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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186966
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】インターホン子機及び通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04M 9/00 20060101AFI20221208BHJP
   H04M 1/02 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
H04M9/00 J
H04M1/02 G
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172011
(22)【出願日】2022-10-27
(62)【分割の表示】P 2018087730の分割
【原出願日】2018-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤島 康晴
(72)【発明者】
【氏名】八木 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】桑野 剛
(57)【要約】
【課題】制御装置から施設の一の区画までの間の通信路を設ける際の手間を減らす。
【解決手段】無線通信路C1(又はC2、C3)は、制御装置7から施設の一の区画までの間の通信路の少なくとも一部を構成する。第1通信装置(例えば、ドアホン2D)は、制御装置7から送信され第2通信装置(例えば、ドアホン2A)が受信した信号を、無線通信路C1(又はC2、C3)を介して受信し、インターホン親機(住宅情報盤5)へ送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に設けられたアンテナにより、無線通信路を介して通信する通信部と、を備えるインターホン子機であって、
前記無線通信路は、施設の共同玄関に設置されたロビーインターホンと前記施設の一の区画に設置されたインターホン親機との間の通信を中継し、
前記インターホン子機は、前記通信部が前記無線通信路を介して受信した前記ロビーインターホンからの呼出信号を、前記インターホン親機へ送信する、
インターホン子機。
【請求項2】
前記アンテナの少なくとも一部は、前記インターホン子機が前記施設の壁材の一の面に取り付けられているとき、前記一の面から見て前記壁材の外側に位置する、
請求項1に記載のインターホン子機。
【請求項3】
電気絶縁性を有し前記筐体の外部に露出した操作釦を更に備え、
前記アンテナは、前記操作釦に覆われている、
請求項1又は2に記載のインターホン子機。
【請求項4】
電気絶縁性を有し前記筐体の外部に露出した操作釦を更に備え、
前記アンテナは、前記操作釦と対向する位置に設けられている、
請求項1~3のいずれか1項に記載のインターホン子機。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のインターホン子機と、
前記ロビーインターホンと、を備える
通信システム。
【請求項6】
前記インターホン親機を更に備える、
請求項5に記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はインターホン子機及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として特許文献1記載のインターホンシステムを例示する。特許文献1記載のインターホンシステムは、集合住宅(施設)のロビーに設置されるロビーインターホン装置と、当該集合住宅の住戸(一の区画)内に設置されるインターホン親機と、制御装置と、を備える。制御装置は、ロビーインターホン装置とインターホン親機との間の信号を中継する。複数のインターホン親機及び制御装置は、伝送路に接続される。伝送路は例えば、ツイストペアケーブルを使用した専用の幹線で構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-178363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載のインターホンシステムでは、ツイストペアケーブルの設置条件によっては、伝送路(通信路)の設置に手間がかかることがあった。例えば、ツイストペアケーブルを地中に埋設する必要がある場合は、伝送路の設置に手間がかかることがあった。
【0005】
本開示は、制御装置から施設の一の区画までの間の通信路を設ける際の手間を減らすことができるインターホン子機及び通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係るインターホン子機は、筐体と、前記筐体内に設けられたアンテナにより、無線通信路を介して通信する通信部と、を備える。前記無線通信路は、施設の共同玄関に設置されたロビーインターホンと前記施設の一の区画に設置されたインターホン親機との間の通信を中継する。前記インターホン子機は、前記通信部が前記無線通信路を介して受信した前記ロビーインターホンからの呼出信号を、前記インターホン親機へ送信する。
【0007】
本開示の一態様に係る通信システムは、前記インターホン子機と、前記ロビーインターホンと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様に係るインターホン子機及び通信システムは、制御装置から施設の一の区画までの間の通信路を設ける際の手間を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る通信システムの概略図である。
図2図2は、同上の通信システムの通信部を備えたドアホンのブロック図である。
図3図3は、同上の通信システムのドアホンの斜視図である。
図4図4は、同上の通信システムの動作例を示すシーケンス図である。
図5図5は、変形例1に係るドアホンのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係る通信システム、通信装置、通信システムの通信方法及びプログラムについて、図面を用いて説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本開示の様々な実施形態の一部に過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0011】
通信システム1は、例えば、集合住宅、オフィス、雑居ビル又は工場等の施設に設置される。本実施形態では、通信システム1が集合住宅に設置される場合を例に説明する。
【0012】
(通信システムの構成)
本実施形態の通信システム1は、図1に示すように、複数のドアホン2(インターホン子機)を備えている。通信システム1は、複数の住宅情報盤5(インターホン親機)と、ロビーインターホン6と、制御装置7と、を更に備えている。
【0013】
複数のドアホン2は、施設(ここでは集合住宅)の複数の区画と一対一で対応している。区画は、例えば、集合住宅の住戸である。各ドアホン2は、対応する区画の玄関前(室外)に設置されている。区画は、集合住宅の住戸に限定されず、オフィス、雑居ビル又は工場等の区画であってもよい。
【0014】
図1では、6つのドアホン2を図示している。以下では、6つのドアホン2を区別して、それぞれドアホン2A、2B、2C、2D、2E、2Fと称することがある。
【0015】
集合住宅は、第1の棟B1と、第2の棟B2と、を含む。6つのドアホン2のうち、3つのドアホン2A、2B、2Cは、第1の棟B1に設置され、残りの3つのドアホン2D
、2E、2Fは、第2の棟B2に設置されている。ドアホン2A、2Dは、互いに異なる棟の同じ階(図1ではn-1階、nは2以上の整数)に設置されている。ドアホン2B、2Eは、ドアホン2A、2Dが設置されている階の1つ上の階(n階)に設置されている。ドアホン2C、2Fは、ドアホン2B、2Eが設置されている階の1つ上の階(n+1階)に設置されている。
【0016】
6つのドアホン2のうち、4つのドアホン2A、2B、2C、2Dの各々は、通信部20を備えている。つまり、通信システム1は、複数(図1では4つ)の通信部20を備えている。
【0017】
複数の通信部20は、互いの間で無線通信を行う。これにより、複数の通信部20は、複数(図1では3つ)の無線通信路C1、C2、C3を形成する。各無線通信路C1、C2、C3は、制御装置7から複数の住戸までの間の通信路の少なくとも一部を構成する。無線通信は、例えば、WiFi(登録商標)等の無線通信規格に基づいて行われる。
【0018】
ドアホン2Aは、無線通信路C2における無線通信によりドアホン2Bと通信する。ドアホン2Bは、無線通信路C3における無線通信によりドアホン2Cと通信する。
【0019】
ドアホン2Aは、無線通信路C1における無線通信によりドアホン2Dと通信する。無線通信路C1を経由することにより、第1の棟B1に設置された機器であるドアホン2A、2B、2Cと、第2の棟B2に設置された機器であるドアホン2D、2E、2Fとの間で通信が可能である。
【0020】
通信システム1は、主幹線L2を備えている。主幹線L2は、ドアホン2Dとドアホン2Eとを接続し、ドアホン2Eとドアホン2Fとを接続している。ドアホン2Dは、主幹線L2における有線通信によりドアホン2Eと通信する。ドアホン2Eは、主幹線L2における有線通信によりドアホン2Fと通信する。
【0021】
複数の住宅情報盤5は、複数の住戸と一対一で対応している。各住宅情報盤5は、対応する住戸の室内に設置されている。
【0022】
図1では、6つの住宅情報盤5を図示している。以下では、6つの住宅情報盤5を区別して、それぞれ住宅情報盤5A、5B、5C、5D、5E、5Fと称することがある。住宅情報盤5A、5B、5C、5D、5E、5Fは、ドアホン2A、2B、2C、2D、2E、2Fと一対一で対応している。各住宅情報盤5は、住戸線L1により、対応するドアホン2に接続されている。つまり、各住宅情報盤5は、対応するドアホン2に有線で接続されている。これにより、各住宅情報盤5は、対応するドアホン2との通信が確立されている。つまり、住宅情報盤5は、対応するドアホン2との間で有線通信を行う。
【0023】
ドアホン2E、2Fの各々は、分岐器を含む。ドアホン2E、2Fに接続された住戸線L1は、分岐器により主幹線L2から分岐している。
【0024】
ロビーインターホン6及び制御装置7は、第1の棟B1に設置されている。ロビーインターホン6は、例えば、集合住宅の共同玄関に設置されている。制御装置7は、例えば、集合住宅の管理人室に設置されている。
【0025】
制御装置7は、ロビーインターホン6と複数の住宅情報盤5との間の通信を中継する。制御装置7は、ロビーインターホン6と複数の住宅情報盤5との間の通信の有無を切り替える。すなわち、制御装置7は、ロビーインターホン6と、複数の住宅情報盤5のうちロビーインターホン6と通信する住宅情報盤5との間の通信を確立させる。また、制御装置7は、住宅情報盤5から送信される切断要求信号に応じて、ロビーインターホン6と住宅情報盤5との間の通信を切断する。
【0026】
通信システム1は、ドアホン2Aと制御装置7とを接続する主幹線L3と、制御装置7とロビーインターホン6とを接続する共用部幹線L4と、を備えている。
【0027】
通信システム1の通信路は、複数の分岐器と、複数の住戸線L1と、主幹線L2、L3と、共用部幹線L4と、無線通信路C1、C2、C3と、を含む。複数の住戸線L1、主幹線L2、L3及び共用部幹線L4は、有線の通信路を構成している。有線の通信路は、例えば、平衡2線式の通信ケーブルで構成されている。
【0028】
各住宅情報盤5は、操作部51と、表示部52と、を備えている。ロビーインターホン6は、操作部61と、表示部62と、を備えている。操作部51、61はそれぞれ、押し釦を含む。表示部52、62はそれぞれ、ディスプレイである。集合住宅への来訪者(ユーザ)は、ロビーインターホン6の操作部61に呼出操作をすることで、複数の住戸のうち1つの住戸の住人を呼び出すことができる。
【0029】
(ドアホンの構成)
次に、図2を参照して、ドアホン2の構成について説明する。ここでは、複数のドアホン2のうち、ドアホン2Aの構成を説明するが、ドアホン2B、2C、2Dも同様の構成を備えている。
【0030】
ドアホン2Aは、通信部20を備えている。通信部20は、アンテナ21と、第1の変復調回路22と、を有している。ドアホン2Aは、入出力端子T1と、制御部3と、スピーカ23と、アンプ回路24と、マイクロホン25と、2線4線変換回路26と、フィルタ回路27と、第2の変復調回路28と、受電部29と、を更に備えている。
【0031】
アンテナ21は、ドアホン2Bのアンテナ及びドアホン2Dのアンテナとの間で電波を送受信する。これにより、アンテナ21は、ドアホン2B及びドアホン2Dとの間で無線通信を行う。第1の変復調回路22及び第2の変復調回路28の各々は、変調回路と、復調回路と、を含む。第1の変復調回路22の復調回路は、アンテナ21が受信した信号を復調して制御部3へ出力する。第1の変復調回路22の変調回路は、制御部3から出力された信号を変調してアンテナ21へ出力し、アンテナ21は、信号を電波により送信する。
【0032】
ドアホン2Aは、入出力端子T1を介して、住宅情報盤5及び制御装置7に接続されている。ドアホン2Aは、入出力端子T1を介して、対応する住宅情報盤5Aとの間で有線通信を行う。ここで、入出力端子T1は、例えば、電線等を接続するための部品(ねじ端子又はピン端子等)であってもよいし、回路基板に含まれる導体の一部、又は、電線の一部であってもよい。
【0033】
第2の変復調回路28の復調回路は、入出力端子T1を介して入力される信号を復調して制御部3へ出力する。
【0034】
受電部29は、住宅情報盤5Aから住戸線L1及び入出力端子T1を介して供給される電力を受電する。ドアホン2Aは、受電部29で受電される電力により動作する。すなわち、ドアホン2Aは、ドアホン2Aに対応する住宅情報盤5Aから電力の供給を受ける。受電部29は、例えば、ダイオードブリッジ回路及びDC/DCコンバータを含む電源回路である。
【0035】
制御部3は、ドアホン2Aの各回路の動作を制御する。制御部3は、例えば、プロセッサを有するコンピュータにより構成されている。制御部3の機能の少なくとも一部は、プロセッサがプログラムを実行することにより実現される。
【0036】
制御部3は、記憶部31と、設定部32と、A/D変換器33と、D/A変換器34と、を有している。記憶部31は、例えば、電気的に書き換え可能な不揮発性のメモリ(フラッシュメモリ等)である。記憶部31は、プロセッサが実行するプログラムを記憶している。
【0037】
複数のドアホン2及び複数の住宅情報盤5にはそれぞれ、互いに異なるアドレスが割り当てられている。記憶部31は、ドアホン2Aが受信した信号の転送先のアドレスを記憶している。つまり、ドアホン2Aの通信部20は、ドアホン2Aの通信部20が受信した信号の宛先がドアホン2Aではなく、ドアホン2Aに接続された住宅情報盤5Aでもない場合、転送先のアドレスに対応する機器(複数のドアホン2及び複数の住宅情報盤5のうちいずれか)へ信号を転送する。転送先のアドレスは、例えば、ドアホン2A及び住宅情報盤5Aに対応する住戸の部屋番号の情報を含む。転送先のアドレスに対応した機器へ信号を転送するとは、言い換えると、転送先のアドレスが割り当てられた機器へ信号を転送することである。
【0038】
設定部32は、記憶部31に記憶される転送先のアドレスを設定する。設定部32は、例えば、転送先のアドレスを指定する設定信号が外部から入力されると、設定信号に応じて転送先のアドレスを記憶部31に記憶させる。
【0039】
制御装置7から送信される信号は、第2の変復調回路28を経由して制御部3へ出力される。この信号に音情報が含まれる場合、制御部3は、D/A変換器34により音情報をデジタル信号からアナログ信号に変換して、スピーカ23に音を出力させる。
【0040】
スピーカ23は、2線4線変換回路26に接続されている。マイクロホン25は、アンプ回路24を介して2線4線変換回路26に接続されている。2線4線変換回路26は、入出力端子T1に接続される2線式の回線の通信方式と、スピーカ23に接続される2線式の回線及びマイクロホン25に接続される2線式の回線を含む4線式の回線の通信方式とを、相互に変換する。2線4線変換回路26は、マイクロホン25から出力される信号がスピーカ23へ入力されることを抑制する。
【0041】
マイクロホン25に入力された音は、音情報を含む電気信号に変換され、アンプ回路24で増幅されて、フィルタ回路27でノイズ等を除去され、制御部3へ出力される。さらに、この電気信号は、A/D変換器33でアナログ信号からデジタル信号に変換される。デジタル信号は、第2の変復調回路28の変調回路で変調されて、入出力端子T1を介して制御装置7へ出力される。
【0042】
ドアホン2B、2C、2Dの構成は、ドアホン2Aの構成と同様である。ドアホン2E、2Fの構成は、ドアホン2Aの構成から通信部20が省略され、主幹線L2(図1参照)から住戸線L1(図1参照)を分岐させるための分岐器を備えた構成である。
【0043】
図3に示すように、複数のドアホン2の各々は、本体部40と、取付部材43と、操作釦44と、カメラ45と、を更に備えている。本体部40は、カバー41と、筐体42と、を有している。
【0044】
取付部材43は、貫通孔430を有している。取付部材43は、枠状に形成されている。取付部材43は、施設(建物)の壁材100の一の面110に取り付けられる。取付部材43は、例えば、木ねじ等を用いたねじ止めにより一の面110に取り付けられる。
【0045】
本体部40は、取付部材43に取り付けられる。具体的には、本体部40の筐体42は、筐体42の一部が取付部材43の貫通孔430に挿入された状態で、例えば、ねじ止めにより取付部材43に取り付けられる。カバー41は、筐体42のうち取付部材43側とは反対側において筐体42に取り付けられる。取付部材43は、カバー41と壁材100の一の面110との間に挟まれる。
【0046】
筐体42の裏面(壁材100に近い側の面)からは、住戸線L1(図1参照)に接続される電線が引き出される。電線は、取付部材43の貫通孔430と壁材100が有する貫通孔とを通って壁材100の裏へ通される。
【0047】
カバー41は、板状に形成されている。カバー41は、第1の開口部410と、第2の開口部411と、を有している。
【0048】
操作釦44は、外部からの操作を受け付ける。操作釦44は、例えば、筐体42に取り付けられている。操作釦44は、筐体42の外部に露出している。操作釦44は、カバー41の第1の開口部410に挿入されている。操作釦44は、第1の開口部410を通してカバー41の外部に露出している。
【0049】
カバー41は、導電性を有している。カバー41は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金により形成されている。筐体42、取付部材43及び操作釦44は、電気絶縁性を有している。筐体42、取付部材43及び操作釦44は、例えば、合成樹脂により形成されている。取付部材43は、金属により形成されていてもよい。
【0050】
ドアホン2A、2B、2C、2Dの各々において、アンテナ21(図2参照)は、取付部材43に覆われている。ここで、アンテナ21が取付部材43に覆われているとは、取付部材43の外にアンテナ21があって取付部材43がアンテナ21を覆っている場合を含み、取付部材43にアンテナ21が埋め込まれている場合も含む。本実施形態では、アンテナ21は、取付部材43に埋め込まれている。ドアホン2A(又は2B、2C、2D)が壁材100に取り付けられているとき、アンテナ21の少なくとも一部は、壁材100の一の面110から見て壁材100の外側に位置する。
【0051】
カメラ45は、ドアホン2の付近にいる来訪者を撮像する。カメラ45のレンズは、カバー41の第2の開口部411を通してカバー41の外部に露出している。
【0052】
(通信システムの動作例)
次に、通信システム1の動作例について、図1、4を参照して説明する。図4のステップS1~S26の傍に記載された文字はそれぞれ、信号の内容を表す。
【0053】
複数の住宅情報盤5にはそれぞれ、互いに異なるアドレスが割り当てられている。制御装置7は、各住宅情報盤5に生存確認信号を送信する。生存確認信号は、生存確認信号の宛先の住宅情報盤5のアドレスを含む。住宅情報盤5は、生存確認信号に含まれるアドレスを、生存確認信号の宛先であると判断する。住宅情報盤5は、生存確認信号を受信した場合であって、生存確認信号の宛先が自機である場合、制御装置7に応答信号を送信する。応答信号は、応答信号の送信元の住宅情報盤5のアドレスを含む。制御装置7は、応答信号を受信すると、応答信号に含まれるアドレスに対応した住宅情報盤5と通信可能な状態であると判断する。
【0054】
制御装置7は、まず、ドアホン2Aに生存確認信号を送信する(ステップS1)。ドアホン2Aは、生存確認信号に含まれるアドレスに基づいて、生存確認信号の宛先がドアホン2Aであるか、住宅情報盤5Aであるか、別の機器であるかを判断する。生存確認信号の宛先が住宅情報盤5Aの場合、ドアホン2Aは、住宅情報盤5Aへ生存確認信号を転送する(ステップS2)。
【0055】
住宅情報盤5Aは、生存確認信号を受信すると、ドアホン2Aへ応答信号を送信する(ステップS3)。ドアホン2Aは、応答信号を受信すると、応答信号を制御装置7へ転送する(ステップS4)。制御装置7は、応答信号を受信する。
【0056】
制御装置7は、例えば、時分割方式により各ドアホン2に生存確認信号を送信する。すなわち、制御装置7は、ドアホン2ごとに時間をずらして生存確認信号を送信する。制御装置7は、各ドアホン2に間欠的に生存確認信号を送信する。各ドアホン2は、間欠的に生存確認信号を受信する。各ドアホン2が生存確認信号を受信する頻度は、例えば、5分に1回である。
【0057】
生存確認信号の宛先が住宅情報盤5Aとは別の住宅情報盤5である場合の通信システム1の動作例は、次のようになる。
【0058】
制御装置7は、まず、ドアホン2Aに生存確認信号を送信する(ステップS5)。ドアホン2Aは、生存確認信号に含まれるアドレスに基づいて、生存確認信号の宛先がドアホン2Aであるか、住宅情報盤5Aであるか、別の機器であるかを判断する。生存確認信号の宛先が住宅情報盤5Dの場合、ドアホン2Aは、ドアホン2Dへ生存確認信号を転送する(ステップS6)。
【0059】
ドアホン2Dは、生存確認信号に含まれるアドレスに基づいて、生存確認信号の宛先がドアホン2Dであるか、住宅情報盤5Dであるか、別の機器であるかを判断する。生存確認信号の宛先が住宅情報盤5Dの場合、ドアホン2Dは、住宅情報盤5Dへ生存確認信号を転送する(ステップS7)。
【0060】
住宅情報盤5Dは、生存確認信号を受信すると、ドアホン2Dへ応答信号を送信する(ステップS8)。ドアホン2Dは、応答信号を受信すると、応答信号をドアホン2Aへ転送する(ステップS9)。ドアホン2Aは、応答信号を受信すると、応答信号を制御装置7へ転送する(ステップS10)。制御装置7は、応答信号を受信する。
【0061】
図1において、ドアホン2Dは、もし、生存確認信号の宛先がドアホン2Dではなく住宅情報盤5Dでもない場合、別のドアホン2へ生存確認信号を転送する。本実施形態では、ドアホン2Dは、生存確認信号の宛先が住宅情報盤5E又は5Fの場合、ドアホン2Eへ生存確認信号を転送する。
【0062】
ドアホン2B、2C、2E、2Fもドアホン2A、2Dと同様に、生存確認信号の宛先が自機に接続された住宅情報盤5の場合は、当該住宅情報盤5へ生存確認信号を転送する。各ドアホン2は、生存確認信号の宛先が自機ではなく自機に接続された住宅情報盤5でもない場合、別のドアホン2へ生存確認信号を転送する。
【0063】
住宅情報盤5A、5D以外の住宅情報盤5に生存確認信号が送信される場合も同様に、1又は複数のドアホン2を介して住宅情報盤5と制御装置7とが通信する。住宅情報盤5D、5E又は5Fに生存確認信号が送信される場合は、無線通信路C1を介して住宅情報盤5D、5E又は5Fと制御装置7とが通信する。すなわち、第1の棟B1に設置された機器である制御装置7と、第2の棟B2に設置された機器である住宅情報盤5D、5E又は5Fとが通信する場合は、無線通信路C1を介して通信が行われる。住宅情報盤5Bに生存確認信号が送信される場合は、無線通信路C2を介して住宅情報盤5Bと制御装置7とが通信する。住宅情報盤5Cに生存確認信号が送信される場合は、無線通信路C2、C3を介して住宅情報盤5Cと制御装置7とが通信する。
【0064】
ドアホン2は、別のドアホン2、住宅情報盤5、制御装置7又はそれ以外の機器との間で有線通信により信号(生存確認信号、応答信号又はそれ以外の信号)を送受信してもよいし、通信部20による無線通信により信号を送受信してもよい。
【0065】
信号の転送先のアドレスは、ドアホン2の記憶部31(図2参照)に記憶されている。ドアホン2は、記憶部31に記憶されたアドレスに対応する機器へ信号を転送する。
【0066】
記憶部31において、信号の転送先のアドレスは、信号の宛先と対応付けて記憶されている。通信システム1では、信号の宛先ごとに、信号が伝達される経路が予め決まっており、記憶部31には、信号がこの経路を通るような転送先のアドレスが記憶されている。
【0067】
各ドアホン2では、信号の宛先が自機に対応する住宅情報盤5の場合は、住戸線L1を通して、自機に対応する住宅情報盤5へ信号を転送する。各ドアホン2では、信号の宛先が自機に対応しない住宅情報盤5の場合は、別のドアホン2へ信号を転送する。宛先の住宅情報盤5に対応するドアホン2へ信号が送信されてから、このドアホン2から宛先の住宅情報盤5へ信号が転送される。つまり、各ドアホン2は、信号の宛先が自機に対応しない住宅情報盤5の場合は、1又は複数のドアホン2を介して宛先の住宅情報盤5へ信号を転送する。
【0068】
例えば、ドアホン2Aでは、信号の宛先が住宅情報盤5B、5C、又はドアホン2B、2Cの場合、信号の転送先はドアホン2Bである。ドアホン2Aでは、信号の宛先が住宅情報盤5D、5E、5F、又はドアホン2D、2E、2Fの場合、信号の転送先はドアホン2Dである。ドアホン2Aでは、信号の宛先が制御装置7の場合、信号の転送先は制御装置7である。
【0069】
例えば、ドアホン2Dでは、信号の宛先が住宅情報盤5A、5B、5C、ドアホン2A、2B、2C、又は制御装置7の場合、信号の転送先はドアホン2Aである。ドアホン2Dでは、信号の宛先が住宅情報盤5E、5F、又はドアホン2E、2Fの場合、信号の転送先はドアホン2Eである。
【0070】
集合住宅への来訪者(ユーザ)は、ロビーインターホン6の操作部61に呼出操作をすることで、複数の住戸のうち1つの住戸の住人を呼び出すことができる。呼出操作は、住戸の部屋番号を指定する操作を含む。来訪者が呼出操作をすると、ロビーインターホン6から制御装置7へ所定の信号が送信される。すると、制御装置7は、操作部61で指定された部屋番号に対応する住宅情報盤5へ呼出信号を送信する。呼出信号は、呼出信号の宛先の住宅情報盤5のアドレスを含む。
【0071】
図4のステップS11~S13では、呼出信号の宛先は住宅情報盤5Dである。生存確認信号が制御装置7から住宅情報盤5Dへ送信される場合と同様にして、呼出信号が制御装置7から住宅情報盤5Dへ送信される。すなわち、制御装置7は、まず、ドアホン2Aへ呼出信号を送信する(ステップS11)。ドアホン2Aは、ドアホン2Dへ呼出信号を転送する(ステップS12)。ドアホン2Dは、住宅情報盤5Dへ呼出信号を転送する(ステップS13)。
【0072】
住宅情報盤5Dが呼出信号を受信すると、住宅情報盤5Dのスピーカは、呼出音を発する。住戸の住人が住宅情報盤5Dの操作部51に応答操作(例えば、釦操作)をすると、住宅情報盤5Dは、ドアホン2Dへ接続要求信号を送信する(ステップS14)。ドアホン2Dは、接続要求信号をドアホン2Aへ転送する(ステップS15)。ドアホン2Aは、接続要求信号を制御装置7へ転送する(ステップS16)。
【0073】
制御装置7が接続要求信号を受信すると、住宅情報盤5Dとロビーインターホン6との間の通信が確立される。住宅情報盤5Dとロビーインターホン6とがハンドシェイクを行う。ハンドシェイクとは、異なる機器間で通信を行うために通信方式等の取決めをすることである。住宅情報盤5Dのマイクロホンで集音された音は、音情報を含む電気信号に変換されてから、ドアホン2D、ドアホン2A及び制御装置7を介してロビーインターホン6へ送信され、ロビーインターホン6のスピーカから音として出力される。ロビーインターホン6のマイクロホンで集音された音は、音情報を含む電気信号に変換されてから、制御装置7、ドアホン2A及びドアホン2Dを介して住宅情報盤5Dへ送信され、住宅情報盤5Dのスピーカから音として出力される。すなわち、住宅情報盤5Dと制御装置7との間で、音情報が送受信され(ステップS17)、制御装置7を介して住宅情報盤5Dとロビーインターホン6との間で音情報が送受信される。また、ロビーインターホン6に備えられたカメラは、来訪者を撮像し、画像(静止画像又は動画像)情報を生成する。画像情報は、ロビーインターホン6から制御装置7、ドアホン2A及びドアホン2Dを介して住宅情報盤5Dへ送信される。住宅情報盤5Dの表示部52には、画像情報に基づいた画像が表示される。
【0074】
住戸の住人は、住宅情報盤5Dの操作部51に切断要求操作(例えば、釦操作)を行うことで、住宅情報盤5Dとロビーインターホン6との間の通信を切断できる。操作部51に切断要求操作がされると、住宅情報盤5Dは、ドアホン2D及びドアホン2Aを介して制御装置7へ切断要求信号を送信する(ステップS18、S19、S20)。すると、制御装置7は、ドアホン2A及びドアホン2Dを介して、住宅情報盤5Dへ切断命令信号を送信する(ステップS21、S22、S23)。住宅情報盤5Dは、ドアホン2D及びドアホン2Aを介して制御装置7へ切断応答信号を送信する(ステップS24、S25、S26)。制御装置7は、切断応答信号を受信すると、住宅情報盤5Dとロビーインターホン6との間の通信を切断する。
【0075】
制御装置7から住宅情報盤5D以外の住宅情報盤5に呼出信号が送信される場合も同様に、1又は複数のドアホン2を介して住宅情報盤5と制御装置7とが通信する。
【0076】
本開示では、ドアホン2A、2B、2C、2Dが第1通信装置又は第2通信装置に相当する。通信装置は、第1通信装置又は第2通信装置を備えている。本開示では、通信装置は、第1通信装置又は第2通信装置のみからなる。通信装置は、第1通信装置又は第2通信装置以外の構成を更に備えていてもよい。例えば、通信装置は、住宅情報盤5と無線通信するための構成を更に備えていてもよい。
【0077】
ドアホン2Dを第1通信装置とすると、ドアホン2Aが第2通信装置に相当する。すなわち、ドアホン2Dは、制御装置7から送信されドアホン2Aが受信した信号を、無線通信路C1を介して受信し、住宅情報盤5D(インターホン親機)へ送信する。
【0078】
また、ドアホン2Bを第1通信装置とすると、ドアホン2Aが第2通信装置に相当する。すなわち、ドアホン2Bは、制御装置7から送信されドアホン2Aが受信した信号を、無線通信路C2を介して受信し、住宅情報盤5B(インターホン親機)へ送信する。
【0079】
また、ドアホン2Cを第1通信装置とすると、ドアホン2A及びドアホン2Bの各々が第2通信装置に相当する。すなわち、ドアホン2Cは、制御装置7から送信されドアホン2A及び2Bが受信した信号を、無線通信路C1及びC2を介して受信し、住宅情報盤5C(インターホン親機)へ送信する。
【0080】
本実施形態に係る通信システム1の通信方法は、第1通信装置と第2通信装置との間で無線通信を行うことで無線通信路C1、C2、C3のうち少なくとも1つを形成する第1のステップと、信号を制御装置7から住宅情報盤5へ送信する第2のステップと、を備える。第2のステップでは、信号を、制御装置7から第2通信装置へ送信し、第2通信装置から無線通信路C1、C2、C3のうち少なくとも1つを介して第1通信装置へ送信し、第1通信装置から住宅情報盤5へ送信する。
【0081】
本実施形態の通信システム1では、第1の棟B1に設置された制御装置7と、第2の棟B2に設置されたドアホン2D、2E、2Fとが無線通信路C1を介して通信する。したがって、第1の棟B1と第2の棟B2とが離れている場合や、第1の棟B1と第2の棟B2との間に公道等があって第1の棟B1と第2の棟B2との間の電線を引くのが困難な場合であっても、第1の棟B1と第2の棟B2との間の通信路を設けられる。また、例えば、第1の棟B1と第2の棟B2との間の通信路を構成する電線を地中に埋設する場合と比較して、第1の棟B1と第2の棟B2との間の通信路を設ける際の手間を減らすことができる。
【0082】
また、通信システム1では、ドアホン2Aとドアホン2Bとが無線通信路C2を介して通信する。したがって、例えば、ドアホン2Aとドアホン2Bとの間の通信路を構成する電線を施設(建物)の壁に埋め込む場合と比較して、ドアホン2Aとドアホン2Bとの間の通信路を設ける際の手間を減らすことができる。同様に、ドアホン2Bとドアホン2Cとが無線通信路C3を介して通信することで、ドアホン2Bとドアホン2Cとの間の通信路を設ける際の手間を減らすことができる。
【0083】
また、既設の有線の通信路を構成する電線が劣化して、通信路を新しい通信路に置き換えることが必要となることがある。既設の有線の通信路を、通信システム1の無線通信路C1、C2又はC3に置き換えることができる。その場合、既設の有線の通信路を構成する電線を新しい電線に置き換える場合と比較して、工事の手間を減らすことができる。
【0084】
また、既設の有線の通信路が2ペア以上の電線により構成されている場合は、少なくとも1ペアの電線を残したまま、残りのペアの電線により構成される通信路を無線通信路に置き換えてもよい。例えば、ドアホン2Eとドアホン2Fとの間の既設の通信路が2ペアの電線により構成されており、ドアホン2Eとドアホン2Fとの各々が、1ペアの端子からなる入出力端子T1(図2参照)を2つ有している場合を考える。この場合は、ドアホン2Eの1つの入出力端子T1とドアホン2Fの1つの入出力端子T1とが1ペアの電線により接続された状態を維持して、ドアホン2Eの残りの1つの入出力端子T1に第2の通信装置を接続し、ドアホン2Fの残りの1つの入出力端子T1に第1の通信装置を接続してもよい。第1の通信装置と第2の通信装置とが無線通信を行うことで、ドアホン2Eとドアホン2Fとが通信できるようになる。第1の通信装置及び第2の通信装置を新しく設置する作業の間、1ペアの電線はドアホン2Eとドアホン2Fとに接続されたままなので、ドアホン2Eとドアホン2Fとの間で有線通信を継続することができる。また、第1の通信装置及び第2の通信装置を設置した後、1ペアの電線により接続されたドアホン2Eの1つの入出力端子T1とドアホン2Fの1つの入出力端子T1とを、新しい電線によりつないでもよい。
【0085】
あるいは、通信システム1は、第1の通信装置及び第2の通信装置を2つずつ備えていてもよい。そして、ドアホン2Eの一方の入出力端子T1に一方の第2の通信装置を接続し、ドアホン2Fの一方の入出力端子T1に一方の第1の通信装置を接続してもよい。その後、ドアホン2Eの他方の入出力端子T1に他方の第2の通信装置を接続し、ドアホン2Fの他方の入出力端子T1に他方の第1の通信装置を接続してもよい。
【0086】
また、通信システム1では、住戸の玄関前に設置されたドアホン2が無線通信を行う。したがって、住戸の室内に設置された機器である住宅情報盤5が無線通信を行う場合と比較して、電波の伝搬が施設(建物)の鉄筋等の構造体により妨げられる可能性を低減できる。
【0087】
住宅情報盤5は、防災機器に接続されて緊急時の放送を行ってもよい。また、住宅情報盤5は、住戸の分電盤に接続されて住戸での消費電力を表示してもよい。また、住宅情報盤5は、インターネット回線を経由してスマートホン等の携帯電話との間で音情報及び画像情報を通信してもよい。
【0088】
本開示における通信システム1、通信装置及び通信システムの通信方法の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、1又は複数のコンピュータを有している。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における通信システム1、通信装置及び通信システムの通信方法の実行主体としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されていてもよいが、電気通信回線を通じて提供されてもよいし、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ(磁気ディスク)等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1乃至複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
【0089】
(変形例1)
次に、実施形態の変形例1について説明する。実施形態と同様の構成については、共通の符号を付して説明を省略する。
【0090】
図5に示すように、本変形例では、ドアホン200の構成が、実施形態のドアホン2と異なる。ドアホン200の構成は、実施形態のドアホン2A~2Fのいずれに適用されてもよい。
【0091】
ドアホン200は、入出力端子T1に加えて、入出力端子T2を更に備えている。また、ドアホン200は、実施形態のフィルタ回路27に代えて、第2のフィルタ回路272を備えている。ドアホン200は、第1のフィルタ回路271と、第3のフィルタ回路273と、第3の変復調回路46と、を更に備えている。
【0092】
ドアホン200は、入出力端子T1を介して、住宅情報盤5(図1参照)に接続されている。ドアホン200は、入出力端子T1を介して、住宅情報盤5との間で有線通信を行う。ドアホン200は、入出力端子T2を介して、制御装置7(図1参照)に接続されている。ドアホン200は、入出力端子T2を介して、制御装置7との間で有線通信又は無線通信を行う。
【0093】
第1のフィルタ回路271は、入出力端子T1を介して入力された信号からノイズ等を除去して第2の変復調回路28へ出力する。
【0094】
制御装置7から送信される信号は、第3のフィルタ回路273でノイズ等を除去され、第3の変復調回路46の復調回路で復調されて、制御部3へ出力される。
【0095】
マイクロホン25に入力された音は、音情報を含む電気信号に変換される。マイクロホン25で変換された電気信号は、アンプ回路24で増幅されて、第2のフィルタ回路272でノイズ等を除去され、制御部3へ出力される。さらに、制御部3に入力された電気信号は、A/D変換器33でアナログ信号からデジタル信号に変換される。デジタル信号は、第3の変復調回路46の変調回路で変調されて、入出力端子T2を介して制御装置7へ出力される。
【0096】
(実施形態のその他の変形例)
次に、実施形態のその他の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。また、以下の変形例は、変形例1と適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0097】
実施形態では、無線通信を行うための第1通信装置及び第2通信装置は、ドアホン2(ドアホン2A、2B、2C、2D)である。これに対して、第1通信装置及び第2通信装置は、住宅情報盤5であってもよい。また、第1通信装置及び第2通信装置は、ドアホン2及び住宅情報盤5とは別に設けられてもよい。
【0098】
また、第1通信装置及び第2通信装置が設置される場所は、住戸に限定されない。例えば、第1通信装置は、集合住宅の廊下等の共用部に設置されてもよい。第2通信装置は、集合住宅の管理人室に設置されてもよい。また、第2通信装置と制御装置7とが1つの筐体に集約されていてもよい。
【0099】
また、第1通信装置及び第2通信装置の各々において、信号を送信するための構成と、信号を受信するための構成とが、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。
【0100】
また、ドアホン2の各構成は、1つの筐体内に集約されていてもよいし、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。例えば、受電部29は、通信部20が収容されている筐体とは別の筐体に収容されていてもよい。また、記憶部31は、ドアホン2が備えていてもよいし、ドアホン2とは別の機器が備えていてもよい。
【0101】
また、ドアホン2の受電部29は、住宅情報盤5から給電されるのではなく、住戸に設けられた分電盤から住宅情報盤5を介さずに給電されてもよい。あるいは、受電部29は、住宅情報盤5とは別の機器から給電されてもよい。
【0102】
また、実施形態のドアホン2E、2Fの各々は、主幹線L2から住戸線L1を分岐させるための分岐器を備えている。これに対して、分岐器は、ドアホン2E、2Fとは別に設けられていてもよい。
【0103】
また、ドアホン2D、2E、2Fと主幹線L2とが直接接続されているのではなく、住宅情報盤5D、5E、5Fと主幹線L2とが直接接続されていてもよい。
【0104】
また、ドアホン2A、2B、2C、2Dだけでなく、ドアホン2E、2Fも通信部20を備えていてもよい。つまり、ドアホン2E、2Fも別のドアホン2との間で無線通信を行ってもよい。
【0105】
また、第1の棟B1の各ドアホン2と第2の棟B2の各ドアホン2とが無線通信路C1を介して通信し、第1の棟B1では複数のドアホン2A、2B、2Cが有線により互いに接続されていてもよい。つまり、無線通信路C2、C3が有線の通信路に置き換えられてもよい。また、制御装置7とドアホン2Aとを接続する主幹線L3が無線通信路に置き換えられてもよい。また、制御装置7と1又は複数のドアホン2とが有線の通信路を介さずに無線通信路を介して通信してもよい。通信システム1は、無線通信路C1、C2、C3、制御装置7と1又は複数のドアホン2との間の無線通信路又はその他の無線通信路のうち少なくとも1つを形成すればよい。
【0106】
また、各ドアホン2は、信号の送信元のドアホン2と送信先のドアホン2とが異なる棟又は異なる階にある場合は無線通信路を介して通信し、信号の送信元のドアホン2と送信先のドアホン2とが同じ棟の同じ階にある場合は有線の通信路を介して通信してもよい。
【0107】
また、制御装置7と各ドアホン2とが無線通信路を介して通信し、かつ、各ドアホン2とドアホン2に対応する住宅情報盤5とが無線通信路を介して通信してもよい。さらに、制御装置7と各ドアホン2との間の無線通信のチャネルと、各ドアホン2とドアホン2に対応する住宅情報盤5との間の無線通信のチャネルとが異なっていてもよい。無線通信のチャネルとして、例えば、1.4GHzの周波数帯と5GHzの周波数帯とが用いられてもよい。各ドアホン2とドアホン2に対応する住宅情報盤5とが無線通信路を介して通信する場合、例えば、ドアホン2と住宅情報盤5との無線通信のためのチャネルが確保されることにより、ドアホン2と住宅情報盤5との通信を確立できる。
【0108】
また、無線通信は、電波を伝送媒体とする通信に限定されず、赤外線等の光を伝送媒体とする通信であってもよい。
【0109】
また、ドアホン2において、信号の転送先は、予め決まっていなくてもよい。例えば、ドアホン2は、通信部20における電波の送信強度、受信感度及び通信のエラー発生率等の通信環境に応じて信号の転送先を決定又は変更してもよい。
【0110】
また、ドアホン2は、信号の宛先が自機ではなく自機に接続された住宅情報盤5でもない場合に、自機とは別の、複数のドアホン2に信号を転送してもよい。
【0111】
また、実施形態のドアホン2A、2B、2C、2Dにおいて、アンテナ21は、取付部材43に埋め込まれることで取付部材43に覆われている。これに対して、アンテナ21は、取付部材43の貫通孔430の内縁に取り付けられることで、取付部材43のうち貫通孔430により開口している面と直交する方向から見て、取付部材43に覆われていてもよい。
【0112】
あるいは、アンテナ21は、操作釦44に覆われていてもよい。例えば、アンテナ21は、操作釦44に埋め込まれることで操作釦44に覆われていてもよい。あるいは、アンテナ21は、操作釦44の裏面に取り付けられることで操作釦44に覆われていてもよい。あるいは、アンテナ21は、筐体42の内部であって操作釦44と対向する位置に配置されることで操作釦44に覆われていてもよい。
【0113】
(まとめ)
以上説明した実施形態等から、以下の態様が開示されている。第1の態様に係る通信システム1は、第1通信装置(例えば、ドアホン2D)と、第2通信装置(例えば、ドアホン2A)と、を備える。第2通信装置は、第1通信装置との間で無線通信を行うことで無線通信路C1(又はC2、C3)を形成する。無線通信路C1(又はC2、C3)は、制御装置7から施設の一の区画までの間の通信路の少なくとも一部を構成する。制御装置7は、ロビーインターホン6とインターホン親機(住宅情報盤5)との間の通信を中継しロビーインターホン6とインターホン親機との間の通信の有無を切り替える。ロビーインターホン6は、施設の共同玄関に設置される。インターホン親機は、施設の一の区画に設置される。第1通信装置は、制御装置7から送信され第2通信装置が受信した信号を、無線通信路C1(又はC2、C3)を介して受信し、インターホン親機へ送信する。
【0114】
上記の構成によれば、制御装置7から施設の一の区画までの間の通信路が有線の通信路のみからなる場合と比較して、制御装置7から一の区画までの間の通信路を設ける際の手間を減らすことができる。
【0115】
また、第2の態様に係る通信システム1では、第1の態様において、第1通信装置(例えば、ドアホン2D)は、インターホン親機(例えば、住宅情報盤5D)との間で有線通信を行う。インターホン親機は、一の区画に設置される。
【0116】
上記の構成によれば、制御装置7からインターホン親機(例えば、住宅情報盤5D)までの間の通信が無線のみにより行われる場合と比較して、通信を安定させられることがある。
【0117】
また、第3の態様に係る通信システム1では、第1又は2の態様において、第1通信装置(例えば、ドアホン2D)は、インターホン親機(例えば、住宅情報盤5D)との通信を確立する。インターホン親機は、一の区画に設置される。第1通信装置(例えば、ドアホン2D)は、第2通信装置(例えば、ドアホン2A)から送信され第1通信装置が受信した信号の宛先が第1通信装置ではなく一の区画に設置されたインターホン親機(例えば、住宅情報盤5D)でもない場合、信号を別のインターホン親機(住宅情報盤5)へ転送する。
【0118】
上記の構成によれば、第1通信装置(例えば、ドアホン2D)から転送された信号を受信する別のインターホン親機(住宅情報盤5)は、制御装置7から離れていても制御装置7からの信号を受信できる。
【0119】
また、第4の態様に係る通信システム1は、第3の態様において、記憶部31を更に備える。記憶部31は、信号の転送先のアドレスを記憶する。第1通信装置(例えば、ドアホン2D)は、アドレスに対応する機器へ信号を転送する。
【0120】
上記の構成によれば、第1通信装置(例えば、ドアホン2D)は、記憶部31に記憶されたアドレスに対応する機器へ信号を転送するので、アドレスを適宜設定することで、信号を宛先へより速く伝送できる。
【0121】
また、第5の態様に係る通信システム1では、第4の態様において、記憶部31は、信号の転送先のアドレスを、信号の宛先と対応付けて記憶する。
【0122】
上記の構成によれば、信号の宛先と信号の転送先のアドレスとが対応付けられているので、宛先とアドレスとの対応を適宜設定することで、信号を宛先へより速く伝送できる。
【0123】
また、第6の態様に係る通信システム1では、第1~5の態様のいずれか1つにおいて、第1通信装置は、一の区画の玄関前に設置されたインターホン子機(例えば、ドアホン2D)である。インターホン子機は、インターホン親機(例えば、住宅情報盤5D)と通信する。
【0124】
上記の構成によれば、第1通信装置をインターホン子機(例えば、ドアホン2D)と別に設ける場合と比較して、第1通信装置の設置スペースを小さくできる。
【0125】
また、第7の態様に係る通信システム1では、第1~6の態様のいずれか1つにおいて、第1通信装置(例えば、ドアホン2D)は、アンテナ21を有する。アンテナ21は、第2通信装置(例えば、ドアホン2A)との間で無線通信を行う。アンテナ21の少なくとも一部は、第1通信装置が施設の壁材100の一の面110に取り付けられているとき、一の面110から見て壁材100の外側に位置する。
【0126】
上記の構成によれば、アンテナ21の少なくとも一部は、壁材100の一の面110から見て壁材100の外側に位置するので、アンテナ21の全体が一の面110の裏側の空間に位置する場合と比較して、アンテナ21による無線通信を行いやすい。
【0127】
また、第8の態様に係る通信システム1では、第7の態様において、第1通信装置(例えば、ドアホン2D)は、取付部材43と、筐体42と、を更に有する。取付部材43は、電気絶縁性を有し壁材100の一の面110に取り付けられる。筐体42は、一の面110との間に取付部材43を挟んだ状態で取付部材43に取り付けられる。アンテナ21は、取付部材43に覆われている。
【0128】
上記の構成によれば、筐体42が導電性を有していても、アンテナ21は、取付部材43を透過する経路で電波を送受信できる。
【0129】
また、第9の態様に係る通信システム1では、第7の態様において、第1通信装置(例えば、ドアホン2D)は、筐体42と、操作釦44と、を更に有する。操作釦44は、電気絶縁性を有し筐体42の外部に露出している。アンテナ21は、操作釦44に覆われている。
【0130】
上記の構成によれば、筐体42が導電性を有していても、アンテナ21は、操作釦44を透過する経路で電波を送受信できる。
【0131】
また、第10の態様に係る通信システム1では、第1~9の態様のいずれか1つにおいて、第2通信装置は、施設の複数の区画のうち、一の区画とは別の区画の玄関前に設置されたインターホン子機(例えば、ドアホン2A)である。
【0132】
上記の構成によれば、第2通信装置をインターホン子機(例えば、ドアホン2A)と別に設ける場合と比較して、第2通信装置の設置スペースを小さくできる。
【0133】
また、第11の態様に係る通信システム1では、第1~10の態様のいずれか1つにおいて、第1通信装置(例えば、ドアホン2D)は、受電部29を有する。受電部29は、インターホン親機(例えば、住宅情報盤5D)から供給される電力を受電する。
【0134】
上記の構成によれば、分電盤等からインターホン親機(例えば、住宅情報盤5D)を介さずに第1通信装置(例えば、ドアホン2D)に給電する場合と比較して、第1通信装置に給電する電路を設置することが容易である。
【0135】
また、第12の態様に係る通信システム1では、第1~11の態様のいずれか1つにおいて、制御装置7と、インターホン親機(住宅情報盤5)と、を更に備える。インターホン親機は、一の区画に設置される。
【0136】
上記の構成によれば、制御装置7から施設の一の区画までの間の通信路が有線の通信路のみからなる場合と比較して、制御装置7から施設の一の区画までの間の通信路を設ける際の手間を減らすことができる。
【0137】
第1の態様以外の構成については、通信システム1に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0138】
また、第13の態様に係る通信装置は、第1~12の態様のいずれか1つに係る通信システム1に用いられる第1通信装置(例えば、ドアホン2D)を備える。
【0139】
上記の構成によれば、制御装置7から施設の一の区画までの間の通信路が有線の通信路のみからなる場合と比較して、制御装置7から施設の一の区画までの間の通信路を設ける際の手間を減らすことができる。
【0140】
また、第14の態様に係る通信装置は、第1~12の態様のいずれか1つに係る通信システム1に用いられる第2通信装置(例えば、ドアホン2A)を備える。
【0141】
上記の構成によれば、制御装置7から施設の一の区画までの間の通信路が有線の通信路のみからなる場合と比較して、制御装置7から施設の一の区画までの間の通信路を設ける際の手間を減らすことができる。
【0142】
また、第15の態様に係る通信システムの通信方法は、第1のステップと、第2のステップと、を備える。第1のステップでは、第1通信装置(例えば、ドアホン2D)と第2通信装置(例えば、ドアホン2A)との間で無線通信を行うことで無線通信路C1(又はC2、C3)を形成する。無線通信路C1(又はC2、C3)は、制御装置7から施設の一の区画までの間の通信路の少なくとも一部を構成する。制御装置7は、ロビーインターホン6とインターホン親機(住宅情報盤5)との間の通信を中継しロビーインターホン6とインターホン親機との間の通信の有無を切り替える。ロビーインターホン6は、施設の共同玄関に設置される。インターホン親機は、施設の一の区画に設置される。第2のステップでは、信号を、制御装置7から第2通信装置へ送信し、第2通信装置から無線通信路C1(又はC2、C3)を介して第1通信装置へ送信し、第1通信装置からインターホン親機へ送信する。
【0143】
上記の構成によれば、制御装置7から施設の一の区画までの間の通信路が有線の通信路のみからなる場合と比較して、制御装置7から施設の一の区画までの間の通信路を設ける際の手間を減らすことができる。
【0144】
また、第16の態様に係るプログラムは、第15の態様に係る通信システムの通信方法を、コンピュータシステムに実行させる。
【0145】
上記の構成によれば、制御装置7から施設の一の区画までの間の通信路が有線の通信路のみからなる場合と比較して、制御装置7から施設の一の区画までの間の通信路を設ける際の手間を減らすことができる。
【符号の説明】
【0146】
1 通信システム
2、200 ドアホン(第1通信装置又は第2通信装置)
5 住宅情報盤(インターホン親機)
6 ロビーインターホン
7 制御装置
21 アンテナ
29 受電部
31 記憶部
42 筐体
43 取付部材
44 操作釦
100 壁材
110 一の面
C1、C2、C3 無線通信路
図1
図2
図3
図4
図5