(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186923
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】ウォータサーバ
(51)【国際特許分類】
B67D 1/08 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
B67D1/08 Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171327
(22)【出願日】2022-10-26
(62)【分割の表示】P 2019040373の分割
【原出願日】2019-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000170130
【氏名又は名称】パーパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(74)【代理人】
【識別番号】100206933
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】小野 喜之
(57)【要約】
【課題】設置環境への対応性やユーザの利便性を向上させたウォータサーバを提供する。
【解決手段】原水容器(8)をサーバ筐体(筐体4)に備えて給水するウォータサーバ(2)であって、前記サーバ筐体を開閉する扉(12)と、この扉を開閉させる開閉機構(軸部14、孔16A、16B、16C、16D、軸部品40、挿通孔44、係合凸部50)と、前記扉の開閉方向を表示する表示部(扉表示部74A、74B)とを含み、前記開閉機構が、前記扉に出没可能に支持させた係合凸部(50)と、この係合凸部(50)との係合により前記扉を前記サーバ筐体に支持させる係合孔(孔16)とを含んで、前記係合凸部および前記係合孔が前記扉の開閉方向に応じて選択可能に設定され、前記表示部が、前記係合凸部および前記係合孔の選択で前記扉の開閉方向を表示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水容器をサーバ筐体に備えて給水するウォータサーバであって、
前記サーバ筐体を開閉する扉と、この扉を開閉させる開閉機構と、前記扉の開閉方向を表示する表示部とを含み、
前記開閉機構が、前記扉に出没可能に支持させた係合凸部と、この係合凸部との係合により前記扉を前記サーバ筐体に支持させる係合孔とを含んで、前記係合凸部および前記係合孔が前記扉の開閉方向に応じて選択可能に設定され、
前記表示部が、前記係合凸部および前記係合孔の選択で前記扉の開閉方向を表示する、ウォータサーバ。
【請求項2】
前記扉に固定した突出片に弾性支持部材を介して出没可能に支持させる係合凸部を前記扉に着脱可能に備え、前記係合凸部を係合させる前記係合孔を前記サーバ筐体に備える、請求項1に記載のウォータサーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ筐体に原水容器を備えて給水するウォータサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
湯や冷水を提供するウォータサーバは、原水の供給源として一定量の原水を貯めた原水容器が設置される。ウォータサーバには、この原水容器の交換性を高めるなどの目的により、筐体内部の底部側に原水容器を収納するものがある。このようなウォータサーバでは、たとえば衛生面や装置の安全面を維持するために、原水容器からの給水部分を外部に露出させないようにしている。またウォータサーバでは、筐体の一部を開閉可能にしておき、筐体の一部を開けて原水容器を取替えるものがある(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、温水や冷水を供給可能なウォータサーバは、オフィスや施設などのほか生活家電として一般家庭内に設置されている。屋内に設置されるウォータサーバは、設置スペースの制限などから家具や他の機器などに並べて配置されることや壁際に配置される場合がある。原水容器を筐体内部に収納するウォータサーバには、たとえば左右などの一方向のみに扉が開閉可能となっており、開閉方向を自由に選択できない。そのためウォータサーバは、室内での配置位置が限られてしまい利便性が低い。原水容器の交換作業は、原水容器の容量や水の使用量により所定の頻度で発生するが、その度にウォータサーバの本体の移動や、ユーザに無理な体勢での交換作業を強いるのでは、ユーザに過度な負担を強いるおそれがある。
また、周辺にある設備との干渉を防ぐために、扉を小さくし、筐体前面部分の作業領域を狭くした場合でも、開いた扉が原水容器の交換の邪魔になるほか、開口部を小さくすることで、収納できる原水容器が小さくなり、給水量が減少し、これにより原水容器の交換回数が増加するおそれがある。
このような観点から、本願発明の発明者は、ウォータサーバが設置環境に対応できなければ原水容器の交換作業が不便であることや、装置の設置自体が困難となる可能性があるとの知見を得た。
斯かる課題について、特許文献1には開示や示唆はなく、特許文献1に開示された構成では斯かる課題を解決することができない。
【0005】
そこで、上記課題に鑑み、設置環境への対応性やユーザの利便性を向上させたウォータサーバを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のウォータサーバの一側面によれば、サーバ筐体に原水容器を備えて給水するウォータサーバであって、前記サーバ筐体を開閉する扉と、この扉を開閉させる開閉機構と、前記扉の開閉方向を表示する表示部とを含み、前記開閉機構が、前記扉に出没可能に支持させた係合凸部と、この係合凸部との係合により前記扉を前記サーバ筐体に支持させる係合孔とを含んで、前記係合凸部および前記係合孔が前記扉の開閉方向に応じて選択可能に設定され、前記表示部が、前記係合凸部および前記係合孔の選択で前記扉の開閉方向を表示する。
【0007】
このウォータサーバにおいて、前記扉に固定した突出片に弾性支持部材を介して出没可能に支持させる係合凸部を前記扉に着脱可能に備え、前記係合凸部を係合させる前記係合孔を前記サーバ筐体に備える。
【発明の効果】
【0008】
斯かる構成によれば、次のいずれかの効果が得られる。
(1) 扉の開閉方向およびその表示を選択でき、設置環境にウォータサーバを容易に適応できるとともに、選択された開閉方向を表示できるので、ウォータサーバの利便性を高めることができる。
(2) 扉の開閉方向が選択できるので、原水容器の交換作業が容易である。
(3) 扉の設置位置の設定や変更が容易になり、扉の開閉方向を選択でき、その設定が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施の形態に係るウォータサーバの構成例を示す図である。
【
図3】ウォータサーバの製造処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】第2の実施の形態に係るウォータサーバの扉の構成例を示す図である。
【
図6】ウォータサーバの製造処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】第3の実施の形態に係るウォータサーバの外観構成例を示す図である。
【
図8】ウォータサーバの機能部の構成例を示す図である。
【
図9】ウォータサーバの制御装置の構成例を示す図である。
【
図10】ウォータサーバの製造処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】実施例に係るウォータサーバの構成例を示す図である。
【
図12】扉の係合部および係合支持部の構成例を示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係るウォータサーバの外観構成例を示している。
図1に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。
このウォータサーバ2は、筐体4の収納部6に設置される原水容器8から原水Wを補水し、この原水Wを冷却して生成した冷水CW、または加熱して生成した温水HWを供給する水供給装置の一例である。筐体4は、たとえば金属やプラスチックなどの材料で構成されており、内部に単一又は複数のタンクや管路および冷却手段やヒータなどの装置および制御装置などを収納する空間が形成されている。この筐体4の底部側には、少なくとも原水容器8や、この原水容器8から原水Wを取り出す取水手段を収納する収納部6を備えている。
原水容器8は、貯留した原水Wをウォータサーバ2のタンク内に供給する手段の一例であり、たとえば硬質なプラスチック製のボトルや、原水Wの貯留量に応じて収縮する軟質なプラスチック製容器を含むバックインボックスなどが用いられる。収納部6には、たとえば図示しない取水手段が設置されている。
そして取水手段は、原水容器8の給水部と接続して原水Wを取り込む。そしてウォータサーバ2では、原水容器8内の原水Wが所定量以下、または空の状態になると原水容器8の交換が行われる。
【0011】
筐体4には、たとえばウォータサーバ2の前面側に開口部10を有する。開口部10は、収納部6に対して原水容器8を出し入れして交換させる構成の一例であり、少なくとも満水状態の原水容器8を出し入れ可能な面積を有しており、収納部6の一部または全部を筐体外部に開放する。
さらにウォータサーバ2は、開口部10の位置に設置されて開閉する扉12を有する。扉12は、自動または手動での開閉により、開状態で収納部6を外部に開放するとともに、閉状態で開口部10を覆って収納部6を閉止させる手段の一例である。扉12は、たとえば筐体4と同じ材料で形成されてウォータサーバ2の前面側に向けて開く方向が設定される。このような開閉動作を実現する構成(開閉機構)として、扉12にはたとえば上部側および下部側に少なくとも1つずつの軸部14が形成されており、これらが一組に形成されている。この軸部14は、本発明の係合支持部の一例であり、一組の軸部14が筐体4の開口部10の周縁に形成された複数の孔16A、16B、16C、16Dのいずれかに係合する。孔16A、16B、16C、16Dは、本発明の係合部の一例であり、ウォータサーバ2のユーザが希望する扉12の開閉方向に応じていずれかが選択される。
【0012】
<扉12の開閉方向の設定>
扉12は、設定される開閉方向に応じて軸部14の配置位置が切り換えられる。つまり、扉12の本体部分は開口部10の前面部分に配置されるため、設定した開閉方向とするためには、軸部14の配置位置を調整する必要がある。そこで軸部14の切り換えには、たとえば軸部14の形成位置の設定、または軸部14の着脱を行うほか、扉12の向きを反転させるなどの処理を行う。
【0013】
これによりウォータサーバ2は、たとえば
図2のAに示すように、対向する孔16Aと孔16Bを選択し、この孔16A、16Bに対して軸部14を係合させることで、右周り方向に扉12を開く、所謂右開きとすることができる。
またウォータサーバ2は、たとえば
図2のBに示すように、対向する孔16Cと孔16Dを選択し、この孔16C、16Dに対して軸部14を係合させることで、左周り方向に扉12を開く、所謂左開きとすることができる。
【0014】
そのほか、ウォータサーバ2には、筐体4の前面側であって開口部10よりも上部に、温水HWまたは冷水CWを供給する給水部を備える。この給水部には、たとえば冷水CWを流す給水口18や温水HWを流す給湯口20、容器を載置するほか、排水を回収する排水機能を備えた載置部22を有する。
また、筐体4の上部側には、操作スイッチとしてたとえば温水スイッチ24、冷水スイッチ26、省エネスイッチ28、ロック解除スイッチ30などを含む操作パネル32が設置される。なお、操作パネル32には、操作スイッチのほか、ウォータサーバ2の動作状態や設定温度などを表示する表示部を備えてもよい。
【0015】
<ウォータサーバ2の製造処理>
図3は、ウォータサーバの製造処理例を示している。
図3に示す処理内容、処理手順は一例であり、斯かる構成に本発明が限定されない。またこのウォータサーバの製造処理は、本開示のウォータサーバの製造方法の一例である。
この製造処理では、ウォータサーバ2の扉12の開閉方向を設定して、係合部である孔16を選択して1組みを組み合せる(S101)。
また選択した孔16に対して係合支持部である扉12の軸部14を調整した後、軸部14を孔16に係合させる(S102)。
その他、ウォータサーバ2の組立て処理では、たとえば軸部14と孔16を係合させた後に、扉12の支持を高めるために、軸部14と孔16とを固定させる図示しない固定処理などを行ってもよい。
【0016】
<第1の実施の形態の効果>
斯かる構成によれば、次のいずれかの効果が得られる。
(1) 筐体の係合部である孔を選択し、その孔に対応して扉の軸部を係合させることで、ユーザが希望に応じた扉の開閉方向を設定でき、ウォータサーバ2の設置環境に対応した扉の開閉が行えるので、利便性が高められる。
(2) 扉の開閉方向を自由に設定できるので、周囲の家具や機器などの配置状態に関わらずウォータサーバの設置の自由度が高められる。
(3) 扉の開閉方向を変更することで、原水容器の交換作業性が高められる。
【0017】
〔第2の実施の形態〕
図4は、第2の実施の形態に係るウォータサーバの扉の構成例を示している。
図4に示す構成は一例であり、斯かる構成に本発明が限定されない。
この扉12は、たとえば
図4のAに示すように、ユーザが設定する開閉方向に応じて、上面部および下面側の右端部側に軸部品40の一部が突出している。この軸部品40は、本開示の係合支持部の一例であり、既述のように、ウォータサーバ2の筐体4に開口した開口部10周縁に形成される孔16に係合する。
また軸部品40は、たとえば
図4のBに示すように、扉12に対して着脱可能と成っており、ユーザが設定した扉12の開閉方向に対応して、扉12に対する装着位置が切り換えられる。
【0018】
扉12には、たとえば上面部または下面部の少なくとも一方の平面部42に軸部品40の一部を挿通させる挿通孔44が開口している。またこの平面部42には、扉12の内側に突出した固定孔46を有する。この固定孔46は、軸部品40をボルトやネジ、またはその他の固定部品60によって固定させる手段の一例であり、扉12の内側に突出して形成されてもよく、または扉12の平面部42の内部に固定部品60が締結されるように形成されてもよい。また固定孔46は、扉12の平面部42を貫通しない深さとなっている。
扉12には、たとえば図示しない上面や下面の左右端や、扉12の左右側面部分などに複数の挿通孔44や固定孔46が形成されてもよく、たとえばユーザが設定する扉12の開閉方向に対応した挿通孔44や固定孔46が選択されてもよい。またウォータサーバ2では、たとえば挿通孔44および固定孔46に対して軸部品40を選択し、扉を反転させるなど、向きを調整して開口方向を変更させてもよい。
【0019】
軸部品40は、たとえば中空で径大な円柱状の本体部48と、この本体部48の一端側に形成された径小な円柱状の係合凸部50を有する。この係合凸部50は、本体部48と連通した中空部を有する。本体部48には、側面の一部に所定長さのスリット52を有する。本体部48には、たとえば係合凸部50とは反対側の端部に半円柱状の切片54を有する。さらに、軸部品40は、固定部品60を挿通させる挿通孔を有し固定部品60によって固定孔46に固定される固定部56と、この固定部56の一部から突出し、スリット52を介して本体部48内に挿入される突出片58を備える。この突出片58は、本体部48や係合凸部50の内部を軸支する手段の一例である。さらに、本体部48は、スリット52を介して摺動し、または通過することで、スリット52の形成方向に沿って変位し、係合凸部50が扉12から出没可能な状態にできる。
【0020】
さらに軸部品40は、たとえば
図5のAに示すように、本体部48および係合凸部50の内部に、本体部48および係合凸部50を付勢する弾性支持部として、螺旋状に形成されたスプリング62を備えている。突出片58の先端部は、スプリング62の中空部分に挿入されている。このような構成により、軸部品40は、スプリング62によって本体部48および係合凸部50が平面部42側に向けて付勢され、挿通孔44から係合凸部50が突出した状態が維持される。
また、軸部品40は、たとえば
図5のBに示すように、本体部48または係合凸部50が平面部42側から力を受けると、内部のスプリング62が収縮するのに伴って本体部48または係合凸部50が扉12の内部に変移する。このとき本体部48は、固定された係合凸部50の一部に対し、スリット52を沿わせて変位する。そして本体部48は、一定の距離で変位すると、スリット52の一端側が突出片58に接触することで、変移が阻止される。すなわち、スリット52の一端が本体部48の変移のストッパとして機能する。このとき扉12は、平面部42に軸部品40が突出しない状態、または係合凸部50の突出量が減少した状態となる。
係合凸部50は、たとえば扉12の着脱操作において筐体4と係合凸部50の接触により付加される外圧力のほか、切片54に対する引張り操作で付加される力により、力が作用する方向に変位する。
【0021】
<ウォータサーバの製造方法>
図6は、ウォータサーバの製造処理例を示している。
図6に示す処理内容、処理手順は一例であり、斯かる構成に本発明が限定されない。またこのウォータサーバの製造処理は、本開示のウォータサーバの製造方法の一例である。
この製造処理では、ウォータサーバ2の扉12の開閉方向を設定して、係合部である孔16を選択して1組みに組み合せる(S201)。
設定した開閉方向に応じて決まる挿通孔44および固定孔46に対し、軸部品40を取付ける(S202)。
選択した孔16に対して軸部品40の係合凸部50を係合させて(S203)、扉12を筐体4に設置する。
【0022】
<第2の実施の形態の効果>
斯かる構成によれば、次のいずれかの効果が得られる。
(1) 扉の開閉方向を自由に設定できるので、周囲の家具や機器などの配置状態によらずウォータサーバの設置の自由度が高められる。
(2) 軸部品が着脱可能であり、設定した開閉方向に応じて扉の所定位置に軸部品を設置することで、扉の開閉方向の設定や切り換えが可能となり、ウォータサーバの組立て処理の簡易化が図れる。
(3) 軸部品40の係合凸部50を扉12から出没可能な状態に付勢することで、扉12の着脱作業における、工具などにより部品の取り外しや、係合部品の取付位置の調整作業が不要となり、作業工数の低減や作業負荷の軽減が図れる。
(4) 扉の開閉方向の設定や、その変更を行う場合、軸部品の取付位置を変更させることで、扉12や筐体4の全体に施された意匠などを変更せずに利用することができる。
【0023】
〔第3の実施の形態〕
図7は、第3の実施の形態に係るウォータサーバの外観構成例を示している。
図7に示す構成は一例であり、斯かる構成に本発明が限定されない。
図7において、
図1、
図2、
図4等と同じ構成には同一の番号を付している。
このウォータサーバ70は、たとえば
図7に示すように、筐体4の内部に扉12の開閉状態を監視する扉センサ72A、72B、扉12の開閉方向を表示する扉表示部74A、74B、扉12の開閉状態を監視する開閉センサ75A、75Bを備える。
【0024】
扉センサ72A、72Bは、たとえば開閉方向に応じて設置される軸部14の有無、または軸部14と孔16との係合状態を検出する手段の一例である。扉センサ72A、72Bは、たとえばウォータサーバ70にあらかじめ設定され、選択可能な開閉方向に応じて、設置数や設置位置が決められている。すなわち、このウォータサーバ70は、軸部14が扉の左右いずれかに設置され、その軸部14の設置位置に応じて扉12が左右の2方向のいずれかに開閉可能となる。扉センサ72A、72Bは、軸部14または孔16の近傍に設置して、その軸部14や孔16を監視する。具体的には、扉センサ72A、72Bは、たとえば筐体4の開口部10の周縁にある複数の孔16の一部または全部に設置されている。
【0025】
扉表示部74A、74Bは、たとえば筐体4の一部に設置されており、ランプの点灯状態や文字や記号の表記によって、ウォータサーバ70を利用するユーザや原水容器8の交換や組立てを行う作業者に扉12の開閉方向を報知する。
【0026】
なお、扉表示部74A、74Bは、扉の開閉方向を報知できればよく、ウォータサーバ70に設定された開閉方向の数と同数の表示部を備える必要はなく、単一の表示手段を利用して開閉可能な方向を表示してもよい。さらに、扉表示部74A、74Bは、開閉可能な方向のみを表示する場合に限られず、扉12の開閉操作に利用する操作部の位置や開閉操作の実行可否などの指示情報を表示してもよい。
【0027】
開閉センサ75A、75Bは、扉の開閉状態を監視する手段の一例であり、たとえば扉12が筐体4と近接しているか、または離間しているかを検出する近接センサなどが用いられる。このウォータサーバ70には、たとえば左右のいずれかに開閉可能となっており、たとえば筐体4の開口部の左右の一部に開閉センサ75A、75Bが設置されている。そしてこの開閉センサ75A、75Bは、たとえば扉センサ72A、72Bによって検出された扉の開閉方向に応じて、いずれか一方側を動作(アクティブ)状態に設定してもよい。
なお、ウォータサーバ70は、扉12の開閉状態が検出可能であれば、2つの開閉センサ75A、75Bを備えるものに限られず、筐体4または扉12の監視状態により、単一のセンサを用いてもよい。またウォータサーバ70は、扉12の開閉方向が3方向以上の場合、この開閉方向数に応じて3つ以上の開閉センサ75が設置されてもよい。
【0028】
<ウォータサーバ70の内部構成例について>
ウォータサーバ70には、たとえば
図8に示すように、収納部6内に少なくとも原水容器76、原水容器76から原水Wを取り出す取水手段などが収納されている。ウォータサーバ70の筐体4には、たとえば収納部6とそれ以外の空間部分を仕切り部材などの構造物や筐体4を形成する柱部等によって物理的に区分けしてもよく、または筐体4の底部からの高さや位置、その他、収納される構成部品によって区別するものであってもよい。
原水容器76は、たとえば容器内部から原水Wを流出させる給水部84を備える。原水容器76は、ビニールやその他の樹脂材料で形成され内部に原水Wを貯める容器を備えており、その容器の周囲に紙やプラスチックなどの材料で構成された外装部材を備えてもよい。この原水容器76は、たとえばトレイ80に載置されている。このトレイ80には、たとえば収納部6内での原水容器76の配置位置や配置向きなどを規制するガイド部82を備えてもよい。そのほか、収納部6には、トレイ80とともに原水容器76を移送させるスライド手段78を備えてもよい。
【0029】
収納部6には、原水容器76の給水部84と接合して原水Wを取り込むための取水手段86や、この取水手段86を上下方向などに変位させる変位機構部88、変位機構部88を操作するためのレバー(Lever)90、給水管92、給水ポンプ94などを備える。
取水手段86は、たとえば原水容器76から吸い込む方向にのみ原水Wを流し、逆方向、すなわち原水容器76に対して水や空気が流れ込むのを防止する逆止弁構造を備える。この取水手段86の一端は、たとえば原水容器76の給水部84の内壁に密着して挿入する構造とすることで、原水容器76との接続部分からの空気や異物の混入を阻止している。取水手段86の他端は、給水管92に接続されている。
変位機構部88は、取水手段86と接続されており、たとえば原水容器76の交換処理において、取水手段86を原水容器76の給水部84に挿入させ、または給水部84から離脱させるように、上下方向やそれ以外の方向に変位させる手段の一例である。
レバー90は、たとえば変位機構部88の操作手段の一例であり、たとえば上下方向の操作に応じて取水手段86を変位させる。このレバー90の操作により、原水容器76から取水手段86を通じて給水可能な状態と、原水容器76の交換が可能な状態が切替えられる。
【0030】
ウォータサーバ70の給水・給湯機能部として、たとえば上部側に冷水タンク96を有し、下段に温水タンク98を有する。冷水タンク96は、設定温度に温度管理された冷水CWを貯留する。また温水タンク98は、設定温度に温度管理された温水HWを貯留する。
冷水タンク96には、たとえば原水容器76から取水された原水Wが給水管92を通じて流されて、給水管92の給水口100から流入する。冷水タンク96は、たとえば内部にタンク内径よりも小さい径の仕切り板102を備えている。この仕切り板102は、冷水タンク96の中程の高さに配置されており、タンクの底部側に滞留する水とタンクの上部側の水とを仕切る。また、仕切り板102は、中心側に所定の径の開口部104を有しており、この開口部104を通じて温水タンク98に繋がる通水管106が接続されている。この通水管106は、冷水タンク96内の水を温水タンク98側に流す管路である。
冷水タンク96の外壁部には冷却装置110の蒸発器(evaporator)108が備えられている。冷却装置110は、温度調整手段の一例であって、冷却器などを含む冷却サイクルを備える。また冷水タンク96には、貯留する冷水CWの温度管理手段として、温度センサ112を備えている。この温度センサ112は、たとえばサーミスタ温度計などを用いればよく、検出した温度情報は、制御装置130に伝達される。
そのほか、冷水タンク96には、給水量を監視するための水位センサ114を備えている。水位センサ114は、たとえばタンクの天井側から所定の高さに配置された共通電極と、単数または異なる高さに配置された複数の水位電極を利用すればよい。制御装置130は、取り込んだ水位電極の通電状態を示す信号を監視し、所定水位になるまで給水手段の一例である給水ポンプ94を動作させればよい。
冷水タンク96の底部側には冷水管116が接続され、冷水タンク96内の冷水CWが給水口18側に流される。この冷水管116には、管路途中に冷水電磁弁118が設置されており、冷水電磁弁118の開閉動作により冷水タンク96からの給水のON/OFFや流量が切替えられる。
【0031】
温水タンク98には、外部周囲にヒータ(Heater)120が巻き付けられ、内部の水を設定温度としてたとえば85~90〔℃〕に加熱している。このヒータ120は、温度調整手段の一例であって、たとえば電熱式ヒータなどが用いられる。
そのほか温水タンク98には、タンク内の温度を監視する温度センサ122や空焚き安全装置などを備えてもよい。温度センサ122で検出された温度情報は制御装置130に伝達され、温水温度管理などに利用される。また空焚き安全装置はバイメタル式サーモスタット、または温水タンク98内に水があるか否かを検出する手段であって、たとえば水位センサや水圧センサなどを備えてもよい。温水タンク98には、たとえば上部側に温水管124が接続され、給湯の要求に応じて、温水タンク98内の温水HWが給湯口20側に流される。この温水管124には、管路途中に温水電磁弁126が設置されており、温水電磁弁126の開閉動作により温水タンク98からの給水のON/OFFや流量が切替えられる。
【0032】
ウォータサーバ70には、給水制御やその他の機能を制御する制御装置130を備える。この制御装置130は、たとえば給水ポンプ94、冷却装置110やヒータ120などの機能部の動作制御部であるとともに、扉センサ72A、72Bによる扉12の開閉方向の監視、開閉センサ75A、75Bによる扉12の開閉状態の監視、温度センサ112、122の検出温度やレバー90の操作状態などを監視する監視機能部、さらに扉表示部74A、74Bを表示させる表示制御部として機能する。この制御装置130は、各機能部に対して運転動作指示を出力するとともに、温度センサ112、122などから状態情報を収集する。また、制御装置130は、給水および給湯の操作、温度表示、温度設定などの操作手段や状態表示手段を備える操作パネル32と接続している。この操作パネル32には、少なくとも冷水スイッチ26、温水スイッチ24、ロック解除スイッチ30などを備えてもよい。
【0033】
<制御装置130の構成>
図9は、ウォータサーバの制御装置の構成例を示している。
図9に示す構成は一例である。
この制御装置130は、たとえばマイクロコンピュータなどで構成されており、プロセッサ140、記憶部142、RAM(Random access memory)144、マルチタイマ146、I/O(Input/Output)148を有する。
プロセッサ140は、たとえばCPU(Central Processing Unit)で構成され、記憶部142に記憶されているOS(Operating System)や冷却制御、加熱制御、給水制御のほか、扉12の開閉方向の設定処理や開閉状態の監視処理などの制御プログラムの演算処理が行われる。またプロセッサ140は、ウォータサーバ70のヒータ120や弁などの各機能部の状態情報を監視する状態監視処理や、この状態情報を利用してウォータサーバ70に生じた事象に関する事象情報を生成する情報処理を実行する。記憶部142は、たとえばROM(Read Only Memory)などで構成されるプログラムの記憶領域や、収集データなどを保存するデータ記憶領域を有する。
RAM144は、制御プログラムおよび情報処理プログラムの演算が行われるワークエリアである。
マルチタイマ146は、計時手段の一例であり、たとえば運転状態の時刻情報の記録・表示のほか、設定された時間や、操作入力や運転状態の切替えなどの発生した事象間の経過時間を計時し、記録する。
I/O148は、ウォータサーバ70の各機能部と制御装置130との間のインターフェースの一例である。制御装置130は、I/O148を介して、扉センサ72A、72Bによる扉の開閉方向の情報、開閉センサ75A、75Bによる扉12の開閉状態の情報や温度センサ112、122で検出された温度情報を取り込む。また制御装置130は、たとえば冷却装置110、冷水電磁弁118、ヒータ120、温水電磁弁126などに対する制御指示を出力する。さらに制御装置130は、扉表示部74A、74Bに対する表示指示を生成するほか、操作パネル32の温水スイッチ24、冷水スイッチ26、省エネスイッチ28、ロック解除スイッチ30に対する操作入力を受けて各処理を実行する。そのほか、制御装置130は、たとえば操作パネル32に表示部132として設けられたロック解除表示ランプ、温水表示ランプ、高温表示ランプ、冷水表示ランプ、弱冷水表示ランプ、繰返し設定表示ランプ、省エネ中表示ランプ、高温循環表示ランプなどの表示制御を行ってもよい。
【0034】
<ウォータサーバの製造処理および動作制御>
図10は、ウォータサーバの製造処理および動作制御例を示している。
図10に示す処理内容、処理手順は一例である。
ウォータサーバ70の製造処理(f1)では、扉12の開閉方向の設定およびこの開閉方向に応じて筐体4の孔16を選択して組み合せる(S301)。設定された扉12の開閉方向に応じて軸部品40を設置し、または扉12の設置向きを設定する(S302)。扉12の設置向きの設定では、たとえば開閉方向に合せて扉12を180度回転させるほか、表裏反転なども含む。
筐体4には、扉12の開閉方向や軸部品40の設置位置に対応する位置に扉センサ72A、72Bを設置するほか、あらかじめ設置された扉センサ72A、72Bのイニシャライズとして、リセット処理を行う(S303)。この扉センサ72A、72Bの設置やリセット処理は、ウォータサーバ70の最初の組立ての場合に限らず、扉12の開閉方向を切り換えるときに行う場合も含む。
選択した孔16に対して扉12の軸部品40を係合させ(S304)、扉12を筐体4に設置する。そして、扉センサ72A、72Bは、たとえば扉12の設置を契機に、アクティブ状態とし、扉の開閉方向を検出する(S305)。
制御装置130は、たとえば設定情報または扉センサ72A、72Bの検出情報により扉12の開閉方向を判断し、扉表示部74A、74Bのいずれかに表示指示を出力する(S306)。また制御装置130は、扉センサ72A、72Bの検出結果に応じて、開閉センサ75A、75Bの一方をアクティブにして(S307)、扉12の開閉状態の監視を行う。
【0035】
次にウォータサーバの動作制御(f2)として、制御装置130は、扉12の開閉状態を監視し(S308)、扉12が開状態となっているかを判断する(S309)。そして制御装置130は、扉12が開状態である場合(S309のYES)、給水ポンプ94や冷却装置110、ヒータ120などの機能部の一部または全部の動作を停止させ、または動作を制限する(S310)。また制御装置130は、扉12が開状態となっていない場合(S309のNO)、機能部を動作させる(S311)。
【0036】
<第3の実施の形態の効果>
斯かる構成によれば、次のいずれかの効果が得られる。
(1) 扉の開閉方向を自由に設定でき、ウォータサーバの設置の自由度が高められる。
(2) 作業者やユーザが設定した扉の開閉方向に対応して、その扉の開閉状態の監視を行うとともに、この扉の開閉状態に応じてウォータサーバの機能部の動作制御を連動させるので、原水容器や収納部内の衛生状態が保持される。
(3) 設定した扉の開閉方向に対応して、筐体の一部や表示パネルに開閉方向を表す情報を表示することで、ウォータサーバの利便性が高められる。
【実施例0037】
図11および
図12は、実施例に係るウォータサーバの扉の構成例を示している。
このウォータサーバ150は、たとえば
図11に示すように、筐体4の開口部10に対し、蝶番(ヒンジ)を利用して扉12が設置されている。この蝶番は、例えば開口部10の周縁に形成された第1の係合部品152と扉12に設置された第2の係合部品154で形成される。また筐体4には、開口部10の左右両側に複数の設置領域156を有している。ウォータサーバ150のユーザや作業者は、これらの設置領域156を選択して蝶番を組み合せることで、扉12の開閉方向を設定する。
これによりウォータサーバ150は、たとえば
図11のAに示すように、筐体4の前面に対向して右側の側面にある2つの設置領域156が選択され、第1の係合部品152が設置されることで、扉12を所謂右開きに設定することができる。
また、ウォータサーバ150は、たとえば
図11のBに示すように、筐体4の前面に対向して左側の側面にある2つの設置領域156が選択され、第1の係合部品152が設置されることで、扉12を所謂左開きに設定することができる。
【0038】
第1の係合部品152は、たとえば
図12に示すように、筐体4の設置領域156に対してネジやボルトなどの固定部品を利用して設置される。また第1の係合部品152には、第2の係合部品154と係合する孔158を有する。また、第2の係合部品154は、軸部160を有しており、この軸部160を孔158に係合することで扉12を回転可能に軸支することができる。
【0039】
そのほか、この筐体4には、たとえば図示しない扉センサ72A、72Bや扉表示部74A、74Bを備えてもよい。
斯かる構成によっても、上記実施の形態と同様の効果が得られる。
【0040】
<他の実施の形態>
【0041】
(1) 上記実施の形態では、扉側に係合支持部である軸部を有し、開口部の周縁に係合部である複数の孔を有する場合を示したがこれに限らない。開口部の周縁に軸部が形成されるとともに扉側に孔を備えてもよい。そして筐体には、たとえば扉の開閉方向に応じて軸部を設置する設置領域を備えており、これらのうちの一部を選択して扉を設置してもよく、または全ての設置領域に軸部を設置しておき、設定した扉の開閉方向に応じて係合支持部として利用する軸部のみを突出させ、それ以外の軸部を開口部側に突出させないようにしてもよい。
【0042】
(2) 上記実施の形態では、扉12の開閉方向がウォータサーバ2の高さ方向に平行な軸を中心に右回転または左回転する場合を示したがこれに限らない。ウォータサーバ2は、たとえばウォータサーバ2の高さ方向に対して交差方向に平行な軸を中心として、上回転または下回転させて開閉させてもよい。この場合、扉12には、たとえば左右側面から水平方向に軸部14を突出させるとともに、開口部の左右側面側に孔16を備えればよい。
【0043】
(3) 上記実施の形態では、筐体4の一部に扉表示部74A、74Bを備え、扉センサ72A、72Bの検出結果や設定された扉12の開閉方向に基づく情報を表示する場合を示したがこれに限らない。ウォータサーバ70は、たとえば給水操作や給湯操作のほか、ウォータサーバの状態情報を表示する操作パネル32の表示部に扉12の開閉方向や扉センサ72A、72Bの検出情報を表示してもよい。
【0044】
(4) 上記実施の形態では、扉センサ72A、72Bによる扉の開閉状態の監視機能と、ウォータサーバ70に設定される扉12の開閉方向の表示機能を備える場合を示したがこれに限らない。ウォータサーバ70は、たとえば作業者により設定された扉の開閉方向を表示する表示機能のみを備えてもよい。また、ウォータサーバ70は、扉の開閉方向の表示機能を備えずに、扉センサ72A、72Bによる扉の開閉状態の監視結果に応じて、ウォータサーバ70の機能部の動作制限などを行ってもよい。
【0045】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
本発明は、ウォータサーバの開口部に対して複数の係合部を設けて、ウォータサーバの設置環境に応じて扉の開閉方向の設定や変更ができ、ウォータサーバの設置環境に制約を受けることがなく設置の位置の自由度を高め、開閉方向が表示できるので、利便性の高いウォータサーバを提供でき、有用である。