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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186868
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
A63F7/02 320
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170320
(22)【出願日】2022-10-25
(62)【分割の表示】P 2021068070の分割
【原出願日】2016-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000144522
【氏名又は名称】株式会社三洋物産
(74)【代理人】
【識別番号】100143063
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 悟
(72)【発明者】
【氏名】岡村 鉉
(57)【要約】
【課題】表示制御を好適に行うことが可能な遊技機を提供する。
【解決手段】VDP635では表示CPU631からの描画指示に基づいてフレームバッファ642に描画データを作成する。アウトライン表示演出を行う場合には、キャラクタを表示するためのキャラクタ用スプライトデータが用いられる。当該キャラクタ用スプライトデータはメモリモジュール633に記憶されている。VDP635は、キャラクタ用スプライトデータを読み出し、構成するピクセルに設定されている色情報を変更して単一色のキャラクタ用スプライトデータを生成する。そして、色情報の変更が行われていないキャラクタ用スプライトデータの奥側に、一部が当該キャラクタ用スプライトデータからはみ出す態様で単一色のキャラクタ用スプライトデータを設定する。
【選択図】 図51
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づいてデータ生成手段により生成された生成データを記憶する記憶手段と、
当該記憶手段に記憶された前記生成データに対応した画像を表示手段に出力表示する表示制御手段と、
を備えている遊技機において、
前記データ生成手段は、
所定個別画像を表示するための所定個別画像データに適用する色情報を特別情報に設定することで特定個別画像データを生成する特定生成手段と、
前記特定個別画像データに対応する特定個別画像の一部が前記所定個別画像に対して奥側にて重なり前記特定個別画像の一部が前記所定個別画像の外側に存在するように、前記特定個別画像データ及び前記所定個別画像データを設定する所定設定手段と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機の一種として、スロットマシンやパチンコ遊技機等が知られている。これらの遊技機は、CPUが実装されているとともに遊技に係る制御プログラムが記憶されたメモリ等の素子が実装された制御基板を備えており、その制御基板によって一連の遊技が制御されている。なお、CPUやメモリが個別に制御基板に実装されているのではなく、それらが集積化された状態で制御基板に実装された構成も知られている。
【0003】
上記遊技機においては、例えば液晶表示装置といったように、表示画面を有する表示装置が搭載されたものが知られている。かかる遊技機では、画像データが予め記憶された画像データ用のメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像データを用いて表示画面にて所定の画像が表示されることとなる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-18122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記例示等のような遊技機においては、表示制御を好適に行うことが可能な構成が求められており、この点について未だ改良の余地がある。
【0006】
本発明は、上記例示した事情等に鑑みてなされたものであり、表示制御を好適に行うことが可能な遊技機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく請求項1記載の発明は、画像データに基づいてデータ生成手段により生成された生成データを記憶する記憶手段と、
当該記憶手段に記憶された前記生成データに対応した画像を表示手段に出力表示する表示制御手段と、
を備えている遊技機において、
前記データ生成手段は、
所定個別画像を表示するための所定個別画像データに適用する色情報を特別情報に設定することで特定個別画像データを生成する特定生成手段と、
前記特定個別画像データに対応する特定個別画像の一部が前記所定個別画像に対して奥側にて重なり前記特定個別画像の一部が前記所定個別画像の外側に存在するように、前記特定個別画像データ及び前記所定個別画像データを設定する所定設定手段と、
を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、表示制御を好適に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】パチンコ機を示す正面図である。
図2】(a)~(j)図柄表示装置の表示面における表示内容を説明するための説明図である。
図3】(a),(b)図柄表示装置の表示面における表示内容を説明するための説明図である。
図4】パチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。
図5】当否抽選などに用いられる各種カウンタの内容を説明するための説明図である。
図6】主制御装置にて実行されるタイマ割込み処理を示すフローチャートである。
図7】主制御装置にて実行される通常処理を示すフローチャートである。
図8】主制御装置にて実行される遊技回制御処理を示すフローチャートである。
図9】主制御装置にて実行される変動開始処理を示すフローチャートである。
図10】表示CPUにて実行されるV割込み処理を示すフローチャートである。
図11】表示CPUにて実行されるタスク処理を示すフローチャートである。
図12】(a)~(c)描画リストの内容を説明するための説明図である。
図13】VDPにて実行される描画処理を示すフローチャートである。
図14】描画処理の実行に伴い描画データが作成される様子を説明するための説明図である。
図15】メーター表示演出におけるメーター用描画データを説明するための説明図である。
図16】(a)枠用オブジェクトを説明するための説明図であり、(b)メーター用オブジェクトを説明するための説明図であり、(c)メーター用テクスチャを説明するための説明図であり、(d)開始タイミングにおける枠用オブジェクトとメーター用オブジェクトを説明するための説明図であり、(e)更新タイミングにおける枠用オブジェクトとメーター用オブジェクトを説明するための説明図である。
図17】(a),(b)枠を表示するメーター表示演出におけるメーター用テクスチャの平行投影マッピングを説明するための説明図であり、(c)UVマッピングによりメーター用テクスチャが適用された場合のメーター用投影領域について説明するための説明図である。
図18】(a)枠を表示しない場合のメーターの表示態様を説明するための説明図であり、(b)メーター用オブジェクトとブランクオブジェクトとを説明するための説明図であり、(c),(d)枠を表示しないメーター表示演出におけるメーター用テクスチャの平行投影マッピングを説明するための説明図である。
図19】表示CPUにて実行されるメーター表示演出用の把握処理を示すフローチャートである。
図20】表示CPUにて実行されるメーター表示演出用の各種データ把握処理を示すフローチャートである。
図21】VDPにて実行されるメーター用オブジェクトの設定処理を示すフローチャートである。
図22】VDPにて実行されるメーター表示演出用の各種オブジェクト設定処理を示すフローチャートである。
図23】VDPにて実行されるメーター用テクスチャの適用処理を示すフローチャートである。
図24】(a)~(f)メーター表示演出の別形態において、オブジェクトの縮小を行わずに、ブランクオブジェクトを利用してメーターの部分表示を行う構成を説明するための説明図である。
図25】(a)球表示演出における表示対象の球体の上方に視点が設定されている場合の球体用描画データを説明するための説明図であり、(b)表示対象の球体の側方に視点が設定されている場合の球体用描画データを説明するための説明図である。
図26】(a)簡略版オブジェクトの斜視図であり、(b)第1頂点及び第1中心を説明するための説明図であり、(c)第2頂点及び第2中心を説明するための説明図であり、(d)簡略版オブジェクトを構成する頂点の位置関係を説明するための説明図であり、(e)簡略版オブジェクトの側面図であり、(f)半球状オブジェクトの斜視図である。
図27】(a)簡略版オブジェクトの正面図であり、(b)簡略版オブジェクトとスクリーン領域との関係を説明するための説明図である。
図28】(a)開始タイミングにおける簡略版オブジェクトとスクリーン領域との位置関係を説明するための説明図であり、(b)開始タイミングにおいて、簡略版オブジェクトの投影データに適用される球表示用テクスチャの対応範囲を説明するための説明図であり、(c)更新タイミングにおける簡略版オブジェクトとスクリーン領域との位置関係を説明するための説明図であり、(d)更新タイミングにおいて、簡略版オブジェクトの投影データに適用される球表示用テクスチャの対応範囲を説明するための説明図である。
図29】表示CPUにて実行される球表示演出用の演算処理を示すフローチャートである。
図30】(a)VDPにて実行される簡略版オブジェクトの設定処理を示すフローチャートであり、(b)VDPにて実行される球表示用テクスチャの適用処理を示すフローチャートである。
図31】(a)雲表示演出における雲用描画データを説明するための説明図であり、(b)雲表示用オブジェクトを説明するための説明図であり、(c)雲表示用オブジェクトの投影データを説明するための説明図であり、(d)雲表示用テクスチャを説明するための説明図であり、(e)雲表示用2次元データを説明するための説明図である。
図32】(a)切り抜き用オブジェクトを説明するための説明図であり、(b)切り抜き用オブジェクトの投影データを説明するための説明図であり、(c)枠表示用2次元データを説明するための説明図であり、(d)ぼかし範囲を説明するための説明図であり、(e)ぼかし範囲を設定するためのぼかし範囲テーブルである。
図33】(a)枠表示用2次元データを構成するドットの並びを説明するための説明図であり、(b),(c)縦スキャン処理を説明するための説明図であり、(d),(e)横スキャン処理を説明するための説明図である。
図34】(a)~(d)ぼかし範囲に設定されている色情報及び透過性情報を移動先範囲に移動する方法について説明するための説明図であり、(e)ぼかし枠表示用2次元データを説明するための説明図である。
図35】表示CPUにて実行される雲表示演出用の演算処理を示すフローチャートである。
図36】表示CPUにて実行される雲表示演出用の各種データの把握処理を示すフローチャートである。
図37】VDPにて実行される雲用描画データの作成処理を示すフローチャートである。
図38】VDPにて実行される雲表示用2次元データの作成処理を示すフローチャートである。
図39】VDPにて実行される切り抜き用オブジェクトの投影処理を示すフローチャートである。
図40】VDPにて実行される切り抜き処理を示すフローチャートである。
図41】VDPにて実行される縦スキャン処理を示すフローチャートである。
図42】VDPにて実行される横スキャン処理を示すフローチャートである。
図43】VDPにて実行される範囲設定処理を示すフローチャートである。
図44】VDPにて実行される色情報等の移動処理を示すフローチャートである。
図45】(a)オーラ表示演出におけるキャラクタ用描画データを説明するための説明図であり、(b)オーラ付きキャラクタ用描画データを説明するための説明図である。
図46】(a)頭部用オブジェクトを説明するための説明図であり、(b)頭部用投影データを説明するための説明図であり、(c)頭部用オーラオブジェクトを説明するための説明図であり、(d)オーラ用頭部投影データを説明するための説明図であり、(e)頭部オーラ用2次元データを説明するための説明図であり、(f)頭部オーラ用ぼかし2次元データを説明するための説明図である。
図47】(a)~(f)キャラクタの各部におけるオーラ付き部分用2次元データを説明するための説明図である。
図48】表示CPUにて実行されるオーラ表示演出用の演算処理を示すフローチャートである。
図49】表示CPUにて実行されるオーラ表示演出用の各種データの把握処理を示すフローチャートである。
図50】VDPにて実行されるオーラ付きキャラクタ用描画データの作成処理を示すフローチャートである。
図51】第2の実施形態における表示制御装置に係る電気的構成を示すブロック図である。
図52】表示CPUにて実行されるV割込み処理を説明するための説明図である。
図53】(a)~(c)描画リストの内容を説明するための説明図である。
図54】VDPにて実行される描画処理を示すフローチャートである。
図55】表示CPUにて実行されるタスク処理を示すフローチャートである。
図56】(a)アウトライン表示演出における大気領域に存在するキャラクタとアウトラインの表示態様を説明するための説明図であり、(b)水領域に存在するキャラクタの表示態様を説明するための説明図であり、(c)大気領域と水領域とにまたがって存在するキャラクタとアウトラインの表示態様を説明するための説明図である。
図57】(a)キャラクタ用スプライトデータを説明するための説明図であり、(b)アウトライン表示用領域を説明するための説明図であり、(c)フレーム領域の単位エリアを説明するための説明図であり、(d)スプライトデータのピクセルを説明するための説明図である。
図58】(a)フレーム領域における通常座標と特別座標との位置関係を説明するための説明図であり、(b)第1頭部領域~第4頭部領域のフレーム領域における位置関係を説明するための説明図であり、(c)頭部のアウトライン表示用領域を説明するための説明図であり、(d)頭部のはみ出し領域を説明するための説明図であり、(e),(f)キャラクタ用スプライトデータとはみ出し領域との関係について説明するための説明図である。
図59】(a)ぼかしアウトライン表示用領域を説明するための説明図であり、(b)~(d)ぼかし処理の効果について説明するための説明図であり、(e)キャラクタ用スプライトデータとぼかしはみ出し領域との関係について説明するための説明図であり、(f)水画像データを説明するための説明図である。
図60】表示CPUにて実行されるアウトライン表示演出用の演算処理を示すフローチャートである。
図61】VDPにて実行されるアウトライン表示演出用の描画処理を示すフローチャートである。
図62】VDPにて実行されるアウトライン表示用領域の描画処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施形態>
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の一実施形態を、図面に基づいて説明する。図1はパチンコ機10の正面図である。
【0011】
パチンコ機10は、図1に示すように、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に対して前方に回動可能に取り付けられた遊技機本体12とを有する。遊技機本体12は、内枠(図示略)と、その内枠の前方に配置される前扉枠14と、内枠の後方に配置される裏パックユニット(図示略)とを備えている。
【0012】
遊技機本体12のうち内枠が、左右両側部のうち一方を支持側として外枠11に回動可能に支持されている。また、内枠には、前扉枠14が回動可能に支持されており、左右両側部のうち一方を支持側として前方へ回動可能とされている。また、内枠には、裏パックユニットが回動可能に支持されており、左右両側部のうち一方を支持側として後方へ回動可能とされている。
【0013】
なお、遊技機本体12には、その回動先端部に施錠装置(図示略)が設けられており、遊技機本体12を外枠11に対して開放不能に施錠状態とする機能を有しているとともに、前扉枠14を内枠に対して開放不能に施錠状態とする機能を有している。これらの各施錠状態は、パチンコ機10前面にて露出させて設けられたシリンダ錠17に対して解錠キーを用いて解錠操作を行うことにより、それぞれ解除される。
【0014】
内枠には遊技盤20が搭載されている。遊技盤20には前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口21,可変入賞装置22,上作動口23,下作動口24,スルーゲート25、可変表示ユニット26、メイン表示部33及び役物用表示部34等がそれぞれ設けられている。
【0015】
一般入賞口21、可変入賞装置22、上作動口23及び下作動口24への入球が発生すると、それが遊技盤20の背面側に配設された検知センサ(図示略)により検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。その他に、遊技盤20の最下部にはアウト口27が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口27を通って遊技領域から排出される。また、遊技盤20には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘28が植設されていると共に、風車等の各種部材が配設されている。
【0016】
ここで、入球とは、所定の開口部を遊技球が通過することを意味し、開口部を通過した後に遊技領域から排出される態様だけでなく、開口部を通過した後に遊技領域から排出されない態様も含まれる。但し、以下の説明では、アウト口27への遊技球の入球と明確に区別するために、可変入賞装置22、上作動口23、下作動口24又はスルーゲート25への遊技球の入球を、入賞とも表現する。
【0017】
上作動口23及び下作動口24は、作動口装置としてユニット化されて遊技盤20に設置されている。上作動口23及び下作動口24は共に上向きに開放されている。また、上作動口23が上方となるようにして両作動口23,24は鉛直方向に並んでいる。下作動口24には、左右一対の可動片よりなるガイド片(サポート片)としての電動役物24aが設けられている。電動役物24aの閉鎖状態(非サポート状態又は非ガイド状態)では遊技球が下作動口24に入賞できず、電動役物24aが開放状態(サポート状態又はガイド状態)となることで下作動口24への入賞が可能となる。
【0018】
可変入賞装置22は、遊技盤20の背面側へと通じる大入賞口22aを備えているとともに、当該大入賞口22aを開閉する開閉扉22bを備えている。開閉扉22bは、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉鎖状態になっており、内部抽選において開閉実行モードへの移行に当選した場合に遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。ここで、開閉実行モードとは、大当たり当選となった場合に移行することとなるモードである。当該開閉実行モードについては、後に詳細に説明する。可変入賞装置22の開放態様としては、所定時間(例えば30sec)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として可変入賞装置22が繰り返し開放される態様がある。
【0019】
メイン表示部33及び役物用表示部34は、遊技領域の下部側に設けられている。メイン表示部33では、上作動口23又は下作動口24への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、上作動口23又は下作動口24への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が表示によって明示される。つまり、本パチンコ機10では、上作動口23への入賞と下作動口24への入賞とが内部抽選において区別されておらず、上作動口23又は下作動口24への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が共通の表示領域であるメイン表示部33にて明示される。そして、上作動口23又は下作動口24への入賞に基づく内部抽選の結果が開閉実行モードへの移行に対応した当選結果であった場合には、メイン表示部33にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、開閉実行モードへ移行する。
【0020】
なお、メイン表示部33は、複数のセグメント発光部が所定の態様で配列されてなるセグメント表示器により構成されているが、これに限定されることはなく、液晶表示装置、有機EL表示装置、CRT、ドットマトリックス等その他のタイプの表示装置によって構成されていてもよい。また、メイン表示部33にて変動表示される絵柄としては、複数種の文字が変動表示される構成、複数種の記号が変動表示される構成、複数種のキャラクタが変動表示される構成又は複数種の色が切り換え表示される構成などが考えられる。
【0021】
役物用表示部34では、スルーゲート25への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、スルーゲート25への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が表示によって明示される。スルーゲート25への入賞に基づく内部抽選の結果が電役開放状態への移行に対応した当選結果であった場合には、役物用表示部34にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、電役開放状態へ移行する。電役開放状態では、下作動口24に設けられた電動役物24aが所定の態様で開放状態となる。
【0022】
可変表示ユニット26には、絵柄の一種である図柄を変動表示する図柄表示装置31が設けられている。また、可変表示ユニット26には、図柄表示装置31を囲むようにしてセンターフレーム32が配設されている。このセンターフレーム32は、その上部がパチンコ機10前方に延出している。これにより、図柄表示装置31の表示面Gの前方を遊技球が落下していくのが防止されており、遊技球の落下により表示面Gの視認性が低下するといった不都合が生じない構成となっている。
【0023】
図柄表示装置31は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置130により表示内容が制御される。なお、図柄表示装置31は、液晶表示装置であることに限定されることはなく、プラズマディスプレイ装置、有機EL表示装置又はCRTといった他の表示装置であってもよい。
【0024】
図柄表示装置31では、上作動口23又は下作動口24への入賞に基づいて図柄の変動表示が開始される。すなわち、メイン表示部33において変動表示が行われる場合には、それに合わせて図柄表示装置31において変動表示が行われる。そして、例えば、遊技結果が大当たり結果となる遊技回では、図柄表示装置31では予め設定されている有効ライン上に所定の組み合わせの図柄が停止表示される。
【0025】
図柄表示装置31の表示内容について、図2及び図3を参照して詳細に説明する。図2は図柄表示装置31にて変動表示される図柄を個々に示す図であり、図3は図柄表示装置31の表示面Gを示す図である。
【0026】
図2(a)~(j)に示すように、絵柄の一種である図柄は、「1」~「9」の数字が各々付された9種類の主図柄と、貝形状の絵図柄からなる副図柄とにより構成されている。より詳しくは、タコ等の9種類のキャラクタ図柄に「1」~「9」の数字がそれぞれ付されて主図柄が構成されている。
【0027】
図3(a)に示すように、図柄表示装置31の表示面Gには、複数の表示領域として、上段・中段・下段の3つの図柄列SA1,SA2,SA3が設定されている。各図柄列SA1~SA3は、主図柄と副図柄が所定の順序で配列されて構成されている。詳細には、上図柄列SA1には、「1」~「9」の9種類の主図柄が数字の降順に配列されると共に、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。下図柄列SA3には、「1」~「9」の9種類の主図柄が数字の昇順に配列されると共に、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。
【0028】
つまり、上図柄列SA1と下図柄列SA3は18個の図柄により構成されている。これに対し、中図柄列SA2には、数字の昇順に「1」~「9」の9種類の主図柄が配列された上で「9」の主図柄と「1」の主図柄との間に「4」の主図柄が付加的に配列され、これら各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。つまり、中図柄列SA2に限っては、10個の主図柄が配されて20個の図柄により構成されている。そして、表示面Gでは、これら各図柄列SA1~SA3の図柄が周期性をもって所定の向きにスクロールするように変動表示される。
【0029】
図3(b)に示すように、表示面Gは、図柄列毎に3個の図柄が停止表示されるようになっており、結果として3×3の計9個の図柄が停止表示されるようになっている。また、表示面Gには、5つの有効ライン、すなわち左ラインL1、中ラインL2、右ラインL3、右下がりラインL4、右上がりラインL5が設定されている。そして、上図柄列SA1→下図柄列SA3→中図柄列SA2の順に変動表示が停止し、いずれかの有効ラインに同一の数字が付された図柄の組み合わせが形成された状態で全図柄列SA1~SA3の変動表示が終了すれば、後述する通常大当たり結果又は15R確変大当たり結果の発生として大当たり動画が表示されるようになっている。
【0030】
本パチンコ機10では、奇数番号(1,3,5,7,9)が付された主図柄は「特定図柄」に相当し、15R確変大当たり結果が発生する場合には、同一の特定図柄の組み合わせが停止表示される。また、偶数番号(2,4,6,8)が付された主図柄は「非特定図柄」に相当し、通常大当たり結果が発生する場合には、同一の非特定図柄の組み合わせが停止表示される。
【0031】
また、後述する明示2R確変大当たり結果となる場合には、同一の図柄の組み合わせとは異なる所定の図柄の組み合わせが形成された状態で全図柄列SA1~SA3の変動表示が終了し、その後に、明示用動画が表示されるようになっている。
【0032】
なお、図柄表示装置31における図柄の変動表示の態様は上記のものに限定されることはなく任意であり、図柄列の数、図柄列における図柄の変動表示の方向、各図柄列の図柄数などは適宜変更可能である。また、図柄表示装置31にて変動表示される絵柄は上記のような図柄に限定されることはなく、例えば絵柄として数字のみが変動表示される構成としてもよい。
【0033】
また、いずれかの作動口23,24への入賞に基づいて、メイン表示部33及び図柄表示装置31にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示し上記変動表示が停止されるまでが遊技回の1回に相当する。
【0034】
センターフレーム32の前面側における左上部分には、メイン表示部33及び図柄表示装置31に対応した第1保留発光部35が設けられている。遊技球が上作動口23又は下作動口24に入賞した個数は最大4個まで保留され、第1保留発光部35の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
【0035】
センターフレーム32の右上部分には、役物用表示部34に対応した第2保留発光部36が設けられている。遊技球がスルーゲート25を通過した回数は最大4回まで保留され、第2保留発光部36の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。なお、各保留発光部35,36の機能が図柄表示装置31の一部の領域における表示により果たされる構成としてもよい。
【0036】
遊技盤20には、レール部37が取り付けられており、当該レール部37により誘導レールが構成され、内枠において遊技盤20の下方に搭載された遊技球発射機構58(図示略)から発射された遊技球が遊技領域の上部に案内されるようになっている。遊技球発射機構58は、前扉枠14に設けられた発射ハンドル41が操作されることにより遊技球の発射動作が行われる。
【0037】
内枠の前面側全体を覆うようにして前扉枠14が設けられている。前扉枠14には、図1に示すように、遊技領域のほぼ全域を前方から視認することができるようにした窓部42が形成されている。窓部42は、略楕円形状をなし、図示しない窓パネルが嵌め込まれている。窓パネルは、ガラスによって無色透明に形成されているが、これに限定されることはなく合成樹脂によって無色透明に形成してもよい。
【0038】
窓部42の周囲には、発光手段が設けられている。当該発光手段の一部として表示発光部44が窓部42の上方に設けられている。また、表示発光部44の左右両側には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部45が設けられている。
【0039】
前扉枠14における窓部42の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部46と下側膨出部47とが上下に並設されている。上側膨出部46内側には上方に開口した上皿46aが設けられており、下側膨出部47内側には同じく上方に開口した下皿47aが設けられている。上皿46aは、後述する払出装置56より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射機構側へ導くための機能を有する。また、下皿47aは、上皿46a内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。上皿46a及び下皿47aには、裏パックユニットに搭載された払出装置56から払い出された遊技球が排出される。
【0040】
上側膨出部46においてパチンコ機10前方を向く領域には、遊技者により手動操作される操作部を具備する演出用操作装置48が設けられている。演出用操作装置48の操作部は、図柄表示装置31の表示面Gなどにおける演出内容を所定の演出内容とするために遊技者により手動操作される。
【0041】
内枠の背面側には、主制御装置50と、音声発光制御装置60と、表示制御装置130とが搭載されている。また、内枠の背面に対しては既に説明したとおり裏パックユニットが設けられており、当該裏パックユニットには、払出装置56を含む払出機構部と、払出制御装置と、電源及び発射制御装置57とが搭載されている。以下、パチンコ機10の電気的な構成について説明する。
【0042】
<パチンコ機10の電気的構成>
図4は、パチンコ機10の基本的な電気的構成を示すブロック図である。
【0043】
<主制御装置50>
主制御装置50は、遊技の主たる制御を司る主制御基板51を具備している。なお、主制御装置50において主制御基板51などを収容する基板ボックスに対して、その開放の痕跡を残すための痕跡手段を付与する又はその開放の痕跡を残すための痕跡構造を設けておくようにしてもよい。当該痕跡手段としては、基板ボックスを構成する複数のケース体を分離不能に結合するとともにその分離に際して所定部位の破壊を要する結合部(カシメ部)の構成や、引き剥がしにして粘着層が接着対象に残ることで剥がされたことの痕跡を残す封印シールを複数のケース体間の境界を跨ぐようにして貼り付ける構成が考えられる。また、痕跡構造としては、基板ボックスを構成する複数のケース体間の境界に対して接着剤を塗布する構成が考えられる。
【0044】
主制御基板51には、MPU52が搭載されている。MPU52には、当該MPU52により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM53と、そのROM53内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM54と、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路、乱数発生器としての各種カウンタ回路などが内蔵されている。
【0045】
なお、ROM53として、制御プログラムや固定値データの読み出しに際してランダムアクセスが可能であって、記憶保持に外部からの電力供給が不要な記憶手段(すなわち、不揮発性記憶手段)が用いられている。また、制御及び演算部分と、ROM53と、RAM54とが1チップ化されている構成は必須ではなく、各機能がそれぞれ別チップとして搭載されている構成としてもよく、一部の機能が別チップとして搭載されている構成としてもよい。
【0046】
MPU52には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU52の入力側には、電源及び発射制御装置57が接続されている。電源及び発射制御装置57は、例えば、遊技場等における商用電源(外部電源)に接続されている。そして、その商用電源から供給される外部電力に基づいて主制御基板51に対して各々に必要な動作電力を生成するとともに、その生成した動作電力を供給する。ちなみに、当該動作電力は主制御基板51だけでなく、払出制御装置55や後述する表示制御装置130といった他の機器にも供給される。
【0047】
なお、MPU52と電源及び発射制御装置57との電力経路上に停電監視基板を設けてもよい。この場合、当該停電監視基板により停電の発生が監視され、停電の発生が確認された場合にはMPU52に対して停電信号が送信されるようにすることで、MPU52において停電時用の処理を実行することが可能となる。
【0048】
また、MPU52の入力側には、図示しない各種センサが接続されている。当該各種センサの一部として、一般入賞口21、可変入賞装置22、上作動口23、下作動口24及びスルーゲート25といった入賞対応入球部に対して1対1で設けられた検知センサが含まれており、MPU52において各入球部への入賞判定(入球判定)が行われる。また、MPU52では上作動口23及び下作動口24への入賞に基づいて大当たり発生抽選及び大当たり結果種別抽選を実行するとともに、各遊技回のリーチ発生抽選や表示継続期間の決定抽選を実行する。
【0049】
ここで、MPU52にて各種抽選を行うための構成について説明する。
【0050】
MPU52は遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり発生抽選、メイン表示部33の表示の設定、図柄表示装置31の図柄表示の設定、役物用表示部34の表示の設定などを行うこととしており、具体的には、図5に示すように、大当たり発生抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、確変大当たり結果や通常大当たり結果等の大当たり種別を判定する際に使用する大当たり種別カウンタC2と、図柄表示装置31が外れ変動する際のリーチ発生抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、メイン表示部33及び図柄表示装置31における変動表示時間を決定する変動種別カウンタCSとを用いることとしている。さらに、下作動口24の電動役物24aを電役開放状態とするか否かの抽選に使用する電動役物開放カウンタC4を用いることとしている。なお、上記各カウンタC1~C3,CINI,CS,C4は、主側RAM54の抽選用カウンタエリア54aに設けられている。
【0051】
各カウンタC1~C3,CINI,CS,C4は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新される。大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3に対応した情報は、上作動口23又は下作動口24への入賞が発生した場合に、取得情報記憶手段としての保留球格納エリア54bに格納される。
【0052】
保留球格納エリア54bは、保留用エリアREと、実行エリアAEとを備えている。保留用エリアREは、第1保留エリアRE1、第2保留エリアRE2、第3保留エリアRE3及び第4保留エリアRE4を備えており、上作動口23又は下作動口24への入賞履歴に合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各数値情報が保留情報として、いずれかの保留エリアRE1~RE4に格納される。
【0053】
この場合、第1保留エリアRE1~第4保留エリアRE4には、上作動口23又は下作動口24への入賞が複数回連続して発生した場合に、第1保留エリアRE1→第2保留エリアRE2→第3保留エリアRE3→第4保留エリアRE4の順に各数値情報が時系列的に格納されていく。このように4つの保留エリアRE1~RE4が設けられていることにより、上作動口23又は下作動口24への遊技球の入賞履歴が最大4個まで保留記憶されるようになっている。また、保留用エリアREは、保留数記憶エリアNAを備えており、当該保留数記憶エリアNAには上作動口23又は下作動口24への入賞履歴を保留記憶している数を特定するための情報が格納される。
【0054】
なお、保留記憶可能な数は、4個に限定されることはなく任意であり、2個、3個又は5個以上といったように他の複数であってもよく、単数であってもよい。
【0055】
実行エリアAEは、メイン表示部33の変動表示を開始する際に、保留用エリアREの第1保留エリアRE1に格納された各値を移動させるためのエリアであり、1遊技回の開始に際しては実行エリアAEに記憶されている各種数値情報に基づいて、当否判定などが行われる。
【0056】
上記各カウンタについて詳細に説明する。
【0057】
各カウンタについて詳しくは、大当たり乱数カウンタC1は、例えば0~599の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタである(値=0~599)。大当たり乱数カウンタC1は定期的に更新され、遊技球が上作動口23又は下作動口24に入賞したタイミングで保留球格納エリア54bに格納される。
【0058】
大当たり当選となる乱数の値は、ROM53における当否情報群記憶手段としての当否テーブル記憶エリアに当否テーブルとして記憶されている。当否テーブルとしては、低確率モード用の当否テーブルと、高確率モード用の当否テーブルとが設定されている。つまり、本パチンコ機10は、当否抽選手段における抽選モードとして、低確率モードと高確率モードとが設定されている。
【0059】
上記抽選に際して低確率モード用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状態下では、大当たり当選となる乱数の数は2個である。一方、上記抽選に際して高確率モード用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状態下では、大当たり当選となる乱数の数は20個である。なお、低確率モードよりも高確率モードの方の当選確率が高くなるのであれば、上記当選となる乱数の数は任意である。
【0060】
大当たり種別カウンタC2は、0~29の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。大当たり種別カウンタC2は定期的に更新され、遊技球が上作動口23又は下作動口24に入賞したタイミングで保留球格納エリア54bに格納される。
【0061】
本パチンコ機10では、複数の大当たり結果が設定されている。これら複数の大当たり結果は、(1)開閉実行モードにおける可変入賞装置22の開閉制御の態様、(2)開閉実行モード終了後の当否抽選手段における抽選モード、(3)開閉実行モード終了後の下作動口24の電動役物24aにおけるサポートモード、という3つの条件に差異を設けることにより、複数の大当たり結果が設定されている。
【0062】
開閉実行モードにおける可変入賞装置22の開閉制御の態様としては、開閉実行モードが開始されてから終了するまでの間における可変入賞装置22への入賞の発生頻度が相対的に高低となるように高頻度入賞モードと低頻度入賞モードとが設定されている。具体的には、高頻度入賞モードでは、開閉実行モードの開始から終了までに、大入賞口22aの開閉が15回(高頻度用回数)行われるとともに、1回の開放は30sec(高頻度時間)が経過するまで又は大入賞口22aへの入賞個数が10個(高頻度個数)となるまで継続される。一方、低頻度入賞モードでは、開閉実行モードの開始から終了までに、大入賞口22aの開閉が2回(低頻度用回数)行われるとともに、1回の開放は0.2sec(低頻度時間)が経過するまで又は大入賞口22aへの入賞個数が6個(低頻度個数)となるまで継続される。
【0063】
本パチンコ機10では、発射ハンドル41が遊技者により操作されている状況では、0.6secに1個の遊技球が遊技領域に向けて発射されるように遊技球発射機構58が駆動制御される。これに対して、低頻度入賞モードでは、上記のとおり1回の大入賞口22aの開放時間は0.2secとなっている。つまり、低頻度入賞モードでは、遊技球の発射周期よりも1回の大入賞口22aの開放時間が短くなっている。したがって、低頻度入賞モードにかかる開閉実行モードでは実質的に遊技球の入賞が発生しない。
【0064】
なお、高頻度入賞モード及び低頻度入賞モードにおける大入賞口22aの開閉回数、1回の開放に対する開放制限時間及び1回の開放に対する開放制限個数は、高頻度入賞モードの方が低頻度入賞モードよりも、開閉実行モードが開始されてから終了するまでの間における可変入賞装置22への入賞の発生頻度が高くなるのであれば、上記の値に限定されることはなく任意である。具体的には、高頻度入賞モードの方が低頻度入賞モードよりも、開閉回数が多い、1回の開放に対する開放制限時間が長い又は1回の開放に対する開放制限個数が多く設定されていればよい。
【0065】
但し、高頻度入賞モードと低頻度入賞モードとの間での特典の差異を明確にする上では、低頻度入賞モードにかかる開閉実行モードでは、実質的に可変入賞装置22への入賞が発生しない構成とするとよい。例えば、高頻度入賞モードでは、1回の開放について、遊技球の発射周期と開放制限個数との積を、開放制限時間よりも短く設定する一方、低頻度入賞モードでは、1回の開放について、遊技球の発射周期と開放制限個数との積を、開放制限時間よりも長く設定する構成としてもよい。また、遊技球の発射間隔及び1回の大入賞口22aの開放時間が上記のものでなかったとしても、低頻度入賞モードでは、前者よりも後者の方が短くなるように設定することで、実質的に可変入賞装置22への入賞が発生しない構成を容易に実現することができる。
【0066】
下作動口24の電動役物24aにおけるサポートモードとしては、遊技領域に対して同様の態様で遊技球の発射が継続されている状況で比較した場合に、下作動口24の電動役物24aが単位時間当たりに開放状態となる頻度が相対的に高低となるように、低頻度サポートモード(低頻度サポート状態又は低頻度ガイド状態)と高頻度サポートモード(高頻度サポート状態又は高頻度ガイド状態)とが設定されている。
【0067】
具体的には、低頻度サポートモードと高頻度サポートモードとでは、電動役物開放カウンタC4を用いた電動役物開放抽選における電役開放状態当選となる確率は同一(例えば、共に4/5)となっているが、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、電役開放状態当選となった際に電動役物24aが開放状態となる回数が多く設定されており、さらに1回の開放時間が長く設定されている。この場合、高頻度サポートモードにおいて電役開放状態当選となり電動役物24aの開放状態が複数回発生する場合において、1回の開放状態が終了してから次の開放状態が開始されるまでの閉鎖時間は、1回の開放時間よりも短く設定されている。さらにまた、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で最低限確保される確保時間として短い時間が選択されるように設定されている。
【0068】
上記のように高頻度サポートモードでは、低頻度サポートモードよりも下作動口24への入賞が発生する確率が高くなる。換言すれば、低頻度サポートモードでは、下作動口24よりも上作動口23への入賞が発生する確率が高くなるが、高頻度サポートモードでは、上作動口23よりも下作動口24への入賞が発生する確率が高くなる。そして、下作動口24への入賞が発生した場合には、所定個数の遊技球の払出が実行されるため、高頻度サポートモードでは、遊技者は持ち球をあまり減らさないようにしながら遊技を行うことができる。
【0069】
なお、高頻度サポートモードを低頻度サポートモードよりも単位時間当たりに電役開放状態となる頻度を高くする上での構成は、上記のものに限定されることはなく、例えば電動役物開放抽選における電役開放状態当選となる確率を高くする構成としてもよい。また、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で確保される確保時間(例えば、スルーゲート25への入賞に基づき役物用表示部34にて実行される変動表示の時間)が複数種類用意されている構成においては、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、短い確保時間が選択され易い又は平均の確保時間が短くなるように設定されていてもよい。さらには、開放回数を多くする、開放時間を長くする、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で確保される確保時間を短くする(すなわち、役物用表示部34における1回の変動表示時間を短くする)、係る確保時間の平均時間を短くする及び当選確率を高くするのうち、いずれか1条件又は任意の組み合わせの条件を適用することで、低頻度サポートモードに対する高頻度サポートモードの有利性を高めてもよい。
【0070】
大当たり種別カウンタC2に対する遊技結果の振分先は、ROM53における振分情報群記憶手段としての振分テーブル記憶エリアに振分テーブルとして記憶されている。そして、かかる振分先として、通常大当たり結果と、明示2R確変大当たり結果と、15R確変大当たり結果とが設定されている。
【0071】
通常大当たり結果は、開閉実行モードが高頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが低確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。但し、この高頻度サポートモードは、移行後において遊技回数が終了基準回数(具体的には、100回)に達した場合に低頻度サポートモードに移行する。換言すれば、通常大当たり結果は、通常大当たり状態(低確率対応特別遊技状態)へ遊技状態を移行させる大当たり結果である。
【0072】
明示2R確変大当たり結果は、開閉実行モードが低頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが高確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。これら高確率モード及び高頻度サポートモードは、当否抽選における抽選結果が大当たり状態当選となり、それによる大当たり状態に移行するまで継続する。換言すれば、明示2R確変大当たり結果は、明示2R確変大当たり状態(明示高確率対応遊技状態)へ遊技状態を移行させる大当たり結果である。
【0073】
15R確変大当たり結果は、開閉実行モードが高頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが高確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。これら高確率モード及び高頻度サポートモードは、当否抽選における抽選結果が大当たり状態当選となり、それによる大当たり状態に移行するまで継続する。換言すれば、15R確変大当たり結果は、15R確変大当たり状態(高確率対応特別遊技状態)へ遊技状態を移行させる大当たり結果である。
【0074】
なお、上記各遊技状態との関係で通常遊技状態とは、当否抽選モードが低確率モードであり、サポートモードが低頻度サポートモードである状態をいう。
【0075】
振分テーブルでは、「0~29」の大当たり種別カウンタC2の値のうち、「0~9」が通常大当たり結果に対応しており、「10~14」が明示2R確変大当たり結果に対応しており、「15~29」が15R確変大当たり結果に対応している。
【0076】
上記のように、確変大当たり結果として、明示2R確変大当たり結果が設定されていることにより、確変大当たり結果の態様が多様化する。すなわち、2種類の確変大当たり結果を比較した場合、遊技者にとっての有利度合いは、開閉実行モードにおいて高頻度入賞モードとなり且つサポートモードでは高頻度サポートモードとなる15R確変大当たり結果が最も高く、開閉実行モードにおいて低頻度入賞モードとなるもののサポートモードでは高頻度サポートモードとなる明示2R確変大当たり結果が最も低くなる。これにより、遊技の単調化が抑えられ、遊技への注目度を高めることが可能となる。
【0077】
なお、確変大当たり結果の一種として、開閉実行モードが低頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが高確率モードとなるとともに、サポートモードがそれまでのモードに維持されることとなる非明示2R確変大当たり結果(非明示高確率対応遊技結果又は潜伏確変状態となる結果)が含まれていてもよい。この場合、確変大当たり結果のさらなる多様化が図られる。
【0078】
さらにまた、当否抽選における外れ結果の一種として、低頻度入賞モードの開閉実行モードに移行するとともに、その終了後において当否抽選モード及びサポートモードの移行が発生しない特別外れ結果が含まれていてもよい。上記のような非明示2R確変大当たり結果と当該特別外れ結果との両方が設定されている構成においては、開閉実行モードが低頻度入賞モードに移行すること、及びサポートモードがそれまでのモードに維持されることで共通しているのに対して、当否抽選モードの移行態様が異なっていることにより、例えば通常遊技状態において非明示2R確変大当たり結果又は特別外れ結果の一方が発生した場合に、それが実際にいずれの結果に対応しているのかを遊技者に予測させることが可能となる。
【0079】
リーチ乱数カウンタC3は、例えば0~238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。リーチ乱数カウンタC3は定期的に更新され、遊技球が上作動口23又は下作動口24に入賞したタイミングで保留球格納エリア54bに格納される。
【0080】
ここで、本パチンコ機10には、図柄表示装置31における表示演出の一種として期待演出が設定されている。期待演出とは、図柄の変動表示を行うことが可能な図柄表示装置31を備え、開閉実行モードが高頻度入賞モードとなる遊技回では変動表示後の停止表示結果が特別表示結果となる遊技機において、図柄表示装置31における図柄の変動表示が開始されてから停止表示結果が導出表示される前段階で、前記特別表示結果となり易い変動表示状態であると遊技者に思わせるための表示状態をいう。
【0081】
期待演出には、上記リーチ表示と、当該リーチ表示が発生する前段階などにおいてリーチ表示の発生や特別表示結果の発生を期待させるための予告表示との2種類が設定されている。
【0082】
リーチ表示には、図柄表示装置31の表示面Gに表示される複数の図柄列のうち一部の図柄列について図柄を停止表示させることで、高頻度入賞モードの発生に対応した大当たり図柄の組み合わせが成立する可能性があるリーチ図柄の組み合わせを表示し、その状態で残りの図柄列において図柄の変動表示を行う表示状態が含まれる。また、上記のようにリーチ図柄の組み合わせを表示した状態で、残りの図柄列において図柄の変動表示を行うとともに、その背景画像において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものや、リーチ図柄の組み合わせを縮小表示させる又は非表示とした上で、表示面Gの略全体において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものが含まれる。
【0083】
図柄の変動表示に係るリーチ表示について具体的には、図柄の変動表示を終了させる前段階として、図柄表示装置31の表示面内の予め設定された有効ライン上に、高頻度入賞モードの発生に対応した大当たり図柄の組み合わせが成立する可能性のあるリーチ図柄の組み合わせを停止表示させることによりリーチラインを形成させ、当該リーチラインが形成されている状況下において最終停止図柄列により図柄の変動表示を行うことである。
【0084】
図3の表示内容について具体的に説明すると、最初に上段の図柄列SA1において図柄の変動表示が終了され、さらに下段の図柄列SA3において図柄の変動表示が終了された状態において、いずれかの有効ラインL1~L5に同一の数字が付された主図柄が停止表示されることでリーチラインが形成され、当該リーチラインが形成されている状況化において中段の図柄列SA2において図柄の変動表示が行われることでリーチ表示となる。そして、高頻度入賞モードが発生する場合には、リーチラインを形成している主図柄と同一の数字が付された主図柄がリーチライン上に停止表示されるようにして中段の図柄列SA2における図柄の変動表示が終了される。
【0085】
予告表示には、図柄表示装置31の表示面Gにおいて図柄の変動表示が開始されてから、全ての図柄列SA1~SA3にて図柄が変動表示されている状況において、又は一部の図柄列であって複数の図柄列にて図柄が変動表示されている状況において、図柄列SA1~SA3上の図柄とは別にキャラクタを表示させる態様が含まれる。また、背景画像をそれまでの態様とは異なる所定の態様とするものや、図柄列SA1~SA3上の図柄をそれまでの態様とは異なる所定の態様とするものも含まれる。かかる予告表示は、リーチ表示が行われる場合及びリーチ表示が行われない場合のいずれの遊技回においても発生し得るが、リーチ表示の行われる場合の方がリーチ表示の行われない場合よりも高確率で発生するように設定されている。
【0086】
リーチ表示は、高頻度入賞モードとなる開閉実行モードに移行する遊技回では、リーチ乱数カウンタC3の値に関係なく実行され、低頻度入賞モードとなる開閉実行モードに移行する遊技回では、リーチ乱数カウンタC3の値に関係なく実行されない。また、開閉実行モードに移行しない遊技回では、ROM53のリーチ用テーブル記憶エリアに記憶されたリーチ用テーブルを参照して、所定のタイミングで取得したリーチ乱数カウンタC3がリーチ表示の発生に対応している場合に実行される。一方、予告表示を行うか否かの決定は、主制御装置50において行うのではなく、音声発光制御装置60において行われる。
【0087】
変動種別カウンタCSは、例えば0~198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCSは、メイン表示部33における変動表示時間と、図柄表示装置31における図柄の変動表示時間とをMPU52において決定する上で用いられる。変動種別カウンタCSは、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、メイン表示部33における変動表示の開始時及び図柄表示装置31による図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して変動種別カウンタCSの値が取得される。なお、変動表示時間の決定に際しては、ROM53の変動表示時間テーブル記憶エリアに予め記憶されている変動表示時間テーブルが参照される。
【0088】
電動役物開放カウンタC4は、例えば、0~250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。電動役物開放カウンタC4は定期的に更新され、スルーゲート25に遊技球が入賞したタイミングで電役保留エリア54cに格納される。そして、所定のタイミングにおいて、その格納された電動役物開放カウンタC4の値によって電動役物24aを開放状態に制御するか否かの抽選が行われる。
【0089】
MPU52の出力側には、払出制御装置55が接続されているとともに、電源及び発射制御装置57が接続されている。払出制御装置55には、例えば、上記入賞対応入球部への入賞判定結果に基づいて賞球コマンドが送信される。払出制御装置55は、主制御装置50から受信した賞球コマンドに基づいて、払出装置56により賞球や貸し球の払出制御を行う。電源及び発射制御装置57には、発射ハンドル41が操作されていることに基づいて発射許可コマンドが送信される。電源及び発射制御装置57は、主制御装置50から受信した発射許可コマンドに基づいて、遊技球発射機構58を駆動させ遊技球を遊技領域に向けて発射させる。
【0090】
また、MPU52の出力側には、メイン表示部33及び役物用表示部34が接続されており、これらメイン表示部33及び役物用表示部34の表示制御がMPU52により直接行われる。つまり、各遊技回に際しては、MPU52においてメイン表示部33の表示制御が実行される。また、電動役物24aを開放状態とするか否かの抽選結果を明示する場合に、MPU52において役物用表示部34の表示制御が実行される。
【0091】
また、MPU52の出力側には、可変入賞装置22の開閉扉22bを開閉動作させる可変入賞駆動部、及び下作動口24の電動役物24aを開閉動作させる電動役物駆動部が接続されている。つまり、開閉実行モードにおいては大入賞口22aが開閉されるように、MPU52において可変入賞駆動部の駆動制御が実行される。また、電動役物24aの開放状態当選となった場合には、電動役物24aが開閉されるように、MPU52において電動役物駆動部の駆動制御が実行される。
【0092】
また、MPU52の出力側には、音声発光制御装置60が接続されており、当該音声発光制御装置60に対して演出用の各種コマンドを送信する。
【0093】
<主制御装置50のMPU52にて実行される処理>
次に、MPU52にて実行される処理について説明する。
【0094】
MPU52は、電源の立ち上げ後において所定の遊技進行用処理を繰り返し実行する。本パチンコ機10では、当該遊技進行用処理として、第1の周期で繰り返し実行される通常処理と、第1の周期よりも短い第2の周期で起動され、通常処理に対して割り込んで実行されるタイマ割込み処理と、が設定されている。
【0095】
図6は、タイマ割込み処理を示すフローチャートである。なお、本処理はMPU52により定期的に(例えば2msec周期で)起動される。
【0096】
先ずステップS101では、読み込み処理を実行する。当該読み込み処理では、各種入賞検知センサの状態を読み込み、これら各種入賞検知センサの状態を判定して入賞検知情報を保存する処理を実行する。また、賞球の発生に対応した入賞検知センサにおいて遊技球の入賞が検知されている場合には、払出制御装置55に対して賞球の払い出し指示を行うための賞球コマンドを設定する。
【0097】
続くステップS102では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値に達した際0にクリアする。
【0098】
続くステップS103では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電動役物開放カウンタC4の更新を実行する。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電動役物開放カウンタC4をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値に達した際それぞれ0にクリアする。
【0099】
続くステップS104では、スルーゲート25への入賞に伴うスルー用の入賞処理を実行する。スルー用の入賞処理では、電役保留エリア54cに記憶されている役物保留記憶数が4未満であることを条件として、前記ステップS103にて更新した電動役物開放カウンタC4の値を電役保留エリア54cに格納する。
【0100】
その後、ステップS105にて、作動口23,24への入賞に伴う作動口用の入賞処理を実行する。作動口用の入賞処理では、上作動口23又は下作動口24への入賞が発生していた場合には、保留球格納エリア54bに記憶されている始動保留記憶数が上限数(例えば、「4」)未満であることを条件として、前記ステップS103にて更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各数値情報を保留球格納エリア54bの保留用エリアREに格納する。この場合、保留用エリアREの空き保留エリアRE1~RE4のうち最初の保留エリア、すなわち現状の始動保留記憶数と対応する保留エリアに格納する。ステップS105の処理を実行した後に、本タイマ割込み処理を終了する。
【0101】
図7は、通常処理を示すフローチャートである。通常処理は電源投入に伴い起動されるメイン処理が実行された後に開始される処理である。その概要として、ステップS201~ステップS209の処理が4msec周期の処理として実行され、その残余時間でステップS210及びステップS211のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
【0102】
ステップS201では、タイマ割込み処理又は前回の通常処理で設定したコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信する。具体的には、賞球コマンドの有無を判定し、賞球コマンドが設定されていればそれを払出制御装置55に対して送信する。また、所定の演出用コマンドが設定されている場合にはそれを音声発光制御装置60に対して送信する。
【0103】
続くステップS202では、変動種別カウンタCSの更新を実行する。具体的には、変動種別カウンタCSを1加算すると共に、カウンタ値が最大値に達した際にはカウンタ値を0にクリアする。
【0104】
続くステップS203では、各遊技回における遊技を制御するための遊技回制御処理を実行する。この遊技回制御処理では、大当たり判定、図柄表示装置31による図柄の変動表示の設定、及びメイン表示部33の表示制御などを行う。
【0105】
その後、ステップS204では、遊技状態を移行させるための遊技状態移行処理を実行する。遊技状態移行処理では、大当たり当選に対応した遊技回が終了している場合に開閉実行モードへの移行処理を実行し、可変入賞装置22の開閉処理を開始する。なお、開閉実行モードを開始する場合、開閉実行モード中、及び開閉実行モードを終了する場合などに、開閉実行モード用の各種コマンドを音声発光制御装置60に送信する。また、開閉実行モードが終了した場合には、当該モードの開始契機となった遊技回に係る大当たり種別に対応させて、当否抽選モードの移行やサポートモードの移行を実行する。
【0106】
続くステップS205では、デモ表示用処理を実行する。デモ表示用処理では、開閉実行モード中ではない状況で遊技回の終了後において新たな遊技回が開始されることなく予め定められたデモ開始用の開始待ち期間(例えば、0.1sec)が経過したか否かの判定処理を実行する。また、MPU52への電力供給が開始されてから又はパチンコ機10がリセットされてから、新たに遊技回が開始されることなく予め定められたデモ開始用の開始待ち期間(例えば、3sec)が経過したか否かの判定処理を実行する。そして、経過していると判定した場合には、デモ表示用のコマンドを音声発光制御装置60に送信する。
【0107】
なお、デモ表示とは、予め定められた開始待ち期間が経過している場合に、図柄表示装置31の表示面Gにて表示される開始待ち演出のことをいう。デモ画像では、図柄列SA1~SA3上に停止表示されている図柄が所定の動作を行っている画像が表示されるが、これに限定されることはなく、例えば、図柄が所定の動作を行っている画像の表示の後に又はそれに代えてメーカ名、機種名若しくは所定のキャラクタによる動画が表示される構成としてもよい。また、図柄列SA1~SA3上において変動表示される図柄のアニメーションによりデモ表示を行う構成においては、当該図柄として、直前の遊技回で最終停止表示された図柄を用いる構成としてもよい。この場合、デモ表示の多様化が図られる。
【0108】
続くステップS206では、下作動口24に設けられた電動役物24aを駆動制御するための電役サポート用処理を実行する。この電役サポート用処理では、RAM54の電役保留エリア54cに格納されている情報を用いて電動役物24aを開放状態とするか否かの判定、電動役物24aの開閉処理及び役物用表示部34の表示制御などを行う。
【0109】
その後、ステップS207では、遊技球発射制御処理を実行する。遊技球発射制御処理では、電源及び発射制御装置57から発射許可信号を入力していることを条件として、所定期間(例えば、0.6sec)に1回、遊技球発射機構58のソレノイドを励磁する。これにより、遊技球が遊技領域に向けて打ち出される。
【0110】
続くステップS208では、RAM54に電断フラグが格納されているか否かを判定する。電断フラグは、電断の発生が確認された場合に格納され、次回のメイン処理にて消去されるフラグである。
【0111】
電断フラグが格納されていない場合は、繰り返し実行される複数の処理の最後の処理が終了したこととなるので、ステップS209にて次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施の形態では4msec)が経過したか否かを判定する。そして、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINI及び変動種別カウンタCSの更新を繰り返し実行する。
【0112】
つまり、ステップS210では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値に達した際0にクリアする。また、ステップS211では、変動種別カウンタCSの更新を実行する。具体的には、変動種別カウンタCSを1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値に達した際0にクリアする。
【0113】
ここで、ステップS201~S207の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して乱数初期値カウンタCINIの更新を繰り返し実行することにより、乱数初期値カウンタCINI(すなわち、大当たり乱数カウンタC1の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCSについてもランダムに更新することができる。
【0114】
一方、ステップS208にて、電断フラグが格納されていると判定した場合は、電源遮断が発生したことになるので、ステップS212以降の電断時処理を実行する。つまり、ステップS212では、タイマ割込み処理の発生を禁止し、その後、ステップS213にてRAM判定値を算出、保存し、ステップS214にてRAM54のアクセスを禁止した後に、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。
【0115】
次に、ステップS203の遊技回制御処理を図8等のフローチャートを参照して説明する。
【0116】
遊技回制御処理では、先ずステップS301にて、開閉実行モード中か否かを判定する。開閉実行モード中である場合には、ステップS302以降の処理を実行することなく、本遊技回制御処理を終了する。つまり、開閉実行モード中である場合には、作動口23,24への入賞が発生しているか否かに関係なく、遊技回が開始されることはない。
【0117】
開閉実行モード中でない場合には、ステップS302にて、メイン表示部33が変動表示中であるか否かを判定する。メイン表示部33が変動表示中でない場合には、ステップS303~ステップS305の遊技回開始用処理に進む。
【0118】
遊技回開始用処理では、先ずステップS303にて、始動保留球数Nが「0」であるか否かを判定する。始動保留球数Nが「0」である場合とは、保留球格納エリア54bに保留情報が記憶されていないことを意味する。したがって、そのまま本遊技回制御処理を終了する。
【0119】
始動保留球数Nが「0」でない場合には、ステップS304にて保留球格納エリア54bの保留用エリアREに記憶されているデータを変動表示用に設定するためのデータ設定処理を実行する。具体的には、保留用エリアREの第1保留エリアRE1に格納されているデータを実行エリアAEにシフトする。その後、第1保留エリアRE1~第4保留エリアRE4に格納されているデータを下位エリア側に順にシフトさせる。その後、ステップS305にて変動開始処理を実行した後に、本遊技回制御処理を終了する。
【0120】
ステップS305の変動開始処理について、図9のフローチャートを参照しながら説明する。
【0121】
ステップS301にて、今回の変動開始処理に対応した保留情報が大当たり当選に対応しているか否かを判定するための当否判定処理を実行する。具体的には実行エリアAEにシフトされた保留情報のうち大当たり乱数カウンタC1に係る数値情報と、現状の当否抽選モードに対応した当否テーブルとを参照して、大当たり当選となるか否かを判定する。
【0122】
続くステップS302では大当たり当選であるか否かを判定する。大当たり当選である場合には、ステップS303にて種別判定処理を実行する。種別判定処理では、実行エリアAEにシフトされた保留情報のうち大当たり種別カウンタC2に係る数値情報と、振分テーブルとを参照して、大当たり種別を特定する。
【0123】
続くステップS304では、大当たり結果に対応した停止結果設定処理を実行する。具体的には、今回の変動開始に係る遊技回においてメイン表示部33に最終的に停止表示させる絵柄の態様の情報を、ROM53に予め記憶されている大当たり結果用の停止結果テーブルから特定し、その特定した情報をRAM54に記憶する。この大当たり結果用の停止結果テーブルには、メイン表示部33に停止表示される絵柄の態様の種類が、大当たり結果の種類毎に相違させて設定されており、ステップS304では、ステップS303にて特定した大当たり結果の種類に応じた絵柄の態様の情報をRAM54に記憶する。
【0124】
一方、ステップS302にて、大当たり当選ではないと判定した場合には、ステップS305にて、外れ時用の停止結果設定処理を実行する。具体的には、今回の変動開始に係る遊技回においてメイン表示部33に最終的に停止表示させる絵柄の態様の情報を、ROM53に予め記憶されている外れ時用の停止結果テーブルから特定し、その特定した情報をRAM54に記憶する。この場合に選択される絵柄の態様の情報は、大当たり結果の場合に選択される絵柄の態様の情報とは異なっている。
【0125】
ステップS304又はステップS305の処理を実行した後は、ステップS306にて、変動表示時間の設定処理を実行する。
【0126】
かかる処理では、変動種別カウンタCSの値を取得する。また、今回の遊技回において図柄表示装置31にてリーチ表示が発生するか否かを判定する。具体的には、今回の変動開始に係る遊技回が大当たり結果である場合には、リーチ表示が発生すると判定する。また、大当たり結果ではない場合であっても、実行エリアAEに格納されているリーチ乱数カウンタC3に係る数値情報がリーチ発生に対応した数値情報である場合には、リーチ表示が発生すると判定する。
【0127】
リーチ表示が発生すると判定した場合には、ROM53に記憶されているリーチ発生用変動表示時間テーブルを参照して、今回の変動種別カウンタCSの値に対応した変動表示時間情報を取得し、その変動表示時間情報をRAM54に設けられた変動表示時間カウンタにセットする。一方、リーチ表示が発生しないと判定した場合には、ROM53に記憶されているリーチ非発生用変動表示時間テーブルを参照して、今回の変動種別カウンタCSの値に対応した変動表示時間情報を取得し、その変動表示時間情報を上記変動表示時間カウンタにセットする。ちなみに、リーチ非発生用変動表示時間テーブルを参照して取得され得る変動表示時間は、リーチ発生用変動表示時間テーブルを参照して取得され得る変動表示時間と異なっている。
【0128】
なお、リーチ非発生時における変動表示時間情報は、始動保留球数の数が多いほど、変動表示時間が短くなるように設定されている。また、サポートモードが高頻度サポートモードである状況においては低頻度サポートモードである状況よりも、保留情報の数が同一である場合で比較して、短い変動表示時間が選択されるようにリーチ非発生用変動表示時間テーブルが設定されている。但し、これに限定されることはなく、始動保留球数やサポートモードに応じて変動表示時間が変動しない構成としてもよく、上記の関係とは逆であってもよい。さらには、リーチ発生時における変動表示時間に対して、上記構成を適用してもよい。また、各種大当たり結果の場合、外れリーチ時の場合及びリーチ非発生の場合のそれぞれに対して個別に変動表示時間テーブルが設定されていてもよい。
【0129】
ステップS306にて、変動表示時間の設定処理を実行した後は、ステップS307にて、変動用コマンド及び種別コマンドを設定する。変動用コマンドには、変動表示時間の情報が含まれる。ここで、上記のとおりリーチ非発生用変動表示時間テーブルを参照して取得される変動表示時間は、リーチ発生用変動表示時間テーブルを参照して取得される変動表示時間と異なっているため、変動用コマンドにリーチ発生の有無の情報が含まれていなかったとしても、サブ側の制御装置である音声発光制御装置60では変動表示時間の情報からリーチ発生の有無を特定することは可能である。この点、変動用コマンドには、リーチ発生の有無を示す情報が含まれているとも言える。なお、変動用コマンドにリーチ発生の有無を直接示す情報が含まれていてもよい。
【0130】
また、種別コマンドには、遊技結果の情報が含まれる。つまり、種別コマンドには、遊技結果の情報として、通常大当たり結果の情報、明示2R確変大当たり結果の情報、15R確変大当たり結果の情報、及び外れ結果の情報のいずれかが含まれる。
【0131】
ステップS307にて設定された変動用コマンド及び種別コマンドは、通常処理(図7)におけるステップS201にて、音声発光制御装置60に送信される。ステップS307の処理を実行した後は、ステップS308にてメイン表示部33において絵柄の変動表示を開始させる。その後、本変動開始処理を終了する。
【0132】
遊技回制御処理(図8)の説明に戻り、メイン表示部33が変動表示中である場合には、ステップS306~ステップS309の処理を実行する。当該処理では、先ずステップS306にて、今回の遊技回の変動表示時間が経過したか否かを判定する。
【0133】
変動表示時間が経過していない場合には、ステップS307にて変動表示用処理を実行する。変動表示用処理では、メイン表示部33における表示態様を変更する。その後、本遊技回制御処理を終了する。
【0134】
変動表示時間が経過している場合には、ステップS308にて変動終了処理を実行する。変動終了処理では、上記ステップS304又はステップS305の処理にてRAM54に記憶した情報を特定し、その情報に対応した絵柄の態様がメイン表示部33にて表示されるように当該メイン表示部33を表示制御する。
【0135】
続くステップS309では、変動終了コマンドを設定する。ここで設定された変動終了コマンドは、通常処理(図7)におけるステップS201にて、音声発光制御装置60に送信される。音声発光制御装置60では、受信した変動終了コマンドに基づいて、その遊技回における演出を終了させる。また、それに対応したコマンドが、音声発光制御装置60から表示制御装置130に送信され、表示制御装置130ではその遊技回における最終停止図柄の組み合わせを確定表示(最終停止表示)させる。その後、本遊技回制御処理を終了する。
【0136】
<音声発光制御装置60>
次に、音声発光制御装置60について説明する。
【0137】
音声発光制御装置60は、図4に示すように、MPU62が搭載された音声発光制御基板61を具備している。MPU62には、当該MPU62により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM63と、そのROM63内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM64と、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路、乱数発生器としての各種カウンタ回路などが内蔵されている。
【0138】
なお、ROM63として、制御プログラムや固定値データの読み出しに際してランダムアクセスが可能であって、記憶保持に外部からの電力供給が不要な記憶手段(すなわち、不揮発性記憶手段)が用いられている。また、制御及び演算部分と、ROM63と、RAM64とが1チップ化されている構成は必須ではなく、各機能がそれぞれ別チップとして搭載されている構成としてもよく、一部の機能が別チップとして搭載されている構成としてもよい。
【0139】
MPU62には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU62の入力側には演出用操作装置48及び主制御装置50が接続されているとともに、MPU62の出力側には各種発光部35,36,44、スピーカ部45及び表示制御装置130が接続されている。
【0140】
MPU62では、主制御装置50から送信された変動用コマンドを受信することで、遊技回用の演出を開始させる必要があることを認識し、遊技回用演出開始処理を実行する。また、主制御装置50から送信された終了コマンドを受信することで、遊技回用の演出を終了させる必要があることを認識し、遊技回用演出終了処理を実行する。また、主制御装置50から送信された大当たり演出用の各種コマンドを受信することで、大当たり演出を開始させる必要があること又は進行させる必要があることを認識し、大当たり演出用処理を実行する。また、主制御装置50から送信されたデモ表示用のコマンドを受信することで、デモ表示を開始させる必要があることを認識し、デモ表示用処理を実行する。
【0141】
なお、MPU62において主制御装置50からコマンドを受信するとは、主制御装置50からコマンドを直接受信する構成に限定されることはなく、中継基板に中継されたコマンドを受信する構成も含まれる。
【0142】
遊技回用演出開始処理では、変動用コマンド及び種別コマンドの両コマンドに基づいて、該当遊技回の変動表示時間を把握する変動表示時間の把握処理と、リーチ表示の有無を把握するリーチ表示把握処理と、大当たり結果の有無を把握する大当たり結果発生の把握処理と、大当たり結果が発生する場合における大当たり種別を把握する大当たり種別の把握処理と、を実行する。また、リーチ表示把握処理、大当たり結果発生の把握処理及び大当たり種別の把握処理における把握結果に基づいて、本遊技回において図柄表示装置31の表示面Gに最終停止表示させる図柄の種類を決定する図柄種別把握処理を実行する。そして、上記各把握処理の結果に基づいて、変動表示時間の情報及び表示演出の種類の情報を含む変動パターンコマンドと、最終停止表示させる図柄の種類の情報を含む図柄指定コマンドを、表示制御装置130に送信する。
【0143】
また、遊技回用演出開始処理では、上記各把握処理の他に、予告表示を行うか否かの予告表示抽選処理を実行する。この場合、当該抽選処理では、予告表示の種別抽選についても実行される。そして、予告表示の発生当選である場合には、予告表示の種別の情報を含む予告コマンドを、表示制御装置130に送信する。
【0144】
また、遊技回用演出開始処理では、上記各処理の処理結果に基づいて、遊技回用の表示発光テーブルと遊技回用の音声テーブルとをROM63から読み出す。遊技回用の表示発光テーブルにより、該当する遊技回の進行過程における表示発光部44の発光態様が規定される。また、遊技回用の音声テーブルにより、該当する遊技回の進行過程におけるスピーカ部45からの出力態様が規定される。
【0145】
遊技回用演出終了処理では、現状の遊技回における表示発光部44の発光制御及びスピーカ部45の音声出力制御を終了する。また、当該遊技回用演出終了処理では、遊技回用演出を終了させるべき情報を含む終了コマンドを、表示制御装置130に送信する。
【0146】
大当たり演出用処理では、受信している大当たり演出用の各種コマンドに基づいて、オープニング時、各ラウンド時、各ラウンド間及びエンディング時などの演出態様を把握し、その把握結果に対応した大当たり演出用のコマンドを表示制御装置130に送信する。また、当該把握結果に基づいて、大当たり演出用の表示発光テーブルと大当たり演出用の音声テーブルとをROM63から読み出し、大当たり演出中における表示発光部44の発光態様やスピーカ部45からの音声の出力態様を規定する。
【0147】
デモ表示用処理では、受信しているデモ表示用のコマンドに基づいて、デモ表示の演出態様を把握し、その把握結果に対応したデモ表示用のコマンドを表示制御装置130に送信する。また、当該把握結果に基づいて、デモ表示用の表示発光テーブルとデモ表示用の音声テーブルとをROM63から読み出し、デモ表示中における表示発光部44の発光態様やスピーカ部45からの音声の出力態様を規定する。
【0148】
なお、主制御装置50から送信されたコマンドに基づいてMPU62にて実行される処理は、上記処理以外にも、第1保留発光部35や第2保留発光部36を発光制御するための処理が含まれる。
【0149】
また、MPU62では、演出用操作装置48の操作部が操作されたことに基づき当該演出用操作装置48から送信される操作信号を受信することで、演出用操作装置48が操作されたことを認識し、操作対応処理を実行する。また、操作されている状態が解除された場合にも操作信号の立下りによってそれを認識し、操作対応処理を実行する。
【0150】
ここで、演出用操作装置48の操作に対応した演出の一部として、演出用操作装置48が操作されたことに基づき、表示モードが変更される演出が実行される。表示モードとは、遊技回が開始されるまでの間に表示される待機画像や遊技回が実行されている状況で表示される遊技回画像の種類を所定の種類に定める状態であり、複数種類の表示モードが設定されている。かかる表示モードの詳細な内容、及び演出用操作装置48の操作に基づく表示モードの切り換えに係る処理構成については後に詳細に説明する。
【0151】
<表示制御装置130>
表示制御装置130のハード構成について説明する。
【0152】
表示制御装置130は、図4に示すように、表示CPU131と、ワークRAM132と、メモリモジュール133と、VRAM134と、ビデオディスプレイプロセッサ(VDP)135と、が搭載された表示制御基板136を備えている。
【0153】
表示CPU131は、表示制御装置130においてメイン制御部としての機能を有しており、制御プログラム等の読み出し、解釈及び実行を行う。詳細には、表示CPU131は表示制御基板136に搭載された入力ポート137に対してバスを介して接続されており、音声発光制御装置60から送信された各種コマンドは入力ポート137を通じて表示CPU131に入力される。なお、表示CPU131において音声発光制御装置60からコマンドを受信するとは、音声発光制御装置60からコマンドを直接受信する構成に限定されることはなく、中継基板に中継されたコマンドを受信する構成も含まれる。
【0154】
表示CPU131は、バスを介してワークRAM132、メモリモジュール133及びVRAM134と接続されており、音声発光制御装置60から受信したコマンドに基づいて、メモリモジュール133に記憶された各種データをワークRAM132やVRAM134に転送させる転送指示を行う。また、表示CPU131は、バスを介してVDP135と接続されており、音声発光制御装置60から受信したコマンドに基づいて、図柄表示装置31に3次元画像(3D画像)を表示させるための描画指示を行う。以下、メモリモジュール133、ワークRAM132、VRAM134及びVDP135について説明する。
【0155】
メモリモジュール133は、制御プログラム及び固定値データを含む制御用データを予め記憶しているとともに、3次元画像を表示するための各種画像データを予め記憶している記憶手段である。当該メモリモジュール133は、記憶保持に外部からの電力供給が不要な不揮発性の半導体メモリを有してなる。ちなみに、記憶容量は4Gビットであるが、かかる記憶容量は表示制御装置130における制御が良好に実行されるのであれば任意である。また、当該メモリモジュール133は、パチンコ機10の使用に際して、非書き込み用であって読み出し専用のメモリ(ROM)として用いられる。
【0156】
メモリモジュール133に記憶されている各種画像データには、図柄表示装置31に表示される図柄やキャラクタなどのオブジェクト用の画像データと、当該オブジェクトに貼り付けられるテクスチャ用の画像データと、1フレーム分の画像において最背面の画像を構成する背面用の画像データとが含まれている。
【0157】
ここで、オブジェクトとは、仮想3次元空間に相当する3次元の座標系であるワールド座標系に配置される3次元の仮想物体であり、複数のポリゴンによって構成された3次元情報である。また、ポリゴンとは、複数個の3次元座標の頂点で定義される多角形平面である。オブジェクト用の画像データには、例えばサーフェスモデルを適用するため、オブジェクト毎に予め設定された基準座標を原点として、各ポリゴンの頂点座標情報が設定されている。つまり、各オブジェクト用の画像データでは、自己完結のローカル座標系において各ポリゴンの相対位置(すなわち、向きやサイズ)が3次元的に定義されている。
【0158】
テクスチャとは、オブジェクトの各ポリゴンに貼り付ける画像であり、テクスチャがオブジェクトに貼り付けられることにより、オブジェクトに対応する画像、例えば図柄やキャラクタなどを含む表示画像が生成される。テクスチャ用の画像データの持ち方は、任意であるが、例えばビットマップ形式データと、ビットマップ画像の各ピクセルでの表示色を決定する際に参照される色パレットテーブルとの組み合わせを少なくとも含んでいる。
【0159】
最背面の画像は、2次元画像(2D画像)を構成している。背面用の画像データの持ち方は、任意であるが、例えば2次元の静止画像データが圧縮された状態のJPEG形式データとして記憶保持されている。ちなみに、当該背面用の画像データがワールド座標系に配置される場合には板ポリゴンが利用される。
【0160】
ワークRAM132は、メモリモジュール133から読み出されて転送された制御用データを一時的に記憶しておくとともに、フラグ等を一時的に記憶しておくための記憶手段である。ワークRAM132は、記憶保持に外部からの電力供給が必要な揮発性の半導体メモリを有してなり、詳細には当該半導体メモリとしてDRAMが用いられている。但し、DRAMに限定されることはなくSRAMといった他のRAMを用いてもよい。なお、記憶容量は1Gビットであるが、かかる記憶容量は表示制御装置130における制御が良好に実行されるのであれば任意である。また、ワークRAM132は、パチンコ機10の使用に際して、読み書き両用として用いられる。
【0161】
ワークRAM132には、表示CPU131からメモリモジュール133へのデータ転送指示に基づき、当該メモリモジュール133から制御用データが転送される。そして、表示CPU131は、ワークRAM132に転送された制御用データを必要に応じて内部のメモリ領域(レジスタ群)に読み込み、各種処理を実行する。
【0162】
VRAM134は、図柄表示装置31に対して画像出力を行うために必要な各種データを一時的に記憶しておくための記憶手段である。当該VRAM134は、記憶保持に外部からの電力供給が必要な揮発性の半導体メモリを有してなり、詳細には当該半導体メモリとしてSDRAMが用いられている。但し、SDRAMに限定されることはなく、DRAM、SRAM又はデュアルポートRAMといった他のRAMを用いてもよい。なお、記憶容量は2Gビットであるが、かかる記憶容量は表示制御装置130における制御が良好に実行されるのであれば任意である。また、当該VRAM134は、パチンコ機10の使用に際して、読み書き両用として用いられる。
【0163】
VRAM134は展開用バッファ141を備えており、展開用バッファ141には、表示CPU131からメモリモジュール133へのデータ転送指示に基づき、当該メモリモジュール133から画像データが転送される。この場合、当該画像データは、その画像データを用いたVDP135における処理の実行タイミングとなるまでに事前に転送される。また、VRAM134には、VDP135により描画データ(生成データ)が作成されるフレームバッファ142が設けられている。また、VRAM134には、Zバッファ143、スクリーン用バッファ144及びモード用バッファ145が設けられているが、これらの詳細については後に説明する。
【0164】
VDP135は、表示CPU131からの描画指示に基づき、展開用バッファ141に記憶保持されているデータを用いて、具体的には加工することにより、図柄表示装置31に対して描画を行う画像生成デバイスであり、図柄表示装置31において液晶表示部31aを駆動制御するように組み込まれた画像処理デバイス31bを操作する一種の描画回路である。VDP135はICチップ化されているため「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は、描画専用のファームウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。
【0165】
詳細には、VDP135は、ジオメトリ演算部151と、レンダリング部152と、レジスタ153と、表示モード制御部154と、表示回路155と、を備えている。また、これら各回路はバスを介して相互に接続されているとともに、表示CPU131用のI/F156及びVRAM134用のI/F157と接続されている。
【0166】
表示CPU131用のI/F156は、表示CPU131から送信された描画指示情報としての描画リストをレジスタ153に記憶させる。ジオメトリ演算部151は、レジスタ153に格納された描画リストに基づいて、配置対象として指定されているオブジェクトをワールド座標系内に配置する。また、ジオメトリ演算部151は、オブジェクトをワールド座標系内に配置する場合及び配置した後に、各種の座標変換処理を実行する。そして、最終的に表示面Gのスクリーン座標に対応する3次元空間に対応させて、オブジェクトをクリッピングする。
【0167】
レンダリング部152は、レジスタ153に格納された描画リストに基づいて、クリッピングされた各オブジェクトに対して光源調整や、テクスチャの貼付を行い、オブジェクトの外観を決定する。また、レンダリング部152は、各オブジェクトを所定の2次元平面上に投影させて2次元データを作成するとともに、深度情報に基づく各種調整を行い2次元データである1フレーム分の描画データをフレームバッファ142に作成する。1フレーム分の描画データとは、予め定められた更新タイミングで図柄表示装置31の表示面Gにおける画像が更新される構成において、一の更新タイミングにおける画像を表示させるのに必要なデータのことをいう。
【0168】
なお、ジオメトリ演算部151及びレンダリング部152が動作するための制御プログラムの全てが描画リストにより提供される構成としてもよく、制御プログラムを予め記憶したメモリをVDP135に内蔵させ、当該制御プログラムと描画リストの内容によってジオメトリ演算部151及びレンダリング部152が処理を実行する構成としてもよい。また、メモリモジュール133から制御プログラムを事前に読み出す構成としてもよい。また、ジオメトリ演算部151及びレンダリング部152がプログラムを利用することなく、描画リストに対応したハード回路の動作のみで処理を実行する構成としてもよい。
【0169】
ここで、フレームバッファ142には、複数のフレーム領域142a,142bが設けられている。具体的には、第1フレーム領域142aと、第2フレーム領域142bとが設けられている。これら各フレーム領域142a,142bは、それぞれ1フレーム分の描画データを記憶可能な容量に設定されている。具体的には、各フレーム領域142a,142bにはそれぞれ、液晶表示部31a(すなわち表示面G)のドット(画素)に所定の倍率で対応させた多数の単位エリアが含まれている。各単位エリアは、いずれの色を表示するかを特定するためのデータを格納可能な記憶容量を有している。より詳細には、フルカラー方式が採用されており、各ドットにおいてR(赤),G(緑),B(青)のそれぞれに256色の設定が可能となっている。これに対応させて、各単位エリアにおいては、RGB各色に1バイト(8ビット)が割り当てられている。つまり、各単位エリアは、少なくとも3バイトの記憶容量を有している。
【0170】
なお、フルカラー方式に限定されることはなく、例えば各ドットにおいて256色のみ表示可能な構成においては、各単位エリアにおいて色情報を格納するために必要な記憶容量は1バイトでよい。
【0171】
フレームバッファ142に第1フレーム領域142a及び第2フレーム領域142bが設けられていることにより、一方のフレーム領域に作成された描画データを用いて図柄表示装置31への描画が実行されている状況において、他のフレーム領域に対して今後用いられる描画データの作成が実行される。つまり、フレームバッファ142として、ダブルバッファ方式が採用されている。
【0172】
表示回路155では、第1フレーム領域142a又は第2フレーム領域142bに作成された描画データに基づいて液晶表示部31aの各ドットに対応した画像信号が生成され、その画像信号が、表示回路155に接続された出力ポート138を介して図柄表示装置31に出力される。詳細には、出力対象のフレーム領域142a,142bから表示回路155へ描画データが転送される。その転送された描画データは図柄表示装置31の解像度に対応したものとなるように、図示しないスケーラにより解像度調整が行われて階調データに変換される。そして、当該階調データに基づいて図柄表示装置31の各ドットに対応した画像信号が生成されて出力される。なお、表示回路155からは水平同期信号又は垂直同期信号などの同期信号も出力される。
【0173】
また、表示モード制御部154では、表示モードに対応した画像の表示を行う場合に、レジスタ153に格納された描画リストに基づいて、所定の処理を実行する。当該所定の処理については後に説明する。
【0174】
<表示CPU131における基本的な処理>
次に、表示CPU131における基本的な処理について説明する。
【0175】
<メイン処理>
先ず、表示CPU131への動作電力の供給が開始された場合や、パチンコ機10のリセットが行われた場合に起動されるメイン処理について説明する。メイン処理では、先ず初期設定処理を実行する。
【0176】
初期設定処理では、表示回路155のスケーラの初期調整処理を実行する。当該初期調整処理では、VRAM134の各フレーム領域142a,142bに作成される描画データに基づいて画像信号が出力される場合に、その画像信号が液晶表示部31aのドット数に対応させて出力されるように、VDP135に対して解像度初期調整用コマンドを送信する。この初期調整値は、パチンコ機10の設計段階において調整されており、その調整結果が解像度初期調整用コマンドとして設定されている。
【0177】
VDP135に解像度初期調整用コマンドが送信されることで、VDP135のレジスタ153におけるスケーラの解像度調整用のエリアに初期調整値に対応した数値情報が格納される。これにより、VDP135から図柄表示装置31に画像信号が出力される場合、描画データに対応した画像信号が液晶表示部31aのドット数に調整された状態で出力される。
【0178】
また、初期設定処理では、地色の初期調整処理を実行する。当該初期調整処理では、VRAM134の各フレーム領域142a,142bの単位エリアに初期値として設定される数値情報が初期数値情報となるように、VDP135に対して地色初期調整用コマンドを送信する。この初期数値情報は、パチンコ機10の設計段階において調整されており、その調整結果が地色初期調整用コマンドとして設定されている。
【0179】
VDP135は地色初期調整用コマンドが送信されることで、VDP135のレジスタ153における地色調整用のエリアに初期数値情報が格納される。これにより、描画データが作成される場合に初期数値情報からの更新が行われなかった単位エリアに対応したドットでは、地色が表示されることとなる。なお、初期の地色として本パチンコ機10では黒色が設定されているが、これに限定されることはなく任意である。
【0180】
初期設定処理を実行した後は、各種割込みを許可する。これにより、表示CPU131においてコマンド割込み処理及びV割込み処理を実行することが許容される。その後、メイン処理では、各種割込みを許可する処理を繰り返す。
【0181】
<コマンド割込み処理>
次に、コマンド割込み処理について説明する。
【0182】
コマンド割込み処理は、音声発光制御装置60からストローブ信号を受信した場合に、その時点で実行されている処理が何であったとしても最優先で起動される処理である。コマンド割込み処理では、入力ポート137にて受信しているコマンドを、ワークRAM132に設けられたコマンドバッファに転送し、さらにコマンドを新たに受信したことを示すフラグを対応するエリアにセットする。その後、コマンド割込み処理を終了し、当該コマンド割込み処理の起動前の処理に復帰する。
【0183】
<V割込み処理>
次に、V割込み処理について、図10のフローチャートを参照しながら説明する。V割込み処理は、予め定められた周期、具体的には20msec周期で繰り返し起動される。
【0184】
なお、VDP135は図柄表示装置31に1フレーム分の画像信号を出力する場合、表示面Gの左上の隅角部分にあるドットから画像信号の出力を始めて、当該ドットを一端に含む横ライン上に並ぶドットに対して順次画像信号を出力するとともに、各横ラインに対して上から順に左から右のドットへと画像信号を出力する。そして、表示面Gの右下の隅角部分にあるドットに対して最後に画像信号を出力する。この場合に、VDP135は当該最後のドットに対して画像信号を出力したタイミングで、表示CPU131へV割込み信号を出力して1フレームの画像の更新が完了したことを表示CPU131に認識させる。このV割込み信号の出力周期は20msecとなっている。この点、V割込み処理は、V割込み信号の受信に同期して起動されると見なすこともできる。但し、V割込み信号を受信していなくても、前回のV割込み処理が起動されてから20msecが経過している場合には、新たにV割込み処理が起動される。
【0185】
V割込み処理では、先ずステップS501にて、コマンド解析処理を実行する。具体的には、ワークRAM132のコマンドバッファに格納されているコマンドの内容を解析する。続くステップS502では、ステップS501の解析結果に基づいて、新規コマンドを受信しているか否かを判定する。新規コマンドを受信している場合には、ステップS503にて、コマンド対応処理を実行する。
【0186】
コマンド対応処理では、受信しているコマンドに対応したプログラムを実行するためのデータテーブルをメモリモジュール133から読み出す。データテーブルとは、受信したコマンドに対応した動画を図柄表示装置31の表示面Gに表示させる場合において、画像の各更新タイミングにおける1フレーム分の画像を表示させるのに必要な処理が定められた情報群である。
【0187】
ここで、表示CPU131が音声発光制御装置60から受信するコマンドとしては、既に説明したとおり、変動パターンコマンド、図柄指定コマンド及び予告コマンドがある。これらのコマンドを受信した場合、それら各コマンドに対応した遊技回用演出を図柄表示装置31にて実行するために必要なデータテーブルを読み出す。また、上記受信するコマンドとしては終了コマンドがあり、当該コマンドを受信した場合には現状実行されている遊技回用演出を最終停止させるために必要なデータテーブルを読み出す。また、上記受信するコマンドとしては、大当たり演出用の各種コマンドがあり、当該コマンドを受信した場合には大当たり演出を実行するために必要なデータテーブルを読み出す。また、上記受信するコマンドとしては、デモ表示用のコマンドがあり、当該コマンドを受信した場合にはデモ表示を実行するために必要なデータテーブルを読み出す。さらに読み出したデータテーブルに基づき、処理を実行する場合に必要な他のプログラムデータも読み出す。
【0188】
ステップS503にてコマンド対応処理を実行した後は、ステップS504にて、ポインタ更新処理を実行する。当該ポインタ更新処理では、データテーブルに設定されているポインタの情報を、1フレーム分進めるように更新する。これにより、今回の更新タイミングに対応した1フレーム分の画像を表示させるために必要な処理を、表示CPU131において把握することが可能となる。
【0189】
続くステップS505では、タスク処理を実行する。タスク処理では、今回の更新タイミングに対応した1フレーム分の画像を表示させるために、VDP135に描画指示を行う上で必要なパラメータの演算を行う。当該タスク処理の詳細については後に説明する。
【0190】
続くステップS506では、描画リスト出力処理を実行する。描画リスト出力処理では、今回の処理回に係る更新タイミングに対応した1フレーム分の画像を表示させるための描画リストを作成し、その作成した描画リストをVDP135に送信する。この場合、当該描画リストでは、直前のタスク処理にて把握された画像が描画対象となり、さらに当該タスク処理にて更新したパラメータの情報が合わせて設定される。VDP135では、この描画リストに従ってVRAM134のフレーム領域142a,142bに描画データを作成する。このVDP135における処理については後に詳細に説明する。その後、本V割込み処理を終了する。
【0191】
<表示CPU131におけるタスク処理>
ここで、タスク処理について、図11のフローチャートを参照しながら説明する。
【0192】
タスク処理では先ずステップS601にて、制御開始用の設定処理を実行する。制御開始用の設定処理では、今回の処理回で表示CPU131において新たに制御(演算)を開始する個別画像を設定するための処理を実行する。なお、個別画像とは、背面用の画像データなどの静止画像データにより規定される一の2次元画像や、オブジェクト用の画像データとテクスチャ用の画像データとの組み合わせにより規定される一の3次元画像のことである。
【0193】
制御開始用の設定処理について具体的には、先ず現状設定されているデータテーブルに基づいて、今回の処理回で制御開始対象となる個別画像が存在しているか否かを判定する。存在している場合には、ワークRAM132において、個別画像の制御を行う上で各種演算を行うための空きバッファ領域を検索して、制御開始対象として把握されている個別画像に1対1で対応するように空きバッファ領域を確保する。さらに、確保した全ての空きバッファ領域に対して初期化処理を実行するとともに、初期化した空きバッファ領域に対して、個別画像に応じた制御開始用のパラメータを設定する。
【0194】
続くステップS602では、制御更新対象を把握する。この制御更新対象は、制御開始処理が完了している個別画像であって今回の処理回以降に1フレーム分の画像に含まれる可能性がある個別画像が対象となる。
【0195】
続くステップS603では、背景用演算処理を実行する。背景用演算処理では、背景の画像を構成することとなる最背面用の画像や、背景用キャラクタについて、ワールド座標系内における座標、回転角度、スケール、明暗を付けるためのライトの情報、投影を行うためのカメラの情報、及びZテスト指定などといった描画リストを作成する上で必要な各種パラメータを演算して導き出す処理を実行する。
【0196】
続くステップS604では、演出用演算処理を実行する。演出用演算処理では、リーチ表示、予告表示及び大当たり演出といった各種演出において表示対象となる個別画像について、上記各種パラメータを演算して導き出す処理を実行する。
【0197】
続くステップS605では、図柄用演算処理を実行する。図柄用演算処理では、各遊技回において変動表示の対象となる図柄の画像について、上記各種パラメータを演算して導き出す処理を実行する。
【0198】
ちなみに、ステップS603~ステップS605の各処理では、ステップS601にて設定された制御開始用のパラメータを更新する処理を実行する。また、ステップS603~ステップS605の各処理では、個別画像の各種パラメータを画像更新タイミングとなる度に特定のパターンに従って変化させるように設定されたアニメーション用データが用いられる。このアニメーション用データは、メモリモジュール133に予め記憶されており、個別画像の種類に応じて定められている。
【0199】
その後、ステップS606にてワールド座標系への配置対象の把握処理を実行した後に、本タスク処理を終了する。ワールド座標系への配置対象の把握処理では、上記ステップS603~ステップS605の各処理により制御更新対象となった各個別画像のうち、今回の描画リストにおいて描画対象として設定する個別画像を把握する処理を実行する。当該把握は、現状設定されているデータテーブルに基づいて行われる。ここで把握された個別画像が、描画リストにおいて描画対象として設定される。
【0200】
つまり、表示CPU131にて制御対象となる個別画像の方が、VDP135にて制御対象となる個別画像よりも多く設定されているため、ステップS606においてその調整を行っている。但し、これに限定されることはなく、表示CPU131において制御対象となる個別画像と、VDP135において制御対象となる個別画像とが同一である構成としてもよく、この場合、ステップS606の処理を実行する必要がなくなる。
【0201】
なお、ステップS601の制御開始用の設定処理において、表示CPU131の処理負荷を分散させるべく、各個別画像の制御開始タイミングが分散させて設定されている構成としてもよい。
【0202】
<VDP135における基本的な処理>
次に、VDP135にて実行される基本的な処理について説明する。
【0203】
VDP135では、表示CPU131から送信されたコマンドに基づいてレジスタ153の値を設定する処理、表示CPU131から送信された描画リストに基づいてフレームバッファ142のフレーム領域142a,142bに描画データを作成する処理、フレーム領域142a,142bに作成された描画データに基づいて図柄表示装置31に画像信号を出力する処理が少なくとも実行される。
【0204】
上記各処理のうち、レジスタ153の値を設定する処理は、表示CPU131用のI/F156に付随する図示しない回路によって、コマンドを受信した場合にその都度実行される。また、描画データを作成する処理は、ジオメトリ演算部151及びレンダリング部152の協同により、予め定められた周期(例えば、20msec)で繰り返し実行される。また、画像信号を出力する処理は、表示回路155によって、予め定められた画像信号の出力開始タイミングとなることで実行される。
【0205】
以下、上記描画データを作成する処理について詳細に説明する。当該処理の説明に先立ち、表示CPU131からVDP135に送信される描画リストの内容について説明する。図12(a)~(c)は描画リストの内容を説明するための説明図である。
【0206】
描画リストには、ヘッダ情報が設定されている。ヘッダ情報には、当該描画リストに係る1フレーム分の画像を、第1フレーム領域142a及び第2フレーム領域142bのうちいずれを作成対象とするかを示す情報であるターゲットバッファの情報が設定されている。また、ヘッダ情報には、各種指定情報が設定されている。各種指定情報の内容については後に説明する。なお、VDP135にて取り扱う画像データとして動画像データが含まれている場合には、ヘッダ情報において、デコード指定の有無及びデコード対象となる動画像データがメモリモジュール133において記憶されているアドレスの情報が設定されていてもよい。
【0207】
描画リストには、上記ヘッダ情報以外にも、今回の描画データの作成に際してワールド座標系への配置対象となる複数種類の画像データが設定されており、さらに各画像データの描画順序の情報と、各画像データのパラメータ情報とが設定されている。詳細には、描画順序の情報が連番の数値情報となるようにして設定されているとともに、各数値情報に1対1で対応させてパラメータの情報が設定されている。
【0208】
図12(a)の描画リストでは、背面用の画像データが最初の描画対象として設定されているとともに、背景用オブジェクトAが2番目、背景用オブジェクトBが3番目、・・・として設定されている。また、これら背景用の画像データよりも後の順番として、演出用の画像データが設定されており、例えば演出用オブジェクトAがm番目、演出用オブジェクトBがm+1番目、・・・として設定されている。また、これら演出用の画像データよりも後の順番として、図柄用の画像データが設定されており、例えば図柄用オブジェクトAがn番目、図柄用オブジェクトBがn+1番目、・・・として設定されている。
【0209】
なお、描画リストにおいて各画像データが設定されている順番は上記のものに限定されることはなく、設定されている順番が上記のものとは逆の順番であってもよく、図柄用の画像データの後に演出用の画像データ又は背景用の画像データが設定されていてもよく、所定の演出用の画像データと他の演出用の画像データとの間の順番に図柄用の画像データが設定されていてもよい。
【0210】
パラメータの情報P(1),P(2),P(3),・・・,P(m),P(m+1),・・・,P(n),P(n+1),・・・には、複数種類のパラメータが設定されている。背面用の画像データのパラメータP(1)について具体的には、図12(b)に示すように、メモリモジュール133において背面用の画像データが記憶されているエリアのアドレスの情報と、背面用の画像データを設定する場合におけるワールド座標系内の位置を示す座標の情報(X値の情報,Y値の情報,Z値の情報)と、背面用の画像データを設定する場合におけるワールド座標系内の回転角度を示す回転角度の情報と、背面用の画像データの初期状態として設定されているスケールに対して、ワールド座標系に設定する際の倍率を示すスケールの情報と、背面用の画像データを設定する場合における全体の透過情報(又は透明情報)を示す一律α値の情報と、が設定されている。
【0211】
ここで、座標の情報は、オブジェクト用の画像データの全頂点について個別に設定される。また、この座標の情報はオブジェクト用の画像データに対して設定されているが、テクスチャ用の画像データには設定されていない。テクスチャ用の画像データは、各ピクセルの座標値が、オブジェクト用の画像データの各頂点に関連付けて予め定められている。この座標値は、ワールド座標系における座標値とは異なるUV座標値であり、オブジェクト用の画像データ及びテクスチャ用の画像データの組み合わせに対して付属させた状態でメモリモジュール133に記憶されている。このUV座標値はテクスチャマッピングする際にVDP135により参照される。このように、ワールド座標系とは異なるUV座標系に存在するテクスチャを利用して行うマッピングをUVマッピングとする。
【0212】
パラメータ(P1)には、背面用の画像データを描画用の仮想2次元平面上に投影する場合における仮想カメラの座標及び向きの情報を含むカメラの情報と、背面用の画像データをレンダリングする場合における陰影を決定する仮想光源の位置及び向きの情報を含むライトの情報と、が設定されている。
【0213】
パラメータ(P1)には、隠面消去を行う手法の一種であるZバッファ法の適用有無を示すZテスト指定の情報が設定されている。Zバッファ法とは、ワールド座標系内において多数のオブジェクトや2次元画像が奥行き方向(Z軸方向)に重なった場合に、Z軸上に並ぶ各ピクセル(又は各ボクセル、各画素、各ポリゴン)について視点からの距離を順次参照し、最も視点に近いピクセルに設定されている数値情報をフレーム領域142a,142bにおける対応する単位エリアに設定する深度調整用の処理方法である。当該Zバッファ法を適用する場合に、VRAM134に設けられたZバッファ143が利用される。
【0214】
なお、上記隠面消去を行う手法としてZバッファ法以外にも、Zソート法が設定されている。Zソート法とは、Z軸上に並ぶ各ピクセルについて、各ピクセルに設定されている数値情報をフレーム領域142a,142bにおける対応する単位エリアに順次設定する深度調整用の処理方法である。当該Zソート法を適用する場合には、各ピクセルに設定されているα値が参照されて、Z軸上に並ぶ各ピクセルの色情報に対応した数値情報に対して対応するα値が適用された状態で、それら数値情報の加算処理や融合用の演算処理が実行されることとなる。Zソートによる隠面処理の具体的な処理構成の説明は省略するが、エフェクト画像を表示させる場合に起動される。
【0215】
パラメータ(P1)には、αデータの適用有無及び適用対象を示すαデータ指定の情報と、フォグの適用有無及び適用対象を示すフォグ指定の情報と、背景画像を表示するために作成された背景画像用の描画データについて別保存の有無を示す別保存指定の情報と、が設定されている。
【0216】
ここで、α値とは対応するピクセルの透過情報のことである。このα値の描画リスト上における設定の仕方として、上記一律α値を指定する方法と、αデータ指定を行う方法とがある。一律α値とは、一の画像データの全ピクセルに対して適用される透過情報のことであり、表示CPU131における演算結果として導出される数値情報である。当該一律α値は、画像データの全ピクセルに一律で適用される。一方、αデータとは、2次元の静止画像データやテクスチャ用の画像データの各ピクセル単位で適用される透過情報のことであり、画像データとしてメモリモジュール133に予め記憶されている。当該αデータは、同一の静止画像データ又は同一のテクスチャ用の画像データの範囲内において各ピクセル単位で透過情報を相違させることができる。このαデータは、一律α値を設定するためのプログラムデータに比べデータ容量が大きい。
【0217】
上記のように一律α値とαデータとが設定されていることにより、2次元の静止画像データやテクスチャ用の画像データの透過度をピクセル単位で細かく制御するのではなく全ピクセルに対して一律で制御すればよい状況では一律α値で対応することができることで必要なデータ容量の削減が図られるとともに、αデータを適用することによって透過度をピクセル単位で細かく制御することも可能となる。
【0218】
フォグとは、ワールド座標系において所定方向、具体的にはZ軸方向の位置に対する明るさの度合いを調整するための情報である。フォグは、霧を表現したり、洞窟内を表現したりする場合に使用される。ここで、1フレーム分の画像の全体に対して単一のフォグを適用してもよい。この場合、1フレーム分の画像に一定の態様でフォグがかかることとなる。また、これに代えて、1フレーム分の画像の全体に対して複数のフォグを適用してもよい。この場合、Z軸方向の奥側に配置されているオブジェクトに対してその他のオブジェクトと同様のフォグを適用すると暗すぎることで質感がでないような状況において、当該オブジェクトには別のフォグを設定する構成とするとよい。これにより、上記質感を損なわせないようにしつつ、フォグを設定することによる効果を得ることができる。
【0219】
別保存とは、一旦作成した背景画像用の描画データをその後のフレームにおいてそのまま使用するために、フレーム領域142a,142bとは別に設けられたモード用バッファ145に書き込み保存しておくことをいう。モード用バッファ145には、図4に示すように、各表示モードに1対1で対応するように、第1モード用領域145aと、第2モード用領域145bとが設けられている。
【0220】
パラメータP(2)といった他のパラメータでは、図12(c)に示すように、上記図12(b)の各種情報のうち、背面用の画像データの情報に代えて、オブジェクトの情報とテクスチャの情報とが設定されている。これらの情報としては、メモリモジュール133においてオブジェクトやテクスチャが記憶されているエリアのアドレスの情報が設定されている。
【0221】
VDP135における描画処理について、図13のフローチャートを参照しながら説明する。なお、以下の説明では、描画処理の実行に伴い描画データが作成される様子を、図14を参照しながら説明する。
【0222】
先ずステップS701では、表示CPU131から新たな描画リストを受信しているか否かを判定する。新たな描画リストを受信している場合には、ステップS702にて、背景用の設定処理を実行する。
【0223】
背景用の設定処理では、今回の描画リストにて指定されている画像データのうち、背景画像を表示するための背面用の画像データ及びキャラクタ用のオブジェクトを把握する。そして、それら画像データやキャラクタ用のオブジェクトが、ワールド座標系に既に配置されているか否かを判定する。
【0224】
配置されていない場合には、ワールド座標系への配置を行うために参照する空きバッファ領域を画像データ毎に検索し、空きバッファ領域を確保した場合にはその領域の初期化処理を実行する。その後、メモリモジュール133においてその画像データが記憶されているアドレスを把握して読み出すとともに、描画リストに指定された座標、回転角度及びスケールとなるように、その画像データについてのローカル座標系の座標値をワールド座標系の座標値に変換させるワールド変換処理を実行して、上記確保したバッファ領域に設定する。
【0225】
配置されている場合には、既に確保されたバッファ領域に設定されている各種パラメータの更新処理を実行する。また、背景用の設定処理では、既にワールド座標系に配置されている画像データのうち、今回の描画リストに指定されていない背景用の画像データを消去する制御終了処理を実行する。
【0226】
続くステップS703では、演出用の設定処理を実行する。演出用の設定処理では、今回の描画リストにて指定されている画像データのうち、演出画像を表示するためのオブジェクトを把握する。そして、その把握したオブジェクトが、ワールド座標系に既に配置されているか否かを判定する。配置されていない場合には、上記背景用の設定処理において説明した場合と同様に、配置を開始するための処理を実行する。配置されている場合には、各種パラメータの更新処理を実行する。また、演出用の設定処理では、既にワールド座標系に配置されている画像データのうち、今回の描画リストに指定されていない演出用の画像データを消去する制御終了処理を実行する。
【0227】
続くステップS704では、図柄用の設定処理を実行する。図柄用の設定処理では、今回の描画リストにて指定されている画像データのうち、図柄を表示するためのオブジェクトを把握する。そして、その把握したオブジェクトが、ワールド座標系に既に配置されているか否かを判定する。配置されていない場合には、上記背景用の設定処理において説明した場合と同様に、配置を開始するための処理を実行する。配置されている場合には、各種パラメータの更新処理を実行する。また、図柄用の設定処理では、既にワールド座標系に配置されている画像データのうち、今回の描画リストに指定されていない図柄用の画像データを消去する制御終了処理を実行する。
【0228】
上記ステップS702~ステップS704の処理が実行されることにより、図14に示すように、X軸,Y軸,Z軸で規定されたワールド座標系内に、描画リストにより配置対象として指定されている最背面画像PC1と、各種オブジェクトPC2~PC10とが、同じく描画リストにより指定されている座標、回転角度及びスケールで配置されたシーンの設定が完了する。
【0229】
なお、図14においては、最背面画像PC1や各種オブジェクトPC2~PC10が配置されている様子を簡易的に示している。また、最背面画像PC1は、各種オブジェクトPC2~PC10の全てに対してZ軸方向の座標が奥側に設定されている必要はなく、例えば、最背面画像PC1が曲げられた状態又は傾斜した状態で配置されていることにより、一部のオブジェクトよりもZ軸方向の座標が手前側となる構成としてもよい。但し、この一部のオブジェクトとX軸方向の座標及びY軸方向の座標が同一である最背面画像PC1の領域は、そのオブジェクトよりもZ軸方向の座標が奥側であることにより、全てのオブジェクトが最背面画像PC1により覆われない状態となる。
【0230】
続くステップS705では、カメラ座標系(カメラ空間)への変換処理を実行する。カメラ座標系への変換処理では、描画リストにより指定されたカメラの情報により、視点の座標及び向きを決定するとともに、その視点の座標及び向きに基づいて、ワールド座標系を、視点を原点としたカメラ座標系(カメラ空間)に変換する。これにより、図14に示すように、カメラ形状で示す視点PC11が設定され、それに対応した座標系が設定された状態となる。
【0231】
ここで、カメラの情報は、個別画像(最背面画像PC1及び各種オブジェクトPC2~PC10)毎に設定されており、実際には個別画像毎にカメラ座標系が存在することとなる。このように個別画像毎にカメラ座標系が設定されることにより、視点切換を個別に行うことが可能となり、描画データの作成の自由度が高められる。但し、説明の便宜上、図14には全ての個別画像が単一の視点に設定されている状態を示す。
【0232】
続くステップS706では、視野座標系(視野空間)への変換処理を実行する。視野座標系への変換処理では、上記各カメラ座標系を、視点からの視野(視野角)に対応する視野座標系に変換する。これにより、各個別画像について、対応する視点の視野内に含まれている場合にはそれが抽出されるとともに、視点から近い個別画像が拡大されるとともに、視点から遠い個別画像が縮小される。
【0233】
続くステップS707では、クリッピング処理を実行する。クリッピング処理では、ステップS706にて抽出された各個別画像が、それぞれ対応する視点を共通の原点として把握される。そして、その状態で描画対象のフレーム領域142a,142b(すなわち、図柄表示装置31の表示面G)に応じたスクリーン領域PC12(図14を参照)に対応する空間を基準として、ステップS706にて抽出された各個別画像をクリッピングする。
【0234】
続くステップS708では、ライティング処理を実行する。ライティング処理では、描画リストにより指定されたライトの情報により、仮想光源の種類、座標及び向きを決定するとともに、上記クリッピング処理により抽出された各オブジェクトについて上記仮想光源に基づき陰影や反射等を演算する。
【0235】
続くステップS709及びステップS710では、2次元データを作成する。当該2次元データは、ステップS707にて抽出され、さらにステップS708にてライティング処理が完了した各個別画像を、仮想2次元平面であるスクリーン領域PC12に投影(例えば、透視投影や平行投影)することにより作成される。
【0236】
具体的には、先ずステップS709にて、背景用の描画データ作成処理を実行する。背景用の描画データ作成処理では、背景画像として設定されている最背景画像及びオブジェクトに対して隠面消去を行いながらスクリーン領域PC12への投影を行うことで、背景に用いられる2次元データを作成する。
【0237】
ここで、VRAM134には、図4に示すようにスクリーン用バッファ144が設けられており、スクリーン用バッファ144には背景用の描画データが書き込まれる背景用のバッファと、演出用の描画データ及び図柄用の描画データがまとめて書き込まれる演出及び図柄用のバッファとが設定されている。また、背景用のバッファ、演出及び図柄用のバッファには、スクリーン領域PC12のピクセル数と同一のドット数のエリアが設定されている。ステップS709にて作成される背景に用いられる2次元データは、背景用のバッファに書き込まれる。
【0238】
そして、当該2次元データに対して、色情報の設定を行う。当該色情報の設定では、投影により得られた2次元データに対して、ピクセル単位又は頂点単位で、色情報を設定することで、仮想3次元空間内の各オブジェクトに対応する描画データを作成する。かかる色情報の設定では、基本的に、投影により得られた2次元データに対して、対応するテクスチャを貼り付けるテクスチャマッピング処理が実行される。また、状況によっては、バンプマッピング処理や透明度マッピング処理なども実行される。なお、描画リストにおいて背景用の画像データが指定されていない場合には、背景用の描画データは作成されない。
【0239】
続くステップS710では、演出及び図柄に用いられる2次元データを作成する処理を実行する。演出及び図柄に用いられる2次元データを作成する処理では、演出画像として設定されているオブジェクト及び図柄として設定されているオブジェクトに対して隠面消去を行いながらスクリーン領域PC12への投影を行うことで、スクリーン用バッファ144における演出及び図柄用のバッファに演出及び図柄に用いられる2次元データを作成する。
【0240】
そして、当該2次元データに対して、色情報の設定を行う。当該色情報の設定では、投影により得られた2次元データに対して、ピクセル単位又は頂点単位で、色情報を設定することで、仮想3次元空間内の各オブジェクトに対応する描画データを作成する。かかる色情報の設定では、基本的に、投影により得られた2次元データに対して、対応するテクスチャを貼り付けるテクスチャマッピング処理が実行される。また、状況によっては、バンプマッピング処理や透明度マッピング処理なども実行される。なお、描画リストにおいて演出用及び図柄用の画像データが指定されていない場合には、演出用及び図柄用の描画データは作成されない。
【0241】
その後、ステップS711にて、描画データ合成処理を実行した後に、本描画処理を終了する。ステップS711の描画データ合成処理では、ステップS709及びステップS710の処理によりそれぞれ個別にスクリーン用バッファ144に書き込まれている背景用の描画データと、演出及び図柄用の描画データとを合成して、その合成結果を描画対象のフレーム領域142a,142bに1フレーム分の描画データとして書き込む。
【0242】
この場合、その書き込む順序は、背景用の描画データ→演出及び図柄用の描画データの順序で奥側から手前側に並ぶように規定されている。したがって、描画対象のフレーム領域142a,142bに対して、先ず背景用の描画データを書き込み、次に演出及び図柄用の描画データを書き込む。この際、描画の実行対象となったピクセルに完全透過のα値が設定されている場合には奥側の画像がそのまま利用され、半透過のα値が設定されている場合にはα値を基準とした比率での奥側の画像と手前側の画像との融合が行われ、不透過のα値が設定されている場合には奥側の画像に対する手前側の画像の上書きが行われるように、融合用の演算が実行される。
【0243】
ここで、融合用の演算についてより詳細に説明すると、描画対象のフレーム領域142a,142bにおける各ドットのRGBの各数値情報は、演出及び図柄用の描画データにおける描画対象となったピクセルに設定されているα値を基準として、
R:「奥側画像のR値」×(「1」-「α値」)+「手前側画像のR値」×「α値」
G:「奥側画像のG値」×(「1」-「α値」)+「手前側画像のG値」×「α値」
B:「奥側画像のB値」×(「1」-「α値」)+「手前側画像のB値」×「α値」
となる。
【0244】
ちなみに、各描画データは1フレーム分の面積を有するように規定されているが、演出及び図柄用の描画データにおいて投影が行われなかったブランク部分については完全透過のα値が設定されている。
【0245】
上記1フレーム分の描画データの作成は20msec周期の範囲内で完了するように行われる。また、作成された描画データに基づいて表示回路155から図柄表示装置31に画像信号が出力されるが、既に説明したとおりダブルバッファ方式が採用されているため、当該画像信号の出力は当該出力に係るフレームに対して1フレーム分後の描画データの作成と並行して行われる。また、表示回路155は1フレーム分の画像信号の出力が完了する毎に参照対象とするフレーム領域142a,142bを交互に切り換えるセレクタ回路を有しており、当該セレクタ回路による切換によって、描画データの描画対象となっているフレーム領域142a,142bが画像信号を出力するための出力対象とならないように規制されている。
【0246】
なお、上記ステップS702~ステップS707がジオメトリ演算部151により実行される処理であり、上記ステップS708~ステップS711がレンダリング部152により実行される処理である。
【0247】
<メーター表示演出を行うための構成>
次に、メーター表示演出を行うための構成について説明する。
【0248】
メーター表示演出とは、5人のキャラクタ221~225の下方にキャラクタ221~225の所有するポイントに応じて長さが変わるメーター241a~241eが表示される演出のことである。図15は、メーター表示演出において、演出用の描画データとして作成されるメーター用描画データ229を説明するための説明図である。図15に示すように、メーター用描画データ229では、複数のキャラクタ221~225に対して個別にメーター241a~241eが設定される。キャラクタ221~225はメーター表示演出中に移動する。また、メーター241a~241eは、対応するキャラクタ221~225が移動する場合には、当該キャラクタ221~225に追従して移動する。
【0249】
各キャラクタ221~225が所有するポイントは演出の進行に伴って異なる速度で減少する。このため、各更新タイミングにおける各メーター241a~241eの長さは個別に設定される。本パチンコ機10ではメーター表示演出として、大当たりの期待度が低い場合に行われる低期待度演出及び大当たりの期待度が高い場合に行われる高期待度演出が行われる。低期待度のメーター表示演出と高期待度のメーター表示演出とでは、各キャラクタ221~225が所有するポイントの減少速度が異なり、最終的にポイントが「0」となるキャラクタ221~225の種類も異なる。したがって、各キャラクタ221~225の所有するポイントの減少幅を把握することにより、遊技者は大当たりの期待度が高いか否かを知ることができる。
【0250】
メーター表示演出で表示されるメーター241a~241e,242には、周囲に枠231a~231eが表示されるメーター241a~241eと周囲に枠231a~231eを表示されないメーター242(図17)とがある。先ず周囲に枠231a~231eが表示されるメーター241a~241eについて説明する。周囲に枠231a~231eを伴うメーター241a~241eの表示は、メモリモジュール133に記憶されている枠用オブジェクト231とメーター用オブジェクト261とメーター用テクスチャ281とを用いて行われる。
【0251】
矩形のメーター241a~241eの長さは、メーター241a~241eの外形を構成する4つの辺のうち、長手方向の一端に存在する辺と、長手方向の他端に存在する辺との間隔によって決まる。長手方向の一端は固定端であり、当該固定端に存在する辺は、キャラクタ221~225に対して常に同じ位置に表示される。一方、長手方向の他端は移動端であり、当該移動端に存在する辺は、キャラクタ221~225が所有するポイントが減少する度に、固定端側に移動する。
【0252】
図16(a)に枠用オブジェクト231を示すとともに、図16(b)にメーター用オブジェクト261を示す。また、図16(c)にメーター用テクスチャ281を示す。図16(a)に示すように、枠用オブジェクト231は矩形の内周と、当該矩形の内周よりもひと回り大きな矩形の外周と、を有する板状ポリゴンである。枠用オブジェクト231の内周を構成する4つの辺のうち、長手方向の一端に存在する辺を辺Aとするとともに、長手方向の他端に存在する辺を辺Bとする。ここで、辺Aはメーター241a~241eの固定端側の辺であり、辺Bはメーター241a~241eの移動端側の辺である。
【0253】
図16(b)に示すように、メーター用オブジェクト261は板状ポリゴンであり、その外形は枠用オブジェクト231の内周と同じ形状及び大きさである。メーター用オブジェクト261の長手方向の一端に存在する辺を辺Cとするとともに、長手方向の他端に存在する辺を辺Dとする。ここで、辺Cはメーター241a~241eの固定端に対応する辺であり、辺Dはメーター241a~241eの移動端に対応する辺である。メーター用オブジェクト261は、キャラクタ221~225の所有するポイントが最大となる場合に対応する大きさを初期状態としてメモリモジュール133に記憶されている。
【0254】
メモリモジュール133には、ワールド座標系内の異なる5箇所にメーター用オブジェクト261を設定するためのメーター用アニメーションデータが記憶されている。当該アニメーションデータには、各キャラクタ221~225に追従する態様で各メーター241a~241eがワールド座標系内を移動するように、メーター用オブジェクト261のパラメータが設定されている。メーター用アニメーションデータについて、具体的には、連番となるようにして複数のポインタ情報が設定されており、各ポインタ情報のそれぞれには、メーター用オブジェクト261をワールド座標系内の5箇所に設定するためのパラメータが設定されている。当該パラメータにはメーター用オブジェクト261の長手方向の縮小倍率、座標、回転角度及びスケールが含まれる。更新タイミングにおいて、表示CPU131は、メーター用アニメーションデータに設定されているパラメータを描画リストに設定する。また、VDP135は、描画リストに設定されている長手方向の縮小倍率に基づいて、メーター用オブジェクト261の縮小を行う。そして、縮小後のメーター用オブジェクト261をワールド座標系に設定する。これにより、キャラクタ221~225が所有するポイントに応じて、長さの異なるメーター用オブジェクト261がワールド座標系に設定される。
【0255】
なお、メモリモジュール133には1つのメーター用オブジェクト261が記憶されており、当該メーター用オブジェクト261が記憶されているアドレスにVDP135が5回アクセスして、同じメーター用オブジェクト261を異なる5箇所に設定することにより、図柄表示装置31の表示面Gに5つのメーター241a~241eが表示される。
【0256】
また、メモリモジュール133には、ワールド座標系内の異なる5箇所に枠用オブジェクト231を設定するための枠用アニメーションデータが記憶されている。当該アニメーションデータには、各キャラクタ221~225に追従する態様で各枠231a~231eがワールド座標系内を移動するように、枠用オブジェクト231のパラメータが設定されている。枠用アニメーションデータについて、具体的には、連番となるようにして複数のポインタ情報が設定されており、各ポインタ情報のそれぞれには、枠用オブジェクト231をワールド座標系内の5箇所に設定するためのパラメータが設定されている。当該パラメータには枠用オブジェクト231の座標、回転角度及びスケールが含まれる。
【0257】
枠用オブジェクト231は、開始タイミング及び各更新タイミングにおいて、枠用オブジェクト231の固定端側の辺Aがメーター用オブジェクト261の固定端に対応する辺Cと一致する態様でワールド座標系に設定される。メーター用オブジェクト261の縮小が行われない開始タイミングでは、枠用オブジェクト231の移動端側の辺Bとメーター用オブジェクト261の移動端に対応する辺Dが一致する態様で、枠用オブジェクト231がワールド座標系に設定される。また、縮小されたメーター用オブジェクト261が設定される更新タイミングでは、枠用オブジェクト231の固定端側の辺Aと移動端側の辺Bの間にメーター用オブジェクト261の移動端に対応する辺Dが位置する態様で、枠用オブジェクト231がワールド座標系に設定される。
【0258】
なお、メモリモジュール133には1つの枠用オブジェクト231が記憶されており、当該枠用オブジェクト231が記憶されているアドレスにVDP135が5回アクセスして、同じ枠用オブジェクト231を異なる5箇所に設定することにより、図柄表示装置31の表示面Gに5つの枠231a~231eが表示される。
【0259】
開始タイミングでは、5人のキャラクタ221~225が所有するポイントは全て最大値であるため、メーター用オブジェクト261は初期状態の大きさでワールド座標系内に設定される。具体的には、図16(d)に示すように、枠用オブジェクト231の固定端側の辺Aとメーター用オブジェクト261の固定端に対応する辺Cが一致するとともに、枠用オブジェクト231の移動端側の辺Bとメーター用オブジェクト261の移動端に対応する辺Dが一致する態様で、枠用オブジェクト231及びメーター用オブジェクト261がワールド座標系内に設定される。
【0260】
更新タイミングにおいて、キャラクタ221~225の所有するポイントが最大値よりも少ない場合には、メーター用オブジェクト261が長手方向に縮小される。この場合、図16(e)に示すように、枠用オブジェクト231の固定端側の辺Aとメーター用オブジェクト261の固定端に対応する辺Cが一致するとともに、メーター用オブジェクト261の移動端に対応する辺Dが枠用オブジェクト231の固定端側の辺Aと移動端側の辺Bとの間に位置する態様で、枠用オブジェクト231及びメーター用オブジェクト261がワールド座標系内に設定される。
【0261】
VDP135は、メーター用テクスチャ281(図16(c))を平行投影マッピングによりメーター用オブジェクト261の投影データに適用して、メーター用描画データ229を作成する。図16(c)に示すように、メーター用テクスチャ281は、メーター用オブジェクト261に対応する画像データであり、メーター用オブジェクト261と同じ矩形の外形を有する。メーター用テクスチャ281の外形を構成する4つの辺のうち、長手方向の一端に存在する辺を辺Eとするとともに、長手方向の他端に存在する辺を辺Fとする。ここで、メーター用テクスチャ281の辺Eは、メーター241a~241eの固定端に対応する辺であるとともに、メーター用テクスチャ281の辺Fは、メーター241a~241eの移動端に対応する辺である。
【0262】
平行投影マッピングについて、図17(a),(b)を参照しながら説明する。図17(a)は、メーター用オブジェクト261及び枠用オブジェクト231の投影データを作成する方法を説明するための説明図である。
【0263】
メーター用オブジェクト261と枠用オブジェクト231とがスクリーン領域PC12に投影されて、投影データが作成される。スクリーン領域PC12のサイズは、図柄表示装置31の表示面Gのサイズと同じであるため、作成される投影データのサイズも図柄表示装置31の表示面Gのサイズと同じである。当該投影データにおいて、実際に枠用オブジェクト231が投影された領域を枠用投影領域252とする。枠用オブジェクト231の投影により、枠用投影領域252に含まれる全ドットには、枠用オブジェクト231が投影されたことを把握できる情報が設定される。そして、当該情報が設定されているドットには、灰色の色情報が設定される。当該色情報は、枠231a~231eを表示するための色情報としてメモリモジュール133に記憶されており、表示CPU131により描画リストに設定される。
【0264】
また、枠用投影領域252において、枠用オブジェクト231の移動端側の辺Bが投影された領域が移動端側の基準データ264となる。移動端側の基準データ264は、メーター用テクスチャ281が平行投影される領域である平行投影用領域の移動端側の端を規定する基準データである。移動端側の基準データ264に含まれるドットには、移動端側の基準データ264を構成するドットであることが把握できる情報が設定される。
【0265】
投影データにおいて、実際にメーター用オブジェクト261が投影された領域をメーター用投影領域251とする。メーター用オブジェクト261の投影により、メーター用投影領域251に含まれる全てのドットには、メーター用オブジェクト261が投影されたことを把握できる情報が設定される。また、メーター用投影領域251において、メーター用オブジェクト261の固定端側の辺Cが投影された領域が固定端側の基準データ263となる。固定端側の基準データ263は、メーター用テクスチャ281が平行投影される領域である平行投影用領域の固定端側の端を規定する基準データである。固定端側の基準データ263に含まれるドットには、固定端側の基準データ263を構成するドットであることが把握できる情報が設定される。
【0266】
キャラクタ221~225が所有するポイントが減少している更新タイミングにおいては、メーター用オブジェクト261の長手方向の縮小が行われるため、メーター用オブジェクト261の移動端側の辺Dは固定端側の辺Cに近い位置に存在する。この場合、ワールド座標系において、メーター用オブジェクト261の固定端側の辺Dと枠用オブジェクト231の移動端側の辺Bとで挟まれた領域はオブジェクトが存在しない空白領域253となる。また、メーター用オブジェクト261及び枠用オブジェクト231の投影データにおいて、メーター用オブジェクト261の移動端側の辺Dが投影された領域と、枠用オブジェクト231の移動端側の辺Bが投影された領域である移動端側の基準データ264とで挟まれる領域は、空白領域253に対応する空白対応領域254となる。空白対応領域254には、オブジェクトが投影されず、空白対応領域254を構成する全てのドットには黒色の色情報が設定される。
【0267】
なお、キャラクタ221~225が所有するポイントが最大値である開始タイミングでは、メーター用オブジェクト261の長手方向の縮小が行われないため、ワールド座標系において、メーター用オブジェクト261の移動端側の辺Dと枠用オブジェクト231の移動端側の辺Bとは同じ位置に存在する。このため、空白領域253及び空白対応領域254は存在しない。
【0268】
図17(b)は、メーター用オブジェクト261及び枠用オブジェクト231の投影データにメーター用テクスチャ281を適用する方法を説明するための説明図である。図17(b)に示すように、メーター用テクスチャ281が平行投影される領域は、固定端側の基準データ263及び移動端側の基準データ264により規定される平行投影用領域である。当該平行投影用領域とは、固定端側の基準データ263と移動端側の基準データ264とで挟まれる領域であり、メーター用投影領域251と空白対応領域254とで構成される領域である。
【0269】
メーター用テクスチャ281は、メーター用テクスチャ281の固定端側の辺Eが固定端側の基準データ263に投影されるとともに、メーター用テクスチャ281の移動端側の辺Fが移動端側の基準データ264に投影される態様で、平行投影用領域に平行投影される。そして、平行投影用領域のうちメーター用投影領域251を構成するドットのみにメーター用テクスチャ281の色情報及び透過性情報が設定される。一方、平行投影領域のうち空白対応領域254を構成するドットに設定されている黒色の色情報は、メーター用テクスチャ281の平行投影によって変更されない。
【0270】
メーター用テクスチャ281の色情報及び透過性情報をメーター用投影領域251に設定する処理について以下に説明する。VDP135は、メーター用投影領域251に含まれる1つのドットを対象ドットとする。当該対象ドットにメーター用テクスチャ281の1つのピクセルが投影されている場合には、当該ピクセルに設定されている色情報及び透過性情報を対象ドットに設定する。例えば、メーター用投影領域251の形状及びサイズがメーター用テクスチャ281の形状及びサイズと同じ場合に、メーター用投影領域251の1つのドットにメーター用テクスチャ281の1つのピクセルが投影される。
【0271】
また、対象ドットにメーター用テクスチャ281の複数のピクセルが投影されている場合には、色情報及び透過性情報の選択を行う。色情報及び透過性情報の選択では、対象ドットに投影されている複数のピクセルのうち対象ドットに投影されている面積が最も大きいピクセルに設定されている色情報及び透過性情報を対象ドットに設定する。例えば、メーター用投影領域251のサイズがメーター用テクスチャ281のサイズよりも小さい場合に、メーター用投影領域251の1つのドットにメーター用テクスチャ281の複数のピクセルが投影される。
【0272】
また、対象ドットに投影されているメーター用テクスチャ281のピクセルが存在せず、対象ドットの周辺にメーター用テクスチャ281の複数のピクセルが投影されている場合には、色情報及び透過性情報の補完を行う。色情報及び透過性情報の補完では、対象ドットの周辺に投影されている複数のピクセルの色情報及び透過性情報について、当該対象ドットからの距離に応じて重みづけをした上で、複数のピクセルの色情報及び透過性情報をブレンドし、当該ブレンドにより得られた色情報及び透過性情報を対象ドットに設定する。例えば、メーター用投影領域251のサイズがメーター用テクスチャ281のサイズよりも大きい場合に、メーター用投影領域251の1つのドットに投影されているメーター用テクスチャ281のピクセルが存在せず、当該ドットの周辺に複数のピクセルが投影されている状態となる。
【0273】
視点PC11の切り換えが行われる更新タイミングにおいては、メーター用投影領域251の形状がメーター用テクスチャ281の形状とは異なる形状となる場合がある。この場合にも、メーター用テクスチャ281がメーター用テクスチャ281よりも狭い領域に投影される場合には、色情報及び透過性情報の選択が行われ、メーター用テクスチャ281がメーター用テクスチャ281よりも広い領域に投影される場合には、色情報及び透過性情報の補完が行われることにより、メーター用投影領域251にメーター用テクスチャ281が適用される。
【0274】
対象ドットは、メーター用投影領域251を構成する全てのドットにメーター用テクスチャ281の色情報及び透過性情報が設定されるまで更新される。これにより、メーター用テクスチャ281の色情報及び透過性情報がメーター用投影領域251に設定される。メーター用オブジェクト261の長手方向の縮小が行われない開始タイミングでは、平行投影用領域とメーター用投影領域251とが一致し、空白対応領域254が存在しないため、メーター用投影領域251にメーター用テクスチャ281の画像の全体が変形せずに表示される。具体的には、メーター用投影領域251に1~5の数字が変形せずに表示される。
【0275】
平行投影マッピングにおいて、オブジェクトの変形が行われると、マッピングは物体表面に追従しないため、テクスチャとオブジェクトとの対応関係はずれる。メーター用オブジェクト261の長手方向の縮小が行われる更新タイミングでは、空白対応領域254が存在するため、平行投影用領域のうちメーター用投影領域251のみにメーター用テクスチャ281の画像の一部が変形せずに表示される。例えば、図17(b)に示すように、メーター用テクスチャ281の1~3の数字が表示対象となり、変形せずに表示される。この場合、4及び5の数字は非表示対象となり、表示されない。メーター用テクスチャ281において、表示対象となる範囲は、メーター用オブジェクト261の長手方向の縮小倍率に応じて変化する。具体的には、メーター用オブジェクト261が小さく縮小されるほど、短いメーター241a~241eが表示される。この場合には、メーター用テクスチャ281の数字が変形されずに、メーター241a~241eに表示される。
【0276】
次に、UVマッピングによりメーター用投影領域251にメーター用テクスチャ281を適用する場合について説明する。UVマッピングでは、UV座標系に存在するメーター用テクスチャ281が利用される。また、UVマッピングにおいては、テクスチャに対応するオブジェクトが変形されても、マッピングがオブジェクトの変形に追従するため、テクスチャとオブジェクトとの対応関係はずれない。
【0277】
更新タイミングにおいて、メーター用オブジェクト261が長手方向に縮小されて、ワールド座標系内に設定されると、図17(c)に示すように、メーター用投影領域251には、メーター用テクスチャ281の全体が縮小表示される。具体的には、開始タイミングにおけるメーター用投影領域251よりも面積の狭い更新タイミングにおけるメーター用投影領域251に、メーター用テクスチャ281の1~5の数字が縮小表示される。この場合に、メーター241a~241eに表示される数字は、メーター用テクスチャ281の数字よりも長手方向に縮小されている。メーター241a~241eの長さが変化しても、メーター241a~241eに表示される数字の数が変化しないため、キャラクタ221~225が所有するポイントが減少したことが、遊技者に伝わりにくい。
【0278】
UVマッピングを利用して、メーター用テクスチャ281の一部を変形せずに表示する場合には、メーター用オブジェクト261の縮小倍率に応じてメーター用テクスチャ281のUV座標を変換する処理が必要となり、処理負荷が増加する。これに対して、UVマッピングの代わりに平行投影マッピングを用いることにより、処理負荷の増大を抑えながらメーター用テクスチャ281の部分表示を行うことができる。ここで、メーター用テクスチャ281の部分表示とは、メーター241a~241eの移動端側が欠けている状態の表示である。特に、本メーター表示演出のように、複数のメーター表示を個別に行う場合には、平行投影マッピングを行うことにより、処理負荷の増大を効果的に抑えることができる。
【0279】
平行投影マッピングを利用することにより、メーター241a~241eに表示される数字が減少していく態様でメーター表示を行うことができ、キャラクタ221~225が所有しているポイントが減少していく様子を遊技者に分かりやすく伝えることができる。
【0280】
次に、周囲に枠231a~231eが表示されないメーター242を単独表示する方法について説明する。図18(a)は、キャラクタ226の下方に単独で表示されるメーター242を説明するための説明図である。周囲に枠231a~231eを表示しない態様でメーター242を表示する場合には、メーター用オブジェクト261、ブランクオブジェクト291及びメーター用テクスチャ281が用いられる。
【0281】
図18(b)は、長手方向に縮小されたメーター用オブジェクト261及びブランクオブジェクト291がワールド座標系内に設定されている様子を説明するための説明図である。ブランクオブジェクト291とは、2つの頂点を結ぶ線分であり、1次元のオブジェクトである。ブランクオブジェクト291には完全透過の透過性情報(「0」のα値)が設定されているため、ブランクオブジェクト291は図柄表示装置31の表示面Gには表示されない。また、メーター用オブジェクト261の固定端に対応する辺Cとブランクオブジェクト291とは常に一定の位置関係となるようにしてワールド座標系内に設定される。
【0282】
メモリモジュール133には、ワールド座標系内の異なる5箇所にブランクオブジェクト291を設定するためのブランク用アニメーションデータが記憶されている。当該アニメーションデータには、各キャラクタ221~225に追従する態様でブランクオブジェクト291がワールド座標系内を移動するように、パラメータが設定されている。ブランク用アニメーションデータについて、具体的には、連番となるようにして複数のポインタ情報が設定されており、各ポインタ情報のそれぞれには、ブランクオブジェクト291をワールド座標系内の5箇所に設定するためのパラメータが設定されている。当該パラメータにはブランクオブジェクト291の座標、回転角度及びスケールが含まれる。
【0283】
開始タイミング及び各更新タイミングにおけるメーター用オブジェクト261の固定端に対応する辺Cとブランクオブジェクト291との間隔は、開始タイミングにおけるメーター用オブジェクト261の固定端に対応する辺Cと移動端に対応する辺Dとの間隔である第1間隔と同じである。VDP135は、メーター用オブジェクト261の固定端に対応する辺Cとブランクオブジェクト291との位置関係が、開始タイミングにおけるメーター用オブジェクト261の固定端に対応する辺Cと移動端に対応する辺Dとの位置関係と同じになる態様で、メーター用オブジェクト261から第1間隔と同じ間隔を空けて、ブランクオブジェクト291を設定する。
【0284】
メーター242を単独表示する場合は、周囲に枠231a~231eを表示する場合と比較して、メーター用テクスチャ281が平行投影される平行投影用領域の規定方法が異なる。なお、メーター用テクスチャ281が平行投影領域に平行投影され、メーター用投影領域251にメーター用テクスチャ281の色情報及び透過性情報が設定される処理は、メーター242を単独表示する場合と周囲に枠231a~231eを表示する場合とで同じである。図18(c)は、メーター用オブジェクト261及びブランクオブジェクト291をスクリーン領域PC12に投影する処理について説明するための説明図である。
【0285】
先ずワールド座標系に設定されているメーター用オブジェクト261及びブランクオブジェクト291がスクリーン領域PC12に投影されて、投影データが作成される。当該投影データには、メーター用オブジェクト261が実際に投影されたメーター用投影領域251が含まれる。メーター用投影領域251を構成する全てのドットには、メーター用オブジェクト261が投影されたことが把握できる情報が設定される。
【0286】
また、メーター用投影領域251において、メーター用オブジェクト261の固定端側の辺Cが投影された領域が固定端側の基準データ298となる。固定端側の基準データ298は、メーター用テクスチャ281が平行投影される平行投影用領域の固定端側の端を規定するための基準データである。固定端側の基準データ298に含まれるドットには、固定端側の基準データ298を構成するドットであることが把握できる情報が設定される。
【0287】
また、ブランクオブジェクト291が投影された領域が移動端側の基準データ292となる。移動端側の基準データ292は、メーター用テクスチャ281が平行投影される平行投影用領域の移動端側の端を規定するための基準データである。移動端側の基準データ292に含まれるドットには、移動端側の基準データ292を構成するドットであることが把握できる情報が設定される。
【0288】
キャラクタ221~225が所有するポイントが減少している更新タイミングにおいては、メーター用オブジェクト261の長手方向の縮小が行われるため、メーター用オブジェクト261の移動端側の辺Dは固定端側の辺Cに近い位置に存在する。この場合、ワールド座標系において、メーター用オブジェクト261の固定端側の辺Dとブランクオブジェクト291とで挟まれた領域はオブジェクトが存在しない空白領域255となる。また、メーター用オブジェクト261及びブランクオブジェクト291の投影データにおいて、メーター用オブジェクト261の移動端側の辺Dが投影された領域と、ブランクオブジェクト291が投影された領域である移動端側の基準データ292とで挟まれる領域は、空白領域255に対応する空白対応領域256となる。空白対応領域256には、オブジェクトが投影されず、空白対応領域256を構成する全てのドットには色情報が設定されずに、完全透過の透過性情報が設定される。
【0289】
なお、キャラクタ221~225が所有するポイントが最大値である開始タイミングでは、メーター用オブジェクト261の長手方向の縮小が行われないため、ワールド座標系において、メーター用オブジェクト261の移動端側の辺Dとブランクオブジェクト291とは同じ位置に存在する。このため、空白領域255及び空白対応領域256は存在しない。
【0290】
図18(d)は、メーター用オブジェクト261及びブランクオブジェクト291の投影データにメーター用テクスチャ281を適用する方法を説明するための説明図である。図18(d)に示すように、メーター用テクスチャ281が平行投影される領域は、固定端側の基準データ298及び移動端側の基準データ292により規定される平行投影用領域である。当該平行投影用領域とは、固定端側の基準データ298と移動端側の基準データ292とで挟まれる領域であり、メーター用投影領域251と空白対応領域256とで構成される領域である。
【0291】
メーター用テクスチャ281は、メーター用テクスチャ281の固定端側の辺Eが固定端側の基準データ298に投影されるとともに、メーター用テクスチャ281の移動端側の辺Fが移動端側の基準データ292に投影される態様で、平行投影用領域に平行投影される。そして、平行投影用領域のうちメーター用投影領域251を構成するドットのみにメーター用テクスチャ281の色情報及び透過性情報が設定される。一方、平行投影領域のうち空白対応領域256を構成するドットに設定されている完全透過の透過性情報は、メーター用テクスチャ281の平行投影によって変更されない。
【0292】
このように、ブランクオブジェクト291を用いることにより、枠用オブジェクト231を用いなくてもメーター用テクスチャ281を平行投影する平行投影用領域を規定することができ、メーター用テクスチャ281の固定端に対応する辺E側の一部が表示される部分表示を行うことができる。ブランクオブジェクト291を利用することにより、枠231a~231eのないメーター242の単独表示が可能となる。
【0293】
VDP135は、描画処理(図13)のステップS710における演出及び図柄用の描画データ作成処理にて、演出及び図柄用の描画データを作成する。詳細には、個別に作成したメーター用描画データ229と図柄表示用の描画データとを、メーター用描画データ229が奥側に並ぶとともに、図柄表示用の描画データが手前側に並ぶ態様でスクリーン用バッファ144に書き込むことにより、演出及び図柄用の描画データを作成する。
【0294】
また、VDP135は、描画処理(図13)のステップS711における描画データ合成処理にて、個別にスクリーン用バッファ144に書き込まれている背景用の描画データと演出及び図柄用の描画データとを、背景用の描画データが奥側に並ぶとともに、演出及び図柄用の描画データが手前側に並ぶ態様で描画対象のフレーム領域142a,142bに対して書き込むことにより、1フレーム分の描画データを作成する。なお、各描画データの外形は同じであるとともに、各描画データを構成するピクセルの数も同じである。
【0295】
演出及び図柄用の描画データを作成する場合と、1フレーム分の描画データを作成する場合とにおいて、描画の実行対象となったピクセルに完全透過のα値が設定されている場合には奥側の画像の色情報をそのまま利用し、半透過のα値が設定されている場合にはα値を基準とした比率での奥側の画像の色情報と手前側の画像の色情報とのブレンドを行い、不透過のα値が設定されている場合には奥側の画像の色情報に対する手前側の画像の色情報の上書きを行う。これにより、背景用の画像の手前側であるとともに、図柄用の画像の奥側である位置に、演出用の画像としてキャラクタ221~225の画像及びメーター241a~241e,242の画像が表示される。完全透過の透過性情報が設定されている空白対応領域256であって、図柄用の画像が手前に表示されない領域には、背景画像が表示される。
【0296】
以下、メーター表示演出を実行するための具体的な処理構成を説明する。
【0297】
図19は表示CPU131にて実行されるメーター表示演出用の把握処理を示すフローチャートである。メーター表示演出用の把握処理は、タスク処理(図11)のステップS604における演出用演算処理にて実行される。また、メーター表示演出用の把握処理は、メーター表示演出が実行される遊技回に対応したデータテーブルが設定されている場合に起動される。
【0298】
先ずステップS801では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、メーター表示演出の実行中であるか否かについて判定する。メーター表示演出の実行中でない場合(ステップS801:NO)には、ステップS802にて、メーター表示演出の開始タイミングであるか否かについて判定する。開始タイミングでない場合にはそのまま本把握処理を終了し、開始タイミングである場合にはステップS803に進む。
【0299】
ステップS803では、ワールド座標系内に5つのキャラクタ221~225を表示するためのキャラクタ用アニメーションデータを読み出す。当該キャラクタ用アニメーションデータには、連番となるようにして複数のポインタ情報が設定されており、各ポインタ情報のそれぞれには、5人のキャラクタ221~225を表示するためのキャラクタ用オブジェクトについて5人分のパラメータが設定されている。当該パラメータにはキャラクタ用オブジェクトの座標、回転角度及びスケールが含まれる。
【0300】
ステップS804では現状設定されているデータテーブルに基づいて、今回の遊技回における大当たりの期待度が低いか否かについて判定する。大当たりの期待度が低い場合(ステップS804:YES)には、ステップS805にて低期待度用のメーター用アニメーションデータを読み出す。一方、大当たりの期待度が高い場合(ステップS804:NO)には、ステップS806にて高期待度用のメーター用アニメーションデータを読み出す。
【0301】
ステップS805又はステップS806にてメーター用アニメーションデータを読み出した後、ステップS807にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、枠231a~231eの表示を行うか否かについて判定する。枠231a~231eの表示を行う場合(ステップS807:YES)には、ステップS808にて枠用オブジェクト231をワールド座標系内に設定するために必要なパラメータを把握するための枠用アニメーションデータを読み出す。当該アニメーションデータには、メーター用オブジェクト261の固定端に対応する辺Cと枠用オブジェクト231の固定端側の辺Aが重なり、メーター用オブジェクト261と枠用オブジェクト231とが同一平面に存在する態様で、枠用オブジェクト231を設定するためのパラメータが設定されている。
【0302】
一方、枠231a~231eを表示しない場合(ステップS807:NO)には、ステップS809にてブランクオブジェクト291をワールド座標系内に設定するために必要なパラメータを把握するためのブランク用アニメーションデータを読み出す。当該アニメーションデータには、メーター用オブジェクト261の固定端に対応する辺Cとブランクオブジェクト291との位置関係が、開始タイミングにおけるメーター用オブジェクト261の固定端に対応する辺Cと移動端に対応する辺Dとの位置関係と同じになる態様でブランクオブジェクト291を設定するためのパラメータが設定されている。
【0303】
ステップS801にて肯定判定を行った場合には、ステップS810にて現状設定されているデータテーブルに基づいて、メーター用オブジェクト261の長手方向の縮小を行う更新タイミングであるか否かについて判定する。縮小を行う更新タイミングである場合(ステップS810:YES)には、ステップS811にて縮小指示情報を記憶する。
【0304】
ステップS808の後、ステップS809の後、ステップS811の後、又はステップS810にて否定判定を行った後、ステップS812にてメーター表示演出用の各種データ把握処理を実行する。
【0305】
ここで、メーター表示演出用の各種データ把握処理について、図20のフローチャートを参照しながら説明する。図20は表示CPU131にて実行されるメーター表示演出用の各種データの把握処理を示すフローチャートである。なお、キャラクタ221~225を表示するためのキャラクタ用オブジェクト、枠用オブジェクト231~235、ブランクオブジェクト291、メーター用オブジェクト261及びメーター用テクスチャ281は予めメモリモジュール133に記憶されている。
【0306】
先ずステップS901では、現状設定されているデータテーブルに基づいてキャラクタ221~225の表示を行うためのキャラクタ用オブジェクトの使用指示情報を記憶し、ステップS902では、既に読み出されているキャラクタ用アニメーションデータを参照して5つのキャラクタ用オブジェクトのパラメータを把握する。
【0307】
ステップS903では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、メーター用オブジェクト261の使用指示情報を記憶し、ステップS904にて既に読み出されているメーター用アニメーションデータを参照してメーター用オブジェクト261の5個分のパラメータを把握する。その後、ステップS905では現状設定されているデータテーブルに基づいてメーター用テクスチャ281の使用指示情報を記憶する。
【0308】
ステップS906では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、枠231a~231eの表示を行うか否かについて判定する。枠231a~231eの表示を行う場合(ステップS906:YES)には、ステップS907にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、枠用オブジェクト231の使用指示情報を記憶する。そして、ステップS908にて、既に読み出されている枠用アニメーションデータを参照して、枠用オブジェクト231をワールド座標系内に設定するためのパラメータを把握する。続くステップS909では、枠231a~231eを表示するための色情報として、灰色の色情報を把握し、ステップS910では、空白対応領域254に設定するための色情報として、黒色の色情報を把握する。
【0309】
枠231a~231eの表示を行わない場合(ステップS906:NO)には、ステップS911にてブランクオブジェクト291の使用指示情報を記憶する。そして、ステップS912にて、既に読み出されているブランク用アニメーションデータを参照して、ブランクオブジェクト291をワールド座標系内に設定するためのパラメータを把握し、本把握処理を終了する。
【0310】
メーター表示演出用の把握処理(図19)の説明に戻り、ステップS812にてメーター表示演出用の各種データ把握処理を実行した後、ステップS813にて指定情報を記憶して本把握処理を終了する。なお、ステップS813では、メーター表示演出の開始タイミングである場合には開始指定情報が記憶され、メーター表示演出の更新タイミングである場合には更新指定情報が記憶される。
【0311】
上記のようにメーター表示演出用の把握処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、キャラクタ221~225を表示するためのオブジェクト、メーター用オブジェクト261及びメーター用テクスチャ281の使用指示情報が設定される。また、枠231a~231eを表示する場合には枠用オブジェクト231の使用指示情報が設定され、枠231a~231eを表示しない場合にはブランクオブジェクト291の使用指示情報が設定される。描画リストには、キャラクタ221~225を表示するためのオブジェクトのパラメータ及びメーター用オブジェクト261のパラメータも設定される。また、枠231a~231eを表示する場合には枠用オブジェクト231のパラメータと、枠231a~231eに設定される灰色の色情報と、空白対応領域254に設定される黒色の色情報とが設定され、枠231a~231eを表示しない場合にはブランクオブジェクト291のパラメータが設定される。メーター用オブジェクト261の長手方向の縮小が行われる更新タイミングにおいては、縮小指示情報も設定される。さらに、開始タイミングである場合には開始指定情報が記憶され、更新タイミングである場合には更新指定情報が設定される。
【0312】
次に、VDP135にて実行されるメーター用オブジェクトの設定処理について、図21を参照しながら説明する。メーター用オブジェクトの設定処理は、描画処理(図13)のステップS703における演出用の設定処理にて実行される。
【0313】
先ずステップS1001にて、今回の描画リストを参照し、メモリモジュール133においてキャラクタ221~225を表示するためのオブジェクトが記憶されているアドレスを把握して読み出す。続くステップS1002では、今回の描画リストを参照し、キャラクタ221~225を表示するためのオブジェクトの5個分のパラメータを把握する。そしてステップS1003では、ステップS1002にて把握したパラメータに基づいてキャラクタ221~225を表示するためのオブジェクトをワールド座標系内の異なる5箇所に設定する処理を行う。その後、ステップS1004にてメーター表示演出用の各種オブジェクト設定処理を実行する。
【0314】
ここで、メーター表示演出用の各種オブジェクト設定処理について、図22のフローチャートを参照しながら説明する。図22は、VDP135にて実行されるメーター表示演出用の各種オブジェクト設定処理を示すフローチャートである。
【0315】
先ずステップS1101では、今回の描画リストを参照し、枠用オブジェクト231の使用指示情報が設定されているか否かについて判定する。枠用オブジェクト231の使用指示情報が設定されている場合(ステップS1101:YES)には、ステップS1102にて変数kに「1」を加算する。ここで、変数kは0~5のいずれか1の整数である。当該変数kはワールド座標系内に設定された枠用オブジェクト231の数を表し、枠用オブジェクト231がワールド座標系内の異なる5箇所に設定された場合にステップS1107にて「0」クリアされる。
【0316】
ステップS1103では、今回の描画リストを参照し、メモリモジュール133において枠用オブジェクト231が記憶されているアドレスを把握して読み出す。続くステップS1104では、今回の描画リストを参照し、枠用オブジェクト231のk個目のパラメータを把握する。ここで、枠用オブジェクト231のk個目のパラメータとは、第kキャラクタ221~225(図15)の下方に枠231a~231eを表示するためのパラメータである。例えば、k=1の場合には、第1キャラクタ221の下方に枠231aを表示するためのパラメータであり、k=2の場合には、第2キャラクタ222の下方に枠231bを表示するためのパラメータである。
【0317】
ステップS1105では、ステップS1104にて把握したk個目のパラメータに基づいて枠用オブジェクト231をワールド座標系内に設定し、ステップS1106にてkが5であるか否かについて判定する。つまり、ワールド座標系内に5個の枠用オブジェクト231が設定されたか否かについて判定する。kが「5」未満である場合(ステップS1106:NO)には、ステップS1102に戻り、再びワールド座標系内に枠用オブジェクト231を設定する。一方、kが「5」である場合(ステップS1106:YES)には、ステップS1107にてkを「0」クリアして本設定処理を終了する。
【0318】
枠用オブジェクト231の使用指示情報がない場合(ステップS1101:NO)には、ステップS1108にて変数jに「1」を加算する。ここで、変数jは0~5のいずれか1の整数である。当該変数jはワールド座標系内に設定されたブランクオブジェクト291の数を表し、ブランクオブジェクト291がワールド座標系内の異なる5箇所に設定された場合にステップS1113にて「0」クリアされる。
【0319】
ステップS1109では、今回の描画リストを参照し、メモリモジュール133においてブランクオブジェクト291が記憶されているアドレスを把握して読み出す。続くステップS1110では、今回の描画リストを参照し、ブランクオブジェクト291のj個目のパラメータを把握する。ここで、ブランクオブジェクト291のj個目のパラメータとは、第jキャラクタ(図15)の下方に枠231a~231eの無いメーター242を単独表示するためのパラメータである。例えば、j=1の場合には、第1キャラクタ221の下方にメーター242を単独表示するためのパラメータであり、j=2の場合には、第2キャラクタ222の下方にメーター242を単独表示するためのパラメータである。
【0320】
ステップS1111では、ステップS1110にて把握したj個目のパラメータに基づいてブランクオブジェクト291をワールド座標系内に設定し、ステップS1112にて変数jが「5」であるか否かについて判定する。つまり、ワールド座標系内に5個のブランクオブジェクト291が設定されたか否かについて判定する。変数jが「5」未満である場合(ステップS1112:NO)には、ステップS1108に戻り、再びワールド座標系内にブランクオブジェクト291を設定する。一方、変数jが「5」である場合(ステップS1112:YES)には、ステップS1113にて変数jを「0」クリアして本設定処理を終了する。
【0321】
メーター用オブジェクトの設定処理(図21)の説明に戻り、ステップS1004にてメーター表示演出用の各種オブジェクト設定処理を行った後、ステップS1005にて変数mに「1」を加算する。ここで、変数mは0~5のいずれか1の整数である。当該変数mはワールド座標系内に設定されたメーター用オブジェクト261の数を表し、5個のメーター用オブジェクト261がワールド座標系内に設定された場合にステップS1012にて「0」クリアされる。
【0322】
ステップS1006では、今回の描画リストを参照し、メモリモジュール133においてメーター用オブジェクト261が記憶されているアドレスを把握して読み出す。続くステップS1007では、今回の描画リストを参照し、メーター用オブジェクト261のm個目のパラメータを把握する。ここで、メーター用オブジェクト261のm個目のパラメータとは、第mキャラクタ221~225(図15)の下方に位置するメーター241a~241eを表示するためのパラメータである。例えば、m=1の場合には第1キャラクタ221の下方に位置するメーター241aを表示するためのパラメータであり、m=2の場合には第2キャラクタ222の下方に位置するメーター241bを表示するためのパラメータである。
【0323】
ステップS1008では、今回の描画リストに縮小指示情報が設定されているか否かについて判定する。縮小指示情報が設定されている場合(ステップS1008:YES)には、ステップS1009にて、メーター用オブジェクト261を長手方向に縮小する。当該縮小は、ステップS1007にて把握したm個目のパラメータに基づいて実行する。ステップS1008にて否定判定を行った後、又はステップS1009の後、ステップS1010にて、メーター用オブジェクト261をm個目のパラメータに基づいて、ワールド座標系に設定する。
【0324】
ステップS1011では、変数mが「5」であるか否かについて判定する。変数mが「5」未満である場合(ステップS1011:NO)には、ステップS1005に戻り、再びワールド座標系内にメーター用オブジェクト261を設定する。一方、変数mが「5」である場合(ステップS1011:YES)には、ステップS1012にて変数mを「0」クリアし、ステップS1013にて、メーター用テクスチャの適用処理を行って、本設定処理を終了する。
【0325】
次に、メーター用テクスチャの適用処理について、図23を参照しながら説明する。図23はVDP135にて実行されるメーター用テクスチャの適用処理を示すフローチャートである。
【0326】
ステップS1201では、ワールド座標系に設定されているオブジェクトをスクリーン領域PC12に投影して投影データを作成する。枠231a~231eを表示するメーター表示演出の場合には、ワールド座標系に設定されているメーター用オブジェクト261と枠用オブジェクト231とが投影される。また、枠231a~231eを表示しないメーター表示演出の場合には、ワールド座標系に設定されているメーター用オブジェクト261とブランクオブジェクト291とが投影される。
【0327】
メーター用オブジェクト261の投影では、メーター用投影領域251に含まれる全てのドットにメーター用オブジェクト261が投影されたことが把握できる情報が設定される。枠231a~231eを表示するメーター表示演出の場合には、枠用オブジェクト231の移動端側の辺Bが投影された領域が移動端側の基準データ264となり、移動端側の基準データ264に含まれる全てのドットに移動端側の基準データ264を構成するドットであることが把握できる情報が設定される。また、メーター用オブジェクト261の固定端側の辺Cが投影された領域が固定端側の基準データ263となり、固定端側の基準データ263に含まれる全てのドットに固定端側の基準データ263を構成するドットであることが把握できる情報が設定される。
【0328】
また、枠231a~231eを表示しないメーター表示演出の場合には、ブランクオブジェクト291が投影された領域が移動端側の基準データ292となり、移動端側の基準データ292に含まれる全てのドットに移動端側の基準データ292を構成するドットであることが把握できる情報が設定される。また、メーター用オブジェクト261の固定端側の辺Cが投影された領域が固定端側の基準データ298となり、固定端側の基準データ298に含まれる全てのドットに固定端側の基準データ298を構成するドットであることが把握できる情報が設定される。
【0329】
ステップS1202では、変数nに「1」を加算する。ここで、変数nは0~5のいずれか1の整数である。当該変数nはメーター用オブジェクト261の投影データに対してメーター用テクスチャ281が適用された回数を表し、5個のメーター用オブジェクト261の投影データに対してメーター用テクスチャ281が5回適用された場合にステップS1214にて「0」クリアされる。
【0330】
ステップS1203では、今回の描画リストを参照し、枠用オブジェクト231の使用指示情報が設定されているか否かについて判定する。枠用オブジェクト231の使用指示情報が設定されている場合(ステップS1203:YES)には、ステップS1204にて、今回の描画リストを参照して、枠用投影領域252に設定するための灰色の色情報をメモリモジュール133から読み出す。続くステップS1205では、枠用投影領域252に含まれる全ドットに灰色の色情報を設定する。ステップS1206では、今回の描画リストを参照して、空白対応領域254に設定するための黒色の色情報をメモリモジュール133から読み出す。続くステップS1207では、空白対応領域254に黒色の色情報を設定する。
【0331】
ステップS1208では、メーター用オブジェクト261及び枠用オブジェクト231の投影データにおいて、n個目の移動端側の基準データ264の位置情報を把握する。一方、枠用オブジェクト231の使用指示情報が設定されていない場合(ステップS1203:NO)には、ステップS1209にて、メーター用オブジェクト261及びブランクオブジェクト291の投影データにおいて、n個目の移動端側の基準データ292の位置情報を把握する。
【0332】
ステップS1208又はステップS1209にてn個目の移動端側の基準データ264,292を把握した後、ステップS1210では、今回の描画リストを参照し、メモリモジュール133においてメーター用テクスチャ281が記憶されているアドレスを把握して読み出す。ステップS1211では、投影データにおいて、n個目の固定端側の基準データ263,298の位置情報を把握する。詳細には、枠231a~231eを表示するメーター表示演出の場合に、メーター用オブジェクト261及び枠用オブジェクト231の投影データにおいて、n個目の固定端側の基準データ263の位置情報を把握する。また、枠231a~231eを表示しないメーター表示演出の場合に、メーター用オブジェクト261及びブランクオブジェクト291の投影データにおいて、n個目の固定端側の基準データ298の位置情報を把握する。
【0333】
ステップS1212では、n個目のメーター用投影領域251に対してメーター用テクスチャ281を平行投影マッピングにより適用する。ここで、n個目のメーター用投影領域251とは、第nキャラクタ(図15)の下方に位置するメーター241a~241eを表示するためにワールド座標系に設定されたメーター用オブジェクト261の投影領域251である。
【0334】
メーター用テクスチャ281の平行投影マッピングは、メーター用テクスチャ281の固定端に対応する辺EがステップS1211にて位置情報を把握した固定端側の基準データ263,298に投影されるとともに、メーター用テクスチャ281の移動端に対応する辺FがステップS1208にて位置情報を把握した移動端側の基準データ264又はステップS1209にて位置情報を把握した移動端側の基準データ292に投影される態様で行われる。つまり、メーター用テクスチャ281は、固定端側の基準データ263,298と移動端側の基準データ264,298とで規定される平行投影用領域に平行投影される。
【0335】
平行投影マッピングでは、メーター用投影領域251の対象ドットに投影されているメーター用テクスチャ281のピクセルに設定されている色情報及び透過性情報を対象ドットに設定する。対象ドットに複数のピクセルが投影されている場合には、色情報及び透過性情報の選択を行って、対象ドットに色情報及び透過性情報を設定する。また、対象ドットに投影されているピクセルが存在しない場合には、色情報及び透過性情報の補完を行って、対象ドットに色情報及び透過性情報を設定する。対象ドットは、メーター用投影領域251の全てのドットに対してメーター用テクスチャ281の色情報及び透過性情報の設定が完了するまで更新する。これにより、n個目のメーター用投影領域251にメーター用テクスチャ281が適用される。
【0336】
ステップS1213では、nが「5」であるか否かについて判定する。nが「5」未満である場合(ステップS1213:NO)には、ステップS1202に戻り、再びメーター用オブジェクト261の投影データに対してメーター用テクスチャ281を適用する処理を実行する。一方、nが「5」である場合(ステップS1213:YES)には、ステップS1214にてnを「0」クリアし、本適用処理を終了する。
【0337】
以上のとおり、メーター表示演出では、メーター用テクスチャ281を平行投影マッピングによりメーター用投影領域251に適用することにより、メーター用オブジェクト261の長手方向の縮小を行うだけで、キャラクタ221~225の所有するポイントに応じてメーター241の移動端である移動端に対応する辺D側が欠けていく様子を表示することができる。UV座標変換を行うとともに、UVマッピングによりメーター用テクスチャ281をメーター用投影領域251に適用する場合と比較して、移動端である移動端に対応する辺D側から欠けていくメーター241を表示するための処理負荷を軽減することができる。
【0338】
メーター表示演出では長さの異なる5個のメーター241a~421eを表示するため、メーター用テクスチャ281をメーター用投影領域251に適用する方法として平行投影マッピングを選択することにより、メーター241を表示するための処理負荷を効果的に軽減することができる。
【0339】
メーター用テクスチャ281の固定端に対応する辺Eがメーター用オブジェクト261の固定端に対応する辺Cに対応するとともに、メーター用テクスチャ281の移動端に対応する辺Fが他のオブジェクトの線分に対応する態様でメーター用テクスチャ281の平行投影マッピングを行うことにより、メーター241の長手方向の長さ以外のものが変化しない態様でメーター用テクスチャ281をメーター用投影領域251に適用することができる。枠231a~231eの表示を行う場合には、メーター用テクスチャ281を平行投影する範囲を指定するために枠用オブジェクト231の移動端側の辺Bを利用することにより、メーター用オブジェクト261の長手方向の縮小が行われても、メーター用オブジェクト261の移動端に対応する辺Dの位置に関わらずに、メーター用テクスチャ281を投影する範囲を規定することができる。また、メーター用テクスチャ281の投影範囲を設定するために専用のオブジェクトを別に設定する場合と比較して、予めメモリモジュール133に記憶するオブジェクトのデータ容量を減らすことができるとともに、リアルタイムで行う処理の負荷を軽減することができる。
【0340】
また、枠231a~231eを表示しない場合には、メーター用テクスチャ281を平行投影する範囲を指定するためにブランクオブジェクト291を利用することにより、メーター用オブジェクト261の長手方向の縮小が行われても、メーター用オブジェクト261の移動端に対応する辺Dの位置に関わらずに、メーター用テクスチャ281を投影する範囲を規定することができる。ブランクオブジェクト291は2つの頂点と、当該2つの頂点を結ぶ線分と、からなる1次元のオブジェクトであるため、少ないデータ容量でメーター用テクスチャ281をメーター用オブジェクト261に適用することができる。ブランクオブジェクト291には、完全透過の透過性情報が設定されているため、メーター241の表示態様を変化させることなく、メーター用テクスチャ281の投影範囲を規定することができる。
【0341】
メモリモジュール133に記憶する枠用オブジェクト231、メーター用オブジェクト261及びブランクオブジェクト291の数をそれぞれ1個とし、VDP135が、枠用オブジェクト231、メーター用オブジェクト261及びブランクオブジェクト291が記憶されているアドレスに複数回アクセスして、枠用オブジェクト231、メーター用オブジェクト261及びブランクオブジェクト291をワールド座標系内に複数設定する構成とする。また、メモリモジュール133に記憶するメーター用テクスチャ281の数を1個とし、VDP135が、メーター用テクスチャ281が記憶されているアドレスに複数回アクセスして、複数個のメーター用オブジェクト261の投影領域251にメーター用テクスチャ281を適用する構成とする。当該構成において、更新タイミングでは、キャラクタ221~225が所有するポイントに応じてメーター用オブジェクト261の長手方向の縮小を行うことにより、5つのメーター241の長さを個別に変化させることができる。5つのメーター241を表示するためのオブジェクト及びテクスチャをメーター241毎に記憶する構成と比較して、予め記憶するオブジェクト及びテクスチャのデータ容量を最小限に抑えることができる。
【0342】
<メーター表示演出の別形態>
上述したメーター表示演出を実行するための構成において、メーター用テクスチャ281の内容は、キャラクタ221~225が所有するポイントの数字に限られない。例えば、色の異なる5つの領域から成るメーター用テクスチャ281を使用し、キャラクタ221~225が所有するポイントが減少する度に表示される領域の数が減少する構成としてもよい。具体的には、初期状態において、色の異なる5つの領域が表示されており、1ポイント減少すると表示される領域が1つ減り、色の異なる4つの領域が表示される構成とする。これにより、キャラクタ221~225が所有するポイントが減少したことを分かりやすく表示することができる。
【0343】
また、枠231a~231eを表示しないメーター242の表示において、空白対応領域256の表示態様は、空白対応領域256を完全透明として、背景画像を表示する態様に限られない。例えば、空白対応領域256を黒色の領域として表示してもよい。
【0344】
具体的には、メーター用オブジェクト261とブランクオブジェクト291とが投影されて作成される投影データにおいて、メーター用オブジェクト261の移動端に対応する辺Dが投影された領域とブランクオブジェクト291が投影された領域とで挟まれる領域に含まれる全てのドットに黒色の色情報を設定する。これにより、キャラクタ221~225が所有するポイントの減少分を黒色の領域の面積で表示し、遊技者に初期状態からの変化量を分かりやすく表示することができる。
【0345】
また、メーター用オブジェクト261の初期状態のサイズは、メーター表示演出において、ワールド座標系に設定されるメーター用オブジェクト261の最大サイズに限られない。例えば、初期状態におけるメーター用オブジェクト261のサイズを当該メーター表示演出において、ワールド座標系に設定されるメーター用オブジェクト261の最小サイズとしてもよい。キャラクタ221~225が所有するポイントに応じてメーター用オブジェクト261を拡大することにより、1つのメーター用オブジェクト261を用いて様々な長さのメーター241a~241eを表示することができる。
【0346】
また、メーター用テクスチャ281の平行投影マッピングにおいて、メーター用テクスチャ281を平行投影するタイミングは、メーター用オブジェクト261をスクリーン領域PC12に投影した後に限られず、メーター用テクスチャ281をメーター用オブジェクト261の表面に投影した後、メーター用オブジェクト261をスクリーン領域PC12に投影してもよい。
【0347】
先ず枠231a~231eを表示するメーター表示演出の場合について説明する。メーター用テクスチャ281は、ワールド座標系において、メーター用オブジェクト261の固定端側の辺Cと枠用オブジェクト231の移動端側の辺Bで規定される領域に投影される。詳細には、メーター用オブジェクト261の固定端側の辺Cにメーター用テクスチャ281の固定端側の辺Eが投影されるとともに、枠用オブジェクト231の移動端側の辺Bにメーター用テクスチャ281の移動端側の辺Fが投影される態様で、メーター用テクスチャ281が平行投影される。
【0348】
次に枠231a~231eを表示しないメーター表示演出の場合について説明する。メーター用テクスチャ281は、ワールド座標系において、メーター用オブジェクト261の固定端側の辺Cとブランクオブジェクト291で規定される領域に投影される。詳細には、メーター用オブジェクト261の固定端側の辺Cにメーター用テクスチャ281の固定端側の辺Eが投影されるとともに、ブランクオブジェクト291にメーター用テクスチャ281の移動端側の辺Fが投影される態様で、メーター用テクスチャ281が平行投影される。
【0349】
メーター用テクスチャ281が平行投影された場合に、VDP135は、メーター用オブジェクト261の表面の1つのドットを対象ドットとする。対象ドットに投影されているメーター用テクスチャ281のピクセルが1つである場合には、当該ピクセルに設定されている色情報及び透過性情報を対象ドットに設定する。対象ドットに複数のピクセルが投影されている場合には、色情報及び透過性情報の選択を行い、対象ドットに色情報及び透過性情報を設定する。対象ドットに投影されているピクセルが存在しない場合には、色情報及び透過性情報の補完を行い、対象ドットに色情報及び透過性情報を設定する。
【0350】
対象ドットは、メーター用オブジェクト261の表面の全てのドットに対する色情報及び透過性情報の設定が完了するまで更新する。これにより、メーター用オブジェクト261の表面の全てのドットにメーター用テクスチャ281の色情報及び透過性情報が設定される。
【0351】
その後、メーター用オブジェクト261はスクリーン領域PC12に投影される。メーター用投影領域251を構成する各ドットには、投影されているメーター用オブジェクト261の表面のドットに設定されている色情報及び透過性情報が設定される。詳細には、VDP135は、メーター用投影領域251を構成する1つのドットを対象ドットとする。当該対象ドットにメーター用オブジェクト261の表面の1つのドットが投影されている場合には、当該ドットに設定されている色情報及び透過性情報を対象ドットに設定する。また、対象ドットにメーター用オブジェクト261の表面の複数のドットが投影されている場合には、対象ドットに投影されている面積が最も大きなドットに設定されている色情報及び透過性情報を対象ドットに設定する。
【0352】
対象ドットは、メーター用投影領域251を構成する全てのドットに対して色情報及び透過性情報の設定が完了するまで更新される。これにより、メーター用投影領域251にメーター用テクスチャ281の画像が設定される。メーター用オブジェクト261の長手方向の縮小が行われない開始タイミングでは、メーター用テクスチャ281の全部の画像が変形せずに表示される。また、メーター用オブジェクト261の長手方向の縮小が行われる更新タイミングでは、メーター用テクスチャ281の一部の画像が変形せずに表示される。
【0353】
また、メーター241a~241e,242の部分表示を行うための構成は、メーター用オブジェクト261を長手方向に縮小してワールド座標系に設定する構成に限られない。例えば、オブジェクトの縮小を行わずに、ブランクオブジェクト293を利用して、メーター241a~241e,242の部分表示を行う構成としてもよい。
【0354】
図24(a)は、枠231a~231eとメーター241a~241eとを表示するための板状オブジェクト282を説明するための説明図である。図24(a)に示すように、板状オブジェクト282は、矩形の板状ポリゴンであり、その2つの短辺を辺G及び辺Hとする。板状オブジェクト282は、辺Hから辺Gに向かって欠けていくメーター241a~241eを表示するために用いられる。メモリモジュール133には、板状オブジェクト282に対応するテクスチャとして、枠231a~231eとメーター241a~241eとのそれぞれを表示可能とする枠付きメーター用テクスチャ283(図24(b))が記憶されている。そして、板状オブジェクト282の表面の各ドットには、対応するピクセルの位置情報として、枠付きメーター用テクスチャ283を構成する1つのピクセルの位置情報が設定されている。
【0355】
図24(b)は、板状オブジェクト282の投影領域に適用される枠付きメーター用テクスチャ283を説明するための説明図である。枠付きメーター用テクスチャ283は、板状オブジェクト282と合同の矩形の外形を有している。枠付きメーター用テクスチャ283の2つの短辺を辺I及び辺Jとする。枠付きメーター用テクスチャ283は、枠を表示するための枠領域と、メーターを表示するためのメーター領域とから成る。メーター領域は矩形であり、枠付きメーター用テクスチャ283の中央に位置している。メーター領域には、1~5の数字が並んでいる。具体的には、辺Iの最近傍の数字は1であり、辺Iから辺Jに向かって1ずつ数字が増加し、辺Jの最近傍の数字は5である。メーター領域には赤色の色情報が設定されているとともに、枠領域には灰色の色情報が設定されている。
【0356】
枠付きメーター用テクスチャ283の辺Iは板状オブジェクト282の辺Gに対応しているとともに、枠付きメーター用テクスチャ283の辺Jは板状オブジェクト282の辺Hに対応している。具体的には、板状オブジェクト282の辺G上の各ドットには、枠付きメーター用テクスチャ283の辺I上の1つのピクセルの位置情報が設定されているとともに、板状オブジェクト282の辺H上の各ドットには、枠付きメーター用テクスチャ283の辺J上の1つのピクセルの位置情報が設定されている。
【0357】
板状オブジェクト282は、開始タイミング及び各更新タイミングにおいて、ワールド座標系に設定される。また、キャラクタ221~225が所有するポイントが減少している更新タイミングでは、板状オブジェクト282に加えてブランクオブジェクト293がワールド座標系に設定される。ここで、ブランクオブジェクト293は、2つの頂点と当該2つの頂点を結ぶ1つの線分から構成される1次元のオブジェクトであり、ブランクオブジェクト293の長さは、板状オブジェクト282の短辺である辺G及び辺Hの長さと同じである。
【0358】
図24(c)は、更新タイミングにおいて、ワールド座標系に設定されている板状オブジェクト282とブランクオブジェクト293とを説明するための説明図である。図24(c)に示すように、各更新タイミングにおいて、ブランクオブジェクト293は、板状オブジェクト282の辺G及び辺Hと平行となる態様で設定される。また、ブランクオブジェクト293は、板状オブジェクト282の辺Gと辺Hとで挟まれる領域内に設定される。ブランクオブジェクト293は、枠付きメーター用テクスチャ283において、表示対象となる領域を規定するためのオブジェクトである。具体的には、枠付きメーター用テクスチャ283において、辺I側の一部の領域が表示対象となるとともに、辺J側の残りの領域が表示対象から外れる。
【0359】
開始タイミングにおいて、VDP135は、枠付きメーター用テクスチャ283の全体を表示対象とする。一方、各更新タイミングにおいて、VDP135は、枠付きメーター用テクスチャ283の一部を表示対象とする。表示対象となるのは、図24(c)において、板状オブジェクト282の辺Gとブランクオブジェクト293とで挟まれた領域に適用される部分である。
【0360】
図24(d)は、板状オブジェクト282の投影領域に枠付きメーター用テクスチャ283が適用された状態を説明するための説明図である。先ず板状オブジェクト282とブランクオブジェクト293とがスクリーン領域PC12に投影されて矩形の投影データが作成される。当該投影データには、実際に板状オブジェクト282が投影された投影領域294が含まれる。また、板状オブジェクト282がスクリーン領域PC12に投影されると、板状オブジェクト282の投影領域294を構成する各ドットには、当該ドットに投影された板状オブジェクト282の1つのドットの情報が設定される。そして、枠付きメーター用テクスチャ283はUVマッピングにより板状オブジェクト282の投影領域294に適用される。
【0361】
VDP135は、板状オブジェクト282の投影領域294を構成するドットの1つを対象ドットとし、対象ドットに設定されている情報に基づいて、板状オブジェクト282の1つのドットを把握する。続いて、把握した板状オブジェクト282のドットに設定されている枠付きメーター用テクスチャ283の1つのピクセルの位置情報に基づいて、1つの色情報を把握する。そして、把握した色情報を板状オブジェクト282の投影領域294を構成する対象ドットに設定する。対象ドットは、板状オブジェクト282の投影領域294を構成する全ドットに色情報が設定されるまで更新される。これにより、枠付きメーター用テクスチャ283が板状オブジェクト282の投影領域294に適用される。
【0362】
なお、板状オブジェクト282の投影領域294に枠付きメーター用テクスチャ283を適用する方法は、UVマッピングに限られない。平行投影マッピングを利用して、板状オブジェクト282の投影領域294に枠付きメーター用テクスチャ283を適用する構成としてもよい。この場合には、枠付きメーター用テクスチャ283の辺Iが板状オブジェクト282の辺Gに投影されるとともに、枠付きメーター用テクスチャ283の辺Jが板状オブジェクト282の辺Hに投影される態様で、枠付きメーター用テクスチャ283が板状オブジェクト282に平行投影される。
【0363】
その後、枠付きメーター用テクスチャ283が適用された板状オブジェクト282の投影領域294に対して、VDP135は、ブランクオブジェクト293が投影された領域295と、板状オブジェクト282の辺Hが投影された領域296とで挟まれる領域に含まれる全てのドットに設定されている色情報を、枠付きメーター用テクスチャ283の枠領域と同じ灰色の色情報に変更する処理を行う。これにより、枠付きメーター用テクスチャ283のメーター領域を部分的に表示することができる。
【0364】
図24(e)は、板状オブジェクト282の投影領域294に、枠付きメーター用テクスチャ283のメーター領域の一部が表示されている様子を説明するための説明図である。図24(d),(e)に示すように、板状オブジェクト282の投影領域294に適用された枠付きメーター用テクスチャ283のメーター領域は、ブランクオブジェクト293が投影された領域295よりも板状オブジェクト282の辺Gが投影された領域297側のみが表示される。表示対象となるメーター領域の面積は、板状オブジェクト282の辺G及び辺Hに対するブランクオブジェクト293の位置に応じて変化する。
【0365】
キャラクタ221~225が所有するポイントが減少する更新タイミングにおいて、ブランクオブジェクト293を板状オブジェクト282の辺G側にずらして設定することにより、枠付きメーター用テクスチャ283のメーター領域において、辺J側が欠けていく様子を表示することができる。表示対象となるメーター241a~241eの長さに合わせて、メーター241a~241eを表示するためのメーター用オブジェクト261を縮小するとともに、枠231a~231eを表示するための枠用オブジェクト231とメーター241a~241eとを表示するためのメーター用オブジェクト261とをワールド座標系に別々に設定する構成と比較して、メーター領域の部分表示を行うための処理負荷を軽減することができる。
【0366】
また、当該方法により表示するメーター241a~241eは枠231a~231eを伴うメーター241a~241eに限られず、当該方法を利用して枠231a~231eを伴わないメーター242を表示する構成としてもよい。この場合には、板状オブジェクト282に対応するテクスチャとして、メーター領域のみから成る枠なしメーター用テクスチャ284を用いる。図24(f)は、枠なしメーター用テクスチャ284を説明するための説明図である。枠なしメーター用テクスチャ284は、板状オブジェクト282と合同の矩形の外形を有している。枠なしメーター用テクスチャ284の2つの短辺を辺K及び辺Lとする。枠なしメーター用テクスチャ284には、1~5の数字が並んでいる。具体的には、枠なしメーター用テクスチャ284における辺Kの最近傍の数字が1であり、数字は辺Kから辺Lに向かって1ずつ増加する。そして、枠なしメーター用テクスチャ284における辺Lの最近傍の数字が5である。
【0367】
枠なしメーター用テクスチャ284を用いることにより、メーター242を表示するためのメーター用オブジェクト261をメーター242の長さに合わせて縮小することなく、メーター242の部分表示を行うことができる。
【0368】
上述したメーター表示演出を実行するための構成において、メーター241a~241eを利用して表示する対象は、キャラクタ221~225の所有するポイントに限られない。例えば、制限時間が設定されており、メーター241を用いて残りの時間を表示する演出を実行してもよい。
【0369】
<球表示演出を実行するための構成>
次に、球表示演出を実行するための構成について説明する。
【0370】
球表示演出とは、簡略版オブジェクト321を用いて球体341を立体的に表示する演出である。ここで、簡略版オブジェクト321とは、多数の頂点及び多数のポリゴンから構成される半球状の3次元オブジェクトを簡略化した構造を有する3次元オブジェクトである。簡略版オブジェクト321は、半球状の3次元オブジェクトよりも少ない頂点及び少ないポリゴンから構成される。
【0371】
球表示演出は、遊技者に大当たりの期待度を報知するための演出として行われる。球表示演出では、視点PC11の切り換えが行われることで、様々な角度から見た球体341が表示される。視点PC11の切り換えが行われるタイミングは、大当たりの期待度に応じて予め決まっている。大当たりの期待度が低い低期待度演出では、視点PC11の切り換えが一定の間隔で行われる。一方、大当たりの期待度が高い高期待度演出では、視点PC11の切り換えが行われる間隔が時間の経過とともに短くなっていく。遊技者は、視点PC11の切り換え速度が変化するか否かを見ることにより、大当たりの期待度を把握することができる。
【0372】
球表示演出において、VDP135は、演出用の描画データとして、球体341を表示するための描画データである球体用描画データ341a,341bを作成する。図25(a)は、表示対象である球体341の上方に視点PC11が設定された場合の球体用描画データ341aを説明するための説明図である。また、図25(b)は、表示対象である球体341の側方に視点PC11が設定された場合の球体用描画データ341bである。球体341は、ワールド座標系において視点PC11が存在する位置に関わらず、常に円形の外形を有する態様で表示される。ワールド座標系における球体341と視点PC11との相対的な関係が変化しても、表示面Gに表示される球体341の外形は円形であり、変化しない。一方、表示面Gに表示される球体341の模様は、ワールド座標系における球体341の位置と、視点PC11の位置と、視点PC11の向きとに応じて変化する。
【0373】
球表示演出において、球体341の表示は、簡略版オブジェクト321(図26(a),(e))と球表示用テクスチャ(図28(b),(d))とを用いて行われる。図26(a)に簡略版オブジェクト321の斜視図を示す。簡略版オブジェクト321は上に凸の3次元オブジェクトである。簡略版オブジェクト321は中空であり、下方へ向けて開放された構造である。簡略版オブジェクト321の上方に視点PC11を設定し、スクリーン領域PC12に対して簡略版オブジェクト321を投影すると、簡略版オブジェクト321の投影領域の外形は略円形となる。当該簡略版オブジェクト321の詳細な構造について、以下に説明する。
【0374】
図26(b)は、簡略版オブジェクト321を構成する3種類の頂点の中の1種類である第1頂点331aの位置関係を説明するための説明図である。図26(b)には、正二十四角形331が示されている。当該正二十四角形331を構成する24個の頂点を第1頂点331aとするとともに、正二十四角形331の中心を第1中心331bとする。ここで、第1中心331bは、正二十四角形331の外接円の中心である。図26(c)は、簡略版オブジェクト321を構成する3種類の頂点の中の1種類である第2頂点332aの位置関係を説明するための説明図である。図26(c)には、正十二角形332が示されている。当該正十二角形332を構成する12個の頂点を第2頂点332aとするとともに、正十二角形332の中心を第2中心332bとする。ここで、第2中心332bは、正十二角形332の外接円の中心である。正十二角形332の外接円の直径は正二十四角形331の外接円の直径よりもひと回り小さい。具体的には、正十二角形332の外接円の直径は正二十四角形331の外接円の直径の95%の長さである。
【0375】
図26(d)は、簡略版オブジェクト321を構成する3種類の頂点331a,332a,333の位置関係について説明するための説明図である。ある仮想3次元空間において、正二十四角形331の第1中心331bを始点とし、正二十四角形331に垂直な線分を引き、当該線分の終点を先端頂点333とする。第1中心331bと先端頂点333を結ぶ線分上の1点に正十二角形332の第2中心332bが重なり、正十二角形332と正二十四角形331とが平行になる態様で正十二角形332を配置する。
【0376】
図26(d)は、仮想3次元空間に配置された正二十四角形331と正十二角形332と先端頂点333の側面図である。当該図形において、正二十四角形331を構成する24個の第1頂点331aと、正十二角形332を構成する12個の第2頂点332aと、1個の先端頂点333との合計37個の頂点が仮想3次元空間に配置されている。当該37個の頂点を線分で結ぶことにより形成される複数の平面ポリゴンにより、簡略版オブジェクト321は構成される。ここで、第1中心331bから先端頂点333に向かう方向を簡略版オブジェクト321の上方とする。また、第1中心331bと先端頂点333を通る直線を簡略版オブジェクト321の中心軸336とする。
【0377】
次に、簡略版オブジェクト321を構成する複数の平面ポリゴンについて図26(e)を参照しながら説明する。図26(e)は、簡略版オブジェクト321の側面図である。先ず仮想3次元空間に配置されている37個の頂点のうち、隣接する第2頂点332a同士を12本の線分で結ぶ。そして、12個の第2頂点332aと1個の先端頂点333を12本の線分で結ぶ。合計24本の線分により、12個の第1平面ポリゴン334が形成される。当該第1平面ポリゴン334の形状は、1個の先端頂点333と隣接する2個の第2頂点332aとを頂点とする二等辺三角形である。
【0378】
次に、12個の第2頂点332aについて、第2頂点332aと当該第2頂点332aに最も近い1つの第1頂点331aとを線分で結ぶ。そして、各第2頂点332aと当該第2頂点332aに2番目に近い2つの第1頂点331aとを線分で結ぶ。さらに、隣接する第1頂点同士を24本の線分で結ぶ。これにより、新たに36個の第2平面ポリゴン335が形成される。簡略版オブジェクト321は、12個の第1平面ポリゴン334と36個の第2平面ポリゴン335により構成されている3次元のオブジェクトである。
【0379】
図26(e)に示すように、第1平面ポリゴン334の傾きと、第2平面ポリゴン335の傾きとは異なる。具体的には、先端頂点333に近い第1平面ポリゴン334のスクリーン領域PC12に対する傾きが緩やかであるとともに、先端頂点333から遠い第2平面ポリゴン335のスクリーン領域PC12に対する傾きが急である。このため、第1平面ポリゴン334上に位置する模様が広く表示されるとともに、第2平面ポリゴン335上に位置する模様が狭く表示され、球体341の立体的な表示が可能となる。
【0380】
ワールド座標系に滑らかな球構造を有する球状オブジェクトを設定することにより、球体341を表示することができる。この場合、ワールド座標系における球状オブジェクトと視点PC11との相対的な関係に関わらず、球状オブジェクトをスクリーン領域PC12に投影して得られる球状オブジェクトの投影データは変化しない。投影データにおいて、球状オブジェクトが実際に投影された領域である投影領域は常に円形である。
【0381】
しかし、滑らかな球構造を有する球状オブジェクトは多数の頂点及び多数のポリゴンを有するためデータ容量が大きい。このため、球状オブジェクトを使用することにより、メモリモジュール133に予め記憶するオブジェクトのデータ容量が増大するとともに、球体341を表示するための処理負荷も増大する。これに対して、図26(f)に示すように、滑らかな半球構造を有する半球状オブジェクト311を用いて球体341を表示することにより、球体341を表示するためのオブジェクトが有する頂点の数及びポリゴンの数を半減させることができる。
【0382】
また、半球状オブジェクト311の頂点を間引いた構造を有する簡略版オブジェクト321(図25(a),(b))を用いて球体341を表示することにより、球体341を表示するためのオブジェクトが有する頂点の数及びポリゴンの数をさらに減少させることができる。具体的には、半球状オブジェクト311から簡略版オブジェクト321に変更することにより、頂点の数が241個から37個に減少するとともに、ポリゴンの数が240個から48個に減少する。これにより、球状オブジェクトを使用する場合と比較して、メモリモジュール133に予め記憶するオブジェクトのデータ容量を減少させるとともに、球体341を表示するための処理負荷も減少させることができる。
【0383】
図27(a)は簡略版オブジェクト321の正面図である。簡略版オブジェクト321の正面図の外形は略円形である。しかし、簡略版オブジェクト321の斜視図(図26(a))の外形は略円形ではない。また、簡略版オブジェクト321の側面図(図26(e))の外形も略円形ではない。簡略版オブジェクト321をスクリーン領域PC12に投影する場合、簡略版オブジェクト321の投影領域の外形が略円形となる投影角度は限定されている。
【0384】
表示対象である球体341はいずれの角度から見てもその外形は円である。つまり、簡略版オブジェクト321を用いて球体341を表示するためには、簡略版オブジェクト321の投影領域の外形が常に略円形である必要がある。簡略版オブジェクト321の投影角度を、簡略版オブジェクト321の投影領域が略円形となる角度に保つことにより、簡略版オブジェクト321を利用して球体341を表示することが可能となる。開始タイミング及び各更新タイミングにおいて、簡略版オブジェクト321を、簡略版オブジェクト321の投影領域が略円形となる態様でワールド座標系に設定する方法について、以下に説明する。
【0385】
メモリモジュール133には、簡略版オブジェクト321をワールド座標系内に設定するために、簡略版オブジェクト321のパラメータテーブルが記憶されている。メモリモジュール133に記憶されている簡略版オブジェクト321のパラメータテーブルは、高期待度演出用のパラメータテーブル及び低期待度演出用のパラメータテーブルである。高期待度演出と低期待度演出では、視点PC11を切り換えが行われるタイミングが異なるため、パラメータテーブルの内容も異なる。表示CPU131は、開始タイミングにおいて、データテーブルに基づいて1つのパラメータテーブルを読み出す。
【0386】
簡略版オブジェクト321のパラメータテーブルには、開始タイミングと、簡略版オブジェクト321のパラメータが変化する更新タイミングと、視点PC11のパラメータが変化する更新タイミングとのそれぞれに対応するポインタ情報が設定されている。そして、各ポインタ情報のそれぞれには、簡略版オブジェクト321をワールド座標系に設定するためのパラメータが設定されている。ここで、簡略版オブジェクト321のパラメータには、ワールド座標系における先端頂点333の座標と、簡略版オブジェクト321の回転角度と、簡略版オブジェクト321のスケールとが含まれている。
【0387】
表示CPU131は、開始タイミング及び各更新タイミングにおいて、簡略版オブジェクト321のパラメータテーブルを参照して、簡略版オブジェクト321のパラメータを把握して、描画リストに設定する。簡略版オブジェクト321のパラメータテーブルに設定されているパラメータは、各タイミングにおいて、簡略版オブジェクト321の投影領域の外形が略円形となる態様で、簡略版オブジェクト321をワールド座標系に設定するためのパラメータである。
【0388】
ワールド座標系における簡略版オブジェクト321とスクリーン領域PC12との関係は、簡略版オブジェクト321の座標が変化する場合と、視点PC11の座標が変化する場合と、視点PC11の回転角度が変化する場合とのそれぞれで変化する。
【0389】
図27(b)は、簡略版オブジェクト321とスクリーン領域PC12との関係を説明するための説明図である。簡略版オブジェクト321のパラメータは、常に簡略版オブジェクト321の上方にスクリーン領域PC12が位置するように設定されている。また、簡略版オブジェクト321のパラメータは、常に簡略版オブジェクト321の中心軸336とスクリーン領域PC12とが直交する態様で設定されている。このため、簡略版オブジェクト321のスクリーン領域PC12への投影が行われると、簡略版オブジェクト321の投影領域の外形は常に略円形に保たれ、球体341の表示が可能となる。
【0390】
次に、簡略版オブジェクト321の投影領域に球表示用テクスチャ342(図28(b),(d))を適用して、球体用描画データ341a,341b(図25(a),(b))を作成する方法について説明する。図25(a),(b)に示すように、表示対象である球体341の表面には模様が施されている。当該模様を表示するために、簡略版オブジェクト321の投影領域には、UV座標系に存在する球表示用テクスチャ342がUVマッピングにより適用される。
【0391】
簡略版オブジェクト321の表面の各ドットには対応するUV座標の座標値が設定されている。また、簡略版オブジェクト321のスクリーン領域PC12への投影は、簡略版オブジェクト321の投影領域の各ドットに投影された簡略版オブジェクト321の表面のドット情報が把握できる態様で行われる。スクリーン領域PC12のサイズは、図柄表示装置31の表示面Gのサイズと同じであるため、簡略版オブジェクト321の投影データのサイズも図柄表示装置31の表示面Gのサイズと同じである。
【0392】
VDP135は、簡略版オブジェクト321の投影領域の各ドットに対応する簡略版オブジェクト321の表面のドット情報を把握し、当該簡略版オブジェクト321の表面のドットに対応するUV座標の座標値を把握する。そして、UV座標系に存在する球表示用テクスチャ342の座標値に設定されている色情報を、簡略版オブジェクト321の投影領域の各ドットに設定する。これにより、球表示用テクスチャ342が簡略版オブジェクト321の投影領域に適用される。
【0393】
ワールド座標系における簡略版オブジェクト321のパラメータが変更されるタイミング又は視点PC11のパラメータが変更されるタイミングにおいて、簡略版オブジェクト321の投影領域に対して球表示用テクスチャ342を適用する態様が変更されない構成では、表示対象である球体341をいずれの角度から見る演出においても同じ模様が表示されてしまう。このような表示は不自然であり、遊技者に違和感を与えることとなる。これに対して、ワールド座標系における簡略版オブジェクト321のパラメータが変更されるタイミング又は視点PC11のパラメータが変更されるタイミングにおいて、相対的な関係の変化に応じて簡略版オブジェクト321の投影領域に対して適用する球表示用テクスチャ342の対応範囲をずらすことにより、球体341の模様が変化する様子を表示することができる。
【0394】
図28(a)に開始タイミングにおける簡略版オブジェクト321と視点PC11との位置関係を示すとともに、図28(b)に開始タイミングにおいて簡略版オブジェクト321の投影領域に適用される球表示用テクスチャ342の対応範囲を示す。図28(a)に示すように、開始タイミングにおいて、簡略版オブジェクト321は視点PC11の正面に設定される。
【0395】
図28(b)に示すように、球表示用テクスチャ342はワールド座標系とは異なるUV座標系内に設定されている。球表示用テクスチャ342は正方形である。当該正方形の1辺はu軸上に存在するとともに、他の1辺はv軸上に存在する。そして、u軸上に存在する辺とv軸上に存在する辺は直交している。開始タイミングにおいて、球表示用テクスチャ342が有する4つの頂点の座標は(0,0)、(1,0)、(1,1)及び(0,1)である。開始タイミングにおいて、簡略版オブジェクト321の投影領域には、UV座標系において、(0.5,0.5)の座標を有する点を中心とする半径0.25の円で囲まれる範囲が適用される。
【0396】
ワールド座標系における視点PC11の座標が移動元から移動先へ移動する更新タイミングにおいて、簡略版オブジェクト321は移動先の視点PC11が簡略版オブジェクト321の正面に位置するように回転する。そして、当該回転の回転方向及び回転量に応じて、簡略版オブジェクト321の投影領域に適用される球表示用テクスチャ342の対応範囲が変更される。具体的には、簡略版オブジェクト321の回転方向に応じて、球表示用テクスチャ342上で対応範囲を移動する方向が決まるとともに、簡略版オブジェクト321の回転量に応じて、球表示用テクスチャ342上で対応範囲を移動する量が決まる。対応範囲の移動量は、簡略版オブジェクト321の回転量と対応範囲の移動量とが1対1で対応し、簡略版オブジェクト321の回転量の増加に伴って、対応範囲の移動量が直線的に増加する態様で決まる。
【0397】
対応範囲の変更は、球表示用テクスチャ342のUV座標を変換することにより行われる。球表示用テクスチャ342のUV座標変換は、メモリモジュール133に記憶されている座標変換テーブルに基づいて行われる。メモリモジュール133には、高期待度演出用の座標変換テーブルと低期待度演出用の座標変換テーブルとが記憶されている。高期待度演出と低期待度演出では、視点PC11の切り換えが行われるタイミングが異なるため、座標変換を行うタイミングも異なる。表示CPU131は、データテーブルに基づいて、1つの座標変換テーブルを読み出す。
【0398】
球表示用テクスチャ342の座標変換テーブルには、視点PC11の座標が変化する更新タイミングと、視点PC11の向きが変化する更新タイミングと、簡略版オブジェクト321の座標が変化する更新タイミングとに対応するポインタ情報が設定されている。各ポインタ情報のそれぞれには、球表示用テクスチャ342のUV座標をu軸方向に移動させる移動量と、v軸方向に移動させる移動量とが設定されている。
【0399】
表示CPU131は、座標変換テーブルを参照して、u軸方向の移動量とv軸方向の移動量とを描画リストに設定する。VDP135は、描画リストに設定されている2つの移動量に基づいて球表示用テクスチャ342のUV座標変換を行った後、球表示用テクスチャ342を簡略版オブジェクト321に適用する。これにより、視点PC11の座標が変化する更新タイミングと、視点PC11の向きが変化する更新タイミングと、簡略版オブジェクト321の座標が変化する更新タイミングとにおいて、簡略版オブジェクト321の投影領域に適用される球表示用テクスチャ342の対応範囲が変化するとともに、表示される球体341の模様が変化する。簡略版オブジェクト321と球表示用テクスチャ342を用いて、遊技者に、球体341が立体的に表示されているという印象を与えることができる。
【0400】
座標変換テーブルは、設計段階において作成される。先ず簡略版オブジェクト321とスクリーン領域PC12との関係が変化する更新タイミングにおいて、視点PC11のワールド座標系における座標と回転角度が決められる。そして、簡略版オブジェクト321の上方にスクリーン領域PC12が位置するとともに、簡略版オブジェクト321の中心軸336がスクリーン領域PC12と直交する態様で、簡略版オブジェクト321をワールド座標系に設定するためのパラメータが把握される。
【0401】
簡略版オブジェクト321のパラメータに含まれる回転角度の情報から、簡略版オブジェクト321の初期状態からの回転方向と回転量が把握される。簡略版オブジェクト321の回転方向から、UV座標変換において、UV座標を移動する方向が把握される。また、設計段階において想定している球体341の半径と簡略版オブジェクト321の回転量とから、UV座標の移動量が把握される。そして、UV座標の移動量と移動方向から、UV座標変換におけるu軸方向の移動量とv軸方向の移動量とが把握され、座標変換テーブルに設定される。
【0402】
例として、視点PC11が簡略版オブジェクト321の正面から簡略版オブジェクト321の左側(簡略版オブジェクト321から見て右側)に移動する更新タイミングについて、図28(c)及び図28(d)を参照しながら説明する。
【0403】
図28(c)に、視点PC11の切り換えが行われる更新タイミングにおける簡略版オブジェクト321と視点PC11との位置関係を示すとともに、図28(d)に、当該タイミングにおいて簡略版オブジェクト321の投影領域に適用される球表示用テクスチャ342の対応範囲を示す。図28(c)に示すように、今回は、簡略版オブジェクト321が時計回りに回転する。この場合、図28(d)に示すように、簡略版オブジェクト321の投影領域に適用される球表示用テクスチャ342の範囲は左側(u軸の負の方向)に移動する。移動距離は簡略版オブジェクト321の回転量に応じて変化する。簡略版オブジェクト321の時計回りの回転に伴って、簡略版オブジェクト321の投影領域に適用される球表示用テクスチャ342の範囲が、UV座標系において、左側(u軸の負の方向)に0.25移動する場合について図28(d)を参照しながら説明する。
【0404】
簡略版オブジェクト321の表面の各ドットには対応するUV座標が設定されており、当該UV座標は視点PC11が変更されても変化しない。つまり、簡略版オブジェクト321の投影領域に適用される球表示用テクスチャ342の座標範囲は、UV座標系において、(0.5,0.5)の座標を有する点を中心とする半径0.25の円で囲まれる範囲のまま変化しない。このため、球表示用テクスチャ342のUV座標を変換することにより、簡略版オブジェクト321の投影領域に適用される球表示用テクスチャ342の範囲が変更される。
【0405】
簡略版オブジェクト321の投影領域に適用される球表示用テクスチャ342の範囲がUV座標系においてu軸の負の方向に0.25移動する場合には、球表示用テクスチャ342全体がUV座標系において、u軸の正の方向に0.25平行移動する態様で、UV座標の変換が実行される。
【0406】
具体的には、(0,0)であった頂点の座標が(0.25,0)に変化するとともに、(1,0)であった頂点の座標が(1.25,0)に変化する。また、(0,1)であった頂点の座標が(0.25,1)に変化するとともに、(1,1)であった頂点の座標が(1.25,1)に変化する。これに対して、簡略版オブジェクト321の投影領域に適用される球表示用テクスチャ342の座標範囲は一定であるため、当該座標範囲に描かれている模様が変化する。これにより、視点PC11のパラメータの変更に伴って球体341の模様が変化する様子を表示することができる。
【0407】
VDP135は、描画処理(図13)のステップS710における演出及び図柄用の描画データ作成処理にて、演出及び図柄用の描画データを作成する。詳細には、個別に作成した球体用描画データ341a,341bと図柄表示用の描画データとを、球体用描画データ341a,341bが奥側に並ぶとともに、図柄表示用の描画データが手前側に並ぶ態様でスクリーン用バッファ144に書き込むことにより、演出及び図柄用の描画データを作成する。
【0408】
また、VDP135は、描画処理(図13)のステップS711における描画データ合成処理にて、個別にスクリーン用バッファ144に書き込まれている背景用の描画データと演出及び図柄用の描画データとを、背景用の描画データが奥側に並ぶとともに、演出及び図柄用の描画データが手前側に並ぶ態様で描画対象のフレーム領域142a,142bに対して書き込むことにより、1フレーム分の描画データを作成する。なお、各描画データの外形は同じであるとともに、各描画データを構成するピクセルの数も同じである。
【0409】
演出及び図柄用の描画データを作成する場合と、1フレーム分の描画データを作成する場合とにおいて、描画の実行対象となったピクセルに完全透過のα値が設定されている場合には奥側の画像の色情報をそのまま利用し、半透過のα値が設定されている場合にはα値を基準とした比率での奥側の画像の色情報と手前側の画像の色情報とのブレンドを行い、不透過のα値が設定されている場合には奥側の画像の色情報に対する手前側の画像の色情報の上書きを行う。これにより、背景用の画像の手前側であるとともに、図柄用の画像の奥側である位置に、演出用の画像として球体341の画像が表示される。
【0410】
以下、球表示演出を実行するための具体的な処理構成を説明する。図29は表示CPU131にて実行される球表示演出用の演算処理を示すフローチャートである。球表示演出用の演算処理は、球表示演出が実行される遊技回に対応したデータテーブルが設定されている場合に起動される。
【0411】
先ずステップS1301では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、球表示演出の実行中であるか否かについて判定する。球表示演出の実行中ではない場合(ステップS1301:NO)には、ステップS1302にて、球表示演出の開始タイミングであるか否かについて判定する。開始タイミングではない場合(ステップS1302:NO)には、そのまま本演算処理を終了し、開始タイミングである場合(ステップS1302:YES)にはステップS1303に進む。
【0412】
ステップS1303では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、簡略版オブジェクト321のパラメータテーブルを読み出す。高期待度演出が行われる場合には、高期待度演出用のパラメータテーブルが読み出され、低期待度演出が行われる場合には、低期待度演出用のパラメータテーブルが読み出される。ステップS1304では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、球表示用テクスチャ342のUV座標を変換するための座標変換テーブルを読み出す。高期待度演出が行われる場合には、高期待度演出用の座標変換テーブルが読み出され、低期待度演出が行われる場合には、低期待度演出用の座標変換テーブルが読み出される。
【0413】
ステップS1305では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、簡略版オブジェクト321の使用指示情報を記憶し、ステップS1306にて既に読み出されている簡略版オブジェクト321のパラメータテーブルを参照して、ワールド座標系における今回のパラメータを把握する。ここで、当該パラメータには簡略版オブジェクト321の座標、回転角度及びスケールが含まれる。
【0414】
ステップS1307では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、球表示用テクスチャ342の使用指示情報を記憶し、ステップS1308にて、開始指定情報を記憶して本演算処理を終了する。上記のように球表示演出用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、簡略版オブジェクト321の使用指示情報及び球表示用テクスチャ342の使用指示情報が設定される。また、簡略版オブジェクト321をワールド座標系に設定するためのパラメータ及び開始指定情報も設定される。
【0415】
球表示演出中である場合(ステップS1301:YES)には、ステップS1309にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、簡略版オブジェクト321の使用指示情報を記憶し、ステップS1310にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、球表示用テクスチャ342の使用指示情報を記憶する。続くステップS1311では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、簡略版オブジェクト321のパラメータ又は視点PC11のパラメータが変化する更新タイミングであるか否かについて判定する。
【0416】
簡略版オブジェクト321のパラメータ又は視点PC11のパラメータが変化する更新タイミングである場合(ステップS1311:YES)には、ステップS1312にて、既に読み出されている簡略版オブジェクト321のパラメータテーブルに基づいて、簡略版オブジェクト321のパラメータを更新する。ステップS1313では、既に読み出されている座標変換テーブルに基づいて、球表示用テクスチャ342のUV座標変換を行うためのパラメータを更新する。ここで、座標変換のためのパラメータとは、球表示用テクスチャ342のu軸方向への移動量とv軸方向への移動量とである。
【0417】
ステップS1314では、VDP135に球表示用テクスチャ342のUV座標を変換する処理を実行させるための座標変換指示情報を記憶し、ステップS1315では、更新指定情報を記憶して本演算処理を終了する。上記のように球表示演出用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、簡略版オブジェクト321の使用指示情報及び球表示用テクスチャ342の使用指示情報が設定される。また、簡略版オブジェクト321をワールド座標系に設定するためのパラメータと、球表示用テクスチャ342のUV座標変換を行うためのパラメータと、座標変換指示情報と、更新指定情報とが設定される。
【0418】
簡略版オブジェクト321のパラメータ又は視点PC11のパラメータが変化する更新タイミングでない場合(ステップS1311:NO)には、ステップS1316にて、ワークRAM132に記憶されている簡略版オブジェクト321のパラメータを把握する。続くステップS1317では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、球表示用テクスチャ342の座標変換を行うか否かについて判定する。球表示用テクスチャ342の座標変換は、簡略版オブジェクト321をワールド座標系に設定するための回転角度又はスケールが初期状態の値と同じでない場合に行われる。座標変換を行う場合(ステップS1317:YES)には、ステップS1318にて、ワークRAM132に記憶されている座標変換のパラメータを把握し、ステップS1319にて、座標変換指示情報を記憶する。
【0419】
ステップS1317にて否定判定を行った後、又はステップS1319の後、ステップS1320にて、更新指定情報を記憶して本演算処理を終了する。上記のように球表示演出用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、簡略版オブジェクト321の使用指示情報及び球表示用テクスチャ342の使用指示情報が設定される。また、簡略版オブジェクト321をワールド座標系に設定するためのパラメータと更新指定情報とが設定される。さらに、座標変換が行われる更新タイミングと判定した場合には、描画リストに座標変換のパラメータと座標変換指示情報とが設定される。
【0420】
次に、VDP135にて実行される簡略版オブジェクトの設定処理について、図30
(a)を参照しながら説明する。簡略版オブジェクトの設定処理は、描画処理(図13)のステップS703における演出用の設定処理にて実行される。また、簡略版オブジェクトの設定処理は、描画リストに球表示演出の開始指定情報又は更新指定情報が設定されている場合に起動される。
【0421】
先ずステップS1401では、今回の描画リストに基づいて、メモリモジュール133において簡略版オブジェクト321が記憶されているアドレスを把握して、当該簡略版オブジェクト321を読み出す。ステップS1402では、今回の描画リストに基づいて、簡略版オブジェクト321をワールド座標系内に設定するためのパラメータを把握する。
【0422】
ステップS1403では、ステップS1402にて把握したパラメータに基づいて、簡略版オブジェクト321をワールド座標系内に設定する。簡略版オブジェクト321は、常に簡略版オブジェクト321の上方にスクリーン領域PC12が位置し、簡略版オブジェクト321の中心軸336とスクリーン領域PC12が直交する態様でワールド座標系に設定される。この場合には、簡略版オブジェクト321がスクリーン領域PC12に対して正面から投影される。図27(a)に示すように、簡略版オブジェクト321の正面図の外形は略円形である。簡略版オブジェクト321の投影領域の外形を常に略円形とすることにより、遊技者に球体341が立体的に表示されている印象を与えることができる。
【0423】
次に、VDP135にて実行される球表示用テクスチャの適用処理について、図30(b)を参照しながら説明する。球表示用テクスチャの適用処理は、描画処理(図13)のステップS710における演出及び図柄用の描画データ作成処理にて実行される。また、球表示用テクスチャの適用処理は、描画リストに球表示演出の開始指定情報又は球表示演出の更新指定情報が設定されている場合に起動される。
【0424】
ステップS1501では、ワールド座標系内に設定されている簡略版オブジェクト321のスクリーン領域PC12への投影を行い、簡略版オブジェクト321の投影データを作成する。当該投影データには、簡略版オブジェクト321が実際に投影された略円形の投影領域が含まれる。簡略版オブジェクト321のスクリーン領域PC12への投影は、スクリーン領域PC12の各ドットに投影された簡略版オブジェクト321の表面のドットの情報が把握できる態様で行われる。具体的には、投影領域の各ドットには、当該ドットに投影された簡略版オブジェクト321の表面の1つのドットの情報が設定される。投影領域の1つのドットに簡略版オブジェクト321の表面のドットが複数投影される場合には、簡略版オブジェクト321の複数のドットの中で、投影領域のドットに投影されている面積が最も大きなドットの情報が、投影領域のドットに設定される。これにより、投影領域の各ドットには、簡略版オブジェクト321の表面の1つのドットの情報が設定される。
【0425】
ステップS1502では、今回の描画リストに基づいて、メモリモジュール133において球表示用テクスチャ342が記憶されているアドレスを把握して、当該球表示用テクスチャ342を読み出す。そして、ステップS1503では、今回の描画リストに座標変換指示情報が設定されているか否かについて判定する。今回の描画リストに座標変換指示情報が設定されている場合(ステップS1503:YES)には、ステップS1504にて、今回の描画リストに基づいて、球表示用テクスチャ342のUV座標を変換するためのパラメータを把握する。具体的には、UV座標の変換において、球表示用テクスチャ342のu軸方向への移動量とv軸方向への移動量とを把握する。そして、ステップS1505では、ステップS1504にて把握したパラメータに基づいて、球表示用テクスチャ342の座標変換を実行する。
【0426】
具体的には、球表示用テクスチャ342の座標変換において球表示用テクスチャ342全体がu軸の正の方向にa移動するとともに、v軸の正の方向にb移動する場合に、UV座標における球表示用テクスチャ342の各座標のu成分にaを加算するとともに、v成分にbを加算する。ここで、a及びbは実数の変数である。
【0427】
簡略版オブジェクト321の投影領域に適用される球表示用テクスチャ342の座標範囲は常に一定であるため、球表示用テクスチャ342の座標変換が行われることにより、簡略版オブジェクト321の投影領域に設定される模様が変化する。具体的には、球表示用テクスチャ342の座標変換が行われることにより、球表示用テクスチャ342において、元の座標範囲よりもu軸の負の方向にa移動するとともに、v軸の負の方向にb移動した場所の模様が簡略版オブジェクト321の投影領域に設定される。
【0428】
ステップS1506では、簡略版オブジェクト321の投影領域に球表示用テクスチャ342を適用して、本適用処理を終了する。ここで、簡略版オブジェクト321の投影領域に球表示用テクスチャ342を適用する処理の詳細について説明する。VDP135は、簡略版オブジェクト321の投影領域を構成するドットの1つを対象ドットとする。VDP135は、先ず対象ドットに設定されている簡略版オブジェクト321の表面の1つのドットを把握し、当該ドットに設定されている球表示用テクスチャ342の1つのUV座標値を把握する。そして、球表示用テクスチャ342において当該UV座標値に設定されている色情報を把握して、当該色情報を簡略版オブジェクト321の投影領域の対象ドットに設定する。対象ドットは、簡略版オブジェクト321の投影領域を構成する全ドットに色情報が設定されるまで更新される。これにより、簡略版オブジェクトの投影領域に球表示用テクスチャ342の色情報が設定される。
【0429】
簡略版オブジェクト321の表面のドットには、球表示用テクスチャ342の1つのピクセルのUV座標値が設定されている。各ドットに設定されているUV座標値は変化しないため、各ドットに対応する色情報は、球表示用テクスチャ342が存在するUV座標系の固定された位置に設定されている色情報である。球表示用テクスチャ342の座標変換が行われない場合(ステップS1503:NO)には、各ドットに対応する色情報は一定である。一方、球表示用テクスチャ342の座標変換が行われる場合(ステップS1503:YES)には、球表示用テクスチャ342が存在するUV座標系の固定された位置に設定されている色情報が変化するため、簡略版オブジェクト321の投影領域を構成する各ドットに設定される色情報も変化する。
【0430】
簡略版オブジェクト321のパラメータ又は視点PC11のパラメータが変化する更新タイミングにおいて、簡略版オブジェクト321の投影領域に表示される模様が変化することにより、球体341が立体的に表示されているという印象を遊技者に与えることができる。
【0431】
以上のとおり、多数の頂点を有し、滑らかな球構造を有する球状オブジェクトに代えて、当該球状オブジェクトよりも頂点の数及びポリゴンの数が少ない簡略版オブジェクト321を利用して球体341の立体的な表示を行うことにより、メモリモジュール133に予め記憶するデータ容量を抑えることができるとともに、球体341を表示するための処理負荷を軽減することができる。
【0432】
簡略版オブジェクト321において、先端頂点333に近い第1平面ポリゴン334が緩やかな傾斜角を有するとともに、先端頂点333から遠い第2平面ポリゴン335が急な傾斜角を有する構成とした。当該構成において、球表示用テクスチャ342を簡略版オブジェクト321の投影領域に適用すると、第1平面ポリゴン334上に位置する模様が広く表示されるとともに、第2平面ポリゴン335上に位置する模様が狭く表示され、球体341の立体的な表示が可能となる。
【0433】
開始タイミング及び全ての更新タイミングにおいて、簡略版オブジェクト321の中心軸336とスクリーン領域PC12が直交する態様で、簡略版オブジェクト321をワールド座標系に設定する構成とすることにより、簡略版オブジェクト321が正面からスクリーン領域PC12に投影され、簡略版オブジェクト321の投影領域が略円形となる。全てのタイミングにおいて、簡略版オブジェクト321の投影領域が略円形となることにより、データ容量の小さい簡略版オブジェクト321を利用して、球体341を表示することが可能となる。
【0434】
ワールド座標系における簡略版オブジェクト321の座標が変化する更新タイミングと、視点PC11の座標が変化する更新タイミングと、視点PC11の向きが変化する更新タイミングとにおいて、簡略版オブジェクト321のパラメータを視点PC11に合わせて変更するとともに、簡略版オブジェクト321のパラメータの変更に合わせて球表示用テクスチャ342のUV座標の座標変換を行う構成とした。これにより、ワールド座標系における簡略版オブジェクト321の座標が変化する更新タイミングと、視点PC11の座標が変化する更新タイミングと、視点PC11の向きが変化する更新タイミングとにおいて、簡略版オブジェクト321の投影領域に適用される球表示用テクスチャ342の対応範囲が変化して、図柄表示装置31の表示面Gに表示される球体341の模様が変化する。遊技者に、球体341が立体的に表示されている印象を与えることができる。
【0435】
<球表示演出の別形態>
上述した球表示演出を行うための構成において、表示CPU131が球表示用テクスチャ342のUV座標の変換を行うためのパラメータを把握する方法は、表示CPU131が球表示用テクスチャ342の座標変換テーブルを参照して、球表示用テクスチャ342のUV座標の変換を行うためのパラメータを把握する方法に限られない。例えば、簡略版オブジェクト321をワールド座標系内に設定するための回転角度に応じて、球表示用テクスチャ342のUV座標の変換を行うためのパラメータを把握する構成としてもよい。
【0436】
具体的には、メモリモジュール133に簡略版オブジェクト321をワールド座標系に設定するための回転角度と球表示用テクスチャ342のUV座標の変換を行うためのパラメータとの対応関係が設定されている対応テーブルが記憶されている。表示CPU131は、今回の簡略版オブジェクト321のパラメータにおいて、回転角度を把握し、対応テーブルを参照してUV座標変換のためのパラメータを把握する。ワールド座標系における簡略版オブジェクト321と視点PC11との関係が変化する全てのタイミングについてUV座標変換のためのパラメータが設定されている座標変換テーブルが記憶されている構成と比較して、メモリモジュール133に予め記憶するデータ容量を減らすことができる。
【0437】
また、簡略版オブジェクト321を用いて行う球体341の表示は、動きのない球体341の表示に限られない。例えば、テニスボールのように表面に模様が施されている球状の物体が静止状態においてその場で回転する様子を表示してもよい。
【0438】
UV座標におけるテクスチャの位置を所定の方向に所定の量だけ移動させる座標変換を実行することにより、球状の物体がその場で回転する様子を表示することができる。簡略版オブジェクト321の向きを変更することなく、テクスチャのUV座標の変換のみで球状の物体が回転する様子を表示することができるため、球構造を有する球状オブジェクトをワールド座標系内で回転させる場合と比較して、メモリモジュール133に予め記憶するデータ容量を抑制するとともに、処理負荷を軽減することができる。
【0439】
また、簡略版オブジェクト321をワールド座標系に設定するための回転角度に応じて、球表示用テクスチャ342の座標変換を行うためのパラメータを変化させる構成は、簡略版オブジェクト321の回転角度が変化する全てのタイミングで、球表示用テクスチャ342の座標変換を行うためのパラメータを変化させる構成に限られない。例えば、簡略版オブジェクト321の回転角度が一定の範囲内にあるタイミングでは、球表示用テクスチャ342の座標変換を行うための共通のパラメータを用いるとともに、簡略版オブジェクト321の回転角度が一定の範囲から出るタイミングでは、球表示用テクスチャ342の座標変換を行うための異なるパラメータを用いる構成としてもよい。
【0440】
具体的には、連続する複数の回転角度に対して、座標変換を行うための同一のパラメータを設定する。視点PC11が始点から終点まで連続的に移動する場合に、視点PC11の移動量が一定の量を超えるまでは、同じパラメータを利用して球表示用テクスチャ342の座標変換を行い、簡略版オブジェクト321の投影領域に同じ模様を表示する。そして、視点PC11の移動量が一定の量を超えた場合に、球表示用テクスチャ342の座標変換を行うためのパラメータを変更し、簡略版オブジェクト321の投影領域に表示される模様を変更する。視点PC11が移動する度に球表示用テクスチャ342の座標変換を行うためのパラメータが変化する構成と比較して、球表示演出を行うための処理負荷を軽減することができる。
【0441】
また、簡略版オブジェクト321をワールド座標系に設定するための回転角度の種類と同じ数の球表示用テクスチャ342を用いる構成としてもよい。簡略版オブジェクト321をワールド座標系に設定するための回転角度として、第1角度と第2角度とがある場合について、具体的に説明する。
【0442】
メモリモジュール133には、簡略版オブジェクト321が第1角度でワールド座標系に設定されるタイミングにおいて、表示対象となる球体341の表面の画像データである第1角度用テクスチャと、簡略版オブジェクト321が第2角度でワールド座標系に設定されるタイミングにおいて、表示対象となる球体341の表面の画像データである第2角度用テクスチャと、が記憶されている。また、メモリモジュール133には、簡略版オブジェクト321が第1角度でワールド座標系に設定されるタイミングにて、表示CPU131が描画リストに第1角度用テクスチャを設定することを可能とするとともに、簡略版オブジェクト321が第2角度でワールド座標系に設定されるタイミングにて、表示CPU131が描画リストに第2角度用テクスチャを設定することを可能とするテクスチャ選択テーブルが記憶されている。
【0443】
表示CPU131は、開始タイミングにおいて、テクスチャ選択テーブルを読み出し、各タイミングにおいて、当該タイミングにおける簡略版オブジェクト321の回転角度に応じたテクスチャを描画リストに設定する。各テクスチャは簡略版オブジェクト321の投影領域に対して1通りの態様で適用されるため、設計段階において、簡略版オブジェクト321の投影領域に適用される態様に合わせて、各テクスチャを作成することができる。このため、1つの球表示用テクスチャ342の中で、適用する範囲を変更することにより、簡略版オブジェクト321の投影領域に適用する画像の内容を変更する構成と比較して、より立体的な球体341の表示を行うことができる。
【0444】
また、高期待度演出の内容と低期待度演出の内容とを異なるものとする方法は、高期待度演出において視点PC11を切り換えるタイミングと低期待度演出において視点PC11を切り換えるタイミングとを異なるものとする方法に限られない。例えば、メモリモジュール133に、高期待度演出用の球表示用テクスチャ342と低期待度演出用の球表示用テクスチャ342とが記憶されており、行われる演出の種類に応じた球表示用テクスチャ342が用いられる構成としてもよい。高期待度演出で表示される球体341の表面模様と、低期待度演出で表示される球体341の表面模様とが異なるため、当該模様を確認することにより、遊技者は大当たりの期待度が高いか否かを知ることができる。
【0445】
なお、高期待度演出と低期待度演出とのそれぞれにおいて、共通の球表示用テクスチャ342を用いる構成において、各演出の各タイミングで簡略版オブジェクト321の投影領域に適用する球表示用テクスチャ342の範囲を異なるものとすることにより、高期待度演出の内容と低期待度演出の内容とを異なるものにしてもよい。
【0446】
また、視点PC11の切り換えが行われるタイミングは、簡略版オブジェクト321のパラメータテーブルと球表示用テクスチャ342の座標変換テーブルに予め設定されているタイミングに限られない。例えば、遊技者が演出用操作装置48を操作した場合に視点PC11の切り換えが行われる構成としてもよい。
【0447】
この場合には、メモリモジュール133に簡略版オブジェクト321のパラメータテーブルと球表示用テクスチャ342の座標変換テーブルとが切り替え可能な視点PC11の数だけ記憶されている。そして、遊技者が演出用操作装置48を操作した直後の更新タイミングにおいて、簡略版オブジェクト321の新たなパラメータテーブルと球表示用テクスチャ342の新たな座標変換テーブルが読み出される。遊技者の操作に応じて視点PC11の切り換えが行われる構成とすることにより、遊技者の球表示演出への積極的な参加を促すことができる。
【0448】
また、構造を簡略化したオブジェクトを用いて表示する対象は、球体341に限られない。例えば、楕円を、当該楕円の長軸又は短軸を回転軸として回転させて得られる回転楕円体を表示対象としてもよい。回転楕円体の正面図、側面図及び背面図は同じ楕円形の外形を有する。また、回転楕円体の平面図及び底面図は同じ円形の外形を有する。
【0449】
簡略版オブジェクト321を、簡略版オブジェクト321の中心軸336に直交するスクリーン領域PC12に投影すると、投影領域は略円形となる。この場合において、簡略版オブジェクト321を、簡略版オブジェクト321の中心軸336と直交する平面内の一方向に向けて拡大又は縮小すると、変形した簡略版オブジェクト321の投影領域は略楕円形となる。
【0450】
簡略版オブジェクト321の変形について、詳細には、簡略版オブジェクト321をある仮想3次元空間に配置し、簡略版オブジェクト321の中心軸336がZ軸に平行となる態様で、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を導入する。そして、簡略版オブジェクト321をXY平面の一方向に向けて拡大又は縮小して変形する。例えば、簡略版オブジェクト321をX軸方向に拡大又は縮小して変形する。当該変形により、簡略版オブジェクト321の投影領域を略楕円形に変形することができる。このように、スクリーン領域PC12に投影した場合に、投影領域が略楕円形となる3次元のオブジェクトを利用することにより、回転楕円体の正面図、側面図及び背面図を立体的に表示することができる。
【0451】
ワールド座標系における視点PC11と回転楕円体との位置関係から、回転楕円体の正面図、側面図又は背面図が表示される場合には、変形した簡略版オブジェクト321をワールド座標系に設定するとともに、ワールド座標系における視点PC11と回転楕円体との位置関係から、回転楕円体の平面図又は底面図が表示される場合には、変形していない簡略版オブジェクト321をワールド座標系に設定する構成とすることにより、処理負荷の軽減を図りながら、回転楕円体を立体的に表示することができる。
【0452】
また、構造を簡略化したオブジェクトを用いて表示する対象は、表面が曲面と平面とで構成される物体でもよい。具体的には、細長い多角柱の先端に球が接続されていて、当該球の表面に模様が描かれている街路灯を表示対象としてもよい。この場合には、簡略版オブジェクト321に代えて、簡略版オブジェクト321と多角柱のオブジェクトが接続されている街路灯用オブジェクトを用いる。街路灯用オブジェクトは一方向からスクリーン領域PC12に投影した場合に簡略版オブジェクト321と同じ構造を有する部分の投影領域が略円形となる。
【0453】
視点PC11の移動に合わせて、街路灯用オブジェクトをワールド座標系に設定するための回転角度を変更することにより、簡略版オブジェクト321と同じ構造を有する部分の投影領域を略円形に保つことができる。また、街路灯用オブジェクトをワールド座標系に設定するための回転角度を変更した場合に、簡略版オブジェクト321と同じ構造を有する部分の投影領域に適用するテクスチャの範囲を変更することにより、表示される角度に応じて球の表面の模様が変化する街路灯を表示することができる。なお、1つの街路灯用オブジェクトを用いるのではなく、ワールド座標系に簡略版オブジェクト321と多角柱のオブジェクトとのそれぞれを個別に配置してもよい。
【0454】
また、演出用の画像は球体341単独の画像に限られない。演出用の画像として、球状の物体の画像とは別に、他の物体の画像を併せて表示してもよい。例えば、球状の物体の画像として地球の画像を表示するとともに、他の物体の画像としてロケットの画像を表示してもよい。
【0455】
VDP135は、演出用の描画データとして、地球の画像を表示するための描画データとロケットの画像を表示するための描画データとを個別に作成する。そして、地球の画像を表示するための描画データが最も奥側に並ぶとともに、図柄用の描画データが最も手前側に並び、ロケットの画像を表示するための描画データが当該2つの描画データの間に並ぶ態様で、3つの描画データをスクリーン用バッファ144に書き込むことにより、演出及び図柄用の描画データを作成する。
【0456】
また、演出用の描画データを作成する場合の視点PC11を設定するための構成は、ワールド座標系に設定されているオブジェクト毎に個別に視点PC11を設定する構成に限られない。例えば、ワールド座標系に設定されている全オブジェクトに対して単一の視点PC11が共通して設定される構成としてもよい。
【0457】
具体的には、ワールド座標系に設定されている簡略版オブジェクト321とロケットを表示するためのオブジェクトとを同じスクリーン領域PC12に投影して、演出用の投影データを作成する。演出用の投影データにおいて、簡略版オブジェクト321の投影領域に地球を表示するためのテクスチャを適用するとともに、ロケットを表示するためのオブジェクトの投影領域にロケットを表示するためのテクスチャを適用することにより、演出用の描画データを作成する。
【0458】
ワールド座標系に設定されているオブジェクト毎に個別に視点PC11を設定する構成と比較して、オブジェクトを投影する回数が減少するとともに、描画対象のフレーム領域142a,142bに対して1フレーム分の描画データを書き込む場合に、演出及び図柄用の描画データとして書き込む描画データの数が減少するため、球表示演出を実行するための処理負荷を軽減することができる。
【0459】
次に、枠のぼやけた画像を表示するための構成について説明する。本パチンコ機10では、枠のぼやけた画像を表示する演出として、ぼやけた枠の中に複数の雲362aを表示する雲表示演出と、周囲にオーラ412~417が表示されているキャラクタ371の画像を表示するオーラ表示演出と、が行われる。
【0460】
<雲表示演出を行うための構成>
先ず雲表示演出を行うための構成について説明する。
【0461】
雲表示演出は、大当たりの期待度を報知する演出の一部として実行される。大当たりの期待度が高い高期待度演出では、ぼやけた枠の中に多数の雲362aが表示される。また、大当たりの期待度が低い低期待度演出では、ぼやけた枠の中に少数の雲362aが表示される。雲表示演出では、視点PC11の切り換えが行われることにより、下方から見た場合の雲362aと上方から見た場合の雲362aとが異なるタイミングで表示される。当該視点PC11の切り換えは、雲表示演出において、予め決められたタイミングで行われる。
【0462】
雲表示演出では、演出用の画像として、雲362aの画像のみが表示されるタイミングと、雲362aの画像及び飛行機の画像が表示されるタイミングとがある。雲362aの画像及び飛行機の画像が表示されるタイミングにおいては、雲362aの画像を表示するための雲用描画データ368(図31(a))と、飛行機の画像を表示するための飛行機用描画データとが個別に作成される。以下では、雲用描画データ368を作成する処理について説明する。なお、飛行機用描画データは、飛行機を表示するためのオブジェクトの投影データに対して、飛行機を表示するためのテクスチャが適用されることにより作成される。
【0463】
図31(a)に図柄表示装置31の表示面Gに枠のぼやけた雲群の画像を表示するために作成される雲用描画データ368を示す。雲表示演出では、ぼやけた枠の中に複数の雲362aが並んでいる画像データである雲用描画データ368が作成される。雲用描画データ368は、雲表示用オブジェクト361(図31(b))と雲表示用テクスチャ362(図31(d))と切り抜き用オブジェクト364(図32(a))とぼかし範囲データとを用いて作成される。
【0464】
図31(b)に雲表示用オブジェクト361を示す。雲表示用オブジェクト361は複数のポリゴンで構成される多面体のオブジェクトである。このため、雲表示用オブジェクト361をワールド座標系内に設定してスクリーン領域PC12に投影すると、投影データの外形は多角形となる。当該多角形の形状は、雲表示用オブジェクト361と視点PC11との相対的な位置関係によって変化する。
【0465】
また、雲表示用オブジェクト361は対称性を有する多面体である。具体的には、雲表示用オブジェクト361は3次元空間内に互いに直交する3本の回転軸361b~361dを有する。雲表示用オブジェクト361は、各回転軸361b~361dを軸として雲表示用オブジェクト361を180°回転させると回転前後の雲表示用オブジェクト361が重なる性質を有している。3本の回転軸361b~361dは1点で交差する。3本の回転軸361b~361dが交差する点を中心点361aとする。
【0466】
メモリモジュール133には、雲表示用オブジェクト361のパラメータテーブルが記憶されている。当該パラメータテーブルには、複数のポインタ情報が設定されている。当該ポインタ情報は、ワールド座標系における雲表示用オブジェクト361のパラメータが変更されるタイミング、又はワールド座標系における視点PC11のパラメータが変更されるタイミングに対応している。ここで、雲表示用オブジェクト361のパラメータには、座標、回転角度及びスケールが含まれるとともに、視点PC11のパラメータには、座標及び向きが含まれる。各ポインタ情報のそれぞれにはワールド座標系内に雲表示用オブジェクト361を設定するためのパラメータが設定されている。VDP135は、表示CPU131によって出力される描画リストを参照して当該パラメータを把握し、パラメータに基づいて雲表示用オブジェクト361をワールド座標系内に設定する。ここで、雲表示用オブジェクト361のパラメータテーブルに設定されているパラメータのうち、雲表示用オブジェクト361の座標とは、雲表示用オブジェクト361の中心点361aの座標である。
【0467】
図31(c)に雲表示用オブジェクト361の投影データ352を示す。VDP135は、ワールド座標系内に設定した雲表示用オブジェクト361をスクリーン領域PC12に投影することにより、雲表示用オブジェクト361の投影データ352を作成する。ここで、オブジェクトがスクリーン領域PC12に投影された場合に、スクリーン領域PC12の形が反映される全体のデータを投影データとするとともに、スクリーン領域PC12において、実際にオブジェクトが投影されてオブジェクトの形が反映されている領域を投影領域とする。スクリーン領域PC12のサイズは、図柄表示装置31の表示面Gのサイズと同じであるため、作成される投影データのサイズも図柄表示装置31の表示面Gのサイズと同じとなる。雲表示用オブジェクト361の投影データ352は、雲表示用オブジェクト361が投影された雲表示用投影領域352aと、雲表示用投影領域352a以外の雲表示用周辺領域352bとから成る。
【0468】
図31(d)に雲表示用オブジェクト361に対応する雲表示用テクスチャ362を示す。メモリモジュール133には、高期待度演出用のテクスチャとして、多数の雲362aが並んでいる雲表示用テクスチャ362が記憶されているとともに、低期待度演出用のテクスチャとして、少数の雲362aが並んでいる雲表示用テクスチャ362が記憶されている。表示CPU131は、データテーブルに基づいて、2種類の雲表示用テクスチャ362の中から今回の遊技回に対応した雲表示用テクスチャ362を把握して描画リストに設定する。以下では、高期待度演出用の雲表示用テクスチャ362が用いられる場合について説明する。雲表示用テクスチャ362は、ワールド座標系とは異なるUV座標系内に設定されている。雲表示用テクスチャ362は雲表示用オブジェクト361の投影データに対して適用される。
【0469】
詳細には、雲表示用オブジェクト361の表面の各ドットには対応する雲表示用テクスチャ362のUV座標が設定されている。また、雲表示用オブジェクト361のスクリーン領域PC12への投影は、雲表示用投影領域352aの各ドットに投影された雲表示用オブジェクト361の表面のドット情報が把握できる態様で行われる。
【0470】
VDP135は、雲表示用投影領域352aの各ドットに対応する雲表示用オブジェクト361の表面のドット情報を把握し、当該雲表示用オブジェクト361の表面のドットに対応するUV座標の座標値を把握する。そして、UV座標系内に存在する雲表示用テクスチャ362の座標値に設定されている色情報を、雲表示用投影領域352aの各ドットに設定する。これにより、雲表示用テクスチャ362が雲表示用オブジェクト361の投影データ352に適用される。
【0471】
図31(e)に雲表示用オブジェクト361の投影データに雲表示用テクスチャ362を適用することにより作成される雲表示用2次元データ363を示す。雲表示用2次元データ363において、雲表示用周辺領域352bに対応する領域には完全透過の透過性情報(「0」のα値)が設定される。雲表示用投影領域352aは多面体である雲表示用オブジェクト361が投影されてできる領域であるため、雲表示用投影領域352aと雲表示用周辺領域352bとの境界369は複数の線分で構成されており、角張っている。雲表示用2次元データ363は、境界369の内部に雲362aが並んでいる画像である。
【0472】
雲表示用2次元データ363がそのまま図柄表示装置31の表示面Gに表示される場合、境界369の内部に表示されている雲362aが複雑な形状を有しているのに対して、境界369が単純な形状であるため、遊技者に違和感を与える。このため、VDP135は、雲表示用2次元データ363を作成した後、当該雲表示用2次元データ363を加工するために別保存する。具体的には、雲表示用2次元データ363はスクリーン用バッファ144に設けられている雲表示演出用のバッファに別保存される。
【0473】
次に、雲表示用2次元データ363を加工するために必要な切り抜き用オブジェクト364の投影データ351を作成する方法について説明する。図32(a)に示すように、メモリモジュール133には、雲表示用オブジェクト361と同じ形状であり、雲表示用オブジェクト361よりもひと回り小さい切り抜き用オブジェクト364が記憶されている。
【0474】
切り抜き用オブジェクト364は、雲表示用オブジェクト361の中心点361aを縮小の中心として、雲表示用オブジェクト361を80パーセントに縮小して得られる構造である。縮小の中心とした点が切り抜き用オブジェクト364の中心点364aとなる。切り抜き用オブジェクト364は3次元空間内に互いに直交する3本の回転軸364b~364dを有する。切り抜き用オブジェクト364は、各回転軸364b~364dを軸として切り抜き用オブジェクト364を180°回転させると回転前後の切り抜き用オブジェクト364が重なる性質を有している。3本の回転軸361b~361dは中心点364aで交差する。
【0475】
VDP135は、雲表示用オブジェクト361と同じパラメータに基づいて切り抜き用オブジェクト364をワールド座標系に設定する。具体的には、切り抜き用オブジェクト364の中心点364aの座標として、雲表示用オブジェクト361の中心点361aの座標と同じ座標を用いるとともに、切り抜き用オブジェクト364を設定するための回転角度として、雲表示用オブジェクト361を設定するための回転角度と同じ回転角度を用いる。また、切り抜き用オブジェクト364を縮小又は拡大してワールド座標系に設定する場合の縮小倍率又は拡大倍率として、雲表示用オブジェクト361を縮小又は拡大してワールド座標系に設定する場合の縮小倍率又は拡大倍率を用いる。
【0476】
VDP135は、スクリーン領域PC12に対して切り抜き用オブジェクト364を投影して、切り抜き用オブジェクト364の投影データ351を作成する。当該投影データ351は、切り抜き用オブジェクト364が投影された切り抜き用投影領域351aとその切り抜き用投影領域351a以外の周辺領域351bとから成る。VDP135は、切り抜き用オブジェクト364の投影データ351を作成した後、切り抜き用投影領域351aを構成する全てのドットのα値として「0」を設定するとともに、周辺領域351bを構成する全てのドットのα値として「1」を設定する。
【0477】
図32(b)に切り抜き用オブジェクト364の投影データ351を示す。雲表示用オブジェクト361が投影されるスクリーン領域PC12と、切り抜き用オブジェクト364が投影されるスクリーン領域PC12とは同じ形であるとともに、同じ大きさである。このため、雲表示用オブジェクト361の投影データ352と切り抜き用オブジェクト364の投影データ351とのそれぞれには、同じ数のドットが並んでいる。詳細には、2つの投影データ351,352の横方向に同じ数のドットが並んでいるとともに、2つの投影データ351,352の縦方向にも同じ数のドットが並んでいる。ここで、雲表示用オブジェクト361の投影データ352における雲表示用投影領域352aと、切り抜き用オブジェクト364の投影データ351における切り抜き用投影領域351aとの関係について説明する。
【0478】
投影領域の形状は、オブジェクトが投影された角度におけるオブジェクトの外形となる。各タイミングにおいて、切り抜き用オブジェクト364が投影される角度と雲表示用オブジェクト361が投影される角度とは同じであるため、切り抜き用オブジェクト364の投影領域である切り抜き用投影領域351aの形状は、雲表示用オブジェクト361の投影領域である雲表示用投影領域352aと同じである。また、初期状態において、切り抜き用オブジェクト364は雲表示用オブジェクト361を倍率80パーセントで縮小した大きさである。そして、各タイミングにおいて、切り抜き用オブジェクト364と雲表示用オブジェクト361とが拡大又は縮小されてワールド座標系に設定される場合の拡大倍率又は縮小倍率は同じである。このため、切り抜き用投影領域351aの大きさは雲表示用投影領域352aを倍率80パーセントで縮小した大きさである。
【0479】
ワールド座標系において、雲表示用オブジェクト361の中心点361aからスクリーン領域PC12に垂線を引き、当該垂線とスクリーン領域PC12との交点を雲表示用オブジェクト361の中心対応点352c(図31(c))とする。また、ワールド座標系において、切り抜き用オブジェクト364の中心点364aからスクリーン領域PC12に垂線を引き、当該垂線とスクリーン領域PC12との交点を切り抜き用オブジェクト364の中心対応点351c(図32(b))とする。
【0480】
ワールド座標系における雲表示用オブジェクト361の中心点361aの座標と、切り抜き用オブジェクト364の中心点364aの座標とは同じであるため、スクリーン領域PC12における雲表示用オブジェクト361の中心対応点352cの位置と、切り抜き用オブジェクト364の中心対応点351cの位置とは同じである。そして、雲表示用オブジェクト361の投影データ352における雲表示用オブジェクト361の中心対応点352cの位置と、切り抜き用オブジェクト364の投影データ351における切り抜き用オブジェクト364の中心対応点351cの位置とは同じである。
【0481】
具体的には、雲表示用オブジェクト361の投影データ352において、左上の角にあるドットと雲表示用オブジェクト361の中心対応点352cとの位置関係は、切り抜き用オブジェクト364の投影データ351において、左上の角にあるドットと切り抜き用オブジェクト364の中心対応点351cとの位置関係と同じである。
【0482】
また、雲表示用オブジェクト361がスクリーン領域PC12に投影される場合の角度は、切り抜き用オブジェクト364がスクリーン領域PC12に投影される場合の角度と同じである。以上の関係により、切り抜き用オブジェクト364の投影データ351における切り抜き用投影領域351aは、雲表示用オブジェクト361の投影データ352において、雲表示用投影領域352aを、雲表示用オブジェクト361の中心対応点352cを中心として80パーセントに縮小した領域と同じである。
【0483】
次に、VDP135にて行われる切り抜き処理について説明する。切り抜き処理では、雲表示用2次元データ363において、切り抜き用投影領域351aと対応関係にある領域が切り抜かれる。ここで、2次元データにおいて所定の領域を切り抜くことは、当該2次元データにおいて所定の領域に完全透過の透過性情報が設定されることを意味する。
【0484】
雲表示演出の切り抜き処理では、雲表示用2次元データ363が切り抜かれる側のデータとなる。当該切り抜かれる側のデータを切り抜き対象データとする。また、雲表示演出の切り抜き処理では、切り抜き用オブジェクト364の投影データ351が切り抜く側のデータとなる。当該切り抜く側のデータを切り抜き用データとする。切り抜き処理では、切り抜き対象データと切り抜き用データとが把握される。切り抜き用データは、切り抜き対象データにおいて、切り抜きが行われる領域を把握するために利用される。
【0485】
先ずVDP135は、切り抜き対象データとして雲表示用2次元データ363を把握するとともに、切り抜き用データとして切り抜き用オブジェクト364の投影データ351を把握する。その後、切り抜き用データである切り抜き用オブジェクト364の投影データ351を構成している全てのドットについて、そのドットに設定されているα値が「0」であるか否かを判定する。
【0486】
対象ドットに設定されているα値が「0」であれば、切り抜き対象である雲表示用2次元データ363において、当該ドットと対応関係にあるドットに設定されているα値を「0」に書き換えられる。対象ドットに設定されているα値が「0」でない場合には書き換えが行われないため、切り抜き対象である雲表示用2次元データ363において、当該ドットと対応関係にあるドットに設定されているα値がそのまま維持される。
【0487】
切り抜き用オブジェクト364の投影データ351において、切り抜き用投影領域351aを構成する全てのドットにはα値として「0」が設定されているとともに、周辺領域351bを構成する全てのドットにはα値として「1」が設定されているため、雲表示用2次元データ363において、切り抜き用投影領域351aに対応する領域だけが完全透過となる。雲表示用2次元データ363に対して切り抜き処理が実行されることにより、枠表示用2次元データ353が作成される。
【0488】
図32(c)は、枠表示用2次元データ353を説明するための説明図である。枠表示用2次元データ353には枠領域353aが存在する。枠領域353aは、雲表示用2次元データ363において、切り抜かれずに残った雲表示用投影領域352aの外縁部である。枠表示用2次元データ353において、枠領域353aの外側に存在する外側領域353bと、枠領域353aの内側に存在する内側領域353cとは完全透過である。
【0489】
次に、雲表示用2次元データ363の境界369をぼかすためのぼかし枠表示用2次元データ367(図34(e))を作成する方法について説明する。ぼかし枠表示用2次元データ367は、枠表示用2次元データ353において、ぼかし処理の対象となるぼかし範囲366が設定され、当該ぼかし範囲366の色情報及び透過性情報が移動されることにより作成される。ここで、ぼかし処理とは、2次元データの一部領域に設定されている色情報を他の領域に移動させることにより、部分的にずれが発生して元の2次元データよりもぼやけた2次元データを作成する処理である。
【0490】
先ず枠表示用2次元データ353において、ぼかし範囲366を設定するための方法について説明する。メモリモジュール133には、ぼかし範囲366を設定するためのぼかし範囲テーブルTB1(図32(e))が設定されている。図32(d)は、ぼかし範囲テーブルTB1に設定されている座標データを利用して設定されるぼかし範囲366を説明するための説明図である。また、図32(e)は、ぼかし範囲テーブルTB1である。
【0491】
図32(e)に示すように、ぼかし範囲テーブルTB1にはドットの番号として1から1000までの数字が設定されている。当該数字はぼかし範囲366を構成するドットの番号である。そして、各番号には、XY座標系の座標データが設定されている。図32(d)に示すように、ぼかし範囲366には、中心となるドットであるぼかし中心366aが存在する。ぼかし中心366aの座標は(x,y)である。
【0492】
各番号のドットの座標データは、ぼかし中心366aの座標(x,y)との関係で設定されている。具体的には、図32(e)に示すように、1番のドットはぼかし中心366aからx軸方向にa(1)、y軸方向にb(1)ずれた場所に位置するとともに、2番のドットはぼかし中心366aからx軸方向にa(2)、y軸方向にb(2)ずれた場所に位置する。また、3番のドットはぼかし中心366aからx軸方向にa(3)、y軸方向にb(3)ずれた場所に位置する。そして、1000番のドットはぼかし中心366aからx軸方向にa(1000)、y軸方向にb(1000)ずれた場所に位置する。ここで、x座標が1増加する度にドットの位置がx軸方向に1ドット分移動するとともに、y座標が1増加する度にドットの位置がy軸方向に1ドット分移動する。a(1)~a(1000)及びb(1)~b(1000)はぼかし中心366aからのずれを表す値である。
【0493】
ぼかし範囲366に含まれるドットの位置は、ぼかし中心366aとの相対的な関係で設定されている。このため、枠表示用2次元データ353において、ぼかし中心366aの座標が決まると、ぼかし範囲366に含まれる全てのドットの座標が決まる。ぼかし処理では、ぼかし中心366aの座標が複数設定され、枠表示用2次元データ353に複数のぼかし範囲366が設定される。
【0494】
図33(a)は、枠表示用2次元データ353を構成するドットの並びを説明するための説明図である。図33(a)に示すように、枠表示用2次元データ353は矩形であり、x軸方向(横方向)に多数のドットが並んでいるとともに、y軸方向(縦方向)にも多数のドットが並んでいる。枠表示用2次元データ353の左上に存在するドットの座標は(1,1)であり、横方向に1ドット分ずれる毎にx座標が1増加し、縦方向に1ドット分ずれる毎にy座標が1増加する。
【0495】
ぼかし処理では、所定のx座標について、縦方向に対象となるドットをずらしながら「0」以外のα値が設定されているドットを探す縦スキャン処理と、所定のy座標について、横方向に対象となるドットをずらしながら「0」以外のα値が設定されているドットを探す横スキャン処理とが実行される。そして、縦スキャン処理と横スキャン処理で決定されるドットの座標がぼかし中心336aの座標となる。ここで、スキャンとは、対象となっている列を構成するドットの1つ1つについて、設定されているα値が「0」であるか否かを判定していくことを意味する。
【0496】
先ずVDP135で行われる縦スキャン処理の前半について図33(b)を参照しながら説明する。縦スキャン処理は、上から下に向かってドットに設定されているα値を調べていく前半部分と、下から上へ向かってドットに設定されているα値を調べていく後半部分とがある。
【0497】
縦スキャン処理の前半では、対象とするドットのx座標の初期値として「500」が設定される。これにより、枠表示用2次元データ353において、左端から500番目に並んでいるドットがスキャンの対象となる。スキャンの対象のドットは縦1列に並んでおり、スキャンは当該列の1番上から下に向かって行われる。
【0498】
VDP135は、先ず1番上のドットに設定されているα値が「0」であるか否かを判定し、「0」である場合には、2番目のドットに移る。2番目のドットに設定されているα値が「0」であるか否かを判定し、「0」である場合には、3番目のドットに移る。このように、スキャンの対象となった列のドットを上から順番に調べていく。そして、今回スキャンの対象となった列において、「0」以外のα値が設定されているドットが見つかった場合には、当該ドットの座標をぼかし中心366aの1個目の座標としてレジスタ153に記憶する。
【0499】
スキャンの対象となっている列において、「0」以外のα値が設定されているドットが見つかった場合には、そこで当該列のスキャンを終了し、スキャンの対象となる列を決めるためのx座標値に「500」を加算して更新する。また、スキャンの対象となっている列の全てのドットを調べ終えた場合にも、スキャンの対象となる列を決めるためのx座標値に「500」を加算して更新する。そして、新たにスキャンの対象となったドットの列について、再びスキャンを行う。
【0500】
スキャンは、スキャンの対象列を500ドットずつ右側に移しながら、スキャン回数が第1切換値になるまで行われる。第1切換値は設計段階で設定される値であり、スキャンが枠表示用2次元データ353の左端から右端まで行われた場合に、スキャン回数が第1切換値となるように設定されている。縦スキャン処理の前半において、ぼかし中心366aの座標はスキャン回数と1対1で対応する態様で複数記憶される。このように記憶されたぼかし中心366aの座標は、全て枠領域353aの上側のエッジに位置する。
【0501】
縦スキャン処理の前半部分に続いて行われる縦スキャン処理の後半部分について、図33(c)を参照しながら説明する。縦スキャン処理の後半では、スキャンの対象列を決めるx座標の初期値が「750」に設定され、再び枠表示用2次元データ353の左端から右端までスキャンが行われる。縦スキャン処理の後半では、下から上に向かってスキャンが行われる。つまり、スキャンの対象列の1番下に存在するドットから順番にスキャンが行われる。スキャンの対象列を決めるx座標の初期値が縦スキャン処理の前半とは異なるため、縦スキャン処理の前半で記憶される座標と、縦スキャン処理の後半で記憶される座標とはx軸方向にずれている。
【0502】
スキャンは、スキャンの対象列を500ドットずつ右側に移しながら、スキャン回数が第2切換値になるまで行われる。第2切換値は設計段階で設定される値であり、スキャンが枠表示用2次元データ353の左端から右端まで行われた場合に、スキャン回数が第2切換値となるように設定されている。縦スキャン処理の後半において、ぼかし中心366aの座標はスキャン回数と1対1で対応する態様で複数記憶される。このように記憶されたぼかし中心366aの座標は、全て枠領域353aの下側のエッジに位置する。
【0503】
VDP135では、縦スキャン処理に続いて横スキャン処理が行われる。横スキャン処理は、左から右に向かって各ドットに設定されているα値を調べていく前半部分と、右から左へ向かって各ドットに設定されているα値を調べていく後半部分とがある。
【0504】
横スキャン処理の前半部分について、図33(d)を参照しながら説明する。横スキャン処理の前半では、スキャンの対象列を決めるy座標の初期値が「500」に設定され、枠表示用2次元データ353の上端から下端までスキャンが行われる。横スキャン処理の前半では、左から右に向かってスキャンが行われる。つまり、スキャンの対象列の1番左に存在するドットから順番にスキャンが行われる。
【0505】
スキャンは、スキャンの対象列を500ドットずつ下側に移しながら、スキャン回数が第3切換値になるまで行われる。第3切換値は設計段階で設定される値であり、スキャンが枠表示用2次元データ353の上端から下端まで行われた場合に、スキャン回数が第3切換値となるように設定されている。横スキャン処理の前半において、ぼかし中心366aの座標はスキャン回数と1対1で対応する態様で複数記憶される。このように記憶されたぼかし中心366aの座標は、全て枠領域353aの左側のエッジに位置する。
【0506】
横スキャン処理の後半部分について、図33(e)を参照しながら説明する。横スキャン処理の後半では、スキャンの対象列を決めるy座標の初期値が「750」に設定され、枠表示用2次元データ353の上端から下端までスキャンが行われる。横スキャン処理の後半では、右から左に向かってスキャンが行われる。つまり、スキャンの対象列の1番右に存在するドットから順番にスキャンが行われる。スキャンの対象列を決めるy座標の初期値が横スキャン処理の前半とは異なるため、横スキャン処理の前半で記憶される座標と、横スキャン処理の後半で記憶される座標とはy軸方向にずれている。
【0507】
スキャンは、スキャンの対象列を500ドットずつ下側に移しながら、スキャン回数が上限値になるまで行われる。上限値は設計段階で設定される値であり、スキャンが枠表示用2次元データ353の上端から下端まで行われた場合に、スキャン回数が上限値となるように設定されている。横スキャン処理の後半において、ぼかし中心366aの座標はスキャン回数と1対1で対応する態様で複数記憶される。このように記憶されたぼかし中心366aの座標は、全て枠領域353aの右側のエッジに位置する。
【0508】
次に、色情報及び透過性情報を移動する方法について説明する。枠表示用2次元データ353には、縦スキャン処理及び横スキャン処理により把握されたぼかし中心366aの座標に基づいて、複数のぼかし範囲366が設定される。また、各ぼかし範囲366と1対1で対応する態様で移動先範囲356が枠領域353aよりも外側の外側領域353bに設定される。そして、ぼかし範囲366に設定されている色情報及び透過性情報を移動先範囲356に移動する処理が実行される。
【0509】
図34(a)~(d)は、ぼかし範囲366に設定されている色情報及び透過性情報を移動先範囲に移動する方法について説明するための説明図である。先ず移動先範囲356をぼかし範囲366の上方に設定する場合について、図34(a)を参照しながら説明する。縦スキャン処理及び横スキャン処理で把握される複数のぼかし中心366aの座標はスキャン回数と1対1で対応する態様で記憶されているため、縦スキャン処理の前半で記憶された座標と、縦スキャン処理の後半で記憶された座標と、横スキャン処理の前半で記憶された座標と、横スキャン処理の後半で記憶された座標とを選択的に把握することが可能である。
【0510】
具体的には、スキャン回数の範囲を「1」~「第1切換値」に設定することにより、縦スキャン処理の前半で記憶された座標が選択的に把握される。当該座標は、枠領域353aの上側のエッジに位置する。当該座標に基づいて枠表示用2次元データ353にぼかし範囲366を設定する場合には、移動先範囲356をぼかし範囲366の上方に設定することにより、移動先範囲356を枠領域353aの外側に設定することができる。
【0511】
メモリモジュール133に記憶されているぼかし範囲データには、ぼかし範囲366に含まれるドットの座標がぼかし中心366aの座標との相対的な関係で設定されているため、縦スキャン処理の前半で記憶された座標に基づいてぼかし範囲366を設定すると、ぼかし範囲366は枠領域353aの上側のエッジ周辺に設定される。
【0512】
VDP135は、縦スキャン処理の前半で記憶された座標において、当該座標のy座標の値から「200」を減算して新たな座標を作り出す。ぼかし中心366aの座標として当該新たな座標を代入することにより設定される範囲を移動先範囲356とする。移動先範囲356は、ぼかし範囲366と形及び大きさが同じであり、ぼかし範囲366よりも200ドット分上方に位置する。なお、開始タイミング及び各更新タイミングにおいて、移動先範囲356は、矩形である枠表示用2次元データ353の上辺と枠領域353aの上側のエッジとの間の領域に設定される。移動先範囲356が枠表示用2次元データ353の上辺からはみ出すことはない。
【0513】
ぼかし範囲366を構成する各ドットと移動先範囲356を構成する各ドットとは、1対1の対応関係にある。具体的には、ぼかし範囲366の1番のドットと移動先範囲356の1番のドットとが対応する関係にあるとともに、ぼかし範囲366の2番のドットと移動先範囲356の2番のドットとが対応する関係にある。また、ぼかし範囲366の3番のドットと移動先範囲356の3番のドットとが対応する関係にある。そして、ぼかし範囲366の1000番のドットと移動先範囲356の1000番のドットとが対応する関係にある。
【0514】
VDP135は、先ずぼかし範囲366の1番のドットに設定されている色情報及び透過性情報を把握し、移動先範囲の1番のドットに把握した色情報及び透過性情報を設定する。その後、ぼかし範囲366の1番のドットに完全透過の透過性情報を設定する。これにより、ぼかし範囲366の1番のドットに設定されていた色情報及び透過性情報を移動先範囲356の1番のドットに移動する処理が終了する。
【0515】
次に、ぼかし範囲366の2番のドットに設定されている色情報及び透過性情報を移動先範囲356の2番のドットに移動する処理を行う。このように、移動処理の対象となるドットの番号を「1」ずつ増やしながら、ぼかし範囲366のドットに設定されている色情報及び透過性情報を移動先範囲356のドットに移動する処理を行う。そして、1000番のドットに対して、色情報及び透過性情報を移動する処理を行うことにより、ぼかし範囲366に設定されている色情報及び透過性情報を移動先範囲356に移動する処理が終了する。当該処理により、枠領域353aの上側のエッジ付近の色情報及び透過性情報が上方へ移動し、枠領域353aの上側がぼやける。
【0516】
次に、移動先範囲356をぼかし範囲366の下方に設定する場合について、図34(b)を参照しながら説明する。スキャン回数の範囲を「第1切換値+1」~「第2切換値」に設定することにより、縦スキャン処理の後半で記憶された座標が選択的に把握される。当該座標は、枠領域353aの下側のエッジに位置する。当該座標に基づいて枠表示用2次元データ353にぼかし範囲366を設定する場合には、移動先範囲356をぼかし範囲366の下方に設定することにより、移動先範囲356を枠領域353aの外側に設定することができる。
【0517】
縦スキャン処理の後半で記憶された座標に基づいてぼかし範囲366を設定すると、ぼかし範囲366は枠領域353aの下側のエッジ周辺に設定される。VDP135は、縦スキャン処理の後半で記憶された座標において、当該座標のy座標の値に「200」を加算して新たな座標を作り出す。ぼかし中心366aの座標として当該新たな座標を代入することにより設定される範囲が移動先範囲356となる。移動先範囲356は、ぼかし範囲366と形及び大きさが同じであり、ぼかし範囲366よりも200ドット分下方に位置する。なお、開始タイミング及び各更新タイミングにおいて、移動先範囲356は、矩形である枠表示用2次元データ353の下辺と枠領域353aの下側のエッジとの間の領域に設定される。移動先範囲356が枠表示用2次元データ353の下辺からはみ出すことはない。
【0518】
ぼかし範囲366を構成する各ドットと移動先範囲356を構成する各ドットとは、1対1の対応関係にある。VDP135は、ぼかし範囲366の対象ドットに設定されている色情報及び透過性情報を把握し、当該色情報及び透過性情報を移動先範囲356の対応するドットに設定する。その後、ぼかし範囲366の対象ドットに完全透過の透過性情報を設定する。ぼかし範囲366の全ドットについて、色情報及び透過性情報の移動が終了するまで対象ドットを更新する。色情報及び透過性情報の移動により、枠領域353aの下側のエッジ付近の色情報及び透過性情報が下方へ移動し、枠領域353aの下側がぼやける。
【0519】
次に、移動先範囲356をぼかし範囲366の左方に設定する場合について、図34(c)を参照しながら説明する。スキャン回数の範囲を「第2切換値+1」~「第3切換値」に設定することにより、横スキャン処理の前半で記憶された座標が選択的に把握される。当該座標は、枠領域353aの左側のエッジに位置する。当該座標に基づいて枠表示用2次元データ353にぼかし範囲366を設定する場合には、移動先範囲356をぼかし範囲366の左方に設定することにより、移動先範囲356を枠領域353aの外側に設定することができる。
【0520】
横スキャン処理の前半で記憶された座標に基づいてぼかし範囲366を設定すると、ぼかし範囲366は枠領域353aの左側のエッジ周辺に設定される。VDP135は、横スキャン処理の前半で記憶された座標において、当該座標のx座標の値から「200」を減算して新たな座標を作り出す。ぼかし中心366aの座標として当該新たな座標を代入することにより設定される範囲が移動先範囲356となる。移動先範囲356は、ぼかし範囲366と形及び大きさが同じであり、ぼかし範囲366よりも200ドット分左方に位置する。なお、開始タイミング及び各更新タイミングにおいて、移動先範囲356は、矩形である枠表示用2次元データ353の左辺と枠領域353aの左側のエッジとの間の領域に設定される。移動先範囲356が枠表示用2次元データ353の左辺からはみ出すことはない。
【0521】
ぼかし範囲366を構成する各ドットと移動先範囲356を構成する各ドットとは、1対1の対応関係にある。VDP135は、ぼかし範囲366の対象ドットに設定されている色情報及び透過性情報を把握し、当該色情報及び透過性情報を移動先範囲356の対応するドットに設定する。その後、ぼかし範囲366の対象ドットに完全透過の透過性情報を設定する。ぼかし範囲366の全ドットについて、色情報及び透過性情報の移動が終了するまで対象ドットを更新する。色情報及び透過性情報の移動により、枠領域353aの左側のエッジ付近の色情報及び透過性情報が左方へ移動し、枠領域353aの左側がぼやける。
【0522】
次に、移動先範囲356をぼかし範囲366の右方に設定する場合について、図34(d)を参照しながら説明する。スキャン回数の範囲を「第3切換値+1」~「上限値」に設定することにより、横スキャン処理の後半で記憶された座標が選択的に把握される。当該座標は、枠領域353aの右側のエッジに位置する。当該座標に基づいて枠表示用2次元データ353にぼかし範囲366を設定する場合には、移動先範囲356をぼかし範囲366の右方に設定することにより、移動先範囲356を枠領域353aの外側に設定することができる。
【0523】
横スキャン処理の後半で記憶された座標に基づいてぼかし範囲366を設定すると、ぼかし範囲366は枠領域353aの右側のエッジ周辺に設定される。VDP135は、横スキャン処理の後半で記憶された座標において、当該座標のx座標の値に「200」を加算して新たな座標を作り出す。ぼかし中心366aの座標として当該新たな座標を代入することにより設定される範囲が移動先範囲356となる。移動先範囲356は、ぼかし範囲366と形及び大きさが同じであり、ぼかし範囲366よりも200ドット分右方に位置する。なお、開始タイミング及び各更新タイミングにおいて、移動先範囲356は、矩形である枠表示用2次元データ353の右辺と枠領域353aの右側のエッジとの間の領域に設定される。移動先範囲356が枠表示用2次元データ353の右辺からはみ出すことはない。
【0524】
ぼかし範囲366を構成する各ドットと移動先範囲356を構成する各ドットとは、1対1の対応関係にある。VDP135は、ぼかし範囲366の対象ドットに設定されている色情報及び透過性情報を把握し、当該色情報及び透過性情報を移動先範囲356の対応するドットに設定する。その後、ぼかし範囲366の対象ドットに完全透過の透過性情報を設定する。ぼかし範囲366の全ドットについて、色情報及び透過性情報の移動が終了するまで対象ドットを更新する。色情報及び透過性情報の移動により、枠領域353aの右側のエッジ付近の色情報及び透過性情報が右方へ移動し、枠領域353aの右側がぼやける。
【0525】
図34(e)は、枠表示用2次元データ353にぼかし処理を行うことにより作成されるぼかし枠表示用2次元データ367を説明するための説明図である。ぼかし枠表示用2次元データ367において、不透明な色情報が設定されているぼかし枠領域367aの外形は凹凸のある複雑な形状である。ぼかし枠領域367aの外側の外側領域367b及び内側の内側領域367cには完全透過の透過性情報が設定されている。
【0526】
次に、雲用描画データ368(図31(a))を作成する方法について説明する。雲用描画データ368は、別保存されている雲表示用2次元データ363(図31(e))とぼかし枠表示用2次元データ367(図34(e))を合成することにより作成される。雲表示用2次元データ363とぼかし枠表示用2次元データ367とは、形及び大きさが同じ矩形であるとともに、構成するドットの数も同じである。つまり、雲表示用2次元データ363とぼかし枠表示用2次元データ367とには、縦に同じ数のドットが並んでいるとともに、横にも同じ数のドットが並んでいる。したがって、雲表示用2次元データ363とぼかし枠表示用2次元データ367とにおいて、同じ位置に存在するドット同士を対応づけることにより、雲表示用2次元データ363を構成する各ドットとぼかし枠表示用2次元データ367を構成する各ドットが1対1で対応付けられる。
【0527】
2つの2次元データの合成は、基本データを構成する各ドットに設定されている色情報を、対応する優先データを構成する各ドットに設定されている色情報及び透過性情報に応じて変更することにより行われる。VDP135は、描画リストに基づいて、雲表示用2次元データ363(図31(e))を基本データに設定するとともに、ぼかし枠表示用2次元データ367(図34(e))を優先データに設定する。優先データであるぼかし枠表示用2次元データ367には、「1」のα値が設定されている領域と「0」のα値が設定されている領域とが含まれる。
【0528】
具体的には、ぼかし処理が行われる前に枠領域353aに含まれていた領域であって、ぼかし処理においてぼかし範囲366が設定されなかった領域と、ぼかし処理が行われる前に外側領域353bに含まれていた領域であって、ぼかし処理において移動先範囲356が設定された領域とのそれぞれには、「1」のα値が設定されている。一方、ぼかし処理が行われる前に枠領域353aに含まれていた領域であって、ぼかし処理においてぼかし範囲366が設定された領域と、ぼかし枠表示用2次元データ367の外側領域367bと、内側領域367cとのそれぞれには、「0」のα値が設定されている。
【0529】
ぼかし枠表示用2次元データ367のドットに不透明な色情報が設定されている場合には、雲表示用2次元データ363の対応するドットに設定されている色情報は、ぼかし枠表示用2次元データ367のドットに設定されている不透明な色情報に変更される。また、ぼかし枠表示用2次元データ367のドットに完全透明の透過性情報が設定されている場合には、雲表示用2次元データ363の対応するドットに設定されている色情報は変更されない。これにより得られる合成データは、雲表示用2次元データ363において、枠領域353aがぼかし枠領域367aに書き換えられた雲用描画データ368(図31(a))である。複雑な形状を有する雲362aを囲う枠領域353aを複雑な外形を有するぼかし枠領域367aに書き換えることにより雲用描画データ368が作成される。そして、当該雲用描画データ368に基づいて、ぼやけた枠の中に複数の雲362aが並んでいる画像が図柄表示装置31の表示面Gに表示されることにより、遊技者に与える違和感を軽減することができる。
【0530】
VDP135は、描画処理(図13)のステップS710における演出及び図柄用の描画データ作成処理にて、演出及び図柄用の描画データを作成する。演出用の描画データとして、雲362aの奥側を通過する飛行機を表示するための描画データである飛行機用描画データと、雲用描画データ368とが作成される更新タイミングについて、以下に説明する。なお、各描画データの外形は同じであるとともに、各描画データを構成するピクセルの数も同じである。また、飛行機用描画データにおいて、飛行機の画像を表示するための色情報が設定されているピクセルには「0」以外のα値が設定されているとともに、それ以外のピクセルには「0」のα値が設定されている。
【0531】
VDP135は、個別に作成した飛行機用描画データと雲用描画データ368と図柄表示用の描画データとを、飛行機用描画データが最も奥側に並ぶとともに、図柄表示用の描画データが最も手前側に並び、雲用描画データ368が当該2つの描画データの間に並ぶ態様で、3つの描画データをスクリーン用バッファ144に書き込むことにより、演出及び図柄用の描画データを作成する。
【0532】
また、VDP135は、描画処理(図13)のステップS711における描画データ合成処理にて、個別にスクリーン用バッファ144に書き込まれている背景用の描画データと演出及び図柄用の描画データとを、背景用の描画データが奥側に並ぶとともに、演出及び図柄用の描画データが手前側に並ぶ態様で描画対象のフレーム領域142a,142bに対して書き込むことにより、1フレーム分の描画データを作成する。
【0533】
演出及び図柄用の描画データを作成する場合と、1フレーム分の描画データを作成する場合とにおいて、描画の実行対象となったピクセルに完全透過のα値が設定されている場合には奥側の画像の色情報をそのまま利用し、半透過のα値が設定されている場合にはα値を基準とした比率での奥側の画像の色情報と手前側の画像の色情報とのブレンドを行い、不透過のα値が設定されている場合には奥側の画像の色情報に対する手前側の画像の色情報の上書きを行う。これにより、背景用の画像の手前側であるとともに、図柄用の画像の奥側である位置に、演出用の画像が表示される。当該演出用の画像として、飛行機の画像の手前側に複数の雲362aが並んでいる画像が表示される。
【0534】
なお、飛行機の表示が行われず、演出用の描画データが雲用描画データ368のみの更新タイミングにおいては、VDP135は、スクリーン用バッファ144に対して、雲用描画データ368を奥側の描画データとして書き込むとともに、図柄用の描画データを手前側の描画データとして書き込むことにより、演出及び図柄用の描画データを作成する。
【0535】
以下、切り抜き用オブジェクト364を用いて雲用描画データ368を作成するための具体的な処理構成を説明する。図35は表示CPU131にて実行される雲表示演出用の演算処理を示すフローチャートである。雲表示演出用の演算処理は、雲用描画データ368を表示する演出が実行される遊技回に対応したデータテーブルが設定されている場合に起動される。なお、雲表示用オブジェクト361のパラメータテーブルはメモリモジュール133に予め記憶されている。
【0536】
先ずステップS1601では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、雲表示演出の実行中であるか否かについて判定する。雲表示演出の実行中ではない場合(ステップS1601:NO)には、ステップS1602にて、雲表示演出の開始タイミングであるか否かについて判定する。開始タイミングではない場合(ステップS1602:NO)には、そのまま本演算処理を終了し、開始タイミングである場合(ステップS1602:YES)にはステップS1603に進む。
【0537】
ステップS1603では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、雲表示用オブジェクト361のパラメータテーブルを読み出す。当該パラメータテーブルには、ワールド座標系における雲表示用オブジェクト361のパラメータが変更されるタイミング及び視点PC11のパラメータが変更されるタイミングにおける雲表示用オブジェクト361のパラメータが設定されている。ここで、雲表示用オブジェクト361のパラメータとは、座標、回転角度及びスケールであり、視点PC11のパラメータとは、座標及び向きである。また、雲表示用オブジェクト361のパラメータが変更されるタイミングとは、雲表示用オブジェクト361が移動又は回転することにより、図柄表示装置31の表示面Gに異なる角度から見た雲362aが表示されるタイミングである。そして、視点PC11のパラメータが変更されるタイミングとは、図柄表示装置31の表示面Gに表示される画像が、雲362aを下から見た場合の画像から雲362aを上から見た場合の画像に切り換わるタイミングである。続くステップS1604では、雲表示演出用の各種データの把握処理を行う。
【0538】
ここで、雲表示演出用の各種データの把握処理について、図36のフローチャートを参照しながら説明する。図36は表示CPU131にて実行される雲表示演出用の各種データの把握処理を示すフローチャートである。なお、雲表示用オブジェクト361、切り抜き用オブジェクト364、雲表示用テクスチャ362及びぼかし範囲データはメモリモジュール133に予め記憶されている。
【0539】
先ずステップS1701では、現状設定されているデータテーブルに基づいて雲表示用オブジェクト361の使用指示情報を記憶し、ステップS1702では、既に読み出されている雲表示用オブジェクト361のパラメータテーブルを参照して雲表示用オブジェクト361のパラメータを把握する。ステップS1703では、現状設定されているデータテーブルに基づいて切り抜き用オブジェクト364の使用指示情報を記憶し、ステップS1704では、既に読み出されている雲表示用オブジェクト361のパラメータテーブルを参照して切り抜き用オブジェクト364のパラメータを把握する。
【0540】
雲表示用オブジェクト361のパラメータと切り抜き用オブジェクト364のパラメータとは、共に雲表示用オブジェクト361のパラメータテーブルを参照して把握される。このため、雲表示用オブジェクト361をワールド座標系内に設定するためのパラメータと、切り抜き用オブジェクト364をワールド座標系内に設定するためのパラメータとは同じである。
【0541】
ステップS1705では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、雲表示用オブジェクト361に対応する雲表示用テクスチャ362を把握する。現状設定されているデータテーブルが高期待度演出用のデータテーブルである場合には、高期待度演出用の雲表示用テクスチャ362を把握する。また、現状設定されているデータテーブルが低期待度演出用のデータテーブルである場合には、低期待度演出用の雲表示用テクスチャ362を把握する。ステップS1706では、枠表示用2次元データ353の枠領域353aをぼかす処理を行う範囲を設定するためのぼかし範囲データを把握する。そして、ステップS1707にて各種指示情報を記憶して本把握処理を終了する。ここで、各種指示情報とは、切り抜き指示情報、ぼかし指示情報及び合成指示情報のことである。
【0542】
描画リストに切り抜き指示情報が設定されることにより、雲表示用2次元データ363において、切り抜き用投影領域351aに対応する領域を切り抜く切り抜き処理(図40)が実行される。また、描画リストにぼかし指示情報が設定されることにより、枠表示用2次元データ353の枠領域353aをぼかすためのぼかし処理が実行される。ここで、ぼかし処理は、縦スキャン処理(図41)、横スキャン処理(図42)、範囲設定処理(図43)及び色情報等の移動処理(図44)から成る。そして、描画リストに合成指示情報が設定されることにより、雲用描画データの作成処理(図37)におけるステップS1810~ステップS1813の処理が実行される。
【0543】
雲表示演出用の演算処理(図35)の説明に戻り、ステップS1604にて雲表示演出用の各種データの把握処理を実行した後、ステップS1605にて開始指定情報を記憶して本演算処理を終了する。
【0544】
上記のように雲表示演出用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、雲表示用オブジェクト361、切り抜き用オブジェクト364、雲表示用テクスチャ362及びぼかし範囲データの使用指示情報が設定される。また、描画リストには、雲表示用オブジェクト361のパラメータ及び切り抜き用オブジェクト364のパラメータも設定される。さらに、描画リストには、切り抜き指示情報、ぼかし指示情報、合成指示情報及び雲表示演出の開始指定情報も設定される。
【0545】
雲表示用演出の実行中であった場合(ステップS1601:YES)には、ステップS1606にて、ワールド座標系における雲表示用オブジェクト361と視点PC11との相対関係が変更されるタイミングであるか否かについて判定する。当該判定は、既に読み出されている雲表示用オブジェクト361のパラメータテーブルに基づいて行われる。ワールド座標系における雲表示用オブジェクト361と視点PC11との相対関係が変更されるタイミングでない場合(ステップS1606:NO)には、ステップS1607にて、別保存データの使用指示情報を記憶する。当該使用指示情報により、VDP135は別保存されている雲用描画データ368を読み出して使用する。続くステップS1608では、更新指定情報を記憶して本演算処理を終了する。
【0546】
上記のように雲表示演出用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、別保存されている雲用描画データ368の使用指示情報と雲表示演出の更新指定情報とが設定される。
【0547】
ワールド座標系における雲表示用オブジェクト361と視点PC11との相対関係が変更されるタイミングであった場合(ステップS1606:YES)には、ステップS1609にて雲表示演出用の各種データの把握処理(図36)を実行し、ステップS1610にて更新指定情報を記憶して本演算処理を終了する。
【0548】
上記のように雲表示演出用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、雲表示用オブジェクト361、切り抜き用オブジェクト364、雲表示用テクスチャ362及びぼかし範囲データの使用指示情報が設定される。また、描画リストには、雲表示用オブジェクト361のパラメータ及び切り抜き用オブジェクト364のパラメータも設定される。さらに、描画リストには、切り抜き指示情報、ぼかし指示情報、合成指示情報及び雲表示演出の更新指定情報も記憶される。
【0549】
次に、VDP135にて実行される雲用描画データの作成処理について、図37を参照しながら説明する。雲用描画データの作成処理は、描画処理(図13)のステップS703における演出用の設定処理にて実行される。また、雲用描画データの作成処理は、描画リストに雲表示演出の開始指定情報又は更新指定情報が設定されている場合に起動される。
【0550】
先ずステップS1801にて、今回の描画リストに別保存されている雲用描画データ368の使用指示情報が設定されているか否かについて判定する。描画リストに別保存されている雲用描画データ368の使用指示情報が設定されていない場合(ステップS1801:NO)には、ステップS1802にて、雲表示用2次元データの作成処理を実行する。ここで、雲表示用2次元データの作成処理について、図38のフローチャートを参照しながら説明する。図38は、VDP135にて実行される雲表示用2次元データの作成処理を示すフローチャートである。
【0551】
先ずステップS1901では、今回の描画リストを参照し、メモリモジュール133において雲表示用オブジェクト361が記憶されているアドレスを把握して読み出す。続くステップS1902では、今回の描画リストを参照し、雲表示用オブジェクト361のパラメータを把握し、ステップS1903にて雲表示用オブジェクト361をワールド座標系内に設定する。
【0552】
ステップS1904では、スクリーン領域PC12に対して雲表示用オブジェクト361を投影して雲表示用オブジェクト361の投影データ352を作成する。また、ステップS1905では、今回の描画リストを参照し、メモリモジュール133において雲表示用テクスチャ362が記憶されているアドレスを把握して読み出す。そして、ステップS1906では、雲表示用オブジェクト361の投影データ352に雲表示用テクスチャ362を適用して雲表示用2次元データ363を作成し、ステップS1907にて、雲表示用2次元データ363を別保存して本作成処理を終了する。
【0553】
雲用描画データの作成処理(図37)の説明に戻り、ステップS1802にて雲表示用2次元データの作成処理を実行した後、ステップS1803にて切り抜き用オブジェクトの投影処理を実行する。ここで、切り抜き用オブジェクトの投影処理について、図39のフローチャートを参照しながら説明する。図39は、VDP135にて実行される切り抜き用オブジェクトの投影処理を示すフローチャートである。
【0554】
先ずステップS2001では、今回の描画リストを参照して切り抜き用オブジェクト364を把握し、ステップS2002にて、今回の描画リストに基づいて切り抜き用オブジェクト364のパラメータを把握する。続くステップS2003では、ステップS2002にて把握したパラメータに基づいて、切り抜き用オブジェクト364をワールド座標系内に設定し、ステップS2004にてスクリーン領域PC12に切り抜き用オブジェクト364を投影して切り抜き用オブジェクト364の投影データ351を作成する。
【0555】
ステップS2005では、ステップS2004で作成した切り抜き用オブジェクト364の投影データ351において、切り抜き用投影領域351aを構成する全てのドットのα値を「0」に設定する。続くステップS2006では、切り抜き用オブジェクト364の投影データ351において、周辺領域351bを構成する全てのドットのα値を「1」に設定して、本投影処理を終了する。
【0556】
雲用描画データの作成処理(図37)の説明に戻り、ステップS1803にて切り抜き用オブジェクトの投影処理を実行した後、ステップS1804にて、切り抜き処理を実行する。ここで、切り抜き処理について図40のフローチャートを参照しながら説明する。図40は、VDP135にて実行される切り抜き処理を示すフローチャートである。当該切り抜き処理は、描画リストに切り抜き指示情報が設定されている場合に実行される。
【0557】
先ずステップS2101では、今回の描画リストに基づいて、別保存されている雲表示用2次元データ363を切り抜き対象データに設定し、ステップS2102では、今回の描画リストに基づいて、切り抜き用オブジェクト364の投影データ351を切り抜き用データに設定する。切り抜き処理は、切り抜き対象データの各ドットに設定されている色情報を、切り抜き用データの各ドットに設定されている色情報及び透過性情報に応じて変更することにより行われる。
【0558】
ステップS2103では、切り抜き用データである切り抜き用オブジェクト364の投影データ351において、透過性情報に関する判定処理の対象となるドットを更新する。具体的には、開始タイミングでは最初のドットを対象ドットとして設定し、更新タイミングでは前回の対象ドットの次に位置するドットを対象ドットとして設定する。続くステップS2104では、ステップS2103にて把握した今回の対象ドットに設定されているα値が「0」であるか否かについて判定する。今回の対象ドットにα値として「0」が設定されている場合(ステップS2104:YES)には、ステップS2105にて、今回の対象ドットに対応するドットに完全透過の透過性情報を設定する。ここで、対応するドットとは、切り抜き対象データである雲表示用2次元データ363のドットである。
【0559】
ステップS2104にて否定判定を行った後、又はステップS2105の処理を行った後、ステップS2106では、切り抜き用オブジェクト364の投影データ351を構成する全てのドットが対象ドットとなったか否かについて判定する。対象ドットになっていないドットが存在する場合(ステップS2106:NO)には、ステップS2103に戻って対象ドットを更新する。対象ドットになっていないドットが存在しなかった場合(ステップS2106:YES)には、そのまま本切り抜き処理を終了する。当該切り抜き処理により、枠表示用2次元データ353(図32(c))が作成される。
【0560】
雲用描画データの作成処理(図37)の説明に戻り、ステップS1804にて切り抜き処理を行った後、ステップS1805では、ステップS1804にて作成した枠表示用2次元データ353について縦スキャン処理を行う。ここで、縦スキャン処理について図41のフローチャートを参照しながら説明する。図41は、VDP135にて実行される縦スキャン処理を示すフローチャートである。当該縦スキャン処理は、描画リストにぼかし指示情報が設定されている場合に実行される。
【0561】
先ずステップS2201では、変数nが第1切換値であるか否かについて判定する。ここで、変数nは0以上の整数であり、各列のスキャンが終わる度に「1」が加算される。開始タイミングにおける変数nは「0」である。変数nが第1切換値でない場合には、ステップS2202に進んで新たな列のスキャンを始める。ステップS2202では、変数nに「1」を加算する。変数nは今回がn回目のスキャンであることを示している。
【0562】
ステップS2203では、スキャンの対象ドットを決定するためのy座標値を「0」クリアする。これにより、新たなスキャンが対象列の1番上から行われることになる。ステップS2204では、スキャンの対象列を決定するためのx座標値に「500」を加算する。開始タイミングでは、x座標値の初期値として「500」が設定されることになり、最初のスキャンの対象列が決定する。更新タイミングでは、スキャンの対象列が前回の対象列よりも500ドット分右にずれる。
【0563】
ステップS2205では、スキャンの対象ドットを決定するためのy座標値に「1」を加算し、ステップS2206にて、前回のドットよりも1ドット分下方にあるドットを今回の対象ドットとして把握する。続くステップS2207では、今回の対象ドットに設定されているα値が「0」であるか否かについて判定する。α値が「0」でない場合(ステップS2207:NO)には、今回の対象ドットが枠領域353aの上側のエッジに存在することを意味するため、ステップS2208にて、今回の対象ドットの位置情報を今回のスキャン回数である変数nと1対1で対応づけて記憶する。
【0564】
今回の対象ドットに設定されているα値が「0」である場合(ステップS2207:YES)には、今回の対象ドットが外側領域353bを構成するドットの1つであることを意味するため、今回の対象ドットの位置情報は記憶しない。ステップS2209にて、対象ドットを決めるためのy座標値が上限値であるか否かについて判定する。今回の対象ドットがスキャンの対象列の1番下に位置しない場合(ステップS2209:NO)には、ステップS2205に戻って対象ドットのy座標値を更新し、下に向かってスキャンを続ける。
【0565】
今回の対象ドットがスキャンの対象列の1番下に位置する場合(ステップS2209:YES)には、ステップS2210にて、n回目のスキャンでは枠領域353aを構成するドットが見つからなかったことを記憶する。ステップS2208又はステップS2210の処理を行った場合には、ステップS2201に戻り、変数nが第1切換値であるか否かについて再び判定する。変数nが第1切換値でない場合(ステップS2201:NO)には、再びステップS2202に進む。変数nが第1切換値である場合(ステップS2201:YES)には、ステップS2211に進み、縦スキャン処理の後半部分を行う。
【0566】
ステップS2211では、スキャンの対象列を決定するためのx座標値に「250」を設定する。ステップS2212では、変数nが第2切換値であるか否かについて判定し、変数nが第2切換値でない場合には、ステップS2213にて変数nに「1」を加算する。ステップS2214では、今回の対象ドットを決定するためのy座標値に上限値よりも「1」大きな値を設定する。そして、ステップS2215では、スキャンの対象列を決定するためのx座標値に「500」を加算する。縦スキャン処理の後半最初のスキャンはx座標値が「750」である列であり、その後は500ドットずつ右側にずれる。これは、縦スキャン処理の前半とは異なる列について下からのスキャンが行われることを意味する。
【0567】
ステップS2216では、対象ドットを決定するためのy座標値から「1」を減算し、ステップS2217にて前回の対象ドットよりも1ドット分上方にあるドットを今回の対象ドットとして把握する。スキャンの対象列が更新された後、最初の対象ドットを決めるy座標値は上限値であるため、スキャンは対象列の1番下から上に向かって進められる。ステップS2218では、今回の対象ドットに設定されているα値が「0」であるか否かについて判定する。今回の対象ドットに設定されているα値が「0」でない場合(ステップS2218:NO)には、今回の対象ドットが枠領域353aの下側のエッジに存在するドットであることを意味するため、ステップS2219にて、当該ドットの位置情報を変数nと1対1で対応づけて記憶する。変数nはスキャンが行われた回数を示している。
【0568】
今回の対象ドットに設定されているα値が「0」である場合(ステップS2218:YES)には、今回の対象ドットが外側領域353bを構成するドットの1つであることを意味するため、当該ドットの位置情報は記憶せずにステップS2220に進む。ステップS2220では、今回の対象ドットのy座標値が「1」であるか否かについて判定する。
【0569】
対象ドットのy座標値が「1」でない場合(ステップS2220:NO)には、ステップS2216に戻り、今回の対象ドットよりも上方に位置するドットについてスキャンを続行する。対象ドットのy座標値が「1」である場合(ステップS2220:YES)には、当該ドットがスキャンの対象列の1番上に位置することを意味するため、ステップS2221にて、n回目のスキャンの対象列には、枠領域353aを構成するドットが存在しなかったことを記憶する。
【0570】
ステップS2219又はステップS2221の処理を行った後、ステップS2212にて、変数nが第2切換値であるか否かについて判定する。変数nが第2切換値でない場合(ステップS2212:NO)には、スキャンの対象となる列が残っていることを意味するため、再びステップS2213に進み、次の対象列のスキャンを行う。変数nが第2切換値である場合(ステップS2212:YES)には、ステップS2222にて、対象ドットを決定するためのy座標値を「0」クリアして、本縦スキャン処理を終了する。
【0571】
縦スキャン処理により、枠領域353aの上側のエッジに存在するドットの位置情報及び枠領域353aの下側のエッジに存在するドットの位置情報が記憶される。上側のドットの位置情報は、「1」~「第1切換値」のいずれか1の整数と対応づけられている。また、下側のドットの位置情報は、「第1切換値+1」~「第2切換値」のいずれか1の整数と対応づけられている。
【0572】
雲用描画データの作成処理(図37)の説明に戻り、ステップS1805にて縦スキャン処理を行った後、ステップS1806では、ステップS1804にて作成した枠表示用2次元データ353について横スキャン処理を行う。ここで、横スキャン処理について図42のフローチャートを参照しながら説明する。図42は、VDP135にて実行される横スキャン処理を示すフローチャートである。当該横スキャン処理は、描画リストにぼかし指示情報が設定されている場合に実行される。
【0573】
先ずステップS2301では、変数nが第3切換値であるか否かについて判定する。ステップS2302では、変数nに「1」を加算する。ステップS2303では、スキャンの対象ドットを決定するためのx座標値を「0」クリアする。これにより、新たなスキャンが対象列の1番左から行われることになる。ステップS2304では、スキャンの対象列を決定するためのy座標値に「500」を加算する。開始タイミングでは、y座標値の初期値として「500」が設定されることにより、最初のスキャンの対象列が決定する。更新タイミングでは、スキャンの対象列が前回の対象列よりも500ドット分下にずれる。
【0574】
ステップS2305では、スキャンの対象ドットを決定するためのx座標値に「1」を加算し、ステップS2306にて、前回のドットよりも1ドット分右方にあるドットを今回の対象ドットとして把握する。続くステップS2307では、今回の対象ドットに設定されているα値が「0」であるか否かについて判定する。α値が「0」でない場合(ステップS2307:NO)には、今回の対象ドットが枠領域353aの左側のエッジに存在することを意味するため、ステップS2308にて、今回の対象ドットの位置情報を今回のスキャン回数である変数nと1対1で対応づけて記憶する。
【0575】
今回の対象ドットに設定されているα値が「0」である場合(ステップS2307:YES)には、今回の対象ドットが外側領域353bを構成するドットの1つであることを意味するため、今回の対象ドットの位置情報は記憶しない。ステップS2309にて、対象ドットを決めるためのx座標値が上限値であるか否かについて判定する。今回の対象ドットがスキャンの対象列の1番右に位置しない場合(ステップS2309:NO)には、ステップS2305に戻って対象ドットのx座標値を更新し、右に向かってスキャンを続ける。
【0576】
今回の対象ドットがスキャンの対象列の1番右に位置する場合(ステップS2309:YES)には、ステップS2310にて、n回目のスキャンでは枠領域353aを構成するドットが見つからなかったことを記憶する。ステップS2308又はステップS2310の処理を行った場合には、ステップS2301に戻り、変数nが第3切換値であるか否かについて再び判定する。変数nが第3切換値でない場合(ステップS2301:NO)には、再びステップS2302に進む。変数nが第3切換値である場合(ステップS2301:YES)には、ステップS2311に進み、縦スキャン処理の後半部分を行う。
【0577】
ステップS2311では、スキャンの対象列を決定するためのy座標値に「250」を設定する。ステップS2312では、変数nが上限値であるか否かについて判定し、変数nが上限値でない場合には、ステップS2313にて変数nに「1」を加算する。ステップS2314では、今回の対象ドットを決定するためのx座標値に上限値よりも「1」大きな値を設定する。そして、ステップS2315では、スキャンの対象列を決定するためのy座標値に「500」を加算する。縦スキャン処理の後半最初のスキャンはy座標値が「750」である列であり、その後は500ドットずつ右側にずれる。これは、縦スキャン処理の前半とは異なる列について右からのスキャンが行われることを意味する。
【0578】
ステップS2316では、対象ドットを決定するためのx座標値から「1」を減算し、ステップS2317にて前回の対象ドットよりも1ドット分左方にあるドットを今回の対象ドットとして把握する。スキャンの対象列が更新された後、最初の対象ドットを決めるx座標値は上限値であるため、スキャンは対象列の1番右から左に向かって進められる。ステップS2318では、今回の対象ドットに設定されているα値が「0」であるか否かについて判定する。今回の対象ドットに設定されているα値が「0」でない場合(ステップS2318:NO)には、今回の対象ドットが枠領域353aの右側のエッジに存在するドットであることを意味するため、ステップS2319にて、当該ドットの位置情報を変数nと1対1で対応づけて記憶する。変数nはスキャンが行われた回数を示している。
【0579】
今回の対象ドットに設定されているα値が「0」である場合(ステップS2318:YES)には、今回の対象ドットが外側領域353bを構成するドットの1つであることを意味するため、当該ドットの位置情報は記憶せずにステップS2320に進む。ステップS2320では、今回の対象ドットのx座標値が「1」であるか否かについて判定する。
【0580】
対象ドットのx座標値が「1」でない場合(ステップS2320:NO)には、ステップS2316に戻り、今回の対象ドットよりも左方に位置するドットについてスキャンを続行する。対象ドットのx座標値が「1」である場合(ステップS2320:YES)には、当該ドットがスキャンの対象列の1番左に位置することを意味するため、ステップS2321にて、n回目のスキャンの対象列には、枠領域353aを構成するドットが存在しなかったことを記憶する。
【0581】
ステップS2319又はステップS2321の処理を行った後、ステップS2312にて、変数nが上限値であるか否かについて判定する。変数nが上限値でない場合(ステップS2312:NO)には、スキャンの対象となる列が残っていることを意味するため、再びステップS2313に進み、次の対象列のスキャンを行う。変数nが上限値である場合(ステップS2312:YES)には、ステップS2322にて初期化処理を行って、本横スキャン処理を終了する。当該初期化処理では、対象ドットを決定するためのx座標値及びy座標値を「0」クリアする。また、変数nの値も「0」クリアする。
【0582】
横スキャン処理により、枠領域353aの左側のエッジに存在するドットの位置情報及び枠領域353aの右側のエッジに存在するドットの位置情報が記憶される。左側のドットの位置情報は、「第2切換値+1」~「第3切換値」のいずれか1の整数と対応づけられている。また、右側のドットの位置情報は、「第3切換値+1」~「上限値」のいずれか1の整数と対応づけられている。
【0583】
雲用描画データの作成処理(図37)の説明に戻り、ステップS1806にて横スキャン処理を行った後、ステップS1807にて今回の描画リストを参照し、メモリモジュール133においてぼかし範囲データが記憶されているアドレスを把握して読み出す。続くステップS1808では、枠表示用2次元データ353にぼかし範囲366及び移動先範囲356を設定する範囲設定処理を行う。ここで、範囲設定処理について図43のフローチャートを参照しながら説明する。図43は、VDP135にて実行される範囲設定処理を示すフローチャートである。当該範囲設定処理は、描画リストにぼかし指示情報が設定されている場合に実行される。
【0584】
先ずステップS2401では、縦スキャン処理の前半で記憶された座標群を把握する。当該座標群は、枠領域353aの上側のエッジに存在する複数のドットの座標で構成されている。当該座標群の把握は、対応づけられているスキャン回数が「1」~「第1切換値」のいずれか1の整数である座標を把握することにより行われる。ステップS2402では、ステップS2401において把握した座標群を構成する各座標について、当該座標をぼかし中心366aの座標として、複数のぼかし範囲366を枠表示用2次元データ353に設定する。これにより、枠領域353aの上側のエッジに位置する複数のドットの周辺に複数のぼかし範囲366が設定される。当該複数のぼかし範囲366で構成されるぼかし範囲群を第1ぼかし範囲群とする。
【0585】
ステップS2403では、ステップS2401で把握した座標群を構成する各座標に対して、そのy座標の値から「200」を減算する処理を行う。これにより、当該座標群に対応する範囲は、枠表示用2次元データ353において、200ドット分上方に平行移動する。ステップS2404では、ステップS2403において算出した座標群を構成する各座標について、当該座標をぼかし中心366aの座標として、複数のぼかし範囲366を枠表示用2次元データ353設定する。そして、当該ぼかし範囲366を移動先範囲356とする。これにより、ステップS2402で設定された複数のぼかし範囲366の上方に複数の移動先範囲356が設定される。当該複数の移動先範囲356で構成される移動先範囲群を第1移動先範囲群とする。
【0586】
第1移動先範囲群を構成する移動先範囲356は、第1ぼかし範囲群を構成するぼかし範囲366を上方に200ドット分平行移動させたものである。したがって、ぼかし範囲366と移動先範囲356との数、大きさ及び形は全て同じである。各ぼかし範囲366と各移動先範囲356とは、1対1で対応する。そして、対応する2つの範囲356,366を構成する各ドット同士も1対1で対応する。
【0587】
ステップS2405では、縦スキャン処理の後半で記憶された座標群を把握する。当該座標群は、枠領域353aの下側のエッジに存在する複数のドットの座標で構成されている。当該座標群の把握は、対応づけられているスキャン回数が「第1切換値+1」~「第2切換値」のいずれか1の整数である座標を把握することにより行われる。ステップS2406では、ステップS2405において把握した座標群を構成する各座標について、当該座標をぼかし中心366aの座標として、複数のぼかし範囲366を枠表示用2次元データ353に設定する。これにより、枠領域353aの下側のエッジに位置する複数のドットの周辺に複数のぼかし範囲366が設定される。当該複数のぼかし範囲366で構成されるぼかし範囲群を第2ぼかし範囲群とする。
【0588】
ステップS2407では、ステップS2405で把握した座標群を構成する各座標に対して、そのy座標の値に「200」を加算する処理を行う。これにより、当該座標群に対応する範囲は、枠表示用2次元データ353において、200ドット分下方に平行移動する。ステップS2408では、ステップS2407において算出した座標群を構成する各座標について、当該座標をぼかし中心366aの座標として、複数のぼかし範囲366を枠表示用2次元データ353設定する。そして、当該ぼかし範囲366を移動先範囲356とする。これにより、ステップS2406で設定された複数のぼかし範囲366の下方に複数の移動先範囲356が設定される。当該複数の移動先範囲356で構成される移動先範囲群を第2移動先範囲群とする。
【0589】
第2移動先範囲群を構成する移動先範囲356は、第2ぼかし範囲群を構成するぼかし範囲366を下方に200ドット分平行移動させたものである。したがって、ぼかし範囲366と移動先範囲356との数、大きさ及び形は全て同じである。各ぼかし範囲366と各移動先範囲356とは、1対1で対応する。そして、対応する2つの範囲356,366を構成する各ドット同士も1対1で対応する。
【0590】
ステップS2409では、横スキャン処理の前半で記憶された座標群を把握する。当該座標群は、枠領域353aの左側のエッジに存在する複数のドットの座標で構成されている。当該座標群の把握は、対応づけられているスキャン回数が「第2切換値+1」~「第3切換値」のいずれか1の整数である座標を把握することにより行われる。ステップS2410では、ステップS2409において把握した座標群を構成する各座標について、当該座標をぼかし中心366aの座標として、複数のぼかし範囲366を枠表示用2次元データ353に設定する。これにより、枠領域353aの左側のエッジに位置する複数のドットの周辺に複数のぼかし範囲366が設定される。当該複数のぼかし範囲366で構成されるぼかし範囲群を第3ぼかし範囲群とする。
【0591】
ステップS2411では、ステップS2409で把握した座標群を構成する各座標に対して、そのx座標の値から「200」を減算する処理を行う。これにより、当該座標群に対応する範囲は、枠表示用2次元データ353において、200ドット分左方に平行移動する。ステップS2412では、ステップS2411において算出した座標群を構成する各座標について、当該座標をぼかし中心366aの座標として、複数のぼかし範囲366を枠表示用2次元データ353設定する。そして、当該ぼかし範囲366を移動先範囲356とする。これにより、ステップS24010で設定された複数のぼかし範囲366の左方に複数の移動先範囲356が設定される。当該複数の移動先範囲356で構成される移動先範囲群を第3移動先範囲群とする。
【0592】
第3移動先範囲群を構成する移動先範囲356は、第3ぼかし範囲群を構成するぼかし範囲366を左方に200ドット分平行移動させたものである。したがって、ぼかし範囲366と移動先範囲356との数、大きさ及び形は全て同じである。各ぼかし範囲366と各移動先範囲356とは、1対1で対応する。そして、対応する2つの範囲356,366を構成する各ドット同士も1対1で対応する。
【0593】
ステップS2413では、横スキャン処理の後半で記憶された座標群を把握する。当該座標群は、枠領域353aの右側のエッジに存在する複数のドットの座標で構成されている。当該座標群の把握は、対応づけられているスキャン回数が「第3切換値+1」~「上限値」のいずれか1の整数である座標を把握することにより行われる。ステップS2414では、ステップS2413において把握した座標群を構成する各座標について、当該座標をぼかし中心366aの座標として、複数のぼかし範囲366を枠表示用2次元データ353に設定する。これにより、枠領域353aの右側のエッジに位置する複数のドットの周辺に複数のぼかし範囲366が設定される。当該複数のぼかし範囲366で構成されるぼかし範囲群を第4ぼかし範囲群とする。
【0594】
ステップS2415では、ステップS2413で把握した座標群を構成する各座標に対して、そのx座標の値に「200」を加算する処理を行う。これにより、当該座標群に対応する範囲は、枠表示用2次元データ353において、200ドット分右方に平行移動する。ステップS2416では、ステップS2415において算出した座標群を構成する各座標について、当該座標をぼかし中心366aの座標として、複数のぼかし範囲366を枠表示用2次元データ353設定する。そして、当該ぼかし範囲366を移動先範囲356として、本範囲設定処理を終了する。これにより、ステップS2414で設定された複数のぼかし範囲366の右方に複数の移動先範囲356が設定される。当該複数の移動先範囲356で構成される移動先範囲群を第4移動先範囲群とする。
【0595】
第4移動先範囲群を構成する移動先範囲356は、第4ぼかし範囲群を構成するぼかし範囲366を右方に200ドット分平行移動させたものである。したがって、ぼかし範囲366と移動先範囲356との数、大きさ及び形は全て同じである。各ぼかし範囲366と各移動先範囲356とは、1対1で対応する。そして、対応する2つの範囲356,366を構成する各ドット同士も1対1で対応する。
【0596】
雲用描画データの作成処理(図37)の説明に戻り、ステップS1808にて範囲設定処理を行った後、ステップS1809では、ステップS1808にて第1ぼかし範囲群~第4ぼかし範囲群及び第1移動先範囲群~第4移動先範囲群の設定を行った枠表示用2次元データ353について、色情報等の移動処理を行う。ここで、色情報等の移動処理について図44のフローチャートを参照しながら説明する。なお、色情報等には、色情報と透過性情報とが含まれる。図44はVDP135にて実行される色情報等の移動処理を示すフローチャートである。当該色情報等の移動処理は、描画リストにぼかし指示情報が設定されている場合に実行される。
【0597】
先ずステップS2501では、色情報及び透過性情報の移動行う対象のぼかし範囲群を更新する。具体的には、対象のぼかし範囲群として何も設定されていない場合には第1ぼかし範囲群を設定するとともに、対象のぼかし範囲群として第1ぼかし範囲群が設定されている場合には第2ぼかし範囲群を設定する。また、対象のぼかし範囲群としてだい2ぼかし範囲群が設定されている場合には第3ぼかし範囲群を設定するとともに、対象のぼかし範囲群として第3ぼかし範囲群が設定されている場合には第4ぼかし範囲群を設定する。
【0598】
ステップS2502では、色情報及び透過性情報の移動を行う対象のぼかし範囲366を更新する。ぼかし範囲366の更新は、現状設定されているぼかし範囲群を構成する全てのぼかし範囲366が1回ずつ順次対象となる態様で行われる。ステップS2503では、現状設定されているぼかし範囲366を構成する全てのドットが1回ずつ順次対象ドットとなる態様で行われる。
【0599】
ステップS2504では、今回の対象ドットの色情報及び透過性情報を記憶し、ステップS2505にて、今回の対象ドットに完全透過の透過性情報を設定する。ステップS2506では、今回の対象ドットに対応するドットを把握する。対応するドットは、対象のぼかし範囲366に対応する移動先範囲356を構成するドットである。続くステップS2507では、ステップS2504にて記憶した色情報及び透過性情報をステップS2506にて把握したドットに設定する。
【0600】
ステップS2508では、現状対象となっているぼかし範囲366を構成する全てのドットについて色情報及び透過性情報を移動する処理が実行されたか否かについて判定する。色情報及び透過性情報を移動する処理が行われていないドットが存在する場合(ステップS2508:NO)には、ステップS2503に戻って対象ドットを更新し、新たな対象ドットの色情報及び透過性情報を移動する処理を行う。色情報及び透過性情報を移動する処理が行われていないドットが存在しない場合(ステップS2508:YES)には、ステップS2509に進む。
【0601】
ステップS2509では、現状対象となっているぼかし範囲群を構成する全てのぼかし範囲366について色情報及び透過性情報を移動する処理が実行されたか否かについて判定する。色情報及び透過性情報を移動する処理が行われていないぼかし範囲366が存在する場合(ステップS2509:NO)には、ステップS2502に戻って対象のぼかし範囲366を更新し、新たなぼかし範囲366の色情報及び透過性情報を移動する処理を行う。色情報及び透過性情報を移動する処理が行われていないぼかし範囲366が存在しない場合(ステップS2509:YES)には、ステップS2510に進む。
【0602】
ステップS2510では、第4ぼかし範囲群までの全てのぼかし範囲群に対して色情報及び透過性情報を移動する処理が実行されたか否かについて判定する。色情報及び透過性情報を移動する処理が行われていないぼかし範囲群が存在する場合(ステップS2510:NO)には、ステップS2501に戻って対象のぼかし範囲群を更新し、新たなぼかし範囲群の色情報及び透過性情報を移動する処理を行う。色情報及び透過性情報を移動する処理が行われていないぼかし範囲群が存在しない場合(ステップS2510:YES)には、そのまま本色情報及び透過性情報の移動処理を終了する。
【0603】
第1ぼかし範囲群に設定されていた色情報及び透過性情報は、第1ぼかし範囲群よりも上方に位置する第1移動先範囲群に移動するとともに、第2ぼかし範囲群に設定されていた色情報及び透過性情報は、第2ぼかし範囲群よりも下方に位置する第2移動先範囲群に移動する。また、第3ぼかし範囲群に設定されていた色情報及び透過性情報は、第3ぼかし範囲群よりも上方に位置する第3移動先範囲群に移動するとともに、第4ぼかし範囲群に設定されていた色情報及び透過性情報は、第4ぼかし範囲群よりも下方に位置する第4移動先範囲群に移動する。いずれの場合も、枠領域353aの一部に設定されていた色情報及び透過性情報が、枠領域353aの外側の外側領域353bに移動し、枠領域353aがぼやけたぼかし枠表示用2次元データ367が作成される。
【0604】
雲用描画データの作成処理(図37)の説明に戻り、ステップS1809にて色情報及び透過性情報の移動処理を行った後、ステップS1810~ステップS1812の処理を実行することにより、雲表示用2次元データ363とぼかし枠表示用2次元データ367とを合成して、雲用描画データ368を作成する。ステップS1810~ステップS1812の処理は、描画リストに設定されている合成指示情報に基づいて行われる。
【0605】
ステップS1810では、雲表示用2次元データ363を合成の基本データに設定する。続くステップS1811では、ぼかし枠表示用2次元データ367を合成の優先データに設定する。そして、ステップS1812において、雲表示用2次元データ363とぼかし枠表示用2次元データ367を合成する。
【0606】
ぼかし枠表示用2次元データ367のドットに不透明な色情報が設定されている場合には、雲表示用2次元データ363の対応するドットに設定されている色情報は、ぼかし枠表示用2次元データ367のドットに設定されている不透明な色情報に変更される。また、ぼかし枠表示用2次元データ367のドットに完全透明の透過性情報が設定されている場合には、雲表示用2次元データ363の対応するドットに設定されている色情報は変更されない。当該合成により、雲用描画データ368が作成される。
【0607】
ステップS1813では、ステップS1812で作成した雲用描画データ368を別保存して、本作成処理を終了する。今回の描画リストに別保存データの使用指示情報が設定されていた場合(ステップS1801:YES)には、ステップS1814にて、別保存されている雲用描画データ368を読み出して、本作成処理を終了する。つまり、ワールド座標系における雲表示用オブジェクト361と視点PC11との相対関係が変化しない更新タイミングでは、雲用描画データ368を新たに作成することなく、別保存されている雲用描画データ368を使用する。これにより、全ての更新タイミングにおいて、雲用描画データ368を作成する場合と比較して、雲表示演出を行うための処理負荷を軽減することができる。
【0608】
以上のとおり、切り抜き用オブジェクト364は、中心点361aを中心として雲表示用オブジェクト361を縮小することにより、雲表示用オブジェクト361をひと回り小さくしたオブジェクトである。切り抜き用オブジェクト364をワールド座標系に設定するためのパラメータは、雲表示用オブジェクト361をワールド座標系に設定するためのパラメータと同じである。このため、雲表示用2次元データ363において、切り抜き用投影領域351aに対応する領域を切り抜くと、雲表示用投影領域352aの外縁部のみが表示される枠表示用2次元データ353を作成することができる。ワールド座標系内における雲表示用オブジェクト361と視点PC11との関係が変化すると、雲表示用投影領域352aの形及び大きさが変化するが、当該変化と同じ態様で切り抜き用投影領域351aの形及び大きさも変化するため、常に雲表示用投影領域352aの外縁部のみが表示される枠表示用2次元データ353を作成することができる。ワールド座標系内における雲表示用オブジェクト361と視点PC11との関係の数だけ、異なる枠表示用2次元データ353を記憶しておく構成と比較して、メモリモジュール133に予め記憶するデータ容量を低減することができる。
【0609】
切り抜き用オブジェクト364の投影データ351を作成した場合に、切り抜き用投影領域351aに「0」のα値を設定するとともに、周辺領域351bに「1」のα値を設定する構成とした。また、雲表示用2次元データ363を切り抜き対象データに設定するとともに、切り抜き用オブジェクト364の投影データ351を切り抜き用データに設定して切り抜き処理を実行することにより、切り抜き用データにおいて「0」のα値が設定されている領域に対応する切り抜き対象データの領域が切り抜かれる構成とした。これにより、雲表示用オブジェクト361と視点PC11との関係に応じた枠表示用2次元データ353をリアルタイムで作成することができる。枠表示用2次元データ353を記憶しておく構成と比較して、メモリモジュール133に予め記憶するデータ容量を低減することができる。
【0610】
開始タイミング及び雲表示用オブジェクト361と視点PC11との関係が変化する更新タイミングにおいて作成される雲用描画データ368を別保存し、雲表示用オブジェクト361と視点PC11との関係が変化しない更新タイミングにおいては、雲用描画データ368を作成せずに、別保存されている雲用描画データ368を読み出して使用する構成とした。全ての更新タイミングにおいて枠表示用2次元データ353を作成する処理を行う場合と比較して、雲表示演出を行うための処理負荷を軽減することができる。
【0611】
ぼかし範囲データを用いて、枠領域353aの複数箇所にぼかし範囲366を設定するとともに、外側領域353bの複数箇所に移動先範囲356を設定し、ぼかし範囲366に設定されている色情報及び透過性情報を移動先範囲356に移動することにより、ぼかし枠表示用2次元データ367を作成することができる。そして、ぼかし枠表示用2次元データ367を用いることにより、直線的で角張った形状を有する雲表示用投影領域352aの外縁部を、凹凸のある複雑な外縁部に変更することにより、自然な雲表示演出を行うことができる。
【0612】
枠表示用2次元データ353に対して、縦スキャン処理及び横スキャン処理を行って、ぼかし中心366aの座標を決定する構成とした。縦スキャン処理の前半では、スキャン対象列の上端のドットから下方に向かって順番にスキャンが行われ、枠領域353aの上側のエッジに位置するドットの座標がぼかし中心366aの座標となる。また、縦スキャン処理の後半では、スキャン対象列の下端のドットから上方に向かって順番にスキャンが行われ、枠領域353aの下側のエッジに位置するドットの座標がぼかし中心366aの座標となる。横スキャン処理の前半では、スキャン対象列の左端のドットから右方に向かって順番にスキャンが行われ、枠領域353aの左側のエッジに位置するドットの座標がぼかし中心366aの座標となる。また、横スキャン処理の後半では、スキャン対象列の右端のドットから左方に向かって順番にスキャンが行われ、枠領域353aの右側のエッジに位置するドットの座標がぼかし中心366aの座標となる。このため、枠領域353aの外縁にぼかし範囲366を設定することができ、枠領域353aの外縁をぼかすことができる。ぼかし範囲366をランダムに決定する構成と比較して、効率的に枠領域353aのぼかし処理を実行することができる。
【0613】
枠領域353aの上側のエッジ付近に設定されたぼかし範囲366に対応する移動先範囲356をぼかし範囲366の上方に設定するとともに、枠領域353aの下側のエッジ付近に設定されたぼかし範囲366に対応する移動先範囲356をぼかし範囲366の下方に設定する構成とした。また、枠領域353aの左側のエッジ付近に設定されたぼかし範囲366に対応する移動先範囲356をぼかし範囲366の左方に設定するとともに、枠領域353aの右側のエッジ付近に設定されたぼかし範囲366に対応する移動先範囲356をぼかし範囲366の右方に設定する構成とした。これにより、全ての移動先範囲356を外側領域353bに設定し、枠領域353aの色情報及び透過性情報を選択的に外側のみに向かって移動させることができる。移動先範囲356をランダムに決定する構成と異なり、雲表示用投影領域352aに設定されている色情報及び透過性情報の内容を変更しない態様で雲用描画データ368を作成することが可能となる。
【0614】
<雲表示演出の別形態>
上述した雲表示演出を実行するための構成において、切り抜き用オブジェクト364の投影データ351を作成する処理は、雲表示用オブジェクト361と同じ形状を有し、雲表示用オブジェクト361よりもひと回り小さい切り抜き用オブジェクト364を用いる処理に限られない。例えば、切り抜き用オブジェクト364の代わりに、雲表示用オブジェクト361の縮小データをワールド座標系に配置する構成としてもよい。
【0615】
具体的には、表示CPU131は、雲表示用オブジェクト361をワールド座標系に設定するための通常のパラメータと、当該通常のパラメータにおいて、スケールの情報だけをひと回り小さく設定した切り抜き用のパラメータを作成して、描画リストに設定する。
【0616】
VDP135は、通常のパラメータに基づいて雲表示用オブジェクト361をワールド座標系に設定し、スクリーン領域PC12に投影して雲表示用オブジェクト361の通常の投影データ352を作成する。また、VDP135は、切り抜き用のパラメータに基づいて雲表示用オブジェクト361をワールド座標系に設定し、スクリーン領域PC12に投影して雲表示用オブジェクト361の切り抜き用の投影データを作成する。切り抜き用のパラメータには、通常のパラメータよりも小さなスケールが設定されているため、当該切り抜き用の投影データは、切り抜き用オブジェクト364の投影データ351と同じデータとなる。
【0617】
切り抜き用オブジェクト364を用いずに、切り抜き用オブジェクト364の投影データ351と同じデータを作成することができるため、メモリモジュール133に予め記憶するオブジェクトのデータ容量を低減することができる。
【0618】
また、雲表示用2次元データ363の境界369を目立たない態様で表示するための処理は、雲表示用2次元データ363の境界369の周辺を構成しているドットにぼかし枠領域367aを構成しているドットに設定されている色情報及び透過性情報を上書きする処理に限られない。例えば、雲表示用投影領域352aに雲表示用テクスチャ362の空の色と背景の色との中間の色情報及び透過性情報を設定する。当該雲表示用投影領域352aから切り抜き用投影領域351aを切り抜くことにより、中間色の枠領域353aを含む枠表示用2次元データ353を作成することができる。雲表示用2次元データ363の境界369の周辺を構成しているドットに中間色の枠領域353aを構成しているドットに設定されている色情報及び透過性情報を上書きすることにより、雲表示用2次元データ363において、雲表示用テクスチャ362が適用されている領域と背景との境界369を目立たない態様で表示することができる。
【0619】
また、雲用描画データ368を作成する処理は、切り抜き処理を伴う処理に限られない。例えば、雲表示用2次元データ363を作成した後、雲表示用2次元データに対して雲用描画データの作成処理(図37)のステップS1805~ステップS1809にて実行されるぼかし処理を実行してもよい。当該ぼかし処理によって、雲表示用2次元データ363の境界369をぼかすことができる。また、雲表示用2次元データ363に対してぼかし処理を実行しても、ぼかし処理の対象となるのは境界369の近傍のみであり、それよりも内側の領域の内容は維持される。このため、処理負荷を軽減しながら雲用描画データ368を作成することができる。
【0620】
また、雲表示用オブジェクト361の投影データ352における中心対応点352cの位置は、切り抜き用オブジェクト364の投影データ351における中心対応点351cの位置と同じでなくてもよい。さらに、雲表示用オブジェクト361の投影データ352の大きさ及び外形は、切り抜き用オブジェクト364の投影データ351の大きさ及び外形と同じでなくてもよい。
【0621】
要は、雲表示用オブジェクト361の投影データ352の中心対応点352cと、切り抜き用オブジェクト364の投影データ351の中心対応点351cとが一致する態様で、雲表示用投影領域352aから切り抜き用投影領域351aを切り抜くことができればよい。例えば、雲表示用オブジェクト361の投影データ352の中心対応点352cと、切り抜き用オブジェクト364の投影データ351の中心対応点351cとが1対1で対応する態様で、切り抜き用投影領域351aを構成する各ドットと雲表示用投影領域352aを構成するドットとを1対1で対応させるための位置補正用のテーブルがメモリモジュール133に予め記憶されている構成とすることにより、雲表示用投影領域352aから切り抜き用投影領域351aを切り抜くことができる。
【0622】
また、ぼかし処理は、ぼかし範囲366を構成するドットに設定されている色情報及び透過性情報を移動先範囲356を構成するドットに移動する処理に限られない。例えば、移動先範囲356に設定するための色情報及び透過性情報を予め記憶しておき、外側領域353bに設定される全ての移動先範囲356に一律に当該色情報及び透過性情報を設定する構成としてもよい。対応するぼかし範囲366を構成するドットに設定されている色情報及び透過性情報を把握して移動先範囲356に設定する構成と比較して、全ての移動先範囲356に設定するための色情報及び透過性情報を共通化することにより、各ぼかし範囲366に設定されている色情報及び透過性情報を把握する処理を省略することができ、ぼかし処理の処理負荷を軽減することができる。
【0623】
また、ワールド座標系に設定される雲表示用オブジェクト361は1つに限られない。例えば、ワールド座標系に複数の雲表示用オブジェクト361を設定して、雲362aの集団が複数並んでいる様子を表示してもよい。ワールド座標系に設定される複数の雲表示用オブジェクト361を回転させて、異なる角度から見た複数の雲362aの集団を表示する場合に、複数の雲表示用オブジェクト361を回転させるタイミングをずらすことにより、処理負荷の増大を抑えながら表示可能な雲362aの集団の数を増やすことができる。
【0624】
視点PC11からの距離が異なる3つの雲362aの集団を表示し、当該3つの雲362aの集団の表示角度が徐々に変化していく様子を、処理負荷を抑えながら表示する場合について具体的に説明する。
【0625】
視点PC11からの距離が最も短く、図柄表示装置31の表示面Gにおいて最も手前側に表示される雲362aの集団を第1雲群とするとともに、当該第1雲群を表示するための雲用描画データ368を第1雲用描画データとする。また、視点PC11からの距離が最も長く、図柄表示装置31の表示面Gにおいて最も奥側に表示される雲362aの集団を第3雲群とするとともに、当該第3雲群を表示するための雲用描画データ368を第3雲用描画データとする。そして、視点PC11からの距離が2番目に短く、図柄表示装置31の表示面Gにおいて第1雲群と第3雲群との間に表示される雲群を第2雲群とするとともに、当該第2雲群を表示するための雲用描画データ368を第2雲用描画データとする。
【0626】
第3雲用描画データと、第2雲用描画データと、第1雲用描画データと、図柄用の描画データとのそれぞれは、個別にスクリーン用バッファ144に書き込まれている。VDP135は、スクリーン用バッファ144に対して、4つの描画データを書き込むことにより、演出及び図柄用の描画データを作成する。詳細には、第3雲用描画データが最も奥側に並ぶとともに、第2雲用描画データが2番目に奥側に並び、第1雲用描画データが3番目に奥側に並ぶとともに、図柄用の描画データが最も手前側に並ぶ態様で、4つの描画データを書き込む。
【0627】
VDP135は、第1雲用描画データと、第2雲用描画データと、第3雲用描画データとのそれぞれを、ワールド座標系に設定する雲表示用オブジェクト361のパラメータが変化する更新タイミングにおいて新規に作成するとともに別保存する。ワールド座標系に設定する雲表示用オブジェクト361のパラメータが変化しない更新タイミングにおいては、別保存されている描画データを読み出して使用する。このため、雲群を表示するための描画データを新規作成する更新タイミングの処理負荷は大きく、別保存されている描画データを使用する更新タイミングの処理負荷は小さい。
【0628】
図柄表示装置31の表示面Gに現状表示されている3つの雲群の画像とは異なる角度から見た場合の3つの雲群の画像を表示する場合に、ワールド座標系に雲表示用オブジェクト361を設定するためのパラメータを変更せずに、視点PC11のパラメータのみを変更する処理を行う構成とすると、第1雲用描画データと、第2雲用描画データと、第3雲用描画データとを同時に新規作成することとなり、当該更新タイミングにおける処理負荷が他の更新タイミングよりも大きくなる。また、視点PC11のパラメータを変更せずに、3つの雲群を表示するための3つの雲表示用オブジェクト361のパラメータを1つの更新タイミングにおいて変更する構成とする場合も、3つの雲用描画データ368を同時に新規作成することとなる。これらの場合、3つの雲用描画データ368を同時に新規作成する更新タイミングの大きな処理負荷に耐えうる構成が必要となる。
【0629】
これに対して、3つの雲表示用オブジェクト361をワールド座標系に設定するための3つの回転角度を変更するタイミングをずらすことにより、処理負荷の増大を抑えることができる。先ず第1の更新タイミングにおいて、最も手前側に位置する第1雲群を表示するための雲表示用オブジェクト361の回転角度のみを変更して、第1雲用描画データのみを新規作成する。続く第2の更新タイミングにおいて、2番目に手前に位置する第2雲群を表示するための雲表示用オブジェクト361の回転角度のみを変更して、第2雲用描画データのみを新規作成する。その後、第3の更新タイミングにおいて、最も奥側に位置する第3雲群を表示するための雲表示用オブジェクト361の回転角度のみを変更して、第3雲用描画データのみを新規作成する。
【0630】
3つの雲用描画データ368を新規作成するための処理負荷を3つの更新タイミングに分散させることにより、他の更新タイミングと比較して特定の更新タイミングで必要となる処理の量が極端に増加する事態を回避することができる。この場合、手前側から奥側に向かって順番に雲群の表示角度が変化していくため、表示角度を変更するタイミングをずらすことにより遊技者に与える違和感は少ない。
【0631】
また、開始タイミングにおける雲用描画データ368のみを予め記憶しておく構成としたり、開始タイミングでは第1雲群のみを表示し、段階的に表示対象となる雲群の数を増加させていく構成としたりすることにより、開始タイミングにおいて、新規作成する雲用描画データ368の数を減らすことができる。開始タイミング及び全ての更新タイミングにおいて、2つ以上の雲用描画データ368を新規作成するタイミングがない構成とすることにより、表示制御装置130に必要な処理能力を下げることができる。
【0632】
<オーラ表示演出を行うための構成>
次に、オーラ表示演出を行うための構成について説明する。オーラ表示演出で表示されるキャラクタ371は、頭部372、右腕部373、右手部374、胴部375、左脚部376及び右脚部377から構成されている。オーラ表示演出では、キャラクタ371の各部372~377の外縁にオーラ412~417が表示される。キャラクタ371を構成する部位372~377同士が図柄表示装置31の表示面Gの前後方向に重なって表示される場合に、重なり部分にもオーラ412~417を表示する構成とすることにより、キャラクタ371の各部372~377に対してオーラ412~417を一様に表示することができる。
【0633】
オーラ表示演出は、大当たりの期待度を報知する演出として行われる。大当たりの期待度が高い高期待度演出では、オーラ付きキャラクタ421が表示される時間が、オーラ412~417を伴わないキャラクタ371が表示される時間よりも長く設定されている。一方、大当たりの期待度が低い低期待度演出では、オーラ412~417を伴わないキャラクタ371が表示される時間が、オーラ付きキャラクタ421が表示される時間よりも長く設定されている。高期待度演出用のデータテーブルの内容は、低期待度演出用のデータテーブルの内容と異なる。オーラ付きキャラクタ421とオーラ412~417を伴わないキャラクタ371との切り換えは、設定されているデータテーブルに基づいて行われる。
【0634】
オーラ表示演出では、演出用の画像として、キャラクタ371の画像又はオーラ付きキャラクタ421の画像が単独で表示されるタイミングと、キャラクタ371の画像又はオーラ付きキャラクタ421の画像と、キャラクタ371又はオーラ付きキャラクタ421が所有するポイントを表示するための画像とが一緒に表示されるタイミングとがある。キャラクタ371を表示するためのキャラクタ用描画データ371a(図45(a))と、オーラ付きキャラクタ421を表示するためのオーラ付きキャラクタ用描画データ421a(図45(b))と、ポイントを表示するためのポイント用描画データとのそれぞれは、個別に作成される。なお、ポイント用の描画データは、ポイントを表示するためのオブジェクトの投影データにポイントを表示するためのテクスチャが適用されることにより作成される。以下では、キャラクタ用描画データ371a及びオーラ付きキャラクタ用描画データ421aについて説明する。
【0635】
オーラ表示演出では、オーラ付きキャラクタ用描画データ421aが作成されることにより、図柄表示装置31の表示面Gにオーラ412~417を伴ったキャラクタ371が表示される。先ずオーラ付きキャラクタ用描画データ421aについて説明する。図45(a)にオーラ412~417が表示されていないキャラクタ用描画データ371aを示すとともに、図45(b)にオーラ412~417が表示されているオーラ付きキャラクタ用描画データ421aを示す。VDP135は、演出用の描画データとして、キャラクタ用描画データ371a又はオーラ付きキャラクタ用描画データ421aを作成する。図45(a)に示すように、キャラクタ用描画データ371aは、キャラクタ371の右側面を表示するためのデータである。
【0636】
メモリモジュール133には、キャラクタ371の各部372~377を表示するための6つのキャラクタ用オブジェクトと、当該6つのキャラクタ用オブジェクトに対応する6つの部分用テクスチャが記憶されている。ここで、キャラクタ用オブジェクトとは、キャラクタ371の頭部372を表示するための頭部用オブジェクト372a(図46(a))、右腕部373を表示するための右腕部用オブジェクト、右手部374を表示するための右手部用オブジェクト、胴部375を表示するための胴部用オブジェクト、左脚部376を表示するための左脚部用オブジェクト及び右脚部377を表示するための右脚部用オブジェクトの総称である。
【0637】
また、部分用テクスチャとは、頭部用オブジェクト372aに対応する頭部用テクスチャ、右腕部用オブジェクトに対応する右腕部用テクスチャ、右手部用オブジェクトに対応する右手部用テクスチャ、胴部用オブジェクトに対応する胴部用テクスチャ、左脚部用オブジェクトに対応する左脚部用テクスチャ及び右脚部用オブジェクトに対応する右脚部用テクスチャの総称である。
【0638】
6つの部分用テクスチャはワールド座標系とは異なるUV座標系に設定されている。キャラクタ用オブジェクトの表面の各ドットには対応するUV座標の座標値が設定されている。また、キャラクタ用オブジェクトのスクリーン領域PC12への投影は、投影データの各ドットに投影されたキャラクタ用オブジェクトの表面のドット情報が把握できる態様で行われる。
【0639】
VDP135は、投影データの各ドットに対応するキャラクタ用オブジェクトの表面のドット情報を把握し、キャラクタ用オブジェクトの表面のドットに対応するUV座標系の座標値を把握する。そして、UV座標系に設定されている部分用テクスチャの座標値に設定されている色情報を、投影データの各ドットに設定する。これにより、部分用テクスチャがキャラクタ用オブジェクトの投影データに適用される。なお、オーラ表示演出において、オブジェクトが投影されるスクリーン領域PC12のサイズは、図柄表示装置31の表示面Gのサイズと同じであるため、投影により作成される投影データのサイズも図柄表示装置31の表示面Gのサイズと同じとなる。
【0640】
図45(b)に示すように、オーラ付きキャラクタ用描画データ421aは、キャラクタ371を構成する各部372~377と、当該各部372~377のオーラ412~417とで構成されている。具体的には、キャラクタ371の頭部372の外縁には頭部372のオーラ412が表示されており、右腕部373の外縁には右腕部373のオーラ413が表示されており、右手部374の外縁には右手部374のオーラ414が表示されている。また、キャラクタ371の胴部375の外縁には胴部375のオーラ415が表示されており、左脚部376の外縁には左脚部376のオーラ416が表示されており、右脚部377の外縁には右脚部377のオーラ417が表示されている。
【0641】
オーラ付きキャラクタ用描画データ421aでは、キャラクタ371の胴部375と重なる態様で表示されている右腕部373の外縁に右腕部373のオーラ413が表示されているとともに、キャラクタ371の胴部375と重なる態様で表示されている右手部374の外縁に右手部374のオーラ414が表示されている。また、キャラクタ371の胴部375は左脚部376と一部が重なる態様で表示されており、当該重なり部分についても胴部375のオーラ415が表示されている。同様に、キャラクタ371の右脚部377は左脚部376と一部が重なる態様で表示されており、当該重なり部分についても右脚部377のオーラ417が表示されている。
【0642】
キャラクタ371の外枠のみにオーラ412~417を表示する構成とすると、キャラクタ371の一部分が他の部分と重なる態様で表示される場合に、重なって表示される部分に対応するオーラ412~417が表示されなくなる。例えば、キャラクタ371の右腕部373のオーラ413は、キャラクタ371が正面を向いている場合には表示されるが、キャラクタ371が横を向いている場合には表示されない。このように、キャラクタ371の向きによってオーラ412~417の表示の有無が変化することにより、オーラ表示演出が遊技者に不自然な印象を与える演出となってしまう。これに対して、キャラクタ371の一部分が他の部分と重なる態様で表示される場合に、視点PC11に近い側に位置する部分の外縁については、重なり部分にもオーラ412~417を表示することにより自然なオーラ表示演出を行うことができる。
【0643】
オーラ付きキャラクタ用描画データ421aは、キャラクタ371を構成する各部372~377に対応するオーラ付き部分用2次元データ412a~417a(図47(a)~(f))をスクリーン用バッファ144にあるオーラ表示演出の演出用のバッファに書き込むことにより作成される。ここで、オーラ付き部分用2次元データ412a~417aとは、頭部372に関するオーラ付き頭部用2次元データ412aと、右腕部373に関するオーラ付き右腕部用2次元データ413aと、右手部374に関するオーラ付き右手部用2次元データ414aと、胴部375に関するオーラ付き胴部用2次元データ415aと、左脚部376に関するオーラ付き左脚部用2次元データ416aと、右脚部377に関するオーラ付き右脚部用2次元データ417aとの総称である。
【0644】
以下、オーラ付き部分用2次元データ412a~417aを作成する方法について、頭部372を具体例として用いながら説明する。図46(a)は、頭部用オブジェクト372aを説明するための説明図であり、図46(b)は、頭部用オブジェクト372aの投影データである頭部用投影データ372bを説明するための説明図である。また、図46(c)は、頭部用オーラオブジェクト382aを説明するための説明図であり、図46(d)は、頭部用オーラオブジェクト382aの投影データであるオーラ用頭部投影データ382bを説明するための説明図である。頭部用オーラオブジェクト382aは、メモリモジュール133に予め記憶されている。
【0645】
先ず頭部用投影データ372bとオーラ用頭部投影データ382bとを作成する処理について説明する。頭部用オブジェクト372aは、その内部に中心点372eを有している。頭部用オーラオブジェクト382aは、頭部用オブジェクト372aの中心点372eを中心として頭部用オブジェクト372aを倍率125パーセントで拡大することにより得られる構造と同一構造のオブジェクトである。したがって、頭部用オーラオブジェクト382aは、頭部用オブジェクト372aと同じ形をしている。また、頭部用オーラオブジェクト382aは、頭部用オブジェクト372aと同様に中心点382eを有している。そして、頭部用オーラオブジェクト382aは、頭部用オブジェクト372aよりもひと回り大きい。
【0646】
メモリモジュール133には、キャラクタ用オブジェクトをワールド座標系に設定するためのキャラクタ用パラメータテーブルが記憶されている。キャラクタ用パラメータテーブルには、ワールド座標系におけるキャラクタ用オブジェクトのパラメータが変更される更新タイミングと視点PC11のパラメータが変更される更新タイミングとのそれぞれに対応する複数のポインタ情報が設定されており、各ポインタ情報のそれぞれにはワールド座標系にキャラクタ用オブジェクトを設定するためのパラメータが設定されている。ここで、キャラクタ用オブジェクトのパラメータには、キャラクタ用オブジェクトの座標、回転角度及びスケールが含まれ、視点PC11のパラメータには、座標及び向きが含まれる。
【0647】
なお、キャラクタ用オブジェクトの座標とは、キャラクタ用オブジェクトの中心点の座標である。また、キャラクタ用オブジェクトは、初期状態のサイズから拡大又は縮小されてワールド座標系に設定される場合がある。キャラクタ用オブジェクトのパラメータの1つであるスケールは、初期状態からの倍率のことである。キャラクタ用オブジェクトが初期状態から拡大されてワールド座標系に設定される場合には、スケールが100パーセントよりも大きな値となり、キャラクタ用オブジェクトが初期状態から縮小されてワールド座標系に設定される場合には、スケールが100パーセントよりも小さな値となる。また、キャラクタ用オブジェクトが初期状態と同じサイズでワールド座標系に設定される場合のスケールの値は100パーセントである。
【0648】
表示CPU131は、キャラクタ用パラメータテーブルを参照して描画リストに各タイミングにおけるキャラクタ用オブジェクトのパラメータを設定する。図46(a)に示すように、VDP135は、描画リストに設定されている頭部用オブジェクト372aの座標を含むパラメータに基づいて、頭部用オブジェクト372aの中心点372eが当該座標に位置する態様で頭部用オブジェクト372aをワールド座標に設定する。
【0649】
表示CPU131は、頭部用オーラオブジェクト382aのパラメータとして、頭部用オブジェクト372aのパラメータと同じパラメータを描画リストに設定する。具体的には、頭部用オーラオブジェクト382aの中心点382eの座標として、頭部用オブジェクト372aの中心点372eの座標と同じ座標が設定される。また、頭部用オーラオブジェクト382aの回転角度及びスケールとして、頭部用オブジェクト372aの回転角度及びスケールと同じ値が設定される。
【0650】
初期状態において、頭部用オーラオブジェクト382aは頭部用オブジェクト372aよりもひと回り大きい。そして、頭部用オブジェクト372aをワールド座標系に設定するための倍率と頭部用オーラオブジェクト382aをワールド座標系に設定するための倍率とは、常に同じである。したがって、開始タイミング及び各更新タイミングにおいて、頭部用オーラオブジェクト382aは、当該タイミングにおいてワールド座標系に設定される頭部用オブジェクト372aよりもひと回り大きい態様でワールド座標系に設定される。図46(c)に示すように、VDP135は、描画リストに設定されている頭部用オブジェクト372aの座標を含むパラメータに基づいて、頭部用オーラオブジェクト382aの中心点382eが当該座標に位置する態様で頭部用オーラオブジェクト382aをワールド座標系に設定する。
【0651】
頭部用オブジェクト372aと頭部用オーラオブジェクト382aとは、同じパラメータに基づいて設定されるため、当該2つのオブジェクト372a,382aのワールド座標系における中心点372e,382eの座標及び回転角度は同じである。また、当該2つのオブジェクト372a,382aをワールド座標系に設定する際に行われる拡大又は縮小の倍率は同じである。したがって、ワールド座標系において、頭部用オーラオブジェクト382aは、常に頭部用オブジェクト372aよりもひと回り大きい。
【0652】
図46(b),(d)に示すように、頭部用オブジェクト372a又は頭部用オーラオブジェクト382aをスクリーン領域PC12に投影することにより、矩形の投影データ372b,382bが作成される。オーラ表示演出において、オブジェクトをスクリーン領域PC12に投影することにより得られる投影データの形及び大きさは、投影されたスクリーン領域PC12の形及び大きさと同じである。また、投影データを利用して作成される2次元データの形及び大きさは投影データの形及び大きさと同じである。具体的には、投影データ及び2次元データは、図柄表示装置31の表示面Gに対応する大きさを有する矩形のデータである。オーラ表示演出で作成される投影データ及び2次元データの横方向には同じ数のドットが並んでいるとともに、投影データ及び2次元データの縦方向にも同じ数のドットが並んでいる。
【0653】
また、オブジェクトをスクリーン領域PC12に投影して得られる矩形の投影データにおいて、オブジェクトが実際に投影されたドットで構成される領域を投影領域と定義する。投影領域の形状は、オブジェクトが投影された角度におけるオブジェクトの外形となる。各タイミングにおいて、頭部用オーラオブジェクト382aが投影される角度と頭部用オブジェクト372aが投影される角度とは常に同じになるため、頭部用オーラオブジェクト382aの投影領域であるオーラ用頭部投影領域382cの形状は、頭部用オブジェクト372aの投影領域である頭部用投影領域372cと同じである。また、オーラ用頭部投影領域382cの大きさは頭部用投影領域372cの大きさよりもひと回り大きい。
【0654】
頭部用投影データ372bにおいて、頭部用投影領域372c以外の領域を周辺領域372dとするとともに、オーラ用頭部投影データ382bにおいて、オーラ用頭部投影領域382c以外の領域を周辺領域382dとする。
【0655】
ワールド座標系において、頭部用オブジェクト372aの中心点372eからスクリーン領域PC12に垂線を引き、当該垂線とスクリーン領域PC12との交点を頭部用オブジェクト372aの中心対応点372f(図46(b))とする。また、ワールド座標系において、頭部用オーラオブジェクト382aの中心点382eからスクリーン領域PC12に垂線を引き、当該垂線とスクリーン領域PC12との交点を頭部用オーラオブジェクト382aの中心対応点382f(図46(d))とする。
【0656】
ワールド座標系における頭部用オブジェクト372aの中心点372eの座標と、頭部用オーラオブジェクト382aの中心点382eの座標とは同じであるため、スクリーン領域PC12における頭部用オブジェクト372aの中心対応点372fの位置と、頭部用オーラオブジェクト382aの中心対応点382fの位置とは同じである。そして、頭部用投影データ372bにおける頭部用オブジェクト372aの中心対応点372fの位置と、オーラ用頭部投影データ382bにおける頭部用オーラオブジェクト382aの中心対応点382fの位置とは同じである。
【0657】
具体的には、頭部用投影データ372bにおいて、左上の角にあるドットと頭部用オブジェクト372aの中心対応点372fとの位置関係は、オーラ用頭部投影データ382bにおいて、左上の角にあるドットと頭部用オーラオブジェクト382aの中心対応点382fとの位置関係と同じである。
【0658】
また、頭部用オブジェクト372aがスクリーン領域PC12に投影される場合の角度と、頭部用オーラオブジェクト382aがスクリーン領域PC12に投影される場合の角度は同じである。以上の関係により、頭部用オーラオブジェクト382aのオーラ用頭部投影領域382cは、頭部用投影データ372bにおいて、頭部用投影領域372cを、頭部用オブジェクト372aの中心対応点372fを中心として125%に拡大した領域と同じである。
【0659】
VDP135は、頭部用投影データ372bを作成した場合に、当該頭部用投影データ372bを別保存する。具体的には、頭部用投影データ372bをスクリーン用バッファ144に設けられているオーラ表示演出の演出用のバッファに別保存する。その後、VDP135は、頭部用投影データ372bにおいて、頭部用投影領域372cを構成する全てのドットに「0」のα値を設定するとともに、周辺領域372dを構成する全てのドットに「1」のα値を設定して切り抜き用頭部投影データを作成する。
【0660】
また、VDP135は、オーラ用頭部投影データ382bを作成した場合に、オーラ用頭部投影領域382cを構成する全てのドットにオーラ表示用の色情報及び透過性情報を設定するとともに、周辺領域382dを構成する全てのドットに「0」のα値を設定する。オーラ表示用の色情報及び透過性情報は予めメモリモジュール133に記憶されている。具体的には、オーラ表示用の色情報及び透過性情報として、半透明の赤色が記憶されている。透過性情報について、より詳細には、α値として「0.3」が記憶されている。
【0661】
次に、オーラ用頭部投影データ382bにおいて、頭部用投影領域372cに対応する領域を切り抜き、頭部オーラ用2次元データ392a(図46(e))を作成する処理について説明する。ここで、2次元データにおいて、所定領域を切り抜くとは、当該所定領域に完全透過の透過性情報を設定することを意味する。
【0662】
VDP135は、オーラ用頭部投影データ382bを切り抜き対象データに設定するとともに、切り抜き用頭部投影データを切り抜き用データに設定して、切り抜き処理(図40)を行う。当該切り抜き処理では、先ず切り抜き用データである切り抜き用頭部投影データを構成する各ドットに設定されているα値が「0」であるか否かについて判定する。
【0663】
切り抜き用頭部投影データのドットに設定されているα値が「0」である場合には、切り抜き対象データであるオーラ用頭部投影データ382bの対応するドットに完全透過の透過性情報が設定される。また、切り抜き用頭部投影データのドットに設定されているα値が「0」でない場合には、切り抜き対象データであるオーラ用頭部投影データ382bの対応するドットに設定されている色情報及び透過性情報が維持される。頭部用投影データ372bにおいて、「0」のα値が設定されているのは頭部用投影領域372cであるため、オーラ用頭部投影データ382bにおいて、頭部用投影領域372cに対応する領域が切り抜かれ、頭部オーラ用2次元データ392aが作成される。
【0664】
図46(e)は頭部オーラ用2次元データ392aを説明するための説明図である。切り抜き処理では、オーラ用頭部投影データ382bにおいて、オーラ用頭部投影領域382cの外縁部のみが切り抜かれずに残り、リング状の頭部オーラ領域392となる。当該頭部オーラ領域392には、赤色半透明の色情報及び透過性情報が設定されている。頭部オーラ用2次元データ392aにおいて、頭部オーラ領域392の内側は完全透過の透過性情報が設定されている内側領域392bである。また、頭部オーラ領域392の外側は完全透過の透過性情報が設定されている外側領域392cである。
【0665】
次に、頭部オーラ用ぼかし2次元データ412b(図46(f))が作成される処理について説明する。オーラ表示演出では、キャラクタ371の周囲に表示されるオーラが揺らぐ様子を表示するために、頭部オーラ用2次元データ392aにぼかし処理が行われて、頭部オーラ用ぼかし2次元データ412bが作成される。ぼかし処理は、縦スキャン処理(図41)と横スキャン処理(図42)と範囲設定処理(図43)と色情報等の移動処理(図44)とから成る。
【0666】
先ず頭部オーラ用2次元データ392aに対して、縦スキャン処理及び横スキャン処理が行われる。縦スキャン処理では縦1列に並んでいるドットについてのスキャンが行われるとともに、横スキャン処理では横1列に並んでいるドットについてのスキャンが行われる。
【0667】
ここで、スキャンでは、スキャンの対象となるドットの列に並んでいるドットから対象となるドットを決定して当該ドットに設定されているα値が「0」であるか否かについての判定が行われる。対象となるドットは順次更新される。ドットの更新は、「0」以外のα値が設定されているドットが現れるまで続けられる。「0」以外のα値が設定されているドットが現れた場合には、当該ドットの位置情報が記憶され、対象となる列が更新される。
【0668】
縦スキャン処理の前半部分では、頭部オーラ用2次元データ392aの上方から下方に向かってスキャンが行われる。また、縦スキャン処理の後半部分では、頭部オーラ用2次元データ392aの下方から上方に向かってスキャンが行われる。ここで、オーラ表示演出で行われる縦スキャン処理は、雲表示用演出で行われる縦スキャン処理(図41)と同様に、対象列をx軸の正の方向にずらしながら、500ドット間隔で行われる。縦スキャン処理の前半部分において頭部オーラ領域392の上側のエッジに位置する複数のドットの座標が500ドット間隔で記憶されるとともに、縦スキャン処理の後半部分において頭部オーラ領域392の下側のエッジに位置する複数のドットの座標が500ドット間隔で記憶される。
【0669】
横スキャン処理の前半部分では、頭部オーラ用2次元データ392aの左方から右方に向かってスキャンが行われる。また、横スキャン処理の後半部分では、頭部オーラ用2次元データ392aの右方から左方に向かってスキャンが行われる。ここで、オーラ表示演出で行われる横スキャン処理は、雲表示用演出で行われる横スキャン処理(図42)と同様に、対象列をy軸の正の方向にずらしながら、500ドット間隔で行われる。横スキャン処理の前半部分において頭部オーラ領域392の左側のエッジに位置する複数のドットの座標が500ドット間隔で記憶されるとともに、横スキャン処理の後半部分において頭部オーラ領域392の右側のエッジに位置する複数のドットの座標が500ドット間隔で記憶される。
【0670】
次に、頭部オーラ用2次元データ392aに対して行われる範囲設定処理について説明する。メモリモジュール133には、ぼかし処理を行う範囲であるぼかし範囲423(図46(e))を設定するためのぼかし範囲テーブルTB1(図32(e))が記憶されている。ぼかし範囲423の中心をぼかし中心423aとする。ぼかし範囲テーブルTB1には、ぼかし範囲423に含まれるドットの位置情報がぼかし中心423aの座標(x,y)との関係で設定されているため、中心ドットの位置情報として所定の座標を設定すると、当該所定の座標に位置するドットの周りにぼかし範囲423が設定される。
【0671】
範囲設定処理では、ぼかし範囲423に設定されている色情報及び透過性情報を移動する先の範囲として移動先範囲422が設定される。移動先範囲422は、ぼかし範囲423を設定するためのぼかし中心423aの座標とは異なる座標が中心ドットの座標として設定されることにより、ぼかし範囲423とは異なる範囲が設定され、当該範囲が移動先範囲422となる。
【0672】
具体的には、VDP135は、先ず縦スキャン処理の前半部分で記憶された複数の座標をぼかし中心423aの座標として設定することにより、頭部オーラ領域392の上側の外縁に沿って複数のぼかし範囲423を設定する。これら複数のぼかし範囲423によって第1ぼかし範囲群が構成される。
【0673】
次に、VDP135は、縦スキャン処理の前半部分で記憶された各座標において、そのy座標値から「200」を減算して元の座標よりも上方に位置する新たな座標を算出する。そして、当該新たな座標を中心ドットの座標に設定して、頭部オーラ用2次元データ392aに移動先範囲422を設定する。移動先範囲422は、ぼかし範囲423と1対1で対応する態様で、ぼかし範囲423の上方に、ぼかし範囲423と同じ数だけ設定される。これら複数の移動先範囲422によって第1移動先範囲群が構成される。
【0674】
次に、VDP135は、縦スキャン処理の後半部分で記憶された複数の座標をぼかし中心423aの座標として設定することにより、頭部オーラ領域392の下側の外縁に沿って複数のぼかし範囲423を設定する。これら複数のぼかし範囲423によって第2ぼかし範囲群が構成される。
【0675】
次に、VDP135は、縦スキャン処理の後半部分で記憶された各座標において、そのy座標値に「200」を加算して元の座標よりも下方に位置する新たな座標を算出する。そして、当該新たな座標を中心ドットの座標に設定して、頭部オーラ用2次元データ392aに移動先範囲422を設定する。移動先範囲422は、ぼかし範囲423と1対1で対応する態様で、ぼかし範囲423の下方に、ぼかし範囲423と同じ数だけ設定される。これら複数の移動先範囲422によって第2移動先範囲群が構成される。
【0676】
次に、VDP135は、横スキャン処理の前半部分で記憶された複数の座標をぼかし中心423aの座標として設定することにより、頭部オーラ領域392の左側の外縁に沿って複数のぼかし範囲423を設定する。これら複数のぼかし範囲423によって第3ぼかし範囲群が構成される。
【0677】
次に、VDP135は、横スキャン処理の前半部分で記憶された各座標において、そのx座標値から「200」を減算して元の座標よりも左方に位置する新たな座標を算出する。そして、当該新たな座標を中心ドットの座標に設定して、頭部オーラ用2次元データ392aに移動先範囲422を設定する。移動先範囲422は、ぼかし範囲423と1対1で対応する態様で、ぼかし範囲423の左方に、ぼかし範囲423と同じ数だけ設定される。これら複数の移動先範囲422によって第3移動先範囲群が構成される。
【0678】
次に、VDP135は、横スキャン処理の後半部分で記憶された複数の座標をぼかし中心423aの座標として設定することにより、頭部オーラ領域392の右側の外縁に沿って複数のぼかし範囲423を設定する。これら複数のぼかし範囲423によって第4ぼかし範囲群が構成される。
【0679】
次に、VDP135は、横スキャン処理の後半部分で記憶された各座標において、そのx座標値に「200」を加算して元の座標よりも右方に位置する新たな座標を算出する。そして、当該新たな座標を中心ドットの座標に設定して、頭部オーラ用2次元データ392aに移動先範囲422を設定する。移動先範囲422は、ぼかし範囲423と1対1で対応する態様で、ぼかし範囲423の右方に、ぼかし範囲423と同じ数だけ設定される。これら複数の移動先範囲422によって第4移動先範囲群が構成される。
【0680】
第1ぼかし範囲群~第4ぼかし範囲群の設定と、第1移動先範囲群~第4ぼかし範囲群の設定とにより、頭部オーラ領域392の外縁に沿って複数のぼかし範囲423が設定されるとともに、各ぼかし範囲423の外側に各ぼかし範囲423と1対1で対応する移動先範囲422が設定される。移動先範囲422は外側領域392cに位置する。
【0681】
次に、頭部オーラ用2次元データ392aに対して行われる色情報等の移動処理について説明する。色情報等の移動処理では、各ぼかし範囲423を構成するドットに設定されている色情報等が、当該ぼかし範囲423に対応する移動先範囲422を構成するドットに移動される。なお、色情報等には、色情報と透過性情報とが含まれる。
【0682】
具体的には、VDP135は、ぼかし範囲423を構成するドットに設定されている色情報及び透過性情報を記憶し、当該色情報及び透過性情報を対応する移動先範囲422を構成するドットに設定する。そして、ぼかし範囲423を構成するドットに完全透過の透過性情報を設定する。これにより、頭部オーラ領域392の外縁の一部領域の色情報及び透過性情報が外側領域392cに移動して、頭部オーラ用ぼかし2次元データ412bが作成される。
【0683】
図46(f)は、頭部オーラ用ぼかし2次元データ412bを説明するための説明図である。頭部オーラ用ぼかし2次元データ412bには、頭部オーラ領域392の外縁がぼやけた頭部372のオーラ412が存在する。頭部372のオーラ412はリング状であり、赤色半透明の色情報及び透過性情報が設定されている。頭部372のオーラ412の内側には、完全透明である内側領域412cが存在するとともに、頭部372のオーラ412の外側には、完全透明である外側領域412dが存在する。
【0684】
次に、オーラ付き頭部用2次元データ412a(図47(a))が作成される処理について説明する。オーラ付き頭部用2次元データ412aは、キャラクタ371の頭部372の画像に頭部372のオーラ412が付加された画像である。オーラ付き頭部用2次元データ412aは、頭部用投影データ372bに頭部用テクスチャが適用されて作成される頭部用2次元データと頭部オーラ用ぼかし2次元データ412bとが合成されることにより作成される。先ずVDP135は、別保存されている頭部用投影データ372bを読み出して、頭部用投影領域372cに頭部用テクスチャを適用するとともに、周辺領域372dに「0」のα値を設定することにより、頭部用2次元データを作成する。
【0685】
詳細には、頭部用オブジェクト372aの表面の各ドットには対応する頭部用テクスチャのUV座標が設定されている。また、頭部用オブジェクト372aのスクリーン領域PC12への投影は、頭部用投影領域372cの各ドットに投影された頭部用オブジェクト372aの表面のドット情報が把握できる態様で行われる。
【0686】
VDP135は、頭部用投影領域372cの各ドットに対応する頭部用オブジェクト372aの表面のドット情報を把握し、当該頭部用オブジェクト372aの表面のドットに対応するUV座標の座標値を把握する。そして、UV座標系内に存在する頭部用テクスチャの座標値に設定されている色情報を、頭部用投影領域372cの各ドットに設定する。これにより、頭部用テクスチャが頭部用投影データ372bに適用される。
【0687】
VDP135は、頭部用2次元データと頭部オーラ用ぼかし2次元データ412bとを合成することにより、オーラ付き頭部用2次元データ412aを作成する。具体的には、VDP135は、頭部用2次元データを基本データに設定するとともに、頭部オーラ用ぼかし2次元データ412bを優先データに設定して合成処理を実行する。合成処理は、基本データである頭部用2次元データを構成する各ドットに設定されている色情報を、対応する優先データである頭部オーラ用ぼかし2次元データ412bを構成する各ドットに設定されている色情報及び透過性情報に応じて変更することにより行われる。
【0688】
ここで、頭部オーラ用ぼかし2次元データ412bには、頭部372のオーラ412と、内側領域412cと、外側領域412dとが含まれる。頭部372のオーラ412において、ぼかし範囲423が設定された領域に含まれるドットには、「0」のα値が設定されているとともに、ぼかし範囲423が設定されなかった領域に含まれるドットには、「0」より大きく「1」未満であるα値が設定されている。また、内側領域412c及び外側領域412dに含まれるドットには、「0」のα値が設定されている。
【0689】
頭部オーラ用ぼかし2次元データ412bのドットに設定されているα値が「0」である場合には、対応する頭部用2次元データのドットに設定されている色情報が維持される。また、頭部オーラ用ぼかし2次元データ412bのドットに設定されているα値が「0」より大きく「1」未満である場合には、当該α値を用いて、頭部オーラ用ぼかし2次元データ412bのドットに設定されている色情報と、対応する頭部用2次元データのドットに設定されている色情報とがブレンドされ、得られた色情報が対応する頭部用2次元データのドットに設定される。
【0690】
頭部372のオーラ412において、ぼかし範囲423が設定されなかった領域には赤色半透明の色情報及び透過性情報が設定されており、そのα値は「0.3」である。この場合、赤色の色情報に「0.3」を掛けた値と、頭部用2次元データのドットに設定されている色情報に「0.7」を掛けた値との和が、頭部用2次元データのドットに設定される。
【0691】
図47(a)は、合成処理により作成されるオーラ付き頭部用2次元データ412aを説明するための説明図である。オーラ付き頭部用2次元データ412aには、キャラクタ371の頭部372が表示される。頭部372には、頭部用テクスチャの画像データが設定されている。そして、当該頭部372の外縁には、頭部372のオーラ412が設定されている。オーラ付き頭部用2次元データ412aにおいて、頭部372及び頭部372のオーラ412以外の周辺領域412eは完全透明である。
【0692】
キャラクタ371の頭部372を具体例として、オーラ付き頭部用2次元データ412aを作成する処理について上述した。オーラ表示演出では、頭部372だけでなく、キャラクタ371の各部372~377について、オーラ付き部分用2次元データ412a~417aが作成される。
【0693】
図47(b)は、オーラ付き右腕部用2次元データ413aを説明するための説明図である。オーラ付き右腕部用2次元データ413aには、キャラクタ371の右腕部373が表示される。右腕部373には、右腕部用テクスチャの画像データが設定されている。そして、当該右腕部373の外縁には、右腕部373のオーラ413が設定されている。オーラ付き右腕部用2次元データ413aにおいて、右腕部373又は右腕部373のオーラ413以外の周辺領域413bは完全透明である。
【0694】
図47(c)は、オーラ付き右手部用2次元データ414aを説明するための説明図である。オーラ付き右手部用2次元データ414aには、キャラクタ371の右手部374が表示される。右手部374には、右手部用テクスチャの画像データが設定されている。そして、当該右手部374の外縁には、右手部374のオーラ414が設定されている。オーラ付き右手部用2次元データ414aにおいて、右手部374又は右手部374のオーラ414以外の周辺領域414bは完全透明である。
【0695】
図47(d)は、オーラ付き胴部用2次元データ415aを説明するための説明図である。オーラ付き胴部用2次元データ415aには、キャラクタ371の胴部375が表示される。胴部375には、胴部用テクスチャの画像データが設定されている。そして、当該胴部375の外縁には、胴部375のオーラ415が設定されている。オーラ付き胴部用2次元データ415aにおいて、胴部375又は胴部375のオーラ415以外の周辺領域415bは完全透明である。
【0696】
図47(e)は、オーラ付き左脚部用2次元データ416aを説明するための説明図である。オーラ付き左脚部用2次元データ416aには、キャラクタ371の左脚部376が表示される。左脚部376には、左脚部用テクスチャの画像データが設定されている。そして、当該左脚部376の外縁には、左脚部376のオーラ416が設定されている。オーラ付き左脚部用2次元データ416aにおいて、左脚部376又は左脚部376のオーラ416以外の周辺領域416bは完全透明である。
【0697】
図47(f)は、オーラ付き右脚部用2次元データ417aを説明するための説明図である。オーラ付き右脚部用2次元データ417aには、キャラクタ371の右脚部377が表示される。右脚部377には、右脚部用テクスチャの画像データが設定されている。そして、当該右脚部377の外縁には、右脚部377のオーラ417が設定されている。オーラ付き右脚部用2次元データ417aにおいて、右脚部377又は右脚部377のオーラ417以外の周辺領域417bは完全透明である。
【0698】
図47(a)~(f)に示すように、6つのオーラ付き部分用2次元データ412a~417aは、図柄表示装置31の表示面Gのサイズと同じサイズであり、6つのオーラ付き部分用2次元データ412a~417aの横方向にはそれぞれ同じ数のドットが並んでいるとともに、6つのオーラ付き部分用2次元データ412a~417aの縦方向にもそれぞれ同じ数のドットが並んでいる。
【0699】
次に、オーラ付きキャラクタ用描画データ421aを作成する処理について説明する。VDP135は、個別に作成した6つのオーラ付き部分用2次元データ412a~417aを、スクリーン用バッファ144にあるオーラ表示演出の演出用のバッファに書き込むことにより、オーラ付きキャラクタ用描画データ421aを作成する。
【0700】
メモリモジュール133には、開始タイミングと、オーラ付きキャラクタ用描画データ421aが作成される更新タイミングとについて、6つのオーラ付き部分用2次元データ412a~417aを演出用のバッファに書き込む順番が設定されている書き込み用テーブルが記憶されている。表示CPU131は、開始タイミングにおいて、書き込み用テーブルを読み出す。また、表示CPU131は、開始タイミングと、オーラ付きキャラクタ用描画データ421aが作成される更新タイミングとにおいて、書き込み用テーブルに基づいて、6つのオーラ付き部分用2次元データ412a~417aを演出用のバッファに書き込む順番を把握して、描画リストに設定する。VDP135は、描画リストを参照して書き込みの順番を把握し、当該順番のとおりに6つのオーラ付き部分用2次元データ412a~417aを演出用のバッファに書き込む。
【0701】
具体的には、VDP135は、最初に最も奥側の2次元データとして、オーラ付き左脚部用2次元データ416aを書き込む。その後、オーラ付き頭部用2次元データ412a→オーラ付き胴部用2次元データ415a→オーラ付き右腕部用2次元データ413a→オーラ付き右手部用2次元データ414aの順序で2次元データを書き込む。そして、オーラ付き右脚部用2次元データ417aを最も手前側の2次元データとして書き込み、オーラ付きキャラクタ用描画データ421aを作成する。
【0702】
この際、描画の実行対象となったピクセルに完全透過のα値が設定されている場合には奥側の画像をそのまま利用し、半透過のα値が設定されている場合にはα値を基準とした比率での奥側の画像の色情報と手前側の画像の色情報とのブレンドを行い、不透過のα値が設定されている場合には奥側の画像の色情報に対して手前側の画像の色情報を上書きする。
【0703】
これにより、キャラクタ371の各部372~377の周囲にオーラ412~417が表示される。オーラ付きキャラクタ用描画データ421aを用いることにより、胴部375に重なっている右腕部373及び右手部374の周囲にもオーラ413,414を表示することができる。また、左脚部376に重なっている右脚部377の周囲にもオーラ417を表示することができる。オーラ412~417は、オーラ412~417よりも手前に存在するキャラクタ371の部位372~377の上には表示されないため、キャラクタ371を構成する各部372~377の前後関係が反映された自然なオーラ412~417を表示することができる。
【0704】
VDP135は、描画処理(図13)のステップS710における演出及び図柄用の描画データ作成処理にて、演出及び図柄用の描画データを作成する。演出用の描画データとして、オーラ付きキャラクタ用描画データ421aとポイント用描画データとが作成される更新タイミングについて、以下に説明する。なお、各描画データの外形は同じであるとともに、各描画データを構成するピクセルの数も同じである。また、ポイント用描画データにおいて、ポイントを表示するための色情報が設定されているピクセルには「0」以外のα値が設定されているとともに、それ以外のピクセルには「0」のα値が設定されている。
【0705】
VDP135は、個別に作成したオーラ付きキャラクタ用描画データ421aとポイント用描画データと図柄表示用の描画データとを、オーラ付きキャラクタ用描画データ421aが最も奥側に並ぶとともに、図柄表示用の描画データが最も手前側に並び、ポイント用描画データが当該2つの描画データの間に並ぶ態様で、3つの描画データをスクリーン用バッファ144に書き込むことにより、演出及び図柄用の描画データを作成する。
【0706】
また、VDP135は、描画処理(図13)のステップS711における描画データ合成処理にて、個別にスクリーン用バッファ144に書き込まれている背景用の描画データと演出及び図柄用の描画データとを、背景用の描画データが奥側に並ぶとともに、演出及び図柄用の描画データが手前側に並ぶ態様で描画対象のフレーム領域142a,142bに対して書き込むことにより、1フレーム分の描画データを作成する。なお、各描画データの外形は同じであるとともに、各描画データを構成するピクセルの数も同じである。
【0707】
演出及び図柄用の描画データを作成する場合と、1フレーム分の描画データを作成する場合とにおいて、描画の実行対象となったピクセルに完全透過のα値が設定されている場合には奥側の画像の色情報をそのまま利用し、半透過のα値が設定されている場合にはα値を基準とした比率での奥側の画像の色情報と手前側の画像の色情報とのブレンドを行い、不透過のα値が設定されている場合には奥側の画像の色情報に対する手前側の画像の色情報の上書きを行う。これにより、背景用の画像の手前側であるとともに、図柄用の画像の奥側である位置に、演出用の画像が表示される。当該演出用の画像として、オーラ付きキャラクタ421とポイントを表示するための画像とが表示される。
【0708】
なお、ポイントの表示が行われず、演出用の描画データがオーラ付きキャラクタ用描画データ421aのみの更新タイミングにおいては、VDP135は、スクリーン用バッファ144に対して、オーラ付きキャラクタ用描画データ421aを奥側の描画データとして書き込むとともに、図柄用の描画データを手前側の描画データとして書き込むことにより、演出及び図柄用の描画データを作成する。
【0709】
以下、キャラクタ371の外縁にオーラ412~417を表示するための具体的な処理構成を説明する。図48は表示CPU131にて実行されるオーラ表示演出用の演算処理を示すフローチャートである。オーラ表示演出用の演算処理は、オーラ表示演出が実行される遊技回に対応したデータテーブルが設定されている場合に起動される。
【0710】
先ずステップS2601では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、オーラ表示演出の実行中であるか否かについて判定する。オーラ表示演出の実行中ではない場合(ステップS2601:NO)には、ステップS2602にて、オーラ表示演出の開始タイミングであるか否かについて判定する。開始タイミングではない場合(ステップS2602:NO)には、そのまま本演算処理を終了し、開始タイミングである場合(ステップS2602:YES)にはステップS2603に進む。
【0711】
ステップS2603では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、キャラクタ用パラメータテーブルを読み出し、ステップS2604では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、書き込み用テーブルを読み出す。続くステップS2605では、オーラ表示演出用の各種データの把握処理を行う。ここで、オーラ表示演出用の各種データの把握処理について、図49のフローチャートを参照しながら説明する。図49は表示CPU131にて実行されるオーラ表示演出用の各種データの把握処理を示すフローチャートである。
【0712】
先ずステップS2701では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、キャラクタ371の各部372~377を表示するためのキャラクタ用オブジェクトの使用指示情報を記憶し、ステップS2702では、既に読み出されているキャラクタ用パラメータテーブルを参照してキャラクタ用オブジェクトのパラメータを把握する。
【0713】
ステップS2703では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、部分用オーラオブジェクトの使用指示情報を記憶し、ステップS2704では、部分用オーラオブジェクトのパラメータを把握する。
【0714】
ステップS2705では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、オーラ表示用の色情報及び透過性情報として赤色半透明の色情報及び透過性情報を把握し、ステップS2706では、部分用テクスチャの使用指示情報を記憶する。続くステップS2707では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、ぼかし範囲テーブルTB1の使用指示情報を記憶し、ステップS2708では、既に読み出されている書き込み用テーブルに基づいて、6つのオーラ付き部分用2次元データ412a~417aを演出用のバッファに書き込む順番を把握する。そして、ステップS2709にて、各種指示情報を記憶して、本把握処理を終了する。ここで、各種指示情報には、VDP135に切り抜き処理を行うことを指示するための切り抜き指示情報と、VDP135にぼかし処理を行うことを指示するためのぼかし指示情報とが含まれる。
【0715】
オーラ表示演出用の演算処理(図48)の説明に戻り、ステップS2605にてオーラ表示演出用の各種データの把握処理を実行した後、ステップS2606にて開始指定情報を記憶して、本演算処理を終了する。
【0716】
上記のようにオーラ表示演出用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、キャラクタ用オブジェクト、部分用オーラオブジェクト、部分用テクスチャ及びぼかし範囲テーブルTB1の使用指示情報が設定されるとともに、開始指定情報が設定される。また、描画リストには、キャラクタ用オブジェクトをワールド座標系内に設定するためのパラメータと、部分用オーラオブジェクトをワールド座標系内に設定するためのパラメータと、6つのオーラ付き部分用2次元データ412a~417aを演出用のバッファに書き込む順番とが設定される。さらに、描画リストには、オーラ表示用の色情報及び透過性情報も設定される。
【0717】
オーラ表示演出の実行中であった場合(ステップS2601:YES)には、ステップS2607にて、キャラクタ用オブジェクトのパラメータ又は視点PC11のパラメータの変更タイミングであるか否かについて判定する。当該判定は、既に読み出されているキャラクタ用パラメータテーブルに基づいて行われる。キャラクタ用オブジェクトのパラメータ又は視点PC11のパラメータの変更タイミングでない場合(ステップS2607:NO)には、ステップS2608にて、別保存されているオーラ付きキャラクタ用描画データ421aの使用指示情報を記憶し、ステップS2609にて更新指定情報を記憶して本演算処理を終了する。キャラクタ用オブジェクトのパラメータ又は視点PC11のパラメータが変更されないタイミングにおいては、既に作成されて別保存されているキャラクタ用描画データ371a又はオーラ付きキャラクタ用描画データ421aを利用することにより、処理負荷を軽減することができる。
【0718】
上記のようにオーラ表示演出用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、別保存されているキャラクタ用描画データ371a又はオーラ付きキャラクタ用描画データ421aの使用指示情報が設定されるとともに、更新指定情報が設定される。
【0719】
キャラクタ用オブジェクトのパラメータ又は視点PC11のパラメータの変更タイミングであった場合(ステップS2607:YES)には、ステップS2610にて、現状設定されているデータテーブルを参照して、オーラ412~417の表示を行う更新タイミングであるか否かについて判定する。オーラ412~417の表示を行う更新タイミングである場合(ステップS2610:YES)には、ステップS2611にてオーラ表示演出用の各種データの把握処理(図49)を実行し、ステップS2612にて更新指定情報を記憶して本演算処理を終了する。
【0720】
上記のようにオーラ表示演出用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、キャラクタ用オブジェクト、部分用オーラオブジェクト、部分用テクスチャ及びぼかし範囲テーブルTB1の使用指示情報が設定されるとともに、更新指定情報が設定される。また、描画リストには、キャラクタ用オブジェクトをワールド座標系内に設定するためのパラメータと、部分用オーラオブジェクトをワールド座標系内に設定するためのパラメータと、6つのオーラ付き部分用2次元データ412a~417aを演出用のバッファに書き込む順番とが設定される。さらに、描画リストには、オーラ表示用の色情報及び透過性情報も設定される。
【0721】
オーラ412~417の表示を行う更新タイミングでない場合(ステップS2610:NO)には、ステップS2613にてキャラクタ用データの把握処理を行う。当該把握処理では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、キャラクタ371の各部372~377を表示するためのキャラクタ用オブジェクトの使用指示情報を記憶するとともに、既に読み出されているキャラクタ用パラメータテーブルを参照してキャラクタ用オブジェクトのパラメータを把握する。また、現状設定されているデータテーブルに基づいて、部分用テクスチャの使用指示情報を記憶する。
【0722】
ステップS2613にてキャラクタ用データの把握処理を行った後、ステップS2614にて、VDP135にキャラクタ用描画データ371aを作成させるためのキャラクタ使用指示情報を記憶し、ステップS2615にて更新指定情報を記憶して本演算処理を終了する。
【0723】
上記のようにオーラ表示演出用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、キャラクタ用オブジェクトの使用指示情報が設定されるとともに、更新指定情報が設定される。また、描画リストには、キャラクタ用オブジェクトをワールド座標系内に設定するためのパラメータと、キャラクタ使用指示情報も設定される。
【0724】
次に、VDP135にて実行されるオーラ付きキャラクタ用描画データの作成処理について、図50を参照しながら説明する。オーラ付きキャラクタ用描画データの作成処理は、描画処理(図13)のステップS703における演出用の設定処理にて実行される。また、オーラ付きキャラクタ用描画データの作成処理は、描画リストにオーラ表示演出の開始指定情報又は更新指定情報が設定されている場合に起動される。
【0725】
先ずステップS2801では、今回の描画リストを参照し、別保存されているオーラ付きキャラクタ用描画データ421aの使用指示情報が設定されているか否かについて判定する。別保存されているオーラ付きキャラクタ用描画データ421aの使用指示情報が設定されていない場合(ステップS2801:NO)には、ステップS2802にて、今回の描画リストを参照し、キャラクタ使用指示情報が設定されているか否かについて判定する。キャラクタ使用指示情報が設定されている場合(ステップS2802:YES)には、ステップS2803にて、キャラクタ用描画データの作成処理を実行する。
【0726】
キャラクタ用描画データの作成処理では、今回の描画リストを参照して、メモリモジュール133において、キャラクタ371の各部372~377を表示するための6つのキャラクタ用オブジェクトが記憶されているアドレスを把握して読み出す。また、今回の描画リストを参照して、当該6つのキャラクタ用オブジェクトをワールド座標系に設定するための6つのパラメータを把握する。そして、把握したパラメータに基づいて、6つのキャラクタ用オブジェクトをワールド座標系に設定する。
【0727】
その後、ワールド座標系に設定されている6つのパラメータをスクリーン領域PC12に投影して、キャラクタ用オブジェクトの投影データを作成する。また、今回の描画リストを参照して、メモリモジュール133において、キャラクタ371の各部372~377の表面の画像データである6つの部分用テクスチャが記憶されているアドレスを把握して読み出す。そして、キャラクタ用オブジェクトの投影領域に6つの部分用テクスチャを適用することにより、キャラクタ用描画データ371aを作成する。
【0728】
詳細には、ワールド座標系に設定されている6つのキャラクタ用オブジェクトのスクリーン領域PC12への投影は、投影データの各ドットに投影されたキャラクタ用オブジェクトの表面のドット情報が把握できる態様で行われる。VDP135は、キャラクタ用オブジェクトの投影データにおける各ドットに対応するキャラクタ用オブジェクトの表面のドット情報を把握し、キャラクタ用オブジェクトの表面のドットに対応するUV座標系の座標値を把握する。そして、UV座標系に設定されている部分用テクスチャの座標値に設定されている色情報を、投影データの各ドットに設定する。これにより、部分用テクスチャがキャラクタ用オブジェクトの投影データに適用される。
【0729】
今回の描画リストにキャラクタ使用指示情報が設定されていなかった場合(ステップS2802:NO)には、ステップS2804にて、オーラ付き頭部用2次元データの作成処理を実行する。ここで、オーラ付き頭部用2次元データの作成処理について説明する。
【0730】
VDP135は、先ず切り抜き用頭部投影データを作成する処理を実行する。切り抜き用頭部投影データを作成する処理では、頭部用オブジェクト372aをワールド座標系に設定し、スクリーン領域PC12に投影して頭部用投影データ372bを作成するとともに、作成した頭部用投影データ372bを別保存する。その後、頭部用投影データ372bの頭部用投影領域372cを構成する全てのドットに「0」のα値を設定するとともに、頭部用投影データ372bの周辺領域372dを構成する全てのドットに「1」のα値を設定して切り抜き用頭部投影データを作成する。
【0731】
次に、オーラ用頭部投影データを作成する処理を実行する。オーラ用頭部投影データを作成する処理では、頭部用オーラオブジェクト382aをワールド座標系に設定し、スクリーン領域PC12に投影してオーラ用頭部投影データ382bを作成する。その後、オーラ用頭部投影データ382bのオーラ用頭部投影領域382cを構成する全てのドットにオーラ表示用の色情報及び透過性情報を設定するとともに、オーラ用頭部投影データ382bの周辺領域382dを構成する全てのドットに「0」のα値を設定する。
【0732】
VDP135は、次に、オーラ用頭部投影データを切り抜き対象データに設定するとともに、切り抜き用頭部投影データを切り抜き用データに設定して、切り抜き処理(図40)を実行する。当該切り抜き処理では、オーラ用頭部投影データにおいて、切り抜き用頭部投影領域に対応する領域が切り抜かれ、頭部オーラ用2次元データ392aが作成される。
【0733】
次に、作成した頭部オーラ用2次元データ392aに対して縦スキャン処理(図41)を実行する。当該縦スキャン処理の前半部分において、頭部オーラ領域392の上側のエッジに存在する複数のドットの位置情報が記憶されるとともに、当該縦スキャン処理の後半部分において、頭部オーラ領域392の下側のエッジに存在する複数のドットの位置情報が記憶される。
【0734】
続いて、同じ頭部オーラ用2次元データ392aに対して横スキャン処理(図42)を実行する。当該横スキャン処理の前半部分において、頭部オーラ領域392の左側のエッジに存在する複数のドットの位置情報が記憶されるとともに、当該横スキャン処理の後半部分において、頭部オーラ領域392の右側のエッジに存在する複数のドットの位置情報が記憶される。
【0735】
次に、メモリモジュール133からぼかし範囲テーブルTB1を読み出し、当該ぼかし範囲テーブルTB1に基づいて、頭部オーラ用2次元データ392aに対して範囲設定処理(図43)を実行する。当該範囲設定処理では、頭部オーラ領域392の外縁に複数のぼかし範囲423が設定されるとともに、外側領域392cにぼかし範囲423に対応する複数の移動先範囲422が設定される。
【0736】
詳細には、頭部オーラ領域392の上側のエッジ付近に第1ぼかし範囲群が設定されるとともに、当該第1ぼかし範囲群の上方に第1移動先範囲群が設定される。また、頭部オーラ領域392の下側のエッジ付近に第2ぼかし範囲群が設定されるとともに、当該第2ぼかし範囲群の下方に第2移動先範囲群が設定される。さらに、頭部オーラ領域392の左側のエッジ付近に第3ぼかし範囲群が設定されるとともに、当該第3ぼかし範囲群の左方に第3移動先範囲群が設定される。そして、頭部オーラ領域392の右側のエッジ付近に第4ぼかし範囲群が設定されるとともに、当該第4ぼかし範囲群の右方に第4移動先範囲群が設定される。
【0737】
次に、色情報等の移動処理(図44)を実行する。当該移動処理では、ぼかし範囲423の各ドットに設定されている色情報及び透過性情報が移動先範囲422の対応するドットに設定された後、ぼかし範囲423の各ドットに完全透過の透過性情報が設定される。これにより、頭部オーラ用2次元データ392aの頭部オーラ領域392がぼやけ、頭部オーラ用ぼかし2次元データ412bが作成される。
【0738】
次に、別保存されている頭部用投影データ372bを読み出し、頭部用投影領域372cに頭部用テクスチャを適用するためのUVマッピングを行う。そして、頭部用投影データ372bの周辺領域に「0」のα値を設定して、頭部用2次元データを作成する。
【0739】
次に、頭部用2次元データを基本データに設定し、頭部オーラ用ぼかし2次元データ412bを優先データに設定し、基本データに設定されている頭部用2次元データと優先データに設定されている頭部オーラ用ぼかし2次元データ412bとを合成する合成処理を実行して、本作成処理を終了する。
【0740】
合成処理は、優先データの各ドットに設定されている色情報及び透過性情報に応じて基本データの対応するドットに設定されている色情報及び透過性情報を変更する態様で行われる。優先データのドットに設定されているα値が「1」である場合には、当該ドットに設定されている色情報及び透過性情報が基本データの対応するドットに設定される。また、優先データのドットに設定されているα値が「0」である場合には、基本データの対応するドットに設定されている色情報及び透過性情報が維持される。
【0741】
優先データのドットに設定されているα値が「0」より大きくて「1」未満である場合には、当該α値を用いて優先データのドットに設定されている色情報と基本データの対応するドットに設定されている色情報とがブレンドされ、得られた色情報が基本データの対応するドットに設定される。頭部用2次元データと頭部オーラ用ぼかし2次元データ412bとを合成することにより、オーラ付き頭部用2次元データ412aが作成される。
【0742】
オーラ付きキャラクタ用描画データの作成処理(図50)の説明に戻り、ステップS2804にてオーラ付き頭部用2次元データの作成処理を行った後、ステップS2805~ステップS2809にて残りの5つのオーラ付き部分用2次元データ412a~417aを作成する処理を実行する。ステップS2805では、オーラ付き右腕部用2次元データ413aを作成する処理を行い、ステップS2806では、オーラ付き右手部用2次元データ414aを作成する処理を行う。
【0743】
ステップS2807では、オーラ付き胴部用2次元データ415aを作成する処理を行い、ステップS2808では、オーラ付き左脚部用2次元データ416aを作成する処理を行う。また、ステップS2809では、オーラ付き右脚部用2次元データ417aを作成する処理を行い、ステップS2810にて、今回の描画リストを参照して、6つのオーラ付き部分用2次元データ412a~417aをスクリーン用バッファ144にあるオーラ表示演出の演出用のバッファに書き込む順番を把握する。そして、ステップS2811にて、6つのオーラ付き部分用2次元データ412a~417aをスクリーン用バッファ144にあるオーラ表示演出の演出用のバッファに書き込むことにより、オーラ付きキャラクタ用描画データ421aを作成する。
【0744】
オーラ付きキャラクタ用描画データの作成処理では、視点PC11からの距離が遠い部位372~377に関するオーラ付き部分用2次元データ412a~417aが奥側に設定されるとともに、視点PC11からの距離が近い部位372~377に関するオーラ付き部分用2次元データ412a~417aが手前側に設定される態様で、6つのオーラ付き部分用2次元データ412a~417aが書き込まれる。この際、描画の実行対象となったピクセルに完全透過のα値が設定されている場合には奥側の画像の色情報をそのまま利用し、半透過のα値が設定されている場合にはα値を基準とした比率での奥側の画像の色情報と手前側の画像の色情報とのブレンドを行い、不透過のα値が設定されている場合には奥側の画像の色情報に対して手前側の画像の色情報を上書きする。これにより、キャラクタ371を構成する各部372~377の前後関係が反映された自然なオーラ412~417を表示することができる。
【0745】
ステップS2803又はステップS2811の処理を実行した後、ステップS2812にて、作成した描画データを別保存して、本作成処理を終了する。詳細には、ステップS2803にてキャラクタ用描画データ371aを作成した場合には、スクリーン用バッファ144にあるオーラ表示演出の演出用のバッファに当該キャラクタ用描画データ371aを別保存する。また、ステップS2811にてオーラ付きキャラクタ用描画データ421aを作成した場合には、スクリーン用バッファ144にあるオーラ表示演出の演出用のバッファに当該オーラ付きキャラクタ用描画データ421aを別保存する。
【0746】
今回の描画リストに別保存データの使用指示情報が設定されている場合(ステップS2801)には、ステップS2813にて、スクリーン用バッファ144にあるオーラ表示演出の演出用のバッファに別保存されているキャラクタ用描画データ371a又はオーラ付きキャラクタ用描画データ421aを読み出して、本作成処理を終了する。
【0747】
キャラクタ用オブジェクトのパラメータの変更が行われない更新タイミングであるとともに、視点PC11のパラメータの変更が行われない更新タイミングである場合に、オーラ付きキャラクタ用描画データ421aを作成する処理を行わずに、別保存されているオーラ付きキャラクタ用描画データ421aを読み出す構成とすることにより、全ての更新タイミングにおいて、オーラ付きキャラクタ用描画データ421aを作成する処理を実行する場合と比較して、オーラ表示演出を実行する処理負荷を軽減することができる。
【0748】
以上のとおり、オーラ用頭部投影データ382bにおいて、切り抜き用頭部投影領域に対応する領域を切り抜くことにより、頭部オーラ用2次元データ392aを作成することができる。ワールド座標系における頭部用オブジェクト372aのパラメータが変化する更新タイミング及び視点PC11のパラメータが変化する更新タイミングにおいては、
切り抜き用頭部投影データにおける切り抜き用頭部投影領域の位置が変化するが、オーラ用頭部投影データ382bにおけるオーラ用頭部投影領域の位置も同様に変化するため、全てのタイミングにおいて、オーラ用頭部投影領域382cの外縁部のみから成る頭部オーラ用2次元データ392aを作成することができる。ワールド座標系における頭部用オブジェクト372aと視点PC11との全ての関係に対応させて頭部オーラ用2次元データ392aを予め記憶する場合と比較して、メモリモジュール133に記憶する2次元データのデータ容量を削減することができる。
【0749】
頭部用2次元データを基本データに設定するとともに、頭部オーラ用ぼかし2次元データ412bを優先データに設定して合成処理を行うことにより、オーラ付き頭部用2次元データ412aを作成する。頭部用2次元データと頭部オーラ用ぼかし2次元データ412bとを個別に作成するため、オーラ412~417の色情報及び透過性情報をキャラクタ371の色情報及び透過性情報とは切り離して、独立した態様で設定することができる。
【0750】
視点PC11に対して遠くに位置する部位372~377に対応するオーラ付き部分用2次元データ412a~417aを奥側に配置するとともに、視点PC11に対して近くに位置する部位372~377に対応するオーラ付き部分用2次元データ412a~417aを手前側に配置する態様で、6つのオーラ付き部分用2次元データ412a~417aをスクリーン用バッファ144にあるオーラ表示演出の演出用のバッファに書き込むことにより、オーラ付きキャラクタ用描画データ421aを作成する。これにより、重なり部分の前後関係を反映させた表示を行うことができる。また、重なり部分のうち、最前面に位置する部位372~377の外縁部にもオーラ412~417を表示することができる。重なり部分にはオーラ412~417を表示しない態様と比較して、整合性のとれたオーラ表示演出を行うことができるため、遊技者の興味を好適に高めることができる。
【0751】
オーラ付きキャラクタ用描画データ421aを別保存し、キャラクタ用オブジェクトのパラメータが変更されない更新タイミングであるとともに、視点PC11のパラメータが変更されない更新タイミングである場合には、別保存されているオーラ付きキャラクタ用描画データ421aを使用することにより、全ての更新タイミングにおいてオーラ付きキャラクタ用描画データ421aを作成する構成と比較して、オーラ表示演出を行うための処理負荷を抑制することができる。
【0752】
頭部用投影データ372bを別保存することにより、1つの投影データから、切り抜き用頭部投影データと頭部用2次元データとを作成することができる。切り抜き用頭部投影データを作成するための投影と、頭部用2次元データを作成するための投影とを個別に行う場合と比較して、頭部用オブジェクト372aをスクリーン領域PC12に投影する回数を減らし、処理負荷を軽減することができる。
【0753】
頭部オーラ用2次元データ392aにぼかし処理を行って頭部オーラ用ぼかし2次元データ412bを作成することにより、単純な形状の頭部オーラ領域392を複雑な形状に変更することができ、頭部372のオーラ412の揺らぎを表示することができる。頭部オーラ領域392のみに選択的にぼかし処理を実行することができるため、鮮明な頭部372の画像とぼやけたオーラ412の画像との組合せを表示することができる。
【0754】
<オーラ表示演出の別形態>
上述したオーラ表示演出を実行するための構成において、キャラクタ371の周囲に表示するオーラ412~417は、ぼかし処理が行われたオーラ412~417に限られない。例えば、頭部用2次元データを基本データに設定するとともに、頭部オーラ用2次元データ392aを優先データに設定して合成処理を実行することにより、キャラクタ371の頭部372の周囲にオーラを表示してもよい。この場合には、キャラクタ371の頭部372の周囲に単純な形状のオーラが表示される。また、頭部オーラ領域392の透過性情報を半透過から不透過に変更することにより、キャラクタ371の頭部372の周囲に幅をもった外形線を表示することができる。
【0755】
また、オーラ付き頭部用2次元データ412aを作成するための処理は、切り抜き処理を含むオーラ付き頭部用2次元データの作成処理に限られない。例えば、オーラ用頭部投影データ382bのオーラ用頭部投影領域382cに対してぼかし処理を実行して、オーラ用頭部投影領域382cの外縁がぼやけた2次元データを作成する。作成した2次元データを切り抜き対象基本データに設定するとともに、頭部用2次元データを優先データに設定して合成処理を実行する。これにより、頭部372の周囲にオーラ412が表示されているオーラ付き頭部用2次元データ412aを作成することができる。切り抜き処理を含むオーラ付き頭部用2次元データの作成処理よりも短い処理であるため、オーラ付き頭部用2次元データ412aを作成するための処理負荷を軽減することができる。
【0756】
また、頭部オーラ用2次元データ392aを作成する方法は、頭部用投影データ372bとオーラ用頭部投影データ382bとを個別に作成する方法に限られない。例えば、ワールド座標系において、視点PC11を基準として、頭部用オブジェクト372aを手前側に設定するとともに、頭部用オーラオブジェクト382aを奥側に設定し、頭部用オブジェクト372aと頭部用オーラオブジェクト382aとを同時にスクリーン領域PC12に投影する構成としてもよい。
【0757】
当該投影により得られる投影データにおいて、オーラ用頭部投影領域382cに含まれるとともに、頭部用投影領域372cに含まれない領域を構成する全てのドットにオーラ表示用の色情報及び透過性情報を設定する。また、頭部用投影領域372cを構成する全てのドットに完全透過の透過性情報を設定する。切り抜き処理を行わない短い処理によって頭部オーラ用2次元データ392aを作成することができるため、頭部オーラ用2次元データ392aを作成するための処理負荷を軽減することができる。
【0758】
また、ぼかし処理を実行するタイミングは、頭部用2次元データと頭部オーラ用ぼかし2次元データ412bとを合成する処理の前には限られない。例えば、頭部用2次元データを基本データに設定するとともに、頭部オーラ用2次元データ392aを優先データに設定して、合成処理を実行することにより、頭部用テクスチャが適用されている頭部用投影領域372cの周囲にぼかし処理が施されていないオーラ412が存在する2次元データを作成してもよい。当該2次元データに対して、ぼかし処理を実行することにより、オーラ付き頭部用2次元データ412aを作成することができる。ぼかし処理において、ぼかし中心423aは、ぼかし処理が実行されていないオーラ412の外側のエッジに位置するため、頭部用テクスチャが適用されている頭部用投影領域372cの内容を変えずに、ぼかし処理が実行されていないオーラ412のみを選択的にぼかして表示することができる。
【0759】
また、6つのオーラ付き部分用2次元データ412a~417aを作成するタイミングはキャラクタ用オブジェクトのパラメータが変更される更新タイミング及び視点PC11のパラメータが変更される更新タイミングに限られない。例えば、6つのオーラ付き部分用2次元データ412a~417aを個別に別保存し、6つのキャラクタ用オブジェクトの一部についてパラメータが変更される更新タイミングにおいては、一部のオーラ付き部分用2次元データ412a~417aのみを作成する構成としてもよい。
【0760】
パラメータが変更されるキャラクタ用オブジェクトについてはオーラ付き部分用2次元データ412a~417aを作成し、パラメータが変更されないキャラクタ用オブジェクトについては別保存されているオーラ付き部分用2次元データ412a~417aを読み出して使用する構成とする。これにより、全てのオーラ付き部分用2次元データ412a~417aを作成する場合と比較して、オーラ表示演出を行うための処理負荷を軽減することができる。
【0761】
また、6つのオーラ付き部分用2次元データ412a~417aのサイズは、図柄表示装置31における表示面Gのサイズと同じサイズに限られない。例えば、6つのオーラ付き部分用2次元データ412a~417aのサイズが図柄表示装置31の表示面Gのサイズよりも小さいサイズであってもよい。
【0762】
具体的には、6つのオーラ付き部分用2次元データ412a~417aを順番に書き込んでオーラ付きキャラクタ用描画データ421aを作成する際の、書き込み先のエリアのサイズが図柄表示装置31の表示面Gと同じサイズである構成とする。また、書き込み用テーブルには、オーラ付き部分用2次元データ412a~417aを書き込むための順番が設定されているとともに、各オーラ付き部分用2次元データ412a~417aを書き込むための位置情報が設定されている構成とする。
【0763】
詳細には、各オーラ付き部分用2次元データ412a~417aには、基準となる1つのドットが設定されている。具体的には、各オーラ付き部分用2次元データ412a~417aの中央に位置する1つのドットが基準ドットである。また、書き込み先のエリアはXY座標系に存在する。そして、書き込み用テーブルには、書き込み先のエリアにおける各オーラ付き部分用2次元データ412a~417aの基準ドットの座標が設定されている。
【0764】
表示CPU131は、描画リストに各オーラ付き部分用2次元データ412a~417aの基準ドットの座標と、書き込みの順番とを設定する。VDP135は、描画リストを参照し、書き込みの順番及び基準ドットの座標に基づいて、各オーラ付き部分用2次元データ412a~417aを書き込み先のエリアに書き込む。これにより、図柄表示装置31の表示面Gよりも小さいサイズのオーラ付き部分用2次元データ412a~417aを利用して、図柄表示装置31の表示面Gと同じサイズのオーラ付きキャラクタ用描画データ421aを作成することができる。図柄表示装置31の表示面Gと同じサイズのオーラ付き部分用2次元データ412a~417aを利用する場合と比較して、扱うデータ量を抑え、処理負荷を軽減することができる。
【0765】
また、オーラ表示演出の演出用の描画データであって、オーラ付きキャラクタ用描画データ421a以外の描画データのサイズは、図柄表示装置31の表示面Gと同じサイズに限られない。例えば、オーラ付き部分用2次元データ412a~417aとオーラ付きキャラクタ用描画データ421a以外の描画データとを、図柄表示装置31の表示面Gと同じサイズのエリアに書き込むことで、演出用の描画データを作成する構成としてもよい。
【0766】
書き込み用テーブルに、オーラ付き部分用2次元データ412a~417aとオーラ付きキャラクタ用描画データ421a以外の描画データとのそれぞれについて、書き込みを行う順番と書き込むための位置情報とが設定されている構成とする。オーラ付きキャラクタ用描画データ421a以外の演出用の描画データのサイズを小さくすることにより、扱うデータ量を抑え、処理負荷を軽減することができる。
【0767】
<第2の実施形態>
図51は、本実施形態における表示制御装置630の電気的構成を示すブロック図である。本実施形態では、上記第1の実施形態と同様に主制御装置50を備えている。また、主制御装置50から送信されるコマンドに基づいて各種発光部35,36,44やスピーカ部45を駆動制御するとともに演出用操作装置48からの操作信号を受ける音声発光制御装置60が設けられており、さらに当該音声発光制御装置60から送信されるコマンドに基づいて図柄表示装置31を制御する表示制御装置630が設けられている。
【0768】
本実施形態では、表示制御装置630のハード構成が、上記第1の実施形態における表示制御装置130とは異なっている。以下、表示制御装置630のハード構成について説明する。
【0769】
表示制御装置630は、図51に示すように、表示CPU631と、ワークRAM632と、メモリモジュール633と、VRAM634と、ビデオディスプレイプロセッサ(VDP)635と、が搭載された表示制御基板636を備えている。
【0770】
表示CPU631は、表示制御装置630においてメイン制御部としての機能を有しており、制御プログラム等の読み出し(フェッチ)、解釈(デコード)及び実行を行う。詳細には、表示CPU631は表示制御基板636に搭載された入力ポート637に対してバスを介して接続されており、音声発光制御装置60から送信された各種コマンドは入力ポート637を通じて表示CPU631に入力される。なお、表示CPU631において音声発光制御装置60からコマンドを受信するとは、音声発光制御装置60からコマンドを直接受信する構成に限定されることはなく、中継基板に中継されたコマンドを受信する構成も含まれる。
【0771】
表示CPU631は、バスを介してワークRAM632、メモリモジュール633及びVRAM634と接続されており、音声発光制御装置60から受信したコマンドに基づいて、メモリモジュール633に記憶された各種データをワークRAM632やVRAM634に転送させる転送指示を行う。また、表示CPU631は、バスを介してVDP635と接続されており、音声発光制御装置60から受信したコマンドに基づいて、図柄表示装置31に画像信号を出力させる描画指示を行う。以下、メモリモジュール633、ワークRAM632及びVRAM634について説明する。
【0772】
メモリモジュール633は、制御プログラム及び固定値データを含む制御用データ(制御用情報)を予め記憶しているとともに、図柄表示装置31に表示される図柄やキャラクタなどのスプライトデータ、背景データ、及び動画像データなどを含む各種画像データ(画像用情報)を予め記憶している記憶手段である。当該メモリモジュール633は、記憶保持に外部からの電力供給が不要な不揮発性の半導体メモリを有してなり、詳細には当該半導体メモリとしてNAND型フラッシュメモリが用いられている。ちなみに、記憶容量は4Gビットであるが、かかる記憶容量は表示制御装置630における制御が良好に実行されるのであれば任意である。また、当該メモリモジュール633は、パチンコ機10の使用に際して、非書き込み用であって読み出し専用のメモリ(ROM)として用いられる。
【0773】
ここで、各スプライトデータは、キャラクタの外形や模様を規定するビットマップ形式データと、ビットマップ画像の各ピクセルでの表示色を決定する際に参照される色パレットテーブルとの組み合わせを少なくとも含んでいる。また、背景データは、静止画像データが圧縮された状態のJPEG形式データとして記憶保持されている。
【0774】
ワークRAM632は、メモリモジュール633から読み出されて転送された制御用データを一時的に記憶しておくとともに、フラグ等を一時的に記憶しておくための記憶手段である。ワークRAM632は、記憶保持に外部からの電力供給が必要な揮発性の半導体メモリを有してなり、詳細には当該半導体メモリとしてDRAMが用いられている。但し、DRAMに限定されることはなくSRAMといった他のRAMを用いてもよい。なお、記憶容量は1Gビットであるが、かかる記憶容量は表示制御装置630における制御が良好に実行されるのであれば任意である。また、ワークRAM632は、パチンコ機10の使用に際して、読み書き両用として用いられる。
【0775】
ワークRAM632には、表示CPU631からメモリモジュール633へのデータ転送指示に基づき、当該メモリモジュール633から制御用データが転送される。この場合、当該制御用データは、その制御用データに対応した表示CPU631における処理の実行タイミングとなるまでに事前に転送される。そして、表示CPU631は、ワークRAM632に転送された制御用データを必要に応じて内部のメモリ領域(レジスタ群)に読み込み、各種処理を実行する。
【0776】
VRAM634は、図柄表示装置31に対して画像出力を行うために必要な各種データを一時的に記憶しておくための記憶手段である。当該VRAM634は、記憶保持に外部からの電力供給が必要な揮発性の半導体メモリを有してなり、詳細には当該半導体メモリとしてSDRAMが用いられている。但し、SDRAMに限定されることはなく、DRAM、SRAM又はデュアルポートRAMといった他のRAMを用いてもよい。なお、記憶容量は2Gビットであるが、かかる記憶容量は表示制御装置630における制御が良好に実行されるのであれば任意である。また、当該VRAM634は、パチンコ機10の使用に際して、読み書き両用として用いられる。
【0777】
VRAM634は展開用バッファ641を備えており、展開用バッファ641には、表示CPU631からメモリモジュール633へのデータ転送指示に基づき、当該メモリモジュール633から画像データが転送される。この場合、当該画像データは、その画像データを用いたVDP635における処理の実行タイミングとなるまでに事前に転送される。また、VRAM634には、VDP635により描画データが作成されるフレームバッファ642が設けられている。
【0778】
VDP635は、表示CPU631からの描画指示に基づき、展開用バッファ641に記憶保持されているデータを用いて、具体的には加工することにより、図柄表示装置31に対して描画を行う画像生成デバイスであり、図柄表示装置31において液晶表示部31aを駆動制御するように組み込まれた画像処理デバイス31bを操作する一種の描画回路である。VDP635はICチップ化されているため「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は、描画専用のファームウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。
【0779】
詳細には、VDP635は、制御部651と、レジスタ652と、動画デコーダ653と、表示回路655と、を備えている。また、これら各回路はバスを介して相互に接続されているとともに、表示CPU631用のI/F656及びVRAM634用のI/F657と接続されている。
【0780】
VDP635では、表示CPU631から送信された描画指示情報としての描画リストをレジスタ652に記憶させる。レジスタ652に描画リストが記憶されることにより、制御部651では描画リストに従ったプログラムが起動されて予め定められた処理が実行される。なお、制御部651が動作するための制御プログラムの全てが描画リストにより提供される構成としてもよく、制御プログラムを予め記憶したメモリを制御部651に内蔵させ、当該制御プログラムと描画リストの内容とによって制御部651が所定の処理を実行する構成としてもよい。また、メモリモジュール633から制御プログラムを事前に読み出す構成としてもよい。
【0781】
上記処理として、制御部651では、VRAM634の展開用バッファ641に展開されている画像データを用いて(又は加工することにより)、フレームバッファ642に1フレーム分の描画データを作成する。なお、1フレーム分の描画データとは、予め定められた更新タイミングで図柄表示装置31の表示面Gにおける画像が更新される構成において、一の更新タイミングにおける画像を表示させるのに必要なデータのことをいう。
【0782】
ここで、フレームバッファ642には、複数のフレーム領域642a,642bが設けられている。具体的には、第1フレーム領域642aと、第2フレーム領域642bとが設けられている。これら各フレーム領域642a,642bは、それぞれ1フレーム分の描画データを記憶可能な容量に設定されている。具体的には、各フレーム領域642a,642bにはそれぞれ、液晶表示部31a(すなわち表示面G)のドット(画素)に所定の倍率で対応させた多数の単位エリア(単位設定領域)が含まれている。各単位エリアは、いずれの色を表示するかを特定するためのデータを格納可能な記憶容量を有している。より詳細には、フルカラー方式が採用されており、各ドットにおいてR(赤),G(緑),B(青)のそれぞれに256色の設定が可能となっている。これに対応させて、各単位エリアにおいては、RGB各色に1バイト(8ビット)が割り当てられている。つまり、各単位エリアは、少なくとも3バイトの記憶容量を有している。
【0783】
なお、フルカラー方式に限定されることはなく、例えば各ドットにおいて256色のみ表示可能な構成においては、各単位エリアにおいて色情報を格納するために必要な記憶容量は1バイトでよい。
【0784】
フレームバッファ642に第1フレーム領域642a及び第2フレーム領域642bが設けられていることにより、一方のフレーム領域に作成された描画データを用いて図柄表示装置31への描画が実行されている状況において、他のフレーム領域に対して今後用いられる描画データの作成が実行される。つまり、フレームバッファ642として、ダブルバッファ方式が採用されている。
【0785】
表示回路655では、第1フレーム領域642a又は第2フレーム領域642bに作成された描画データに基づいて液晶表示部31aの各ドットに対応した画像信号が生成され、その画像信号が、表示回路655に接続された出力ポート638を介して図柄表示装置31に出力される。また、表示回路655からは水平同期信号又は垂直同期信号などの同期信号も出力される。当該表示回路655には、上記画像信号の生成及び出力を行うために、スケーラ658及び画像信号出力部659が設けられている。
【0786】
<V割込み処理>
次に、V割込み処理について、図52のフローチャートを参照しながら説明する。V割込み処理は、予め定められた周期、具体的には20msec周期で繰り返し起動される。
【0787】
なお、VDP635は図柄表示装置31に1フレーム分の画像信号を出力する場合、表示面Gの左上の隅角部分にあるドットから画像信号の出力を始めて、当該ドットを一端に含む横ライン上に並ぶドットに対して順次画像信号を出力するとともに、各横ラインに対して上から順に左から右のドットへと画像信号を出力する。そして、表示面Gの右下の隅角部分にあるドットに対して最後に画像信号を出力する。この場合に、VDP635は当該最後のドットに対して画像信号を出力したタイミングで、表示CPU631へV割込み信号を出力して1フレームの画像の更新が完了したことを表示CPU631に認識させる。このV割込み信号の出力周期は20msecとなっている。この点、V割込み処理は、V割込み信号の受信に同期して起動されると見なすこともできる。但し、V割込み信号を受信していなくても、前回のV割込み処理が起動されてから20msecが経過している場合には、新たにV割込み処理が起動される。
【0788】
V割込み処理では、先ずステップS2901にて、コマンド解析処理を実行する。具体的には、ワークRAM632のコマンドバッファに格納されているコマンドの内容を解析する。続くステップS2902では、ポインタ更新処理を実行する。当該ポインタ更新処理では、データテーブルに設定されているポインタの情報を、1フレーム分進めるように更新する。これにより、今回の更新タイミングに対応した1フレーム分の画像を表示させるために必要な処理を、表示CPU631において把握することが可能となる。続くステップS2903では、タスク処理を実行する。タスク処理では、今回の更新タイミングに対応した1フレーム分の画像を表示させるために、VDP635に描画指示を行う上で必要なパラメータの演算を行う。当該タスク処理の詳細については後に説明する。
【0789】
ステップS2904では、描画リスト出力処理を実行して、本V割込み処理を終了する。描画リスト出力処理では、今回の処理回に係る更新タイミングに対応した1フレーム分の画像を表示させるための描画リストを作成し、その作成した描画リストをVDP635に送信する。この場合、当該描画リストでは、直前のタスク処理にて把握された画像が描画対象となり、さらに当該タスク処理にて更新したパラメータの情報が合わせて設定される。VDP635では、この描画リストに従ってVRAM634のフレーム領域642a,642bに描画データを作成する。
【0790】
次に、本実施形態において、表示CPU631からVDP635に送信される描画リストの内容について説明する。図53(a)~(c)は描画リストの内容を説明するための説明図である。
【0791】
描画リストには、ヘッダ情報が設定されている。ヘッダ情報には、当該描画リストに係る1フレーム分の画像を、第1フレーム領域642a及び第2フレーム領域642bのうちいずれを作成対象とするかを示す情報であるターゲットバッファの情報が設定されている。また、ヘッダ情報には、デコード指定の有無及びデコード対象となる動画像データが転送されているアドレスの情報が設定されている。また、ヘッダ情報には、各種指定情報が設定されている。
【0792】
描画リストには、上記ヘッダ情報以外にも、1フレーム分の画像を表示するために用いられる複数種類の画像データが設定されており、さらに各画像データの描画順序の情報と、各画像データのパラメータ情報とが設定されている。詳細には、描画順序の情報が連番の数値情報となるようにして設定されているとともに、各数値情報に1対1で対応させて使用する画像データの情報が設定されている。また、各画像データの情報に1対1で対応させてパラメータの情報が設定されている。
【0793】
上記描画順序は、1フレーム分の画像において表示面G奥側に位置するように表示させたい個別画像から先に描画対象となるように設定されている。なお、個別画像とは、背景データといった静止画像データにより規定される一の静止画像や、図柄スプライトデータといったスプライトデータにより規定される一のスプライトのことである。図53(a)の描画リストでは、背景データが最初の描画対象として設定されているとともに、スプライトデータAが2番目、スプライトデータBが3番目、・・・として設定されている。したがって、描画対象のフレーム領域642a,642bに対して、最初に背景データが書き込まれ、その後に当該背景データに重なるようにしてスプライトデータAが書き込まれ、さらにスプライトデータBが書き込まれる。なお、1フレーム分の画像においては、背景画像→演出画像→図柄の順序で手前側となるように、各個別画像が表示される。
【0794】
パラメータの情報P(1),P(2),P(3),・・・には、複数種類のパラメータが設定されている。背景データのパラメータP(1)について具体的には、図53(b)に示すように、VRAM634において背景データが転送されているエリアのアドレスの情報と、背景データを書き込む場合における2次元平面上の位置を示す座標の情報と、背景データを書き込む場合における2次元平面上の回転角度を示す回転角度の情報と、背景データの初期状態として設定されているサイズに対して、フレーム領域642a,642bに書き込む際の倍率を示すスケールの情報と、背景データを書き込む場合における全体の透過情報(又は透明情報)を示す一律α値の情報と、αデータの適用有無及び適用対象を示すαデータ指定の情報とが設定されている。上記パラメータの種類は、図53(c)に示すように、スプライトデータAについても同様である。
【0795】
ここで、座標の情報は、画像データを構成する全ピクセルについて個別に設定されるのではなく、一の画像データに対して一の座標の情報が設定される。具体的には、座標の情報が指定される基準ピクセルとして画像データの中心の1ピクセルが設定されている。VDP635では、指定される座標の情報が画像データの中心の1ピクセルであることを認識可能となっており、画像データの配置に際してはその中心の1ピクセルが指定された座標上となるようにする。これにより、表示CPU631において一の画像データに対して指定すべき座標の情報の情報容量を抑えることができる。また、表示CPU631やVDP635において画像データの全ピクセルについて座標を認識可能としておく必要がないため、プログラムの簡素化も図られる。
【0796】
ちなみに、上記基準ピクセルは中心の1ピクセルに限定されることはなく、例えば左上や右上といった隅角のピクセルであってもよい。スプライトデータや静止画像データは基本的に矩形状として規定されているため、隅角のピクセルを基準ピクセルとすることで、表示CPU631やVDP635において基準ピクセルの認識を行い易くなる。
【0797】
また、一律α値とは、一の画像データの全ドットに対して適用される透過情報のことであり、表示CPU631における演算結果として導出される数値情報である。当該一律α値は、画像データの全ピクセルに一律で適用される。一方、αデータとは、背景データやスプライトデータの各ピクセル単位で適用される透過情報のことであり、画像データとしてNAND型フラッシュメモリに予め記憶されている。当該αデータは、同一の背景データ又は同一のスプライトデータの範囲内において各ピクセル単位で透過情報を相違させることができる。このαデータは、一律α値を設定するためのプログラムデータに比べデータ容量が大きい。
【0798】
上記のように一律α値とαデータとが設定されていることにより、背景データやスプライトデータの透過度をピクセル単位で細かく制御するのではなく全ピクセルに対して一律で制御すればよい状況では一律α値で対応することができることで必要なデータ容量の削減が図られるとともに、αデータを適用することによって透過度をピクセル単位で細かく制御することも可能となる。
【0799】
VDP635における描画処理について、図54のフローチャートを参照しながら説明する。
【0800】
先ずステップS3001では、既に受信している描画リストにて指示された描画データの作成が完了しているか否かを判定する。描画データの作成が完了している場合には、ステップS3002にて、表示CPU631から新たな描画リストを受信しているか否かを判定する。新たな描画リストを受信している場合には、ステップS3003にて、受信時の対応処理を実行する。
【0801】
受信時の対応処理では、描画リストに含まれるターゲットバッファの情報から、今回受信した描画リストに対応した1フレーム分の画像をいずれのフレーム領域642a,642bに作成するかを把握して、その把握したフレーム領域を描画データの作成対象として設定する。また、デコード指定の有無を把握し、デコード指定がある場合にはデコード対象の動画像データが転送されているアドレスを把握し、その動画像データに対してデコードを行うように動画デコーダを動作させる。
【0802】
続くステップS3004では、書き込み処理を実行する。当該書き込み処理では、描画リストにおいて描画対象として最初に設定されている画像データの種類を把握するとともに、当該画像データの各種パラメータを把握する。把握した画像データがスプライトデータだった場合には、ビットマップ画像の各ドットに対して色パレットデータを適用する。そして、把握したパラメータに基づいて、作成対象として設定されているフレーム領域642a,642bに今回の描画対象の画像データを書き込む。
【0803】
一方、ステップS3001にて、既に受信している描画リストにて指示された描画データの作成途中であると判定した場合には、ステップS3005にて描画リストのカウンタの更新処理を実行する。これにより、描画対象が次の描画順序の画像データに切り換えられる。そして、当該切り換えられた画像データについて、上記ステップS3004の処理を実行する。つまり、描画処理が複数回実行されることで、一の描画リストにより指示された1フレーム分の画像の描画データが作成される。
【0804】
なお、1回の描画処理で1個の画像データのみが処理される構成に限定されることはなく、1回の描画処理で複数個の画像データが処理される構成としてもよく、また描画処理の各処理回において同一個数の画像データが処理される構成に限定されることはなく、描画処理の各処理回において異なる個数の画像データが処理される構成としてもよい。
【0805】
ステップS3002にて否定判定した場合、又はステップS3004の処理を実行した後は、ステップS3006にて、表示回路655において1フレーム分の画像信号出力が完了しているか否かを判定する。完了していない場合にはそのまま本描画処理を終了し、完了している場合には、ステップS3007にて、表示CPU631にV割込み信号を出力した後に、本描画処理を終了する。
【0806】
上記1フレーム分の描画データの作成は20msec周期の範囲内で完了するように行われる。また、作成された描画データに基づいて表示回路655から図柄表示装置31に画像信号が出力されるが、既に説明したとおりダブルバッファ方式が採用されているため、当該画像信号の出力は当該出力に係るフレームに対して1フレーム分後の描画データの作成と並行して行われる。なお、表示回路655は1フレーム分の画像信号の出力が完了する毎に参照対象とするフレーム領域642a,642bを交互に切り換えるセレクタ回路を有しており、当該セレクタ回路による切換によって、制御部651において描画データの描画対象となっているフレーム領域642a,642bが画像信号を出力するための出力対象とならないように規制されている。
【0807】
次に、表示CPU631において実行されるタスク処理について説明する。
【0808】
タスク処理は、描画リストを作成する上で必要な情報を把握するために実行される。以下、タスク処理について、図55のフローチャートを参照しながら説明する。先ずステップS3101では、制御開始対象の個別画像が存在しているか否かを判定する。制御開始対象の個別画像は、現状設定されているデータテーブルに示されている。制御開始対象の個別画像が存在している場合(ステップS3101:YES)には、ステップS3102~ステップS3104の制御開始処理を実行する。制御開始処理では、先ずステップS3102にて、ワークRAM632において、個別画像の制御を行う上で各種演算を行うための空きバッファ領域を検索して、制御開始対象として把握されている個別画像に1対1で対応するように空きバッファ領域を確保する。
【0809】
続くステップS3103では、ステップS3102にて確保した全ての空きバッファ領域に対して初期化処理を実行する。続くステップS3104では、ステップS3103にて初期化した空きバッファ領域に対して、個別画像に応じた制御開始用のパラメータを設定する。この制御開始用のパラメータとしては、対象となる個別画像の仮想2次元平面上における位置、回転角度及びサイズが含まれている。なお、制御開始対象として把握された個別画像が複数存在する場合には、各個別画像に対応した各空きバッファ領域に対して個別に制御開始用のパラメータが設定される。
【0810】
ステップS3101にて否定判定を行った後、又はステップS3104にてパラメータの設定を行った後、ステップS3105~ステップS3108の制御更新処理を実行する。当該制御更新処理では、先ずステップS3105にて、背景用演算処理を実行する。背景用演算処理では、背景の画像を構成することとなる最背面用の静止画像や、背景用スプライトのうち、今回の制御更新対象を把握する。また、その把握した制御更新対象について、仮想2次元平面上における座標、回転角度、スケール、一律α値及びαデータ指定などといった描画リストを作成する上で必要な各種パラメータを演算して導き出す。そして、その導き出した各種パラメータを、ワークRAM632において各個別画像に対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。
【0811】
続くステップS3106では、演出用演算処理を実行する。演出用演算処理では、リーチ表示、予告表示及び大当たり演出といった各種演出において表示対象となる演出の画像を構成する演出スプライトのうち、今回の制御更新対象を把握する。また、その把握した制御更新対象について、上記各種パラメータを導き出す。そして、その導き出した各種パラメータを、ワークRAM632において各個別画像に対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。
【0812】
続くステップS3107では、図柄用演算処理を実行する。図柄用演算処理では、各遊技回において変動表示の対象となる図柄のうち、今回の制御更新対象を把握する。また、その把握した制御更新対象について、上記各種パラメータを導き出す。そして、その導き出した各種パラメータを、ワークRAM632において各個別画像に対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。
【0813】
ちなみに、ステップS3105~ステップS3107の各処理では、個別画像の各種パラメータを画像更新タイミングとなる度に、特定のパターンに従って変化させるように設定されたアニメーション用データが用いられる。このアニメーション用データは、個別画像の種類に応じて定められている。また、アニメーション用データは、NAND型フラッシュメモリに予め記憶されており、表示CPU631において読み出す必要があるタイミングとなるまでにワークRAM632に事前転送される。
【0814】
その後、ステップS3108にて描画指示対象の把握処理を実行した後に、本タスク処理を終了する。描画指示対象の把握処理では、上記ステップS3105~ステップS3107の各処理により制御更新対象となった各個別画像のうち、今回の描画データの作成指示に係る1フレーム分の画像に含まれる個別画像を把握する処理を実行する。
【0815】
以上のとおり、制御開始対象となった個別画像については、ステップS3102の「空きバッファ領域の検索」、ステップS3103の「確保したバッファ領域の初期化」、ステップS3104の「制御開始用のパラメータの設定」及びステップS3105~ステップS3107のいずれかの「各種パラメータの更新手続」が実行されるのに対して、制御更新対象のみの個別画像については、ステップS3105~ステップS3107のいずれかの「各種パラメータの更新手続」のみが実行される。したがって、制御開始対象となった個別画像の方が、制御更新対象のみの個別画像に比べて、処理負荷が大きくなる。なお、ステップS3104の処理は実行されずに、制御開始対象となった個別画像についてはそれに代わる処理がステップS3105~ステップS3107のいずれかにて実行される構成としてもよい。
【0816】
<アウトライン表示演出>
次に、アウトライン表示演出について、図56を参照しながら説明する。アウトライン表示演出では、図柄表示装置31の表示面Gに人間の形をしたキャラクタ491が表示される。図56(a)は、表示対象のキャラクタ491の全身が大気領域501に存在する場合の表示態様を説明するための説明図であり、図56(b)は、キャラクタ491の全身が水領域502に存在する場合の表示態様を説明するための説明図である。また、図56(c)は、キャラクタ491が大気領域501と水領域502とにまたがって存在する場合の表示態様を説明するための説明図である。
【0817】
アウトライン表示演出とは、キャラクタ491の外縁にアウトライン492又はぼかしアウトライン493(図59(e))が表示される演出である。ここで、ぼかしアウトライン493とは、ぼやけた態様で表示される外形線のことである。アウトライン表示演出では、表示されるアウトライン492又はぼかしアウトライン493の種類によって、遊技者に大当たりの期待度などが報知される。
【0818】
具体的には、遊技者に今回の遊技回の結果が大当たり結果であることを知らせる確定報知演出において、キャラクタ491の外縁には赤色のぼかしアウトライン493が表示される。また、遊技者に今回の遊技回の結果が大当たり結果となる可能性が高いことを知らせる高期待度演出において、キャラクタ491の外縁には赤色のアウトライン492が表示される。そして、遊技者に今回の遊技回の結果が大当たり結果となる可能性が低いことを知らせる低期待度演出において、キャラクタ491の外縁には黒色のアウトライン492が表示される。赤色のぼかしアウトライン493及び赤色のアウトライン492は、黒色のアウトライン492の1.5倍の厚さで表示される。
【0819】
図56(a)に示すように、高期待度演出又は低期待度演出において、キャラクタ491の全身が大気領域501に存在する場合には、キャラクタ491の全身に対してアウトライン492が表示される。また、図56(b)に示すように、高期待度演出又は低期待度演出において、キャラクタ491の全身が水領域502に存在する場合には、キャラクタ491に対してアウトライン492は表示されない。そして、図56(c)に示すように、キャラクタ491が大気領域501と水領域502とにまたがって存在する場合には、大気領域501に存在する部分のみにアウトライン492が表示される。キャラクタ491において、水領域502に存在する部分にはアウトライン492は表示されない。
【0820】
図57(a)は、キャラクタ491を表示するためのスプライトデータであるキャラクタ用スプライトデータ451である。メモリモジュール133には、様々なポーズのキャラクタ491を表示するために複数種類のキャラクタ用スプライトデータ451が記憶されている。表示CPU631は現状設定されているデータテーブルを参照して、複数種類のキャラクタ用スプライトデータ451の中から、今回のタイミングで表示するキャラクタ491に対応した1つのキャラクタ用スプライトデータ451を把握して、当該キャラクタ用スプライトデータ451の使用指示情報を描画リストに設定する。
【0821】
開始タイミング及び各更新タイミングにおいて、複数種類のキャラクタ用スプライトデータ451から各タイミングに応じた1つのキャラクタ用スプライトデータ451が把握される構成とすることにより、図柄表示装置31の表示面Gに表示されるキャラクタ491のポーズが徐々に変化し、キャラクタ491の一連の動きを表示することができる。
【0822】
キャラクタ用スプライトデータ451は、個別画像として図柄表示装置31の表示面Gに表示される画像領域のみから成っているため、キャラクタ用スプライトデータ451の外形は、表示対象のキャラクタ491の外形と同じである。キャラクタ用スプライトデータ451にはアウトライン492を表示するためのアウトライン表示用領域454は含まれない。また、本パチンコ機10のメモリモジュール633には、アウトライン492を表示するためのスプライトデータは記憶されていない。
【0823】
アウトライン492は、フレーム領域642a,642bにアウトライン表示用領域454が書き込まれることにより表示可能となる。ここで、フレーム領域642a,642bのサイズは、図柄表示装置31の表示面Gのサイズと同じサイズである。このため、フレーム領域642a,642bに色情報及び透過性情報を設定することにより作成される描画データのサイズは、図柄表示装置31の表示面Gのサイズと同じサイズである。図57(b)は、アウトライン表示用領域454を説明するための説明図である。図57(b)に示すように、アウトライン表示用領域454の外形は、キャラクタ用スプライトデータ451の外形と類似している。また、アウトライン表示用領域454の外形は、キャラクタ用スプライトデータ451の外形において、エッジ部分を丸めた形をしている。アウトライン表示用領域454は、キャラクタ用スプライトデータ451をフレーム領域642a,642bに複数回配置することにより書き込まれる。
【0824】
アウトライン表示用領域454が書き込まれるフレーム領域642a,642bには、多数の単位エリアが含まれており、各単位エリアには色情報を格納するためのエリアが設定されている。先ずフレーム領域642a,642bの単位エリア461について図57(c)を参照しながら説明する。図57(c)は、フレーム領域642a,642bの各単位エリア461に設定されている色情報格納用エリア471~473を説明するための説明図である。図57(c)に示すように、各単位エリア461には、RGBの各色に1対1で対応させて1バイトからなる色情報格納用エリア471~473が設定されており、RGBのそれぞれに256色の設定が可能となっている。
【0825】
各色情報格納用エリア471~473に格納される数値情報の値が小さいほどRGBにおいて暗い度合いの色が最終的に表示され、最小値の場合には黒色が表示される。また、数値情報の値が大きいほどRGBにおいて明るい度合いの色が最終的に表示され、最大値の場合には白色が表示される。
【0826】
次に、キャラクタ用スプライトデータ451の各ピクセル462について、図57(d)を参照しながら説明する。図57(d)は、キャラクタ用スプライトデータ451の各ピクセル462に設定される色情報及び透過性情報(α値)について説明するための説明図である。図57(d)に示すように、キャラクタ用スプライトデータ451の各ピクセル462には、パレットテーブルなどを利用して数値情報からなる色情報が設定される。当該色情報は、RGBの各色においてそれぞれ1バイトの範囲内の情報として設定されている。
【0827】
また、各ピクセル462には、上記色情報の他に、透過性情報が設定されている。当該透過性情報として、実際には十進数で「0~100」のいずれかの数値情報が設定されている。「0~100」の透過性情報は、「0~1」のα値に対応しており、α値を利用した演算に際しては1未満の値として扱われる。具体的には、α値として「0」が設定される場合には、完全透過のピクセル462となるとともに、α値として「1」が設定される場合には、不透過のピクセル462となる。また、α値として「0」より大きく「1」未満の数値が設定される場合には、半透過のピクセル462となる。
【0828】
キャラクタ用スプライトデータ451をフレーム領域642a,642bに配置する場合には、キャラクタ用スプライトデータ451を構成する各ピクセル462の色情報及び透過性情報に応じた色情報が、フレーム領域642a,642bの単位エリア461に書き込まれる。具体的には、キャラクタ用スプライトデータ451の対象ピクセル462に設定されているα値が「1」である場合には、フレーム領域642a,642bの対応する単位エリア461に対して当該対象ピクセル462の色情報がそのまま上書きされる。
【0829】
一方、キャラクタ用スプライトデータ451の対象ピクセル462に設定されているα値が「1」未満であるとともに、当該対象ピクセル462に対応するフレーム領域642a,642bの単位エリア461に既に色情報が設定されている場合には、キャラクタ用スプライトデータ451の対象ピクセル462に設定されている色情報とフレーム領域642a,642bの対応する単位エリア461に設定されている色情報との間で、キャラクタ用スプライトデータ451の対象ピクセル462に設定されているα値を利用した所定の演算が実行され、当該演算結果が単位エリア461に対して書き込まれる。
【0830】
次に、VDP635がフレーム領域642a,642bにアウトライン表示用領域454を書き込むために、フレーム領域642a,642bに単一色のキャラクタ用スプライトデータ451を複数回設定する処理について説明する。ここで、単一色のキャラクタ用スプライトデータ451とは、メモリモジュール633から読み出されたキャラクタ用スプライトデータ451を構成する全ピクセル462に設定されている色情報及び透過性情報を書き換えることにより作成される。具体的には、確定報知演出及び高期待度演出では、キャラクタ用スプライトデータ451の全ピクセルに赤色の色情報と不透過の透過性情報とが設定される。また、低期待度報知演出では、キャラクタ用スプライトデータ451の全ピクセルに黒色の色情報と不透過の透過性情報とが設定される。
【0831】
図57(a)に示すように、キャラクタ用スプライトデータ451の胴部には、基準ピクセル453が存在する。基準ピクセル453は、キャラクタ用スプライトデータ451を構成するピクセル462の1つである。VDP635は、描画リストを参照してキャラクタ用スプライトデータ451をフレーム領域642a,642bに設定するための座標を把握する。そして、基準ピクセル453が描画リストに設定されていた座標に位置する態様で、キャラクタ用スプライトデータ451をフレーム領域642a,642bに配置する。
【0832】
色情報及び透過性情報の書き換えが行われていない通常のキャラクタ用スプライトデータ451をフレーム領域642a,642bに配置するための座標を通常座標とする。また、色情報及び透過性情報の書き換えが行われた単一色のキャラクタ用スプライトデータ451をフレーム領域642a,642bに配置するための座標を特別座標とする。表示CPU631は、描画リストに1つの通常座標と4つの異なる特別座標とを設定する。
【0833】
図58(a)は、フレーム領域642a,642bにおける通常座標と特別座標との位置関係を説明するための説明図である。図58(a)に示すように、4つの異なる特別座標の1つである第1特別座標に位置する単位エリア458aは、通常座標に位置する単位エリア458よりも、y軸の負の方向に存在する。詳細には、第1特別座標に位置する単位エリア458aと通常座標に位置する単位エリア458との間には、低期待度演出が行われる場合に50個の単位エリア461が存在し、高期待度演出又は確定報知演出が行われる場合に75個の単位エリア461が存在する。また、4つの異なる特別座標の1つである第2特別座標に位置する単位エリア458bは、通常座標に位置する単位エリア458よりも、y軸の正の方向に存在する。詳細には、第2特別座標に位置する単位エリア458bと通常座標に位置する単位エリア458との間には、低期待度演出が行われる場合に50個の単位エリア461が存在し、高期待度演出又は確定報知演出が行われる場合に75個の単位エリア461が存在する。
【0834】
4つの異なる特別座標の1つである第3特別座標に位置する単位エリア458cは、通常座標に位置する単位エリア458よりも、x軸の負の方向に存在する。詳細には、第3特別座標に位置する単位エリア458cと通常座標に位置する単位エリア458との間には、低期待度演出が行われる場合に50個の単位エリア461が存在し、高期待度演出又は確定報知演出が行われる場合に75個の単位エリア461が存在する。また、4つの異なる特別座標の1つである第4特別座標に位置する単位エリア458dは、通常座標に位置する単位エリア458よりも、x軸の正の方向に存在する。詳細には、第4特別座標に位置する単位エリア458dと通常座標に位置する単位エリア458との間には、低期待度演出が行われる場合に50個の単位エリア461が存在し、高期待度演出又は確定報知演出が行われる場合に75個の単位エリア461が存在する。
【0835】
4つの特別座標に位置する単位エリア458a~458dは、通常座標に位置する単位エリア458から上下左右にずれている。また、低期待度演出において、通常座標から4つの特別座標までの距離は単位エリア461を50個並べた距離であり、当該距離はキャラクタ用スプライトデータ451の初期状態における横幅の1割程度である。高期待度演出又は確定報知演出では、通常座標から4つの特別座標までの距離が低期待度演出の場合の1.5倍である。4つの特別座標に基づいて、単一色のキャラクタ用スプライトデータ451は、上下左右に少しずつずれた状態でフレーム領域642a,642bに配置される。
【0836】
キャラクタ用スプライトデータ451において、キャラクタ491の頭部に対応する領域を頭部領域452(図57(a))とする。また、VDP635が第1特別座標に基づいて単一色のキャラクタ用スプライトデータ451を配置した場合に、頭部領域452が配置される領域を第1頭部領域452aとするとともに、VDP635が第2特別座標に基づいて単一色のキャラクタ用スプライトデータ451を配置した場合に、頭部領域452が配置される領域を第2頭部領域452bとする。そして、VDP635が第3特別座標に基づいて単一色のキャラクタ用スプライトデータ451を配置した場合に、頭部領域452が配置される領域を第3頭部領域452cとするとともに、VDP635が第4特別座標に基づいて単一色のキャラクタ用スプライトデータ451を配置した場合に、頭部領域452が配置される領域を第4頭部領域452dとする。
【0837】
なお、メモリモジュール633に記憶されているキャラクタ用スプライトデータ451は1つであり、単一色のキャラクタ用スプライトデータ451を4回配置する処理は、同一のキャラクタ用スプライトデータ451を4回読み出すことにより行われる。
【0838】
図58(b)は、第1頭部領域452a~第4頭部領域452dのフレーム領域642a,642bにおける位置関係を説明するための説明図である。図58(b)に示すように、第1頭部領域452a~第4頭部領域452dは上下左右にずれている。また、第1頭部領域452a~第4頭部領域452dには、重なり領域が存在する。
【0839】
VDP635は、第1頭部領域452aに含まれる単位エリア461から順番に単一色の色情報を設定していく。単一色のキャラクタ用スプライトデータ451を構成する全てのピクセル462には、不透過の透過性情報が設定されているため、重なり領域の単位エリア461には他の領域と同じ色情報が上書きされる。このため、第1頭部領域452a~第4頭部領域452dに含まれる全ての単位エリア461には、同じ色情報が設定される。第1頭部領域452a~第4頭部領域452dに同じ色情報が設定されることにより、各領域452a~452dの境界線は表示されずに、1つの領域として表示される。当該領域を頭部のアウトライン表示用領域457とする。
【0840】
図58(c)は、頭部のアウトライン表示用領域457を説明するための説明図である。頭部のアウトライン表示用領域457は、キャラクタ用スプライトデータ451の頭部領域452の外形と類似の外形を有している。また、通常のキャラクタ用スプライトデータ451が単一色のキャラクタ用スプライトデータ451と同じ倍率でフレーム領域642a,642bに配置される場合には、頭部のアウトライン表示用領域457は通常のキャラクタ用スプライトデータ451における頭部領域452よりもひと回り大きい。
【0841】
図58(a)に示すように、通常座標は上下左右にずれている4つの特別座標の中央に位置する座標である。したがって、フレーム領域642a,642bにおいて、頭部のアウトライン表示用領域457に含まれる全ての単位エリア461に単一色の色情報を設定した後に、VDP635が通常のキャラクタ用スプライトデータ451を通常座標に基づいて配置すると、通常のキャラクタ用スプライトデータ451の頭部領域452は、頭部のアウトライン表示用領域の中央に位置する。
【0842】
キャラクタ用スプライトデータ451のピクセル462には、不透過の透過性情報が設定されている。したがって、頭部のアウトライン表示用領域457に含まれる単位エリア461であるとともに、通常のキャラクタ用スプライトデータ451の頭部領域452が配置される領域に含まれる単位エリア461には、通常のキャラクタ用スプライトデータ451の色情報がそのまま上書きされる。
【0843】
図58(d)は、頭部のアウトライン表示用領域457に頭部領域452が上書きされた場合に、頭部領域452からはみ出して表示される頭部のはみ出し領域455を説明するための説明図である。頭部のアウトライン表示用領域457は、頭部領域452よりもひと回り大きいため、頭部のアウトライン表示用領域457の一部領域は上書きされずに残り、頭部のはみ出し領域455となる。頭部領域452は頭部のアウトライン表示用領域457の中央に配置されるため、頭部のはみ出し領域455は、頭部領域452の外縁を取り囲む。
【0844】
キャラクタ491の頭部を具体例として、頭部のアウトライン表示用領域457と頭部領域452との関係について上述したが、キャラクタ491のその他の部分についても同様の関係が成り立つ。キャラクタ491の各部について、各部のアウトライン表示用領域は、キャラクタ用スプライトデータ451の各部領域の外形と類似の外形を有する。また、通常のキャラクタ用スプライトデータ451が単一色のキャラクタ用スプライトデータ451と同じ倍率でフレーム領域642a,642bに配置される場合には、各部のアウトライン表示用領域は、キャラクタ用スプライトデータ451の各部領域よりもひと回り大きい。キャラクタ491の各部のアウトライン表示用領域に含まれる全ての単位エリア461には、同じ色情報が設定されているため、各部のアウトライン表示用領域同士が重なり合う領域に境界線は表示されない。このため、図57(b)に示すように、各部のアウトライン表示用領域が接続されて、1つのアウトライン表示用領域454となる。
【0845】
図58(e)は、アウトライン表示用領域454に通常のキャラクタ用スプライトデータ451が上書きされた場合にキャラクタ用スプライトデータ451からはみ出して表示されるはみ出し領域455を説明するための説明図である。アウトライン表示用領域454に通常のキャラクタ用スプライトデータ451が上書きされると、上書きされずに残る一部のアウトライン表示用領域454がはみ出し領域455となる。はみ出し領域455によってキャラクタ491の各部領域が縁どられ、アウトライン492が表示される。
【0846】
図58(e)に示すように、アウトライン表示用領域454は、キャラクタ用スプライトデータ451から上下左右に同じ幅ではみ出すため、はみ出し領域455は特定方向に限定されることなく、四方に形成される。また、はみ出し領域455はキャラクタ491の特定の部位に限定されることなく、キャラクタ491の全部位の周囲に同じ態様で形成される。このため、はみ出し領域455はキャラクタ用スプライトデータ451の外縁を途切れることなく取り囲み、遊技者にキャラクタ491のアウトライン492として認識される態様で表示される。
【0847】
単一色のキャラクタ用スプライトデータ451を上下左右にずらしてアウトライン表示用領域454を作成し、当該アウトライン表示用領域454に通常のキャラクタ用スプライトデータ451を上書きすることにより、キャラクタ491の周囲にアウトライン492を表示する方法について上述した。当該方法により表示されるアウトライン492と他の方法により表示される外形線との違いについて説明する。
【0848】
キャラクタ491の周囲に外形線を表示するための他の方法として、キャラクタ用スプライトデータ451を拡大してアウトライン表示用領域456を作成する方法が考えられる。当該方法について、図58(f)を参照しながら説明する。VDP635は、先ずキャラクタ用スプライトデータ451をメモリモジュール633から読み出した後、当該データを構成する全てのピクセル462に単一の色情報及び不透過の透過性情報を設定するとともに、基準ピクセル453を中心として当該データを拡大する。そして、当該拡大データを、拡大データの基準ピクセル453が通常座標に位置する態様でフレーム領域642a,642bに配置してアウトライン表示用領域456を作成する。
【0849】
この場合、アウトライン表示用領域456は、キャラクタ用スプライトデータ451の外形と同じ外形を有しており、キャラクタ用スプライトデータ451よりもひと回り大きい。次に、VDP635は、通常のキャラクタ用スプライトデータ451を、基準ピクセル453が通常座標に位置する態様でフレーム領域642a,642bに配置する。通常のキャラクタ用スプライトデータ451を構成するピクセル462には不透過の透過性情報が設定されているため、アウトライン表示用領域456に含まれるとともに、通常のキャラクタ用スプライトデータ451が配置される領域に含まれる単位エリア461には、通常のキャラクタ用スプライトデータ451の色情報がそのまま上書きされる。
【0850】
アウトライン表示用領域456は、キャラクタ用スプライトデータ451よりもひと回り大きいため、アウトライン表示用領域456の一部がキャラクタ用スプライトデータ451からはみ出す。キャラクタ用スプライトデータ451の中央に位置する胴部の周囲では、アウトライン表示用領域456が四方に同じ態様ではみ出すため、自然な外形線が表示される。しかし、キャラクタ用スプライトデータ451の中央から外れた位置に存在する部位の周囲には不自然な外形線が表示される。
【0851】
具体的には、キャラクタ用スプライトデータ451の中央よりも上方に位置する頭部においては、アウトライン表示用領域456が上方向に広くなる態様ではみ出すため、頭部の上側のみに太い外形線が表示され、頭部の下側には外形線が表示されない。キャラクタ用スプライトデータ451の中央よりも下方に位置する脚部においては、アウトライン表示用領域456が下方向に広くなる態様ではみ出すため、脚部の下側のみに太い外形線が表示され、脚部の上側には外形線が表示されない。キャラクタ用スプライトデータ451の中央よりも左方に位置する左腕部においては、アウトライン表示用領域456が左方向に広くなる態様ではみ出すため、左腕部の左側のみに太い外形線が表示され、左腕部の下側には外形線が表示されない。キャラクタ用スプライトデータ451の中央よりも右方に位置する右腕部においては、アウトライン表示用領域456が右方向に広くなる態様ではみ出すため、右腕部の右側のみに太い外形線が表示され、右腕部の左側には外形線が表示されない。
【0852】
このように、単一色のキャラクタ用スプライトデータ451を上下左右にずらしてアウトライン表示用領域454を作成する方法は、キャラクタ491を構成する全ての部位に均等なアウトライン492を表示できる点で、他の方法よりも効果的である。
【0853】
次に、確定報知演出において、ぼかしアウトライン459を表示する方法について図59(a)~(e)を参照しながら説明する。図59(a)は、アウトライン表示用領域454にぼかし処理を行うことにより作成されるぼかしアウトライン表示用領域474である。ぼかしアウトライン表示用領域474を作成するためのぼかし処理は、アウトライン表示用領域454を縮小した後、再び元の大きさに拡大する処理である。
【0854】
ここで、ぼかし処理について、キャラクタ用スプライトデータ451に含まれる直線481の画像を具体例に用いながら説明する。図59(b)はぼかし処理前の直線481を説明するための説明図である。図59(b)に示すように、ぼかし処理前の直線481は、x軸方向に8つの単位エリア461が並んでいるとともに、y軸方向に8つの単位エリア461が並んでいる正方形領域484を構成する一部の単位エリア461に色情報が設定されることにより表示される。ぼかし処理前の直線481は、x軸方向に色情報が設定されている4つの単位エリア461が並んでいるとともに、y軸方向に色情報が設定されている1つの単位エリア461が並んでいる矩形の単位構造が、y軸の正の方向に1ずれる毎にx軸の負の方向に1ずれる態様で設定されることにより表示される。
【0855】
図59(c)は、ぼかし処理前の直線481をx軸方向に50パーセント縮小するとともに、y軸方向に50パーセント縮小することにより作成される縮小後の直線482を説明するための説明図である。図59(c)に示すように、縮小後の直線482は、x軸方向に4つの単位エリア461が並んでいるとともに、y軸方向に4つの単位エリア461が並んでいる正方形領域485を構成する一部の単位エリア461に色情報が設定されることにより表示される。縮小後の直線482は、x軸方向に2つの単位エリア461が並んでいるとともに、y軸方向に1つの単位エリア461が並んでいる矩形の単位構造が、y軸の正の方向に1ずれる毎にx軸の負の方向に1ずれる態様で設定されることにより表示される。
【0856】
図59(d)は、一度縮小された縮小後の直線482が再び元の大きさに拡大されることにより作成されるぼかし直線483である。図59(d)に示すように、ぼかし直線483は、x軸方向に8つの単位エリア461が並んでいるとともに、y軸方向に8つの単位エリア461が並んでいる正方形領域486を構成する一部の単位エリア461に色情報が設定されることにより表示される。ぼかし直線483は、x軸方向に4つの単位エリア461が並んでいるとともに、y軸方向に2つの単位エリア461が並んでいる矩形の単位構造が、y軸の正の方向に2ずれる毎にx軸の負の方向に2ずれる態様で設定されることにより表示される。
【0857】
ぼかし処理により、線が粗く表示されるようになる。フレーム領域642a,642bにアウトライン表示用領域454が描画された後、フレーム領域642a,642bに対してぼかし処理を行うことにより、アウトライン表示用領域454の外形線が粗くなり、外形線がぼやけたぼかしアウトライン表示用領域474が作成される。ぼかし処理の前後において、フレーム領域642a,642bにおけるぼかしアウトライン表示用領域474の位置は変化しない。このため、VDP635がぼかし処理の後に、通常のキャラクタ用スプライトデータ451を通常座標に基づいてフレーム領域642a,642bに配置すると、ぼかしアウトライン表示用領域474に含まれる大部分の単位エリア461には、キャラクタ用スプライトデータ451の色情報が上書きされる。
【0858】
ぼかしアウトライン表示用領域474は、キャラクタ用スプライトデータ451よりもひと回り大きい。また、キャラクタ用スプライトデータ451は、ぼかしアウトライン表示用領域474の中央に配置される。このため、ぼかしアウトライン表示用領域474の一部がキャラクタ用スプライトデータ451からはみ出し、ぼかしはみ出し領域475が形成される。ぼかしはみ出し領域475は、キャラクタ用スプライトデータ451の四方に均等にはみ出す。また、ぼかしはみ出し領域475の外形線はぼやけている。このため、ぼかしはみ出し領域475により表示されるキャラクタ491の外形線はぼかしアウトライン493となる。
【0859】
アウトライン492を表示するためのデータとキャラクタ491を表示するためのデータを個別に扱う構成において、アウトライン492を表示するためのデータのみにぼかし処理を実行することにより、キャラクタ491をぼかすことなくアウトライン492のみをぼかすことができる。
【0860】
次に、図56(a)~(c)に示すように、水領域502を表示するための処理について説明する。図59(f)は、メモリモジュール633に記憶されている水画像データ503を説明するための説明図である。水画像データ503は、長方形の一辺が緩やかな波線で置換された外形を有しており、水画像データ503の全ピクセル462には、青色の色情報と半透過の透過性情報とが設定されている。
【0861】
水画像データ503の全ピクセル462に設定されているR値は、水領域502を表示するためのR値の2倍の値であるとともに、水画像データ503の全ピクセル462に設定されているG値は、水領域502を表示するためのG値の2倍の値である。また、水画像データ503の全ピクセル462に設定されているB値は、水領域502を表示するためのB値の2倍の値であるとともに、水画像データ503の全ピクセル462に設定されているα値は「0.5」である。このため、水画像データ503の各ピクセル462に設定されている「0.5」のα値を利用して、水画像データ503の各ピクセル462に設定されている色情報と黒色の色情報とをブレンドした場合に、水領域502を表示するための色情報が得られる。
【0862】
水画像データ503には1つの基準ピクセル503aが設定されている。VDP635は、描画リストに設定されているパラメータに基づいて水画像データ503をフレーム領域642a,642bに配置する。ここで、水画像データ503のパラメータには、基準ピクセル503aの座標と水画像データ503の回転角度と水画像データ503の倍率が含まれる。
【0863】
先ずぼかし処理が行われない高期待度演出又は低期待度演出について説明する。VDP635は、単一色のキャラクタ用スプライトデータ451を4回配置してアウトライン表示用領域454をフレーム領域642a,642bに描画した後、描画リストに設定されている水画像データ503の使用指示情報に基づいてメモリモジュール633から水画像データ503を読み出す。
【0864】
VDP635は、水画像データ503の全ピクセル462に設定されている色情報を黒色の色情報に変更するとともに、全ピクセル462に設定されている透過性情報を不透過の透過性情報に変更して、黒色の水画像データ503を作成する。具体的には、水画像データ503の全ピクセル462に設定されているR値とG値とB値とを「0」に変更するとともに、α値を「1」に変更する。そして、黒色の水画像データ503をフレーム領域642a,642bに配置する。黒色の水画像データ503の全ピクセル462には、不透過の透過性情報が設定されているため、水領域502に含まれる全ての単位エリア461には黒色の色情報が上書きされる。
【0865】
アウトライン表示用領域454の全体が大気領域501に描画されている場合(図56(a))には、アウトライン表示用領域454に含まれる全ての単位エリア461に設定されている色情報は維持される。一方、アウトライン表示用領域454の全体が水領域502に描画されている場合(図56(b))には、アウトライン表示用領域454に含まれる全ての単位エリア461に設定されている色情報が黒色の色情報に変更され、アウトライン表示用領域454は表示されなくなる。また、アウトライン表示用領域454の一部が水領域502に描画されている場合(図56(c))には、アウトライン表示用領域454に含まれる単位エリア461において、水領域502に含まれる単位エリア461に設定されている色情報が黒色の色情報に変更される。これにより、水領域502に存在するアウトライン表示用領域454の部分は表示されなくなり、大気領域501に存在するアウトライン表示用領域454の部分のみが残る。
【0866】
VDP635は、黒色の水画像データ503をフレーム領域642a,642bに配置した後、通常のキャラクタ用スプライトデータ451をフレーム領域642a,642bに配置する。通常のキャラクタ用スプライトデータ451が大気領域501に配置される場合には、その背後にアウトライン表示用領域454が描画されているため、キャラクタ491の周囲にアウトライン492が表示される。アウトライン492はキャラクタ491の全体に表示される。一方、通常のキャラクタ用スプライトデータ451が水領域502に配置される場合には、その背後にアウトライン表示用領域454が描画されていないため、アウトライン492は表示されない。また、通常のキャラクタ用スプライトデータ451が大気領域501と水領域502とにまたがって配置される場合には、大気領域501にアウトライン表示用領域454の一部が描画されているため、キャラクタ491において、大気領域501に存在する部分のみにアウトライン492が表示される。
【0867】
VDP635は、通常のキャラクタ用スプライトデータ451をフレーム領域642a,642bに配置した後、水画像データ503を再び読み出し、色情報及び透過性情報の変更を行わずに通常の水画像データ503をフレーム領域642a,642bに配置する。ここで、黒色の水画像データ503を配置する場合のパラメータと通常の水画像データ503を配置する場合のパラメータとは同じである。
【0868】
通常の水画像データ503の全ピクセル462には、水領域502を表示するためのR値の2倍のR値と、水領域502を表示するためのG値の2倍のG値と、水領域502を表示するためのB値の2倍のB値と、「0.5」のα値とが設定されているため、水領域502に含まれる単位エリア461には、現状当該単位エリア461に設定されている色情報と水画像データ503の色情報とを、通常の水画像データ503に設定されている「0.5」のα値に基づいてブレンドすることにより得られる色情報が設定される。現状単位エリア461に設定されている色情報が黒色の色情報である場合に、当該単位エリア461には、水領域502を表示するための色情報が設定される。
【0869】
ぼかし処理が行われない高期待度演出又は低期待度演出について上述した。ぼかし処理が行われる確定報知演出では、フレーム領域642a,642bにアウトライン表示用領域454が描画された後、黒色の水画像データ503がフレーム領域642a,642bに配置される前にぼかし処理が行われる。この場合には、キャラクタ491において、大気領域501に存在する部分にぼかしアウトライン493が表示される。
【0870】
以下に、アウトライン492又はぼかしアウトライン493を表示するための具体的な処理構成を説明する。図60は、表示CPU631にて実行されるアウトライン表示演出用の演算処理を示すフローチャートである。当該アウトライン表示演出用の演算処理は、タスク処理(図57)におけるステップS3106の演出用演算処理にて実行される。また、当該アウトライン表示演出用の演算処理は、現状設定されているデータテーブルにおいて、アウトライン表示演出についての情報が設定されている場合に起動される。
【0871】
先ずステップS3201では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、キャラクタ用スプライトデータ451を把握し、ステップS3202では、キャラクタ用スプライトデータ451のパラメータを演算して導き出し、その導き出したパラメータの情報をワークRAM632においてキャラクタ用スプライトデータ451に対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。
【0872】
ステップS3203では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、今回の演出が確定報知演出であるか否かについて判定する。今回の演出が確定報知演出である場合(ステップS3203:YES)には、ステップS3204にて、アウトライン表示用領域454に設定する色情報として、赤色の色情報を把握し、ステップS3205にて、ぼかし処理指定情報を記憶する。ぼかし処理指定情報が描画リストに設定された場合には、VDP635にて、アウトライン表示用領域454をぼかすためのぼかし処理が実行される。
【0873】
ステップS3206では、ステップS3202にて導き出したパラメータを利用して単一色のキャラクタ用スプライトデータ451をフレーム領域642a,642bに4回配置するための4つのパラメータを演算して導き出す。確定報知演出では、太いぼかしアウトライン493を表示するためのパラメータを導き出し、その導き出したパラメータの情報をワークRAM632において単一色のキャラクタ用スプライトデータ451に対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。単一色のキャラクタ用スプライトデータ451の4つのパラメータには4つの特別座標が含まれ、通常座標から4つの特別座標までの距離は単位エリア461を75個並べた距離である。
【0874】
今回の演出が確定報知演出でない場合(ステップS3203:NO)には、ステップS3207にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、今回の演出が高期待度演出であるか否かについて判定する。今回の演出が高期待度演出である場合(ステップS3207:YES)には、ステップS3208にて、アウトライン表示用領域454に設定する色情報として、赤色の色情報を把握する。
【0875】
ステップS3209では、ステップS3202にて導き出したパラメータを利用して単一色のキャラクタ用スプライトデータ451をフレーム領域642a,642bに4回配置するための4つのパラメータを演算して導き出す。高期待度演出では、太いアウトライン492を表示するためのパラメータを導き出し、その導き出したパラメータの情報をワークRAM632において単一色のキャラクタ用スプライトデータ451に対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。単一色のキャラクタ用スプライトデータ451の4つのパラメータには4つの特別座標が含まれ、通常座標から4つの特別座標までの距離は単位エリア461を75個並べた距離である。
【0876】
今回の演出が高期待度演出でない場合(ステップS3207:NO)には、今回の演出が低期待度演出であることを意味するため、ステップS3210にて、アウトライン表示用領域454に設定する色情報として黒色の色情報を把握する。
【0877】
ステップS3211では、ステップS3202にて導き出したパラメータを利用して単一色のキャラクタ用スプライトデータ451をフレーム領域642a,642bに4回配置するための4つのパラメータを演算して導き出す。低期待度演出では、細いアウトライン492を表示するためのパラメータを導き出し、その導き出したパラメータの情報をワークRAM632において単一色のキャラクタ用スプライトデータ451に対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。単一色のキャラクタ用スプライトデータ451の4つのパラメータには4つの特別座標が含まれ、通常座標から4つの特別座標までの距離は単位エリア461を50個並べた距離である。
【0878】
ステップS3206の処理、ステップS3209の処理又はステップS3211の処理の後、ステップS3212では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、水領域502を表示するための水画像データ503を把握し、ステップS3213では、黒色の水画像データ503を作成するための色情報及び透過性情報として黒色の色情報と不透過の透過性情報とを把握する。続くステップS3214では、水画像データ503のパラメータを演算して導き出し、その導き出したパラメータの情報をワークRAM632において当該水画像データ503に対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新して、本演算処理を終了する。
【0879】
上記のようにアウトライン表示演出用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理において、キャラクタ用スプライトデータ451及び水画像データ503の両方が描画対象として設定された描画リストが作成される。また、当該描画リストには、アウトライン表示用領域454の色情報、ぼかし処理指定情報の有無、キャラクタ用スプライトデータ451のパラメータ情報、単一色のキャラクタ用スプライトデータ451のパラメータ情報、水画像データ503のパラメータ情報及び黒色の水画像データ503のパラメータ情報が含まれる。そして、その作成された描画リストがVDP635に送信される。
【0880】
次に、VDP635にて実行されるアウトライン表示演出用の描画処理について、図61のフローチャートを参照しながら説明する。アウトライン表示演出用の描画処理は、描画処理(図54)のステップS3004にて実行される書き込み処理の一部の処理として実行される。
【0881】
先ずステップS3301では、アウトライン表示用領域454又はぼかしアウトライン表示用領域474を描画するためのアウトライン表示用領域の描画処理を実行する。ここで、アウトライン表示用領域の描画処理について、図62のフローチャートを参照しながら説明する。図62は、VDP635にて実行されるアウトライン表示用領域の描画処理を示すフローチャートである。
【0882】
先ずステップS3401にて、変数nに「1」を加算する。ここで、変数nは「0」から「4」までの整数をとり得る変数である。変数nはアウトライン表示用領域454又はぼかしアウトライン表示用領域474を描画するために、単一色のキャラクタ用スプライトデータ451を描画した回数を示している。ステップS3402では、描画リストに基づいて、アウトライン表示用領域454又はぼかしアウトライン表示用領域474に設定する色情報を把握する。続くステップS3403では、描画リストに基づいてキャラクタ用スプライトデータ451を読み出す。ステップS3404では、ステップS3402にて把握した色情報をキャラクタ用スプライトデータ451の全ピクセル462に設定して単一色のキャラクタ用スプライトデータ451を作成し、ステップS3405にて、描画リストに基づいて単一色のキャラクタ用スプライトデータ451のn回目のパラメータを把握する。
【0883】
描画リストには、アウトライン表示用領域454又はぼかしアウトライン表示用領域474を描画するために必要な異なる4つのパラメータが設定されている。単一色のキャラクタ用スプライトデータ451の描画を行う回数が変化するとともに、当該描画を行うためのパラメータも変化する。具体的には、1回目の描画においては通常のキャラクタ用スプライトデータ451の座標よりもx軸の負の方向にずれている座標が用いられるとともに、2回目の描画においてはx軸の正の方向にずれている座標が用いられる。また、3回目の描画においては通常のキャラクタ用スプライトデータ451の座標よりもy軸の負の方向にずれている座標が用いられるとともに、4回目の描画においてはy軸の正の方向にずれている座標が用いられる。
【0884】
ステップS3406では、ステップS3405にて把握した単一色のキャラクタ用スプライトデータ451のn回目のパラメータを用いてn回目のアウトライン用描画処理を実行する。アウトライン用描画処理では、作成対象として設定されているフレーム領域642a,642bに単一色のキャラクタ用スプライトデータ451を描画する。単一色のキャラクタ用スプライトデータ451の全ピクセル462には不透過の透過性情報が設定されているため、描画対象の単位エリア461には実行される演出に応じて赤色の色情報又は黒色の色情報が上書きされる。
【0885】
ステップS3407では、変数nが「4」であるか否かについて判定する。変数nが「3」以下の数字である場合(ステップS3407:NO)には、再びステップS3401に戻る。一方、変数nが「4」である場合(ステップS3407:YES)には、ステップS3408にて変数nを「0」クリアし、ステップS3409にて今回の描画リストにぼかし処理指定情報が設定されているか否かについて判定する。ぼかし指定情報が設定されていない場合(ステップS3409:NO)には、そのまま本描画処理を終了する。一方、ぼかし指定情報が設定されている場合(ステップS3409:YES)には、ステップS3410に進む。
【0886】
ステップS3410では、作成対象のフレーム領域642a,642bに描画されているアウトライン表示用領域454又はぼかしアウトライン表示用領域474を縮小する処理を行い、続くステップS3411では、ステップS3410にて縮小したアウトライン表示用領域454又はぼかしアウトライン表示用領域474を再び元の大きさに戻すための拡大処理を行って本描画処理を終了する。ステップS3410及びステップS3411にて実行されるぼかし処理により、アウトライン表示用領域454又はぼかしアウトライン表示用領域474の外縁が粗くなり、アウトライン表示用領域454又はぼかしアウトライン表示用領域474の外形を構成する線がぼやける。
【0887】
アウトライン表示演出用の描画処理(図61)の説明に戻り、ステップS3301にてアウトライン表示用領域の描画処理を行った後、ステップS3302では今回の描画リストに基づいて水画像データ503を把握し、ステップS3303では、黒色の水画像データ503を作成するために黒色不透過の色情報及び透過性情報を把握する。そして、ステップS3304にて、水画像データ503の全ピクセル462に黒色の色情報と不透過の透過性情報とを設定して黒色の水画像データ503を作成する。
【0888】
続くステップS3305では、描画リストを参照して、水画像データ503のパラメータを把握し、ステップS3306にて作成対象のフレーム領域642a,642bに黒色の水画像データ503を配置する。黒色の水画像データ503の全ピクセル462には、不透過の透過性情報が設定されているため、描画対象の単位エリア461には黒色の色情報が上書きされる。これにより、作成対象のフレーム領域642a,642bに描画されているアウトライン表示用領域454又はぼかしアウトライン表示用領域474において、大気領域501に含まれる領域が残り、水領域502に含まれる領域が黒色に塗りつぶされる。
【0889】
ステップS3307では、今回の描画リストに基づいてキャラクタ用スプライトデータ451を把握し、ステップS3308では、今回の描画リストに基づいて当該キャラクタ用スプライトデータ451のパラメータを把握する。そして、ステップS3309にて、作成対象のフレーム領域642a,642bにキャラクタ用スプライトデータ451を描画する。キャラクタ用スプライトデータ451の全ピクセル462には不透過の透過性情報が設定されているため、作成対象のフレーム領域642a,642bにおける描画対象の単位エリア461にキャラクタ用スプライトデータ451の色情報が上書きされる。これにより、作成対象のフレーム領域642a,642bに描画されているアウトライン表示用領域454又はぼかしアウトライン表示用領域474上にキャラクタ用スプライトデータ451が上書きされ、大気領域501に含まれる部分のみにアウトライン492又はぼかしアウトライン493が表示されるようになる。
【0890】
ステップS3310では、今回の描画リストに基づいて、水画像データ503を把握し、ステップS3311では、今回の描画リストに基づいて、水画像データ503のパラメータを把握する。そして、ステップS3312にて、作成対象のフレーム領域642a,642bに水画像データ503を描画して、本描画処理を終了する。水画像データ503の全ピクセル462には青色半透過の色情報及び透過性情報が設定されているため、描画対象の単位エリア461には、当該単位エリア461に設定されている色情報と青色の色情報とのブレンドにより得られる色情報が設定される。当該ブレンドは、水画像データ503に設定されている透過性情報に基づいて行われる。
【0891】
以上のとおり、単一色のキャラクタ用スプライトデータ451を作成し、キャラクタ491が描画される位置から上下左右に少しずつずれた位置に単一色のキャラクタ用スプライトデータ451を描画することにより、アウトライン表示用領域454を作成対象のフレーム領域642a,642bに描画する構成とした。そして、アウトライン表示用領域454又はぼかしアウトライン表示用領域474に上書きする態様で、キャラクタ用スプライトデータ451を作成対象のフレーム領域642a,642bに描画する構成とした。これにより、アウトライン表示用領域454又はぼかしアウトライン表示用領域474はキャラクタ用スプライトデータ451から上下左右に少しずつはみ出して表示される。当該はみ出し部分がアウトライン492又はぼかしアウトライン493として表示される。アウトライン492又はぼかしアウトライン493をキャラクタ491の全ての部位の四方にまんべんなく表示することができる。また、アウトライン表示用領域454又はぼかしアウトライン表示用領域474に含まれる単位エリア461に設定する単一の色情報は、実行する演出に応じて変化させることができる。したがって、同一のキャラクタ用スプライトデータ451を利用して、同一のキャラクタ491の外縁に色の異なるアウトライン492又はぼかしアウトライン493を表示することができる。さらに、単一色のキャラクタ用スプライトデータ451を配置する位置を変化させることにより、アウトライン492又はぼかしアウトライン493の太さを変化させることができる。
【0892】
メモリモジュール633には複数種類のキャラクタ用スプライトデータ451を1つずつ記憶し、開始タイミング又は更新タイミングにおいて、1つのキャラクタ用スプライトデータ451を複数回把握して作成対象のフレーム642a,642bに繰り返し描画する構成とした。具体的には、アウトライン表示用領域454を描画するために、キャラクタ用スプライトデータ451を4回把握してキャラクタ491の上下左右にずらして配置するとともに、キャラクタ491を描画するために、キャラクタ用スプライトデータ451を1回把握して作成対象のフレーム642a,642bに配置する構成とした。これにより、1つのキャラクタ用スプライトデータ451を用いて、キャラクタ491とアウトライン492又はぼかしアウトライン493とを表示することができる。キャラクタ491を表示するためのデータとアウトライン492又はぼかしアウトライン493を表示するためのデータとをメモリモジュール633に個別に記憶する場合と比較して、予め記憶するデータ容量を削減することができる。
【0893】
キャラクタ用スプライトデータ451をキャラクタ491から上下左右にずらして配置するために必要な異なる4つのパラメータ情報は、キャラクタ491を描画するためのパラメータ情報から導出する構成とした。これにより、キャラクタ491を描画するためのパラメータ情報とアウトライン表示用領域454を描画するための4つの異なるパラメータ情報とをメモリモジュール633に個別に記憶する場合と比較して、予め記憶するデータ容量を削減することができる。
【0894】
作成対象のフレーム領域642a,642bにアウトライン表示用領域454を描画した後、水領域502に含まれる単位エリア461に黒色の色情報を上書きし、その後にキャラクタ用スプライトデータ451をアウトライン表示用領域454又はぼかしアウトライン表示用領域474に上書きする態様で描画する構成とした。これにより、キャラクタ491について、大気領域501に存在する部位にはアウトライン492又はぼかしアウトライン493が表示されるが、水領域502に存在する部位にはアウトライン492又はぼかしアウトライン493が表示されない。このように、キャラクタ491に対して、アウトライン492又はぼかしアウトライン493を部分的に表示することができる。
【0895】
アウトライン表示用領域454を縮小した後、再び元の大きさに拡大することにより、ぼかしアウトライン表示用領域474を作成する構成とした。そして、ぼかしアウトライン表示用領域474に上書きする態様でキャラクタ用スプライトデータ451を描画する構成とした。これにより、キャラクタ491の外縁に外形線のぼやけたぼかしアウトライン493を表示することができる。ぼかし処理をアウトライン表示用領域454に選択的に実行する構成であるため、キャラクタ491の鮮明な画像と外形線のぼやけたぼかしアウトライン493との組合せを表示することができる。
【0896】
確定報知演出の場合には、キャラクタ491の外縁に赤色のぼかしアウトライン493を表示するとともに、高期待度演出の場合には、キャラクタ491の外縁に赤色のアウトライン492を表示する構成とした。また、低期待度演出の場合には、キャラクタ491の外縁に黒色のアウトライン492を表示する構成とした。これにより、遊技者はキャラクタ491の外縁を見ることにより、大当たりの期待度などを知ることができる。
【0897】
<アウトライン表示演出の別形態>
上述したアウトライン表示演出を実行するための構成において、アウトライン492を付加する対象は2次元のキャラクタ用スプライトデータ451を用いて表されるキャラクタ491に限られない。例えば、アウトラインを付加する対象として、3次元のオブジェクトを用いて表されるキャラクタを選択してもよい。
【0898】
具体的には、先ずキャラクタを表示するためのオブジェクトを当該オブジェクトのパラメータに設定されている座標に基づいてワールド座標系内に設定し、スクリーン領域PC12に対して投影することにより通常の投影データを作成する。そして、当該通常の投影データにおいて、オブジェクトが実際に投影された投影領域にキャラクタを表示するためのテクスチャを適用する。
【0899】
次に、キャラクタを表示するためのオブジェクトを、ワールド座標系において、当該オブジェクトのパラメータに設定されている座標よりもx軸の正の方向に所定量だけ移動した位置に設定するとともに、同一のオブジェクトを当該オブジェクトのパラメータに設定されている座標よりもx軸の負の方向に所定量だけ移動した位置に設定する。また、キャラクタを表示するためのオブジェクトを、ワールド座標系において、当該オブジェクトのパラメータに設定されている座標よりもy軸の正の方向に所定量だけ移動した位置に設定するとともに、同一のオブジェクトを当該オブジェクトのパラメータに設定されている座標よりもy軸の負の方向に所定量だけ移動した位置に設定する。
【0900】
ワールド座標系に設定されている4つのオブジェクトをスクリーン領域PC12に対して投影することによりアウトライン表示用の投影データを作成する。そして、当該アウトライン表示用の投影データにおいて、4つのオブジェクトが実際に投影された投影領域を構成する全てのドットに単一の色情報を設定する。
【0901】
2つの投影データは同じ矩形であるとともに同じ大きさである。2つの投影データには、縦方向に同じ数のドットが並んでいるとともに横方向に同じ数のドットが並んでいる。このため、通常の投影データを構成する各ドットと、アウトライン表示用の投影データを構成する各ドットとは、1対1で対応づけられる。
【0902】
次に、アウトライン表示用の投影データを基本データに設定するとともに、通常の投影データを優先データに設定して合成処理を実行する。当該合成処理では、優先データを構成するドットに設定されている色情報及び透過性情報に応じて、基本データを構成するドットに設定されている色情報が更新される。具体的には、優先データのドットに不透過の透過性情報が設定されている場合には、基本データの対応するドットに優先データのドットに設定されている色情報が上書きされる。また、優先データのドットに半透過の透過性情報が設定されている場合には、優先データのドットに設定されている透過性情報に基づいて優先データのドットに設定されている色情報と基本データの対応するドットに設定されている色情報とがブレンドされ、当該ブレンドで得られる色情報が基本データの対応するドットに上書きされる。そして、優先データのドットに設定されている透過性情報が完全透過である場合には、基本データの対応するドットに設定されている色情報が維持される。
【0903】
これにより、上書きされた基本データにおいて、キャラクタの外縁に単一色のアウトラインが表示される。キャラクタを表示するためのオブジェクトの投影領域の外形は、ワールド座標系におけるキャラクタを表示するためのオブジェクトと視点との相対的な関係に応じて変化する。このため、アウトラインを表示するための2次元データを予めメモリモジュール633に記憶しておく構成においては、投影データの様々な外形に対応するために大量の2次元データを記憶しておく必要がある。これに対して、キャラクタを表示するための投影データとアウトラインを表示するための投影データを個別に作成する構成では、メモリモジュール633に記憶されているキャラクタを表示するための1つのオブジェクトのみを用いてキャラクタとアウトラインを表示することができるため、メモリモジュール633に記憶するデータ容量を削減することができる。
【0904】
上述したアウトライン表示演出を実行するための構成において、アウトライン表示用領域454を描画する対象は、作成対象のフレーム領域642a,642bに限られない。例えば、フレームバッファ642にアウトライン表示用領域454のデータ又はぼかしアウトライン表示用領域474のデータを作成するためのアウトライン描画領域を設け、当該アウトライン描画領域にアウトライン表示用領域454を描画する構成としてもよい。
【0905】
また、アウトライン表示用領域454を描画するタイミングは、開始タイミング及び全ての更新タイミングに限られない。例えば、開始タイミング及び全ての更新タイミングの中で、新しい種類のキャラクタ用スプライトデータ451が用いられるタイミングのみにおいて、当該キャラクタ用スプライトデータ451の形状に対応したアウトライン表示用領域454のデータ又はぼかしアウトライン表示用領域474のデータを作成して別保存する構成とするとともに、既にキャラクタ用スプライトデータ451に対応するアウトライン表示用領域454のデータが別保存されているタイミングにおいては、別保存されているアウトライン表示用領域454のデータ又はぼかしアウトライン表示用領域474のデータを読み出して使用する構成としてもよい。
【0906】
具体的には、図柄表示装置31の表示面Gよりも小さい領域に対応するアウトライン描画領域をフレームバッファ642に設ける。VDP635は、開始タイミングにおいて、単一色のキャラクタ用スプライトデータ451を上下左右にずらして当該アウトライン描画領域に配置して、アウトライン表示用領域454を描画する。VDP635は、アウトライン描画領域において、単一色のキャラクタ用スプライトデータ451が配置されなかったピクセル462には、「0」のα値を設定する。
【0907】
確定報知演出が行われる場合には、太いぼかしアウトライン493を表示するためのアウトライン表示用領域454が描画される。そして、当該アウトライン表示用領域454が縮小された後、再び元の大きさに拡大されて、ぼかしアウトライン表示用領域474のデータが作成されて別保存される。
【0908】
高期待度演出が行われる場合には、太いアウトライン492を表示するためのアウトライン表示用領域454が描画され、得られたデータが別保存される。また、低期待度演出が行われる場合には、細いアウトライン492を表示するためのアウトライン表示用領域454が描画されて、得られたデータが別保存される。
【0909】
作成されたぼかしアウトライン表示用領域474のデータ又はアウトライン表示用領域454のデータには、基準となるピクセル462が1つ含まれている。また、メモリモジュール633には、開始タイミング及び各更新タイミングにおいて、ぼかしアウトライン表示用領域474のデータ又はアウトライン表示用領域454のデータを作成対象のフレーム領域642a,642bに配置するためのパラメータが設定されたテーブルが記憶されている。表示CPU631は、当該テーブルに基づいて、ぼかしアウトライン表示用領域474のデータ又はアウトライン表示用領域454のデータを作成対象のフレーム領域642a,642bに配置するためのパラメータを描画リストに設定する。そして、VDP635は、描画リストを参照して、ぼかしアウトライン表示用領域474のデータ又はアウトライン表示用領域454のデータを作成対象のフレーム領域642a,642bに配置するためのパラメータを把握する。
【0910】
確定報知演出、高期待度演出又は低期待度演出において、一度作成されたぼかしアウトライン表示用領域474のデータ又はアウトライン表示用領域454のデータは、当該演出が終了するまで保存される。VDP635は、各更新タイミングにおいて、今回使用するキャラクタ用スプライトデータ451を把握した後、当該キャラクタ用スプライトデータ451に対応するぼかしアウトライン表示用領域474のデータ又はアウトライン表示用領域454のデータが既に作成されているか否かについて判定する。データが既に作成されている場合には、別保存されているぼかしアウトライン表示用領域474のデータ又はアウトライン表示用領域454のデータを読み出して使用する。また、データが作成されていない場合には、今回のキャラクタ用スプライトデータ451に対応するぼかしアウトライン表示用領域474のデータ又はアウトライン表示用領域454のデータを新たに作成して別保存する。
【0911】
図柄表示装置31の表示面Gよりも小さい領域に対応するぼかしアウトライン表示用領域474のデータ又はアウトライン表示用領域454のデータを作成して別保存することにより、同じキャラクタ用スプライトデータ451が今回とは異なる位置に配置される場合にも、今回のぼかしアウトライン表示用領域474のデータ又はアウトライン表示用領域454のデータを使用することができる。
【0912】
確定報知演出、高期待度演出又は低期待度演出において、同じキャラクタ用スプライトデータ451のアウトライン表示用領域454を2回以上描画しない構成であるため、アウトライン表示演出を実行するための処理負荷を軽減することができる。
【0913】
上述したアウトライン表示演出を実行するための構成において、作成対象のフレーム領域642a,642bにキャラクタ用スプライトデータ451を複数回配置することによりキャラクタ491に付加される効果はアウトライン492に限られない。例えば、移動するキャラクタ491の残像を表示することができる。
【0914】
具体的には、キャラクタ用スプライトデータ451を読み出し、キャラクタ用スプライトデータ451を構成する全ピクセル462に設定されている色情報を黒色の色情報に変更して、黒色のキャラクタ用スプライトデータ451を作成する。そして、作成対象のフレーム領域642a,642bに描画されるキャラクタ491に対して、キャラクタ491の移動方向とは反対の方向(移動元の方向)に黒色のキャラクタ用スプライトデータ451を複数個並べて配置する。
【0915】
これにより、黒色の色情報が設定された領域が、移動しているキャラクタ491の残像として表示され、キャラクタ491が移動元から現在の位置に移動したことが分かりやすく表示される。キャラクタ491とキャラクタ491の残像とを同一のキャラクタ用スプライトデータ451を用いて表示するため、キャラクタ491を表示するためのデータとキャラクタ491の残像を表示するためのデータとを個別に記憶する場合と比較して、メモリモジュール633に記憶するデータ容量を削減することができる。
【0916】
また、作成対象のフレーム領域642a,642bにキャラクタ用スプライトデータ451を複数回配置することにより、キャラクタ491の背後にある壁に映るキャラクタ491の影を表示することもできる。
【0917】
具体的には、キャラクタ用スプライトデータ451を読み出し、当該キャラクタ用スプライトデータ451を構成する全ピクセル462に設定されている色情報を黒色の色情報に変更することにより黒色のキャラクタ用スプライトデータ451を作成する。そして、作成対象のフレーム領域642a,642bにおいて、キャラクタ491が描画される領域から右斜め上に所定距離ずれた位置に、黒色のキャラクタ用スプライトデータ451を配置する。当該影に上書きする態様で通常のキャラクタ用スプライトデータ451を描画することにより、キャラクタ491の背後にある壁に映るキャラクタ491の影を表示することができる。
【0918】
また、影を表示するために作成対象のフレーム領域642a,642bに配置する黒色のキャラクタ用スプライトデータ451を拡大することにより、キャラクタ491から離れた位置にある壁に映るキャラクタ491の影を表示することができる。キャラクタ491とキャラクタ491の影とを同一のキャラクタ用スプライトデータ451を用いて表示するため、キャラクタ491を表示するためのデータとキャラクタ491の影を表示するためのデータとを個別に記憶する場合と比較して、メモリモジュール633に記憶するデータ容量を削減することができる。
【0919】
また、キャラクタ491の全身に半透明のオーラを表示することができる。先ず作成対象のフレーム領域642a,642bに、通常のキャラクタ用スプライトデータ451を描画する。その後、同じキャラクタ用スプライトデータ451を読み出し、当該キャラクタ用スプライトデータ451を構成する全てのピクセル462に設定されている色情報を赤色の色情報に変更するとともに、全てのピクセル462に設定されている透過性情報を半透過の透過性情報に変更して、オーラ用スプライトデータを作成する。そして、オーラ用スプライトデータをキャラクタ491から上下左右にずらして設定することにより、オーラ表示用領域を描画する。
【0920】
詳細には、オーラ表示用領域が描画される単位エリア461に色情報が設定されていない場合には、当該単位エリア461にオーラ表示用領域の色情報がそのまま設定される。一方、オーラ表示用領域が描画される単位エリア461に色情報が設定されている場合には、当該単位エリア461に設定されている色情報とオーラ表示用領域に設定されている色情報とを、オーラ表示用領域に設定されている透過性情報に基づいてブレンドし、ブレンド結果を描画対象のドットに設定する。
【0921】
これにより、キャラクタ491の全身に赤色半透過のオーラを表示することができる。キャラクタ用スプライトデータ451を用いてオーラ表示用領域を描画する構成であるため、オーラ表示用領域を表示するための画像データを予め記憶する場合と比較して、メモリモジュール633に予め記憶する画像データのデータ容量を削減することができる。
【0922】
<上記実施形態の別形態>
なお、上述した実施形態の記載内容に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能である。例えば以下のように変更してもよい。ちなみに、以下の別形態の構成を、上記実施形態の構成に対して、個別に適用してもよく、組み合わせて適用してもよい。
【0923】
(1)メーター表示演出、球表示演出、雲表示演出及びオーラ表示演出において、テクスチャをオブジェクトの投影データに適用する方法は、オブジェクトをスクリーン領域PC12に投影して得られる投影データに対してテクスチャを適用する方法に限られない。例えば、オブジェクトにテクスチャを適用した後、オブジェクトをスクリーン領域PC12に対して投影する構成としてもよい。
【0924】
メーター表示演出では、メーター用テクスチャ281を平行投影用領域262に平行投影することにより、平行投影用領域262に存在するメーター用オブジェクト261の表面のドットに、投影されたメーター用テクスチャ281の色情報及び透過性情報を設定する。その後、メーター用オブジェクト261をスクリーン領域PC12に投影することにより、メーター用投影領域251の各ドットにメーター用テクスチャ281の色情報及び透過性情報が設定される。
【0925】
球表示演出では、ワールド座標系に配置された簡略版オブジェクト321に対して、球表示用テクスチャ342をUVマッピングにより適用する。その後、簡略版オブジェクト321をスクリーン領域PC12に対して投影することにより、球表示用テクスチャ342が適用された簡略版オブジェクト321の投影データを作成する。
【0926】
雲表示演出では、ワールド座標系に配置された雲表示用オブジェクト361に対して、UVマッピングにより、雲表示用テクスチャ362を適用する。その後、雲表示用オブジェクト361をスクリーン領域PC12に対して投影することにより、雲表示用テクスチャ362が適用された雲表示用オブジェクト361の投影データ352である雲表示用2次元データ363を作成する。
【0927】
オーラ表示演出では、ワールド座標系に配置されたキャラクタ用オブジェクトに対して、UVマッピングにより、部分用テクスチャを適用する。その後、キャラクタ用オブジェクトをスクリーン領域PC12に対して投影することにより、部分用テクスチャが適用されたキャラクタ用オブジェクトの投影データを作成する。
【0928】
(2)上記実施形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
【0929】
また、弾球式でない遊技機、例えば、複数種の図柄が周方向に付された複数の周回体として複数のリールを備え、メダルの投入及びスタートレバーの操作によりリールの回転を開始し、ストップスイッチが操作されることでリールが停止した後に、表示窓から視認できる有効ライン上に特定図柄又は特定図柄の組み合わせが成立していた場合にはメダルの払い出し等といった特典を遊技者に付与するスロットマシンにも、本発明を適用できる。この場合、スロットマシンの各種制御に対して本発明を適用できるとともに、リールとは別に液晶表示装置といった表示装置を備えた構成においては当該表示制御装置における画像の表示に係る制御に対して本発明を適用できる。
【0930】
また、取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機にも、本発明を適用できる。
【0931】
<上記実施形態から抽出される発明群について>
以下、上述した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0932】
<特徴A群>
特徴A1.仮想3次元空間内に3次元情報であるオブジェクトの画像データを配置する配置手段(VDP135におけるステップS702~ステップS704の処理を実行する機能)と、前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるステップS705の処理を実行する機能)と、前記視点に基づいて設定される投影平面(スクリーン領域PC12)に前記オブジェクトの画像データを投影し、当該投影平面に投影されたデータに基づいて生成データ(描画データ)を生成する描画用設定手段(VDP135におけるステップS709~ステップS711の処理を実行する機能)と、を有するデータ生成手段(表示CPU131、ジオメトリ演算部151、レンダリング部152)によって生成された生成データを記憶する記憶手段(フレームバッファ142)と、
当該記憶手段に記憶された生成データに対応した画像を表示手段(図柄表示装置31)に出力表示する表示制御手段(VDP135の表示回路155)と、
を備えている遊技機において、
前記配置手段は、
所定個別画像(メーター241a~241e,242)を表示するための所定オブジェクトデータ(メーター用オブジェクト261)の尺度(メーター用オブジェクト261の長手方向の縮小倍率)を変更する尺度変更手段(VDP135におけるステップS1009の処理を実行する機能)と、
前記所定オブジェクトデータを前記仮想3次元空間に配置する所定配置手段(VDP135におけるステップS1010の処理を実行する機能)と、
特定オブジェクトデータ(枠用オブジェクト231、ブランクオブジェクト291)を前記仮想3次元空間に配置する特定配置手段(VDP135におけるステップS1105の処理を実行する機能、VDP135におけるステップS1111の処理を実行する機能)と、
を備え、
前記描画用設定手段は、前記所定オブジェクトデータに対応する所定テクスチャデータ(メーター用テクスチャ281)を利用することにより前記所定個別画像の表示を可能とするテクスチャ利用手段(VDP135におけるステップS1212の処理を実行する機能)を備え、
当該テクスチャ利用手段は、
前記所定オブジェクトデータにおける第1基準データ(固定端側の基準データ263,298を生成するメーター用オブジェクト261の固定端側の辺C)、及び前記特定オブジェクトデータにおける第2基準データ(移動端側の基準データ264を生成する枠用オブジェクト231の移動端側の辺B、移動端側の基準データ292を生成するブランクオブジェクト291)を含む複数の基準データを用いて規定される規定範囲(平行投影用領域)を前記所定テクスチャデータの適用範囲として定める適用範囲設定手段(VDP135におけるステップS1208,ステップS1209及びステップS1211の処理を実行する機能)と、
前記規定範囲が適用範囲とされた前記所定テクスチャデータのうち、前記所定オブジェクトデータにより規定される所定範囲(メーター用投影領域251)に対応する部分のデータが表示対象となるようにする表示対象設定手段(VDP135におけるステップS1212の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
【0933】
特徴A1によれば、所定テクスチャデータの適用範囲である規定範囲は第1基準データと第2基準データとを含む複数の基準データで規定される。一方、所定テクスチャデータのうち表示対象となる範囲は所定オブジェクトデータにより規定される所定範囲に応じて決まる。このため、所定テクスチャデータの適用範囲を変えることなく、所定テクスチャデータにおいて表示対象となる範囲を変えることができる。
【0934】
これに対して、所定オブジェクトデータと所定テクスチャデータとの対応関係が一定であり、所定オブジェクトデータの尺度変更によって、所定テクスチャデータの適用範囲と表示対象範囲とが変更される構成では、所定テクスチャデータの適用範囲を変えることなく、所定オブジェクトデータの表示対象範囲のみを変えるために、所定オブジェクトデータの尺度を変更する処理に加えて、所定オブジェクトデータと所定テクスチャデータとの対応関係を変更する処理を実行する必要がある。
【0935】
このため、所定テクスチャデータの適用範囲が所定オブジェクトデータの第1基準データと特定オブジェクトデータの第2基準データとを含む複数の基準データにより規定される構成とすることにより、所定テクスチャデータの適用範囲を一定に保ちながら、所定テクスチャデータにおいて表示対象となる範囲を変更するための処理負荷を軽減することができる。
【0936】
特徴A2.前記尺度変更手段は、前記所定オブジェクトデータの前記尺度を所定の方向に変更し、
前記第1基準データは、前記規定範囲において、前記所定の方向の一端(固定端側)を規定するための前記基準データであり、
前記第2基準データは、前記規定範囲において、前記所定の方向の他端(移動端側)を規定するための前記基準データであることを特徴とする特徴A1に記載の遊技機。
【0937】
特徴A2によれば、仮想3次元空間における第1基準データと第2基準データとの位置関係により、所定テクスチャデータの適用範囲において、所定オブジェクトデータの尺度が変化する方向の長さが決まる。第1基準データと第2基準データとの位置関係の変更は、所定オブジェクトデータの尺度の変更態様に影響されることなく実行することができるため、第1基準データと第2基準データとの位置関係を一定に保つとともに、所定オブジェクトデータの尺度を一定の方向に変更することにより、所定テクスチャデータの適用範囲を一定に保ちながら、所定テクスチャデータの表示対象の範囲を変更することができる。
【0938】
特徴A3.前記特定配置手段は、前記尺度変更手段が前記所定オブジェクトデータの前記尺度を所定尺度(初期状態と同じ100パーセントの倍率)とした場合に、前記所定オブジェクトデータにおいて、前記所定の方向の一端であって、前記第1基準データとは反対側の一端(メーター用オブジェクト261の移動端側の辺D)が前記第2基準データと一致する態様で前記特定オブジェクトデータを前記仮想3次元空間に配置することを特徴とする特徴A2に記載の遊技機。
【0939】
特徴A3によれば、所定オブジェクトデータの尺度が所定尺度とされた場合に、所定オブジェクトデータにおいて、一定の方向の一端であり、第1基準データの反対側の一端と、第2基準データとが一致するとともに、所定オブジェクトデータの一定の方向の長さと、所定テクスチャデータの適用範囲における一定の方向の長さとが一致する構成である。このため、所定テクスチャデータの適用範囲の全体が表示対象の範囲となるタイミングを含む演出を行うことができる。
【0940】
特徴A4.前記特定配置手段は、前記第1基準データと前記第2基準データとの位置関係が一定となる態様で、前記特定オブジェクトデータを前記仮想3次元空間に配置することを特徴とする特徴A1乃至A3のいずれか1に記載の遊技機。
【0941】
特徴A4によれば、第1基準データと第2基準データとの位置関係を一定に保つ構成とすることにより、所定テクスチャデータの適用範囲を一定に保ちながら、所定テクスチャデータの表示対象範囲を所定オブジェクトデータの尺度に応じて変更することが可能となる。
【0942】
特徴A5.前記特定オブジェクトデータは、前記所定個別画像の枠画像(枠231a~231e)を表示するためのオブジェクトデータ(枠用オブジェクト231)であることを特徴とする特徴A1乃至A4のいずれか1に記載の遊技機。
【0943】
特徴A5によれば、所定テクスチャデータの適用範囲を規定するためのオブジェクトの画像データと、枠画像を表示するためのオブジェクトの画像データと、が同一であるため、所定テクスチャデータの適用範囲を規定するためのオブジェクトの画像データを配置することにより、所定個別画像の表示内容が変更されてしまう事態を回避することができる。また、所定テクスチャデータの適用範囲を規定するためのオブジェクトの画像データと、枠画像を表示するためのオブジェクトの画像データとが個別に記憶されている場合と比較して、予め記憶されるデータ容量を削減することができる。
【0944】
特徴A6.前記特定オブジェクトデータは、表示対象ではなく、前記規定範囲を規定するために配置されるオブジェクトデータ(ブランクオブジェクト291)であることを特徴とする特徴A1乃至A4のいずれか1に記載の遊技機。
【0945】
特徴A6によれば、表示対象ではない第2特定オブジェクトデータを配置することにより、所定テクスチャデータの投影範囲を規定することができる。第2特定オブジェクトデータは表示対象ではないため、第2特定オブジェクトデータが配置されることにより、所定個別画像の内容が変更されることはない。このため、表示画像の内容に関係なく、所定テクスチャデータの適用範囲を規定することができる。
【0946】
特徴A7.前記特定オブジェクトデータが1次元のオブジェクトデータであることを特徴とする特徴A6に記載の遊技機。
【0947】
特徴A7によれば、所定テクスチャデータの適用範囲を規定するための第2特定オブジェクトデータのデータ容量を最小限に抑えることにより、予め記憶するデータ容量の増加を抑えるとともに、第2特定オブジェクトデータを仮想3次元空間に配置するための処理負荷を軽減することができる。
【0948】
特徴A8.前記所定配置手段は、前記所定個別画像として、第1所定個別画像(例えば第1キャラクタ221の下方に位置するメーター241a)と、前記第1所定個別画像とは異なる第2所定個別画像(例えば第2キャラクタ222の下方に位置するメーター242a)と、を表示するために、データ記憶手段(メモリモジュール133)に記憶さている1の前記所定オブジェクトデータのアドレスに2回アクセスすることにより、前記仮想3次元空間の異なる位置に2つの前記所定オブジェクトデータを配置し、
前記尺度変更手段は、前記第1所定個別画像を表示するために配置される前記所定オブジェクトデータの前記尺度と、前記第2所定個別画像を表示するために配置される前記所定オブジェクトデータの前記尺度と、を異なるものとし、
前記テクスチャ利用手段は、前記第1所定個別画像と前記第2所定個別画像とを表示するために、前記データ記憶手段に記憶されている1の前記所定テクスチャデータのアドレスに2回アクセスすることにより、前記所定テクスチャデータを前記仮想3次元空間の異なる位置に配置されている2つの前記所定オブジェクトデータに適用することを特徴とする特徴A1乃至A7のいずれか1に記載の遊技機。
【0949】
特徴A8によれば、データ記憶手段に記憶されている1つの所定オブジェクトデータと1つの所定テクスチャデータとを利用して、異なる複数の個別画像を表示することができる。異なる複数の個別画像を表示するために必要なオブジェクトの画像データの数とテクスチャデータの数とを最小限に抑えることができるため、予め記憶するデータ容量の増加を抑えることができる。
【0950】
特徴A9.前記所定テクスチャデータは、前記所定オブジェクトデータの前記尺度が変更される方向に沿って変化する模様の画像データであることを特徴とする特徴A1乃至A8のいずれか1に記載の遊技機。
【0951】
特徴A9によれば、所定オブジェクトデータの尺度を変更することにより、所定テクスチャデータの表示対象の範囲が変更されることを利用して、所定オブジェクトデータの尺度に応じて模様が変化する所定個別画像を表示することができる。遊技者に対して、所定テクスチャデータの表示対象の範囲が変化したことを分かりやすく表示することができる。
【0952】
なお、特徴A1~A9のいずれか1の構成に対して、特徴A1~A9、特徴B1~B5、特徴C1~C10、特徴D1~D8のうちいずれか1又は複数の構成を適用してもよい。これにより、その組み合わせた構成による相乗的な効果を奏することが可能となる。
【0953】
上記特徴A群の発明は、以下の課題を解決することが可能である。
【0954】
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機としては、例えば液晶表示装置といった表示装置を備えたものが知られている。当該遊技機では、画像用のデータが予め記憶されたメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像用のデータを用いて表示装置の表示部にて所定の画像が表示されることとなる。
【0955】
近年では、2次元の画像を単純に表示するのではなく、3次元で規定された画像データを用いることで、より立体的な画像の表示を行おうとする試みがなされている。当該表示を行う場合には、仮想3次元空間上に3次元画像データであるオブジェクトが設定され、当該オブジェクトを所望の視点から平面上に投影した生成データが生成される。そして、その生成データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、立体的な画像が表示されることとなる。
【0956】
ここで、上記例示等のような遊技機においては、表示制御を好適に行うことが可能な構成が求められており、この点について未だ改良の余地がある。
【0957】
<特徴B群>
特徴B1.仮想3次元空間内に3次元情報であるオブジェクトの画像データを配置する配置手段(VDP135におけるステップS702~ステップS704の処理を実行する機能)と、前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるステップS705の処理を実行する機能)と、前記視点に基づいて設定される投影平面(スクリーン領域PC12)に前記オブジェクトの画像データを投影し、当該投影平面に投影された投影データに基づいて生成データ(描画データ)を生成する描画用設定手段(VDP135におけるステップS709~ステップS711の処理を実行する機能)と、を有するデータ生成手段(表示CPU131、ジオメトリ演算部151、レンダリング部152)によって生成された生成データを記憶する記憶手段(フレームバッファ142)と、
当該記憶手段に記憶された生成データに対応した画像を表示手段(図柄表示装置31)に出力表示する表示制御手段(VDP135の表示回路155)と、
を備えている遊技機において、
前記配置手段は、
一部の面である投影対象面が投影対象となり一部の面である非投影対象面が投影対象とならない部分対応オブジェクト(簡略版オブジェクト321)を前記仮想3次元空間に配置する手段(VDP135におけるステップS1403の処理を実行する機能)と、
前記投影対象面が投影対象となり前記非投影対象面が投影対象とならないように前記部分対応オブジェクトの角度を設定する手段(表示CPU131におけるステップS1303、ステップS1306、ステップS1312及びステップS1316の処理を実行する機能)と、
を備え、
前記描画用設定手段は、前記投影対象面に対応する対応テクスチャデータ(球表示用テクスチャ342)を利用することにより前記投影対象面に対応する画像の表示を可能とする対応利用手段(VDP135におけるステップS1506の処理を実行する機能)を備え、
当該対応利用手段は、前記仮想3次元空間における前記部分対応オブジェクトの角度に応じて、前記対応テクスチャデータにおいて前記投影対象面に適用する範囲を変更させる範囲変更手段(VDP135におけるステップS1504及びステップS1505の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする遊技機。
【0958】
特徴B1によれば、投影対象面が投影対象となり、非投影対象面が投影対象とならないように部分対応オブジェクトの角度を設定する構成において、部分対応オブジェクトの角度に応じて、投影対象面に適用する対応テクスチャデータの範囲を変更する構成とすることにより、異なるタイミングで表示される内容の異なる複数の画像は、部分対応オブジェクトを用いて表示される構造を一部の構造として有する3次元の物体を複数の角度から見た場合の画像であると遊技者に印象付けることができる。
【0959】
表示対象となる3次元の物体の全体を表示するためのオブジェクトを用いる場合と比較して、当該3次元の物体を表示するために予め記憶するデータ容量の増加を抑えるとともに、表示対象となる3次元の物体を表示するための処理負荷を軽減することができる。
【0960】
特徴B2.前記部分対応オブジェクトは、前記投影対象面が球面を表示するための構造を有していることを特徴とする特徴B1に記載の遊技機。
【0961】
特徴B2によれば、表示対象となる3次元の物体を複数の角度から見た場合の画像の全てに球面を表示することができる。このため、予め記憶するデータ容量の増加を抑えるとともに、処理負荷を軽減しながら、投影対象面が有する球面を表示するための構造に対応する球面よりも広い球面を表示することができる。
【0962】
特徴B3.前記部分対応オブジェクトは、前記投影データに、前記部分対応オブジェクトが投影された領域である投影領域が含まれる場合に、前記部分対応オブジェクトにおいて、前記投影領域の外縁を生じさせる箇所の方が、前記投影領域の内側部分を生じさせる箇所よりも多くの頂点を有していることを特徴とする特徴B1又はB2に記載の遊技機。
【0963】
特徴B3によれば、投影対象面が投影対象となる角度で部分対応オブジェクトを配置する構成において、部分対応オブジェクトの投影領域の内側部分を生じさせる箇所の頂点数を部分対応オブジェクトの投影領域の外縁を生じさせる箇所の頂点数よりも少なくすることにより、部分対応オブジェクトの投影領域の内側部分を生じさせる箇所の頂点数を部分対応オブジェクトの投影領域の外縁を生じさせる箇所の頂点数と同じ又はそれ以上とする場合と比較して、部分対応オブジェクトを利用するために予め記憶するデータ容量の増加を抑えるとともに、部分対応オブジェクトを利用するための処理負荷を軽減することができる。
【0964】
特徴B4.前記範囲変更手段は、前記配置手段が設定する前記部分対応オブジェクトの前記角度が変化する度に、前記対応テクスチャデータにおいて前記投影対象面に適用する範囲を変更させることを特徴とする特徴B1乃至B3のいずれか1に記載の遊技機。
【0965】
特徴B4によれば、部分対応オブジェクトの投影対象面が投影対象となるように部分対応オブジェクトの角度を設定する構成において、部分対応オブジェクトの角度が変化する度に、投影対象面に適用する対応テクスチャデータの範囲を変更することにより、部分対応オブジェクトの角度が変更されるタイミングにおいて、表示対象となる3次元の物体における表示範囲が変更されたという印象を遊技者に与えることができる。
【0966】
特徴B5.前記配置手段は、前記部分対応オブジェクトの前記視点に対する角度が常に一定となるように前記部分対応オブジェクトの角度を設定することを特徴とする特徴B1乃至B4のいずれか1に記載の遊技機。
【0967】
特徴B5によれば、部分対応オブジェクトは常に一方向から投影平面に投影されるため、一方向からの投影のみに対応している部分対応オブジェクトを用いることが可能となる。多方向からの投影に対応している部分対応オブジェクトを用いる場合と比較して、部分対応オブジェクトのデータ容量を低減することができる。
【0968】
なお、特徴B1~B5のいずれか1の構成に対して、特徴A1~A9、特徴B1~B5、特徴C1~C10、特徴D1~D8のうちいずれか1又は複数の構成を適用してもよい。これにより、その組み合わせた構成による相乗的な効果を奏することが可能となる。
【0969】
上記特徴B群の発明は、以下の課題を解決することが可能である。
【0970】
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機としては、例えば液晶表示装置といった表示装置を備えたものが知られている。当該遊技機では、画像用のデータが予め記憶されたメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像用のデータを用いて表示装置の表示部にて所定の画像が表示されることとなる。
【0971】
近年では、2次元の画像を単純に表示するのではなく、3次元で規定された画像データを用いることで、より立体的な画像の表示を行おうとする試みがなされている。当該表示を行う場合には、仮想3次元空間上に3次元画像データであるオブジェクトが設定され、当該オブジェクトを所望の視点から平面上に投影した生成データが生成される。そして、その生成データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、立体的な画像が表示されることとなる。
【0972】
ここで、上記例示等のような遊技機においては、表示制御を好適に行うことが可能な構成が求められており、この点について未だ改良の余地がある。
【0973】
<特徴C群>
特徴C1.画像データに基づいてデータ生成手段(表示CPU131、ジオメトリ演算部151、レンダリング部152)により生成された生成データ(描画データ)を記憶する記憶手段(フレームバッファ142)と、
当該記憶手段に記憶された前記生成データに対応した画像を表示手段(図柄表示装置31の表示面G)に出力表示する表示制御手段(VDP135の表示回路155)と、
を備えている遊技機において、
前記データ生成手段は、
特定形状の画像を第1サイズで表示可能とする第1対応データ(雲表示用オブジェクト361の投影データ352、オーラ用頭部投影データ382b)、及び前記特定形状の画像を前記第1サイズよりも小さい第2サイズで表示可能とする第2対応データ(切り抜き用オブジェクト364の投影データ351、頭部用投影データ372b)のそれぞれを使用可能な状態とする使用設定手段(VDP135におけるステップS1901~ステップS1906の処理を実行する機能、VDP135におけるステップS2001~ステップS2006の処理を実行する機能)と、
前記第1サイズの前記特定形状の画像と前記第2サイズの前記特定形状の画像との中心(雲表示用オブジェクト361の中心対応点352cと切り抜き用オブジェクト364の中心対応点351c、頭部用オーラオブジェクト382aの中心対応点382fと頭部用オブジェクト372aの中心対応点372f)が一致するように前記第1対応データと前記第2対応データとの位置関係を調整した場合に前記第1サイズの前記特定形状の画像において前記第2サイズの前記特定形状の画像よりも外側にはみ出す部分(枠領域353a、頭部オーラ領域392)が前記第1対応データにおける表示対象画像(ぼかし枠領域367a、オーラ412~417)となるように、前記第1対応データにおいて前記特定形状の画像の表示を可能とするデータ群のうち、前記第2対応データにおいて前記特定形状の画像の表示を可能とするデータ群に対応する部分(雲表示用2次元データにおいて切り抜き用投影領域351aに対応する部分、オーラ用頭部投影データ382bにおいて頭部用投影領域372cに対応する部分)を非表示対象とする非表示用手段(VDP135におけるステップS2103~ステップS2106の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
【0974】
特徴C1によれば、第1対応データ及び第2対応データを利用することにより、第1サイズの特定形状の画像及び第2サイズの特定形状の画像に加えて、第1サイズの特定形状の画像において、当該画像の外縁の枠部分のみの画像を表示することができる。第1対応データ及び第2対応データに加えて、第1サイズの特定形状の画像のうち、当該画像の外縁の枠部分のみの画像を表示可能とするデータを予め記憶する構成と比較して、予め記憶するデータ容量の増加を抑えることができる。
【0975】
特徴C2.前記使用設定手段は、前記第1対応データ、及び前記第2対応データのそれぞれを異なる画像データ(雲表示用オブジェクト361、切り抜き用オブジェクト364、頭部用オブジェクト372a、頭部用オーラオブジェクト382a)から生成することを特徴とする特徴C1に記載の遊技機。
【0976】
特徴C2によれば、第1対応データを生成するためのデータと第2対応データを生成するためのデータとは異なる。このため、各対応データを生成するのに適したデータに基づいて各対応データを生成することが可能であり、各対応データを生成するための処理負荷を軽減することができる。
【0977】
特徴C3.前記データ生成手段は、
前記第1対応データを生成するための前記画像データとして、3次元情報である第1対応オブジェクト(雲表示用オブジェクト361、頭部用オーラオブジェクト382a)を仮想3次元空間に配置する手段(VDP135におけるステップS1903の処理を実行する機能)と、
前記第2対応データを生成するための前記画像データとして、前記第1対応オブジェクトと同じ形状であり、前記第1対応オブジェクトよりもサイズが小さい3次元情報である第2対応オブジェクト(切り抜き用オブジェクト364、頭部用オブジェクト372a)を、前記仮想3次元空間における前記第2対応オブジェクトの座標及び角度が前記仮想3次元空間における前記第1対応オブジェクトの座標及び角度と同じになるように、前記仮想3次元空間に配置する手段(VDP135におけるステップS2002及びステップS2003の処理を実行する機能)と、
前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるステップS705の処理を実行する機能)と、
前記視点に基づいて設定される投影平面(スクリーン領域PC12)に前記第1対応オブジェクトを投影して前記第1対応データを生成する手段(VDP135におけるステップS1904の処理を実行する機能)と、
前記投影平面に前記第2対応オブジェクトを投影して前記第2対応データを生成する手段(VDP135におけるステップS2004の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴C2に記載の遊技機。
【0978】
特徴C3によれば、第2対応オブジェクトは、第1対応オブジェクトと同じ形状であり、第1対応オブジェクトよりも小さいサイズであるため、第1対応オブジェクトを仮想3次元空間に配置するための座標及び角度と、第2対応オブジェクトを仮想3次元空間に配置するための座標及び角度とのそれぞれに同じ値を使用することができる。また、第1対応オブジェクトのサイズを第1サイズに対応したサイズとするとともに、第2対応オブジェクトのサイズを第2サイズに対応したサイズとすることにより、第1対応データ及び第2対応データを生成するための処理負荷を軽減することができる。
【0979】
特徴C4.前記使用設定手段は、前記第1対応データ、及び前記第2対応データのそれぞれを同じ画像データ(例えば雲表示用オブジェクト361、例えば頭部用オブジェクト372a)から生成することを特徴とする特徴C1に記載の遊技機。
【0980】
特徴C4によれば、同じ画像データを利用するため、第1対応データ及び第2対応データを生成するために予め記憶するデータ容量の増加を抑えることができる。
【0981】
特徴C5.前記非表示用手段は、前記第1対応データにおいて前記特定形状の画像の表示を可能とするデータ群のうち、前記第2対応データにおいて前記特定形状の画像の表示を可能とするデータ群に対応する部分を非表示対象とすることにより、前記第1サイズの前記特定形状の画像における外縁の枠画像を表示可能とする枠画像用データ(枠表示用2次元データ353、頭部オーラ用2次元データ392a)を生成する枠画像生成手段(VDP135におけるステップS2103~ステップS2106の処理を実行する機能)を備え、
前記データ生成手段は、前記枠画像用データに基づいて前記第1対応データの内容を変更することにより、前記第1対応データにより表示される前記第1サイズの前記特定形状の画像と、前記枠画像データにより表示される前記外縁の枠画像と、が、前記外縁の枠画像が手前側となる態様で奥行き方向に重なり、前記外縁の枠画像が前記第1サイズの前記特定形状の画像における外縁部分に表示される画像を表示可能とする変更データ(雲用描画データ368、オーラ付きキャラクタ用描画データ421a)を生成する外縁部分変更手段(VDP135におけるステップS1810~ステップS1812の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴C1乃至C4のいずれか1に記載の遊技機。
【0982】
特徴C5によれば、枠画像用データにより表示される外縁の枠画像が第1対応データにより表示される特定形状の画像の外縁部分に表示される構成であるため、特定形状の画像において、外縁部分よりも内側の内容を変更することなく、外縁部分の内容だけを変更することができる。第1対応データを利用して枠画像用データを生成する構成であるため、予め記憶するデータ容量の増加を抑えながら、特定形状の画像における外縁部分の内容を変更することができる。
【0983】
特徴C6.前記外縁部分変更手段は、前記枠画像用データに対して、前記枠画像用データにより表示可能となる前記外縁の枠画像をぼかすためのぼかし処理(VDP135におけるステップS1805~ステップS1809の処理)を行った後、前記ぼかし処理後の前記枠画像用データに基づいて前記第1対応データの内容を変更することを特徴とする特徴C5に記載の遊技機。
【0984】
特徴C6によれば、特定形状の画像において、外縁部分よりも内側の内容を変更することなく、外縁部分の画像だけをぼやけた画像に変更することができる。第1対応データを利用して枠画像用データを生成し、当該枠画像用データに対してぼかし処理を実行する構成であるため、予め記憶するデータ容量の増加を抑えながら、特定形状の画像における外縁部分の画像をぼかすことができる。
【0985】
特徴C7.前記特定形状の画像は、前記特定形状の画像の一部である第1部分の画像(例えばキャラクタ371の胴部375の画像)と、前記特定形状の画像の一部であり、前記第1部分の画像と奥行き方向に重なる重なり領域を有し、前記第1部分の画像よりも手前側に位置する第2部分の画像(例えばキャラクタ371の右腕部373の画像)と、を含み、
前記使用設定手段は、前記第1部分の画像を前記第1サイズで表示可能とする第1部分の第1対応データと、前記第2部分の画像を前記第1サイズで表示可能とする第2部分の第1対応データと、を使用可能な状態とし、
前記枠画像生成手段は、前記第1サイズの前記第1部分の画像における外縁の枠画像を表示可能とする第1部分の枠画像用データと、前記第1サイズの前記第2部分の画像における外縁の枠画像を表示可能とする第2部分の枠画像用データと、を生成し、
前記外縁部分変更手段は、前記第1部分の枠画像用データにより表示される外縁の枠画像が、前記第1部分の画像における外縁部分の手前側に設定されている画像である第1部分の変更画像を表示可能とする第1部分の変更データ(オーラ付き胴部用2次元データ415a)と、前記第2部分の枠画像用データにより表示される外縁の枠画像が、前記第2部分の画像における外縁部分の手前側に設定されている画像である第2部分の変更画像を表示可能とする第2部分の変更データ(オーラ付き右腕部用2次元データ413a)と、を生成し、
前記データ生成手段は、前記第1部分の変更画像と前記第2部分の変更画像とが前記重なり領域を有し、前記第2部分の変更画像が前記第1部分の変更画像よりも手前側となる態様で、前記第1部分の変更データと前記第2部分の変更データとを合成することにより、前記第1部分の画像における前記重なり領域の外縁部分の内容と、前記第2部分の画像における前記重なり領域の外縁部分の内容と、が変更されている合成データ(オーラ付きキャラクタ用描画データ421a)を生成することを特徴とする特徴C5又はC6に記載の遊技機。
【0986】
特徴C7によれば、第1部分の変更データと第2部分の変更データとのそれぞれを個別に生成して合成する構成である。第1部分の画像と第2部分の画像とが重なっている状態で、外縁部分の内容が変更された画像を表示可能とするデータを生成すると、重なり領域の外縁部分の内容は変更されない。これに対して、第1部分の外縁部分の内容が変更された第1部分の変更データと、第2部分の外縁部分の内容が変更された第2部分の変更データと、を個別に生成して合成することにより、重なり領域の外縁部分の内容も変更された特定形状の画像を表示することができる。
【0987】
特徴C8.前記枠画像生成手段は、前記第1対応データにおいて、前記特定形状の画像に対応する領域に単一の色情報を設定した後、前記第1対応データにおいて前記特定形状の画像の表示を可能とするデータ群のうち、前記第2対応データにおいて前記特定形状の画像の表示を可能とするデータ群に対応する部分を非表示対象とすることにより、前記第1サイズの前記特定形状の画像において、前記単一の色情報が設定された前記外縁の枠画像を表示可能とする前記枠画像用データを生成することを特徴とする特徴C5乃至C7のいずれか1に記載の遊技機。
【0988】
特徴C8によれば、第1対応データを利用して、単一色の外縁の枠画像を表示可能とする枠画像用データを生成することにより、予め記憶するデータ容量の増加を抑えながら、特定形状の画像の外縁部分を単一色に変更することができる。
【0989】
特徴C9.前記データ生成手段は、
前記外縁部分変更手段が生成した前記変更データを保存する保存手段(VDP135におけるステップS1813の処理を実行する機能、VDP135におけるステップS2812の処理を実行する機能)と、
前記変更データを新たに生成することなく、前記保存手段により保存されている前記変更データを利用することを特徴とする特徴C5乃至C8のいずれか1に記載の遊技機。
【0990】
特徴C9によれば、使用可能な変更データが保存されている場合に、新たな変更データを生成することなく、保存されている変更データを使用することにより、変更データを保存しない構成と比較して、変更データを利用するための処理負荷を軽減することができる。
【0991】
特徴C10.前記使用設定手段は、
仮想3次元空間内に3次元情報であるオブジェクトの画像データ(雲表示用オブジェクト361、切り抜き用オブジェクト364、頭部用オーラオブジェクト382a、頭部用オブジェクト372a)を配置する手段(VDP135におけるステップS1903の処理を実行する機能、VDP135におけるステップS2003の処理を実行する機能)と、
前記仮想3次元空間に視点(視点PC11)を設定する視点設定手段(VDP135におけるステップS705の処理を実行する機能)と、
前記視点に基づいて設定される投影平面(スクリーン領域PC12)に前記オブジェクトの画像データを投影し、当該投影平面に投影されたデータに基づいて前記第1対応データ、及び前記第2対応データのそれぞれを生成する手段(VDP135におけるステップS1904の処理を実行する機能、VDP135におけるステップS2004の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴C5乃至C9のいずれか1に記載の遊技機。
【0992】
特徴C10によれば、オブジェクトの画像データが投影平面に投影されたデータに基づいて第1対応データ及び第2対応データを生成し、当該第1対応データ及び第2対応データを利用して、特定形状の画像において、外縁の枠部分の内容が変更された画像を表示する構成であるため、各タイミングにおける外縁の枠部分の形状に合わせた枠画像データを予め記憶しておく構造と比較して、予め記憶するデータ容量の増加を抑えることができる。
【0993】
なお、特徴C1~C10のいずれか1の構成に対して、特徴A1~A9、特徴B1~B5、特徴C1~C10、特徴D1~D8のうちいずれか1又は複数の構成を適用してもよい。これにより、その組み合わせた構成による相乗的な効果を奏することが可能となる。
【0994】
上記特徴C群の発明は、以下の課題を解決することが可能である。
【0995】
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機としては、例えば液晶表示装置といった表示装置を備えたものが知られている。当該遊技機では、画像用のデータが予め記憶されたメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像用のデータを用いて表示装置の表示部にて所定の画像が表示されることとなる。
【0996】
近年では、2次元の画像を単純に表示するのではなく、3次元で規定された画像データを用いることで、より立体的な画像の表示を行おうとする試みがなされている。当該表示を行う場合には、仮想3次元空間上に3次元画像データであるオブジェクトが設定され、当該オブジェクトを所望の視点から平面上に投影した生成データが生成される。そして、その生成データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、立体的な画像が表示されることとなる。
【0997】
ここで、上記例示等のような遊技機においては、表示制御を好適に行うことが可能な構成が求められており、この点について未だ改良の余地がある。
【0998】
<特徴D群>
特徴D1.画像データに基づいてデータ生成手段(VDP635の制御部651)により生成された生成データ(描画データ)を記憶する記憶手段(フレームバッファ642)と、
当該記憶手段に記憶された前記生成データに対応した画像を表示手段(図柄表示装置31の表示面G)に出力表示する表示制御手段(VDP635の表示回路655)と、
を備えている遊技機において、
前記データ生成手段は、
所定個別画像(キャラクタ491)を表示するための所定個別画像データ(キャラクタ用スプライトデータ451)に適用する色情報を特別情報(アウトライン492の色情報、ぼかしアウトライン493の色情報)に設定することで特定個別画像データ(単一色のキャラクタ用スプライトデータ451)を生成する特定生成手段(VDP635におけるステップS3402~ステップS3404の処理を実行する機能)と、
前記特定個別画像データに対応する特定個別画像(アウトライン表示用領域454)の一部が前記所定個別画像に対して奥側にて重なり前記特定個別画像の一部が前記所定個別画像の外側に存在するように、前記特定個別画像データ及び前記所定個別画像データを設定する所定設定手段(VDP635におけるステップS3309の処理を実行する機能、VDP635におけるステップS3406の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
【0999】
特徴D1によれば、特定個別画像の一部が所定個別画像の外側に存在する態様で、特定個別画像データ及び所定個別画像データが設定されるため、所定個別画像及び特定個別画像により表示される画像は、所定個別画像のみにより表示される画像と一部が異なる。特定個別画像データは、所定個別画像データを利用して生成されるデータであるため、所定個別画像のみにより表示される画像と所定個別画像及び特定個別画像により表示される画像とのそれぞれを表示するために必要な画像データは1種類の所定個別画像データである。一部が異なる複数種類の所定個別画像を表示するために複数種類の所定個別画像データを予め記憶しておく構成と比較して、画像データ用メモリの容量の増加を抑えながら、所定個別画像の表示態様を変えることができる。
【1000】
特徴D2.前記所定設定手段は、前記特定個別画像による画像部分(アウトライン492)によって前記所定個別画像の周囲が囲まれるように、前記特定個別画像データを複数位置にずらして設定することを特徴とする特徴D1に記載の遊技機。
【1001】
特徴D2によれば、所定個別画像データを利用して生成される特定個別画像データを複数位置にずらして設定することにより、画像データ用メモリの容量の増加を抑えながら、特定個別画像による画像部分により、所定個別画像の外縁全体を囲うことができる。
【1002】
特徴D3.前記所定設定手段は、前記所定個別画像の外側にはみ出して表示される前記特定個別画像において、前記所定個別画像の外側にはみ出す画像領域の厚みが一定又は略一定となるように前記特定個別画像データを設定することを特徴とする特徴D2に記載の遊技機。
【1003】
特徴D3によれば、特定個別画像は、所定個別画像の外縁からはみ出す画像領域を有し、当該画像領域は所定個別画像の外縁全体の外側に一定又は略一定の厚みを有する態様で存在する。このため、特定個別画像を用いて、所定個別画像の外縁全体にアウトラインを表示することができる。所定個別画像とは別に、アウトラインを含む所定個別画像を表示するための画像データを予め記憶しておく構成と比較して、画像データ用メモリの容量の増加を抑えながら、所定個別画像の周囲にアウトラインを表示することができる。
【1004】
特徴D4.前記特定生成手段は、前記特定情報として、前記所定個別画像データに単一の色情報を設定することにより、単一色の前記特定個別画像データ(単一色のキャラクタ用スプライトデータ451)を生成することを特徴とする特徴D1乃至D3のいずれか1に記載の遊技機。
【1005】
特徴D4によれば、所定個別画像の外縁の一部又は全部の外側に所定個別画像と同じ形状を有し、単一色である特定個別画像を表示することができる。所定個別画像とは別に、外縁の一部又は全部の外側に単一色の領域を有する所定個別画像を表示するための個別画像データを予め記憶しておく構成と比較して、画像データ用メモリの容量の増加を抑えることができる。
【1006】
特徴D5.前記データ生成手段は、前記特定個別画像データに対して、前記特定個別画像の内容をぼかすための画像ぼかし処理を行う画像ぼかし手段(VDP635におけるステップS3410及びステップS3411の処理を実行する機能)を備え、
前記所定設定手段は、前記特定個別画像データ及び前記所定個別画像データを設定する場合に、前記特定個別画像データとして、前記画像ぼかし処理が行われた前記特定個別画像データを設定することを特徴とする特徴D1乃至D4のいずれか1に記載の遊技機。
【1007】
特徴D5によれば、所定個別画像及び画像ぼかし処理が行われた特定個別画像を設定することにより、特定個別画像のみがぼやけている所定個別画像及び特定個別画像を表示することができる。1種類の所定個別画像データを用いて、所定個別画像及びぼやけた特定個別画像を表示する構成であるため、所定個別画像とは別に所定個別画像及びぼやけた特定個別画像を表示するための画像データを記憶しておく構成と比較して、画像データ用メモリの容量の増加を抑えることができる。
【1008】
特徴D6.前記画像ぼかし手段は、前記特定個別画像データに対して、前記特定個別画像を拡大する拡大処理(VDP635におけるステップS3411の処理)及び前記特定個別画像を縮小する縮小処理(VDP635におけるステップS3410の処理)のうち一方を行った後に他方を行うことにより、前記画像ぼかし処理を実行することを特徴とする特徴D5に記載の遊技機。
【1009】
特徴D6によれば、画像ぼかし処理は拡大処理及び縮小処理により構成されているため、特定個別画像をぼかすために専用のプログラムを追加する必要がない。このため、予め記憶するプログラムのデータ容量の増加を抑えながら、特定個別画像データに対する画像ぼかし処理を実行することができる。
【1010】
特徴D7.前記画像ぼかし手段は、前記画像ぼかし処理後の前記特定個別画像のサイズが前記画像ぼかし処理前の前記特定個別画像のサイズと同じになる態様で、前記特定個別画像データに対して前記画像ぼかし処理を実行することを特徴とする特徴D6に記載の遊技機。
【1011】
特徴D7によれば、特定個別画像データにより表示される特定個別画像は、画像ぼかし処理の前後でサイズが変わらないため、所定個別画像の外側に所定個別画像と同じサイズであり、画像ぼかし処理が実行された特定個別画像を表示することができる。画像ぼかし処理の前後で特定個別画像のサイズが変化し、画像ぼかし処理後の特定個別画像データに対して、画像ぼかし処理後の特定個別画像のサイズを画像ぼかし処理前の特定個別画像のサイズに戻すための処理を実行する構成と比較して、画像ぼかし処理後の特定個別画像データを利用するための処理負荷を軽減することができる。
【1012】
特徴D8.画像データに基づいてデータ生成手段(VDP635の制御部651)により生成された生成データ(描画データ)を記憶する記憶手段(フレームバッファ642)と、
当該記憶手段に記憶された前記生成データに対応した画像を表示手段(図柄表示装置31の表示面G)に出力表示する表示制御手段(VDP635の表示回路655)と、
を備えている遊技機において、
前記データ生成手段は、特定個別画像(アウトライン表示用領域454)を表示するための特定個別画像データ(単一色のキャラクタ用スプライトデータ451)に対して、前記特定個別画像を拡大する拡大処理(VDP635におけるステップS3411の処理)及び前記特定個別画像を縮小する縮小処理(VDP635におけるステップS3410の処理)のうち一方を行った後に他方を行うことにより、前記特定個別画像をぼかす手段を備えていることを特徴とする遊技機。
【1013】
特徴D8によれば、特定個別画像データに拡大処理及び縮小処理を実行することにより、ぼやけた特定個別画像データを生成する構成であるため、特定個別画像データとは別にぼやけた特定個別画像を表示するための画像データを予め記憶しておく構成と比較して、画像データ用メモリの容量の増加を抑えることができる。
【1014】
また、特定個別画像をぼかすために特定個別画像データに対して行う処理は拡大処理及び縮小処理により構成されているため、特定個別画像をぼかすために専用のプログラムを追加する必要がない。このため、予め記憶するプログラムのデータ容量の増加を抑えながら、ぼやけた特定個別画像を表示することができる。
【1015】
なお、特徴D1~D8のいずれか1の構成に対して、特徴A1~A9、特徴B1~B5、特徴C1~C10、特徴D1~D8のうちいずれか1又は複数の構成を適用してもよい。これにより、その組み合わせた構成による相乗的な効果を奏することが可能となる。
【1016】
上記特徴D群の発明は、以下の課題を解決することが可能である。
【1017】
遊技機の一種として、スロットマシンやパチンコ遊技機等が知られている。これらの遊技機は、CPUが実装されているとともに遊技に係る制御プログラムが記憶されたメモリ等の素子が実装された制御基板を備えており、その制御基板によって一連の遊技が制御されている。なお、CPUやメモリが個別に制御基板に実装されているのではなく、それらが集積化された状態で制御基板に実装された構成も知られている。
【1018】
上記遊技機においては、例えば液晶表示装置といったように、表示画面を有する表示装置が搭載されたものが知られている。かかる遊技機では、画像データが予め記憶された画像データ用のメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像データを用いて表示画面にて所定の画像が表示されることとなる。
【1019】
ここで、上記例示等のような遊技機においては、表示制御を好適に行うことが可能な構成が求められており、この点について未だ改良の余地がある。
【1020】
以下に、以上の各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
【1021】
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
【1022】
スロットマシン等の回胴式遊技機:始動操作手段の操作に基づき周回体の回転を開始させ、停止操作手段の操作に基づき周回体の回転を停止させ、その停止後の絵柄に応じて遊技者に特典を付与する遊技機。
【符号の説明】
【1023】
10…パチンコ機、31…図柄表示装置、131…表示CPU、133…メモリモジュール、135…VDP、142…フレームバッファ、151…ジオメトリ演算部、152…レンダリング部、155…表示回路、221…第1キャラクタ、222…第2キャラクタ、231…枠用オブジェクト、231a~231e…枠、241a~241e,242…メーター、251…メーター用投影領域、261…メーター用オブジェクト、263…メーター用オブジェクト261の固定端側の辺Cが生成する固定端側の基準データ、264…枠用オブジェクト231の移動端側の辺Bが生成する移動端側の基準データ、281…メーター用テクスチャ、291…ブランクオブジェクト、292…ブランクオブジェクト291が生成する移動端側の基準データ、298…メーター用オブジェクト261の固定端側の辺Cが生成する固定端側の基準データ、321…簡略版オブジェクト、342…球表示用テクスチャ、351…切り抜き用オブジェクト364の投影データ、351a…切り抜き用投影領域、351c…切り抜き用オブジェクト364の中心対応点、352…雲表示用オブジェクト361の投影データ、352a…雲表示用投影領域、352c…雲表示用オブジェクト361の中心対応点、353…枠表示用2次元データ、353a…枠領域、361…雲表示用オブジェクト、364…切り抜き用オブジェクト、367a…ぼかし枠領域、368…雲用描画データ、372…キャラクタ、372a…頭部用オブジェクト、372b…頭部用投影データ、372c…頭部投影領域、372f…頭部用オブジェクト372aの中心対応点、373…右腕部、375…胴部、382a…頭部用オーラオブジェクト、382b…オーラ用頭部投影データ、382f…頭部用オーラオブジェクト382aの中心対応点、392…頭部オーラ領域、392a…頭部オーラ用2次元データ、412~417…オーラ、413a…オーラ付き右腕部用2次元データ、415a…オーラ付き胴部用2次元データ、421a…オーラ付きキャラクタ用描画データ、451…キャラクタ用スプライトデータ、454…アウトライン表示用領域、491…キャラクタ、492…アウトライン、493…ぼかしアウトライン、635…VDP、642…フレームバッファ、651…制御部、655…表示回路、D…メーター用オブジェクト261の移動端側の辺、G…表示画面、PC12…スクリーン領域。
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