(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186924
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】画像検査装置、画像検査方法及び画像検査プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
H04N1/00 002A
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171331
(22)【出願日】2022-10-26
(62)【分割の表示】P 2018189915の分割
【原出願日】2018-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】池田 信
(57)【要約】
【課題】読み取り画像から特定の異常を適切に検出する。
【解決手段】印刷ジョブに基づいて記録材に形成された元画像を読み取って、読み取り画像を生成する画像読み取り部と、読み取り画像を解析して、画像検査を行う制御部と、を備える画像検査装置において、画像読み取り部から読み取り画像を取得し、当該読み取り画像からエッジを検出し、エッジの近傍領域を画像検査の対象から除外し、除外処理後の読み取り画像に所定のフィルタ処理を行って、第1のリファレンス画像を生成し、除外処理後の読み取り画像と第1のリファレンス画像との差分を抽出して、第1の比較画像を生成し、予め定めた閾値を用いて第1の比較画像を2値化して、特定の異常が発生した箇所を検出し、検出結果を出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブに基づいて記録材に形成された元画像を読み取って、読み取り画像を生成する画像読み取り部と、前記読み取り画像を解析して、画像検査を行う制御部と、を備える画像検査装置において、
前記制御部は、
前記画像読み取り部から前記読み取り画像を取得し、当該読み取り画像からコントラストが相対的に高いエッジを検出し、前記エッジの近傍領域を前記画像検査の対象から除外する除外処理部と、
除外処理後の前記読み取り画像に所定のフィルタ処理を行って、第1のリファレンス画像を生成するフィルタ処理部と、
除外処理後の前記読み取り画像と前記第1のリファレンス画像とを比較して、第1の比較画像を生成する比較処理部と、
予め定めた閾値を用いて前記第1の比較画像を2値化して、特定の異常が発生した箇所を検出し、検出結果を出力する異常箇所検出部と、を備える、
ことを特徴とする画像検査装置。
【請求項2】
前記除外処理部は、前記元画像から前記エッジを検出し、前記エッジの近傍領域を前記画像検査の対象から除外し、
前記フィルタ処理部は、除外処理後の前記元画像に前記所定のフィルタ処理を行って、第2のリファレンス画像を生成し、
前記比較処理部は、除外処理後の前記元画像と前記第2のリファレンス画像とを比較して、第2の比較画像を生成し、
前記異常箇所検出部は、前記第2の比較画像に基づいて設定した閾値を用いて前記第1の比較画像を2値化して、前記特定の異常が発生した箇所を検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項3】
前記異常箇所検出部は、前記箇所毎に領域を分離し、各々の前記領域の面積を算出し、前記面積が前記特定の異常に応じて定められる閾値から外れる箇所を前記検出結果から除外する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像検査装置。
【請求項4】
前記異常箇所検出部は、前記箇所毎に領域を分離し、各々の前記領域の円形度を算出し、前記円形度が前記特定の異常に応じて定められる閾値から外れる箇所を前記検出結果から除外する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の画像検査装置。
【請求項5】
前記除外処理部は、前記エッジの近傍領域を削除することにより前記画像検査の対象から除外する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の画像検査装置。
【請求項6】
前記除外処理部は、前記エッジの近傍領域に対して前記画像検査を行わないことにより前記画像検査の対象から除外する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の画像検査装置。
【請求項7】
前記所定のフィルタ処理は、ぼかし処理である、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載の画像検査装置。
【請求項8】
前記ぼかし処理は、着目画素の画素値をその周囲の画素の画素値を用いて平均化する処理である、
ことを特徴とする請求項7に記載の画像検査装置。
【請求項9】
印刷ジョブに基づいて記録材に形成された元画像を読み取って、読み取り画像を生成する画像読み取り部と、前記読み取り画像を解析して、ホタル現象に基づく異常を検出する画像検査を行う制御部と、を備える画像検査装置において、
前記制御部は、
前記画像読み取り部から前記読み取り画像を取得し、当該読み取り画像からコントラストが相対的に高いエッジを検出し、前記エッジの近傍領域を前記画像検査の対象から除外する除外処理部と、
除外処理後の前記読み取り画像に所定のフィルタ処理を行って、第1のリファレンス画像を生成するフィルタ処理部と、
除外処理後の前記読み取り画像と前記第1のリファレンス画像とを比較して、第1の比較画像を生成する比較処理部と、
予め定めた閾値を用いて前記第1の比較画像を2値化して、特定の異常が発生した箇所をホタル現象に基づく異常が発生した箇所として検出し、検出結果を出力する異常箇所検出部と、を備える、
ことを特徴とする画像検査装置。
【請求項10】
印刷ジョブに基づいて記録材に形成された元画像を読み取って、読み取り画像を生成する画像読み取り部と、前記読み取り画像を解析して、画像検査を行う制御部と、を備える画像検査装置における画像検査方法であって、
前記画像読み取り部から前記読み取り画像を取得し、当該読み取り画像からコントラストが相対的に高いエッジを検出し、前記エッジの近傍領域を前記画像検査の対象から除外する除外処理と、
除外処理後の前記読み取り画像に所定のフィルタ処理を行って、第1のリファレンス画像を生成するフィルタ処理と、
除外処理後の前記読み取り画像と前記第1のリファレンス画像とを比較して、第1の比較画像を生成する比較処理と、
予め定めた閾値を用いて前記第1の比較画像を2値化して、特定の異常が発生した箇所を検出し、検出結果を出力する異常箇所検出処理と、を実行する、
ことを特徴とする画像検査方法。
【請求項11】
前記除外処理では、前記元画像から前記エッジを検出し、前記エッジの近傍領域を前記画像検査の対象から除外し、
前記フィルタ処理では、除外処理後の前記元画像に前記所定のフィルタ処理を行って、第2のリファレンス画像を生成し、
前記比較処理では、除外処理後の前記元画像と前記第2のリファレンス画像とを比較して、第2の比較画像を生成し、
前記異常箇所検出処理では、前記第2の比較画像に基づいて設定した閾値を用いて前記第1の比較画像を2値化して、前記特定の異常が発生した箇所を検出する、
ことを特徴とする請求項10に記載の画像検査方法。
【請求項12】
前記異常箇所検出処理では、前記箇所毎に領域を分離し、各々の前記領域の面積を算出し、前記面積が前記特定の異常に応じて定められる閾値から外れる箇所を前記検出結果から除外する、
ことを特徴とする請求項10又は11に記載の画像検査方法。
【請求項13】
前記異常箇所検出処理では、前記箇所毎に領域を分離し、各々の前記領域の円形度を算出し、前記円形度が前記特定の異常に応じて定められる閾値から外れる箇所を前記検出結果から除外する、
ことを特徴とする請求項10乃至12のいずれか一に記載の画像検査方法。
【請求項14】
前記除外処理では、前記エッジの近傍領域を削除することにより前記画像検査の対象から除外する、
ことを特徴とする請求項10乃至13のいずれか一に記載の画像検査方法。
【請求項15】
前記除外処理では、前記エッジの近傍領域に対して前記画像検査を行わないことにより前記画像検査の対象から除外する、
ことを特徴とする請求項10乃至13のいずれか一に記載の画像検査方法。
【請求項16】
前記所定のフィルタ処理は、ぼかし処理である、
ことを特徴とする請求項10乃至15のいずれか一に記載の画像検査方法。
【請求項17】
前記ぼかし処理は、着目画素の画素値をその周囲の画素の画素値を用いて平均化する処理である、
ことを特徴とする請求項16に記載の画像検査方法。
【請求項18】
印刷ジョブに基づいて記録材に形成された元画像を読み取って、読み取り画像を生成する画像読み取り部と、前記読み取り画像を解析して、ホタル現象に基づく異常を検出する画像検査を行う制御部と、を備える画像検査装置における画像検査方法であって、
前記画像読み取り部から前記読み取り画像を取得し、当該読み取り画像からコントラストが相対的に高いエッジを検出し、前記エッジの近傍領域を前記画像検査の対象から除外する除外処理と、
除外処理後の前記読み取り画像に所定のフィルタ処理を行って、第1のリファレンス画像を生成するフィルタ処理と、
除外処理後の前記読み取り画像と前記第1のリファレンス画像とを比較して、第1の比較画像を生成する比較処理と、
予め定めた閾値を用いて前記第1の比較画像を2値化して、特定の異常が発生した箇所をホタル現象に基づく異常が発生した箇所として検出し、検出結果を出力する異常箇所検出処理と、を実行する、
ことを特徴とする画像検査方法。
【請求項19】
印刷ジョブに基づいて記録材に形成された元画像を読み取って、読み取り画像を生成する画像読み取り部と、前記読み取り画像を解析して、画像検査を行う制御部と、を備える画像検査装置で動作する画像検査プログラムであって、
前記制御部に、
前記画像読み取り部から前記読み取り画像を取得し、当該読み取り画像からコントラストが相対的に高いエッジを検出し、前記エッジの近傍領域を前記画像検査の対象から除外する除外処理、
除外処理後の前記読み取り画像に所定のフィルタ処理を行って、第1のリファレンス画像を生成するフィルタ処理、
除外処理後の前記読み取り画像と前記第1のリファレンス画像とを比較して、第1の比較画像を生成する比較処理、および
予め定めた閾値を用いて前記第1の比較画像を2値化して、特定の異常が発生した箇所を検出し、検出結果を出力する異常箇所検出処理、を実行させる、
ことを特徴とする画像検査プログラム。
【請求項20】
前記除外処理では、前記元画像から前記エッジを検出し、前記エッジの近傍領域を前記画像検査の対象から除外し、
前記フィルタ処理では、除外処理後の前記元画像に前記所定のフィルタ処理を行って、第2のリファレンス画像を生成し、
前記比較処理では、除外処理後の前記元画像と前記第2のリファレンス画像とを比較して、第2の比較画像を生成し、
前記異常箇所検出処理では、前記第2の比較画像に基づいて設定した閾値を用いて前記第1の比較画像を2値化して、前記特定の異常が発生した箇所を検出する、
ことを特徴とする請求項19に記載の画像検査プログラム。
【請求項21】
前記異常箇所検出処理では、前記箇所毎に領域を分離し、各々の前記領域の面積を算出し、前記面積が前記特定の異常に応じて定められる閾値から外れる箇所を前記検出結果から除外する、
ことを特徴とする請求項19又は20に記載の画像検査プログラム。
【請求項22】
前記異常箇所検出処理では、前記箇所毎に領域を分離し、各々の前記領域の円形度を算出し、前記円形度が前記特定の異常に応じて定められる閾値から外れる箇所を前記検出結果から除外する、
ことを特徴とする請求項19乃至21のいずれか一に記載の画像検査プログラム。
【請求項23】
前記除外処理では、前記エッジの近傍領域を削除することにより前記画像検査の対象から除外する、
ことを特徴とする請求項19乃至22のいずれか一に記載の画像検査プログラム。
【請求項24】
前記除外処理では、前記エッジの近傍領域に対して前記画像検査を行わないことにより前記画像検査の対象から除外する、
ことを特徴とする請求項19乃至22のいずれか一に記載の画像検査プログラム。
【請求項25】
前記所定のフィルタ処理は、ぼかし処理である、
ことを特徴とする請求項19乃至24のいずれか一に記載の画像検査プログラム。
【請求項26】
前記ぼかし処理は、着目画素の画素値をその周囲の画素の画素値を用いて平均化する処理である、
ことを特徴とする請求項25に記載の画像検査プログラム。
【請求項27】
印刷ジョブに基づいて記録材に形成された元画像を読み取って、読み取り画像を生成する画像読み取り部と、前記読み取り画像を解析して、ホタル現象に基づく異常を検出する画像検査を行う制御部と、を備える画像検査装置で動作する画像検査プログラムであって、
前記制御部に、
前記画像読み取り部から前記読み取り画像を取得し、当該読み取り画像からコントラストが相対的に高いエッジを検出し、前記エッジの近傍領域を前記画像検査の対象から除外する除外処理、
除外処理後の前記読み取り画像に所定のフィルタ処理を行って、第1のリファレンス画像を生成するフィルタ処理、
除外処理後の前記読み取り画像と前記第1のリファレンス画像とを比較して、第1の比較画像を生成する比較処理、および
予め定めた閾値を用いて前記第1の比較画像を2値化して、特定の異常が発生した箇所をホタル現象に基づく異常が発生した箇所として検出し、検出結果を出力する異常箇所検出処理、を実行させる、
ことを特徴とする画像検査プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像検査装置、画像検査方法及び画像検査プログラムに関し、特に、読み取り画像を検査する画像検査装置、画像検査方法及び画像検査プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真の印刷物には、印刷対象の画像には無い異常が発生する場合がある。例えば、電子写真では、転写時にいわゆるホタル現象に起因するスポット状の異常が発生することがあり、このスポット状の異常はハーフトーン画像上で淡い起伏となって現れる。このホタル現象に起因する異常は、充填密度を高めて現像剤を充填した場合に、現像剤が容器本体の空間内で圧縮されて固まり、この現像剤の固まりが用紙に付着することによって発生する。
【0003】
この様な異常を光学的に検査する方法は、印刷の分野に限らず公知の方法が多く存在する。例えば、下記特許文献1には、半導体ウエハの外観検査方法として、繰り返しパターン領域を有する物体の不良を光学的に検査する方法であって、繰り返しパターン領域の撮像画像から不良による濃淡変化を除外して基準画像を生成する処理と、その基準画像と撮像画像とを比較演算することにより急峻な濃淡変化量のみを抽出した画像を得る処理と、その抽出画像の明度値を2値化して不良部の有無を判定する処理を行う構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の方法では、平滑化処理を行うことにより、撮像画像から検出したい不良部が持つ周波数成分を除去して基準画像を生成していると言える。しかしながら、印刷物の場合、印刷対象の画像には様々な形態のコンテンツが含まれており、例えば、印刷対象の画像に、検出したい異常と同等の周波数成分を持つコンテンツが存在する場合、上記特許文献1の方法を利用して不良部の検出を行うと、異常が発生していないコンテンツを誤検出してしまう。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、読み取り画像から特定の異常を適切に検出することができる画像検査装置、画像検査方法及び画像検査プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面は、印刷ジョブに基づいて記録材に形成された元画像を読み取って、読み取り画像を生成する画像読み取り部と、前記読み取り画像を解析して、画像検査を行う制御部と、を備える画像検査装置において、前記制御部は、前記画像読み取り部から前記読み取り画像を取得し、当該読み取り画像からコントラストが相対的に高いエッジを検出し、前記エッジの近傍領域を前記画像検査の対象から除外する除外処理部と、除外処理後の前記読み取り画像に所定のフィルタ処理を行って、第1のリファレンス画像を生成するフィルタ処理部と、除外処理後の前記読み取り画像と前記第1のリファレンス画像とを比較して、第1の比較画像を生成する比較処理部と、予め定めた閾値を用いて前記第1の比較画像を2値化して、特定の異常が発生した箇所を検出し、検出結果を出力する異常箇所検出部と、を備える。
【0008】
本発明の一側面は、印刷ジョブに基づいて記録材に形成された元画像を読み取って、読み取り画像を生成する画像読み取り部と、前記読み取り画像を解析して、画像検査を行う制御部と、を備える画像検査装置における画像検査方法であって、前記画像読み取り部から前記読み取り画像を取得し、当該読み取り画像からコントラストが相対的に高いエッジを検出し、前記エッジの近傍領域を前記画像検査の対象から除外する除外処理と、除外処理後の前記読み取り画像に所定のフィルタ処理を行って、第1のリファレンス画像を生成するフィルタ処理と、除外処理後の前記読み取り画像と前記第1のリファレンス画像とを比較して、第1の比較画像を生成する比較処理と、予め定めた閾値を用いて前記第1の比較画像を2値化して、特定の異常が発生した箇所を検出し、検出結果を出力する異常箇所検出処理と、を実行する。
【0009】
本発明の一側面は、印刷ジョブに基づいて記録材に形成された元画像を読み取って、読み取り画像を生成する画像読み取り部と、前記読み取り画像を解析して、画像検査を行う制御部と、を備える画像検査装置で動作する画像検査プログラムであって、前記制御部に、前記画像読み取り部から前記読み取り画像を取得し、当該読み取り画像からコントラストが相対的に高いエッジを検出し、前記エッジの近傍領域を前記画像検査の対象から除外する除外処理、除外処理後の前記読み取り画像に所定のフィルタ処理を行って、第1のリファレンス画像を生成するフィルタ処理、除外処理後の前記読み取り画像と前記第1のリファレンス画像とを比較して、第1の比較画像を生成する比較処理、および予め定めた閾値を用いて前記第1の比較画像を2値化して、特定の異常が発生した箇所を検出し、検出結果を出力する異常箇所検出処理、を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の画像検査装置、画像検査方法及び画像検査プログラムによれば、読み取り画像から特定の異常を適切に検出することができる。
【0011】
その理由は、印刷ジョブに基づいて記録材に形成された元画像を読み取って、読み取り画像を生成する画像読み取り部と、読み取り画像を解析して、画像検査を行う制御部と、を備える画像検査装置において、画像読み取り部から読み取り画像を取得し、当該読み取り画像からエッジを検出し、エッジの近傍領域を画像検査の対象から除外し、除外処理後の読み取り画像に所定のフィルタ処理を行って、第1のリファレンス画像を生成し、除外処理後の読み取り画像と第1のリファレンス画像との差分を抽出して、第1の比較画像を生成し、予め定めた閾値を用いて第1の比較画像を2値化して、特定の異常が発生した箇所を検出し、検出結果を出力するからである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像検査方法を説明する模式図である。
【
図2】本発明の第1の実施例に係る画像検査システムの構成例を示す模式図である。
【
図3】本発明の第1の実施例に係る画像検査システムの他の構成例を示す模式図である。
【
図4】本発明の第1の実施例に係る画像検査装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の第1の実施例に係る画像検査装置の動作を示すフローチャート図である。
【
図6】本発明の第1の実施例に係る画像検査装置の動作(異常箇所検出処理)を示すフローチャート図である。
【
図7】本発明の第1の実施例に係る画像検査方法を説明する模式図である。
【
図8】本発明の第1の実施例に係る画像検査方法における閾値の効果を説明する模式図である。
【
図9】本発明の第2の実施例に係る画像検査装置の動作(異常箇所検出処理)を示すフローチャート図である。
【
図10】本発明の第2の実施例に係る画像検査方法を説明する模式図である。
【
図11】本発明の第3の実施例に係る画像検査装置の動作(異常箇所検出処理)を示すフローチャート図である。
【
図12】本発明の第3の実施例に係る画像検査方法を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
背景技術で示したように、電子写真では、転写時にホタル現象に起因するスポット状の異常が発生することがあり、このスポット状の異常はハーフトーン画像上で淡い起伏となって現れる。この様な画像異常を光学的に検査する方法として、特許文献1には、半導体ウエハの外観検査方法として、基準画像を撮像画像の平滑化処理により生成する方法が説明されているが、印刷物の場合、印刷対象の画像には様々な形態のコンテンツが含まれており、印刷対象の画像に、検出したい異常と同等の周波数成分を持つコンテンツが存在する場合、異常が発生していないコンテンツを誤検出してしまう。
【0014】
そこで、本発明の一実施の形態では、印刷対象の画像(元画像と呼ぶ。)に含まれるコンテンツを誤検出せずに、ホタル現象に起因する異常のような特定の異常を適切に検出できるように、読み取り画像から、コントラストが相対的に高いエッジを検出し、エッジの
近傍領域を画像検査の対象から除外し、除外処理後の読み取り画像に所定のフィルタ処理を行って、第1のリファレンス画像を生成し、除外処理後の読み取り画像と第1のリファレンス画像とを比較して、第1の比較画像を生成し、予め定めた閾値を用いて第1の比較画像を2値化して、特定の異常が発生した箇所を検出する。
【0015】
具体的には、
図1に示すように、読み取り画像に、元画像に存在するコンテンツと異常発生箇所とを含む場合(
図1(a)参照)、読み取り画像から、公知の手法(例えば、濃度変化の一次微分の絶対値が最大となる位置若しくは濃度変化の二次微分がゼロクロスする位置をエッジとして定義する手法)を用いて、コントラストが相対的に高いエッジを検出し、そのエッジの近傍領域を特定する(
図1(b)参照)。次に、特定したエッジ近傍領域を検出対象から除外した画像を生成し(
図1(c)参照)、その画像に対して所定のフィルタ処理(例えば、ぼかし処理)を行ってリファレンス画像を生成する(
図1(d)参照)。次に、エッジ近傍領域を除外した画像とリファレンス画像とを比較(差分を抽出)して比較画像を生成し(
図1(e)参照)、予め定めた閾値を用いてその比較画像を2値化して異常箇所を検出する(
図1(f)参照)。例えば、元画像に対して同様の処理を行って生成した比較画像から求めた閾値を用いて2値化して異常箇所を検出したり、閾値で2値化して検出した異常箇所を、特定の異常に応じて定められる面積の閾値や円形度の閾値を用いて絞り込んだりする。
【0016】
このように、コントラストが相対的に高いエッジの近傍領域を異常箇所の検出対象から除外することにより、元画像に含まれるテキストやグラフィックスなどのコンテンツの誤検出を防止することができる。また、フィルタ処理としてぼかし処理を行うことにより、比較画像にホタル現象に起因する異常を含ませることができ、特定の異常を確実に検出することができる。また、閾値として元画像から生成した比較画像から求めた閾値を用いることにより、元画像に含まれるコンテンツの誤検出を防止することができ、閾値として面積の閾値や円形度の閾値を用いることにより、特定の異常を確実に検出することができる。
【実施例0017】
上記した本発明の一実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の第1の実施例に係る画像検査装置、画像検査方法及び画像検査プログラムについて、
図2乃至
図8を参照して説明する。
図2及び
図3は、本実施例の画像検査システムの構成例を示す模式図であり、
図4は、本実施例の画像検査装置の構成を示すブロック図である。また、
図5及び
図6は、本実施例の画像検査装置の動作を示すフローチャート図であり、
図7は、本実施例の画像検査方法を説明する模式図、
図8は、本実施例の画像検査方法における閾値の効果を説明する模式図である。
【0018】
図2に示すように、本実施例の画像検査システム10は、図示しないコンピュータ装置などから入力された印刷ジョブに対してRIP(Raster Image Processing)処理を行い、RIP処理後の画像データ(元画像データと呼ぶ。)を出力するRIP部を備えるコントローラ11と、元画像データに基づいて記録材(用紙)上に画像(元画像)を形成する印刷部を備える画像形成装置12と、記録材に形成された元画像を読み取って、印刷物の仕上がりを検査する画像検査装置20などで構成され、これらは、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI(Fiber-Distributed Data Interface)等の規格により定められるLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等の通信ネットワーク13を介してデータ通信可能に接続されている。
【0019】
上記コントローラ11のRIP部は、PCL(Printer Control Language)やPS(Post Script)などのPDL(Page Description Language)で記述された印刷ジョブを翻訳して中間データを生成し、中間データに対して色変換テーブルを用いて色変換を行い、レ
ンダリングを行って各ページの画像データを生成する。
【0020】
また、上記画像形成装置12の印刷部は、電子写真方式等の作像プロセスを利用した画像形成に必要な構成要素で構成され、画像データに基づく画像を指定された用紙に印刷する。具体的には、帯電装置により帯電された感光体ドラムに露光装置から画像に応じた光を照射して静電潜像を形成し、現像装置で帯電したトナーを付着させて現像し、そのトナー像を転写ベルトに1次転写し、転写ベルトから用紙に2次転写し、更に定着装置で用紙上のトナー像を定着させる処理を行う。
【0021】
なお、
図2では、画像検査システム10をコントローラ11と画像形成装置12と画像検査装置20とで構成したが、画像形成装置12に画像検査装置20としての機能を持たせる場合は、
図3に示すように、画像検査システム10をコントローラ11と画像形成装置12とで構成することもできる。また、画像形成装置12にコントローラ11としての機能を持たせる(画像形成装置12にRIP部を設ける)場合は、画像検査システム10を画像形成装置12と画像検査装置20(若しくは画像検査装置20のみ)で構成することもできる。以下、
図2の構成を前提にして、画像検査装置20について説明する。
【0022】
図2の構成における画像検査装置20は、
図4(a)に示すように、制御部21と記憶部22とネットワークI/F部23と表示操作部24と給紙部25と画像読み取り部26と排紙部27などで構成される。
【0023】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)21aとROM(Read Only Memory)21bやRAM(Random Access Memory)21cなどのメモリとで構成され、これらはバスを介して接続されている。CPU21aは、ROM21bや記憶部22からプログラムを読み出し、RAM21cに展開して実行することにより、画像検査装置20の全体制御を行う。
【0024】
記憶部22は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などで構成され、CPU21aが各部を制御するためのプログラム、元画像データ、用紙上に形成された元画像を読み取った読み取り画像データ、元画像に基づいて算出した閾値などを格納する。
【0025】
ネットワークI/F部23は、NIC(Network Interface Card)やモデムなどで構成され、画像検査装置20を通信ネットワーク13に接続し、コントローラ11から元画像データを受信可能にする。
【0026】
表示操作部24は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどの表示部上に、電極が格子状に配列されたタッチセンサなどの操作部が形成されたタッチパネルなどで構成され、画像検査装置20の動作に関する各種画面を表示し、画像検査装置20の動作に関する各種操作を受け付ける。なお、操作部として、ハードキーなどを備えていてもよく、表示部と操作部とを別々の装置としてもよい。
【0027】
給紙部25は、1又は複数の給紙トレイで構成され、画像形成装置12によって画像(元画像)が形成された用紙を画像読み取り部26に搬送する。
【0028】
画像読み取り部26は、用紙上に形成された画像(元画像)を読み取る部分であり、例えば、画像が形成された用紙を光学的に走査し、用紙からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)等のセンサの受光面上に結像させて画像を読み取る。
【0029】
排紙部27は、1又は複数の排紙トレイで構成され、画像読み取り後の用紙を排紙する
。本実施例では、後述する異常箇所検出部31により、特定の異常(本実施例では、ホタル現象に起因する異常)が検出された用紙を、正常な用紙と区別して排紙できるように、複数の排紙トレイを備えることが好ましい。
【0030】
また、上記制御部21は、
図4(b)に示すように、除外処理部28、フィルタ処理部29、比較処理部30、異常箇所検出部31などとしても機能する。
【0031】
除外処理部28は、画像読み取り部26から読み取り画像を取得し、当該読み取り画像から、コントラストが相対的に高いエッジを検出し、そのエッジの近傍領域(一連のエッジを囲む領域)を画像検査(異常箇所の検出)の対象から除外して、元画像に含まれるテキストやグラフィックスなどのコンテンツが異常箇所として誤検出されないようにする。また、除外処理部28は、コントローラ11や画像形成装置12などから元画像を取得し、当該元画像から、コントラストが相対的に高いエッジを検出し、そのエッジの近傍領域を異常箇所の検出の対象から除外する。また、除外処理部28は、必要に応じて、元画像に特定の異常(例えば、ホタル現象に起因する異常)と同等の周波数成分を持つコンテンツが含まれる場合、そのコンテンツを異常検出の対象から除外する。なお、除外とは、読み取り画像や元画像からエッジの近傍領域やコンテンツを削除(下地が一様な画像の場合は、エッジの近傍領域やコンテンツを下地の画像で上書き)する場合と、読み取り画像や元画像からエッジの近傍領域やコンテンツを削除(又は下地の画像で上書き)せずに、エッジの近傍領域やコンテンツに対して異常箇所の検出を行わないように設定する場合の双方を含む。
【0032】
フィルタ処理部29は、除外処理部28による除外処理後の読み取り画像に対して、特定の異常(例えば、ホタル現象に起因する異常)をフィルタリングするフィルタ処理(ぼかし処理、例えば、着目画素の画素値をその周囲の画素の画素値を用いて平均化する処理)を行って、リファレンス画像(第1のリファレンス画像)を生成する。また、フィルタ処理部29は、除外処理部28による除外処理後の元画像に対して、読み取り画像と同様のフィルタ処理を行って、リファレンス画像(第2のリファレンス画像)を生成する。
【0033】
比較処理部30は、除外処理部28による除外処理後の読み取り画像とリファレンス画像(第1のリファレンス画像)とを比較して差分を抽出し、その差分からなる比較画像(第1の比較画像)を生成する。また、比較処理部30は、除外処理部28による除外処理後の元画像とリファレンス画像(第2のリファレンス画像)とを比較して差分を抽出し、その差分からなる比較画像(第2の比較画像)を生成する。
【0034】
異常箇所検出部31は、予め定めた閾値を用いて第1の比較画像を2値化して、特定の異常(例えば、ホタル現象に起因する異常)が発生した箇所を検出し、検出結果を出力する。本実施例では、特に、第2の比較画像(元画像から生成した比較画像)に基づいて閾値を算出し、その閾値を用いて第1の比較画像を2値化して、特定の異常が発生した箇所を検出し、検出結果を出力する。例えば、検出結果を表示操作部24に表示したり、特定の異常が検出された用紙を、正常な用紙を排紙する排紙トレイとは異なる排紙トレイに出力したりする。
【0035】
上記除外処理部28、フィルタ処理部29、比較処理部30、異常箇所検出部31はハードウェアとして構成してもよいし、制御部21を、除外処理部28、フィルタ処理部29、比較処理部30、異常箇所検出部31として機能させる画像検査プログラムとして構成し、当該画像検査プログラムをCPU21aに実行させるようにしてもよい。
【0036】
なお、
図4は本実施例の画像検査装置20の一例であり、その構成は適宜変更可能である。例えば、
図3の構成の画像検査システム10の場合は、画像形成装置12のインライ
ンセンサを用いて用紙に形成された画像を読み取ることができ、その場合は、給紙部25、画像読み取り部26、排紙部27を省略することができる。
【0037】
以下、本実施例の画像検査装置20の具体的な動作について、
図5乃至
図8を参照して説明する。CPU21aは、ROM21b又は記憶部22に記憶した画像検査プログラムをRAM21cに展開して実行することにより、
図5及び
図6のフローチャート図に示す各ステップの処理を実行する。なお、以下の説明において、
図7に示すように、元画像を一様なハーフトーンの画像(図では、ドットのハッチングで表している。)とし、その中に1つのスポット状のコンテンツと1つのテキストコンテンツとを含み(
図7(f)参照)、元画像を読み取った読み取り画像の中の一箇所にスポット状の異常が発生したとする(
図7(a)参照)。
【0038】
制御部21(除外処理部28)は、画像読み取り部26から読み取り画像を取得し、当該読み取り画像の中から、コントラストが相対的に高いエッジを検出し、そのエッジの近傍領域を特定し、特定したエッジの近傍領域を異常箇所の検出対象から除外する(S101)。例えば、
図7(b)に示すように、地色に対してコントラストが高い色(例えば、黒)で印刷された文字を検出することによってテキストの領域を特定し、
図7(c)に示すように、特定した領域を読み取り画像から削除する。エッジ近傍では階調の変動が急峻なため、異常箇所を検出するにあたり誤検出の恐れがある。そのため、エッジ部分を検出し、その近傍を異常箇所の検出対象から除外することで、誤検出を防ぐことができる。このエッジ部分の検出は、一般にはソーベルフィルタに代表される微分フィルタを用いる方法が知られており、濃度変化の一次微分の絶対値が最大となる位置若しくは濃度変化の二次微分がゼロクロスする位置をエッジとして検出することができる。
【0039】
次に、制御部21(フィルタ処理部29)は、除外処理後の読み取り画像に所定のフィルタ処理を行って、リファレンス画像を生成する(S102、
図7(d)参照)。このフィルタは、検出したい異常が持つ周波数を除去する目的のフィルタであり、フィルタ強度やサイズは検出したい異常に依存する。例えば、ホタル現象は直径1~3mm程度の現象として発生することが多いため、フィルタのサイズを例えば5mm程度に設定することで、ホタル現象の影響が除去されたリファレンス画像を生成することができる。
【0040】
次に、制御部21(比較処理部30)は、読み取り画像とリファレンス画像とを比較して比較画像を生成する(S103、
図7(e)参照)。例えば、2つの画像の対応する位置の画素値の差分を算出して比較画像を生成する。この差分を算出した時に、2つの画像に差がある箇所、つまり元々スポット状の異常が発生していた箇所のみに差分値が生じる。
【0041】
次に、制御部21(異常箇所検出部31)は、予め定めた閾値を用いて比較画像を処理(2値化)し、異常箇所を検出し、検出結果を出力する(S104、
図7(k)参照)。比較画像ではスポット状の異常が発生していた箇所に差分値が生じているので、この処理によって異常が発生している箇所を検出することができる。
【0042】
ここで、元画像には多くの場合、ハーフトーンだけでなく何らかのコンテンツが含まれる。例えば、元画像に検出したい異常と同等の周波数成分を持つコンテンツが存在する場合、読み取り画像のみを用いて異常箇所の検出を行うと、異常の発生していないコンテンツの箇所を誤検出してしまう。
【0043】
そこで、本実施例では、元画像にコンテンツが存在する箇所では、異常箇所を検出するための閾値を上げて検出感度を落とし、コンテンツの箇所が誤検出されないようにする。具体的には、元画像に対して、読み取り画像と同様の処理を行い、元画像から比較画像を
生成し、その比較画像を用いて閾値を設定する。
図6は、
図5のS104の異常箇所検出処理の具体例を示している。
【0044】
まず、制御部21(除外処理部28)は、コントローラ11や画像形成装置12などから元画像を取得し、当該元画像の中から、コントラストの高いエッジを検出し、そのエッジの近傍領域を特定し、特定したエッジの近傍領域を異常箇所の検出対象から除外する(S201、
図7(f)~(h)参照)。次に、制御部21(フィルタ処理部29)は、除外処理後の元画像に上記の所定のフィルタ処理を行い、リファレンス画像を生成する(S202、
図7(i)参照)。次に、制御部21(比較処理部30)は、元画像とリファレンス画像とを比較して比較画像を生成する(S203、
図7(j)参照)。この画像では、元画像に存在する、スポット状の異常と同等の周波数成分を持つコンテンツの箇所にのみ差分値が生じる。
【0045】
次に、制御部21(異常箇所検出部31)は、元画像から求めた比較画像を用いて、位置ごとの閾値を設定し(S204)、読み取り画像から生成した比較画像を、設定した閾値で処理(2値化)して異常箇所を検出し、検出結果を出力する(S205、
図7(k)参照)。
【0046】
元画像から求めた比較画像に基づいて設定した閾値の効果を
図8に示す。
図8の箇所A、箇所Bは元画像に存在するコンテンツがある箇所であり、箇所Cは異常が発生している箇所である。この時、画像全面を一定の閾値を用いて2値化すると、場所Bと箇所Cの画素値がその閾値を超えているため、箇所Cに加えて箇所Bも検出してしまう。そこで、閾値を元画像の比較画像に応じて位置ごとに変える。つまり、箇所Aと箇所Bは元画像から求めた比較画像でも差分値が生じているため、閾値を上げて検出感度を落とすことができる。一方、箇所Cは元画像から求めた比較画像では差分値が生じないため、閾値が上がらず異常箇所を検出することができる。
【0047】
以上説明したように、コントラストが相対的に高いエッジの近傍領域を異常箇所の検出対象から除外することにより、元画像に含まれるテキストやグラフィックスなどのコンテンツの誤検出を防止することができる。また、フィルタ処理としてぼかし処理を行うことにより、比較画像にホタル現象に起因する異常を含ませることができ、特定の異常を確実に検出することができる。また、閾値として元画像から生成した比較画像から求めた閾値を用いることにより、元画像に含まれるコンテンツの誤検出を防止することができる。
前記した第1の実施例では、異常箇所検出処理として、元画像から生成した比較画像を用いて閾値を設定し、読み取り画像から生成した比較画像をその閾値で処理することによって異常箇所を検出したが、この閾値を用いて異常を検出しても、誤検出が発生する場合がある。これは、実際には視認できないが微小なピークを有するノイズや、検出対象ではない大きなムラなどに起因する。
その様な誤検出を回避するために、本実施例では、検出箇所を面積に基づいて絞り込む。その場合、画像検査装置20の構成は前記した第1の実施例と同様であるが、制御部21(異常箇所検出部31)は、検出した異常箇所毎に領域を分離し、各々の領域の面積を算出し、算出した領域の面積が特定の異常(例えば、ホタル現象に基づく異常)に応じて
設定される閾値から外れる異常箇所を検出結果から除外して、異常箇所を絞り込む。
例えば、検出したい異常がホタル現象に起因するスポット状の異常の場合、原因が核となる異物にあるため、直径1~3mm程度の異常として発生することが多い。そこで、直径1~3mmに対応する面積を閾値として設定し、面積が閾値から外れる領域を除外することで、ホタル現象に起因する異常以外の異常を誤検出しないようにすることができる。
なお、ここでは、元画像から求めた比較画像に基づいて設定した閾値を用いて異常箇所を検出した後、面積の閾値を用いて異常箇所を絞り込む構成としたが、元画像に検出したい異常と同等の周波数成分を持つコンテンツが存在しない場合は、予め定めた閾値(例えば、一定の閾値)を用いて異常箇所を検出した後、面積の閾値を用いて異常箇所を絞り込むようにしてもよい。