユニット(50,60)に接続され、上記利用ユニット(50,60)との間で一次冷媒を循環させ、高圧が上記一次冷媒の臨界圧力以上である冷凍サイクルを行う熱源ユニット(10)であって、
上記一次冷媒を吸入して圧縮する圧縮機(22,23)と、
上記一次冷媒を室外空気と熱交換させる第1熱交換器(13)と、
放熱器として機能する状態の上記第1熱交換器(13)から流出した上記一次冷媒を減圧する第1膨張弁(14)と、
放熱器として機能する状態の上記第1熱交換器(13)から流出して上記第1膨張弁(14)を通過した上記一次冷媒が流入するレシーバ(15)と、
上記レシーバ(15)から上記利用ユニット(50,60)へ向かう上記一次冷媒を冷却する第1冷却器(16)と、
放熱器として機能する状態の上記第1熱交換器(13)から上記第1膨張弁(14)へ向かう上記一次冷媒を室外空気以外の冷却媒体によって冷却する第2冷却器(155)と、
上記第1膨張弁(14)を通過して上記レシーバ(15)へ流入する上記一次冷媒が液単相状態に近づくように、上記第2冷却器(155)の冷却能力を制御する制御器(100)とを備える
熱源ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の熱源ユニット(10)において、
上記第2冷却器(155)を、上記一次冷媒を冷却する冷却状態と、上記一次冷媒を冷却しない休止状態とに相互に切り換える切換部(170)を備える
熱源ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の熱源ユニット(10)において、
上記制御器(100)は、上記熱源ユニット(10)の冷凍能力を示す指標に基づいて、上記第2冷却器(155)が上記休止状態から上記冷却状態になるように上記切換部(170)を制御する
熱源ユニット。
【請求項4】
請求項2に記載の熱源ユニット(10)において、
上記制御器(100)は、放熱器として機能する状態の上記第1熱交換器(13)から流出して上記第2冷却器(155)を通過した上記一次冷媒の温度に基づいて、上記第2冷却器(155)が上記休止状態から上記冷却状態になるように上記切換部(170)を制御する
熱源ユニット。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一つに記載の熱源ユニット(10)において、
上記第2冷却器(155)に接続し、補助圧縮機(152)を有し、上記冷却媒体である二次冷媒を上記補助圧縮機(152)で圧縮して冷凍サイクルを行う補助冷媒回路(151)を備える
熱源ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載の熱源ユニット(10)において、
上記制御器(100)は、上記補助圧縮機(152)の回転速度を、上記第2冷却器(155)において冷却された上記一次冷媒の温度に基づいて調節する補助制御器(102)を備える
熱源ユニット。
【請求項7】
請求項2~4のいずれか一つに記載の熱源ユニット(10)において、
上記第2冷却器(155)に接続し、補助圧縮機(152)を有し、上記冷却媒体である二次冷媒を上記補助圧縮機(152)で圧縮して冷凍サイクルを行う補助冷媒回路(151)を備え、
上記補助圧縮機(152)は、上記切換部(170)を構成し、作動することによって上記第2冷却器(155)を上記冷却状態とし、停止することによって上記第2冷却器(155)を上記休止状態にする
熱源ユニット。
【請求項8】
請求項1に記載の熱源ユニット(10)において、
上記第2冷却器(155)へ供給される上記冷却媒体は、上記圧縮機(22,23)へ吸入される上記一次冷媒である
熱源ユニット。
【請求項9】
請求項2~4のいずれか一つに記載の熱源ユニット(10)において、
上記第2冷却器(155)へ供給される上記冷却媒体は、上記圧縮機(22,23)へ吸入される上記一次冷媒である
熱源ユニット。
【請求項10】
請求項1に記載の熱源ユニット(10)において、
上記圧縮機は、上記一次冷媒を吸入して圧縮する低段圧縮機(23)と、該低段圧縮機(23)が吐出した上記一次冷媒を吸入して圧縮する高段圧縮機(21)とを含み、
上記第2冷却器(155)へ供給される上記冷却媒体は、上記低段圧縮機(23)へ吸入される上記一次冷媒である
熱源ユニット。
【請求項11】
請求項2~4のいずれか一つに記載の熱源ユニット(10)において、
上記圧縮機は、上記一次冷媒を吸入して圧縮する低段圧縮機(23)と、該低段圧縮機(23)が吐出した上記一次冷媒を吸入して圧縮する高段圧縮機(21)とを含み、
上記第2冷却器(155)へ供給される上記冷却媒体は、上記低段圧縮機(23)へ吸入される上記一次冷媒である
熱源ユニット。
【請求項12】
請求項1に記載の熱源ユニット(10)において、
上記圧縮機は、上記一次冷媒を吸入して圧縮する低段圧縮機(23)と、該低段圧縮機(23)が吐出した上記一次冷媒を吸入して圧縮する高段圧縮機(21)とを含み、
上記レシーバ(15)と上記高段圧縮機(21)とに接続して上記レシーバ(15)のガス冷媒を上記高段圧縮機(21)に送るガス配管(37)と、
上記ガス配管(37)に設けられて該ガス配管(37)を流れる冷媒を減圧する減圧部(39)とを備え、
上記第2冷却器(155)へ供給される上記冷却媒体は、上記ガス配管(37)において上記減圧部(39)を通過した上記一次冷媒である
熱源ユニット。
【請求項13】
請求項2~4のいずれか一つに記載の熱源ユニット(10)において、
上記圧縮機は、上記一次冷媒を吸入して圧縮する低段圧縮機(23)と、該低段圧縮機(23)が吐出した上記一次冷媒を吸入して圧縮する高段圧縮機(21)とを含み、
上記レシーバ(15)と上記高段圧縮機(21)とに接続して上記レシーバ(15)のガス冷媒を上記高段圧縮機(21)に送るガス配管(37)と、
上記ガス配管(37)に設けられて該ガス配管(37)を流れる冷媒を減圧する減圧部(39)とを備え、
上記第2冷却器(155)へ供給される上記冷却媒体は、上記ガス配管(37)において上記減圧部(39)を通過した上記一次冷媒である
熱源ユニット。
【請求項14】
請求項9,11又は13に記載の熱源ユニット(10)において、
上記切換部(170)は、
上記第2冷却器(155)と並列に設けられ、放熱器として機能する状態の上記第1熱交換器(13)から上記第1膨張弁(14)へ向かう上記一次冷媒が流れるバイパス配管(165)と、
上記バイパス配管(165)に設けられたバイパス弁(166)とを有する
熱源ユニット。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一つに記載の熱源ユニット(10)と、
上記熱源ユニット(10)に接続される利用ユニット(50,60)とを備える
冷凍装置。
【請求項16】
請求項9,11又は13に記載の熱源ユニット(10)と、
第2熱交換器(54)と第2膨張弁(53)とを有し、上記熱源ユニット(10)に接続される利用ユニット(50)と、
上記第2熱交換器(54)が蒸発器として機能する運転において、上記第2熱交換器(54)の出口における上記一次冷媒の過熱度が目標過熱度となるように上記第2膨張弁(53)の開度を調節する過熱度制御器(103)とを備え、
上記過熱度制御器(103)は、上記切換部(170)が上記第2冷却器(155)を上記冷却状態にしているときの上記目標過熱度を、上記切換部(170)が上記第2冷却器(155)を上記休止状態にしているときの上記目標過熱度よりも低くする
冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱源ユニットおよび冷凍装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、二酸化炭素を冷媒として用いる冷凍装置が開示されている。この冷凍装置は、高圧が冷媒の臨界圧力よりも高い冷凍サイクルを行う。この冷凍装置において、室外熱交換器で放熱した冷媒は、減圧された後にレシーバへ流入する。レシーバ内の液冷媒は、室内ユニット等の利用ユニットへ送られる。レシーバ内のガス冷媒は、圧縮機へ吸入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-32512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の冷凍装置において、室外空気の温度が高い場合は、室外熱交換器において放熱した冷媒のエンタルピが比較的高くなる。室外熱交換器において放熱した冷媒のエンタルピが高いほど、減圧された後にレシーバへ流入する冷媒におけるガス冷媒の割合が増え、レシーバから利用ユニットへ送られる液冷媒の量が少なくなる。その結果、利用ユニットにおいて得られる冷却能力が減少するおそれがある。
【0005】
本開示の目的は、冷凍装置を構成する熱源ユニットの冷却能力を増大させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、利用ユニット(50,60)に接続され、上記利用ユニット(50,60)との間で一次冷媒を循環させ、高圧が上記一次冷媒の臨界圧力以上である冷凍サイクルを行う熱源ユニット(10)であって、上記一次冷媒を吸入して圧縮する圧縮機(22,23)と、上記一次冷媒を室外空気と熱交換させる第1熱交換器(13)と、放熱器として機能する状態の上記第1熱交換器(13)から流出した上記一次冷媒を減圧する第1膨張弁(14)と、放熱器として機能する状態の上記第1熱交換器(13)から流出して上記第1膨張弁(14)を通過した上記一次冷媒が流入するレシーバ(15)と、上記レシーバ(15)から上記利用ユニット(50,60)へ向かう上記一次冷媒を冷却する第1冷却器(16)と、放熱器として機能する状態の上記第1熱交換器(13)から上記第1膨張弁(14)へ向かう上記一次冷媒を室外空気以外の冷却媒体によって冷却する第2冷却器(155)とを備える。
【0007】
第1の態様の熱源ユニット(10)は、第2冷却器(155)を備える。そのため、熱源ユニット(10)に第2冷却器(155)が設けられていない場合に比べると、レシーバ(15)から利用ユニット(50,60)へ供給される液冷媒の流量が多くなる。その結果、この態様の熱源ユニット(10)は、第2冷却器(155)を備えない従来の熱源ユニットに比べ、大きな冷却能力を発揮できる。
【0008】
本開示の第2の態様は、上記第1の態様の熱源ユニット(10)において、上記第2冷却器(155)を、上記一次冷媒を冷却する冷却状態と、上記一次冷媒を冷却しない休止状態とに相互に切り換える切換部(170)を備える。
【0009】
第2の態様において、第2冷却器(155)は、切換部(170)によって、冷却状態と休止状態とに切り換えられる。
【0010】
本開示の第3の態様は、上記第2の態様の熱源ユニット(10)において、上記熱源ユニット(10)の冷凍能力を示す指標に基づいて、上記第2冷却器(155)が上記休止状態から上記冷却状態になるように上記切換部(170)を制御する制御器(100)を備える。
【0011】
第3の態様において、制御器(100)は、熱源ユニット(10)の冷凍能力を示す指標に基づいて、切換部(170)を制御する。制御器(100)は、切換部(170)を制御することによって、第2冷却器(155)の状態を休止状態から冷却状態に変更する。
【0012】
本開示の第4の態様は、上記第2の態様の熱源ユニット(10)において、放熱器として機能する状態の上記第1熱交換器(13)から流出して上記第2冷却器(155)を通過した上記一次冷媒の温度に基づいて、上記第2冷却器(155)が上記休止状態から上記冷却状態になるように上記切換部(170)を制御する制御器(100)を備える。
【0013】
第4の態様において、制御器(100)は、放熱器として機能する状態の第1熱交換器(13)から流出して第2冷却器(155)を通過した一次冷媒の温度に基づいて、切換部(170)を制御する。制御器(100)は、切換部(170)を制御することによって、第2冷却器(155)の状態を休止状態から冷却状態に変更する。
【0014】
本開示の第5の態様は、上記第1~第4のいずれか一つの態様の熱源ユニット(10)において、上記第2冷却器(155)に接続し、補助圧縮機(152)を有し、上記冷却媒体である二次冷媒を上記補助圧縮機(152)で圧縮して冷凍サイクルを行う補助冷媒回路(151)を備える。
【0015】
第5の態様において、冷却状態の第2冷却器(155)を流れる一次冷媒は、補助冷媒回路(151)の二次冷媒によって冷却される。
【0016】
本開示の第6の態様は、上記第5の態様の熱源ユニット(10)において、上記補助圧縮機(152)の回転速度を、上記第2冷却器(155)において冷却された上記一次冷媒の温度に基づいて調節する補助制御器(102)を備える。
【0017】
第6の態様では、補助制御器(102)が補助圧縮機(152)の回転速度を調節する。補助圧縮機(152)の回転速度が変化すると、補助冷媒回路(151)の冷凍サイクルによって得られる冷却能力が変化し、第2冷却器(155)において冷却された一次冷媒の温度が変化する。
【0018】
本開示の第7の態様は、上記第2~第4のいずれか一つの態様の熱源ユニット(10)において、上記第2冷却器(155)に接続し、補助圧縮機(152)を有し、上記冷却媒体である二次冷媒を上記補助圧縮機(152)で圧縮して冷凍サイクルを行う補助冷媒回路(151)を備え、上記補助圧縮機(152)は、上記切換部(170)を構成し、作動することによって上記第2冷却器(155)を上記冷却状態とし、停止することによって上記第2冷却器(155)を上記休止状態にする。
【0019】
第7の態様において、冷却状態の第2冷却器(155)を流れる一次冷媒は、補助冷媒回路(151)の二次冷媒によって冷却される。切換部(170)を構成する補助圧縮機(152)の作動中は、第2冷却器(155)が冷却状態になる。切換部(170)を構成する補助圧縮機(152)の停止中は、第2冷却器(155)が休止状態になる。
【0020】
本開示の第8の態様は、上記第1の態様の熱源ユニット(10)において、上記第2冷却器(155)へ供給される上記冷却媒体は、上記圧縮機(22,23)へ吸入される上記一次冷媒である。
【0021】
本開示の第9の態様は、上記第2~第4のいずれか一つの態様の熱源ユニット(10)において、上記第2冷却器(155)へ供給される上記冷却媒体は、上記圧縮機(22,23)へ吸入される上記一次冷媒である。
【0022】
第8及び第9の各態様において、冷却状態の第2冷却器(155)を流れる一次冷媒は、圧縮機(22,23)へ吸入される一次冷媒によって冷却される。
【0023】
本開示の第10の態様は、上記第1の態様の熱源ユニット(10)において、上記圧縮機は、上記一次冷媒を吸入して圧縮する低段圧縮機(23)と、該低段圧縮機(23)が吐出した上記一次冷媒を吸入して圧縮する高段圧縮機(21)とを含み、上記第2冷却器(155)へ供給される上記冷却媒体は、上記低段圧縮機(23)へ吸入される上記一次冷媒である。
【0024】
本開示の第11の態様は、上記第2~第4のいずれか一つの態様の熱源ユニット(10)において、上記圧縮機は、上記一次冷媒を吸入して圧縮する低段圧縮機(23)と、該低段圧縮機(23)が吐出した上記一次冷媒を吸入して圧縮する高段圧縮機(21)とを含み、上記第2冷却器(155)へ供給される上記冷却媒体は、上記低段圧縮機(23)へ吸入される上記一次冷媒である。
【0025】
第10及び第11の各態様において、冷却状態の第2冷却器(155)を流れる一次冷媒は、低段圧縮機(23)へ吸入される一次冷媒によって冷却される。
【0026】
本開示の第12の態様は、上記第1の態様の熱源ユニット(10)において、上記圧縮機は、上記一次冷媒を吸入して圧縮する低段圧縮機(23)と、該低段圧縮機(23)が吐出した上記一次冷媒を吸入して圧縮する高段圧縮機(21)とを含み、上記レシーバ(15)と上記高段圧縮機(21)とに接続して上記レシーバ(15)のガス冷媒を上記高段圧縮機(21)に送るガス配管(37)と、上記ガス配管(37)に設けられて該ガス配管(37)を流れる冷媒を減圧する減圧部(39)とを備え、上記第2冷却器(155)へ供給される上記冷却媒体は、上記ガス配管(37)において上記減圧部(39)を通過した上記一次冷媒である。
【0027】
本開示の第13の態様は、上記第2~第4のいずれか一つの態様の熱源ユニット(10)において、上記圧縮機は、上記一次冷媒を吸入して圧縮する低段圧縮機(23)と、該低段圧縮機(23)が吐出した上記一次冷媒を吸入して圧縮する高段圧縮機(21)とを含み、上記レシーバ(15)と上記高段圧縮機(21)とに接続して上記レシーバ(15)のガス冷媒を上記高段圧縮機(21)に送るガス配管(37)と、上記ガス配管(37)に設けられて該ガス配管(37)を流れる冷媒を減圧する減圧部(39)とを備え、上記第2冷却器(155)へ供給される上記冷却媒体は、上記ガス配管(37)において上記減圧部(39)を通過した上記一次冷媒である。
【0028】
第12及び第13の各態様において、上記レシーバ(15)のガス冷媒は、ガス配管(37)を流れ、減圧部(39)を通過後に高段圧縮機(21)に吸い込まれる。冷却状態の第2冷却器(155)を流れる一次冷媒は、ガス配管(37)を流れて減圧部(39)を通過した一次冷媒によって冷却される。
【0029】
本開示の第14の態様は、上記第9,第11,又は第13の態様の熱源ユニット(10)において、上記切換部(170)は、上記第2冷却器(155)と並列に設けられ、放熱器として機能する状態の上記第1熱交換器(13)から上記第1膨張弁(14)へ向かう上記一次冷媒が流れるバイパス配管(165)と、上記バイパス配管(165)に設けられたバイパス弁(166)とを有する。
【0030】
第14の態様の切換部(170)は、バイパス配管(165)とバイパス弁(166)とを有する。バイパス弁(166)が閉じているときは、放熱器として機能する状態の第1熱交換器(13)から第1膨張弁(14)へ向かう一次冷媒が第2冷却器(155)を流れ、第2冷却器(155)が冷却状態になる。バイパス弁(166)が開いているときは、放熱器として機能する状態の第1熱交換器(13)から第1膨張弁(14)へ向かう一次冷媒がバイパス配管(165)を流れ、第2冷却器(155)が休止状態になる。
【0031】
本開示の第15の態様は、冷凍装置(1)であって、上記第1~第14のいずれか一つの態様の熱源ユニット(10)と、上記熱源ユニット(10)に接続される利用ユニット(50,60)とを備える。
【0032】
第15の態様では、熱源ユニット(10)と利用ユニット(50,60)とが冷凍装置(1)を構成する。
【0033】
本開示の第16の態様は、上記第9,第11,又は第13の態様の熱源ユニット(10)と、第2熱交換器(54)と第2膨張弁(53)とを有し、上記熱源ユニット(10)に接続される利用ユニット(50)と、上記第2熱交換器(54)が蒸発器として機能する運転において、上記第2熱交換器(54)の出口における上記一次冷媒の過熱度が目標過熱度となるように上記第2膨張弁(53)の開度を調節する過熱度制御器(103)とを備え、上記過熱度制御器(103)は、上記切換部(170)が上記第2冷却器(155)を上記冷却状態にしているときの上記目標過熱度を、上記切換部(170)が上記第2冷却器(155)を上記休止状態にしているときの上記目標過熱度よりも低くする。
【0034】
第16の態様では、熱源ユニット(10)と利用ユニット(50,60)とが冷凍装置(1)を構成する。冷凍装置(1)の過熱度制御器(103)は、第2冷却器(155)が冷却状態である場合の目標過熱度を、第2冷却器(155)が休止状態である場合の目標過熱度よりも低くする。そのため、第2冷却器(155)を通過後に圧縮機(22,23)へ吸入される冷媒の過熱度は、過熱度制御器(103)が目標過熱度を変更しない場合に比べ、低く抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、実施形態1の冷凍装置の構成を示す配管系統図である。
図2図2は、実施形態1の冷凍装置における構成機器とセンサと制御器の関係を示すブロック図である。
図3図3は、冷房運転における冷媒の流れを示す図1相当図である。
図4図4は、冷房運転中の実施形態1の冷媒回路で行われる冷凍サイクルを閉めるモリエル線図(圧力-エンタルピ線図)である。
図5図5は、暖房運転における冷媒の流れを示す図1相当図である。
図6図6は、実施形態1の冷凍装置に設けられた補助制御器の動作を示すフロー図である。
図7図7は、実施形態2の冷凍装置の構成を示す配管系統図である。
図8図8は、実施形態2の冷凍装置における構成機器とセンサと制御器の関係を示すブロック図である。
図9図9は、冷房運転中の実施形態2の冷媒回路で行われる冷凍サイクルを閉めるモリエル線図(圧力-エンタルピ線図)である。
図10図10は、実施形態2の冷凍装置に設けられた室外制御器の動作を示すフロー図である。
図11図11は、実施形態3の冷凍装置の構成を示す配管系統図である。
図12図12は、実施形態4の冷凍装置の構成を示す配管系統図である。
図13図13は、実施形態5の冷凍装置の構成を示す配管系統図である。
図14図14は、実施形態5の冷凍装置に設けられた室外制御器の動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0037】
《実施形態1》
実施形態1について説明する。本実施形態の冷凍装置(1)は、冷却対象の冷却と、室内の空気調和と行うことができる。ここでいう冷却対象は、冷蔵庫、冷凍庫、ショーケースなどの設備内の空気を含む。
【0038】
-冷凍装置の全体構成-
図1に示すように、冷凍装置(1)は、室外に設置される熱源ユニット(10)と、室内の空調を行う空調ユニット(50)と、庫内の空気を冷却する冷却ユニット(60)とを備える。本実施形態の冷凍装置(1)は、一台の熱源ユニット(10)と、複数台の冷却ユニット(60)と、複数台の空調ユニット(50)とを備える。また、熱源ユニット(10)は、本体ユニット(10a)と、補助ユニット(150)とを備える。なお、冷凍装置(1)が備える冷却ユニット(60)又は空調ユニット(50)の台数は、一台であってもよい。
【0039】
冷凍装置(1)では、熱源ユニット(10)の本体ユニット(10a)と、冷却ユニット(60)と、空調ユニット(50)と、これらのユニット(10,50,60)を接続する連絡配管(2,3,4,5)とによって、冷媒回路(6)が構成される。
【0040】
冷媒回路(6)では、一次冷媒が循環することで冷凍サイクルが行われる。本実施形態の冷媒回路(6)の一次冷媒は、二酸化炭素である。冷媒回路(6)は、高圧が一次冷媒の臨界圧力以上となる冷凍サイクルを行うように構成される。
【0041】
冷媒回路(6)において、複数台の空調ユニット(50)は、第1液連絡配管(2)と第1ガス連絡配管(3)とを介して、本体ユニット(10a)に接続される。冷媒回路(6)において、複数台の空調ユニット(50)は、互いに並列に接続される。
【0042】
冷媒回路(6)において、複数台の冷却ユニット(60)は、第2液連絡配管(4)と第2ガス連絡配管(5)とを介して、本体ユニット(10a)に接続される。冷媒回路(6)において、複数台の冷却ユニット(60)は、互いに並列に接続される。
【0043】
-熱源ユニット-
上述したように、熱源ユニット(10)は、本体ユニット(10a)と、補助ユニット(150)とを備える。本体ユニット(10a)と補助ユニット(150)は、第1接続管(191)及び第2接続管(192)によって接続される。本体ユニット(10a)及び補助ユニット(150)は、屋外に設置される。
【0044】
-本体ユニット-
本体ユニット(10a)は、室外ファン(12)と、室外回路(11)とを有する。室外回路(11)は、圧縮要素(C)、流路切換機構(30)、室外熱交換器(13)、室外膨張弁(14)、レシーバ(15)、過冷却熱交換器(16)、及び中間冷却器(17)を有する。また、本体ユニット(10a)は、室外制御器(101)を有する。
【0045】
〈圧縮要素〉
圧縮要素(C)は、一次冷媒を圧縮する。圧縮要素(C)は、高段圧縮機(21)、第1低段圧縮機(23)、及び第2低段圧縮機(22)を有する。高段圧縮機(21)、第1低段圧縮機(23)、及び第2低段圧縮機(22)は、モータによって圧縮機構が駆動される回転式圧縮機である。高段圧縮機(21)、第1低段圧縮機(23)、及び第2低段圧縮機(22)は、圧縮機構の回転速度が変更可能な可変容量式に構成される。
【0046】
圧縮要素(C)は、二段圧縮を行う。第1低段圧縮機(23)は、空調ユニット(50)又は室外熱交換器(13)から吸入した一次冷媒を圧縮する。第2低段圧縮機(22)は、冷却ユニット(60)から吸入した一次冷媒を圧縮する。高段圧縮機(21)は、第1低段圧縮機(23)が吐出した一次冷媒と、第2低段圧縮機(22)が吐出した一次冷媒とを吸入して圧縮する。
【0047】
高段圧縮機(21)には、高段吸入管(21a)及び高段吐出管(21b)が接続される。第1低段圧縮機(23)には、第1低段吸入管(23a)及び第1低段吐出管(23b)が接続される。第2低段圧縮機(22)には、第2低段吸入管(22a)及び第2低段吐出管(22b)が接続される。圧縮要素(C)では、第1低段吐出管(23b)及び第2低段吐出管(22b)が高段吸入管(21a)に接続する。
【0048】
第2低段吸入管(22a)は、第2ガス連絡配管(5)に接続する。第2低段圧縮機(22)は、第2ガス連絡配管(5)を介して冷却ユニット(60)に連通する。第1低段吸入管(23a)は、流路切換機構(30)及び第1ガス連絡配管(3)を介して、空調ユニット(50)に連通する。
【0049】
圧縮要素(C)は、第1低段配管(24c)と、第2低段配管(24b)とを備える。第1低段配管(24c)は、第1低段圧縮機(23)をバイパスして一次冷媒を流すための配管である。第1低段配管(24c)は、一端が第1低段吸入管(23a)に接続し、他端が第1低段吐出管(23b)に接続する。第1低段配管(24c)は、第1低段圧縮機(23)と並列に設けられる。第2低段配管(24b)は、第2低段圧縮機(22)をバイパスして一次冷媒を流すための配管である。第2低段配管(24b)は、一端が第2低段吸入管 (22a)に接続し、他端が第2低段吐出管 (22b)に接続する。第2低段配管(24b)は、第2低段圧縮機(22)と並列に設けられる。
【0050】
〈流路切換機構〉
流路切換機構(30)は、冷媒回路(6)における一次冷媒の流通経路を切り換える機構である。流路切換機構(30)は、第1配管(31)、第2配管(32)、第3配管(33)、第4配管(34)、第1切換弁(81)、及び第2切換弁(82)を有する。
【0051】
第1配管(31)の流入端と、第2配管(32)の流入端とは、高段吐出管(21b)に接続する。第3配管(33)の流出端と、第4配管(34)の流出端とは、第1低段吸入管(23a)に接続する。
【0052】
第1切換弁(81)と第2切換弁(82)のそれぞれは、第1低段圧縮機(23)へ吸入される一次冷媒の流通経路と、高段圧縮機(21)から吐出された一次冷媒の流通経路とを切り換える。第1切換弁(81)及び第2切換弁(82)は、四方切換弁によって構成される。
【0053】
第1切換弁(81)の第1ポートは、第1配管(31)の流出端に接続する。第1切換弁(81)の第2ポートは、第3配管(33)の流入端に接続する。第1切換弁(81)の第3ポートは、封止される。第1切換弁(81)の第4ポートは、第1室外ガス管(35)の一端に接続する。第1室外ガス管(35)の他端は、第1ガス連絡配管(3)に接続する。
【0054】
第2切換弁(82)の第1ポートは、第2配管(32)の流出端に接続する。第2切換弁(82)の第2ポートは、第4配管(34)の流入端に接続する。第2切換弁(82)の第3ポートは、第2室外ガス管(36)に接続する。第2切換弁(82)の第4ポートは、封止される。
【0055】
第1切換弁(81)及び第2切換弁(82)のそれぞれは、第1状態(図1に実線で示す状態)と第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換わる。第1状態の各切換弁(81,82)では、第1ポートが第3ポートと連通し、且つ第2ポートが第4ポートと連通する。第2状態の各切換弁(81,82)では、第1ポートが第4ポートと連通し、第2ポートが第3ポートと連通する。
【0056】
〈室外熱交換器、室外ファン〉
室外熱交換器(13)は、第1熱交換器を構成している。室外熱交換器(13)は、フィン・アンド・チューブ型の空気熱交換器である。室外ファン(12)は、室外熱交換器(13)の近傍に配置される。室外ファン(12)は、室外空気を搬送する。室外熱交換器(13)は、その内部を流れる一次冷媒と、室外ファン(12)が搬送する室外空気とを熱交換させる。
【0057】
室外熱交換器(13)のガス端には、第2室外ガス管(36)が接続される。室外熱交換器(13)の液端には、室外流路(O)が接続される。
【0058】
〈室外流路〉
室外流路(O)は、室外第1管(o1)、室外第2管(o2)、室外第3管(o3)、室外第4管(o4)、室外第5管(o5)、室外第6管(o6)、室外第7管(o7)、及び室外第8管(o8)を含む。
【0059】
室外第1管(o1)は、第1部分管(o1A)と第2部分管(o1B)とを備える。第1部分管(o1A)の一端は、室外熱交換器(13)の液端に接続される。第1部分管(o1A)の他端には、第1接続ポート(181)が設けられる。第2部分管(o1B)の一端には、第2接続ポート(182)が設けられる。第2部分管(o1B)の他端には、室外第2管(o2)の一端、及び室外第3管(o3)の一端がそれぞれ接続される。室外第2管(o2)の他端は、レシーバ(15)の頂部に接続される。
【0060】
室外第4管(o4)の一端は、レシーバ(15)の底部に接続される。室外第4管(o4)の他端には、室外第5管(o5)の一端、及び室外第3管(o3)の他端がそれぞれ接続される。室外第5管(o5)の他端には、室外第6管(o6)の一端、及び室外第8管(o8)の一端がそれぞれ接続される。
【0061】
室外第8管(o8)の他端は、第2液連絡配管(4)の第1液側幹管(4a)に接続する。室外第8管(o8)は、レシーバ(15)の下流の液冷媒が流れる液管である。室外第6管(o6)の他端は、第1液連絡配管(2)に接続する。室外第7管(o7)の一端は、室外第6管(o6)の途中に接続する。室外第7管(o7)の他端は、室外第2管(o2)の途中に接続する。
【0062】
〈室外膨張弁〉
室外回路(11)の室外第1管(o1)には、室外膨張弁(14)が設けられる。本実施形態の室外第1管(o1)では、第2部分管(o1B)に室外膨張弁(14)が設けられる。室外膨張弁(14)は、開度を調節可能な電子膨張弁である。室外膨張弁(14)は、第1膨張弁を構成する。
【0063】
〈レシーバ〉
レシーバ(15)は、一次冷媒を貯留する容器を構成している。レシーバ(15)は、室外膨張弁(14)の下流に設けられる。レシーバ(15)では、ガス冷媒と液冷媒が共存する。レシーバ(15)の頂部には、室外第2管(o2)の他端と、後述するガス抜き管(37)の一端が接続される。
【0064】
〈中間インジェクション回路〉
室外回路(11)は、中間インジェクション回路(49)を備える。中間インジェクション回路(49)は、室外膨張弁(14)により減圧された一次冷媒を、高段吸入管(21a)へ供給する回路である。中間インジェクション回路(49)は、ガス抜き管(37)及びインジェクション管(38)を備える。
【0065】
インジェクション管(38)の一端は、室外第5管(o5)の途中に接続される。インジェクション管(38)の他端は、高段吸入管(21a)に接続される。インジェクション管(38)には、インジェクション弁(40)が設けられる。インジェクション弁(40)は、開度が可変な膨張弁である。
【0066】
ガス抜き管(37)は、レシーバ(15)のガス冷媒を高段吸入管(21a)へ送るためのガス配管である。具体的に、ガス抜き管(37)の一端は、レシーバ(15)の頂部に接続される。ガス抜き管(37)の他端は、インジェクション管(38)の途中に接続される。ガス抜き管(37)には、ガス抜き弁(39)が接続される。ガス抜き弁(39)は、開度が可変な電子膨張弁である。ガス抜き弁(39)は、ガス抜き管(37)を流れる冷媒を減圧する減圧部である。
【0067】
〈過冷却熱交換器〉
室外回路(11)は、過冷却熱交換器(16)を備える。過冷却熱交換器(16)は、レシーバ(15)から流出した一次冷媒(主として液冷媒)を冷却する第1冷却器である。過冷却熱交換器(16)は、レシーバ(15)の下流に設けられる。過冷却熱交換器(16)は、第1流路(16a)と第2流路(16b)とを有する。過冷却熱交換器(16)は、第1流路(16a)を流れる一次冷媒と、第2流路(16b)を流れる一次冷媒とを熱交換させる。
【0068】
第1流路(16a)は、室外第4管(o4)の途中に接続される。第2流路(16b)は、中間インジェクション回路(49)に含まれる。具体的に、第2流路(16b)は、インジェクション管(38)における、インジェクション弁(40)の下流側に接続される。第2流路(16b)は、インジェクション弁(40)で減圧された一次冷媒が流れる。過冷却熱交換器(16)では、第1流路(16a)を流れる一次冷媒が、第2流路(16b)を流れる一次冷媒によって冷却される。
【0069】
〈中間冷却器〉
中間冷却器(17)は、中間流路(41)に接続される。中間流路(41)の一端は、第1低段吐出管(23b)及び第2低段吐出管(22b)に接続される。中間流路(41)の他端は、高段吸入管(21a)に接続される。
【0070】
中間冷却器(17)は、フィン・アンド・チューブ型の空気熱交換器である。中間冷却器(17)の近傍には、送風ファン(17a)が配置される。中間冷却器(17)は、その内部を流れる一次冷媒と、送風ファン(17a)が搬送する室外空気とを熱交換させる。
【0071】
〈逆止弁〉
室外回路(11)は、第1逆止弁(CV1)、第2逆止弁(CV2)、第3逆止弁(CV3)、第4逆止弁(CV4)、第5逆止弁(CV5)、第6逆止弁(CV6)、第7逆止弁(CV7)、第8逆止弁(CV8)、及び第9逆止弁(CV9)を有する。これらの逆止弁(CV1~CV9)は、図1に示す矢印方向の一次冷媒の流れを許容し、この矢印と反対方向の一次冷媒の流れを禁止する。
【0072】
第1逆止弁(CV1)は、高段吐出管(21b)に接続される。第2逆止弁(CV2)は、第2低段吐出管(22b)に接続される。第3逆止弁(CV3)は、第1低段吐出管(23b)に接続される。第4逆止弁(CV4)は、室外第2管(o2)に接続される。第5逆止弁(CV5)は、室外第3管(o3)に接続される。第6逆止弁(CV6)は、室外第6管(o6)に接続される。第7逆止弁(CV7)は、室外第7管(o7)に接続される。第8逆止弁(CV8)は、第2低段配管(24b)に接続される。第9逆止弁(CV9)は、第1低段配管(24c)に接続される。
【0073】
〈センサ〉
本体ユニット(10a)は、各種のセンサを有する。各種のセンサは、高圧圧力センサ(71)、中間圧圧力センサ(72)、第1低圧圧力センサ(74)、第2低圧圧力センサ(73)、及び液冷媒圧力センサ(75)を含む。本体ユニット(10a)に設けられたセンサの計測値は、室外制御器(101)に送信される。
【0074】
高圧圧力センサ(71)は、高段圧縮機(21)から吐出された一次冷媒の圧力(高圧冷媒の圧力(HP))を検出する。中間圧圧力センサ(72)は、中間流路(41)の一次冷媒の圧力、換言すると、高段圧縮機(21)と、第2低段圧縮機(22)及び第1低段圧縮機(23)との間の一次冷媒の圧力(中間圧冷媒の圧力(MP))を検出する。第2低圧圧力センサ(73)は、第2低段圧縮機(22)に吸入される一次冷媒の圧力を検出する。第1低圧圧力センサ(74)は、第1低段圧縮機(23)に吸入される一次冷媒の圧力を検出する。液冷媒圧力センサ(75)は、レシーバ(15)から流出した一次冷媒(液冷媒)の圧力(液冷媒圧力(RP))を検出する。
【0075】
〈室外制御器〉
図2に示すように、室外制御器(101)は、制御基板上に搭載されたマイクロコンピュータと、マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納するメモリデバイスとを含む。メモリデバイスは、半導体メモリである。室外制御器(101)は、本体ユニット(10a)の構成機器を制御する。
【0076】
-補助ユニット-
補助ユニット(150)は、補助冷媒回路(151)と、補助ファン(156)と、冷媒温度センサ(157)と、補助制御器(102)とを備える。補助ユニット(150)は、第1接続管(191)を介して本体ユニット(10a)の第1接続ポート(181)に接続され、第2接続管(192)を介して本体ユニット(10a)の第2接続ポート(182)に接続される。
【0077】
補助冷媒回路(151)は、補助圧縮機(152)と、補助室外熱交換器(153)と、補助膨張弁(154)と、冷媒冷却器(155)とを備える。補助冷媒回路(151)では、補助圧縮機(152)の吐出管から吸入管に向かって順に、補助室外熱交換器(153)と、補助膨張弁(154)と、冷媒冷却器(155)とが配置される。補助冷媒回路(151)には、二次冷媒として二酸化炭素が充填される。補助冷媒回路(151)は、二次冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う。
【0078】
〈補助圧縮機〉
補助圧縮機(152)は、モータによって圧縮機構が駆動される回転式圧縮機である。補助圧縮機(152)は、圧縮機構の回転速度が変更可能な可変容量式に構成される。補助圧縮機(152)は、二次冷媒を吸入して圧縮し、圧縮した二次冷媒を吐出する。補助圧縮機(152)は、冷媒冷却器(155)を冷却状態と休止状態とに相互に切り換える切換部(170)を構成する。
【0079】
〈補助室外熱交換器、補助ファン〉
補助室外熱交換器(153)は、フィン・アンド・チューブ型の空気熱交換器である。補助ファン(156)は、補助室外熱交換器(153)の近傍に配置される。補助ファン(156)は、室外空気を搬送する。補助室外熱交換器(153)は、その内部を流れる二次冷媒と、補助ファン(156)が搬送する室外空気とを熱交換させる。
【0080】
〈補助膨張弁〉
補助膨張弁(154)は、開度を調節可能な電子膨張弁である。補助膨張弁(154)は、補助室外熱交換器(153)から冷媒冷却器(155)へ向かう二次冷媒を減圧する。
【0081】
〈冷媒冷却器〉
冷媒冷却器(155)は、第1流路(155a)と第2流路(155b)とを備える熱交換器である。
【0082】
第1流路(155a)の一端は、配管を介して第1接続管(191)に接続される。第1流路(155a)の他端は、配管を介して第2接続管(192)に接続される。第1流路(155a)では、本体ユニット(10a)の室外回路(11)に充填された一次冷媒が流通する。
【0083】
第2流路(155b)は、補助冷媒回路(151)に接続される。第2流路(155b)の一端は、補助膨張弁(154)に接続される。第2流路(155b)の他端は、補助圧縮機(152)の吸入管に接続される。第2流路(155b)では、補助冷媒回路(151)に充填された二次冷媒が流通する。
【0084】
冷媒冷却器(155)は、第1流路(155a)を流れる一次冷媒と、第2流路(155b)を流れる二次冷媒とを熱交換させる。冷媒冷却器(155)は、第2冷却器である。冷媒冷却器(155)は、室外熱交換器(13)から室外膨張弁(14)へ向かう一次冷媒を、冷却媒体である二次冷媒によって冷却する。また、冷媒冷却器(155)は、一次冷媒を冷却する冷却状態と、一次冷媒を冷却しない休止状態とに切り換わる。
【0085】
〈冷媒温度センサ〉
冷媒温度センサ(157)は、冷媒冷却器(155)の第1流路(155a)と第2接続管(192)を繋ぐ配管に取り付けられる。冷媒温度センサ(157)は、この配管を流れる一次冷媒の温度を計測する。冷媒温度センサ(157)の計測値は、補助制御器(102)へ送信される。
【0086】
〈補助制御器〉
図2に示すように、補助制御器(102)は、制御基板上に搭載されたマイクロコンピュータと、マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納するメモリデバイスとを含む。メモリデバイスは、半導体メモリである。補助制御器(102)には、補助制御器(102)は、補助圧縮機(152)、補助膨張弁(154)、及び補助ファン(156)を制御する。
【0087】
補助制御器(102)は、信号線を介して、本体ユニット(10a)の室外制御器(101)に接続される。補助制御器(102)は、室外制御器(101)と通信可能に構成され、室外制御器(101)との間で信号の授受を行う。補助制御器(102)及び室外制御器(101)は、熱源ユニット(10)の制御器(100)を構成する。
【0088】
-空調ユニット-
空調ユニット(50)は、屋内に設置される利用ユニットである。空調ユニット(50)は、室内空間の空気調和を行う。空調ユニット(50)は、室内ファン(52)と、室内回路(51)と、室内制御器(103)とを有する。室内回路(51)の液端には、第1液連絡配管(2)が接続される。室内回路(51)のガス端には、第1ガス連絡配管(3)が接続される。
【0089】
〈室内回路、室内ファン〉
室内回路(51)には、液端からガス端に向かって順に、室内膨張弁(53)と室内熱交換器(54)とが設けられる。
【0090】
室内膨張弁(53)は、開度が可変な電子膨張弁である。室内膨張弁(53)は、第2膨張弁を構成する。室内熱交換器(54)は、フィン・アンド・チューブ型の空気熱交換器である。室内熱交換器(54)は、第2熱交換器を構成する。室内ファン(52)は、室内熱交換器(54)の近傍に配置される。室内ファン(52)は、室内空気を搬送する。室内熱交換器(54)は、その内部を流れる一次冷媒と、室内ファン(52)が搬送する室内空気とを熱交換させる。
【0091】
〈温度センサ〉
室内回路(51)には、第1温度センサ(55)と第2温度センサ(56)とが設けられる。第1温度センサ(55)は、室内回路(51)における室内熱交換器(54)の液端と室内膨張弁(53)の間の部分に設けられ、その部分を流れる一次冷媒の温度を計測する。第2温度センサ(56)は、室内回路(51)における室内熱交換器(54)のガス端側の部分に設けられ、その部分を流れる一次冷媒の温度を計測する。第1温度センサ(55)及び第2温度センサ(56)の計測値は、室内制御器(103)へ送信される。
【0092】
〈室内制御器〉
図2に示すように、室内制御器(103)は、制御基板上に搭載されたマイクロコンピュータと、マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納するメモリデバイスとを含む。メモリデバイスは、半導体メモリである。室内制御器(103)は、室内膨張弁(53)及び室内ファン(52)を制御する。
【0093】
室内制御器(103)は、第1温度センサ(55)及び第2温度センサ(56)の計測値に基づいて、室内膨張弁(53)の開度を調節する。室内制御器(103)は、蒸発器として機能する室内熱交換器(54)から流出した一次冷媒の過熱度を調節する過熱度制御器である。
【0094】
室内制御器(103)は、信号線を介して、本体ユニット(10a)の室外制御器(101)に接続される。室内制御器(103)は、室外制御器(101)と通信可能に構成され、室外制御器(101)との間で信号の授受を行う。
【0095】
-冷却ユニット-
冷却ユニット(60)は、屋内に設置される利用ユニットである。冷却ユニット(60)は、例えばコンビニエンスストア等の店内に設置された冷蔵ショーケースである。なお、冷却ユニット(60)は、冷蔵庫の庫内空気を冷却するユニットクーラーであってもよい。
【0096】
冷却ユニット(60)は、冷却ファン(62)と冷却回路(61)とを有する。冷却回路(61)の液端には、第2液連絡配管(4)の液側枝管(4c)が接続される。冷却回路(61)のガス端には、第2ガス連絡配管(5)のガス側枝管(5c)が接続される。
【0097】
冷却回路(61)には、液端からガス端に向かって順に、冷却膨張弁(63)と冷却熱交換器(64)とが設けられる。冷却膨張弁(63)は、開度が可変な電子膨張弁で構成される。冷却熱交換器(64)は、フィン・アンド・チューブ型の空気熱交換器である。冷却ファン(62)は、冷却熱交換器(64)の近傍に配置される。冷却ファン(62)は、庫内空気を搬送する。冷却熱交換器(64)は、その内部を流れる一次冷媒と、冷却ファン(62)が搬送する庫内空気とを熱交換させる。
【0098】
-冷凍装置の運転動作-
冷凍装置(1)の運転動作について説明する。冷凍装置(1)は、冷房運転と、暖房運転とを行う。
【0099】
〈冷房運転〉
冷凍装置(1)の冷房運転について説明する。冷房運転は、空調ユニット(50)が室内の冷房を行う運転である。
【0100】
冷房運転では、第1切換弁(81)及び第2切換弁(82)が第1状態に設定される。また、冷房運転では、第1低段圧縮機(23)、第2低段圧縮機(22)、及び高段圧縮機(21)が作動する。冷房運転では、冷媒回路(6)において一次冷媒が循環することによって冷凍サイクルが行われ、室外熱交換器(13)が放熱器(ガスクーラ)として機能し、冷却熱交換器(64)及び室内熱交換器(54)が蒸発器として機能する。
【0101】
また、冷房運転では、補助ユニット(150)の補助圧縮機(152)が、必要に応じて作動する。補助圧縮機(152)が作動すると、補助冷媒回路(151)において二次冷媒が循環することによって冷凍サイクルが行われ、補助室外熱交換器(153)が放熱器(ガスクーラ)として機能し、冷媒冷却器(155)が蒸発器として機能する。
【0102】
ここでは、冷凍装置(1)の冷房運転について、補助圧縮機(152)が作動している場合を例に、図3及び図4を参照しながら説明する。なお、図4のモリエル線図は、ガス抜き弁(39)が閉状態であるときに冷媒回路(6)において行われる冷凍サイクルを示す。
【0103】
高段圧縮機(21)は、吸入した一次冷媒を、一次冷媒の臨界圧力よりも高い圧力にまで圧縮して吐出する。高段圧縮機(21)から吐出された一次冷媒(図4の点Aの状態)は、第2切換弁(82)を通って室外熱交換器(13)へ流入し、室外空気へ放熱する。室外熱交換器(13)から流出した一次冷媒(図4の点Bの状態)は、冷媒冷却器(155)の第1流路(155a)へ流入し、第2流路(155b)を流れる二次冷媒によって冷却される。
【0104】
冷媒冷却器(155)から流出した一次冷媒(図4の点Cの状態)は、室外膨張弁(14)を通過する際に、一次冷媒の臨界圧力よりも低い圧力にまで減圧される。室外膨張弁(14)を通過した一次冷媒(図4の点Dの状態)は、レシーバ(15)へ流入する。図4において、レシーバ(15)へ流入する一次冷媒は、液単相状態である。
【0105】
本実施形態の熱源ユニット(10)において、補助圧縮機(152)の作動中は、レシーバ(15)へ流入する一次冷媒が液単相状態に保たれる。一方、補助圧縮機(152)の停止中は、外気温度や一次冷媒の流量などの運転条件によって、レシーバ(15)へ流入する一次冷媒が液単相状態になる場合もあれば、気液二相状態になる場合もある。
【0106】
レシーバ(15)から流出した一次冷媒は、過冷却熱交換器(16)の第1流路(16a)へ流入し、第2流路(16b)を流れる一次冷媒によって冷却される。過冷却熱交換器(16)の第1流路(16a)から流出した一次冷媒(図4の点Eの状態)は、一部がインジェクション管(38)へ流入し、残りが室外第6管(o6)と室外第8管(o8)に分かれて流入する。
【0107】
インジェクション管(38)へ流入した一次冷媒は、インジェクション弁(40)を通過する際に減圧される。インジェクション弁(40)を通過した一次冷媒(図4の点Fの状態)は、過冷却熱交換器(16)の第2流路(16b)へ流入し、第1流路(16a)を流れる一次冷媒から吸熱して蒸発する。過冷却熱交換器(16)の第2流路(16b)から流出した一次冷媒(図4の点Gの状態)は、高段吸入管(21a)へ流入する。
【0108】
室外第6管(o6)を流れる一次冷媒は、第1液連絡配管(2)へ流入し、複数の空調ユニット(50)に分配される。各空調ユニット(50)において、室内回路(51)へ流入した一次冷媒は、室内膨張弁(53)を通過する際に減圧される。各空調ユニット(50)において、室内膨張弁(53)を通過した一次冷媒(図4の点Hの状態)は、室内熱交換器(54)へ流入し、室内空気から吸熱して蒸発する。各空調ユニット(50)は、室内熱交換器(54)において冷却された空気を室内空間へ吹き出す。
【0109】
各空調ユニット(50)の室内熱交換器(54)から流出した一次冷媒(図4の点Iの状態)は、第1ガス連絡配管(3)へ流入して合流した後に室外回路(11)の第1室外ガス管(35)へ流入し、続いて第1切換弁(81)を通って第1低段吸入管(23a)へ流入し、その後に第1低段圧縮機(23)へ吸入される。第1低段圧縮機(23)は、吸入した一次冷媒を圧縮し、圧縮した一次冷媒を吐出する。第1低段圧縮機(23)から吐出された一次冷媒(図4の点Jの状態)は、第1低段吐出管(23b)を通って中間流路(41)へ流入する。
【0110】
室外第8管(o8)を流れる一次冷媒は、第2液連絡配管(4)へ流入し、複数の冷却ユニット(60)に分配される。各冷却ユニット(60)において、冷却回路(61)へ流入した一次冷媒は、冷却膨張弁(63)を通過する際に減圧される。各冷却ユニット(60)において、冷却膨張弁(63)を通過した一次冷媒(図4の点Kの状態)は、冷却熱交換器(64)へ流入し、庫内空気から吸熱して蒸発する。各冷却ユニット(60)は、冷却熱交換器(64)において冷却された空気を庫内空間へ吹き出す。
【0111】
各冷却ユニット(60)の冷却熱交換器(64)から流出した一次冷媒(図4の点Lの状態)は、第2ガス連絡配管(5)へ流入して合流した後に室外回路(11)の第2低段吸入管 (22a)へ流入し、その後に第2低段圧縮機(22)へ吸入される。第2低段圧縮機(22)は、吸入した一次冷媒を圧縮し、圧縮した一次冷媒を吐出する。第2低段圧縮機(22)から吐出された一次冷媒(図4の点Mの状態)は、第2低段吐出管 (22b)を通って中間流路(41)へ流入する。
【0112】
中間流路(41)を流れる一次冷媒は、中間冷却器(17)において室外空気へ放熱する。中間冷却器(17)から流出した一次冷媒(図4の点Nの状態)は、インジェクション管(38)から流入した一次冷媒と合流し、高段吸入管(21a)へ流入する。高段吸入管(21a)を流れる一次冷媒(図4の点Oの状態)は、高段圧縮機(21)に吸入される。高段圧縮機(21)は、吸入した一次冷媒を圧縮して吐出する。
【0113】
補助冷媒回路(151)において、補助圧縮機(152)から吐出された二次冷媒は、補助室外熱交換器(153)において室外空気へ放熱する。補助室外熱交換器(153)から流出した二次冷媒は、補助膨張弁(154)を通過する際に減圧され、その後に冷媒冷却器(155)の第2流路(155b)へ流入する。冷媒冷却器(155)の第2流路(155b)では、二次冷媒が第1流路(155a)の一次冷媒から吸熱して蒸発する。冷媒冷却器(155)から流出した二次冷媒は、補助圧縮機(152)へ吸入されて圧縮される。
【0114】
〈暖房運転〉
冷凍装置(1)の暖房運転について説明する。暖房運転は、空調ユニット(50)が室内の暖房を行う運転である。
【0115】
暖房運転において、冷凍装置(1)は、室外熱交換器(13)が放熱器として機能する動作と、室外熱交換器(13)が休止する動作と、室外熱交換器(13)が蒸発器として機能する動作とを選択的に行う。また、暖房運転を行う冷凍装置(1)において、補助ユニット(150)は停止状態に保たれる。従って、暖房運転中は、補助圧縮機(152)が停止状態に保たれる。
【0116】
ここでは、室外熱交換器(13)が蒸発器として機能する場合の暖房運転について、図5を参照しながら説明する。この暖房運転では、第1切換弁(81)及び第2切換弁(82)が第2状態に設定される。また、この暖房運転では、第1低段圧縮機(23)、第2低段圧縮機(22)、及び高段圧縮機(21)が作動する。この暖房運転では、冷媒回路(6)において一次冷媒が循環することによって冷凍サイクルが行われ、室内熱交換器(54)が放熱器(ガスクーラ)として機能し、冷却熱交換器(64)及び室外熱交換器(13)が蒸発器として機能する。
【0117】
高段圧縮機(21)から吐出された一次冷媒は、第1切換弁(81)を通って第1室外ガス管(35)へ流入し、その後に第1ガス連絡配管(3)を通って複数の空調ユニット(50)に分配される。各空調ユニット(50)において、室内回路(51)へ流入した一次冷媒は、室内熱交換器(54)において室内空気へ放熱し、その後に室内膨張弁(53)を通過する際に減圧されてから第1液連絡配管(2)へ流入する。各空調ユニット(50)から第1液連絡配管(2)へ流入した一次冷媒は、室外回路(11)のレシーバ(15)に流入する。各空調ユニット(50)は、室内熱交換器(54)において加熱された空気を室内空間へ吹き出す。
【0118】
レシーバ(15)から流出した一次冷媒は、過冷却熱交換器(16)の第1流路(16a)を通過する間に冷却される。過冷却熱交換器(16)の第1流路(16a)を通過した一次冷媒は、室外第5管(o5)と室外第3管(o3)に分岐して流入する。
【0119】
室外第5管(o5)を流れる一次冷媒は、一部がインジェクション管(38)へ流入し、残りが室外第8管(o8)へ流入する。インジェクション管(38)を流れる一次冷媒は、過冷却熱交換器(16)の第2流路(16b)へ流入し、吸熱して蒸発した後に高段吸入管(21a)へ流入する。
【0120】
室外第8管(o8)を流れる一次冷媒は、第2液連絡配管(4)を通って複数の冷却ユニット(60)に分配される。各冷却ユニット(60)において、冷却回路(61)へ流入した一次冷媒は、冷却膨張弁(63)を通過する際に減圧され、その後に冷却熱交換器(64)において庫内空気から吸熱して蒸発する。各冷却ユニット(60)は、冷却熱交換器(64)において冷却された空気を庫内空間へ吹き出す。
【0121】
各冷却ユニット(60)の冷却熱交換器(64)から流出した一次冷媒は、第2ガス連絡配管(5)へ流入して合流した後に室外回路(11)の第2低段吸入管 (22a)へ流入し、その後に第2低段圧縮機(22)へ吸入されて圧縮される。
【0122】
室外第3管(o3)を流れる一次冷媒は、室外膨張弁(14)を通過する際に減圧され、その後に冷媒冷却器(155)の第1流路(155a)を通過して室外熱交換器(13)へ流入し、室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(13)を通過した一次冷媒は、第2切換弁(82)を通って第1低段吸入管(23a)へ流入し、その後に第1低段圧縮機(23)へ吸入されて圧縮される。
【0123】
第1低段圧縮機(23)及び第2低段圧縮機(22)のそれぞれにおいて圧縮された一次冷媒は、中間冷却器(17)において室外空気へ放熱し、インジェクション管(38)を流れる一次冷媒と合流した後に、高段圧縮機(21)に吸入される。高段圧縮機(21)は、吸入した一次冷媒を圧縮して吐出する。
【0124】
-制御器の動作-
上述したように、本体ユニット(10a)の室外制御器(101)と、補助ユニット(150)の補助制御器(102)とは、信号線を介して互いに接続され、熱源ユニット(10)の制御器(100)を構成する。ここでは、熱源ユニット(10)の制御器(100)が行う動作について説明する。
【0125】
〈補助圧縮機の制御〉
室外制御器(101)は、冷凍装置(1)が冷房運転を開始するときに、補助ユニット(150)の運転を許可する許可信号を、補助制御器(102)へ送信する。また、室外制御器(101)は、冷凍装置(1)が冷房運転を終了するときに、補助ユニット(150)の運転の許可を解除する解除信号を、補助制御器(102)へ送信する。従って、冷凍装置(1)の暖房運転中において、補助ユニット(150)は停止状態に保たれる。
【0126】
補助制御器(102)は、許可信号を受信すると、補助圧縮機(152)の制御を開始する。補助制御器(102)は、冷媒温度センサ(157)の計測値Tprに基づいて、補助圧縮機(152)を制御する。補助制御器(102)が補助圧縮機(152)を制御する動作について、図6のフロー図を参照しながら説明する。
【0127】
ステップST11の処理において、補助制御器(102)は、冷媒温度センサ(157)の計測値Tprが第1基準温度Tr1よりも高い(Tpr>Tr1)という条件の成否を判断する。この条件が成立する場合、補助制御器(102)は、ステップST12の処理を行う。一方、この条件が成立しない場合、補助制御器(102)は、ステップST11の処理を繰り返す。
【0128】
ステップST12の処理において、補助制御器(102)は、補助圧縮機(152)を作動させる。補助圧縮機(152)が作動すると、補助冷媒回路(151)において冷凍サイクルが行われ、冷媒冷却器(155)が冷却状態になる。
【0129】
補助圧縮機(152)の起動後において、補助制御器(102)は、冷媒温度センサ(157)の計測値Tprが第2基準温度Tr2となるように、補助圧縮機(152)の回転速度を調節する。補助制御器(102)は、ステップST13からステップST17までの処理を行うことによって、補助圧縮機(152)の回転速度を調節する。
【0130】
ステップST13の処理において、補助制御器(102)は、冷媒温度センサ(157)の計測値Tprが第2基準温度Tr2よりも低い(Tpr<Tr2)という条件の成否を判断する。この条件が成立する場合、補助制御器(102)は、ステップST14の処理を行う。ステップST14の処理において、補助制御器(102)は、補助圧縮機(152)の運転周波数を引き下げる。補助圧縮機(152)の運転周波数が低下すると、補助冷媒回路(151)における二次冷媒の流量が減少し、冷媒冷却器(155)の冷却能力が減少する。
【0131】
ステップST14の処理が終了すると、補助制御器(102)は、ステップST17の処理を行う。ステップST17の処理において、補助制御器(102)は、補助圧縮機(152)が停止しているか否かを判断する。
【0132】
ステップST14の処理において、補助圧縮機(152)の運転周波数を引き下げた結果、補助圧縮機(152)の運転周波数が下限値に達すると、補助圧縮機(152)が停止する。補助圧縮機(152)が停止すると、補助冷媒回路(151)において冷凍サイクルが停止し、冷媒冷却器(155)が休止状態になる。そのため、補助圧縮機(152)が停止した場合、補助制御器(102)は、補助圧縮機(152)の制御を終了する。
【0133】
一方、ステップST14の処理において補助圧縮機(152)の運転周波数を引き下げても、補助圧縮機(152)が依然として作動している場合、補助制御器(102)は、再びステップST13の処理を行う。
【0134】
ステップST13の処理における所定の条件が成立しない場合、補助制御器(102)は、ステップST15の処理を行う。ステップST15の処理において、補助制御器(102)は、冷媒温度センサ(157)の計測値Tprが第1基準温度Tr1よりも高い(Tpr>Tr1)という条件の成否を判断する。この条件が成立する場合、補助制御器(102)は、ステップST16の処理を行う。
【0135】
ステップST16の処理において、補助制御器(102)は、補助圧縮機(152)の運転周波数を引き上げる。補助圧縮機(152)の運転周波数が上昇すると、補助冷媒回路(151)における二次冷媒の流量が増加し、冷媒冷却器(155)の冷却能力が増大する。ステップST16の処理が終了すると、補助制御器(102)は、再びステップST13の処理を行う。
【0136】
ステップST15の処理における所定の条件が成立しない場合、補助制御器(102)は、再びステップST13の処理を行う。この場合、冷媒温度センサ(157)の計測値Tprは、第2基準温度Tr2以上で第1基準温度Tr1以下の範囲(Tr2≦Tpr≦Tr1)の値である。その場合、補助制御器(102)は、補助圧縮機(152)の運転周波数を変更しない。
【0137】
このように、補助制御器(102)は、冷媒温度センサ(157)の計測値Tprに基づいて、冷媒冷却器(155)の状態が休止状態から冷却状態に切り換わるように補助圧縮機(152)を制御する。また、補助制御器(102)は、冷媒温度センサ(157)の計測値Tprに基づいて、冷媒冷却器(155)の状態が冷却状態から休止状態に切り換わるように補助圧縮機(152)を制御する。
【0138】
冷媒温度センサ(157)の計測値Tprは、冷房運転中に冷媒冷却器(155)に第1流路(155a)から流出した一次冷媒の温度である。この一次冷媒の温度が変化すると、熱源ユニット(10)から空調ユニット(50)及び冷却ユニット(60)へ供給される冷媒の比エンタルピが変化し、その結果、空調ユニット(50)及び冷却ユニット(60)の冷却能力が変化する。従って、冷媒温度センサ(157)の計測値Tprは、熱源ユニット(10)の冷凍能力を示す指標である。
【0139】
補助制御器(102)は、冷凍能力を示す指標に基づいて熱源ユニット(10)の冷凍能力が所定値よりも小さいと判断できる場合に、冷媒冷却器(155)の冷却能力を増加させる。また、補助制御器(102)は、冷凍能力を示す指標に基づいて熱源ユニット(10)の冷凍能力が所定値よりも大きいと判断できる場合に、冷媒冷却器(155)の冷却能力を減少させる。
【0140】
〈第2基準温度〉
第2基準温度Tr2は、室外膨張弁(14)を通過してレシーバ(15)へ流入する冷媒が液単相状態となるような温度に設定される。ここでは、制御器(100)が第2基準温度を設定する動作について説明する。
【0141】
室外制御器(101)は、液冷媒圧力センサ(75)の計測値を取得する。液冷媒圧力センサ(75)の計測値は、レシーバ(15)内の冷媒の圧力、及びレシーバ(15)へ流入する冷媒の圧力と、実質的に等しい。室外制御器(101)は、液冷媒圧力センサ(75)の計測値に相当する一次冷媒の飽和温度Tsを算出する。
【0142】
また、室外制御器(101)は、高圧圧力センサ(71)の計測値を取得する。室外制御器(101)は、液冷媒圧力センサ(75)及び高圧圧力センサ(71)の計測値と、算出した飽和温度Tsとに基づき、室外膨張弁(14)を通過した一次冷媒の温度が飽和温度Ts以下となるような“室外膨張弁(14)へ流入する一次冷媒の温度”を算出する。そして、室外制御器(101)は、算出した温度を、第2基準温度Tr2として補助制御器(102)へ送信する。また、室外制御器(101)は、第2基準温度Tr2に所定値を加算した値(Tr2+D)を、第1基準温度Tr1として補助制御器(102)へ送信する(Tr1=Tr2+D)。
【0143】
-室内制御器の動作-
冷房運転中の各空調ユニット(50)において、室内制御器(103)は、室内膨張弁(53)の開度を調節する。
【0144】
室内制御器(103)は、蒸発器として機能する状態の室内熱交換器(54)から流出した一次冷媒の過熱度が目標過熱度となるように、室内膨張弁(53)の開度を調節する。
【0145】
具体的に、室内制御器(103)は、第2温度センサ(56)の計測値T2から第1温度センサ(55)の計測値T1を減じて得られた値を、室内熱交換器(54)から流出した一次冷媒の過熱度の実測値SHとする(SH=T2-T1)。過熱度の実測値SHが目標過熱度を上回る場合、室内制御器(103)は、室内膨張弁(53)の開度を拡大する。過熱度の実測値SHが目標過熱度を下回る場合、室内制御器(103)は、室内膨張弁(53)の開度を縮小する。
【0146】
-実施形態1の特徴(1)-
本実施形態の熱源ユニット(10)は、冷媒冷却器(155)を備える。そのため、熱源ユニット(10)に冷媒冷却器(155)が設けられていない場合に比べると、レシーバ(15)から空調ユニット(50)及び冷却ユニット(60)へ供給される液冷媒の流量が多くなる。その結果、本実施形態の熱源ユニット(10)を備える冷凍装置(1)は、冷媒冷却器(155)が設けられていない従来の熱源ユニットを備える冷凍装置に比べ、大きな冷却能力を発揮できる。以下では、この点について、図4を参照しながら詳しく説明する。
【0147】
冷媒冷却器(155)を備えない従来の熱源ユニットでは、放熱器として機能する状態の室外熱交換器(13)から流出した一次冷媒(図4の点Bの状態)が、室外膨張弁(14)を通過する際に減圧され、図4の点Xの状態になる。点Xの状態の一次冷媒は、液相と気相が共存する気液二相状態である。
【0148】
従来の熱源ユニットにおいて、室外膨張弁(14)を通過した点Xの状態の冷媒は、レシーバ(15)へ流入し、点Yの状態の飽和液冷媒と、点Zの状態の飽和ガス冷媒とに分離される。点Zの状態のガス冷媒は、レシーバ(15)からガス抜き管(37)へ排出される。そのため、点Yの状態の液冷媒だけが、レシーバ(15)から室外第4管(o4)へ流入する。このように、冷媒冷却器(155)を備えない従来の熱源ユニットでは、レシーバ(15)から空調ユニット(50)又は冷却ユニット(60)へ向けて送り出される冷媒の質量流量が、レシーバ(15)へ流入する冷媒の質量流量よりも少なくなる。
【0149】
一方、本実施形態の熱源ユニット(10)では、室外熱交換器(13)から流出した後に冷媒冷却器(155)で冷却された一次冷媒が、室外膨張弁(14)を通過する。そのため、室外膨張弁を通過した液単相状態の一次冷媒(図4の点Dの状態)がレシーバ(15)へ流入する。従って、レシーバ(15)から室外第4管(o4)へ流入する一次冷媒の質量流量は、室外第2管(o2)からレシーバ(15)へ流入する一次冷媒の質量流量と実質的に等しくなる。
【0150】
このように、本実施形態の熱源ユニット(10)では、レシーバ(15)から空調ユニット(50)又は冷却ユニット(60)へ向けて送り出される一次冷媒の質量流量が、レシーバ(15)へ流入する一次冷媒の質量流量と実質的に一致する。その結果、空調ユニット(50)及び冷却ユニット(60)へ供給される冷媒の流量が増加し、空調ユニット(50)及び冷却ユニット(60)において得られる冷却能力が増加する。
【0151】
-実施形態1の特徴(2)-
本実施形態の熱源ユニット(10)では、制御器(100)が補助圧縮機(152)を制御することによって、冷媒冷却器(155)が冷却状態と休止状態に切り換わる。そのため、本実施形態によれば、熱源ユニット(10)の運転条件に応じて冷媒冷却器(155)を冷却状態と休止状態に切り換えることができる。その結果、熱源ユニット(10)の運転を、その運転条件に応じて適切に制御することができる。
【0152】
-実施形態1の特徴(3)-
本実施形態の熱源ユニット(10)では、冷媒冷却器(155)において一次冷媒を冷却するための冷却媒体として、補助ユニット(150)の補助冷媒回路(151)を循環する二次冷媒を用いる。そのため、室外空気の温度が比較的高い夏期においても、冷凍装置(1)の冷房運転中に室外膨張弁(14)へ流入する一次冷媒の温度を、室外空気の温度よりも低くすることができる。
【0153】
その結果、室外空気の温度が比較的高い夏期においても、熱源ユニット(10)から空調ユニット(50)及び冷却ユニット(60)へ供給される冷媒の流量を充分に確保することができ、一年を通じて熱源ユニット(10)に充分な冷凍能力を発揮させることができる。
【0154】
-実施形態1の特徴(4)-
本実施形態の熱源ユニット(10)において、補助制御器(102)は、冷媒温度センサ(157)の計測値に基づいて補助圧縮機(152)の回転速度を調節する。そのため、本実施形態によれば、冷凍装置(1)の冷房運転中に冷媒冷却器(155)から流出する一次冷媒の温度を適切に調節することができる。
【0155】
-実施形態1の変形例1-
本実施形態の熱源ユニット(10)では、本体ユニット(10a)と補助ユニット(150)が一体に構成されていてもよい。具体的には、本体ユニット(10a)を構成する室外回路(11)、室外ファン(12)、送風ファン(17a)、及び室外制御器(101)と、補助ユニット(150)を構成する補助冷媒回路(151)、補助ファン(156)、及び補助制御器(102)とが、一つのケーシングに収容されていてもよい。
【0156】
また、本変形例の熱源ユニット(10)では、室外制御器(101)と補助制御器(102)が一体に構成されていてもよい。言い換えると、本変形例の熱源ユニット(10)は、室外制御器(101)が行う制御動作と、補助制御器(102)が行う制御動作との両方を行う一つの制御器(100)を備えていてもよい。
【0157】
-実施形態1の変形例2-
本実施形態の冷凍装置(1)において、冷媒回路(6)に充填される一次冷媒、及び補助冷媒回路(151)に充填される二次冷媒のそれぞれは、二酸化炭素に限定されない。また、本実施形態の冷凍装置(1)では、一次冷媒と二次冷媒が異なっていてもよい。
【0158】
一次冷媒と二次冷媒のぞれぞれとして用いられる単一組成の冷媒としては、R744(二酸化炭素)、R1234ZE、R1234YF、R290(プロパン)、R32が例示される。また、一次冷媒と二次冷媒のぞれぞれとして用いられる混合冷媒としては、R744、R1234ZE、R1234YF、R290、及びR32の少なくとも一つを成分として含み、且つGWP(Global Warming Potential)が750以下の冷媒が例示される。
【0159】
二次冷媒として用いられる冷媒は、一次冷媒よりも臨界温度が高い冷媒であってもよい。なお、本実施形態の一次冷媒である二酸化炭素の臨界温度は、31.1℃である。一次冷媒よりも臨界温度が高い冷媒を二次冷媒として用いれば、外気温が比較的高い(例えば、35℃以上である)場合であっても、補助冷媒回路(151)の冷凍サイクルによって比較的大きな冷却能力が得られるため、冷凍装置の冷却能力を確保できる。
【0160】
また、二次冷媒として用いられる冷媒は、臨界温度が“冷凍装置(1)の運転温度範囲の上限値”よりも高い冷媒であってもよい。例えば、冷凍装置(1)の運転温度範囲の上限値が「43℃」である場合は、臨界温度が“「43℃」に所定値を加えた温度(例えば「53℃」)”である冷媒を、二次冷媒として用いてもよい。
【0161】
ここで、“冷凍装置(1)の運転温度範囲”は、“冷凍装置(1)の製造者が冷凍装置(1)の購入者に対して保証する冷凍装置(1)の冷却能力”を冷凍装置(1)が発揮できる外気温度の範囲である。従って、外気温度が“冷凍装置(1)の運転温度範囲”の上限値を上回っても、冷凍装置(1)の運転が直ちに不可能になる訳ではない。
【0162】
ところで、本実施形態の冷凍装置(1)では、熱源ユニット(10)を構成する本体ユニット(10a)及び補助ユニット(150)が、屋外に設置される。そのため、二次冷媒が補助冷媒回路(151)から漏洩したとしても、二次冷媒が室内空間へ流入することはない。従って、補助ユニット(150)の補助冷媒回路(151)に充填される二次冷媒として“微燃性を有する冷媒”を用いた場合に、補助冷媒回路から二次冷媒が漏洩したとしても、微燃性を有する二次冷媒が室内空間へ流入する事態は生じない。
【0163】
《実施形態2》
実施形態2について説明する。ここでは、本実施形態の冷凍装置(1)について、実施形態1の冷凍装置(1)と異なる点を説明する。
【0164】
図7に示すように、本実施形態の熱源ユニット(10)では、補助ユニット(150)が省略され、冷媒冷却器(155)の配置が変更され、バイパス配管(165)が追加される。また、本実施形態の空調ユニット(50)の室内制御器(103)は、目標過熱度を調節する動作を行う。
【0165】
本実施形態の熱源ユニット(10)において、室外第1管(o1)の一端は、室外熱交換器(13)の液端に接続される。また、室外第1管(o1)の他端は、室外第2管(o2)及び室外第3管(o3)の一端に接続される。室外第1管(o1)では、室外熱交換器(13)と室外膨張弁(14)の間に、冷媒冷却器(155)の第1流路(155a)が設けられる。また、室外第1管(o1)では、室外熱交換器(13)と冷媒冷却器(155)の間に、室外開閉弁(161)が設けられる。室外開閉弁(161)は、電磁弁である。
【0166】
本実施形態の熱源ユニット(10)において、冷媒温度センサ(157)は、室外第1管(o1)に設けられる。冷媒温度センサ(157)は、室外第1管(o1)における冷媒冷却器(155)と室外膨張弁(14)の間の部分に設けられ、この部分を流れる冷媒の温度を計測する。冷媒温度センサ(157)の計測値は、室外制御器(101)へ送信される。
【0167】
本実施形態の熱源ユニット(10)において、冷媒冷却器(155)の第2流路(155b)は、第1低段吸入管(23a)に設けられる。本実施形態の冷媒冷却器(155)では、第1低段吸入管(23a)を第1低段圧縮機(23)へ向かって流れる冷媒が、冷却媒体として第2流路(155b)を流れる。
【0168】
本実施形態の熱源ユニット(10)において、バイパス配管(165)は、室外第1管(o1)に接続される。バイパス配管(165)の一端は、室外第1管(o1)における室外熱交換器(13)と室外開閉弁(161)の間に接続する。バイパス配管(165)の他端は、室外第1管(o1)における冷媒冷却器(155)と室外膨張弁(14)の間に接続する。室外回路(11)において、バイパス配管(165)は、冷媒冷却器(155)の第1流路(155a)と並列に配置される。
【0169】
バイパス配管(165)には、バイパス弁(166)が設けられる。バイパス弁(166)は、電磁弁で構成された開閉弁である。バイパス弁(166)は、バイパス配管(165)の一端から他端へ向かう冷媒の流れと、バイパス配管(165)の他端から一端へ向かう冷媒の流れの両方を断続できるように構成される。
【0170】
本実施形態の熱源ユニット(10)では、バイパス配管(165)、バイパス弁(166)、及び室外開閉弁(161)が、冷媒冷却器(155)を冷却状態と休止状態に切り換える切換部(170)を構成する。バイパス弁(166)が閉じて室外開閉弁(161)が開いた状態では、冷媒冷却器(155)の第1流路(155a)を冷媒が流れ、冷媒冷却器(155)が冷却状態になる。バイパス弁(166)が開いて室外開閉弁(161)が閉じた状態では、バイパス配管(165)を冷媒が流れ、冷媒冷却器(155)が休止状態になる。
【0171】
図8に示すように、本実施形態の熱源ユニット(10)において、室外制御器(101)は、切換部(170)を構成するバイパス弁(166)および室外開閉弁(161)を制御する制御器(100)を構成する。
【0172】
-冷凍装置の運転動作-
冷凍装置(1)の運転動作について説明する。本実施形態の冷凍装置(1)は、実施形態1の冷凍装置(1)と同様に、冷房運転と、暖房運転とを行う。
【0173】
〈冷房運転〉
冷凍装置(1)の冷房運転について説明する。ここでは、本実施形態の冷凍装置(1)が行う冷房運転について、実施形態1の冷凍装置(1)が行う冷房運転と異なる点を説明する。
【0174】
ここでは、冷媒冷却器(155)が冷却状態である場合の冷房運転について説明する。制御器(100)が室外開閉弁(161)を開状態にしてバイパス弁(166)を閉状態にすると、冷媒冷却器(155)が冷却状態になる。
【0175】
図9に示すように、本実施形態の熱源ユニット(10)では、室外回路(11)の第1低段吸入管(23a)から中間流路(41)に至るまでの冷媒の状態変化が、実施形態1と異なる。なお、図9のモリエル線図は、ガス抜き弁(39)が閉状態であるときに冷媒回路(6)において行われる冷凍サイクルを示す。
【0176】
第1室外ガス管(35)から第1切換弁(81)を通って第1低段吸入管(23a)へ流入した冷媒(図9の点Iの状態)は、冷媒冷却器(155)の第2流路(155b)へ流入し、第1流路(155a)を流れる冷媒から吸熱する。冷媒冷却器(155)の第2流路(155b)から流出した冷媒(図9の点I’の状態)は、第1低段圧縮機(23)へ吸入されて圧縮される。第1低段圧縮機(23)から吐出された冷媒(図9の点J’の状態)は、中間流路(41)へ流入し、第2低段圧縮機(22)から吐出された冷媒(図9の点Mの状態)と合流する。
【0177】
〈暖房運転〉
冷凍装置(1)の暖房運転について説明する。ここでは、本実施形態の冷凍装置(1)が行う暖房運転について、実施形態1の冷凍装置(1)が行う暖房運転と異なる点を説明する。
【0178】
暖房運転中には、冷媒冷却器(155)が休止状態になる。制御器(100)が室外開閉弁(161)を閉状態にしてバイパス弁(166)を開状態にすると、冷媒冷却器(155)が休止状態になる。
【0179】
室外熱交換器(13)が蒸発器として機能する場合の暖房運転において、本実施形態の熱源ユニット(10)では、室外膨張弁(14)を通過した冷媒がバイパス配管(165)を通って室外熱交換器(13)へ流入する。第1低段吸入管(23a)を流れる冷媒は、冷媒冷却器(155)の第2流路(155b)を通過後に、第1低段圧縮機(23)に吸入される。冷媒冷却器(155)は休止状態であるため、第2流路(155b)を流れる冷媒は、吸熱も放熱もしない。それ以外の冷媒の流通経路は、実施形態1の熱源ユニット(10)と同じである。
【0180】
-制御器の動作-
制御器(100)を構成する本実施形態の室外制御器(101)は、切換部(170)を構成するバイパス弁(166)及び室外開閉弁(161)を、冷媒温度センサ(157)の計測値に基づいて制御する。
【0181】
この室外制御器(101)の制御動作について、図10のフロー図を参照しながら説明する。室外制御器(101)は、図10のフロー図に示す制御動作を、所定の時間毎(例えば、60秒毎)に繰り返し実行する。本実施形態の室外制御器(101)における第1基準温度Tr1及び第2基準温度Tr2は、それぞれ実施形態1の第1基準温度Tr1及び第2基準温度Tr2と同じである。
【0182】
ステップST21の処理において、室外制御器(101)は、冷媒温度センサ(157)の計測値Tprが第2基準温度Tr2よりも低い(Tpr<Tr2)という条件の成否を判断する。この条件が成立する場合、室外制御器(101)は、ステップST22の処理を行う。一方、この条件が成立しない場合、室外制御器(101)は、ステップST23の処理を行う。
【0183】
ステップST22の処理において、室外制御器(101)は、室外開閉弁(161)を閉状態にし、バイパス弁(166)を開状態にする。この処理を室外制御器(101)が行うと、バイパス配管(165)を冷媒が流れ、冷媒冷却器(155)が休止状態になる。ステップST22の処理が終了すると、室外制御器(101)は、バイパス弁(166)及び室外開閉弁(161)に関する制御動作を一旦終了する。
【0184】
ステップST23の処理において、室外制御器(101)は、冷媒温度センサ(157)の計測値Tprが第1基準温度Tr1よりも高い(Tpr>Tr1)という条件の成否を判断する。この条件が成立する場合、室外制御器(101)は、ステップST24の処理を行う。一方、この条件が成立しない場合、室外制御器(101)は、バイパス弁(166)及び室外開閉弁(161)に関する制御動作を一旦終了する。
【0185】
ステップST24の処理において、室外制御器(101)は、室外開閉弁(161)を開状態にし、バイパス弁(166)を閉状態にする。この処理を室外制御器(101)が行うと、冷媒冷却器(155)の第1流路(155a)を冷媒が流れ、冷媒冷却器(155)が冷却状態になる。ステップST24の処理が終了すると、室外制御器(101)は、バイパス弁(166)及び室外開閉弁(161)に関する制御動作を一旦終了する。
【0186】
-室内制御器の動作-
室内制御器(103)が目標過熱度を調節する動作について説明する。
【0187】
本実施形態の室外制御器(101)は、冷媒冷却器(155)が冷却状態であることを示す冷却信号を出力できるように構成される。室外制御器(101)は、冷媒冷却器(155)が冷却状態であるときに冷却信号を出力する一方、冷媒冷却器(155)が休止状態であるときは冷却信号を出力しない。
【0188】
室内制御器(103)は、冷媒冷却器(155)が冷却状態であることを示す冷却信号を、室外制御器(101)から受信できるように構成される。室内制御器(103)は、冷却信号を受信していない場合に、目標過熱度を第1過熱度(例えば、5℃)に設定する。また、室内制御器(103)は、冷却信号を受信している場合に、目標過熱度を第1過熱度よりも低い第2過熱度(例えば、2℃)に設定する。
【0189】
室内制御器(103)が目標過熱度を第1過熱度から第2過熱度に引き下げると、空調ユニット(50)から流出する冷媒の過熱度が低下する。そのため、冷媒冷却器(155)が冷却状態である場合は、第1低段吸入管(23a)を通って冷媒冷却器(155)の第2流路(155b)へ流入する冷媒の過熱度が低下し、その結果、冷媒冷却器(155)の第2流路(155b)から流出して第1低段圧縮機(23)へ吸入される冷媒の過熱度が低下する。
【0190】
-実施形態2の特徴-
本実施形態の冷媒冷却器(155)は、第1低段吸入管(23a)へ吸入される冷媒を冷却媒体として用いて、第1流路(155a)を流れる冷媒を冷却する。そのため、冷媒冷却器(155)を備えない従来の熱源ユニットに比べて、第1低段吸入管(23a)へ吸入される冷媒の過熱度が大きくなるおそれがある。
【0191】
一方、本実施形態の室内制御器(103)は、冷媒冷却器(155)が冷却状態であるときに、目標過熱度を第1過熱度から第2過熱度に引き下げる。そのため、第1低段圧縮機(23)へ吸入される冷媒の過熱度の増大量を削減することができる。その結果、第1低段圧縮機(23)において圧縮された冷媒の過熱度が過大になるのを未然に防ぎ、第1低段圧縮機(23)の信頼性を保つことができる。
【0192】
《実施形態3》
実施形態3について説明する。ここでは、本実施形態の冷凍装置(1)について、実施形態2の冷凍装置(1)と異なる点を説明する。
【0193】
図11に示すように、本実施形態の熱源ユニット(10)では、室外第3管(o3)の接続位置が、実施形態2の室外回路(11)と異なる。本実施形態の室外回路(11)において、室外第3管(o3)の一端は、室外第1管(o1)における室外熱交換器(13)と室外開閉弁(161)の間に接続される。室外第3管(o3)の他端は、実施形態2と同様に、室外第4管(o4)の他端に接続する。
【0194】
本実施形態の室外第3管(o3)には、副室外膨張弁(183)が設けられる。副室外膨張弁(183)は、室外第4管(o4)に接続する室外第3管(o3)の他端と第5逆止弁 (CV5)の間に設けられる。副室外膨張弁(183)は、開度を調節可能な電子膨張弁である。
【0195】
本実施形態のバイパス弁(166)は、バイパス配管(165)の一端から他端へ向かう冷媒の流れだけを断続できるように構成される。
【0196】
-冷凍装置の運転動作-
冷凍装置(1)の運転動作について説明する。本実施形態の冷凍装置(1)は、実施形態2の冷凍装置(1)と同様に、冷房運転と、暖房運転とを行う。
【0197】
〈冷房運転〉
冷凍装置(1)の冷房運転について説明する。ここでは、本実施形態の冷凍装置(1)が行う冷房運転について、実施形態2の冷凍装置(1)が行う冷房運転と異なる点を説明する。
【0198】
本実施形態の熱源ユニット(10)では、室外膨張弁(14)の開度が調節され、副室外膨張弁(183)が閉状態に保持される。実施形態2と同様に、室外熱交換器(13)から流出した冷媒は、冷媒冷却器(155)の第1流路(155a)又はバイパス配管(165)を通って室外膨張弁(14)へ流入し、室外膨張弁(14)を通過する際に減圧される。
【0199】
〈暖房運転〉
冷凍装置(1)の暖房運転について説明する。ここでは、本実施形態の冷凍装置(1)が行う暖房運転について、実施形態2の冷凍装置(1)が行う暖房運転と異なる点を説明する。
【0200】
室外熱交換器(13)が蒸発器として機能する場合の暖房運転において、本実施形態の熱源ユニット(10)では、室外膨張弁(14)が閉状態に保持され、副室外膨張弁(183)の開度が調節される。過冷却熱交換器(16)の第1流路(16a)を通過して室外第3管(o3)へ流入した冷媒は、副室外膨張弁(183)を通過する際に減圧され、その後に室外熱交換器(13)へ流入する。
【0201】
《実施形態4》
実施形態4について説明する。ここでは、本実施形態の冷凍装置(1)について、実施形態2の冷凍装置(1)と異なる点を説明する。
【0202】
-冷凍装置の構成-
図12に示すように、本実施形態の冷凍装置(1)では、実施形態2の冷却ユニット(60)が省略される。本実施形態の冷凍装置(1)の冷媒回路(6)では、一つの熱源ユニット(10)と、複数の空調ユニット(50)とが、第1液連絡配管(2)及び第2ガス連絡配管(5)によって接続される。
【0203】
本実施形態の熱源ユニット(10)では、実施形態2の第2低段圧縮機(22)、第2低段吸入管 (22a)、及び第2低段吐出管 (22b)が省略される。本実施形態の圧縮要素(C)は、第1低段圧縮機(23)と高段圧縮機(21)とを備える一方、第2低段圧縮機(22)を備えない。
【0204】
本実施形態の熱源ユニット(10)は、実施形態2の流路切換機構(30)の代わりに一つの切換弁(80)を備える。この切換弁(80)は、実施形態2の第1切換弁(81)及び第2切換弁(82)と同様に、四方切換弁によって構成される。切換弁(80)は、第1ポートが高段吐出管(21b)に、第2ポートが第1低段吸入管(23a)に、第3ポートが第2室外ガス管(36)に、第4ポートが第1室外ガス管(35)に、それぞれ接続する。
【0205】
切換弁(80)は、第1状態(図12に実線で示す状態)と第2状態(図12に破線で示す状態)とに切り換わる。第1状態の切換弁(80)では、第1ポートが第3ポートと連通し、且つ第2ポートが第4ポートと連通する。第2状態の切換弁(80)では、第1ポートが第4ポートと連通し、第2ポートが第3ポートと連通する。切換弁(80)は、冷凍装置(1)の冷房運転において第1状態に設定され、冷凍装置(1)の暖房運転において第2状態に設定される。
【0206】
-実施形態4の変形例-
本実施形態の冷凍装置(1)では、空調ユニット(50)に代えて、冷蔵ショーケースやユニットクーラー等の冷却ユニットが設けられていてもよい。この場合、冷凍装置(1)では、冷却ユニットの冷却熱交換器において庫内空気を冷却する冷却運転と、冷却ユニットの冷却熱交換器に付着した霜を溶かすためのデフロスト運転とを相互に切り換える際に、切換弁(80)が第1状態と第2状態の一方から他方に切り換わる。
【0207】
《実施形態5》
実施形態5について説明する。ここでは、本実施形態の冷凍装置(1)について、実施形態2の冷凍装置(1)と異なる点を説明する。
【0208】
図13に示すように、本実施形態の熱源ユニット(10)では、冷媒冷却器(155)の第2流路(155b)が、ガス抜き管(37)に設けられる。ガス抜き管(37)において、冷媒冷却器(155)の第2流路(155b)は、ガス抜き弁(39)の下流に配置される。本実施形態の冷媒冷却器(155)では、ガス抜き管(37)をレシーバ(15)から高段圧縮機(21)へ向かって流れる一次冷媒が、冷却媒体として第2流路(155b)を流れる。
【0209】
本実施形態の熱源ユニット(10)は、ガス温度センサ(110)を備える。ガス温度センサ(110)は、ガス抜き管(37)に取り付けられる。ガス抜き管(37)において、ガス温度センサ(110)は、冷媒冷却器(155)の下流に配置される。ガス温度センサ(110)は、冷媒冷却器(155)の第2流路(155b)を通過した冷媒の温度を計測する。ガス温度センサ(110)の計測値は、室外制御器(101)に送信される。
【0210】
-冷凍装置の運転動作-
冷凍装置(1)の運転動作について説明する。本実施形態の冷凍装置(1)は、実施形態2の冷凍装置(1)と同様に、冷房運転と、暖房運転とを行う。
【0211】
〈冷房運転〉
冷凍装置(1)の冷房運転について説明する。ここでは、本実施形態の冷凍装置(1)が行う冷房運転について、実施形態2の冷凍装置(1)が行う冷房運転と異なる点を説明する。
【0212】
ここでは、冷媒冷却器(155)が冷却状態である場合の冷房運転について説明する。制御器(100)が室外開閉弁(161)を開状態にしてバイパス弁(166)を閉状態にすると、冷媒冷却器(155)が冷却状態になる。
【0213】
レシーバ(15)からガス抜き管(37)へ流入したガス冷媒は、ガス抜き弁(39)を通過する際に減圧され、その後に冷媒冷却器(155)の第2流路(155b)へ流入する。冷媒冷却器(155)では、第2流路(155b)へ流入した冷媒が、第1流路(155a)を流れる冷媒から吸熱する。その結果、冷媒冷却器(155)では、第1流路(155a)を流れる冷媒が冷却される。冷媒冷却器(155)の第2流路(155b)を通過した冷媒は、インジェクション管(38)を流れる冷媒と共に高段圧縮機(21)へ吸入される。
【0214】
〈暖房運転〉
冷凍装置(1)の暖房運転について説明する。ここでは、本実施形態の冷凍装置(1)が行う暖房運転について、実施形態2の冷凍装置(1)が行う暖房運転と異なる点を説明する。実施形態2と同様に、暖房運転中には、冷媒冷却器(155)が休止状態になる。制御器(100)が室外開閉弁(161)を閉状態にしてバイパス弁(166)を開状態にすると、冷媒冷却器(155)が休止状態になる。
【0215】
レシーバ(15)からガス抜き管(37)へ流入したガス冷媒は、ガス抜き弁(39)と、冷媒冷却器(155)の第2流路(155b)とを順に通過し、その後に高段圧縮機(21)へ吸入される。冷媒冷却器(155)は休止状態であるため、第2流路(155b)を流れる冷媒は、吸熱も放熱もしない。それ以外の冷媒の流通経路は、実施形態2の熱源ユニット(10)と同じである。
【0216】
-制御器の動作-
制御器(100)を構成する本実施形態の室外制御器(101)は、切換部(170)を構成するバイパス弁(166)及び室外開閉弁(161)を、冷媒温度センサ(157)及びガス温度センサ(110)の計測値に基づいて制御する。
【0217】
この室外制御器(101)の制御動作について、図14のフロー図を参照しながら説明する。室外制御器(101)は、図14のフロー図に示す制御動作を、所定の時間毎(例えば、60秒毎)に繰り返し実行する。本実施形態の室外制御器(101)における第2基準温度Tr2は、実施形態1の第2基準温度Tr2と同じである。
【0218】
ステップST31の処理において、室外制御器(101)は、高圧圧力センサ(71)の計測値HPが一次冷媒(本実施形態では、二酸化炭素)の臨界圧力CPよりも高い(HP>CP)という条件の成否を判断する。この条件が成立する場合、室外制御器(101)は、ステップST32の処理を行う。一方、この条件が成立しない場合、室外制御器(101)は、ステップST38の処理を行う。
【0219】
ステップST32に処理において、室外制御器(101)は、冷媒温度センサ(157)の計測値Tprが第2基準温度Tr2よりも高い(Tpr>Tr2)という条件の成否を判断する。この条件が成立する場合、室外制御器(101)は、ステップST33の処理を行う。一方、この条件が成立しない場合、室外制御器(101)は、ステップST38の処理を行う。
【0220】
ステップST33に処理において、室外制御器(101)は、冷媒温度センサ(157)の計測値Tprとガス温度センサ(110)の計測値Tgrの差(Tpr-Tgr)が所定値αよりも大きい(Tpr-Tgr>α)という条件の成否を判断する。この条件が成立する場合、室外制御器(101)は、ステップST34の処理を行う。一方、この条件が成立しない場合、室外制御器(101)は、ステップST35の処理を行う。なお、所定値αは、予め室外制御器(101)に記録された定数であり、例えば「5℃」に設定される。
【0221】
ステップST34の処理において、室外制御器(101)は、ガス抜き弁(39)の開度を拡大する。ステップST33の条件(Tpr-Tgr>α)が成立する場合は、冷媒冷却器(155)の冷却能力を増やす余地があると判断できる。そこで、ステップST33の条件が成立する場合、室外制御器(101)は、ステップST34の処理においてガス抜き弁(39)の開度を拡大し、冷媒冷却器(155)の第2流路(155b)を流れる冷媒の流量を増やす。ステップST34の処理が終了すると、室外制御器(101)は、ガス抜き弁(39)の開度制御を一旦終了する。
【0222】
ステップST35の処理において、室外制御器(101)は、冷媒温度センサ(157)の計測値Tprとガス温度センサ(110)の計測値Tgrの差(Tpr-Tgr)が所定値βよりも小さい(Tpr-Tgr<β)という条件の成否を判断する。この条件が成立する場合、室外制御器(101)は、ステップST36の処理を行う。一方、この条件が成立しない場合、室外制御器(101)は、ステップST37の処理を行う。なお、所定値βは、予め室外制御器(101)に記録された定数であり、例えば「3℃」に設定される。
【0223】
ステップST36の処理において、室外制御器(101)は、ガス抜き弁(39)の開度を縮小する。ステップST35の条件(Tpr-Tgr<β)が成立する場合は、冷媒冷却器(155)の冷却能力を減らす必要があると判断できる。そこで、ステップST35の条件が成立する場合、室外制御器(101)は、ステップST36の処理においてガス抜き弁(39)の開度を縮小し、冷媒冷却器(155)の第2流路(155b)を流れる冷媒の流量を減らす。ステップST36の処理が終了すると、室外制御器(101)は、ガス抜き弁(39)の開度制御を一旦終了する。
【0224】
ステップST37の処理において、室外制御器(101)は、ガス抜き弁(39)の開度を保持する。ステップST33の条件(Tpr-Tgr>α)とステップST35の条件(Tpr-Tgr<β)の両方が成立しない場合は、冷媒冷却器(155)の冷却能力を変化させる必要が無いと判断できる。そこで、この場合、室外制御器(101)は、ガス抜き弁(39)の開度を変更しない。ステップST37の処理が終了すると、室外制御器(101)は、ガス抜き弁(39)の開度制御を一旦終了する。
【0225】
ステップST38の処理において、室外制御器(101)は、ガス抜き弁(39)を全閉状態にする。ステップST31の条件(HP>CP)とステップST32の条件(Tpr>Tr2)の両方が成立しない場合は、冷媒冷却器(155)において第1流路(155a)の冷媒を冷却する必要が無いと判断できる。そこで、この場合、室外制御器(101)は、ガス抜き弁(39)を全閉状態にする。ステップST38の処理が終了すると、室外制御器(101)は、ガス抜き弁(39)の開度制御を一旦終了する。
【0226】
-実施形態5の特徴-
本実施形態の冷媒冷却器(155)では、放熱器として機能する室外熱交換器(13)から室外膨張弁(14)へ向かう冷媒が第1流路(155a)を流れ、レシーバ(15)から流出してガス抜き弁(39)において減圧された冷媒が第2流路(155b)を流れる。そして、この冷媒冷却器(155)では、第1流路(155a)を流れる冷媒が、第2流路(155b)を流れる冷媒によって冷却される。
【0227】
放熱器として機能する室外熱交換器(13)から流出する冷媒の温度は、例えば35℃~40℃程度である。一方、レシーバ(15)からガス抜き管(37)へ流入するガス冷媒の温度は、例えば25℃程度である。そのため、本実施形態の冷媒冷却器(155)では、第1流路(155a)を流れる冷媒の温度と、第2流路(155b)を流れる冷媒の温度との差が、比較的大きくなる。従って、本実施形態の冷凍装置(1)では、冷媒冷却器(155)の熱交換量を確保するのに必要な伝熱面積が小さくて済むため、冷媒冷却器(155)を小型化することができる。
【0228】
《その他の実施形態》
-第1変形例-
上記実施形態1~4の熱源ユニット(10)において、制御器(100)は、圧縮要素(C)の運転容量に応じて切換部(170)を制御するように構成されていてもよい。
【0229】
本変形例の制御器(100)は、圧縮要素(C)の運転容量に関する第1条件が成立すると、冷媒冷却器(155)が休止状態から冷却状態になるように切換部(170)を制御する。第1条件は、例えば、高段圧縮機(21)の回転速度が第1基準速度(例えば、最大回転速度)に達し、第1低段圧縮機(23)の回転速度が第2基準速度(例えば、最大回転速度)に達し、且つ、第2低段圧縮機(22)の回転速度が第3基準速度(例えば、最大回転速度)に達する、という条件である。
【0230】
本変形例の制御器(100)は、圧縮要素(C)の運転容量に関する第2条件が成立すると、冷媒冷却器(155)が冷却状態から休止状態になるように切換部(170)を制御する。第2条件は、例えば、高段圧縮機(21)の回転速度が第4基準速度(最大回転速度よりも低い回転速度)を下回り、第1低段圧縮機(23)の回転速度が第5基準速度(最大回転速度よりも低い回転速度)を下回り、且つ、第2低段圧縮機(22)の回転速度が第6基準速度(最大回転速度よりも低い回転速度)を下回る、という条件である。
【0231】
圧縮要素(C)を構成する圧縮機(21,22,23)の回転速度が変化すると、圧縮要素(C)の運転容量が変化する。圧縮要素(C)を構成する圧縮機(21,22,23)の回転速度が変化すると、熱源ユニット(10)から空調ユニット(50)及び冷却ユニット(60)へ供給される冷媒の質量流量が変化し、その結果、空調ユニット(50)及び冷却ユニット(60)において得られる冷却能力が変化する。従って、熱源ユニット(10)に設けられた圧縮機(21,22,23)の回転速度は、熱源ユニット(10)の冷凍能力を示す指標である。
【0232】
なお、冷媒冷却器(155)が冷却状態から休止状態になるように切換部(170)を制御する際に制御器(100)が用いる指標と、冷媒冷却器(155)が休止状態から冷却状態になるように切換部(170)を制御する際に制御器(100)が用いる指標とは、異なっていてもよい。例えば、制御器(100)は、熱源ユニット(10)に設けられた圧縮機(21,22,23)の回転速度に基づいて、冷媒冷却器(155)が冷却状態から休止状態になるように切換部(170)を制御する一方、冷媒温度センサ(157)の計測値に基づいて、冷媒冷却器(155)が休止状態から冷却状態になるように切換部(170)を制御してもよい。
【0233】
-第2変形例-
上記実施形態1~4の熱源ユニット(10)では、ガス抜き管(37)及びガス抜き弁(39)が省略されていてもよい。例えば、冷凍装置(1)の冷房運転中において、レシーバ(15)へ流入する冷媒が常に液単相状態になるように冷媒冷却器(155)の冷却能力を調節する場合、室外回路(11)にガス抜き管(37)及びガス抜き弁(39)を設ける必要は無い。
【0234】
-第3変形例-
上記実施形態1~4の熱源ユニット(10)は、冷媒冷却器(155)において冷媒を冷却するための冷却媒体として、例えば冷却塔によって冷却された冷却水を用いるように構成されていてもよい。冷却媒体としては、夏期の室外空気の温度よりも低温(例えば、30℃以下)の流体を用いることができる。
【0235】
-第4変形例-
実施形態1~4の熱源ユニット(10)は、三段以上の多段圧縮冷凍サイクルを行うように構成されていてもよい。この場合、熱源ユニット(10)では、最も低段側の圧縮機が低段圧縮機(23)を構成し、最も高段側の圧縮機が高段圧縮機(21)を構成する。
【0236】
また、実施形態1~4の熱源ユニット(10)は、単段圧縮冷凍サイクルを行うように構成されていてもよい。
【0237】
-第5変形例-
実施形態1の補助制御器(102)及び実施形態2~5の室外制御器(101)のそれぞれにおいて、第2基準温度Tr2は冷凍装置(1)の運転状態に応じて設定されるが、この第2基準温度Tr2は、予め設定された一定の値であってもよい。
【0238】
一次冷媒が二酸化炭素である場合における第2基準温度Tr2の一例は、「32℃」である。第2基準温度Tr2が一定の値である場合は、第1基準温度Tr1も一定の値になる。第2基準温度Tr2=32℃である場合、第1基準温度Tr1は、例えば「35℃」に設定される。なお、ここに示した第1基準温度Tr1及び第2基準温度Tr2の値は、単なる一例である。従って、例えば、第2基準温度Tr2を「29℃」に設定し、第1基準温度Tr1を「37℃」に設定してもよい。
【0239】
本変形例の熱源ユニット(10)において、冷凍装置(1)の冷房運転中に室外膨張弁(14)を通過した一次冷媒の温度が飽和温度Ts以下である運転状態では、レシーバ(15)へ流入する冷媒が液単相状態になる。一方、冷凍装置(1)の冷房運転中に室外膨張弁(14)を通過した一次冷媒の温度が飽和温度Tsよりも高い運転状態では、レシーバ(15)へ流入する冷媒が気液二相状態になる。なお、上述したように、飽和温度Tsは、液冷媒圧力センサ(75)の計測値に相当する一次冷媒の飽和温度である。
【0240】
-第6変形例-
実施形態2~5の冷凍装置(1)において、冷媒回路(6)に充填される冷媒(一次冷媒)は、二酸化炭素に限定されない。実施形態2~5の冷媒回路(6)に適用できる冷媒は、実施形態1の冷凍装置(1)の一次冷媒として使用できる冷媒と同じである。
【0241】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。また、明細書および特許請求の範囲の「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0242】
以上説明したように、本開示は、熱源ユニットおよび冷凍装置について有用である。
【符号の説明】
【0243】
1 冷凍装置
10 熱源ユニット
13 室外熱交換器(第1熱交換器)
14 室外膨張弁(第1膨張弁)
15 レシーバ
16 過冷却熱交換器(第1冷却器)
21 高段圧縮機
22 第2低段圧縮機(圧縮機)
23 第1低段圧縮機(圧縮機、低段圧縮機)
37 ガス抜き管(ガス配管)
39 ガス抜き弁(減圧部)
50 空調ユニット(利用ユニット)
53 室内膨張弁(第2膨張弁)
54 室内熱交換器(第2熱交換器)
60 冷却ユニット(利用ユニット)
100 制御器
101 室外制御器
102 補助制御器
103 室内制御器(過熱度制御器)
151 補助冷媒回路
152 補助圧縮機
155 冷媒冷却器(第2冷却器)
165 バイパス配管
166 バイパス弁
170 切換部
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